JP7399076B2 - 集電装置の空力音低減構造とその製造方法 - Google Patents
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Description
新幹線(登録商標)の高速化にとって、車両各部から放射される空力音の低減は重要な課題である。パンタグラフは主要な空力音源であり、パンタグラフの各部材のなかでも、舟体・舟支え部は最も寄与が大きい空力音源である。舟体の空力音低減には断面形状の平滑化・貫通孔の適用が有効だが、それだけでは十分ではなく、舟体・舟支え部の流れの干渉を緩和する必要がある。舟体・舟支え部の流れの干渉を緩和する手法の一つとして、舟支え部の頂点カバーの表面に連続気孔を有する多孔質材を適用する(貼り付ける)手法を提案している。
風洞試験では、加工が容易なウレタン樹脂製多孔質材を使用しているが、現車への適用においては、金属製多孔質材を使用し、対象物に強固に取り付ける必要がある。金属多孔質材の取り付けに関しては、接着、リベット止め、又はFRP母材との順次積層などの技術がある。従来のセル構造多孔質金属材の設置構造は、多孔質材及び被固定部材の貫通孔を貫通するリベット体によって多孔質材を非固定部材に固定している(例えば、特許文献2参照)。従来のセル構造多孔質金属材の取付構造は、多孔質材の表面にFRPの皮膜形成材を塗布して固定層を形成し、この固定層と被固定部材とをねじで固定している(例えば、特許文献3参照)。従来の多孔質金属を非固定部材上に与える方法は、多孔質金属の成形パネルの表面に接合層樹脂を浸入させて硬化させ、この接合層樹脂の表面にFRP層を形成している(例えば、特許文献4参照)。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図7、図10~図13及び図15に示すように、集電装置(3)から発生する空力音を低減する集電装置の空力音低減構造であって、前記集電装置の頂点カバー(8)の内部に流れ(F)を流入させ、この流入した流れをこの頂点カバーの内部から流出させる複数の開口部(23)と、前記複数の開口部同士を接続する複数の流路(24a~24c)とを備え、前記複数の流路は、前記頂点カバーの内部に複数方向(X,Y,Z)に間隔をあけて配列されており、この頂点カバーの表面の高圧部の開口部から流入した流れを、この頂点カバーの表面の低圧部の開口部から流出させ、前記空力音低減構造の上面部及び側面部は、前記頂点カバーの上面部(8a)及び側面部(8c)と同じ高さになるように、この頂点カバーの一部を構成しており、前記複数の開口部は、前記頂点カバーの上側稜角部(8e)に沿って、この頂点カバーの上面部及び側面部に形成されていることを特徴とする集電装置の空力音低減構造(20A,20B)である。
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1、図2及び図4~図6に示す架線1は、線路上空に架設される架空電車線である。架線1は、所定の間隔をあけて支持点で支持されている。トロリ線1aは、集電装置3が接触移動する電線である。トロリ線1aは、集電装置3が摺動することによって、車両2に負荷電流を供給する。図2及び図4~図6に示す車両2は、電車又は電気機関車などの電気車である。車両2は、例えば、高速で走行する新幹線などの鉄道車両である。車体2aは、乗客又は貨物を積載し輸送するための構造物である。
図14は、円柱表面に多孔質材を適用した場合の風洞試験による流れ場の変化を示す写真である。図14(A)に示す空力音低減構造は、図11に示す空力音低減構造20A,20Bを模擬した多孔質材である。多孔質材は、気孔同士の壁に微小な孔が形成されており、気孔同士が連通している連続気孔のような三次元の骨格網状構造を有する。多孔質材は、難燃性又は不燃性の金属製の多孔質材のような硬質多孔質材である。
図1~図13に示す空力音低減構造20A,20Bは、造形装置、機械加工、成形又は鋳造によって製造される。ここで、造形装置は、任意の形状の物体を製造する装置である。造形装置は、例えば、仮想の3次元空間上に立体的な形状をコンピュータによって設計する3DCAD(3 Dimensional Computer Aided Design)、又は仮想の3次元空間上に立体的な形状をコンピュータによって作成する3DCG(3 Dimensional Computer Graphics)などによって生成された3次元的なデータで構成された3次元ディジタル・モデルに基づいて物体を製造する3Dプリンタなどである。
(1) この第1実施形態では、頂点カバー8の内部に複数の開口部23が流れFを流入させ、この流入した流れFをこの頂点カバー8の内部から複数の開口部23が流出させ、複数の開口部23同士を複数の流路24a~24cが接続する。また、この第1実施形態では、頂点カバー8の内部に複数方向に間隔をあけて複数の流路24a~24cが配列されており、この頂点カバー8の表面の高圧部の開口部23から流入した流れFを、この頂点カバー8の表面の低圧部の開口部23から複数の流路24a~24cが流出させる。このため、部材表面で流れFの流入及び流出を自然に生じさせるような流路24a~24cを設けることによって、空力音を低減することができる。また、従来の多孔質材よりも適用が容易な構造によって空力音低減効果を図ることができるとともに、従来の多孔質材を流路付きの部材によって簡単に代替することができる。
以下では、図1~図13に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図15に示す空力音低減構造20A,20Bは、図11に示す空力音低減構造20A,20Bとは異なり、側面部8cに形成されている開口部23の個数が多く、側面部8cの略全面に開口部23を備えている。開口部23は、例えば、図15(B)に示すように側面部8cに222個形成されている。この第2実施形態には、第1実施形態と同様の効果がある。
(風洞試験)
図17に示すように、平滑化舟体を備える実物の新幹線パンタグラフの頂点カバーに供試体A~Cを取り付けて、風洞試験により空力音の評価を行った。風洞試験は、公益財団法人鉄道総合技術研究所の開放胴型の風洞試験装置を使用した。図16に示すように、風洞試験装置の風洞測定部の第1模型支持台車上に実物の新幹線パンタグラフを支持した状態で、風洞測定部内の新幹線用パンタグラフに吹き出しノズルから風速360km/hの空気を吹き出し、この空気の流れによって新幹線パンタグラフから発生する空力音を空力音測定マイクによって測定した。
図17(A)に示す供試体Aは、現用品の新幹線パンタグラフの頂点カバーである。供試体Aは、図11に示す頂点カバー8の装着部8gに、開口部23のない板を装着している。図17(B)に示す供試体Bは、現用品の新幹線パンタグラフの頂点カバーの側面部の略全面に開口部が形成されている。供試体Bは、図15に示す第2実施形態であり、側面部8cの略全面に開口部23を有する流路付き板を頂点カバー8の装着部8gに装着している。図17(C)に示す供試体Cは、現用品の新幹線パンタグラフの頂点カバーの角部に位置する2列のみに開口部が形成されている。供試体Cは、図11に示す第1実施形態であり、上側稜角部8eに沿って上面部8a及び側面部8cに開口部23をそれぞれ2列のみ有する流路付き板を頂点カバー8の装着部8gに装着している。図17(B)(C)に示す供試体B,Cは、厚さ10mmの板材に対して直交する三軸方向に直径2mmの流路が形成されている。
図17は、風洞試験による供試体A~Cの空力音の測定結果である。図17に示す縦軸は、騒音レベルOA値(dB(A))である。その結果、供試体Aに比べて供試体BはOA値を0.2dB程度低減できることが確認された。また、供試体Aに比べて供試体CはOA値を0.4dB程度低減できることが確認された。さらに、供試体Cのほうが供試体Bに比べて空力音低減効果が高いことが確認された。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、集電装置3としてシングルアーム式パンタグラフを例に挙げて説明したが、菱型パンタグラフなどの他の形式のパンタグラフについても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、車両2の進行方向前側に中間ヒンジ13が位置するなびき方向に集電装置3が移動する場合を例に挙げて説明したが、車両2の進行方向後側に中間ヒンジ13が位置する反なびき方向に集電装置3が移動する場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、隣り合う複数面が交わる稜角部が空力音発生源である場合を例に挙げて説明したが、複数の部材が接合又は近接する箇所の周辺部のような空力音発生源についても、この発明を適用することができる。同様に、この実施形態では、集電装置3の空力音発生源として頂点カバー8の上側稜角部8eを例に挙げて説明したが、上側稜角部8eにこの発明を限定するものではない。例えば、頂点カバー8の下側稜角部8fや、中間ヒンジ13の上側稜角部又は下側稜角部や、風防カバー18の上側稜角部、下側稜角部又は風防カバー18とがいし19との接合部などの空力音発生源から発生する空力音を低減する場合についても、この発明を適用することができる。
1a トロリ線
2 車両
2a 車体
3 集電装置
4 すり板
5 舟体
6 枠組
7 舟支え部
8 頂点カバー
8a 上面部
8b 下面部
8c 側面部
8d 背面部
8e 上側稜角部(空力音発生源)
8f 下側稜角部
8g 装着部
8h 雌ねじ部
9 上枠
11 下枠
13 中間ヒンジ
17 台枠
20A,20B 空力音低減構造
21a~21d 接合部
22 貫通孔
23 開口部
24a~24c 流路
25 交差部
26 固定部
F 流れ
D 進行方向
Claims (4)
- 集電装置から発生する空力音を低減する集電装置の空力音低減構造であって、
前記集電装置の頂点カバーの内部に流れを流入させ、この流入した流れをこの頂点カバーの内部から流出させる複数の開口部と、
前記複数の開口部同士を接続する複数の流路とを備え、
前記複数の流路は、前記頂点カバーの内部に複数方向に間隔をあけて配列されており、この頂点カバーの表面の高圧部の開口部から流入した流れを、この頂点カバーの表面の低圧部の開口部から流出させ、
前記空力音低減構造の上面部及び側面部は、前記頂点カバーの上面部及び側面部と同じ高さになるように、この頂点カバーの一部を構成しており、
前記複数の開口部は、前記頂点カバーの上側稜角部に沿って、この頂点カバーの上面部及び側面部に形成されていること、
を特徴とする集電装置の空力音低減構造。 - 請求項1に記載の集電装置の空力音低減構造において、
前記複数の流路は、前記頂点カバーの内部を三軸方向に延びており、各軸方向に延びる流路が交差部で交差すること、
を特徴とする集電装置の空力音低減構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の集電装置の空力音低減構造において、
前記空力音低減構造は、前記頂点カバーの上側稜角部を切り欠くように形成された装着部に装着されており、
前記頂点カバーによって覆われる舟支え部と前記空力音低減構造との間にこの頂点カバーを挟み込むように、この空力音低減構造をこの頂点カバーとともにこの舟支え部に着脱自在に固定する固定部を備えること、
を特徴とする集電装置の空力音低減構造。 - 集電装置から発生する空力音を低減する集電装置の空力音低減構造の製造方法であって、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の集電装置の空力音低減構造を造形装置によって造形すること、
を特徴とする集電装置の空力音低減構造の製造方法。
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-
2020
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