JP7409582B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
例えば、特定の水添ブロック共重合体と40℃における動粘度が100cSt以上である非芳香族系ゴム用軟化剤とポリオレフィン系樹脂を特定の配合割合で配合する熱可塑性エラストマー組成物が知られている(特許文献1)。
更に、幅広い用途で使用される熱可塑性エラストマーは様々な温度環境で使用されるため、低沸分の揮発による重量減少やブリードアウトが懸念されている。
成分(A):熱可塑性樹脂
成分(B):エラストマー
成分(C):イソアルカン混合物
成分(A):熱可塑性樹脂
成分(B):エラストマー
成分(C):イソアルカン混合物
成分(A):熱可塑性樹脂
成分(B):エラストマー
成分(C):イソアルカン混合物
本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形体は、自動車部品、建築部品、医療用部品、食品用部品、包材、雑貨、衣服用品、スポーツ用品等、幅広い用途に用いることが期待される。
本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後に記載される数値あるいは物性値を含む意味で用いることとする。また、上限、下限として記載した数値あるいは物性値は、その値を含む意味で用いることとする。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記成分(A)~成分(C)を含むものである。
成分(A):熱可塑性樹脂(以下、「熱可塑性樹脂(A)」と称す場合がある。)
成分(B):エラストマー(以下、「エラストマー(B)」と称す場合がある。)
成分(C):イソアルカン混合物(以下、「イソアルカン混合物(C)」と称す場合がある。)
本発明の第2の実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される主要な構成単位が、分子式C16H34及びC16H32の少なくとも一方で表されることを特徴とする。
本発明の第3の実施形態に係る熱可塑性エラストマー組成物は、前記成分(C)が、主成分として、FD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式CnH2n+2及びCnH2n(40≦n<60)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有することを特徴とする。
上記の各実施形態における成分(C)の構成は、それぞれ単独で満足すれば、各実施形態の条件を満足するものであり、その他の実施態様の構成は、好ましいものとしての意味をもつものである。すなわち、第1の実施形態における成分(C)は、第2の実施形態における条件および第3の実施形態における条件の少なくとも一方を満足することが好ましく、これらの両方の条件を満足することがより好ましい。また、第2の実施形態及び第3の実施形態のそれぞれにおいても、他の実施形態の条件は同様にして好ましい条件としての意味をもつものである。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物によれば、良好な成形性を有するだけでなく、樹脂の軽量化を図ることができる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物によれば、また、良好なゴム弾性を有し、耐ブリードアウト性にも優れた成形体を得ることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物がこのような効果を奏する理由の詳細は定かではないが、以下のように推察される。
成分(A)の熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、プロピレン系重合体、エチレン系重合体等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のアミド系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート等のカーボネート系樹脂;ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂のうち、軽量性や機械特性の観点から、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂が好ましい。
プロピレン系重合体のメルトフローレート(JIS K7210、230℃、21.2N荷重)は、特に定めることはないが、通常0.05~200g/10分であり、0.05~100g/10分であることが好ましく、0.1~80g/10分であることがより好ましい。メルトフローレートを上記範囲とすることで、成形性に優れ、得られる成形体の外観が良好となり、また機械的特性、特に引張破壊強さを所望の範囲に制御することができる。
市販のポリプロピレンとしては下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。
入手可能な市販品としては、日本ポリプロ社のノバテック(登録商標)PP、プライムポリマー社のPrime Polypro(登録商標)、住友化学社の住友ノーブレン(登録商標)、サンアロマー社のポリプロピレンブロックコポリマー、LyondellBasell社のMoplen(登録商標)、Circluen、ExxonMobil社のExxonMobil PP、Formosa Plastics社のFormolene(登録商標)、Borealis社のBorealis PP、LG Chemical社のSEETEC PP、A.Schulman社のASI POLYPROPYLENE、INEOS Olefins&Polymers社のINEOS PP、Braskem社のBraskem PP、SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS社のSumsung Total、Sabic社のSabic(登録商標)PP、TOTAL PETROCHEMICALS社のTOTAL PETROCHEMICALS Polypropylene、SK社のYUPLENE(登録商標)等がある。
エチレン系重合体はJIS K7112によって測定された密度が0.910g/cm3以上1.00g/cm3以下であるものが、機械強度とゴム弾性の両立の観点から好ましい。
エチレン系重合体のメルトフローレート(JIS K7210、190℃、21.2N荷重)は、特に定めることはないが、通常0.05~200g/10分であり、0.05~100g/10分であることが好ましく、0.1~80g/10分であることがより好ましい。メルトフローレートを上記範囲とすることで、成形性に優れ、得られる成形体の外観が良好となり、また機械的特性、特に引張破壊強さを所望の範囲に制御することができる。
市販のエチレン系重合体としては下記に挙げる製造者等から調達可能であり、適宜選択することができる。
入手可能な市販品としては、日本ポリエチレン社のノバテック(登録商標)、住友化学社のスミカセン(登録商標)、プライムポリマー社のハイゼックス(登録商標)、ネオゼックス(登録商標)、ウルトゼックス(登録商標)、宇部丸善ポリエチレン社のUBEポリエチレン(登録商標)、旭化成社のサンテック(登録商標)、クレオレックス(登録商標)、サウディ石油化学社のSABIC(登録商標)、Braskem社のバイオポリエチレン等がある。
エラストマーとしては、エチレン・プロピレン・共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン・プロピレン・ブテン共重合ゴム等を1種又は複数種含んだオレフィン系エラストマー、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)等を1種又は複数種含んだスチレン系エラストマー;ポリブチレンテレフタレート・ポリテトラメチレンエーテルグリコール共重合体(PBT・PTMG)等を1種又は複数種含んだポリエステル系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリウレタン系エラストマー;ポリ塩化ビニル系エラストマー;ポリブタジエン系エラストマー;及びこれらの水添物や、酸無水物等により変性して極性官能基を導入させたもの;更に他の単量体をグラフト、ランダム及び/又はブロック共重合させたもの等が挙げられる。
市販品としては、具体的には、ENEOSマテリアル社製「イーピーラバー」、三井化学社製「三井EPT」、住友化学社製「エスプレン(登録商標)」、ARLANXEO社製「Keltan(登録商標)」、「Keltan(登録商標)Eco」、DOW CHEMICAL社製「NORDEL(登録商標)」、KUMHO POLYCHEM社製「KEP」が挙げられる。
ここで「主体とする」とは、当該ブロックを構成する単量体単位の含有率が50モル%以上であることを意味する。
ブロックPは、1種の芳香族ビニル化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上の芳香族ビニル化合物単位から構成されていてもよい。ブロックPには、ビニル芳香族化合物単位以外の単量体単位が含まれていてもよい。
ブロックQは、1種の共役ジエン化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上の共役ジエン化合物単位から構成されていてもよい。ブロックQには、共役ジエン化合物単位以外の単量体単位が含まれていてもよい。
市販品としては、具体的には、クレイトンポリマー社製「クレイトン(登録商標)G」、クラレ社製「セプトン(登録商標)」「セプトン(登録商標)バイオ」、旭化成社製「タフテック(登録商標)」、「S.O.E(登録商標)」、TSRC社製「TAIPOL(登録商標)」、LCY社製「GLOBALPRENE」が挙げられる。
ポリアルキレングリコールユニットの原料についても以下に詳述するが、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを原料とするソフトセグメント(以下、「ポリテトラメチレングリコールユニット」と称することがある。)を含むことが好ましい。
脂環族ポリエステルユニットとしては、シクロヘキサンジカルボン酸とシクロヘキサンジメタノールを原料として得られるハードセグメントを含むことが好ましい。
脂環族ポリエステル-ポリアルキレングリコールブロック共重合体のポリアルキレングリコールユニットとしてはポリテトラメチレンエーテルグリコールを原料として得られるソフトセグメント(ポリテトラメチレングリコールユニット)を含むことが好ましい。
ソフトセグメントはこれらのエーテルユニット内でのランダム共重合体でもよい。ソフトセグメントには、ポリアルキレングリコールユニットを有するブロック共重合体も用いることもできる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ここでポリアルキレングリコールの数平均分子量とは、磁気共鳴スペクトル法(NMR)により算出された値を言う。
鎖状脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール及び1,6-ヘキセングリコールが挙げられる。中でも1,4-ブチレングリコールが好ましい。
脂環族ジオールとしては、例えば、1,4-シクロヘキセングリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールが挙げられ、1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
これらの炭素数2~12の鎖状脂肪族及び/又は脂環族ジオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルについても1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらエーテルユニット内でのランダム共重合体でもよい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの脂環族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルについても1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
市販品としては、具体的には、LGケミカル社製「KEYFLEX(登録商標)」、三菱ケミカル社製「TEFABLOC(登録商標)」、東洋紡績社製「ペルプレン(登録商標)」、デュポン社製「ハイトレル(登録商標)」及びヘトロン社製「ヘトロフレックス(登録商標)」が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成分(C)として、イソアルカン混合物を含む。
イソアルカンは、末端にイソメチル基を有するアルカンを意味し、二重結合や環状の置換基を含まない。
「イソアルカン混合物」とは、イソアルカンとイソアルカン構造を有さない炭化水素との混合物を意味する。
本発明に係る「イソアルカン」は、末端にイソメチル基を有するアルカンであればよく、末端イソメチル基以外に側鎖の存在しないイソアルカンであっても、アルカンの主鎖に末端イソメチル基以外の側鎖としてのアルキル基(本発明においては、このアルキル基を「側鎖アルキル基」と称す。)を有するものであってもよい。前述の通り、エラストマー(B)とイソアルカンの絡み合い効果の観点から、側鎖アルキル基を有するイソアルカンが好ましい。
イソアルカンは、一般的にイソアルカン混合物として市販されているものが多いため、本発明においては、成分(C)を「イソアルカン混合物」と称すが、成分(C)はイソアルカンの単一物質であってもよい。
ここで、側鎖アルキル基の含有率とは、イソアルカン全体の分子量に対する側鎖アルキル基の分子量(複数の側鎖アルキル基を有する場合はその合計の分子量)の割合(百分率)である。
ここで、動粘度は、JIS K2283に準拠した方法によって測定した40℃における動粘度である。
また、環分析による芳香族炭素の割合(%CA)が5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
ここで、上記環分析は具体的にはASTM D2140またはASTM D3238に規定されるn-d-M法により実施することができる。
ナフテン炭素の割合及び芳香族炭素の割合を上記範囲とすることで、耐熱及び耐光変色に優れたものとなる。
FD-MSで測定されるマススペクトルにおいて、ピークのm/zの値で表される炭化水素の分子式は、炭素の原子量:12、水素の原子量:1.00794をもとに特定される。m/zの値は、例えば、CH4の場合16.0、C30H60の場合420.5、C60H120の場合841.0となる。
FD-MSで測定されるマススペクトルにおいて、分子そのものを表すピークを抽出する観点から、水素原子数2~118の炭化水素においてはm/zの一の位が偶数のピークを抽出する。水素原子数120~244の炭化水素においてはm/zの一の位が奇数のピークを、水素原子数246~370の炭化水素においてはm/zの一の位が偶数のピークを抽出する。このようにして抽出されるピークの中からピーク強度の強いものを順に複数抽出する。ここで抽出したピークが表すm/zの差から特定できる炭化水素の分子式のことを主要な構成単位という。なお、炭素数が同じピークは主要な構成単位の計算に含めない。
図1においてはm/z(分子式)=450.5(C32H66)、672.8(C48H96)、674.8(C48H98)、897.0(C64H128)、1121.3(C64H128)、1345.5(C96H192)のピークが抽出でき、主要な構成単位は分子式C16H34及びC16H32で表すことができる。
図2においてはm/z=460.5(C33H64)、462.5(C33H66)、474.5(C34H66)、476.6(C34H68)、488.6(C35H68)、490.6(C35H70)のピークが抽出でき、主要な構成単位は分子式CH2で表すことができる。
図3においてはm/z=654.7(C47H90)、668.8(C48H92)、682.8(C49H94)、694.8(C50H94)、696.8(C50H96)、708.8(C51H96)のピークが抽出でき、主要な構成単位は分子式CH2で表すことができる。
イソアルカン混合物(C)のバイオマス度は14C含有量をもとにASTM D 6866により算出される。環境負荷低減の観点から、イソアルカン混合物(C)のバイオマス度は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上が特に好ましい。イソアルカン混合物(C)のバイオマス度の上限は特に限定されず、100%以下である。
成分(C)のイソアルカン混合物は、一般的なゴム用炭化水素系軟化剤と併用することもできる。ここで、一般的なゴム用炭化水素系軟化剤とは、成分(C)以外のゴム用炭化水素系軟化剤のことをいう。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物において、成分(A)の含有率の下限は、安定した成形性、耐熱性及びその他機械特性の観点から、成分(A)~成分(C)の合計100質量%に対し、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることが更に好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。一方で、成分(A)の含有率の上限は、安定したゴム弾性及び良好な成形性の観点から、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることが更に好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、上記した成分(A)~成分(C)以外に本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じてその他の成分を配合することができる。
これらの充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で組み合わせて用いてもよい。
リン化合物としては、「PEP-36」、「PEP-24G」、「HP-10」(以上、いずれも商品名:株式会社ADEKA製)、「イルガフォス(登録商標)168」(商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、常法に従って、成分(A)~成分(C)と、必要に応じて添加される成分(D)やその他の成分とをドライブレンドした後、溶融混練することにより製造することができる。
その際に用いられる混合装置としては、特に限定されないが、例えば、バンバリーミキサー、ラボプラストミル、単軸押出機、二軸押出機等の混練装置が挙げられる。このうち、押出機を用いた溶融混合法により製造することが、生産性、良混練性の点から好ましい。
混練時の溶融温度は、適宜設定することができるが、通常130~300℃の範囲であり、150~250℃の範囲であることが好ましい。
2.6<NQ/R3<22.6(1)
3.0<NQ/R3<20.0(2)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を射出成形用途として用いる場合には、ISO1133を参考にして、メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用い、測定温度230℃、測定荷重21.18Nで測定したメルトフローレート(MFR)が、2g/10分以上であることが流動性の観点から好ましく、より好ましくは5g/10分以上であり、更に好ましくは10g/10分以上である。また、バリ防止の観点から、メルトフローレート(MFR)は、200g/10分以下であることが好ましく、185g/10分以下であることがより好ましく、160g/10分以下であることが更に好ましい。
熱可塑性エラストマー組成物のバイオマス度を上記数値範囲とするためには、成分(A)、成分(B)、成分(C)等の原材料としてバイオマス由来の原料を適宜選択して配合すればよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を成形することにより、本発明の成形体を得ることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物及びその成形体の用途には特に制限はないが、土木・建材部品(止水材、目地材、窓枠)、スポーツ用品、工業用部品(多層ホースチューブ)、家電部品(多層ホース)、医療用部品(医療用多層容器、シリンジガスケット、ゴム栓)、食品用部品(多層包装フィルム、容器、ボトル、意匠包装、ラベル、キャップライナー、パッキン)、電線被覆材、雑貨、自動車部品(ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、ホース、アームレスト、ドアトリム、コンソールリッド、マット)の広汎な分野で用いることができる。これらのうち、特に、デザイン性の多様化により優れた成形性が求められる雑貨や自動車部品等の用途に好適である。
以下の実施例・比較例で使用した原材料は以下の通りである。
A-1:プロピレン単独重合体
日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP FA3KM」
MFR(JIS K7210、230℃、21.2N荷重):10g/10分
A-2:プロピレン単独重合体
日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP FY6」
MFR(JIS K7210、230℃、21.2N荷重):2.5g/10分
A-3:プロピレン・エチレンランダム共重合体
日本ポリプロ社製「ノバテック(登録商標)PP MG03BD」
MFR(JIS K7210、230℃、21.2N荷重):30g/10分
A-4:直鎖状低密度ポリエチレン
サウディ石油化学社製「SABIC(登録商標)LLDPE FC18N」
密度:0.918g/cm3
MFR(JIS K7210、190℃、21.2N荷重):1.0g/10分
B-1:スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)
旭化成社製「タフテック(登録商標)N504」
B-2:エチレン・ブテン共重合ゴム
ダウ・ケミカル社製「エンゲージ(登録商標)7467」
B-3:エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合ゴム
三井化学社製「EPT(登録商標)3092PM」
ムーニー粘度(ML1+4,125℃):65
プロピレン単位含有率:29.5質量%
エチレン単位含有率:66質量%
エチリデンノルボルネン単位含有率:4.5質量%
C-1:イソアルカン混合物
H&R社製「VIVA-B-FIX 10227」
40℃の動粘度:56cSt
引火点:280℃
流動点:-27℃
重量平均分子量:1110
分子量分散度:1.0
バイオマス度:100%
FD-MSスペクトル 図1に示す。
主要な構成単位:C16H34及びC16H32
主成分:C48H98
D-1:BASFジャパン社製「イルガノックス(登録商標)1010」
ヒンダードフェノール系酸化防止剤
E-1:化薬ヌーリオン社製「トリゴノックス(登録商標)101-40C」
2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン40質量%と炭酸カルシウム60質量%の混合物
F-1:新日鐵化学社製「DVB-570」
ジビニルベンゼン55質量%とエチルビニルベンゼン45質量%の混合物
X-1:パラフィン系オイル(イソアルカンを含有しないもの)
出光興産株式会社製ダイアナ(登録商標)「プロセスオイルPW-32」
40℃の動粘度:30.6cSt
引火点:222℃
流動点:-17.5℃
X-2:パラフィン系オイル(イソアルカンを含有しないもの)
出光興産株式会社製ダイアナ(登録商標)「プロセスオイルPW-90」
40℃の動粘度:95.54cSt
引火点:272℃
流動点:-17.5
重量平均分子量:728
分子量分散度:1.2
FD-MSスペクトル 図2に示す。
主要な構成単位:CH2
主成分:C33H64
X-3:パラフィン系オイル(イソアルカンを含有しないもの)
出光興産株式会社製ダイアナ(登録商標)「プロセスオイルPW-380」
40℃の動粘度:408.8cSt
引火点:300℃
流動点:-15℃
重量平均分子量:1230
分子量分散度:1.1
FD-MSスペクトル 図3に示す。
主要な構成単位:CH2
主成分:C49H94
X-4:イソアルカン混合物
ENEOS株式会社製 日石ポリブテン(登録商標)「HV-100」
40℃の動粘度:9,500cSt
引火点:210℃
流動点:-7.5℃
X-5:イソアルカン
富士フイルム和光株式会社製 「スクアラン」
CAS登録番号:111-01-3
化学式:C30H62
40℃の動粘度:18.8cSt
引火点:224℃
流動点:-35.5℃
以下の実施例・比較例の熱可塑性エラストマー組成物の評価方法は以下の通りである。
実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、ISO1133に参考し、メルトインデクサー(東洋精機製作所製)を用い、230℃、49Nの条件でMFRを測定した。MFRが高いほど流動性が高く、成形性に優れていることを示している。
実施例及び比較例で製造された射出成形体(120mm×80mm×2mm)について、ISO1183に参考にして、密度計(東洋精機製作所製)を用いて、水中置換法にて比重を測定した。比重は小さいほど、軽量性に優れていることを示している。
実施例及び比較例で製造された射出成形体(120mm×80mm×2mm)について、ISO7619に参考にして、15秒後のデュロA硬度を測定し、柔軟性を評価した。デュロA硬度はその値が小さいほど柔軟性に優れることを示している。本発明における熱可塑性エラストマー組成物における柔軟性においては、デュロA硬度は±4の範囲においては同等である。
実施例及び比較例で製造された射出成形体(120mm×80mm×2mm)を打ち抜いて得たTypeA円盤:29mmφを6枚重ねて試験片を作製し、JIS K6262に参考して、70℃、22時間、25%圧縮条件で測定した。圧縮永久歪はその値が小さいほどゴム弾性優れることを示している。一般的に、デュロ硬度が低いものほど、圧縮永久縮歪が優れる傾向にある。
実施例及び比較例で製造された射出成形体(120mm×80mm×2mm)を打ち抜いて、φ80mmの試験片を作成し、エアー式フォギングテスターを用いて、100℃、72時間条件で測定し、試験前後のガラスの重量変化(Δ重量)及びグロス変化(Δグロス)を評価した。いずれも数値が小さいほど、耐ブリードアウト性が優れることを示している。
実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物のペレットについて、タンデム加速器をベースとしたC-AMS専用装置(NEC社製)を使用し、14C濃度の測定を行った後、ASTM D6866-22に従いバイオマス度を算出した。
後掲の表-1、表-2において、バイオマス度の欄に「-」とあるのは、バイオマス度の測定を行っていないことを示す。
<実施例1>
表-1に示す様に(A-1)を10質量部、(B-1)を45質量部、(C-1)を45質量部、(D-1)を0.1質量部を混合し、得られた混合物を二軸混練機により溶融混練(シリンダー温度180~200℃)し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。得られた熱可塑性エラストマー組成物を、型締力180tで、電動の射出成形機(住友重機械工業株式会社製)で、シリンダー温度200℃、金型温度40℃にて、縦120mm×横80mm×厚さ2mmのシート状の金型中に射出速度40mm/秒で射出充填した。充填完了後30秒間冷却してから射出成形体を取り出した。得られた射出成形体について評価を行い、結果を表-1に示した。
表-1に示す配合にした以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に評価し、評価結果を表-1に示した。
表-2に示す配合にした以外は実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物について、実施例1と同様に評価し、評価結果を表-2に示した。
表-1、表-2に示す通り、実施例1~3の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、軽量性、ゴム弾性、耐ブリードアウト性のいずれも良好であった。実施例1の熱可塑性エラストマー組成物においては、成分(C)の含有割合相当のバイオマス度が確認できた。
これに対して、成分(C)のイソアルカン混合物の代りに、パラフィン系オイルを用いた比較例1~3,6~7では、MFRが小さく、成形性に劣り、特に比較例1,2,6では、耐ブリードアウト性も劣るものであった。比較例4はMFRが小さく成形性に劣るものであった。比較例5は耐ブリードアウト性が劣るものであった。
本出願は、2022年1月31日付で出願された日本特許出願2022-013133に基づいており、その全体が引用により援用される。
Claims (19)
- 下記成分(A)~成分(C)を含み、かつ、前記成分(C)の40℃における動粘度が20cSt以上8000cSt以下である、熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):熱可塑性樹脂
成分(B):少なくともスチレン系エラストマーを含むエラストマー
成分(C):イソアルカンまたはイソアルカンとイソアルカン構造を有さない炭化水素との混合物 - 前記成分(C)の40℃における動粘度が20cSt以上3000cSt以下である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 下記成分(A)~成分(C)を含み、かつ、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される、以下に定義される主要な構成単位が、分子式C16H34及びC16H 32の少なくとも一方で表される熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):熱可塑性樹脂
成分(B):少なくともスチレン系エラストマーを含むエラストマー
成分(C):イソアルカンまたはイソアルカンとイソアルカン構造を有さない炭化水素との混合物
<主要な構成単位の定義>
主要な構成単位とは、FD-MSで測定されるマススペクトルにおいて、水素原子数2~118の炭化水素においてはm/zの一の位が偶数のピーク、水素原子数120~244の炭化水素においてはm/zの一の位が奇数のピーク、水素原子数246~370の炭化水素においてはm/zの一の位が偶数のピークをそれぞれ抽出し、ピーク強度の強いものを順に複数抽出した場合に、抽出したピークが表すm/zの差から特定できる炭化水素の分子式である。なお、炭素数が同じピークは主要な構成単位の計算に含めない。 - 前記成分(C)が、主成分として、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式C48H96及びC48H98で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 下記成分(A)~成分(C)を含み、かつ、前記成分(C)が、主成分として、FD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式CnH2n+2及びCnH2n(40≦n<60)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、熱可塑性エラストマー組成物。
成分(A):熱可塑性樹脂
成分(B):少なくともスチレン系エラストマーを含むエラストマー
成分(C):イソアルカンまたはイソアルカンとイソアルカン構造を有さない炭化水素との混合物 - 前記成分(C)が、更に、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式CnH2n+2及びCnH2n(30≦n<40)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、請求項5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(C)が、更に、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式CnH2n+2及びCnH2n(60≦n≦80)で表される化合物のうち、少なくとも一方を含有する、請求項5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(C)が、更に、前記成分(C)をFD-MSで測定して得られるマススペクトルより特定される分子式CnH2n+2及びCnH2n(30≦n<40)で表される化合物のうちの少なくとも一方と、分子式CnH2n+2及びCnH2n(60≦n≦80)で表される化合物のうちの少なくとも一方とを含有する、請求項5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(C)がバイオマス材料由来である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- ASTM D 6866-22に準拠するバイオマス度が1%以上100%以下である、請求項9に記載の熱可塑性エラストマー組成物
- 前記成分(A)の熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂及びエステル系樹脂のいずれか1種類以上を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(B)100質量部に対して、前記成分(C)を10質量部以上400質量部以下含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(C)の流動点が-50℃以上0℃以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(C)が、主鎖に末端イソメチル基以外の側鎖アルキル基を有するイソアルカンを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記末端イソメチル基以外の側鎖アルキル基が炭素数1~18のアルキル基である、請求項14に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記末端イソメチル基以外の側鎖アルキル基がメチル基である、請求項15に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 更に成分(C)以外のゴム用炭化水素系軟化剤を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記成分(C)と前記ゴム用炭化水素系軟化剤の含有量の合計に対して、成分(C)の含有率が1質量%以上99質量%以下である、請求項17に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を用いた成形体。
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