JP7409876B2 - 水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物及び水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナー - Google Patents
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Description
水素タンク中の水素は、高圧で-40℃以下の極低温となっている。そのため、水素ガスに直接接触する長尺ライナーには、高圧に耐えうる強度と、極低温下でも強度が維持できることが求められている。
また、燃料電池車の拡大の為にハイサイクル化が求められており、ブロー成形を用いた継ぎ目のない(継ぎ目レス)ライナーが求められている。
さらには、水素タンクの使用時においてライナーの応力集中に起因する破損を防ぐという理由から、長尺ライナーの表面平滑性が求められている。
このようなライナー用材料として、ガスバリア性に優れ、かつ-40℃以下の極低温でも優れた機械的特性を有するポリアミド樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献2では、ポリアミド樹脂組成物がブロー成形されているものの、成形品の低温での機械的特性に関する記述が一切なかった。
そこで、本発明は、ポリアミド樹脂組成物のブロー成形性が良好であり、成形品として極低温下での機械的特性に優れるとともに、表面平滑性に優れる水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーの提供に資することを目的とする。
[1]水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物であって、
ポリアミド樹脂組成物100質量%中に、ポリアミド樹脂(A)50~80質量%、オレフィン系アイオノマー(B)5~10質量%、及び耐衝撃材(C)15~20質量%を含むポリアミド樹脂組成物であり、
当該組成物が温度250℃、剪断速度12秒-1における溶融粘度が17000Pa・s以上であり、同温度における0.1秒時の緩和応力が30kPa以上であるポリアミド樹脂組成物。
[2]前記ポリアミド樹脂(A)が脂肪族ホモポリアミド(A-1)、脂肪族共重合ポリアミド(A-2)及び芳香族共重合ポリアミド(A-3)からなるポリアミド樹脂である、[1]の水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物。
[3][1]または[2]の水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物のブロー成形品である水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナー。
[4]表面の長手方向の最大高さ粗さ(測定長さ:20mm)が100μm以下である、[3]の水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナー。
[5]ISO527-2/1BA/25に準ずる引張破壊呼びひずみが18%以上である、[3]または[4]の水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナー。
[6][1]または[2]の水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物を、アキュムレータ式ブロー成形機を用いて、シリンダ温度220~235℃において、成形時間25分以下、アキューム時間2~20分で成形することを特徴とする、水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーの製造方法。
なお、本明細書において、ブロー成形性とは、ブロー成形時におけるパリソン射出時のドローダウン量で表され、ブロー成形性は、ドローダウン量が少ないほど良好である。機械的特性とは、引張試験における引張破壊呼びひずみで表され、機械特性は引張破壊呼びひずみの値が高いほど良好である。
本発明の水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物(以下、「ポリアミド樹脂組成物」ともいう)は、ポリアミド樹脂組成物100質量%中に、ポリアミド樹脂(A)50~80質量%、オレフィン系アイオノマー(B)5~10質量%、及び耐衝撃材(C)15~20質量%を含むポリアミド樹脂組成物であり、
当該組成物が温度250℃、剪断速度12秒-1における溶融粘度が17000Pa・s以上であり、同温度における0.1秒時の緩和応力が30kPa以上であるポリアミド樹脂組成物である。
本発明のポリアミド樹脂(A)は、脂肪族ホモポリアミド(A-1)、脂肪族共重合ポリアミド(A-2)及び芳香族共重合ポリアミド(A-3)からなるポリアミド樹脂が好適に使用される。
脂肪族ホモポリアミド(A-1)は、脂肪族モノマー由来の1種類の構成単位からなるポリアミド樹脂である。脂肪族ホモポリアミド(A-1)は、1種類のラクタム及び当該ラクタムの加水分解物であるアミノカルボン酸の少なくとも一方からなるものであってもよく、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸との組合せからなるものであってもよい。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
また、アミノカルボン酸としては6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸が挙げられる。これらの中でも重合生産性の観点から、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、及び12-アミノドデカン酸からなる群から選択される1種が好ましい。
脂肪族共重合ポリアミド(A-2)は、脂肪族モノマー由来の2種以上の構成単位からなるポリアミド樹脂である。脂肪族共重合ポリアミド(A-2)は、ジアミンとジカルボン酸の組合せ、およびラクタム又はアミノカルボン酸からなる群から選択される2種以上の共重合体である。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
これらのジアミンは1種類で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
これらのジカルボン酸は1種類で使用してもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、アミノカルボン酸としては6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸が挙げられる。これらの中でも重合生産性の観点から、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、及び12-アミノドデカン酸からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
これらの中でも、生産性の観点から、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12及びポリアミド6/66/12からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ポリアミド6/66及びポリアミド6/66/12がより好ましく、ポリアミド6/66が特に好ましい。
これらの脂肪族共重合ポリアミド(A-2)は、1種単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
芳香族共重合ポリアミド樹脂とは、芳香族系モノマー成分由来の構成単位を少なくとも1種類含み、2種以上の構成単位からなるポリアミド樹脂であり、例えば、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンまたは芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸を原料とした構成単位を少なくとも1種類含む、2種以上の構成単位からなるポリアミド樹脂である。ここで、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせは、1種類のジアミンと1種類のジカルボン酸の組合せで1種類のモノマーとみなす。
本発明においては、芳香族共重合ポリアミド(A-3)は、溶融粘度の上昇効果と結晶化速度を抑制する効果とを有する。
芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。
ここで、非晶性とは、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶融解熱量が1cal/g以下であることをいう。
また、脂肪族ジアミン並びにイソフタル酸およびテレフタル酸からなる芳香族ジカルボン酸からなるポリアミド形成性成分99~60重量%と脂肪族ポリアミド成分1~40重量%とであるものが好ましい。芳香族共重合ポリアミド(A-3)の製造装置としては、脂肪族ホモポリアミド(A-1)、脂肪族共重合ポリアミド(A-2)の製造装置と同様のものが挙げられる。
ポリアミド樹脂(A)は、脂肪族ホモポリアミド(A-1)、脂肪族共重合ポリアミド(A-2)及び芳香族共重合ポリアミド(A-3)以外のポリアミドを含んでいてもよいが、含まないことが好ましい。
ポリアミド樹脂(A)は、JIS K-6920に準拠し、ポリアミド樹脂1gを96%濃硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定される相対粘度が2.7以上であり、2.7以上5.0以下であることが好ましい。更に本発明の効果を向上させる観点から、2.7以上4.5未満がより好ましい。2.7以上では、ポリアミド組成物の溶融粘度が低すぎることがないため、押出成形でも特にブロー成形時のパリソン形状保持が良好である。また5.0以下では、ポリアミド組成物の溶融粘度が高すぎることなく、ブロー成形時、溶融樹脂の均一な肉厚が得られる。
ポリアミド樹脂組成物は、オレフィン系アイオノマー(B)を含む。オレフィン系アイオノマー(B)は、成形改良材として用いられる。オレフィン系アイオノマー(B)の樹脂としては、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体が挙げられる。(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β-不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合した重合体である。α,β-不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。α,β-不飽和カルボン酸エステル単量体としては、これら不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル等が挙げられる。これらは1種単独でも又は2種以上を組合せて用いてもよい。アイオノマーに用いられる金属イオンとしてはNa 、K 、Cu 、Mg 、Ca 、Ba、Zn 、Cd 、Al 、Fe 、Co 、Ni などが挙げられる。これらの中でも、エチレン-メタクリル酸共重合体のアイオノマーが好ましく、金属イオンとしては、Znが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物は、少なくとも1種の耐衝撃材(C)を含む。耐衝撃材としてはゴム状重合体が挙げられる。耐衝撃材は、ASTM D-790に準拠して測定した曲げ弾性率が500MPa以下であることが好ましい。
炭素数3以上のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、 4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセン等が挙げられる。これらは1種単独でも又は2種以上を組合せて用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物は、温度250℃、剪断速度12秒-1における溶融粘度が17000Pa・s以上であり、同温度における0.1秒時の緩和応力が30kPa以上である。溶融粘度は、17000~25000Pa・sが好ましく、17000~20000Pa・sがより好ましい。緩和応力は、高いほど望ましいため、特に上限はない。
溶融粘度が前記範囲にあるとブロー成形性および成形時間の観点が良好であり、緩和応力が前記範囲にあるとブロー成形性の観点が良好である。
前記溶融粘度と緩和応力の測定は、以下の方法で行なった。
溶融粘度は、東洋精機製キャピログラフ1D 式P-Cを用いて、溶融粘度を測定した。測定温度は250℃でオリフィスは穴径1.0mm、長さ10mm(L/D=10)を使用して測定した。
緩和応力は、TA Instruments製溶融粘弾性測定装置ARES―G2を使用し、試料を測定セルに挟み、下記条件で試料を溶融させながらひずみを負荷し停止させた後、経過時間0.1sの応力を測定した。
測定セル:パラレルプレート(φ25mm)
パラレルプレート間距離:1.5mm
溶融温度条件:250℃
負荷ひずみ:100%
溶融粘度が前記範囲にあるとブロー成形性および成形時間の観点から良好であり、緩和応力が前記範囲にあるとブロー成形性の観点から良好である。
ポリアミド樹脂組成物は、耐熱剤(D)を含むことも好ましい。耐熱剤(D)は、ポリアミド樹脂の耐熱性を向上できるものが使用でき、有機系、無機系の耐熱剤をその目的に応じて使用できる。
ポリアミド樹脂組成物は、熱溶着特性と耐熱特性の観点から、耐熱剤として無機系耐熱剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。無機系耐熱剤の種類としては、第I族遷移系列元素に属する金属化合物(塩)であり、例えば、この金属のハロゲン化物、硫酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、ニコチン酸塩又はステアリン酸塩が挙げられる。
また、アルカリ金属のハロゲン化塩を単独又は上記第I族遷移系列元素に属する金属化合物(塩)と併用してもよい。
その具体例としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム又は臭化カリウムである。
更に、メラミン、ベングアナミン、ジメチロール尿素又はシアヌール酸などの含窒素化合物を併用するとより効果的である。
これら無機系耐熱剤は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物は、熱溶着特性と耐熱特性の観点から、耐熱剤として有機系耐熱剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。有機系耐熱剤を含むことで、ブロー成形時においてインターバルタイムが長くなった場合でも通常の熱老化性、物性、溶融粘度等を維持しながら、熱溶着性をより向上させることができる。これは例えば、有機系耐熱剤の添加によって、耐衝撃材の熱劣化によるゲル化が抑制され、それにより造核作用が抑制されるためと考えられる。
イオウ系酸化防止剤としては、ジステアリル-3,3-チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ジドデシル(3,3’-チオジプロピオネート)、を挙げることができる。これらからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
ポリアミド樹脂組成物は、熱溶着性の観点から、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を含有することが好ましく、少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤と少なくとも1種のリン系酸化防止剤とを含有することがより好ましく、O位にt-ブチル基を有するヒンダードフェノール及びO位にt-ブチル基を有するヒンダードフェノールの亜リン酸エステル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがさらに好ましく、O位にt-ブチル基を有するヒンダードフェノール及びO位にt-ブチル基を有するヒンダードフェノールの亜リン酸エステル化合物を含むことが特に好ましい。
ポリアミド樹脂組成物は目的等に応じて、任意成分として、染料、顔料、繊維状補強物、粒子状補強物、可塑剤、酸化防止剤((D)成分を除く)、耐熱剤、発泡剤、耐候剤、結晶核剤(有機核剤、タルクなどの無機核剤)、結晶化促進剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤等の機能性付与剤等を適宜含有していてもよい。本発明の効果向上の為、ポリアミド樹脂組成物は、酸化防止剤を含有するのが好ましい。
任意の添加剤は、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.05~0.5質量%である。
ポリアミド樹脂組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、例えば次の方法を適用することができる。
ポリアミド樹脂(A)と、オレフィン系アイオノマー(B)と、耐衝撃材(C)とを必須とし、任意に耐熱剤(D)と、その他添加物との混合には、単軸、2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、及びミキシングロールなど通常公知の溶融混練機が用いられる。例えば、2軸押出機を使用して、全ての原材料を配合後、溶融混練する方法、一部の原材料を配合後、溶融混練し、更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後、溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物は、ブロー成形によりライナー全体が一体成形された繋ぎ目のないライナーである、水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーとして好適に使用することができる。
本発明の水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーとは、ブロー成形によりライナー全体が一体成形された繋ぎ目のないライナーであり、例えば射出工法でライナーを分割で成形した後に、溶着して接合した繋ぎ目のあるライナーと比較して、ライナーの寸法精度、強度、水素ガスバリア性に優れる利点がある。
水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーは、前記水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物のブロー成形品である。
本発明の水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーの製造方法は、前記水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物を、アキュムレータ式ブロー成形機を用いて、シリンダ温度220~235℃において、成形時間25分以下、アキューム時間2~20分で成形する。
本明細書において、「シリンダ温度」とは、アキュームレータ式ブロー成型機10におけるシリンダ13の温度をいい、「アキューム時間」とは、アキュームレータ式ブロー成型機10において溶融・混練した樹脂組成物14をアキューム15に押出を開始してから、アキューム15に既定容量(1ショット分容量)まで蓄える時間をいい、「成形時間」とは、アキュームレータ式ブロー成型機10において溶融・混練した樹脂組成物14をアキューム15に押出を開始してから、成形品19を取り出すまでの時間をいう。「成形時間」には、通常、アキューム時間、パリソン押出時間、型閉動作時間、ブローアップ時間、エアー循環時間、排気時間、型開動作時間、成形品取り出し時間が含まれる。なお、ブローアップ時間、エアー循環時間及び排気時間の合計を本明細書では、冷却時間ともいう。
本発明の水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーは、前記水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物をアキュームレータ式ブロー成形機を用いて、水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーに成形する。アキュームレータ式ブロー成形機を用いた水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーの製造方法を図3のフローチャート及び図4~6を用いて説明する。
アキュームレータ式ブロー成形機10は、スクリュー12及びシリンダ13を備えた押出機11、押出シリンダ16を備えたアキューム15を有する。
アキュームレータ式ブロー成形機10を用いて、その押出機11のシリンダ13内で、ポリアミド樹脂組成物を溶融及び混練し、溶融・混練した樹脂組成物14とする(図3のステップ1(S1))。
図4に示すように、押出機11のスクリュー12にて、溶融・混練した樹脂組成物14をアキューム15に押出し、既定容量(1ショット分容量)まで蓄える(図3のステップ2(S2))。その際、スクリュー回転数は、特に制限はないが、10~45rpmが好ましく、15~30rpmがさらに好ましい。アキューム時間は、2~20分であり、2~15分が好ましく、2~10分がより好ましい。アキューム時間が前記範囲にあると、ハイサイクルな成形が可能である。
連続的にエアーを吹き込み続けることで成形された樹脂組成物を十分に冷却する(図3のステップ5(S5))。冷却時間は、特に制限がないが、30~300秒が好ましい。
図6に示すように、最後に、金型を開き成形品19を取り出す(図3のステップ6(S6))。
ポリアミド樹脂を用いることから樹脂の固化時間が短いため、溶融樹脂をパリソン17として押出し始めてから、金型が閉じるまでの時間(以下、「型閉時間」ともいう)を設定管理する必要があり、この型閉時間は、25秒以下であることが好ましく、2~20秒がより好ましい。型閉時間をこの範囲に設定することでライナーの寸法精度、強度に有利な成形が可能である。
成形時間は、25分以下であり、2~20分が好ましい。成形時間がこの範囲であると、ハイサイクルな成形が可能である。
前記成形方法で成形された本発明の成形品は、成形品の寸法精度、表面平滑性、機械的特性、水素ガスバリア性に優れる。
当該成形品の表面の長手方向の最大高さ粗さ(測定長さ:20mm)は、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、最大高さ粗さとは、JIS B0601に定義されるものである。最大高さ粗さが前記範囲にあると、成形品が表面平滑性に優れ、応力集中を起こさないため機械的特性の保持に有効である。
最大高さ粗さは、JIS B0601に準じて、小坂研究所製SE500Aを用いて、小さく切出したライナーの内表面を長手方向に20mmの測定長で測定した。
前記最大高さ粗さとするためには、アキュームレータ式ブロー成形という製造方法を採用して、前記水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物を用いてシリンダ温度220~235℃、アキューム時間2~20分、成形時間25分以下で成形することが好ましい。
また、ISO527-2/1BA/25に準ずる引張破壊呼びひずみが18%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。引張破壊呼びひずみが前記範囲にあると、高圧水素ガスのような極低温の気体に接触しても、十分な強度を保つことができる。
引張破壊呼びひずみは、ISO規格Type-1BA形状の試験片を、ライナーの長手方向に切削加工にて切削面の算術平均粗さRaが6.3a以下になるように切出し、ISO527-2/1BA/25に準じて、インストロン製引張試験機型式5967を使用して試験温度-60℃で測定した。
前記引張破壊呼びひずみとするためには、アキュームレータ式ブロー成形という製造方法を採用して、前記水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物を用いてシリンダ温度220~235℃、アキューム時間2~20分、成形時間25分以下で成形することが好ましい。
表1に記載した各成分を二軸混練機TEX44HCT、シリンダー径44mm、L/D35で、シリンダー温度250℃、スクリュー回転120rpm、吐出量40kg/hにて溶融混練し、目的とするポリアミド樹脂組成物ペレットを作製した。
なお、表中の組成の単位は質量%であり、樹脂組成物全体を100質量%とする。
参考例1及び2は、前記水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーの製造方法を充足しない例である。
得られたペレットおよび下記成形条件で成形されたライナーを下記特性評価に使用し、得られた結果を表1に示す。
(ポリアミド樹脂(A))
下記の3成分を10:4:1の割合で混合したものである。
ポリアミド6、製品名「1030B」宇部興産株式会社製
ポリアミド6/66、製品名「5034B」、宇部興産株式会社製
ポリアミド6T/6I、製品名「Grivory G21」EMS-CHEMIE(Japan)株式会社製
エチレン-メタクリル酸共重合体、金属イオン:亜鉛、製品名「ハイミラン(登録商標)1706」三井・ダウポリケミカル株式会社製
無水マレイン酸変性エチレン-ブテン共重合体、製品名「タフマー(登録商標)MH5020」三井化学株式会社製
(1)溶融粘度
ISO11443に準じて、東洋精機製キャピログラフ1D 式P-Cを用いて、溶融粘度を測定した。測定温度は250℃でオリフィスは穴径1.0mm、長さ10mm(L/D=10)を使用して、剪断速度12秒-1の時の溶融粘度を測定した。溶融粘度が低すぎると、ドローダウン量が大きくなり、ブロー成形性の点で好ましくない。
(2)緩和応力
TA Instruments製溶融粘弾性測定装置ARES―G2を使用し、試料を測定セルに挟み、下記条件で試料を溶融させながらひずみを負荷し停止させた後、経過時間0.1sの応力を測定した。緩和応力が低すぎると、ブロー成形性が悪くなる。
測定セル:パラレルプレート(φ25mm)
パラレルプレート間距離:1.5mm
溶融温度条件:250℃
負荷ひずみ:100%
単層アキュームレータ式ブロー成形機を用いて、ドローダウン量を下記方法で測定した。溶融樹脂がアキューム内で既定量へ達した直後にパリソンを押出した。図1に示すように、押出し完了時点を0秒として、5秒毎のドローダウン量を長尺スケールで測定し、30秒後の値をドローダウン量とした。ドローダウン量が少ないほど、パリソン保持率が高く、ブロー成形性に優れる。
(i)ブロー成形機(成形機の型名:JB105/P50/AC1L)
成形機仕様:単層アキュームレータ式ブロー成形機
アキューム容量:1リットル
スクリュー径:φ50mm
ダイコア径:φ70/φ68mm
(ii)成形条件
押出機&ダイコア温度:250℃
スクリュー回転数:30rpm
アキューム容量:100%
実施例1及び比較例1、並びに参考例1及び2におけるライナー評価は、下記条件でφ265mm×L1200mmの継ぎ目レスライナーを製造し、下記の成形評価を実施した結果である。
(1)ライナー製造条件
(i)ブロー成形機(成形機の型名:NB60SII/P90/AC15S)
成形機仕様:単層アキュームレータ式ブロー成形機
アキューム容量:15リットル
スクリュー径:φ90mm
ダイコア径:φ80/φ75mm
(ii)成形条件
押出機&ダイコア温度:225~240℃
スクリュー回転数:15~30rpm
アキューム容量:50%
金型温度:25~30℃
パリソン押出時間:8~15秒
型閉時間:2~3秒
冷却時間:4分
シリンダ温度、アキューム時間及び成形時間は表1に示す。
(i)表面の長手方向の最大粗さ
JIS B0601に準じ、小坂研究所製SE500Aを用いて、小さく切出したライナーの内表面を長手方向に20mmの測定長で最大高さ粗さを測定した。
最大高さ粗さが低いほど、成形品の表面平滑性に優れるため、応力集中を起こさないため機械的特性の保持に有効である。
(3)引張破壊呼びひずみ
ISO規格Type-1BA形状の試験片を、図2に示すように、ライナーの長手方向に切削加工にて切削面の算術平均粗さRaが6.3a以下になるように切出し、ISO527-2/1BA/25に準じて、インストロン製引張試験機型式5967を使用して試験温度-60℃で測定した。引張破壊呼びひずみの値が大きいほど極低温下において、ライナー破損による水素漏れに対して有利である。
(2):パリソン押出完了から30秒後
(3):表面の長手方向の最大粗さ測定サンプル切り出し位置(胴体部中央)
L1:パリソン初期長さ
L2:ドローダウン量
1:ダイコア
10:アキュームレータ式ブロー成型機
11:押出機
12:スクリュー
13:シリンダ
14:溶融・混練した樹脂組成物
15:アキューム
16:押出シリンダ
17:パリソン
18:金型
19:成形品
Claims (5)
- 水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物のブロー成形品である水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーであって、
ポリアミド樹脂組成物100質量%中に、ポリアミド樹脂(A)50~80質量%、オレフィン系アイオノマー(B)5~10質量%、及び耐衝撃材(C)15~20質量%を含み、
当該組成物が温度250℃、剪断速度12秒-1における溶融粘度が17000Pa・s以上であり、同温度における0.1秒時の緩和応力が30kPa以上であり、
表面の長手方向の最大高さ粗さ(測定長さ:20mm)が100μm以下である、
水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナー。 - 前記ポリアミド樹脂(A)が脂肪族ホモポリアミド(A-1)、脂肪族共重合ポリアミド(A-2)及び芳香族共重合ポリアミド(A-3)からなるポリアミド樹脂である、請求項1に記載の水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナー。
- ISO527-2/1BA/25に準ずる引張破壊呼びひずみが18%以上である、請求項1または2に記載の水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナー。
- ポリアミド樹脂組成物100質量%中に、ポリアミド樹脂(A)50~80質量%、オレフィン系アイオノマー(B)5~10質量%、及び耐衝撃材(C)15~20質量%を含み、
当該組成物が温度250℃、剪断速度12秒 -1 における溶融粘度が17000Pa・s以上であり、同温度における0.1秒時の緩和応力が30kPa以上である水素タンクの継ぎ目レス長尺ライナーのブロー成形用ポリアミド樹脂組成物を、アキュムレータ式ブロー成形機を用いて、シリンダ温度220~235℃において、成形時間25分以下、アキューム時間2~20分で成形することを特徴とする、水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーの製造方法。 - 前記ポリアミド樹脂(A)が脂肪族ホモポリアミド(A-1)、脂肪族共重合ポリアミド(A-2)及び芳香族共重合ポリアミド(A-3)からなるポリアミド樹脂である、請求項4に記載の水素タンク用継ぎ目レス長尺ライナーの製造方法。
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