JP7421423B2 - マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法 - Google Patents
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Description
本発明の一態様は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法に係り、例えば、マルチビーム描画によるパターンの寸法ずれを低減する手法に関する。
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は半導体製造プロセスのなかでも唯一パターンを生成する極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。ここで、電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しており、マスクブランクスへ電子線を使ってマスクパターンを描画することが行われている。
例えば、マルチビームを使った描画装置がある。1本の電子ビームで描画する場合に比べて、マルチビームを用いることで一度に多くのビームを照射できるのでスループットを大幅に向上させることができる。かかるマルチビーム方式の描画装置では、例えば、電子銃から放出された電子ビームを複数の穴を持ったマスクに通してマルチビームを形成し、各々、ブランキング制御され、遮蔽されなかった各ビームが光学系で縮小されることによりマスク像が縮小されて、偏向器で偏向されることにより試料上の所望の位置へと照射される。
マルチビーム描画では、各ビームから照射されるドーズ量を照射時間によって制御している。しかしながら、ブランキング制御機構の故障等により照射時間制御が困難となり、所望するドーズ量よりも過剰なドーズ量を試料に照射してしまう欠陥ビームが発生し得る。例えば、常時ONビームが代表例として挙げられる。過剰ドーズが試料に照射されると、試料上に形成されるパターンの形状誤差が生じてしまうといった問題があった。かかる問題について、欠陥ビームによる過剰ドーズ量と同様のドーズ量が、欠陥ビームの周囲のビーム群によって分担されるように周囲のビーム群のそれぞれのドーズ量から対応する分担ドーズ量を減ずるように照射する手法について提案されている。しかしながら、描画するパターンの端部よりも外側の位置に常時ONビームが照射される場合、周囲のビーム群の多くもパターンの端部よりも外側に位置し、パターン外の位置は元々照射量がゼロになる位置なので周囲のビーム群によって過剰ドーズ量を分担することが困難であるといった問題があった(例えば、特許文献1参照)。
本発明の一態様は、マルチビーム描画において、パターンの端部よりも外側の位置にドーズ過剰欠陥ビームが照射される場合に、簡易な手法で欠陥ビームに起因するパターンの形状誤差を低減可能な装置及び方法を提供する。
本発明の一態様のマルチ荷電粒子ビーム描画装置は、
マルチ荷電粒子ビームを形成するビーム形成機構と、
試料上の各位置でのドーズ量を演算するドーズ量演算部と、
マルチ荷電粒子ビームのうち、ビームのドーズ量制御ができず照射されるドーズ量が過剰になるドーズ過剰欠陥ビームが、過剰ドーズが拡散する範囲内において過剰ドーズ量を相殺するためのドーズが不足する位置に照射されることによって、試料に生じる過剰ドーズによる第1のドーズ分布を、第1のドーズ分布の範囲内であって過剰ドーズを相殺するためのビーム照射が存在する描画対象のパターンの内側に中心が位置する第2のドーズ分布にするための追加ドーズ量をパターン内の位置に割り振る追加ドーズ割振り部と、
追加ドーズ量が割り振られることによって第2のドーズ分布の中心に生じるドーズ量増加分を、前記第2のドーズ分布の中心若しくは第2のドーズ分布の中心の近傍に照射されるドーズ量から減らすように補正する補正部と、
ドーズ過剰欠陥ビームを含むマルチ荷電粒子ビームを用いて、試料にパターンを描画する描画機構と、
を備えたことを特徴とする。
マルチ荷電粒子ビームを形成するビーム形成機構と、
試料上の各位置でのドーズ量を演算するドーズ量演算部と、
マルチ荷電粒子ビームのうち、ビームのドーズ量制御ができず照射されるドーズ量が過剰になるドーズ過剰欠陥ビームが、過剰ドーズが拡散する範囲内において過剰ドーズ量を相殺するためのドーズが不足する位置に照射されることによって、試料に生じる過剰ドーズによる第1のドーズ分布を、第1のドーズ分布の範囲内であって過剰ドーズを相殺するためのビーム照射が存在する描画対象のパターンの内側に中心が位置する第2のドーズ分布にするための追加ドーズ量をパターン内の位置に割り振る追加ドーズ割振り部と、
追加ドーズ量が割り振られることによって第2のドーズ分布の中心に生じるドーズ量増加分を、前記第2のドーズ分布の中心若しくは第2のドーズ分布の中心の近傍に照射されるドーズ量から減らすように補正する補正部と、
ドーズ過剰欠陥ビームを含むマルチ荷電粒子ビームを用いて、試料にパターンを描画する描画機構と、
を備えたことを特徴とする。
また、描画機構は、多重描画を行い、
ドーズ量演算部は、マルチ荷電粒子ビームのうち、ドーズ量が不足するドーズ不足欠陥ビームで照射される位置でのドーズ不足分を、多重描画のうちドーズ量が不足する描画処理とは異なる描画処理で照射されるドーズ量に加算すると好適である。
ドーズ量演算部は、マルチ荷電粒子ビームのうち、ドーズ量が不足するドーズ不足欠陥ビームで照射される位置でのドーズ不足分を、多重描画のうちドーズ量が不足する描画処理とは異なる描画処理で照射されるドーズ量に加算すると好適である。
また、追加ドーズ割振り部は、予め設定されたドーズ閾値を超えないように追加ドーズ量を割り振ると好適である。
また、追加ドーズ割振り部は、周囲の照射位置よりもドーズ量が多い照射位置が第2のドーズ分布の中心になるように追加ドーズ量を割り振ると好適である。
また、ドーズ過剰欠陥ビームにより照射されるドーズ量として、照射時間内のドーズ量にさらにビーム偏向のためのセトリング時間のドーズ量を加えた値が用いられると好適である。
本発明の一態様のマルチ荷電粒子ビーム描画方法は、
マルチ荷電粒子ビームを形成する工程と、
試料上の各位置でのドーズ量を演算する工程と、
過剰ドーズが拡散する範囲内において過剰ドーズ量を相殺するためのドーズが不足する位置に照射されることによって、試料に生じる過剰ドーズによる第1のドーズ分布を、第1のドーズ分布の範囲内であって過剰ドーズを相殺するためのビーム照射が存在する描画対象のパターンの内側に中心が位置する第2のドーズ分布にするための追加ドーズ量をパターン内の位置に割り振る工程と、
追加ドーズ量が割り振られることによって第2のドーズ分布の中心に生じるドーズ量増加分を、前記第2のドーズ分布の中心若しくは第2のドーズ分布の中心の近傍に照射されるドーズ量から減らすように補正する工程と、
ドーズ過剰欠陥ビームを含むマルチ荷電粒子ビームを用いて、試料にパターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする。
マルチ荷電粒子ビームを形成する工程と、
試料上の各位置でのドーズ量を演算する工程と、
過剰ドーズが拡散する範囲内において過剰ドーズ量を相殺するためのドーズが不足する位置に照射されることによって、試料に生じる過剰ドーズによる第1のドーズ分布を、第1のドーズ分布の範囲内であって過剰ドーズを相殺するためのビーム照射が存在する描画対象のパターンの内側に中心が位置する第2のドーズ分布にするための追加ドーズ量をパターン内の位置に割り振る工程と、
追加ドーズ量が割り振られることによって第2のドーズ分布の中心に生じるドーズ量増加分を、前記第2のドーズ分布の中心若しくは第2のドーズ分布の中心の近傍に照射されるドーズ量から減らすように補正する工程と、
ドーズ過剰欠陥ビームを含むマルチ荷電粒子ビームを用いて、試料にパターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、マルチビーム描画において、パターンの端部よりも外側の位置にドーズ過剰欠陥ビームが照射される場合に、簡易な手法で欠陥ビームに起因するパターンの形状誤差を低減できる。
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。図1において、描画装置100は、描画機構150と制御系回路160を備えている。描画装置100は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置の一例である。描画機構150は、電子鏡筒102(マルチ電子ビームカラム)と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、ブランキングアパーチャアレイ機構204、縮小レンズ205、制限アパーチャ基板206、対物レンズ207、偏向器208、及び偏向器209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象基板となるレジストが塗布されたマスクブランクス等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスク、或いは、半導体装置が製造される半導体基板(シリコンウェハ)等が含まれる。XYステージ105上には、さらに、XYステージ105の位置測定用のミラー210が配置される。XYステージ105上には、さらに、ファラディーカップ106が配置される。
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。図1において、描画装置100は、描画機構150と制御系回路160を備えている。描画装置100は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置の一例である。描画機構150は、電子鏡筒102(マルチ電子ビームカラム)と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、ブランキングアパーチャアレイ機構204、縮小レンズ205、制限アパーチャ基板206、対物レンズ207、偏向器208、及び偏向器209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象基板となるレジストが塗布されたマスクブランクス等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスク、或いは、半導体装置が製造される半導体基板(シリコンウェハ)等が含まれる。XYステージ105上には、さらに、XYステージ105の位置測定用のミラー210が配置される。XYステージ105上には、さらに、ファラディーカップ106が配置される。
制御系回路160は、制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、デジタル・アナログ変換(DAC)アンプユニット132,134、ステージ位置検出器139及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142,144を有している。制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、DACアンプユニット132,134、ステージ位置検出器139及び記憶装置140,142,144は、図示しないバスを介して互いに接続されている。偏向制御回路130には、DACアンプユニット132,134及びブランキングアパーチャアレイ機構204が接続されている。DACアンプユニット132の出力は、偏向器209に接続される。DACアンプユニット134の出力は、偏向器208に接続される。偏向器208は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ134を介して偏向制御回路130により制御される。偏向器209は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ132を介して偏向制御回路130により制御される。ステージ位置検出器139は、レーザ光をXYステージ105上のミラー210に照射し、ミラー210からの反射光を受光する。そして、かかる反射光の情報を使ったレーザ干渉の原理を利用してXYステージ105の位置を測定する。
制御計算機110内には、ラスタライズ部50、ドーズマップ作成部52、ビーム位置ずれマップ作成部54、検出部56、変調率演算部59、ドーズマップ作成部60、ドーズ分配処理部61、判定部62、判定部63、ドーズ大の周辺画素特定部64、割振部65、打消ドーズ算出部66、補正部67、特定部68、照射時間演算部72、及び描画制御部74が配置されている。ラスタライズ部50、ドーズマップ作成部52、ビーム位置ずれマップ作成部54、検出部56、変調率演算部59、ドーズマップ作成部60、ドーズ分配処理部61、判定部62、判定部63、ドーズ大の周辺画素特定部64、割振部65、打消ドーズ算出部66、補正部67、特定部68、照射時間演算部72、及び描画制御部74といった各「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路は、例えば、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置を含む。各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いても良いし、或いは異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。ラスタライズ部50、ドーズマップ作成部52、ビーム位置ずれマップ作成部54、検出部56、変調率演算部59、ドーズマップ作成部60、ドーズ分配処理部61、判定部62、判定部63、ドーズ大の周辺画素特定部64、割振部65、打消ドーズ算出部66、補正部67、特定部68、照射時間演算部72、及び描画制御部74に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
また、描画装置100の外部から描画データが入力され、記憶装置140に格納される。描画データには、通常、描画するための複数の図形パターンの情報が定義される。具体的には、図形パターン毎に、図形コード、座標、及びサイズ等が定義される。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、縦(y方向)p列×横(x方向)q列(p,q≧2)の穴(開口部)22が所定の配列ピッチでマトリクス状に形成されている。図2では、例えば、縦横(x,y方向)に512×512列の穴22が形成される。各穴22は、共に同じ寸法形状の矩形で形成される。或いは、同じ直径の円形であっても構わない。成形アパーチャアレイ基板203(ビーム形成機構)は、マルチビーム20を形成する。具体的には、これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、マルチビーム20が形成されることになる。また、穴22の配列の仕方は、図2のように、縦横が格子状に配置される場合に限るものではない。例えば、縦方向(y方向)k段目の列と、k+1段目の列の穴同士が、横方向(x方向)に寸法aだけずれて配置されてもよい。同様に、縦方向(y方向)k+1段目の列と、k+2段目の列の穴同士が、横方向(x方向)に寸法bだけずれて配置されてもよい。
図3は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構の構成を示す断面図である。
図4は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構のメンブレン領域内の構成の一部を示す上面概念図である。なお、図3と図4において、制御電極24と対向電極26と制御回路41とパッド43の位置関係は一致させて記載していない。ブランキングアパーチャアレイ機構204は、図3に示すように、支持台33上にシリコン等からなる半導体基板31が配置される。基板31の中央部は、例えば裏面側から削られ、薄い膜厚hのメンブレン領域330(第1の領域)に加工されている。メンブレン領域330を取り囲む周囲は、厚い膜厚Hの外周領域332(第2の領域)となる。メンブレン領域330の上面と外周領域332の上面とは、同じ高さ位置、或いは、実質的に同じ高さ位置になるように形成される。基板31は、外周領域332の裏面で支持台33上に保持される。支持台33の中央部は開口しており、メンブレン領域330の位置は、支持台33の開口した領域に位置している。
図4は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構のメンブレン領域内の構成の一部を示す上面概念図である。なお、図3と図4において、制御電極24と対向電極26と制御回路41とパッド43の位置関係は一致させて記載していない。ブランキングアパーチャアレイ機構204は、図3に示すように、支持台33上にシリコン等からなる半導体基板31が配置される。基板31の中央部は、例えば裏面側から削られ、薄い膜厚hのメンブレン領域330(第1の領域)に加工されている。メンブレン領域330を取り囲む周囲は、厚い膜厚Hの外周領域332(第2の領域)となる。メンブレン領域330の上面と外周領域332の上面とは、同じ高さ位置、或いは、実質的に同じ高さ位置になるように形成される。基板31は、外周領域332の裏面で支持台33上に保持される。支持台33の中央部は開口しており、メンブレン領域330の位置は、支持台33の開口した領域に位置している。
メンブレン領域330には、図2に示した成形アパーチャアレイ基板203の各穴22に対応する位置にマルチビーム20のそれぞれのビームの通過用の通過孔25(開口部)が開口される。言い換えれば、基板31のメンブレン領域330には、電子線を用いたマルチビーム20のそれぞれ対応するビームが通過する複数の通過孔25がアレイ状に形成される。そして、基板31のメンブレン領域330上であって、複数の通過孔25のうち対応する通過孔25を挟んで対向する位置に2つの電極を有する複数の電極対がそれぞれ配置される。具体的には、メンブレン領域330上に、図3及び図4に示すように、各通過孔25の近傍位置に該当する通過孔25を挟んでブランキング偏向用の制御電極24と対向電極26の組(ブランカー:ブランキング偏向器)がそれぞれ配置される。また、基板31内部であってメンブレン領域330上の各通過孔25の近傍には、各通過孔25用の制御電極24に偏向電圧を印加する制御回路41(ロジック回路)が配置される。各ビーム用の対向電極26は、グランド接続される。
また、図4に示すように、各制御回路41は、制御信号用のnビット(例えば10ビット)のパラレル配線が接続される。各制御回路41は、制御信号用のnビットのパラレル配線の他、クロック信号線、読み込み(read)信号、ショット(shot)信号および電源用の配線等が接続される。クロック信号線、読み込み(read)信号、ショット(shot)信号および電源用の配線等はパラレル配線の一部の配線を流用しても構わない。マルチビームを構成するそれぞれのビーム毎に、制御電極24と対向電極26と制御回路41とによる個別ブランキング機構47が構成される。また、図3の例では、制御電極24と対向電極26と制御回路41とが基板31の膜厚が薄いメンブレン領域330に配置される。但し、これに限るものではない。また、メンブレン領域330にアレイ状に形成された複数の制御回路41は、例えば、同じ行或いは同じ列によってグループ化され、グループ内の制御回路41群は、図4に示すように、直列に接続される。そして、グループ毎に配置されたパッド43からの信号がグループ内の制御回路41に伝達される。具体的には、各制御回路41内に、図示しないシフトレジスタが配置され、例えば、p×q本のマルチビームのうち例えば同じ行のビームの制御回路41内のシフトレジスタが直列に接続される。そして、例えば、p×q本のマルチビームの同じ行のビームの制御信号がシリーズで送信され、例えば、p回のクロック信号によって各ビームの制御信号が対応する制御回路41に格納される。
図5は、実施の形態1の個別ブランキング機構の一例を示す図である。図5において、制御回路41内には、アンプ46(スイッチング回路の一例)が配置される。図5の例では、アンプ46の一例として、CMOS(Complementary MOS)インバータ回路が配置される。そして、CMOSインバータ回路は正の電位(Vdd:ブランキング電位:第1の電位)(例えば、5V)(第1の電位)とグランド電位(GND:第2の電位)に接続される。CMOSインバータ回路の出力線(OUT)は制御電極24に接続される。一方、対向電極26は、グランド電位が印加される。そして、ブランキング電位とグランド電位とが切り替え可能に印加される複数の制御電極24が、基板31上であって、複数の通過孔25のそれぞれ対応する通過孔25を挟んで複数の対向電極26のそれぞれ対応する対向電極26と対向する位置に配置される。
CMOSインバータ回路の入力(IN)には、閾値電圧よりも低くなるL(low)電位(例えばグランド電位)と、閾値電圧以上となるH(high)電位(例えば、1.5V)とのいずれかが制御信号として印加される。実施の形態1では、CMOSインバータ回路の入力(IN)にL電位が印加される状態では、CMOSインバータ回路の出力(OUT)は正電位(Vdd)となり、対向電極26のグランド電位との電位差による電界によりマルチビーム20中の対応する1本を偏向し、制限アパーチャ基板206で遮蔽することでビームOFFになるように制御する。一方、CMOSインバータ回路の入力(IN)にH電位が印加される状態(アクティブ状態)では、CMOSインバータ回路の出力(OUT)はグランド電位となり、対向電極26のグランド電位との電位差が無くなりマルチビーム20中の対応する1本を偏向しないので制限アパーチャ基板206を通過することでビームONになるように制御する。
各通過孔を通過するマルチビーム20中の対応する1本の電子ビームは、それぞれ独立に対となる2つの制御電極24と対向電極26に印加される電圧によって偏向される。かかる偏向によってブランキング制御される。具体的には、制御電極24と対向電極26の組は、それぞれ対応するスイッチング回路となるCMOSインバータ回路によって切り替えられる電位によってマルチビーム20の対応ビームをそれぞれ個別にブランキング偏向する。このように、複数のブランカーが、成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22(開口部)を通過したマルチビーム20のうち、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う。
図6は、実施の形態1における描画動作の一例を説明するための概念図である。図6に示すように、試料101の描画領域30は、例えば、y方向に向かって所定の幅で短冊状の複数のストライプ領域32に仮想分割される。まず、XYステージ105を移動させて、第1番目のストライプ領域32の左端、或いはさらに左側の位置に一回のマルチビーム20のショットで照射可能な照射領域34が位置するように調整し、描画が開始される。第1番目のストライプ領域32を描画する際には、XYステージ105を例えば-x方向に移動させることにより、相対的にx方向へと描画を進めていく。XYステージ105は例えば等速で連続移動させる。第1番目のストライプ領域32の描画終了後、ステージ位置を-y方向に移動させて、第2番目のストライプ領域32の右端、或いはさらに右側の位置に照射領域34が相対的にy方向に位置するように調整し、今度は、XYステージ105を例えばx方向に移動させることにより、-x方向に向かって同様に描画を行う。第3番目のストライプ領域32では、x方向に向かって描画し、第4番目のストライプ領域32では、-x方向に向かって描画するといったように、交互に向きを変えながら描画することで描画時間を短縮できる。但し、かかる交互に向きを変えながら描画する場合に限らず、各ストライプ領域32を描画する際、同じ方向に向かって描画を進めるようにしても構わない。1回のショットでは、成形アパーチャアレイ基板203の各穴22を通過することによって形成されたマルチビームによって、最大で成形アパーチャアレイ基板203に形成された複数の穴22と同数の複数のショットパターンが一度に形成される。また、図6の例では、各ストライプ領域32を1回ずつ描画する場合を示しているが、これに限るものではない。同じ領域を複数回描画する多重描画を行っても好適である。多重描画を行う場合には、位置をずらしながら各パスのストライプ領域32を設定すると好適である。
図7は、実施の形態1におけるマルチビームの照射領域と描画対象画素との一例を示す図である。図7において、ストライプ領域32には、例えば、試料101面上におけるマルチビーム20のビームサイズピッチで格子状に配列される複数の制御グリッド27(設計グリッド)が設定される。この制御グリッド27は、例えば、10nm程度の配列ピッチにすると好適である。かかる複数の制御グリッド27が、マルチビーム20の設計上の照射位置となる。制御グリッド27の配列ピッチはビームサイズに限定されるものではなく、ビームサイズとは関係なく偏向器209の偏向位置として制御可能な任意の大きさで構成されるものでも構わない。そして、各制御グリッド27を中心とした、制御グリッド27の配列ピッチと同サイズでメッシュ状に仮想分割された複数の画素36が設定される。各画素36は、マルチビームの1つのビームあたりの照射単位領域となる。図7の例では、試料101の描画領域が、例えばy方向に、1回のマルチビーム20の照射で照射可能な照射領域34(描画フィールド)のサイズと実質同じ幅サイズで複数のストライプ領域32に分割された場合を示している。照射領域34のx方向サイズは、マルチビーム20のx方向のビーム間ピッチにx方向のビーム数を乗じた値で定義できる。照射領域34のy方向サイズは、マルチビーム20のy方向のビーム間ピッチにy方向のビーム数を乗じた値で定義できる。なお、ストライプ領域32の幅は、これに限るものではない。照射領域34のn倍(nは1以上の整数)のサイズであると好適である。図7の例では、例えば512×512列のマルチビームの図示を8×8列のマルチビームに省略して示している。そして、照射領域34内に、1回のマルチビーム20のショットで照射可能な複数の画素28(ビームの描画位置)が示されている。言い換えれば、隣り合う画素28間のピッチが設計上のマルチビームの各ビーム間のピッチとなる。図7の例では、ビーム間ピッチで囲まれる領域で1つのサブ照射領域29を構成する。図7の例では、各サブ照射領域29は、4×4画素で構成される場合を示している。
図8は、実施の形態1におけるマルチビームの描画方法の一例を説明するための図である。図8では、図7で示したストライプ領域32を描画するマルチビームのうち、y方向3段目の座標(1,3),(2,3),(3,3),・・・,(512,3)の各ビームで描画するサブ照射領域29の一部を示している。図8の例では、例えば、XYステージ105が8ビームピッチ分の距離を移動する間に4つの画素を描画(露光)する場合を示している。かかる4つの画素を描画(露光)する間、照射領域34がXYステージ105の移動によって試料101との相対位置がずれないように、偏向器208によってマルチビーム20全体を一括偏向することによって、照射領域34をXYステージ105の移動に追従させる。言い換えれば、トラッキング制御が行われる。図8の例では、8ビームピッチ分の距離を移動する間に4つの画素を描画(露光)することで1回のトラッキングサイクルを実施する場合を示している。
具体的には、ステージ位置検出器139が、ミラー210にレーザを照射して、ミラー210から反射光を受光することでXYステージ105の位置を測長する。測長されたXYステージ105の位置は、制御計算機110に出力される。制御計算機110内では、描画制御部74がかかるXYステージ105の位置情報を偏向制御回路130に出力する。偏向制御回路130内では、XYステージ105の移動に合わせて、XYステージ105の移動に追従するようにビーム偏向するための偏向量データ(トラッキング偏向データ)を演算する。デジタル信号であるトラッキング偏向データは、DACアンプ134に出力され、DACアンプ134は、デジタル信号をアナログ信号に変換の上、増幅して、トラッキング偏向電圧として偏向器208に印加する。
そして、描画機構150は、当該ショットにおけるマルチビームの各ビームのそれぞれの照射時間のうちの最大描画時間Ttr内のそれぞれの制御グリッド27に対応する描画時間(照射時間、或いは露光時間)、各制御グリッド27にマルチビーム20のうちONビームのそれぞれ対応するビームを照射する。
図8の例では、座標(1,3)のビーム(1)によって、時刻t=0からt=最大描画時間Ttrまでの間に注目サブ照射領域29の例えば最下段右から1番目の画素36の制御グリッド27に1ショット目のビームの照射が行われる。これにより、当該画素は、所望の照射時間のビームの照射を受けたことになる。時刻t=0からt=Ttrまでの間にXYステージ105は例えば2ビームピッチ分だけ-x方向に移動する。この間、トラッキング動作は継続している。
当該ショットのビーム照射開始から当該ショットの最大描画時間Ttrが経過後、偏向器208によってトラッキング制御のためのビーム偏向を継続しながら、トラッキング制御のためのビーム偏向とは別に、偏向器209によってマルチビーム20を一括して偏向することによって各ビームの描画位置(前回の描画位置)を次の各ビームの描画位置(今回の描画位置)にシフトする。図8の例では、時刻t=Ttrになった時点で、注目サブ照射領域29の最下段右から1番目の画素36の制御グリッド27から下から2段目かつ右から1番目の画素36の制御グリッド27へと描画対象制御グリッド27をシフトする。この間にもXYステージ105は定速移動しているのでトラッキング動作は継続している。
そして、トラッキング制御を継続しながら、シフトされた各ビームの描画位置に当該ショットの最大描画時間Ttr内のそれぞれ対応する描画時間、マルチビーム20のうちONビームのそれぞれ対応するビームを照射する。図8の例では、座標(1,3)のビーム(1)によって、時刻t=Ttrからt=2Ttrまでの間に注目サブ照射領域29の例えば下から2段目かつ右から1番目の画素36の制御グリッド27に2ショット目のビームの照射が行われる。時刻t=Ttrからt=2Ttrまでの間にXYステージ105は例えば2ビームピッチ分だけ-x方向に移動する。この間、トラッキング動作は継続している。
図8の例では、時刻t=2Ttrになった時点で、注目サブ照射領域29の下から2段目かつ右から1番目の画素36の制御グリッド27から下から3段目かつ右から1番目の画素36の制御グリッド27へと偏向器209によるマルチビームの一括偏向により描画対象制御グリッド27をシフトする。この間にもXYステージ105は移動しているのでトラッキング動作は継続している。そして、座標(1,3)のビーム(1)によって、時刻t=2Ttrからt=3Ttrまでの間に注目サブ照射領域29の例えば下から3段目かつ右から1番目の画素36の制御グリッド27に3ショット目のビームの照射が行われる。これにより、当該画素36の制御グリッド27は、所望の照射時間のビームの照射を受けたことになる。
時刻t=2Ttrからt=3Ttrまでの間にXYステージ105は例えば2ビームピッチ分だけ-x方向に移動する。この間、トラッキング動作は継続している。時刻t=3Ttrになった時点で、注目サブ照射領域29の下から3段目かつ右から1番目の画素36の制御グリッド27から下から4段目かつ右から1番目の画素36の制御グリッド27へと偏向器209によるマルチビームの一括偏向により描画対象画素をシフトする。この間にもXYステージ105は移動しているのでトラッキング動作は継続している。
そして、座標(1,3)のビーム(1)によって、時刻t=3Ttrからt=4Ttrまでの間に注目サブ照射領域29の例えば下から4段目かつ右から1番目の画素36の制御グリッド27に4ショット目のビームの照射が行われる。これにより、当該画素36の制御グリッド27は、所望の照射時間のビームの照射を受けたことになる。
時刻t=3Ttrからt=4Ttrまでの間にXYステージ105は例えば2ビームピッチ分だけ-x方向に移動する。この間、トラッキング動作は継続している。以上により、注目サブ照射領域29の右から1番目の画素列の描画が終了する。
図8の例では初回位置から3回シフトされた後の各ビームの描画位置にそれぞれ対応するビームを照射した後、DACアンプユニット134は、トラッキング制御用のビーム偏向をリセットすることによって、トラッキング位置をトラッキング制御が開始されたトラッキング開始位置に戻す。言い換えれば、トラッキング位置をステージ移動方向と逆方向に戻す。図8の例では、時刻t=4Ttrになった時点で、注目サブ照射領域29のトランキングを解除して、x方向に8ビームピッチ分ずれた注目サブ照射領域29にビームを振り戻す。なお、図8の例では、座標(1,3)のビーム(1)について説明したが、その他の座標のビームについてもそれぞれの対応するサブ照射領域29に対して同様に描画が行われる。すなわち、座標(n,m)のビームは、t=4Ttrの時点で対応するサブ照射領域29に対して右から1番目の画素列の描画が終了する。例えば、座標(2,3)のビーム(2)は、図7のビーム(1)用の注目サブ照射領域29の-x方向に隣り合うサブ照射領域29に対して右から1番目の画素列の描画が終了する。
なお、各サブ照射領域29の右から1番目の画素列の描画は終了しているので、トラッキングリセットした後に、次回のトラッキングサイクルにおいてまず偏向器209は、各サブ照射領域29の下から1段目かつ右から2番目の画素の制御グリッド27にそれぞれ対応するビームの描画位置を合わせる(シフトする)ように偏向する。
以上のように同じトラッキングサイクル中は偏向器208によって照射領域34を試料101に対して相対位置が同じ位置になるように制御された状態で、偏向器209によって1制御グリッド27(画素36)ずつシフトさせながら各ショットを行う。そして、トラッキングサイクルが1サイクル終了後、照射領域34のトラッキング位置を戻してから、図6の下段に示すように、例えば1制御グリッド(1画素)ずれた位置に1回目のショット位置を合わせ、次のトラッキング制御を行いながら偏向器209によって1制御グリッド(1画素)ずつシフトさせながら各ショットを行う。ストライプ領域32の描画中、かかる動作を繰り返すことで、照射領域34a~34oといった具合に順次照射領域34の位置が移動していき、当該ストライプ領域の描画を行っていく。
マルチビーム20で試料101を描画する際、上述したように、偏向器208によるトラッキング動作中にXYステージ105の移動に追従しながらショットビームとなるマルチビーム20を偏向器209によるビーム偏向位置の移動によって1制御グリッド(1画素)ずつ順に連続して照射していく。そして、試料101上のどの制御グリッド27(画素36)をマルチビームのどのビームが照射するのかは描画シーケンスによって決まる。そして、マルチビームのx,y方向にそれぞれ隣り合うビーム間のビームピッチを用いて、試料101面上におけるx,y方向にそれぞれ隣り合うビーム間のビームピッチ(x方向)×ビームピッチ(y方向)の領域はn×n画素の領域(サブ照射領域29)で構成される。例えば、1回のトラッキング動作で、XYステージ105が-x方向にビームピッチ(x方向)だけ移動する場合、上述したようにy方向に1つのビームによって照射位置をシフトしながらn制御グリッド(n画素)が描画される。或いは、x方向或いは斜め方向に1つのビームによって照射位置をシフトしながらn制御グリッド(n画素)が描画されてもよい。同じn×n画素の領域内の他のn画素が次回のトラッキング動作で上述したビームとは異なるビームによって同様にn画素が描画される。このようにn回のトラッキング動作でそれぞれ異なるビームによってn画素ずつ描画されることにより、1つのn×n画素の領域内のすべての画素が描画される。マルチビームの照射領域内の他のn×n画素の領域についても同時期に同様の動作が実施され、同様に描画される。
次に描画装置100における描画機構150の動作について説明する。電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202により成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、矩形の複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、例えば矩形形状の複数の電子ビーム(マルチビーム20)が形成される。かかるマルチビーム20は、ブランキングアパーチャアレイ機構204のそれぞれ対応するブランカー(第1の偏向器:個別ブランキング機構)内を通過する。かかるブランカーは、それぞれ、個別に通過する電子ビームを偏向する(ブランキング偏向を行う)。
ブランキングアパーチャアレイ機構204を通過したマルチビーム20は、縮小レンズ205によって、縮小され、制限アパーチャ基板206に形成された中心の穴に向かって進む。ここで、マルチビーム20のうち、ブランキングアパーチャアレイ機構204のブランカーによって偏向された電子ビームは、制限アパーチャ基板206の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ基板206によって遮蔽される。一方、ブランキングアパーチャアレイ機構204のブランカーによって偏向されなかった電子ビームは、図1に示すように制限アパーチャ基板206の中心の穴を通過する。かかる個別ブランキング機構47のON/OFFによって、ブランキング制御が行われ、ビームのON/OFFが制御される。このように、制限アパーチャ基板206は、個別ブランキング機構47によってビームOFFの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する。そして、ビーム毎に、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成された、制限アパーチャ基板206を通過したビームにより、1回分のショットのビームが形成される。制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20は、対物レンズ207により焦点が合わされ、所望の縮小率のパターン像となり、偏向器208,209によって、制限アパーチャ基板206を通過した各ビーム(通過したマルチビーム20全体)が同方向に一括して偏向され、各ビームの試料101上のそれぞれの照射位置に照射される。一度に照射されるマルチビーム20は、理想的には成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22の配列ピッチに上述した所望の縮小率を乗じたピッチで並ぶことになる。
図9は、実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。図9において、実施の形態1における描画方法は、ビーム位置ずれ量測定工程(S102)と、ドーズ量演算工程(S104)と、欠陥ビーム検出工程(S110)と、変調率演算工程(S112)と、不足欠陥ビーム画素特定工程(S113)と、パス毎のドーズ量演算工程(S114)と、ドーズ過剰欠陥ビーム画素特定工程(S116)と、判定工程(S120)と、ドーズ分配工程(S122)と、ドーズ大の周辺画素特定工程(S130)と、追加ドーズ割振工程(S132)と、打ち消しドーズ算出工程(S134)と、打ち消し補正工程(S136)と、判定工程(S138)と、照射時間演算工程(S140)と、描画工程(S142)と、いう一連の工程を実施する。
ビーム位置ずれ量測定工程(S102)として、描画装置100は、マルチビーム20の各ビームの試料101面上の照射位置が、対応する制御グリッド27からずれる位置ずれ量を測定する。
図10は、実施の形態1におけるビームの位置ずれと位置ずれ周期性とを説明するための図である。マルチビーム20では、図10(a)に示すように、光学系の特性上、露光フィールドに歪が生じ、かかる歪等によって、個々のビームの実際の照射位置39が理想グリッドに照射される場合の照射位置37からずれてしまう。そこで、実施の形態1では、かかる個々のビームの実際の照射位置39の位置ずれ量を測定する。具体的には、レジストが塗布された評価基板に、マルチビーム20を照射し、評価基板を現像することで生成されるレジストパターンの位置を位置測定器で測定することにより、ビーム毎の位置ずれ量を測定する。各ビームのショットサイズでは、各ビームの照射位置におけるレジストパターンのサイズを位置測定器で測定困難であれば、各ビームで、位置測定器で測定可能なサイズの図形パターン(例えば矩形パターン)を描画し、図形パターン(レジストパターン)の両側のエッジ位置を測定して、両エッジ間の中間位置と設計上の図形パターンの中間位置との差分から対象ビームの位置ずれ量を測定すればよい。そして、得られた各ビームの照射位置の位置ずれ量データは、描画装置100に入力され、記憶装置144に格納される。また、マルチビーム描画では、ストライプ領域32内において照射領域34をずらしながら描画を進めていくため、例えば、図8において説明した描画シーケンスでは、図6の下段に示すように、ストライプ領域32の描画中、照射領域34a~34oといった具合に順次照射領域34の位置が移動して、照射領域34の移動毎に、各ビームの位置ずれに周期性が生じることになる。或いは、各ビームが、それぞれ対応するサブ照射領域29内のすべての画素36を照射する描画シーケンスの場合であれば、図10(b)に示すように、少なくとも照射領域34と同じサイズの単位領域35毎(35a、35b、・・・)に各ビームの位置ずれに周期性が生じることになる。よって、1つの照射領域34分の各ビームの位置ずれ量を測定すれば、測定結果を流用できる。言い換えれば、各ビームについて、対応するサブ照射領域29内の各画素36での位置ずれ量を測定できれば良い。
そして、ビーム位置ずれマップ作成部54は、まず、ビームアレイ単位、言い換えれば、照射領域34内の各ビームの位置ずれ量を定義するビーム位置ずれ量マップ(1)を作成する。具体的には、ビーム位置ずれマップ作成部54は、記憶装置144から各ビームの照射位置の位置ずれ量データを読み出し、かかるデータをマップ値としてビーム位置ずれ量マップ(1)を作成すればよい。
次に、ビーム位置ずれマップ作成部54は、ストライプ領域32内の各画素36の制御グリッド27でのビーム位置ずれ量マップ(2)を作成する。ストライプ領域32内の各画素36の制御グリッド27をどのビームが照射するのかは、例えば図8において説明したように、描画シーケンスによって決まる。よって、ビーム位置ずれマップ作成部54は、描画シーケンスに応じてストライプ領域32内の各画素36の制御グリッド27毎に当該制御グリッド27への照射を担当するビームを特定して、当該ビームの位置ずれ量を演算する。そして、ビーム位置ずれマップ作成部54は、各制御グリッド27へのビームの照射位置の位置ずれ量をマップ値として、ストライプ単位のビーム位置ずれ量マップ(2)を作成する。上述したように、各ビームの位置ずれに周期性が生じるので、ビームアレイ単位のビーム位置ずれ量マップ(1)の値を流用して、ストライプ単位のビーム位置ずれ量マップ(2)を作成すればよい。作成されたビーム位置ずれ量マップ(2)は、記憶装置144に格納しておく。
ドーズ量演算工程(S104)として、まず、ラスタライズ部50は、記憶装置140から描画データを読み出し、画素36毎に、当該画素36内のパターン面積密度ρ’を演算する。かかる処理は、例えば、ストライプ領域32毎に実行する。
次に、ドーズマップ作成部52は、まず、描画領域(ここでは、例えばストライプ領域32)を所定のサイズでメッシュ状に複数の近接メッシュ領域(近接効果補正計算用メッシュ領域)に仮想分割する。近接メッシュ領域のサイズは、近接効果の影響範囲の1/10程度、例えば、1μm程度に設定すると好適である。ドーズマップ作成部52は、記憶装置140から描画データを読み出し、近接メッシュ領域毎に、当該近接メッシュ領域内に配置されるパターンのパターン面積密度ρを演算する。
次に、ドーズマップ作成部52は、近接メッシュ領域毎に、近接効果を補正するための近接効果補正照射係数Dp(x)(補正照射量)を演算する。未知の近接効果補正照射係数Dp(x)は、後方散乱係数η、しきい値モデルの照射量閾値Dth、パターン面積密度ρ、及び分布関数g(x)を用いた、従来手法と同様の近接効果補正用のしきい値モデルによって定義できる。
次に、ドーズマップ作成部52は、画素36毎に、当該画素36に照射するための入射照射量D(x)(ドーズ量)を演算する。入射照射量D(x)は、例えば、予め設定された基準照射量Dbaseに近接効果補正照射係数Dpとパターン面積密度ρ’とを乗じた値として演算すればよい。基準照射量Dbaseは、例えば、Dth/(1/2+η)で定義できる。以上により、描画データに定義される複数の図形パターンのレイアウトに基づいた、近接効果が補正された本来の所望する入射照射量D(x)を得ることができる。
そして、ドーズマップ作成部52は、ストライプ単位で画素36毎の入射照射量D(x)を定義したドーズマップを作成する。かかる画素36毎の入射照射量D(x)は、設計上、当該画素36の制御グリッド27に照射される予定の入射照射量D(x)となる。言い換えれば、ドーズマップ作成部52は、ストライプ単位で制御グリッド27毎の入射照射量D(x)を定義したドーズマップを作成する。この作成されたドーズマップは、例えば、記憶装置142に格納される。
欠陥ビーム検出工程(S110)として、検出部56は、マルチビーム20の中から欠陥ビームを検出する。欠陥ビームには、ビームのドーズ量制御ができず照射されるドーズ量が過剰になるドーズ過剰欠陥ビームと、ビームのドーズ量制御ができず照射されるドーズ量が不足になるドーズ不足欠陥ビームと、があげられる。ドーズ過剰欠陥ビームの中には、常時ONとなるON欠陥ビームと照射時間制御が不良な制御不良欠陥ビームの一部とが含まれる。ドーズ不足欠陥ビームの中には、常時OFFとなるOFF欠陥ビームと制御不良欠陥ビームの残部とが含まれる。常時ONとなるON欠陥ビームでは、制御ドーズ量に関わらず、常に、1回のショットにおける最大照射時間Ttrのビームを照射する。或いは、さらに画素間の移動時も照射し続ける。また、常時OFFとなるOFF欠陥ビームでは、制御ドーズ量に関わらず、常に、ビームOFFとなる。具体的には、描画制御部74による制御のもと、描画機構150は、マルチビーム20を1本ずつ個別ブランキング機構47でビームONになるように制御すると共に、残りはすべてビームOFFになるように制御する。かかる状態で、ファラディーカップ106で電流が検出されなかったビームは、OFF欠陥ビームとして検出される。逆に、かかる状態から検出対象ビームをビームOFFになるように制御を切り替える。その際、ビームONからビームOFFに切り替えたのにもかかわらず、ファラディーカップ106で常時電流が検出されたビームは、ON欠陥ビームとして検出される。ビームONからビームOFFに切り替えたのち、ファラディーカップ106で所定の期間だけ電流が検出されたビームは、制御不良欠陥ビームとして検出される。マルチビーム20のすべてのビームについて同じ方法で順に確認すれば、欠陥ビームの有無、及び欠陥ビームがどの位置のビームなのかを検出できる。
また、常時ONとなるON欠陥ビームのドーズ量d’は、ショットサイクルTsc(時間)、及び電流密度Jを用いて、以下の式(1)で定義できる。ショットサイクルTscは、マルチビーム20の1ショットあたりの最大照射時間Ttrで定義できる。或いは1ショットあたりの最大照射時間Ttrに、ビームを照射するある画素から次の画素へ切り換え処理にかかる切り換え時間、ビーム偏向のセトリング時間、及びデータ転送時間を含めても好適である。
また、所定の期間だけビームONとなる制御不良欠陥ビームのドーズ量は、式(1)のショットサイクルTscの代わりに、ビームONとなる時間を用いればよい。
変調率演算工程(S112)として、変調率演算部59は、画素36毎に、描画シーケンスに沿って当該画素36に照射されるビームの位置ずれによって生じる照射パターンの位置ずれを補正する当該画素36へのビームのドーズ変調率(第1のドーズ変調率)と当該画素の周囲の少なくとも1つの画素へとドーズ分配するためのドーズ変調率(第2のドーズ変調率)とを算出する。
図11は、実施の形態1における位置ずれ補正方法の一例を説明するための図である。図11(a)の例では、座標(x,y)の画素に照射されたビームa’が-x,-y側に位置ずれを起こした場合を示している。かかる位置ずれが生じているビームa’によって形成されるパターンの位置ずれを図11(b)のように座標(x,y)の画素に合う位置に補正するには、ずれた分の照射量を、ずれた周囲の画素の方向とは反対側の画素に分配することで補正できる。図11(a)の例では、座標(x,y-1)の画素にずれた分の照射量は、座標(x,y+1)の画素に分配されればよい。座標(x-1,y)の画素にずれた分の照射量は、座標(x+1,y)の画素に分配されればよい。座標(x-1,y-1)の画素にずれた分の照射量は、座標(x+1,y+1)の画素に分配されればよい。
実施の形態1では、ビームの位置ずれ量に比例して周囲の少なくとも1つの画素用のビームに照射量を分配する分配量(第2のビームの変調率)を演算する。変調率演算部59は、当該画素へのビームの位置ずれによりずれた面積の比率に応じて、当該画素へのビームの変調率と当該画素の周囲の少なくとも1つの画素へのビームの変調率とを演算する。具体的には、ビームが注目画素からずれて、ビームの一部が重なった周囲の画素毎に、ずれた分の面積(重なったビーム部分の面積)をビーム面積で割った割合を、重なった画素とは注目画素に対して反対側に位置する画素への分配量(ビームの変調率)として演算する。
図11(a)の例において、座標(x,y-1)の画素へとずれた面積比は、(x方向ビームサイズ-(-x)方向ずれ量)×y方向ずれ量/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。よって、補正のために座標(x,y+1)の画素へと分配するための分配量(ビームの変調率)Vは、(x方向ビームサイズ-(-x)方向ずれ量)×y方向ずれ量/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。
図11(a)の例において、座標(x-1,y-1)の画素へとずれた面積比は、-x方向ずれ量×-y方向ずれ量/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。よって、補正のために座標(x+1,y+1)の画素へと分配するための分配量(ビームの変調率)Wは、-x方向ずれ量×-y方向ずれ量/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。
図11(a)の例において、座標(x-1,y)の画素へとずれた面積比は、-x方向ずれ量×(y方向ビームサイズ-(-y)方向ずれ量)/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。よって、補正のために座標(x+1,y)の画素へと分配するための分配量(ビームの変調率)Zは、-x方向ずれ量×(y方向ビームサイズ-(-y)方向ずれ量)/(x方向ビームサイズ×y方向ビームサイズ)で演算できる。
この結果、分配されずに残った分となる、座標(x,y)の画素のビームの変調率Uは、1-V-W-Zの演算で求めることができる。
以上のようにして、画素毎に、当該画素へのビームの変調率と、分配先となる少なくとも1つの周囲の画素へのビームの変調率とを演算する。
不足欠陥ビーム画素特定工程(S113)として、特定部68は、欠陥ビームのうち、ドーズ不足欠陥ビームが照射する画素を特定する。
パス毎のドーズ量演算工程(S114)として、ドーズマップ作成部60(ドーズ量演算部)は、記憶装置142からドーズマップを読み出し、画素毎に、多重描画のパス毎のドーズ量を演算する。図8の例では、4回のトラッキング動作でx方向に32ビームピッチ(=4回×8ビームピッチ)分移動する。かかる32ビームピッチ分移動する間に1回分の描画処理が行われることになる。かかる構成では、マルチビーム20が、例えば、512×512本で構成される場合、各ストライプ領域32に対して一端から他端まで描画するためのXYステージ105の1回の連続移動により、各画素に対して、16回(=512/32)の描画処理(パス)による多重描画(多重度=16)が行われることになる。かかる場合、パス毎に、各画素に照射されるビームの配列位置が異なることになる。なお、マルチビーム20が、例えば、32×32本で構成される場合、各ストライプ領域32に対して一端から他端まで描画するためのXYステージ105の例えば1回の連続移動により、各画素に対して、1回の描画処理(パス)が行われることになる。よって、各ストライプ領域32に対してXYステージ105の例えば4回の繰り返しの連続移動により、各画素に対して、4回の描画処理(パス)による多重描画(多重度=4)が行われることになる。かかる場合、各ビームの照射位置をあえてずらさない限り、パス毎に、各画素に照射されるビームの位置は同じになる。各パスにおける各画素を照射するビームがどれになるのかは描画シーケンスによって決まる。なお、実施の形態1では、ステージの移動回数ではなく、多重描画の各描画処理を1回のパスと表現する。
図12は、実施の形態1における位置ずれが無いビームを用いた多重描画のパス毎のドーズ量の一例を示す図である。各パスで使用されるビームに欠陥ビームが含まれていない場合、各画素の多重描画のパス毎のドーズ量は、例えば、図12(a)に示すように、各画素に照射される合計のドーズ量T(x)を多重回数(パス数)で割った値で定義できる。例えば、1つのパスで使用されるビームがON欠陥ビームである場合、ON欠陥ビームが使用されるパスではドーズ量Dpmaxとなり、残りの各パスのドーズ量は、例えば、図12(b)に示すように、各画素に照射される合計のドーズ量T(x)からON欠陥ビームによるドーズ量Dpmaxを差し引いた残りのドーズ量を残りの多重回数(残りのパス数)で割った値で定義できる。また、ドーズマップ作成部60は、マルチビーム20のうち、ドーズ量が不足するドーズ不足欠陥ビームで照射される画素(位置)でのドーズ不足分を、多重描画のうちドーズ量が不足する描画処理とは異なるパスで照射されるドーズ量に加算する。例えば、1つのパスで使用されるビームがOFF欠陥ビームである場合、OFF欠陥ビームが使用されるパスではドーズ量がゼロになる。このため、例えば、図12(c)に示すように、残りのパスの少なくとも1つのパスのドーズ量に、ドーズ不足分を加算する。各ビームに位置ずれが無い場合であればかかる計算で良いが、マルチビーム20の各ビームは、上述したように、位置ずれを生じてしまう。
そこで、ドーズマップ作成部60は、パス毎に、かつ画素36毎に、当該画素36のドーズ量Dに演算されたドーズ変調率(第2のドーズ変調率)を乗じた分配ドーズ量を分配先となる周辺の画素へと分配する。これにより、ビームの照射位置の位置ずれに起因するパターンの位置ずれ/形状ずれが補正されたドーズ量を得ることができる。照射位置の位置ずれが補正された後の各画素36(制御グリッド27)のドーズ量を使って、パス毎のドーズマップ(3)が作成される。
ドーズ過剰欠陥ビーム画素特定工程(S116)として、特定部68は、ドーズ過剰欠陥ビームが照射する画素を特定する。
判定工程(S120)として、判定部62は、ドーズ過剰欠陥ビームが照射する画素毎に、ドーズ過剰欠陥ビームによる過剰ドーズを相殺するようにドーズ過剰欠陥ビームの周辺ビーム群にドーズ過剰分を分担可能か判定する。分担可能であれば、ドーズ分配工程(S122)に進む。分担可能で無い場合、ドーズ大の周辺画素特定工程(S130)に進む。
図13は、実施の形態1における制御グリッドとビームの照射位置とパターンエッジとの関係の一例を示す図である。マルチビーム20の各ビームは、理想的には対応する制御グリッド27を照射するはずであるが、図13に示すように、実際の照射位置39は制御グリッド27からずれてしまう場合が多い。そして、これらのビーム群の中にドーズ過剰欠陥ビーム10が存在する場合、さらに、描画対象のパターンとの位置関係が問題となる。想定されるケースとして、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置がパターンエッジ11aよりもパターンの外側、すなわち、パターン外に位置するケースAがある。その他、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置がパターンエッジ11b上に位置するケースBがある。その他、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置がパターンの内側、すなわち、パターン内であってパターンエッジ11c付近に位置するケースCがある。その他、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置がパターン内であってパターンエッジ11dから十分離れて位置するケースDがある。
判定部62は、ドーズ過剰欠陥ビーム10による過剰ドーズを相殺するようにドーズ過剰欠陥ビームの周辺ビーム群にドーズ過剰分を分担させる(分担ドーズ量を減じる)ことができるか否かを判定する。周辺ビーム(群)には他のパスのビームも含めて構わない。
マイナスドーズを照射することはできないので、分担させるためには、周辺ビーム群のドーズ量がゼロではない正の有限値である必要がある。よって、パターン外に位置するケースAでは、周辺ビームもパターン外に位置するのでそもそもドーズ量がゼロであり、分担できない。一方、残りのケースB,C,Dでは、周辺ビームをパターン内にできるので、原則としては分担可能である。但し、ケースB,Cの場合でも、ドーズ過剰欠陥ビームの位置と周辺ビームの位置ずれ後の位置とパターンエッジの位置関係によっては、ドーズ過剰欠陥ビームの周辺ビーム群にドーズ過剰分を分担させることが困難な場合もあり得る。よって、判定部62は、ケースAの場合にドーズ過剰分を分担させると判定する場合の他に、判定部62は、ケースA,B,Cの場合にドーズ過剰分を分担させると判定する場合であっても構わない。いずれを選択するかは予め設定しておけばよい。
マイナスドーズを照射することはできないので、分担させるためには、周辺ビーム群のドーズ量がゼロではない正の有限値である必要がある。よって、パターン外に位置するケースAでは、周辺ビームもパターン外に位置するのでそもそもドーズ量がゼロであり、分担できない。一方、残りのケースB,C,Dでは、周辺ビームをパターン内にできるので、原則としては分担可能である。但し、ケースB,Cの場合でも、ドーズ過剰欠陥ビームの位置と周辺ビームの位置ずれ後の位置とパターンエッジの位置関係によっては、ドーズ過剰欠陥ビームの周辺ビーム群にドーズ過剰分を分担させることが困難な場合もあり得る。よって、判定部62は、ケースAの場合にドーズ過剰分を分担させると判定する場合の他に、判定部62は、ケースA,B,Cの場合にドーズ過剰分を分担させると判定する場合であっても構わない。いずれを選択するかは予め設定しておけばよい。
ドーズ分配工程(S122)として、ドーズ分配処理部61は、ドーズ過剰欠陥ビームによる過剰ドーズを相殺するようにドーズ過剰欠陥ビームの周辺ビーム群がドーズ過剰分を分担するよう分配処理する。まず、過剰ドーズは、ドーズ過剰欠陥ビームのドーズ量から当該画素36に照射されるべきドーズ量Dを差し引くことにより求めることができる。過剰ドーズ量Δは、次の式(2)で定義できる。
図14は、実施の形態1におけるビーム分布を説明するための図である。図14では、縦軸にビーム強度を示し、横軸に位置を示す。マルチビームの各ビームの強度は、理想的には成型アパーチャの幅に縮小率をかけた幅の矩形の分布だが、実際には光学系の収差のためボケを生じて、例えば、ガウシアン分布に近い分布になる。この場合でも成型アパーチャの幅に縮小率をかけた幅をビームサイズとする。よって、実際のビームは、かかるビームサイズの周囲に強度が弱いブラー部分が存在する。かかるブラー部分による過剰ドーズ量もパターンエッジの形状に大きく影響を与えることになる。そこで、実施の形態1では、ブラー部分の影響を受ける可能性が高い、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置(ドーズ過剰欠陥ビーム10の重心)からパターンエッジ11cまでの距離Lがビーム分布の3σ以内をケースCのパターンエッジ11c付近と定義する。また、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置(ドーズ過剰欠陥ビーム10の重心)からパターンエッジ11cまでの距離Lがビーム分布の3σより大きいパターン中央部側にドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置が位置するケースDでは、過剰ドーズの影響を受けるものの、ケースB,Cよりは精度を落とした補正で足りる。よって、ケースB,Cの場合とケースDの場合とで、その後の処理を区別すると好適である。
図15は、実施の形態1におけるパターン中央部の欠陥ビームと、その周辺ビームの一例を示す図である。ケースDの場合、例えば2ビーム間ピッチ内の照射位置39a~39kまでの11個(N=11)のビームを周辺ビームとして用いる。ここで用いるビーム間ピッチは、設計上のサイズで構わない。ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置(ドーズ過剰欠陥ビーム10の重心)からパターンエッジ11dまでの距離Lがビーム分布の3σより大きいパターン中央部側にドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置が位置するケースDの場合、過剰ドーズ量がパターンエッジの形状に与える影響が小さいので、それほど精度を上げる必要はなく、演算処理の時間を短縮すべく全分担ドーズ量の重心位置は考慮しない。ケースDの場合、ドーズ分配処理部61は、過剰ドーズ量Δを特定された周辺ビームの数Nで割ることで、各分担ドーズ量δdを求める。各分担ドーズ量δdは、次の式(3)で定義できる。
なお、ケースDの場合でも、補正精度を向上すべく、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置から周辺ビームの照射位置までの距離riに応じて分担ドーズ量を可変にしても構わない。iは、N個の周辺ビーム群のうちの対象となる周辺ビームのインデックスを示す。かかる場合、各分担ドーズ量δdiは、過剰ドーズ量Δ、及び距離riを用いて、例えば次の式(4)で定義できる。
そして、ドーズ分配処理部61は、これらの複数の周辺ビームのそれぞれのドーズ量Dから対応する分担ドーズ量δdiを減ずる。
一方、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置がパターンエッジ11b上に位置するケースB、及びドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置がパターン内であってパターンエッジ11c付近に位置するケースCでは、過剰ドーズの分担の仕方によって、パターンエッジ形状が変化してしまうので、補正精度を上げるべく全分担ドーズ量の重心位置を考慮する。
図16は、実施の形態1におけるパターンエッジ上或いはエッジ付近の欠陥ビームと、その周辺ビームの一例を示す図である。ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置から例えば2ビーム間ピッチ内に照射位置39が位置するパターン内のビームを周辺ビームとして用いる。ここで用いるビーム間ピッチは、設計上のサイズで構わない。どの範囲まで周辺ビームとするかは適宜設定すればよい。
次に、ドーズ過剰欠陥ビーム10の周囲の複数の周辺ビームを、予め設定された数の複数の周辺ビームにより構成される複数の組を設定する。例えば3個ずつの隣接する周辺ビームより構成される複数の組を設定する。そして、ドーズ分配処理部61は、ケースB,Cの場合に、重心位置を考慮した複数の分配ドーズ量を演算する。具体的には以下のように動作する。ドーズ分配処理部61は、複数の組の組毎に、各分担ドーズ量をドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置から当該組を構成する3つの周辺ビームの照射位置までの距離riに応じて演算する。例えば、組G1を構成する照射位置39a,39b,39cの3つの周辺ビームについて、照射位置39aのビームへの分担ドーズ量δd1、照射位置39bのビームへの分担ドーズ量δd2、及び照射位置39cのビームへの分担ドーズ量δd3は、過剰ドーズ量Δ、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置から周辺ビームの照射位置39aまでの距離r1と、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置から周辺ビームの照射位置39bまでの距離r2と、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置から周辺ビームの照射位置39cまでの距離r3と、を用いて、上述した式(4)により求めることができる。その他の組についても同様である。
ドーズ分配処理部61は、組毎に、演算された各分担ドーズ量を用いて、当該組を構成する3つの周辺ビームが分担する複数の分担ドーズ量の重心位置を演算する。各組の複数の分担ドーズ量の重心位置Gj’は、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置から当該組Gjを構成する3つの周辺ビームの照射位置までのベクトル距離riと、分担ドーズ量δdiとを用いて例えば以下の式(5)で定義できる。jは、複数の組のうちの対象となる組のインデックスを示す。式(5)では重心位置Gj’をベクトルで示すが、ドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置からのx方向位置dxとy方向位置dyに分解してももちろん構わない。
ドーズ分配処理部61は、複数の組のうち、重心位置Gj’とドーズ過剰欠陥ビーム10の照射位置とのずれがより小さくなる組Gjを選択する。そして、ドーズ分配処理部61は、選択された組の3つの周辺ビームがドーズ過剰分を分担するよう分配処理する。なお、パス数が多い場合などは「複数の組」の数が増えるので、全ての組を演算しないで、優先的な組(欠陥ビームとの距離などから優先度を決定)から演算し、必要な精度の重心が求まった時点で演算を終了する(残りの組は演算しない)と好適である。具体的には、ドーズ分配処理部61は、選択された3つの周辺ビームのそれぞれのドーズ量Dから対応する分担ドーズ量δdiを減ずる。
これに対して、ドーズ過剰欠陥ビーム10が、パターン外に位置するケースAでは、周辺ビームもパターン外に位置するのでそもそもドーズ量がゼロであり、分担できない。このままでは、描画されるパターンの形状に誤差が生じてしまう。そこで、実施の形態1では、ドーズ過剰分の重心位置をパターン内に移動させる。以下、具体的に説明する。
ドーズ大の周辺画素特定工程(S130)として、ドーズ大の周辺画素特定部64は、ドーズ過剰欠陥ビーム10の複数の周辺画素のうち、パターン内で、他の周辺画素(照射位置)よりもドーズ量が多い周辺画素(照射位置)を特定する。
図17は、実施の形態1におけるドーズプロファイルと画素との関係の一例を示す図である。ドーズ過剰欠陥ビームが存在しなければ、図17(a)に示すように、パターンのエッジの位置にずれが生じないようにできる。しかしながら、図17(b)に示すように、パターンよりも外側にドーズ過剰欠陥ビーム10による過剰ドーズが照射されてしまうと、パターンエッジの位置がずれてしまう。図17(c)では、上面から見たON欠陥ビームによる過剰ドーズ(ここでは、最大ドーズDpmax)が照射される画素2を示している。図17(b)の例では、パターンのエッジ位置と重なる画素の例えば1つ内側の画素13,15に照射されるドーズ量が大きい。かかる場合、ドーズ大の周辺画素特定部64は、かかる画素13,15を、パターン内で他の周辺画素(照射位置)よりもドーズ量が多い周辺画素として特定する。なお、周辺画素を決める際、まずはドーズ過剰欠陥ビームから位置が近いことが求められる。その近いビーム群の中からドーズ大のビームを選んだ方が、効率が良い。
追加ドーズ割振工程(S132)として、割振部65(追加ドーズ割振り部)は、マルチビーム20のうち、ビームのドーズ量制御ができず照射されるドーズ量が過剰になるドーズ過剰欠陥ビーム10が、過剰ドーズが拡散する範囲内において過剰ドーズ量を相殺するためのドーズが不足する位置に照射されることによって、試料101に生じる過剰ドーズによるドーズ分布(第1のドーズ分布)を、過剰ドーズによるドーズ分布の範囲内であって過剰ドーズを相殺するためのビーム照射が存在する描画対象のパターンの内側に中心(例えば、重心位置)が位置する合成ドーズ分布(第2のドーズ分布)にするための追加ドーズ量をパターン内の位置に割り振る。過剰ドーズが拡散する範囲内において過剰ドーズ量を相殺するためのドーズが不足する位置として、例えば、描画対象のパターン端部近傍が挙げられる。例えば、パターン端部から2~3ビームサイズまでの範囲内の位置が挙げられる。例えばケースAの場合には、パターン外に照射されることによって試料101(基板)に生じるドーズ分布の中心をパターン内に移動させる追加ドーズ量をパターン内の位置に割り振る。例えばケースB,Cの場合には、パターンエッジ11上或いはパターンエッジ11付近に照射されることによって試料101(基板)に生じるドーズ分布の中心をパターンの内側に移動させる追加ドーズ量をパターン内の位置に割り振る。割振部65は、ドーズ過剰欠陥ビーム10の複数の周辺画素のうち、パターン内で、他の周辺画素(照射位置)よりもドーズ量が多い周辺画素(照射位置)が新たなドーズ分布(後述する合成ドーズ分布)の中心(例えば、重心位置)になるように追加ドーズ量を割り振る。この際、割振部65は、予め設定されたドーズ閾値を超えないように追加ドーズ量を割り振る。ドーズ閾値として、例えば、最大ドーズDpmaxの1/2程度の値に設定すると好適である。具体的には、以下のように動作する。
図18は、実施の形態1における追加ドーズの割振りと重心位置との一例を示す図である。図19は、実施の形態1における過剰ドーズによるドーズ分布と追加ドーズによるドーズ分布と両者の合成ドーズ分布との一例を示す図である。図18(a)では、パターン外の画素2に過剰ドーズ(ここでは、最大ドーズDpmax)が照射される。このままでは、過剰ドーズの重心位置は画素2内になる。そこで、図18(b)に示すように、パターン外の画素2から-x方向に例えば4画素離れたパターン内の周辺画素12に追加ドーズ量を割り振る。例えば、画素2と同様の最大ドーズDpmaxを割り振る。
或いは、最大ドーズDpmaxを割り振ると予め設定された最大ドーズを超える場合、追加ドーズ量として、例えば、最大ドーズの1/2であるDpmax/2を周辺画素12に割り振る。そして周辺画素12に割り振る追加ドーズ量を減らした分、他の周辺画素にも追加ドーズ量を割り振る。図18(b)の例では、周辺画素12の他に、パターン外の画素2から-x方向に例えば4画素離れ、y方向に2画素離れたパターン内の周辺画素14に追加ドーズ量を割り振る。追加ドーズ量として、周辺画素12に割り振り切れなかった残りの、例えば、最大ドーズの1/2であるDpmax/2を割り振る。これらの追加ドーズ量によって、画素2に位置した過剰ドーズの重心位置が図18(c)に示すように、画素2と画素12の中間位置となる周辺画素13と画素2と画素14の中間位置となる周辺画素15とにそれぞれ重心位置を移動させることができる。言い換えれば、図19に示す過剰ドーズによるドーズ分布について、過剰ドーズによるドーズ分布の範囲内の周辺画素12(14)に追加ドーズ量を割り振ることで、追加ドーズによるドーズ分布が生じる。これにより、試料101に形成されるパターンに影響を与えるドーズ分布を、過剰ドーズによるドーズ分布から、過剰ドーズによるドーズ分布と追加ドーズによるドーズ分布とが合成された図19に示す合成ドーズ分布に変換できる。これにより、試料101に形成されるパターンに影響を与えるドーズ分布の中心をパターン外部からパターン内部へと移動させることと同じである。ここでは、合成ドーズ分布の中心(例えば、重心位置)が、パターンの内側に位置するようにするために、周辺画素12(14)に追加ドーズ量が割り振られる。図18(c)では、合成ドーズ分布の中心を周辺画素13(15)で示している。これにより、パターン外の画素2に照射される過剰ドーズを打ち消すことができる。一方、このままでは、周辺画素13,15に余分なドーズ量が照射されてしまうことになる。そこで、次は周辺画素13,15に生じた余分なドーズ量を打ち消す。
或いは、最大ドーズDpmaxを割り振ると予め設定された最大ドーズを超える場合、追加ドーズ量として、例えば、最大ドーズの1/2であるDpmax/2を周辺画素12に割り振る。そして周辺画素12に割り振る追加ドーズ量を減らした分、他の周辺画素にも追加ドーズ量を割り振る。図18(b)の例では、周辺画素12の他に、パターン外の画素2から-x方向に例えば4画素離れ、y方向に2画素離れたパターン内の周辺画素14に追加ドーズ量を割り振る。追加ドーズ量として、周辺画素12に割り振り切れなかった残りの、例えば、最大ドーズの1/2であるDpmax/2を割り振る。これらの追加ドーズ量によって、画素2に位置した過剰ドーズの重心位置が図18(c)に示すように、画素2と画素12の中間位置となる周辺画素13と画素2と画素14の中間位置となる周辺画素15とにそれぞれ重心位置を移動させることができる。言い換えれば、図19に示す過剰ドーズによるドーズ分布について、過剰ドーズによるドーズ分布の範囲内の周辺画素12(14)に追加ドーズ量を割り振ることで、追加ドーズによるドーズ分布が生じる。これにより、試料101に形成されるパターンに影響を与えるドーズ分布を、過剰ドーズによるドーズ分布から、過剰ドーズによるドーズ分布と追加ドーズによるドーズ分布とが合成された図19に示す合成ドーズ分布に変換できる。これにより、試料101に形成されるパターンに影響を与えるドーズ分布の中心をパターン外部からパターン内部へと移動させることと同じである。ここでは、合成ドーズ分布の中心(例えば、重心位置)が、パターンの内側に位置するようにするために、周辺画素12(14)に追加ドーズ量が割り振られる。図18(c)では、合成ドーズ分布の中心を周辺画素13(15)で示している。これにより、パターン外の画素2に照射される過剰ドーズを打ち消すことができる。一方、このままでは、周辺画素13,15に余分なドーズ量が照射されてしまうことになる。そこで、次は周辺画素13,15に生じた余分なドーズ量を打ち消す。
打ち消しドーズ算出工程(S134)として、打消ドーズ算出部66は、追加ドーズ量が割り振られたことによって移動したドーズ分布の中心(例えば、重心位置)に生じたドーズ量増加分を算出する。図18(c)に示すように、追加ドーズ量が割り振られたことによって移動した重心位置となった周辺画素13,15には、それぞれ見かけ上、Dpmaxのドーズ量増加分が生じる。
打ち消し補正工程(S136)として、補正部67は、追加ドーズ量が割り振られることによって合成ドーズ分布の中心(例えば、重心位置)に生じるドーズ量増加分を、合成ドーズ分布の中心若しくは合成ドーズ分布の中心の近傍に照射されるドーズ量から減らすように補正する。合成ドーズ分布の中心の近傍としては、例えば、合成ドーズ分布の中心から2~3ビームサイズの範囲内が好適である。例えば、多重描画のうち追加ドーズ量が割り振られるパスとは異なるパスにおいて移動したドーズ分布の中心(例えば、重心位置)に照射されるドーズ量から減らすように補正する。移動した後のドーズ分布の中心位置と、ビームを照射する位置とがずれる場合もある。或いは、1つのドーズ分布の中心位置に対して、複数のビームの照射位置のドーズ量を補正しても良い。これらの場合には、ドーズ分布の中心の近傍に照射されるドーズ量から減らすように補正する。図18(c)の例では、周辺画素13に生じたドーズ量増加分Dpmaxを他のパスのドーズ量から減らす。1つのパスで減らしきれない場合には複数のパスを使ってドーズ量増加分Dpmaxを減らす。同様に、周辺画素15に生じたドーズ量増加分Dpmaxを他のパスのドーズ量から減らす。1つのパスで減らしきれない場合には複数のパスを使ってドーズ量増加分Dpmaxを減らす。実施の形態1では、移動後の重心位置として、元々、他の周辺画素(照射位置)よりもドーズ量が多い周辺画素13,15をあえて選択しているので、ドーズ量増加分Dpmaxを減らしきれずに残ってしまうリスクを低減できる。なお、同じパスで減らせるのであれば、同じパスのドーズ量からドーズ量増加分Dpmaxを減らしても構わない。
判定工程(S138)として、判定部63は、すべてのドーズ過剰欠陥ビームの過剰ドーズを相殺しきれたか否かを判定する。まだ、相殺しきれていないドーズ過剰欠陥ビームが存在する場合には、判定工程(S120)に戻り、すべてのドーズ過剰欠陥ビームの過剰ドーズの相殺が完了するまで同様の各工程を繰り返す。
上述した例では、ドーズ過剰欠陥ビームにより照射されるドーズ量として、照射時間内の最大ドーズ量Dpmaxを用いたが、これに限るものではない。ドーズ過剰欠陥ビームにより照射されるドーズ量として、照射時間内の最大ドーズ量Dpmaxにさらにビーム偏向のためのセトリング時間のドーズ量を加えた値が用いられると好適である。或いは、さらに、ビームを照射するある画素から次の画素へ切り換え処理にかかる切り換え時間、及びデータ転送時間のドーズ量を含めても好適である。
照射時間演算工程(S140)として、照射時間演算部72は、ビームの位置ずれが補正され、ドーズ不足欠陥ビームによる不足ドーズ量およびドーズ過剰欠陥ビームによる過剰ドーズ量が相殺されたパス毎の各画素のドーズ量に対応する照射時間tを演算する。照射時間tは、ドーズ量Dを電流密度で割ることで演算できる。各画素36(制御グリッド27)の照射時間tは、マルチビーム20の1ショットで照射可能な最大照射時間Ttr内の値として演算される。照射時間データは記憶装置142に格納される。
描画工程(S142)として、まず、描画制御部74は、照射時間データを描画シーケンスに沿ってショット順に並び替える。そして、ショット順に照射時間データを偏向制御回路130に転送する。偏向制御回路130は、ブランキングアパーチャアレイ機構204にショット順にブランキング制御信号を出力すると共に、DACアンプユニット132,134にショット順に偏向制御信号を出力する。そして、描画機構150は、ドーズ過剰欠陥ビームを含むマルチビーム20を用いて、多重描画を行うことにより試料101にパターンを描画する。
以上のように、実施の形態1によれば、マルチビーム描画において簡易な手法で過剰ドーズ或いは/及び不足ドーズに起因するパターンの形状誤差を低減できる。さらに、マルチビーム描画において、パターンの端部よりも外側の位置にドーズ過剰欠陥ビームが照射される場合に、簡易な手法で欠陥ビームに起因するパターンの形状誤差を低減できる。よって、過剰ドーズに起因するパターンの形状誤差を補正するドーズ変調の計算処理時間を短縮できる。この結果、ドーズ変調の計算処理と描画動作とを並列に実行できる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。上述した例では、1ショット分の最大照射時間Ttr内で、マルチビーム20の各ビームが照射時間をビーム毎に個別に制御する場合について説明した。しかし、これに限るものではない。例えば、1ショット分の最大照射時間Ttrを照射時間の異なる複数のサブショットに分割する。そして、各ビームに対して、それぞれ複数のサブショットの中から1ショット分の照射時間になるようにサブショットの組合せを選択する。そして、選択されたサブショットの組合せが同じ画素に対して連続して同じビームで照射されることにより、ビーム毎に1ショット分の照射時間を制御するようにしても好適である。
また、上述した例では、各制御回路41の制御用に10ビットの制御信号が入力される場合を示したが、ビット数は、適宜設定すればよい。例えば、2ビット、或いは3ビット~9ビットの制御信号を用いてもよい。なお、11ビット以上の制御信号を用いてもよい。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのマルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法は、本発明の範囲に包含される。
2,12,13,14,15 画素
10 ドーズ過剰欠陥ビーム
11 パターンエッジ
20 マルチビーム
22 穴
24 制御電極
25 通過孔
26 対向電極
27 制御グリッド
28 画素
29 サブ照射領域
30 描画領域
32 ストライプ領域
31 基板
33 支持台
34 照射領域
35 単位領域
36 画素
37,39 照射位置
41 制御回路
47 個別ブランキング機構
50 ラスタライズ部
52 ドーズマップ作成部
54 ビーム位置ずれマップ作成部
56 検出部
59 変調率演算部
60 ドーズマップ作成部
61 ドーズ分配処理部
62 判定部
63 判定部
64 ドーズ大の周辺画素特定部
65 割振部
66 打消ドーズ算出部
67 補正部
68 特定部
72 照射時間演算部
74 描画制御部
100 描画装置
101 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機
112 メモリ
130 偏向制御回路
132,134 DACアンプユニット
139 ステージ位置検出器
140,142,144 記憶装置
150 描画機構
160 制御系回路
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
204 ブランキングアパーチャアレイ機構
205 縮小レンズ
206 制限アパーチャ基板
207 対物レンズ
208,209 偏向器
210 ミラー
330 メンブレン領域
332 外周領域
10 ドーズ過剰欠陥ビーム
11 パターンエッジ
20 マルチビーム
22 穴
24 制御電極
25 通過孔
26 対向電極
27 制御グリッド
28 画素
29 サブ照射領域
30 描画領域
32 ストライプ領域
31 基板
33 支持台
34 照射領域
35 単位領域
36 画素
37,39 照射位置
41 制御回路
47 個別ブランキング機構
50 ラスタライズ部
52 ドーズマップ作成部
54 ビーム位置ずれマップ作成部
56 検出部
59 変調率演算部
60 ドーズマップ作成部
61 ドーズ分配処理部
62 判定部
63 判定部
64 ドーズ大の周辺画素特定部
65 割振部
66 打消ドーズ算出部
67 補正部
68 特定部
72 照射時間演算部
74 描画制御部
100 描画装置
101 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機
112 メモリ
130 偏向制御回路
132,134 DACアンプユニット
139 ステージ位置検出器
140,142,144 記憶装置
150 描画機構
160 制御系回路
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
204 ブランキングアパーチャアレイ機構
205 縮小レンズ
206 制限アパーチャ基板
207 対物レンズ
208,209 偏向器
210 ミラー
330 メンブレン領域
332 外周領域
Claims (6)
- マルチ荷電粒子ビームを形成するビーム形成機構と、
試料上の各位置でのドーズ量を演算するドーズ量演算部と、
前記マルチ荷電粒子ビームのうち、ビームのドーズ量制御ができず照射されるドーズ量が過剰になるドーズ過剰欠陥ビームが、過剰ドーズが拡散する範囲内において過剰ドーズ量を相殺するためのドーズが不足する位置に照射されることによって、前記試料に生じる過剰ドーズによる第1のドーズ分布を、前記第1のドーズ分布の範囲内であって過剰ドーズを相殺するためのビーム照射が存在する描画対象のパターンの内側に中心が位置する第2のドーズ分布にするための追加ドーズ量を前記パターン内の位置に割り振る追加ドーズ割振り部と、
前記追加ドーズ量が割り振られることによって前記第2のドーズ分布の中心に生じるドーズ量増加分を、前記第2のドーズ分布の中心若しくは前記第2のドーズ分布の中心の近傍に照射されるドーズ量から減らすように補正する補正部と、
前記ドーズ過剰欠陥ビームを含む前記マルチ荷電粒子ビームを用いて、試料にパターンを描画する描画機構と、
を備えたことを特徴とするマルチ荷電粒子ビーム描画装置。 - 前記描画機構は、多重描画を行い、
前記ドーズ量演算部は、前記マルチ荷電粒子ビームのうち、ドーズ量が不足するドーズ不足欠陥ビームで照射される位置でのドーズ不足分を、前記多重描画のうち前記ドーズ量が不足する描画処理とは異なる描画処理で照射されるドーズ量に加算することを特徴とする請求項1記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。 - 前記追加ドーズ割振り部は、予め設定されたドーズ閾値を超えないように前記追加ドーズ量を割り振ることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
- 前記追加ドーズ割振り部は、周囲の照射位置よりもドーズ量が多い照射位置が前記第2のドーズ分布の中心になるように前記追加ドーズ量を割り振ることを特徴とする請求項1~3いずれか記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
- 前記ドーズ過剰欠陥ビームにより照射されるドーズ量として、照射時間内のドーズ量にさらにビーム偏向のためのセトリング時間のドーズ量を加えた値が用いられることを特徴とする請求項1~4いずれか記載のマルチ荷電粒子ビーム描画装置。
- マルチ荷電粒子ビームを形成する工程と、
試料上の各位置でのドーズ量を演算する工程と、
前記マルチ荷電粒子ビームのうち、ビームのドーズ量制御ができず照射されるドーズ量が過剰になるドーズ過剰欠陥ビームが、過剰ドーズが拡散する範囲内において過剰ドーズ量を相殺するためのドーズが不足する位置に照射されることによって、前記試料に生じる過剰ドーズによる第1のドーズ分布を、前記第1のドーズ分布の範囲内であって過剰ドーズを相殺するためのビーム照射が存在する描画対象のパターンの内側に中心が位置する第2のドーズ分布にするための追加ドーズ量を前記パターン内の位置に割り振る工程と、
前記追加ドーズ量が割り振られることによって前記第2のドーズ分布の中心に生じるドーズ量増加分を、前記第2のドーズ分布の中心若しくは前記第2のドーズ分布の中心の近傍に照射されるドーズ量から減らすように補正する工程と、
前記ドーズ過剰欠陥ビームを含む前記マルチ荷電粒子ビームを用いて、試料にパターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とするマルチ荷電粒子ビーム描画方法。
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| JP2020102168A JP7421423B2 (ja) | 2020-06-12 | 2020-06-12 | マルチ荷電粒子ビーム描画装置及びマルチ荷電粒子ビーム描画方法 |
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|---|---|---|---|---|
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2020
- 2020-06-12 JP JP2020102168A patent/JP7421423B2/ja active Active
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2021
- 2021-03-16 KR KR1020227031072A patent/KR102725017B1/ko active Active
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2022
- 2022-11-21 US US18/057,471 patent/US12412730B2/en active Active
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