これらに限定されないが、誘導心筋細胞を生成すること;好ましくはin vivoで、心臓線維芽細胞を心筋細胞に直接リプログラミングすること;心不全の様々な形態、好ましくは拡張型心筋症の処置;およびMIなどの心臓の傷害の処置に適した組成物および方法への長い間切実な未だ満たされていない必要性が残っている。本開示は、このような組成物および方法などを提供する。
本開示は、他の細胞型をリプログラミングすることによる誘導心筋(iCM)細胞の生成(in vivo、in vitro、またはex vivoでの)に関連する方法および組成物を提供する。特定には、本発明者らは、分化した細胞、例えば線維芽細胞は、Achaete-scute相同体1(ASCL1)および/または筋原性因子6(MYF6)の発現によって、心筋細胞にリプログラミングすることができることを発見した。ASCL1は、主として神経系、神経単位、および神経内分泌の発達におけるその役割について公知である。Mao et al. Functional and Physical Interactions between Mammalian Achaete-Scute Homolog 1 and Myocyte Enhancer Factor 2A. J. Bio. Chem. 271:14371-75 (1996);Borges et al. An achaete-scute homologue essential for neuroendocrine differentiation in the lung. Nature. 386 (6627):852-55 (1997)。細胞リプログラミングに関して、ASCL1は、当業界では非神経細胞の機能的なニューロンへの変換に関連する因子として公知である。Chanda et al. Generation of Induced Neuronal Cells by the Single Reprogramming Factor ASCL1. Stem Cell Report 3:282-96 (2014);Wapinski et al. Rapid Chromatin Switch in the Direct Reprogramming of Fibroblasts to Neurons. Cell Reports 20:3236-47 (2017);Wapinski et al. Hierarchical mechanisms for transcription factor-mediated reprogramming of fibroblasts to neurons. Cell 155:621-35 (2013)。実際に、他のリプログラミング因子と同時のASCL1の発現は、当業界において、ヒト誘導多能性幹細胞(hiPSC)を、心筋細胞表現型から神経単位(Tuj1+cTnT-)または神経単位様の表現型(Tuj1+cTnT+)に変換することに、すなわち心筋細胞のリプログラミングと反対の作用に使用されてきた。Chuang et al. Partial Reprogramming of Pluripotent Stem Cell-Derived Cardiomyocytes into Neurons. Sci Rep. 7:44840 (2017)。対照的に、本開示は、ASCL1を使用して線維芽細胞から誘導心筋(iCM)細胞を生成するための組成物および方法を提供する。
MYF6は、筋肉の分化に関連する筋原性因子である。これは、線維芽細胞を筋原細胞に分化するように誘導し、MYF6における突然変異は、先天性の筋肉疾患と関連する。MYF6が心筋細胞の分化に関与するという示唆はない。対照的に、本開示は、MYF6を使用して誘導心筋(iCM)細胞を生成するための組成物および方法を提供する。
さらに、本開示は、内部の欠失を有する操作されたミオカルディンタンパク質をコードするポリヌクレオチド、内部の欠失を有する操作されたミオカルディンタンパク質、およびその使用方法を提供する。本開示は、このようなポリヌクレオチドを含むベクター、および一部の実施形態において、他のタンパク質をコードする1つまたは複数の追加の核酸を提供する。開示されたポリヌクレオチドは、例えば、誘導心筋細胞を生成するためのポリシストロン性アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターでの哺乳動物線維芽細胞の形質導入にとって有用である。本開示はさらに、他の細胞型のリプログラミングによる誘導心筋(iCM)細胞の生成に関連する方法および組成物を提供する。特定には、本発明者らは、分化した細胞、例えば線維芽細胞は、Achaete-scute相同体1(ASCL1)の発現によって誘導心筋細胞にリプログラミングされ得ること;ミオカルディン(MYOCD)とASCL1の共発現は、このようなリプログラミングに効果的であること;一部の実施形態において、内部の欠失を有する操作されたミオカルディンタンパク質は、遺伝子発現、リプログラミング、もしくは他の機能におけるベクターの機能を強化し、または少なくとも天然のミオカルディンタンパク質を有するベクターと同じレベルの機能を保持することを発見した。このような操作されたミオカルディンおよびASCL1をコードするAAVベクターの一部の実施形態は、驚くべきことに、天然のミオカルディンおよびASCL1をコードするAAVベクターと比較して、改善される。他の開示された実施形態は、これらに限定されないが、レトロウイルス(例えば、レンチウイルス)ベクター、ASCL1に加えて、またはその代わりに、他の因子との、操作されたミオカルディンの共発現のためのベクター、本開示のポリヌクレオチドの非ウイルス送達、これらの実施形態を適用するin vivoおよびex vivoの方法、ならびに心疾患を処置するための組成物および方法、例えば1つまたは複数のベクター、および、一部の実施形態において、1つまたは複数の小分子の投与を含む方法を含む。本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定され、以下の詳細な説明は、この段落に記載したものを超える多様な実施形態を提供する。
一態様において、本開示は、ミオカルディン(MYOCD)の操作されたバリアントに関する。MYOCDは、大きい多機能性の転写因子である。本発明者らは、MYOCDと組み合わせたASCL1の発現が、他のリプログラミング因子があってもなくても哺乳動物線維芽細胞において心筋細胞表現型を誘導するのに十分であることを示すことに加えて、ASCL1およびMYOCDをコードするウイルスベクターが、誘導心筋細胞を生成することを認識した。本開示は、MYOCDとASCL1の両方をコードするウイルスベクター、例えば、レンチウイルスおよびAAVベクターなどを提供する。本発明者らはさらに、開示のレンチウイルスベクターは、一部の実施形態において、本開示のAAVベクターより効果的に心筋細胞を誘導したことを認識した。
本発明者らはまた、驚くべきことに、内部の欠失を含むMYOCDは、ミオカルディンの発現および機能を保持すること、内部の欠失を含むMYOCDは、単独で、または他のリプログラミング因子(例えば、線維芽細胞から心筋細胞を生成するための)と組み合わせて使用することができること;およびさらに、このような操作されたMYOCDを含むウイルスベクターは、一部の実施形態において、天然のMYOCDを含むウイルスベクターと同等に有効であるか、またはそれより有効であったことも見出している。それゆえに本開示はまた、様々な操作されたMYOCDポリヌクレオチド、ウイルスベクター、遺伝子送達系、およびその使用方法も提供する。
I.定義
用語「機能的な心筋細胞」は、本明細書で使用される場合、電気シグナルを送るかまたは受けることができる分化した心筋細胞を指す。一部の実施形態において、心筋細胞は、活動電位および/またはCa2+トランジェントなどの電気生理学的特性を呈する場合、機能的な心筋細胞と言われる。
「分化した非心臓細胞」は、本明細書で使用される場合、成体生物のいずれの細胞型にも分化することができない(すなわち、多能性細胞ではない)細胞であって、心臓系統以外の細胞系統(例えば、神経単位系統または結合組織系統)に属するものを指す場合がある。分化した細胞としては、これらに限定されないが、複能性細胞、少能性細胞(oligopotent cell)、単能性細胞、前駆細胞、および最終的に分化した細胞が挙げられる。特定の実施形態において、分化能が低い細胞は、より分化能が高い細胞に対して「分化した」とみなされる。
「タンパク質をコードする遺伝子」は、本明細書で使用される場合、ベクターの成分を指す場合、ベクターの機能に関連する遺伝子以外のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを意味する。例えば、タンパク質をコードする遺伝子という用語は、リプログラミング活性を有する、ヒトタンパク質をコードするポリヌクレオチドまたはその機能的なバリアントを包含すると予想される。ベクターへの言及における語句「他のタンパク質をコードする遺伝子を含まないベクター」は、ベクターが、列挙された目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むが、リプログラミング活性を有する別のタンパク質、例えば当業界において多能性または心筋細胞表現型のいずれかを促進することが公知の他のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含まないことを意味することが意図される。語句「他のタンパク質をコードする遺伝子を含まないベクター」は、必要に応じて存在する可能性があるベクターの機能に必要なタンパク質をコードするポリヌクレオチドを除外しないし、その語句は、タンパク質をコードしないポリヌクレオチドも除外しない。このようなベクターは、非コードポリヌクレオチド配列を含み、RNA分子(例えばマイクロRNA)をコードするポリヌクレオチドを含む場合がある。逆に、ある特定のタンパク質をコードする遺伝子のみが列挙される場合、他のタンパク質をコードする遺伝子が、追加で存在する可能性があることを暗に示し、例えば、リプログラミング活性を有するタンパク質をコードするタンパク質をコードする遺伝子は、リプログラミングをさらに促進する。
「体細胞」は、生物の体を形成する細胞である。体細胞は、生物における臓器、皮膚、血液、骨および結合組織を構成する細胞を含むが、生殖細胞は含まない。
用語「心臓の異常」または「心機能障害」は、同義的に使用され、心臓のポンプ機能におけるあらゆる欠陥を指す。このようなものとしては、例えば、収縮性の欠陥、弛緩する能力の欠陥(時には拡張機能障害と称される)、心臓弁の異常な、または不適切な機能化、心筋の疾患(時には心筋症と称される)、心筋への不十分な血液供給によって特徴付けられる狭心症、心筋虚血および/または梗塞などの疾患、アミロイドーシスおよびヘモクロマトーシスなどの浸潤性疾患、全体的または局部的な肥大(例えばある種の心筋症または全身性高血圧で起こる可能性があるもの)、ならびに心室間の異常な連通が挙げられる。
用語「心筋症」は、本明細書で使用される場合、心臓が異常に拡大する、厚くなる、および/または硬くなる心筋(myocardium)(心筋(heart muscle))のあらゆる疾患または機能障害を指す。結果として、血液をポンプ輸送する心筋の能力が通常弱くなる。この疾患または障害の病因は、例えば、炎症性、代謝性、毒性、浸潤性、線維形成性、血液学的、遺伝学的、または起源不明であり得る。心筋症の2つの一般的なタイプがあり、すなわち虚血性(酸欠の結果起こる)および非虚血性である。
「心不全(HF)」は、左心室の充満圧を過度に増加させることなく体の代謝の要求を満たすには不十分な全身性灌流を引き起こす、あらゆる構造的または機能的な心臓血管障害に起因する可能性がある複雑な臨床症候群である。これは、呼吸困難および疲労などの具体的な症状、ならびに体液貯留などの徴候によって特徴付けられる。「慢性心不全」または「うっ血性心不全」または「CHF」は、本明細書で使用される場合、同義的に、心不全の継続的または持続的な形態を指す。CHFの一般的なリスク因子としては、老齢、糖尿病、高血圧および過体重になることが挙げられる。CHFは、概して、左心室の収縮機能に従って、駆出率が低減または保持されたHF(HFrEFおよびHFpEF)として分類される。用語「心不全」は、心臓が止まっているか、またはまったく機能しないことを意味しないが、健康な人における正常な状態より弱いことを意味する。一部の場合において、状態は、運動するときだけ顕著になる可能性がある症状を引き起こす、軽度の場合もあり、他の場合において、その状態は、安静時でさえも生命を脅かす可能性がある症状を引き起こす、より重度の場合もある。慢性心不全の最も一般的な症状としては、息切れ、疲れ、脚および足首の腫れ、胸痛ならびに咳が挙げられる。一部の実施形態において、本開示の方法は、CHF(例えば、HFrEF)を患っているまたはそのリスクがある対象においてCHF(例えば、HFrEF)の1つまたは複数の症状を減少させる、防止する、または緩和する。一部の実施形態において、本開示は、CHFおよびCHFに至る可能性がある状態を処置する方法を提供する。
「急性心不全」または「非代償性心不全」は、本明細書で使用される場合、同義的に、心臓が正常な充満圧で体の要求に見合った速度で血液をポンプ輸送することができないことを反映する徴候および症状の悪化の症候群を指す。AHFは、典型的には、数日から数週間の期間にわたり徐々に発症し、次いで代償不全になり、これらの徴候または症状の重症度により至急または緊急の療法を必要とする。AHFは、心臓の収縮もしくは拡張機能における一次的な障害、または異常な静脈もしくは動脈の血管収縮の結果であり得るが、一般的には、容量過負荷を含む複数の要因の相互作用を表す。AHFを有する患者の大部分は、慢性心不全(CHF)の代償不全を有し、結果として、CHFの病態生理学、症候、および診断の議論の多くは、AHFの理解に直接関連する。他の場合において、AHFは、心臓の発作または心臓の機能を損なう事象、例えば急性心筋梗塞、重度の高血圧、心臓弁へのダメージ、異常な心臓リズム、心臓の炎症または感染、毒素および薬物療法に起因する。一部の実施形態において、本開示の方法は、AHFを患っているまたはそのリスクがある対象におけるAHFの1つまたは複数の症状を減少させる、防止する、または緩和する。一部の実施形態において、本開示は、AHFおよびAHFに至る可能性がある状態を処置する方法を提供する。AHFは、心筋梗塞に関連する虚血の結果であり得る。
一部の実施形態において、本開示の方法(例えば、リプログラミング療法)は、1つまたは複数の心臓の状態(例えば、一部の対象において急性および慢性心不全に至る可能性がある心臓の状態)を処置する。本開示の方法および組成物に従って処置可能な例示的な状態としては、急性心筋梗塞(MI)、虚血性心疾患または虚血性心筋症(CM)(慢性MIの形態)、拡張型CM、高血圧性CM、家族性CM、遺伝性CM、特発性CM、弁膜性心疾患に起因するCM、薬物療法および毒素によって誘導されたCM、心筋炎によるCM、ならびに周産期CMが挙げられる。一部の実施形態において、本明細書で開示された組成物および方法は、先天性心疾患を処置する。一部の実施形態において、本開示の方法は、心不全を有する、心不全の症状を呈する、または心不全のリスクがある、すでに心不全に進行している状態またはまだ心不全に進行していない状態を有する対象に、組成物(例えばウイルスベクター)を投与するステップを含む。リプログラミングは、これらの状態を有する患者における心不全を処置するかまたは防止するかのいずれかに使用することができる。これらの状態の全てによる慢性心不全が、一般用語「駆出率が低減された心不全」(HFrEF)に含まれる。
用語「目的の遺伝子」は、本明細書で使用される場合、リプログラミング因子またはリプログラミング因子をコードする核酸を指す。例えば、リプログラミング因子がタンパク質である場合、目的の遺伝子は、文脈から明らかなように、タンパク質または対応するタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列のいずれかである。目的の遺伝子の導入、投与、または他の使用は、遺伝子の発現を増加させる、または遺伝子、遺伝子産物、もしくは遺伝子産物の機能的なバリアントの活性を増加させるあらゆる手段を指すものとして理解されるべきである。したがって、一部の実施形態において、本開示は、iCM細胞を生成する方法であって、核酸(例えばデオキシリボヌクレオチド(DNA)またはリボヌクレオチド(RNA))としての目的のポリヌクレオチド、例えばASCL1および/またはMYF6を、ポリヌクレオチド(例えばデオキシリボヌクレオチド(DNA)またはリボヌクレオチド(RNA))として標的細胞に導入するステップを含む、方法を提供する。ポリヌクレオチドは、当業界において公知の様々な手段のいずれかで、例えば、これらに限定されないが、ウイルス、非ウイルスベクター中で、細胞を、裸のポリヌクレオチドまたはトランスフェクション試薬と複合体化したポリヌクレオチドと接触させることによって、または電気穿孔によって細胞に導入することができる。目的の遺伝子の核酸としての使用としてはまた、目的の遺伝子の発現または活性の間接的な変更、例えば、内因性遺伝子をコードする遺伝子座の遺伝子編集、転写もしくは調節因子の発現、細胞を目的の遺伝子の小分子活性化剤と接触させること、または核酸としての目的の遺伝子の発現もしくは活性を変更するためのDNAもしくはRNAベースの方法を含む遺伝子編集方法の使用も挙げることができる。一部の実施形態において、本開示の方法は、調節領域(例えばエンハンサーまたはプロモーター)を編集すること、スプライス部位を変更すること、マイクロRNA認識部位を除去もしくは挿入すること、アンタゴミアを投与してマイクロRNAを抑制すること、マイクロRNA模倣剤を投与すること、または目的の遺伝子の発現もしくは活性をモジュレートする他のあらゆる様々な手段によって、目的の遺伝子の転写を脱抑制するステップを含む。
「遺伝子産物」は、本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチド配列発現の生成物を意味する。例えば、タンパク質をコードする配列は、配列のタンパク質遺伝子産物への翻訳によって発現され、またはRNAをコードする配列は、DNA配列の対応するRNAへの転写によって発現される。
用語「全能性」は、本明細書で使用される場合、生物の全ての細胞系統を形成する細胞の能力を意味する。例えば、哺乳動物では、接合体および最初の卵割期の割球のみが全能性を有する。
用語「多能性」は、本明細書で使用される場合、体または体細胞の全ての系統を形成する細胞の能力を意味する。例えば、胚性幹細胞は、3つの胚葉、すなわち外胚葉、中胚葉、および内胚葉のそれぞれから細胞を形成することができるタイプの多能性幹細胞である。多能性細胞は、そのマーカー発現、例えばNanogおよびRex1によって認識することができる。
用語「複能性」は、本明細書で使用される場合、1つの系統の複数の細胞型を形成する成体幹細胞の能力を指す。例えば、造血幹細胞は、血液細胞系統の全ての細胞、例えばリンパ球および骨髄性細胞を形成することが可能である。
用語「少能性」は、本明細書で使用される場合、ほんのわずかな異なる細胞型に分化する成体幹細胞の能力を指す。例えば、リンパ球または骨髄幹細胞は、それぞれリンパ球または骨髄系統のいずれかの細胞を形成することが可能である。
用語「単分化能」は、本明細書で使用される場合、単一の細胞型を形成する細胞の能力を意味する。例えば、精原幹細胞は、精細胞を形成する能力しかない。
用語「対象」または「患者」は、本明細書で使用される場合、家畜化された動物、動物園の動物、またはヒトなどのあらゆる動物を指す。「対象」または「患者」は、イヌ、ネコ、ウマ、獣畜、動物園の動物、またはヒトのような哺乳動物であってもよい。対象または患者はまた、トリ、ペット、または農場の動物などのあらゆる家畜化された動物であってもよい。「対象」および「患者」の具体的な例としては、これらに限定されないが、心臓の疾患または障害を有する個体、および心臓障害に関連する特徴または症状を有する個体が挙げられる。
本開示の実施は、別段の指定がない限り、当業界の技術の範囲内である、組織培養、免疫学、分子生物学、細胞生物学および組換えDNAの従来の技術を採用すると予想される。例えば、Sambrook and Russell eds. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition;Ausubel et al. eds. (2007) Current Protocols in Molecular Biologyのシリーズ;Methods in Enzymologyのシリーズ(Academic Press, Inc., N.Y.);MacPherson et al. (1991) PCR 1: A Practical Approach (IRL Press at Oxford University Press);MacPherson et al. (1995) PCR 2: A Practical Approach;Harlow and Lane eds. (1999) Antibodies, A Laboratory Manual;Freshney (2005) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 5thedition;Gait ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis;米国特許第4,683,195号;Hames and Higgins eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization;Anderson (1999) Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins eds. (1984) Transcription and Translation;IRL Press (1986) Immobilized Cells and Enzymes;Perbal (1984) A Practical Guide to Molecular Cloning;Miller and Calos eds. (1987) Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Cold Spring Harbor Laboratory);Makrides ed. (2003) Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells;Mayer and Walker eds. (1987) Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Academic Press, London);Herzenberg et al. eds (1996) Weir's Handbook of Experimental Immunology;Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual, 3rd edition (2002) Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sohail (2004) Gene Silencing by RNA Interference: Technology and Application (CRC Press);Sell (2013) Stem Cells Handbookを参照されたい。
文脈上別段の指定がない限り、本明細書に記載される本発明の様々な特色は、あらゆる組合せで使用できることが具体的に意図される。さらに、本開示はまた、一部の実施形態において、本明細書に記載のいずれの特色または特色の組合せを除外または省略してもよいことも予期する。例示すれば、明細書で複合体が成分A、BおよびCを含むと述べられる場合、A、BもしくはCのいずれか、またはそれらの組合せを省略し、単独で、またはあらゆる組合せで権利放棄することができることが具体的に意図される。
全ての数値の表示、例えばpH、温度、時間、濃度、および分子量は、範囲も含めて、1.0または0.1の増分の(+)または(-)で変化する、必要に応じて、または代替として、±15%、または代替として10%、または代替として5%、または代替として2%の変化量で変化するおよその値である。必ずしも明示的に述べられるとは限らないが、全ての数値の表示は、用語「約」が前に付くことが理解されるものとする。このような範囲の様式は、便宜上および簡潔さのために使用され、範囲の限定として明示的に特定された数値を含むが、その範囲内に包含される全ての個々の数値または部分範囲も、各数値および部分範囲が明示的に特定されているかのように含むことが柔軟に理解されるべきであることが理解されると予想される。例えば、約1から約200の範囲での比率は、約1および約200の明示的に列挙された限定を含むが、約2、約3、および約4などの個々の比率、ならびに例えば約10から約50、約20から約100などの部分範囲も含むと理解されるべきである。また、必ずしも明示的に述べられるとは限らないが、本明細書に記載される試薬は単なる例示であり、このようなものの均等物が当業界において公知であることも理解されるべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「心筋細胞(a cardiomyocyte)」への言及は、複数の心筋細胞を含む。
「および/または」はまた、本明細書で使用される場合、関連する列挙された項目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組合せ、加えて、選択肢(「または」)として解釈される場合、組合せの除外も指し、それらを包含する。
「投与」、「投与すること」などは、本発明の組成物と関連して使用される場合、in vitroにおける非心筋細胞への投与、in vivoにおける非心筋細胞への投与、医療従事者による対象への投与、もしくは対象による自己投与による投与であり得る直接投与、および/または本発明の組成物を処方する動作であり得る間接投与の両方を指す。本明細書において細胞への言及で使用される場合、これは、組成物を細胞に導入することを指す。典型的には、有効量が投与され、この量は、当業者によって決定することができる。あらゆる投与方法を使用することができる。小分子は、例えば、細胞培養培地への小分子の添加によって、または心臓の傷害の部位へのin vivoでの注射によって、細胞に投与してもよい。対象への投与は、例えば、血管内注射、心筋内送達などによって達成することができる。
用語「心細胞」は、本明細書で使用される場合、心臓収縮もしくは血液供給などの心機能をもたらす、またはそれ以外の方法で心臓の構造を維持するのに役立つ、心臓中に存在するあらゆる細胞を指す。心細胞は、本明細書で使用される場合、心臓の心外膜、心筋または心内膜中に存在する細胞を包含する。心細胞としてはまた、例えば、心筋細胞(cardiac muscle cell)または心筋細胞(cardiomyocyte)、および心臓の血管系の細胞、例えば冠動脈または静脈の細胞も挙げられる。心細胞の他の非限定的な例としては、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、心臓幹細胞または前駆細胞、心筋を構成する心臓伝導細胞および心臓ペースメーカー細胞、血管および心細胞を支持する構造が挙げられる。心細胞は、幹細胞から、例えば胚性幹細胞または誘導多能性幹細胞などから得ることができる。
用語「心筋細胞(単数)」または「心筋細胞(複数)」は、本明細書で使用される場合、骨格筋細胞とは対照的に、哺乳動物の心臓に天然に見出されるサルコメアを含有する横紋筋細胞を指す。心筋細胞は、特殊化した分子、例えば、ミオシン重鎖、ミオシン軽鎖、心臓α-アクチニンのようなタンパク質の発現によって特徴付けられる。用語「心筋細胞」は、本明細書で使用される場合、あらゆる心筋細胞の部分集団または心筋細胞のサブタイプ、例えば、心房、心室およびペースメーカー心筋細胞を含む包括的な用語である。
用語「心筋細胞様細胞」は、心筋細胞と特色を共有するが、全ての特色を共有していなくてもよい細胞を意味することが意図される。例えば、心筋細胞様細胞は、ある特定の心臓の遺伝子の発現において心筋細胞と異なっていてもよい。
用語「培養」または「細胞培養」は、人工的なin vitroの環境中での細胞の維持を意味する。「細胞培養系」は、本明細書において、細胞の集団を、単分子層として、または懸濁液中で成長させることができる培養条件を指すものとして使用される。「培養培地」は、本明細書において、細胞の培養、成長、または増殖のための栄養素溶液を指すために使用される。培養培地は、これらに限定されないが、特定の状態(例えば、多能性の状態、休止状態の状態など)で細胞を維持する能力、または細胞を成熟させる能力、例えば、一部の実施形態において、前駆細胞の特定の系統の細胞(例えば、心筋細胞)への分化を促進する能力などの機能特性によって、特徴付けることができる。
用語「発現」または「発現する」は、本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセス、および/または転写されたmRNAがその後ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNA由来の場合、発現は、真核細胞において、mRNAのスプライシングを含み得る。遺伝子の発現レベルは、細胞または組織試料中のmRNAまたはタンパク質の量を測定することによって決定することができる。
「発現カセット」は、本明細書で使用される場合、宿主細胞中でポリヌクレオチドを発現するように構成される、タンパク質または核酸をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含むDNAポリヌクレオチドである。典型的には、ポリヌクレオチドの発現は、構成的または誘導性プロモーター、組織特異的調節エレメント、およびエンハンサーなどのある特定の調節エレメントの制御下に置かれる。このようなポリヌクレオチドは、調節エレメント(例えば、プロモーター)に「作動可能に連結した(operably linked)」または「作動可能に連結した(operatively linked)」と言われる。
用語「誘導心筋細胞」または略語「iCM」は、心筋細胞(および/または心筋細胞様細胞)に形質転換した非心筋細胞(およびその後代)を指す。本開示の方法は、例えば他の技術を強化するために、誘導心筋細胞を生成するための、現在公知の、または後に発見されるあらゆる方法と併せて使用することができる。
用語「非心筋細胞」は、本明細書で使用される場合、本明細書において定義および使用されるような「心筋細胞」の基準を満たさない細胞調製物中のあらゆる細胞または細胞の集団を指す。非心筋細胞の非限定的な例としては、体細胞、心臓線維芽細胞、非心臓性の線維芽細胞、心臓前駆細胞、および幹細胞が挙げられる。
語句「薬学的に許容される」は、本明細書において、確実な医療的判断の範囲内であり、ヒトおよび動物の組織と接触する使用に好適であり、過剰な毒性、刺激、アレルギー性応答、または他の問題もしくは合併症をもたらすことなく、適度なベネフィット/リスク比に見合った化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために用いられる。
用語「再生する」、「再生」などは、傷害を受けた心臓組織に関して本明細書で使用される場合、その通常の意味が与えられるものとし、傷害を受けた、例えば、虚血、梗塞、再灌流、または他の疾患による傷害を受けた心臓または心臓組織中で、新しい心臓組織を成長および/または発達させるプロセスも指すものとする。一部の実施形態において、心臓組織再生は、心筋細胞の生成を含む。
用語「リプログラミング」または「分化転換」は、本明細書で使用される場合、多能性幹細胞の特徴を呈する細胞に細胞を脱分化させる中間プロセスを経ずに、異なるタイプの細胞(例えば、線維芽細胞)からある特定の系統の細胞(例えば、心細胞)を生成することを指す。「リプログラミング」は、本明細書で使用される場合、分化転換、脱分化などを含む。
「リプログラミング活性」は、本明細書で使用される場合、タンパク質またはポリヌクレオチドが、単独で、またはリプログラミング活性を有する他のタンパク質もしくはポリヌクレオチドと組み合わせて細胞に導入されるかまたは細胞によって発現されると、心筋細胞または心筋細胞様細胞への細胞のリプログラミングを誘導または促進するリプログラミング活性を有するタンパク質またはポリヌクレオチドの能力を指す。例えば、第1のタンパク質は、他の因子を有さない細胞中での第1のタンパク質の発現が細胞のリプログラミングを誘導または促進する場合、リプログラミング活性を有するが、この用語が本明細書において使用される場合、第1のタンパク質が、第2のタンパク質と組み合わされて、すなわち第1のタンパク質と第2のタンパク質の両方が一緒に発現されるとき、リプログラミングを促進する場合も、第1のタンパク質はリプログラミング活性を有する。
用語「リプログラミング効率」は、本明細書で使用される場合、試料中の細胞の総数に対する、心筋細胞にうまくリプログラミングされる試料中の細胞の数を指す。
用語「リプログラミング因子」は、本明細書で使用される場合、細胞の誘導心筋細胞へのリプログラミングを助けるように細胞で発現させるために導入される因子を含む。リプログラミング因子としては、タンパク質および核酸(例えば、マイクロRNA、siRNA、またはshRNAなどのRNA)が挙げられる。
用語「幹細胞」は、自己再生する、および分化した後代を生成する能力を有する細胞を指す。用語「多能性幹細胞」は、3つ全ての胚葉(内胚葉、中胚葉および外胚葉)の細胞を生じさせることができるが、完全な生物を生じさせる能力を有さない幹細胞を指す。
「処置」、「処置すること」、および「処置する」は、疾患、障害、状態および/またはそれらの症状の有害な、または他のあらゆる望ましくない作用を低減または緩和するための薬剤で、疾患、障害、または状態に作用することとして定義される。
用語「有効量」などは、本明細書で使用される場合、所望の生理学的な結果(例えば、細胞のリプログラミングまたは疾患の処置)を誘導するのに十分な量を指す。有効量は、1つまたは複数の投与、適用または投薬量で投与することができる。このような送達は、個々の投薬量単位が使用されると予想される期間、組成物の生物学的利用率、投与経路などを含むいくつかの変数に依存する。しかしながら、いずれか特定の対象のための組成物(例えば、リプログラミング因子)の具体的な量は、採用される具体的な薬剤の活性、対象の年齢、体重、全身の健康状態、性別、および食事、投与の時間、排泄率、組成物の組合せ、処置されている特定の疾患の重症度、ならびに投与の形態などの様々な因子に依存することが理解される。
ポリペプチドまたは核酸配列への言及における用語「その均等物」は、本明細書で使用される場合、参照ポリペプチドまたは核酸配列とは異なるが、必須の特性(例えば、生物学的活性)を保持するポリペプチドまたは核酸を指す。ポリヌクレオチドの典型的なバリアントは、別の参照ポリヌクレオチドと、ヌクレオチド配列の点で異なる。バリアントのヌクレオチド配列における変化は、参照ポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドのアミノ酸配列を変更してもよいし、または変更しなくてもよい。ヌクレオチドの変化は、参照配列によってコードされたポリペプチドにおけるアミノ酸の置換、欠失、付加、融合および短縮化をもたらし得る。一般的に、差は、参照ポリペプチドおよびバリアントの配列が全体として厳密に類似し、多くの領域において同一になるように限定される。
用語「単離された」は、自然状態で細胞、組織、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはそれらの断片が通常付随する、細胞性およびそれ以外の成分から分離されていることを意味する。例えば、単離された細胞は、非類似の表現型または遺伝子型の組織または細胞から分離されている細胞である。当業者には明白であるように、天然に存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または細胞は、それをその天然に存在するカウンターパートから区別するために、「単離」を必要としない。
用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、同義的に使用され、あらゆる長さのヌクレオチドのポリマー形態、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいずれか、またはその類似体を指す。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、直鎖状および環状の核酸、メッセンジャーRNA(mRNA)、cDNA、組換えポリヌクレオチド、ベクター、プローブ、およびプライマーが挙げられる。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書において同義的に使用され、あらゆる長さのアミノ酸のポリマー形態を指し、それは、遺伝学的にコードされた、および遺伝学的にコードされていないアミノ酸、化学的もしくは生化学的に改変された、または誘導体化されたアミノ酸、および改変されたペプチド主鎖を有するポリペプチドを含み得る。この用語は、融合タンパク質、これらに限定されないが、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基含有または非含有の、異種のおよび相同なリーダー配列との融合体、免疫学的にタグ付けされたタンパク質などを含む。
遺伝子名が前に付く「ポリヌクレオチド」という単語(例えば、「MYOCDポリヌクレオチド」)は、本明細書で使用される場合、対応するタンパク質(例えば、「MYOCDタンパク質」)をコードするポリヌクレオチド配列を指す。
遺伝子名が前に付く「タンパク質」という単語(例えば、「MYOCDタンパク質」)は、本明細書で使用される場合、天然のタンパク質またはその機能的なバリアントのいずれかを指す。「天然のタンパク質」は、遺伝子の機能的なアイソフォームまたは機能的な対立遺伝子変異のいずれかで、生物、好ましくは、ベクターが目的とする生物(例えば、ヒト、げっ歯類、霊長類、または獣医学的対象の動物)の遺伝子のゲノムコピーによってコードされたタンパク質である。
タンパク質の「機能的なバリアント」または「バリアント」は、本明細書で使用される場合、タンパク質の機能的な特性、例えば、他の因子と組み合わせて細胞の心筋細胞へのリプログラミングを誘導するタンパク質の能力などを保持する、あらゆる数のアミノ酸の置換、挿入、短縮化、または内部の欠失を有するバリアントである。機能的なバリアント、例えば保存的置換のみを有するバリアントなどは、コンピューターにより同定してもよいし、または実験的にin vitroもしくはin vivoのアッセイを使用して同定してもよい。
ポリヌクレオチド配列の「コドンバリアント」は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数の同義コドン置換を有する参照ポリヌクレオチド配列と同じタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列である。同義コドンの選択は、当業者の能力の範囲内であり、そのコードは遺伝子コードとして公知である。コドン最適化は、様々なコンピューターによるツール(例えばwww.genscript.comで入手可能なGENSMART(商標)コドン最適化ツール)を使用して実行することができる公知の技術である。一般的に、コドン最適化は、異種の系におけるタンパク質の発現を増加させるのに使用され、例えばヒトコード配列を細菌系で発現させる場合に使用される。用語「コドンバリアント」は、この方式で最適化されている配列と、他の目的で、例えばCpGアイランドおよび/または隠れた開始部位の除去の目的で、最適化されている配列の両方を包含することが意図される。
用語「前駆細胞」は、本明細書で使用される場合、特定のタイプの細胞に分化する、または特定のタイプの組織を形成することが決まっている細胞を指す。前駆細胞は、幹細胞のように、さらに1つまたは複数の種類の細胞に分化することができるが、それがより限定的な/制限された分化能力を有するように、幹細胞より成熟した状態である。
用語「ベクター」は、in vitroまたはin vivoのいずれかで宿主細胞に送達しようとするポリヌクレオチドまたはタンパク質を含む巨大分子または分子の複合体を指す。ベクターは、改変されたRNA、脂質ナノ粒子(DNAまたはRNAのいずれかを封入する)、トランスポゾン、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルス、レトロウイルス、組み込み型レンチウイルスベクター(LVV)、または非組み込み型LVVであり得る。したがって、「ベクター」は、本明細書で使用される場合、形質転換に使用される裸のポリヌクレオチド(例えばプラスミド)、加えて、細胞にポリヌクレオチドを送達するのに使用される他のあらゆる組成物を含み、例えば、細胞を形質導入することが可能なベクターおよび細胞のトランスフェクションに有用なベクターが挙げられる。「ベクター系」は、1、2、3つまたはそれより多くのポリヌクレオチドを送達するのに使用される1、2、3つまたはそれより多くのベクターの組合せを指す。例えば、一部の実施形態において、2つのポリヌクレオチドを送達するのに、2つのウイルスベクター(例えば2つのAAVベクター)を使用してもよいし、または3つのポリヌクレオチドを送達するのに、3つのウイルスベクター(例えば2つのAAVベクター)を使用してもよい。例えば、1つのAAVは、MYOCDまたはそのバリアントをコードしていてもよく、別のAAVは、ASCL1またはそのバリアントをコードしていてもよい。代替として、複数のベクターが、トランスフェクション後組換えを介して、単一のポリヌクレオチドを送達するのに使用されてもよい。大きい遺伝子の送達のための二重のベクター系は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるMcClements et al. Yale J. Biol. Med. 90:611-23 (2017)に記載されている。
用語「ウイルスベクター」は、本明細書で使用される場合、典型的には核酸分子の移行もしくは細胞のゲノムへの組み込みを容易にするウイルス由来の核酸エレメントを含む核酸分子か、または核酸の移行を媒介するウイルス粒子のいずれかを指す。ウイルス粒子は、典型的には、様々なウイルス成分を含み、時には核酸に加えて細胞成分も含むと予想される。
用語「遺伝子改変」は、新しい核酸(すなわち、細胞にとって外因性の核酸)の導入後に細胞中で誘導された永続的または一時的な遺伝子変化を指す。遺伝子変化は、心細胞のゲノムに新しい核酸を取り込むことによって、または新しい核酸の染色体外エレメントとしての一時的もしくは安定な維持によって達成することができる。細胞が真核細胞である場合、永続的な遺伝子変化は、細胞のゲノムへの核酸の導入によって達成することができる。遺伝子改変の好適な方法としては、ウイルス感染、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、電気穿孔、パーティクルガン技術、リン酸カルシウム沈殿、直接のマイクロインジェクションなどが挙げられる。
用語「幹細胞」は、自己再生する、および分化した後代を生成する能力を有する細胞を指す。用語「多能性幹細胞」は、3つ全ての胚葉(内胚葉、中胚葉および外胚葉)の細胞を生じさせることができるが、完全な生物を生じさせる能力を有さない幹細胞を指す。一部の実施形態において、心筋細胞表現型を誘導するための組成物は、細胞の集団に使用してリプログラミングを誘導することができる。他の実施形態において、組成物は、心筋細胞表現型を誘導する。
用語「誘導多能性幹細胞」は、その通常の意味を与えられるものとし、少なくとも1つの多能性の特徴を呈するようにリプログラミングされた分化した哺乳動物体細胞(例えば、成体体細胞、例えば皮膚)も指すものとする。例えば、Takahashi et al. (2007) Cell 131(5):861-872、Kim et al. (2011) Proc. Natl. Acad. Sci. 108(19):7838-7843、Sell (2013) Stem Cells Handbookを参照されたい。
別段の指定がない限り、明細書中で使用される略語は、以下の意味を有する:AHCF、成体ヒト心臓線維芽細胞、APCF、成体ブタ心臓線維芽細胞、a-MHC-GFP、アルファ-ミオシン重鎖緑色蛍光タンパク質;CAG、CMV初期エンハンサー/ニワトリベータアクチン(プロモーター);CF、心臓線維芽細胞;cm、センチメートル;CO、心拍出量;EF、駆出率;FΑCS、蛍光活性化セルソーティング;GFP、緑色蛍光タンパク質;GMT、Gata4、Mef2cおよびTbx5;GMTc、Gata4、Mef2c、Tbx5、TGF-βi、WNTi;GO、遺伝子オントロジー;HCF、ヒト心臓線維芽細胞;iCM、誘導心筋細胞;LAD、左前下行枝(動脈);kg、キログラム;μg、マイクログラム;μl、マイクロリットル;mg、ミリグラム;ml、ミリリットル;MI、心筋梗塞;msec、ミリ秒;min、分;MyAMT、ミオカルディン、Ascl1、Mef2cおよびTbx5;MyA、ミオカルディンおよびAscl1;MyMT、ミオカルディン、Mef2cおよびTbx5;MyMTc、ミオカルディン、Mef2c、Tbx5、TGF-βi、WNTi;MRI、磁気共鳴画像法;PBS、リン酸緩衝食塩水;PBST、リン酸緩衝食塩水、トリトン(triton);PFA、パラホルムアルデヒド;qPCR、定量的ポリメラーゼ連鎖反応;qRT-PCR、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応;RNA、リボ核酸;RNA-seq、RNAシーケンシング;RT-PCR、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応;sec、秒;SV、一回拍出量;TGF-β、トランスフォーミング増殖因子ベータ;TGF-βi、トランスフォーミング増殖因子ベータ阻害剤;WNT、wingless-Int;WNTi、wingless-Int阻害剤;YFP、黄色蛍光タンパク質;SCP、スーパーコアプロモーター;4F、Gata4、Mef2c、TBX5、およびミオカルディン;4Fc、Gata4、Mef2c、TBX5、ならびにミオカルディン+TGF-βiおよびWNTi;7F、Gata4、Mef2c、およびTbx5、Esrrg、ミオカルディン、Zfpm2、およびMesp1;7Fc、Gata4、Mef2c、およびTbx5、Esrrg、ミオカルディン、Zfpm2、ならびにMesp1+TGF-βiおよびWNTi。
本開示の詳細な説明は、単に読み手の便宜上様々なセクションに分けられ、いずれのセクションに見出される開示も、別のセクションでの開示と組み合わせることができる。別段の指定がない限り、本明細書において使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似した、またはそれと同等ないずれの方法および材料も本発明の実施または試験で使用できるが、好ましい方法および材料をここに記載する。本明細書で述べられた全ての出版物は、それらの出版物が引用されるものに関連する方法および/または材料を開示および記載するために参照により組み込まれる。
II.リプログラミング因子
一部の実施形態において、本開示は、1つまたは複数の遺伝子、例えば目的のポリヌクレオチドまたはタンパク質の発現をモジュレートすることが可能な、リプログラミング因子およびその組成物を提供する。本発明者らは、驚くべきことに、分化した細胞が、1つまたは複数の遺伝子、例えば目的のポリヌクレオチドまたはタンパク質の発現をモジュレートする1つまたは複数のリプログラミング因子、例えば、Achaete-scute相同体1(ASCL1)、筋原性因子6(MYF6)、ミオカルディン(MYOCD)、筋細胞特異的エンハンサー因子2C(MEF2C)、および/またはTボックス転写因子5(TBX5)を使用して、誘導心筋(iCM)細胞にリプログラミングされ得ることを発見した。一部の実施形態において、1つまたは複数のリプログラミング因子は、1つまたは複数の遺伝子、例えば目的のポリヌクレオチドまたはタンパク質をコードするポリヌクレオチド(例えば、RNA、mRNA、またはDNAポリヌクレオチド)として提供される。一部の実施形態において、1つまたは複数のリプログラミング因子は、タンパク質として提供される。
一部の実施形態において、リプログラミング因子は、1つまたは複数の遺伝子、例えば目的のポリヌクレオチドまたはタンパク質の発現を増加させることが可能な、マイクロRNAもしくはマイクロRNAアンタゴニスト、siRNA、または小分子である。一部の実施形態において、目的の遺伝子の発現は、目的の遺伝子が発現される転写物中のマイクロRNA標的部位を標的化するマイクロRNAまたはマイクロRNAアンタゴニストの発現によって減少する。代替として、一部の実施形態において、目的の遺伝子の発現は、マイクロRNAまたはマイクロRNAアンタゴニストの発現によって増加する。例えば、Oct4ポリペプチドの内因性発現は、マイクロRNA-302(miR-302)の導入によって、またはOct4の負の調節因子を標的化するmiR-302の発現増加によって、間接的に増加させることができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるHu et al., Stem Cells 31(2):259-68 (2013)を参照されたい。したがって、miRNA-302は、内因性Octポリペプチド発現の間接的な誘導物質であり得る。miRNA-302は、単独で導入してもよいし、またはOctポリペプチドをコードする核酸と共に導入してもよい。
一部の実施形態において、リプログラミング因子は、SB431542、LDN-193189、デキサメタゾン、LY364947、D4476、ミリセチン、IWR1、XAV939、ドコサヘキサ塩酸(DHA)、S-ニトロソ-TV-アセチルペニシラミン(SNAP)、Hh-Agl.5、アルプロスタジル、クロマカリム、MNITMT、A769662、レチノイン酸p-ヒドロキシアニリド(hydoxyanlide)、二臭化デカメトニウム(decamethonium dibromide)、ニフェジピン、ピロキシカム、バシトラシン、アズトレオナム、ハルマロール塩酸塩、アミド-C2(A7)、Ph-C12(CIO)、mCF3-C-7(J5)、G856-7272(A473)、5475707、またはそれらのあらゆる組合せからなる群から選択される小分子である。
A.目的の遺伝子(目的のポリヌクレオチドおよびタンパク質)
一部の実施形態において、本明細書で提供される1つまたは複数のリプログラミング因子は、1つまたは複数の目的の遺伝子の発現をモジュレートする(例えば、増加または減少させる)。一部の実施形態において、1つまたは複数の標的遺伝子は、心筋細胞の分化、増殖、および/または機能に関与することがわかっている。一部の実施形態において、1つまたは複数の標的遺伝子は、MYOCD、MEF2C、およびTBX5からなる群から選択される。一部の実施形態において、1つまたは複数の標的遺伝子は、心筋細胞の分化、増殖、および/もしくは機能に関与することがこれまでに記載されていないか、または非心臓細胞系統、例えばASCL1の分化、増殖、および/もしくは機能に関与することがこれまでに記載されている。本開示の組成物および方法において有用な例示的な遺伝子配列は、表1に提供される。所与の目的の遺伝子の1つより多くのアイソフォームが公知である場合、本開示の実施形態は、各目的の遺伝子の代替のアイソフォームを含む組成物および方法を含むことが理解されるであろう。本開示の組成物および方法は、開示された配列に限定されず、これらは例および例示のために提供され、非限定的である。
一部の実施形態において、本開示は、ASCL1、MYOCD、MEF2C、およびTBX5から選択される1つまたは複数の目的の遺伝子の発現をモジュレートするリプログラミング因子を提供する。一部の実施形態において、本明細書で開示されたリプログラミング因子は、ASCL1、MYOCD、MEF2C、およびTBX5、CCNB1、CCND1、CDK1、CDK4、AURKB、OCT4、BAF60C、ESRRG、GATA4、GATA6、HAND2、IRX4、ISLL、MESP1、MESP2、NKX2.5、SRF、TBX20、およびZFPM2から選択される1つまたは複数の目的の遺伝子の発現をモジュレートする。
一部の実施形態において、本明細書で開示されたリプログラミング因子は、GATA4、MEF2C、およびTBX5(すなわち、GMT)から選択される1つまたは複数の目的の遺伝子の発現をモジュレートする。一部の実施形態において、本明細書で開示されたリプログラミング因子は、MYOCD、MEF2C、およびTBX5(すなわち、MyMT)から選択される1つまたは複数の目的の遺伝子の発現をモジュレートする。一部の実施形態において、本明細書で開示されたリプログラミング因子は、MYOCD、ASCL1、MEF2C、およびTBX5(すなわち、MyAMT)から選択される1つまたは複数の目的の遺伝子の発現をモジュレートする。一部の実施形態において、本明細書で開示されたリプログラミング因子は、MYOCDおよびASCL1(すなわち、MyA)から選択される1つまたは複数の目的の遺伝子の発現をモジュレートする。一部の実施形態において、本明細書で開示されたリプログラミング因子は、GATA4、MEF2C、TBX5、およびMYOCD(すなわち、4F)から選択される1つまたは複数の目的の遺伝子の発現をモジュレートする。他の実施形態において、本明細書で開示されたリプログラミング因子は、GATA4、MEF2C、TBX5、ESRRG、MYOCD、ZFPM2、およびMESP1(すなわち、7F)から選択される1つまたは複数の目的の遺伝子の発現をモジュレートする。
一部の実施形態において、本開示は、ASCL1、MYOCD、MEF2C、TBX5、DLX3、DLX6、GATA2、およびGATA5から選択される1つまたは複数の目的の遺伝子の発現をモジュレートするリプログラミング因子を提供する。
操作されたミオカルディン
別の態様において、本開示は、ミオカルディン(MYOCD)の操作されたバリアント、例えば米国仮特許出願第62/788,479号に記載されたような、より小さいオープンリーディングフレームから発現された操作されたMYOCDに関する。出願人は、内部の欠失を含むMYOCDは、ミオカルディンの発現および機能を保持し、内部の欠失を含むMYOCDは、単独で、または他のリプログラミング因子(例えば、線維芽細胞から心筋細胞を生成するための)と組み合わせて使用できることを見出した。本開示の一部の実施形態において、操作されたミオカルディンタンパク質は、天然のミオカルディン(図9A;配列番号3)のアミノ酸414~764に対応する領域に、少なくとも50アミノ酸の欠失を含む。一部の実施形態において、操作されたMYOCDは、内部の欠失を有する1または3つのミオカルディンバリアント:残基414~763の欠失を有するMyΔ1(図9B;配列番号14);残基439~763の欠失を有するMyΔ2(図9C;配列番号15);および好ましくは残基560~763の欠失を有するMyΔ3(図9D;配列番号16)から選択される。
一部の実施形態において、MYOCDポリヌクレオチドは、操作されたMYOCDポリヌクレオチドである。「MYOCD」または「ミオカルディン」は、操作されたMYOCDタンパク質または好ましくは天然のMYOCDのいずれかを指す。一部の実施形態において、操作されたMYOCDポリヌクレオチドは、最大で500、550、600、650、700、750、800、850個またはそれらの間のあらゆる数のアミノ酸の長さを有する操作されたミオカルディンタンパク質をコードする。一部の実施形態において、操作されたミオカルディンタンパク質は、SRF相互作用ドメイン、SAPドメイン、およびTADドメインを含む。一部の実施形態において、操作されたミオカルディンタンパク質は、Mef2C相互作用ドメインをさらに含む。一部の実施形態において、操作されたMYOCDポリヌクレオチドは、天然のミオカルディン(配列番号3)のアミノ酸414~764に対応する領域に、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、または350アミノ酸の欠失を有する、操作されたミオカルディンタンパク質をコードする。表2に、ミオカルディンの操作で使用される様々な配列を提供する。一部の実施形態において、MYOCDの種間保存は残基5から始まるため、MYOCDの約4個のN末端残基は、省略されているかまたは変更されている。一部の実施形態において、MYOCDのN末端からのさらなる残基が、省略されているかまたは変更されている。
一部の実施形態において、操作されたミオカルディンタンパク質は、Mef2c相互作用ドメイン、SRFドメイン、SAPドメイン、LZドメイン、およびTADドメインの1つまたは複数を含む。一部の実施形態において、操作されたミオカルディンタンパク質は、Mef2c相互作用ドメイン、SRFドメイン、SAPドメイン、LZドメイン、およびTADドメインを含む。一部の実施形態において、操作されたミオカルディンタンパク質は、Mef2c相互作用ドメイン、SRFドメイン、SAPドメイン、およびTADドメインを含む。一部の実施形態において、操作されたミオカルディンタンパク質は、SRFドメイン、SAPドメイン、LZドメイン、およびTADドメインを含む。一部の実施形態において、操作されたミオカルディンタンパク質は、SRFドメイン、SAPドメイン、およびTADドメインを含む。
一部の実施形態において、操作されたMYOCDは、操作されたMYOCD、および必要に応じて1つまたは複数の他の目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドとして提供される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、RNA、DNA、またはmRNAポリヌクレオチドである。一部の実施形態において、MYOCDポリヌクレオチドは、MYOCDのアイソフォームのいずれかとの同一性を有する。一部の実施形態において、MYOCDポリヌクレオチドは、MyΔ1(配列番号14)、MyΔ2(配列番号15)、およびMyΔ3(配列番号16)から選択される配列と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の、操作されたMYOCDタンパク質をコードする。一部の実施形態において、操作されたMYOCDタンパク質は、Mef2c相互作用ドメイン、SRFドメイン、SAPドメイン、LZドメイン、およびTADドメインのうち、少なくとも2、3、4、5つを含む。一部の実施形態において、Mef2c相互作用ドメインは、配列番号17に、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。一部の実施形態において、SRFドメインは、配列番号18に、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。一部の実施形態において、SAPドメインは、配列番号19に、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。一部の実施形態において、LZドメインは、配列番号20に、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。一部の実施形態において、TADドメインは、配列番号11に、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。
一部の実施形態において、操作されたミオカルディンタンパク質は、リンカーによって連結された天然のMYOCDの2つまたはそれより多くの断片を含む。一般的に、リンカーは、ペプチド結合またはポリペプチド配列のいずれかを指す。一部の実施形態において、他のリンカーが使用され、例えば、当業界において公知のペプチド化学で使用される様々な化学的リンカーのいずれかが使用される。「ペプチド結合」への言及は、2つの配列が一体化して、いかなる介在アミノ酸残基も含まない複合配列を生成することを意味する。例えば、MyΔ3(配列番号16)は、ペプチド結合によってMYOCD764~986(配列番号11)に合体したMYOCD1~559(配列番号13)を含む。一部の実施形態において、リンカーは、当業界においてリンカーとして使用される様々なポリペプチドのいずれかであり、例えば、これらに限定されないが、グリシン-セリンリンカー、例えばG、GG、GGG、GSS、GGS、GGSGGS(配列番号30)、GSSGGS(配列番号31)、GGSGSS(配列番号32)、GGSGGSGGS(配列番号33)、GGSGGSGGSGGS(配列番号34)などである。一部の実施形態において、リンカーは、MYOCD以外のタンパク質のドメインである。
本開示にわたり、ポリヌクレオチドの発現は、目的の遺伝子の発現を増加させることが当業界において公知のあらゆる手段を指す場合がある。一部の実施形態において、目的の遺伝子は、メッセンジャーRNA(mRNA)中にコードされている。mRNAは、合成であってもよいし、または天然に存在していてもよい。一部の実施形態において、mRNAは、当業界において公知の様々な方法で化学的に改変されている。例えば、例えばWarren, L. et al. Cell Stem Cell 7:618-30 (2010);WO2014081507A1;WO2012019168;WO2012045082;WO2012045075;WO2013052523;WO2013090648;US9572896B2に記載されるように、改変されたRNAが使用されてもよい。一部の実施形態において、目的の遺伝子の発現は、ポリヌクレオチドの細胞への送達によって増加する。一部の実施形態において、目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、ウイルスまたは非ウイルスベクターによって送達される。一部の実施形態において、目的の遺伝子は、DNAポリヌクレオチド中にコードされ、必要に応じて、当業界において公知のあらゆるウイルスまたは非ウイルス方法によって送達される。一部の実施形態において、本開示は、細胞を、目的の遺伝子をコードするDNAまたはmRNAを含む脂質ナノ粒子と接触させるステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、本開示の方法は、細胞を、目的の遺伝子をコードするDNAまたはRNA(例えば、DNAゲノム、ネガティブセンスRNAゲノム、ポジティブセンスRNAゲノム、または二本鎖RNAゲノム)を含むウイルスと接触させるステップを含む。一部の実施形態において、ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、AAV、非組み込み型レンチウイルスベクター(LVV)、および組み込み型LVVから選択される。一部の実施形態において、細胞は、プラスミドでトランスフェクトされる。一部の実施形態において、プラスミドは、リプログラミング因子をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、プラスミドは、リプログラミング因子を含むトランスポゾンを含む。
B.目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチド
一部の実施形態において、リプログラミング因子は、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドとして提供される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、RNA、DNA、またはmRNAポリヌクレオチドである。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、少なくとも100、200、300、400、または500ヌクレオチドにわたり、ヒトASCL1(配列番号2)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含む核酸配列を含む。一部の実施形態において、ASCL1ポリヌクレオチドは、ASCL1のアイソフォームのいずれかとの同一性を有する。一部の実施形態において、ASCL1ポリヌクレオチドは、ヒトASCL1の配列(配列番号1)と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のASCL1タンパク質をコードする。
一部の実施形態において、リプログラミング因子は、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドとして提供される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、RNA、DNA、またはmRNAポリヌクレオチドである。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、少なくとも100、200、300、400、または500ヌクレオチドにわたり、ヒトMYF6(配列番号56)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含む核酸配列を含む。一部の実施形態において、MYF6ポリヌクレオチドは、MYF6のアイソフォームのいずれかとの同一性を有する。一部の実施形態において、MYF6ポリヌクレオチドは、ヒトMYF6(配列番号55)の配列と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のMYF6タンパク質をコードする。
一部の実施形態において、本開示の組成物および方法は、ミオカルディン(MYOCD)ポリヌクレオチド、筋細胞特異的エンハンサー因子2C(MEF2C)ポリヌクレオチド、およびTボックス転写因子(TBX5)ポリヌクレオチドの1つまたは複数を含むiCM細胞、またはそれを投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態において、本開示の組成物および方法は、ミオカルディン(MYOCD)ポリヌクレオチドおよびASCL1ポリヌクレオチドを含む組換えウイルス、またはそれを投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、本開示の組成物および方法は、操作されたMYOCDポリヌクレオチドおよびASCL1ポリヌクレオチドを含む組換えウイルス、またはそれを投与するステップを含む方法を提供する。
一部の実施形態において、本開示の組成物および方法は、MYOCDポリヌクレオチドを含むiCM細胞もしくは組換えウイルスもしくは非ウイルスベクター、またはMYOCDポリヌクレオチドを投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、MYOCDポリヌクレオチドは、ヒトMYOCD(配列番号3)の配列と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のMYOCDタンパク質をコードする。一部の実施形態において、MYOCDポリヌクレオチドは、少なくとも100、200、300、400、または500ヌクレオチドにわたり、ヒトMYOCD(配列番号4)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する。一部の実施形態において、MYOCDポリヌクレオチドは、MYOCDのアイソフォームのいずれかとの同一性を有する。
一部の実施形態において、操作されたミオカルディンタンパク質は、操作されたミオカルディンタンパク質をコードするポリヌクレオチドとして提供される。
一部の実施形態において、MYOCDポリヌクレオチドは、操作されたMYOCD(例えば、配列番号14)の配列と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のMYOCDタンパク質をコードする。
一部の実施形態において、MYOCDポリヌクレオチドは、操作されたMYOCD(例えば、配列番号15)の配列と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のMYOCDタンパク質をコードする。
一部の実施形態において、MYOCDポリヌクレオチドは、操作されたMYOCD(例えば、配列番号16)の配列と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のMYOCDタンパク質をコードする。
一部の実施形態において、本開示の組成物および方法は、MEF2Cポリヌクレオチドを含むiCM細胞もしくは組換えウイルスもしくは非ウイルスベクター、またはそれを投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、MEF2Cポリヌクレオチドは、ヒトMEF2C(配列番号5)の配列と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のMEF2Cタンパク質をコードする。一部の実施形態において、MEF2Cポリヌクレオチドは、少なくとも100、200、300、400、または500ヌクレオチドにわたり、ヒトMEF2C(配列番号6)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する。一部の実施形態において、MEF2Cポリヌクレオチドは、MEF2Cのアイソフォームのいずれかとの同一性を有する。
一部の実施形態において、本開示の組成物および方法は、TBX5ポリヌクレオチドを含むiCM細胞もしくは組換えウイルスもしくは非ウイルスベクター、またはそれを投与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態において、TBX5ポリヌクレオチドは、ヒトTBX5(配列番号7)の配列と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のTBX5タンパク質をコードする。一部の実施形態において、TBX5ポリヌクレオチドは、少なくとも100、200、300、400、または500ヌクレオチドにわたり、ヒトTBX5(配列番号8)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する。一部の実施形態において、TBX5ポリヌクレオチドは、TBX5のアイソフォームのいずれかとの同一性を有する。TBX5ポリペプチドは、予測された核局在化配列(NLS)、KRKEEECSTTDHPYKKPYME(配列番号9)を含有する。一部の実施形態において、TBX5ポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドのNLSは、機能的なNLSである。
一部の実施形態において、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、合成メッセンジャーRNA(mRNA)である。合成mRNAは、目的のタンパク質を作製するための遺伝情報を提供し、免疫応答の誘発を回避するように化学的に改変されていてもよい。Zangi et al. (2013) Nature Biotech 31 :898-907。mRNAは宿主細胞ゲノムに組み込まれないため、合成mRNAは所定期間作用し、次いで細胞分裂に伴い消失する。一部の実施形態において、合成mRNAは、一本鎖RNAに対する生来の抗ウイルス性応答を低減させるために、例えば、プソイドウリジンおよび/または5-メチル-シチジンで改変されている。
一部の実施形態において、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、コードされた遺伝子の機能的な活性が保存される限り、コドン最適化されていてもよいし、またはそれ以外の方法で変更されていてもよい。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、コードされた遺伝子の機能的な活性が保存される限り、短縮化、挿入、欠失、または断片を含む改変された1つまたは複数の目的の遺伝子またはそのバリアントをコードする。
一部の実施形態において、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、発現カセット中に含まれる。一部の実施形態において、発現カセットは、1つまたは複数の目的の遺伝子をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む。例えば、一部の実施形態において、発現カセットは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の目的の遺伝子をコードする、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のポリヌクレオチドを含む。
細胞中で2つまたはそれより多くの目的のタンパク質を発現させようとする場合、1つまたはポリヌクレオチドまたは発現カセットを使用することができることが理解されるであろう。例えば、ポリシストロン性発現カセットを使用することができ、この場合、1つの発現カセットが、複数のタンパク質を発現する複数のポリヌクレオチドを含むことができる。一部の実施形態において、ポリシストロン性発現カセットは、単一のオープンリーディングフレーム中に2つまたはそれより多くのポリヌクレオチドを含み、ポリヌクレオチドは、例えばDonnelly et al. J. Gen. Virol. 82:1013-15 (2001)などに記載されるようなアフトウイルス口蹄疫ウイルス(FMDV)ポリタンパク質の2A領域およびそれらの当業界において公知の改良形によって一緒に連結されている。2A領域は、ペプチド結合の形成を伴わない、1つのコドンから次のコドンへのリボソームの「スキップ」を生じる。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、2つまたはそれより多くのペプチドが翻訳後切断によって生成するように、内部切断部位を含む。
一部の実施形態において、本開示のマルチシストロン性ベクターは、リボソームスキッピングまたは自己切断を誘導することが可能なペプチドを含むリンカーによって合体した、複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、リンカーは、2Aペプチドを含む。用語「2Aペプチド」は、本明細書で使用される場合、単一のオープンリーディングフレームから2つまたはそれより多くのタンパク質を生成するように構成されたリボソームスキッピングまたは自己切断ペプチドのクラスを指す。2Aペプチドは、真核細胞において、翻訳中にポリペプチドの「切断」を媒介する18~22残基の長さのウイルスオリゴペプチドである。「2Aペプチド」は、様々なアミノ酸配列を有するペプチドを指す場合がある。本開示において、レンチウイルスベクターが2つまたはそれより多くの2Aペプチドを含む場合、2Aペプチドは、互いに同一でもよいし、または異なっていてもよいことが理解されるであろう。2Aペプチドの設計および使用ための詳細な手法は、Szymczak-Workman et al. Design and Construction of 2A Peptide-Linked Multicistronic Vectors. Cold Spring Harb. Protoc. 2012 Feb 1; 2012(2):199-204によって提供される。文献において、2Aペプチドは、自己切断ペプチドと称されることが多いが、機構の研究から、観察された「自己切断」は、実際には、2AペプチドのC末端におけるグリシル-プロリルペプチド結合の形成をリボソームスキッピングした結果であることが示されている。Donnelly et al. J Gen Virol. 2001 May; 82(Pt 5):1027-41。本発明は、理論に縛られず、2Aペプチドの機能のいずれの特定の機構的な理解にも限定されない。
例示的な2Aペプチドとしては、これらに限定されないが、表3に列挙したものが挙げられる。
必要に応じて、リンカーの1つまたは複数は、一部の実施形態において2Aペプチドに対してN末端である残基Gly-Ser-Glyをコードする配列をさらに含む。2Aペプチドに対してN末端とは、残基をコードする配列が、2Aペプチドをコードする配列の上流であることを意味する。一般的に、Gly-Ser-Glyモチーフは、2Aペプチドに対してすぐN末端にあると予想され、または1から10個の他のアミノ酸残基が、モチーフと2Aペプチドとの間に挿入されている。一部の実施形態において、このモチーフをコードするポリヌクレオチド配列は、GGA AGC GGAである。任意のペプチドをコードするポリヌクレオチドと同様に、ヌクレオチド配列は、コードされたペプチド配列を変化させることなく変更することができる。アミノ酸残基の置換は当業者の能力の範囲内であり、2Aペプチドという用語は、所望のスキッピング/自己切断活性を保持するが、必要に応じて、参照2Aペプチド配列と比べて1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれより多くの置換を有する前述のもののバリアントを指すことが理解されるであろう。例示的な2Aペプチドは、Kim et al. PLOS ONE 6(4): e18556に記載されている。一部の実施形態において、2つまたはそれより多くの異なる2Aペプチドが、同じ構築物中で使用される。様々な2Aペプチドが改善した発現をもたらすと報告されている。Liu et al. Sci Rep. 2017; 7:2193を参照されたい。一部の実施形態において、ポリペプチドは、2Aペプチド(例えばP2Aペプチド)に対してNおよび/またはC末端に、1から5個の間の、または5個より多くのGlyまたはSer残基を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、2Aペプチド(例えばP2Aペプチド)に対してNおよび/またはC末端に、Gly-Ser-Gly残基を含む。一部の実施形態において、P2AペプチドおよびN末端リンカーは、配列番号84を含む。
一部の実施形態において、本開示は、5’から3’の順番で、プロモーター、MYOCD-2A-ASCL1をコードするポリヌクレオチド、およびポリアデニル化配列を含む発現カセットを提供する。一部の実施形態において、発現カセットは、配列番号35と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含む組換えAAV(rAAV)、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrAAV粒子を提供する。一部の実施形態において、rAAVは、配列番号35と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含む組換えレンチウイルス(rLV)、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrLV粒子を提供する。一部の実施形態において、rLVは、配列番号35と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態において、本開示は、5’から3’の順番で、プロモーター、MYOCD-2A-MYF6をコードするポリヌクレオチド、およびポリアデニル化配列を含む発現カセットを提供する。一部の実施形態において、発現カセットは、配列番号36と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrAAV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrAAV粒子を提供する。一部の実施形態において、rAAVは、配列番号36と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrLV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrLV粒子を提供する。一部の実施形態において、rLVは、配列番号36と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態において、本開示は、5’から3’の順番で、プロモーター、MyΔ3-2A-ASCL1をコードするポリヌクレオチド、およびポリアデニル化配列を含む発現カセットを提供する。一部の実施形態において、発現カセットは、配列番号37と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrAAV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrAAV粒子を提供する。一部の実施形態において、rAAVは、配列番号37と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrLV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrLV粒子を提供する。一部の実施形態において、rLVは、配列番号37と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態において、本開示は、5’から3’の順番で、プロモーター、MyΔ3-2A-MYF6をコードするポリヌクレオチド、およびポリアデニル化配列を含む発現カセットを提供する。一部の実施形態において、発現カセットは、配列番号38と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrAAV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrAAV粒子を提供する。一部の実施形態において、rAAVは、配列番号38と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrLV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrLV粒子を提供する。一部の実施形態において、rLVは、配列番号38と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態において、本開示は、5’から3’の順番で、プロモーター、ASCL1-2A-MYOCDをコードするポリヌクレオチド、およびポリアデニル化配列を含む発現カセットを提供する。一部の実施形態において、発現カセットは、配列番号39と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrAAV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrAAV粒子を提供する。一部の実施形態において、rAAVは、配列番号39と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrLV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrLV粒子を提供する。一部の実施形態において、rLVは、配列番号39と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態において、本開示は、5’から3’の順番で、プロモーター、MYF6-2A-MYOCDをコードするポリヌクレオチド、およびポリアデニル化配列を含む発現カセットを提供する。一部の実施形態において、発現カセットは、配列番号40と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrAAV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrAAV粒子を提供する。一部の実施形態において、rAAVは、配列番号40と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrLV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrLV粒子を提供する。一部の実施形態において、rLVは、配列番号40と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態において、本開示は、5’から3’の順番で、プロモーター、ASCL1-2A-MyΔ3をコードするポリヌクレオチド、およびポリアデニル化配列を含む発現カセットを提供する。一部の実施形態において、発現カセットは、配列番号41と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrAAV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrAAV粒子を提供する。一部の実施形態において、rAAVは、配列番号41と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrLV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrLV粒子を提供する。一部の実施形態において、rLVは、配列番号41と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態において、本開示は、5’から3’の順番で、プロモーター、MYF6-2A-MyΔ3をコードするポリヌクレオチド、およびポリアデニル化配列を含む発現カセットを提供する。一部の実施形態において、発現カセットは、配列番号42と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrAAV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrAAV粒子を提供する。一部の実施形態において、rAAVは、配列番号42と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本開示は、発現カセットを含むrLV、発現カセットを含むトランスファープラスミド、または発現カセットを含むrLV粒子を提供する。一部の実施形態において、rLVは、配列番号42と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態において、本開示は、配列番号57~64のいずれか1つ(すなわち、MYOCD-2A-ASCL1、MYOCD-2A-MYF6、MyΔ3-2A-ASCL1、MyΔ3-2A-MYF6、ASCL1-2A-MYOCD、MYF6-2A-MYOCD、ASCL1-2A-MyΔ3、およびMYF6-2A-MyΔ3のいずれか1つ)と、少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のタンパク質配列をコードするポリヌクレオチドを含む発現カセットを提供する。
III.ベクター
一部の実施形態において、細胞を心臓系統にリプログラミングするのに採用されたリプログラミング因子は、ベクターによって、選択された細胞または選択された細胞の集団に導入することができる。一部の実施形態において、ベクターは、核酸ベクター、例えば、プラスミド(例えば、DNAプラスミドまたはRNAプラスミド)、トランスポゾン、コスミド、細菌もしくは酵母人工染色体、またはウイルスベクターである。一部の実施形態において、ベクターは、非核酸ベクター、例えばナノ粒子である。一部の実施形態において、本明細書に記載されるベクターは、ペプチド、例えば細胞透過化ペプチドまたは細胞内在化配列を含む。細胞透過化ペプチドは、原形質膜を通過して移動が可能な小さいペプチドである。例示的な細胞透過化ペプチドとしては、これらに限定されないが、アンテナペディア配列、TAT、HIV-Tat、ペネトラチン、Antp-3A(Antp突然変異体)、ブフォリン(Buforin)II、トランスポータン、MAP(モデル両親媒性ペプチド)、K-FGF、Ku70、プリオン、pVEC、Pep-1、SynB1、Pep-7、I-IN-1、BGSC(ビス-グアニジニウム-スペルミジン-コレステロール、およびBGTC(ビス-グアニジニウム-Tren-コレステロール)が挙げられる。
組換え遺伝学の分野における技術は、このような組換え発現のために使用することができる。組換え遺伝学の一般的な方法を開示する基礎的な教本としては、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd ed. 2001);Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds., 1994))が挙げられる。一部の実施形態において、ベクターは、哺乳動物複製起点を含有しない。一部の実施形態において、発現ベクターは、ゲノムに組み込まれないか、および/または哺乳動物複製起点を含有しないベクターを介して導入される。
一部の場合において、発現ベクターは、1つまたは複数のリプログラミング因子に加えて、トランスフェクトされた、形質導入された、または感染した細胞の同定または選択を容易にするマーカー遺伝子をコードするかまたはそれを含む。マーカー遺伝子の例としては、これらに限定されないが、蛍光タンパク質、例えば、強化緑色蛍光タンパク質、Ds-Red(DsRed:Discosoma sp.の赤色蛍光タンパク質(RFP);Bevis et al. (2002) Nat. Biotechnol. 20(11):83-87)、黄色蛍光タンパク質、mCherry、およびシアン蛍光タンパク質(cyanofluorescent protein)をコードする遺伝子;ならびに選択薬剤に対する耐性を付与するタンパク質をコードする遺伝子、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子、ブラスチシジン耐性遺伝子などが挙げられる。
一実施形態において、発現ベクターは、自殺遺伝子をさらに含む。自殺遺伝子の発現は、少なくとも1つの増殖および/または細胞周期再進入因子であるポリペプチドをコードするヌクレオチドを発現する同一または異なるプロモーターによって調節され得る。自殺遺伝子は、細胞の陰性選択を可能にするものである。本明細書に記載される方法において、自殺遺伝子は、遺伝子を発現する細胞を選択的な薬剤の導入によって殺滅することを可能にする安全系として使用される。これは、組換え遺伝子が制御不能な細胞成長に至る突然変異を引き起こす場合において望ましい。いくつかの自殺遺伝子系が、同定されており、そのようなものとしては、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(tkまたはTK)遺伝子、シトシンデアミナーゼ遺伝子、水痘帯状疱疹ウイルスチミジンキナーゼ遺伝子、ニトロレダクターゼ遺伝子、Escherichia coli(E.coli)のgpt遺伝子、およびE.coliのDeo遺伝子が挙げられる(例えば、Yazawa K, Fisher W E, Brunicardi F C: Current progress in suicide gene therapy for cancer. World J. Surg. (2002) 26(7):783-9も参照されたい)。一実施形態において、自殺遺伝子は、TK遺伝子である。一態様において、TK遺伝子は、野生型TK遺伝子である。他の態様において、TK遺伝子は、遺伝子の突然変異した形態、例えばsr23tkである。TKタンパク質を発現する細胞は、ガンシクロビルを使用して殺滅することができる。別の実施形態において、テトラサイクリン活性化タンパク質をコードする核酸および自殺遺伝子は、1つのプロモーターによって調節される。
A.核酸ベクター
1.ウイルスベクター
好適なウイルスベクターとしては、これらに限定されないが、ウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al. (1994) Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543-2549;Borras et al. (1999) Gene Ther 6:515-524;Li and Davidson, (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. 92:7700-7704;Sakamoto et al. (1999) Hum Gene Ther 5: 1088-1097;WO94/12649;WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984およびWO95/00655);アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al. (1998) Hum Gene Ther 9(l):81-86, 1998、Flannery et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:6916-6921;Bennett et al. (1997) Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857-2863;Jomary et al. (1997) Gene Ther 4:683-690;Rolling et al. (1999), Hum Gene Ther 10:641-648;Ali et al. (1996) Hum Mol Genet. 5:591-594;WO93/09239、Samulski et al. (1989) J. Vir. 63 :3822-3828;Mendelson et al. (1988) Virol. 166:154-165;およびFlotte et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. 90: 10613-10617;SV40;単純疱疹ウイルス;ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94: 10319-10323;Takahashi et al. (1999) J Virol 73 :7812-7816)ベースのウイルスベクター;レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ならびにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳がんウイルスなどのレトロウイルス由来のベクター)などが挙げられる。多数の好適な発現ベクターが当業者に公知であり、多くは商業的に入手可能である。一例として、真核細胞のために、以下のベクター;pXTl、pSG5(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVLSV40(Pharmacia)、およびpAd(Life Technologies)が提供される。しかしながら、本開示の細胞に適合する限り、他のあらゆるベクターを使用することができる。
受容体媒介エンドサイトーシスを介して細胞に感染するかまたは細胞に進入し、ウイルス遺伝子を安定して効率的に発現するある特定のウイルスの能力が、それらを外来核酸の細胞(例えば、哺乳動物細胞)への移行ための魅力的な候補としてきた。ウイルスベクターは、制御配列、例えば目的のポリペプチドの発現ためのプロモーターを含んでいてもよい。多くのウイルスベクターが宿主細胞ゲノムに組み込まれるが、必要に応じて、このような組み込みを可能にするセグメントが、このような組み込みを防止するために除去または変更されていてもよい。さらに、一部の実施形態において、ベクターは、哺乳動物複製起点を含有しない。転写因子をコードする核酸を選択された細胞に送達するのに使用することができるウイルスベクターの非限定的な例は後述される。一部の実施形態において、ウイルスベクターは、複製欠損ウイルス由来である。
一般的に、他の有用なウイルスベクターは、非必須の遺伝子が目的のポリペプチドで置き換えられた非細胞変性真核生物ウイルスをベースとする。非細胞変性ウイルスは、その生活環がゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写とそれに続くプロウイルスの宿主細胞DNAへの組み込みを含む、ある特定のレトロウイルスを含む。一般的に、レトロウイルスは、複製欠陥である(例えば、所望の転写物の合成を指示できるが感染粒子を製造できない)。このような遺伝学的に変更されたレトロウイルス発現ベクターは、in vivoにおけるポリヌクレオチドの高効率の形質導入ための一般的な有用性を有する。
一部の実施形態において、リプログラミング因子をコードするポリヌクレオチドは、特異的な結合リガンドを発現するように操作された感染性のウイルス内に格納されていてもよい。したがって、ウイルス粒子は、標的細胞の同起源の受容体に特異性によって結合して、内容物を細胞に送達することになる。一部の実施形態において、ウイルスは、特定のウイルス親和性を付与するように改変され、例えばそのようなウイルスは、線維芽細胞、心臓細胞、またはより特定には心臓線維芽細胞(CF)に優先的に感染する。AAVの場合、キャプシドタンパク質は、ウイルスベクターの親和性を変更するように突然変異されていてもよい。レンチウイルスの場合、親和性は、異なるエンベロープタンパク質を使用することによって改変することができ、これは、「シュードタイピング」として公知である。
a.レトロウイルスベクター
一部の実施形態において、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターである。レトロウイルスは、その遺伝子を宿主ゲノムに組み込み、大量の外来遺伝物質を移行させ、様々な種および細胞型に感染することができ、特殊な細胞系にパッケージングすることができる(Miller et al., Am. J. Clin. Oncol., 15(3):216-221, 1992)。一部の実施形態において、レトロウイルスベクターは、宿主細胞ゲノムに組み込まれないように変更される。
組換えレトロウイルスは、標的細胞への進入を助けるためにウイルスポリペプチド(例えば、レトロウイルスenv)を含んでいてもよい。このようなウイルスポリペプチドは、当業界において、例えば、米国特許第5,449,614号において十分に確立されている。ウイルスポリペプチドは、元の宿主種とは異なる細胞を含む複数の種由来の細胞への進入を助ける、アンホトロピックウイルスポリペプチド、例えばアンホトロピックenvであってもよい。ウイルスポリペプチドは、元の宿主種とは異なる細胞への進入を助けるゼノトロピックウイルスポリペプチドであってもよい。一部の実施形態において、ウイルスポリペプチドは、元の宿主種の細胞への進入を助ける、エコトロピックウイルスポリペプチド、例えば、エコトロピックenvである。
細胞へのレトロウイルスの進入を助けることが可能なウイルスポリペプチドの例としては、これらに限定されないが、MMLVアンホトロピックenv、MMLVエコトロピックenv、MMLVゼノトロピックenv、水疱性口内炎ウイルス-gタンパク質(VSV-g)、HIV-1env、テナガザル白血病ウイルス(GALV)env、RD114、FeLV-C、FeLV-B、MLV10A1 env遺伝子、およびキメラを含むそれらのバリアントが挙げられる。Yee et al. (1994) Methods Cell Biol, Pt A:99-l 12 (VSV-G);米国特許第5,449,614号。一部の場合において、ウイルスポリペプチドは、発現を促進するかまたは受容体への結合が強化されるように遺伝子改変されている。
レトロウイルス構築物は、様々なレトロウイルス由来であってもよく、例えば、MMLV、HIV-1、SIV、FIV、または本明細書に記載される他のレトロウイルス由来であってもよい。レトロウイルス構築物は、具体的なウイルスの1つより多くの複製サイクルに必要な全てのウイルスポリペプチドをコードしていてもよい。一部の場合において、ウイルス進入の効率は、他の因子または他のウイルスポリペプチドの付加によって改善される。他の場合において、レトロウイルス構築物によってコードされたウイルスポリペプチドは、1回より多くの複製サイクルを支持しない。例えば、米国特許第6,872,528号。このような環境において、他の因子または他のウイルスポリペプチドの付加は、ウイルス進入を容易にすることを助けることができる。例示的な実施形態において、組換えレトロウイルスは、VSV-gポリペプチドを含むが、HIV-1 envポリペプチドを含まないHIV-1ウイルスである。
レトロウイルス構築物は、プロモーター、マルチクローニング部位、および/または耐性遺伝子を含んでいてもよい。プロモーターの例としては、これらに限定されないが、CMV、SV40、EFla、β-アクチン;レトロウイルスのLTRプロモーター、および誘導性プロモーターが挙げられる。レトロウイルス構築物はまた、パッケージングシグナル(例えば、MFGベクター由来のパッケージングシグナル;psiパッケージングシグナル)を含んでいてもよい。当業界において公知の一部のレトロウイルス構築物の例としては、これらに限定されないが、pMX、pBabeXまたはそれらの誘導体が挙げられる。Onishi et al. (1996) Experimental Hematology, 24:324-329。一部の場合において、レトロウイルス構築物は、自己不活性化レンチウイルスベクター(SIN)ベクターである。Miyoshi et al. (1998) J. Virol 72(10):8150-8157。一部の場合において、レトロウイルス構築物は、LL-CG、LS-CG、CL-CG、CS-CG、CLGまたはMFGである。Miyoshi et al. (1998) J. Virol 72(10):8150-8157;Onishi et al. (1996) Experimental Hematology, 24:324-329;Riviere et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci., 92:6733-6737。
レトロウイルスベクターは、一部のウイルス配列の代わりに、核酸(例えば、目的のポリペプチドまたはRNAをコードする核酸)をウイルスゲノムに挿入して、複製欠損のウイルスを生産することによって構築することができる。ビリオンを生産するために、gag、pol、およびenv遺伝子を含有するが、LTRおよびパッケージング成分を含まないパッケージング細胞系が構築される(Mann et al., Cell 33:153-159, 1983)。レトロウイルスのLTRおよびパッケージング配列と共にcDNAを含有する組換えプラスミドが特殊な細胞系に導入される場合(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)、パッケージング配列は、組換えプラスミドの転写物がウイルス粒子にパッケージングされて培養培地に分泌されることを可能にする(Nicolas and Rubinstein, In: Vectors: A survey of molecular cloning vectors and their uses, Rodriguez and Denhardt, eds., Stoneham: Butterworth, pp. 494-513, 1988;Temin, In: Gene Transfer, Kucherlapati (ed.), New York: Plenum Press, pp. 149-188, 1986;Mann et al., Cell, 33:153-159, 1983)。次いで組換えレトロウイルスを含有する培地は、収集され、必要に応じて濃縮され、遺伝子移入に使用される。レトロウイルスベクターは、広範な種類の細胞型に感染することができる。しかしながら、組み込みおよび安定な発現は、典型的には、宿主細胞の分裂を含む(Paskind et al., Virology, 67:242-248, 1975)。
b.アデノウイルスベクター
一部の実施形態において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターである。アデノウイルスの遺伝学的構成は、約36kbの、直鎖状の、二本鎖DNAウイルスを含み、これは、アデノウイルスDNAの大きい断片を7kbまでの外来配列で置換することを可能にする(Grunhaus et al., Seminar in Virology 200(2):535-546, 1992))。リプログラミング因子は、アデノウイルスによって助けられるトランスフェクションを使用して、細胞に導入することができる。アデノウイルスがカップリングされた系を使用する細胞系で、増加したトランスフェクション効率が報告されている(Kelleher and Vos, Biotechniques, 17(6):1110-7, 1994;Cotten et al., Proc Natl Acad Sci USA, 89(13):6094-6098, 1992;Curiel, Nat Immun, 13(2-3):141-64, 1994.)。
c.アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
一部の実施形態において、ウイルスベクターは、AAVベクターである。AAVは、組み込みが低頻度であり、非分裂細胞に感染できることにより、例えば、組織培養中(Muzyczka, Curr Top Microbiol Immunol, 158:97-129, 1992)またはin vivoにおけるポリヌクレオチドの哺乳動物細胞への送達にとって有用なものであることから、AAVは魅力的なベクター系である。rAAVベクターの生成および使用に関する詳細は、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,139,941号および4,797,368号に記載されている。
AAVは、複製欠陥パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは、2つの145ヌクレオチドの逆方向末端反復(ITR)を含む約4.7kbの長さである。AAVには複数の血清型がある。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は、公知である。例えば、AAV-1の完全なゲノムは、GenBank受託番号NC_002077に提供され;AAV-2の完全なゲノムは、GenBank受託番号NC_001401およびSrivastava et al., J. Virol., 45: 555-564 (1983)に提供され;AAV-3の完全なゲノムは、GenBank受託番号NC_1829に提供され;AAV-4の完全なゲノムは、GenBank受託番号NC_001829に提供され;AAV-5ゲノムは、GenBank受託番号AF085716に提供され;AAV-6の完全なゲノムは、GenBank受託番号NC_001862に提供され;AAV-7およびAAV-8ゲノムの少なくとも一部は、それぞれGenBank受託番号AX753246およびAX753249に提供され;AAV-9ゲノムは、Gao et al., J. Virol., 78: 6381-6388 (2004)に提供され;AAV-10ゲノムは、Mol. Ther., 13(1): 67-76 (2006)に提供され;AAV-11ゲノムは、Virology, 330(2): 375-383 (2004)に提供される。AAV rh.74ゲノムの配列は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,434,928号に提供される。AAV ITR内には、ウイルスDNA複製(rep)、キャプシド化/パッケージング、および宿主細胞染色体の組み込みを指示するシス作用性配列が含有されている。3つのAAVプロモーター(それらの相対的なマップ配置のためにp5、pl9、およびp40と命名される)は、repおよびcap遺伝子をコードする2つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を駆動させる。2つのrepプロモーター(p5およびpi9)、それと組み合わされた単一のAAVイントロンの差次的スプライシング(ヌクレオチド2107および2227における)は、rep遺伝子からの4つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、およびrep40)の生産をもたらす。repタンパク質は、最終的にウイルスゲノムの複製に関与する複数の酵素的な特性を有する。cap遺伝子は、p40プロモーターから発現され、3つのキャプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3をコードする。オルタナティブスプライシングおよび非コンセンサス翻訳開始部位は、3つの関連するキャプシドタンパク質の生産に関与する。単一のコンセンサスポリアデニル化部位は、AAVゲノムのマップの95位に配置されている。AAVの生活環および遺伝学は、Muzyczka, Current Topics in Microbiology and Immunology, 158: 97-129 (1992)に総論されている。
AAVは、例えば遺伝子治療において外来DNAを細胞に送達するためのベクターとしてそれを魅力的なものにしている固有な特色を有する。培養における細胞のAAV感染は、非細胞変性性であり、ヒトおよび他の動物の天然感染は、無症候および無症状である。さらに、AAVは多くの哺乳動物細胞に感染して、in vivoで多くの様々な組織を標的化することを可能にする。さらに、AAVは、分裂細胞および非分裂細胞をゆっくり形質導入し、本質的にその細胞の寿命にわたり、転写活性を有する核エピソーム(染色体外エレメント)として持続することができる。AAVプロウイルスゲノムは、プラスミド中のクローニングされたDNAとして挿入され、それが組換えゲノムの構築を実現可能にしている。さらに、AAV複製およびゲノムキャプシド化を指示するシグナルが、AAVゲノムのITR内に含有されていることから、ゲノムの内部のおよそ4.3kb(複製および構造的なキャプシドタンパク質、rep-capをコードする)の一部または全部は、外来DNAで置き換えられていてもよい。AAVベクターを生成するために、repおよびcapタンパク質は、トランスで提供することができる。AAVの別の重要な特色は、極めて安定で豊富なウイルスであることである。AAVは、アデノウイルスを不活性化するのに使用される条件(数時間にわたり56℃から65℃)に容易に耐えることから、AAVの低温保存の重要性がより少なくなる。AAVは、凍結乾燥することさえも可能である。最後に、AAV感染細胞は、重複感染に対して耐性ではない。本開示のAAVベクターとしては、自己相補的な二重鎖AAVベクター、合成ITR、および/またはパッケージングのコンパクトさ(compacity)が増加したAAVベクターが挙げられる。例示的な方法は、それぞれ参照によりそれらの全体が組み込まれる、US8,784,799;US8,999,678;US9,169,494;US9,447,433;およびUS9,783,824に提供される。
rAAVゲノム中のAAVのDNAは、組換えウイルスの由来となり得るあらゆるAAV血清型由来であってもよく、それには、これらに限定されないが、AAV血清型AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13およびAAV rh74などが挙げられる。シュードタイプ化rAAVの生産は、例えば、WO01/83692に開示されている。他のタイプのrAAVバリアント、例えばキャプシドの突然変異を有するrAAVも予期される。例えば、Marsic et al., Mol. Therapy. 22):1900-09 (2014)を参照されたい。様々なAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は、当業界において公知である。本開示のAAVベクターとしては、血清型AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV39、AAV43、AAV.rh74、およびAAV.rh8のAAVベクターが挙げられる。例示的なAAVベクターは、それぞれが参照によりその全体が組み込まれる、US7,105,345;US15/782,980;US7,259,151;US6,962,815;US7,718,424;US6,984,517;US7,718,424;US6,156,303;US8,524,446;US7,790,449;US7,906,111;US9,737,618;米国特許出願第15/433,322号;US7,198,951に提供される。
一部の実施形態において、AAV発現ベクターは、標的化を強化するためにシュードタイプ化されている。線維芽細胞中での遺伝子移入を促進し、発現を維持するために、AAV5、AAV7、およびAAV8を使用することができる。一部の場合において、AAV2ゲノムは、Balaji et al. J Surg Res. 184:691-98 (2013)に記載されるように、それぞれシュードタイプ化された生産ベクターAAV2/5、AAV2/7、およびAAV2/8のキャプシドにパッケージングされる。一部の実施形態において、AAV9は、Piras et al. Gene Therapy 23:469-478 (2016)に記載されるように、筋線維芽細胞様系統における発現を標的化するのに使用することができる。一部の実施形態において、AAV1、AAV6、またはAAV9が使用され、一部の実施形態において、AAVは、Asokari et al. Hum Gene Ther. 24:906-13 (2013);Pozsgai et al. Mol Ther. 25:855-69 (2017);Kotterman et al. Nature Reviews Genetics 15:445-51 (2014);およびSchafferらのUS20160340393A1に記載されるように操作される。一部の実施形態において、ウイルスベクターは、US20180066285A1に記載されるように、標的細胞の感染力を増加させるように操作されたAAVである。
一部の実施形態において、本開示のAAVベクターは、改変されたキャプシドを含み、特定には、in vivoもしくはex vivoにおける心細胞、またはより特定には心臓線維芽細胞の形質導入を強化もしくは促進するように操作された;または対象の免疫系を回避する;または体内分布が改善されたキャプシドとして改変されたキャプシドを含む。例示的なAAVキャプシドは、それぞれが参照によりその全体が組み込まれる、US7,867,484;US9,233,131;US10,046,016;WO2016/133917;WO2018/222503;およびWO20019/060454に提供される。AAVキャプシド(または特定にはAAV2キャプシド)において、E67、S207、N551、およびI698における1つまたは複数の置換は、心臓線維芽細胞への感染力を増加させるために使用することができる。より特定には、本開示のAAVベクター、必要に応じてAAV2ベースのベクターは、そのキャプシドタンパク質中に、E67A、S207G、V229I、A490T、N551S、A581T、およびI698Vから選択される1つまたは複数の置換を含んでいてもよい。一部の実施形態において、本開示のAAVベクターは、WO2018/222503に記載のAAV-A2キャプシドおよび/または血清型を含む。一部の実施形態において、AAVキャプシドは、キャプシドタンパク質のGHループにおける挿入を含み、例えばNKIQRTD(配列番号65)またはNKTTNKD(配列番号66)を含む。これらの置換および挿入を一緒に組み合わせて、本開示において有用な様々なキャプシドタンパク質を生成することができることが理解されるであろう。
d.レンチウイルスベクター
一部の実施形態において、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。レンチウイルスは、共通のレトロウイルス遺伝子gag、pol、およびenvに加えて、調節または構造的な機能を有する他の遺伝子を含有する複合レトロウイルスである。レンチウイルスベクターに関する情報は、例えば、Naldini et al., Science 272(5259):263-267, 1996;Zufferey et al., Nat Biotechnol 15(9):871-875, 1997;Blomer et al., J Virol. 71(9):6641-6649, 1997;米国特許第6,013,516号および5,994,136号で入手可能であり、これらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。レンチウイルスの一部の例としては、ヒト免疫不全ウイルス:HIV-1、HIV-2およびサル免疫不全ウイルス:SIVが挙げられる。レンチウイルスベクターは、HIV毒性遺伝子を弱毒化することによって生成されており、例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefを欠失させて、ベクターを生物学的に安全にしている。採用されるレンチウイルスはまた、複製および/または組み込み欠損であってもよい。
組換えレンチウイルスベクターは、非分裂細胞に感染することが可能であり、in vivoおよびex vivoの遺伝子移入と核酸配列の発現の両方のために使用することができる。例えば、好適な宿主細胞がパッケージング機能、すなわちgag、polおよびenv、加えてrevおよびtatを有する2つまたはそれより多くのベクターでトランスフェクトされている、非分裂細胞に感染することが可能な組換えレンチウイルスは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,994,136号に記載されている。当業者は、エンベロープタンパク質を特定の細胞型の受容体に標的化するための抗体または特定のリガンドと連結することによって、組換えウイルスを標的化することができる。例えば、標的特異的なベクターは、ウイルスベクターに目的の核酸セグメント(調節領域を含む)を、特異的な標的細胞型上の受容体ためのリガンドをコードする別の遺伝子と共に挿入することによって生成することができる。
レンチウイルスベクターは、当業界において公知である。全て参照により本明細書に組み込まれる、Naldini et al., (1996 and 1998);Zufferey et al., (1997);Dull et al., 1998、米国特許第6,013,516号;および5,994,136号を参照されたい。一般的に、これらのベクターは、プラスミドベースまたはウイルスベースであり、外来核酸を取り込むための、選択のための、および宿主細胞への核酸の移行ための必須の配列が搭載されるように構成される。一部の場合において、レンチウイルスベクターは、1つまたは複数のレンチウイルスのパッケージングプラスミドと同時に細胞に導入され、パッケージングプラスミドとしては、これらに限定されないが、pMD2.G、pRSV-rev、pMDLG-pRRE、およびpRRL-GOIを挙げることができる。レンチウイルスベクターを、単独で、またはレンチウイルスのパッケージングプラスミドと組み合わせて細胞に導入することは、レンチウイルスベクターをレンチウイルス粒子にパッケージングすることを可能にする。一部の実施形態において、レンチウイルスベクターは、非組み込み型レンチウイルス(NIL)ベクターである。NILベクターを生成するための例示的な方法、例えばインテグラーゼ遺伝子におけるD64V置換は、US8,119,119に提供される。
2.ウイルスベクターを生産する方法
一般的に、ウイルスベクターは、プロデューサー細胞にウイルスDNAまたはRNA構築物を導入することによって生産される。一部の場合において、プロデューサー細胞は、外因性遺伝子を発現しない。他の場合において、プロデューサー細胞は、1つまたは複数の外因性遺伝子、例えば、1つもしくは複数のgag、pol、もしくはenvポリペプチドおよび/または1つもしくは複数のレトロウイルスgag、pol、もしくはenvポリペプチドをコードする遺伝子を含む「パッケージング細胞」である。レトロウイルスのパッケージング細胞は、標的細胞への進入を助けるウイルスポリペプチド、例えば、VSV-gをコードする遺伝子を含んでいてもよい。一部の場合において、パッケージング細胞は、1つまたは複数のレンチウイルスタンパク質、例えば、gag、pol、env、vpr、vpu、vpx、vif、tat、rev、またはnefをコードする遺伝子を含む。一部の場合において、パッケージング細胞は、アデノウイルスタンパク質、例えばEl AまたはEl Bまたは他のアデノウイルスタンパク質をコードする遺伝子を含む。例えば、パッケージング細胞によって供給されるタンパク質は、レトロウイルス由来のタンパク質、例えばgag、pol、およびenv;レンチウイルス由来のタンパク質、例えばgag、pol、env、vpr、vpu、vpx、vif、tat、rev、およびnef;ならびにアデノウイルス由来のタンパク質、例えばEl AおよびE1 Bであってもよい。多くの例において、パッケージング細胞は、ウイルスベクターの由来となるウイルスとは異なるウイルス由来のタンパク質を供給する。パッケージング細胞から組換えウイルスを生産する方法およびその使用は、十分に確立されている;例えば、米国特許第5,834,256号;6,910,434号;5,591,624号;5,817,491号;7,070,994号;および6,995,009号を参照されたい。
パッケージング細胞系としては、これらに限定されないが、容易にトランスフェクション可能なあらゆる細胞系が挙げられる。パッケージング細胞系は、293T細胞、NIH3T3、COSまたはHeLa細胞系をベースとしていてもよい。パッケージング細胞はしばしば、ウイルスパッケージングに必要なタンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子が欠損したウイルスベクタープラスミドをパッケージングするのに使用される。このようなウイルスベクターまたはプラスミドによってコードされたタンパク質から欠如したタンパク質またはポリペプチドを供給できるあらゆる細胞が、パッケージング細胞として使用することができる。パッケージング細胞系の例としては、これらに限定されないが、Platinum-E(Plat-E)、Platinum-A(Plat-A)、BOSC23(ATCC CRL11554)およびBing(ATCC CRL11270)が挙げられる。Morita et al. (2000) Gene Therapy 7(12): 1063-1066;Onishi et al. (1996) Experimental Hematology, 24:324-329;米国特許第6,995,009号。商業的なパッケージング系も有用であり、例えば、Ampho-Pak293細胞系、Eco-Pak2-293細胞系、RetroPack PT67細胞系、およびRetro-Xユニバーサルパッケージングシステム(全てClontechより入手可能)である。
3.プラスミド
ウイルスベクタープラスミド(または構築物)としては、pMXs、pMxs-IB、pMXs-puro、pMXs-neo(pMXs-IBは、pMXs-puroのピューロマイシン耐性遺伝子の代わりに、ブラスチシジン耐性遺伝子を搭載するベクターである)、Kimatura et al. (2003) Experimental Hematology 31: 1007-1014;MFG Riviere et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci., 92:6733-6737;pBabePuro;Morgenstern et al. (1990) Nucleic Acids Research 18:3587-3596;レトロウイルス系として、LL-CG、CL-CG、CS-CG、CLG、Miyoshi et al. (1998) J. Vir. 72:8150-8157など、およびアデノウイルス系として、pAdexl、Kanegae et al. (1995) Nucleic Acids Research 23 :3816-3821などが挙げられる。例示的な実施形態において、レトロウイルス構築物は、ブラスチシジン(例えば、pMXs-IB)、ピューロマイシン(例えば、pMXs-puro、pBabePuro)、またはネオマイシン(例えば、pMXs-neo)を含む。Morgenstern et al. (1990) Nucleic Acids Research 18:3587-3596。
一部の実施形態において、ウイルスベクターまたはプラスミドは、リプログラミング因子をコードするポリヌクレオチドを含むトランスポゾンまたは転移エレメントを含む。DNAトランスポゾン、例えばpiggyBacおよびスリーピングビューティー(Sleeping Beauty)を介したポリヌクレオチドの送達は、使いやすさ、より大きいカーゴを送達する能力、診療に至るスピード、および生産コストにおいて利点をもたらす。piggyBac DNAトランスポゾンは、特定には、長期にわたる、高レベルの安定なポリヌクレオチドの発現をもたらすこと、および突然変異誘発性がより著しく低いこと、非腫瘍形成性であること、および完全に可逆的であることにおいて、潜在的な利点をもたらす。
4.導入されたRNAからの直接の翻訳
選択された細胞中で1つまたは複数の目的の遺伝子が一時的に発現される場合、目的の遺伝子は、RNA分子として導入することができ、これが、細胞の細胞質内でタンパク質に翻訳される。例えば、目的のタンパク質は、翻訳開始シグナル(例えば、強いコザック翻訳開始シグナル)を含有する5’非翻訳領域(UTR)と、鋳型化されたポリAテールの付加のためのオリゴ(dT)配列で終わっている3’非翻訳領域とによって挟まれたポリペプチドためのオープンリーディングフレーム(ORF)を有する導入されたRNA分子から翻訳されてもよい。このようなRNA分子は、ほとんどの発現ベクターおよび発現カセットで採用されるプロモーター配列を有さない。RNA分子は、電気穿孔などの様々な技術によって、またはカチオン性媒体と複合体化したRNAのエンドサイトーシスによって、選択された細胞に導入することができる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWarren et al., Cell Stem Cell 7: 618-30 (2010)を参照されたい。
特に、RNA分子が、改変されたリボヌクレオチドを取り込むことによって安定化される場合、タンパク質翻訳は、数日間持続することができる。例えば、シチジンのために5-メチルシチジン(5mC)および/またはウリジンのためにプソイドウリジン(psi)を取り込むことは、in vivoでの導入されたRNAの半減期を改善し、タンパク質翻訳の増加をもたらすことができる。高いレベルの発現が求められる場合、または数日より長い日数の発現が求められる場合、選択された細胞にRNAを繰り返して導入してもよい。
タンパク質をコードするRNAはまた、5’cap、核局在化シグナル、またはそれらの組合せを含んでいてもよい。例えば、Warren et al., Cell Stem Cell 7: 618-30 (2010)を参照されたい。
このようなRNA分子は、例えば、3’-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G ARCA capアナログ、アデノシン三リン酸およびグアノシン三リン酸、5-メチルシチジン三リン酸およびプソイドウリジン三リン酸を含むリボヌクレオシドブレンドを使用する、目的のポリヌクレオチドための鋳型のin vitroにおける転写によって作製することができる。RNA分子はまた、ホスファターゼで処理して細胞傷害性を低減させてもよい。
RNAは、単独で、またはマイクロRNA(例えば、Oct4発現の場合、miRNA-302)と共に導入されてもよく、マイクロRNAは、内因性ポリペプチド発現の誘導物質であってもよい。マイクロRNA(micoRNA)は、タンパク質をコードしない構造的なRNAとして機能する。したがって、マイクロRNAにとって、その機能を発揮するために翻訳は必要ではない。マイクロRNAは、例えば、リポソーム、微小胞、またはエキソゾームなどの送達媒体で、細胞に直接導入することができる。代替として、マイクロRNAは、細胞または細胞集団に導入された発現カセットまたは発現ベクターから発現させることができる。
B.非核酸ベクター
ある特定の実施形態において、ベクターは、参照により本明細書に組み込まれるKanasty R, Delivery materials for siRNA therapeutics Nat Mater. 12(11):967-77 (2013)に記載されるような脂質粒子を含む。一部の実施形態において、脂質ベースのベクターは、脂質ナノ粒子であり、これは、サイズが約1から約100ナノメートルの間の脂質粒子である。
一部の実施形態において、脂質ベースのベクターは、脂質またはリポソームである。リポソームは、脂質二重層を含む人工の球状の小胞である。
一部の実施形態において、脂質ベースのベクターは、小さい核酸脂質粒子(SNALP)である。SNALPは、核酸を封入する小さい(直径200nm未満の)脂質ベースのナノ粒子を含む。一部の実施形態において、SNALPは、RNA分子、例えばsiRNAの送達に有用である。一部の実施形態において、SNALP製剤は、対象の特定の組織、例えば心臓に核酸を送達する。
一部の実施形態において、1つまたは複数のポリヌクレオチドは、ポリマーベクターを介して送達される。一部の実施形態において、ポリマーベクターは、ポリマーまたはポリマーソーム(polymerosome)である。ポリマーは、あらゆる長さの単量体の繰り返しの鎖を包含し、そのようなものとしては、例えば、線状ポリマー、分岐状ポリマー、デンドリマー、および多糖類が挙げられる。線状ポリマーは、単一ライン状の単量体を含み、それに対して分岐状ポリマーは、単量体の側鎖を含む。デンドリマーも分岐した分子であり、これは、分子のコアの周りに分岐が対称的に配列されたものである。多糖は、ポリマーの炭水化物分子であり、一緒に連結された長い単糖単位で構成されている。ポリマーソームは、小胞膜を形成する合成の両親媒性コポリマーで構成される人工の小胞であり、小胞膜内に中空または水性のコアを有していてもよい。
様々なポリマーベースの系を、1つまたは複数のリプログラミング因子をコードするDNAまたはRNAを投与するための媒体として適合させることができる。例示的な高分子材料としては、ポリ(D,L-乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(L-乳酸-co-グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、PLGA-b-ポリ(エチレングリコール)-PLGA(PLGA-bPEG-PLGA)、PLLA-bPEG-PLLA、PLGA-PEG-マレイミド(PLGA-PEG-mal)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン-co-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PEO-co-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-co-PPO-co-D,L-ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリレート(cyanoacralate)、ポリウレタン、ポリ-L-リシン(PLL)、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリアルキレン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリアルキレングリコール、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリアルキレンテレフタレート、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、例えばポリ(酢酸ビニル)、ハロゲン化ポリビニル、例えばポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、誘導体化セルロース、例えばアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸のポリマー、例えばポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(オクタデシルアクリレート)(ポリアクリル酸)、ならびにコポリマーおよびそれらの混合物、ポリジオキサノンおよびそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート)、ポルオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)、トリメチレンカーボネート、ポリビニルピロリドン、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリ([ベータ]-アミノエステル(PBAE)、およびポリホスホエステル、ならびに2種またはそれより多くのこのようなポリマーのブレンドおよび/またはブロックコポリマーが挙げられる。ポリマーベースの系としては、シクロデキストリンポリマー(CDP)ベースのナノ粒子、例えば、CDP-アダマンタン(admantane)(AD)-PEGコンジュゲートおよびCDP-AD-PEG-トランスフェリンコンジュゲートなども挙げることができる。
核酸などの薬物送達のための例示的なポリマー粒子系としては、US5,543,158、US6,007,845、US6,254,890、US6,998,115、US7,727,969、US7,427,394、US8,323,698、US8,071,082、US8,105,652、US2008/0268063、US2009/0298710、US2010/0303723、US2011/0027172、US2011/0065807、US2012/0156135、US2014/0093575、WO2013/090861に記載されるものが挙げられ、これらのそれぞれは、これによりその全体が参照により組み込まれる。
一部の実施形態において、脂質ベースのベクターは、脂質封入系を含む。脂質封入系は、所望の組織分布および細胞進入特性を促進するように、加えて、必要な循環時間および生物分解性の特徴を提供するように設計することができる。脂質封入体は、例えばこれにより参照により本明細書に組み込まれるUS8,193,334に記載されるように、逆ミセルを含んでいてもよいし、および/またはポリマーマトリックスをさらに含んでいてもよい。一部の実施形態において、粒子は、例えば優先的な方式での送達など、組織への粒子の送達を強化するために、親油性送達化合物を含む。このような化合物は、これによりその全体が参照により組み込まれるUS2013/0158021に開示されている。このような化合物は、一般的に、親油性基、およびコンジュゲートしたアミノ酸またはペプチド、例えば直鎖状または環状ペプチドなど、ならびにそれらの異性体などを含んでいてもよい。一部の実施形態において、脂質封入体は、リン脂質、コレステロール、ポリエチレングリコール(PEG)-脂質、および親油性化合物の1つまたは複数を含む。
粒子は、脂質粒子か、もしくはポリマー粒子か、またはその両方かにかかわらず、in vivoでの核酸送達に関する特性を強化するのに有用な追加の成分を含んでいてもよい(それぞれこれにより参照により本明細書に組み込まれるUS8,450,298およびUS2012/0251560で開示された化合物などが挙げられる)。送達媒体は、ある特定の組織中で優先的に蓄積することによって組織を標的化する作用をもたらすが、一部の実施形態において、送達媒体は、少なくとも1つの細胞を標的化する、または組織を標的化するリガンドをさらに含む。機能化した粒子、例えば例示的な標的化リガンドなどは、これによりそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれるUS2010/0303723および2012/0156135に開示されている。
送達媒体は、本明細書で開示された送達系の所望の組織分布および細胞進入特性を促進するように、加えて、必要な循環時間および生物分解性の特徴を提供するように設計することができる。例えば、脂質粒子は、これにより参照により本明細書に組み込まれるUS2011/0009641で開示されたようなアミノ脂質を採用することができる。
脂質またはポリマー粒子は、約50nmから約5μmの範囲のサイズ(例えば、平均サイズ)を有していてもよい。一部の実施形態において、粒子は、約10nmから約100μm、または約20nmから約50μm、または約50nmから約5μm、または約70nmから約500nm、または約70nmから約200nm、または約50nmから約100nmの範囲内である。粒子は、免疫系による迅速なクリアランスを回避するように選択してもよい。粒子は、球状であってもよいし、またはある特定の実施形態では球状でなくてもよい。
C.プロモーターおよびエンハンサー
一部の実施形態において、リプログラミング因子をコードする核酸は、リプログラミング因子の発現を容易にするために、プロモーターおよび/またはエンハンサーに作動可能に連結されていてもよい。利用される宿主/ベクター系に応じて、発現ベクターには、構成的および誘導性プロモーター、転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどのいくつかの好適な転写および翻訳制御エレメントのいずれを使用してもよい(例えば、Bitter et al. (1987) Methods in Enzymology, 153 :516-544)。
ポリヌクレオチドのそれぞれにつき、別個のプロモーターおよび/またはエンハンサーを採用してもよい。一部の実施形態において、単一のオープンリーディングフレーム中の2つまたはそれより多くのポリヌクレオチドに、同じプロモーターおよび/またはエンハンサーが使用される。この遺伝学的エレメントの構成を採用するベクターは、「ポリシストロン性」と呼ばれる。ポリシストロン性ベクターの例は、2A領域によって連結された2つまたはそれより多くのポリヌクレオチドを含む単一のオープンリーディングフレームに作動可能に連結したエンハンサーおよびプロモーターを含み、それによってオープンリーディングフレームを発現させると、複数のポリペプチドが共に翻訳されることによって生成される。2A領域は、コドンスキッピングを介して複数のポリペプチド配列の生成を媒介すると考えられているが、本開示はまた、同じポリヌクレオチドから2つまたはそれより多くの目的の遺伝子に関するポリペプチドを生成するために翻訳後切断を採用するポリシストロン性ベクターにも関する。例示的な2A配列、ベクター、および関連する方法は、参照により本明細書に組み込まれるUS20040265955A1に提供される。本開示の他のポリシストロン性ベクターは、内部プロモーター、スプライシング、再開、内部リボソーム進入部位(IRES)、タンパク質分解的切断可能部位(例えばfusagen)および遺伝子の融合を採用する。
好適な真核生物プロモーター(真核細胞において機能的なプロモーター)の非限定的な例としては、CMV、CMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルス由来の長い末端反復(LTR)、およびマウスメタロチオネイン-Iが挙げられる。一部の実施形態において、心臓特異的な発現を付与することが可能なプロモーターが使用されると予想される。好適な心臓特異的プロモーターの非限定的な例としては、デスミン(Des)、アルファ-ミオシン重鎖(a-MHC)、ミオシン軽鎖2(MLC-2)、心臓トロポニンT(cTnT)および心臓トロポニンC(cTnC)が挙げられる。好適なニューロン特異的プロモーターの非限定的な例としては、シナプシンI(SYN)、カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII、チューブリンアルファI、ニューロン特異的エノラーゼおよび血小板由来増殖因子ベータ鎖プロモーター、ならびにこのようなニューロン特異的プロモーターにサイトメガロウイルスエンハンサー(E)を融合させることによるハイブリッドプロモーターが挙げられる。
発現リプログラミング因子を駆動させるための好適なプロモーターの例としては、これらに限定されないが、レトロウイルスの長い末端反復(LTR)エレメント;構成的プロモーター、例えばCMV、HSV1-TK、SV40、EF-la、β-アクチン、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK);誘導性プロモーター、例えばTet-オペレーターエレメントを含有するもの;心臓特異的プロモーター、例えばデスミン(Des)、アルファ-ミオシン重鎖(a-MHC)、ミオシン軽鎖2(MLC-2)、心臓トロポニンT(cTnT)および心臓トロポニンC(cTnC);神経特異的プロモーター、例えばネスチン、ニューロン核(NeuN)、微小管結合タンパク質2(MAP2)、ベータIIIチューブリン、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、希突起膠細胞系統(Oligl/2)、およびグリア線維性酸性タンパク質(GFAP);ならびに膵臓特異的プロモーター、例えばPax4、Nkx2.2、Ngn3、インスリン、グルカゴン、およびソマトスタチンが挙げられる。
一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、細胞型特異的な転写調節因子エレメント(TRE)に作動可能に連結されており、その場合、TREとしては、プロモーターおよびエンハンサーが挙げられる。好適なTREとしては、これらに限定されないが、以下の遺伝子由来のTREが挙げられる:ミオシン軽鎖-2、α-ミオシン重鎖、AE3、心臓トロポニンC、および心臓アクチン。Franz et al. (1997) Cardiovasc. Res. 35:560-566;Robbins et al. (1995) Ann. N. Y. Acad. Sci. 752:492-505;Linn et al. (1995) Circ. Res. 76:584-591;Parmacek et al. (1994) Cell. Biol. 14: 1870-1885;Hunter et al. (1993) Hypertension 22:608-617;およびSartorelli et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4047-4051。
プロモーターは、遺伝子または核酸セグメントと天然に会合しているものであってもよい。同様に、RNA(例えば、マイクロRNA)の場合、プロモーターは、マイクロRNA遺伝子(例えば、miRNA-302遺伝子)と天然に会合しているものであってもよい。このような天然に会合しているプロモーターは、「天然プロモーター」と称することができ、コーディングセグメントおよび/またはエクソンの上流に配置される5’非コード配列を単離することにより得ることができる。同様に、エンハンサーは、核酸配列と天然に会合しているものであってもよい。しかしながら、エンハンサーは、その配列の下流または上流のいずれに配置されていてもよい。
代替として、組換えまたは異種プロモーターの制御下にコーディング核酸セグメントを配置することによって一定の利点が得られると予想され、組換えまたは異種プロモーターは、通常、その天然環境で核酸と会合していないプロモーターを指す。組換えまたは異種エンハンサーも、通常、その天然環境で核酸配列に会合していないエンハンサーを指す。このようなプロモーターまたはエンハンサーとしては、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、ならびに他のあらゆる原核、ウイルス、または真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、ならびに「天然に存在」しない、すなわち、異なる転写調節領域の異なるエレメント、および/または発現を変更する突然変異を含有するプロモーターまたはエンハンサーを挙げることができる。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成的に生産することに加えて、本明細書で開示された組成物と共に、PCR(商標)を含む組換えクローニングおよび/または核酸増幅技術を使用して、配列を生産してもよい(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,683,202号、米国特許第5,928,906号を参照)。
採用されるプロモーターは、構成的、誘導性、発生特異的、組織特異的であってもよいし、および/または核酸セグメントの高レベルの発現を指示するための適切な条件下で有用であってもよい。例えば、プロモーターは、構成的プロモーターであってもよく、例えば、CMVプロモーター、CMVサイトメガロウイルス前初期プロモーター、CAGプロモーター、EF-1αプロモーター、HSV1-TKプロモーター、SV40プロモーター、β-アクチンプロモーター、PGKプロモーター、またはそれらの組合せであってもよい。使用することが可能な真核生物プロモーターの例としては、これらに限定されないが、構成的プロモーター、例えば、ウイルスプロモーター、例えばCMV、SV40およびRSVプロモーター、加えて、調節プロモーター、例えば、誘導性または抑制性プロモーター、例えばtetプロモーター、hsp70プロモーター、ならびにCREによって調節される合成プロモーターが挙げられる。一部の実施形態において、プロモーターは、CAGプロモーター(すなわちCMV初期エンハンサーエレメントおよびニワトリベータ-アクチンプロモーター)(配列番号67)を含む。一部の実施形態において、発現カセットは、SV40イントロン(配列番号83)を含む。一部の実施形態において、プロモーターは、CMV初期エンハンサーエレメント、ニワトリベータ-アクチンプロモーターおよびCMVイントロン(配列番号69)を含む。一部の実施形態において、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドの1つまたは複数は、CAGプロモーター(配列番号67)に作動可能に連結されている。一部の実施形態において、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドの1つまたは複数は、スーパーコアプロモーター(SCP)(配列番号68)に作動可能に連結されている。US7,968,698を参照されたい。採用することが可能なプロモーターの他の例としては、ヒトEF1α伸長因子プロモーター、CMVサイトメガロウイルス前初期プロモーター、CAGニワトリアルブミンプロモーター、本明細書に記載されるウイルスベクターのいずれかに会合したウイルスプロモーター、または本明細書に記載されるプロモーターのいずれかに相同な(例えば、別の種由来の)プロモーターが挙げられる。一部の実施形態において、プロモーターは、遍在性プロモーターであり、必要に応じて、CMV、EF1A、EFS、CAG、CBh、SV40、mPGK、hPGK、およびUBCプロモーターからなる群から選択される。一部の実施形態において、プロモーターは、誘導性プロモーターである。一部の実施形態において、プロモーターは、線維芽細胞特異的プロモーターであり、必要に応じて、COL1A1、COL6A1、FN1 POSTN、COL1A2、MAP2K3、およびPPARγプロモーターからなる群から選択される。
一部の実施形態において、内部リボソーム進入部位(IRES)エレメントは、多重遺伝子、またはポリシストロン性伝令を作り出すのに使用することができる。IRESエレメントは、5’-メチル化Cap依存性翻訳のリボソームスキャニングモデルをバイパスし、内部の部位で翻訳を開始させることができる(Pelletier and Sonenberg, Nature 334(6180):320-325 (1988))。ピコルナウイルスファミリーのうち2つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎)由来のIRESエレメント(Pelletier and Sonenberg, Nature 334(6180):320-325 (1988))、加えて、哺乳動物伝令由来のIRES(Macejak & Samow, Nature 353:90-94 (1991))が記載されている。IRESエレメントは、異種オープンリーディングフレームに連結されていてもよい。それぞれIRESによって隔てられた複数のオープンリーディングフレームが一緒に転写されてもよく、ポリシストロン性伝令が作り出される。IRESエレメントのために、各オープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームに接近可能である。複数の遺伝子は、単一の伝令を転写するために、単一のプロモーター/エンハンサーを使用して効率的に発現させることができる(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,925,565号および5,935,819号を参照)。
一部の実施形態において、本開示のベクターは、1つまたは複数のポリAシグナルを含む。本開示のベクターにおいて有用な例示的なポリAシグナルとしては、短鎖ポリAシグナル(配列番号74)およびbGHポリAシグナル(配列番号85)が挙げられる。
D.細胞へのベクター送達
ウイルスベクターは、当業界において公知のあらゆる方法によって宿主線維芽細胞に導入することができ、このような方法としては、これらに限定されないが、リン酸カルシウム方法、リポフェクション方法(例えば、Feigner et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. 84:7413-7417)、電気穿孔方法、マイクロインジェクション、Fugeneトランスフェクション、ヌクレオフェクションなど、および本明細書に記載されるあらゆる方法が挙げられる。
手順の例としては、例えば、Stadtfeld and Hochedlinger, Nature Methods 6(5):329-330 (2009);Yusa et al., Nat. Methods 6:363-369 (2009);Woltjen, et al., Nature 458, 766-770 (9 Apr. 2009))により記載されたものが挙げられる。このような方法としては、これらに限定されないが、例えば、必要に応じてFugene6(Roche)またはLipofectamine(Invitrogen)を用いた、ex vivoのトランスフェクションによる(例えば、Wilson et al., Science, 244:1344-1346, 1989, Nabel & Baltimore, Nature 326:711-713, 1987);注射による(例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,994,624号、5,981,274号、5,945,100号、5,780,448号、5,736,524号、5,702,932号、5,656,610号、5,589,466号および5,580,859号)、例えばマイクロインジェクションなどによる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるHarland and Weintraub, J. Cell Biol., 101:1094-1099, 1985;米国特許第5,789,215号);電気穿孔による(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,384,253号、Tur-Kaspa et al., Mol. Cell Biol., 6:716-718, 1986;Potter et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA, 81:7161-7165, 1984);リン酸カルシウム沈殿による(例えば、Graham & Van Der Eb, Virology, 52:456-467, 1973;Chen and Okayama, Mol. Cell Biol., 7(8):2745-2752, 1987;Rippe et al., Mol. Cell Biol., 10:689-695, 1990);DEAE-デキストランとそれに続くポリエチレングリコールの使用による(例えば、Gopal, Mol. Cell Biol., 5:1188-1190, 1985);直接のソニックローディングによる(例えば、Fechheimer et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA, 84:8463-8467, 1987);リポソーム媒介トランスフェクションによる(例えば、Nicolau & Sene, Biochim. Biophys. Acta, 721:185-190, 1982、Fraley et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA, 76 : 3348-3352, 1979;Nicolau et al., Methods Enzymol., 149:157-176, 1987、Wong et al., Gene, 10:87-94, 1980、Kaneda et al., Science, 243:375-378, 1989、Kato et al., Biol. Chem., 266:3361-3364, 1991)、受容体媒介トランスフェクションによる(例えば、Wu and Wu, Biochemistry, 27:887-892, 1988;Wu and Wu, J. Biol. Chem., 262:4429-4432, 1987);カチオン性媒体と複合体化したRNAのエンドサイトーシスによる(Warren et al., Cell Stem Cell 7:618-30 (2010));およびこのような方法のあらゆる組合せによるDNAの直接送達が挙げられる。前述の参考文献のそれぞれは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
核酸分子が宿主にin vitroで導入されるか、またはin vivoで導入されるかに応じて、細胞に本開示の核酸分子を導入するための様々な技術を採用することができる。このような技術としては、核酸分子-リン酸カルシウム沈殿物のトランスフェクション、DEAEと会合した核酸分子のトランスフェクション、目的の核酸分子を含む前述のウイルスでのトランスフェクションまたは感染、リポソーム媒介トランスフェクションなどが挙げられる。他の例としては、Sigma-AldrichによるN-TER(商標)ナノ粒子トランスフェクションシステム、Polyplus Transfectionによる昆虫細胞ためのFECTOFLY(商標)トランスフェクション試薬、Polysciences,Inc.によるポリエチレンイミン「Max」、Cosmo Bio Co.,Ltd.による固有な非ウイルストランスフェクションツール、InvitrogenによるLIPOFECTAMINE(商標)LTXトランスフェクション試薬、StratageneによるSATISFECTION(商標)トランスフェクション試薬、InvitrogenによるLIPOFECTAMINE(商標)トランスフェクション試薬、Roche Applied ScienceによるFUGENE(登録商標)HDトランスフェクション試薬、Polyplus TransfectionによるGMP規格に準拠したIN VIVO-JETPEI(商標)トランスフェクション試薬、およびNovagenによるInsect GENEJUICE(登録商標)トランスフェクション試薬が挙げられる。
IV.リプログラミング因子組成物
ASCL1、MYOCD、MEF2C、およびTBX5の1つまたは複数を用いたリプログラミングは、改善された結果を伴う一部の場合において、他のリプログラミング戦略と組み合わせることができる。一部の実施形態において、標的組織または初発の細胞は、Oct4ポリペプチドを発現するか、またはそれを発現するように誘導される。標的組織または初発の細胞は、それぞれ、1つまたは複数のWNTアゴニスト、GSK3阻害剤、TGF-ベータ阻害剤、エピジェネティックな調節剤、アデニリルシクラーゼアゴニスト、Oct-4発現活性化剤、およびそれらのあらゆる組合せを含有するリプログラミング組成物で処理してもよいし、またはそれと共にインキュベートしてもよい。組成物は、このような薬剤のうち少なくとも2つ、またはこのような薬剤のうち少なくとも3つ、またはこのような薬剤のうち少なくとも4つ、またはこのような薬剤のうち少なくとも5つ、またはこのような薬剤のうち少なくとも6つを含有していてもよい。例えば、組成物は、SB431542(ALK4/5/7阻害剤)、CHIR99021(GSK3阻害剤)、パルネート(parnate)(LSD1/KDM1阻害剤、トラニルシプロミンとも称される)およびフォルスコリン(アデニリルシクラーゼ活性化剤)を含んでいてもよい。
ある特定の実施形態において、リプログラミングは、1つまたは複数の抗炎症剤、例えば、抗炎症性ステロイドまたは非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の投与によって強化される。
本発明において使用するための抗炎症性ステロイドとしては、コルチコステロイド、特定には、グルココルチコイド活性を有するもの、例えば、デキサメタゾンおよびプレドニゾンが挙げられる。本発明において使用するための非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、一般的に、炎症および痛みを引き起こすプロスタグランジン、シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)および/またはシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の生産をブロックすることによって作用する。従来のNSAIDは、COX-1とCOX-2の両方をブロックすることによって機能する。COX-2選択的阻害剤は、COX-2酵素のみをブロックする。ある特定の実施形態において、NSAIDは、COX-2選択的阻害剤、例えば、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))、ロフェコキシブ(Vioxx)、およびバルデコキシブ(B extra)である。ある特定の実施形態において、抗炎症剤は、NSAIDプロスタグランジン阻害剤、例えば、ピロキシカムである。
組成物を調製するために、ベクターおよび/または細胞が生成され、必要に応じて、または所望であれば、ベクターまたは細胞は精製される。ベクター、細胞、および/または他の薬剤は、薬学的に許容される担体中に懸濁してもよい。組成物が化合物のみを含有し細胞を含まない場合、組成物は凍結乾燥することができる。これらの化合物および細胞は、適切な濃度に調整することができ、必要に応じて他の薬剤と組み合わせてもよい。単位用量中に含まれる所与の化合物および/または他の薬剤の絶対重量は、広く変更することができる。用量および投与回数は、当業者によって最適化することができる。
例えば、約102~1010ベクターゲノム(vg)が投与されてもよい。一部の実施形態において、用量は、少なくとも約102vg、約103vg、約104vg、約105vg、約106vg、約107vg、約108vg、約109vg、約1010vg、またはそれより多くのベクターゲノムである。一部の実施形態において、用量は、約102vg、約103vg、約104vg、約105vg、約106vg、約107vg、約108vg、約109vg、約1010vg、またはそれより多くのベクターゲノムである。
化合物の1日用量は、同様に変更することができる。このような1日用量は、例えば、少なくとも約102vg/日、約103vg/日、約104vg/日、約105vg/日、約106vg/日、約107vg/日、約108vg/日、約109vg/日、約1010vg/日、または1日当たりそれより多くのベクターゲノムからの範囲であってもよい。
一部の実施形態において、本開示の方法は、本開示のベクターまたはベクター系(例えばrAAVベクター)を、心腔内注射、心筋内注射、心臓カテーテル法、または全身投与によって投与するステップを含む。一部の実施形態において、対象(例えば、ヒト)は、心腔内注射、心筋内注射、心臓カテーテル法、または全身投与によって、約1×108から約1×1015GCの間のベクター(例えば、AAVベクターまたはレンチウイルスベクター)を投与することによって処置される。一部の実施形態において、対象は、約1×108から約1×1015GCの間、約1×108から約1×1015GCの間、約1×109から約1×1014GCの間、約1×1010から約1×1013GCの間、約1×1011から約1×1012GCの間、または約1×1012から約1×1013GCの間のベクターを投与することによって処置される。一部の実施形態において、対象は、約1×108から約1×1010GCの間、約1×109から約1×1011GCの間、約1×1010から約1×1012GCの間、約1×1011から約1×1013GCの間、約1×1012から約1×1014GCの間、または約1×1013から約1×1015GCの間のベクターを投与することによって処置される。一部の実施形態において、対象は、少なくとも1×108、少なくとも約1×109、少なくとも約1×1010、少なくとも約1×1011、少なくとも約1×1012、少なくとも約1×1013、または少なくとも約1×1015GCのベクターを投与することによって処置される。一部の実施形態において、対象は、最大で1×108、最大で約1×109、最大で約1×1010、最大で約1×1011、最大で約1×1012、最大で約1×1013、または最大で約1×1015GCのベクターを投与することによって処置される。一部の実施形態において、対象(例えば、ヒト)は、心腔内注射によってまたは全身的に、約1×108から約1×1015GC/kgの間のベクター(例えば、AAVベクターまたはレンチウイルスベクター)を投与することによって処置される。一部の実施形態において、対象は、約1×108から約1×1015GC/kgの間、約1×108から約1×1015GC/kgの間、約1×109から約1×1014GC/kgの間、約1×1010から約1×1013GC/kgの間、約1×1011から約1×1012GC/kgの間、または約1×1012から約1×1013GC/kgの間のベクターを投与することによって処置される。一部の実施形態において、対象は、約1×108から約1×1010GC/kgの間、約1×109から約1×1011GC/kgの間、約1×1010から約1×1012GC/kgの間、約1×1011から約1×1013GC/kgの間、約1×1012から約1×1014GC/kgの間、または約1×1013から約1×1015GC/kgの間のベクターを投与することによって処置される。一部の実施形態において、対象は、少なくとも1×108、少なくとも約1×109、少なくとも約1×1010、少なくとも約1×1011、少なくとも約1×1012、少なくとも約1×1013、または少なくとも約1×1015GC/kgのベクターを投与することによって処置される。一部の実施形態において、対象は、最大で1×108、最大で約1×109、最大で約1×1010、最大で約1×1011、最大で約1×1012、最大で約1×1013、または最大で約1×1015GC/kgのベクターを投与することによって処置される。処置において使用するためのベクターおよび細胞の量は、選択される特定の担体だけでなく、投与経路、処置されている状態の性質、ならびに患者の年齢および状態によっても変更されると予想されることが理解されるであろう。最終的には、担当の医療提供者が適した投薬量を決定してもよい。医薬組成物は、細胞有りまたは無しでの投与ための単一の単位剤形で、各化合物の適切な比率で製剤化することができる。細胞またはベクターは、別々に提供してもよく、化合物組成物の液状溶液と混合されるか、または別々に投与されるかのいずれであってもよい。
組成物はまた、持続放出のために製剤化することもできる(例えば、マイクロカプセル化を使用、WO94/07529、および/または米国特許第4,962,091号を参照)。この製剤は、必要に応じて、都合よく別々の単位剤形で提供することができ、薬学分野において周知の方法のいずれかによって調製することができる。このような方法は、治療剤を、液体担体、固体マトリックス、半固体担体、微粉化した固体担体またはそれらの組合せと混合するステップ、次いで、必要に応じて、生成物を所望の送達系に導入または成形するステップを含み得る。
化合物および/またはリプログラミングされた細胞を含有する1つまたは複数の好適な単位剤形は、非経口(皮下、静脈内、筋肉内および腹膜内など)、頭蓋内、脊髄内、経口、直腸、表皮、経皮、胸腔内、肺内および経鼻(呼吸器)経路などの様々な経路によって投与することができる。
本発明のベクターまたは細胞は、水溶液剤、懸濁剤、錠剤、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤、およびリポソーム剤ならびに他の低速放出製剤、例えば成形ポリマーゲル剤を含む多くの形態で調製することができる。細胞の投与はしばしば、水溶液剤での非経口または局所投与を含む。同様に、細胞および/または化合物を含有する組成物は、デバイス、足場中で、または持続放出製剤として投与することができる。様々なタイプの製剤化手順が、米国特許第6,306,434号およびそこに含まれる参考文献に記載されている。
液体医薬組成物は、例えば、水性または油性懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤またはエリキシル剤、使用前に水または他の好適な媒体で再構成するための乾燥粉末剤の形態であってもよい。このような液体医薬組成物は、従来の添加剤、例えば懸濁化剤、乳化剤、非水性媒体(その例としては、食用油を挙げることができる)、または保存剤を含有していてもよい。
ベクターおよび/または細胞は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または持続点滴による)のために製剤化することができ、保存剤が添加された、アンプル、プレフィルドシリンジ、小体積の輸注容器または複数回投与容器中の単位剤形で提供することができる。医薬組成物は、油性または水性媒体中の懸濁剤、液剤、または乳剤の形態をとっていてもよく、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化物質を含有していてもよい。好適な担体としては、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、および当業界において一般的に使用される他の材料が挙げられる。
組成物はまた、他の成分、例えば心臓の疾患、状態および傷害を処置するのに有用な薬剤、例えば、抗凝血剤(例えば、ダルテパリン(フラグミン)、ダナパロイド(オルガラン)、エノキサパリン(ラブノックス)、ヘパリン、チンザパリン(イノヘップ)、および/またはワルファリン(クマジン))、抗血小板剤(例えば、アスピリン、チクロピジン、クロピドグレル、またはジピリダモール)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例えば、ベナゼプリル(ロテンシン)、カプトプリル(キャポテン(Capoten))、エナラプリル(バソテック(Vasotec))、フォシノプリル(モノプリル(Monopril))、リシノプリル(プリニビル(Prinivil)、ゼストリル)、モエキシプリル(ユニバスク(Univasc))、ペリンドプリル(アセオン)、キナプリル(アキュプリル(Accupril))、ラミプリル(アルターセ(Altace))、および/またはトランドラプリル(マビック(Mavik)))、アンジオテンシンII受容体ブロッカー(例えば、カンデサルタン(アタカンド(Atacand))、エプロサルタン(テベテン(Teveten))、イルベサルタン(アバプロ)、ロサルタン(コザール(Cozaar))、テルミサルタン(ミカルディス)、および/またはバルサルタン(ディオバン))、ベータブロッカー(例えば、アセブトロール(セクトラール)、アテノロール(テノーミン)、ベタキソロール(ケルロン(Kerlone))、ビソプロロール/ヒドロクロロチアジド(ジアック)、ビソプロロール(ゼベータ(Zebeta))、カルテオロール(カルトロル(Cartrol))、メトプロロール(ロプレッサー(Lopressor)、トプロール(Toprol)XL)、ナドロール(コルガード)、プロプラノロール(インデラル)、ソタロール(ベタペース(Betapace))、および/またはチモロール(ブロカドレン(Blocadren)))、カルシウムチャンネルブロッカー(例えば、アムロジピン(ノルバスク、ロトレル)、ベプリジル(バスコール(Vascor))、ジルチアゼム(カルジゼム、チアザック)、フェロジピン(プレンジル(Plendil))、ニフェジピン(アダラート、プロカルディア)、ニモジピン(ニモトップ(Nimotop))、ニソルジピン(スラー(Sular))、ベラパミル(カラン、イソプチン、ベレラン)、利尿薬(例えば、アミロライド(ミダモール(Midamor))、ブメタニド(ブメックス(Bumex))、クロロチアジド(ダイユリル)、クロルタリドン(ハイグロトン)、フロセミド(ラシックス)、ヒドロクロロチアジド(エシドリックス、ヒドロジウリル)、インダパミド(ロゾール(Lozol))および/またはスピロノラクトン(アルダクトン))、血管拡張薬(例えば、二硝酸イソソルビド(イソルジル)、ネシリチド(ナトレコル(Natrecor))、ヒドララジン(アプレゾリン)、ニトレートおよび/またはミノキシジル)、スタチン、ニコチン酸、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ジゴキシン、ジギトキシン、ラノキシン、またはそれらのあらゆる組合せなどを含有していてもよい。
追加の薬剤、例えば抗菌剤、抗微生物剤、抗ウイルス剤、生体応答調整物質、増殖因子;免疫モジュレーター、モノクローナル抗体および/または保存剤などが含まれていてもよい。本発明の組成物はまた、療法の他の形態と併せて使用してもよい。
本明細書に記載されるウイルスベクターおよび非ウイルスベクターは、疾患または障害を処置するために、対象に投与することができる。このような組成物は、例えばレシピエントの生理学的条件、投与目的が外傷性傷害に応答するものかまたはより持続的な治療目的のためであるかどうか、および熟練した施術者に公知の他の要因に応じて、単一の用量の形態であってもよいし、連続的または間欠的な方式での複数の用量の形態であってもよい。本発明の化合物および組成物の投与は、予め選択された期間にわたり本質的に連続的であってもよいし、または一連の間隔を開けた投与の形態であってもよい。局所投与と全身投与の両方が予期される。一部の実施形態において、ウイルスまたは非ウイルスベクターの局所送達が達成される。一部の実施形態において、細胞および/またはベクターの局所送達は、心臓内に細胞の集団を生成するために使用される。一部の実施形態において、このような局所的な集団は、心臓ための「ペースメーカー細胞」として機能する。
本明細書に記載される細胞、組成物、化合物または薬剤のいずれかを含有する組成物および/または細胞培養培地中に、補充因子が含まれていてもよい。このような補充因子の例としては、骨形態形成タンパク質(BMP)-1、骨形態形成タンパク質-2、骨形態形成タンパク質-3、骨形態形成タンパク質-4、骨形態形成タンパク質-5、骨形態形成タンパク質-6、骨形態形成タンパク質-7、骨形態形成タンパク質-8、骨形態形成タンパク質-9、骨形態形成タンパク質-10、骨形態形成タンパク質-11、骨形態形成タンパク質-12、骨形態形成タンパク質-13、骨形態形成タンパク質-14、骨形態形成タンパク質-15、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球走化性因子2α、サイトカイン誘導好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、上皮増殖因子、上皮由来の好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子(FGF)4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、線維芽細胞増殖因子(酸性)、線維芽細胞増殖因子(塩基性)、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合性上皮増殖因子、肝細胞増殖因子、インスリン様増殖因子I、インスリン様増殖因子II、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病抑制因子、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子、トランスフォーミング増殖因子a、トランスフォーミング増殖因子β、トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子01.2、トランスフォーミング増殖因子132、トランスフォーミング増殖因子β3、潜在型トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質I、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質II、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質III、および血管内皮増殖因子が挙げられる。
例示的なサイトカインとしては、例えば、インターロイキン(IL)-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、インターフェロン(IFN)、IFN-γ、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF1、TNF2、TNF-α、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、巨核球コロニー刺激因子(Meg-CSF)-トロンボポエチン、幹細胞因子、およびエリスロポイエチンを挙げることができる。ケモカインとしてはまた、例えばIP-10および間質細胞由来因子1αも挙げることができる。
本明細書に記載される組成物および/または細胞培養培地中に含めることが予期される例示的なホルモンとしては、これらに限定されないが、ステロイドホルモンおよびペプチドホルモン、例えばインスリン、ソマトスタチン、成長ホルモン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、3,3’,5-トリヨード-L-チロニン、およびL-チロキシンを挙げることができる。
V.リプログラミング方法
標的細胞(例えば、非心筋細胞)は、本明細書に記載される場合、in vitroにおいて、標的細胞を本明細書に記載される組成物と共にインキュベートすることによって、またはin vivoにおいて、ウイルスもしくは非ウイルスベクターを標的組織もしくは細胞に投与することによって、心臓系統(例えば、心筋細胞系統)にリプログラミングすることができる。一部の実施形態において、標的細胞は、線維芽細胞である。一部の実施形態において、標的細胞は、心臓線維芽細胞(CF)の細胞である。非心筋細胞は、in vitroまたはin vivoで、当業者が利用可能なあらゆる方法を使用して心筋細胞に分化することができる。例えば、Ieda et al. (2010) Cell 142:375-386;Christoforou et al. (2013) PLoS ONE 8: e63577;Addis et al. (2013) J. Mol. Cell Cardiol. 60:97-106;Jayawardena et al. (2012) Circ. Res. 110: 1465-1473;Nam Y et al., PNAS USA. 2013; 110:5588-5593;Wada R et al. PNAS USA. 2013; 110: 12667-12672;およびFu J et al., Stem Cell Reports. 2013; 1:235-247に記載される方法を参照されたい。それゆえに、このような方法は、対象に移植できる、または実験に使用できる心臓前駆細胞または心筋細胞の集団を生成するために使用することができる。
A.細胞
心筋細胞(cardiomyocyte)または心筋細胞(cardiac myocyte)は、心筋を構成する筋肉細胞である。各心筋細胞は、筋原線維を含有し、筋原線維は、筋肉細胞の収縮性単位であるサルコメアの長鎖である。心筋細胞は、骨格筋細胞上のものと類似した横紋を示すが、多核化された骨格細胞とは異なり、それらは1つのみの核を含有する。心筋細胞は、高いミトコンドリア密度を有し、それにより心筋細胞は迅速なATP生産が可能であることから、それらを疲労に対して高度に耐性にしている。成熟心筋細胞は、以下の心臓マーカー:α-アクチニン、MLC2v、cMHC、NKX2-5、GATA4、cTNT、cTNI、MEF2c、MLC2aのうち1つもしくは複数、またはそれらのあらゆる組合せを発現することができる。一部の実施形態において、成熟心筋細胞は、NKX2-5、MEF2cまたはそれらの組合せを発現する。一部の実施形態において、心臓前駆細胞は、早期心臓前駆体マーカー、例えばGATA4、ISL1またはそれらの組合せを発現する。
心筋細胞に誘導される非心筋細胞は、様々な源のいずれに由来するものでもよい。細胞は、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物に由来するものでもよい。例示的な非ヒト哺乳動物としては、これらに限定されないが、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、ハムスター、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、および非ヒト霊長類が挙げられる。一部の実施形態において、細胞は、成体ヒトまたは非ヒト哺乳動物由来である。一部の実施形態において、細胞は、新生児ヒト、成体ヒト、または非ヒト哺乳動物由来である。一部の実施形態において、細胞の種および発現させようとするタンパク質の種は、同じである。例えば、マウス細胞が使用される場合、マウスオーソログが細胞に導入される。ヒト細胞が使用される場合、ヒトオーソログが細胞に導入される。
哺乳動物非心筋細胞(例えば、ヒトまたはマウスの)を使用することができる。一部の実施形態において、心筋細胞は、哺乳動物心筋細胞であり、具体的な実施形態において、非心筋細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態において、非心筋細胞は、幹細胞(例えば、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、リプログラミングされた心細胞または心臓幹細胞)または前駆細胞(例えば、心臓前駆細胞)から誘導することができる。心筋細胞は、心臓細胞または非心臓細胞から誘導することができる。心筋細胞は、様々な組織源のいずれかに由来するものでもよいし、またはそれらから誘導してもよい。例えば、心臓線維芽細胞、包皮線維芽細胞、皮膚線維芽細胞、肺線維芽細胞など。非心筋細胞は、胚性、胎児、または出生後(例えば、成体)細胞であってもよい。好ましい実施形態において、非心筋細胞は、成体細胞である。
本発明で使用するための非心筋細胞は、当業者公知のあらゆる非心筋細胞型であってもよい。非心筋細胞の非限定的な例としては、例えば、体細胞、心臓線維芽細胞、非心臓線維芽細胞、心臓前駆細胞、および幹細胞が挙げられる。非心筋細胞は、心臓の心外膜、心筋または心内膜由来の心細胞であってもよい。心筋細胞ではない心細胞としては、例えば、平滑筋および内皮細胞が挙げられる。心細胞の他の非限定的な例としては、上皮細胞、内皮細胞、線維芽細胞、心臓幹細胞または心臓前駆細胞、心臓伝導細胞、ならびに心筋、血管および心細胞を支持する構造を構成する心臓のペースメーカー細胞が挙げられる。非心筋細胞は、例えば、肝細胞、線維芽細胞、内皮細胞、B細胞、T細胞、樹状細胞、ケラチノサイト、脂肪細胞、上皮細胞、表皮細胞、軟骨細胞、卵丘細胞、神経細胞、グリア細胞、星状細胞、心細胞、食道細胞、骨格筋細胞、骨格筋サテライトメラニン細胞、造血細胞、骨細胞、マクロファージ、単球、単核細胞または幹細胞、例えば、胚性幹細胞、胚性生殖細胞、成体脳幹細胞、表皮幹細胞、皮膚幹細胞、膵臓幹細胞、腎臓幹細胞、肝臓幹細胞、乳房幹細胞、肺幹細胞、筋肉幹細胞、心臓幹細胞、眼幹細胞、骨幹細胞、脾臓幹細胞、免疫系幹細胞、臍帯血幹細胞、骨髄幹細胞および末梢血幹細胞などのうち1つまたは複数から選択することができる。
リプログラミングための細胞が非心筋細胞の集団である場合、細胞の集団は、少なくとも約30%の非心筋細胞、少なくとも約35%の非心筋細胞、少なくとも約40%の非心筋細胞、少なくとも約45%の非心筋細胞、少なくとも約50%の非心筋細胞、少なくとも約55%の非心筋細胞、少なくとも約60%の非心筋細胞、少なくとも約65%の非心筋細胞、少なくとも約70%の非心筋細胞、少なくとも約75%の非心筋細胞、少なくとも約80%の非心筋細胞、少なくとも約85%の非心筋細胞、少なくとも約90%の非心筋細胞、少なくとも約95%の非心筋細胞、少なくとも約98%の非心筋細胞、少なくとも約99%の非心筋細胞、または99%より多くの非心筋細胞で構成される。
一部の実施形態において、初発の細胞は、成体ヒト心臓線維芽細胞(AHCF)または成体ブタ心臓線維芽細胞(APCF)である。AHCFまたはAPCFは、例えば、ドナー対象の左心室からの組織断片の消化によって得ることができる。消化は、当業界において公知の様々な方法を用いて、例えば、細胞を、10μg/mlのリベラーゼTH、10μg/mlのリベラーゼTM、1単位/mlのDNアーゼI、および0.01%のPolaxomerに37℃で1時間供することによって、実行することができる。様々な代替の酵素および消化手順が当業界において公知である。本開示の組成物および方法は、in vivoおよびin vitro(ex vivo)の適用の両方に関する。リプログラミングしようとする細胞は、「標的細胞」または「初発の細胞」と称される。標的細胞は、本明細書に記載される組成物と接触またはインキュベートすることができる。このような標的細胞はまた、初発の細胞とも称され、または集合的に、初発の細胞の集団とも称される。初発の細胞の集団は、様々な源から誘導することができ、不均質であってもよいし、または均質であってもよい。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されるように処置される細胞は、あらゆる入手可能な成体細胞型を含む成体細胞である。他の実施形態において、本発明に従って使用される細胞は、成体幹細胞、前駆細胞、または体細胞である。さらに他の実施形態において、本明細書に記載される組成物および/または方法のいずれかで処置される細胞としては、新生児由来のあらゆる種類の細胞、これらに限定されないが、新生児臍帯血、新生児幹細胞、前駆細胞、および組織由来の細胞(例えば、体細胞)などが挙げられる。したがって、本明細書に記載される組成物および/または方法によってリプログラミングされる初発の細胞の集団は、あらゆる生きた体細胞型であり得る。
線維芽細胞は、本明細書で例示されるように、系統の境界を越えるように、さらに、別の細胞型に、例えば心臓前駆細胞または心筋細胞型に直接変換されるようにリプログラミングされ得る。3つ全ての胚葉由来の様々な細胞型が、遺伝子操作による体細胞リプログラミングに好適であることが示されており、そのような細胞型の例としては、これらに限定されないが、肝臓および胃(Aoi et al., Science 321(5889):699-702 (2008);膵臓β細胞(Stadtfeld et al., Cell Stem Cell 2:230-40 (2008);成熟Bリンパ球(Hanna et al., Cell 133: 250-264 (2008);ヒト皮膚線維芽細胞(Takahashi et al., Cell 131, 861-72 (2007);Yu et al., Science 318(5854) (2007);Lowry et al., Proc Natl Acad Sci USA 105, 2883-2888 (2008);Aasen et al., Nat Biotechnol 26(11): 1276-84 (2008);髄膜由来の細胞(meningiocyte)(Qin et al., J Biol Chem 283(48):33730-5 (2008);神経幹細胞(DiSteffano et al., Stem Cells Devel. 18(5): (2009);および神経前駆細胞(Eminli et al., Stem Cells 26(10): 2467-74 (2008)などが挙げられる。このような細胞はいずれも、本明細書に記載される組成物および方法の使用によって、リプログラミングおよび/またはプログラミングすることができる。
細胞は、自己または同種細胞であってもよい(処置しようとする対象または細胞を受ける可能性がある対象にとって)。細胞は、対象中に存在していてもよいし、または対象から単離されていてもよい。細胞療法の前、その間、またはその後に、免疫抑制薬が一般的に使用される。免疫抑制薬はまた、ウイルスまたは非ウイルスベクターの前、その間、またはその後に使用される場合もある。一部の場合において、免疫抑制薬の使用は、処置の結果を改善することができる。一部の場合において、免疫抑制薬の使用は、処置の副作用、例えば、これらに限定されないが、急性移植片対宿主病、慢性移植片対宿主病、および移植後リンパ増殖性疾患などを減らすことができる。本開示は、本開示の疾患または状態を処置または防止する方法のいずれか、例えば、これらに限定されないが、レンチウイルスベクターが形質導入された細胞に免疫抑制薬に対する耐性を付与する本開示の方法などと共に、免疫抑制薬を使用することを予期する。
一部の実施形態において、非心筋細胞は、対象内の内因性細胞であり、誘導心筋細胞を生成する方法は、in vivoでの誘導による。他の実施形態において、非心筋細胞は、外因性であり、in vitroで改変される。
非心筋細胞は、生きた対象から得ることができる。細胞は、生きた対象から採取した組織から得ることができる。細胞は、近日中に死亡した、好適な組織ドナーと考えられる対象から得ることができる。一部の実施形態において、対象が細胞の好適な源であるかどうかを決定するために、対象は、様々な遺伝子障害、ウイルス感染などに関してスクリーニングされる。一般的に、本発明で使用するのに好適な細胞は、形質転換されておらず(例えば、正常な細胞増殖を呈し)、それ以外の観点で正常である(例えば、正常な核型を呈する)。
細胞は、非胚性の対象、新生児、子供または成体の組織から誘導することができる。細胞は、新生児組織、または帝王切開分娩を含む生後から死亡までの期間内に対象から収集される出生後の組織から誘導することができる。例えば、非心筋細胞は、約10分齢より高齢、約1時齢より高齢、約1日齢より高齢、約1か月齢より高齢、約2か月齢より高齢、約6か月齢より高齢、約1歳より高齢、約2歳より高齢、約5歳より高齢、約10歳より高齢、約15歳より高齢、約18歳より高齢、約25歳より高齢、約35歳より高齢、>45歳、>55歳、>65歳、>80歳、<80歳、<70歳、<60歳、<50歳、<40歳、<30歳、<20歳または<10歳の対象に由来するものでもよい。
組織から非心筋細胞を単離する方法は、当業界において公知であり、あらゆる公知の方法を使用することができる。非限定的な例として、成体心細胞は、心臓手術を受けた患者から得られた、ヒト心臓の心房生検検体から得ることができる。心臓組織を細かく切り刻み、コラゲナーゼで消化し、Choi et al. (2013) Transplantation Proceedings 45:420-426の方法を使用して、心臓幹細胞/前駆細胞をc-kit+前駆細胞拡大培地中で拡大してもよい。加えて、心臓線維芽細胞は、Ieda et al. (2009) Dev. Cell 16(2):233-244の方法を使用して得ることができる。包皮線維芽細胞は、雄個体の包皮組織から得ることができる。線維芽細胞は、包皮組織を細かく切り刻み、次いで組織を単一の細胞に解離させることにより得ることができる。包皮細胞の凝集塊は、物理的な脱凝集または例えばトリプシンを使用した酵素による消化などの当業界において公知のあらゆる手段によって解離させることができる。
B.in vitroにおけるリプログラミング方法
本開示は、in vitroで心筋細胞および/または心筋細胞様細胞を生成するための方法を提供する。選択された初発の細胞は、系統および/または分化の境界を越えて初発の細胞を変換して、心臓前駆細胞および/または心筋細胞を形成するのに十分な時間および条件下で処置される。一部の実施形態において、初発の細胞中での目的の遺伝子の発現は、本明細書に記載される誘導心筋細胞(iCM細胞)での処置の前の、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日の間に開始される。細胞のリプログラミング効率は、対象へのiCM細胞または組換えウイルスまたは非ウイルスベクターの投与の前の、少なくとも2日間、または少なくとも3日間、または少なくとも4日間、または少なくとも5日間の目的の遺伝子の発現によって改善することができる。一部の実施形態において、初発の細胞は、線維芽細胞である。一部の実施形態において、初発の細胞は、分化した表現型の指標である1つまたは複数のマーカーを発現する。
初発の細胞は、細胞の拡大を許容する密度で、リプログラミング組成物を含有する細胞培養培地中に分散されていてもよい。選択された細胞培養培地中で、特に、細胞が、1ミリリットル当たり約1から約108個の細胞の細胞密度で、または1ミリリットル当たり約100から約107個の細胞の密度で、または1ミリリットル当たり約1000から約106個の細胞の密度で維持される場合、例えば約1から1012個の細胞をウイルスまたは非ウイルスベクターと接触させることができる。一部の実施形態において、本開示の方法は、少なくとも103個の細胞、104個の細胞、105個の細胞、106個の細胞、107個の細胞、108個の細胞、109個の細胞、1010個の細胞、1011個の細胞、1012個の細胞、1013個の細胞、1014個の細胞、1015個の細胞、またはそれらの間のあらゆる数の細胞を、ウイルスまたは非ウイルスベクターと接触させ、それによって、1つまたは複数の目的の遺伝子の発現を誘導するステップを含む。
心臓前駆体および心筋細胞への初発の細胞の変換ための時間は、変化する可能性がある。例えば、初発の細胞は、1つまたは複数の目的の遺伝子での処置の後に、心細胞または心筋細胞マーカーが発現されるまでインキュベートしてもよい。このような心細胞または心筋細胞マーカーとしては、以下のマーカー:α-GATA4、TNNT2、MYH6、RYR2、NKX2-5、MEF2c、ANP、アクチニン、MLC2v、cMHC、ISL1、cTNT、cTNI、MLC2aのいずれか、およびそれらのあらゆる組合せを挙げることができる。
一部の実施形態において、誘導心筋細胞は、1つまたは複数の神経細胞マーカーに関して陰性である。このような神経細胞マーカーとしては、以下のマーカー:DCX、TUBB3、MAP2、およびENO2のいずれかを挙げることができる。
インキュベーションは、本明細書に記載される組成物のいずれかにおいて、例えば、心臓前駆体マーカーが初発の細胞によって発現されるまで、進行させることができる。このような心臓前駆体マーカーとしては、Gata4、Tnnt2、Myh6、Ryr2、またはそれらの組合せが挙げられる。心臓前駆体マーカー、例えばGata4、Tnnt2、Myh6、Ryr2、またはそれらの組合せは、本明細書に記載される組成物中の細胞のインキュベーションを開始させてから、約8日まで、または約9日まで、または約10日まで、または約11日まで、または約12日まで、または約14日まで、または約15日まで、または約16日まで、または約17日まで、または約18日まで、または約19日まで、または約20日までに発現され得る。
細胞のさらなるインキュベーションは、後期心臓前駆体マーカー、例えばNKX2-5、MEF2Cまたはそれらの組合せの発現が起こるまで実行してもよい。後期心臓前駆体マーカー、例えばNKX2-5および/またはMEF2Cは、本明細書に記載される組成物および方法を使用する細胞のインキュベーションの、約15日まで、または約16日まで、または約17日まで、または約18日まで、約19日まで、または約20日まで、または約21日まで、または約22日まで、または約23日まで、または約24日まで、または約25日までに発現され得る。
リプログラミング効率は、心筋細胞マーカーの関数として測定することができる。このような多能性マーカーとしては、これらに限定されないが、心筋細胞マーカータンパク質およびmRNAの発現、心筋細胞の形態および電気生理学的な表現型が挙げられる。心筋細胞マーカーの非限定的な例としては、a-サルコグリカン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、骨形成タンパク質4(BMP4)、コネクシン37、コネクシン40、クリプト(crypto)、デスミン、GATA4、GATA6、MEF2C、MYH6、ミオシン重鎖、NKX2-5、TBX5、およびトロポニンTが挙げられる。一部の態様において、リプログラミング効率は、対照に対して、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、50%、70%、80%、90%、1倍、1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、50倍、100倍またはそれより多く増加する。適切な対照の非限定的な例としては、リプログラミング因子に曝露されていない試料が挙げられる。
心筋細胞に特異的な様々なマーカーの発現は、従来の生化学的または免疫化学的な方法(例えば、酵素結合免疫吸着検定法、免疫組織化学的アッセイなど)によって検出することができる。代替として、心筋細胞に特異的なマーカーをコードする核酸の発現を評価してもよい。細胞中の心筋細胞に特異的なマーカーをコードする核酸の発現は、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)またはハイブリダイゼーション分析、あらゆるマーカータンパク質をコードするmRNAを増幅する、検出する、および分析するためにこれまでに一般的に使用されてきた分子生物学的な方法によって確認することができる。心筋細胞に特異的なマーカーをコードする核酸配列は公知であり、GenBankなどの公開データベースを介して利用可能である。したがって、プライマーまたはプローブとして使用するために必要なマーカー特異的な配列は、容易に決定される。
心筋細胞は、いくつかの心臓特異的な電気生理学的特性を呈する。1つの電気的特徴は、活動電位であり、これは、各心細胞の内部と外部との間の電位差が生じ、一貫した軌道に従って落ちる短期間の事象である。心筋細胞の別の電気生理学的特徴は、Ca2+トランジェントと名付けられたサイトゾルの遊離Ca2+濃度の周期変動であり、これは、心筋細胞の収縮および弛緩の調節で用いられるものである。これらの特徴は、細胞の集団が心筋細胞にリプログラミングされているかどうかを査定するために、検出および評価することができる。
一部の実施形態において、初発の細胞は、細胞培養条件下で、約1日から約30日、または約2日から約27日、または約3日から約25日、または約4日から約23日、または約5日から約20日、または約6日から約20日、または約10日から約20日にわたり、リプログラミング培地と共にインキュベートすることができる。
培養培地中の細胞は、特定にはリプログラミング中に、目的の遺伝子を発現することができる。例えば、培養培地中の細胞は、ASCL1ポリペプチドを一時的に発現することができる。リプログラミングのために選択された細胞は、異種Klf、Sox2、またはMycの発現を必要とせず、Klf、MycまたはSox2ポリペプチドと接触していなくてもよい。一部の実施形態において、Myc、Sox2、Klf4などの他の転写因子の発現は、培養培地によって直接的または間接的に誘導されなくてもよい。
しかしながら、他の実施形態において、細胞培養培地は、内因性Klf4ポリペプチド、Mycポリペプチド、Sox2ポリペプチドまたはそれらの組合せの発現を誘導することができる。例えば、内因性Klf4ポリペプチド、Mycポリペプチド、および/またはSox2ポリペプチドの発現は、たとえ外因性Klf4、Myc、および/またはSox2核酸が導入されていなくても、本明細書に記載される組成物に曝露されると起こり得る。
1.培養条件
本開示の細胞は、当業者公知のあらゆる条件下での培養することができる。一部の実施形態において、細胞(例えば、非心筋細胞、心筋細胞、およびそれらの組合せ)は、1~20%の酸素(O2)および5%の二酸化炭素(CO2)の条件で培養される。一部の実施形態において、本開示の細胞は、低酸素条件下で(例えば、10%未満のO2の存在下で)培養される。一部の実施形態において、本開示の細胞は、約37℃で培養される。一部の実施形態において、本開示の細胞は、約37℃、5%のC02および10~20%のO2で培養することができる。一部の実施形態において、細胞は、所定期間にわたり低酸素条件で培養される。例えば、細胞を所定期間にわたり酸素正常条件下(-20%のO2)で培養し、次いで、低酸素条件、例えば約5%のO2に切り替えてもよい。
in vitroまたはex vivoで非心筋細胞を心筋細胞に分化させる利点は、埋め込みに好適な細胞を容易に同定する、またはダメージを受けた、もしくは分化していない細胞を識別する能力である。in vitroまたはex vivoにおける分化は、分化していない非心筋細胞から誘導心筋細胞を精製または単離することを可能にする。
リプログラミング培地中での初発の細胞のインキュベーション後、細胞は次いで、別の培地中で、例えば、維持培地、拡大培地、または細胞のさらなる成熟を誘導できる心臓誘導培地中でインキュベートすることができる。
リプログラミング剤または誘導剤が添加された採用される基礎培地は、便利な細胞培養培地であってもよい。本明細書で言及される用語「細胞培養培地」(本明細書では「培養培地」または「培地」とも称される)は、細胞の生存を維持し増殖を支持する栄養素を含有する、細胞を培養するための培地である。細胞培養培地は、以下のいずれか:塩、緩衝液、アミノ酸、グルコースまたは他の糖、抗生物質、血清または血清代替物、および他の成分、例えばペプチド増殖因子などを適切な組合せで含有していてもよい。特定の細胞型に通常使用される細胞培養培地が、当業者に利用可能である。
採用できる細胞培養培地の例としては、MTESR-1(登録商標)培地(StemCell Technologies,Inc.、Vancouver、CA)、またはマトリゲル(Matrigel)基材(BD Biosciences、NJ)上もしくはCORNING(登録商標)Synthemax表面上のESSENTIAL8(登録商標)培地(Life Technologies,Inc.)、またはウシ血清アルブミン(BSA)の代用としてインスリン、トランスフェリン、脂質およびポリビニルアルコール(PVA)が補充されたJohanssonおよびWilesの既知組成培地(CDM)中で、が挙げられる。商業的に入手可能な培地の例としてはまた、これらに限定されないが、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、基礎培地イーグル(BME)、RPM11640、ハム(Ham)F-10、ハムF-12、a-最小必須培地(aMEM)、グラスゴー最小必須培地(G-MEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地、または多能性細胞と共に使用するために改変された汎用培地、例えばX-VIVO(Lonza)または造血基礎培地も挙げられる。一部の実施形態において、2つまたはそれより多くの細胞培養培地の混合物が使用され、例えば、1部のGIBCO(登録商標)培地199に対して4部のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の混合物が使用される。培地は、ウシ胎児血清(FBS)、アミノ酸、および/または抗生物質が補充されていてもよい。一部の実施形態において、培地は、GIBCO(登録商標)RPMI1640(RPMI)+GIBCO(登録商標)B-27サプリメント(B27)と混合される。細胞の成長は、rhFGF、rhFGF-10、およびrhVEGF(FFV)の添加によって強化することができる。
組成物および/または培養培地は、本明細書に記載される薬剤または化合物のいずれかを、細胞の心細胞または心筋細胞マーカーの発現を誘導するのに十分な量で含有していてもよい。このような心細胞または心筋細胞マーカーとしては、以下のマーカーのいずれか:α-アクチニン、MLC2v、cMHC、NKX2-5、MEF2c、GATA4、ISL1、cTNT、cTNI、MLC2aおよびそれらのあらゆる組合せを挙げることができる。例えば、培養培地は、TGF-β阻害剤、例えばSB431542(例えば、約0.1~10μMで)、WNTシグナル伝達活性化剤、例えばCHIR99021(例えば、約3~20μMで)、LSD1/KDM1阻害剤、例えばパルネート(例えば、約0.1~10μMで)、およびアデニリルシクラーゼ活性化剤、例えばフォルスコリン(例えば、約3~20μMで)を含んでいてもよい。
インキュベーションは、本明細書に記載される組成物のいずれかにおいて、例えば、早期心臓前駆体マーカーが初発の細胞によって発現されるまで進行させることができる。このような早期心臓前駆体マーカーとしては、GATA4、ISL1またはそれらの組合せが挙げられる。早期心臓前駆体マーカー、例えばGATA4および/またはISL1は、本明細書に記載される組成物および方法を使用する細胞のインキュベーションの、約6日まで、または約8日まで、または約9日まで、または約10日まで、または約11日まで、または約12日まで発現され得る。
培養培地は、本明細書に記載される薬剤または化合物のいずれかを、細胞の集団中の細胞の、少なくとも0.001%、または約0.005%、または約0.01%、または約0.02%、または約0.03%を心細胞型にリプログラミングするのに十分な量で含有していてもよい。
C.in vivoでのリプログラミング方法
一部の実施形態において、少なくとも1つのリプログラミング因子、例えば、ASCL1、MYOCD、MEF2C、TBX5、BAF60C、ESRRG、GATA4、GATA6、HAND2、IRX4、ISLL、MEF2C、MESP1、MESP2、NKX2.5、SRF、TBX20、およびZFPM2、またはそれらのあらゆる組合せが、対象に投与されている。例えば、対象に、少なくとも1つのリプログラミング因子をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスまたは非ウイルスベクターを投与してもよい。好ましい実施形態において、リプログラミング因子の2つまたはそれより多く、より好ましくは3つまたはそれより多くの組合せが対象に投与される。一部の実施形態において、上記の列挙したリプログラミング因子のうち1つまたは複数が、明示的に除外される。他の実施形態において、リプログラミング因子は、ASCL1、MYOCD、MEF2C、TBX5、またはそれらのあらゆる組合せの群から選択される。他の実施形態において、リプログラミング因子は、GATA4、MEF2C、TBX5、MYOCD、またはそれらのあらゆる組合せの群から選択される。具体的な実施形態において、リプログラミング因子は、Ascl1およびMyocd(MyA)である。具体的な実施形態において、リプログラミング因子は、ASCL1、MYOCD、MEF2CおよびTBX5(MyAMT)である。他の一部の実施形態において、リプログラミング因子は、GATA4、MEF2C、およびTBX5(GMT)である。他の具体的な実施形態において、リプログラミング因子は、ミオカルディン、MEF2C、およびTBX5(すなわち、MyMT)である。他の具体的な実施形態において、リプログラミング因子は、GATA4、MEF2C、TBX5、およびミオカルディン(すなわち、4F)である。他の実施形態において、リプログラミング因子は、GATA4、MEF2C、およびTBX5、ESRRG、ミオカルディン、ZFPM2、およびMESP1(すなわち、7F)である。
VI.組成物:細胞およびベクター
本開示は、ウイルスおよび非ウイルスベクターを提供する。本開示はまた、本発明の方法に従って生成した単離された誘導心筋細胞も提供する。誘導心筋細胞は、少なくとも1つの心臓の遺伝子を、天然に存在する心筋細胞で見出されるレベルより高いレベルまたはより低いレベルで発現することができる。誘導心筋細胞は、単離されたiCM、または対象への組成物の投与によってin vivoで生産されたiCMであり得る。
一部の実施形態において、天然に存在する心筋細胞で見出されるものより高いレベルで発現される心臓の遺伝子は、TNNT2、ACTN2、ATP2A2、MYH6、RYR2、MYH7、およびACTCLからなる群から選択される。一部の実施形態において、天然に存在する心筋細胞で見出されるものより低いレベルで発現される心臓の遺伝子は、MYBPC3、PIN、MB、LMOD2、MYL2、MYL3、COX6A2、ATP5AL、TTN、TNNI3、PDK4、MYCZ2、CACNALC、SCN5A、MYOCD、およびNPPAからなる群から選択される。
別の態様において、本発明の方法に従って生成した誘導心筋細胞の実質的に同質な集団が提供される。一部の実施形態において、実質的に同質な集団の誘導心筋細胞は、少なくとも1つの心臓の遺伝子を、天然に存在する心筋細胞で見出されるものより高いレベルまたはより低いレベルで発現する。
一部の実施形態において、組成物は、本明細書に記載される単離された誘導心筋細胞の集団および担体、必要に応じて薬学的に許容される賦形剤を含む。一部の実施形態において、組成物は、安定剤および/または保存剤をさらに含む。
一部の実施形態において、組成物は、本明細書に記載されるウイルスまたは非ウイルスベクターおよび担体、必要に応じて薬学的に許容される賦形剤を含む。一部の実施形態において、組成物は、安定剤および/または保存剤をさらに含む。
組成物は、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される塩、希釈剤、担体、媒体および当業者に周知のそのような他の不活性物質を含んでいてもよい。医薬調製物において一般的に採用される媒体および賦形剤としては、例えば、タルク、アラビアゴム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、カカオバター、水性または非水性溶媒、油、パラフィン誘導体、グリコールなどが挙げられる。溶液は、水または生理学的に適合する有機溶媒、例えばエタノール、1,2-プロピレングリコール、ポリグリコール、ジメチルスルホキシド、脂肪族アルコール、トリグリセリド、グリセリンの部分エステルなどを使用して調製することができる。
非経口組成物は、従来の技術を使用して調製することができ、このような組成物は、滅菌等張生理食塩水、水、1,3-ブタンジオール、エタノール、1,2-プロピレングリコール、水と混合されたポリグリコール、リンゲル液などを含み得る。一態様において、組成物を意図した処置部位に配置すること、および適切に位置決めすることを容易にするために、着色剤が添加される。
組成物は、埋め込み可能なデバイスを使用して投与される薬剤を含んでいてもよい。この開示によって予期される好適な埋め込み可能なデバイスとしては、血管内ステント(例えば、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、およびステントグラフト)、足場、グラフトなどが挙げられる。このような埋め込み可能なデバイスは、誘導心筋細胞を生成することが可能な組成物で、少なくとも1つの表面上がコーティングされていてもよいし、またはそれで含浸されていてもよい。組成物はまた、埋め込み可能なデバイス中のリザーバー内に含有されている薬剤を含んでいてもよい。薬剤が埋め込み可能なデバイス中のリザーバー内に含有されている場合、リザーバーは、デバイスからの薬剤の溶出を可能にするように構造化されている。埋め込み可能なデバイスから投与される組成物の薬剤は、WNT阻害剤、TGF-β阻害剤またはその両方を含んでいてもよい。
医薬組成物は、投与に対応したあらゆる形態で提供することができる。組成物は、保存剤および/または安定剤を含んでいてもよい。保存剤の非限定的な例としては、メチル-、エチル-、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、安息香酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、チメロサール、フェニル第二水銀塩(phenylmercurate salt)、クロルヘキシジン、フェノール、3-クレゾール、第四アンモニウム化合物(QAC)、クロロブタノール、2-エトキシエタノール、およびイミド尿素が挙げられる。
張性を制御するために、水性医薬組成物は、生理学的な塩、例えばナトリウム塩を含んでいてもよい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、1から20mg/mlの間で存在していてもよい。存在し得る他の塩としては、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム無水物、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムが挙げられる。
組成物は、1つまたは複数の緩衝液を含んでいてもよい。典型的な緩衝液としては、リン酸緩衝液;トリス緩衝液;ホウ酸緩衝液;コハク酸緩衝液;ヒスチジン緩衝液;またはクエン酸緩衝液が挙げられる。緩衝液は、典型的には、5~20mMの範囲内の濃度で含まれると予想される。組成物のpHは、一般的に、5から8の間、より典型的には、6から8の間、例えば6.5から7.5の間、または7.0から7.8の間と予想される。
組成物は、好ましくは滅菌されている。組成物は、好ましくはグルテンフリーである。組成物は、好ましくは非発熱性である。
医薬組成物は、あらゆる適切な経路によって投与でき、これらは、処置しようとする疾患または状態に応じて当業者に明らかであると予想される。典型的な投与経路としては、経口、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、頭蓋内、経鼻または腹膜内が挙げられる。
一部の実施形態において、細胞を含む組成物は、凍結防止剤を含んでいてもよい。凍結防止剤の非限定的な例としては、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびグリセロール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミド、スクロース、トレハロース、デキストロース、およびそれらのあらゆる組合せが挙げられる。
一部の実施形態において、本発明の方法で使用される1つまたは複数の薬剤は、放出制御製剤の形態で提供される。用語「放出制御製剤」は、持続放出および徐放性製剤を含む。放出制御製剤は当業界において周知である。これらは、組成物の持続放出、定期的な放出、パルス放出、または遅延放出を可能にする賦形剤を含む。放出制御製剤としては、これらに限定されないが、組成物(WNT阻害剤および/またはTGF-β阻害剤)のマトリックスへの埋め込み;腸溶コーティング;マイクロカプセル化;ゲルおよびヒドロゲル;インプラント;ならびに組成物の制御放出を可能にする他のあらゆる製剤が挙げられる。
一部の実施形態において、リプログラミングされた細胞の集団(リプログラミングの様々な段階における)は、液体窒素温度で凍結し、所定期間にわたり貯蔵し、次いで後日使用するために融解させてもよい。凍結させる場合、リプログラミングされた細胞の集団は、あらゆる好適な低温保存培地中で、例えば、40%RPMI1640培地中の10%DMSO、50%FCS中で、貯蔵することができる。融解させたら、細胞は、選択された増殖因子、ビタミン、フィーダー細胞、および当業者によって選択された他の成分を含有し得る適切な培地中で細胞を培養することによって拡大することができる。ウイルスおよび非ウイルスベクターはまた、液体窒素温度で、またはしばしばそれより高温で凍結し、所定期間にわたり貯蔵し、次いで後日使用するために融解させてもよい。
一部の実施形態において、iCM細胞の、少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%が、α-アクチニン陽性である。一部の実施形態において、iCM細胞の、少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%が、cTnT陽性である。一部の実施形態において、iCM細胞の、少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%が、α-アクチニンおよびcTnT二重陽性である。
本明細書に記載される方法によって生成したリプログラミングされた細胞の集団は、低いパーセンテージの非心臓細胞(例えば、線維芽細胞)を含んでいてもよい。例えば、組成物中で使用するための、および対象への投与のためのリプログラミングされた細胞の集団は、細胞集団中の全細胞の、約90%未満の非心臓細胞、約85%未満の非心臓細胞、約80%未満の非心臓細胞、約75%未満の非心臓細胞、約70%未満の非心臓細胞、約65%未満の非心臓細胞、約60%未満の非心臓細胞、約55%未満の非心臓細胞、約50%未満の非心臓細胞、約45%未満の非心臓細胞、約40%未満の非心臓細胞、約35%未満の非心臓細胞、約30%未満の非心臓細胞、約25%未満の非心臓細胞、約20%未満の非心臓細胞、約15%未満の非心臓細胞、約12%未満の非心臓細胞、約10%未満の非心臓細胞、約8%未満の非心臓細胞、約6%未満の非心臓細胞、約5%未満の非心臓細胞、約4%未満の非心臓細胞、約3%未満の非心臓細胞、約2%未満の非心臓細胞、または約1%未満の非心臓細胞を有していてもよい。
リプログラミングされた細胞は、処置しようとする疾患または傷害に応じて様々な量で組成物中に含まれていてもよい。例えば、組成物は、約103から約1012個のリプログラミングされた細胞、または約104から約1010個のリプログラミングされた細胞、または約105から約108個のリプログラミングされた細胞を含有する、局所または全身投与のための液体の形態で調製することができる。
以下のタイプの化合物の1つまたは複数:WNTアゴニスト、GSK3阻害剤、TGF-ベータシグナル伝達阻害剤、エピジェネティックな調節剤、LSD1阻害剤、アデニリルシクラーゼアゴニスト、またはそれらのあらゆる組合せが、組成物中に細胞と共に存在していてもよい。本明細書に記載される化合物はいずれも、細胞と共に投与することができる。
本開示はまた、上述の薬剤、組成物または製剤を含むパーツのキットも提供する。
VII.処置方法
本明細書に記載されるリプログラミングされた細胞および組成物はまた、心臓の疾患または状態を有する対象を処置する方法でも採用することができる。「処置すること」または「状態またはそれを必要とする対象の処置」は、(1)症状の低減などの臨床結果を含む有益な、もしくは所望の結果を得るためのステップをとること;(2)疾患を防止すること、例えば、疾患に罹りやすい可能性があるが、その疾患の症状を経験しておらず、呈示してもいない患者において、その疾患の臨床症状が発生しないようにすること;(3)疾患を抑制すること、例えば、疾患もしくはその臨床症状の発生を停止もしくは低減させること;(4)疾患を緩和すること、例えば、疾患もしくはその臨床症状を寛解させること;または(5)疾患を遅延させることを指す。この発明の目的のために、有益な、または所望の臨床結果としては、これらに限定されないが、誘導心筋細胞を生成すること、および/または心筋の再生を促進することが挙げられる。
本開示の組成物、細胞および方法を使用する処置が必要な対象としては、これらに限定されないが、先天性心臓欠陥を有する個体、変性性筋疾患を患っている個体、虚血性の心臓組織に至る状態を患っている個体(例えば、冠動脈疾患を有する個体)などが挙げられる。一部の例において、方法は、変性性筋疾患または状態(例えば、家族性心筋症、拡張型心筋症、肥大性心筋症、拘束型心筋症、または虚血性心筋症の原因となる冠動脈疾患)を処置するのに有用である。一部の例において、本方法は、心臓または心臓血管の疾患または障害、例えば、心臓血管疾患、動脈瘤、アンギナ、不整脈、アテローム性動脈硬化症、脳血管発作(卒中)、脳血管疾患、先天性心疾患、うっ血性心不全、心筋炎、弁疾患、拡張型冠動脈疾患、拡張機能障害、心内膜炎、高血圧(高血圧症)、心筋症、肥大性心筋症、拘束型心筋症、虚血性心筋症の原因となる冠動脈疾患、僧帽弁逸脱、心筋梗塞(心臓発作)、または静脈血栓塞栓症を有する個体を処置するのに有用である。
本開示の組成物、細胞および方法を使用する処置に好適な対象としては、これらに限定されないが、虚血性の心臓組織に至る状態などの心臓の状態を有する個体(例えば、哺乳動物対象、例えばヒト、非ヒト霊長類、飼いならされた哺乳動物、実験用非ヒト哺乳動物対象、例えばマウス、ラットなど)(例えば、冠動脈疾患を有する個体)などが挙げられる。
一部の例において、処置に好適な個体は、心臓または心臓血管の疾患または状態、例えば、心臓血管疾患、動脈瘤、アンギナ、不整脈、アテローム性動脈硬化症、脳血管発作(卒中)、脳血管疾患、先天性心疾患、うっ血性心不全、心筋炎、弁疾患、拡張型冠動脈疾患、拡張機能障害、心内膜炎、高血圧(高血圧症)、心筋症、肥大性心筋症、拘束型心筋症、虚血性心筋症の原因となる冠動脈疾患、僧帽弁逸脱、心筋梗塞(心臓発作)、または静脈血栓塞栓症を患っている。一部の例において、本方法での処置に好適な個体としては、変性性筋疾患、例えば、家族性心筋症、拡張型心筋症、肥大性心筋症、拘束型心筋症、または虚血性心筋症の原因となる冠動脈疾患を有する個体が挙げられる。
本開示の組成物、細胞および方法を使用する処置が必要な対象としては、これらに限定されないが、先天性心臓欠陥を有する個体、変性性筋疾患を患っている個体、虚血性の心臓組織に至る状態を患っている個体(例えば、冠動脈疾患を有する個体)などが挙げられる。一部の例において、方法は、変性性筋疾患または状態(例えば、家族性心筋症、拡張型心筋症、肥大性心筋症、拘束型心筋症、または虚血性心筋症の原因となる冠動脈疾患)を処置するのに有用である。一部の例において、本方法は、心臓または心臓血管の疾患または障害、例えば、心臓血管疾患、動脈瘤、アンギナ、不整脈、アテローム性動脈硬化症、脳血管発作(卒中)、脳血管疾患、先天性心疾患、うっ血性心不全、心筋炎、弁疾患、拡張型冠動脈疾患、拡張機能障害、心内膜炎、高血圧(高血圧症)、心筋症、肥大性心筋症、拘束型心筋症、虚血性心筋症の原因となる冠動脈疾患、僧帽弁逸脱、心筋梗塞(心臓発作)、または静脈血栓塞栓症を有する個体を処置するのに有用である。
本開示の組成物、細胞および方法を使用する処置に好適な対象としては、これらに限定されないが、虚血性の心臓組織に至る状態などの心臓の状態を有する個体(例えば、哺乳動物対象、例えばヒト、非ヒト霊長類、実験用非ヒト哺乳動物対象、例えばマウス、ラットなど)(例えば、冠動脈疾患を有する個体)などが挙げられる。一部の例において、処置に好適な個体は、心臓または心臓血管の疾患または状態、例えば、心臓血管疾患、動脈瘤、アンギナ、不整脈、アテローム性動脈硬化症、脳血管発作(卒中)、脳血管疾患、先天性心疾患、うっ血性心不全、心筋炎、弁疾患、拡張型冠動脈疾患、拡張機能障害、心内膜炎、高血圧(高血圧症)、心筋症、肥大性心筋症、拘束型心筋症、虚血性心筋症の原因となる冠動脈疾患、僧帽弁逸脱、心筋梗塞(心臓発作)、または静脈血栓塞栓症を患っている。一部の例において、本方法での処置に好適な個体としては、変性性筋疾患、例えば、家族性心筋症、拡張型心筋症、肥大性心筋症、拘束型心筋症、または虚血性心筋症の原因となる冠動脈疾患を有する個体が挙げられる。
リプログラミングされた細胞および/または組成物(リプログラミングされた細胞を含んで、または含まずに、本明細書に記載される化合物のいずれかを含有する)を使用して処置することができる疾患および状態の例としては、あらゆる心臓の異常または心機能障害が挙げられる。処置することができる疾患および状態としては、遺伝学的な欠陥、物理的な傷害、環境からの攻撃または調節、不健康、肥満症および他の疾患のリスクの結果として生じるものが挙げられる。
虚血性心筋症は、冠動脈疾患によって引き起こされる慢性障害(心臓表面上に冠動脈のアテローム硬化性の狭窄または閉塞がある疾患)である。冠動脈疾患はしばしば、心筋に十分な酸素豊富な血液が供給されない心臓虚血のエピソードを引き起こす。
非虚血性心筋症は、一般的に、主に臨床的および病理学的な特徴に基づいて3つの群:拡張型心筋症、肥大性心筋症ならびに拘束型および浸潤性心筋症に分類される。
別の実施形態において、心臓の異常は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーおよびエメリー-ドライフス(Emery Dreiffuss)拡張型心筋症などの遺伝病である。
例えば、心臓の異常は、うっ血性心不全、心筋梗塞、心臓虚血、心筋炎および不整脈からなる群から選択され得る。一部の実施形態において、対象は、糖尿病である。一部の実施形態において、対象は、非糖尿病である。一部の実施形態において、対象は、糖尿病性心筋症を患っている。
本明細書に記載される通りに生成したリプログラミングされた細胞は、このような処置が必要なヒト患者または他の対象における組織の再構成または再生のために採用してもよい。細胞は、罹患したまたは傷害を受けた組織部位へのそれらのグラフトまたは移動、および機能欠損領域の再構成または再生が可能な方式で投与される。例えば心臓の組織への細胞の投与に適合させることができるデバイスが利用可能である。
療法の場合、組換えウイルス、非ウイルスベクター、心臓前駆細胞、心筋細胞および/または医薬組成物は、局所的に、または全身に投与することができる。リプログラミングされた細胞の集団は、注射、カテーテル、埋め込み可能なデバイスなどによって導入することができる。組換えウイルスまたはリプログラミングされた細胞の集団は、細胞に有害作用を与えないあらゆる生理学的に許容される賦形剤または担体中で投与することができる。例えば、組換えウイルス、非ウイルスベクター、心臓前駆細胞、心筋細胞および/または医薬組成物は、静脈内投与してもよいし、または心臓内経路を介して(例えば、心外膜に、または心筋内に)投与してもよい。本開示の組換えウイルス、非ウイルスベクター、心筋細胞および医薬組成物(例えば、ベクターを含む組成物)を対象に、特定にはヒト対象に投与する方法としては、対象中の標的部位への医薬組成物(例えば、ウイルスベクターを含む組成物)または細胞の注射、埋め込み、または輸注が挙げられる。注射としては、直接の筋肉注射を挙げることができ、輸注としては、血管内輸注を挙げることができる。ベクター、医薬組成物、または細胞は、医薬組成物または細胞の注射または埋め込みによる対象への導入を容易にする送達デバイスに挿入されていてもよい。このような送達デバイスとしては、レシピエント対象の体に細胞および流体を注射するためのチューブ、例えばカテーテルが挙げられる。チューブは、加えて、本発明の細胞を所望の場所で対象に導入することができる針、例えばシリンジを含む。一部の実施形態において、医薬組成物または細胞は、例えば、Tang et al. Cardiac cell-integrated microneedle patch for treating myocardial infarction. Science Advances 28 Nov 2018: Vol. 4, no. 11, eaat9365に記載されるようなマイクロニードルパッチによって送達される。
組換えウイルス、非ウイルスベクター、心臓前駆細胞および心筋細胞は、このような送達デバイス、例えばシリンジに、様々な形態で挿入することができる。組換えウイルス、非ウイルスベクター、リプログラミングされた細胞の集団は、医薬組成物の形態で供給されてもよい。このような組成物は、ヒト投与のための十分に滅菌された条件下で調製された等張賦形剤を含んでいてもよい。医薬製剤における一般原則については、G. Morstyn & W. Sheridan編のCell Therapy: Stem Cell Transplantation, Gene Therapy, and Cellular Immunotherapy, Cambridge University Press, 1996;およびHematopoietic Stem Cell Therapy, E. D. Ball, J. Lister & P. Law, Churchill Livingstone, 2000が読者により参照される。採用された経路および/またはデバイスによる投与を最適化するために、リプログラミングされた細胞の集団を含む組成物の細胞用の賦形剤およびあらゆる付随する成分の選択は、適合させることができる。
用語「溶液」は、本明細書で使用される場合、本発明の心筋細胞および心細胞が生存し続けることができるか、またはウイルスベクターが生物学的に活性なままでいる担体または希釈剤を含む。使用することができる担体および希釈剤としては、生理食塩水、水性緩衝溶液、溶媒および/または分散媒が挙げられる。このような担体および希釈剤の使用は当業界において周知である。溶液は、好ましくは、滅菌されており、簡単なシリンジ通過性(syringability)が存在する程度に流体である。移植の場合、心筋細胞および/または心細胞は、シリンジに引き込まれ、麻酔した移植レシピエントに投与される。直接注射の場合、針、シリンジ、またはカテーテルは、理想的には最小侵襲性の設定で、外科的に心臓に挿入される。この手順を使用して、複数回の注射が行われてもよい。
心臓前駆細胞、心細胞、および/または心筋細胞はまた、支持マトリックス中に埋め込まれていてもよい。リプログラミングされた細胞の集団を含む組成物はまた、リプログラミングされた細胞の生着または機能的な動員を容易にする1つまたは複数の他の成分を含んでいてもよいし、またはそれらが付随していてもよい。好適な成分としては、リプログラミングされた細胞、または補足的な細胞型、例えば心臓ペースメーカー細胞、または異なる成熟段階の心細胞の接着を支持または促進するマトリックスタンパク質が挙げられる。別の実施形態において、組成物は、生理学的に許容されるマトリックス足場を含んでいてもよい。このような生理学的に許容されるマトリックス足場は、吸収性および/または生分解性であってもよい。
A.組換えウイルスを使用する処置方法
一部の態様において、本開示のウイルス粒子は、それを必要とする対象を処置するために使用することができる。一部の実施形態において、組換えウイルスは、それを必要とする対象に投与することができ、その場合、組換えウイルスの対象への投与は、対象における心臓血管疾患を処置する。
組換えウイルスは、局所的に、または全身に投与されてもよい。組換えウイルスは、適切なキャプシドタンパク質を選択することによって、または別のウイルス型由来のタンパク質を有するウイルスをシュードタイピングすることによって、特異的な細胞型を標的化するように操作されていてもよい。様々な治療のための投与レジメンの適性およびウイルス粒子組成物の投薬量を決定するために、組換えウイルスは、まず好適な動物モデルで試験することができる。1つのレベルで、組換えウイルスは、in vivoで標的細胞に感染するその能力について評価される。組換えウイルスはまた、それが標的組織に移動するかどうか、それが宿主における免疫応答を誘導するかどうかを確認するために、または投与される組換えウイルスの適切な数、もしくは投薬量を決定するために評価される。処置しようとする疾患に応じて、免疫応答を生じさせることは、組換えウイルスにとって望ましい場合もあるし、または望ましくない場合もある。一般的に、ウイルス粒子の繰り返しの投与が必要な場合、ウイルス粒子が免疫原性ではない場合が有利であると予想される。試験目的の場合、ウイルス粒子組成物は、免疫不全動物(例えばヌードマウス、または化学的に、もしくは放射線照射によって免疫不全にされた動物)に投与することができる。標的組織または細胞は、感染期間の後に回収され、組織または細胞が感染したかどうか、および標的組織または細胞中で所望の表現型(例えば誘導心筋細胞)が誘導されたかどうかを決定するために評価することができる。
組換えウイルスは、様々な経路によって投与することができ、このような経路としては、これらに限定されないが、心臓への直接注射、または心臓カテーテル法が挙げられる。代替として、組換えウイルスは、例えば静脈内輸注によって、全身投与することができる。直接注射が使用される場合、それは、心臓切開手術または低侵襲手術のいずれかによって実行されてもよい。一部の場合において、組換えウイルスは、注射または輸注によって心膜腔に送達される。注射または輸注された組換えウイルスは、様々な方法によって追跡することができる。例えば、検出可能な標識(例えば緑色蛍光タンパク質、またはベータ-ガラクトシダーゼ)で標識された、またはそれを発現する組換えウイルスは、容易に検出することができる。組換えウイルスは、標的細胞に、マーカータンパク質、例えば表面で発現されるタンパク質または蛍光タンパク質を発現させるように操作されていてもよい。代替として、組換えウイルスでの標的細胞の感染は、標的細胞が、試験のために採用された動物によって発現されない細胞マーカー(例えば、実験動物に細胞を注射する場合、ヒト特異的な抗原)を発現することによって検出することができる。標的細胞の存在および表現型は、蛍光顕微鏡法によって(例えば、緑色蛍光タンパク質、またはベータ-ガラクトシダーゼの場合)、免疫組織化学によって(例えば、ヒト抗原に対する抗体を使用して)、ELISAによって(ヒト抗原に対する抗体を使用して)、または心臓表現型を示すRNAに特異的になるように増幅を引き起こすプライマーおよびハイブリダイゼーション条件を使用するRT-PCR分析によって評価することができる。
一部の実施形態において、本開示は、それを必要とする対象(例えば、ヒト)における心筋梗塞を処置する方法を提供する。一部の実施形態において、本方法は、MyΔ3およびASCL1をコードするAAVベクターを投与するステップを含む。一部の実施形態において、本方法は、MyΔ3-2A-ASCL1をコードするポリヌクレオチドを含むAAVベクターを対象に投与するステップを含む。一部の実施形態において、本方法は、ASCL1-2A-MyΔ3をコードするポリヌクレオチドを含むAAVベクターを対象に投与するステップを含む。一部の実施形態において、本開示は、それを必要とする対象(例えば、ヒト)における心筋梗塞を処置する方法であって、MyΔ3-2A-ASCL1(AAV:MyΔ3A)をコードするポリヌクレオチドを含むAAVベクターを対象に投与するステップを含み、対象における、心不全の部分的な、実質的な、もしくは完全な回復、および/または心不全の進行の部分的な、実質的な、もしくは完全な停止、および/または心不全の部分的な、実質的な、もしくは完全な防止をもたらす、方法を提供する。AAVベクターは、AAV5ベクターであり得る。AAVベクターは、AAV5のバリアントであり得る。AAVベクターは、別のAAVベクターであり得る。AAVベクターは、非心筋細胞(例えば、心臓線維芽細胞)の感染または形質導入(例えば、優先的な感染または形質導入)が可能であり得る。一部の実施形態において、本開示の処置方法は、対象における左心室駆出率(LVEF)の増加および/またはLVEFの維持をもたらす。一部の実施形態において、対象は、心筋梗塞(MI)を患っているかまたはそのリスクがある。一部の実施形態において、対象は、急性心筋梗塞(AMI)を患っているかまたはそのリスクがある。一部の実施形態において、対象は、急性心筋梗塞(CMI)を患っているかまたはそのリスクがある。一部の実施形態において、対象は、慢性心不全(例えば、MIまたはAMIまたはCMIに起因する)を患っているかまたはそのリスクがある。一部の実施形態において、対象は、うっ血性心不全(例えば、MIまたはAMIまたはCMIに起因する)を患っているかまたはそのリスクがある。様々な実施形態において、投与するステップは、心臓内または心筋内注射、冠動脈内のカテーテル処置(catheritization)、または全身投与(例えば、静脈内投与)を含む。一部の実施形態において、MyΔ3AのAAV送達は、急性心筋梗塞(mycordial infarction)(AMI)および慢性心筋梗塞(CMI)のいずれかまたは両方におけるin vivoでの機能的な利益を提供する。一部の実施形態において、AMIに起因する心不全は、部分的に、実質的に、または完全に回復する。一部の実施形態において、CMIに起因する心不全の進行は、部分的に、実質的に、または完全に停止する。
一部の実施形態において、投与するステップは、心臓発作の、約1時間以内、約2時間以内、約3時間以内、約4時間以内、約5時間以内、約12時間以内、約18時間以内、または約24時間以内に、AAVベクターを投与することを含む。一部の実施形態において、投与するステップは、心臓発作の、約1日以内、約2日以内、約3日以内、約4日以内、約5日以内、約6日以内、約7日以内、または約24時間以内に、AAVベクターを投与することを含む。一部の実施形態において、投与するステップは、心臓発作の、約1週間以内、約2週間以内、約3週間以内、または約4週間以内に、AAVベクターを投与することを含む。
一態様において、本開示は、心臓の状態を患っているまたはそのリスクがある対象における心臓の状態を処置する方法であって、本開示のベクターまたはベクター系を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。ベクターは、モノシストロン性、バイシストロン性、またはポリシストロン性ベクターであり得る。一実施形態において、本開示は、心臓の機能における改善を促進する、増加させる、改善する、または維持する方法を提供する。一部の実施形態において、本方法は、心臓における筋細胞の数を、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、または少なくとも約20%増加させる。一部の実施形態において、心臓の状態は、心筋梗塞である。一部の実施形態において、心臓の状態は、急性心筋梗塞である。一部の実施形態において、心臓の状態は、心不全である。一部の実施形態において、心臓の状態は、慢性虚血性心不全である。別の態様において、本開示は、本開示のベクターまたはベクター系、および必要に応じて心臓の状態の処置で使用するための説明書を含むキットを提供する。
別の態様において、本開示は、分化した非心筋細胞を心筋細胞に変換する方法であって、分化した細胞を、本開示のベクターまたはベクター系と接触させるステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態において、分化した非心筋細胞は、分化した非心筋細胞である。一部の実施形態において、分化した非心筋細胞は、ヒトの分化した非心筋細胞である。一部の実施形態において、分化した非心筋細胞は、in vivoの分化した非心筋細胞である。一部の実施形態において、分化した非心筋細胞は、in vitroの分化した非心筋細胞である。一部の実施形態において、分化した非心筋細胞は、心細胞である。
一部の実施形態において、本開示の方法は、心臓の駆出率を改善するかまたは回復させる。一部の実施形態において、改善は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、または少なくとも約40%の改善を含む。一部の実施形態において、本方法は、対象の心臓の駆出率を、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、または少なくとも約60%まで増加させるステップを含む。一部の実施形態において、駆出率の改善または回復は、最大で約2、約3、約4、約5、または約6週間以内に起こる。一部の実施形態において、駆出率の改善または回復は、2、3、4、5、または6週間以内に起こる。一部の実施形態において、本開示の方法は、心臓の駆出率を改善するかまたは回復させる。一部の実施形態において、改善は、約10%、約20%、約30%、または約40%の改善を含む。一部の実施形態において、本方法は、対象の心臓の駆出率を、約30%、約40%、約50%、または約60%まで増加させるステップを含む。一部の実施形態において、本開示の方法は、心臓の駆出率を改善するかまたは回復させる。一部の実施形態において、改善は、約5%から約10%、約10%から約20%、約20%から約30%、または約30%から約40%の改善を含む。一部の実施形態において、本方法は、対象の心臓の駆出率を、約30%、約40%、約50%、または約60%まで増加させるステップを含む。一部の実施形態において、駆出率の改善または回復は、約2、約3、約4、約5、または約6週間以内に起こる。一部の実施形態において、駆出率の改善または回復は、2、3、4、5、または6週間以内に起こる。
B.誘導心筋細胞を使用する処置方法
一部の態様において、本開示の誘導心筋細胞は、それを必要とする対象を処置するために使用することができる。一部の実施形態において、誘導心筋細胞は、それを必要とする対象に投与することができ、その場合、誘導心筋細胞の対象への投与は、対象における心臓血管疾患を処置する。
多くの細胞型は、対象内の再生および分化のための適切な部位に移動することが可能である。様々な治療のための投与レジメンの適性および細胞組成物の投薬量を決定するために、細胞は、まず好適な動物モデルで試験することができる。1つのレベルで、細胞は、in vivoで生存し、その表現型を維持するその能力について評価される。細胞はまた、in vivoで細胞が罹患したもしくは傷害を受けた部位に移動するかどうかを確認するために、または投与される細胞の適切な数もしくは投薬量を決定するために評価することもできる。細胞組成物は、免疫不全動物(例えばヌードマウス、または化学的に、もしくは放射線照射によって免疫不全にされた動物)に投与することができる。組織は、再成長の期間後に回収し、投与された細胞またはその後代が、それでもなお存在するか、生存しているか、および/または望ましいもしくは望ましくない場所に移動したかどうかに関して評価することができる。
注射された細胞は、様々な方法によって追跡することができる。例えば、検出可能な標識(例えば緑色蛍光タンパク質、またはベータ-ガラクトシダーゼ)を含有するかまたは発現する細胞は、容易に検出することができる。細胞は、例えば、BrdUもしくは[3H]-チミジンで、または緑色蛍光タンパク質、もしくはベータ-ガラクトシダーゼを発現できる発現カセットの導入によって、事前に標識されていてもよい。代替として、リプログラミングされた細胞は、それが、試験のために採用された動物によって発現されない細胞マーカー(例えば、実験動物に細胞を注射する場合、ヒト特異的な抗原)を発現することによって検出することができる。投与されたリプログラミングされた細胞の集団の存在および表現型は、蛍光顕微鏡法によって(例えば、緑色蛍光タンパク質、またはベータ-ガラクトシダーゼの場合)、免疫組織化学によって(例えば、ヒト抗原に対する抗体を使用して)、ELISAによって(ヒト抗原に対する抗体を使用して)、または心臓表現型を示すRNAに特異的になるように増幅を引き起こすプライマーおよびハイブリダイゼーション条件を使用するRT-PCR分析によって評価することができる。
C.リプログラミング因子および組成物を使用する処置方法
他の実施形態において、心臓血管疾患を処置する方法は、有効量のASCL1、MYOCD、MEF2C、TBX5、またはそれらの組合せの発現を増加させることが可能なリプログラミング組成物をそれを必要とする対象に投与するステップを含む。他の実施形態において、心臓血管疾患を処置する方法は、有効量のASCL1、MYOCD、MEF2C、TBX5、またはそれらの組合せの発現を増加させることが可能なリプログラミング組成物をそれを必要とする対象に投与するステップを含む。
本発明は、心臓血管疾患を処置する方法であって、有効量の本明細書に記載される方法によって生産された誘導心筋細胞をそれを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
一部の態様において、本開示の誘導心筋細胞は、それを必要とする対象を処置するために使用することができる。一部の実施形態において、誘導心筋細胞は、それを必要とする対象に投与することができ、その場合、誘導心筋細胞の対象への投与は、対象における心臓血管疾患を処置する。したがって、一部の実施形態において、心臓血管疾患を処置する方法は、誘導心筋細胞の集団をそれを必要とする対象に投与するステップを含む。他の実施形態において、心臓血管疾患を処置する方法は、有効量の、WNT阻害剤、TGF-β阻害剤またはその両方を含む組成物をそれを必要とする対象に投与するステップを含む。
一部の実施形態において、非心筋細胞は、TGF-β阻害剤の存在下で、WNT阻害剤の添加の前に、約6時間、約12時間、約18時間、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、または約48時間培養される。好ましい一実施形態において、非心筋細胞は、TGF-β阻害剤の存在下で、WNT阻害剤の添加の前に、約24時間培養される。
VIII.キット
本明細書に記載される組成物、化合物および/または薬剤のいずれかを含む様々なキットが本明細書に記載される。キットは、例えば、培養培地を、濃縮された、または濃縮されていない形態で含んでいてもよい。キットは、一緒に混合された、または個々にパッケージングされたかのいずれかの本明細書に記載される化合物のいずれかを、乾燥した、または水和物の形態で含んでいてもよい。本明細書に記載される化合物および/または薬剤は、別々のバイアル、ボトルまたは他の容器に別々にパッケージングすることができる。代替として、本明細書に記載される化合物および/または薬剤のいずれかは、単一の組成物として一緒にパッケージングされてもよいし、または一緒に、もしくは別々に使用できる2つもしくはそれより多くの組成物としてパッケージングされてもよい。本明細書に記載される化合物および/または薬剤は、分化の境界を越えて選択された細胞を変換して、心臓前駆細胞および/または心筋細胞を形成することを容易にするのに適切な比率および/または量でパッケージングすることができる。
キットはまた、プロモーターおよび他の必要に応じた調節エレメントに作動可能に連結した目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドセグメントを含む、発現カセット、発現ベクター、またはそれらの組合せを含んでいてもよい。発現カセットまたはベクターは、脱水した形態で、またはすぐ使用できる溶液で提供することができる。
in vitroにおける細胞の培養のためのキットが本明細書に記載され、本キットは、本明細書に記載される組成物、化合物、発現カセット、発現ベクター、および/または薬剤のいずれか、加えてこれらの組成物、化合物、発現カセット、発現ベクター、および/または薬剤を使用するための説明書を含んでいてもよい。
一部のキットは、本明細書に記載される組成物、化合物および/または薬剤のいずれかを含む細胞培養または細胞培地を含んでいてもよい。キットは、1つまたは複数の滅菌細胞収集デバイス、例えばスワブ、皮膚スクラッピングデバイス、針、シリンジ、および/またはメスを含んでいてもよい。キットはまた、心臓前駆体および/または心筋細胞マーカーの検出ための抗体、例えば、以下のマーカーのいずれか:α-アクチニン、MLC2v、cMHC、NKX2-5、GATA4、ISL1、MEF2C、cTNT、cTNI、MLC2a、およびそれらのあらゆる組合せに対する抗体を含んでいてもよい。抗体は、抗体が心臓前駆細胞および/または心筋細胞マーカーとの複合体を形成するとき検出可能なシグナルが観察できるように、標識することができる。
説明書は、選択された細胞(例えば、選択された初発の細胞または選択された細胞)に核酸を導入するための指針を含んでいてもよい。このような核酸は、目的のポリヌクレオチドまたはタンパク質をコードする、RNA、発現カセット、または発現ベクターであってもよく、目的のポリヌクレオチドまたはタンパク質を発現するのに十分な時間と条件下で細胞を培養する。説明書はまた、本明細書で開示された組成物および方法のいずれかを使用して、分化の境界を越えて心臓の系統に細胞を変換するための説明書を含んでいてもよい。例えば、説明書は、細胞培養培地に添加するための本明細書に記載される組成物、化合物および/または薬剤の量、細胞を心臓系統に変換するのに十分な回数、最適な変換ための適切な細胞密度の維持などを記載していてもよい。例えば、説明書は、本明細書に記載される組成物、化合物および/または薬剤の再水和または希釈のための手順を記載していてもよい。キットが本明細書に記載される組成物、化合物および/または薬剤のうち一部を含有する細胞培養培地を提供する場合、説明書は、どのように他の化合物および/薬剤を添加するかを記載していてもよい。説明書はまた、どのように選択された細胞を心臓前駆細胞または心筋細胞に変換するかを記載していてもよい。
説明書はまた、変換および/または分化の程度を評価できるように、心臓前駆体および/または心筋細胞マーカーを、そのようなマーカーに対する抗体の使用によって検出するための手順を記載していてもよい。
対象の治療的処置のための、本明細書に記載される組成物、化合物および/または薬剤のいずれかを含む別のキットも本明細書に記載される。キットは、本明細書に記載される組成物、化合物および/または薬剤のいずれか、加えてこれらの組成物、化合物および/または薬剤を投与するための説明書を含んでいてもよい。このような説明書は、本出願にわたり記載された情報を提供することができる。
キットはまた、細胞を含んでいてもよい。例えば、キットは、本明細書に記載される組成物および/または方法によって処置された、すぐ投与できる状態の化学的に誘導された心臓前駆細胞および/または心筋細胞を含んでいてもよい。
組換えウイルス、非ウイルスベクター、細胞、組成物および/または化合物は、送達デバイスの形態で、キットのいずれかの中に提供することができる。代替として、送達デバイスは、キット中に別々に含まれていてもよく、説明書は、対象への投与の前にどのように送達デバイスを組み立てるかを記載していてもよい。送達デバイスは、細胞成長のための足場、および/または本明細書に記載される組成物、化合物もしくは薬剤のいずれかの制御放出のためのマトリックスを提供することができる。
キットのいずれかはまた、シリンジ、カテーテル、メス、試料または細胞収集のための滅菌容器、希釈剤、薬学的に許容される担体などを含んでいてもよい。
キットは、他の因子、例えば、本出願の前述のセクションまたは他の部分における組成物のための、本明細書に記載される補充因子または薬物のいずれかを提供することができる。
実施形態の列挙
本発明は、以下の実施形態の列挙を参照することにより定義することができる:
実施形態のセット1:
項1-1.ASCL1ポリヌクレオチドを含む誘導心筋(iCM)細胞。
項1-2.MYOCDポリヌクレオチド、MEF2Cポリヌクレオチド、およびTBX5ポリヌクレオチドを含む、項1-1に記載のiCM細胞。
項1-3.ASCL1ポリヌクレオチドおよびMYOCDポリヌクレオチドが、第1のポリシストロン性ベクターから発現され、MEF2CポリヌクレオチドおよびTBX5ポリヌクレオチドが、第2のポリシストロン性ベクターから発現される、項1-2に記載のiCM細胞。
項1-4.第1のポリシストロン性ベクターおよび第2のポリシストロン性ベクターが、それぞれ独立して、脂質ナノ粒子、トランスポゾン、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルス、レトロウイルス、組み込み型レンチウイルスベクター(LVV)、および非組み込み型LVVから選択される、項1-3に記載のiCM細胞。
項1-5.iCM細胞の少なくとも25%が、α-アクチニン陽性である、項1-2から4のいずれかに記載のiCM細胞。
項1-6.iCM細胞の少なくとも2%が、cTnT陽性である、項1-2から5のいずれかに記載のiCM細胞。
項1-7.MYOCDポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、項1-1に記載のiCM細胞。
項1-8.ASCL1ポリヌクレオチドおよびMYOCDポリヌクレオチドが、ポリシストロン性ベクターから、共に翻訳されることによって発現される、項1-2に記載のiCM細胞。
項1-9.ポリシストロン性ベクターが、MYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドを含むベクターであり、ベクターが、脂質ナノ粒子、トランスポゾン、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルス、レトロウイルス、組み込み型レンチウイルスベクター(LVV)、および非組み込み型LVVから選択される、項1-8に記載のiCM細胞。
項1-10.iCM細胞の少なくとも25%が、α-アクチニン陽性である、項1-7から9のいずれかに記載のiCM細胞。
項1-11.iCM細胞の少なくとも5%が、cTnT陽性である、項1-7から10のいずれかに記載のiCM細胞。
項1-12.初代成体ヒト心臓線維芽細胞(AHCF)から生成される、項1-1に記載のiCM細胞。
項1-13.分化した細胞において心筋細胞表現型を誘導する方法であって、分化した細胞を、ASCL1ポリヌクレオチドを含むレトロウイルス発現ベクターと接触させるステップを含み、それによって誘導心筋(iCM)細胞の集団を生成する、方法。
項1-14.レトロウイルス発現ベクターが、MYOCDポリヌクレオチドを含む、項1-1に記載の方法。
項1-15.ASCL1ポリヌクレオチドおよびMYOCDポリヌクレオチドが、MYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドから発現される、項1-14に記載の方法。
項1-16.源となる細胞を、MEF2CポリヌクレオチドおよびTBX5ポリヌクレオチドの一方または両方を含む第2のレトロウイルス発現ベクターと接触させるステップを含む、項1-1に記載の方法。
項1-17.MEF2CポリヌクレオチドおよびTBX5ポリヌクレオチドが、MEF2C-2A-TBX5ポリヌクレオチドまたはTBX5-2A-MEF2Cポリヌクレオチドから発現される、項1-16に記載の方法。
項1-18.iCM細胞の少なくとも25%が、α-アクチニン陽性である項1-13から17のいずれかに記載の方法。
項1-19.iCM細胞の少なくとも5%が、cTnT陽性である、項1-13から18のいずれかに記載の方法。
項1-20.分化した細胞が、初代成体ヒト心臓線維芽細胞(AHCF)を含む、項1-13に記載の方法。
項1-21.対象における心臓の状態を処置する方法であって、ASCL1ポリヌクレオチド、ならびに必要に応じてMYOCDポリヌクレオチド、MEF2Cポリヌクレオチド、およびTBX5ポリヌクレオチドの1つまたは複数をコードする、1つまたは複数の核酸を対象に投与するステップを含み、それによって、in vivoで、対象において線維芽細胞の誘導心筋(iCM)細胞への分化転換を誘導し、それによって対象を処置する、方法。
項1-22.投与するステップが、対象の心臓への直接注射、静脈内注射、およびカテーテルによる対象への送達から選択される投与経路を含む、項1-21に記載の方法。
項1-23.1つまたは複数の核酸が、1つまたは複数のレトロウイルスベクター中に提供される、項1-21に記載の方法。
項1-24.1つまたは複数の核酸が、1つまたは複数のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター中に提供される、項1-21に記載の方法。
項1-25.対象における心臓の状態を処置する方法であって、細胞培養で、ASCL1ポリヌクレオチド、ならびに必要に応じてMYOCDポリヌクレオチド、MEF2Cポリヌクレオチド、およびTBX5ポリヌクレオチドの1つまたは複数をコードする、1つまたは複数の核酸を、分化した細胞に導入するステップであって、それによってex vivoで誘導心筋(iCM)細胞を生成する、ステップ;およびiCM細胞を対象に投与し、それによって対象を処置するステップを含む、方法。
項1-26.1つまたは複数の核酸が、1つまたは複数のレトロウイルスベクター中に提供される、項1-25に記載の方法。
項1-27.1つまたは複数の核酸が、1つまたは複数のアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター中に提供される、項1-25に記載の方法。
項1-28.iCM細胞が、生体適合性の足場上で投与される、項1-25に記載の方法。
項1-29.分化した細胞が、初代成体ヒト心臓線維芽細胞(AHCF)を含む、項1-25に記載の方法。
項1-30.AHCFが、対象から誘導された自己細胞である、項1-29に記載の方法。
項1-31.AHCFが、対象以外のドナーから誘導された同種細胞である、項1-29に記載の方法。
項1-32.MEF2C-2A-TBX5ポリヌクレオチド、TBX5-2A-MEF2Cポリヌクレオチド、およびMYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドから選択されるポリヌクレオチドを含むベクターであって、ベクターが、脂質ナノ粒子、トランスポゾン、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルス、レトロウイルス、組み込み型レンチウイルスベクター(LVV)、および非組み込み型LVVから選択される、ベクター。
実施形態のセット2:
項2-1.任意の5’から3’の順番で、同一または異なるポリヌクレオチド鎖において、MYOCDポリヌクレオチドおよびASCL1ポリヌクレオチドまたはMYF6ポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含むベクターであって、各ポリヌクレオチドが、少なくとも1つのプロモーターに作動可能に連結している、ベクター。
項2-2.任意の5’から3’の順番で、同一または異なるポリヌクレオチド鎖において、MYOCDポリヌクレオチドおよびASCL1ポリヌクレオチドを含む、項2-1に記載のベクター。
項2-3.任意の5’から3’の順番で、同一または異なるポリヌクレオチド鎖において、MYOCDポリヌクレオチドおよびMYF6ポリヌクレオチドを含む、項2-1に記載のベクター。
項2-4.任意の5’から3’の順番で、同一または異なるポリヌクレオチド鎖において、MYOCDポリヌクレオチド;MEF2CポリヌクレオチドおよびTBX5ポリヌクレオチドのいずれかまたは両方;ならびにASCL1ポリヌクレオチドおよびMYF6ポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含む、項2-1に記載のベクター。
項2-5.任意の5’から3’の順番で、同一または異なるポリヌクレオチド鎖において、MYOCDポリヌクレオチド、ASCL1ポリヌクレオチド、MEF2Cポリヌクレオチド、およびTBX5ポリヌクレオチドを含む、項2-4に記載のベクター。
項2-6.任意の5’から3’の順番で、同一または異なるポリヌクレオチド鎖において、MYOCDポリヌクレオチド、MYF6ポリヌクレオチド、MEF2Cポリヌクレオチド、およびTBX5ポリヌクレオチドを含む、項2-4に記載のベクター。
項2-7.MYOCDが、操作されたミオカルディンである、項2-1から7のいずれか一項に記載のベクター。
項2-8.MYOCDポリヌクレオチド、ASCL1ポリヌクレオチド、MYF6ポリヌクレオチド、MEF2Cポリヌクレオチド、またはTBX5ポリヌクレオチド以外のリプログラミング因子ポリヌクレオチドを含まない、項2-1から7のいずれか一項に記載のベクター。
項2-9.他のタンパク質をコードする遺伝子を含まない、項2-1から7のいずれか一項に記載のベクター。
項2-10.ポリシストロン性ベクターである、項2-1から9のいずれか一項に記載のベクター。
項2-11.脂質ナノ粒子、トランスポゾン、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルス、レトロウイルス、組み込み型レンチウイルスベクター(LVV)、および非組み込み型LVVから選択される、項2-1から10のいずれか一項に記載のベクター。
項2-12.AAVベクターである、項2-1から10のいずれか一項に記載のベクター。
項2-13.組み込み型LVVまたは非組み込み型LVVである、項2-1から10のいずれか一項に記載のベクター。
項2-14.分化した細胞を誘導心筋(iCM)細胞にリプログラミングすることが可能である、項2-1から13のいずれか一項に記載のベクター。
項2-15.iCM細胞の少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%が、α-アクチニン陽性である、項2-14に記載のベクター。
項2-16.iCM細胞の少なくとも2%、少なくとも5%、または少なくとも8%が、cTnT陽性である、項2-14または15に記載のベクター。
項2-17.存在する場合、ASCL1ポリヌクレオチド、または存在する場合、MYF6ポリヌクレオチド、および前記MYOCDポリヌクレオチドが、同じプロモーターに作動可能に連結されており、共に翻訳されることによって発現される、項2-1から16のいずれか一項に記載のベクター。
項2-18.同じプロモーターに作動可能に連結した、MYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドまたはASCL1-2A-MYOCDポリヌクレオチドを含む、項2-2に記載のベクター。
項2-19.同じプロモーターに作動可能に連結した、MYOCD-2A-MYF6ポリヌクレオチドまたはASCL1-2A-MYF6ポリヌクレオチドを含む、項2-3に記載のベクター。
項2-20.ASCL1ポリヌクレオチドが、ヒトASCL1(配列番号2)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、項2-1から19のいずれか一項に記載のベクター。
項2-21.MYF6ポリヌクレオチドが、ヒトMYF6(配列番号56)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、項2-1から19のいずれか一項に記載のベクター。
項2-22.MYOCDポリヌクレオチドおよびASCL1ポリヌクレオチドまたはMYF6ポリヌクレオチドのいずれかまたは両方をコードする第1のポリシストロン性ベクター;ならびにMEF2CポリヌクレオチドおよびTBX5ポリヌクレオチドを含む第2のポリシストロン性ベクターを含むベクター系。
項2-23.第1のポリシストロン性ベクターが、MYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドまたはASCL1-2A-MYOCDポリヌクレオチドを含む、項2-22に記載のベクター系。
項2-24.第1のポリシストロン性ベクターが、MYOCD-2A-MYF6ポリヌクレオチドまたはASCL1-2A-MYF6ポリヌクレオチドを含む、項2-22に記載のベクター系。
項2-25.第1のポリシストロン性ベクターおよび第2のポリシストロン性ベクターが、それぞれ独立して、脂質ナノ粒子、トランスポゾン、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルス、レトロウイルス、組み込み型レンチウイルスベクター(LVV)、および非組み込み型LVVから選択される、項2-22から24のいずれか一項に記載のベクター系。
項2-26.ASCL1ポリヌクレオチドが、ヒトASCL1(配列番号2)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、項2-22から25のいずれか一項に記載のベクター系。
項2-27.MYF6ポリヌクレオチドが、ヒトMYF6(配列番号56)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、項2-22から25のいずれか一項に記載のベクター系。
項2-28.分化した細胞において心筋細胞表現型を誘導する方法であって、分化した細胞を、項2-1から21のいずれか一項に記載のベクターと接触させるステップを含む、方法。
項2-29.分化した細胞において心筋細胞表現型を誘導する方法であって、分化した細胞を、項2-22から27のいずれか一項に記載のベクター系と接触させるステップを含む、方法。
項2-30.分化した細胞が、接触させるステップの間、in vitroの細胞である、項2-28または29に記載の方法。
項2-31.分化した細胞が、心臓の状態を患っているまたはそのリスクがある対象におけるin vivoの細胞である、項2-28または29に記載の方法。
項2-32.心臓の状態を患っているまたはそのリスクがある対象における心臓の状態を処置する方法であって、in vitroで、分化した細胞を、項2-1から21のいずれか一項に記載のベクターと接触させて、iCM細胞を生成するステップ、およびiCM細胞を対象に投与するステップを含む、方法。
項2-33.心臓の状態を患っているまたはそのリスクがある対象における心臓の状態を処置する方法であって、in vitroで、分化した細胞を、項2-22から27のいずれか一項に記載のベクター系と接触させて、iCM細胞を生成するステップ、およびiCM細胞を対象に投与するステップを含む、方法。
項2-34.心臓の状態を患っているまたはそのリスクがある対象における心臓の状態を処置する方法であって、項2-1から21のいずれか一項に記載のベクターを対象に投与するステップを含む、方法。
項2-35.心臓の状態を患っているまたはそのリスクがある対象における心臓の状態を処置する方法であって、項2-22から27のいずれか一項に記載のベクター系を対象に投与するステップを含む、方法。
項2-36.項2-1から21のいずれか一項に記載のベクター、および心臓の状態の処置で使用するための説明書を含むキット。
項2-37.項2-22から27のいずれか一項に記載のベクター系、および心臓の状態の処置で使用するための説明書を含むキット。
実施形態のセット3:
項3-1.最大で850アミノ酸の長さを有する操作されたミオカルディンタンパク質をコードする操作されたMYOCDポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドであって、操作されたミオカルディンタンパク質が、SRF相互作用ドメイン、SAPドメイン、およびTADドメインを含む、ポリヌクレオチド。
項3-2.操作されたミオカルディンタンパク質が、Mef2c相互作用ドメインを含む、項3-1に記載のポリヌクレオチド。
項3-3.
項3-4.Mef2c相互作用ドメインが、配列番号17に対して、少なくとも85%の同一性を有し、
項3-5.SRFドメインが、配列番号18に対して、少なくとも85%の同一性を有し、
項3-6.SAPドメインが、配列番号19に対して、少なくとも85%の同一性を有し、
項3-7.TADドメインが、配列番号11に対して、少なくとも85%の同一性を有する、項3-2に記載のポリヌクレオチド。
項3-8.操作されたミオカルディンタンパク質が、LZドメインを含む、項3-1または2に記載のポリヌクレオチド。
項3-9.LZドメインが、配列番号20に対して、少なくとも85%の同一性を有する、項3-4に記載のポリヌクレオチド。
項3-10.操作されたミオカルディンタンパク質が、
項3-11.ヒトミオカルディン(配列番号10)の残基5~413に対して、少なくとも85%の同一性を有する第1のポリペプチド、および
項3-12.ヒトミオカルディン(配列番号11)の残基764~986に対して、少なくとも85%の同一性を有する第2のポリペプチド
を含み、
項3-13.第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドが、ペプチド結合を含むリンカーまたは1~50アミノ酸残基のポリペプチドリンカーによって連結されている、項3-1から5のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-14.操作されたミオカルディンタンパク質が、
項3-15.ヒトミオカルディン(配列番号12)の残基5~438に対して、少なくとも85%の同一性を有する第1のポリペプチド、および
項3-16.ヒトミオカルディン(配列番号11)の残基764~938に対して、少なくとも85%の同一性を有する第2のポリペプチド
を含み、
項3-17.第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドが、ペプチド結合を含むリンカーまたは1~50アミノ酸残基のポリペプチドリンカーによって連結されている、項3-1から5のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-18.操作されたミオカルディンタンパク質が、
項3-19.ヒトミオカルディン(配列番号13)の残基5~559に対して、少なくとも85%の同一性を有する第1のポリペプチド、および
項3-20.ヒトミオカルディン(配列番号11)の残基764~938に対して、少なくとも85%の同一性を有する第2のポリペプチド
を含み、
項3-21.第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドが、ペプチド結合を含むリンカーまたは1~50アミノ酸残基のポリペプチドリンカーによって連結されている、項3-1から5のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-22.リンカーが、ペプチド結合からなる、項3-6から8のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-23.リンカーが、G、GG、GGG、GSG、GSS、GGS、GGSGGS(配列番号30)、GSSGGS(配列番号31)、GGSGSS(配列番号32)、GGSGGSGGS(配列番号33)、GGSGGSGGSGGS(配列番号34)から選択されるポリペプチドである、項3-6から8のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-24.操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号14~16から選択される配列を含む、項3-9に記載のポリヌクレオチド。
項3-25.操作されたミオカルディンタンパク質をコードする操作されたMYOCDポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドであって、操作されたミオカルディンタンパク質が、天然のミオカルディン(配列番号3)のアミノ酸414~764に対応する領域に、少なくとも50アミノ酸の欠失を含む、ポリヌクレオチド。
項3-26.操作されたミオカルディンタンパク質が、天然のミオカルディン(配列番号3)の約414から約763アミノ酸の欠失を含む、項3-12に記載のポリヌクレオチド。
項3-27.操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号14と少なくとも85%同一の配列を含む、項3-13に記載のポリヌクレオチド。
項3-28.操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号14と同一の配列からなる、項3-14に記載のポリヌクレオチド。
項3-29.操作されたミオカルディンタンパク質が、天然のミオカルディン(配列番号3)の約439から約763アミノ酸の欠失を含む、項3-12に記載のポリヌクレオチド。
項3-30.操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号15と少なくとも85%同一の配列を含む、項3-16に記載のポリヌクレオチド。
項3-31.操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号15と同一の配列からなる、項3-17に記載のポリヌクレオチド。
項3-32.操作されたミオカルディンタンパク質が、天然のミオカルディン(配列番号3)の約560から約763アミノ酸の欠失を含む、項3-12に記載のポリヌクレオチド。
項3-33.操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号16と少なくとも85%同一の配列を含む、項3-19に記載のポリヌクレオチド。
項3-34.操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号16と同一の配列からなる、項3-20に記載のポリヌクレオチド。
項3-35.操作されたミオカルディンタンパク質が、機能的な操作されたミオカルディンタンパク質である、項3-1から21のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-36.機能的な操作されたミオカルディンタンパク質が、同じ発現系における天然のMYOCDのレベルの少なくとも10%で発現される、項3-22に記載のポリヌクレオチド。
項3-37.機能的な操作されたミオカルディンタンパク質が、(a)ヒト心臓線維芽細胞において、TGFβ阻害剤、必要に応じてSB431542、およびWnt阻害剤、必要に応じてXAV939の存在下で、MEF2CおよびTBX5もしくはTBX5と共に発現される場合、または(b)ヒト心臓線維芽細胞において、ASCL1と共に発現される場合のいずれかで、少なくとも1つの心筋細胞表現型のマーカーの発現増加を誘導することが可能である、項3-22または23に記載のポリヌクレオチド。
項3-38.プロモーターに作動可能に連結されている、項3-1から24のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-39.MEF2CポリヌクレオチドおよびTBX5ポリヌクレオチドを含む、項3-1から25のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-40.TBX5ポリヌクレオチドを含む、項3-1から25のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-41.ASCL1ポリヌクレオチドを含む、項3-1から25のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-42.逆方向末端反復(ITR)によって挟まれているか、または長い末端反復(LTR)によって挟まれている、項3-1から28のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
項3-43.項3-1から42のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む組換えウイルス。
項3-44.組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)である、項3-30に記載の組換えウイルス。
項3-45.レンチウイルスである、項3-30に記載の組換えウイルス。
項3-46.項3-1から29のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む細胞の集団。
項3-47.in vitroのCaTアッセイにおいて、カルシウムトランジェント(CaT)を呈する集団中の細胞のパーセンテージが、同じin vitroのCaTアッセイにおけるポリヌクレオチドを含まない細胞の対照集団における細胞のパーセンテージの少なくとも2倍である、項3-46に記載の細胞の集団。
項3-48.項3-1から42のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む誘導心筋細胞(iCM)。
項3-49.項3-1から42のいずれかに記載のポリヌクレオチドおよび非ウイルス送達系を含む医薬組成物。
項3-50.項3-43から45のいずれかに記載の組換えウイルスを含む医薬組成物。
項3-51.誘導心筋細胞(iCM)を生成する方法であって、哺乳動物線維芽細胞を、項3-1から42のいずれかに記載のポリヌクレオチド、項3-43から45のいずれかに記載の組換えウイルス、または項3-49もしくは項3-37に記載の医薬組成物と接触させるステップを含む、方法。
項3-52.対象における心臓の状態を処置する方法であって、項3-50に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法。
項3-53.組換えウイルスが、心臓カテーテル法を介して投与される、項3-52に記載の方法。
項3-54.組換えウイルスが、心腔内注射を介して投与される、項3-52に記載の方法。
項3-55.発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)(図13Bまたは図13Cに描写した通り)であって、発現カセットが、5’から3’の順番で、5’逆方向末端反復(ITR)、CAGプロモーター、SV40イントロン、1つまたは複数のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、短鎖ポリアデニル化シグナル、および3’ITRを含み、1つまたは複数のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、5’から3’の順番で、MyΔ3をコードするポリヌクレオチド、P2Aリンカーをコードするポリヌクレオチド、およびASCL1をコードするポリヌクレオチドを含む、rAAV。
項3-56.発現カセットが、WPREを含む、項3-55に記載のrAAV。
項3-57.MyΔ3が、配列番号16を含む、項3-55または56に記載のrAAV。
項3-58.2Aリンカーが、ATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号23)を含む、項3-55から57のいずれかに記載のrAAV。
項3-59.ASCL1が、配列番号1を含む、項3-55から57のいずれかに記載のrAAV。
項3-60.配列番号35(MyΔ3A AAV)と少なくとも95%同一のポリヌクレオチドを含む、項3-59に記載のrAAV。
項3-61.項3-55から60のいずれかに記載のrAAVを含む医薬組成物。
項3-62.対象における心臓の状態を処置する方法であって、項3-61に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法。
以下の非限定的な実施例は、本発明の開発に含まれる実験的研究の一部を例示する。
(実施例1)
ヒト心臓リプログラミングのエンハンサーの同定
本発明者らは、ヒト心臓リプログラミングを誘導できる因子を、心臓マーカー発現を定量的に分析することによって同定するスクリーニングシステムを開発した。リプログラミング因子添加の3週間後、ハイスループット細胞アナライザーシステムを使用して、心臓マーカーであるα-アクチニンの発現に基づいて心臓リプログラミング効率をイメージングし、定量化した。本発明者らは、このスクリーニングシステムを使用して、ヒト転写因子(核内受容体を含む)、サイトカイン、およびエピジェネティックなレギュレーターをコードする1,052個のオープンリーディングフレーム(ORF)cDNAからなるレトロウイルス発現ライブラリーをスクリーニングした。(Zhou et al., 2017)。本発明者らは、MyMTと共に個々のヒトORFをコードするレトロウイルスをHCFに添加した。陽性ヒットを、MyMTまたはMyMT+SB/XAVのいずれかと組み合わせてα-アクチニン陽性(α-アクチニン+)細胞(図1A)のパーセンテージを2倍またはそれより大きく増加させる遺伝子と定義した。一次スクリーニングにより、ヒト心臓リプログラミングのエンハンサーとしてASCL1、MYF6、DLX3、DLX6、GATA2およびGATA5が同定された(図1B)。これら6つの因子の活性をさらに、追加の心臓マーカー(MYH6、TNNT2、TNNC1、NPPA、TNNI3およびRYR2)を検査した二次スクリーニングによって確認した。二次スクリーニングにより、ASCL1およびMYF6が、心臓リプログラミングの強化に関して最も強い2つのヒットとして同定された(図1C)。
(実施例2)
ASCL1およびMYF6はヒトおよびブタ心臓リプログラミングを強化する
ASCL1およびMYF6が心臓リプログラミングの強化に関して最も強い2つのヒットであったため(図1C)、本発明者らは、以下の研究で、本発明者らの注意力をASCL1およびMYF6に集めた。本発明者らは、初代成体ヒト心臓線維芽細胞(AHCF)を使用して、様々なリプログラミング因子と組み合わせてASCL1またはMYF6を添加することのリプログラミング効率を評価した。免疫細胞化学は、MyMTの上部へのASCL1またはMYF6の添加が、3週間のリプログラミング後に、約15%のα-アクチニン+、約50%のcTnT+誘導心筋細胞(iCM)を生成したことを示した(図2A~2B)。このリプログラミング効率は、MyMT単独の効率と比べて非常に有意的である。初代成体ブタ心臓線維芽細胞(APCF)にMyMTに加えてASCL1またはMYF6を使用することによっても、類似のリプログラミング効率が達成された(図2CおよびD)。
(実施例3)
リプログラミング因子の最適な化学量論がリプログラミング効率を強化する
リプログラミング因子の相対的な比率(または化学量論)は、心臓リプログラミングの効率および品質に影響を与えることが示されている。(Wang et al., 2015)。リプログラミング因子の最適な比率は、より高いリプログラミング効率およびより多くの成熟iCMと相関していた。リプログラミングためのMYOCD、ASCL1、MEF2CおよびTBX5(MyAMT)の最適な比率を決定するために、本発明者らは、4つのリプログラミング因子のうち1つを発現する様々な量のレトロウイルスを混合し、残りの3つのリプログラミング因子の比率を固定することによって、My、A、MおよびTタンパク質発現の相対レベルを操作した(図3A~3E)。本発明者らは、そのようなレトロウイルスカクテルでAHCFを形質導入し、3週間にわたり細胞をリプログラミングした。リプログラミング効率を示すために、心臓マーカーであるα-アクチニンおよびcTnTを使用した。α-アクチニンおよびcTnTに対する抗体でのリプログラミングされたAHCFの免疫細胞化学の分析は、心臓リプログラミング効率が、MYOCDおよびASCL1の発現レベルに対して最も感受性であったことを示した。データから、MYOCDまたはASCL1の発現が高いほど、リプログラミング効率のより高いレベルがもたらされたことが示された。MYOCDまたはASCL1が存在しなかった場合、リプログラミング効率はほぼゼロに落ちた(図3A、3B、3E)。MEF2Cの投与は、MYOCDおよびASCL1と類似したリプログラミング効率のパターンを示した。しかしながら、MEF2Cが添加されなくても、有意な量のα-アクチニン+およびcTnT+iCMがそれでもなお検出され得ることから、心臓リプログラミングはMEF2Cの発現レベルにそれほど感受性ではないことが示される(図3C、3E)。MYOCD、ASCL1およびMEF2Cとは異なり、TBX5の投与は、TBX5発現のより低いレベルでリプログラミング効率が最大化された別個のリプログラミング効率のパターンを示した(図3DおよびE)。まとめると、本発明者らの結果は、最適なMy、A、MおよびTの化学量論が、MYOCDおよびASCL1の高いタンパク質レベル、MEF2Cの中程度のレベル、ならびにTBX5の低いレベルによって定義され、心臓リプログラミング効率を有意に増加させることを実証した。
(実施例4)
ツーインワンのポリシストロン性ベクター中のリプログラミング因子による心臓リプログラミング
多くの様々な遺伝子を発現させるために別個のベクターを使用する遺伝子治療は、臨床開発にとって実用的ではない。AAVは、これまでに多くの臨床治験で使用されてきた最も一般的な遺伝子治療用ベクターである[Dunbar, 2018]。しかしながら、AAVのパッケージング能力は約4.7kbしかなく、したがって、最も少数のAAVベクターに複数のリプログラミング因子を適合させることが、AAVを使用する心臓リプログラミングにとって大きな問題である。本発明者らは、MyAMTリプログラミングカクテルを2つのAAVベクターに入れるために、2Aペプチドのポリシストロン系を利用した。プロモーターおよび他の調節エレメントに必要なAAVおよびスペースのサイズが限定されるため、MYOCD(3.0kb)は、1つのAAVベクターに適合させるためにはASCL1(0.7kb)とだけ対にできるが、それに対して、MEF2C(1.4kb)およびTBX5(1.5kb)は、MYOCDと対にするには大きすぎるが、一緒に別のAAVベクターに適合させることができる。2Aポリシストロン性ポリヌクレオチド中の因子の順番が遺伝子の発現レベルを決定したことが実証された(Wang et al., 2015)。本発明者らは、最適なMy、A、MおよびTの化学量論が心臓リプログラミング効率を有意に増加させたことを実証した(図3A~3E)。2Aポリシストロン性ベクターにおいて最適な化学量論を達成するために、本発明者らは、単一のオープンリーディングフレーム中に同じ2A配列を有するMy+AおよびM+Tの全ての可能性のある組合せ(My-P2A-A、A-P2A-My、M-P2A-TおよびT-P2A-M)を生成した。本発明者らは、My-P2A-A+M-P2A-T、My-P2A-A+T-P2A-M、A-P2A-My+M-P2A-TおよびA-P2A-My+T-P2A-Mを含むポリシストロン性ベクターの4つ全ての可能性のある組合せからなるレトロウイルスの組合せでAHCFを形質導入した。本発明者らは、3週間のリプログラミング後に、免疫細胞化学によって心臓マーカーであるα-アクチニンおよびcTnTの発現を分析した。本発明者らは、My-P2A-A+M-P2A-Tが最適な組合せであり、約35%のα-アクチニン+iCMおよび約4%のcTnT+iCMを生成したことを見出した(図4A~4B)。また21種の心臓マーカーのパネルのQ-PCR分析からも、My-P2A-A+M-P2A-Tが、ほとんどの心臓の遺伝子の最高レベルの発現を誘導するその能力に基づいて最適なポリシストロン性ベクターの組合せであることが実証された(図4C)。
(実施例5)
単一のポリシストロン性ベクターによる心臓リプログラミング
本発明者らは、全てのリプログラミング因子を単一のポリシストロン性転写単位に入れることによってリプログラミングベクターをさらに簡単にすることを試みた。本発明者らの化学量論実験(図3A~3E)から、MyAMTカクテルにおいてMYOCDおよびASCL1が最も重要なリプログラミング因子であること、ならびにリプログラミング効率はより低いものの、MEF2CまたはTBX5を添加しなくてもiCMが生成されたことが示されたため、本発明者らは、MYOCDおよびASCL1(MyA)だけでAHCFをiCMにリプログラミングできるという仮説を立てた。この仮説を試験するために、本発明者らは、MYOCDおよびASCL1レトロウイルスをAHCFに形質導入した。興味深いことに、3週間リプログラミング後に、MyAカクテルによって、約10%のα-アクチニン+iCMおよび約30%のcTnT+iCMが生成された(図5A~5B)。さらに、本発明者らは、異なる順番でMyおよびAをコードするポリシストロン性ベクター(My-P2A-AおよびA-P2A-My)を試験したところ、My-P2A-Aが、A-P2A-Myより一層優れたリプログラミング効率を示した(図5C~5D)。まとめると、これらのデータは、MyAの組合せは、高い効率でヒト心臓線維芽細胞をiCMにリプログラミングできることを示唆する。
(実施例6)
4つの遺伝子を発現するポリシストロン性ベクターによる心臓リプログラミング
本発明者らのデータは、2つの因子を有するポリシストロン性ベクター中のリプログラミング因子の順番が、心臓リプログラミング効率に有意に影響を与える可能性があることを示す(図3A~3E、図4A~4C)。MyAMTは、MyAより優れたリプログラミング能力を示したことから(図4A~4C、図5A~5D)、本発明者らは、単一のポリシストロン性ポリヌクレオチド中の4つの因子、MyAMTの最適な順番をさらに決定することを試みた。本発明者らは、単一のポリヌクレオチド中の異なる翻訳スキッピング配列(P2A、T2AおよびE2A)を有するMy、A、M、Tの全ての可能性のある24個の組合せを生成した。本発明者らは、GFPまたはMy、A、M、Tポリシストロン性レトロウイルスの24個の組合せのうち1つのいずれかでAHCFを形質導入し、3週間のリプログラミング後に、心臓マーカーであるα-アクチニンおよびcTnTの発現を免疫細胞化学によって分析した。本発明者らは、24個のポリシストロン性ベクターのうち3つ、A-P2A-T-T2A-My-E2A-M、T-P2A-A-T2A-My-E2A-MおよびM-P2A-A-T2A-My-E2A-Tが、約15%のα-アクチニン+iCMおよび約15%のcTnT+iCMを生成した最良の組合せであることを見出した(図6A~6B)。最適化されていないポリシストロン性ベクター、例えばMy-P2A-M-T2A-T-E2A-Aはほとんど、線維芽細胞をiCMにリプログラミングしなかったことから(図6A~6B)、心臓リプログラミングのためのリプログラミング因子の化学量論の重要性が強調される。1つの特定の位置における1つの特定のリプログラミング因子毎の平均リプログラミング効率を反映する因子の位置のスコアマトリックスを使用することによって、本発明者らは、MYOCDが3位にあることが好ましく、ASCL1が2位にあることが好ましく、MEF2CとTBX5の両方が1位または4位にあることが好ましいことを見出した。
(実施例7)
リプログラミングカクテルのin vivoの送達が心臓の修復を促進する
本発明者らは、非心筋細胞中の上記で本発明者らが最適化したリプログラミングカクテルの強制的な発現が傷害を受けた心臓の機能に測定可能な改善をもたらすことができるかどうかを検査した(図7A)。マウスを、左前下行枝動脈(LAD)結紮、それに続いて、それぞれ単一の因子をコードするGFP、ASCL1、MyMT、MyMTAまたはMyAレトロウイルスの心筋内注射に供した。MI後の心機能を、心エコー検査を使用して、盲検様式で、駆出率(EF)、収縮終期容量(ESV)および拡張終期容量(EDV)によって評価した。MI外科処置の前に、心エコー検査でEF、ESVおよびEDVを評価したところ、マウスの各コホートの心機能は同等であった。MI外科処置の後に、GFPを注射したマウスの心機能は低下し、MIの2週間後に安定な値に達した。対照的に、傷害を受けた心臓のMyMT、MyAMTまたはMyAレトロウイルスでの感染は、MIの2週間後、心機能の悪化が鈍化した。(図7B~D)。MyMTを用いた場合、MIの5週間後、心臓の機能的な改善は遅く、それほど完全ではなかった(図7B~7D)。これは、in vitroにおけるこの転写因子の組合せのリプログラミングにおける効率の低減と一致する(図2A~2D)。ASCL1を発現するベクター単独での傷害を受けた心臓の注射は、GFPと比較して、心機能に対してまったく作用を有さなかった(図7B~7D)。これらのデータは、MyMT、MyMTAおよびMyAリプログラミングカクテルが、心臓の修復を促進すること、およびASCL1をミオカルディンと組み合わせて添加することは、in vivoにおける心臓の機能的な改善に関して利益を提供することを示唆する。
材料および方法
初代成体ヒトおよびブタ心臓線維芽細胞の単離。成体ヒト心臓線維芽細胞(AHCF)または成体ブタ心臓線維芽細胞(APCF)の単離のために、成体ヒトまたはブタ左心室を細かく切り刻み、心臓線維芽細胞消化培地(10μg/mlのリベラーゼTH、10μg/mlのリベラーゼTM、1ユニット/mlのDNアーゼI、0.01%のPolaxomer)中で37℃で1時間消化した。消化の後、細胞を70μMのストレーナーに通過させて50mLファルコンチューブにろ過した。細胞を1200×gで5分間スピンダウンすることによってペレット化し、線維芽細胞増殖培地中に置いた。2日毎に培地を交換した。4日後、AHCFまたはAPCFを凍結するか、またはウイルス形質導入のために再びプレーティングした。
レトロウイルスの生産。レトロウイルスの生産のために、Cell Biolabs,Inc.からのPLATINUM-A(商標)(PLAT-A(商標))細胞を、10%FBSが補充されたDMEM中でのトランスフェクションの1日前に培養皿(細胞5×104個/cm2)にシーディングした。トランスフェクションの日に、細胞は約60%の密集度に達した。DNAプラスミド(Cell Biolabs,Inc.からのpMXs-ORFベクターをベースとする)を、Promega社のFUGENE(登録商標)HDトランスフェクション試薬を使用して、Platinum-A細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、ウイルス培地を0.45μmのフィルターに通過させてろ過し、ポリブレンを8μg/mlの濃度で添加した。
細胞リプログラミング。in vitroにおける心臓リプログラミングのために、AHCFまたはAPCFを、線維芽細胞増殖培地中5×103/cm2の密度で、培養皿またはプレートにシーディングした(-1日目)。細胞のプレーティングの1日後(0日目)、線維芽細胞増殖培地を除去し、ウイルス培地を添加した。ウイルス形質導入の1日後(1日目)、ウイルス培地を、4部のダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)および1部のGIBCO(登録商標)培地199、10%のFBS、1%の非必須アミノ酸、1%のペニシリン/ストレプトマイシンで構成されるiCM培地で、4日目まで2日毎に交換した。4日目に、培地を75%のiCM培地および25%のRPMI+B27に変更した。7日目に、培地を50%のiCMおよび50%のRPMI+B27に変更した。11日目に、培地を25%のiCMおよび75%のRPMI+B27に変更した。14日目に、培地をRPMI+B27+FFV(10ng/mlのrhFGF、15ng/mlのrhFGF-10、および5ng/mlのrhVEGF)に、21日目まで毎日変更した。
免疫細胞化学。免疫細胞化学のために、細胞を4%のパラホルムアルデヒド中で20分間固定し、0.1%のTriton-X100で、室温で30分間透過化した。細胞をPBSで3回洗浄し、続いて1%のウシ血清アルブミン(BSA)で1時間ブロックした。次いで細胞を、マウスモノクローナル抗心臓トロポニンT(cTnT)抗体(Thermo Scientific、MA5-12960)と共に、1%のBSA中、1:200の希釈率で、またはマウス抗α-アクチニン抗体(Sigma、A7811)と共に、1:200の希釈率で1時間インキュベートした。PBSで3回洗浄した後、次いで細胞を、ロバ抗マウスAlexa Fluor594(Invitrogen、A21203)と共に、1%のBSA中、1:200の希釈率で1時間インキュベートした。次いで、細胞イメージングマルチモードリーダー、CYTATION(商標)5(BioTek)を使用して、細胞をイメージングし、定量化した。
定量的mRNA測定。全RNAを、RNeasyミニキット(QIAGEN(登録商標))を販売元のプロトコールに従って使用して抽出した。iScript SUPERMIX(商標)(BIO-RAD(登録商標))を使用して、RNAをcDNAにレトロ転写した。qPCRを、TAQMAN(登録商標)遺伝子発現マスターミックス(THERMO SCIENTIFIC(登録商標))を使用して実行し、mRNAレベルを、GAPDH mRNAとの比較によって正規化した。
定量化および統計的分析。全てのデータは、標準誤差(SEM)と共に平均として提示され、n=2~3/群を有する。P値を、対応のない/二元配置t検定または一元配置分散分析(ANOVA)のいずれかで計算した。統計分析を、GRAPHPAD PRISM(登録商標)7ソフトウェアパッケージ(GRAPHPAD SOFTWARE(商標))を使用して実行した。複数のペアワイズ比較のために補正した後の全てのケースにおいて、<0.05のP値を有意とみなした。
MI外科処置、レトロウイルスの心筋内注射および心エコー検査。9~10週齢のCHARLES RIVER(登録商標)CD-1 IGS雄マウスに外科処置を実行した。マウスを2.4%のイソフルラン/97.6%の酸素で麻酔し、加熱パッド(37℃)上で仰臥位にした。動物に20ゲージの静脈内カテーテルを挿管し、マウス用人工呼吸器(MINIVENT(商標)、Harvard Apparatus,Inc.)で換気した。MIを、7-0プロレン縫合糸を用いた左前下行枝動脈(LAD)の永続的な結紮により誘導した。20μlのPBS中の濃縮した1010ゲノムコピー(GC)のレトロウイルス(濃度=5×1011GC/ml)(GFP、ASCL1、MyMT、MyAMT、またはMyA)を、29ゲージの針(BD)が組み込まれたインスリンシリンジを介して心筋に注射した。冠動脈閉塞の後に青白くなった梗塞領域をベースとして梗塞ゾーン(IZ)から境界ゾーン(BZ)の間の境界に沿って、全投薬量を用いた注射を行った。注射の後、胸部を縫合糸で閉じ、マウス用人工呼吸器および加熱パッドを用いてマウスを回復させた。全ての外科処置を無菌条件下で実行した。意識のあるマウスへの、VISUALSONICS(商標)VEVO(登録商標)3100イメージングシステムを使用した2次元経胸壁心エコー検査によって、心機能を評価した。駆出率(EF)、収縮終期容量(ESV)および拡張終期容量(EDV)を、心臓の収縮機能の指標として使用した。
(実施例8)
MyAを発現するレンチウイルスおよびアデノ随伴ウイルスの比較
本発明者らは、MYOCDおよび第2のタンパク質をコードするレンチウイルスまたはAAVベクターからのMYOCD発現を比較した。MYOCDおよびASCL1を有するポリシストロン性ベクターを、図8Aに描写された発現カセットを使用して、非組み込み型レンチウイルス(NIL)の様式で生成した。形質導入される細胞のゲノムへの遺伝子構築物の組み込みを防ぐために、プラスミドベースのパッケージング系に含まれるインテグラーゼが突然変異を含んでいたため、レンチウイルスは非組み込み型である。一部の実施形態において、図8Aに描写された同じ発現構築物が、組み込み型レンチウイルスを作製するのに使用される。このレンチウイルス構築物において、MYOCD-2A-ASCL1は、5’および3’長い末端反復(LTR)によって挟まれたWPREを有するCAGプロモーターの制御下で、SV40イントロン(「SV40Int」)の後に設置された。この構築物において、3’LTRは、ポリアデニル化シグナルとして作動する。
発現カセットが5’および3’逆方向末端反復(ITR)によって挟まれたAAVベクターに同じMYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドを入れることによって、類似のAAV構築物(図8B)を生成した。AAVベクターのパッケージングの限界のためにWPREを除去し、選択されたポリアデニル化配列は短鎖ポリAシグナル(「A」)(配列番号75)であった。MYOCDのみを有する(さらにASCL1ではない)対照モノシストロン性構築物も作製した(示されていない)。対照AAVはWPREを含み、ポリシストロン性AAVの短鎖ポリAの代わりにbGHポリA(配列番号85)を使用した。
細胞をNIL(図8C)またはAAVベクター(図8D)でトランスフェクトし、MYOCD、ASCL1に対する抗体、またはローディング対照GAPDHを使用する免疫ブロッティングによって分析した。モノシストロン性(My)およびポリシストロン性(MyA)NILベクターは、MYOCDを同じレベルで発現した(図8C)。モノシストロン性(M)およびポリシストロン性(MyA)AAVで形質導入された細胞によってMYOCDタンパク質を発現させたが、ポリシストロン性MyA AAVベクターによるMYOCDタンパク質の発現は、ポリシストロン性レンチウイルスMyA NIL(図8C)による、モノシストロン性レンチウイルスMy NIL(図8C)による、またはモノシストロン性アデノ随伴ウイルスMy AAV(図8D)によるMYOCDタンパク質の発現より低かった。切断されなかったMYOCD-2A-ASCL1が原因の高分子量のバンドが観察された(図8Dにおける黒色の矢印)。
AAV MyAまたはNIL MyAの、形質導入された細胞において心筋細胞表現型を誘導する能力を、BIOTEK CYTATION(商標)5イメージングリーダーでの、示された一次抗体およびALEXA FLUOR(登録商標)594二次抗体を使用したα-アクチニンの定量的免疫蛍光顕微鏡的検出(図8E)によって評価し、mRNAを、TNNC1、TNNT2、PLN、NPPA、またはMYH6の遺伝子特異的プライマーを使用した定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)によって定量化した(表4)。
対照試料は感染させなかった(情報なし)。細胞30,000個(1ウェル)当たり1.5×109、5×109、または2.5×1010ゲノムコピー(GC)を用いて、形質導入を実行した。図8Eは、NIL MyA(2.5×1010GC、試験されなかった)が、AAV MyAより大きい割合の細胞(1.5×109GC、試験されなかった)でα-アクチニン発現を誘導したことを示す。表4は、NIL MyAが、心筋細胞表現型に関連するマーカーの、AAV MyAより多くの発現を誘導したことを示す。
(実施例9)
内部の欠失を有する操作されたミオカルディンタンパク質の設計および試験
図9Aは、野生型ヒトMYOCDのドメインの概略図を示す。N末端RPELドメイン(RPxxxEL)は、MEF2C結合を媒介する。塩基性(++)およびポリグルタミン(Q)モチーフは、SRF相互作用にとって重要であり、それに対してGATA4は、SAP(SAF-A/B、AcinusおよびPIAS)ドメインを含む標識されたドメイン「Gata4相互作用I」を介してMYOCDと相互作用し、さらにロイシンジッパー(LZ)を含有する第2の標識された相互作用ドメイン「Gata4相互作用II」とも相互作用する。C末端は、転写促進ドメイン(TAD)を含有する。ヒト心臓組織で発現される天然のタンパク質のアイソフォームは、986アミノ酸の長さである。
MyA AAVの効力を増加させるために、内部の欠失を有する3つのミオカルディンバリアントを設計し、AAVで試験した。MyΔ1は、残基414~763の欠失を有し(図9B)、これは、第2のGATA4相互作用ドメイン全体のほとんどを欠失している。MyΔ2は、残基439~763の欠失を有し(図9C)、これもまた、第2のGATA4相互作用ドメイン全体のほとんどを欠失している。MyΔ3は、残基560~763の欠失を有し(図9D)、これもまた、第2のGATA4相互作用ドメイン全体のほとんどを欠失しているが、LZドメインを保持する。
図10Aは、コード配列の多様な部分を一緒に融合させているにもかかわらず、3つの内部の欠失を有する突然変異体が安定なミオカルディンタンパク質を生成することを免疫ブロットによって示す。一時的に48時間トランスフェクトされたHEK293T細胞から溶解産物を作製した。図10Bは、天然および操作されたミオカルディンタンパク質の免疫蛍光顕微鏡法を示す。MyΔ1、MyΔ2、およびMyΔ3はそれぞれ、天然のミオカルディンタンパク質と同様に細胞の核に適切に局在されている。
天然のミオカルディン(MYOCD)または3つの内部の欠失を有する操作されたミオカルディンタンパク質(MyΔ1、MyΔ2、またはMyΔ3)のうち1つをコードするレトロウイルスベクターを生成した。ヒト心臓線維芽細胞(HCF)細胞系の重感染を使用して、MYOCD、MEF2C、およびTBX5(MyMT);MyΔ1、MEF2C、およびTBX5(MyΔ1MT);MyΔ2、MEF2C、およびTBX5(MyΔ2MT);またはMyΔ3、MEF2C、およびTBX5(MyΔ3MT)の発現を誘導した。マウスおよびヒト細胞(MyMT+SB/XAV)において心臓リプログラミングを強化することが示されている2つの小分子、TGF-ベータ阻害剤SB431542およびWnt阻害剤XAV939の存在下で、重感染を実行した(Mohamed et al., Circulation. 135:978-95 (2017);国際特許出願PCT/US2017/025132号)。
カルシウムトランジェントを、これまでに記載されたようにして評価した。Qian, L., et al. (2012) Nature 485:593-598。簡単に言えば、単離された筋細胞に、Fluo-4を室温で30分間ローディングし、その後、超融合(superfusion)チャンバーに移した。ローディング溶液は、無水DMSO中の5mMのFluo-4 AMおよびPowerload(商標)濃縮物(Invitrogen)の1:10の混合物を含有しており、これを懸濁した筋細胞を含有する細胞外のタイロード溶液に100倍希釈した。目的の細胞の両側に設置され、フィールド刺激装置(field stimulator)(IonOptix、Myopacer)に接続された白金線の間で1Hzの電圧パルスを印加することによって、カルシウムトランジェントを誘発した。標準的なフィルターセット(#49011ET、Chroma Technology)を介してFluo-4蛍光トランジェントを記録した。各複製につき、8つの細胞のフィールドを20秒間イメージングした。
図11は、MEF2C、TBX5および天然の、または操作されたミオカルディンで形質導入されたヒト心臓線維芽細胞は全て、1週間または3週間のリプログラミング後にロバストなカルシウムトランジェントを呈することを示す。本発明者らは、MyMT+SB/XAVは、天然のMYOCDがMyΔ1、MyΔ2、またはMyΔ3で置き換えられていたとしても、誘導心筋細胞(iCM)を生成したという結論に至った。
類似の実験を、SB431542およびWnt阻害剤XAV939の存在下で、ただしMEF2Cなしで、天然の、または操作されたミオカルディンおよびTBX5を用いて実行した。重感染を使用して、小分子(+SB/XAV)の存在下で、MYOCDおよびTBX5(MyT)、MyΔ1およびTBX5(MyΔ1T)、MyΔ2およびTBX5(MyΔ2T)、またはMyΔ3およびTBX5(MyΔ3T)の発現を誘導した。実施例7に記載される通りにqPCRによって発現プロファイルを測定した。図12Aは、TBX5およびMyΔ3をコードするポリヌクレオチドで形質導入されたヒト心臓線維芽細胞が、TBX5および天然のMYOCDで形質導入されたものに匹敵する転写プロファイルを呈したことを実証する。図12Bは、同じ実験からの小分子の存在下におけるMyTまたはMyΔ3Tで形質導入された細胞の免疫蛍光顕微鏡法を示す。TBX5および天然のMYOCD、TBX5およびMyΔ2、またはTBX5およびMyΔ3で形質導入された心臓線維芽細胞は、同等のα-アクチニン構造を呈する。
(実施例10)
AAVベースのMyΔ3Aでのヒト心臓線維芽細胞のリプログラミング
図8Bに示されるAAVベクターは、図13A(MyAΔWPRE短鎖A)として再現されており、これを、残基560~763の内部の欠失を有する操作されたミオカルディンをコードするポリヌクレオチド(MyΔ3AΔWPRE短鎖A;図13B)での天然のMYOCDの置換、またはWPRE(MyΔ3AWPRE短鎖A;図13C)でのその置換および付加によって改変した。天然のMYOCD、WPRE、およびbGHポリAシグナル(My;示されていない)を有する;または天然のMYOCDおよび短鎖ポリAを有するが、WPREを有さない(MyΔWPRE短鎖A;示されていない)を有する対照ベクターも生成した。
MYOCDまたはASCL1特異的抗体での免疫ブロッティングに基づいて、AAVカセット中のMyΔ3での野生型MYOCDの置き換えは、ミオカルディン(図14A)およびASCL1(図14B)タンパク質発現をブーストした。WPREが欠如したAAVベクターは、WPREを有する対照ベクター(MyΔWPRE短鎖Aと比較して、My)より低いレベルであるものの、ミオカルディンタンパク質を発現した。内部の欠失を有する操作されたミオカルディン(MyΔ3AΔWPRE短鎖A)は、WPREが欠如したベクター中で、天然のMYOCDと比較してより高いレベルで発現される。小型のWPRE(WPRE3)のMyΔ3A AAV構築物への付加(MyΔ3AWPRE3短鎖A)は、ロバストな追加の作用を有さなかった。切断されていないMyΔ3-2A-ASCL1に対応するより高い分子量のバンドも観察される(図14Aにおいて、黒色の矢印)。天然のMYOCDをMyΔ3で置き換えることも同様に、ASCL1の発現を増加させる(図14B)。免疫ブロットにおいても、MyΔ3-2A-ASCL1に関するより高い分子量のバンドが観察される(図14Bにおいて、黒色の矢印)。
天然のMYOCDプラスASCL1ベクター(MyAΔWPRE短鎖A;ここでは標識されたAAV MyA)および操作されたミオカルディンプラスASCL1ベクター(MyΔ3AΔWPRE短鎖A;ここでは標識されたMyΔ3A)をさらに、HCF細胞系においてα-アクチニン+cTnT+誘導心筋細胞(iCM)表現型を誘導するそれらの能力に関して、実施例7に記載される通り免疫細胞化学により試験した。表5は、MyΔ3Aが、様々な感染多重度(MOI)でMyAと比較して様々なリプログラミング因子の発現を増加させたことを実証する。
この増加したリプログラミング因子発現は、α-アクチニン+細胞(図14C)またはcTnT+細胞(図14D)の定量的免疫蛍光測定に基づいて、MyAと比較したMyΔ3Aの心臓線維芽細胞リプログラミング能力の増加との相関を示した。
MyΔ3Aを用いたAAVベースのリプログラミングの強化されたリプログラミング能力を、AAVをNILと突き合わせて比較することによってさらに検証した。MyΔ3AのAAVベースの発現は、α-アクチニン+細胞のパーセンテージまたはcTnT+細胞のパーセンテージの免疫蛍光分析に基づいて、NILベースのリプログラミングより優れていた(図15)。これは、天然のMYOCDを用いて観察されたNILと比較してより低いAAVの性能とは対照的である(図8E)。
(実施例11)
AAVベースのMyMyf6でのヒト心臓線維芽細胞のリプログラミング
およそ1,000種のヒトタンパク質をコードする遺伝子のライブラリーを、MYOCDをコードするレトロウイルスおよび約1,000種の遺伝子のそれぞれの心臓線維芽細胞への形質導入によって、MYOCD単独と組み合わせたリプログラミング活性に関してスクリーニングした。約1,000種のヒトタンパク質をコードする遺伝子を、cTnTおよびα-アクチニンの発現によってアッセイされたヒト心臓線維芽細胞をリプログラミングするそれらの能力に関して試験した。最良の18種の因子に関する結果を示す(図16A)。ASCL1およびMYF6の両方は、MYOCDと組み合わせて、他の異種タンパク質をコードする遺伝子なしで、ロバストな活性を示す。cTnTおよびα-アクチニンの発現をそれぞれZ-スコアによって定量化した。図16Bは、MYOCD(My);ASCL1単独(A);MYOCDおよびASCL1(My/A);またはMYOCDおよびMYF6(My/Myf6)を発現するレトロウイルスでの感染後の2週間における、リプログラミングされた成体ヒト心臓線維芽細胞(AHCF)の代表的な免疫細胞化学の画像を示す。表6は、それぞれ単一のレトロウイルスベクターから発現されたMy/AまたはMy/Myf6を使用したリプログラミングされた細胞における心臓遺伝子発現分析を示す。
AHCFを、MYOCD-2A-ASCL1(MyA)またはMYOCD-2A-MYF6(MyMyf)をコードしたレトロウイルスに感染させた。リプログラミングされた細胞を3週間培養した。心臓マーカー遺伝子(NPPA、ACTC1、PLN、TNNT2、CAQ2、TNNC1、MYH6、MYH7、SCN5A、NPPB)の転写レベルをq-PCRによって決定した。
(実施例12)
心筋梗塞の処置
ミオカルディンおよびASCL1の発現のためのウイルスベクターを、in vivoで心筋梗塞(MI)のための処置として試験した。AAV2のrep遺伝子およびAAV5のcap遺伝子をコードするPACG5プラスミド、ならびに個々にAAV2の逆方向末端反復(ITR)によって挟まれた試験発現カセットを有する3つのプラスミドのそれぞれと共にアデノウイルス遺伝子E4、E2aおよびVAをコードするpHelperでのHEK293T細胞のコトランスフェクションによって、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを構築した。このコトランスフェクションは、3つの発現カセットのそれぞれを送達することが可能なAAV5ウイルス粒子を生成した。陰性対照発現カセットは、CAGプロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードしていた。ミオカルディンおよびASCL1に関する2つの発現カセットを試験した。試験した発現カセットの両方において、発現カセットのサイズを低減させるために、操作されたミオカルディンMyΔ3を使用した。
第1の試験した発現カセットは、SV40イントロン(配列番号73)およびbGHポリAシグナル(配列番号85)が介在する、CAGプロモーター(配列番号67)の転写制御下にMyΔ3(配列番号16)をコードするポリヌクレオチド(配列番号72)を配置したバイシストロン性発現カセット(図17A)であった。この第1の発現カセットはさらに、3’から、MyΔ3ポリAシグナル、SCPプロモーター(配列番号68)の転写制御下のASCL1(配列番号1)をコードするポリヌクレオチド(配列番号2)、および短鎖ポリAシグナル(配列番号74)を含んでいた。この構築物において、WPRE配列は使用されなかった。
試験された第2の発現カセットは、実施例10のものに類似した、MyΔ3(配列番号16)をコードするポリヌクレオチド(配列番号72)、それに続いて2Aペプチド(配列番号23)をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号22)、次いでASCL1(配列番号1)をコードするポリヌクレオチド(配列番号2)を配置したモノシストロン性発現カセット(図18A)であった。このオープンリーディングフレームの完全なポリヌクレオチド配列は、配列番号35であり、これは、配列番号57のポリペプチド配列をコードする。この第2の発現カセットは、SV40イントロン(配列番号73)および3’短鎖ポリAシグナル(配列番号74)が介在する、CAGプロモーター(配列番号67)の転写制御下にこのMyΔ3-2A-ASCL1ポリヌクレオチド配列が配置された。WPRE配列は使用されなかった。
MIのためのモデルとして、Gao et al. Cardiovasc Res.45:330-38 (2000)(マウス);Litwin et al. Circulation.89:345-54 (1994)(ラット);およびHood et al. Cardiovasc Drugs Ther.6:233-37 (1992)(イヌ)に記載されるように、CD-1マウスを左前下行枝(LAD)動脈の結紮によって作製した。結紮は、心臓の酸素を欠乏させて、心臓への即時のダメージを引き起こす。このダメージは、MI中にヒト心臓が受けるダメージを正確に反映することが示されている。(同じ引用)加えて、この実験モデルは、心不全(例えば慢性虚血性心不全)のための処置に対する応答の予測となることが当業界において公知である。
心臓結紮の後、陰性対照ベクター(AAV5:GFP)またはバイシストロン性ベクター(標識されたAAV5:MyΔ3A)を1.2×1011ゲノムコピー(GC)の用量でマウスに心筋内注射した。ベクター、特定にはトランスサイトーシスが可能なベクター(例えば、これらに限定されないが、AAV8、AAV9、AAVrh10など、またはあらゆる公知のAAV血清型の選択されたバリアント)の全身投与は、調整された用量(例えば、心腔内注射のための用量にキログラムでの対象の体重を掛けることによって、または投薬量範囲の研究によって決定された用量を使用することによって)で心腔内注射と同じ結果を達成することが予想された。MI後の2、4および7週間に、心機能(駆出率)を心エコー検査によって評価した。イメージングから、MI後の4および7週間に、AAV5:MyΔ3Aを注射したマウスが、AAV5:GFPを注射したマウスと比較して駆出率における統計学的に有意な改善を示したことが解明された。(各群につきn=6~13。**p<0.01)。図17Bに、結果を示す。
結紮処置を、マウスの第2のコホートに繰り返した。結紮の後、即座に、心臓に、媒体対照ベクター(ハンクス平衡塩溶液、HBSS)またはモノシストロン性ベクター(標識されたAAV5:MyΔ3A)を再び1.2×1011ゲノムコピー(GC)の用量で心筋内注射した。心臓の機能を、MI後8週間まで2週毎に心エコー検査によって経過観察した。イメージングにより、MIの後、媒体(HBSS)を注射したラットの心機能(駆出率)が低下し続けたことが解明された。AAV5:MyΔ3Aを注射したラットは、MI後の4~8週間の駆出率において統計学的に有意な改善を示した。(各群につきn=8。*p<0.05、***p<0.001)。図18Bに、結果を示す。マウスまたはラットのヒトに対する心臓の重量比が約1,000であることを考慮すれば、ヒトでの効率に関して約1013GCから約1014GCの間の用量が試験される。
慢性心筋梗塞(CMI)のラットモデルで追加の試験を実行した。LAD結紮後の2週間のタイムポイントは、MI後の線維芽細胞増殖期の後であるため、このタイムポイントをウイルスベクターの注射のために選択した(Fu et al. J. Clin. Invest. 128:2127-43 (2018))。図19A~図19Bは、モノシストロン性の様式(AAV5:MyΔ3A)でAAVによって送達されたミオカルディンおよびASCL1のin vivoの試験を示す。AAV5:MyΔ3Aは、心筋梗塞(MI)に起因する慢性心不全のラットモデルにおける駆出率を改善する。永続的な冠動脈結紮後の2週間に、HBSSまたは5×1011GCの用量でのAAV5:MyΔ3A(MyΔ3およびASCL1転写物を、2Aペプチドを含む単一の転写物から発現させた)を心筋内注射によって送達した。図19Aは、MI後10週間まで2週毎に、心エコー検査によって評価された、処置された(AAV5:MyΔ3A)および媒体対照(HBSS)群における心臓の機能を示す。心エコー検査により、MIの後、媒体(HBSS)を注射したラットにおける心機能が低下し続けたことが解明された。AAV5:MyΔ3Aは、この心臓の機能の低下を止めた。図19Bは、MI後の6~10週間に、AAV5:MyΔ3A処置が、媒体での動物と比較して駆出率における統計学的に有意な改善をもたらしたことを示す。(各群につきn=10。*p<0.05、**p<0.01)。
これらのマウスおよびラットからのデータは、MyΔ3AのAAV送達が、急性心筋梗塞(AMI)と慢性心筋梗塞(CMI)の両方においてin vivoで機能的な利益をもたらすことができることを実証する。AMIに起因する心不全は実質的に回復する。CMIに起因する心不全の進行は止まる。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
MYOCDポリヌクレオチドおよびASCL1ポリヌクレオチドまたはMYF6ポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含むベクターであって、各ポリヌクレオチドが、少なくとも1つのプロモーターに作動可能に連結されている、ベクター。
(項目2)
MYOCDポリヌクレオチドおよびASCL1ポリヌクレオチドを含む、項目1に記載のベクター。
(項目3)
MYOCDポリヌクレオチドおよびMYF6ポリヌクレオチドを含む、項目1または項目2に記載のベクター。
(項目4)
MYOCDポリヌクレオチド;MEF2CポリヌクレオチドおよびTBX5ポリヌクレオチドのいずれかまたは両方;ならびにASCL1ポリヌクレオチドおよびMYF6ポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含む、項目1に記載のベクター。
(項目5)
MYOCDポリヌクレオチド、ASCL1ポリヌクレオチド、MEF2Cポリヌクレオチド、およびTBX5ポリヌクレオチドを含む、項目4に記載のベクター。
(項目6)
MYOCDポリヌクレオチド、MYF6ポリヌクレオチド、MEF2Cポリヌクレオチド、およびTBX5ポリヌクレオチドを含む、項目4に記載のベクター。
(項目7)
前記MYOCDが、操作されたミオカルディンである、項目1から6のいずれか一項に記載のベクター。
(項目8)
MYOCDポリヌクレオチド、ASCL1ポリヌクレオチド、MYF6ポリヌクレオチド、MEF2Cポリヌクレオチド、またはTBX5ポリヌクレオチド以外のリプログラミング因子ポリヌクレオチドを含まない、項目1から7のいずれか一項に記載のベクター。
(項目9)
他のタンパク質をコードする遺伝子を含まない、項目1から8のいずれか一項に記載のベクター。
(項目10)
ポリシストロン性ベクターである、項目1から9のいずれか一項に記載のベクター。
(項目11)
ウイルスベクターである、項目1から10のいずれか一項に記載のベクター。
(項目12)
AAVベクターである、項目11に記載のベクター。
(項目13)
レンチウイルスベクターである、項目11に記載のベクター。
(項目14)
存在する場合、前記ASCL1ポリヌクレオチド、または存在する場合、前記MYF6ポリヌクレオチド、および前記MYOCDポリヌクレオチドが、同じプロモーターに作動可能に連結されており、共に翻訳されることによって発現される、項目1から13のいずれか一項に記載のベクター。
(項目15)
単一のプロモーターに作動可能に連結した、MYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドまたはASCL1-2A-MYOCDポリヌクレオチドを含む、項目2または項目7から13のいずれか一項に記載のベクター。
(項目16)
単一のプロモーターに作動可能に連結した、MYOCD-2A-MYF6ポリヌクレオチドまたはASCL1-2A-MYF6ポリヌクレオチドを含む、項目3または項目7から13のいずれか一項に記載のベクター。
(項目17)
前記MYOCDポリヌクレオチドが、ヒトMYOCD(配列番号4)のヌクレオチド配列またはそのコドンバリアントを含む、項目1から16のいずれか一項に記載のベクター。
(項目18)
前記MYOCDポリヌクレオチドが、前記ヒトMYOCD(配列番号4)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、項目1から17のいずれか一項に記載のベクター。
(項目19)
前記MYOCDポリヌクレオチドが、ヒトMYOCD(配列番号3)またはその機能的なバリアントをコードする、項目1から18のいずれか一項に記載のベクター。
(項目20)
前記MYOCDポリヌクレオチドが、ヒトMYOCD(配列番号3)に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチドをコードする、項目1から19のいずれか一項に記載のベクター。
(項目21)
前記MYOCDポリヌクレオチドが、MyΔ3(配列番号72)のヌクレオチド配列またはそのコドンバリアントを含む、項目1から16のいずれか一項に記載のベクター。
(項目22)
前記MYOCDポリヌクレオチドが、前記MyΔ3(配列番号72)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、項目1から16または21のいずれか一項に記載のベクター。
(項目23)
前記MYOCDポリヌクレオチドが、MyΔ3(配列番号16)またはその機能的なバリアントをコードする、項目1から16または21から22のいずれか一項に記載のベクター。
(項目24)
前記MYOCDポリヌクレオチドが、MyΔ3(配列番号16)またはそのコドンバリアントに対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチドをコードする、項目1から16または21から23のいずれか一項に記載のベクター。
(項目25)
前記ASCL1ポリヌクレオチドが、ヒトASCL1(配列番号2)のヌクレオチド配列またはそのコドンバリアントを含む、項目1から24のいずれか一項に記載のベクター。
(項目26)
前記ASCL1ポリヌクレオチドが、前記ヒトASCL1(配列番号2)のヌクレオチド配列またはそのコドンバリアントに対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、項目1から25のいずれか一項に記載のベクター。
(項目27)
前記ASCL1ポリヌクレオチドが、ヒトASCL1(配列番号1)に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチドをコードする、項目1から25のいずれか一項に記載のベクター。
(項目28)
前記ASCL1ポリヌクレオチドが、ヒトASCL1(配列番号1)をコードする、項目1から25のいずれか一項に記載のベクター。
(項目29)
前記MYF6ポリヌクレオチドが、ヒトMYF6(配列番号56)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、項目1から24のいずれか一項に記載のベクター。
(項目30)
発現カセットを含み、前記発現カセットが、
a.MyΔ3(配列番号72)もしくはそのコドンバリアントを含み、および/またはMyΔ3(配列番号16)もしくはその機能的なバリアントをコードし、第1のプロモーターに作動可能に連結されている、前記MYOCDポリヌクレオチド;ならびに
b.ASCL1(配列番号2)もしくはそのコドンバリアントを含み、および/またはASCL1(配列番号1)もしくはその機能的なバリアントをコードし、第2のプロモーターに作動可能に連結されている、前記ASCL1ポリヌクレオチド
を含む、項目11に記載のベクター。
(項目31)
前記第1のプロモーターが、CAGプロモーター(配列番号67)に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有し、および/または前記第2のプロモーターが、SCPプロモーター(配列番号68)に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の同一性を有する、項目30に記載のベクター。
(項目32)
発現カセットを含み、前記発現カセットが、単一のプロモーターに作動可能に連結したMYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドを含む、項目11に記載のベクター。
(項目33)
前記MYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドが、配列番号37またはそのコドンバリアントを含む、項目32に記載のベクター。
(項目34)
前記MYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドが、配列番号37に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、項目32または項目33に記載のベクター。
(項目35)
前記MYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドが、配列番号59またはその機能的なバリアントをコードする、項目32に記載のベクター。
(項目36)
前記MYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドが、配列番号59に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するポリペプチドをコードする、項目32に記載のベクター。
(項目37)
前記発現カセットが、SV40イントロン(配列番号73)、短鎖ポリAシグナル(配列番号74)およびWPRE(配列番号75)の1つまたは複数を含む、項目32から36のいずれか一項に記載のベクター。
(項目38)
前記発現カセットが、逆方向末端反復、必要に応じてAAV2 ITR(配列番号76)によって挟まれている、項目32から37のいずれか一項に記載のベクター。
(項目39)
必要に応じて配列番号71またはその機能的なバリアントを含む、AAV5キャプシドタンパク質を含む、項目32から38のいずれか一項に記載のベクター。
(項目40)
分化した細胞を誘導心筋(iCM)細胞にリプログラミングすることが可能である、項目1から39のいずれか一項に記載のベクター。
(項目41)
iCM細胞の少なくとも2.5%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%が、α-アクチニン陽性である、項目40に記載のベクター。
(項目42)
iCM細胞の少なくとも2%、少なくとも5%、または少なくとも8%が、cTnT陽性である、項目41に記載のベクター。
(項目43)
MYOCDポリヌクレオチドおよびASCL1ポリヌクレオチドまたはMYF6ポリヌクレオチドのいずれかまたは両方をコードする第1のベクター;ならびにMEF2CポリヌクレオチドおよびTBX5ポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含むベクター系。
(項目44)
前記第1のベクターが、MYOCD-2A-ASCL1ポリヌクレオチドまたはASCL1-2A-MYOCDポリヌクレオチドを含む、項目22に記載のベクター系。
(項目45)
前記第1のベクターが、MYOCD-2A-MYF6ポリヌクレオチドまたはASCL1-2A-MYF6ポリヌクレオチドを含む、項目22に記載のベクター系。
(項目46)
MYOCDポリヌクレオチドをコードする第1のベクターおよびASCL1ポリヌクレオチドまたはMYF6ポリヌクレオチドをコードする第2のベクターを含むベクター系。
(項目47)
前記第1のベクターおよび前記第2のベクターが、それぞれ独立して、脂質ナノ粒子、トランスポゾン、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルス、レトロウイルス、組み込み型レンチウイルスベクター(LVV)、および非組み込み型LVVから選択される、項目43から46のいずれか一項に記載のベクター系。
(項目48)
前記ASCL1ポリヌクレオチドが、ヒトASCL1(配列番号2)のヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する、項目43から47のいずれか一項に記載のベクター系。
(項目49)
前記MYOCDポリヌクレオチドが、ヒトMYOCD(配列番号3)もしくはその機能的なバリアントまたはMyΔ3(配列番号16)もしくはその機能的なバリアントをコードする、項目43から48のいずれか一項に記載のベクター系。
(項目50)
分化した細胞において心筋細胞表現型を誘導する方法であって、前記分化した細胞を、項目1から42のいずれか一項に記載のベクターまたは項目43から49のいずれか一項に記載のベクター系と接触させるステップを含む、方法。
(項目51)
前記分化した細胞が、心臓線維芽細胞である、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記分化した細胞が、前記接触させるステップの間、in vitroの細胞である、項目50または項目51に記載の方法。
(項目53)
前記分化した細胞が、心臓の状態を患っているまたはそのリスクがある対象におけるin vivoの細胞である、項目50から52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
心臓の状態を患っているまたはそのリスクがある対象における心臓の状態を処置する方法であって、in vitroで分化した細胞を、項目1から42のいずれか一項に記載のベクターまたは項目43から49のいずれか一項に記載のベクター系と接触させて、iCM細胞を生成するステップ、および前記iCM細胞を前記対象に投与するステップを含む、方法。
(項目55)
前記心臓の状態が、拡張型心筋症である、項目54に記載の方法。
(項目56)
心臓の状態を患っているまたはそのリスクがある対象における心臓の状態を処置する方法であって、項目1から42のいずれか一項に記載のベクターまたは項目43から49のいずれか一項に記載のベクター系を前記対象に投与するステップを含む、方法。
(項目57)
前記心臓の状態が、心筋梗塞である、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記心臓の状態が、急性心筋梗塞である、項目56に記載の方法。
(項目59)
前記心臓の状態が、心不全である、項目56に記載の方法。
(項目60)
前記心臓の状態が、慢性虚血性心不全である、項目56に記載の方法。
(項目61)
項目1から42のいずれか一項に記載のベクターまたは項目43から49のいずれか一項に記載のベクター系、および心臓の状態の処置で使用するための説明書を含むキット。
(項目62)
分化した非心筋細胞を心筋細胞に変換する方法であって、分化した細胞を、項目1から42のいずれか一項に記載のベクターまたは項目43から49のいずれか一項に記載のベクター系と接触させるステップを含む、方法。
(項目63)
前記分化した非心筋細胞が、分化した非心筋細胞である、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記分化した非心筋細胞が、ヒトの分化した非心筋細胞である、項目62または項目63に記載の方法。
(項目65)
前記分化した非心筋細胞が、in vivoの分化した非心筋細胞である、項目62から64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
前記分化した非心筋細胞が、in vitroの分化した非心筋細胞である、項目62から64のいずれか一項に記載の方法。
(項目67)
前記分化した非心筋細胞が、心細胞である、項目61から66のいずれか一項に記載の方法。
(項目68)
最大で850アミノ酸の長さを有する操作されたミオカルディンタンパク質をコードする操作されたMYOCDポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドであって、前記操作されたミオカルディンタンパク質が、SRF相互作用ドメイン、SAPドメイン、およびTADドメインを含む、ポリヌクレオチド。
(項目69)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、Mef2c相互作用ドメインを含む、項目68に記載のポリヌクレオチド。
(項目70)
a.前記Mef2c相互作用ドメインが、配列番号17に対して、少なくとも85%の同一性を有し、
b.前記SRFドメインが、配列番号18に対して、少なくとも85%の同一性を有し、
c.前記SAPドメインが、配列番号19に対して、少なくとも85%の同一性を有し、
d.前記TADドメインが、配列番号11に対して、少なくとも85%の同一性を有する、項目69に記載のポリヌクレオチド。
(項目71)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、LZドメインを含む、項目68または70に記載のポリヌクレオチド。
(項目72)
前記LZドメインが、配列番号20に対して、少なくとも85%の同一性を有する、項目71に記載のポリヌクレオチド。
(項目73)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、
a.ヒトミオカルディン(配列番号10)の残基5~413に対して、少なくとも85%の同一性を有する第1のポリペプチド、および
b.ヒトミオカルディン(配列番号11)の残基764~986に対して、少なくとも85%の同一性を有する第2のポリペプチド
を含み、
前記第1のポリペプチドおよび前記第2のポリペプチドが、ペプチド結合を含むリンカーまたは1~50アミノ酸残基のポリペプチドリンカーによって連結されている、項目68から72のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目74)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、
a.ヒトミオカルディン(配列番号12)の残基5~438に対して、少なくとも85%の同一性を有する第1のポリペプチド、および
b.ヒトミオカルディン(配列番号11)の残基764~938に対して、少なくとも85%の同一性を有する第2のポリペプチド
を含み、
前記第1のポリペプチドおよび前記第2のポリペプチドが、ペプチド結合を含むリンカーまたは1~50アミノ酸残基のポリペプチドリンカーによって連結されている、項目68から72のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目75)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、
a.ヒトミオカルディン(配列番号13)の残基5~559に対して、少なくとも85%の同一性を有する第1のポリペプチド、および
b.ヒトミオカルディン(配列番号11)の残基764~938に対して、少なくとも85%の同一性を有する第2のポリペプチド
を含み、
前記第1のポリペプチドおよび前記第2のポリペプチドが、ペプチド結合を含むリンカーまたは1~50アミノ酸残基のポリペプチドリンカーによって連結されている、項目68から72のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目76)
前記リンカーが、ペプチド結合からなる、項目73から75のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目77)
前記リンカーが、G、GG、GGG、GSS、GGS、GGSGGS(配列番号30)、GSSGGS(配列番号31)、GGSGSS(配列番号32)、GGSGGSGGS(配列番号33)、GGSGGSGGSGGS(配列番号34)から選択されるポリペプチドである、項目73から75のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目78)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号14~16から選択される配列を含む、項目76に記載のポリヌクレオチド。
(項目79)
操作されたミオカルディンタンパク質をコードする操作されたMYOCDポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドであって、前記操作されたミオカルディンタンパク質が、天然のミオカルディン(配列番号3)のアミノ酸414~764に対応する領域に、少なくとも50アミノ酸の欠失を含む、ポリヌクレオチド。
(項目80)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、前記天然のミオカルディン(配列番号3)の約414から約763アミノ酸の欠失を含む、項目79に記載のポリヌクレオチド。
(項目81)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号14と少なくとも85%同一の配列を含む、項目80に記載のポリヌクレオチド。
(項目82)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号14と同一の配列からなる、項目81に記載のポリヌクレオチド。
(項目83)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、前記天然のミオカルディン(配列番号3)の約439から約763アミノ酸の欠失を含む、項目79に記載のポリヌクレオチド。
(項目84)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号15と少なくとも85%同一の配列を含む、項目83に記載のポリヌクレオチド。
(項目85)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号15と同一の配列からなる、項目74に記載のポリヌクレオチド。
(項目86)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、前記天然のミオカルディン(配列番号3)の約560から約763アミノ酸の欠失を含む、項目79に記載のポリヌクレオチド。
(項目87)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号16と少なくとも85%同一の配列を含む、項目86に記載のポリヌクレオチド。
(項目88)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、配列番号16と同一の配列からなる、項目87に記載のポリヌクレオチド。
(項目89)
前記操作されたミオカルディンタンパク質が、機能的な操作されたミオカルディンタンパク質である、項目68から88のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目90)
前記機能的な操作されたミオカルディンタンパク質が、同じ発現系における天然のMYOCDのレベルの少なくとも10%で発現される、項目89に記載のポリヌクレオチド。
(項目91)
前記機能的な操作されたミオカルディンタンパク質が、(a)ヒト心臓線維芽細胞において、TGFβ阻害剤、必要に応じてSB431542、およびWnt阻害剤、必要に応じてXAV939の存在下で、MEF2CおよびTBX5もしくはTBX5と共に発現される場合、または(b)ヒト心臓線維芽細胞において、ASCL1と共に発現される場合のいずれかで、少なくとも1つの心筋細胞表現型のマーカーの発現増加を誘導することが可能である、項目89または90に記載のポリヌクレオチド。
(項目92)
プロモーターに作動可能に連結されている、項目68から91のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目93)
MEF2CポリヌクレオチドおよびTBX5ポリヌクレオチドを含む、項目68から92のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目94)
TBX5ポリヌクレオチドを含む、項目68から93のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目95)
ASCL1ポリヌクレオチドを含む、項目68から93のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目96)
逆方向末端反復(ITR)によって挟まれているか、または長い末端反復(LTR)によって挟まれている、項目68から95のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(項目97)
項目68から96のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む組換えウイルス。
(項目98)
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)である、項目97に記載の組換えウイルス。
(項目99)
レンチウイルスである、項目97に記載の組換えウイルス。
(項目100)
項目68から96のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む細胞の集団。
(項目101)
in vitroのCaTアッセイにおいて、カルシウムトランジェント(CaT)を呈する前記集団中の細胞のパーセンテージが、同じin vitroのCaTアッセイにおける前記ポリヌクレオチドを含まない細胞の対照集団における前記細胞のパーセンテージの少なくとも2倍である、項目100に記載の細胞の集団。
(項目102)
項目68から96のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む誘導心筋細胞(iCM)。
(項目103)
項目68から96のいずれかに記載のポリヌクレオチドおよび非ウイルス送達系を含む医薬組成物。
(項目104)
項目97から99のいずれかに記載の組換えウイルスを含む医薬組成物。
(項目105)
誘導心筋細胞(iCM)を生成する方法であって、哺乳動物線維芽細胞を、項目68から96のいずれかに記載のポリヌクレオチド、項目97から99のいずれかに記載の組換えウイルス、または項目103もしくは項目104に記載の医薬組成物と接触させるステップを含む、方法。
(項目106)
対象における心臓の状態を処置する方法であって、項目105に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
(項目107)
前記組換えウイルスが、心臓カテーテル法を介して投与される、項目106に記載の方法。
(項目108)
前記組換えウイルスが、心腔内注射を介して投与される、項目106に記載の方法。
(項目109)
発現カセットを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)であって、前記発現カセットが、5’から3’の順で、5’逆方向末端反復(ITR)、CAGプロモーター、SV40イントロン、1つまたは複数のタンパク質をコードするポリヌクレオチド、短鎖ポリアデニル化シグナル、および3’ITRを含み、前記1つまたは複数のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが、5’から3’の順で、MyΔ3をコードするポリヌクレオチド、P2Aリンカーをコードするポリヌクレオチド、およびASCL1をコードするポリヌクレオチドを含む、rAAV。
(項目110)
前記発現カセットが、WPREを含む、項目109に記載のrAAV。
(項目111)
前記MyΔ3が、配列番号16を含む、項目109または110に記載のrAAV。
(項目112)
前記2Aリンカーが、ATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号23)を含む、項目109から111のいずれかに記載のrAAV。
(項目113)
前記ASCL1が、配列番号1を含む、項目109から111のいずれかに記載のrAAV。
(項目114)
配列番号35(MyΔ3A AAV)と少なくとも95%同一のポリヌクレオチドを含む、項目113に記載のrAAV。
(項目115)
項目109から114のいずれかに記載のrAAVを含む医薬組成物。
(項目116)
対象における心臓の状態を処置する方法であって、項目115に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。