以下で、本開示を、実施例によって、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
実施例1
ここで図1~図23を参照して、本開示の第1の例を、以下で説明する。
まず、図1が、本開示を利用することができる内視鏡1の概略の側面図を示している。図1から見て取ることができるとおり、このような内視鏡1は、制御本体3の遠位側に配置された挿入管2を有する。制御本体3は、内視鏡1の操作部として機能する。制御本体3は、ハンドル部7を含む。
挿入管2は、円筒パイプ状または管状の構造体である。
挿入管2は、患者に挿入される方向において、以下でさらに詳細に説明される。挿入管2は、遠位端を最初にして/前方にして挿入される。
遠位側において、挿入管2は、遠位湾曲部(折れ曲がり部、偏向部)Aを有する。湾曲部Aを、1つ以上の制御ワイヤ(1つ以上のケーブルプル)によって挿入管2の近位部分に対して横方向に曲げることができる。制御ワイヤ(操縦ワイヤ)またはケーブルプル(以下では、単に制御ワイヤと称する)は、挿入管2の内部において、挿入管2の延伸の方向に案内されて、挿入管2の内周面に支持される。
制御ワイヤの遠位端は、湾曲部Aの遠位側に固定される。制御ワイヤの近位端は、制御本体3内に配置された制御要素(操縦要素)に接続される。この制御要素は、制御ワイヤを引き張り、湾曲部Aの所望の湾曲をもたらす。
湾曲部Aの近位側において、挿入管2は、近位受動可撓部20を形成する可撓管部材として構成されている。挿入管2の挿入時に、可撓部20は湾曲部Aに追従する。
図1において、可撓部20が、その長手方向に沿って、さまざまな可撓性のゾーンに構成されることが示されている。例えば、近位方向に見て、可撓部20は、第1のゾーンBと、第2のゾーンCと、第3のゾーンDとを有する。第1のゾーンBは、遠位部分(遠位領域)を形成し、第2のゾーンCは、中間部分(中間領域、中央部分)を形成し、第3のゾーンDは、近位部分(近位領域)を形成する。
第3のゾーンDは、図2の部分図には示されていない。
湾曲部と第1のゾーンBとの間のもつれ曲がりを回避するために、第1のゾーンBは、好ましくは、可撓部20のゾーンのうちで最も高い可撓性を備える。第1のゾーンBがきわめて高度の可撓性を備えることで、湾曲部Aと第1のゾーンBとの間に可撓性の急激な移行は存在しない。
第2のゾーンCは、第1のゾーンBよりも低い可撓性を有する。次いで、第3のゾーンDは、第2のゾーンCよりも低い可撓性を有する。
本開示による挿入管2は、ワンピースで形成される。すなわち、湾曲部Aから可撓部20への移行部に、互いに接合される2つの要素は存在しない。したがって、遠位湾曲部A、ならびに3つのゾーンB、C、およびDを有する近位受動可撓部20は、単一のパイプまたは管から形成される。
近位側において、挿入管2は、制御本体3の遠位端に固定される。挿入管2を、制御本体3に、例えばロック/固定リングまたはシールリングによって固定することができ、あるいは直接固定することができる。挿入管2を、例えば、制御本体3に接着しても、あるいは螺合させてもよい。制御本体3は、制御ワイヤまたはケーブルプルを制御するための第1の制御要素としての第1の制御ホイール(操縦ホイール)Fと、制御ワイヤまたはケーブルプルを制御するための第2の制御要素としての第2の制御ホイールGとを有する。第1の制御ホイールFは、制御ワイヤまたはケーブルプルを引っ張ることによって、湾曲部Aを第1の平面内で(例えば、図1において観察者に向かう方向および観察者から遠ざかる方向に)湾曲させる(曲げる、偏向させる)ことができる。第2の制御ホイールGは、制御ワイヤまたはケーブルプルを引っ張ることによって、第1の平面に垂直な第2の平面内で(例えば、図1における上方および下方に)湾曲部Aを湾曲させる(曲げる、偏向させる)ことができる。
湾曲部Aを、例えば200~270度曲げることができる。これは、ほとんどの用途に関して充分である。特別な形態においては、湾曲部Aを300度曲げることさえ可能である。
本開示による挿入管2およびその製造について、以下でさらに詳細に説明する。
挿入管2の全体は、単一のパイプ要素(パイプ部材)または管要素(管部材、管状片/要素)から形成され、これらを以下では単にパイプ要素と称する。パイプ要素は、好ましくは比較的硬い材料からなるパイプ(または、管)である。ステンレス鋼で作られたパイプがとくに好ましい。しかしながら、硬質プラスチックで作られたパイプを使用することも可能である。しかしながら、原則として、医療目的に適した任意の材料を使用することができる。
以下でさらに詳細に説明されるように、レーザ切断機によってパイプ要素に切り込みが設けられる。切り込みを設けた後に、以下でさらに詳細に説明されるように、パイプ要素の特定の部分が曲げられる。挿入管2の全体のベース本体(主本体)の製造に、切り込みを設けること、および曲げること以外のさらなる加工工程を必要としない。その後に、挿入管2のベース本体に制御ワイヤを設け、挿入管2のベース本体をカバー要素(シース要素)で囲む(被覆する)ことができる。
挿入管2の個々の部分を、以下でさらに詳細に説明する。
可撓部20
可撓部20は、本開示による挿入管2の近位部分を構成する。可撓部20は、3つのゾーンB、C、およびDを有し、各々のゾーンは可撓性が異なる。
図1は、より分かり易くするために、あたかも3つのゾーンB、C、およびDが挿入管2の長手方向に沿って互いに等しい長さであるかのように、近位受動可撓部20を示している。これは、当然ながら、事実ではない。中間ゾーンCは、移行部分Bおよび接続部分Dよりも長い。3つのゾーンB、C、およびDのうち、中間ゾーンCは、近位受動可撓部20において最も長い。換言すると、実際の近位受動可撓部20は、中間ゾーンCの構造によって形成される。近位受動可撓部20の曲げ特性、弾性、およびねじり剛性は、中間部分Cの構造によって実現される。
以下で、中間部分C、したがって実際の近位受動可撓部20の構造を、図3~図10を参照してさらに詳細に説明する。
図3が、本開示による第1の例の挿入管の近位受動可撓部の一部分の部分的な概略の側面図を示している。
図4が、図3の近位受動可撓部の一部分の部分的な斜視図を示している。
本開示による第1の例の切り込み構造を、図3および図4から見て取ることができる。
この切り込み構造の製造に、パイプ(または、管)2が、原材料として用いられる。パイプ2は、軸線および長手方向範囲を有する。パイプ2は、充分に硬い材料で作られる。例えば、ステンレス鋼を用いることができる。プラスチックまたはニチノールなどのニッケル-チタン合金を用いてもよい。パイプ2は、後に、本開示による挿入管を形成する。
パイプ2は、最初は可撓ではない形状(または、形態)を有する。パイプ2は、高いねじり剛性および高い寸法安定性を有する。
このパイプ2において、主切り込み98が、好ましくはレーザによって、外周に、所定の間隔(距離、隔たり)Hで周方向に形成される。周方向とは、パイプ2の軸線に対して垂直に延びる方向をいう。パイプ2に沿って、間隔Hは、いずれの場合も同じである。
主切り込み98は、パイプ2の壁の厚さを貫通する。主切り込み98は、パイプ2の周方向に、周方向長さ(外周)のほぼ半分にわたって延びる。これにより、周方向に連続する2つの主切り込み部分98A、98Bが、周方向ライン毎に形成される。それぞれの主切り込み部分98A、98Bの間に、パイプ2の材料が切断されていないブリッジ(ステー)97が存在する。パイプ2の長手方向において見ると、それぞれの主切り込み98の前方および後方(近位側および遠位側)の部分は、ブリッジ97を介して互いに接続されている。したがって、主切り込み98の各々の周方向ラインに、2つのブリッジ97が存在する。主切り込み98の各々の周方向ラインにおいて、2つのブリッジ97は、正反対の位置に配置されている。周方向において見ると、主切り込み部分98A、98Bの長さにブリッジ97の長さを加えたものが、正確に180°に対応する。主切り込み部分98Aおよび主切り込み部分98Bの長さは、互いに等しい。
主切り込み98から主切り込み98へと、パイプ2の長手方向に沿って、ブリッジは、図3および図4から見て取ることができるとおり、お互いに対して90°ずらされている。
二次切り込み(補助切り込み、サイドカット)99が、パイプ2の長手方向における各々のブリッジ97の近位側および遠位側に形成されている。二次切り込み99は、主切り込み部分98A、98Bと平行に延びている。周方向における二次切り込み99の長さは、周方向におけるブリッジ97の長さよりも長い。二次切り込み99の長さは、互いに等しい。
パイプ2の長手方向において、各々の二次切り込み99の隣接する主切り込み部分98A、98Bからの間隔(距離)Nは、主切り込み98の間隔(距離)Hよりも小さい。このようにして、近位側の二次切り込み99および遠位側の二次切り込み99が、2つの主切り込み部分98A、98Bを含む各々の主切り込み98に関連付けられる。
さらに、パイプ2の長手方向において、各々の二次切り込み99の隣接する主切り込み部分98A、98Bからの間隔Nは、各々の二次切り込み99と次の主切り込み98に関連付けられた隣接する二次切り込み99との間の間隔(距離)Mよりも小さい(図9を参照)。
主切り込み98および二次切り込み99は、パイプ2の特性を変化させる。パイプ2が、可撓性を有するようになる。パイプ2の可撓性および他の特性/特徴は、とりわけ、切り込み98、99の構造に強く依存する。より具体的には、とりわけ(材料に加えて)、切り込みの幅、切り込みの長さ、およびパイプの切り込み(管の切り込み)の間隔が、パイプ2の特性に影響を及ぼす重要な因子である。
部分X(領域X)に、パイプ2の高い可撓性の出現を担う切り込み構造が存在する。
曲げにおける変形とパイプの切り込みの間隔との間の関係を、以下で説明する。
切り込みのない元の形態のパイプ(または、管)は、特定の曲げ剛性(曲げ抵抗)を有する。このパイプに切り込みが設けられると、パイプに設けられた切り込みの形状および数に応じて、曲げ剛性が低下する。図6のグラフ表示が、パイプが曲げられるときの変形とパイプの切り込みの間隔との間の関係を示している。
図6は、切り込みが設けられたパイプの曲げのシミュレーションの結果を示している。曲げプロセスの最中の切り込みを有するパイプの変形が示されている。
2点鎖線が、切り込みから隣接する切り込みまでの間隔を示している。
実線が、曲げにおけるパイプの変形を示している。
縦軸および横軸の各々は、長さの単位値(例えば、mm)を示している。
図6から分かるように、パイプの切り込みの間の間隔が大きくなるほど、曲げ剛性は大きくなる(変形が小さくなる)。パイプの切り込みの間の間隔が無限になると、パイプ2は、元の最高の曲げ剛性に達する。
内視鏡の挿入管は、低い曲げ剛性(したがって、高い可撓性)を必要とするため、結果として、パイプの切り込みの間の間隔は、可能な限り小さくなければならない。
本開示によれば、部分Xの構造が、切り込み98および99が互いに近接し(小さな間隔N)、4つのばね状セグメントF1、F2、F3、およびF4が形成されるように構成される。ここで切り込みを有するパイプ2が曲げられると、セグメントF1、F2、F3、およびF4が引き離され、したがってばね状の反力が生成される。曲げ後にパイプ2が荷重から解放されるとき、反力は、パイプ2が再び直線的な形状に戻るようにパイプ2に作用する。パイプ2の長手方向に沿って、部分Xのこの構造は、パイプ2の近位受動可撓部Cの全長にわたって、90°のオフセットにて繰り返し配置される。結果として、パイプ2は、すべての方向に均一に可撓性を有する。
図7が、部分Xを拡大して示している。第1の主切り込み部分98Aおよび第2の主切り込み部分98Bで構成され、部分Xの関連の二次切り込み99を有している主切り込み98の構造において、主切り込み部分98A、98Bと関連の二次切り込み99との間の間隔Nは、高度の可撓性を提供するために、可能な限り小さくなければならない。
以下で、パイプのねじり剛性(ねじり抵抗)について説明する。
図8が、ねじり剛性に関して、ねじりにおける変形とパイプの切り込みの間隔との間の関係を示している。換言すると、図8のグラフ表示は、管がねじられるときの変形とパイプの切り込みの間隔との間の関係を示している。
図8は、切り込みが設けられたパイプのねじりのシミュレーションの結果を示している。ねじりプロセスの最中の切り込みが設けられた管の変形が示されている。
破線が、切り込みから隣接する切り込みまでの間隔を示している。
実線が、ねじりにおけるパイプの変形を示している。
縦軸および横軸の各々は、長さの単位値(例えば、mm)を示している。
図8から分かるように、パイプ(または、管)は、切り込みのない元の形態において、一定のねじり剛性を有する。このパイプに切り込みが設けられると、切り込みの形状および数に応じて、ねじり剛性が低下する。パイプの切り込みの間の間隔が大きいほど、ねじり剛性が大きくなる(回転時の変形が小さくなる)。パイプの切り込みの間の間隔が無限になると、パイプは、元の最高のねじり剛性に達する。
内視鏡の挿入管には高いねじり剛性が要求されるため、結果として、パイプの切り込みの間の間隔は、可能な限り大きくなければならない。
図9が、拡大された一部分における部分Y(領域Y)において、各々の二次切り込み99と、次の主切り込み98に組み合わせられた隣接する二次切り込み99との間隔(距離)Mを示している。
部分Yの構造は、高度のねじり剛性を提供するために、隣接する二次切り込み99の間の間隔Mが、可能な限り大きくなければならないことを示している。隣接する二次切り込み99の間の正確な間隔Mを、個々の必要に応じて決定することができる。
以下で、パイプ2の寸法安定性(形態/形状安定性)を実現するためのプロセスを説明する。
硬いパイプは、本質的に寸法安定性を有する。部分Yの構造は、パイプ2が複数の切り込み98、99が設けられた後も寸法安定性を保つように構成される。
この場合、二次切り込み99は、部分Yがパイプ2の長手方向に比較的長くなるように、遠い間隔で配置される。換言すると、これは、部分Yに切り込みのない広い環状部分をもたらす。
部分Yは、短いパイプ(または、管)と考えることが可能であり、したがって高い寸法安定性を有する。パイプ2の全体が曲げられる場合、部分Yが固有の安定性を有するがゆえに、部分F1、F2、F3、およびF4が曲がる。
したがって、パイプ2は、曲げにおいて可撓であると同時に、寸法的に安定している。
部分XおよびYの相互作用を、以下で説明する。
近位受動可撓部Cの全体構造は、部分XとYとの間の組み合わせである。
これらの部分XおよびYの各々は、パイプ2に特定の特性を提供する。
部分Xにおいて、主切り込み98および二次切り込み99は、高い可撓性を達成するために互いに近接して配置される。
対照的に、部分Yにおいて、二次切り込み99は、高いねじり剛性を達成するために互いにさらに離れて位置する。
これは、部分Xと部分Yとの間に以下の相互作用をもたらす。部分Yにおいて、二次切り込み99は、互いに遠く離れている。したがって、この部分Yは、曲げおよびねじりの両方において安定である。曲げの際に、部分Yは、ほとんど変化しないままである。他方で、部分Xは屈し、パイプ2の全体の可撓性を定める。パイプ2の可撓性への部分Yの影響はわずかである。
部分Xにおいて、主切り込み98および二次切り込み99は、互いにきわめて近接して配置される。
この例において、主切り込み98および二次切り込み99は、互いに異なる切り込み幅を有する。切り込み幅とは、パイプの長手方向におけるそれぞれの切り込みの幅を指す。主切り込み98および二次切り込み99がレーザによって形成される場合、切り込み幅は、放射されるレーザビーム束の直径の選択によって設定される。
二次切り込み99の切り込み幅を、可能な限り小さく保つべきである。レーザによって、例えば20μmをはるかに下回る切り込み幅を達成することができる。例えば、二次切り込み99を、20μmの切り込み幅で形成することができる。主切り込み98を、例えば、0.2mmの切り込み幅で形成することができる。切り込み幅のこれらの値は、あくまでも例を構成するにすぎない。それぞれの場合の適切な切り込み幅を、試験によって決定することができる。
好ましくは、主切り込み98の切り込み幅は、二次切り込み99の切り込み幅よりも大きい。例えば、主切り込み98の切り込み幅は、二次切り込み99の切り込み幅の10倍であってよい。やはり、この値も単なる例にすぎない。各々の場合の適切な倍数を、必要に応じて設定することができる。本開示は、これらの値に限定されない。
ねじり荷重の場合、パイプ2は、パイプ2の長手軸の周りに作用するねじりモーメント(ねじりトルク)Mtを被る。ねじりモーメントの作用により、図10に示されるように、長手軸に平行に延びるパイプ2の想像上の(仮想の)長手方向線Lが、らせん状(渦巻き状)に変形する。部分Xにおける主切り込み98と二次切り込み99との間隔Nはきわめて小さいため、部分Xの変形は、部分Yの変形とわずかに異なるだけである。部分Yのねじり剛性が、パイプ2の全体のねじり剛性を定める。パイプ2のねじり剛性への部分Xの影響はわずかである。
上述のように互いの間隔が異なる切り込みを形成することによって、パイプ2の近位受動可撓部Cにおいて、高い可撓性および高いねじり剛性の両方を達成することができる。
したがって、可撓部20の近位受動可撓部Cにおける本開示によるパイプ2は、高い可撓性および高いねじり剛性で、長手軸に対して横方向に曲げることが可能である。
可撓部20の個々のゾーンB、C、およびDは、長手方向における切り込み98の間隔H、したがって切り込み98の密度が異なるという点で相違する。
ゾーンBにおいて、切り込み98の間隔Hは最小である。したがって、ゾーンBにおいて、切り込み98の密度は最も高い。
ゾーンCにおいて、切り込み98の間隔Hは、ゾーンBにおける間隔よりも大きい。ゾーンDにおいて、切り込み98の間隔Hは、ゾーンCにおける間隔よりも大きい。
したがって、ゾーンBにおける可撓性および曲げ性は、ゾーンCにおける可撓性および曲げ性よりも大である。さらに、ゾーンCにおける可撓性および曲げ性は、ゾーンDにおける可撓性および曲げ性よりも大である。換言すると、可撓部20のそれぞれのゾーンの可撓性および曲げ性は、近位方向に低くなる。
ゾーンDは、切り込みが設けられていない近位側部分を備える。この部分は、制御本体Jへの移行部を形成する。
湾曲部Aから可撓部20への移行
湾曲部Aから可撓部20への移行部分が、図2において部分/領域Kとして示されている。この部分Kにおいて、湾曲部Aは終わる。換言すると、湾曲部Aの第1の部材、すなわち最も近位側の部材が、部分Kの遠位側に配置される。
図2、図11、および図12に示されるように、この部分Kにおいて、パイプ要素の壁面は、反転させた文字Cの形状を有する切り込み70によって切断されている。換言すると、パイプ要素の切り込み70は、不完全な円の形状で切り込まれる。切り込み70の円は、図11から見て取ることができるように、遠位側において切り抜かれていない。切り込み70の切り抜かれていない遠位側は、フラップ(タブ、クリップ)72のためのヒンジ71を形成する。フラップ72は、下耳73と、上耳74と、フラップ中央片75とを有する。下耳73は、フラップ中央片75の上側に隣接する。上耳74は、フラップ中央片75の下側に隣接する。
フラップ72は、次のように形成される。切り込み70の位置が決定される。切り込み70の中央に、孔77が切り抜かれる。切り込み70は、図2に示されるように、レーザによって形成される。フラップ中央片75は、ポスト(または、ピストン)によって後ろ側から、すなわちパイプ要素の内側から支持される。下耳73が、フラップ中央片75に対して90度内側に曲げられる。フラップ中央片75に対する耳73の曲げ線は、パイプ要素の軸線に平行に(図2および図4において、左方および右方を指す方向に)延びる。上耳74も、フラップ中央片75に対して90度内側に曲げられる。フラップ中央片75に対する耳74の曲げ線も、パイプ要素の軸線に平行に延びる。その後に、フラップ中央片75が、内側に90度曲げられる。パイプ要素に対するフラップ中央片75の曲げ線は、パイプ要素の軸線に対する垂直断面内を(図2および図11においては、上下方向に)延びる。換言すると、フラップ中央片75は、ヒンジ71において内側に90度曲げられる。とくには、フラップ中央片75は、下耳73の遠位側の縁部および上耳74の遠位側の縁部がパイプ要素の内周に当接するまで内側に曲げられる(図12を参照)。
フラップ72は、ガイドばね8の支持体として機能する。とくには、フラップ中央片75の近位面が、ガイドばね8の遠位端のためのストッパ面を形成する。2つの耳73、74は、フラップ中央片75を支持し、ガイドばね8から作用する圧縮力を吸収し、パイプ要素の内周面に伝達する。
フラップ中央片75は、中心孔77を有する。孔77は、制御ワイヤよりも大きい直径およびガイドばね8よりも小さい直径を有する。制御ワイヤは、可撓部20においてガイドばね8内を案内され、孔70を通過し、湾曲部A内へとさらに延びる。
部分Kに、使用される制御ワイヤの本数(この例では、4本)に等しい数のフラップ72が設けられる。フラップ72は、パイプ要素の周方向に均等に分布する。
湾曲部A
湾曲部Aの詳細な構造が、図13~図18に示される。
湾曲部Aは、湾曲部Aの長手方向に並べられた個々のジョイント部材(関節部材、ヒンジ部材)6を有する。個々のジョイント部材6は、お互いに対して枢動可能である。図13および図14に、連続して配置された3つのジョイント部材6、すなわちジョイント61、ジョイント61の近位側のジョイント62、およびジョイント62の近位側のジョイント63が示されている。
ジョイント部材6は、最も遠位側のジョイント部材6および最も近位側のジョイント部材6を除いて、互いに同一に構成される。
それぞれのジョイント部材6の構造を、ジョイント部材62を参照して以下で説明する。
ジョイント部材62は、レーザ切断によってパイプ要素のパイプセグメント(管セグメント)として形成される。ジョイント部材62は、パイプ要素の外周に遠位境界線601、602、603、604、および605、ならびに近位境界線606、607、608、および609を有する。
個々の遠位境界線は、円状のヘッドライン601と、2つのネックライン602と、2つのショルダライン603と、2つのアームライン604と、アームエンドライン605とで構成されている。より具体的には、ジョイント部材62の遠位側は、以下のように形成される。円状のヘッドライン601は、各側の近位側においてネックライン602に合流する不完全な円を形成する。2つのネックライン602の各々に、パイプ要素の軸線に対してほぼ垂直に延びるショルダライン603がつながる。2つのショルダライン603の各々に、パイプ要素の軸線に対してほぼ平行に遠位方向へと延びるアームライン604がつながる。アームライン604の2つの遠位端は、パイプ要素の軸線に対して再び垂直に延びるアームエンドライン605によってつながれる。
結果として、ジョイント部材62は、遠位側に向かって第1のヘッド622、第1のアーム623、第2のヘッド622、および第2のアーム623の各々をジョイント部材62の軸線に垂直に延びる想像上の円周線に沿った90度によって突出させる主本体621を有する。したがって、ヘッド622、622は、第1の想像上の平面内に延在する。アーム623、623は、第1の想像上の平面から90度ずれた第2の想像上の平面内に延在する。ジョイント部材62の2つのヘッド622、622は、その遠位側に配置されるジョイント部材61のための枢動軸を形成する。
各々のヘッド622は、遠位側においてヘッドライン601によって形成されている。ヘッド622と主本体621との間に、ネックライン602によってくびれが形成されている。それぞれのヘッド622は、それぞれのアーム623よりも遠位方向にさらに突出している。
個々の近位境界線は、曲線フットライン606、2つのボトムライン607、2つの直線フットライン608、およびウエストライン609から構成される。より具体的には、ジョイント部材62の近位側は、以下のように形成される。曲線フットライン606は、近位側が開いた不完全な円を形成する。不完全な円の開放端の各々において、曲線フットライン606は、ボトムライン607と合流し、ボトムラインの各々は、パイプ要素の軸線に対してほぼ垂直に延びる。
2つのボトムライン607の各々は、パイプ要素の軸線にほぼ平行に遠位方向へと延びる直線フットライン608につながる。直線フットライン608の2つの遠位端に、パイプ要素の軸線に対して再び垂直に延びるウエストライン609がつながる。
結果として、ジョイント部材62は、主本体621の近位側に、近位方向に延びる2つのフット624を有する。各々のフット624は、延在の方向において、直線フットライン608における直線側と、曲線フットライン606における曲線側とを有する。
2つの直線フットライン608の間の領域に、近位側に位置するジョイント部材63のアームが、長手方向に摺動可能に配置される。2つの曲線フットライン606の間の領域に、近位側に位置するジョイント部材63のヘッドが、長手方向に動くことができないように保持される。最大で、曲線フットラインの内周と円状のヘッドラインの外周との間の遊びによるわずかな動きだけが可能である。
湾曲部Aが湾曲していない状態にあるとき、図14に示されるように、ウエストライン609は、近位側に位置するジョイント部材63のアームエンドライン605から離れて位置している。アームエンドライン605と近位側に位置するジョイント部材63のウエストライン609とは、互いに平行である。
湾曲部Aが湾曲していない状態にあるとき、図14に示されるように、ボトムライン607は、近位側に位置するジョイント部材63のショルダライン603から離れて位置している。ボトムライン607と近位側に位置するジョイント部材63のショルダライン603とは、互いに平行または互いにほぼ平行であっても、あるいは図14に示されるように、お互いに対してわずかに傾斜していても(傾けられていても)よい。ボトムライン607と近位側に位置するジョイント部材63のショルダライン603との間には、単純な切り込み線が形成されているだけでなく、パイプ要素の材料が四辺片として切り抜かれている。
それぞれのヘッド622は、隣接するジョイント部材6に結合する結合部分を形成する。フット624は、ジョイント部材6のお互いに対する軸方向移動を可能にするように、隣接するジョイント部材6と係合するガイド部分を形成する。
図17が、それぞれのジョイント部材6を有する湾曲部Aの上面図を示している。上面図において、ジョイント部材6のヘッド622を見て取ることができる。
図18が、それぞれのジョイント部材6を有する湾曲部Aの側面図を示している。側面図において、ジョイント部材6のフット624を見て取ることができる。
最も遠位側のジョイント部材6は、ヘッドを有さず、図2および図17~図21に示されている。
最も近位側のジョイント部材6は、フットを有さず、図2、図11、および図18に示されている。
この例において、湾曲部Aを、2つの曲げ方向(角度方向、偏向方向)、すなわち図13および図14(および、図17)における上方向および下方向に曲げることができ、ジョイント部材6のそれぞれのヘッド622がジョイント部材6の曲げ軸を形成する。換言すると、図17の湾曲部Aは、上方向および下方向に枢動可能である。図18の図において、湾曲部Aは、観察者に向かう方向および観察者から遠ざかる方向に枢動可能である。
図15および図16に示されるように、ウエストライン609は、ケーブルガイドフラップ(ケーブルガイドタブ)630のためのヒンジ部分を形成する。ケーブルガイドフラップ630は、ウエストライン609から延びている。ケーブルガイドフラップ630のために、直線フットライン608に沿って近位側に位置するジョイント部材63のアームエンドライン605まで延びる材料の一部分が取得される。ケーブルガイドフラップ630は、ウエストライン609に取り付けられ(連結され)、90度内側に曲げられている。ケーブルガイドフラップ630は、中心孔631を有する。孔631は、制御ワイヤよりも大きい直径を有する。
ジョイント部材6の各々は、特定の制御ワイヤのためのケーブルガイドフラップ630が湾曲部Aの長手方向に連続して配置されるように、孔631を有するケーブルガイドフラップ630を有する。ケーブルガイドフラップ630は、制御ワイヤを支持するガイド突起として機能する。したがって、ケーブルガイドフラップ630は、そのケーブルガイドフラップ630に関連付けられた制御ワイヤを湾曲部Aを通って案内する。
ジョイント部材6は、図17に示されるように、ヘッドが近位方向を向くように湾曲部Aに配置されてよい。あるいは、ジョイント部材6は、図13に示されるように、ヘッドが遠位方向を向くように湾曲部Aに配置されてよい。
湾曲部Aの遠位端が、図19~図21に示される。図19~図21において、最も遠位側に位置する湾曲部Aのジョイント部材69を見て取ることができる。制御ワイヤ9の遠位側が、最も遠位側に位置するこのジョイント部材69に固定されている。制御ワイヤ9は、制御本体3から、最も遠位側に位置する湾曲部Aのジョイント部材69まで延びている。
制御ワイヤの固定
制御ワイヤ9の取り付けが、図22および図23に詳細に示されている。
制御ワイヤ9は、制御本体3内の制御ホイールGに取り付けられている。制御ホイールGを引っ張り方向に回転させると、制御ワイヤ9が引っ張られる。制御ホイールGを引っ張り方向とは反対の緩め方向に回転させると、制御ワイヤ9は緩められる。
制御ワイヤ9は、制御本体3から挿入管2内をジョイント部材69まで延び、第1のセクション91を形成する。制御ワイヤ9のこの第1のセクション91は、挿入管2の内周を延びている。制御ワイヤ9のこの第1のセクション91は、図22に参照符号91で示されている。ジョイント部材69の遠位側にスリット691が形成され(図20を参照)、スリット691は、ジョイント部材69の周壁を貫き、ジョイント部材69の長手方向に延びている。別の同様のスリット692が、スリット691の正反対の位置で、ジョイント部材69の遠位側に設けられている。
制御ワイヤ9は、ジョイント部材69の内周を遠位方向に延び、スリット691を通って外側へと延び、ジョイント部材69の外周においてスリット692までジョイント部材69の周方向に巻き付けられ、スリット692を通って内側へと延び、ジョイント部材69の内周を近位方向に制御本体3内の制御ホイールGまで延びている。
このようにして、制御ワイヤ9は、制御本体3内の制御ホイールGからスリット691まで延びる第1のセクション91と、ジョイント部材69の外周においてスリット691からジョイント部材69の周方向にスリット692まで延びる第2のセクション92と、スリット692から制御本体3内の制御ホイールGまで延びる第3のセクション93とに区分される。
制御ホイールGを引っ張り方向に回転させることによって、制御ワイヤ9が引っ張られることで、ジョイント部材69に固定された第3の部分93が近位方向に動かされるため、湾曲部Aが湾曲する。このように、制御ワイヤ9の第3の部分93は、制御ワイヤ9の遠位固定部分を形成する。
製造方法
本開示による挿入管2は、レーザによって切り込みが設けられる単一のパイプ要素から製造することができる。パイプ要素は、ステンレス鋼または適切な硬質プラスチックなどの比較的硬質の材料で作られる。切り込みの結果として、最初は硬いパイプ要素が、剛性を保持しつつ可撓性になる。
切り込みは、近位受動可撓部20のそれぞれの横切開(軸線に対して垂直に延びる切り込み)98、99、孔77、移行部分Kの切り込み70、孔631、遠位湾曲部Aのそれぞれのジョイント部材6、およびスリット691、692を形成する。この順序を、限定として解釈すべきではない。例えば、ジョイント部材6よりも先にスリット691、692を切り込んでもよい。さらに、切り込みの順序を逆にしてもよい。
パイプ要素の可撓性および剛性を、切り込みの形状、配置、およびサイズによって制御することができる。
それぞれの切り込みの位置を、事前に計算し、あらかじめ決定することができる。プログラム可能なレーザ切断機に、それぞれの切り込みの指定データを入力して、挿入管2を自動的に形成することができる。
個々のジョイント部材6は完全に切り抜かれ、形状嵌合(連結接続、ポジティブ接続)で接続されているにすぎない互いに物理的に分かれた本体を形成する。
パイプ要素をレーザで切断した後に、フラップ72およびケーブルガイドフラップ630は、内側に曲げられる。このようにして、挿入管2の原本体が完成する。
次に、挿入管2のこの原本体に制御ワイヤ9を挿入して取り付けることができる。挿入管2の原本体を、制御本体3に取り付けることができる。さらに、挿入管2の原本体を取り囲み、好ましくは電気制御を遮蔽するために金属からなるコーティングを、挿入管2の原本体に取り付けることができ、プラスチックまたはゴムの弾性カバー(シース)を、コーティング上に取り付けることができる。プラスチックまたはゴムの弾性カバーに、熱収縮を施すことができる。
第2の例
ここで図24を参照して、本開示の第2の例を、以下で説明する。
図24は、第2の例において採用される近位受動可撓部の部分的な概略図を示している。
図24に示される原理に従って構成された近位受動可撓部20は、第1の例の近位受動可撓部20を置き換えることができる。換言すると、制御本体3および湾曲部Aを、この第2の例の近位受動可撓部20と組み合わせることができる。
上述のように、遠位湾曲部A、ならびに3つのゾーンB、C、およびDを有する近位受動可撓部20は、単一のパイプまたは管から形成される(やはり図1を参照)。
ゾーンBは、中間部分Cと湾曲部Aとの間の移行部分Bを形成する。ゾーンCは、中間部分Cを形成する。ゾーンDは、制御本体3における近位受動可撓部20の接続部分Dを形成する。換言すると、制御本体3における接続部分D、中間部分C、中間部分Cと湾曲部Aとの間の移行部分B、および湾曲部Aを含む挿入管の全体が、単一のパイプ要素から作られる。
図1は、より分かり易くするために、あたかも3つのゾーンB、C、およびDが挿入管2の長手方向に沿って互いに等しい長さであるかのように、近位受動可撓部20を示している。これは、当然ながら、事実ではない。中間部分Cは、移行部分Bおよび接続部分Dよりも長い。中間部分Cが、近位受動可撓部20において最も長い。換言すると、実際の近位受動可撓部20は、中間部分Cの構造によって形成される。近位受動可撓部20の曲げ特性、弾性、およびねじり剛性は、中間部分Cの構造によって実現される。
近位受動可撓部20の中間部分Cの構造を、図24を参照して以下でさらに詳細に説明する。
近位受動可撓部20は、すでに上述したパイプ要素から作られる。中央部分Cにおいて、複数の主切り込み990が、パイプ要素の長手方向に沿ってレーザ切断によって切り込まれる。これらの主切り込み990は、互いに平行に延びている。主切り込み990は、パイプ要素の軸線に対して垂直に延在する。
より具体的には、主切り込み990は、円周線上に位置する主切り込みの間に切り込まれていないブリッジ(ステー)992が残るように、中断された様相で中央部分Cの円周に沿って延在する。この例においては、周方向に見たときに、4つの主切り込み部分が形成されている。
図24は、これらの主切り込み部分をより詳細に示している。図24は、周方向に形成された主切り込み部分の第1の並びを、参照番号990A、990B、および990Cで示している。図24は、周方向に形成された主切り込み部分の第2の並びを、参照番号990A1および990B1でさらに示している。参照符号990A、990B、および990Cを有する主切り込み部分の第1の並びは、長手方向において、参照符号990A1および990B1を有する周方向に形成された主切り込み部分の第2の並びに隣接している。主切り込み部分の周方向の長さは、常に同じである。すなわち、主切り込み部分の特定の並びについて、周方向における主切り込み部分の長さが互いに等しいだけでなく、中間部分Cの全体における主切り込み部分のすべての並びについて、周方向における主切り込み部分の長さが互いに等しい。
図24に示される主切り込み部分の第1の並びには、第1の主切り込み部分990A、第2の主切り込み部分990B、および第3の主切り込み部分990Cが示されている。第4の主切り込み部分は、見て取ることができないが、パイプ要素のうちの図面の平面の背後の観察者から遠ざかる方を向いた側に配置されている。第1の主切り込み部分990A、第2の主切り込み部分990B、第3の主切り込み部分990C、および図示されていない第4の主切り込み部分は、パイプ要素の周方向に続けて形成されている。したがって、この円周線において、パイプ要素は、同じ長さで4回部分的に切断される。第1の主切り込み部分990Aの終わりと第2の主切り込み部分990Bの始まりとの間、第2の主切り込み部分990Bの終わりと第3の主切り込み部分990Cの始まりとの間、第3の主切り込み部分990Cの終わりと図示されていない第4の主切り込み部分の始まりとの間、および図示されていない第4の主切り込み部分の終わりと第1の主切り込み部分990Aの始まりとの間に、それぞれのブリッジ992が残されている。ブリッジ992の領域において、パイプ要素は切断されていない。
図24に示される主切り込み部分の第2の並びには、第1の主切り込み部分990A1および第2の主切り込み部分990B1が示されている。第3の主切り込み部分および第4の主切り込み部分は、見て取ることができないが、パイプ要素のうちの図面の平面の背後の観察者から遠ざかる方を向いた側に配置されている。
第2の並びの主切り込み部分は、第1の並びの主切り込み部分に対してオフセットされている。隣接する第2の並びにおいて、第1の並びにおいて主切り込み部分990A、990B、および990Cがそれぞれのブリッジ992を残している領域が、パイプ要素の周方向に見たとき、主切り込み部分990A1および990B1の中央を形成する領域に相当する。したがって、ブリッジは、パイプ要素の長手方向において主切り込み990の並びから並びへと45度オフセットされて配置される。
パイプ要素内のすべての主切り込み990の切り込み幅は同じである。パイプ要素内の主切り込み990のすべての並びの間隔は同じである。
パイプ要素の長手方向において、図24に示されるように、二次切り込み991が各々のブリッジ992に隣接して設けられる。
二次切り込み991は、パイプ要素の長手方向における両側においてブリッジ992に隣接して形成される。二次切り込み991は、主切り込み990よりも短い。二次切り込み991は、隣接する主切り込み990の端部と重なる。
二次切り込み991はすべて、パイプ要素の周方向において互いに同じ長さを有する。すべての二次切り込み991は、互いに平行であり、主切り込み990とも平行である。
パイプ要素の長手方向における両側に隣接して、二次切り込み991のそれぞれの並びの各々が、主切り込み990の並びに関連付けられている。換言すると、主切り込み990の並びの各々が、近位側の二次切り込み991の並びおよび遠位側の二次切り込み991の並びを有する。
したがって、パイプ要素の長手方向に沿って見たとき、主切り込み990の並びの後に、遠位側の二次切り込み991の並びが続き、次の主切り込み990の近位側の二次切り込み991の並びがさらに続く。パイプ要素の長手方向に沿って見ると、二次切り込み991の並びは、一方側に隣接する二次切り込み991のさらなる並びと、他方側に隣接する主切り込み990の並びとを有する。
二次切り込み991は、パイプ要素の長手方向において、最も近い二次切り込み991よりも最も近い主切り込み990の近くに形成される。
換言すると、主切り込み990に隣接して、二次切り込み991は、それらが隣接する二次切り込み991よりも隣接する主切り込み990の近くに配置されるように設けられる。
これを説明するために、図24は、主切り込み部分の第1の並びに関する二次切り込み991を、二次切り込み991aとして示し、主切り込み部分の第2の並びに関する二次切り込み991を、二次切り込み991bとして示している。主切り込み部分の第1の並びに関する二次切り込み991aは、隣接する二次切り込み991bよりも隣接する主切り込み部分990A、990B、および990Cの近くに配置される。したがって、パイプ要素における隣接する切り込みは、等間隔でない。
パイプ要素内のすべての二次切り込み991の切り込み幅は同じである。二次切り込み991の切り込み幅は、主切り込み990の切り込み幅よりも狭い。
第2の例の効果
第1の例と同様に、第2の例の構造は、きわめて高い可撓性を有すると同時に、高いねじり剛性も有する挿入管2を提供する。
第3の例
第1および第2の例においては、可撓部Cにおいて、主切り込みが互いに等間隔に配置されている。
対照的に、この第3の例においては、可撓部Cにおいて、主切り込みが互いに等間隔に配置されていない。他の態様は、前述の例と同じである。
図26が、2つの変形例における第3の例の近位受動可撓部の一部分の概略図を、前述の例と比較して示している。
とくに、図26は、可撓部Cにおける切り込みの設計の第1の変形例2601、可撓部Cにおける切り込みの設計の第2の変形例2602、および可撓部Cにおける切り込みの設計の第3の変形例2603を示している。
第2の変形例2602においては、第1および第2の例と同様に、主切り込み2612が、比較の目的のために、可撓部Cにおいて互いに等間隔に配置されている。
しかしながら、第1の変形例2601および第3の変形例2603においては、可撓部Cの隣接する主切り込み2611、2613が、互いに等間隔に配置されていない。図26は、第1の変形例2601および第3の変形例2603の各々における近位受動可撓部Cのサブゾーンを示している。このサブゾーンにおいて、隣接する主切り込みの間の間隔は等しくない。
したがって、図示のそれぞれの変形例において、隣接する主切り込みの間の間隔(距離)は、異なって設計されている。図26のそれぞれの上方部分において、隣接する主切り込みの間の間隔が、円によって示されている。可撓部Cの遠位方向に、隣接する主切り込みの間のこの間隔は、第1の変形例2601においては増大し、第2の変形例2602においては同じままであり、第3の変形例2603においては減少している。
第1の変形例2601は、内視鏡の延在の方向に測定される隣接する主切り込み2611の間の間隔が、遠位側に向かって増大する場合を示している。第1の変形例2601に示されている主切り込みは、参照符号2611を使用してグループ化されている。円周線上に位置する主切り込み部分2611の間に、切り込まれていないブリッジ(ステー)2631が存在する。二次切り込みが、参照符号2621で示されている。二次切り込みは、前述の例で説明されている。そこで説明された詳細が、明示的に参照される。
図示されている第1の主切り込み2611Aは、図示されている第2の主切り込み2611Bと図示されている第3の主切り込み2611Cとの間の間隔よりも小さい間隔で、図示されている第2の主切り込み2611Bから離れて位置している。次いで、図示の第2の主切り込み2611Bと図示の第3の主切り込み2611Cとの間の間隔は、図示の第3の主切り込み2611Cと図示の第4の主切り込み2611Dとの間の間隔よりも小さく、以下同様である。遠位方向に、図示の主切り込み2611A、2611B、2611C、2611D、2611E、および2611Fの間の間隔は、どんどん大きくなる。
第1の変形例2601において、主切り込みの間の間隔は、遠位側に向かって均一に(連続的に)増加してもよい。
例えば、間隔の増加は、第2の主切り込み2611Bが、第1の主切り込み2611Aと第2の主切り込み2611Bとの間の間隔H1よりも値y(差)だけ大きい間隔H2によって第3の主切り込み2611Cから離れて位置し、第4の主切り込み2611Dが、間隔H2よりも同じ値yだけ大きい間隔H3によって第3の主切り込み2611Cから離れて位置するようなものであってよい。
別の例では、間隔の増加は、第2の主切り込み2611Bが、第1の主切り込み2611Aと第2の主切り込み2611Bとの間の間隔H1よりも値yだけ大きい間隔H2によって第3の主切り込み2611Cから離れて位置し、第4の主切り込み2611Dが、間隔H2よりもyに係数z(1よりも大きい)を掛けた値だけ大きい間隔H3によって第3の主切り込み2611Cから離れて位置するようなものであってよい。
間隔の増加は、任意に具体化可能である。
第1の変形例2601において、主切り込みの間の間隔は、遠位側に向かって不均一に(不連続に)増加してもよい。
第3の変形例2603は、内視鏡の延在の方向に測定される隣接する主切り込み2613の間の間隔が、遠位側に向かって減少する場合を示している。第3の変形例2603に示されている主切り込みは、参照符号2613を使用してグループ化されている。円周線上に位置する主切り込み部分2613の間に、切り込まれていないブリッジ2633が存在する。二次切り込みが、参照符号2623で示されている。二次切り込みは、前述の例で説明されている。そこで説明された詳細が、明示的に参照される。
図示されている第1の主切り込み2613Aは、図示されている第2の主切り込み2613Bと図示されている第3の主切り込み2613Cとの間の間隔よりも大きい間隔で、図示されている第2の主切り込み2613Bから離れて位置している。次いで、図示の第2の主切り込み2613Bと図示の第3の主切り込み2613Cとの間の間隔は、図示の第3の主切り込み2613Cと図示の第4の主切り込み2613Dとの間の間隔よりも大きく、以下同様である。遠位方向に、図示の主切り込み2613A、2613B、2613C、2613D、2613E、および2613Fの間の間隔は、どんどん小さくなる。
第3の変形例2603において、主切り込みの間の間隔は、遠位側に向かって均一に(連続的に)減少してもよい。しかしながら、第3の変形例2603において、主切り込み間の間隔は、遠位側に向かって不均一に(不連続に)減少してもよい。第1の変形例と同様に、間隔の増加は、任意に具体化可能である。
したがって、第1の変形例2601においては、主切り込み2611が、連続的に増加する間隔にて、近位受動可撓部Cの長手方向に互いに離して配置され、第3の変形例2603においては、主切り込み2613が、連続的に減少する間隔にて、近位受動可撓部Cの長手方向に互いに離して配置される。
第1の変形例2601および第3の変形例2603を、近位受動可撓部C内のサブゾーンとして組み合わせてもよく、それにより、近位受動可撓部C内の少なくとも第1のサブゾーン2601内で、主切り込み2611が、連続的に増加する間隔にて、近位受動可撓部Cの長手方向に互いに離して配置され、近位受動可撓部C内の少なくとも第2のサブゾーン2603内で、主切り込み2613が、連続的に減少する間隔にて、近位受動可撓部Cの長手方向に互いに離して配置されてよい。
第1のサブゾーン2601および第2のサブゾーン2603は、互いに隣接(当接)してもよい。
別の例においては、主切り込みが等間隔である第3のサブゾーン2602が、第1のサブゾーン2601と第2のサブゾーン2603との間に存在してもよい。
図27が、さらなる変形例における第3の例の近位受動可撓部の部分的な概略図を示している。
図26の例に、隣接する主切り込みの間の間隔の減少または増加が示されている。本開示は、それらに限定されない。
隣接する主切り込みが、隣接する主切り込みの間の間隔を内視鏡の延在の方向において増加または減少させることなく、お互いに対して不均等な間隔を有してもよい。
図27は、この例を示している。
図27は、左側に、第4の変形例の一例をサブゾーン2701として示している。
図27は、右側に、第5の変形例の一例をサブゾーン2702として示している。
図示の2つの変形例において、隣接する主切り込みの間の間隔は、やはり異なって設計されている。図27において、隣接する主切り込みの間の間隔が、円によって示されている。
第4の変形例2701に示されている主切り込みは、参照符号2711を使用してグループ化されている。第5の変形例2702における主切り込みは、参照符号2713を使用してグループ化されている。円周線上に位置する主切り込み部分の間に、切り込まれていないブリッジ(参照符号なし)が存在する。二次切り込みが、参照符号を持たずに図示されている。二次切り込みは、前述の例で説明されている。そこで説明された詳細が、明示的に参照される。
第4の変形例2701において、第1の主切り込み2711Aは、図示されている第2の主切り込み2711Bと図示されている第3の主切り込み2711Cとの間の間隔よりも大きい間隔で、図示されている第2の主切り込み2711Bから離れて位置している。図示の第2の主切り込み2711Bと図示の第3の主切り込み2711Cとの間の間隔は、図示の第3の主切り込み2711Cと図示の第4の主切り込み2711Dとの間の間隔よりも小さい。図示の第3の主切り込み2711Cと図示の第4の主切り込み2711Dとの間の間隔は、図示の第4の主切り込み2711Dと図示の第5の主切り込み2711Eとの間の間隔よりも大きい。図示の第4の主切り込み2711Dと図示の第5の主切り込み2711Eとの間の間隔は、図示の第5の主切り込み2711Eと図示の第6の主切り込み2711Fとの間の間隔にほぼ等しい。図示の第5の主切り込み2711Eと図示の第6の主切り込み2711Fとの間の間隔は、図示の第6の主切り込み2711Fと図示の第7の主切り込み2711Gとの間の間隔よりも小さい。
このように、遠位方向に、図示の主切り込み2711A、2711B、2711C、2711D、2711E、2711F、および2711Gの間に、かなり特定のそれぞれの間隔が存在する。
第5の変形例2702に、やはり図示の主切り込み2713A、2713B、2713C、2713D、2713E、2713F、および2713Gの間の特定のそれぞれの間隔が例示されている。
図示されていない別の変形例において、隣接する主切り込みの各々が、互いに完全に任意の間隔を有してもよい。比較的短い間隔が、比較的大きい間隔に続くことができる。
図26および図27の各々は、近位受動可撓部Cのサブゾーンを示している。このサブゾーンにおいて、隣接する主切り込みの間の間隔は等しくない。このサブゾーンに隣接して、近位受動可撓部Cの残りの部分において、隣接する主切り込みの間の間隔は等しくてもよい。あるいは、近位受動可撓部Cの全体において、隣接する主切り込みの間の間隔が等しくなくてもよい。示した可能性のうちの異なる可能性を適切に組み合わせて、隣接する主切り込みの間の間隔が、隣の間隔とは等しくないように設計することができる。
したがって、第3の例は、挿入管2を備える内視鏡を示しており、挿入管2は、近位受動可撓部Cおよび遠位湾曲部Aを有し、切り込み2611、2621;2613、2623が、近位受動可撓部Cの湾曲を可能にするために近位受動可撓部Cに設けられ、近位受動可撓部Cにおける隣接する切り込み2611、2621;2613、2623は、等間隔でなく、近位受動可撓部Cは、主切り込み2611;2613に隣接する二次切り込み2621;2623を有し、二次切り込み2621;2623は、近位受動可撓部Cの長手方向において、二次切り込み2621;2623の一方側の隣接する主切り込み2611;2613に、二次切り込み2621;2623の他方側の隣接する主切り込み2611;2613よりも近付けて配置され、主切り込み2611;2613は、円周線上に位置する主切り込み部分2611;2613の間に切り込まれていないブリッジ(ステー)2631;2633が残るように、中断された様相で近位受動可撓部Cの円周に沿って延び、近位受動可撓部Cは、主切り込み2611;2613を含み、近位受動可撓部Cの少なくともサブゾーンにおいて、主切り込み2611;2613は、近位受動可撓部Cの長手方向において互いに等間隔でない。
第3の例の効果
隣接する主切り込み間の間隔を変えることにより、きわめて柔軟な湾曲(折れ曲がり、偏向)を達成することができる近位受動可撓部Cを設計することができる。
隣接する主切り込みの間の間隔が大きくなると、近位受動可撓部Cにおける湾曲角度および折れ曲がり範囲(湾曲範囲、偏向範囲)は小さくなる。隣接する主切り込みの間の間隔が小さくなると、近位受動可撓部Cにおける湾曲角度および折れ曲がり範囲は大きくなる。
隣接する主切り込みの間の間隔が大きくなり続ける構造は、近位受動可撓部Cにおける湾曲角度および折れ曲がり範囲を減少させ続ける。
隣接する主切り込みの間の間隔が小さくなり続ける構造は、近位受動可撓部Cにおける湾曲角度および折れ曲がり範囲を増加させ続ける。
隣接する主切り込み部の間の小さな間隔と大きな間隔とを組み合わせることにより、延在の方向において、近位受動可撓部Cにおける湾曲角度および折れ曲がり範囲の高度に個別の設計が可能になる。
複雑な身体構造条件にさえ適合するこれまでは実際に使用されていない湾曲形状(折れ曲がり形状、偏向形状)を、達成することができる。
内視鏡の湾曲部の特定の選択されて正確に定められたセクションおよびサブセクションに、高度に狙いをつけた様相で特定の湾曲特性(湾曲曲線、剛性、など)を割り当てることができる。
他の代替例
第1および第2の例において、可撓部20は、近位方向に見たときに可撓性の異なる第1のゾーンB、第2のゾーンC、および第3のゾーンDを有する。可撓性の異なるゾーンまたは部分の数は、限定されない。可撓部20において、可撓性の異なるゾーンの数がより多くても、より少なくてもよい。本開示は、可撓部20が全体にわたって一定の可撓性を有する挿入管にも適用可能である。
第1および第2の例において、挿入管2のパイプ要素はステンレス鋼で形成されている。本開示は、それらに限定されない。挿入管2の材料は、剛体プラスチックなどの任意の充分に剛的な材料であってよい。別の代替例においては、ニチノール(ニッケル-チタン合金)をパイプ材料として使用することができる。この材料は、とりわけ、いわゆる超弾性という特性を有し、すなわち恒久的な曲げを被ることなく広範囲にわたって弾性変形することが可能である。
第1および第2の例において、切り込みは、レーザ切断機によってパイプ要素に設けられる。これらの切り込みは、きわめて正確に設けることが可能である。したがって、レーザによる製造が好ましい。しかしながら、原理的には、これらの切り込みをソーイング、ワイヤソーイング、などの他の製造方法によっても製造することができると考えられる。
第1および第2の例において、湾曲部Aを、2つの曲げ方向(折り曲げ方向)、すなわち図6および図7における上方向および下方向に曲げる(折り曲げる、偏向させる)ことができる。一代替例において、個々のジョイント部材6を、それらのヘッド622がジョイント部材6ごとに湾曲部Aの軸線(ジョイント部材6の軸線)を中心に90度回転によってずらされるように形成することができる。この代替例においては、湾曲部Aを4つの曲げ方向、すなわち上方向および下方向ならびに図6および図7の観察者へと向かう方向および観察者から遠ざかる方向に曲げることができる。
湾曲部Aを4つの曲げ方向に曲げることができる代替例においては、互いに90度ずらされて挿入管2内に延在する2つの制御ワイヤ9を使用することができる。その場合、ジョイント部材6には、やはり互いに90度ずらされた4つの遠位側のスリットが設けられる。
この例において、それぞれのジョイント部材6は上述の形状に形成される。本開示は、ジョイント部材6の形状に限定されない。ジョイント部材が湾曲部Aにおいて切断され、互いに連結され、湾曲部Aの偏向運動を可能にすれば充分である。
図24に示した原理に従って構成された近位受動可撓部Cは、第1または第2の例に適用可能である。これは、図24に示される近位受動可撓部Cが、挿入管2の全体のための
単一部品のパイプ要素の一部を形成することを意味する。したがって、近位受動可撓部Cを含む挿入管2の全体のためのパイプ要素が、レーザ切断によってパイプ要素から構成される。
あるいは、近位受動可撓部Cを、第1または第2の例において、挿入管2の残りの部分とは別個に製造してもよい。
図24の例では、パイプ要素の長手方向において、2つの二次切り込みがブリッジの両側に各々のブリッジに隣接して配置されている。代替例では、パイプ要素の長手方向において、1つの二次切り込みをブリッジの片側に各々のブリッジに隣接させて配置することができる。
第1の例では、主切り込みが、パイプ要素の円周に沿って主切り込み部の間に2つのブリッジが残るように設けられる。
第2の例では、主切り込みが、パイプ要素の円周に沿って主切り込み部の間に4つのブリッジが残るように設けられる。
本開示は、これらに限定されない。好ましくは、パイプ要素の円周における主切り込み部分の間のブリッジの数は、少なくとも2つ以上であり、任意の数であってよい。
第1の例において、主切り込み98の切り込み幅は、二次切り込み99の切り込み幅よりも大きい。第2の例においても、主切り込みの切り込み幅は、二次切り込みの切り込み幅よりも大きくてよい。しかしながら、本開示の原理は、主切り込みの切り込み幅が二次切り込みの切り込み幅に等しい場合にも適用可能である。
本開示は、十二指腸内視鏡、胃内視鏡、結腸鏡、または同様の内視鏡に好都合に使用することができる。本開示の原理は、任意の他の種類の内視鏡にも適用可能である。
本開示の原理は、挿入管を使用する他の医療機器にも採用することが可能である。