以下、本発明の一実施形態について、図1~図3を用いて詳細に説明する。なお、説明の便宜上、本実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、後掲の変形例では同じ符号を付記してその説明を繰り返さない。また、また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上B以下」を意味する。
〔目地ガスケット1の概要および構成〕
<目地ガスケット1の概要>
本発明の一実施形態に係る目地ガスケット1は、目地Mから建物(不図示)の内部に雨水等の水(以下、「水」と略記)が浸入するのを防ぎ、かつ、建物の外観を良好に保つために、目地Mに配置される目地材である。目地Mは、図2に示すように、互いに隣り合う2つの外壁パネル100の間に形成された隙間である。外壁パネル100は、面材110、下地材120および断熱ボード130を備えており、屋外側から面材110、下地材120、断熱ボード130の順に配置されている(図3の符号302参照)。
目地ガスケット1の形成材料としては、合成ゴムまたはTPE(熱可塑性エラストマー)等のゴム様弾性体が用いられる。合成ゴムではEPDM等が、TPEではTPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)またはTPS(スチレン系熱可塑性エラストマー)等が挙げられるが、これらに限定されない。また、目地ガスケット1の形成材料として用いられるゴム様弾性体は、発泡材でもよいし、非発泡材でもよい。
なお、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態では、図2に示すように、目地ガスケット1および2つの外壁パネル100を必須の構成要素とする目地Mのシール構造500が成立している。このシール構造500は、良好な止水性を有するとともに目地ガスケット1の挿入性も担保されている。また、このシール構造500によれば、後述する表層リップ3で浸入を防ぎ切れなかった一部の水が外壁パネル100の側面112から当該外壁パネル100の内部に浸入して、外壁パネル100が劣化するのを効果的に低減することができる。言い換えれば、外壁パネル100の長期継続使用を実現することができる。
<目地ガスケット1の構成>
図1および図2を用いて、目地ガスケット1の構成について説明する。なお、本実施形態における以下の説明では、特段の言及がない限り、「外壁パネル100」は面材110を指すものとする。目地ガスケット1は、図1の符号101および図2に示すように、柱部2、表層リップ3および屋内側リップ4を備えている。
(柱部2)
柱部2は、目地Mの延伸方向に沿って延伸する部分である。柱部2は、図1の符号101に示すように、屋外側端部21と第1部分22とを有している。屋外側端部21は、柱部2を構成する各部分の中で最も屋外側に配置される部分である。第1部分22は、屋外側端部21よりも屋内側に配置される部分であり、屋内側端部23と第2部分24とを有している。屋内側端部23は、柱部2を構成する各部分の中で最も屋内側に配置される部分である。第2部分24は、屋内側端部23よりも屋外側に配置される部分であり、第3部分25と第4部分26とを有している。
第3部分25は、屋内側端部23との連結箇所から屋外側に向かうにつれて幅が広くなり、最大幅がT1となる。第3部分25における最大幅T1の部分よりも屋外側の部分については、最大幅T1の部分から屋外側に向かうにつれて幅が狭くなり、第4部分26との連結箇所の幅が当該第4部分26の幅と略同一になっている。第3部分25の幅は、柱部2における、屋内外方向と当該柱部2の延伸方向とで規定される中心面(不図示)を基準として略対称に広がっており、かつ狭くなっている。
第4部分26は、屋外側端部21と第3部分25との間に形成された部分であり、第1直交面で切断した場合の断面形状が略矩形形状になっている。第1直交面は、屋内外方向に延伸し、かつ中心面と直交する面(不図示)である。また、第4部分26の幅T2は、第3部分25の最大幅T1よりも狭くなっている。言い換えれば、第3部分25の最大幅T1は、第4部分26の幅T2よりも狭くなっている。なお、以下の説明では、特段の言及がない限り、目地ガスケット1を第1直交面で切断した場合の断面形状を単に「断面形状」と称する。
第3部分25における最大幅T1の部分から、第4部分26における屋外側端部21との連結箇所よりも屋内側の部分に亘って、内部に金属製の芯材27が埋設されている。芯材27における第4部分26側の端部は、単純に1箇所折り曲げられている。一方、芯材27における第3部分25側の端部は、第3部分25における最大幅T1の部分から第4部分26との連結箇所までの断面形状と略同一の外形となるように3箇所折り曲げられている。
(表層リップ3)
表層リップ3は、図1の符号101および図2に示すように、柱部2の屋外側端部21の側面から2つの外壁パネル100に向けて延伸するリップであり、水が屋外から目地Mに浸入するのを一次的に防ぐ役割を果たす。具体的には、目地ガスケット1は、一方の外壁パネル100に向けて延伸する表層リップ3と、他方の外壁パネル100に向けて延伸する表層リップ3との2つの表層リップ3を備えている。
表層リップ3は、表層リップ意匠部31、表層リップ根元部33および表層リップ中部35を有している。表層リップ意匠部31は、2つの表層リップ根元部33、2つの表層リップ中部35および屋外側端部21のすべてを屋外側から覆う層状の部分である。また、表層リップ意匠部31は、屋外側の表面が塗装または着色材料による被覆によって調色されており、目地ガスケット1の意匠面をなす。すなわち、外壁パネル100の屋外側面114に対して違和感が少なるように、表層リップ意匠部31の屋外側の表面が形成されている。表層リップ意匠部31の形成材料は、目地ガスケット1の目地Mへの挿入時における表層リップ3の撓みを阻害しない範囲で、目地ガスケット1の形成材料と異なっていてもよい。勿論、目地ガスケット1の形成材料と同一の形成材料であってもよい。
表層リップ根元部33は、柱部2の屋外側端部21の両側面から外壁パネル100に向けて突出している部分である。表層リップ根元部33は、図1の符号101に示すように、屋外側端部21との連結箇所から表層リップ中部35と連結箇所に向かうにつれて厚さが薄くなっており、かつ、屋内側の面34が屋外側に傾斜している。
表層リップ中部35は、表層リップ根元部33における外壁パネル100側の両端部から当該外壁パネル100に向けて延伸している部分である。表層リップ中部35は、全体的に、表層リップ根元部33よりも厚さが薄くなっている。また、表層リップ中部35は、図1の符号101に示すように、表層リップ根元部33との連結箇所から先端に向かうにつれて厚さが薄くなっており、かつ、屋内側の面36が屋外側に傾斜している。さらに、表層リップ中部35の先端は、表層リップ意匠部31によって覆われている。
図1の符号101に示すように、表層リップ根元部33における屋内側の面34の傾斜角度は、表層リップ中部35における屋内側の面36の傾斜角度よりも小さくなっている。ここで、面34および36の傾斜角度は、中心面を基準(つまり0°)として、面34および36のそれぞれと中心面とのなす角度で規定される。言い換えれば、表層リップ3の屋内側の面(面34と面36とからなる)は、屋外側に傾斜しており、かつ、屋外側に凸となるように面34と面36との境界線37で折れ曲がっている。
表層リップ中部35における屋内側の面36には、その全面に亘って第1発泡体5が設けられている。一方、第1発泡体5は、表層リップ意匠部31の先端32(つまり表層リップ3の先端32)における屋内側の面には設けられていない。このような第1発泡体5の配置になっているのは、第1発泡体5の機能(詳細は後述)を十分に発揮させるためである。
第1発泡体5の機能を十分に発揮させるには、第1発泡体5は、表層リップ3の屋内側の面における境界線37よりも先端32側の領域に設けられており、かつ、先端32よりも柱部2側に配置されているのが好ましい。すなわち、第1発泡体5が、表層リップ3の屋内側の面における境界線37よりも柱部2側の領域にまで設けられた場合、目地幅Wの狭さによっては目地ガスケット1の挿入性が悪化する懸念がある。また、第1発泡体5の外壁パネル100側の端部が先端32に近接しすぎる位置に配置された場合、目地幅Wの狭さによっては、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において第1発泡体5が屋外側から目視可能な程度にはみ出る等、外観悪化の懸念がある。
第1発泡体5は、目地ガスケット1が目地Mに配置される前の状態では、図1の符号101に示すように、第2発泡体6の第2屋外側発泡体61(詳細は後述)と距離L1だけ離間している。距離L1に特段の限定はないものの、止水性の向上と挿入性の担保とを両立する観点から、距離L1は0.5~1.5mmであることが好ましい。距離L1を0.5mm未満に設定すると、目地ガスケット1を押出成形する際に、第1発泡体5と第2発泡体6の第2屋外側発泡体61とが部分的かつ不必要に接合するなどして、目地ガスケット1の挿入性の担保が困難になる。一方、距離L1を1.5mmよりも長く設定すると、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において第1発泡体5と第2発泡体6の第2屋外側発泡体61とが面接触し難くなり、目地ガスケット1の止水性が向上しない。
一方、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態では、第1発泡体5は、図2に示すように、第2屋外側発泡体61および外壁パネル100の側面112のそれぞれと面接触する。
第1発泡体5および第2発泡体6は主に、EPDM等の合成ゴムにより形成されていることが好ましい。また、第1発泡体5および第2発泡体6は、目地ガスケット1と同様の材料により形成されていてもよいが、その場合はソリッド状ではなく、発泡したスポンジ状に形成されている必要がある。例えば、第1発泡体5および第2発泡体6は、EPDMからなる高発泡ゴムにより形成されていることが特に好ましい。高発泡ゴムの比重としては、例えば0.05~0.30程度が好ましい。
この比重の高発泡ゴムで第1発泡体5および第2発泡体6を形成すれば、当該第1発泡体5および第2発泡体6がより変形し易くなることから、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において、第1発泡体5と第2発泡体6との接触面積が増加するとともに、後述する側面側導水空間S1および柱部側導水空間S2の体積がより減少し、目地ガスケット1の止水性がより向上する。さらに、第1発泡体5および第2発泡体6について、目地ガスケット1を目地Mに挿入する際に、第1発泡体5および第2発泡体6の変形の自由度が高くなることから、目地ガスケット1の挿入性が向上する。
(屋内側リップ4)
屋内側リップ4は、図1および図2に示すように、柱部2の第1部分22から2つの外壁パネル100に向けて突出するリップであり、水が屋外から目地Mに浸入するのを二次的に防ぐ役割を果たす。具体的には、目地ガスケット1は、一方の外壁パネル100に向けて延伸する屋内側リップ4と、他方の外壁パネル100に向けて延伸する屋内側リップ4との2つの屋内側リップ4を備えている。
屋内側リップ4は、図1の符号102に示すように、柱部2の延伸方向に沿って延伸するリップ壁40を有している。リップ壁40は、第1リップ壁41、第2リップ壁42および連結リップ壁43を有している。第1リップ壁41は、図1および図2に示すように、柱部2の屋内側端部23から外壁パネル100に向けて延伸するリップ壁である。第1リップ壁41は、第1根元壁411と第1連結壁412とを有している。
第1根元壁411は、屋内側端部23から外壁パネル100に向けて、かつ、屋外側に傾斜しつつ延伸するリップ壁である。第1連結壁412は、第1根元壁411と連結リップ壁43とを連結するリップ壁である。具体的には、第1連結壁412は、第1根元壁411における外壁パネル100側の端部から当該外壁パネル100に向けて延伸しており、第1連結壁412における外壁パネル100側の端部が、連結リップ壁43における屋内側の端部と連結している。第1連結壁412の延伸方向は、第2直交面と略平行な方向となる。第2直交面は、目地幅Wの幅方向(図2参照)に延伸し、かつ中心面と直交する面(不図示)である。
第1根元壁411および第1連結壁412は、図1に示すように、ともに略矩形の板形状である。また、第1根元壁411と第1連結壁412とは、延伸方向の長さおよび厚さが略同一である。
上述の通り、第1根元壁411が屋外側に傾斜しており、かつ、第1連結壁412が第2直交面と略平行な方向に延伸している。そのため、第1根元壁411と第1連結壁412との第1連結部P1は、屋外側に凸となるように屈曲している。第1連結部P1は、第1根元壁411における外壁パネル100側の端部と、第1連結壁412における柱部2側の端部とで構成される。
第2リップ壁42は、図1および図2に示すように、第2部分24における第3部分25と第4部分26との連結箇所付近から外壁パネル100に向けて延伸するリップ壁である。第2リップ壁42は、第2根元壁421と第2連結壁422とを有している。
第2根元壁421は、第2部分24における第3部分25と第4部分26との連結箇所付近から外壁パネル100に向けて、かつ、屋外側に傾斜しつつ延伸するリップ壁である。第2根元壁421の傾斜角度は、第1根元壁411の傾斜角度と略同一である。第2連結壁422は、第2根元壁421と連結リップ壁43とを連結するリップ壁である。具体的には、第2連結壁422は、第2根元壁421における外壁パネル100側の端部から当該外壁パネル100に向けて延伸しており、第2連結壁422における外壁パネル100側の端部が、連結リップ壁43における屋外側の端部と連結している。第2連結壁422の延伸方向は、第1連結壁412の延伸方向と略同一である。
第2根元壁421および第2連結壁422は、図1に示すように、ともに略矩形の板形状である。また、第2根元壁421と第2連結壁422とは、延伸方向の長さおよび厚さが略同一である。さらに、第2根元壁421は、第1根元壁411と略同一の形状および大きさであり、第2連結壁422は、第1連結壁412と略同一の形状および大きさである。
上述の通り、第2根元壁421が屋外側に傾斜しており、かつ、第2連結壁422が第1連結壁412と略同一の方向に延伸している。そのため、第2根元壁421と第2連結壁422との第2連結部P2も、第1連結部P1と同様、屋外側に凸となるように屈曲している。第2連結部P2は、第2根元壁421における外壁パネル100側の端部と、第2連結壁422における柱部2側の端部とで構成される。
連結リップ壁43は、図1および図2に示すように、第1リップ壁41と第2リップ壁42とを連結する、略矩形の板状のリップ壁である。具体的には、連結リップ壁43における屋内側の端部が、第1リップ壁41における外壁パネル100側の端部付近の屋外側の面と連結している。また、連結リップ壁43における屋外側の端部が、第2リップ壁42における外壁パネル100側の端部付近の屋内側の面と連結している。連結リップ壁43の厚さは、第1根元壁411の厚さ、第1連結壁412の厚さ、第2根元壁421の厚さおよび第2連結壁422の厚さと略同一である。
連結リップ壁43における第1リップ壁41と第2リップ壁42との連結方向(屋内外方向)の長さL2は、第1リップ壁41における外壁パネル100への延伸方向の長さよりも長くなっている。「第1リップ壁41における外壁パネル100への延伸方向の長さ」とは、具体的には、図1の符号101に示すように、第1根元壁411の延伸方向の長さL3と、第1連結壁412の延伸方向の長さL4とを合計した長さを指す。以下の説明では、第1リップ壁41における外壁パネル100への延伸方向の長さを「第1リップ壁41の延伸方向の長さ」と称する。
第1根元壁411の長さL3は、図1の符号101に示すように、第1根元壁411と柱部2の屋内側端部23との境界面における長手方向の中心線(不図示)と、第1根元壁411と第1連結壁412との境界面における長手方向の中心線(不図示)との最短距離である。第1連結壁412の長さL4は、第1根元壁411と第1連結壁412との境界面における長手方向の中心線と、第1連結壁412における外壁パネル100側の端部との最短距離である。
また、連結リップ壁43の長さL2は、図1および図2に示すように、第2リップ壁42における外壁パネル100への延伸方向の長さよりも長くなっている。「第2リップ壁42における外壁パネル100への延伸方向の長さ」とは、具体的には、図1の符号101に示すように、第2根元壁421の延伸方向の長さL5と、第2連結壁422の延伸方向の長さL6とを合計した長さを指す。以下の説明では、第2リップ壁42における外壁パネル100への延伸方向の長さを「第2リップ壁42の延伸方向の長さ」と称する。
第2根元壁421の長さL5は、図1の符号101に示すように、第2根元壁421と柱部2の第4部分26との境界面における長手方向の中心線(不図示)と、第2根元壁421と第2連結壁422との境界面における長手方向の中心線(不図示)との最短距離である。第2連結壁422の長さL6は、第2根元壁421と第2連結壁422との境界面における長手方向の中心線と、第2連結壁422における外壁パネル100側の端部との最短距離である。
さらに、連結リップ壁43は、図1に示すように、第1発泡体5よりも外壁パネル100側に形成されている。具体的には、連結リップ壁43は、当該連結リップ壁43における外壁パネル100側の面が、第1発泡体5における外壁パネル100側の先端よりも外壁パネル100側に配置されるように形成されている。
屋内側リップ4には、図1および図2に示すように、リップ壁40と柱部2とで取り囲まれた中空部44が形成されている。具体的には、第1リップ壁41、第2リップ壁42、連結リップ壁43および第3部分25で取り囲まれた空間が中空部44になる。また、屋内側リップ4は、リップ壁40に第2発泡体6が設けられている。
第2発泡体6は、第2屋外側発泡体61と第2屋内側発泡体62とが連なって切れ目なく形成されている。第2屋外側発泡体61は、第2連結壁422における表層リップ中部35の面36と対向する面45上に設けられている。また、第2屋外側発泡体61は、第2連結壁422における屋外側の端部に至るまでの湾曲部上にも設けられている。第2屋内側発泡体62は、連結リップ壁43における外壁パネル100側の面上に、その全面に亘って設けられている。また、第2屋内側発泡体62は、第1連結壁412における屋外側の端部に至るまでの湾曲部上の一部分にも設けられている。つまり、第2発泡体6は、第2連結壁422の少なくとも一部と連結リップ壁43の全体とを覆うように、リップ壁40に設けられている。
第2屋外側発泡体61は、上述した通り、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において第1発泡体5と面接触する。また、第2屋外側発泡体61は、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態では、図2に示すように外壁パネル100の側面112とも面接触する。第2屋内側発泡体62も、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において外壁パネル100の側面112と面接触する。
第2発泡体6および上述した第1発泡体5について、これらの形状および大きさを設計する上で大きな制約はない。目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において、第1発泡体5と第2発泡体6とが互いに面接触し、かつ、第1発泡体5および第2発泡体6のそれぞれが外壁パネル100の側面112と面接触するのであれば、どのような形状および大きさに設計してもよい。但し、第1発泡体5および第2発泡体6の少なくともいずれか一方を、目地ガスケット1が目地Mに配置される前の状態において第1発泡体5と第2発泡体6とが密着するような形状または大きさに設計するのは好ましくない。
〔挿入過程における目地ガスケット1の各リップの挙動〕
図2を用いて、目地ガスケット1を目地Mに挿入する過程における、表層リップ3および屋内側リップ4の各挙動について説明する。まず、柱部2の屋内側端部23を目地Mの開口部から屋内に向けて挿入することにより、目地ガスケット1の目地Mへの挿入が開始する。目地Mの開口部は、図2に示すように、2つの外壁パネル100の傾斜面111で形成されている。
挿入を開始した直後、屋内側リップ4の第1リップ壁41、具体的には第1リップ壁41の第1連結壁412が、傾斜面111と接触する。挿入がさらに進むと、第1リップ壁41が、第1根元壁411と屋内側端部23との連結箇所を基点として第3部分25側に変形し始める。
次いで、第2発泡体6における第2屋内側発泡体62の屋内側の端部が傾斜面111と接触した後、第2屋内側発泡体62と外壁パネル100の側面112との面接触が始まる。挿入が進むほど第2屋内側発泡体62と側面112との接触面積が増加し、第2屋内側発泡体62のすべてが傾斜面111と側面112との境界線よりも屋内側に配置された時点で、第2屋内側発泡体62と側面112との接触面積が最大になる。
第2屋内側発泡体62と側面112との面接触が始まってから前記の接触面積が最大になるまでの間、挿入が進むほど第1リップ壁41と連結リップ壁43とのなす角度が大きくなるように、第1リップ壁41と連結リップ壁43との連結箇所付近が変形する。また、第2リップ壁42が、第2根元壁421と第4部分26との連結箇所を基点として第4部分26側に変形し始め、挿入が進むほど第2リップ壁42および連結リップ壁43が第4部分26に近づく。
そして、第2リップ壁42および連結リップ壁43が第4部分26に近づくほど、第2連結部P2が、第4部分26側により凸となるように変形する。さらに、挿入が進むほど第1発泡体5と第2屋外側発泡体61との距離L1が短くなり、ある時点から第1発泡体5と第2屋外側発泡体61との面接触が始まる。
挿入がさらに進むと、ある時点から、第1発泡体5の屋内側の部分と傾斜面111とが接触する。そして、この接触と同時に、表層リップ3が、境界線37を基点として目地Mの中央側に変形し始めるとともに、第1発泡体5と第2屋外側発泡体61との面接触が始まる。この面接触が始まってからしばらくして、挿入がさらに進むと、第1発泡体5と側面112との面接触が始まるとともに、表層リップ3が目地Mの中央側により変形する。挿入が進むほど第1発泡体5と側面112の接触面積が増加し、第1発泡体5のすべてが傾斜面111と側面112との境界線よりも屋内側に配置された時点で、第1発泡体5と側面112との接触面積が最大になる。
次いで、表層リップ意匠部31の先端32が傾斜面111と側面112との境界線付近の位置に配置された時点で、目地ガスケット1の目地Mへの挿入が完了し、図2に示すように目地ガスケット1が目地Mに配置された状態になる。ここで、側面側導水空間S1および柱部側導水空間S2は、目地ガスケット1の目地Mへの挿入が進むにつれて体積が小さくなり、目地ガスケット1の目地Mへの挿入が完了した時点で、側面側導水空間S1および柱部側導水空間S2の体積が極小化する。
なお、本実施形態では、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において、表層リップ意匠部31の先端32が外壁パネル100の側面112と接触している。但し、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態における先端32と側面112との接触態様は本実施形態に限定されず、例えば先端32と側面112とが線接触であってもよい。
〔目地ガスケット1のメリット〕
目地ガスケット1は、上述した特徴ある構成になっていることから、止水性および挿入性の面で様々なメリットを有している。以下、図1および図2を用いて、目地ガスケット1のメリットについて説明する。
<1.第1発泡体5および第2発泡体6と外壁パネル100の側面112との面接触>
本実施形態に係る目地ガスケット1は、屋外からの水の一部が表層リップ3と外壁パネル100の側面112との接触箇所を通過したとしても、第1発泡体5および第2発泡体6と側面112とが面接触している箇所でこれらの大半を堰き止めることができる。そのため、表層リップ3で浸入を防ぎ切れなかった一部の水がより屋内側に浸入するのを低減することができる。
具体的には以下の通りである。すなわち、外壁パネル100の側面112は、一様な平面ではなく微細な凹凸がある。したがって仮に、第1発泡体5および第2発泡体6と側面112とが線接触する場合、これらの接触箇所に微細な開口部が形成され、表層リップ3で浸入を防ぎ切れなかった一部の水がこの開口部を通過してより屋内側に浸入してしまう。一方、目地ガスケット1は、目地Mに配置された状態において、図2に示すように第1発泡体5および第2発泡体6と側面112とが面接触することから、これらが線接触する場合に比べて前記の開口部が連続的に形成されるようなことがない。よって、第1発泡体5および第2発泡体6と側面112とが線接触する場合よりも、表層リップ3で浸入を防ぎ切れなかった一部の水がより屋内側に浸入するのを低減することができる。
これらのことから、本実施形態に係る目地ガスケット1は、表層リップ3で浸入を防ぎ切れなかった一部の水が、例えば外壁パネル100の側面112を通過して当該外壁パネル100の裏面113にまで伝わるのを効果的に低減することができる。また、本実施形態に係る目地ガスケット1は、前記の一部の水が、側面112から外壁パネル100の内部に浸入するのを効果的に低減することもできる。
<2.第1発泡体5と第2発泡体6との面接触>
本実施形態に係る目地ガスケット1は、目地Mに配置された状態において、図2に示すように第1発泡体5と第2発泡体6とが互いに面接触する。そのため、表層リップ3で浸入を防ぎ切れなかった一部の水が、柱部側導水空間S2に浸入するのを効果的に低減することができる。柱部側導水空間S2は、柱部2の第4部分26、表層リップ3の表層リップ根元部33、第2発泡体6の第2屋外側発泡体61およびリップ壁40の第2リップ壁42に取り囲まれた空間である。ここで、第1発泡体5と第2発泡体6とが線接触する場合と比較して、柱部側導水空間S2への水の浸入の程度にどのような差異があるかについては、上述した第1発泡体5および第2発泡体6と外壁パネル100の側面112との面接触に関する説明と同様である。
また、第1発泡体5および第2発泡体6の少なくともいずれか一方が存在しない場合、あるいは第1発泡体5と第2発泡体6とが互いに線接触する場合に比べて、柱部側導水空間S2の体積が減少する。そのため、本実施形態に係る目地ガスケット1によれば、表層リップ3で浸入を防ぎ切れなかった一部の水が第1発泡体5と第2発泡体6との接触箇所を通過したとしても、柱部側導水空間S2を流れる水の量を低減することができる。
<3.前記1.の面接触および前記2.の面接触>
本実施形態に係る目地ガスケット1は、目地Mに配置された状態において、図2に示すように、第1発泡体5、第2発泡体6および外壁パネル100の側面112のすべてが互いに面接触する。そのため、第1発泡体5、第2発泡体6および側面112の少なくともいずれか2つが線接触する場合に比べて、側面側導水空間S1の体積が小さくなる。側面側導水空間S1は、第1発泡体5、第2発泡体6の第2屋外側発泡体61および側面112に取り囲まれた空間である。したがって、本実施形態に係る目地ガスケット1によれば、表層リップ3で浸入を防ぎ切れなかった一部の水が第1発泡体5と側面112との接触箇所を通過したとしても、側面側導水空間S1を流れる水の量を低減することができる。
<4.第1発泡体5および第2発泡体6の配置状態>
(第1発泡体5と第2発泡体6とが別体)
例えば、仮に、単体の発泡体が表層リップ3の屋内側の面から第2リップ壁42の外面45に亘って連なるように設けられている(不図示)場合、目地幅Wが狭いと目地ガスケット1の挿入時に発泡体が変形し難く、目地ガスケット1の挿入性が悪化する。さらに、目地幅Wの狭さによっては、目地ガスケット1を目地Mに挿入している最中に、発泡体と外壁パネル100の側面112との摩擦によって発泡体が破損(破断)してしまう。あるいは、目地ガスケット1の挿入時における、表層リップ3の撓み挙動と屋内側リップ4の撓み挙動との相違に伴う引張力の発生等によって、発泡体が破損(破断)してしまう。
その点、本実施形態に係る目地ガスケット1は、図1の符号101および図2に示すように、表層リップ3に設けられた第1発泡体5とリップ壁40に設けられた第2発泡体6とが別体になっている。第1発泡体5および第2発泡体6は、目地ガスケット1を目地Mに挿入し始めてから当該目地ガスケット1の目地Mへの配置が完了するまでの過程で、第1発泡体5および第2発泡体6のそれぞれが変形する。そして、図2に示すように、第1発泡体5および第2発泡体6が互いに面接触する状態に移行する。そのため、第1発泡体5および第2発泡体6は、上述した単体の発泡体に比べて挿入時の変形の自由度が高い。
また、第1発泡体5および第2発泡体6は、上述した単体の発泡体に比べて外壁パネル100の側面112を押圧する力が弱いことから、第1発泡体5および第2発泡体6側面112との間に生じる摩擦力も弱まる。あるいは、目地ガスケット1の挿入時に、表層リップ3の撓み挙動と屋内側リップ4の撓み挙動との相違が発生しても、この相違に伴う引張力が発生しない。したがって、本実施形態に係る目地ガスケット1によれば、挿入性の悪化を回避できるとともに挿入時の破損を低減することができる。
(第1発泡体5と第2発泡体6とが離間)
第1発泡体5と第2発泡体6とは、目地ガスケット1が目地Mに配置される前の状態において、本実施形態のように離間しているのが好ましい。なぜなら、仮に上述した単体の発泡体が設けられている場合、目地ガスケット1の挿入性は、挿入し始めた時点から単体の発泡体の変形によって担保されることになる。あるいは、目地ガスケット1が目地Mに配置される前の状態において第1発泡体5と第2発泡体6とが接触している場合、目地ガスケット1の挿入性は、挿入し始めた時点から第1発泡体5および第2発泡体6の変形によって担保されることになる。
そのため、目地幅Wの狭さによっては、単体の発泡体または第1発泡体5および第2発泡体6(以下、纏めて「各発泡体」)の変形のし難さから目地ガスケット1の挿入性が悪化する。また、目地幅Wの狭さによっては、目地ガスケット1を目地Mに挿入している最中に、各発泡体と外壁パネル100の側面112との摩擦、あるいは第1発泡体5と第2発泡体6との摩擦等によって各発泡体が破損(破断)してしまう。
その点、本実施形態に係る目地ガスケット1は、当該目地ガスケット1が目地Mに配置される前の状態において、図1の符号101に示すように第1発泡体5と第2発泡体6とが距離L1だけ離間している。そのため、本実施形態に係る目地ガスケット1の挿入性は、当該目地ガスケット1を目地Mに挿入し始めてから第1発泡体5と第2発泡体6とが接触するまでの間は、第1発泡体5と第2発泡体6との間に形成された空間によって担保されることになる。したがって、目地幅Wが狭い場合において、目地ガスケット1の挿入開始時点から第1発泡体5および第2発泡体6が変形し難くなる現象を効果的に低減することができる。
また、第1発泡体5および第2発泡体6が外壁パネル100の側面112を押圧する力が弱まるとともに、目地ガスケット1を挿入する過程で第1発泡体5および第2発泡体6と側面112との間に生じる摩擦力も弱まる。したがって、本実施形態に係る目地ガスケット1によれば、挿入性の悪化を効果的に回避でき、かつ挿入時の破損を効果的に低減することができる。
なお、目地ガスケット1が目地Mに配置される前の状態において、第1発泡体5と第2発泡体6とが離間していることは必須ではない。前記の配置前の状態において第1発泡体5と第2発泡体6とが接触していても、第1発泡体5と第2発泡体6とが離間している場合に比べて効果の程度は若干劣るものの、目地ガスケット1は良好な止水性を有し、かつ挿入性が担保されている。
<5.中空部44>
本実施形態に係る目地ガスケット1は、図1および図2に示すように、屋内側リップ4に中空部44が形成されている。そのため、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において、屋内側リップ4のリップ壁40が第2発泡体6を外壁パネル100の側面112に向けて押圧する力は、中空部44の無い2枚の板状の屋内側リップに比べて強くなる。そのため、前記2枚の板状の屋内側リップ(不図示)に比べて、第2発泡体6が側面112により密着して第2発泡体6と側面112との接触面積が増大する。この接触面積の増大は、前記2枚の板状の屋内側リップに相当する第1リップ壁41と第2リップ壁42とが、連結リップ壁43によって連結されていることに起因する。したがって、本実施形態に係る目地ガスケット1によれば、屋内側リップ4の止水性が向上する。
また、本実施形態に係る目地ガスケット1を目地Mに挿入する際の屋内側リップ4の変形容易性は、中空部44の無い2枚の板状の屋内側リップと略同等である。そのため、本実施形態に係る目地ガスケット1によれば、少なくとも従来の目地ガスケットと同程度の挿入性を担保することができる。
<6.第2発泡体6の配置および連結リップ壁43の長さL2>
本実施形態に係る目地ガスケット1は、図1および図2に示すように、第2発泡体6が、第2連結壁422の少なくとも一部と連結リップ壁43の全体とを覆うように連なって、リップ壁40に設けられている。ここで、「第2連結壁422の少なくとも一部」は、言い換えれば第2リップ壁42における外壁パネル100側の部分である。そのため、まず、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において、側面側導水空間S1の体積をより小さくすることができる。
また、本実施形態に係る目地ガスケット1は、屋内側リップ4の連結リップ壁43の長さL2が、第1リップ壁41および第2リップ壁42のそれぞれにおける延伸方向の長さよりも長い。そのため、連結リップ壁43の長さL2が前記の延伸方向の長さよりも短い場合に比べて、第2発泡体6と外壁パネル100の側面112との接触面積を大きくすることができる。これらのことから、本実施形態に係る目地ガスケット1は、止水性が顕著に向上している。
さらに、本実施形態に係る目地ガスケット1は、当該目地ガスケット1が目地Mに配置される前の状態において、図1に示すように、柱部2の第4部分26と第2発泡体6の第2屋外側発泡体61との間に空間が形成される。そのため、目地ガスケット1を目地Mに挿入する過程で、第2発泡体6の変形部分の一部が前記の空間に収納される(図2参照)。したがって、本実施形態に係る目地ガスケット1によれば、第2発泡体6における挿入時の変形の自由度がさらに高まる。また、目地ガスケット1の挿入時における第1発泡体5と第2発泡体6との摩擦が減少することから、前記の挿入時に第1発泡体5および第2発泡体6が破損(破断)することを低減できる。
なお、第2発泡体6のリップ壁40における配置および連結リップ壁43の長さL2を本実施形態のように設計することは、必須ではない。例えば、第2発泡体6の第2屋内側発泡体62が連結リップ壁43の一部しか覆っていなくてもよい。また例えば、連結リップ壁43の長さL2が、第1リップ壁41および第2リップ壁42のそれぞれにおける延伸方向の長さより短くてもよい。つまり、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において、第1発泡体5と第2発泡体6とが、ともに外壁パネル100の側面112に面接触し、かつ、互いに面接触するのであれば、第2発泡体6の前記配置および長さL2を任意に設計変更してもよい。
<7.連結リップ壁43の配置>
本実施形態に係る目地ガスケット1は、図1の符号101に示すように、屋内側リップ4の連結リップ壁43が第1発泡体5よりも外壁パネル100側に形成されている。具体的には、(i)連結リップ壁43における外壁パネル100側の面が、第1発泡体5における外壁パネル100の側面112と目地幅W方向の配置位置において同一の場合、あるいは、(ii)連結リップ壁43が第1発泡体5よりも柱部2側に形成されている場合に比べて、連結リップ壁43が側面112側に突出している。
そのため、前記(i)および(ii)の場合に比べて、外壁パネル100の建付バラつきおよび季節の移り変わりに伴って目地幅Wが変動しても、第2発泡体6が外壁パネル100の側面112に対して安定的に弾接する。また、前記(i)および(ii)の場合に比べて、第2発泡体6と側面112との接触面積が変動し難い。したがって、本実施形態に係る目地ガスケット1は、止水性が顕著に向上している。また、本実施形態に係る目地ガスケット1によれば、目地Mに対して安定的に配置することができる。
なお、連結リップ壁43が第1発泡体5よりも外壁パネル100側に形成されていることは、必須ではない。例えば、連結リップ壁43の外面が、第1発泡体5における外壁パネル100の側面112よりも柱部2側に配置されていてもよい。つまり、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において、第1発泡体5と第2発泡体6とが、ともに側面112に面接触し、かつ、互いに面接触するのであれば、連結リップ壁43の配置を任意に設計変更してもよい。
<8.屋内側リップ4の形状>
本実施形態に係る目地ガスケット1は、屋内側リップ4のリップ壁40について、図1に示すように、第1リップ壁41が、第1連結部P1において屋外側に凸となるように屈曲している。また、第2リップ壁42が、第2連結部P2において屋外側に凸となるように屈曲している。そのため、目地ガスケット1を目地Mに挿入する過程で、第1リップ壁41が第1連結部P1を中心に撓み易くなるとともに、第2リップ壁42が第2連結部P2を中心に撓み易くなる(図2参照)。
また、例えば第2連結部P2が屋内側に凸となるように屈曲している場合に比べて、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において、第1発泡体5と第2発泡体6との接触面積が増加する。さらに、側面側導水空間S1および柱部側導水空間S2の体積がより減少する。そのため、本実施形態に係る目地ガスケット1は、止水性が顕著に向上しているとともに挿入性も向上している。
なお、リップ壁40の形状を本実施形態のように設計することは、必須ではない。例えば、リップ壁40は、第1直交面で切断した場合の断面の外形が略半円形状であってもよく、あるいは略矩形形状であってもよい。また例えば、リップ壁40は、第1リップ壁41の厚さ、第2リップ壁42の厚さおよび連結リップ壁43の厚さが、それぞれ異なっていてもよい。つまり、屋内側リップ4は、リップ壁40が柱部2の延伸方向に沿って延伸するものであり、かつ、リップ壁40と柱部2とで中空部44を形成するものであれば、どのような形状であってもよい。但し、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において、第1発泡体5と第2発泡体6とが、ともに外壁パネル100の側面112に面接触し、かつ、互いに面接触することが前提条件となる。
<9.表層リップ3の形状>
本実施形態に係る目地ガスケット1は、表層リップ3の厚さが、図1の符号101および図2に示すように、表層リップ意匠部31の先端32(つまり表層リップ3の先端32)に向かうにつれて薄くなっている。また、本実施形態に係る目地ガスケット1は、図1の符号101に示すように、表層リップ3の屋内側の面(面34と面36とからなる)が、屋外側に傾斜しているとともに屋外側に凸となるように面34と面36との境界線37で折れ曲がっている。
そのため、表層リップ3が、先端32に向かうほど変形し易くなっているとともに境界線37を中心に屈曲し易くなっている。また、例えば表層リップ3の屋内側の面が、屋内側に傾斜し、かつ屋内側に凸となるように折れ曲がっている場合に比べて、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において側面側導水空間S1の体積が減少する。したがって、本実施形態に係る目地ガスケット1は、止水性が顕著に向上しているとともに挿入性も向上している。
なお、表層リップ3の形状を本実施形態のように設計することは、必須ではない。例えば、表層リップ3の屋内側の面が折れ曲がりのない平面であってもよい。また例えば、表層リップ3における根元部よりも外壁パネル100側の部分について、厚さが略一定であってもよい。つまり、表層リップ3は、目地ガスケット1が目地Mに配置された状態において外壁パネル100の側面112に接触するのであればどのような形状であってもよい。
<10.柱部2の形状および芯材27>
本実施形態に係る目地ガスケット1は、柱部2について、図1の符号101に示すように、第3部分25の最大幅T1が第4部分26の幅T2よりも広くなっている。また、本実施形態に係る目地ガスケット1は、第3部分25における最大幅T1の部分から、第4部分26における屋外側端部21との連結箇所よりも屋内側の部分に亘って、内部に金属製の芯材27が埋設されている。
上述のような柱部2の形状および内部構成により、第3部分25の剛性が第4部分26の剛性よりも高くなる。そのため、目地ガスケット1を目地Mに挿入する過程で、目地ガスケット1の全体が必要以上に、あるいは意図せず傾くのを低減することができる。したがって、本実施形態に係る目地ガスケット1は、所望の配置態様で目地Mに配置できるとともに挿入時の安定性が向上している。
なお、柱部2の形状および内部構成を本実施形態のように設計することは、必須ではない。例えば、第3部分25の最大幅T1と第4部分26の幅T2とが略同一であってもよく、第3部分25の形状および大きさと第4部分26の形状および大きさとが略同一であってもよい。また例えば、芯材27は金属製でなくてもよく、柱部2の内部に芯材27が埋設されていなくてもよい。さらには、芯材27の形状および大きさも任意に設計変更してよい。
〔変形例〕
本実施形態に係る目地ガスケット1およびシール構造500については、複数の変形例が想定される。以下、図3を用いて、本実施形態に係る目地ガスケット1およびシール構造500の変形例について説明する。目地ガスケット1の変形例としては、例えば、図3に示すような目地ガスケット11が想定される。
目地ガスケット11は、図3の符号301に示すように、屋外側柱部71および屋内側柱部72を有する柱部7を備えている。屋外側柱部71は、屋内側柱部72よりも屋外側に形成されており、目地ガスケット1の柱部2と同一の部分である。さらに言えば、目地ガスケット11における、屋内側柱部72の屋外側端部の先端(図3の符号301中の破線部分)よりも屋外側の全部分は、目地ガスケット1に相当する。柱部7は、屋外側柱部71の屋内側端部(つまり柱部2の屋内側端部23)と屋内側柱部72の屋外側端部とが連なって切れ目なく構成されている。
屋内側柱部72の側面には、屋外側止水リップ80が設けられている。また、屋内側柱部72の屋内側端部には、屋内側止水リップ90が設けられている。屋外側止水リップ80および屋内側止水リップ90は、ともに2つの外壁パネル100に向けて延伸しており、いずれも、屋内側リップ4で浸入を防ぎ切れなかった一部の水がさらに屋内側に浸入するのを防ぐ役割を果たす。
屋外側止水リップ80は、屋内側柱部72の側面から外壁パネル100に向けて突出している根元部の先端81から、第1分岐リップ82と第2分岐リップ84とに分岐している。また、屋外側止水リップ80の根元部における屋内側の面には、第3発泡体8が設けられている。
第1分岐リップ82は、根元部の先端81から屋内側に延伸しており、その先端83における屋内側の面にも第3発泡体8が設けられている。第2分岐リップ84は、根元部の先端81から外壁パネル100に向けてさらに延伸しており、その先端85が屋内側柱部72側に若干屈曲している。また、第2分岐リップ84の先端85にも第3発泡体が設けられている。
屋外側止水リップ80の根元部、第1分岐リップ82、第2分岐リップ84および屋内側止水リップ90の形状は、例えば、いずれも略板状である。また、屋内側柱部72、屋外側止水リップ80および屋内側止水リップ90は、いずれもゴム様弾性体で形成されており、目地ガスケット相当部と同一の形成材料であってもよいし、異なる形成材料であってもよい。さらに、第3発泡体8の形成材料は、第1発泡体5および第2発泡体6と同一の形成材料であってもよいし、異なる形成材料であってもよい。
目地ガスケット11が目地Mに配置された状態において、上述した目地ガスケット1に相当する部分の配置態様は、図3の符号302に示すように目地ガスケット1の配置態様と同様である。屋内側柱部72については、目地ガスケット11が目地Mに配置された状態において、2つの下地材120の間および2つの断熱ボード130の間に形成された空間に配置される。
屋外側止水リップ80および屋内側止水リップ90は、目地ガスケット11が目地Mに配置された状態において、図3の符号302に示すように、ともに屋内側柱部72側に屈曲または湾曲している。屋内側止水リップ90については、その先端が断熱ボード130の側面132と面接触する。屋外側止水リップ80については、根元部における屋内側の面に設けられた第3発泡体8が、断熱ボード130の側面132と面接触する。また、第1分岐リップ82の先端83における屋内側の面に設けられた第3発泡体8が、断熱ボード130の屋外側の面131と面接触する。さらに、第2分岐リップ84の先端85に設けられた第3発泡体8が、面材110の裏面113と面接触する。
さらに、目地ガスケット11が目地Mに配置された状態では、図3の符号302に示すように、目地ガスケット11および2つの外壁パネル100を必須の構成要素とする目地Mのシール構造510が成立している。
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態および変形例のそれぞれに開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例〕
以下、図4~図9を用いて、本発明の第1~第3実施例に係る目地Mのシール構造520、500および540、ならびに本発明の第1~第3比較例に係る目地Mのシール構造600、700および610のそれぞれについて、性能を評価した結果について説明する。なお、以下の説明では、「目地Mのシール構造・・・」を「シール構造・・・」と略記する。
各実施例および各比較例の性能を評価する際、評価項目として「止水性」、「保持性」および「挿入性」の3つを設定した。「保持性」とは、目地Mに配置された目地ガスケット1および目地材50(後述の目地材60を含む)の配置位置が、外力および時間の経過によっても変位し難い程度を指す。性能の評価は次のように行った。まず、3つの評価項目のそれぞれについて、「非常に良好」、「良好」、「普通」および「不良」の4段階で性能を官能評価した。次に、3つの評価項目の各評価結果を総合考慮した総合評価を前記の4段階で示し、当該総合評価を、各実施例および各比較例における性能の最終的な評価結果とした。
図4~6に示すように、第1~第3実施例に係るシール構造520、500および540のすべてについて、本実施形態に係る目地ガスケット1と2つの外壁パネル100とを必須の構成要素とした。第1実施例に係るシール構造520では、図4に示すように目地Mの目地幅を狭幅W1とした。また、第2実施例に係るシール構造500では、図5に示すように目地Mの目地幅を中央幅W2とした。さらに、第3実施例に係るシール構造540では、図6に示すように目地Mの目地幅を広幅W3とした。ここで、中央幅W2の長さは、設計上の目地幅(中央値)として定義される。また、狭幅W1の長さは、設計上の目地幅の公差下限値として定義される。さらに、広幅W3の長さは、設計上の目地幅の公差上限値として定義される。
<実施例1>
まず、第1実施例に係るシール構造520の各性能と第1比較例に係るシール構造600の各性能とを比較した。シール構造600については、図7に示すように、特許文献1に係る目地材50と2つの外壁パネル100とを必須の構成要素とし、目地Mの目地幅を狭幅W1´とした。ここで、狭幅W1´の長さは、狭幅W1の長さと同様、設計上の目地幅の公差下限値として定義される。また、第1実施例の狭幅W1の長さと第1比較例の狭幅W1´の長さとが同一になるようにした。さらに、目地材50については、全体の大きさを目地ガスケット1と同程度の大きさにするとともに、目地材50におけるすべての部分の形成材料を、目地ガスケット1における対応する各部分の形成材料と同一にした。
シール構造520では、図4に示すように、目地ガスケット1が狭幅W1の目地Mに配置された状態において柱部側導水空間S2aは形成されたが、側面側導水空間S1(図2参照)は、形成されなかった。一方、シール構造600では、図7に示すように、目地材50が狭幅W1´の目地Mに配置された状態において側面側導水空間S1dおよび柱部側導水空間S2dが形成された。このことから、シール構造520の方がシール構造600よりも止水性に優れており、シール構造520の止水性が非常に良好であることが判明した。一方、シール構造600の止水性については、普通であることが判明した。このような結果になったのは、目地ガスケット1が第1発泡体5を有している一方で、目地材50が第1発泡体5に相当する部材を有していないことが主要因であると推察される。
保持性については、シール構造520とシール構造600とで変わりは略なく、ともに非常に良好であることが判明した。このような結果になったのは、目地材50が、目地ガスケット1の屋内側リップ4に略相当する形状および大きさのシール部54、ならびに目地ガスケット1の第2発泡体6に略相当する形状および大きさの多孔質層56を有していることが主要因であると推察される。つまり、目地ガスケット1、目地材50ともに、目地Mに配置された状態において、第2発泡体6および多孔質層56が2つの外壁パネル100の側面112を押圧する力が同程度に強く、目地Mもともに狭幅W1およびW1´であったことが主要因であると推察される。
挿入性については、シール構造520とシール構造600とで変わりは略なく、ともに普通であることが判明した。このような結果になったのは、目地ガスケット1全体の体積に占める第1発泡体5の体積の割合が非常に小さく、目地ガスケット1を目地Mに挿入する際に第1発泡体5がほとんど障害にならなかったことが要因の一つであると推察される。また、屋内側リップ4およびシール部54の両方が挿入時に変形し易い形状となっており、かつ、第1発泡体5、第2発泡体6および多孔質層56のすべてが変形し易い材質であることも、要因の一つであると推察される。
以上より、シール構造520とシール構造600とを比較した場合、止水性、保持性および挿入性の総合評価としてはシール構造520の方が高く、当該シール構造520の総合評価が非常に良好になることが判明した。一方、シール構造600については、保持性は非常に良好であるものの止水性および挿入性が普通であることから、総合評価が普通になることが判明した。
<実施例2>
次に、第2実施例に係るシール構造500の各性能と第2比較例に係るシール構造700の各性能とを比較した。シール構造700については、図9に示すように、特許文献2に係る目地材60と2つの外壁パネル100とを必須の構成要素とし、目地Mの目地幅を中央幅W2´とした。ここで、中央幅W2´の長さは、中央幅W2の長さと同様、設計上の目地幅(中央値)として定義される。また、第2実施例の中央幅W2の長さと第2比較例の中央幅W2´の長さとが同一になるようにした。さらに、目地材60については、全体の大きさを目地ガスケット1と同程度の大きさにするとともに、目地材60におけるすべての部分の形成材料を、目地ガスケット1における対応する各部分の形成材料と同一にした。
シール構造500では、図5に示すように、目地ガスケット1が中央幅W2の目地Mに配置された状態において側面側導水空間S1bおよび柱部側導水空間S2bが形成された。しかし、側面側導水空間S1bおよび柱部側導水空間S2bともに、水がほとんど通過できない程度に、つまり止水性を良好と評価できる程度に小さな体積であった。一方、シール構造700では、図9に示すように、目地材60が中央幅W2´の目地Mに配置された状態において側面側導水空間S1および柱部側導水空間S2の両方(ともに図2参照)が形成されなかった。これらのことから、シール構造700の方がシール構造500よりも止水性に若干優れているものの、シール構造500および700ともに止水性が良好であることが判明した。
このような結果になったのは、目地ガスケット1が中央幅W2の目地Mに配置された状態において、第1発泡体5および第2発泡体6と2つの外壁パネル200の側面112とが面接触し、かつ、第1発泡体5と第2発泡体6とが面接触することが主要因であると推察される。また、シール構造500の目地Mの目地幅が中央幅W2であることも、要因の一つであると推察される。
保持性については、シール構造500が良好であり、シール構造700が非常に良好であることが判明した。シール構造500よりもシール構造700の方が評価が高かったのは、図1に示すように、目地ガスケット1には、当該目地ガスケット1の目地Mへの配置前に第1発泡体5と第2発泡体6と柱部2との各間に隙間が形成されることが主要因であると推察される。つまり、前記の隙間が形成される分、配置後における第1発泡体5および第2発泡体6と2つの外壁パネル100の側面112との密着度が目地材60より若干劣ることが主要因であると推察される。一方、目地材60については、図9に示すように、頭部651と各シールリップ652とで取り囲まれた空間の略全域にシール材653が充填されており、目地ガスケット1のような隙間が形成されていない。
シール構造500の保持性が良好であったのは、第1発泡体5と第2発泡体6との密着度、ならびに第1発泡体5および第2発泡体6と2つの外壁パネル100の側面112との密着度が高くなるような、第1発泡体5および第2発泡体6の体積・配置であったことが主要因であると推察される。また、シール構造500の目地Mの目地幅が中央幅W2であることも、要因の一つであると推察される。
挿入性については、シール構造500が良好である一方、シール構造700は不良であることが判明した。シール構造500の挿入性が良好になったのは、目地ガスケット1には、当該目地ガスケット1の目地Mへの配置前に前記の隙間が形成されて表層リップ3および屋内側リップ4の変形の自由度が高いことが主要因であると推察される。一方、シール構造700の挿入性が不良になったのは、頭部651と各シールリップ652とで取り囲まれた空間の略全域にシール材653が充填されていることから、各シールリップ652およびシール材653の変形の自由度が非常に低いことが主要因であると推察される。
シール構造500とシール構造700とを比較した場合、上述の通り、シール構造700は挿入性の評価が不良と低い一方、シール構造500は止水性、保持性および挿入性のすべてにおいて評価が良好であり、バランス良く高評価が得られた。したがって、止水性、保持性および挿入性の総合評価としてはシール構造500の方が高く、当該シール構造500の総合評価が非常に良好になることが判明した。一方、シール構造700については、止水性および保持性は非常に良好であるものの挿入性が不良であることから、総合評価が普通になることが判明した。
<実施例3>
次に、第3実施例に係るシール構造540の各性能と第3比較例に係るシール構造610の各性能とを比較した。シール構造610については、図8に示すように、特許文献1に係る目地材50と2つの外壁パネル100とを必須の構成要素とし、目地Mの目地幅を広幅W3´とした。ここで、広幅W3´の長さは、広幅W3の長さと同様、設計上の目地幅の公差上限値として定義される。また、第3実施例の広幅W3の長さと第3比較例の広幅W3´の長さとが同一になるようにした。
シール構造540では、図6に示すように、目地ガスケット1が広幅W3の目地Mに配置された状態において、側面側導水空間S1cおよび柱部側導水空間S2cが形成された。一方、シール構造610でも、図8に示すように、目地材50が広幅W3´の目地Mに配置された状態において側面側導水空間S1eおよび柱部側導水空間S2eが形成された。このことから、シール構造540の方がシール構造610よりも止水性に優れており、シール構造540の止水性が普通であることが判明した。一方、シール構造610の止水性については、不良であることが判明した。
シール構造540の止水性が普通になったのは、図1に示すように、目地ガスケット1について、第1発泡体5を有しているとともに第2発泡体6が第2リップ壁42の一部まで覆っていることが主要因であると推察される。この推察は、目地ガスケット1について、目地Mが広幅W3であっても、第1発泡体5および第2発泡体6の存在によって、側面側導水空間S1cおよび柱部側導水空間S2cの各体積があまり大きくならないことに基づく。
一方、シール構造610の止水性が不良になったのは、目地材50について、第1発泡体5に相当する部材を有しておらず、多孔質層56がシール部54における屋外側の面を覆っていないことが主要因であると推察される。この推察は、目地Mが広幅W3´であると、側面側導水空間S1eおよび柱部側導水空間S2eがかなり大きくなるとともに、図7に示すように、目地材50によって両空間が分離されずに一体化することに基づく。
保持性については、シール構造540とシール構造610とで変わりは略なく、ともに普通であることが判明した。このような結果になったのは、目地材50が、屋内側リップ4に略相当するシール部54、および第2発泡体6に略相当する多孔質層56を有していることが主要因であると推察される。つまり、目地ガスケット1、目地材50ともに、目地Mに配置された状態において、第2発泡体6および多孔質層56が2つの外壁パネル100の側面112を押圧する力が同程度であり、目地Mもともに広幅W3およびW3´であったことが主要因であると推察される。
挿入性については、シール構造540とシール構造610とで変わりは略なく、ともに非常に良好であることが判明した。このような結果になったのは、目地Mがともに広幅W3およびW3´であったことから、目地ガスケット1と目地材50との形状および構成部材の違いが挿入性にほとんど影響を与えなかったことが主要因であると推察される。
シール構造540とシール構造610とを比較した場合、上述の通り、シール構造610は止水性の評価が不良と低い一方、シール構造540は評価が不良となる指標が全くなく、バランスの良い評価が得られた。したがって、止水性、保持性および挿入性の総合評価としてはシール構造540の方が高く、当該シール構造540の総合評価が非常に良好になることが判明した。一方、シール構造610については、挿入性が非常に良好かつ保持性が普通であるものの止水性が不良であることから、総合評価が普通になることが判明した。