JP7498409B2 - 無線通信システム、中継装置、無線通信方法及びプログラム - Google Patents

無線通信システム、中継装置、無線通信方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、無線通信システム、中継装置、無線通信方法及びプログラムに関する。
小型の端末装置をインターネットに接続させて様々なアプリケーションを実現するIoT(Internet of Things)システムが普及している。IoTシステムの応用例として、複数のIoT端末が、気温、室温、加速度、及び光度などの環境情報をセンシングして無線信号で送信し、クラウド側が環境情報を収集するシステムが知られている。各種センサを備えたIoT端末は、様々な場所に設置される。基地局の設置が困難な場所(例えば、海上のブイ、船舶、及び山岳地帯)からデータを収集するためにIoTを活用することも想定されている。
一方で、通信衛星又は無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)などを中継局として、地上の複数の通信装置と中継局との間で無線通信を行う無線システムがある。通信衛星を中継局とする無線システムとして、高度1,000km前後の低い軌道を周回する低軌道衛星(LEO:Low Earth Orbit)が用いられる場合と、高度36,000kmを周回する静止衛星(GEO:Geostationary Orbit)が用いられる場合とがある。低軌道衛星では、静止衛星に比べて信号の伝搬距離が短い。そのため、低軌道衛星を中継局とする場合、低遅延かつ低伝搬損失な通信の実現が可能である。また、この場合、低軌道衛星や地上の通信装置に備えられる高周波回路の構成は簡易になる。しかしながら、低軌道衛星は、静止衛星とは異なり地球の上空を周回するので、低軌道衛星を地上の通信装置から見る方向が常時変化する。地上の各通信装置における低軌道衛星の一周回当たりの可視時間は数分である。そのため、低軌道衛星と地上の各通信装置とが通信可能な時間帯は制限されている。
一方で、IoT端末の通信に適した低電力かつ低伝送レートで広域通信が可能な無線システムとして、LPWA(Low Power Wide Area)が知られている。昨今、LPWAを用いてデータをIoT端末から収集する通信衛星を備える衛星IoTシステムが検討されている。一般的に、通信衛星と地上の通信装置との間の通信の無線信号の伝搬距離は、地上の複数の通信装置の間で直接通信する無線通信に比べて長い。また、低軌道衛星を用いることにより、LPWAの適用が可能になる。このような衛星IoTシステムの場合、通常のLPWAのみでは困難であった収容(例えば、航空分野、船舶分野、及びルーラルエリアでのIoT端末の収容)が可能になる。またこの場合、ハブ局を必要としないため、サービス展開が容易になる。
また昨今、IoT端末数は、増加の一途をたどっている。また、LPWAはデータレートが低いため、IoT端末がデータを送信している時間は、相対的に長くなる。そのため、IoT端末数の増加とともにデータパケット同士が衝突する機会の増加が懸念される。これに対し、例えば非特許文献1には、LPWAネットワークにおける端末の自律分散的な送信スケジュール制御により、基地局におけるデータ受信時の衝突を回避する手法が記載されている。非特許文献1に記載の手法では、各端末の送信タイミングが位相振動子モデルで表現される。各端末は、自端末の位相が0になるのを待ってから、データを送信する。当該手法は、全端末の位相が互いに等間隔となる逆相同期状態を実現することで、データの衝突を回避させる。
小南 大智,合原 一究,村田 正幸,「LPWAネットワークにおける基地局負荷の分散を考慮した自律分散型送信スケジュール手法」,電子情報通信学会技術研究報告(信学技報),vol.117 no.353 IN2017-67,pp.127-132,2017年12月
IoTシステムでは、中継局が、通信対象エリア内にビームを照射することによって、ビームの照射範囲に位置している各IoT端末から、端末アップリンク信号を受信する。このような通信の信頼性を確保するため、各IoT端末は基地局へのデータ送信を複数回繰り返すことがある。すなわち、多くの端末アップリンク信号がIoT端末から送信されることがある。また、多数のIoT端末がデータを送信することから、スロット数を超える送信機会が生じることがある。このように、IoTシステムでは、通信の混雑度が変動する場合がある。
しかしながら、非特許文献1に記載された手法では、各IoT端末に与えられた互いに異なるタイミングで、各IoT端末が端末アップリンク信号を単に一律に送信する。また、当該手法は、基地局の占有状況に応じて送信スケジュールを制御するものではない。そのため、非特許文献1に記載された手法では、通信の混雑度が変動する場合において、データの衝突が発生し、通信の信頼性が低下することがある。
そこで、各IoT端末が配置された通信対象エリア内に衛星から照射されるビームの径をビームフォーミングによって絞り、ビームの照射範囲をスポット化することによって、同時に通信可能なIoT端末を少なくするという方法がある。これによって、各IoT端末から送信されたデータの衝突を発生し難くして、通信の信頼性の低下を抑制することが可能である。しかしながら、ビームの照射範囲がスポット化されるほど、広いカバレッジを実現することは困難になる。広いカバレッジを実現するには、通信対象エリアの全体をカバーするようにビームの本数を増やす必要があるが、ビームの本数に応じて多くのアンテナ素子が必要となるのでコストが高くなるという課題がある。
上記事情に鑑み、本発明は、ビームの本数を必要以上に増やすことなく広いカバレッジを実現することができる無線通信システム、中継装置、無線通信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、通信対象エリアを分割する複数の小エリアのうちの1以上の小エリアに位置している1以上の第1通信装置と、中継装置と、第2通信装置とを有する無線通信システムであって、前記中継装置は、前記通信対象エリアよりも狭い照射範囲の1以上のビームを前記通信対象エリアに照射しながら前記複数の小エリアを前記ビームで走査するように1以上のアンテナを駆動するアンテナ駆動部と、前記照射範囲に位置している前記第1通信装置から送信された第1無線信号を前記アンテナから取得する受信部と、前記第1無線信号に応じた第2無線信号を前記第2通信装置に送信する送信部とを備える、無線通信システムである。
また、本発明の一態様は、通信対象エリアを分割する複数の小エリアのうちの1以上の小エリアに位置している1以上の第1通信装置と、第2通信装置と、移動可能な中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、前記通信対象エリアよりも狭い照射範囲の1以上のビームを前記通信対象エリアに照射しながら前記複数の小エリアを前記ビームで走査するように1以上のアンテナを駆動するアンテナ駆動部と、前記照射範囲に位置している前記第1通信装置から送信された第1無線信号を前記アンテナから取得する受信部と、前記第1無線信号に応じた第2無線信号を前記第2通信装置に送信する送信部とを備える中継装置である。
また、本発明の一態様は、通信対象エリアを分割する複数の小エリアのうちの1以上の小エリアに位置している1以上の第1通信装置と、中継装置と、第2通信装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、前記中継装置は、前記通信対象エリアよりも狭い照射範囲の1以上のビームを前記通信対象エリアに照射しながら前記複数の小エリアを前記ビームで走査するように1以上のアンテナを駆動し、前記照射範囲に位置している前記第1通信装置から送信された第1無線信号を前記アンテナから取得し、前記第1無線信号に応じた第2無線信号を前記第2通信装置に送信する、無線通信方法である。
また、本発明の一態様は、上記の無線通信システムの中継装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
本発明により、ビームの本数を必要以上に増やすことなく広いカバレッジを実現することが可能となる。
本発明の第1の実施形態による無線通信システムの構成図である。 同実施形態によるビームの走査例を示す図である。 同実施形態によるビームの走査処理を示すフロー図である。 同実施形態による無線通信システムのデータ収集処理を示すフロー図である。 同実施形態による無線通信システムのデータ収集処理を示すフロー図である。 同実施形態による無線通信システムの送信制御処理を示すフロー図である。 本発明の第1の実施形態の変形例1による無線通信システムの構成図である。 同変形例による無線通信システムのデータ収集処理を示すフロー図である。 本発明の第1の実施形態の変形例2による無線通信システムの構成図である。 同実施形態によるビームの走査例を示す図である。 同実施形態によるビームの走査処理を示すフロー図である。 同変形例による無線通信システムのデータ収集処理を示すフロー図である。 同変形例による無線通信システムの送信制御処理を示すフロー図である。 本発明の第2の実施形態による無線通信システムの構成図である。 同実施形態による無線通信システムの送信制御処理を示すフロー図である。 本発明の第3の実施形態による無線通信システムの構成図である。 同実施形態による無線通信システムの送信制御処理を示すフロー図である。 各実施形態による移動中継局の機能部のハードウェア構成例を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による無線通信システム1の構成図である。無線通信システム1は、移動中継局2と、端末局3と、基地局4とを有する。無線通信システム1が有する移動中継局2、端末局3及び基地局4のそれぞれの数は任意であるが、端末局3の数は多数であることが想定される。無線通信システム1は、即時性が要求されない情報の伝送を行う通信システムである。複数の端末局3からそれぞれ送信された情報は、移動中継局2を介して伝送され、基地局4によって収集される。
移動中継局2は、移動体に搭載され、通信可能なエリアが時間の経過により移動する中継装置の一例である。移動中継局2は、例えば、LEO(Low Earth Orbit)衛星に備えられる。LEO衛星の高度は2000km以下であり、地球の上空を1周約1.5時間程度で周回する。端末局3及び基地局4は、地上や海上など地球上に設置される。複数の端末局3は、互いに異なる場所に存在する。端末局3は、例えば、IoT端末である。端末局3は、センサが検出した環境データ等のデータを収集し、移動中継局2へ無線信号により送信する。同図では、2台の端末局3のみを示している。移動中継局2は、地球の上空を移動しながら、複数の端末局3それぞれから送信されたデータを無線信号により受信する。移動中継局2は、受信したこれらのデータを蓄積し、蓄積しておいたデータを、基地局4との通信が可能なタイミングで一括して基地局4へ無線送信する。基地局4は、端末局3が収集したデータを移動中継局2から受信する。
移動中継局2として、静止衛星や、ドローン、HAPS(High Altitude Platform Station)などの無人航空機に搭載された中継局を用いることが考えられる。しかし、静止衛星に搭載された中継局の場合、地上のカバーエリア(フットプリント)は広いものの、高度が高いために、地上に設置されたIoT端末に対するリンクバジェットは非常に小さい。一方、ドローンやHAPSに搭載された中継局の場合、リンクバジェットは高いものの、カバーエリアが狭い。さらには、ドローンにはバッテリーが、HAPSには太陽光パネルが必要である。本実施形態では、一例としてLEO衛星に、移動中継局2が搭載される。よって、リンクバジェットは限界内に収まることに加え、LEO衛星は、大気圏外を周回するために空気抵抗がなく、燃料消費も少ない。また、ドローンやHAPSに中継局を搭載する場合と比較して、フットプリントも大きい。
LEO衛星に搭載された移動中継局2は、高速で移動しながら通信を行うため、個々の端末局3や基地局4が移動中継局2と通信可能な時間は限られている。具体的には、端末局3が移動中継局2を地上から見た場合、移動中継局2は、10分程度で上空を通り過ぎる。また、端末局3には、様々な仕様の無線通信方式が使用される。そこで、移動中の移動中継局2は、端末アップリンク信号を現在位置におけるカバレッジ内の端末局3から受信し、受信した端末アップリンク信号の波形データを保存しておく。移動中継局2は、カバレッジに基地局4が存在するタイミングにおいて、端末アップリンク信号の波形データを含む基地局ダウンリンク信号を、基地局4に無線送信する。基地局4は、移動中継局2から受信した基地局ダウンリンク信号を復調して、端末アップリンク信号の波形データを得る。基地局4は、波形データが表す端末アップリンク信号に対して復調及び復号を行うことにより、端末局3が送信したデータである端末送信データを得る。
なお、本実施形態による無線通信システム1では、移動中継局2と端末局3とが、一例としてLPWAを用いて無線通信を行う。各々の端末局3は、通信の信頼性を確保するために、同一の端末アップリンク信号を複数回、移動中継局2へ向けて送信してもよい。さらに、前述のとおり、端末局3の数は多数であることが想定される。このような構成により、端末局3から移動中継局2へ送信されるデータの通信量が増大し、通信帯域が逼迫する場合がある。本実施形態による無線通信システム1では、通信帯域の逼迫を防ぐため、移動中継局2が地上に照射するビームの径は絞られる。このような、ビームの照射範囲のスポット化によって、同時に通信可能なIoT端末の台数が少なくなるので、データの衝突を発生し難くして、通信の信頼性の低下を抑制することが可能である。また、通信対象エリアがビームで走査されるので、ビームの本数を必要以上に増やすことなく、広いカバレッジを実現することができる。
各々の端末局3は、環境データ等の所定データを含む端末アップリンク信号を、のデータを移動中継局2へ送信する。各々の端末局3は、環境データ等の所定データと自局の位置を示す位置情報とを含む端末アップリンク信号を、移動中継局2へ送信してもよい。なお、端末局3は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機等の測位装置を備えており、自局の位置を示す位置情報を生成する。
移動中継局2は、端末アップリンク信号を、各端末局3から受信する。移動中継局2は、通信の混雑度を測定する。通信の混雑度とは、例えば、移動中継局2における、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数(単位時間当たりの端末アップリンク信号の送信頻度)、又は端末アップリンク通信の周波数帯のRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)によって表される度合いである。また、移動中継局2は、端末局3の位置を示す位置情報を、それぞれの端末アップリンク信号から抽出してもよい。
移動中継局2は、通信対象エリアを走査しているビームの走査速度を、通信の混雑度に基づいて変更する。移動中継局2は、通信の混雑度と複数の端末局3のそれぞれの位置を示す位置情報とに基づいて、通信対象エリアを走査しているビームの走査速度を変更してもよい。
このとき、例えば、移動中継局2は、通信対象エリアを分割する小エリアごとの通信の混雑度が複数の小エリアにおいて均一化されるように、走査速度を変更する。なお、ここでいう均一化とは、所定の許容範囲内の誤差が含まれていてもよく、複数の小エリアにおいて通信の混雑度が完全に等しくなることを意味しているわけではない。
ビームの径は、例えば、収容される端末局3の台数と信号干渉とのトレードオフに基づいて定められる。ここで、ビームの径が短くなるほど(ビームの照射範囲がスポット化されるほど)信号利得は向上するが、収容される端末局3(同時に移動中継局2に接続可能な端末局3)の台数は減少する。
なお、通信対象エリアを分割する各小エリアの径は、例えば、ビームの径とほぼ等しい長さに予め定められてもよい。すなわち、小エリアの形状及び広さと、ビームの照射範囲の形状及び広さとは、ほぼ同じでもよい。
以下、通信対象エリアを分割する各小エリアに割り当てられる識別情報を「エリア情報」という。移動中継局2は、環境データ等のデータを自己の移動中継局2へ送信することを許可することを示す制御信号(以下、「送信許可信号」という。)を、ビームの照射範囲に位置している端末局3に送信する。移動中継局2は、照射範囲がスポット化されたビームで通信対象エリアを走査しながら、送信許可信号が含まれている端末ダウンリンク信号を、地上の端末局3に送信する。なお、送信許可信号には、ビームが照射されている小エリアのエリア情報が更に含まれてもよい。
端末局3は、送信許可信号を受信した場合(狭ビームの照射範囲に自局が位置している場合)、移動中継局2への端末アップリンク信号の送信を開始する。端末局3は、送信許可信号を受信していない場合(狭ビームの照射範囲に自局が位置していない場合)には、移動中継局2への端末アップリンク信号の送信を行わず、待機する。端末局3は、移動中継局2へ送信する端末アップリンク信号に、環境データ等のデータと自局の位置を示す位置情報とを含める。なお、移動中継局2は、今回の周回時における端末局3の位置情報を用いて、移動中継局2の次の周回時における混雑度を導出(予測)してもよい。
また、端末局3は、小エリアの範囲の経度及び緯度を、エリア情報として予め記憶してもよい。端末局3は、自局の位置の経度及び緯度に基づいて、自局の位置を含む小エリアのエリア情報を認識してもよい。この場合、端末局3は、送信許可信号に含まれるエリア情報に基づく小エリアと、自局の位置が含まれる小エリアとが一致している場合に、移動中継局2への端末アップリンク信号の送信を開始する。
なお、端末局3が、自局の位置が含まれる小エリアを認識することができる場合、端末局3は、移動中継局2へ送信する端末アップリンク信号に、自局の位置を示す位置情報を含める代わりに、自局の位置を含む小エリアのエリア情報を含めてもよい。これによって、移動中継局2は、小エリア内に位置している端末局3の台数を推定することができる。
移動中継局2は、通信対象エリア内の全ての小エリアを網羅するように通信対象エリアをビームで走査することによって、通信の混雑度を均一化させつつ、複数の端末局3との通信を行うことができる。
なお、端末局3から移動中継局2への端末アップリンク信号の送信タイミングを制御するための処理(以下、「送信制御処理」という。)における、各装置の構成及び動作の詳細については後述される。以下、各々の端末局3から送信された環境データ等のデータを、移動中継局2を介して基地局4が収集するための処理(以下、「データ収集処理」という。)における各装置の構成及び動作の詳細についてまず説明する。
(データ収集処理)
データ収集処理における各装置の構成を説明する。
移動中継局2は、アンテナ21と、端末通信部22と、データ記憶部23と、基地局通信部24と、アンテナ25とを備える。
端末通信部22は、受信部221と、受信波形記録部222とを有する。受信部221は、アンテナ21により端末アップリンク信号を受信する。受信波形記録部222は、受信部221が受信した端末アップリンク信号の受信波形をサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部222は、アンテナ21における端末アップリンク信号の受信時刻と、生成した波形データとを含む受信波形情報を、データ記憶部23に書き込む。データ記憶部23は、受信波形記録部222により書き込まれた受信波形情報を記憶する。
基地局通信部24は、任意の無線通信方式の基地局ダウンリンク信号により、受信波形情報を基地局4へ送信する。基地局通信部24は、記憶部241と、制御部242と、送信データ変調部243と、送信部244とを備える。記憶部241は、移動中継局2を搭載しているLEO衛星の軌道情報と、基地局4の位置とに基づいて、予め計算された送信開始タイミングを記憶する。LEOの軌道情報は、任意の時刻におけるLEO衛星の位置、速度、移動方向などを得ることが可能な情報である。送信時刻は、例えば、送信開始タイミングからの経過時間で表してもよい。
制御部242は、記憶部241に記憶された送信開始タイミングにおいて、受信波形情報を基地局4に送信するように送信データ変調部243及び送信部244を制御する。送信データ変調部243は、受信波形情報を送信データとしてデータ記憶部23から読み出し、読み出した送信データを変調して基地局ダウンリンク信号を生成する。送信部244は、基地局ダウンリンク信号を電気信号から無線信号に変換し、アンテナ25から送信する。
端末局3は、データ記憶部31と、送信部32と、1本または複数本のアンテナ33とを備える。データ記憶部31は、センサデータなどを記憶する。送信部32は、センサデータを端末送信データとしてデータ記憶部31から読み出し、読み出された端末送信データを含む端末アップリンク信号を、アンテナ33から無線信号により送信する。
送信部32は、LPWAにより信号を送信する。LPWAには、LoRaWAN(登録商標)、Sigfox(登録商標)、LTE-M(Long Term Evolution for Machines)、NB(Narrow Band)-IoT等があるが、任意の無線通信方式を用いることができる。また、送信部32は、時分割多重又は直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:OFDM)などにより、他の端末局3と送信を行ってもよい。
送信部32は、使用する無線通信方式において予め決められた方法により、自局が端末アップリンク信号の送信に使用するチャネル及び送信タイミングを決定する。また、送信部32は、使用する無線通信方式において予め決められた方法により、複数本のアンテナ33から送信する信号のビーム形成を行ってもよい。
基地局4は、アンテナ41と、受信部42と、基地局信号受信処理部43と、端末信号受信処理部44とを備える。受信部42は、アンテナ41により受信した基地局ダウンリンク信号を、電気信号に変換する。基地局信号受信処理部43は、受信部42が電気信号に変換した受信信号の復調及び復号を行い、受信波形情報を得る。基地局信号受信処理部43は、受信波形情報を端末信号受信処理部44に出力する。
端末信号受信処理部44は、受信波形情報が示す端末アップリンク信号の受信処理を行う。このとき、端末信号受信処理部44は、端末局3が送信に使用した無線通信方式により受信処理を行って端末送信データを取得する。端末信号受信処理部44は、端末信号復調部441と、端末信号復号部442とを備える。
端末信号復調部441は、波形データを復調し、復調により得られたシンボルを端末信号復号部442に出力する。端末信号復調部441は、移動中継局2のアンテナ21によって受信された端末アップリンク信号のドップラーシフトを補償する処理を、波形データが示す信号に対して行ってから、復調を行ってもよい。アンテナ21が受信した端末アップリンク信号が受けるドップラーシフトは、端末局3の位置と、移動中継局2が搭載されているLEOの軌道情報に基づき予め計算される。端末信号復号部442は、端末信号復調部441が復調したシンボルを復号し、端末局3から送信された端末送信データを得る。
次に、ビームの走査について説明する。
図2は、ビームの走査例を示す図である。アンテナ21は、照射範囲が絞られたビームを、通信対象エリア300(サービスエリア)の小エリアに照射する。これによって、ビームの照射範囲301に位置している端末局3-1のみが、端末アップリンク信号を移動中継局2に送信する。端末通信部22は、アンテナ21を用いて、通信対象エリア300をビームで走査する。図2に記載の矢印は走査方向の例を表す。走査されたビームの照射範囲301に端末局3-2が入るまで、端末局3-2は、端末アップリンク信号を移動中継局2に送信しない。
端末通信部22は、照射範囲301において端末アップリンク信号の送信頻度が高い場合(混雑度が高い場合)、ビームの走査速度を遅くする。すなわち、端末通信部22は、端末アップリンク信号の送信頻度が高い端末局3が存在する照射範囲301(小エリア)に対して、ビームの照射時間を長くする。端末通信部22は、多数の端末局3が存在する照射範囲301(小エリア)に対して、ビームの照射時間を長くしてもよい。これによって、端末局3が多く分布している小エリア(端末局3が密集している都市部など)に対して集中的にビームが照射されるので、収容可能な端末局3の台数を適応的に増加させることが可能である。
データ収集処理における無線通信システム1の動作を説明する。
図3は、ビームの走査処理を示すフロー図である。エリア制御部224は、通信対象エリア300に対してビームを照射することが可能となる所定位置に移動中継局2が到着したか否かを判定する。例えば、エリア制御部224は、通信対象エリア300の上空に移動中継局2が到着したか否かを判定する(ステップS101)。所定位置に移動中継局2が到着していないと判定された場合(ステップS101・No)、エリア制御部224は、所定時間の経過後に、ステップS101を再実行する。
所定位置に移動中継局2が到着したと判定された場合(ステップS101・Yes)、アンテナ駆動部228は、エリア制御部224によって生成されたエリア情報に基づいて、通信対象エリア300を分割する複数の小エリアのうちの一つに、アンテナ21を用いてビームを照射する(ステップS102)。アンテナ駆動部228は、混雑度に応じた走査速度で、通信対象エリア300内をビームで走査する(ステップS103)。受信部221は、アンテナ21を用いて、端末アップリンク信号を受信する。通信状況測定部223は、端末アップリンク信号に基づいて、通信の混雑度を導出する(ステップS104)。
アンテナ駆動部228は、通信の混雑度が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS105)。通信の混雑度が閾値以上であると判定された場合(ステップS105・Yes)、アンテナ駆動部228は、ビームの走査速度を遅くするように、アンテナ21を駆動する。アンテナ駆動部228は、ビームの走査を一時的に停止させるように、アンテナ21を駆動してもよい(ステップS106)。通信の混雑度が閾値未満であると判定された場合(ステップS105・No)、アンテナ駆動部228は、ビームの走査速度を速くするように、アンテナ21を駆動する(ステップS107)。
アンテナ駆動部228は、ビームが照射された小エリア(照射範囲301と重なった小エリア)のエリア情報を、走査済の小エリアの情報として、記憶部225に記録する(ステップS108)。これによって、アンテナ駆動部228は、走査済の小エリアと未走査の小エリアとを、通信対象エリア300において区別することができる。
アンテナ駆動部228は、通信対象エリア300における全ての小エリアを走査したか否かを判定する(ステップS109)。未走査の小エリアがあると判定された場合(ステップS109・No)、アンテナ駆動部228は、ステップS103に処理を戻す。全ての小エリアを走査したと判定された場合(ステップS109・Yes)、アンテナ駆動部228は、図3に示された処理を終了する。
図4は、端末局3から移動中継局2へ端末アップリンク信号を送信する場合の無線通信システム1の処理を示すフロー図である。
端末局3は、外部又は内部に備えられた図示しないセンサが検出したセンサデータ(例えば環境データ等)を随時取得し、取得したセンサデータをデータ記憶部31に書き込む(ステップS111)。送信部32は、データ記憶部31からセンサデータを端末送信データとして読み出す。送信部32は、移動中継局2を搭載したLEO衛星の軌道情報に基づいて予め得られた送信開始タイミングにおいて、端末送信データを含む端末アップリンク信号を、アンテナ33から無線送信する(ステップS112)。端末局3は、ステップS111からの処理を繰り返す。
移動中継局2の受信部221は、端末局3から送信された端末アップリンク信号を受信する(ステップS121)。送信元の端末局3の無線通信方式によって、同一の周波数については時分割で1台の端末局3からのみ端末アップリンク信号を受信する場合と、同一の周波数で同時に複数台の端末局3から端末アップリンク信号を受信する場合がある。受信波形記録部222は、受信部221が受信した端末アップリンク信号の波形を表す波形データと、受信時刻とを対応付けた受信波形情報を、データ記憶部23に書き込む(ステップS122)。移動中継局2は、ステップS121からの処理を繰り返す。
図5は、移動中継局2から基地局4へ基地局ダウンリンク信号を送信する場合の無線通信システム1の処理を示すフロー図である。
移動中継局2の基地局通信部24が有する制御部242は、記憶部241に記憶された送信開始タイミングが現在時刻であることを検出すると、受信波形情報の送信を送信データ変調部243及び送信部244に指示する(ステップS211)。送信データ変調部243は、データ記憶部23に蓄積していた受信波形情報を送信データとして読み出し、読み出した送信データを変調し、基地局ダウンリンク信号を生成する。送信部244は、送信データ変調部243が生成した基地局ダウンリンク信号を無線信号によりアンテナ25から送信する(ステップS212)。移動中継局2は、ステップS211からの処理を繰り返す。
基地局4のアンテナ41は、移動中継局2から基地局ダウンリンク信号を受信する(ステップS221)。受信部42は、アンテナ41が受信した基地局ダウンリンク信号を電気信号の受信信号に変換して、基地局信号受信処理部43に出力する。基地局信号受信処理部43は、受信信号を復調し、復調した受信信号を復号する(ステップS222)。基地局信号受信処理部43は、復号により得られた受信波形情報を、端末信号受信処理部44に出力する。
端末信号受信処理部44は、受信波形情報に含まれている波形データが表す端末アップリンク信号の受信処理を行う(ステップS223)。具体的には、端末信号復調部441は、波形データが表す受信信号に含まれる無線通信方式固有の情報に基づいて、端末局3が端末アップリンク信号の送信に用いた無線通信方式を特定する。端末信号復調部441は、特定した無線通信方式に従って、波形データが表す受信信号を復調し、復調により得られたシンボルを、端末信号復号部442に出力する。端末信号復号部442は、端末信号復調部441から入力したシンボルを特定された無線通信方式により復号し、端末局3から送信された端末送信データを得る。なお、端末信号復号部442は、SIC(Successive Interference Cancellation)のように、計算負荷が大きな復号方式を用いることも可能である。基地局4は、ステップS221からの処理を繰り返す。
(送信制御処理)
送信制御処理における各装置の構成を説明する。
移動中継局2の構成について説明する。図1に示されるように、移動中継局2は、通信状況測定部223と、エリア制御部224と、記憶部225と、送信部226と、位置情報取得部227と、アンテナ駆動部228とをさらに備える。
通信状況測定部223は、受信部221における、複数の端末局3からの端末アップリンク通信の通信状況を測定する。通信状況測定部223は、測定結果に基づいて、通信の混雑度を示す情報(以下、「混雑度情報」という。)を生成する。例えば、通信状況測定部223は、受信部221における、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を測定し、混雑度情報を生成する。
なお、混雑度情報は、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を示す情報そのものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、混雑度情報は、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を示す情報が所定の閾値の範囲内であるか否かに基づいて決定されるレベルを示す情報であってもよい。すなわち、例えば、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数がある範囲内である場合にはレベル1、より多い範囲内である場合にはレベル2、更により多い範囲内である場合にはレベル3といったように一意にレベルが決定される。この場合、アクセス数や受信信号強度の値の範囲とレベルとが対応付けられた情報が、例えば記憶部225などに予め記憶されている。
位置情報取得部227は、各々の端末局3の位置情報を取得する。当該位置情報は、各々の端末局3から送信され、受信部221によって受信された端末アップリンク信号に含まれる。
エリア制御部224は、送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を端末局3へ送信するタイミングを制御する。前述のとおり、送信許可信号は、端末局3に対し、環境データ等のデータを自己の移動中継局2へ送信することを許可することを示す制御信号である。エリア制御部224は、通信状況測定部223によって生成された混雑度情報を取得する。また、エリア制御部224は、位置情報取得部227によって取得された、各々の端末局3の位置を示す位置情報を取得する。
エリア制御部224は、取得された混雑度情報に基づいて、アンテナ駆動部228を用いて、ビームの走査速度を変更する。エリア制御部224は、取得された混雑度情報と位置情報とに基づいて、アンテナ駆動部228を用いて、ビームの走査速度を変更してもよい。前述の通り、例えば、エリア制御部224は、分割された小エリアに含まれる端末局3との通信の混雑度が、複数の小エリアにおいて均一化されるように、ビームの走査速度を変更する。エリア制御部224は、各小エリアのエリア情報を、記憶部225に記憶させる。
エリア制御部224は、記憶部225に記録されたエリア情報を参照し、ビームの照射範囲の小エリア(エリア情報に対応付けられた小エリア)に向けて送信される送信許可信号を生成する。エリア制御部224は、送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を端末局3へ送信するタイミングを制御する。エリア制御部224は、アンテナ21の向きの変更速度(ビームの走査速度)を、アンテナ駆動部228を用いて制御する。
アンテナ21の向きは、エリア制御部224による制御に応じて、アンテナ駆動部228によって変更される。アンテナ駆動部228は、例えば機械式の駆動機構を用いて、アンテナ21の向き(ビームの照射方向)を変更する。
送信部226は、エリア制御部224によって生成された送信許可信号を取得し、取得された送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を、アンテナ21から無線信号により送信する。送信部226は、LPWAにより信号を送信する。送信部226は、使用する無線通信方式において予め決められた方法により、自局が端末ダウンリンク信号の送信に使用するチャネルを決定する。送信部226が端末ダウンリンク信号を送信するタイミングは、エリア制御部224によって制御される。
記憶部225は、移動中継局2を搭載しているLEO衛星の軌道情報と通信対象エリアの位置とに基づいて予め計算された通信対象エリアごとの送信開始タイミングを記憶する。LEOの軌道情報は、任意の時刻におけるLEO衛星の位置、速度、移動方向などを得ることが可能な情報である。送信時刻は、例えば、送信開始タイミングからの経過時間で表してもよい。エリア制御部224は、記憶部225に記憶された、通信対象エリアごとの送信開始タイミングにおいて、送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を地上へ送信するように、送信部226を制御する。
前述の通り、移動中継局2は、例えば、地球の上空を所定の周期で周回するLEO衛星などに備えられる。エリア制御部224は、例えば、以前(例えば、一周回前の時点)において通信対象エリア内の複数の端末局3から端末アップリンク信号を受信した際の通信の混雑度に基づいて、ビームの走査速度の初期値を定める。または、エリア制御部224は、例えば、過去の同一の時間帯において通信対象エリア内の複数の端末局3から端末アップリンク信号を受信した際の通信の混雑度に基づいて、ビームの走査速度の初期値を定めてもよい。
端末局3の構成について説明する。図1に示されるように、端末局3は、受信部34と、送信制御部35と、位置情報生成部36とをさらに備える。
受信部34は、ビームの照射範囲に位置している場合、アンテナ33により端末ダウンリンク信号を受信する。
送信制御部35は、受信部34によって受信された端末ダウンリンク信号から送信許可信号を取得する。
位置情報生成部36は、例えばGPS受信機等の測位装置を備えており、自局の位置を特定する。位置情報生成部36は、特定された自局の位置を示す位置情報を生成する。
送信制御部35は、位置情報生成部36によって生成された、自局の位置を示す位置情報を取得する。送信制御部35は、送信許可信号が取得されたか否かを判定する。送信制御部35は、送信許可信号が取得されていない場合、移動中継局2への端末アップリンク信号の送信を開始させずに待機する。
送信制御部35は、送信許可信号が取得された場合、送信部32に、移動中継局2への端末アップリンク信号の送信を開始させる。このとき、送信制御部35は、環境データ等のデータに加えて、位置情報生成部36によって生成された位置情報を含む端末アップリンク信号を、送信部32に送信させる。
送信部32は、端末アップリンク信号を送信する。送信部32は、データ記憶部31から例えば環境データ等のセンサデータを端末送信データとして読み出す。送信部32は、読み出された端末送信データと、位置情報生成部36によって生成された自局の位置を示す位置情報とを含む端末アップリンク信号を、アンテナ33から無線信号により送信する。送信部32は、LPWAにより信号を送信する。
移動中継局2の受信部221は、アンテナ21により端末アップリンク信号を受信する。受信波形記録部222は、受信部221が受信した端末アップリンク信号に含まれる端末送信データの受信波形をサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部222は、アンテナ21における端末アップリンク信号の受信時刻と、選定された波形データとを含む受信波形情報を、データ記憶部23に書き込む。データ記憶部23は、受信波形記録部222により書き込まれた受信波形情報を記憶する。
送信制御処理における無線通信システム1の動作を説明する。
図6は、無線通信システム1による送信制御処理を示すフロー図である。移動中継局2のエリア制御部224は、アンテナ駆動部228を用いて、ビームの走査処理を実行する(ステップS311)。移動中継局2のエリア制御部224は、送信許可信号を生成する(ステップS312)。送信部226は、エリア制御部224によって生成された送信許可信号を取得し、取得された送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を、アンテナ21から無線信号により送信する(ステップS313)。移動中継局2は、ステップS311からの処理を繰り返す。
端末局3の受信部34は、アンテナ33により端末ダウンリンク信号を受信する(ステップS321)。端末局3の送信制御部35は、受信部34によって受信された端末ダウンリンク信号から、送信許可信号を取得する(ステップS322)。
端末局3の位置情報生成部36は、自局の位置を特定する(ステップS323)。位置情報生成部36は、特定された自局の位置を示す位置情報を生成する。送信制御部35は、位置情報生成部36によって生成された、自局の位置を示す位置情報を取得する(ステップS324)。
送信制御部35は、送信部32に端末アップリンク信号の送信を開始させる。このとき、送信制御部35は、環境データ等のデータと位置情報生成部36によって生成された自局の位置を示す位置情報とを含む端末アップリンク信号を、送信部32に送信させる。送信部32は、端末アップリンク信号を送信する(ステップS325)。端末局3は、ステップS321からの処理を繰り返す。
移動中継局2の受信部221は、アンテナ21により端末アップリンク信号を受信する(ステップS331)。移動中継局2の受信波形記録部222は、受信部221が受信した端末アップリンク信号の受信波形をサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部222は、アンテナ21における端末アップリンク信号の受信時刻と、選定された波形データとを含む受信波形情報を、データ記憶部23に書き込む。データ記憶部23は、受信波形記録部222により書き込まれた受信波形情報を記憶する(ステップS332)。
移動中継局2の通信状況測定部223は、受信部221における、複数の端末局3からの端末アップリンク通信の通信状況を測定し(ステップS333)、混雑度情報を生成する。移動中継局2の位置情報取得部227は、各々の端末局3の位置情報を取得する(ステップS334)。当該位置情報は、各々の端末局3から送信され、受信部221によって受信された端末アップリンク信号に含まれる。
エリア制御部224は、取得された混雑度情報と位置情報とに基づいて、ビームの走査速度を調整する(ステップS335)。前述の通り、例えば、移動中継局2は、分割される小エリアに含まれる端末局3との通信の混雑度が複数の小エリアの間で均一化されるように、走査速度を調整する。エリア制御部224は、ビームで走査された小エリアのエリア情報を、記憶部225に記憶させる(ステップS336)。移動中継局2は、ステップS331からの処理を繰り返す。
以上のように、第1の実施形態による無線通信システム1によれば、移動中継局2は、複数の端末局3からそれぞれ送信される端末アップリンク信号を受信し、通信状況を測定する。移動中継局2は、通信状況に基づく混雑度情報を生成する。また、移動中継局2は、複数の端末局3からそれぞれ送信される端末アップリンク信号に含まれる位置情報を取得する。当該位置情報は、各々の端末局3の位置を示す情報である。移動中継局2は、混雑度情報と位置情報とに基づいて、通信対象エリアにおけるビームの走査速度を調整する。
移動中継局2は、以降の周回時において、通信対象エリアを分割する小エリアに存在する端末局3ごとに、端末アップリンク信号の送信を許可する。移動中継局2は、送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を、地上へ向けて送信する。
端末局3は、受信した端末ダウンリンク信号が示す送信許可信号を取得し、送信許可信号を取得する。端末局3は、例えば測位装置等により、自局の位置を特定する。端末局3は、送信許可信号を取得した場合、移動中継局2への端末アップリンク信号の送信を開始する。このとき、端末局3は、環境データ等のデータと自局の位置を示す位置情報とを含む端末アップリンク信号を、移動中継局2へ送信してもよい。
また以上のように、第1の実施形態による無線通信システム1は、通信対象エリア300を分割する複数の小エリアのうちの1以上の小エリアに位置している1以上の端末局3(第1通信装置)と、移動中継局2(中継装置)と、基地局4(第2通信装置)とを有する。アンテナ駆動部228は、通信対象エリア300よりも狭い照射範囲301の1以上のビームを通信対象エリアに照射しながら複数の小エリアをビームで走査するように、1以上のアンテナ21を駆動する。受信部221は、照射範囲301に位置している端末局3から送信された端末アップリンク信号(第1無線信号)を、1以上のアンテナ21から取得する。送信部244は、端末アップリンク信号に応じた基地局ダウンリンク信号(第2無線信号)を、基地局4(第2通信装置)に送信する。
このような構成により、ビームの本数を必要以上に増やすことなく広いカバレッジを実現することができる。
アンテナ駆動部228は、混雑度に応じた走査速度で通信対象エリア300内をビームで走査するように、例えば機械式の駆動機構を用いて、アンテナ21の向きを駆動する。アンテナ駆動部228は、混雑度が閾値以上である場合に、走査速度を遅くするように、アンテナ21を駆動してもよい。アンテナ駆動部228は、混雑度が閾値未満である場合に、走査速度を速くするように、アンテナ21を駆動してもよい。
このような構成により、無線通信システム1は、端末局3から移動中継局2への端末アップリンク信号の送信タイミングを、ビームの照射範囲ごとに制御することができる。無線通信システム1は、例えば通信の混雑度を均一化させるようにビームの走査速度を調整する。これにより、無線通信システム1は、通信の混雑度が変動する場合であっても、通信の混雑度を均一化させるように調整することができるため、通信の信頼性低下を抑制しつつ、より多くの端末局3から送信されるセンサデータを、移動中継局2を介して基地局4へ伝送することができる。無線通信システム1は、少ない本数のビームで、広いカバレッジを展開できるので、通信機会が少ないIoT通信に適したシステムである。
なお、小エリアを示すエリア情報は、例えば緯度及び経度によって示される範囲を示す情報であってもよい。または、小エリアを示すエリア情報は、例えば、緯度及び経度等によって予め所定の区画に分割された小エリアを識別するインデックス情報であってもよい。この場合、各々のインデックス情報に対応する緯度及び経度等の範囲を示す情報は、予め移動中継局2と端末局3との間で共有されている必要がある。
なお、前述の通り、端末局3の送信制御部35は、送信許可信号を取得した場合、送信部32に端末アップリンク信号の送信を開始させる。このとき、送信制御部35は、直ちに端末アップリンク信号の送信を開始させるのではなく、送信許可信号を取得してからランダム時間が経過したタイミングで、端末アップリンク信号の送信を開始させるようにしてもよい。これにより、ビームの照射範囲(同一の小エリア内)に位置する複数の端末局3が同時に移動中継局2へ端末アップリンク信号の送信を開始することを回避することができる。よって、移動中継局2における通信の混雑度が軽減される。
(第1の実施形態の変形例1)
本変形例では、移動中継局は、複数本のアンテナにより基地局ダウンリンク信号を送信する。以下では、基地局ダウンリンク信号の送信に、MIMO(Multiple Input Multiple Output)を用いる場合を例にして、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
図7は、第1の実施形態の変形例1による無線通信システム1aの構成図である。同図において、図1に示す第1の実施形態における無線通信システム1と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム1aは、移動中継局2aと、端末局3と、基地局4aとを有する。
移動中継局2aは、アンテナ21と、端末通信部22と、データ記憶部23と、基地局通信部26と、複数のアンテナ25とを備える。基地局通信部26は、MIMOにより基地局4aへ受信波形情報を送信する。基地局通信部26は、記憶部261と、制御部262と、送信データ変調部263と、MIMO送信部264とを備える。記憶部261は、移動中継局2aを搭載しているLEO衛星の軌道情報と、基地局4aの位置とに基づいて、予め計算された送信開始タイミングを記憶する。さらに、記憶部261は、各アンテナ25から送信する基地局ダウンリンク信号の送信時刻毎のウェイト(重み係数)を予め記憶している。送信時刻毎のウェイトは、LEO衛星の軌道情報と、基地局4aが備える各アンテナ局410の位置とに基づいて計算される。なお、送信時刻によらず、一定のウェイトを使用してもよい。
制御部262は、記憶部261に記憶された送信開始タイミングにおいて、受信波形情報を基地局4aに送信するように送信データ変調部263及びMIMO送信部264を制御する。さらに、制御部262は、記憶部261から読み出した送信時刻毎のウェイトをMIMO送信部264に指示する。アンテナ25から送信されるビームの方向は、ウェイトに基づいて定まる。送信データ変調部263は、受信波形情報を送信データとしてデータ記憶部23から読み出し、読み出した送信データをパラレル信号に変換した後、パラレル信号を変調する。MIMO送信部264は、変調されたパラレル信号に、制御部262から指示されたウェイトにより重み付けを行い、各アンテナ25から送信する基地局ダウンリンク信号を生成する。MIMO送信部264は、生成した基地局ダウンリンク信号を、アンテナ25からMIMOにより送信する。
基地局4aは、複数のアンテナ局410と、MIMO受信部420と、基地局信号受信処理部430と、端末信号受信処理部44とを備える。アンテナ局410は、移動中継局2aの複数のアンテナ25から送信された無線信号の到来角差が大きくなるように、他のアンテナ局410から離れた位置に配置される。各アンテナ局410は、移動中継局2aから受信した基地局ダウンリンク信号を電気信号に変換して、電気信号をMIMO受信部420に出力する。
MIMO受信部420は、複数のアンテナ局410から受信した基地局ダウンリンク信号を集約する。MIMO受信部420は、LEO衛星の軌道情報と、各アンテナ局410の位置とに基づいて、各アンテナ局410が受信した基地局ダウンリンク信号に対する受信時刻毎のウェイトを記憶している。MIMO受信部420は、各アンテナ局410から入力された基地局ダウンリンク信号に対して、その基地局ダウンリンク信号の受信時刻に対応したウェイトを乗算し、ウェイトが乗算された受信信号を合成する。なお、受信時刻によらず同じウェイトを用いてもよい。基地局信号受信処理部430は、合成された受信信号の復調及び復号を行い、受信波形情報を得る。基地局信号受信処理部430は、受信波形情報を端末信号受信処理部44に出力する。
無線通信システム1aの動作を説明する。
端末局3から端末アップリンク信号を送信する場合の無線通信システム1aの処理は、図4に示す第1の実施形態の無線通信システム1の処理と同様である。
図8は、移動中継局2aから基地局ダウンリンク信号を送信する場合の無線通信システム1aの処理を示すフロー図である。移動中継局2aの基地局通信部26が有する制御部262は、記憶部261に記憶された送信開始タイミングが現在時刻であることを検出すると、受信波形情報の送信を送信データ変調部263及びMIMO送信部264に指示する(ステップS411)。送信データ変調部263は、データ記憶部23に蓄積していた受信波形情報を送信データとして読み出し、読み出した送信データをパラレル変換した後、送信データを変調する。MIMO送信部264は、送信データ変調部263が変調した送信データに制御部262から指示されたウェイトにより重み付けを行って、各アンテナ25から送信する送信信号である基地局ダウンリンク信号を生成する。MIMO送信部264は、生成した各基地局ダウンリンク信号をアンテナ25からMIMOにより送信する(ステップS412)。移動中継局2aは、ステップS411からの処理を繰り返す。
基地局4aの各アンテナ局410は、移動中継局2aから基地局ダウンリンク信号を受信する(ステップS421)。各アンテナ局410は、受信した基地局ダウンリンク信号を電気信号に変換した受信信号をMIMO受信部420に出力する。MIMO受信部420は、各アンテナ局410から受信した受信信号のタイミングを同期させる。MIMO受信部420は、各アンテナ局410が受信した受信信号にウェイトを乗算して加算する。基地局信号受信処理部430は、加算された受信信号を復調し、復調した受信信号を復号する(ステップS422)。基地局信号受信処理部430は、復号により得られた受信波形情報を端末信号受信処理部44に出力する。
端末信号受信処理部44は、図5に示す第1の実施形態の処理フローにおけるステップS223と同様の処理により、受信波形情報に含まれる波形データが表す端末アップリンク信号の受信処理を行う(ステップS423)。すなわち、端末信号復調部441は、波形データが表す受信信号に含まれる無線通信方式固有の情報に基づいて、端末局3が端末アップリンク信号の送信に用いた無線通信方式を特定する。端末信号復調部441は、特定した無線通信方式に従って、波形データが表す受信信号を復調し、復調により得られたシンボルを端末信号復号部442に出力する。端末信号復号部442は、端末信号復調部441から入力したシンボルを、特定された無線通信方式により復号し、端末局3から送信された端末送信データを得る。なお、端末信号復号部442は、SICのように、計算負荷が大きな復号方式を用いることも可能である。基地局4aは、ステップS421からの処理を繰り返す。
本変形例による無線通信システム1aによれば、移動中継局2aは、複数の端末局3から受信し、蓄積しておいたデータを、基地局4aと通信可能なタイミングで、短い時間で一括して品質良く送信することができる。
(第1の実施形態の変形例2)
本変形例では、移動中継局は、複数のアンテナにより端末アップリンク信号を受信し、複数のアンテナにより端末ダウンリンク信号を送信する。以下では、第1の実施形態の変形例1との差分を中心に説明する。
図9は、第1の実施形態の変形例2による無線通信システム1bの構成図である。同図において、図7に示す第1の実施形態の変形例1における無線通信システム1aと同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム1bは、移動中継局2bと、端末局3と、基地局4bとを有する。
移動中継局2bは、N本のアンテナ21(Nは2以上の整数)と、端末通信部22bと、データ記憶部23と、基地局通信部26と、複数本のアンテナ25とを備える。N本のアンテナ21をそれぞれ、アンテナ21-1~21-Nと記載する。
端末通信部22bは、N個の受信部221bと、N個の受信波形記録部222bとを有する。N個の受信部221bを、受信部221b-1~221b-Nと記載し、N個の受信波形記録部222bを、受信波形記録部222b-1~222b-Nと記載する。受信部221b-n(nは1以上N以下の整数)は、アンテナ21-nにより端末アップリンク信号を受信する。受信波形記録部222b-nは、受信部221b-nが受信した端末アップリンク信号の受信波形をサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部222b-nは、アンテナ21-nのアンテナ識別子と、アンテナ21-nにおける端末アップリンク信号の受信時刻と、生成した波形データとを含む受信波形情報を、データ記憶部23に書き込む。アンテナ識別子は、アンテナ21-nを特定する情報である。データ記憶部23は、アンテナ21-1~21-Nそれぞれが受信した端末アップリンク信号の波形データを含む受信波形情報を記憶する。
基地局4bは、複数のアンテナ局410と、MIMO受信部420と、基地局信号受信処理部430と、端末信号受信処理部450とを備える。
端末信号受信処理部450は、受信波形情報が示す端末アップリンク信号の受信処理を行う。このとき、端末信号受信処理部450は、端末局3が送信に使用した無線通信方式により受信処理を行って端末送信データを取得する。端末信号受信処理部450は、分配部451と、N個の端末信号復調部452と、合成部453と、端末信号復号部454とを備える。N個の端末信号復調部452をそれぞれ、端末信号復調部452-1~452-Nと記載する。
分配部451は、受信波形情報から同じ受信時刻の波形データを読み出し、読み出した波形データを、その波形データに対応付けられたアンテナ識別子に応じて端末信号復調部452-1~452-Nに出力する。つまり、分配部451は、アンテナ21-nのアンテナ識別子に対応付けられた波形データを、端末信号復調部452-nに出力する。端末信号復調部452-1~452-Nはそれぞれ、波形データが表す信号を復調し、復調により得られたシンボルを合成部453に出力する。端末信号復調部452-nは、波形データが表す信号に対して、移動中継局2のアンテナ21-nが受信した端末アップリンク信号のドップラーシフトを補償する処理を行ってから、復調を行ってもよい。各アンテナ21-nが受信した端末アップリンク信号が受けるドップラーシフトは、端末局3の位置と、移動中継局2bが搭載されているLEOの軌道情報に基づき予め計算される。合成部453は、端末信号復調部452-1~452-Nのそれぞれから入力したシンボルを加算合成し、端末信号復号部454に出力する。端末信号復号部454は、加算合成されたシンボルを復号し、端末局3から送信された端末送信データを得る。
また、図9に示されるように、移動中継局2bは、通信状況測定部223bと、エリア制御部224bと、記憶部225と、送信部226bと、位置情報取得部227bをさらに備える。
通信状況測定部223bは、受信部221b-1~221b-Nにおける、複数の端末局3からの端末アップリンク通信の通信状況を測定する。通信状況測定部223bは、測定結果に基づいて、通信の混雑度を示す情報(混雑度情報)を生成する。例えば、通信状況測定部223bは、受信部221b-1~221b-Nにおける、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を測定し、混雑度情報を生成する。
なお、混雑度情報は、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を示す情報そのものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、混雑度情報は、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を示す情報が所定の閾値の範囲内であるか否かに基づいて決定されるレベルを示す情報であってもよい。この場合、アクセス数や受信信号強度の値の範囲とレベルとが対応付けられた情報が、例えば記憶部225などに予め記憶されている。
位置情報取得部227bは、各々の端末局3の位置情報を取得する。当該位置情報は、各々の端末局3から送信され、受信部221b-1~221b-Nによって受信された端末アップリンク信号に含まれる。
エリア制御部224bは、送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を端末局3へ送信するタイミングを制御する。エリア制御部224bは、通信状況測定部223bによって生成された混雑度情報を取得する。また、エリア制御部224bは、位置情報取得部227bによって取得された、各々の端末局3の位置を示す位置情報を取得する。
エリア制御部224bは、取得された混雑度情報に基づいて、ビームの走査速度を変更する。エリア制御部224bは、取得された混雑度情報と位置情報とに基づいて、ビームの走査速度を変更してもよい。例えば、移動中継局2bは、分割された小エリアに含まれる端末局3との通信の混雑度が、複数の小エリアにおいて均一化されるように、ビームの走査速度を変更する。エリア制御部224bは、各小エリアのエリア情報を、記憶部225に記憶させる。
エリア制御部224bは、記憶部225に記録されたエリア情報を参照し、ビームの照射範囲の小エリア(エリア情報に対応付けられた小エリア)に向けて送信される送信許可信号を生成する。エリア制御部224bは、送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を端末局3へ送信するタイミングを制御する。エリア制御部224bは、ビームの照射方向の変更速度(ビームの走査速度)を制御する。
ここで、アンテナ21の向きは変更されずに、アンテナ駆動部228によってビームの照射方向が変更されてもよい。アンテナ駆動部228は、エリア制御部224による制御に応じて、例えばフェーズドアレイを用いてビームの照射方向を変更する。ビームは、グループ化されたアンテナ21群ごとに生成される。
送信部226bは、エリア制御部224bによって生成された送信許可信号を取得し、取得された送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を、複数のアンテナ21から無線信号により送信する。送信部226bは、LPWAにより信号を送信する。送信部226bは、使用する無線通信方式において予め決められた方法により、自局が端末ダウンリンク信号の送信に使用するチャネルを決定する。送信部226bが端末ダウンリンク信号を送信するタイミングは、エリア制御部224bによって制御される。
記憶部225は、移動中継局2bを搭載しているLEO衛星の軌道情報と、通信対象エリアの位置とに基づいて、予め計算された、通信対象エリアごとの送信開始タイミングを記憶する。エリア制御部224bは、記憶部225に記憶された、通信対象エリアごとの送信開始タイミングにおいて、送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を地上へ送信するように、送信部226bを制御する。
エリア制御部224bは、例えば、以前(例えば、一周回前の時点)において通信対象エリア内の複数の端末局3から端末アップリンク信号を受信した際の通信の混雑度に基づいて、ビームの走査速度の初期値を定める。または、エリア制御部224bは、例えば、過去の同一の時間帯において通信対象エリア内の複数の端末局3から端末アップリンク信号を受信した際の通信の混雑度に基づいて、ビームの走査速度の初期値を定めてもよい。
また、図9に示されるように、端末局3は、受信部34と、送信制御部35と、位置情報生成部36とをさらに備える。受信部34は、アンテナ33により端末ダウンリンク信号を受信する。送信制御部35は、受信部34によって受信された端末ダウンリンク信号から送信許可信号を取得する。
位置情報生成部36は、例えばGPS受信機等の測位装置を備えており、自局の位置を特定する。位置情報生成部36は、特定された自局の位置を示す位置情報を生成する。
送信制御部35は、位置情報生成部36によって生成された、自局の位置を示す位置情報を取得する。送信制御部35は、送信許可信号が取得されたか否かを判定する。送信制御部35は、送信許可信号が取得されていない場合、端末局3は移動中継局2bへの端末アップリンク信号の送信を開始せずに待機する。
送信制御部35は、自局の位置が当該小エリアに含まれている場合(ビームの照射範囲に自局が位置している場合)、送信部32に端末アップリンク信号の送信を開始させる。このとき、送信制御部35は、環境データ等のデータと位置情報生成部36によって生成された自局の位置を示す位置情報とを含む端末アップリンク信号を、送信部32に送信させる。
送信部32は、端末アップリンク信号を送信する。送信部32は、データ記憶部31から例えば環境データ等のセンサデータを端末送信データとして読み出す。送信部32は、読み出された端末送信データと、位置情報生成部36によって生成された自局の位置を示す位置情報とを含む端末アップリンク信号を、アンテナ33から無線信号により送信する。送信部32は、LPWAにより信号を送信する。
移動中継局2bの受信部221b-1~221b-Nは、アンテナ21-1~21-Nにより端末アップリンク信号を受信する。受信波形記録部222b-1~222b-Nは、受信部221b-1~221b-Nが受信した端末アップリンク信号の受信波形をサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部222b-1~222b-Nは、アンテナ21-1~21-Nにおける端末アップリンク信号の受信時刻と、選定された波形データとを含む受信波形情報を、データ記憶部23に書き込む。データ記憶部23は、受信波形記録部222b-1~222b-Nにより書き込まれた受信波形情報を記憶する。
図10は、ビームの走査例を示す図である。複数のアンテナ21は、マルチアンテナ素子(マッシブアンテナアレイ)を構成している。アンテナ21の本数は、通信対象エリア300に照射されるビームの本数よりも多い。複数のアンテナ21は、クラスタに予め分割(グループ化)されている。複数のアンテナ21では、クラスタごとに、ビームフォーミングによってビームが形成される。アンテナ駆動部228は、マルチアンテナ素子によるマルチビームフォーミングを用いて各ビームの照射方向を制御することによって、各ビームの照射範囲301の位置を移動させる。すなわち、アンテナ駆動部228は、通信対象エリア300を各ビームで走査するように、マルチアンテナ素子によるマルチビームフォーミングを用いて、複数のアンテナ21を制御する。図10に記載の矢印は走査方向の例を表す。
アンテナ駆動部228は、通信対象エリア300を走査しているビームの走査速度を、通信の混雑度に基づいて変更する。例えば、移動中継局2は、小エリアごとに含まれている端末局3との通信の混雑度が、複数の小エリアにおいて均一化されるように走査速度を変更する。
例えば、通信の混雑度が閾値以上である場合、アンテナ駆動部228は、ビームの走査速度を遅くする。すなわち、エリア制御部224は、多くの端末アップリンク信号を送信する端末局3が存在する照射範囲301(小エリア)に対するビームの照射時間を長くするよう、通信の混雑度(パラメータ)をアンテナ駆動部228に設定する。これによって、多くの端末アップリンク信号を送信する端末局3から送信される信号の利得を向上させることができる。また、通信の混雑度が閾値以上である場合、アンテナ駆動部228は、ビームの走査速度を一時的に0にしてもよい。すなわち、通信の混雑度が閾値以上である場合、アンテナ駆動部228は、ビームの走査を一時的に停止してもよい。
例えば、通信の混雑度が閾値未満である場合、アンテナ駆動部228は、ビームの走査速度を速くする。これによって、通信対象エリア300(全ての小エリア)の走査を短時間で完了させることができる。
アンテナ駆動部228は、通信の混雑度と複数の端末局3のそれぞれの位置を示す位置情報とに基づいて、通信対象エリア300を走査しているビームの走査速度を変更してもよい。例えば、移動中継局2は、小エリアごとに含まれている端末局3との通信の混雑度と複数の端末局3のそれぞれの位置とが、複数の小エリアにおいて均一化されるように走査速度を変更する。
例えば、通信の混雑度と位置情報の個数とが閾値以上である場合、アンテナ駆動部228は、ビームの走査速度を遅くする。すなわち、エリア制御部224は、多数の端末局3が存在する照射範囲301(小エリア)に対するビームの照射時間を長くするよう、通信の混雑度(パラメータ)をアンテナ駆動部228に設定する。これによって、多くの端末局3から送信される端末アップリンク信号の利得を向上させることができる。通信の混雑度と位置情報の個数とが閾値以上である場合、アンテナ駆動部228は、ビームの走査速度を一時的に0にしてもよい。すなわち、通信の混雑度と位置情報の個数とが閾値以上である場合、アンテナ駆動部228は、ビームの走査を一時的に停止してもよい。
例えば、通信の混雑度と位置情報の個数とが閾値未満である場合、アンテナ駆動部228は、ビームの走査速度を速くする。これによって、通信対象エリア300(全ての小エリア)の走査を短時間で完了させることができる。
アンテナ駆動部228は、ビームの照射範囲301同士を離した状態で、通信対象エリア300における複数の小エリアを各ビームで走査するように、アンテナ21を駆動する。これによって、端末アップリンク信号同士の干渉が生じないようにすることが可能である。
無線通信システム1bの動作を説明する。
図11は、ビームの走査処理を示すフロー図である。エリア制御部224は、通信対象エリア300に対してビームを照射することが可能となる所定位置に移動中継局2が到着したか否かを判定する(ステップS401)。所定位置に移動中継局2が到着していないと判定された場合(ステップS401・No)、エリア制御部224は、所定時間の経過後に、ステップS401を再実行する。
所定位置に移動中継局2が到着したと判定された場合(ステップS401・Yes)、アンテナ駆動部228は、エリア情報に基づいて、通信対象エリア300を分割する複数の小エリアのうちの1以上の小エリアに、アンテナ21を用いてビームを照射する(ステップS402)。アンテナ駆動部228は、混雑度に応じた走査速度で通信対象エリア300内を各ビームで走査するように、アンテナ21を駆動する。ここで、アンテナ駆動部228は、ビームの照射範囲301同士を離した状態で通信対象エリア300を各ビームで走査するように、アンテナ21を駆動する(ステップS403)。受信部221は、アンテナ21を用いて、端末アップリンク信号を受信する。エリア制御部224は、端末アップリンク信号に基づいて、通信の混雑度を導出する(ステップS404)。
アンテナ駆動部228は、通信の混雑度が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS405)。通信の混雑度が閾値以上であると判定された場合(ステップS405・Yes)、アンテナ駆動部228は、各ビームの走査速度を遅くするように、アンテナ21を駆動する。アンテナ駆動部228は、各ビームの走査を一時的に停止してもよい(ステップS406)。通信の混雑度が閾値未満であると判定された場合(ステップS405・No)、アンテナ駆動部228は、各ビームの走査速度を速くするように、アンテナ21を駆動する(ステップS407)。
アンテナ駆動部228は、ビームが照射された小エリア(照射範囲301の少なくとの一部と重なった小エリア)のエリア情報を、走査済の小エリアの情報として、小エリアごとに記憶部225に記録する(ステップS408)。これによって、アンテナ駆動部228は、走査済の小エリアと未走査の小エリアとを、通信対象エリア300において区別することができる。
アンテナ駆動部228は、通信対象エリア300における全ての小エリアを走査したか否かを判定する(ステップS409)。未走査の小エリアがあると判定された場合(ステップS409・No)、アンテナ駆動部228は、ステップS403に処理を戻す。全ての小エリアを走査したと判定された場合(ステップS409・Yes)、アンテナ駆動部228は、図11に示された処理を終了する。
図12は、端末局3から移動中継局2bへ端末アップリンク信号を送信する場合の無線通信システム1bの処理を示すフロー図である。同図において、図4に示す第1の実施形態の処理フローと同じ処理には、同一の符号を付している。端末局3は、図4に示す第1の実施形態の処理フローにおけるステップS111~ステップS112の処理と同様の処理を行う。なお、端末局3は、時分割多重、OFDM又はMIMOなどにより、他の端末局3との送信を行ってもよい。
移動中継局2bの受信部221b-1~221b-Nは、端末局3から送信された端末アップリンク信号を受信する(ステップS521)。送信元の端末局3の無線通信方式によって、同一の周波数については時分割で1台の端末局3からのみ端末アップリンク信号を受信する場合と、同一の周波数で同時に複数台の端末局3から端末アップリンク信号を受信する場合がある。受信波形記録部222b-nは、受信部221b-nが受信した端末アップリンク信号の波形を表す波形データと、受信時刻と、アンテナ21-nのアンテナ識別子とを対応付けた受信波形情報を、データ記憶部23に書き込む(ステップS522)。移動中継局2bは、ステップS521からの処理を繰り返す。
移動中継局2bから基地局4へ基地局ダウンリンク信号を送信する場合の無線通信システム1bの処理は、以下の処理を除いて、図8に示す第1の実施形態の変形例1の処理フローと同様である。すなわち、ステップS423において、端末信号受信処理部450は、受信波形情報が示す端末アップリンク信号の受信処理を行う。具体的には、分配部451は、受信波形情報から受信時刻が同じ波形データを読み出し、読み出した波形データを、その波形データに対応付けられたアンテナ識別子に応じて端末信号復調部452-1~452-Nに出力する。端末信号復調部452-1~452-Nはそれぞれ、波形データが表す受信信号に含まれる無線通信方式固有の情報に基づいて、端末局3が端末アップリンク信号の送信に用いた無線通信方式を特定する。端末信号復調部452-1~452-Nは、特定した無線通信方式に従って、波形データが表す受信信号を復調し、復調により得られたシンボルを合成部453に出力する。
合成部453は、端末信号復調部452-1~452-Nのそれぞれから入力したシンボルを加算合成する。加算合成により、端末局3が送信した信号は相関があるために強調されるが、ランダムに付加される雑音の影響は低減される。そのため、移動中継局2bが同時に1台の端末局3からのみ受信した端末アップリンク信号についてはダイバーシティー効果が得られる。また、移動中継局2bが同時に複数台の端末局3から受信した端末アップリンク信号についてはMIMO通信を行うことに相当する。合成部453は、加算合成したシンボルを端末信号復号部454に出力する。端末信号復号部454は、合成部453により加算合成されたシンボルを特定された無線通信方式により復号し、端末局3から送信された端末送信データを得る。なお、端末信号復号部454は、SICのように、計算負荷が大きな復号方式を用いることも可能である。
図13は、無線通信システム1bによる送信制御処理を示すフロー図である。移動中継局2のエリア制御部224bは、アンテナ駆動部228を用いて、ビームの走査処理を実行する(ステップS611)。移動中継局2bのエリア制御部224bは、送信許可信号を生成する(ステップS612)。なお、送信部226bは、エリア制御部224bによって生成された送信許可信号を取得し、取得された送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を、アンテナ21-1~21-Nから無線信号により送信する(ステップS613)。移動中継局2bは、ステップS611からの処理を繰り返す。
端末局3の受信部34は、アンテナ33により端末ダウンリンク信号を受信する(ステップS621)。端末局3の送信制御部35は、受信部34によって受信された端末ダウンリンク信号から、送信許可信号を取得する(ステップS622)。
端末局3の位置情報生成部36は、自局の位置を特定する(ステップS623)。位置情報生成部36は、特定された自局の位置を示す位置情報を生成する。送信制御部35は、位置情報生成部36によって生成された、自局の位置を示す位置情報を取得する(ステップS624)。
送信制御部35は、送信部32に端末アップリンク信号の送信を開始させる。このとき、送信制御部35は、環境データ等のデータと、位置情報生成部36によって生成された自局の位置を示す位置情報とを含む端末アップリンク信号を、送信部32に送信させる。送信部32は、端末アップリンク信号を送信する(ステップS625)。端末局3は、ステップS621からの処理を繰り返す。
移動中継局2bの受信部221b-1~221b-Nは、アンテナ21-1~21-Nにより端末アップリンク信号を受信する(ステップS631)。移動中継局2bの受信波形記録部222b-1~222b-Nは、受信部221b-1~221b-Nが受信した端末アップリンク信号の受信波形をサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部222b-1~222b-Nは、アンテナ21-1~21-Nにおける端末アップリンク信号の受信時刻と、選定された波形データとを含む受信波形情報を、データ記憶部23に書き込む。データ記憶部23は、受信波形記録部222b-1~222b-Nにより書き込まれた受信波形情報を記憶する(ステップS632)。
移動中継局2bの通信状況測定部223bは、受信部221b-1~221b-Nにおける、複数の端末局3からの端末アップリンク通信の通信状況を測定し(ステップS633)、通信の混雑度を示す情報(混雑度情報)を生成する。移動中継局2bの位置情報取得部227bは、各々の端末局3の位置情報を取得する(ステップS334)。当該位置情報は、各々の端末局3から送信され、受信部221b-1~221b-Nによって受信された端末アップリンク信号に含まれる。
エリア制御部224bは、取得された混雑度情報と位置情報とに基づいて、ビームの走査速度を調整する(ステップS635)。前述の通り、例えば、移動中継局2bは、分割される小エリアに含まれる端末局3との通信の混雑度が複数の小エリアの間で均一化されるように、走査速度を調整する。エリア制御部224bは、ビームで走査された小エリアのエリア情報を、記憶部225に記憶させる(ステップS636)。移動中継局2bは、ステップS631からの処理を繰り返す。
以上のように、第1の実施形態の変形例2による無線通信システム1によれば、アンテナ駆動部228は、混雑度に応じた走査速度で通信対象エリア300内を各ビームで走査するように、例えばフェーズドアレイを用いて、1以上のアンテナ21を駆動する。アンテナ駆動部228は、混雑度が閾値以上である場合に、走査速度を遅くするように、1以上のアンテナ21を駆動する。アンテナ駆動部228は、混雑度が閾値未満である場合に、走査速度を速くするように、アンテナ21を駆動する。アンテナ駆動部228は、照射範囲301同士を離した状態で、複数の小エリアを1以上のビームで走査するように、1以上のアンテナ21を駆動してもよい。
本変形例によれば、移動中継局2bは、端末局3から送信された端末アップリンク信号をダイバーシティ受信や、MIMO受信などにより受信する。よって、本変形例による無線通信システム1bによれば、移動中継局2bと端末局3との間の通信のリンクバジェットを向上させることができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、複数の移動中継局が連携するという点が、第1の実施形態と相違する。第2の実施形態では、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
前述の第1の実施形態による無線通信システム1(1a,1b)では、通信対象エリアが分割された複数の小エリアのそれぞれに対して、1つの移動中継局2が順に送信許可信号を送信していく構成であった。これに対し、本実施形態による無線通信システム1cは複数の移動中継局2cを有する。無線通信システム1cは、いずれかの移動中継局2cに小エリアを割り振る処理(以下、「振分処理」という。)を行う。各々の移動中継局2cは、自局に割り振られた小エリアに対してビームの走査処理を実行することによって、ビームの照射範囲に位置している端末局3へ端末ダウンリンク信号を送信する。
このような構成により、通信対象エリアに存在する複数の端末局3から送信される端末アップリンク信号を、複数の移動中継局2cが分担して(例えば均等に)受信するように制御することができる。これにより、本実施形態による無線通信システム1cは、各々の移動中継局2cにおける通信の混雑度を緩和させることができ、通信の混雑度が変動する場合でも、通信の信頼性低下を抑制することができる。
図14は、第2の実施形態による無線通信システム1cの構成図である。同図において、図1に示す第1の実施形態における無線通信システム1と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。無線通信システム1cは、複数の移動中継局2cと、端末局3と、基地局4aとを有する。無線通信システム1cが有する複数の移動中継局2c、端末局3及び基地局4のそれぞれの数は任意であるが、端末局3の数は多数であることが想定される。無線通信システム1cは、即時性が要求されない情報の伝送を行う通信システムである。複数の端末局3からそれぞれ送信された情報は、複数の移動中継局2cのいずれかを介して伝送され、基地局4によって収集される。
移動中継局2cは、通信可能なエリアが時間の経過により移動する中継装置の一例である。複数の移動中継局2cは、それぞれ別々の移動体に搭載される。移動中継局2cは、例えば、LEO衛星に備えられる。複数のLEO衛星は、例えば低軌道上を編隊飛行する。端末局3及び基地局4は、地上や海上など地球上に設置される。端末局3は、例えば、IoT端末である。端末局3は、センサが検出した環境データ等のデータを収集し、移動中継局2cへ無線信号により送信する。同図では、2台の端末局3のみを示している。移動中継局2cは、地球の上空を移動しながら、複数の端末局3それぞれから送信されたデータを無線信号により受信する。移動中継局2cは、受信したこれらのデータを蓄積し、蓄積しておいたデータを、基地局4との通信が可能なタイミングで一括して基地局4へ無線送信する。基地局4は、端末局3が収集したデータを移動中継局2cから受信する。
移動中継局2cは、アンテナ21と、端末通信部22cと、データ記憶部23と、基地局通信部24と、アンテナ25と、中継局間通信部27と、アンテナ28とを備える。
なお、本実施形態では、一例として、複数の移動中継局2cのうち特定の1つの移動中継局2c(以下、「ホストとなる移動中継局2c」という。)が、複数の小エリアのそれぞれを複数の移動中継局2cのいずれかに割り振る処理(振分処理)を行うものとする。
ホストとなる移動中継局2cの端末通信部22cは、複数の端末局3からの端末アップリンク通信の通信状況を測定する。端末通信部22cは、測定結果に基づいて、通信の混雑度を示す情報(混雑度情報)を生成する。例えば、端末通信部22cは、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を測定する。
なお、混雑度情報は、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を示す情報そのものであってもよい。又は、混雑度情報は、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を示す情報が所定の閾値の範囲内であるか否かに基づいて決定されるレベルを示す情報であってもよい。
また、端末通信部22cは、複数の端末局3から送信された端末アップリンク通信に含まれる、端末局3の位置を示す位置情報をそれぞれ取得する。
端末通信部22cは、取得された混雑度情報と位置情報とに基づいて、ビームの走査速度を調整する。例えば、端末通信部22cは、分割される小エリアに含まれる端末局3との通信の混雑度が、複数の小エリアの間で均一化されるように、ビームの走査速度を調整する。
さらに、端末通信部22cは、通信対象エリアが分割された複数の小エリアのそれぞれを、複数の移動中継局2cのいずれかに割り振る処理(振分処理)を行う。端末通信部22cは、例えば、通信対象エリアに存在する複数の端末局3から送信される端末アップリンク信号を、複数の移動中継局2cが分担して(例えば均等に)受信するように制御する。端末通信部22cは、振分処理の結果を示す振分情報を生成する。振分情報とは、小エリアを示すエリア情報と、当該小エリアに対して割り振られた移動中継局2cを識別する情報とが対応付けられた情報である。
各々の移動中継局2cの中継局間通信部27は、アンテナ28により互いにデータの送受信(衛星間通信)を行うことができる。なお、移動中継局2c間の通信には、例えば23GHz帯の通信帯域が用いられる。
ホストとなる移動中継局2cの中継局間通信部27は、端末通信部22cによって生成された振分情報を他の移動中継局2cへ送信する。これにより、複数の移動中継局2cは振分情報を共有することができる。共有された振分情報に基づいて、各々の移動中継局2cは、自局に割り振られた小エリアを認識することができる。
自局に割り振られた小エリアを認識した移動中継局2cの端末通信部22cは、当該小エリアに対して通信が可能となるタイミングで、送信許可信号を生成する。前述のとおり、送信許可信号は、端末局3に対し、環境データ等のデータを自己の移動中継局2cへ送信することを許可することを示す制御信号である。
端末通信部22cは、生成された送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を、アンテナ21から無線信号により送信する。端末通信部22cは、例えばLPWAにより信号を送信する。端末通信部22cは、使用する無線通信方式において予め決められた方法により、自局が端末ダウンリンク信号の送信に使用するチャネルを決定する。
端末通信部22cは、移動中継局2cを搭載しているLEO衛星の軌道情報と、各小エリアの位置とに基づいて、予め計算された小エリアごとの送信開始タイミングを記憶する。LEOの軌道情報は、任意の時刻におけるLEO衛星の位置、速度、移動方向などを得ることが可能な情報である。送信時刻は、例えば、送信開始タイミングからの経過時間で表してもよい。端末通信部22cは、通信対象の小エリアの送信開始タイミングにおいて、送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を地上へ向けて送信する。
端末通信部22cは、通信対象エリアで端末アップリンク信号を受信した際の通信の混雑度に基づいて、ビームの走査処理を実行する
なお、本実施形態においては、ホストとなる移動中継局2cが他の移動中継局2cへ振分情報そのものを送信する構成としたが、これに限られるものではない。例えば、ホストとなる移動中継局2cが、他の移動中継局2cのそれぞれに対応する
エリア情報のみを送信する構成であってもよい。
なお、本実施形態においては、ホストとなる特定の移動中継局2cが振分処理を行う構成としたが、これに限られるものではない。例えば、複数の移動中継局2cにおいて、ホストとなる移動中継局2cが、時間帯や位置等に基づいて切り替わるような構成であってもよい。又は、例えば、基地局4が、少なくとも1つの移動中継局2cから混雑度情報と端末局3の位置を示す位置情報(又はエリア情報)とを取得して振分処理を行う構成であってもよい。この場合、例えば基地局4は、振分処理によって生成された振分情報を、複数の移動中継局2cへ送信する。
無線通信システム1cの動作を説明する。
図15は、ホストとなる移動中継局2cによる振分処理を示すフロー図である。
移動中継局2cの端末通信部22cは、自局がホストとなる移動中継局2cである場合(ステップS711・Yes)、複数の端末局3からの端末アップリンク通信の通信状況を測定する(ステップS712)。なお、自局がホストであるか否かを判定するための情報は、例えば予め端末通信部22cに記憶されている。又は、自局がホストであるか否かを判定するための情報は、基地局4から移動中継局2cへ随時通知される構成であってもよい。
端末通信部22cは、測定結果に基づいて、通信の混雑度を示す情報(混雑度情報)を生成する。前述の通り、例えば端末通信部22cは、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を測定する。なお、前述の通り、混雑度情報は、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を示す情報そのものであってもよい。又は、混雑度情報は、複数の端末局3からの単位時間当たりの端末アップリンク通信のアクセス数、又は端末アップリンク通信の周波数帯の受信信号強度を示す情報が所定の閾値の範囲内であるか否かに基づいて決定されるレベルを示す情報であってもよい。
また、端末通信部22cは、複数の端末局3から送信された端末アップリンク通信に含まれる、端末局3の位置を示す位置情報をそれぞれ取得する(ステップS713)。
端末通信部22cは、通信対象エリアが分割された複数の小エリアのそれぞれを、複数の移動中継局2cのいずれかに割り振る処理(振分処理)を行う(ステップS714)。端末通信部22cは、例えば、通信対象エリアに存在する複数の端末局3から送信される端末アップリンク信号を、複数の移動中継局2cが分担して(例えば均等に)受信するように制御する。端末通信部22cは、振分処理の結果を示す振分情報を生成する。前述の通り、振分情報とは、小エリアを示すエリア情報と、当該小エリアに対して割り振られた移動中継局2cを識別する情報とが対応付けられた情報である。
移動中継局2cの中継局間通信部27は、端末通信部22cによって生成された振分情報を他の移動中継局2cへ送信する(ステップS715)。
移動中継局2cの端末通信部22cは、振分情報に基づいて、自局に割り振られた小エリアを特定する(ステップS716)。端末通信部22cは、取得された混雑度情報と位置情報とに基づいて、小エリアの振分処理を実行する(ステップS714)。端末通信部22cは、当該小エリアに対して通信が可能となるタイミングで、送信許可信号を生成する。端末通信部22cは、生成された送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を、アンテナ21から無線信号により送信する(ステップS719)。端末通信部22cは、通信対象の小エリアの送信開始タイミングにおいて、送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を地上へ向けて送信する。
端末通信部22cは、同一の通信対象エリアで端末アップリンク信号を受信した際の通信の混雑度に基づいて、ビームの走査処理を実行する。ホストとなる移動中継局2cは、ステップS711からの処理を繰り返す。
一方、移動中継局2cの端末通信部22cは、自局がホストではない移動中継局2cである場合(ステップS711・No)、ホストとなる移動中継局2cから送信される振分情報の受信を待ち受ける(ステップS716)。端末通信部22cは、振分情報を受信した場合(ステップS716・Yes)、振分情報に基づいて、自局に割り振られた小エリアを特定する(ステップS717)。端末通信部22cは、端末アップリンク信号を受信した際の通信の混雑度に基づいて、ビームの走査処理を実行する(ステップS718)。端末通信部22cは、当該小エリアに対して通信が可能となるタイミングで、送信許可信号を生成する。端末通信部22cは、生成された送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を、アンテナ21から無線信号により送信する(ステップS719)。端末通信部22cは、通信対象の小エリアの送信開始タイミングにおいて、送信許可信号を含む端末ダウンリンク信号を地上へ向けて送信する。
ホストではない移動中継局2cは、ステップS711からの処理を繰り返す。
以上のように、第2の実施形態による無線通信システム1cは、複数の小エリアのそれぞれを複数の移動中継局2cのいずれかに割り振る処理(振分処理)を行う。各々の移動中継局2cは、自局に割り振られた小エリアに対して送信許可信号を送信する。このような構成により、通信対象エリアに存在する複数の端末局3から送信される端末アップリンク信号を、複数の移動中継局2cが分担して(例えば均等に)受信するように制御することができる。これにより、本実施形態による無線通信システム1cは、各々の移動中継局2cにおける通信の混雑度を緩和させることができ、通信の混雑度が変動する場合でも、通信の信頼性低下を抑制することができる。
また、各々の移動中継局2cは、送信許可信号を端末ダウンリンク信号に含めて端末局3へ送信する。端末局3は、受信した端末ダウンリンク信号が示す送信許可信号を取得し、当該送信許可信号に基づいて、移動中継局2cへの端末アップリンク信号の送信を開始するか否かを決定する。このような構成により、無線通信システム1cは、端末局3から移動中継局2cへの端末アップリンク信号の送信タイミングを制御することができる。このような構成により、無線通信システム1cは、通信の混雑度が変動する場合であっても、通信の信頼性低下を抑制しつつ、より多くの端末局3から送信されるセンサデータを、移動中継局2cを介して基地局4へ伝送することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、ビームの照射範囲301に位置している各々の端末局3d、端末アップリンク信号の送信タイミングを自律的に制御するという点が、第1の実施形態及び第2の実施形態と相違する。第3の実施形態では、第1の実施形態及び第2の実施形態との差分を中心に説明する。
前述の第1の実施形態及び第2の実施形態による無線通信システム1(1a,1b,1c)では、移動中継局2(2a,2b,2c)が、複数の端末局3から送信される端末アップリンク信号を受信し、通信状況を測定する構成であった。そして、無線通信システム1(1a,1b,1c)は、移動中継局2(2a,2b,2c)が、測定された通信状況に基づく混雑度状況と、端末アップリンク信号に含まれる各々の端末局3の位置を示す位置情報とに基づいて、ビームの走査速度を変更する。そして、移動中継局2(2a,2b,2c)が、分割された小エリアごとに、スポット化されたビームを用いて、端末局3による端末アップリンク信号の送信を許可する構成であった。
すなわち、前述の第1の実施形態及び第2の実施形態による無線通信システム1(1a,1b,1c)では、移動中継局2(2a,2b,2c)が、端末局3による端末アップリンク信号の送信タイミングを制御する構成であった。これに対し、本実施形態による無線通信システム1dでは、ビームの照射範囲301に位置している各々の端末局3dが、端末アップリンク信号の送信タイミングを自律的に制御する構成である。
図16は、第3の実施形態による無線通信システム1dの構成図である。同図において、図1に示す第1の実施形態における無線通信システム1と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図16に示されるように、無線通信システム1dは、移動中継局2dと、端末局3dと、基地局4とを有する。無線通信システム1dが有する移動中継局2d、端末局3d及び基地局4のそれぞれの数は任意であるが、端末局3dの数は多数であることが想定される。無線通信システム1dは、即時性が要求されない情報の伝送を行う通信システムである。複数の端末局3dからそれぞれ送信された情報は、移動中継局2dを介して伝送され、基地局4によって収集される。
移動中継局2dは、移動体に搭載され、通信可能なエリアが時間の経過により移動する中継装置の一例である。移動中継局2dは、例えば、LEO衛星に備えられる。LEO衛星の高度は、地球の上空を周回する。端末局3d及び基地局4は、地上や海上など地球上に設置される。複数の端末局3dは、互いに異なる場所に存在する。端末局3dは、例えば、IoT端末である。端末局3dは、センサが検出した環境データ等のデータを収集し、移動中継局2dへ無線信号により送信する。同図では、2台の端末局3dのみを示している。移動中継局2dは、地球の上空を移動しながら、複数の端末局3dそれぞれから送信されたデータを無線信号により受信する。移動中継局2dは、受信したこれらのデータを蓄積し、蓄積しておいたデータを、基地局4との通信が可能なタイミングで一括して基地局4へ無線送信する。基地局4は、端末局3dが収集したデータを移動中継局2dから受信する。
移動中継局2dとして、静止衛星や、ドローン、HAPSなどの無人航空機に搭載された中継局を用いることが考えられるが、本実施形態では、移動中継局2dは、LEO衛星に搭載されているものとする。LEO衛星に搭載された移動中継局2dは、高速で移動しながら通信を行うため、個々の端末局3dや基地局4が移動中継局2dと通信可能な時間が限られている。移動中継局2dは、移動中の現在位置におけるカバレッジ内の端末局3dから端末アップリンク信号を受信し、受信した端末アップリンク信号の波形データを保存しておく。
移動中継局2dは、カバレッジに基地局4が存在するタイミングにおいて、端末アップリンク信号の波形データを含む基地局ダウンリンク信号を、基地局4に無線送信する。基地局4は、移動中継局2dから受信した基地局ダウンリンク信号を復調して、端末アップリンク信号の波形データを得る。基地局4は、波形データが表す端末アップリンク信号に対して復調及び復号を行うことにより、端末局3dが送信したデータである端末送信データを得る。
なお、本実施形態による無線通信システム1dでは、移動中継局2dと端末局3dとが一例としてLPWAを用いて無線通信を行う構成であるものとする。各々の端末局3dは、通信の信頼性を確保するため、同一の端末アップリンク信号を複数回、移動中継局2dへ向けて送信する構成であってもよい。
さらに、前述のとおり、端末局3dの数は多数であることが想定される。このような構成により、端末局3dから移動中継局2dへ送信されるデータの通信量が増大し、通信帯域が逼迫する場合がある。本実施形態による無線通信システム1dは、通信帯域の逼迫を防ぐため、端末局3dから移動中継局2dへのデータの送信における、送信タイミングを制御する。送信タイミングの制御は、移動中継局2dの軌道と、端末局3dが存在する位置とに基づいて、各々の端末局3dにおいて自律的に行われる。
具体的には、各々の端末局3dは、移動中継局2dの軌道を示す情報(以下、「軌道情報」という。)を予め記憶している。また、端末局3dは、例えばGPS受信機等の測位装置を備えており、自局の位置を示す位置情報の生成、及び現在時刻の計時を行うことができる。
端末局3dは、軌道情報と、自局の位置を示す位置情報とに基づいて、移動中継局2dとの通信が可能になる時間帯(以下、「通信可能時間帯」という。)を特定する。端末局3dは、特定された通信可能時間帯に基づいて、移動中継局2dへの端末アップリンク信号の送信を開始する時刻(以下、「送信開始時刻」という。)を決定する。端末局3dは、現在時刻を計時し、送信開始時刻になったタイミングで移動中継局2dへの端末アップリンク信号の送信を開始する。
ここで、移動中継局2dは、例えば、通信可能時間帯の中からランダムに選択した時刻を送信開始時刻として決定する。これにより、多数の端末局3dが互いに近傍の位置に存在している場合であっても、当該多数の端末局3dから移動中継局2dへの端末アップリンク信号の送信が同時に開始されないようにすることができる。これにより、本実施形態による無線通信システム1dは、移動中継局2dにおける通信の通信帯域の逼迫を防ぐことができる。
なお、端末局3dは、通信可能時間帯の中からランダムに選択した時刻を送信開始時刻として決定するのではなく、例えば、測位装置によって得られた自局の位置(例えば、緯度及び経度)と所定の算定ルールとに基づいて算定される時刻を送信開始時刻として決定するようにしてもよい。
各装置の構成を説明する。
図16に示されるように、移動中継局2dは、アンテナ21と、端末通信部22dと、データ記憶部23と、基地局通信部24と、アンテナ25とを備える。
端末通信部22dは、受信部221と、受信波形記録部222とを有する。受信部221は、アンテナ21により端末アップリンク信号を受信する。受信波形記録部222は、受信部221が受信した端末アップリンク信号の受信波形をサンプリングし、サンプリングにより得られた値を示す波形データを生成する。受信波形記録部222は、アンテナ21における端末アップリンク信号の受信時刻と、生成した波形データとを含む受信波形情報を、データ記憶部23に書き込む。データ記憶部23は、受信波形記録部222により書き込まれた受信波形情報を記憶する。移動中継局2dの基地局通信部24及び基地局4の構成は、前述の第1の実施形態による無線通信システム1の移動中継局2の基地局通信部24及び基地局4の構成と同様である。
端末局3dは、データ記憶部31と、送信部32と、1本または複数本のアンテナ33と、送信制御部35dと、位置情報生成部36と、軌道情報記憶部37とを備える。データ記憶部31は、センサデータなどを記憶する。送信部32は、データ記憶部31からセンサデータを端末送信データとして読み出し、読み出した端末送信データを含む端末アップリンク信号を、アンテナ33から無線信号により送信する。送信部32は、例えばLPWAにより信号を送信する。送信部32は、使用する無線通信方式において予め決められた方法により、自局が端末アップリンク信号の送信に使用するチャネル及び送信タイミングを決定する。また、送信部32は、使用する無線通信方式において予め決められた方法により、複数本のアンテナ33から送信する信号のビーム形成を行ってもよい。
軌道情報記憶部37は、移動中継局2dの軌道を示す情報(軌道情報)を予め記憶する。位置情報生成部36は、例えばGPS受信機等の測位装置を備えており、自局の位置を特定する。位置情報生成部36は、特定された自局の位置を示す位置情報を生成する。送信制御部35dは、軌道情報記憶部37に記憶された軌道情報と、位置情報生成部36によって特定された自局の位置を示す位置情報とに基づいて、送信部32と移動中継局2dとの通信が可能になる時間帯(通信可能時間帯)を特定する。送信制御部35dは、特定された通信可能時間帯に基づいて、移動中継局2dへの端末アップリンク信号の送信を開始する時刻(送信開始時刻)を決定する。送信開始時刻は、通信可能時間帯の範囲内で決定される。送信制御部35dは、現在時刻を計時し、送信開始時刻になったタイミングで、移動中継局2dへの端末アップリンク信号の送信を開始させるように送信部32を制御する。送信部32は、送信制御部35dによる制御のもとで、移動中継局2dへの端末アップリンク信号の送信を開始する。
前述の通り、移動中継局2dは、例えば、通信可能時間帯の範囲内でランダムに選択した時刻を送信開始時刻として決定する。移動中継局2dは、送信開始時刻に応じて、ビームで通信対象エリアを走査する。これにより、本実施形態による無線通信システム1dは、移動中継局2dにおける通信の通信帯域の逼迫を防ぐことができる。なお、端末局3dは、例えば、測位装置によって得られた自局の位置(例えば、緯度及び経度)と所定の算定ルールとに基づいて算定される時刻を送信開始時刻として決定するようにしてもよい。
端末局3dの動作を説明する。
図17は、端末局3dによる端末アップリンク信号の送信タイミング制御処理を示すフロー図である。
端末局3dの送信制御部35dは、軌道情報記憶部37に記憶された軌道情報を取得する(ステップS811)。端末局3の受信部34は、アンテナ33により端末ダウンリンク信号を受信する(ステップS812)。端末局3の送信制御部35は、受信部34によって受信された端末ダウンリンク信号から、送信許可信号を取得する(ステップS813)。
端末局3dの位置情報生成部36は、例えばGPS受信機等の測位装置により自局の位置を特定する(ステップS814)。位置情報生成部36は、特定された自局の位置を示す位置情報を生成する。送信制御部35dは、軌道情報と、位置情報生成部36によって生成された位置情報とに基づいて、送信部32と移動中継局2dとの通信が可能になる時間帯(通信可能時間帯)を特定する(ステップS815)。送信制御部35dは、特定された通信可能時間帯に基づいて、移動中継局2dへの端末アップリンク信号の送信を開始する時刻(送信開始時刻)を決定する(ステップS816)。
送信制御部35dは、現在時刻を計時し、現在時刻が送信開始時刻になるまで待機する(ステップS817・No)。自局が照射範囲301に位置している時間内であり、現在時刻が送信開始時刻になった場合(ステップS817・Yes)、送信制御部35dは、移動中継局2dへの端末アップリンク信号の送信を開始させるように送信部32を制御する。送信部32は、移動中継局2dへの端末アップリンク信号の送信を開始する(ステップS818)。
端末局3dは、ステップS811以降の処理を繰り返す。
以上のように、第3の実施形態による無線通信システム1dは、各々の端末局3dが、端末アップリンク信号の送信タイミングを自律的に制御する。各々の端末局3dは、移動中継局2dの軌道を示す軌道情報と自局の位置を示す位置情報とに基づいて、移動中継局2dとの通信の通信可能時間帯を特定する。端末局3dは、特定された通信可能時間帯に基づいて、端末アップリンク信号の送信開始時刻を決定する。このとき、端末局3dは、例えば、通信可能時間帯の範囲内において送信開始時刻をランダムに決定する。
このような構成を備えることにより、第3の実施形態による無線通信システム1dは、ビームの本数を必要以上に増やすことなく広いカバレッジを実現することができる。無線通信システム1dは、移動中継局2dにおける通信の混雑度を軽減させることができる。これにより、無線通信システム1dは、通信の混雑度が変動する場合でも、通信の信頼性低下を抑制することができる。
(第3の実施形態の変形例1)
移動中継局2dが複数存在する場合には、以下のような構成にすることも考えられる。
端末局3dは、予めエリア(例えば、前述の小エリア)ごとに特定の移動中継局2dが対応付けられた対応情報を予め記憶している。端末局3dは、自局の位置を特定することにより、特定された自局の位置が含まれるエリアを認識する。端末局3dは、上記の対応情報を参照することにより、自局の位置が含まれるエリアに対応する移動中継局2dを特定する。端末局3dは、特定された移動中継局2dへ端末アップリンク信号の送信を行う。
このとき、端末局3dは、特定された移動中継局2dの軌道情報と、自局の位置を示す位置情報とに基づいて、移動中継局2dとの通信の通信可能時間帯を特定する。端末局3dは、特定された通信可能時間帯の範囲内で、移動中継局2dへの端末アップリンク信号の送信開始時刻を決定する。このとき、端末局3dは、例えば、通信可能時間帯の範囲内において送信開始時刻をランダムに決定する。
以上のように、このような構成を備えることにより、本変形例による無線通信システム1dは、ビームの本数を必要以上に増やすことなく広いカバレッジを実現することができる。無線通信システム1dは、移動中継局2dにおける通信の混雑度を軽減させることができる。これにより、無線通信システム1dは、通信の混雑度が変動する場合でも、通信の信頼性低下を抑制することができる。
(第3の実施形態の変形例2)
移動中継局2dから端末局3dへ、例えばビーコン等の、位置情報を推定可能な信号(以下、「ビーコン等」という。)を送信することができる場合には、以下のような構成にすることも考えられる。
移動中継局2dは、例えば所定の間隔でビーコン等を地上へ向けて送信する。各々の端末局3dは、移動中継局2dから送信されたビーコン等を受信した場合、当該ビーコン等に基づいて移動中継局2dの位置を推定する。端末局3dは、推定された移動中継局2dの位置と現在時刻とに基づいて、軌道情報記憶部37に記憶された移動中継局2dの軌道情報を補正する。
端末局3dは、補正された軌道情報と自局の位置を示す位置情報とに基づいて、移動中継局2dとの通信の通信可能時間帯を特定する。端末局3dは、スポット化されたビームの照射範囲301に位置している場合、特定された通信可能時間帯に基づいて、端末アップリンク信号の送信開始時刻を決定する。このとき、端末局3dは、例えば、通信可能時間帯の範囲内において送信開始時刻をランダムに決定する。
以上のように、このような構成を備えることにより、本変形例による無線通信システムは、移動中継局2dと各々の端末局3dとの間の通信の通信可能時間帯の算出における精度をより向上させることができる。
上述した各実施形態及びその変形例によれば、無線通信システムは、移動体に備えられた中継装置(移動可能な中継装置)と、互いに異なる場所に存在する複数の通信装置とが無線通信する。例えば、中継装置は実施形態における移動中継局2、2a、2b、2c、2dであり、第1通信装置は実施形態における端末局3であり、第2通信装置は実施形態における基地局4である。
中継装置は、中継装置受信部と、測定部と、中継装置制御部と、中継装置送信部とを備える。例えば、中継装置受信部は、実施形態におけるアンテナ21及び受信部221、221bであり、測定部は、実施形態における通信状況測定部223、223bであり、中継装置制御部は、実施形態におけるエリア制御部224、224bであり、中継装置送信部は、アンテナ21及び送信部226、226bである。
中継装置受信部は、複数の通信装置から送信され、通信装置の位置を示す位置情報を含む信号をそれぞれ受信する。例えば、信号は、実施形態における端末アップリンク信号である。測定部は、中継装置受信部における通信の混雑度を測定する。中継装置制御部は、複数の通信装置の位置と通信の混雑度とに基づいて通信対象エリアを複数の小エリアに分割し、小エリアの位置を示すエリア情報を生成する。中継装置送信部は、自装置が通信装置と通信可能な範囲に位置しているときに、複数のエリア情報を順に送信する。
通信装置は、記憶部と、通信装置受信部と、通信装置制御部と、通信装置送信部とを備える。例えば、記憶部は、実施形態におけるデータ記憶部31であり、通信装置受信部は、実施形態におけるアンテナ33及び受信部34であり、通信装置制御部は、実施形態における送信制御部35であり、通信装置送信部は、実施形態におけるアンテナ33及び送信部32である。
記憶部は、中継装置へ送信する送信データを記憶する。例えば、送信データは、実施形態における環境データ等のデータである。通信装置受信部は、エリア情報を受信する。通信装置制御部は、エリア情報に基づく小エリアに自己位置が含まれるか否かを判定する。通信装置送信部は、小エリアに自己位置が含まれる場合に、送信データと、自己位置を示す位置情報とを含む信号を前記中継装置へ送信する。例えば、信号は、実施形態における端末アップリンク信号である。
なお、中継装置制御部は、通信対象エリアを、通信の混雑度が均一化された複数の小エリアに分割するようにしてもよい。
なお、通信の混雑度は、中継装置受信部における単位時間あたりの信号のアクセス数を示す情報、信号の受信信号強度を示す情報であってもよい。例えば、信号は、実施形態における端末アップリンク信号である。
なお、中継装置は、地球を周回する移動体に備えられ、中継装置送信部は、以前の周回において生成されたエリア情報を通信装置へ送信してもよい。
なお、移動体は低軌道衛星であり、通信装置はセンサを含む端末装置に備えられ、信号は端末装置によって測定されたセンサデータを示す信号であってもよい。
なお、無線通信システムは、中継装置と無線通信する基地局装置をさらに有してもよい。例えば、基地局装置は、実施形態における基地局4である。中継装置は、自装置が基地局装置と通信可能な範囲に位置しているときに、複数の通信装置からそれぞれ送信された信号に基づく信号を基地局装置へ送信してもよい。例えば、複数の通信装置からそれぞれ送信された信号に基づく信号は、実施形態における基地局ダウンリンク信号である。
また、上述した実施形態及びその変形例によれば、移動体に備えられた中継装置と無線通信する通信装置は、記憶部と、制御部と、送信部とを備える。例えば、記憶部は、実施形態におけるデータ記憶部31及び軌道情報記憶部37であり、制御部は、実施形態における送信制御部35dであり、送信部は、実施形態におけるアンテナ33及び送信部32である。
記憶部は、中継装置へ送信する送信データと、移動体の軌道を示す軌道情報を記憶する。例えば、送信データは、実施形態における環境データ等のデータである。制御部は、軌道情報と自己位置とに基づいて、中継装置との通信が可能な時間帯である通信可能時間帯を特定する。送信部は、通信可能時間帯に送信データを中継装置へ送信する。
なお、送信部は、通信可能時間帯の範囲内においてランダムに決定された時刻に送信データを送信してもよい。
なお、上記の第1の実施形態~第3の実施形態、及びその変形例において、移動中継局が搭載される移動体は、LEO衛星である場合を説明したが、静止衛星、ドローンやHAPSなど上空を飛行する他の飛行体であってもよい。
図18は、各実施形態による移動中継局2の機能部のハードウェア構成例を示す図である。上述した各実施形態における移動中継局2,2a,2b,2c,2d、端末局3,3d、及び基地局4,4a,4bの一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
すなわち、無線通信システムの各機能部のうちの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ100が、不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)を有するメモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、ソフトウェアとして実現される。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置101などの非一時的な記録媒体である。無線通信システムの各機能部のうちの一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integrated circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA等を用いた電子回路(electronic circuit又はcircuitry)を含むハードウェアを用いて実現されてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1、1a、1b、1c、1d…無線通信システム,
2、2a、2b、2c、2d…移動中継局,
3、3d…端末局,
4、4a、4b…基地局,
21、21-1~21-N…アンテナ,
22、22b、22c、22d…端末通信部,
23…データ記憶部,
24…基地局通信部,
25…アンテナ,
26…基地局通信部,
27…中継局間通信部,
28…アンテナ,
31…データ記憶部,
32…送信部,
33…アンテナ,
34…受信部,
35、35d…送信制御部,
36…位置情報生成部,
41…アンテナ,
42…受信部,
43…基地局信号受信処理部,
44…端末信号受信処理部,
100…プロセッサ,101…記憶装置,102…メモリ,
221、221b、221b-1~221b-N…受信部,
222、222b、222b-1~222b-N…受信波形記録部,
223、223b…通信状況測定部,
224、224b…エリア制御部,
225…記憶部,
226、226b…送信部,
227、227b…位置情報取得部,
228…アンテナ駆動部,
241…記憶部,
242…制御部,
243…送信データ変調部,
244…送信部,
261…記憶部,
262…制御部,
263…送信データ変調部,
264…MIMO送信部,
300…通信対象エリア,301…照射範囲,
410…アンテナ局,
420…MIMO受信部,
430…基地局信号受信処理部,
441…端末信号復調部,
442…端末信号復号部,
450…端末信号受信処理部,
451…分配部,
452、452-1~452-N…端末信号復調部,
453…合成部,
454…端末信号復号部

Claims (6)

  1. 通信対象エリアを分割する複数の小エリアのうちの1以上の小エリアに位置している1以上の第1通信装置と、中継装置と、第2通信装置とを有する無線通信システムであって、
    前記中継装置は、
    前記通信対象エリアよりも狭い照射範囲の1以上のビームを前記通信対象エリアに照射しながら前記複数の小エリアを前記ビームで走査するように1以上のアンテナを駆動するアンテナ駆動部と、
    前記照射範囲に位置している前記第1通信装置から送信された第1無線信号を前記アンテナから取得する受信部と、
    前記第1無線信号に応じた第2無線信号を前記第2通信装置に送信する送信部と、
    前記第1無線信号の送信頻度に基づいて通信の混雑度を導出する通信状況測定部とを備え、
    前記通信状況測定部は、今回の周回時における前記第1通信装置の位置情報を用いて、前記中継装置の次の周回時における前記混雑度を予測し、
    前記アンテナ駆動部は、前記次の周回時に、予測された前記混雑度に応じた走査速度で前記通信対象エリア内をビームで走査するように前記アンテナを駆動する、無線通信システム。
  2. 前記アンテナ駆動部は、前記混雑度が閾値以上である場合に前記走査速度を遅くするように前記アンテナを駆動し、前記混雑度が閾値未満である場合に前記走査速度を速くするように前記アンテナを駆動する、請求項に記載の無線通信システム。
  3. 前記アンテナ駆動部は、前記照射範囲同士を離した状態で、前記複数の小エリアを1以上の前記ビームで走査するように、前記アンテナを駆動する、請求項1又は請求項に記載の無線通信システム。
  4. 通信対象エリアを分割する複数の小エリアのうちの1以上の小エリアに位置している1以上の第1通信装置と、第2通信装置と、移動可能な中継装置とを有する無線通信システムにおける前記中継装置であって、
    前記通信対象エリアよりも狭い照射範囲の1以上のビームを前記通信対象エリアに照射しながら前記複数の小エリアを前記ビームで走査するように1以上のアンテナを駆動するアンテナ駆動部と、
    前記照射範囲に位置している前記第1通信装置から送信された第1無線信号を前記アンテナから取得する受信部と、
    前記第1無線信号に応じた第2無線信号を前記第2通信装置に送信する送信部と
    前記第1無線信号の送信頻度に基づいて通信の混雑度を導出する通信状況測定部とを備え、
    前記通信状況測定部は、今回の周回時における前記第1通信装置の位置情報を用いて、前記中継装置の次の周回時における前記混雑度を予測し、
    前記アンテナ駆動部は、前記次の周回時に、予測された前記混雑度に応じた走査速度で前記通信対象エリア内をビームで走査するように前記アンテナを駆動する、
    中継装置。
  5. 通信対象エリアを分割する複数の小エリアのうちの1以上の小エリアに位置している1以上の第1通信装置と、中継装置と、第2通信装置とを有する無線通信システムが実行する無線通信方法であって、
    前記中継装置は、
    前記通信対象エリアよりも狭い照射範囲の1以上のビームを前記通信対象エリアに照射しながら前記複数の小エリアを前記ビームで走査するように1以上のアンテナを駆動し、
    前記照射範囲に位置している前記第1通信装置から送信された第1無線信号を前記アンテナから取得し、
    前記第1無線信号に応じた第2無線信号を前記第2通信装置に送信
    前記第1無線信号の送信頻度に基づいて通信の混雑度を導出し、
    今回の周回時における前記第1通信装置の位置情報を用いて、前記中継装置の次の周回時における前記混雑度を予測し、
    前記次の周回時に、予測された前記混雑度に応じた走査速度で前記通信対象エリア内をビームで走査するように前記アンテナを駆動する、
    無線通信方法。
  6. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の無線通信システムの中継装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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