JP7499621B2 - 二相ステンレス鋼板および二相ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
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[1]
オーステナイト相とフェライト相を含有する二相ステンレス鋼板であって、
質量%で、
C:0.08%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:4.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.030%以下、
Ni:1.50~8.00%、
Cr:20.50~28.00%、
Mo:5.00%以下、
Cu:0.05~1.50%、および、
N:0.080~0.320%、
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
圧延方向に平行な断面において、周囲に1μm以上の厚みを有するフェライト相が配された複数のオーステナイト相であって、圧延方向の長さに対する板厚方向の長さの比が0.1以上である複数のオーステナイト相の合計面積が前記圧延方向に平行な断面の面積に対して1.0%以上である、二相ステンレス鋼板。
[2]
フェライト相とオーステナイト相の合計面積に対する前記フェライト相の面積の割合が、55%以上70%以下である、[1]に記載の二相ステンレス鋼板。
[3]
質量%で、
C:0.030%以下、
Si:0.75%以下、
Mn:2.00~4.00%、
P:0.040%以下、
S:0.020%以下、
Ni:1.50~2.50%、
Cr:20.50~21.50%、
Mo:0.60%以下、
Cu:0.50~1.50%、および、
N:0.150~0.200%、
を含有し、残部がFeおよび不純物からなる、[1]または[2]に記載の二相ステンレス鋼板。
[4]
Feの一部に変えて、質量%で、
Al:0.003~0.050%、
Nb:0.005~0.20%、
Ti:0.005~0.20%、
Co:0.005~0.25%、
V:0.005~0.15%、
Sn:0.005~0.20%、
Sb:0.005~0.20%、
Ga:0.001~0.050%、
Zr:0.005~0.50%、
Ta:0.005~0.100%、および、
B:0.0002~0.0050%、
からなる群から選択される1種以上を含有する、[1]~[3]のいずれか1項に記載の二相ステンレス鋼板。
[5]
前記[1]に記載の二相ステンレス鋼板の製造方法であって、
質量%で、
C:0.08%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:4.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.030%以下、
Ni:1.50~6.80%、
Cr:20.50~28.00%、
Mo:5.00%以下、
Cu:0.05~1.50%、
W:0.005~1.00%、および
N:0.080~0.320%、
を含有し、残部がFeおよび不純物からなるステンレス素材に熱間圧延を施し、680℃
以上の温度で巻き取る熱間圧延工程と、
前記熱間圧延工程後の前記ステンレス素材を1050℃以上の温度で、30~60秒保持する熱処理を行う熱処理工程と、を有する、二相ステンレス鋼板の製造方法。
[6]
前記ステンレス素材が、Feの一部に変えて、質量%で、
Al:0.003~0.050%、
Nb:0.005~0.20%、
Ti:0.005~0.20%、
Co:0.005~0.25%、
V:0.005~0.15%、
Sn:0.005~0.20%、
Sb:0.005~0.20%、
Ga:0.001~0.050%、
Zr:0.005~0.50%、
Ta:0.005~0.10%、および、
B:0.0002~0.0050%、
からなる群から選択される1種以上を含有する、[5]に記載の二相ステンレス鋼板の製造方法。
本実施形態に係る二相ステンレス鋼板は、オーステナイト相とフェライト相を含有する二相ステンレス鋼板であって、質量%で、C:0.08%以下、Si:1.00%以下、Mn:4.00%以下、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Ni:1.50~8.00%、Cr:20.50~28.00%、Mo:5.00%以下、Cu:0.05~1.50%、および、N:0.080~0.320%、を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、圧延方向に平行な断面において、周囲に1μm以上の厚みを有するフェライト相が配された複数のオーステナイト相であって、圧延方向の長さに対する板厚方向の長さの比が0.1以上である複数のオーステナイト相の合計面積が前記圧延方向に平行な断面の面積に対して1.0%以上である。以下に、本実施形態に係る二相ステンレス鋼板について詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る二相ステンレス鋼板の化学成分について説明する。なお、成分を示す%は質量%を意味する。
C含有量が0.08%を超えると、Cr炭化物析出により耐食性が低下する。したがってC含有量は少ない方が望ましいが、0.08%以下までは許容できるため、これを上限とする。耐食性改善の観点から、好ましいC含有量の上限は0.030%であり、より好ましくは、0.025%である。C含有量の下限は特に限定しないが、コストの観点から0.001%であることが好ましく、より好ましくは0.007%である。
Siは、脱酸剤、脱硫剤として作用する。Si含有量が1.00%を超えて含有されると靭性が低下するので、Si含有量は1.00%以下とする。Si含有量の上限は、好ましくは、0.65%である。Siが脱酸剤、脱硫剤として十分に作用するには、Si含有量の下限は0.05%であることが好ましい。Si含有量のより好ましい下限は、0.30%である。
Mnは、比較的安価な元素でありながら、ステンレス鋼板中のオーステナイト相の量を増加させ、さらに窒素の固溶度を上げることで、Cr窒化物の析出を抑制する効果がある。一方で、過剰に含有すると耐食性劣化の原因となるため、上限を4.00%とする。Mn含有量の上限は、好ましくは、2.50%である。Mn含有量の下限は、好ましくは、0.85%であり、より好ましくは、2.00%である。
Pは、ステンレス鋼板中に不可避的に含有される元素であるが、熱間加工性を劣化させるため、P含有量は0.040%以下とする。P含有量は、好ましくは、0.035%以下である。下限は特に限定しないが、コストの観点から0.005%以上とすることが好ましい。
SはPと同様にステンレス鋼板中に不可避的に含有される元素であるが、熱間加工性、靭性、耐食性を劣化させるため、S含有量の上限は0.030%とする。S含有量の上限は、好ましくは0.020%である。S含有量の下限は特に限定しないが、コストの観点から0.0001%とすることが好ましい。より好ましいS量の下限は0.0005%である。
Niは、ステンレス鋼板の耐すきま腐食性を向上させる元素である。すきま腐食は、すきま内部のpHが低下し不働態皮膜が維持できなくなることにより発生する腐食である。Niは、低pH環境でのステンレス鋼板の溶解を抑制する。Ni含有量が過少の場合、耐すきま腐食性向上が得られない。このため、Ni含有量は、1.50%以上である。Ni含有量の下限は、好ましくは、2.00%である。一方で、Ni含有量が過剰であると、コストが大きくなるだけでなく、オーステナイト相過多となり熱間加工性が低下する。このため、Ni含有量は、8.00%以下である。Ni含有量の上限は、好ましくは、6.80%であり、より好ましくは、2.50%である。
Crはステンレス鋼板の耐食性を向上させる元素である。耐食性の観点から、Cr含有量は20.50%以上である。Cr含有量は、好ましくは、21.00%である。一方、Crはフェライト相を増加させる元素であり、ステンレス鋼板がCrを過剰に含有するとフェライト相が過多となり、靭性が劣化する。このためCr含有量の上限は28.00%とする。Cr含有量の上限は、好ましくは、24.50%であり、より好ましくは、21.50%である。
MoはCrを超える高い耐食性向上効果を有するが、非常に高価な元素であり、Mo含有量が過剰であると、製造コストが増大する。また、Mo含有量が過剰であるとステンレス鋼板の硬質化を招き加工性が劣化する。このため、Mo量の上限は5.00%とする。Mo含有量の上限は、好ましくは、2.95%であり、より好ましくは、0.60%である。Moが有する耐食性向上効果は、Mo含有量が0.01%未満では、その添加効果に乏しいため、Mo含有量は、0.01%以上とする。Mo含有量の下限は、好ましくは、0.05%が好ましく、より好ましくは0.20%である。
Cuは、Niと同様に低pH環境でのステンレス鋼板の溶解を抑制する元素である。ただし、ステンレス鋼板がCuを過剰に含有する場合、熱間加工性が著しく損なわれるため、Cu含有量の上限は1.50%とする。Cu含有量の上限は、好ましくは、1.40%である。一方、上記効果は、Cu含有量が0.50%未満ではあまり期待できない。したがって、Cu含有量の下限を0.50%とする。Cu含有量の下限は、好ましくは、0.60%であり、より好ましくは0.70%である。
Nは耐食性を著しく高め、オーステナイト相量を高める元素である。この効果を得るためには、N含有量の下限は、0.080%である。N含有量の下限は、好ましくは、0.150%であり、より好ましくは、0.155%である。一方、N含有量が0.320%を超えると鋼中に窒化物を形成して耐食性や靭性を低下させるため、N含有量の上限を0.320%とする。N含有量の上限は、好ましくは、0.200%である。
Alは強力な脱酸作用を持つ元素である。Alによる脱酸作用には、Al含有量は、0.003%以上であることが好ましい。Al含有量の下限は、より好ましくは、0.005%である。一方、AlはNとともに窒化物を形成しやすく、窒化物が形成されると靭性が大きく低下する。そのため、Al含有量の上限は0.050%であることが好ましい。Al含有量の上限は、より好ましくは、0.040%である。
NbはC、Nを固定してCr炭化物析出による耐食性低下を防ぎ、耐食性を向上させる元素である。Nb含有量が0.005%以上であれば、その効果が発現するため、Nb含有量の下限は、0.005%であることが好ましい。一方、Nb含有量が0.20%を超えると、固溶強化によりα相が硬質化し加工性を低下させる場合があるため、Nb含有量の上限は、0.20%であることが好ましい。
TiはC、Nを固定してCr炭化物析出による鋭敏化を防ぎ、耐食性を向上させる元素である。Ti含有量が0.005%以上であれば、その効果が発現するため、Ti含有量の下限は、0.005%であることが好ましい。一方、Ti含有量が0.20%を超えると、フェライト相の硬質化を招き、靱性を低下させ、さらにTi系析出物により表面粗さの低下を招く場合があるため、Ti含有量の上限は、0.20%であることが好ましい。
CoはCr炭化物の析出を抑制し、耐食性の低下を抑制する。Co含有量が0.005%以上であれば、Coが上記効果を奏するため、Co含有量の下限は、0.005%であることが好ましい。一方、Coは稀少な元素であり高価であるため、Co含有量の上限は、0.25%であることが好ましい。
Vは強力な炭化物生成元素である。このため、高温域で炭化物を形成しやすいVが含有されると、Cr炭化物の析出が抑制され、耐食性低下を抑制できる。V含有量が0.005%以上であれば、Vが上記効果を奏するため、V含有量の下限は、0.005%であることが好ましい。一方、V含有量が多いと硬質化を招くため、V含有量の上限は、0.15%であることが好ましい。
SnおよびSbは耐食性を向上させる元素であるが、フェライト相の固溶強化元素でもある。このため、Sn、Sbのそれぞれの含有量の上限は、それぞれ0.20%であることが好ましい。Sn、Sbのそれぞれの含有量の下限は、より好ましくは0.030%である。SnまたはSbのいずれかの含有量が0.005%以上の場合、耐食性を向上させる効果が発揮されるため、Sn、Sbのそれぞれの含有量は、好ましくは、0.005%以上である。Sn、Sbのそれぞれの含有量の上限は、より好ましくは0.10%である。
Gaは耐食性向上に寄与する元素である。Ga含有量が0.001%以上であれば、耐食性向上効果が発現するため、Ga含有量は、0.001%以上であることが好ましい。一方、Ga含有量が0.050%超では、耐食性向上効果が飽和し、コスト増につながるのみである。そのため、Ga含有量の上限は、好ましくは、0.050%である。
Zrは耐食性向上に寄与する元素である。Zr含有量が0.005%以上であれば、耐食性向上効果が発現するため、これを下限とする。Zr含有量が0.50%超では、効果が飽和するため、その上限は、好ましくは、0.50%である。
Taは介在物の改質により耐食性を向上させる元素である。Ta含有量が0.005%以上であれば、上記効果が発揮される。そのため、Ta含有量の下限は、0.005%であることが好ましい。一方、Ta含有量が0.100%超では、常温での延性の低下や靭性の低下を招く場合がある。このため、Ta含有量の上限は、好ましくは、0.100%である。Ta含有量の上限は、より好ましくは、0.050%である。
Bは二次加工脆化や熱間加工性劣化を抑制する効果を奏する元素である。また、Bは、耐食性には影響を与えない元素である。B含有量が0.0002%以上であれば、Bが上記効果を奏するため、B含有量は、0.0002%以上であることが好ましい。一方、B含有量が0.0050%を超えると、かえって熱間加工性が劣化する場合があるので、B含有量の上限は、0.0050%とすることが好ましい。B含有量の上限は、より好ましくは0.0020%である。
Oは不純物として存在し、鋼中に過剰に存在すると酸化物を生成し、靭性を低下させる。このため、O含有量の上限は、0.0070%であることが好ましい。O含有量の上限は、より好ましくは、0.0050%である。O含有量の下限は特に限定しないが、コストの観点から0.0005%とすることが好ましい。
まず、本実施形態に係る二相ステンレス鋼板のミクロ組織の説明に先立ち、図を参照して、一般の二相ステンレス鋼板について説明する。図1は、一般の二相ステンレス鋼板のせん断打ち抜き加工後の供試材の模式図である。図2は、一般の二相ステンレス鋼板の圧延方向端部のせん断加工面および板幅方向端部のせん断加工面のSEM(Scaning Electron Microscope)像である。図3は、一般の二相ステンレス鋼板の圧延方向加工面における破断面および板幅方向加工面における破断面のSEM像である。
以上から、図4(A)および(B)の組織を同等にすることで、均一な破面性状を得ることができると考えられ、ひいては製造コストを抑制可能となると考えられる。
続いて、本実施形態に係る二相ステンレス鋼板の製造方法を説明する。本実施形態に係る二相ステンレス鋼板の製造方法は、上述した化学成分を有するステンレス素材に熱間圧延を施し、680℃以上の温度で巻き取る熱間圧延工程と、熱間圧延工程後の前記ステンレス素材を1050℃以上の温度で、30~60秒保持する熱処理を行う熱処理工程を有する。
本工程では、上述した化学成分を有するステンレス素材に熱間圧延を施し、680℃以上の温度で巻き取る。熱間圧延に供するステンレス素材としては、例えば、連続鋳造により得られたステンレス鋼片等を用いればよい。
本工程では、熱間圧延工程後のステンレス素材を1050℃以上の温度で、30~60秒保持する熱処理を行う。
表2、3に示す化学成分を有するステンレス素材に対し、表4に示す条件で熱間圧延工程および熱処理工程を実施して、板厚が3.5mmtの試料を作製した。
Claims (6)
- オーステナイト相とフェライト相を含有する二相ステンレス鋼板であって、
質量%で、
C:0.08%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:4.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.030%以下、
Ni:1.50~8.00%、
Cr:20.50~28.00%、
Mo:5.00%以下、
Cu:0.05~1.50%、および、
N:0.080~0.320%、
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
圧延方向に平行な断面において、周囲に1μm以上の厚みを有するフェライト相が配された複数のオーステナイト相であって、圧延方向の長さに対する板厚方向の長さの比が0.1以上である複数のオーステナイト相の合計面積が前記圧延方向に平行な断面の面積に対して1.0%以上である、二相ステンレス鋼板。 - フェライト相とオーステナイト相の合計面積に対する前記フェライト相の面積の割合が、55%以上70%以下である、請求項1に記載の二相ステンレス鋼板。
- 質量%で、
C:0.030%以下、
Si:0.75%以下、
Mn:2.00~4.00%、
P:0.040%以下、
S:0.020%以下、
Ni:1.50~2.50%、
Cr:20.50~21.50%、
Mo:0.60%以下、
Cu:0.50~1.50%、および、
N:0.150~0.200%、
を含有し、残部がFeおよび不純物からなる、請求項1または2に記載の二相ステンレス鋼板。 - Feの一部に変えて、質量%で、
Al:0.003~0.050%、
Nb:0.005~0.20%、
Ti:0.005~0.20%、
Co:0.005~0.25%、
V:0.005~0.15%、
Sn:0.005~0.20%、
Sb:0.005~0.20%、
Ga:0.001~0.050%、
Zr:0.005~0.50%、
Ta:0.005~0.100%、および、
B:0.0002~0.0050%、
からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の二相ステンレス鋼板。 - 請求項1に記載の二相ステンレス鋼板の製造方法であって、
質量%で、
C:0.08%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:4.00%以下、
P:0.040%以下、
S:0.030%以下、
Ni:1.50~6.80%、
Cr:20.50~28.00%、
Mo:5.00%以下、
Cu:0.05~1.50%、
W:0.005~1.00%、および
N:0.080~0.320%、
を含有し、残部がFeおよび不純物からなるステンレス素材に熱間圧延を施し、680℃以上の温度で巻き取る熱間圧延工程と、
前記熱間圧延工程後の前記ステンレス素材を1050℃以上の温度で、30~60秒保持する熱処理を行う熱処理工程を有する、二相ステンレス鋼板の製造方法。 - 前記ステンレス素材が、Feの一部に変えて、質量%で、
Al:0.003~0.050%、
Nb:0.005~0.20%、
Ti:0.005~0.20%、
Co:0.005~0.25%、
V:0.005~0.15%、
Sn:0.005~0.20%、
Sb:0.005~0.20%、
Ga:0.001~0.050%、
Zr:0.005~0.50%、
Ta:0.005~0.100%、および、
B:0.0002~0.0050%、
からなる群から選択される1種以上を含有する、請求項5に記載の二相ステンレス鋼板の製造方法。
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