JP7500903B2 - 異種構造材を含む接合一体化物とその製造方法 - Google Patents

異種構造材を含む接合一体化物とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、各種金属材、FRP材、FRTP材等、高強度材料の異材同士を高強度に接合した、異種構造材を含む接合一体化物とその製造方法に関する。更に詳しくは、線膨張率の差が大きく異なった各種金属材、GFRP材、CFRTP材等の繊維強化プラスチックス等の各種の異材同士を高強度に接合し積層した、異種構造材を含む接合一体化物とその製造方法に関する。
本発明の発明者は、アルミニウム合金部材、マグネシウム合金部材、ステンレス鋼材、銅合金材、チタン合金材、鋼材、アルミ鍍金鋼板等の各種金属材と、各種FRP材を接着剤で接合する接着構造、接着方法等を提案した(特許文献1~9)。また、これに使用する1液性エポキシ接着剤と接着方法も提案した(特許文献10、11)。これらの接着剤による接合技術は、基本的には各種金属材によって異なる化成処理をし、この化成処理された各種金属材と、FRP、FRTPとの接着剤による接合技術の集成物(積層体)である。
(高度接着技術:NAT)
本発明者等は、NAT(Nano adhesion technologyの略)と称する、接着力を高くするための高度接着技術を開発し提唱した。これは接着剤を高性能化するという技術ではなく、接着する金属片、即ち被着物である金属片の表面処理法に関係する技術である。即ち、NATは、全金属種が対象の接着剤による接合技術であり、NATはその成立の必要条件として、以下5点を規定した。このうち、使用する金属片に関しては、下記の3点((1)~(3))が必要条件であり、この3点を満足するように化学処理する表面処理法を「NAT処理」と称した。
NATでの必要条件は、
(1)金属表面を0.8~10μm周期の凹凸ある粗面にすること、
(2)その粗面上に5~300nm周期の超微細凹凸があるようにすること、
(3)上記(1)及び(2)の2重凹凸面を成す表面は、金属酸化物、金属リン酸化物等の硬質なセラミック質の薄層で成っていること、
の3条件を満たすようにする処理法である。更に、NATで使用する接着剤種、及び、接着操作に関する次の2条件が必要である。
(4)接着剤として、1液性接着剤の使用を優先的に使用し、1液性接着剤が存在しない場合には、硬化剤として最も遅効性の物を選んで採用すること、
(5)接着操作において、「染み込まし処理」の工程を含むこと、
の2条件である。
上記の条件(4)は、接着剤が未硬化の低分子量分子のままで金属材表面に付着させることを求め、条件(5)は、その低分子量分子が条件(2)記載の超微細凹凸面上の超微細凹部の奥底まで侵入するように仕向けるための工程である。即ち、NATの目指すものを端的に言えば、被着材としての金属の表面形状として好ましいのは、5~300nm周期の超微細凹凸面の存在であること、かつ、ミクロンオーダー周期の粗面を有することは、上記(2)の超微細凹凸面の存在密度が高いこと、及び、接着剤が低分子量状態のまま(粘度の低いまま)塗布され、かつ、前記超微細凹凸面の凹部底まで侵入し、その後に重合が促進され硬化させるのが、最も強い接着力を生むとの簡単な理由を整理したものである。
このNAT理論は、各種金属材で実証された(特許文献1~7)。又、条件(4)に1液性接着剤が好ましいとしたが、接着強度の観点から、NATが最も有効な接着剤は、現在の技術水準ではエポキシ接着剤であると本発明者等は判断し、前記実証試験は殆どが1液性エポキシ接着剤によるものとなった。実際、NATが示した強力な接着力は、多くの当業者である技術者等に衝撃を与えた。実例から言えば、例えば、汎用の1液性エポキシ接着剤「EP106NL(セメダイン株式会社(本社:日本国東京都)製)」を使用して、ほぼ全金属種で、前述のNAT処理した同種金属片同士の接着対のせん断接着強さは、23℃下で約70MPaが得られ、従来の接着法の倍近いせん断接着強さを示したからである。
(1液性エポキシ接着剤とその耐熱性)
特許文献1に記載した試験において、NAT処理した日本工業規格A7075アルミニウム合金(以下、「日本工業規格」の呼称のみで、また、「アルミニウム合金」を「Al」とも表記する。)片同士接合したものは、上記「EP106NL」使用の接着対(図1に示した試験片)を引張り破断して得られるせん断接着強さであり、その値が70MPaと高く安定していた。このことから、市場で広く市販されている1液性エポキシ接着剤を入手し、前述した同じA7075Al片の接着対で、せん断接着強さを測定することで、接着剤の接着力評価が可能と考えた。そこで、日本国内外で市販されている1液性エポキシ接着剤を十数種類購入して、それぞれせん断接着強さを測定した。更には、それら接着剤を使用したA7075Alの試験対で、150℃の環境下、そのせん断接着強さを測定し、各接着剤の耐熱性能を得た。その結果、現行の市販の1液性エポキシ接着剤の中では、「EW2040(3Mジャパン株式会社(本社:日本国東京都)製)」が、上記NATに最も適していると判断した。即ち、前記試験にて、せん断接着強さが23℃下で約60MPa、150℃下で30MPaを示したからである。但し、この後、本発明者は耐熱性ある1液性エポキシ接着剤の開発に努め、同じA7075Al使用の接着対(試験片)に関し、150℃下でのせん断接着強さが、35MPa以上になる1液性エポキシ接着剤を開発し提案した(特許文献9)。
(接着力の測定方法)
特許文献1~7には、各種金属材に対して、NAT処理とNAT操作をした1液性エポキシ接着剤のせん断接着強さ、及び、引張り接着強さが開示されている。しかし、本発明の実験等で使用した接着剤は、上記「EP106NL」から上記「EW2040」に換えた。その理由は、超軽量の高強度構造材として量産が始まっていたCFRP材についても、金属材との接着技術として完成させ、航空機、自動車等の移動機械の主要々素にするには、接着剤の耐熱性が欠かせないと判断したことによる。特許文献8では、耐熱性に優れた上記「EW2040」を前述したNATの標準使用接着剤とした後、このNAT処理法の改良結果を開示し、23℃下での各種金属材の接着対におけるせん断接着強さがより安定化し、引張り接着強さが高くなったことを開示した。
なお、特許文献1~9、及び、後述する本発明にて採用した接着力測定法は、一般的な接着力測定法とは異なる。即ち、これらの特許文献に記載されたせん断接着強さと、引張り接着強さは、JIS(日本工業規格)K6849、K6850等に規定された測定手法で測定したものではない。これらの規格化されている測定手法では、接着力が強く、正確なせん断接着強さ(tensile lap-shear strength)が測定出来できないと判断した。この引張り接着強さ(tensile strength)測定に関しては、規格化された手法で決められた形状の金属片の入手が困難であり、特に0.5~3.0mm厚の板材として、市販されている多くの金属材にとっては、正確な値が測定出来る形になっていない故である。即ち、本発明者等が開示したNATに関係する各特許及び本発明では、後述した図1に示した試験片を使用してせん断接着強さを測定した。又、引張り接着強さを測定する接着対の形状は、特許文献1に記載の発明を発明した時点では、18mm×4mm×3mm厚の金属片2個の4mm×3mm端面同士を接着した形の接着対で測定した。その後、変遷があって、本発明に至っては、後述する45mm×18mm×1.5mm厚の金属片2個の18mm×1.5mm厚端面同士を接着した形、即ち、本発明の図2に示した形状となっている。
(CFRP片のせん断接着強さ)
本発明者の接着技術に関する最終目標は、CFRP材とA7075Alとを完全接着して、究極の軽量化が要求される航空機等の基本構造の製作に役立てることであった。一方、本発明の発明者等が提唱したNMT(Nano molding technologyの略)は、金属材と高結晶性熱可塑性樹脂を射出成形により、金属と樹脂を高強度に接合一体化する接合技術である。本発明の発明者は、このNMTで用いた金属表面処理技術を転用すれば、接着剤による異材質の接着においても、金属材同士の高強度接着技術に繋がると判断し、前述したNATを完成させた。そして、このNATを一部利用して、CFRP材同士、CFRP材とA7075Alの高度接着が成功すれば、前記目標がかなり近くなると考えた。但し、CFRP片同士の上記「EW2040」による図1に示した形状の試験片である接着対の示したせん断接着強さは、意外な数値となった。
炭素繊維(以下、「CF」という。)メーカーとの共同研究の結果であるが、航空機用CFRP材に使用されている、最新型のCFは引張り強さ6GPa程度を有する高強度繊維である。その電顕写真は、断面がほぼ真円形であり側面は縦筋はなく、かつ滑らかである。このCFを使用したプリプレグを積層して得たCFRP厚板からCFRP片を切り出し、その表面端部を粗面化する等の表面加工をした上で、上記「EW2040」を使用して、図1に示す形状の接着対とし、そのせん断接着強さを測定すると約40MPaとなる。一方で、CFメーカー各社がこの最新型のCFの工業化の以前から製造しているCF、
これを旧型CFとすると、これは引張り強度が約3GPa程度の高強度繊維であり、その電顕写真は断面形状が楕円形、瓢箪型等を成している物など種々である。このCFの側面には、縦筋が常に1~2本あり、かつ、所々に小さな凸部や凹部が見られる。このCFを使用したCFRP厚板から同様に、上記「EW2040」を使用して、図1に示す形状の接着対とし、せん断接着強さを測定すると約60MPaになる。要するに、CFRP片同士の1液性エポキシ接着剤による接着対を強引にせん断破断した場合、その破断開始箇所は、接着剤とCFが接着されている表面層部ではなく、これと離れたマトリックス樹脂層であった。
CFとマトリックス樹脂硬化物間の真の接着力は約40MPaと推定され、新型CFを使用したCFRP片では、その数値がせん断接着強さとなるが、旧型CF使用のCFRP片では、その表面積が大きいことを示している。即ち、新型CFは、真円の断面近い繊維であるが、旧型CFは真円でないために、呼称されている見かけの表面積より実際の表面積が大きくなり、約60MPaのせん断接着強さとなったものである(特許文献9)。要するに、本発明者の目指したCFRP材とA7075Alとの強い接着構造を、素材の持つ極限強度まで近づけるには、どうするかである。本発明では、航空機用の高強度CFRP材等の使用が前提になるから、耐熱性ある1液性エポキシ接着剤で高強度の上記「EW2040」使用の場合でも、接着剤とCFRP材間の最高の接着力として、接着剤の強度以下の約40MPaというやや予期したよりも低い接着力が前提になるという意味である。
WO2008/114669 WO2008/133096 WO2008/133296 WO2008/126812 WO2008/133030 WO2008/146833 WO2009/084648 特開2016-210942 特開2011-073191 特開2011-006544 特開2011-026457 特開2016-60051
CFRP材が超軽量高強度材として、旅客機の主構造材に本格使用されるようになって既に10年以上経過している。複数のCFRP部材同士の組立構造(固着構造)の構築、CFRP部材と超々ジュラルミン(日本工業規格のA7075Al)の組立構造(連結構造)を構築するとき、航空機製造企業が苦心した経過はよく知られている。CFRPの剛性は、高強度金属以上の機械的強度を備えているが実質はプラスチックであり、これを構造物として締結構造にするとき種々の問題が発生する。例えば、CFRP材に貫通孔を開けて、この貫通孔に挿入するボルトと他構造材とを締結するとき、ナットを締め込み過ぎるとCFRP材は破壊される。
仮に、CFRP材とA7075Al材等の金属材とが強力に接着が出来たとしても、自動車や航空機等の移動機械としてその接着構造物を採用するには、使用環境から受ける温度変化、移動時や停止時に受けるエンジンの熱による温度衝撃サイクルによる影響がある。更に、季節や気候による温度変化もあり、かつ、航空機であれば、成層圏の-50~-60℃という極低温と熱帯地帯の砂漠の空港での例えば、+50℃という高温、そして機体表面では+80℃以上にもなる高温環境との間を往復する温度変化に耐えねばならない。又、アラスカやシベリア等の極寒で使用される自動車は、現行の試験方法である-50℃/+80℃の温度衝撃3千サイクル試験に対応する必要があるし、エンジンルーム内、発光器等の近傍では-50℃/+150℃の温度衝撃3千サイクル試験に耐えねばならない。
前述した接着技術における化成処理を開発した当初において、本発明者等は、そのような温度変化に対しても接着力を著しく向上させることにより、容易に解決できるだろうと考えていた。しかしながら、その後の実用のための耐久試験を始めると必ずしも解決できるものではなかった。CFRP材は、その線膨張率が(0.1~0.2)×10-5-1とされ、超々ジュラルミンと呼称されるA7075Alは2.3×10-5-1であるから、両者間の線膨張率差は2.2×10-5-1もある。もし-50℃/+150℃の温度衝撃3千サイクル試験の中で温度が200℃も下がったら(又は上がったら)、その積の4.4×10-3、即ち0.44%だけ両材間の長さが変化する。
要するに、接着力が弱ければこのような温度衝撃による変形に耐えられず直ちに破断するし、接着力が高いと温度変化によっても破断せずに2材の形状が小さく変形し、温度変化によるその変形サイクルを繰り返すことになる。その温度変化サイクルが数千回も繰り返されていると、推定であるが低温時に突然に「ピシッ」等の破断音を立て破断することになる。そして、仮に接着力が非常に高く、かつ、その接着剤硬化物には耐湿熱性がある等の耐久性があり、しかも金属材が錆び難い種類である場合であっても、温度変化による変形は半永久に続く。但し、両材の厚さが、例えば10mm以上ある剛性のある物同士の接合物であれば、双方共に剛性が大きく曲がり変形し難いから、この場合は、素材の内部に大きな内部応力が発生し、接着力が強い場合でも、大きな温度変化があれば接着部は破断する。
本発明者等は、各種金属とCFRP材との接着の強度を上げる提案をした。しかしながら、これらの提案した最大の接着力持つ試験片を厳しい温度衝撃数千サイクル試験をすれば、接着面積を広げた大きな試験片ほど、むしろ破壊されることを確認した。即ち、線膨張率の差を押し込め通すための接着手法の改良の開発は、使用環境によっては限界がある。取り分け、線膨張率差が大きい各種金属とCFRP材等の非金属材との接着には限界がある。
本発明は上記の課題を解決するものであり、以下の目的を達成するものである。
本発明の目的は、各種の構造用金属材、CFRP材、及びCFRTP材から選択される線膨張率差が大きい2種の高強度材を、接着剤による接合により接合積層した、異種構造材を含む接合一体化物とその製造方法を提供するにある。
本発明の他の目的は、各種の構造用金属材、CFRP材、及びCFRTP材から選択される線膨張率の差の大きい2種以上の高強度構造材を接着剤による接合法により接合積層したものであり、温度変化に強い、異種構造材を含む接合一体化物とその製造方法を提供するにある。
本発明の更に他の目的は、各種の構造用金属材、FRP材、及びFRTP材から選択される線膨張率の差の大きい2種以上の高強度構造材を、接着剤による接合、クラッド接合等を含む、異種構造材を含む接合一体化物とその製造方法において、市販の1液性エポキシ接着剤、及び、2液性エポキシ接着剤を使用して接合積層加工ができる、異種構造材を含む接合一体化物とその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、以下の手段を採る。
本発明1の異臭構造材を含む接合一体化物(例えば、図4の3層、3材)は、
FRP材、及び、構造用金属材群から選択される「A」材、及び「B」材の異種2材を両端とし、
前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接着剤で接合した一体化物であって、
前記一体化物は、
前記「A」材と前記「B」材の間に、「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は前記純アルミニウム系アルミニウムの構造物が積層されたものであり、
前記「A」材、前記「D」材、及び「B」材の順に接合面が固着積層された3材からなることを特徴とする。
本発明2の異臭構造材を含む接合一体化物(例えば、図6の4層、4材)は、
FRP材、及び、構造用金属材群から選択される「A」材、及び「B」材の異種2材を両端とし、
前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接着剤で接合した一体化物であって、
前記一体化物は、
前記「A」材と前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は構造物が積層されたものであり、
前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、及び「B」材の順に接合面が固着積層された4材からなることを特徴とする。
本発明3の異臭構造材を含む接合一体化物(例えば、図5の5層、5材)は、
FRP材、及び、構造用金属材群から選択される「A」材、及び「B」材の異種2材を両端とし、
前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接着剤で接合した一体化物であって、
前記一体化物は、
前記「A」材と前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物であり、
前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、前記「C」材、及び「B」材の順に接合面が固着積層された5材からなることを特徴とする。
本発明4の異臭構造材を含む接合一体化物(例えば、図6の4層、4材の変形)は、
FRTP材を「A」材、構造用金属材群から選択される「B」材の異種2材を両端とし、
前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接合した一体化物であって、
前記一体化物は、
前記「A」材と前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物が積層されたものであり、
前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、及び前記「B」材の順に接合面が固着積層された4材からなり、
前記FRTP材と前記「C」材の接合法は、前記「C」材に射出接合法により、前記FRTP材のマトリックス樹脂と同種の樹脂を前記「C」材に接合した後、前記FRTP材と前記樹脂を熱融着により接合されたものであり、
前記熱融着以外の他の接合の前記接合面は、接着剤による接合されたものであることを特徴とする。
本発明5の異臭構造材を含む接合一体化物は、
FRTP材を「A」材、構造用金属材群から選択される「B」材の異種2材を両端とし、
前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10 -5 -1 以上ある部材を接合した一体化物であって、
前記一体化物は、
前記「A」材、前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は構造物が積層されたものであり、
前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、前記「C」材、及び「B」材の順に接合面が固着積層された5材からなり、
前記FRTP材と前記「C」材の接合法は、前記「C」材に、前記FRTP材のマトリックス樹脂と同種の樹脂をインサート成形で接合した後、前記FRTP材と前記樹脂を熱融着により接合されたものであり、
前記熱融着以外の他の接合部の前記接合面は、接着剤により接合されたものであることを特徴とする。
本発明6の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明1~5の異種構造材含む接合一体化物において、前記「D」材は、純アルミニウム系アルミニウムであり、日本工業規格A1080、A1085、及びA1050から選択される1種であることを特徴とする。
本発明7の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明2~5の異臭構造材を含む接合一体化物において、前記「C」材は、日本工業規格のA5052アルミニウム合金、A5083アルミニウム合金、A6061アルミニウム合金、及びSUS304ステンレス鋼から選択される1種であることを特徴とする。
本発明8の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明1~5の異種構造材含む接合一体化物において、前記接合面は、平面、曲面、及び円筒面から選択される1以上の面を含むものであることを特徴とする。
本発明9の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明1~8の異種構造材含む接合一体化物において、前記「D」材は、一面は平面又は曲面であり、他面には断面積0.05~0.25cmの円形又は角状の柱状物が並列して多数林立している板状体であることを特徴とする。
本発明10の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明1~7の異種構造材含む接合一体化物において、前記「D」材は、一面は平面又は曲面であり、他面には厚さ3~5mmの壁が幅2~3mmの間隔あけて多数林立している壁状突起、又は、厚さ3~5mmの壁が幅2~3mmの間隔あけて同心円状の壁状突起を有する板状体であることを特徴とする。
本発明11の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明10の異種構造材含む接合一体化物において、
前記同心円状の前記壁状突起の中心は、1~5cmの部分は厚さ1~5mmの円形の厚板状であることを特徴とする。
本発明12の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明又は5の異種構造材含む接合一体化物において、前記「A」材、前記「B」材、前記「C」材、及び前記「D」材の5材間の接合において、接着剤で接合された接合部に存在する接着剤硬化層は、全て1液性エポキシ接着剤の硬化層、又は、2液性エポキシ接着剤の硬化層が含まれたものであることを特徴とする。
本発明13の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明2~5の異種構造材含む接合一体化物において、前記「A」材、前記「B」材、前記「C」材、及び前記「D」材の4材以上が接合されたものにおいて、接着剤で接合された接合部に換えて一部がクラッド結合部であることを特徴とする。
本発明14の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明12の異種構造材を含む接合一体化物において、前記1液性エポキシ接着剤は、引張り破断試験において、せん断接着強さが23℃下で50MPa以上を示し、かつ、150℃下で25MPa以上を示す耐熱型1液性エポキシ接着剤であることを特徴とする。
本発明15の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明1~14の異種構造材を含む接合一体化物であって、
前記「A」材、及び前記「B]材は、CFRP材とチタン合金材、CFRP材と一般鋼材、CFRP材とステンレス鋼材、CFRP材と高強度アルミニウム合金材、GFRP材と高強度アルミニウム合金材、CFRTP材とチタン合金材、CFRTP材と一般鋼材、CFRTP材とステンレス鋼材、CFRTP材と高強度アルミニウム合金材、チタン材と一般鋼材、チタン材とステンレス鋼材、チタン材と高強度アルミニウム合金材、一般鋼材とステンレス鋼材、一般鋼材と高強度アルミニウム合金材、フェライト系ステンレス鋼材とオーステナイト系ステンレス鋼材、及び、ステンレス鋼材と高強度アルミニウム合金材から選択される1種であることを特徴とする。
本発明16の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明4又は5の異種構造材含む接合一体化物において、
前記「A」材のFRTPがCFRTPであり、
前記樹脂は、0.5mm厚以上の高結晶性熱可塑性合成樹脂組成物であり、前記「C」材と前記樹脂の厚みの合計は、厚さ2mm以下の複合板であり、
前記「A」材と前記「C」材の接合は、前記CFRTPのマトリックス樹脂と高結晶性熱可塑性合成樹脂組成物を熱融着により固着したものであり、
前記「B」材は、チタン合金材、一般鋼材、ステンレス鋼材、及び、高強度アルミニウム合金材から選択される1種であることを特徴とする。
本発明17の異臭構造材を含む接合一体化物は、本発明15の異種構造材含む接合一体化物において、
前記高強度アルミニウム合金材は、日本工業規格のA2014、A2017、A2024、及びA7075から選択されるジュラルミン類、又は、日本工業規格のA5052、A5083、A6061、及びA6063から選択される1種のアルミニウム合金であることを特徴とする。
本発明1の異臭構造材を含む接合一体化物の製造方法は、、
FRTP材を「A」材、構造用金属材群から選択される「B」材の異種2材を両端とし、
前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5K-1以上ある部材を接合した一体化物であって、
前記一体化物は、
前記「A」材と前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は構造物が積層されたものであり、
前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、及び前記「B」材の順に接合面が固着積層された4材からなる異種構造材を含む接合一体化物の製造方法であって、
前記FRTP材のマトリックス樹脂と同種の樹脂を前記「C」材に接合するために、前記「C」材を金型にインサートした後、前記樹脂を射出してFRTP材と前記「C」材を接合する射出接合工程と、
前記射出接合後、前記FRTP材と前記樹脂を熱融着により接合する熱融着工程と、
他の接合部は、接着剤による接合工程法とからなることを特徴とする。
本発明2の異臭構造材を含む接合一体化物の製造方法は、、
FRTP材を「A」材、構造用金属材群から選択される「B」材の異種2材を両端とし、
前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接合した一体化物であって、
前記一体化物は、
前記「A」材、前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は構造物[である前記「C」材]が積層されたものであり、
前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、前記「C」材、及び「B」材の順に接合面が固着積層された5材からなる異種構造材を含む接合一体化物の製造方法であって、
前記FRTP材のマトリックス樹脂と同種の樹脂を前記「C」材に接合するために、前記「C」材を金型にインサートした後、前記樹脂を射出してFRTP材と前記「C」材を接合する射出接合工程と、
前記射出接合後、前記FRTP材と前記樹脂を熱融着により接合する熱融着工程と、
他の接合部は、接着剤による接合工程法とからなることを特徴とする
以下、上記本発明を構成する各要素について説明する。
[本発明の「A」材、「B」材、「C」材、及び「D」材の概要]
本発明でいう「A」材、「B」材とは、積層体である本発明の異種構造材を含む接合一体化物の両端部の部材を意味する。「C」材、「D」材は、「A」材と「B」材の間に固着されて積層された部材を意味する。本発明の「A」材、「B」材、及び「C」材は、下記の「(1)FRP材、FRTP材」、及び「(2)構造用金属材」から選択される1種を指す。本発明の「D」材]とは後述する「(3)「D」材」を意味する。
(1)FRP材、FRTP材
本発明でいうFRP材は、一般的な繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)であり、マトリックス樹脂である熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂等にガラス繊維、炭素繊維等の繊維を複合して強度を向上させた成形材料、又は成形品のことである。炭素繊維を用いたFRPはCFRPであり、ガラス繊維を用いたFRPはGFRPである。一方、FRTP材(Fiber Reinforced Thermo-plastics)は、結晶性等を有する熱可塑性樹脂であるポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以下、PPSという。)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(以下、PEEK)等をマトリックス樹脂とし、ガラス
繊維、炭素繊維等の繊維を入れて強化改良した成形材料、又は成形品若しくは管材、板材等の汎用材のことである。炭素繊維を用いたFRTPはCFRTPと称されており、ガラス繊維を用いたFRTPはGFRTPと称されている。これらのFRP材、FRTP材の成形品は、板材、管材、棒材、シート等の規格化された汎用材、個々に設計された成形品を含むものである。
(2)構造用金属材
本発明でいう構造用金属材とは、日本工業規格等で規格化された、又は、特殊なTi合金材、各種の構造用鋼材、各種ステンレス鋼、各種アルミニウム合金等の構造用金属材を意味する。アルミニウム合金には、Al-Cu系(日本工業規格の2000系)、Al-Mn系(日本工業規格の3000系)、Al-Si系(日本工業規格の4000系)、Al-Mg系(日本工業規格の5000系)、Al-Mg-Si系(日本工業規格の6000系)、Al-Zn-Mg系(日本工業規格の7000系)、及び、純アルミニウム系アルミニウム(日本工業規格の1000系)等がある。また、本発明で使用されるアルミニウムは、日本工業規格で規定する1000~8000系の伸展用アルミニウム合金、更にはADC12等の鋳造用アルミニウム合金が含まれる。従って、本発明の構造用アルミニウム合金材は、伸展用アルミニウム合金、鋳造用アルミニウム合金の両方が含まれる。
(3)本発明の「D」材
本発明でいう「D」材は、本発明を構成する構成要素の中で重要な機能、作用を受け持っている。即ち、本発明の「D」材は、機械的性質としては展伸性を有する軟質金属であり、かつ、接合性の高いもの、例えば、前述した1液性エポキシ接着剤「EW2040」に対して、十分強い接着力(せん断接着強さ)を有している部材である。これに加えて、基本的な特性としては、前述した「A」材と「B」材の間に挟まれて、十分に高い接着力で接着されて、「A」材、「D」材、「B」材、及び「C」材の3材、又は4材で接合一体化物となるものである。その一体化物は-50℃/+150℃の温度衝撃3千サイクル試験にかけられても破壊されない特性が要求される。本発明では、「A」材、「B」材間の線膨張率に大きな差異がある。このために、激しい温度変化で、「A」材、「B」材の長さは変化する。この結果、3層3材の場合、その上下面で「A」材、「B」材と強く接着されている「D」材の両面で、長さの伸び、又は縮みが異なるので、「D」材には変形への応力が発生する。しかし、「D」材は、展性があり軟性がある部材であるので自ら変形し、その熱収縮による応力を吸収して抑制され、温度衝撃数千サイクル試験に投入されても接着状態を保つことができる。この「D」材として、金属材で最も適しているのは、純アルミニウム系アルミニウムアルミニウムであり、好ましくは日本工業規格でいうA1085、A1080、A1050等の純アルミニウム系アルミニウムアルミニウムが好ましく使用できる。
(4)本発明の「C」材
本発明でいう「C」材は、「D」材とは異なる特殊な役目を受け持っている。即ち、本発明の異種高強度構造材を含む接合一体化物は、高強度で、かつ軽量なものが求められており、それを実現するのに最適なものはCFRP材、CFRTP材等である。しかしながら、CFRP片同士を、例えば、上記1液性エポキシ接着剤「EW2040」で接着して、図1に示した試験片の接着対で試験した場合、そのせん断接着強さは約40MPaになる。その理由は前述した通りであるが、それ故に、例えば「A」材にCFRP片を使用した場合には、上述した通りその展伸性を利用した上記「D」材を使用すると良い。その「D」材に接着に最適な表面の化成処理がなされていると、金属材である「D」材と接着剤硬化物間の接着力は約60MPaになる。しかし、「A」材にCFRP片を使用した場合、「A」材と「D」材間の直接接着物では、最強度の接着力が得られたとしても、前述した理由でCFとマトリックス樹脂硬化物間の真の接着力は約40MPaとみられので、低い方の接着力に引きずられ、接合一体化物である積層体のせん断接着強さである接着力は、約40MPa以下になる。
又、「A」材にCFRTP材が使用された場合、CFRTPと「D」材間の接合に接着法は使用できない。その理由は、CFRTP材の表面はそのマトリックス樹脂である熱可塑性樹脂であり、熱可塑性樹脂と金属材を直接的に強く接合する一般的な技術はないからである。それ故、本発明の発明者が提案した接合方法では、CFRTP材に使用されているマトリックス樹脂、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂の場合に以下の工程で接合させる。即ち、金属薄板材に、射出接合用の表面処理(前述したNMT処理、新NMT処理等)を加えた後に、これを射出成形金型にインサートし、射出接合用に調整したPEEK系樹脂を射出接合させ、インサートした金属薄板に、PEEK系樹脂の薄板状物が面接合した複合板状物を一旦作成する。そして、この複合板とPEEK樹脂製のCFRTP厚板を、熱プレス融着させて金属薄板付きのCFRTP厚板を作成する(特許文献12参照)。
要するに、CFRTP材と金属材の接合一体化物を作成する方法として、例えば、この特許文献12で提案した接合方法がある。この接合方法の場合、CFRTP材を用いた場合、本発明の接合一体化物のCFRTP材と金属薄板材間の接合力(せん断接合強度)は、表面処理した金属材と射出接合用に使用したPEEK系樹脂間の射出接合力と同値になる。現在の処、金属材に軟質材の「D」材、例えばA1050Alを使用した場合、射出接合用PEEK系樹脂との射出接合されたもののせん断破断強さは、約45MPa付近である。この45MPaの数値は、「A」材に金属材を使った接合一体化物において、「A」材と「D」材と直接的に接着剤で接着した場合の予想値の60MPaより低い。更に言えば、CFRTP材のマトリックス樹脂がPPS系樹脂の場合には、上記の数値が約40MPaになり、CFRTP材のマトリックス樹脂が半芳香族型ポリアミド樹脂の場合には上記の数値が45~50MPaになり、やはり60MPaより低い。
要するに、「A」材、「B」材として、CFRP材、CFRTP材等を使用した場合、接着力が約40~50MPaに留まる。また、新たな合金が出現したとき、その表面の化成処理が最適でないと、その金属材との接着力が約40~50MPaに留まる可能性もある。それ故に、「A」材、「B」材の接合面の基本的な接着力は、約40MPaやそれより低くなった場合、この接合部分が弱いことから、この接合一体化物は機械的な強度が弱いものとなる。このために、この接合一体化物の「A」材と「D」材間、「B」材と「D」材間等の接着力が、他の接合部分と同一レベルになるように、結果的に60MPa付近の強度に至るように、全接着構造を構築する必要がある。このために「A」材と「D」材間、「B」材と「D」材間に、金属薄板材の「C」材を更に挟み込む理由である。
(「C」材の役割、機能)
以上の説明から理解されるように、結論として、本発明の「C」材は「D」と異なる特性の展性のある薄板金属であることが好ましい。線膨張率が大きく異なる構造材同士であっても、双方材のエポキシ接着剤に対する接着力が十分に高い場合には、一方が薄板材であれば、他方に追従してそのまま強く接着し、厳しい環境温度変化にも耐え得る。要するに「A」材と「D」材の間に、「D」材より剛性のある薄板の「C」材を挟んで接着剤接合すれば、この3者が一体化した一体化物に、大きな温度変化や温度衝撃があっても、薄板で「D」材より剛性を有する「C」材は、先ずこれより剛性のある「A」材の伸縮に追従し、「A」材の伸縮に追従して「C」材の伸縮は、そのまま軟質材の「D」材に伝わる。
同様に、「B」材と「D」材の間に、上記とは別の薄板「C」材を挟んで接着剤で接合すれば、この3者が一体化した接着物に温度変化や温度衝撃があっても、この「C」材は先ず「B」材の伸び縮みに追従し、「B」材の伸び縮みに追従したこの「C」材の伸び縮みは、そのまま「D」材に伝わる。この思考パターンで、「A」材、「C」材、「D」材、「C」材、及び「B」材からなる5層の積層構造を接着一体化(例えば、図5の積層体)した全接着構造を想定すれば、「A」材の伸縮と「B」材の伸縮が共に中央部の「D」材の上下面に伝わる。このとき、「D」材は純アルミニウム系アルミニウムである軟質金属が故に、全ての力は接着面に破断を引き込むことなく変形を吸収する。言い換えれば、「C」材は、「A」材と「D」材の間、「B」材と「D」材の間の変形の緩衝機能がある。但し、「C」材は、「A」材の伸縮と「B」材の伸縮を吸収する緩衝機能のみではない。
より具体的に説明すれば、本発明の接合一体化物において、CFRP材、CFRTP材等の「A」材と、接着剤硬化物との接着力が、例えば約30MPaしかなく、その他の「B」材、「C」材、「D」材等と接着剤硬化物との接着力が、せん断破断強度が全て例えば約60MPaである場合、「A」材と「C」材間の接着面積は、同じせん断破断強度を保つためには、構造設計上「C」材と「D」材の接着面積に対して2倍にする必要がある。要するに、実際の接着力は、せん断接着強さと接着面積の積であるから、このようにして接着力を増幅する処置を行えることから、「C」材を用いた理由である。そして、この増幅作用が実際に生じるようにするには、「C」材にも高い耐力(又は設計上の許容応力)が必要であり、しかも、薄板であってもその弾性変形の範囲の中で、「A」材や「B」材の伸び縮みに追従させる必要である。しかも、これは接合強度を大きくする増幅の役目を果たすために、引き千切れ現象(破断破壊)を起こさぬ条件が耐力の大きさに関係する。本発明で「C」材を用いるのは、4材で4層以上で、かつ強度が要求される場合である。展性のある軟質金属からなる「D」材は、機械的な強度が弱く、「A」材、又は「B」材と直接的に接着しても接着強度が所望の大きさに達しない。
そこで、上記したように、「C」材に接着力の増幅材としての役目を与えるには、薄板となっても自身が引き千切れ現象を起こしてはならず、一般的な接着強度程度に耐える耐力(許容応力)がある素材でなければならぬことと同時に、引張り強さが必要である。この点は、後述する実験例(図1に示した試験片)に記載した試験実験の結果(表6参照)からであるが、耐力は約150MPa以上であることが望ましく(「C」材は、後述する実験では、実用的にはA5052Al合金より、高耐力の金属材が望ましく)、SUS304では0.28mm厚の薄板が使用できたので、縦弾性係数≒190GPa、厚さ0.28mmの積の53GPa・mmを一応の標準にすることが出来る。要するに、「縦弾性係数×厚さ=53GPa・mm」を「C」材の上限基準と置いた。
上式から言えば、アルミニウム合金の全ては、その縦弾性係数が70GPa付近であるから、好ましい「C」材の厚さは0.75mm以下となる(後述する表6参照)。NAT処理法の開発がよく進んでいて高接着力を示し、かつ、実用性があり錆難いのはアルミニウム合金、ステンレス鋼であり、この式から見て「C」材厚さでは1mm厚以下の薄板となる。後述する実施例に実証できた「C」材の例があるが、実証書した例では、A5052、A6061アルミニウム合金、そしてSUS304ステンレス鋼、等である。それ故に、好ましく使用できる金属類として、A5052、A5083、A6061のアルミニウム合金類、そしてSUS304、SUS316のオーステナイト系ステンレス鋼がある。
[本発明の接合面を固着積層する手段、部材]
本発明の接合面を固着積層する方法は、接着剤、及びクラッド接合である。
(1)接着剤
本発明の接合面を固着積層する接着剤は、本発明で使用する各種FRP材、及びFRTP材と本発明で使用する各種構造用金属材を、要求される環境下において、設計値の強度で接合できるものであればいかなる種類でも良い。ただし、本発明で重要な高強度構造材の一つはCFRP材であり、このCFRP材のマトリックス樹脂は、一般的にはエポキシ系樹脂であるので、接着剤としてはエポキシ接着剤が好ましい。しかもエポキシ接着剤は、各種金属材の接着用としても最適であるのでこの点でも好ましい。このエポキシ接着剤は、1液性、又は2液性エポキシ接着剤のどちらにも使用できる。2液性エポキシ接着剤は、主剤となる液状のエポキシ樹脂と、ポリアミン類と呼ばれる硬化剤の2液を常温で化学反応させることで共重合硬化する接着剤である。1液性エポキシ接着剤は、硬化剤を含んだもので、加熱により反応させて重合するものであり、耐熱性、強度に優れたものがあるので、耐熱性が要求される接合一体化物に用いる。
(2)クラッド接合
本発明でいうクラッド接合とは、各種の異種合金同士を重ね合わせて火薬の爆発力に依る方法(爆着)、熱間圧延、昇温圧延等により接合することをいう。クラッド接合に使う部材は、前述したような昇温加圧処理法であり、この処理法は溶接したが如く強接合し、一般的には接着剤による接合より接合力は高い。但し、前もって何らかの表面処理を行うことが多く、特に昇温圧延等アルミニウム合金を使用する場合には必要である。要するに、2種材をクラッド接合したい場合には、その手法にどの手法を選ぶべきか、最も簡易な昇温圧延法を選択するのであれば、接合が確実に成功するように、その各2材に対する最適な表面処理法を先ず開発する必要がある。
[本発明の線膨張率の差(0.3×10-5-1以上)]
本発明の「異種構造材を含む接合一体化物」に用いる「A」材と「B」材の線膨張率の差は、最大で0.3×10-5-1以上あるものをいう。その理由は、以下の通りである。本発明を構成するFRP材、例えば、CFRP材の線膨張率は(0.1~0.2)×10-5-1とされる。一方、本発明を構成する各種の構造用金属材の線膨張率は、超々ジュラルミンと呼称されるA7075アルミニウム合金は、約2.3×10-5-1である。汎用されている各種構造用金属材の中で、最も線膨張率が低いのはTi合金材であり、約0.8×10-5-1である。一般鋼材及びフェライト系ステンレス鋼は約1.1×10-5-1、オーステナイト系ステンレス鋼は約1.7×10-5-1、ジュラルミンやアルミニウム合金は約2.3×10-5-1である。更に構造材とは言い難いが、その他の金属材では、銅材が約1.8×10-5-1、銀材は約1.9×10-5-1、錫材は約2.3×10-5-1、マグネシウム材は約2.5×10-5-1、鉛材は約2.9×10-5-1とされる(なお、これら数値は、文献により0.1×10-5-1程度異なる)。
この各種構造用金属材の中で、線膨張率は、Ti合金材と一般鋼材及びフェライト系ステンレス鋼の間が最も近く、しかもこれらの金属部材は、本発明の接合一体化物である積層体として、併用して使用されることもある。この各種構造用金属材での線膨張率差は、約0.3×10-5-1であり、これ以下の線膨張率差の場合は接着面への負荷は実質的小さいので考慮する必要はない。従って、本発明の異種構造材を含む接合一体化物は、最も近い異種構造材の組み合わせた場合の線膨張率は、約0.3×10-5-1以上とした。また、本発明における実験による温度衝撃試験(3千サイクル)では、低温室-50℃、高温室150℃で試験を行った。即ち、自動車部品等に要求される環境温度である約200℃の温度変化(-50℃から150℃)において、最も線膨張率差が大きいCFRP材とA2017アルミニウム合金(ジュラルミン)を「A」材、「B」材とし、本発明の「A」材、「C」材、「D」材、及び「B」材の4層型の接着一体化物での温度衝撃3千サイクル試験を行った。この結果、最も接着構造が破壊される可能性があった「C」材と「D」材間のせん断接着強度に関し、全く問題なく許容値以内に収まった。因みに、温度衝撃サイクル試験は約200℃の温度変化(-50℃から150℃)を繰り返し前記「A」材と「B」材間に与えたわけだが、「A」材と「B」材間には2.1×10-5-1の線熱膨率差があり、この200℃の温度変化で0.42%の長さ差が生じたから、「A」「B」材がもし直接接着されていたならば、これは確実に破断していたものだった。
以上詳記したように、本発明の異種構造材を含む接合一体化物その製造方法は、線膨張率差が大きい2種以上の高強度材を直接的にではなく、間接的に接着することにより大きな温度衝撃があっても、その接着積層構造を保ち得る効果がある。それ故に、基本的に環境温度が激しく変化する場所、又、環境温度が激しく変化するだけでなくその温度変化が繰り返し数千回もなされる場所に設置してもその基本構造に変化はない。それ故に、屋外設置用の機械や設備、そして自動車、航空機、その他の移動機械用の部品部材として非常に好ましく使用できる。特に、CFRP材とジュラルミン材を「A」材と「B」材とする本発明品は超軽量であり、移動機械用部品部材として最高に好ましい。
図1は、金属片同士の試験片であり、金属間のせん断接着強さを測定するための試験片を示す斜視図であり、図1(a)は単体での試験片、図1(b)は薄い試験片の場合の積層した試験片による試験片である。 図2は、金属片同士の試験片であり、金属端面間の引張り接着強さを測定するための試験片を示す斜視図である。 図3は、0.3mm厚のA5052アルミニウム合金薄板5枚と0.3mm厚のCFRPプリプレグを、耐熱性に優れる1液性エポキシ接着剤で接着積層したものであり、9層に積層した接合一体化物の端部写真である。 図4は、線膨張率に差異ある高強度構造材「A」材、「B」材を両端とし、「D」材である純アルミニウム系アルミニウムのA1050板を挟み込んだ、3材、3層型の接着構造の積層体の例である。 図5は、線膨張率に差異ある高強度構造材「A」材、「B」材を両端とし、「C」材であるA5052Al薄板、「D」材である純アルミ系アルミニウムのA1050アルミニウム板を挟み込んだ、「A」材、「C」材、「D」材、「C」材、及び「B」材の、5材、5層型の接着構造の積層体の例である。 図6は、線膨張率に差異ある高強度構造材「A」材、「B」材を両端とし、「C」材であるA5052アルミニウム合金の薄板、「D」材である純アルミニウム系アルミニウムのA1050アルミニウム板を挟み込んだ、「A」材、「C」材、「D」材、及び「B」材の4材、4層型の接着構造の積層体の例である。 図7は、図5に示したものと同様の5層型の積層例であり、応力集中する箇所(せん断面)でのせん断接着強さを測定するための積層例である。 図8は、図6に示したものと同じ4層型の積層例であり、強く応力集中する箇所(せん断面)でのせん断接着強さを測定するための積層例である。
図9は、図5に示したものと同様の5層型の積層例であり、実用品に近い形で積層接着した物であり、温度衝撃数千サイクル試験に投入するために作成した物である。 図10は、図6に示したものと同じ4層型の積層例であるが、「A」材にCFRP厚板を使用し、「B」材にジュラルミン材を使用した例であり、厳しい温度衝撃数千サイクル試験に投入するために作成した物である。 図11は、「A」材にCFRTP材使った複合材である場合の製作工程を示すものである。 図12は、「A」材にCFRTP材使った複合材である場合の製作工程を示すものである。 図13は、「D」材である純アルミニウム系アルミニウムが一平面の板材形状でなく、表面に多数の細い柱を有した板材の例を示すものである。 図14は、「D」材である純アルミニウム系アルミニウムが板材形状でなく、同心円状の壁を有した板材の例である。 図15は、高強度構造材として64Ti合金の厚板を用い、この厚板にアルミニウム合金やSUS304ステンレス鋼の薄板を、1液性エポキシ接着剤で接着したときの、せん断強度の測定方法を示す工程図である。 図16は、金属片における板面の「引張り接着強さ」を測定するための作業の手順を示した工程図である。 図17は、図16に続く工程であり、金属片における板面の「引張り接着強さ」を測定するための作業の手順を示した工程図である。
図18は、図17に続く工程であり、金属片における板面の「引張り接着強さ」を測定するための作業の手順を示した工程図である。 図19は、CFRP材の端部にA7075アルミニウム合金厚板を接着した4層型の構造例であり、CFRP材がA7075アルミニウム合金厚板を介して、他材とボルト・ナット締結が出来る構造例を示したものである。 図20は、CFRP材の端部にA7075アルミニウム合金厚板を接着した4層型の構造例であり、CFRP材がA7075アルミニウム合金厚板を介して、他材とボルト・ナット締結が出来る構造例を示したものである。 図21は、CFRP材の端部にA7075アルミニウム合金厚板を接着した4層型の構造例であり、CFRP材がA7075アルミニウム合金厚板を介して、他材とボルト・ナット締結が出来る構造例を示したものである。 図22は、CFRP材の端部にアルミニウム合金機械加工物を接着した3層型の構造例であり、CFRP材がA7075アルミニウム合金厚板を介して、他材とボルト・ナット締結が出来る構造例を示したものである。 図23は、管材のCFRP材の端部にボルト締結孔を備えたアルミニウム合金厚板を接着した3層型の構造例であり、CFRP管材がA7075アルミニウム合金加工物を介して、他材とボルト・ナット締結が出来ることを示したものである。
本発明による各種素材の表面処理法、その処理後の接着方法、その接着物の物性測定法、及び、本発明の異種構造材を含む接合一体物のせん断接着強さ、せん断接着粘り性等につき、以下の説明と実施例で具体的に説明する。
以下、本発明の実施例に換えて実験例で詳記する。
(a)電子顕微鏡観察
本実施例として用いた基材表面の観察のために電子顕微鏡を用いた。この電子顕微鏡は、走査型(SEM)の電子顕微鏡「SSM-7000F(製品名)」(日本電子株式会社(本社:日本国東京都)製)を使用し、1~2kVにて観察した。
(b)接着強度の測定
引張り試験機「AG-500N/1kN」(株式会社 島津製作所(本社:日本国東京都))を使用し、接着剤接合物(例えば、図1の試験片)を引張り破断するときの破断力を「せん断接着強さ」(x-y平面)とした。又、端面で接着された試験片(図2参照)を引張り試験機で引っ張り、この引っ張りで破断するときの破断力を「引張り接着強さ」(y-z平面)とした。使用した引張り試験機は、引張り速度10mm/分で測定した。
(c)せん断接着ねばり性の測定
本実験例でいう「せん断接着ねばり性」とは、以下の実験方法で得た結果をいう。せん断接着ねばり性の測定を行うときは、引張り試験機で試験片(図1)により、「せん断接着強さ」を前もって測定しておく。そして、この試験片に、この「せん断接着強さ」の約75%程度の引張り力を、300回だけ連続的に繰り返し与える試験を始める。この試験方法による引張り試験機による荷重方法は、その試験機の制御装置の運転ソフトで設定して行う。この運転ソフトは、最大引張り力を上記約75%、最小引張り力を前記最大引張り力の約2/3とし、かつ、引張り速度を±10mm/分を1サイクルとする。この繰り返し荷重で、せん断破断しなければ、約2MPaだけ最大引張り荷重を大きくし、かつ最小引張り力を修正して、同じ300回の繰り返し負荷を加える試験をする。それでも破断しない場合は、更に、約2MPa程を加えて同操作を繰り返し、この繰り返しを図1に示した試験片が破断するまで続ける。破断したら、破断前の最大引張り力をもって、その力量をMPa表示し、本実験ではこれを「せん断接着ねばり性」値とした。
(d)接着面の非破壊検査
接着面に剥離が発生しているか否かの判定、観察は、以下の方法で行った。簡易的には、着色した水性浸透液を接着層の外観部に塗布して拭き取り、この着色部が拭き取れるか否かで検査する試験法で確認できる。接着面積のどの範囲まで剥離が拡がっているか否かを詳しく確認したい場合には、接着面に超音波を照射して観察ができる非破壊検査機「MSライン(日立パワーソリューションズ式会社(本社:日本国茨城県))」を使用した。
(e)温度衝撃サイクル試験
温度衝撃サイクル試験は、温度衝撃サイクル試験機「小型冷熱衝撃装置TSE-12-A」(エスペック株式会社(本社:日本国大阪府))を使用した。標準的に行った温度衝撃サイクル試験の条件は、低温室温度-50℃、高温室温度+150℃とし、各室の滞在時間25分、移動時間約5分とした。この試験機を設置した室温は、27℃に常時温調されている室内であり、かつ、定期的に冷室温度を室温にまで昇温させて、上記試験機の氷結部を自然溶解させる自動運転に設定した。
[実験例A]各素材の表面処理
以下、本発明を構成する構造用金属材の表面を処理する化成処理の実験例を説明する。即ち、下記に説明する実験による化成処理は、各種構造用金属材毎の最適な化成処理方法を探索するものである。
[実験例A1-1]A1050アルミニウム(以下、「A1050Al」という。)の表面処理(NAT処理)
厚さ0.5~3.0mmの純アルミニウム系アルミニウムのA1050Alの板材を入手し、これを長方形片に機械加工し、この端部に孔を開けて試験片である合金片とした。この合金片の孔に、園芸用の塩ビカバー付き針金を通して、これを吊り下げて、各液処理に浸漬が出来るようにした。超音波発振端付き水槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」(メルテックス株式会社(本社:日本国東京都))10%含む水溶液60℃のものを満たし、前記合金片を5分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃で1%濃度の塩酸水溶液を用意し、1分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、この水酸化ナトリウム水溶液に前記Al片を4分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、この硝酸水溶液に、前記Al片を3分間浸漬した後、これを水洗した。
次に別の槽に、60℃とした3.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液を用意し、前記A1050Al片を2分間浸漬し、次に別の槽に、33℃とした0.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液に0.5分浸漬した後、水洗した。そして別の槽に、5%濃度の過酸化水素水を用意し、前記A1050Al片を5分間浸漬した後、これをよく水洗した。これらの処理後、67℃に設定した温風乾燥機に15分間入れて乾燥させた。
[実験例A1-2]A1050Alの表面処理(NAT7処理:参考例)
実験例A1-1と同様に、浸漬処理が出来るようにしたA1050Al片を用意した。超音波発振端付き水槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」10%含む水溶液で60℃のものを満たし、前記A1050Al片を5分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃で10%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、1分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1%濃度の塩化アルミニウム水和物と、5%濃度の塩酸含む水溶液を用意し、これに前記Al片を10分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした2%濃度の1水素2弗化アンモンと10%濃度の硫酸含む水溶液を用意し、これにA1050Al片を1分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記A1050Al片を2分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記A1050Al片を2分間浸漬した後、これを水洗した。
次に別の槽に、60℃とした3.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液を用意し、前記A1050片を2分間浸漬し、次に別の槽に、33℃とした0.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液に0.5分浸漬した後、これを水洗した。そして別の槽に、5%濃度の過酸化水素水を用意し、前記A1050Al片を5分間浸漬した後、これをよく水洗した。これを67℃に設定した温風乾燥機に15分間入れて乾燥させた。
[実験例A1-3]A1050Alの表面処理(NAT5処理)
実験例A1-1と同様に、浸漬処理が出来るようにしたA1050Al片を用意した。超音波発振端付き水槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」10%含む水溶液を60℃のものを満たし、前記A1050Al片を5分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃で10%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意した後、これを1分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1%濃度の水和塩化アルミと5%濃度の塩酸含む水溶液を用意し、これに前記A1050片を3分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記A1050合金片を4分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記A1050Al片を1.5分間浸漬した後、これを水洗した。
次に別の槽に、60℃とした3.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液を用意し、前記A1050片を2分間浸漬し、次に別の槽に、33℃とした0.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液に0.5分浸漬した後、これを水洗した。そして別の槽に、5%濃度の過酸化水素水を用意し、前記A1050片を5分間浸漬した後、これをよく水洗した。これを67℃に設定した温風乾燥機に15分間入れて乾燥させた。
[実験例A1-4]A1050Alの表面処理(NAT(20分)処理)
上記実験例A1-1と同様の処理を全処理工程で進め、最後の反応工程、即ち、5%濃度の過酸化水素水を用意して、A1050Al片を過酸化水素水への5分間浸漬する部分だけを変更して、20分に延長するだけが異なる。
[実験例A1-5]A1050Alの表面処理(NAT5(20分))
上記実験例A1-3と同様の処理を全工程で進め、最後の反応工程、即ち、5%濃度の過酸化水素水を用意して、A1050Al片を5分間浸漬する部分だけを変更して20分に時間変更だけ異なるものにした。
[実験例A1-6]A1050Alの表面処理(NAT-Ano(陽極酸化)処理)
[実験例A1-1]と同様の処理工程を進めて、40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意して、これに前記Al片を3分間浸漬した後、これを水洗する。次に別の槽に、25℃とした10%濃度のリン酸水溶液を用意し、前記Al片をTi製の陽極に繋ぎ、炭素棒製の陰極を浸漬槽の端部に挿入し、直流20Vをかけて15分間、陽極酸化した。この陽極酸化した前記Al片を30分間水洗した後、67℃に設定した温風乾燥機に15分間入れて乾燥させ、更に100℃に設定した温風乾燥機に30分間入れて乾燥させた。
[実験例A1-7]A1050Alの表面処理(NAT5-Ano(陽極酸化)処理)
[実験例A1-3]と同様に工程を進めて、40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記A1050Al片を1.5分間浸漬した後、これを水洗したところまでは同一の処理を行った。この処理後に、NAT5の処理法を変更し、次に別の槽に、25℃とした10%濃度のリン酸水溶液を用意し、前記A1050Al片をTi製の陽極に繋ぎ、炭素棒製の陰極を浸漬槽の端部に挿入し、直流20Vをかけて15分間、陽極酸化した。この陽極酸化された前記A1050Al片を30分間水洗した後、67℃に設定した温風乾燥機に15分間入れて乾燥させ、更に100℃に設定した温風乾燥機に30分間入れて乾燥させた。
[実験例A2-1]A5052Al合金の表面処理(NAT7処理法)
厚さ0.5~3.0mmのA5052Al合金板材を入手し、多種の大きさの長方形片に機械加工し、端部に孔を開けた。前記A5052Al合金片の孔に園芸用の塩ビカバー付き針金を通して吊り下げ、各液で浸漬処理が出来るようにした。浸漬槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」10%を含む水溶液を60℃とし、前記A5052Al合金片を5分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした10%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記A5052Al合金片を1分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1%濃度の塩化アルミニウム水和物と5%濃度の塩酸を含む水溶液を用意し、これに前記A5052Al合金片を6分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした2%濃度の1水素2弗化アンモンと10%濃度の硫酸含む水溶液を用意し、これに前記A5052Al合金片を4分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記A5052Al合金片を1分間浸漬した後、水洗した。次に別の槽に、40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記A5052Al合金片を1.5分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、60℃とした3.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液を用意してこれに2分間浸漬した後、次に別の槽に、33℃とした0.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液に0.5分浸漬した後、これを水洗した。そしてこれを5%濃度の過酸化水素水に5分間浸漬した後、これをよく水洗した後、67℃に設定した温風乾燥機に15分間入れて乾燥させた。
[実験例A2-2]A5052Al合金の表面処理(NAT処理:参考例)
実験例A2-1と同様に、浸漬処理が出来るようにしたA5052Al合金片を用意した。浸漬槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」10%を含む水溶液を60℃とし、前記A5052Al合金片を5分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1%濃度の塩酸水溶液を用意し、これに前記A5052Al合金片を1分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記A5052Al合金片を4分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記A5052Al合金片を3分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、60℃とした3.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液を用意してこれに2分間浸漬した後、次に別の槽に、33℃とした0.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液に0.5分浸漬した後、これを水洗した。そして5%濃度の過酸化水素水に5分間浸漬した後、これをよく水洗した後、これを67℃に設定した温風乾燥機に15分間入れて、前記処理を終えた前記A5052Al合金片を乾燥し、清浄なアルミ箔でまとめて包み保管した。
[実験例A3]A6061Al合金の表面処理(NAT処理)
厚さ0.5~3.0mmのA6061Al合金板材を入手し、多種の大きさの長方形片に機械加工し、端部に孔を開けた。前記A6061Al合金片の孔に園芸用の塩ビカバー付き針金を通してぶら下げ、各液で浸漬処理が出来るようにした。その後の表面処理法は、実験例A1-1に示されたNAT処理法と全く同じである。
[実験例A4-1]A2017Al合金の表面処理(NAT7処理法)
厚さ0.5~3.0mmのA2017Al合金板材を入手し、多種の大きさの長方形片に機械加工し、端部に孔を開けた。前記A2017Al合金片の孔に園芸用の塩ビカバー付き針金を通してぶら下げ、各液で浸漬処理が出来るようにした。浸漬槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」10%を含む水溶液を60℃とし、前記A2017Al合金片を5分間浸漬して水洗した。次に別の槽に、40℃とした10%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記A2017Al合金片を1分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1%濃度の塩化アルミニウム水和物と、5%濃度の塩酸を含む水溶液を用意し、これに前記A2017合金片を1分間浸漬し、水洗した。次に別の槽に、40℃とした2%濃度の1水素2弗化アンモンと10%濃度の硫酸含む水溶液を用意し、これに前記A2017Al合金片を3分間浸漬した後、これを水洗した。
次に別の槽に、40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記A2017合金片を2分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記A2017Al合金片を2.5分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、60℃とした3.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液を用意して、これに前記A2017Al合金片を2分間浸漬した後、次に別の槽に、33℃とした0.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液に0.5分浸漬した後、これを水洗した。そして5%濃度の過酸化水素水に5分間浸漬し水洗した後、これを67℃に設定した温風乾燥機に15分入れ乾燥させた。
[実験例A4-2]A2017Al合金の表面処理(NAT処理:参考例)
厚さ0.5~3.0mmのA2017Al合金板材を入手し、多種の大きさの長方形片に機械加工し、端部に孔を開けた。前記A2017Al金属片の穴に園芸用の塩ビカバー付き針金を通してぶら下げ、各液で浸漬処理が出来るようにした。その後の表面処理法は、実験例A1-1に示されたNAT処理法と全く同じである。
[実験例A5]A7075Al合金の表面処理(NAT処理)
厚さ1.5~3.0mmのA7075Al合金板材を入手し、多種の大きさの長方形片に機械加工し、端部に孔を開けた。前記A7075Al合金片の孔に園芸用の塩ビカバー付き針金を通して吊り下げ、各液での浸漬処理が出来るようにした。その後の表面処理法は、実験例A1に示されたNAT処理法と全く同じである。
[実験例A6]ADC12Al合金の表面処理(NAT7処理)
アルミダイカスト素材である日本工業規格のADC12Al合金を使用して鋳造した、45mm×18mm×厚さ1.5mmの小片形状で端部に孔が開いている前記ADC12Al合金小片を入手し、以下の各液処理を行った。浸漬槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」10%を含む水溶液を60℃とし、前記ADC12Al合金片を5分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした10%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記ADC12Al合金片を1分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1%濃度の塩化アルミニウム水和物と5%濃度の塩酸を含む水溶液を用意し、これに前記ADC12Al合金片を4分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした2%濃度の1水素2弗化アンモンと10%濃度の硫酸含む水溶液を用意し、これに前記ADC12Al合金片を1分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした1.5%濃度の苛性ソーダ水溶液を用意し、これに前記ADC12Al合金片を4分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記ADC12Al合金片を2分間浸漬した後、超音波発信端付きの水槽に5分浸漬した。次に、先ほどの40℃とした3%濃度の硝酸水溶液が入った浸漬槽に戻し、前記ADC12Al合金片を0.5分間浸漬した後、これを水洗した。
次に別の槽に、60℃とした3.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液を用意して、これに前記ADC12Al合金片を2分間浸漬した後、次に別の槽に、33℃とした0.5%濃度の水和ヒドラジン水溶液に0.5分浸漬した後、これを水洗した。そして5%濃度の過酸化水素水に5分間浸漬した後、これを水洗した。これを67℃に設定した温風乾燥機に15分入れ、更に100℃に設定した温風乾燥機に15分入れて乾燥した後、再び、超音波発信端付きの水槽に5分浸漬した後、これを67℃に設定した温風乾燥機に15分入れて乾燥した。
[実験例A7]SUS304ステンレス鋼の表面処理(最新NAT処理)
厚さ0.3~3.0mmのSUS304-2B鋼板を入手し、多種の大きさの長方形片に機械加工し、端部に孔を開けた。前記金属片の孔に園芸用の塩ビカバー付き針金を通して吊り下げ、各液で浸漬処理が出来るようにした。浸漬槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」10%を含む水溶液を60℃とし、これに鋼片を5分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、65℃とした10%濃度の硫酸と1%濃度の1水素2弗化アンモンを含む水溶液を用意し、これに前記SUS304ステンレス鋼片を10分間浸漬した後、これを水洗した。次に超音波発振端付き水槽に、5分浸漬し、前記SUS304ステンレス鋼片に付着しているスマットを分離した。次に別の浸漬槽に、60℃とした5%濃度の硫酸と0.5%濃度の1水素2弗化アンモンを含む水溶液を用意し、これに前記SUS304ステンレス鋼片を20分間浸漬した後、これを水洗した。次に超音波発振端付き水槽に5分浸漬して、前記SUS304ステンレス鋼片に付着したスマットを分離した。次いで40℃とした3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記SUS304ステンレス鋼片を3分間浸漬して水洗した。次に別の浸漬槽で、55℃とした10%濃度の苛性ソーダと5%濃度の亜塩素酸ソーダを含む水溶液に6分間浸漬した後、これを水洗した。そして、80℃に設定した温風乾燥機に15分間入れて乾燥させた。
[実験例A8-1]SPCCの表面処理(新NAT処理:参考例)
市販の厚さ1.6mm及び3.2mmのSPCC(冷間圧延鋼板)を購入し、所望の種々の形状に切断したこの鋼片を試験片とした。このSPCC試験片にショットブラスト機を使用して、白色アルミナ紛(WAF100)によりブラスト処理をして、接着面となるべき部分を粗面化した。この試験片を超音波発信端付きの浸漬槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」10%を含む水溶液を60℃として用意し、前記SPCC試験片を5分浸漬した後、これを水洗した。次に別の浸漬槽に、65℃とした1%濃度の1水素2弗化アンモンと10%濃度の硫酸含む水溶液を用意し、これに前記SPCC試験片を1分浸漬した後、これを水洗した。次に別の浸漬槽に、1%濃度のアンモニア水を用意し、これに前記SPCC試験片を1分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の浸漬槽に、45℃とした2%濃度の過マンガン酸カリと1%濃度の酢酸と0.5%濃度の水和酢酸ソーダを含む水溶液を用意し、これに前記SPCC試験片を5分間浸漬した後、これを水洗した。そして超音波発振端付きの水槽に、7分間浸漬してスマットを除き水洗した。水洗したSPCC試験片を、80℃に設定した温風乾燥機に15分入れて乾燥させた。
[実験例A8-2]SPCCの表面処理(最新NAT処理)
市販の厚さ1.6mm及び3.2mmのSPCCを購入し、所望の種々の形状に機械加工により切断してSPCC鋼片を試験片とした。浸漬槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」10%を含む水溶液を60℃とし、前記SPCC試験片を5分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、65℃とした5%濃度の1水素2弗化アンモン水溶液を用意し、これに前記SPCC試験片を25分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、1%濃度のアンモニア水を用意し、これに前記試験片を1分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、45℃とした2%濃度の過マンガン酸カリと、1%濃度の酢酸と、0.5%濃度の水和酢酸ソーダを含む水溶液を用意し、これに前記SPCC試験片を5分間浸漬した後、これを水洗した。そして超音波発振端付きの水槽に、7分間浸漬してスマットを除き水洗した。次に別の槽に、40℃とした0.2%濃度のトリエタノールアミン含む水溶液を用意し、これに前記SPCC試験片を30分間浸漬した後、これを水洗した。そして、これを80℃に設定した温風乾燥機に15分入れて乾燥させた。
[実験例A9-1]64Ti合金の表面処理(新NAT処理)
金属加工メーカーに依頼して作成した150mm×50×3mm、及び、45mm×18mm×3mm、45mm×18mm×1.5mm、等の64Ti合金片[元材は「KS6-4」(株式会社神戸製鋼所(本社:日本国兵庫県)製)]を用意した。その表面処理方法は、特許文献8等に記載の新NATと称する処理方法、表面性状をそのまま適用したものであり、公知技術であるので処理方法は省略する。この表面処理後は、清浄なアルミ箔でまとめて包み保管した。
[実験例A9-2]64Ti合金の表面処理(最新NAT処理)
前記の実験例と同様に、64Ti合金片を入手しこれを試験片とした。浸漬槽に、アルミ用脱脂剤「NA-6」10%を含む水溶液を60℃とし、前記64Ti合金片を5分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、65℃とした5%濃度の1水素2弗化アンモン水溶液を用意し、これに前記64Ti合金片を5分浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、3%濃度の硝酸水溶液を用意し、これに前記64Ti合金片である試験片を3分間浸漬した後、これを水洗した。次に別の槽に、70℃とした2%濃度の過マンガン酸カリと3%濃度の苛性カリを含む水溶液を用意し、これに前記64Ti合金片を30分間浸漬した後、これを水洗した。そして、更に新開発した調整薬を15%含む55℃とした水溶液に20分浸漬した後、これを水洗した。そして、80℃に設定した温風乾燥機に15分入れて乾燥させた。
[実験例A10]Ti合金「KSTi-9」の表面処理(新NAT処理)
耐熱チタン合金である1mm厚の「KSTi-9」(株式会社神戸製鋼所(本社:日本国兵庫県)製)板材を入手し、必要な大きさに裁断して用意した。その表面処理は、前述した実験例A9と全く同一である。以上が本実験例で使用した各種金属片の表面処理方法である。次に、これらの金属片と接着するときのCFRP材の表面処理方法について説明する。
[実験例A11]CFRP材の表面処理
本実験で使用したCFRP材は2種あり、一つはCFとして、引張り強度が約3GPaのCF(市販品)を使用した物であり、単方向型のプリプレグを、方向を揃えて重ねて硬化した45mm×15mm×3mm厚との物である。
もう一種類は、0.2mm厚のCFRP単方向プリプレグ「P225S-25」(東レ株式会社(本社:日本国東京都)製)を入手し、専門の加工企業に委託して、CF方向を揃えて厚さ3mmの500mm×500mmのCFRP厚板材の作成を依頼し、厚板を作成した。この厚板の一部を45mm×15mmの長辺にCFが平行となるCFRP片に切断した。使用したCFは、「T800SC」(東レ株式会社(本社:日本国東京都)製)であり、CF糸の引張り強度は約6GPaである。何れも耐熱仕様のマトリックス樹脂が使用されている。
接着剤接合のためのCFRP材の表面の前処理は、#600のサンドペーパーで強く研磨して、一部のCFが剥き出しになる程度に研磨する。研磨後のCFRP片は、超音波付きの脱脂槽(60℃としたアルミ材用の脱脂材入り水槽)に浸漬してその付着汚れを分離した後、これをよく水洗した。この後、これを100℃とした熱風乾燥機で15分程度入れて乾燥した後、これを清浄なアルミ箔でまとめて包み保管した。
[実験例A12]CFRP材とAl合金薄板の接着一体化物の作成
CFRP片とAl合金薄板の接着一体化物を、CFRPプリプレグから一挙に作成する方法も実施した。即ち、予め0.75mm厚のA5052Al合金薄板を98mm×98mmに切断し、実験例A3と全く同じ処理をした。その片面に1液性エポキシ接着剤「EW2040(スリーエム ジャパン株式会社(本社:日本国東京都)製)」を薄く塗り、その上にテフロンシートを押し付けて接着準備物とし保管した。この接着準備物とCFRPプリプレグ「P225S-25」(東レ株式会社(本社:日本国東京都)製)の双方を使って100mm×100mmA5052Al合金薄板付きの厚さ3.5mmのCFRP厚板形状物を作成した。この作成は減圧したオートクレーブ内で加熱して接着する方法であり、最高加熱条件として150℃×40分とした。得られたA5052Al合金薄板付きのCFRP厚板は、45mm×15mmの長辺にCFが平行となる様にして切断した。
[実験例B]接着力の確認試験
[実験例B1]接着力(せん断接着強さ、引張り接着強さ)の測定
前記した[実験例A1~A12]群の物と同処理を行った45mm×18mm×(3~6)mm厚の各種試験片を使用し、図1、図2形状の接着対とした。更に詳細言えば、図1(a)に示した試験片の形状では、これは引張り荷重をかけるために、試験片の形状が45mm×18mm×(4.5~6.0)mm厚となっている。しかし、Al合金材が柔らかいとき、特に、薄い純アルミニウム系アルミニウムAl使用時は、6.0mm厚、その他は4.5mm厚で使用するようにした。このために1.5mm厚品を3枚重ねか4枚重ねに接着して、4.5mm厚か6.0mm厚にした物も多用したが、これを図1(b)に示した形状物として示している。又、実験例A11以降に記載あるCFRP片に関しては、CFRP片形状を45mm×15mm×3mm厚とした。これらはそのまま図1(a)に示す積層構造とした。
[試験片の作成手順]
以下、図1、図2に示した試験片の作成に関する具体的な接着法を説明する。本発明者が用いた多種の金属片の基本形状は、45mm×18mm×1.5mm厚が多く、CFRP片やCFRTP片は45mm×15mm×3mm厚とした。また、金属片で元材が圧延板の場合は、圧延方向を長方形の長辺の45mmの方向とし、その直角方向が18mmの幅方向となり、厚さは元材の圧延板の厚さ方向とした。それ故に、SPCC片だけが厚さ1.6mmや3.2mm等と1.6mmの整数倍厚さとなっている。これはこの厚さ品しか生産されていないからである。厚板や塊で元材が供給されるA6063アルミニウム合金や64チタン合金では、そのような決め事はできず、金属加工の加工精度による。又、CFRP材は、束型CF入りのプリプレグ使用品で、かつCF束の並び方向が皆揃っているCFRPについては、束並び方向線が45mm長さの線とした。図1(b)に示した形状の場合、多くの金属片の枚数を積層することになるので、前述した個々の全ての金属片を、所定の処理方法で表面処理した後に接着する。
接着の前に下処理として、接着剤容器に、1液性エポキシ接着剤「EW2040」をごく少量とり、これに溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)を加えて、ごく薄い溶液としておき、木製棒材の先端に容器からの接着剤を付着させて、これを化成処理された試験片である前記金属片の接着すべき個所に塗り付ける。そして、その試験片を50℃セットの温風乾燥機内に20分おいて溶剤を揮発させる。そしてその下塗り部に上記接着剤「EW2040」を塗り付ける。せん断破壊試験に関係しない積層された接着面は、このようなプライマー塗り操作は不要であって、試験片に直接に接着剤を全面に塗り、そして図1(b)に示すように積層して、これを治具(文具用クリップ)で加圧固定して積層体とする。
前記接着操作をしている間に、大型デシケータを50℃セットの温風乾燥機内に置いて予熱しておく。このデシケータを取り出し、前記操作で作成した治具固定の積層体をそのままデシケータに入れる。そして、真空ポンプでデシケータ内の空気を抜き、5分ほど経ったら空気を入れるという減圧/加圧操作を2回以上繰り返してデシケータから出し、次は熱風乾燥機に入れて170℃×20分間加熱し、硬化処理を済ませた後に固定治具を外す。硬化処理終えた試験片には、接着剤が接着面から溢れて硬化した部分が多々あり、これらをルータで削り取る操作をする。この機械加工は、機械加工の影響を少なくするために硬化処理した翌日に行い、そして引張試験機による「せん断接着強さ」、「せん断接着粘り性」の夫々の数値を測定した。「引っ張り強度」を測定する図2に示した試験片の作成方法は、上記の方法と同一である。
以上の化成処理、接着方法により接着した同種の試験片を接着したものについて、測定したせん断接着強さの結果のデータの要部を表1に示す。表1で理解されるように、同種の金属片同士でのせん断接着強さは、概ね約60MPaであり、数値が低いものは軟質金属である純アルミニウム系アルミニウムであるA1050Al合金の約54MPaのみだった。一方、実験例A11で作成したCFRP片同士の試験片では、CFとして引張り強度3GPa付近の物を使用して作成したCFRP片同士の試験片では、約60MPaが得られた。しかし、同じCFRP片同士の試験片でも、CFとして引張り強度6GPa付近の物を使用して作成した、CFRP片同士の試験片では約40MPaとなった。表1のデータは、接着面の処理は研磨等の機械的な表面処理ではなく、本発明者等が提唱する各種化成処理による接着法が接着強度には有効であることを示している。また、せん断接着強さよりも引張り接着強さ(後述する図2の試験片)強いことが判明した。この理由は、金属の圧延方向、即ち、後述する金属繊維の方向が接着強さに影響していることが理解される。
Figure 0007500903000001
[実験例B2]表面処理済み各種金属材の引張り接着強さの測定
前記した実験例A1~A9と同処理を行った45mm×18mm×1.5mmの各種金属片を使用して、図2形状の試験片とした。即ち、図2に示した試験片の形状では、金属片の端部形状が18mm×1.5mmなので、ISO19095でのせん断接合強度測定用の各種金属片が試験片の作成企業で製造され、市販されている。それ故にそれをそのままその試験片を転用した。
この図2に示した試験片を使用した引張り接着強さの測定結果も表1に示した。前述したように、供給金属板のy-z面を対象とする引張り接着強さが測定される。この引張り接着強さの実験結果によると、純アルミニウム系アルミニウムのA1050Alだけが突出しており、約95MPaを記録している。実際の測定では約100MPaを示した試験対もあり、約95MPaは数個の平均値であり、実験のバラツキによる異常値ではない。推測であるが、金属を成形加工するときの圧延ロール加工等の延伸加工により、形成されAl合金の金属結晶系形が関係している。晶系形が細長く繊維のようになることでx方向の引張強度が高く、これが引張り接着強さに関係していると考えられる。この推論の通りであれば、圧延加工品では、図2に示した試験片を使って引張り接着強さ値が高く出る処理法を開発しても、金属繊維の方向を考慮しない接着方法は、その処理品におけるせん断接着強さが大きくなるわけではない。逆に、鍛造加工により、一旦金属塊とした金属塊を機械加工して、板型小片にした物であれば、引張り接着強さ値と、せん断接着強さ値に比例関係らしきものがあると推定される。
[実験例B3]金属板々面(x-y面)の「引張り接着強さ」の測定実験
表1示すように、例えば、実験例Alのy-z面の「引張り接着強さ」は、約95MPaと異常に高い。その理由は、上述したようにx-y面の接着面とは、金属繊維の方向が異なるためと推定される。表1に記録した純アルミニウム系アルミニウムであるAl050の数値を解析し、この板面(板面:x-y面)での「引張り接着強さ」は、図2に示した試験片で測定した板断面(y-z面)基準の「引張り接着強さ」とは異なると予測される。圧延方向である板断面(x-y面)基準の「引張り接着強さ」の測定方法は、規格化された試験方法がないので、以下に説明する方法で試験片を作成し測定した。
(1)板面(板面:x-y面)での「引張り接着強さ」の測定方法
図16~図18は、板面(x-y面(図2))での「引張り接着強さ」の測定をするために、その試験片の作成手順の概要を示す略図である。最初に、45mm長さ×18mm幅×1.5mm厚のA5052Al合金である6枚の板材を、一液性エポキシ接着剤で接着し積層した。これを加熱硬化させた後、図16(下段)に示すように板厚方向に鋸刃で切断し、更にエンドミル加工で、18mm幅×9mm長さ×1.5mm厚に機械加工した。これを図17に示すように、この機械加工片と、肉厚と幅で同材である上記A5052Al合金の二つの板材(45mm長さ×18mm幅×1.5mm厚)の端面に、上記と同じ接着剤で接着し、硬化後に余分な部分は切削した(図17の下段)。
この接着した状態で、引張り負荷をかけてもどの接着面が破断するかは確定できないので、試験方法としては好ましくはない。そこで、図18の下段に示すように、中央部分をエンドミルで円孤状に切削加工により切除した。そして上記積層した試験片の中で、中央部の接着面から破断するようにこの接着面の幅方向を最も狭くした(9mm幅×1.5mm厚)。この接着面の破断したときの負荷を、x-y面の引張り接着強さとした。この結果、x-y面の引張り接着強さは、同一材質の純アルミニウム系アルミニウムのA1050Alで、同じ接着剤で同じ化成処理(NAT)品のとき46.0MPaであり、y-z面の95.0MPaより低い(表1参照)。同様に、A5052Alで、51.3MPaであり、y-z面の76.4MPaより低い、64Ti合金で47.0MPaであり、y-z面の75.2MPaより低い。
本発明において、圧延して製造された金属片の板面の物性が、接着操作には重要である。NAT処理において、図1に示した試験片の形状物を使用した、せん断接着強さをどうやって向上させるかが具体的なNAT処理法の改良研究になり、本発明も常温下60MPa、150℃下30MPaを示す強力な接着力の確保が基礎にあり、本発明の開発に成功した。しかしながら、各種金属合金の表面処理法の改良研究は、そのせん断接着強さが約60MPaに近づくと限界となり停滞する。これは間違いなく上限値に近づくからである。それ故に、この最高値に近づいた後に使用する明快な指標がない。理論的に言えば、せん断接着強さは、多くの金属片でその板面にて測定しているから、その板面における引張り接着強さが測定できれば、「その数値がより高い方がより良い接着面部の構造になっている」と言える。それ故、せん断接着強さが60MPaに達したなら、次は、この部分の引張り接着強さを測定しつつ表面処理法を試行錯誤すればよいと判断した。これが上記した「実験例B3」の実施理由である。しかしながら、余りにも試験方法が難しく実験ミスも出易いので、本発明において、表面処理を試行錯誤しつつ改良を進めるための改良度評価法としては不適と判断した。
[実験例B4]各種金属材の接着力(せん断接着粘り性値)の測定
前述した経緯から、更に、単純な引張り負荷ではなく、接着力測定が容易に測定でき、実際の機器に用いたときその負荷に近い接着力評価法を探索した。本発明者の出した結論であり、提唱する「せん断接着粘り性」の測定である。表2は、同一材質の金属材同士を接着したとき、図1に示した試験片で前述した「せん断接着粘り性」の測定結果である。即ち、既述したように、先に測定したせん断接着強さ値を参考にして、その約75%の力量を300回かけ、破断しなければ2MPaほど力量を上げてそのまま300回加え、それでも破断しなければこれを繰り返すものである。表2に示した結果で分かるように、NAT処理品で全ての対象金属については測定し、NAT5、NAT7処理品についても「せん断接着粘り性」値を測定した。なお、実用的な判断としては、「せん断接着粘り性」は50MPa以上が好ましい。
Figure 0007500903000002
[実験例B5]異種金属材同士の1液性エポキシ接着剤の接着力(せん断接着強さ)の測定
上述の実験例A内に示したのと同じ化成処理を行った45mm×18mm×(4.5~6.0)mmの金属片を、1液性エポキシ接着剤「EW2040」を使用して、異種金属片同士の試験片(図1に示す形状物)を170℃×20分の硬化条件で作成した。その結果を表3に示した。前述したように、1液性エポキシ接着剤は、通常150~180℃、15~30分で硬化する。本発明の実験では、「EW2040」使用したとき、その硬化条件は全て170℃×20分とした。それ故、硬化を終えて熱風乾燥機から出すと、直ちに放冷され1時間も放置すれば完全に常温に戻る。即ち、接着面は170℃下で固定され、常温に戻った後は、約150℃も環境温度は下げられたことになる。図1に示した試験片である形状物が、異種金属材同士の接着対であり、その異材間に大きな線膨張率差があれば、接着剤硬化層の一部、又は全破損が進むか、又は、接着状況は変わらぬものの、目視では不明瞭でも正確にはやや変形するはずである。試験片の変形に見合った内部応力が発生して、接着力がその分だけ低下しているはずである。何れにしてもそのまま引張り試験機でせん断接着強さを測定すれば数値は必ず低下する。もし、硬化後の接着対を-50℃/+150℃の温度衝撃試験にかければ、より明確に悪化状況が分かるであろうと推定した。
この測定用接着対として4対を作成し、この2対は接着操作の翌日に接着力測定を行い、残り2対は-50℃/+150℃の温度衝撃100サイクル試験後に測定した。しかしながら、前者2対と後者2対で明確な差異はなかったので、表3には4対の平均値を記載した。その結果、一方がA1050AlとA7075Alと接着した異材同士の接着対では、せん断接着強さが55~57MPaであり、線膨張率差が殆どないわけだから当然ながら接着力は全て高かつた。又、純アルミニウム系アルミニウムであるA1050アルミニウムと線膨張係数が大きく異なる異材質と接着したとき、約55MPa以上と不思議なことであるが、温度衝撃試験の前後の物双方共に強い接着力の得られていることが分かる。このデータは、本発明では重要な意味を有し、本発明の原点である。
一方、表3の下部の欄に示したが、線膨張率差が明確に大きく異なる高強度材同士の1液性エポキシ接着剤による接着物は、せん断接着強さが大きく低下する。硬化後の放冷で、接着剤硬化層の一部が破損したと推定される。図1に示す形状物である試験片での接着面積は、0.7cm2程度である。このような小面積でも、線膨張率差は大きく影響することが分る。要するに、表3のデータにおいて、せん断接着強さの低下が見られない明確な事実は、純アルミニウム系アルミニウムであるA1050、A1085アルミニウムによる軟質金属の物性が生んだ現象である。
Figure 0007500903000003
[実験例B6]多層金属接着物における各試験片間の接着力(せん断接着強さ)の測定
本発明の異材質構造材を含む積層された接合一体化物は、「A」材と「B」材を両端部材とし、この「A」材と「B」材の間に、前述した「C」材、「D」材を挟み込んだ4層又は5層に接着剤で積層された接合一体化物である。この接合一体化物は、接着面が3面又は4面がある。そこで、これらの各接着面においての実際の接着力(せん断接着強さ)は、どのようになっているかを実測せんとした。この4層又は5層の接着物の積層例は、図5(5層)、図6(4層)に示す。しかしながら、図5(5層)、及び図6(4層)に示す積層体のままでは、せん断接着強さ、温度衝撃強さは測定できない。5層の積層体と
して図7に示す試験片、4層の積層体として図8の試験片により得られた測定結果を表4に示した。
表4には、9例の測定例を示したが、ここでは「A」材、「B」材として、64Ti合金、A2017Al合金(ジュラルミン)、A7075Al合金(超々ジュラルミン)、SUS304鋼、CFRP片、等を使用した。又、C材として、A5052Al合金0.75mm薄板、A6061Al合金0.5mm厚薄板、SUS304の0.28mm薄板、を使用し、「D」材としてA1050Alが1.5mm板を使用した。各接着部のせん断接着強さ(表4の//の部分)は、55~58MPaと高く、同じ試験片を-50℃/+150℃の温度衝撃千サイクル試験に投入後のせん断接着強さの差も少なく、温度衝撃試験後も、接着部の接着強度上問題ないものであった。このデータは、図7及び図8の接着例から理解されるように、純アルミニウム系アルミニウムであるA1050Alと接着する接着部分が接着面積も狭く最も弱い。従って、この試験により、少なくともA1050Alと接着される部材と接着される部分のせん断接着強さ、温度衝撃強さのデータは得られた。
Figure 0007500903000004
[実験例B7]図1に示す形状の1液性エポキシ接着剤の試験片の耐湿熱性試験の実験
前述した表4のデータは、高温、高湿度の環境下での試験データではない。本発明は、「A」材と「B」材の間に、「C」材、「D」材を挟み込んだ3層、4層、又は5層の積層された接着物である。この接着物でまず必要なことは、「C」材、「D」材共に、自動車等の構造材として使用されたとき、厳しい環境下において、その接着面の接着力が強度的に耐えうるか否かである。具体的には前述した温度衝撃試験で問題がないとしても、高湿度環境下での試験も必要である。一般的な高湿度試験では、温度50℃、湿度95%の湿度試験であるが、本実験では、これを加速させて、温度85℃、湿度85%の高温高湿試験機に、千時間晒す試験を実施した。但し、アルミニウム合金は、その表面に薄い水酸化物(錆)が発生し色調が変化し、かつ、試験中に試験機扉を開け閉めする時に水滴が付着すると錆がでる。そこで、試験片を試験機に投入前に、本実験では一般的に市販されているエンジンオイル(10W-30)を塗布した後、これを試験機に投入した。試料は、表5に示すように、「C」材、「D」材で使用するA1085Al、A1050Al、A6061Al合金、及びSUS304であるが、参考に「A」材、「B」材として使用する可能性が高い、64チタン合金も試験をした。接着剤は、前述した「EW2040」である。その結果を表5に示した。この表5に示すデータは、純アルミニウム系アルミニウムは、対湿熱試験にかけてもせん断接着強さは低下していないが、他の素材は低下した。
Figure 0007500903000005
即ち、表5の結果から見て、85℃85%湿度の千時間の高温高湿下に置かれる経過を受けて、その接着力は純アルミニウム系アルミニウム(日本工業規格の1000番台)を除いて、せん断接着強さで約45MPa付近に低下した。その結果から、この理由は、接着剤硬化物(エポキシ樹脂硬化物)が長期の高温高湿下で水分子を吸湿し、やや軟化によるものと判断した。純アルミニウム系アルミニウムで、接着力低下が僅かに収まったのは、吸湿し軟化した接着剤硬化物と、純アルミニウム系アルミニウムの硬度が近づき応力が分散されたためと理解した。即ち、接着剤との間で硬度差が大きいA6061Al合金、SUS304等の場合、金属と接着剤の硬度差が大きくなり、応力集中により破断し易くなったものと解された。
それ故に、この吸湿した接着対を温度80℃で92時間加熱し、次に170℃×1時間の熱風乾燥をして、狭い接着剤硬化層内に落ち着いていた水分子を追い出せたと判断した。この85℃85%湿度の千時間の高温高湿試験は、実際の環境ではあり得ない厳しい条件に置く加速試験であり、問題は接着対から水分を除いて不可逆な問題がどれだけ残るかを知ることだった。それ故に、上記のような乾燥工程を実施した。最初に、80℃で長時間加熱したのは当初から150℃以上の高温下に置くと、十分に吸水した接着剤硬化物から蒸気が噴出して、その接着剤硬化物構造を壊すことを防いだのである。そして過半の水分子を除いた後に150℃以上で加熱してほぼ完全に吸湿物を追い出したと考えた。
表5の結果から分かることは、厳しい吸湿条件を経た1液性エポキシ接着剤「EW2040」硬化物による、同種金属片同士の接着対は、NAT処理64Tiを除いて、全て53~55MPaであり、本発明者は好結果だと判断した。要するに、自動車等の地上を移動する移動機械が晒される地球上の環境湿度条件は、最大で概ね40℃で百%湿度であり、又、世界で最も多雨のインド北東部でも気温は25~30℃である。それ故に、表5に示す64チタン合金で、せん断接着強さの低下がやや大きく43MPaである。しかしながらチタン材については、本発明で言う「A」材と「B」材に使われるので、「C」材として使用する薄板材のチタン材に対する接着力が弱いときは、接着面積を増加させることでカバーできる。逆に言えば、「C」材と「D」材の接着性能が、この高湿度環境での加速試験で、接着力の不可逆的な低下がみられなければ、本発明が実用面で厄介な大問題を抱えなくて済むことになる。その意味で、「C」材として使用できるA6061アルミニウム合金、SUS304ステンレス鋼、そして「D」材として使用できるA1050、A1085アルミニウムに関して、同じ金属種同士の接着ではあるが、高温高湿下で強い接着強度が得られることが判明した。
[実験例B8]64Ti/純アルミニウム系アルミニウムAlの面接着物(予備試験1)
以上の実験の考察から、「D」材として純アルミニウム系アルミニウムが、積層体としての有効性を確認するために、一液性エポキシ加熱硬化型接着剤によるTi合金と純アルミアルニウム系アルミニウムとの接着強度を測定した。45mm×18mm×3mm厚の64Ti合金の[実験例A9-1]に記載の新NAT処理物と、45mm×18mm×1.5mm厚のA1080Al板の[実験例A1-1]に記載のNAT処理物を、一液性エポキシ加熱硬化型接着剤である「EW2040」でNAT接着法により面接着した。次に、45mm×18mm×3mm厚の64Ti合金の上記と同様の表面処理物と、45mm×18mm×1.5mm厚のA1050Al板のNAT処理物を、前述の「EW2040」でNMT接着法により面接着した。
更に、45mm×18mm×3mm厚の64Ti合金の前述した同じ表面処理物と、45mm×18mm×1.5mm厚のA1100Al板のNAT処理物を、前述した「EW2040」にて、NMT接着法により面接着した。要するに、64Ti厚板に対し、A1080、A1050、A1100というAl板を、同様の方法で接着面積45mm×18mmの8.1cmで面接着した。各3個単位で合計9個作成し、これら接着物を、-50℃/+150℃の温度衝撃サイクル試験機に投入して、千サイクルの負荷をかけた。この負荷試験により、64Ti/A1100Alの接着物は、3個共に面破断しており、他の6個には異常が見つからなかった。それ故に、温度衝撃試験を続け、2千サイクル時に取り出すと、64Ti/A1050Alの接着物は、その4隅の1カ所か2か所に、小さい剥がれらしき様相が非破壊検査機で2個とも観察され、64Ti/A1080Alの試験片は、3個共に剥がれは観察されなかった。
この実験により、軟質のAlであっても最も軟質なA1080はともかく、A1050AlではTi材との接着面で僅かだが明確に問題を生じた。前述した表2によると、実験例AlのA1050(NAT処理品)での試験片における「せん断接着粘り性」値は、本実験で想定する許容せん断粘り性の値として、50.5MPaとギリギリレベルであり、[実験例A9-1]の64Ti(新型NAT処理品)での「せん断接着粘り性」値は、45.8MPaと明らかに低い。この実験開始時には、[実験例A9-1]の64Ti合金(最新型NAT処理品)は未だ見つかっていなかったのである。それ故に、この結果を受けて、[実験例A10]のTi合金である前述の「KSTi-9」の新型NAT処理品を作り、これで45mm×18mm×1mm厚板を3枚重ね接着したTi合金「KSTi-9」の新型NAT処理物と、45mm×18mm×1.5mm厚のA1050Al板のNAT処理物を、前述の「EW2040」にてNAT接着した物を2枚作った。使用した「KSTi-9」は、表2に記録したように「せん断接着粘り性」値が56.5MPaと非常に高く、仮に、64TiとAl050Alの間の接着力不足により、温度衝撃2千サイクル付近で端部剥がれを生じさせたのであれば、被接着力の弱い方のTi材を置き換えれば良いと考えたからである。温度衝撃3千サイクル試験にかけた結果、全く支障なく端部剥がれは生じなかった。
[実験例B9]A1050板挟んだ純アルミニウム系アルミニウムAlとTi合金の試験片(予備試験2)
図4に示す形状の3層型接着物を作成した。45mm×18mm×3mm厚の64Ti合金の新型NAT処理物と45mm×18mm×1.5mm厚のA1050AlのNAT処理物と45mm×18mm×3mm厚のA7075Al合金のNAT処理物を「EW2040」にて、NAT接着法で面接着した。3層型とは言うが、正確には本実験では、全て1.5mm厚の金属片を使用し、64Ti合金は2枚重ね、A7075Al合金も2枚重ねの積層接着物であり、全体は5枚重ねの面接着物となった。同じ物を2個作成し、これを‐50℃/+150℃の温度衝撃3千サイクル試験にかけた。
試験機から出した接着物は目視観察では何処にも支障がなかった。前述の実験結果から、64Ti合金部とA1050Al板の間の4隅部に剥がれがある可能性が十分にあり、この点は非破壊検査機にて調べた。その結果、この4隅部の1カ所に剥がれのシグナルが得られた。そして、その他の部分には全く剥がれの信号は検出できなかった。結果的に、この試験結果は実験B8と同じ結果を示したに過ぎなかった。
[実験例B10]Al合金とTi合金の間にA5052Al合金薄板とA1050Al板を挟み込んだ試験片(本試験1)
図5に示す接合一体化物は、5材、5層からなる積層体である。図6に示す接合一体化物は、4材、4層からなる積層体である。図5に示す接合一体化物は、45mm×18mm×3mm厚の64Ti合金(A材)の最新型NAT処理物、45mm×18mm×0.75mm厚のA5052Al合金薄板(C材)のNAT7処理物、45mm×18mm×1.5mm厚のA1050Al(D材)のNAT処理物、45mm×18mm×0.75mm厚のA5052Al合金(C材)薄板のNAT7処理物、及び、45mm×18mm×3mm厚のA2017Al合金(B材)のNAT7処理物を、前述した接着剤「EW2040」により積層した全5層型の接着物を作成した。
図6に示した接合一体化物は、図5に示した積層体の簡略形であり、4材、4層からなる積層体である。この積層体は、45mm×18mm×3mm厚の64Ti合金(A材)の最新型NAT処理物、45mm×18mm×0.75mm厚のA5052Al(C材)合金薄板の表面処理物、45mm×18mm×1.5mm厚のA1050Al(D材)の表面処理物、及び45mm×18mm×3mm厚のA2017Al合金(B材)の表面処理物の積層体であり、前述した接着剤「EW2040」による全4層型の接着物である。
予備的な実験例での温度衝撃試験結果を検討し、これらの積層複合体により、本実験例では64Ti合金とA1050Alの間に、A5052Al合金薄板を挿入(介在)しても何ら支障がないことを確認した。64Ti合金とA5052Al合金薄板とが接着すると、「C」材のA5052Al合金薄板は、温度衝撃試験からの加熱、又は冷却を受けて、64Ti合金厚板の肉厚が厚く剛性が大きいので、64Ti合金厚板が伸縮に追従して伸縮する。従って、せん断破断的な内部応力が発生するのは、「C」材のA5052Al合金の薄板が伸縮に応じて、剛性が低く軟質のためにこれに追従する「D」材のA1050Alの間である。ここでの内部応力がA5052とA1050間の接着力を越えると、破断が生じるが、理論的には双方共に自らの試験片におけるせん断接着粘り性が強いこと、そして内部応力がA1050Al内の弾性的変形と塑性的変形(比喩的)の双方によって小さくなっていることである。この実験時点では、A1050はNAT処理物を使用し、A5052Al合金薄板はNAT7処理品を使用しているので、両者間の接着力は十分に高いはずである。
[実験例B11]高強度材厚板と薄板材との接着力を測定する
次に、構造用金属製の薄板材とチタン合金材とのせん断接着強さを計測した。これは、チタン合金材の線膨張率が0.8×10-5-1と金属中では最も小さく、他の構造用金属材はSUS304でも1.7×10-5-1程度、ジュラルミン含むアルミニウム合金は全て2.3×10-5-1程度なので、これらの金属片とチタン材片とを1液性エポキシ接着剤で接着すると、通常は高いせん断接着強さは得られぬ。これは1液性エポキシ接着剤の硬化条件が150~180℃と高いからである。硬化後の放冷で常温下になると接着剤硬化層の一部が壊れるからである。唯一接着剤硬化物が破壊されず強い接着状態が得られ保たれるのは、チタン材に接着する金属素材を薄板にして剛性を低くする以外ない。ただし、どの程度の薄板が使用可能か、又、耐力と縦弾性係数がどの程度までの金属材が使用できるのか、を知るには実際に接着対を作成し、そのせん断接着強さを測定して決めるべきである。図15は、この試験のための試験片の作り方を示す説明図である。薄板材は剛性がないので、せん断試験にかけても曲げ変形するので、これを補強するために厚板材の部材を接着する(図15の下段)。なお、一般に金属片の厚さを4~6mmにはしないと、せん断破断前に薄板材側が変形し、変形による応力集中で剥がれが起きて早く破断する。又は、薄板での引き千切れ破断が起きる。チタン合金材と、SUS又はアルミニウム合金とを接着したときのせん断接着強さ、せん断接着粘り性の測定結果を表6に示す。
表6に記載のせん断接着強さ、せん断接着粘り性値から見て、0.28mm厚のSUS304鋼薄板は、「C」材として使用可能と判断される。又、A5052アルミニウム合金は0.75mm厚以下であれば使用可能であるが、より薄くした0.5mm厚では、強いせん断方向の外力が負荷された場合に、破断してしまい構造材、増幅材の役目が果たせなく場合があることを示している。次に0.5mm厚A6061アルミニウム合金は「C」材として全く問題がないと判断される。この実験で更に言えることは、「A」材にCFRP材やCFRTP材が使用される場合には、「A」材と「C」材間の線膨張率差が、この実験シリーズより更に大きくなることである。「C」材がアルミニウム合金の場合、「A」材がチタン材の場合の線膨張率差は1.5×10-5-1に対して、「A」材が例えばCFRP材の場合には2.2×10-5-1となり、その差異が5割増しになる。表6に示すデータでは、「A」材のチタン合金と「B」材の高強度Al合金との接着においては、最も従順に「A」材に追従しうる「C」材としては、0.75mm厚のAl合金が好ましいことが判明した。
しかしながら、「A」材としてCFRP材を使い、「B」材として高強度Al合金を使う接着した接着一体物おいて、「C」材に0.75mm厚のAl合金が使用可能かは疑問になる。即ち、仮に、線膨張率差が5割増しになるなら、「C」材の厚さは、1/1.5の0.5mm厚にすべきだという意味である。この考えに従えば、「C」材として使用できるのは、0.5mm厚でも引き千切り現象が生じない耐力を有するアルミニウム合金であり、それはA5052ではなく、少なくともA5083、又は、A6061Al合金以上の高耐力を有するアルミニウム合金である。即ち、表6に示したデータでは、0.5mm厚のA6061Al合金が、この性能要求に耐えうると判断される。同様の考えで、SUS304鋼薄板について推察すると、先ずは対Ti合金に関して0.28mm厚の薄板が使えるが、これを対CFRP材への接着とすると、厚さを1/1.5の1.8~1.9mm厚にすべきとなる。ただ、この厚さのSUS304薄板の入手は、市場ではやや困難であり、かつ、SUS304鋼での化成処理であるNAT型処理で、厚さが両面で0.02mm程度は減少するので、鋼材自身の化学安定性も特に信頼性の高いものが必要になる。本発明者は、これらの実験結果から「C」材の標準使用物としては、0.5mm厚のA6061Al合金を選ぶべきと考えられる。
Figure 0007500903000006
[実験例B12]CFRP片とジュラルミン材の間にA6061薄板とA1050軟質金属材含む全接着構造物の作成と温度衝撃試験(本試験2)
前述した表6のデータで理解されるように、「C」材として0.5mm厚のA6061アルミニウム合金が最も対応性あるものらしいことが判明した。この「C」材に接着される「D」材として、少なくとも1.5mm厚のA1050アルミニウムが使用可能とみられる。この考察を実際の接合一体化物で確認するために、図10に示すような、CFRP(A材)、アルミニウム合金(C材)、純アルミニウム系アルミニウム(D材)、及びアルミニウム合金(B材)の4材を積層した接合一体化物を作成した。そこで「A」材としてCFRP厚板、「B」材としてA2017アルミニウム合金厚板を使用した全接着構造物を作成し、そして、この積層した接合一体化物を、-50℃/+150℃の温度衝撃3千サイクル試験で試験した。
但し、「A」材であるCFRP材と「C」材の間の接着に、接着ミスが生じないように、全体の接着構造物の作成方法は以下のようにした。即ち、90mm×18mm×3mm厚のCFRP片(「A」材)に、45mm×18mm×0.5mm厚のA6061Al合金薄板(「C」材)がエポキシ接着剤で接着して、複合板材であるCFRP材とA6061Al合金薄板の接合一体化物を作成した。その製作手法は、予め0.5mm厚のA6061合金薄板を上記矩形形状に切断し、これをNAT7処理した上で、その片面に前述した1液性エポキシ接着剤「EW2040」を薄く塗った。この塗った面上に、テフロンシートを押し付けて、更にポリエチ袋に入れて密閉し、5℃冷蔵庫に入れさせて接着準備物として保管した。この接着準備物と、CFRPプリプレグである「P225S-25」(東レ株式会社(本社:日本国東京都)製)の双方を使って45mm×18mmのA5052Al合金薄板付きの90mm×18mm×3mm厚のCFRP厚板形状物が出来るように加工専門企業に作成を委託した。この作成はオートクレーブ法であり、加熱条件として150℃×40分とするよう指定して加熱した。
こうして得られたA6061アルミニウム合金薄板付きのCFRP厚板は、A6061合金薄板の露出部がこれら作業で汚れている可能性があるので、#600のサンドペーパーで研磨して金属光沢を得た後、CFRP板を接着させた状態で、CFRPが接着されていない表面にNAT処理を行った。この液処理後、A6061合金薄板付きのCFRP厚板材は、次工程用として用意しておいた。他にNAT処理した45mm×15mm×1.5mm厚のA1050Al合金、及び、NAT7処理した45mm×18mm×3mm厚のA2017Al合金を用意して、これらと共に1液性エポキシ接着剤「EW2040」を使用して3つの材料をNAT接着(染み込まし処理付きの接着操作をこのように称する。)法で面接着し、最終的には図10に示す形状とした。この図10に示す接合一体化物を-50℃/+150℃の温度衝撃3千サイクル試験に投入した。その結果、どの接着面にも異状は生じていなかった。
[実験例B13]大型の全接着構造物の作成
前述した本発明でいう「D」材である純アルミニウム系アルミニウムは、平板の板材の部材であった。しかしながら、この「D」材は、平板でなく図13に示すように、下面は平面又は曲面であり、上面には円形又は角状の柱状物が並列して多数林立している板状体であっても良い。なお、本例の板状体では、円形又は角状の柱状物の断面積は、0.05~0.25cmである。この板状体の製造方法は、純アルミニウム系アルミニウムであるA1050Alの厚板を、機械加工して図13に示す寸法、形状になるように切断鋸等の工具で機械加工により製造した。この板状体を前述した実験例A1に従って、NAT処理をした。
更に、200mm×100mm×0.75mmのA5052Al合金薄板片を[実験例A2-1]に記載の方法でNAT7処理をした。又、前述のCFRPプリプレグ「P225S-25」と、上記の表面処理済みA5052Al合金片1枚とを1液性エポキシ接着剤「EW2040」を使用して、300mm×100mm×5mm厚のCFRP厚板片の上に、200mm×100mm×0.75mmのAl合金薄板が一方の端面で一致する形の金属板付きCFRP板をオートクレーブ法で作成した。CFRP上のA5052Al合金板が汚れていたのでその全面を#1000サンドペーパーで研磨し、その上で、CFRP板に接着させたまま再度実験例A2の表面処理を行った。
又、300mm×100mm×3mm厚の64Ti合金厚板片を入手し、実験例A9の記載した通りに表面処理して用意した。その上で、全てを接着剤「EW2040」を使用して全接着した。即ち、64Ti合金板の上にA5052Al合金薄板を接着し、そのA5052Al合金薄板の上に、最初に得たA1050Alの立体化物を接着し、更にその上にA5052Al合金薄板付きのCFRP板を金属部が下になる形で接着した。これでA1050Al片が担当する面積、即ち見かけの接着面積が200mm×100mm=200cm2の大型の全接着の構造物が作成出来た。
この接着物は図5に示したものと類似しているが、A1050Al部が単純な板材でなく、空隙ある立体化物であることが大きく異なっている。この空隙部の占める面積率であるが、接着面が200mm×100mm=200cm2に対して実接着面積は200mm×100mm×(9/25)=72cm2であり、64%となる。これを-50℃/+150℃の温度衝撃試験機に3千サイクルかけ、非破壊検査機で柱上部が接着している面を観察したが、剥がれは観察されなかった。
[実験例B14]大型の全接着構造物の作成
厚さ3mm厚のA1050Al厚板を入手し、機械加工して図14に示す形状物を得た。即ち、直径10mmの中心部はそのままで、幅2mm深さ2mmの溝を円形に切って3mm幅の円周型の壁が2mm幅の間隔で沢山重なった形の200mm×100mmの厚板を作成した。そして、多数の線状の壁付きのA1050Al片を、前述した[実験例A1]と同様の化成処理に従って表面処理をした。
一方、実験例B12で使用したCFRP材とA5052Al合金薄板に代えて300mm×100mm×3mm厚のSUS304ステンレス鋼の表面処理物(実験例A7と同じ処理法)、及び、表面処理済みのA5052Al合金薄板0.75mm厚を用意した。これらを使用して、実験例B11で示した図10形状物を使用した200cmの大型の全接着構造物とA1050Al部の立体形状、CFRP材ではなくSUS304鋼が使われている形状は同じ外観の物を作成した。これを-50℃/+150℃の温度衝撃試験機に3千サイクル試験にかけ、非破壊検査機で柱上部が接着している面を観察したが、剥がれは観察されなかった。
[実験例C]追加の接着力向上の為の実験と試験
[実験例C1]A1050Alの接着力向上の新アイデアを実践する
前述した[実験例B7]で得た表5、そして[実験例B11]で得た表6の結果から、本発明の実際の接合一体化物は、「A」材、又は「B」材と、「C」材の接着性能が最重要であることが判明した。本発明の接合一体化物は、せん断接着強さのみでの評価ではなく、「せん断接着粘り性」値の評価法に変え、かつ、耐湿熱性などの耐久性能も確認して来た。しかし、接合一体化物として見れば、「A」材、又は「B」材と、「C」材の接着性能のみで十分ではなく、「D」材に必要な基本性能、即ち、その軟性とその表皮の接着性能につき再検討すべきと考えた。
要するに、表5に示した純アルミニウム系アルミニウムであるA1085、A1050合金のせん断接着強さのデータでは、高温高湿試験の前後で大きく変化しなかった。A1085では55MPa同士で変化なし、A1050では試験前が54MPaで試験後は50MPaまで低下したが、乾燥すると54MPaで元に戻る。高温高湿熱の供与で最も変化するのは、金属材ではなく接着剤硬化物の吸湿であり、これは接着剤硬化物が若干軟化したことを示している。それ故に、A1085やA1050で接着力があまり変化なかったということは、接着剤硬化物の硬度変化が、A1085やA1050の硬度レベルと近い故に引張り破断力がかかった場合に、例えば地盤(金属側)と釘(接着剤硬化物)の硬さが近い故に、金属側と接着剤硬化物が共に変形して、破断を遅らせる効果あると推定した。硬質の金属、表5ではSUS304や64チタン合金では、当初のせん断接着強さは、約60MPa付近だったのが、樹脂部吸湿による軟化で43~45MPaに急低下している。そして、SUS304では樹脂部の乾燥で53MPaまで回復した。金属側が硬質で、かつ金属側の表面形状が高湿度で変化しなければ、このSUS304と同様に、せん断接着強さの変動を起こしたと本発明者は理解した。要するに、純アルミニウム系アルミニウムであるA1085やA1050は、軟質故にSUS304等と異なる経過を辿った。
そこで、A1050やA1085の表面処理法の最終工程を少し変更して表皮だけをより硬質にすればどうなるかを予期した。軟質金属である純アルミニウム系アルミニウムの外皮が硬質で、内部が軟質の構造である。表皮をより硬く、かつ、少し厚くして外皮は硬く内部は柔らかな軟質のままとすることである。少なくとも表6と同じ試験をしてせん断接着強さが54~55MPaという他材より明らかに低い状態は抜け出せるのではないかと推定した。その結果、A1050アルミニウムの新しい表面処理法に関して試験実験を開始した。[実験例A]の中の[実験例A1-3]~[実験例A1-7]の5項目は、[実験例A]と[実験例B]の全項目が終了した後に、上記したように表5、表6のデータを分析し後に、前述した表面処理法とは異なる実験をしたものである。その実験結果を表7にしたものである。即ち、表7に示すデータは、純アルミニウム系アルミニウムの表面のみをより硬化させた化成処理である。
Figure 0007500903000007
表7に示したデータの上部を見ると、NAT処理品やNAT5処理品では最終の5%濃度の過酸化水素水への浸漬時間は、5分だったのだが20分にすると、NAT処理品ではせん断接着強さが57.5MPaから60MPaに上昇し、せん断接着粘り性値は50.5MPa付近で変わらなかった。一方、NMT5処理品では過酸化水素水への浸漬を5分から20分に変えると、せん断接着強さが55.5MPaから57MPaに上昇し、せん断接着粘り性値は51MPaから53.4MPaに上昇した。最も変化が大きいのは、陽極酸化処理品であり、NAT-Ano処理品でせん断接着強さ68MPaという高値が得られ、せん断接着粘り性値はこれも高い57.5MPaが得られ、NAT5-Ano処理品でせん断接着強さ63MPa、せん断接着粘り性値は54MPaが得られている。
過酸化水素処理を長く行うことで表面の酸化アルミ薄層が強化されたことは間違いなく、「D」材の外皮を硬く、内部を柔らかくすることが有効なことが確認できた。又、A1050の表面層が陽極酸化による未封孔型アルマイトになって、更に硬い表層を有する構造になり、驚く高さのせん断接着強さとせん断接着粘り性を発揮したことを確認した。純アルミニウム系アルミニウムではない別のA6061、A2024アルミニウム合金の場合には、過酸化水素水処理の強化品と陽極酸化品にてせん断接着粘り性で差異がつかない例の方が多く、これは軟性アルミニウム合金の特徴と推察される。要するに、A1050アルミニウム合金のような軟質金属では、間違いなく表面層を硬度高くすることで、接着力を向上し得ること、又、それは陽極酸化法等でより確実に達成できることがした確認された。
異種構造材を含む接合一体化物は、航空機、自動車等の移動機械、工作機械等の産業機械等の構造物に適用できる。

Claims (19)

  1. FRP材、及び、構造用金属材群から選択される「A」材、及び「B」材の異種2材を両端とし、
    前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接着剤で接合した一体化物であって、
    前記一体化物は、
    前記「A」材と前記「B」材の間に、「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は構造物が積層されたものであり、
    前記「A」材、前記「D」材、及び「B」材の順に接合面が固着積層された3材からなる
    ことを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  2. FRP材、及び、構造用金属材群から選択される「A」材、及び「B」材の異種2材を両端とし、
    前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接着剤で接合した一体化物であって、
    前記一体化物は、
    前記「A」材と前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は構造物が積層されたものであり、
    前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、及び「B」材の順に接合面が固着積層された4材からなる
    ことを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  3. FRP材、及び、構造用金属材群から選択される「A」材、及び「B」材の異種2材を両端とし、
    前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接着剤で接合した一体化物であって、
    前記一体化物は、
    前記「A」材と前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物であり、
    前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、前記「C」材、及び「B」材の順に接合面が固着積層された5材からなる
    ことを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  4. FRTP材を「A」材、構造用金属材群から選択される「B」材の異種2材を両端とし、
    前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接合した一体化物であって、
    前記一体化物は、
    前記「A」材と前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は構造物が積層されたものであり、
    前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、及び前記「B」材の順に接合面が固着積層された4材からなり、
    前記FRTP材と前記「C」材の接合法は、前記「C」材に射出接合法により、前記FRTP材のマトリックス樹脂と同種の樹脂を前記「C」材に接合した後、前記FRTP材と前記樹脂を熱融着により接合されたものであり、
    前記熱融着以外の他の接合の前記接合面は、接着剤による接合されたものである
    ことを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  5. FRTP材を「A」材、構造用金属材群から選択される「B」材の異種2材を両端とし、
    前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10 -5 -1 以上ある部材を接合した一体化物であって、
    前記一体化物は、
    前記「A」材、前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は構造物が積層されたものであり、
    前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、前記「C」材、及び「B」材の順に接合面が固着積層された5材からなり、
    前記FRTP材と前記「C」材の接合法は、前記「C」材に、前記FRTP材のマトリックス樹脂と同種の樹脂をインサート成形で接合した後、前記FRTP材と前記樹脂を熱融着により接合されたものであり、
    前記熱融着以外の他の接合部の前記接合面は、接着剤により接合されたものである
    ことを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  6. 請求項1~5から選択される1項に記載の異種構造材含む接合一体化物において、
    前記「D」材は、純アルミニウム系アルミニウムであり、日本工業規格A1080、A1085、及びA1050から選択される1種であることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  7. 請求項2~5から選択される1項に記載の異種構造材含む接合一体化物において、
    前記「C」材は、日本工業規格のA5052アルミニウム合金、A5083アルミニウム合金、A6061アルミニウム合金、及びSUS304ステンレス鋼から選択される1種であることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  8. 請求項1~5から選択される1項に記載の異種構造材含む接合一体化物において、
    前記接合面は、平面、曲面、及び円筒面から選択される1以上の面を含むものであることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  9. 請求項1~8から選択される1項に記載の異種構造材含む接合一体化物において、
    前記「D」材は、一面は平面又は曲面であり、他面には断面積0.05~0.25cmの円形又は角状の柱状物が並列して多数林立している板状体であることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  10. 請求項1~8から選択される1項に記載の異種構造材含む接合一体化物において、
    前記「D」材は、一面は平面又は曲面であり、他面には厚さ3~5mmの壁が幅2~3mmの間隔あけて多数林立している壁状突起、又は、厚さ3~5mmの壁が幅2~3mmの間隔あけて同心円状の壁状突起を有する板状体であることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  11. 請求項10の異種構造材含む接合一体化物において、
    前記同心円状の前記壁状突起の中心は、1~5cmの部分は厚さ1~5mmの円形の厚板状であることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  12. 請求項又は5に記載の異種構造材含む接合一体化物において、
    前記「A」材、前記「B」材、前記「C」材、及び前記「D」材の5材間の接合において、接着剤で接合された接合部に存在する接着剤硬化層は、全て1液性エポキシ接着剤の硬化層、又は、2液性エポキシ接着剤の硬化層が含まれたものであることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  13. 請求項2~5から選択される1項に記載の異種構造材含む接合一体化物において、
    前記「A」材、前記「B」材、前記「C」材、及び前記「D」材の4材以上が接合されたものにおいて、接着剤で接合された接合部に換えて一部がクラッド結合部であることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  14. 請求項12に記載の異種構造材を含む接合一体化物において、
    前記1液性エポキシ接着剤は、引張り破断試験において、せん断接着強さが23℃下で50MPa以上を示し、かつ、150℃下で25MPa以上を示す耐熱型1液性エポキシ接着剤であることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  15. 請求項1~14から選択される1項に記載の異種構造材を含む接合一体化物であって、
    前記「A」材、及び前記「B]材は、CFRP材とチタン合金材、CFRP材と一般鋼材、CFRP材とステンレス鋼材、CFRP材と高強度アルミニウム合金材、GFRP材と高強度アルミニウム合金材、CFRTP材とチタン合金材、CFRTP材と一般鋼材、CFRTP材とステンレス鋼材、CFRTP材と高強度アルミニウム合金材、チタン材と一般鋼材、チタン材とステンレス鋼材、チタン材と高強度アルミニウム合金材、一般鋼材とステンレス鋼材、一般鋼材と高強度アルミニウム合金材、フェライト系ステンレス鋼材とオーステナイト系ステンレス鋼材、及び、ステンレス鋼材と高強度アルミニウム合金材から選択される1種であることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  16. 請求項4又は5に記載の異種構造材含む接合一体化物において、
    前記「A」材のFRTPがCFRTPであり、
    前記樹脂は、0.5mm厚以上の高結晶性熱可塑性合成樹脂組成物であり、前記「C」材と前記樹脂の厚みの合計は、厚さ2mm以下の複合板であり、
    前記「A」材と前記「C」材の接合は、前記CFRTPのマトリックス樹脂と高結晶性熱可塑性合成樹脂組成物を熱融着により固着したものであり、
    前記「B」材は、チタン合金材、一般鋼材、ステンレス鋼材、及び、高強度アルミニウム合金材から選択される1種であることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  17. 請求項15に記載の異種構造材含む接合一体化物において、
    前記高強度アルミニウム合金材は、日本工業規格のA2014、A2017、A2024、及びA7075から選択されるジュラルミン類、又は、日本工業規格のA5052、A5083、A6061、及びA6063から選択される1種のアルミニウム合金であることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物。
  18. FRTP材を「A」材、構造用金属材群から選択される「B」材の異種2材を両端とし、
    前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接合した一体化物であって、
    前記一体化物は、
    前記「A」材と前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は構造物が積層されたものであり、
    前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、及び前記「B」材の順に接合面が固着積層された4材からなる異種構造材を含む接合一体化物の製造方法であって、
    前記FRTP材のマトリックス樹脂と同種の樹脂を前記「C」材に接合するために、前記「C」材を金型にインサートした後、前記樹脂を射出してFRTP材と前記「C」材を接合する射出接合工程と、
    前記射出接合後、前記FRTP材と前記樹脂を熱融着により接合する熱融着工程と、
    他の接合部は、接着剤による接合工程法と
    からなることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物の製造方法。
  19. FRTP材を「A」材、構造用金属材群から選択される「B」材の異種2材を両端とし、
    前記「A」材と前記「B」材の線膨張率の差が、0.3×10-5-1以上ある部材を接合した一体化物であって、
    前記一体化物は、
    前記「A」材、前記「B」材の間に、「C」材である耐力が150MPaより高い金属材の1.0mm厚以下の薄板、及び「D」材である厚さ1.5~5.0mmの純アルミニウム系アルミニウムの板状物、又は構造物が積層されたものであり、
    前記「A」材、前記「C」材、前記「D」材、前記「C」材、及び「B」材の順に接合面が固着積層された5材からなる異種構造材を含む接合一体化物の製造方法であって、
    前記FRTP材のマトリックス樹脂と同種の樹脂を前記「C」材に接合するために、前記「C」材を金型にインサートした後、前記樹脂を射出してFRTP材と前記「C」材を接合する射出接合工程と、
    前記射出接合後、前記FRTP材と前記樹脂を熱融着により接合する熱融着工程と、
    他の接合部は、接着剤による接合工程法と
    からなることを特徴とする異種構造材を含む接合一体化物の製造方法。
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