JP7514488B2 - 化粧ブラシ用毛材、その毛材を用いた化粧ブラシ - Google Patents
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Description
天然獣毛は、液状または粉末状化粧料に対する含み性や放出性が良く、毛腰が柔軟で肌あたりなどの使用感が良好であるといわれ愛用者も多い。特に、リス毛の化粧ブラシや山羊毛の化粧ブラシは、獣毛の化粧ブラシの最高級品として消費者から高い評価を得ている。しかしながら、天然獣毛は多くの利点を有しているものの天然資源であるため供給量に限界があるほか、動物愛護や地球生態保護などの観点から、次第にその入手が困難になりつつある。そこで、近年では天然獣毛の代替品として、合成繊維から作られた化粧ブラシ用毛材が提案されている。
特許文献2には、合成樹脂モノフィラメントの一端にテーパー部を形成した、ブラシ用毛材が提案されている。テーパー部の断面形状を円形断面とし、テーパー部以外の本体部の断面形状を八葉形とすることにより、液体化粧料に対する優れた塗布性能と、天然獣毛に匹敵する使用感とを兼ね備えた、化粧ブラシ用途に適した毛材であることが具体的に開示されている(特許文献2参照)。
そこで、本発明は、粉末状化粧料および液状化粧料それぞれの塗布に適した、より詳しくは、粉末状または液状化粧料に対するキャッチ&リリース性が良好な、合成樹脂からなる化粧ブラシ用毛材、化粧ブラシ用毛材集合体およびそれらを用いた化粧ブラシを提供することを課題としている。
1.芯部が合成樹脂A、鞘部が合成樹脂Aとは種類が異なる合成樹脂Bよりそれぞれ構成される、S撚りまたはZ撚りの芯鞘複合モノフィラメントからなり、
前記芯鞘複合モノフィラメントの繊維軸と垂直方向の断面が、まゆ型形状であることを特徴とする化粧ブラシ用毛材。
2.前記芯鞘複合モノフィラメントが、テーパー状に形成された先細部を備えていることを特徴とする1.記載の化粧ブラシ用毛材。
3.前記テーパー状に形成された先細部が分岐していることを特徴とする2.記載の化粧ブラシ用毛材。
4.前記合成樹脂Aと前記合成樹脂Bそれぞれが、ポリエステル系樹脂であることを特徴とする1.~3.の何れか1項に記載の化粧ブラシ用毛材。
5.前記合成樹脂Aと前記合成樹脂Bそれぞれが、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートから選択された1種であることを特徴とする4.記載の化粧ブラシ用毛材。
6.芯部が合成樹脂A、鞘部が合成樹脂Aとは種類が異なる合成樹脂Bよりそれぞれ構成される、S撚り及びZ撚りの芯鞘複合モノフィラメントの混合集合体からなり、
前記芯鞘複合モノフィラメントの繊維軸と垂直方向の断面が、それぞれ相似形のまゆ型形状であることを特徴とする化粧ブラシ用毛材集合体。
7.1.~5.の何れか1項に記載の化粧ブラシ用毛材または6.に記載の化粧ブラシ用毛材集合体を、少なくとも一部に使用したことを特徴とする化粧ブラシ。
以下、本発明について詳細に説明する。
このような撚りによる螺旋構造を有する1本の毛材が占める体積は、従来公知のギヤクリンプ方式によって形成される平面的なジグザグ構造の毛材の場合に比べても大きく、本発明の化粧ブラシ用毛材からなる化粧ブラシ用毛材集合体や化粧ブラシは、静置状態でも毛材同士の重なりや密着が抑制されて内部に空隙部を多く含む、ふんわりとした量感の高いものとなる。さらに、S撚りとZ撚りを組み合わせると、内部の空隙部がより多くなり立体感を高めることができ好ましい。
通常、モノフィラメントに立体感を出すためには、より波長幅を短くするために強撚りとするべきところ、本発明の化粧ブラシ用毛材では、撚数を小さく(甘撚り)することで波長幅を長くしている。このように撚数を小さくすることで、より立体感のあるブラシ用毛材を得ることができると共に、モノフィラメントを何本か合わせて撚りを掛けた後、梳くことで容易に開繊させることができ、製造効率を向上させ得るという効果も奏する。また、強撚りでは、毛材のコシが硬くなり肌あたりも悪くなりやすい。
一方、波長幅が35mmを越えると、撚りが甘くなって毛材が直線状に近くなるために毛材の3次元的な広がりが少なくなり、毛材間の空隙部が減るので粉末状または液状化粧料の捕集量や保持量が低下しやすくなる。また、波長幅が10mm未満では、毛材同士が絡まりやすくなり、製造効率が低下する。本発明の化粧ブラシ用毛材の波長幅は、好ましくは11mm以上25mm以下、さらに好ましくは12mm以上20mm以下の範囲である。
本発明の化粧ブラシ用毛材の断面形状について、図1~3に従って説明する。図1、2ともに、本発明の化粧ブラシ用毛材の断面形状概略図である。図3(A)~(C)は、本発明に含まれない断面形状概略図である。
本発明における芯鞘複合モノフィラメント断面のまゆ型形状は、図1に示すように、カイコが作る繭のように長形で中央部分(胴部分)になだらかなくびれがある俵型形状を意味し、図3(A)のような、中央部分(胴部分)にくびれのない断面形状は含まない。また、本発明における芯鞘複合モノフィラメント断面のまゆ型形状は、図2に示すような中央部分(胴部分)に大きなくびれを有するものも含まれるが、図3(B)、(C)のような鋭角な溝のようなくびれを有するものは含まない。
本発明における芯鞘複合モノフィラメント断面のまゆ型形状は、図1、2に示すように、くびれ中央部を基点とし、なだらかなくびれに沿った2つの接線(点線)がなす「角度」が90度より大きく180度より小さいことを特徴とする。本発明における芯鞘複合モノフィラメント断面のまゆ型形状は、この「角度」が100度以上であることが好ましく、120度以上がより好ましく、130度以上がさらに好ましい。本発明に含まれない態様は、図3(B)に示すように、くびれ中央部を基点とし、くびれに沿った2つの接線(点線)がなす「角度」が90度より小さく、鋭角な縦溝が構成されている。
本発明における芯部の繊維軸と垂直方向の断面は、楕円形状である。
化粧ブラシ用毛材は、繊維の長さ方向に縦溝が存在すると、粉末状または液状化粧料に対するキャッチ性(含み性)が向上することを本発明者は確認していた。しかしながら、この縦溝が鋭角(90度以内)の角度を有するものであると、化粧ブラシ用毛材が含んだ粉末状または液状化粧料が、この縦溝に保持されてしまい、リリース性(放出性)が低下することを本発明者は今回初めて見出した。すなわち、本発明の化粧ブラシ用毛材は、本発明における芯鞘複合モノフィラメント断面を、なだらかな流線形、すなわち、上記「角度」が90度より大きく180度より小さな角度からなるくびれを有するまゆ型形状とすることにより、粉末状または液状化粧料に対するキャッチ&リリース性、特に、リリース性(放出性)に優れる性能を発揮することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
図1におけるaは、本発明の鞘部の長径(以下、鞘部長径aという。)、bは鞘部のくぼみ幅(以下、鞘部くぼみ幅bという。)、cは鞘部の短径(以下、鞘部短径cという。)、dは鞘部のくぼみ径(以下、鞘部くぼみ径dという。)を、eは、本発明の芯部の長径(以下、芯部長径eという。)、fは芯部の短径(以下、芯部短径fという。)を意味する。
本発明の化粧ブラシ用毛材においては、鞘部長径aは100μm以上200μm以下の範囲にあり、中でも、105μm以上170μm以下の範囲が好ましく、110μm以上160μm以下の範囲がより好ましい。鞘部くぼみ幅bは鞘部長径aの40%以上75%以下の範囲にあり、鞘部短径cは10μm以上100μm以下の範囲にあり、鞘部くぼみ径dは鞘部短径cの40%以上95%以下である。鞘部長径aと鞘部くぼみ径dとのアスペクト比(a/d)は、1以上3以下の範囲にあると好ましい。また、鞘部くぼみ径dと鞘部短径cとの比率(d/c)は、0.4以上1.0未満の範囲にあると好ましい。
また、本発明の化粧ブラシ用毛材においては、芯部長径eと鞘部長径aとの比率(e/a)は、0.5以上0.9以下の範囲にあると好ましく、0.6以上0.8以下の範囲にあるとより好ましい。また、芯部短径fと鞘部短径cとの比率(f/c)は、0.5以上0.9以下の範囲にあると好ましく、0.6以上0.8以下の範囲にあるとより好ましい。
鞘部長径a、鞘部くぼみ幅b、鞘部短径c、鞘部くぼみ径d、芯部長径e、芯部短径fが、上記の範囲にあると、粉末状または液状化粧料に対するキャッチ&リリース性において、優れた性能を発揮する。
ここで、本発明における「種類が異なる」とは、合成樹脂Aを構成する合成樹脂と合成樹脂Bを構成する合成樹脂の種類が少しでも異なることを意味する。後述する実施例において、例えば、実施例1の芯部はポリブチレンテレフタレートで、鞘部はポリトリメチレンテレフタレートで構成されている。このように、芯部を構成する合成樹脂Aであるポリブチレンテレフタレートと、鞘部を構成する合成樹脂Bであるポリトリメチレンテレフタレートとは、それぞれ種類が異なる態様を、本発明では、「芯部が合成樹脂A、鞘部が合成樹脂Aとは種類が異なる合成樹脂Bよりそれぞれ構成される」と特定している。
同様に、実施例2は、芯部はポリブチレンテレフタレートで、鞘部はポリトリメチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートで構成されており、これも、芯部を構成する合成樹脂Aと鞘部を構成する合成樹脂Bの種類が異なる態様を示す具体例である。
この合成樹脂A、合成樹脂Bとしては、それぞれポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの合成樹脂の1種または2種以上を選択または組み合わせて使用することができるが、合成樹脂Aと合成樹脂Bは種類が異なることが重要である。これらの中でも、合成樹脂Aと合成樹脂Bは、ポリエステル系樹脂の中から選択されることが、化粧ブラシ用毛材として適度の剛性と耐久性を有すると共に、押出加工、撚り加工、先細加工等に優れているため好適である。中でも、合成樹脂Aと合成樹脂Bは、それぞれポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂から選択された1種であることが好ましい。特に、適度な柔軟性と弾性とを具備する点において、合成樹脂Aと合成樹脂Bは、それぞれポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)から選択された1種であることがより好ましい。本発明の芯鞘複合モノフィラメントは、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、耐熱剤、耐候剤、可塑剤、着色剤等の慣用添加剤を含むことができる。
本発明の化粧ブラシは、本発明の化粧ブラシ用毛材または本発明の化粧ブラシ用毛材集合体を、化粧ブラシ用毛材全体の10重量%以上100重量%以下の範囲において含有することにより、粉末状または液状化粧料に対するキャッチ&リリース性において、天然獣毛を用いた化粧ブラシより優れた性能を発揮することができるほか、肌への触感性に優れた柔らかさと弾力性を兼ね備える点においても、天然獣毛を用いた化粧ブラシに近似したものとすることができる。特に、本発明の化粧ブラシ用毛材または本発明の化粧ブラシ用毛材集合体を、化粧ブラシ用毛材全体の30重量%以上含有する本発明の化粧ブラシは、本発明の効果を十分に発揮することができる。
本発明の化粧ブラシは、本発明の化粧ブラシ用毛材または本発明の化粧ブラシ用毛材集合体以外は、ナイロン繊維やポリエステル繊維などの合成繊維からなる化粧ブラシ用毛材を使用することができる。
また、本発明の化粧ブラシにおいては、芯鞘複合モノフィラメントの先端が、テーパー状に形成された先細部を備えるように加工されていることが好ましい。さらに、このテーパー状に形成された先細部が分岐するように加工されているとより好ましい。このように先端部を加工することにより、化粧料の塗布時において肌あたりがよくなり、天然獣毛により近い優れた触感が得られる。
次に、本発明の化粧ブラシ用毛材の製造方法の1例について説明する。
化粧ブラシ用毛材の芯鞘複合モノフィラメントは、芯部用の合成樹脂Aと、鞘部用の合成樹脂Aとは種類が異なる合成樹脂Bの合成樹脂ペレットまたは粉末を準備し、これらと必要に応じて添加剤を複合型溶融紡糸機に供給し、本発明の毛材断面形状に対応する芯鞘型複合ノズルから共押出し、その後冷却固化および加熱延伸することにより芯鞘複合モノフィラメントを製糸し、断面がまゆ型形状の芯鞘複合モノフィラメントを製造する。
芯鞘複合モノフィラメントを上述の撚数で撚った後、撚り合わせた芯鞘複合モノフィラメントを、合成樹脂の融点以下の温度で加熱して、熱セットする。熱セットの時間は温度にもよるが、例えば、乾熱185℃で5分間程度である。これによって、撚りが掛かった構造が固定化され、使用環境の影響を受けず形状が安定となる。そして熱セットした芯鞘複合モノフィラメントを所定の長さ、例えば、長さ25mm以上、好ましくは50mm以上100mm以下の範囲に切断する。
このようにして、得られた化粧ブラシ用毛材は、モノフィラメントの繊維軸と垂直方向の断面が、まゆ型形状であり、かつ、熱セットされた撚りの跡が残り、特定の断面形状と螺旋構造を有した状態となる。また、アルカリ処理を行うことにより、先細部が分岐した化粧ブラシ用毛材が得られる。
さらに必要に応じて染色処理を行ってもよい。染料は分散染料を使用できるが、耐候堅牢度が5級以上のものが、化粧ブラシの使用時に変色や退色が少ないことから好ましい。また、染料は公知の染色キャリヤー剤を併用してもよいが、染色キャリヤー剤を必要としない高圧染色であることが好ましい。また、モノフィラメントの製造原料に、カーボンブラックや各種顔料などを添加してもよい。この場合には染色時の染料が節約できるばかりか、用途によっては染色を行う必要がないなどの点で好ましい。
本発明の化粧ブラシ用毛材集合体は、S撚り及びZ撚りの化粧ブラシ用毛材の混合集合体である。S撚りとZ撚りの化粧ブラシ用毛材が混在する化粧ブラシ用毛材集合体を使用して化粧ブラシとすると、その塗布部先端の毛材の流れがランダムとなり、粉末状または液状化粧料の捕集量や保持量が均一となり好ましい。化粧ブラシは使用者の使い方や使用癖により、一定方向に捩れて塗布部にクセが付く可能性もあるが、S撚りとZ撚りのものが混在することにより、このクセが付きにくく化粧ブラシの耐久性が一層向上し好適である。
本発明の化粧ブラシ用毛材集合体において、S撚りの化粧ブラシ用毛材とZ撚りの化粧ブラシ用毛材とが、4:6~6:4で混合されていることが好ましい。4:6~6:4で混合された化粧ブラシ用毛材集合体を、化粧ブラシの塗布部に使用することで、内部の空隙部がより多くなり立体感のある塗布部が形成され、天然の獣毛を用いた塗布具に一層近似したものとなり、粉末状または液状化粧料を均一に塗布できるものとなる。さらに、S撚りの化粧ブラシ用毛材とZ撚りの化粧ブラシ用毛材とがほぼ均一に混合されていることが好ましい。この「ほぼ均一に混合される」とは、S撚りの化粧ブラシ用毛材とZ撚りの化粧ブラシ用毛材それぞれが固まって局在化するのではなく、分散された状態を意味する。例えば、S撚りの化粧ブラシ用毛材の隣はZ撚りの化粧ブラシ用毛材が配置され、逆にZ撚りの化粧ブラシ用毛材の隣はS撚りの化粧ブラシ用毛材が存在するように、化粧ブラシの塗布部のほぼ全体に亘ってS撚りの化粧ブラシ用毛材とZ撚りの化粧ブラシ用毛材がほぼ交互に配置される状態をいう。S撚りの化粧ブラシ用毛材とZ撚りの化粧ブラシ用毛材とがほぼ均一に混合されることで、隣接し合う化粧ブラシ用毛材同士が密着し合って密集することが阻害されるために、化粧ブラシ用毛材間に空隙部が形成されやすくなり、ふんわりとした量感の高い化粧ブラシを形成できる。
また、S撚りの化粧ブラシ用毛材とZ撚りの化粧ブラシ用毛材とがほぼ均一に混合されてなる化粧ブラシの塗布部は、0.3g/cm3~0.5g/cm3の毛密度であることが好ましい。化粧ブラシの塗布部の毛密度が、上述の範囲であれば、塗布部に立体感があり、塗布部の先端部分が広がりボリューム感が出ることで、天然の獣毛を用いた塗布具に近似したものとなり、粉末状または液状化粧料の塗布に適したものとなる。
上述の製造方法等により得られた、本発明の化粧ブラシ用毛材または化粧ブラシ用毛材集合体を使用した化粧ブラシの製造方法の1例について説明する。
本発明の化粧ブラシ用毛材または化粧ブラシ用毛材集合体を、化粧ブラシ用毛材全体の少なくとも一部に、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上、特に好ましくは30重量%以上含有させたものをブラシ穂先形成用の壺に投入し、振動を与えながら壺の内部形状に従い、中央部が盛り上がった穂先部を成形し、次いで、成形された穂先部を化粧ブラシハンドル部の先に設けた円筒状口金内に挿入し化粧ブラシとする。
実施例1(化粧ブラシ1)
まゆ型形状の断面形状を有する芯鞘複合繊維(芯成分:ポリブチレンテレフタレート、鞘成分:ポリトリメチレンテレフタレート、繊度80デシテックス)×60本を、合撚機で80T/m(ツイスト/m)の撚り数をS字方向に入れたもの(S撚り)と、Z字方向に入れたもの(Z撚り)をそれぞれ、乾熱185℃で5分間の処理により撚り止めを行い、波長幅が11mmのS撚りおよびZ撚りの化粧ブラシ用毛材集合体を得た。
次いで、化粧ブラシ用毛材集合体のS撚りとZ撚りを1:1の割合で混ぜながら引き揃え、直径4cmの繊維束を作成し、紙を巻き保護した。この繊維束を8cmの長さにカットし、直径4cm、長さ8cmのコロとした。さらに、水酸化ナトリウム100g/L、第四級アミン(一方社油脂工業株式会社製、商品名「DYK-1125」)6g/Lの水溶液を作成し、先細化工した繊維束を染色した後、撚りを櫛で梳いて凹型の壺に毛先を下にして振動を与え、毛形状を整えた化粧ブラシ1を作成した。
上記実施例1の製造例において、まゆ型形状の断面形状を有する芯鞘複合繊維(芯成分:ポリブチレンテレフタレート、鞘成分:ポリトリメチレンテレフタレート+ポリブチレンテレフタレート、繊度80デシテックス)×60本を、合撚機で80T/m(ツイスト/m)の撚り数をS字方向に入れたもの(S撚り)と、Z字方向に入れたもの(Z撚り)を使用した以外は同様にして、化粧ブラシ2を作成した。
上記実施例1の製造例において、まゆ型形状の断面形状を有する芯鞘複合繊維(芯成分:ポリエチレンテレフタレートエラストマー、鞘成分:ポリトリメチレンテレフタレート、繊度80デシテックス)×60本を、合撚機で80T/m(ツイスト/m)の撚り数をS字方向に入れたもの(S撚り)と、Z字方向に入れたもの(Z撚り)を使用した以外は同様にして、化粧ブラシ3を作成した。
上記実施例1で製造した繊維と、実施例1の繊維の撚りがかかっていない繊維を1:1で混毛した以外は同様にして、化粧ブラシ4を作成した。
上記実施例2で製造した繊維と、実施例2の繊維の撚りがかかっていない繊維を1:1で混毛した以外は同様にして、化粧ブラシ5を作成した。
上記実施例3で製造した繊維と、実施例3の繊維の撚りがかかっていない繊維を1:1で混毛した以外は同様にして、化粧ブラシ6を作成した。
円形状の断面形状を有する芯鞘複合繊維(芯成分:ポリエチレンテレフタレートエラストマー、鞘成分:ポリトリメチレンテレフタレート、繊度100デシテックス)×60本を、合撚機で80T/m(ツイスト/m)の撚り数をS字方向に入れたもの(S撚り)と、Z字方向に入れたもの(Z撚り)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例化粧ブラシ1を作成した。
円形状の断面形状を有する芯鞘複合繊維(芯成分:ポリエチレンテレフタレートエラストマー、鞘成分:ポリトリメチレンテレフタレート、繊度80デシテックス)×60本を、合撚機で80T/m(ツイスト/m)の撚り数をS字方向に入れたもの(S撚り)と、Z字方向に入れたもの(Z撚り)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例化粧ブラシ2を作成した。
円形状の断面形状を有する芯鞘複合繊維(芯成分:ポリエチレンテレフタレートエラストマー、鞘成分:ポリブチレンテレフタレート、繊度80デシテックス)×60本を、合撚機で80T/m(ツイスト/m)の撚り数をS字方向に入れたもの(S撚り)と、Z字方向に入れたもの(Z撚り)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例化粧ブラシ3を作成した。
円形状の断面形状を有する芯鞘複合繊維(芯成分:ポリエチレンテレフタレートエラストマー、鞘成分:ポリブチレンテレフタレート+ポリトリメチレンテレフタレート、繊度80デシテックス)×60本を、合撚機で80T/m(ツイスト/m)の撚り数をS字方向に入れたもの(S撚り)と、Z字方向に入れたもの(Z撚り)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例化粧ブラシ4を作成した。
比較例2~4の繊度を60デシテックスにしたものを使用した以外は同様にして比較例化粧ブラシ5~7を作成した。
本発明の化粧ブラシにおける、パウダーキャッチ性(含み性)について評価する試験を行った。本発明における、パウダーキャッチ性(含み性)とは、化粧ブラシに対する粉末状化粧料の粉付きを示すものである。
(試験検体)
上記製造例により製造した、化粧ブラシ1~6、比較例化粧ブラシ1~7のほか、評価基準として獣毛の化粧ブラシの最高級品として消費者から高い評価を得ている市販の山羊毛(粗光峰)の化粧ブラシを使用して、粉末状化粧料(株式会社資生堂製:インテグレートミネラルグロープレストパウダー)のパウダーキャッチ性(含み性)を、表面性試験機(株式会社トリニティーラボ製、商品名:トリラボ ハンディーラブテスター Type:TL701)を用いて評価した。
(試験方法)
粉末状化粧料が充填された円形容器(直径:5.5cm)を、上記表面性試験機の接触子に略垂直に両面テープで貼り付けた。粉末状化粧料の表面に、試験検体である化粧ブラシの穂先部が略直角に接するように、各試験検体を回転台に取り付け、試験台に対して水平となるように固定した。
化粧ブラシの穂先部を粉末状化粧料の表面に対して、10回スイープさせて(速度:6rpm、回転半径:100mm、回転角度:90度)、化粧ブラシの穂先部に粉末状化粧料をピックアップさせた。
各試験検体のパウダーキャッチ性は、試験終了前後の化粧ブラシの重量を計測し、その重量差を10回パウダーキャッチ量(以下、「含み量」という。)として評価した。
なお、未使用の化粧ブラシについては、上記試験方法により、粉末状化粧料の表面を10回スイープさせて粉末状化粧料を捕集させた後、当該化粧ブラシをティッシュペーパーにスイープさせて、ティッシュに粉末状化粧料が付着しなくなるまで放出させたものを試験検体として使用した。
試験は2回行い、各試験検体の平均値を、獣毛化粧ブラシの「含み量」と比較して、以下の基準で評価し、その結果を下記表1にまとめて示した。
[評価基準]
1:獣毛の化粧ブラシの含み量の1倍以上
2:獣毛の化粧ブラシの含み量の0.8倍以上1倍未満
3:獣毛の化粧ブラシの含み量の0.8倍未満
本発明の化粧ブラシ用毛材は、撚り、特定の断面形状及び芯鞘構造という3つの特異的な立体形状の組み合わせにより相乗効果を発揮し、パウダーキャッチ性(含み性)に優れた化粧ブラシとし得ることが、この評価結果より明らかとなった。
(試験検体)
上記「化粧ブラシの使用性能の評価1」と同じ化粧ブラシ1~6、比較例化粧ブラシ1~7のほか、評価基準として獣毛の化粧ブラシの最高級品として消費者から高い評価を得ている市販の山羊毛(粗光峰)の化粧ブラシを使用して、粉末状化粧料(株式会社資生堂製:インテグレートミネラルグロープレストパウダー)を用いて評価した。
(試験方法)
試験検体である化粧ブラシを粉末状化粧料の表面で3回転させて、化粧ブラシの穂先部に粉末状化粧料をピックアップさせて、これをティッシュペーパー上で10回転させた。このティッシュペーパー上の化粧料の発色と広がりについて、パネラー10人(成年女性)が下記評価基準により評価し、最多評価を評価結果として、下記表1にまとめて示した。なお、下記評価基準のA、Bは化粧ブラシとして実用上問題がなく、C、Dは化粧ブラシとして実用上問題がある。
[評価基準]
A:発色は獣毛化粧ブラシと同等であり、広がりは均一な塗布状態である。
B:発色:獣毛化粧ブラシと同等であり、広がり範囲がAより狭いが均一な塗布状態である。
C:発色:獣毛化粧ブラシより弱く、広がりはBと同等である。
D:発色:獣毛化粧ブラシより弱く、広がり範囲がBより狭い。
(試験検体)
上記「化粧ブラシの使用性能の評価1」と同じ化粧ブラシ1~6、比較例化粧ブラシ1~7のほか、評価基準として獣毛の化粧ブラシの最高級品として消費者から高い評価を得ている市販の山羊毛(粗光峰)の化粧ブラシを使用して評価した。
(試験方法)
試験検体である化粧ブラシを、パネラー10人(成年女性)が自身の肌に使用して、その触感性を下記評価基準により評価し、最多評価を評価結果として、下記表1にまとめて示した。なお、下記評価基準の1、2は化粧ブラシとして実用上問題がなく、3は化粧ブラシとして実用上問題がある。
[評価基準]
1:肌表面で柔軟に動き、全体が肌表面に追従し触感性は良好である。
2:1に比べて触感性はやや劣るが、実用上問題はない。
3:適度な張りと柔軟性に欠け、毛束のバラツキ感があり触感性が悪い。
(試験検体)
上記「化粧ブラシの使用性能の評価1」と同じ化粧ブラシ1~6、比較例化粧ブラシ1~7のほか、評価基準として獣毛の化粧ブラシの最高級品として消費者から高い評価を得ている市販の山羊毛(粗光峰)の化粧ブラシを使用して、表面性試験機(株式会社トリニティーラボ製、商品名:トリラボ ハンディーラブテスター Type:TL701)を用いて評価した。
(試験方法)
上記表面性試験機の接触子の表面に、試験検体である化粧ブラシの穂先部が略直角に接するように、各試験検体を回転台に取り付け、試験台に対して水平となるように固定した。
化粧ブラシの穂先部を表面性試験機の接触子の表面に対して、水平方向に動かし(速度:6rpm、回転角度:90度)、その際の垂直方向と水平方向にかかる力の最大値を計測した。
垂直方向の計測値は化粧ブラシの毛束が回復しようとする力で、化粧ブラシの弾力性を表す指標として、水平方向の計測値は接触子を押し込む力で、化粧ブラシの柔らかさを表す指標として評価した。
計測は3回行い、その平均値を下記表1と図4にまとめて示した。
Claims (7)
- 芯部が合成樹脂A、鞘部が合成樹脂Aとは種類が異なる合成樹脂Bよりそれぞれ構成される、S撚りまたはZ撚りの芯鞘複合モノフィラメントからなり、
前記合成樹脂Aが、ポリブチレンテレフタレートまたは、ポリエチレンテレフタレートであり、
前記合成樹脂Bが、ポリトリメチレンテレフタレートまたは、ポリトリメチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートであり、
前記芯鞘複合モノフィラメントの繊維軸と垂直方向の断面が、まゆ型形状であることを特徴とする化粧ブラシ用毛材。 - 前記芯鞘複合モノフィラメントが、テーパー状に形成された先細部を備えていることを特徴とする請求項1記載の化粧ブラシ用毛材。
- 前記テーパー状に形成された先細部が分岐していることを特徴とする請求項2記載の化粧ブラシ用毛材。
- 前記合成樹脂Aと前記合成樹脂Bそれぞれが、ポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の化粧ブラシ用毛材。
- 前記合成樹脂Aと前記合成樹脂Bそれぞれが、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートから選択された1種であることを特徴とする請求項4記載の化粧ブラシ用毛材。
- 芯部が合成樹脂A、鞘部が合成樹脂Aとは種類が異なる合成樹脂Bよりそれぞれ構成される、S撚り及びZ撚りの芯鞘複合モノフィラメントの混合集合体からなり、
前記合成樹脂Aが、ポリブチレンテレフタレートまたは、ポリエチレンテレフタレートであり、
前記合成樹脂Bが、ポリトリメチレンテレフタレートまたは、ポリトリメチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートであり、
前記芯鞘複合モノフィラメントの繊維軸と垂直方向の断面が、それぞれ相似形のまゆ型形状であることを特徴とする化粧ブラシ用毛材集合体。 - 請求項1~5の何れか1項に記載の化粧ブラシ用毛材または請求項6に記載の化粧ブラシ用毛材集合体を、少なくとも一部に使用したことを特徴とする化粧ブラシ。
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