MIMOレーダは、例えば、時分割、周波数分割又は符号分割を用いて多重した信号(レーダ送信波)を複数の送信アンテナ(又は送信アレーアンテナと呼ぶ)から送信し、周辺物体において反射された信号(レーダ反射波)を複数の受信アンテナ(又は受信アレーアンテナと呼ぶ)を用いて受信し、それぞれの受信信号から、多重された送信信号を分離して受信する。このような処理により、MIMOレーダは、これらの受信信号を、仮想受信アレーとしてアレー信号処理を行う。
また、MIMOレーダでは、送受信アレーアンテナにおける素子間隔を適切に配置することにより、仮想受信アレーのアンテナ開口を拡大し、角度分解能の向上を図ることができる。あるいは、MIMOレーダでは、仮想受信アレーのアンテナ間隔をより密に配置することで、サイドローブ又はグレーティングローブの抑圧が可能となる。
例えば、特許文献1には、MIMOレーダの多重送信方法として、送信アンテナ毎に送信時間をシフトして信号を送信する時分割多重送信を用いたMIMOレーダ(以下、「時分割多重MIMOレーダ」と呼ぶ)が開示されている。時分割多重MIMOレーダは、送信アンテナを規定された周期で逐次的に切り替えながら、送信信号の一例である送信パルスを出力する。時分割多重MIMOレーダは、送信パルスが物体で反射された信号を複数の受信アンテナで受信し、受信信号と送信パルスとの相関処理後に、例えば、空間的なFFT(Fast Fourier Transforma)処理(反射波の到来方向推定処理)を行う。
時分割多重MIMOレーダは、送信信号(例えば送信パルス又はレーダ送信波)を送信する送信アンテナを、規定された周期で逐次的に切り替えていく。これにより、時分割多重MIMOレーダは、送信アンテナ数Ntと受信アンテナ数Naとの積(=Nt×Na)で示される伝搬路応答を取り出すことができ、これらの(Nt×Na)個の受信信号を仮想受信アレーとしてアレー信号処理を行う。換言すると、時分割で切り替えて送信信号を多重する送信アンテナ数(例えば、時分割多重数)を超える送信アンテナの利用は困難である。例えば、レーダ装置が、Nt個の送信アンテナを用いて時分割多重数Ntで送信信号を送信する場合、(Nt×Na)個を超える伝搬路応答を取り出すことは困難である。そのため、レーダ装置のコスト又は設置場所といった制約によって、アンテナ数が制約される場合には角度分解能又はサイドローブ抑圧効果が限定され測角性能を高められない可能性がある。
次に、一例として、複数の送信アンテナから送信信号を同時に多重して送信する方法に着目する。
複数の送信アンテナから送信信号を同時に多重して送信する方法として、例えば、受信側においてドップラ周波数領域において複数の送信信号を分離できるように信号を送信する方法(以下、「ドップラ多重送信」と呼ぶ)がある(例えば、非特許文献2を参照)。
ドップラ多重送信において、送信側では、例えば、基準となる送信アンテナから送信される送信信号に対して、基準となる送信アンテナと異なる送信アンテナから送信される送信信号に、それぞれ異なるドップラシフト量が与えられ、複数(例えば、Nt個)の送信アンテナから送信信号が同時に送信される。ドップラ多重送信において、複数(例えば、Na個)の受信アンテナを用いて受信した信号は、それぞれドップラ周波数領域においてフィルタリングすることにより、各送信アンテナから送信された送信信号が分離して受信される。これにより、ドップラ多重送信を用いたMIMOレーダ(以下、「ドップラ多重MIMOレーダ」と呼ぶ)は、送信アンテナ数Ntと受信アンテナ数Naとの積(=Nt×Na)で示される伝搬路応答を取り出すことができ、これらの(Nt×Na)個の受信信号を仮想受信アレーとしてアレー信号処理を行う。換言すると、ドップラ多重送信する送信アンテナ数(例えば、ドップラ多重数)を超える送信アンテナの利用は困難である。例えば、レーダ装置が、Nt個の送信アンテナを用いてドップラ多重数Ntで送信信号を送信する場合、(Nt×Na)個を超える伝搬路応答を取り出すことは困難である。
また、複数の送信アンテナから送信信号を同時に多重して送信する他の方法として、符号多重送信がある(例えば、特許文献3を参照)。例えば、符号多重送信を用いたMIMOレーダ(以下、「符号多重MIMOレーダ」と呼ぶ)は、送信信号(例えば、チャープ信号)の繰り返し送信毎に、送信アンテナ毎に異なる符号列(以下、符号又は符号系列とも呼ぶ)に基づく位相変調を繰り返し付与して、複数(例えば、Nt個)の送信アンテナから符号多重送信する。また、符号多重MIMOレーダは、例えば、複数(例えば、Na個)の受信アンテナを用いて受信した信号を検波処理することにより、符号多重された受信信号の距離情報を抽出する。また、符号多重MIMOレーダは、例えば、送信信号の繰り返し送信毎に得られた距離情報に対して、M個に分割して速度方向のフーリエ変換処理を行う(Mは例えば、符号列の符号長を用いる)。符号多重MIMOレーダは、M個の速度方向のフーリエ変換処理結果に、検出された速度成分に基づく位相補正を加え、送信アンテナ毎に付与した符号列を分離する逆符号列を乗算することにより、符号多重された受信信号を分離する。
このような符号多重MIMOレーダの構成により、例えば、ターゲットと符号多重MIMOレーダとの間の相対速度がゼロではない場合でも、符号多重MIMOレーダは、符号多重された受信信号間の相互干渉を抑え、符号多重された受信信号を分離できる。これにより、符号多重MIMOレーダは、送信アンテナ数Ntと受信アンテナ数Naとの積(=Nt×Na)で示される伝搬路応答を取り出すことができ、これらの(Nt×Na)個の受信信号を仮想受信アレーとしてアレー信号処理を行う。換言すると、符号多重送信する送信アンテナ数(例えば、符号多重数)を超える送信アンテナの利用は困難である。例えば、レーダ装置が、Nt個の送信アンテナを用いて符号多重数Ntで送信信号を送信する場合、(Nt×Na)個を超える伝搬路応答を取り出すことは困難である。
そこで、本開示に係る一実施例では、多重送信に用いる送信アンテナ数を超える送信アンテナを利用する方法について説明する。換言すると、本開示に係る一実施例では、例えば、レーダ装置がNt個の送信アンテナを用いて多重数Ntで送信信号を送信する場合に、(Nt×Na)個を超える伝搬路応答を取り出す方法について説明する。これにより、本開示に係る一実施例のレーダ装置は、より多くの仮想受信アンテナを利用できるので、レーダ装置の測角性能の向上を図り、物標の検知精度を向上できる。
以下、本開示の一実施例に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
以下では、レーダ装置において、送信ブランチにおいて、複数の送信アンテナから同時に多重された異なる送信信号を送出し、受信ブランチにおいて、各送信信号を分離して受信処理を行う構成(換言すると、MIMOレーダ構成)について説明する。
また、以下では、一例として、チャープ(chirp)パルスのような周波数変調したパルス波を用いたレーダ方式(例えば、チャープパルス送信(fast chirp modulation)とも呼ぶ)の構成について説明する。ただし、変調方式は、周波数変調に限定されない。例えば、本開示の一実施例は、パルス列を位相変調又は振幅変調して送信するパルス圧縮レーダを用いたレーダ方式についても適用可能である。
また、レーダ装置は、例えば、ドップラ多重送信を行う。更に、レーダ装置は、例えば、ドップラ多重送信においてドップラ多重数分の異なる位相回転(換言すると、位相シフト)を付与した信号(以下、「ドップラ多重送信信号」と呼ぶ)を、符号化(例えば、CDM(Code Division Multiplexing))して、多重送信する(以下、「符号化ドップラ多重(Coded Doppler Multiplexing)」と呼ぶ)。
[レーダ装置の構成]
図1のレーダ装置10は、レーダ送信部(送信ブランチ)100と、レーダ受信部(受信ブランチ)200と、を有する。
レーダ送信部100は、レーダ信号(レーダ送信信号)を生成し、複数の送信アンテナ109(例えば、Nt個)によって構成される送信アレーアンテナを用いて、レーダ送信信号を規定された送信周期(以下、「レーダ送信周期」と呼ぶ)にて送信する。
レーダ受信部200は、物標(ターゲット。図示せず)により反射したレーダ送信信号である反射波信号を、複数の受信アンテナ202-1~202-Naを含む受信アレーアンテナを用いて受信する。レーダ受信部200は、各受信アンテナ202において受信した反射波信号を信号処理し、例えば、物標の有無検出又は反射波信号の到来距離、ドップラ周波数(換言すると相対速度)、及び到来方向の推定を行い、推定結果に関する情報(換言すると、測位情報)を出力する。
なお、レーダ装置10は、例えば、車両といった移動体に搭載されてよく、レーダ受信部200の測位出力(推定結果に関する情報)は、例えば、衝突安全性を高める先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)又は自動運転システムといったの制御装置ECU(Electronic Control Unit)(図示なし)に接続され、車両駆動制御又は警報発呼制御に利用されてもよい。
また、レーダ装置10は、例えば、路側の電柱又は信号機といった比較的高所の構造物(図示なし)に取り付けられてよい。また、レーダ装置10は、例えば、通行する車両又は歩行者の安全性を高める支援システム又は不審者の侵入防止システム(図示なし)におけるセンサとして利用されてもよい。また、レーダ受信部200の測位出力は、例えば、安全性を高める支援システム又は不審者侵入防止システムにおける制御装置(図示なし)に接続され、警報発呼制御又は異常検出制御に利用されてもよい。なお、レーダ装置10の用途はこれらに限定されず、他の用途に利用されてもよい。
また、物標はレーダ装置10が検出する対象の物体であり、例えば、車両(4輪及び2輪を含む)、人、ブロック又は縁石などを含む。
[レーダ送信部100の構成]
レーダ送信部100は、レーダ送信信号生成部101と、位相回転量設定部105と、位相回転部108と、送信アンテナ109と、を有する。
レーダ送信信号生成部101は、レーダ送信信号を生成する。レーダ送信信号生成部101は、例えば、送信信号生成制御部102、変調信号発生部103及びVCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発信器)104を有する。以下、レーダ送信信号生成部101における各構成部について説明する。
送信信号生成制御部102は、例えば、レーダ送信周期毎の送信信号発生タイミングを設定し、設定した送信信号発生タイミングに関する情報を、変調信号発生部103及び位相回転量設定部105(例えば、ドップラシフト設定部106)に出力する。ここで、レーダ送信周期をTrとする。
変調信号発生部103は、送信信号生成制御部102から入力されるレーダ送信周期Tr毎の送信信号発生タイミングに関する情報に基づいて、例えば、のこぎり歯形状の変調信号を周期的に発生させる。
VCO104は、変調信号発生部103から入力される変調信号に基づいて、例えば、図2に示すようなレーダ送信信号(レーダ送信波)として、周波数変調信号(以下、例えば、周波数チャープ信号又はチャープ信号と呼ぶ)を位相回転部108、及び、レーダ受信部200(後述するミキサ部204)へ出力する。
位相回転量設定部105は、送信信号生成制御部102から入力されるレーダ送信周期Tr毎の送信信号発生タイミングに関する情報に基づいて、位相回転部108におけるレーダ送信周期Tr毎にレーダ信号に付与する位相回転量(換言すると、符号化ドップラ多重送信に対応する位相回転量)を設定する。位相回転量設定部105は、例えば、ドップラシフト設定部106と、符号化部107と、を有する。
ドップラシフト設定部106は、例えば、レーダ送信周期Tr毎の送信信号発生タイミングに関する情報に基づいて、レーダ送信信号(例えば、チャープ信号)に対して付与するドップラシフト量に対応する位相回転量を設定する。
符号化部107は、例えば、レーダ送信周期Tr毎の送信信号発生タイミングに関する情報に基づいて、符号化に対応する位相回転量を設定する。符号化部107は、例えば、ドップラシフト設定部106から入力される位相回転量と符号化に対応する位相回転量とに基づいて、位相回転部108に対する位相回転量を算出し、位相回転部108に出力する。また、符号化部107は、例えば、符号化に用いる符号系列(例えば、直交符号系列の各要素)に関する情報をレーダ受信部200(例えば、出力切替部209)に出力する。
なお、符号化部107で設定されるドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数は、位相回転部108が設定する各送信アンテナ190の位相回転量(ドップラシフト量)に依存しなくてもよい。換言すると、位相回転部108が隣り合う送信アンテナ190のペアの位相回転量(ドップラシフト量)を同一に設定しても、符号化部107は、符号化ドップラ多重数を同一にしてもよいし、異なる値にしてもよい。
位相回転部108は、VCO104から入力されるチャープ信号に対して、符号化部107から入力される位相回転量を付与し、位相回転後の信号を送信アンテナ109に出力する。例えば、位相回転部108は、位相器及び位相変調器等を含む(図示せず)。位相回転部108の出力信号は、規定された送信電力に増幅され各送信アンテナ109から空間に放射される。換言すると、レーダ送信信号は、ドップラシフト量と直交符号系列とに対応する位相回転量が付与されることによって、複数の送信アンテナ109から多重送信される。
次に、位相回転量設定部105における位相回転量の設定方法の一例について説明する。
ドップラシフト設定部106は、ドップラシフト量DOPndmを付与するための位相回転量φndmを設定して、符号化部107へ出力する。ここで、ndm=1,…, NDMである。NDMは、異なるドップラシフト量の設定数であり、以下では、「ドップラ多重数」と呼ぶ。
レーダ装置10では、符号化部107による符号化を併用するため、ドップラ多重数NDMは、多重送信に用いる送信アンテナ109の数Ntよりも少なく設定してよい。なお、ドップラ多重数NDMは2以上とする。
ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DM(「N_DM」は「N
DM」とも表される)としては、例えば、等間隔のドップラシフト量が設定されてもよく、或いは、不等間隔のドップラシフト量が設定されてもよい。各ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DMは、後述する符号化部107による符号化を併用するため、例えば、0≦DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DM<(1/TrL
oc)を満たすように設定されてよい。あるいは、ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DMは、例えば、式(1)を満たすように設定されてもよい。
また、例えば、ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DM間において最小のドップラシフト間隔Δf
MinIntervalは次式(2)を満たしてよい。なお、ドップラシフト間隔は、ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DMのうちの任意の2つのドップラシフト量の差分の絶対値で定義されてよい。ここで、Locは符号要素数を表す。例えば、Locは、符号化部107において用いられる符号の符号長を表す。
また、各ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DMを付与するための位相回転量φ
ndmは、例えば、次式(3)のように割り当てられてよい。
なお、間隔が等間隔でΔf
MinIntervalとなるドップラシフト量が設定される場合(以下、「等間隔ドップラシフト量設定」と呼ぶ)、ドップラシフト量DOP
ndmを付与するための位相回転量φ
ndmは、例えば、次式(4)のように割り当てられる。
なお、最小ドップラシフト間隔Δf
MinIntervalが狭いほど、ドップラ多重信号間の干渉が発生しやすくなり、ターゲット検出精度が低減(例えば、劣化)する可能性が高くなるため、式(2)の制約条件を満たす範囲において、ドップラシフト量の間隔をより拡げることが好適になる。例えば、式(2)において等号が成り立つ場合(例えば、Δf
MinInterval=1/(T
rN
DML
OC))は、ドップラ多重信号間のドップラ領域における間隔を最大限に拡げることができる(以下、「最大等間隔ドップラシフト量設定」と呼ぶ)。この場合、ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DMは、0以上2π未満の位相回転範囲をN
DM個に等分割して、それぞれ異なる位相回転量が割り当てられる。例えば、ドップラシフト量DOP
ndmを付与するための位相回転量φ
ndmは、次式(5)のように割り当てられる。なお、以下では、角度はラジアン単位で示している。
式(5)において、例えば、ドップラ多重数NDM=2の場合、ドップラシフト量DOP1を付与する位相回転量φ1=0、及び、ドップラシフト量DOP2を付与する位相回転量φ2=πとなる。同様に、式(5)において、例えば、ドップラ多重数NDM=4の場合、ドップラシフト量DOP1を付与する位相回転量φ1=0、ドップラシフト量DOP2を付与する位相回転量φ2=π/2、ドップラシフト量DOP3を付与する位相回転量φ3=π、ドップラシフト量DOP4を付与する位相回転量φ4=3π/2となる。換言すると、各ドップラシフト量DOPndmを付与する位相回転量φndmは等間隔である。
なお、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを付与する位相回転量の割り当ては、このような割り当て方法に限定されない。例えば、式(5)に示す位相回転量の割り当てをシフトさせてもよい。例えば、φndm=2π(ndm)/NDMのように位相回転量を割り当ててもよい。または、位相回転量の割り当てテーブルを用いて、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPNDMに対して位相回転量φ1、φ2,.., φN_DM(ただし、「N_DM」はNDMに相当する)をランダム的に割り当ててもよい。
また、等間隔ドップラシフト量設定において、式(4)に示す位相回転量φ
ndmの分母が整数に設定され、Degree単位で位相回転量が整数値に設定されると、位相回転量の設定が容易になる。例えば、Δf
MinInterval=1/(T
r(N
DM+N
int)L
OCに設定されることにより、式(4)に示す位相回転量φ
ndmは、次式(6)のように分母が整数値に設定される。また、式(6)の分母の値(N
DM+N
int)が360の約数となるようにN
intが設定されると、位相回転量が整数値に設定され、位相回転量の設定が容易となる。
ここで、Nintは0以上の整数値をとる。例えば、NDM=7の場合に、Nint=1が設定されると、φndm=2π(ndm-1)/(NDM+Nint)=π(ndm-1)/4となり、φ1、φ2,.., φN_DMはそれぞれ0°,45°,90°,135°, …, 270°といったDegree単位の整数値となり、位相回転量の設定が容易となる。
なお、式(6)においてNint=0の場合は、最大等間隔ドップラシフト量設定となる。
符号化部107は、ドップラシフト設定部106から入力されるNDM個のドップラシフト量を付与する位相回転量φ1,…,φN_DMのそれぞれに対して、1個、又は、NCM個以下の複数の直交符号系列に基づく位相回転量を設定する。また、符号化部107は、ドップラシフト量及び直交符号系列の双方に基づく位相回転量、すなわち、符号化したドップラ多重信号を生成する「符号化ドップラ位相回転量」を設定し、位相回転部108に出力する。
以下、符号化部107における動作の一例について説明する。
例えば、符号化部107は、符号長Locからなる符号数(換言すると、符号多重数)NCM個の直交符号系列を用いる。
以下では、符号長LocからなるNCM個の直交符号系列をCodencm={OCncm(1), OCncm(2),…, OCncm(Loc) }と表記する。OCncm(noc)は第ncm番目の直交符号系列Codencmにおけるnoc番目の符号要素を表す。ここで、nocは符号要素のインデックスであり、noc=1,…,Locである。
符号化部107において用いる直交符号系列は、例えば、互いに直交する(無相関となる)符号である。例えば、直交符号系列は、Walsh-Hadamard-符号でもよい。この場合、符号数N
CM個の直交符号系列を生成する符号長L
OCは、次式(7)で表される。
ここで、ceil[x]は実数x以上の最小の整数を出力する演算子(天井関数)である。
例えば、NCM=2の場合、Walsh-Hadamard-符号の符号長Loc=2であり、直交符号系列は、Code1={1,1}、Code2={1,-1}となる。なお、直交符号系列を構成する符号要素が1の場合、1=exp(j0)より、その位相は0である。また、直交符号系列を構成する符号要素が-1の場合、-1=exp(jπ)より、その位相はπである。
また、例えば、NCM=4の場合、符号長Loc=4であり、直交符号系列は、Code1={1,1, 1, 1}、Code2={1,-1, 1, -1}, Code3={1,1, -1, -1}、及び、Code4={1,-1, -1, 1}となる。
なお、直交符号系列を構成する符号要素には、実数に限らず、複素数値が含まれてもよい。例えば、次式(8)のような直交符号系列Code
ncmが用いられてもよい。ここで、ncm=1,…, N
CMである。この場合、符号数N
CM個の直交符号系列を生成する符号長はLoc=N
CMとなる。
例えば、NCM=3の場合、符号長Loc=3(=NCM)であり、符号化部107は、Code1={1,1,1}、Code2={1, exp(j2π/3) ,exp(j4π/3)}, Code3={1, exp(-j2π/3) ,exp(-j4π/3)}となる直交符号系列を生成する。
また、例えば、NCM=4の場合、符号長Loc=4(=NCM)であり、符号化部107は、Code1={1,1,1, 1}、Code2={1, j,-1 ,-j}, Code3={1,-1,1,-1}, Code4={1, -j,-1 , j}となる直交符号系列を生成する。ここで、jは虚数単位である。
符号化部107において、ドップラシフト設定部106から入力されるndm番目のドップラシフト量DOPndmを用いたドップラ多重信号を符号化する際の符号多重数(以下、符号化ドップラ多重数と呼ぶ)を「NDOP_CODE(ndm)」と表記する。ここで、ndm=1,…, NDMである。
符号化部107は、例えば、ドップラ多重信号を符号化する際の符号化ドップラ多重数N
DOP_CODE(1), N
DOP_CODE(2),…, 及びN
DOP_CODE(N
DM)の総和が、多重送信に用いる送信アンテナ109の数Ntと等しくなるように符号化ドップラ多重数N
DOP_CODE(ndm)を設定する。換言すると、符号化部107は、次式(9)を満たすように、符号化ドップラ多重数N
DOP_CODE(ndm)を設定する。これにより、レーダ装置10は、Nt個の送信アンテナ109を用いてドップラ領域及び符号領域における多重送信(以下、符号化ドップラ多重送信と呼ぶ)が可能となる。
さらに、符号化部107は、例えば、最大等間隔ドップラシフト量設定を含む等間隔ドップラシフト量設定を用いて、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(1), NDOP_CODE(2),…, NDOP_CODE(NDM)に関して、1以上NCM個以下の範囲の異なる符号化ドップラ多重数を含むように設定してもよい。例えば、符号化部107は、符号化ドップラ多重数の全てにおいて符号数NCM個とせずに、少なくとも1つのドップラシフト量DOPndmに対応する符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)をNCM個より小さく設定する。よって、ドップラシフト量DOPndmと直交符号系列との複数の組み合わせにおいて、少なくとも1つのドップラシフト量DOPndmに対応付けられる直交符号系列による多重数(符号化ドップラ多重数)NDOP_CODE(ndm)は、他のドップラシフト量に対応付けられる符号化ドップラ多重数と異なってよい。換言すると、符号化部107は、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数を不均一に設定する。この設定により、レーダ装置10は、例えば、後述する受信処理における折り返し判定処理によって、±1/2Trのドップラ範囲に亘って、複数の送信アンテナ109から符号化ドップラ多重送信された信号を個別に分離して受信できる。
または、符号化部107は、例えば、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定を用いて、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(1), NDOP_CODE(2),…, NDOP_CODE(NDM)に関して、1以上NCM個以下の範囲において全て同数の符号化ドップラ多重数を含むように設定してもよい。例えば、符号化部107は、符号化ドップラ多重数の全てにおいて符号数NCM個を設定してよい。よって、ドップラシフト量DOPndmと直交符号系列との複数の組み合わせにおいて、ドップラシフト量DOPndmそれぞれに対応付けられる直交符号系列による多重数(符号化ドップラ多重数)NDOP_CODE(ndm)は同一でよい。換言すると、符号化部107は、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数を均一に設定する。この設定により、レーダ装置10は、例えば、後述する受信処理における折り返し判定処理よって、±1/(2×Loc×Tr)のドップラ範囲に亘って、複数の送信アンテナ109から符号化ドップラ多重送信された信号を個別に分離して受信できる。
または、符号化部107は、例えば、最大等間隔ドップラシフト量設定を用いて、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(1), NDOP_CODE(2),…, NDOP_CODE(NDM)に関して、1以上NCM個以下の範囲において全て同数の符号化ドップラ多重数を含むように設定してもよい。例えば、符号化部107は、符号化ドップラ多重数の全てにおいて符号数NCM個を設定してよい。換言すると、符号化部107は、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数を均一に設定する。この設定の場合、例えば、後述する受信処理における折り返し判定処理が適用されない。また、レーダ装置10は、例えば、±1/(2Loc×NDM×Tr)のドップラ範囲に亘って、複数の送信アンテナ109から符号化ドップラ多重送信された信号を個別に分離して受信できる。
符号化部107は、第m番目の送信周期Trにおいて、第ndm番目のドップラシフト量DOP
ndmを付与する位相回転量φ
ndmに対して、次式(10)に示す符号化ドップラ位相回転量ψ
ndop_code(ndm), ndm(m)を設定して、位相回転部108に出力する。
ここで、下付き添え字の「ndop_code(ndm)」は、ドップラシフト量DOPndmを付与する位相回転量φndmに対する符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)以下のインデックスを表す。例えば、ndop_code(ndm)=1,…, NDOP_CODE(ndm)である。また、angle[x]は実数xのラジアン位相を出力する演算子であり、例えば、angle[1]=0、angle[-1]=π、angle[j]=π/2、angle[-j]=-π/2である。また、floor[x]は実数xを超えない最大の整数を出力する演算子である。jは虚数単位である。
例えば、式(10)に示すように、符号化ドップラ位相回転量ψndop_code(ndm), ndm(m)は、符号化に用いる符号長Loc回の送信周期の期間においてドップラシフト量DOPndmを付与する位相回転量を一定(例えば、式(9)の第1項)にし、符号化で用いる符号Code ndop_code(ndm)のLoc個の各符号要素OCndop_code(ndm)(1),…,OCndop_code(ndm)(Loc)の各々に対応する位相回転量を付与する(式(9)の第2項目)。
また、符号化部107は、送信周期(Tr)毎に、直交符号要素インデックスOC_INDEXをレーダ受信部200(後述する出力切替部209)に出力する。OC_INDEXは、直交符号系列Code
ndop_code(ndm)の要素を指示する直交符号要素インデックスであり、送信周期(Tr)毎に、次式(11)のように、1からLocの範囲で巡回的に可変する。
ここで、mod(x, y)はモジュロ演算子であり、xをyで割った後の余りを出力する関数である。また、m=1, …,Ncである。Ncはレーダ測位に用いる送信周期数(以下では、「レーダ送信信号送信回数」と呼ぶ)である。また、レーダ送信信号送信回数Ncは、Locの整数倍(Ncode倍)となるように設定される。例えば、Nc=Loc×Ncodeである。
次に、符号化部107において、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)を不均一に設定する方法の一例について説明する。
例えば、符号化部107は、下記の条件を満たす直交符号系列数(換言すると、符号多重数又は符号数)NCMを設定する。例えば、直交符号系列数NCM及びドップラ多重数NDMは、多重送信に用いる送信アンテナ109の数Ntに対して、以下の関係を満たす。
(直交符号系列数NCM)×(ドップラ多重数NDM)>多重送信に用いる送信アンテナ数Nt
例えば、上記条件を満たす直交符号系列数NCM及びドップラ多重数NDMのうち、積(NCM×NDM)の値がより小さい組み合わせを用いることが、特性的にも、回路構成の複雑度的にもより好適である。ただし、上記条件を満たす直交符号系列数NCM及びドップラ多重数NDMのうち、積(NCM×NDM)の値がより小さい組み合わせに限定されず、他の組み合わせも適用が可能である。
例えば、Nt=3の場合、NDM=2及びNCM=2の組み合わせが好適である。
この場合、ドップラシフト量DOP1、DOP2及び直交符号Code1、Code2の割り当ては、例えば、図3に示すように、NDOP_CODE(1), NDOP_CODE(2)の設定に応じて決定される。なお、図3において、「〇」は使用されるドップラシフト量と直交符号を表し、「×」は使用されないドップラシフト量と直交符号を表す(以下の説明においても同様である)。
例えば、図3の(a)は、NDOP_CODE(1)=2、NDOP_CODE(2)=1の例を示し、図3の(b)は、NDOP_CODE(1)=1、NDOP_CODE(2)=2の例を示す。
なお、図3では、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)=1に対応するドップラシフト量(例えば、図3の(a)ではDOP2、図3の(b)ではDOP1)においてCode1が使用されるが、これに限定されない。例えば、NDOP_CODE(1)<NCM、又は、NDOP_CODE(2)<NCMの場合、図4に示すように、NDOP_CODE(ndm)=1に対応するドップラシフト量(例えば、図4の(a)ではDOP2、図4の(b)ではDOP1)において、Code1の代わりにCode2が使用されてもよい。
また、例えば、Nt=4又は5の場合、NDM=3とNCM=2の組み合わせ、又は、NDM=2とNCM=3の組み合わせが好適である。
図5は、一例として、Nt=4、NDM=3、NCM=2の場合を示す。例えば、ドップラシフト量DOP1、DOP2、DOP3、及び、直交符号Code1及びCode2の割り当ては、図5に示すように、NDOP_CODE(1)、NDOP_CODE(2)及びNDOP_CODE(3)の設定に応じて決定される。
例えば、図5の(a)は、NDOP_CODE(1)=2、NDOP_CODE(2)=1、NDOP_CODE(3)=1の例を示し、図5の(b)は、NDOP_CODE(1)=1、NDOP_CODE(2)=2、NDOP_CODE(3)=1の例を示し、図5の(c)は、NDOP_CODE(1)=1、NDOP_CODE(2)=1、NDOP_CODE(3)=2の例を示す。
なお、図5では、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)=1に対応するドップラシフト量においてCode1が使用されるが、これに限定されない。例えば、符号化ドップラ多重数がNCMより小さい設定の場合、図6の(a)に示すように、Code1の代わりにCode2が使用されてもよく、図6の(b)又は(c)に示すように、Code1及びCode2を混在させてもよい。
図7は、他の例として、Nt=4、NDM=2、NCM=3の場合を示す。例えば、ドップラシフト量DOP1、DOP2、及び、直交符号Code1、Code2、Code3の割り当ては、図7に示すように、NDOP_CODE(1)、NDOP_CODE(2)の設定に応じて決定される。
例えば、図7の(a)は、NDOP_CODE(1)=3、NDOP_CODE(2)=1の例を示し、図7の(b)は、NDOP_CODE(1)=1、NDOP_CODE(2)=3の例を示す。
なお、図7では、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)=1に対応するドップラシフト量においてCode1が使用されるが、これに限定されない。例えば、NDOP_CODE(1)<NCM又はNDOP_CODE(2)<NCMの場合、図8の(a)に示すように、Code1の代わりにCode2が使用されてもよく、図8の(b)に示すように、Code1の代わりにCode3が使用されもよい。
図7に示すようにNDOP_CODE(1)=3とNDOP_CODE(2)=1、又は、NDOP_CODE(1)=1とNDOP_CODE(2)=3のように、各ドップラシフト量DOP1及びDOP2において符号化ドップラ多重数NDOP_CODEが不均一に設定される。このような設定の場合、ドップラ周波数範囲は、例えば、1アンテナ送信時における最大ドップラ速度と同等とすることができる(詳細は後述する)。
また、例えば、Nt=6又は7の場合、NDM=4とNCM=2の組み合わせ、又は、NDM=2とNCM=4の組み合わせが好適である。
図9は、一例として、Nt=6、NDM=4、NCM=2の場合を示す。例えば、ドップラシフト量DOP1、DOP2、DOP3、DOP4、及び、直交符号Code1及びCode2の割り当ては、図9に示すように、NDOP_CODE(1)、NDOP_CODE(2)、NDOP_CODE(3)及びNDOP_CODE(4)の設定に応じて決定される。
例えば、図9の(a)は、NDOP_CODE(1)=NDOP_CODE(2)=2、NDOP_CODE(3)=NDOP_CODE(4)=1の例を示し、図9の(b)は、NDOP_CODE(1)=NDOP_CODE(3)=2、NDOP_CODE(2)=NDOP_CODE(4)=1の例を示す。
なお、図9では、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)=1に対応するドップラシフト量においてCode1が使用されるが、これに限定されない。例えば、符号化ドップラ多重数がNCMより小さい設定の場合、図10の(a)に示すように、Code1の代わりにCode2が使用されてもよく、図10の(b)に示すように、Code1及びCode2を混在させてもよい。
また、例えば、図9に示すように、Nt=6、NDM=4、NCM=2の場合、全ての符号を用いないドップラシフト量は2つある。また、例えば、NDM=4のうち、全ての符号を用いないドップラシフト量の組み合わせについて、4つのドップラシフト量から2つのドップラシフト量を選択する組み合わせは6通り(=4C2)あり、それぞれの組み合わせにおいて、使用する符号の組み合わせは4通り(=NCM×NCM)ある。このため、Nt=6、NDM=4、NCM=2の場合、ドップラシフト量DOP及び直交符号Codeの割り当ての組み合わせは、全24通りとなる。
以下、同様に、例えば、Nt=8の場合、NDM=3とNCM=3の組み合わせ、又は、NDM=5とNCM=2の組み合わせが好適である。また、例えば、Nt=9の場合、NDM=5とNCM=2の組み合わせが好適である。また、例えば、Nt=10の場合、NDM=6とNCM=2、又は、NDM=4とNCM=3の組み合わせが好適である。また、例えば、Nt=12の場合、NDM=5とNCM=3、又は、NDM=4とNCM=4の組み合わせが好適である。なお、送信アンテナ109の数Ntは、上記例に限定されず、Nt=11以上についても本開示の一実施例を適用できる。
次に、符号化部107において、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)を均一に設定する方法の一例について説明する。
なお、符号化部107において、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)を均一に設定する方法は、以下の条件を満たす直交符号系列数NCM及びドップラ多重数NDMのうち、積(NCM×NDM)の値がより小さい組み合わせを用いることが、特性的にも、回路構成の複雑度的にもより好適である。ただし、積(NCM×NDM)の値がより小さい組み合わせに限定されず、他の組み合わせも適用が可能である。
例えば、符号化部107は、下記の条件を満たす直交符号系列数(換言すると、符号多重数又は符号数)NCMを設定する。例えば、直交符号系列数NCM及びドップラ多重数NDMは、多重送信に用いる送信アンテナ109の数Ntに対して、以下の関係を満たす。
(直交符号系列数NCM)×(ドップラ多重数NDM)=多重送信に用いる送信アンテナ数Nt
例えば、Nt=4の場合、NDM=2及びNCM=2の組み合わせが好適である。また、例えば、Nt=6の場合、NDM=2及びNCM=3、又は、NDM=3及びNCM=2の組み合わせが好適である。また、例えば、Nt=8の場合、NDM=4及びNCM=2、又は、NDM=2及びNCM=4の組み合わせが好適である。また、例えば、Nt=9の場合、NDM=3及びNCM=3の組み合わせが好適である。また、例えば、Nt=10の場合、NDM=2及びNCM=5、又は、NDM=5及びNCM=2の組み合わせが好適である。また、例えば、Nt=12の場合、NDM=2及びNCM=6、NDM=6及びNCM=2、NDM=3及びNCM=4、又は、NDM=4及びNCM=3の組み合わせが好適である。
なお、送信アンテナ109の数Ntは、上記例に限定されず、本開示の一実施例を適用できる。この場合、直交符号系列数NCM>1、ドップラ多重数NDM>1となる整数の組み合わせ、かつ、(直交符号系列数NCM)×(ドップラ多重数NDM)=多重送信に用いる送信アンテナ数Ntを満たすために、多重送信に用いる送信アンテナ数Ntは4以上、かつ、上記条件を満たすNtに設定されてよい。
また、符号化部107において、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)を均一に設定する方法の一例は、上記に限らず、上記の組み合わせでNCMをより多く設定してもよい。
例えば、Nt=4の場合、NDM=2及びNCM≧2を満たす組み合わせがある。
また、例えば、Nt=6の場合、NDM=2及びNCM≧3の組み合わせ、あるいは、NDM=3及びNCM≧2の組み合わせがある。
また、例えば、Nt=8の場合、NDM=4及びNCM≧2の組み合わせ、あるいは、NDM=2及びNCM≧4の組み合わせがある。
また、例えば、Nt=9の場合、NDM=3及びNCM≧3の組み合わせがある。
また、例えば、Nt=10の場合、NDM=2及びNCM≧5の組み合わせ、あるいは、NDM=5及びNCM≧2の組み合わせがある。
また、例えば、Nt=12の場合、NDM=2及びNCM≧6の組み合わせ、NDM=6及びNCM≧2の組み合わせ、NDM=3及びNCM≧4の組み合わせ、あるいは、NDM=4及びNCM≧3の組み合わせがある。
例えば、Nt=4、NDM=2、NCM=3の場合に、図11に示すようにNDOP_CODE(1)=2、NDOP_CODE(2)=2に設定されると、各ドップラシフト量DOP1及びDOP2において符号化ドップラ多重数NDOP_CODEが均一となる。このような設定の場合、例えば、図11の(a)に示すように各ドップラシフト量DOP1、DOP2に対して同一の符号(例えば、Code1及びCode2)を割り当てる場合、又は、図11の(b)に示すように各ドップラシフト量DOP1、DOP2に対して異なる符号を割り当てる場合が想定される。
次に、符号化ドップラ位相回転量ψndop_code(ndm), ndm(m)の設定例について説明する。
例えば、符号化部107において、多重送信に用いる送信アンテナ数Nt=3、ドップラ多重数N
DM=2、符号多重数N
CM=2とし、符号長Loc=2の直交符号系列Code
1={1,1}、Code
2={1,-1}を用いる場合について説明する。この場合、例えば、符号化ドップラ多重数をN
DOP_CODE(1)=1、N
DOP_CODE(2)=2とすると、符号化部107は、次式(12)~(14)のような符号化ドップラ位相回転量ψ
1, 1(m), ψ
1, 2(m), ψ
2, 2(m)を設定して、位相回転部108に出力する。
ここで、一例として、ドップラシフト量DOP
ndmを付与する位相回転量を式(5)のφ
ndm=2π(ndm-1)/N
DMとし、ドップラシフト量DOP
1を付与する位相回転量φ
1=0、及び、ドップラシフト量DOP
2を付与する位相回転量φ
2=πを用いる場合、符号化部107は、次式(15)~(17)のような符号化ドップラ位相回転量ψ
1, 1(m), ψ
1, 2(m), ψ
2, 2(m)を設定して、位相回転部108に出力する。ここで、m=1, …, Ncである。なお、ここでは、2πによるモジュロ演算を行い、0以上2π未満のラジアンの範囲で記載している(以降の説明についても同様である)。
式(15)~(17)に示すように、位相回転量が、2πを等分割したφndm=2π(ndm-1)/NDMに設定される場合、符号化ドップラ位相回転量ψ1, 1(m), ψ1, 2(m), ψ2, 2(m)は、NDM×NCM=2×2=4の送信周期で変化する。
または、他の例として、ドップラシフト量DOP
ndmを付与する位相回転量をφ
ndm=2π(ndm)/N
DMとし、ドップラシフト量DOP
1を付与する位相回転量φ
1=π、及び、ドップラシフト量DOP
2を付与する位相回転量φ
2=0としてもよい。この場合、符号化部107は、次式(18)~(20)のような符号化ドップラ位相回転量ψ
1, 1(m), ψ
1, 2(m), ψ
2, 2(m)を設定して、位相回転部108に出力する。ここで、m=1, …, Ncである。
また、式(15)~(17)又は式(18)~(20)に示すように、位相回転量(例えば、ドップラシフト量を付与する位相回転量)に用いる位相数(例えば、0及びπの2つ)は、多重送信に用いる送信アンテナ109の数Nt=3よりも少ない。換言すると、式(15)~(17)又は式(18)~(20)に示すように、ドップラシフト量を付与する位相回転量に用いる位相数(例えば、0及びπの2つ)は、多重送信に用いるドップラシフト量の数(換言すると、ドップラ多重数)NDM=2に等しい。
また、例えば、符号化部107において、多重送信に用いる送信アンテナ数Nt=6、ドップラ多重数N
DM=4、符号多重数N
CM=2とし、符号長Loc=2の直交符号系列Code
1={1,1}、Code
2={1,-1}を用いる場合について説明する。この場合、例えば、符号化ドップラ多重数をN
DOP_CODE(1)=1、N
DOP_CODE(2)=1、N
DOP_CODE(3)=2、N
DOP_CODE(4)=2とすると、符号化部107は、次式(21)~(26)のような符号化ドップラ位相回転量ψ
1, 1(m), ψ
1, 2(m), ψ
1, 3(m) , ψ
2, 3(m) , ψ
1, 4(m) , ψ
2, 4(m)を設定して、位相回転部108に出力する。ここで、m=1, …, Ncである。
ここで、一例として、ドップラシフト量DOP
ndmを付与する位相回転量をφ
ndm=2π(ndm-1) /N
DMとし、ドップラシフト量DOP
1を付与する位相回転量φ
1=0、ドップラシフト量DOP
2を付与する位相回転量φ
2=π/2、ドップラシフト量DOP
3を付与する位相回転量φ
3=π、ドップラシフト量DOP
4を付与する位相回転量φ
4=3π/2を用いる場合、符号化部107は、次式(27)~(32)のような符号化ドップラ位相回転量ψ
1, 1(m), ψ
1, 2(m), ψ
1, 3(m) , ψ
2, 3(m) , ψ
1, 4(m) , ψ
2, 4(m)を設定して、位相回転部108に出力する。ここで、m=1, …, Ncである。
式(27)~式(32)に示すように、位相回転量が、2πを等分割したφndm=2π(ndm-1)/NDMに設定される場合、符号化ドップラ位相回転量ψ1, 1(m), ψ1, 2(m), ψ1, 3(m) , ψ2, 3(m) , ψ1, 4(m) , ψ2, 4(m)は、NDM×NCM=4×2=8の送信周期で変化する。
また、式(27)~(32)に示すように、位相回転量(例えば、ドップラシフト量を付与する位相回転量)に用いる位相数(例えば、0、π/2、π、及び、3π/2の4つ)は、多重送信に用いる送信アンテナ109の数Nt=6よりも少ない。換言すると、式(27)~(32)に示すように、ドップラシフト量を付与する位相回転量に用いる位相数(例えば、0、π/2、π、及び、3π/2の4つ)は、多重送信に用いるドップラシフト量の数(換言すると、ドップラ多重数)NDM=4に等しい。
なお、ここでは、一例として、送信アンテナ109の数Nt=3、ドップラ多重数NDM=2の場合、及び、送信アンテナ109の数Nt=6、ドップラ多重数NDM=4の場合における位相回転量の設定についてそれぞれ説明したが、送信アンテナ109の数Nt及びドップラ多重数NDMは、これらの値に限定されない。例えば、送信アンテナ109の数Ntが何れの値でも、位相回転量に用いる位相数は、多重送信に用いる送信アンテナ109の数Ntよりも少なく設定されてよい。また、ドップラシフト量を付与する位相回転量に用いる位相数は、多重送信に用いるドップラシフト量の数NDMに等しくしてよい。
また、上記の例では、最大等間隔ドップラシフト量設定で示した位相回転量の設定を用いて説明したが、位相回転量の設定は、これに限定されず、例えば、等間隔ドップラシフト量設定で示した位相回転量の設定、例えば、式(6)を用いてもよい。
以上、位相回転量設定部105における位相回転量の設定方法について説明した。
図1において、位相回転部108は、位相回転量設定部105において設定された符号化ドップラ位相回転量ψndop_code(ndm), ndm(m)に基づいて、レーダ送信信号生成部101から入力されるチャープ信号に対して、送信周期Tr毎に位相回転量を付与する。ここで、ndm=1,…, NDMであり、ndop_code(ndm)=1,…, NDOP_CODE(ndm)である。
符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(1), NDOP_CODE(2),…,NDOP_CODE(NDM)の総和は、送信アンテナ109の数Ntに等しく設定され、Nt個の符号化ドップラ位相回転量はNt個の位相回転部108にそれぞれ入力される。
Nt個の位相回転部108は、送信周期Tr毎に、レーダ送信信号生成部101から入力されるチャープ信号に対して、入力された符号化ドップラ位相回転量ψndop_code(ndm), ndm(m)をそれぞれ付与する。Nt個の位相回転部108からの出力(例えば、符号化ドップラ多重信号と呼ぶ)は、規定された送信電力に増幅後に、送信アレーアンテナ部のNt個の送信アンテナ109から空間に放射される。
なお、以下では、符号化ドップラ位相回転量ψndop_code(ndm), ndm(m)を付与する位相回転部108を、「位相回転部PROT#[ndop_code(ndm), ndm]」と表記する。同様に、位相回転部PROT#[ndop_code(ndm), ndm]の出力を空間に放射する送信アンテナ109を、「送信アンテナTx#[ndop_code(ndm), ndm]」と表記する。ここで、ndm=1,…, NDMであり、ndop_code(ndm)=1,…, NDOP_CODE(ndm)である。
例えば、多重送信に用いる送信アンテナ数Nt=3の場合に、ドップラ多重数NDM=2、符号多重数NCM=2とし、符号長Loc=2の直交符号系列Code1={1,1}、Code2={1,-1}とし、符号化ドップラ多重数をNDOP_CODE(1)=1, NDOP_CODE(2)=2とする場合について説明する。この場合、符号化部107から位相回転部108に対して、符号化ドップラ位相回転量ψ1, 1(m), ψ1, 2(m), ψ2, 2(m)が送信周期毎に入力される。
例えば、位相回転部PROT#[1, 1]は、レーダ送信信号生成部101で送信周期毎に生成されたチャープ信号に対して、送信周期毎に次式(33)のように位相回転量ψ
1, 1(m)を付与する。また、位相回転部PROT#[1, 1]の出力は、送信アンテナTx#[1, 1]から出力される。ここでcp(t)は送信周期毎のチャープ信号を表す。
同様に、位相回転部PROT#[1, 2]は、レーダ送信信号生成部101で送信周期毎に生成されたチャープ信号に対して、送信周期毎に次式(34)のように位相回転量ψ
1, 2(m)を付与する。また、位相回転部PROT#[1, 2]の出力は、送信アンテナTx#[1, 2]から出力される。
同様に、位相回転部PROT#[2, 2]は、レーダ送信信号生成部101で送信周期毎に生成されたチャープ信号に対して、送信周期毎に次式(35)のように位相回転量ψ
2, 2(m)を付与する。また、位相回転部PROT#[2, 2]の出力は、送信アンテナTx#[2, 2]から出力される。
以上、符号化ドップラ位相回転量ψndop_code(ndm), ndm(m)の設定例について説明した。
また、本実施の形態では、例えば、送信アンテナ109の配置と、符号化ドップラ位相回転量の割り当てとを、以下のように関連付ける。この関連付けにより、レーダ装置10は、レーダ処理において、多重送信する送信アンテナ109数を超える数の送信アンテナを利用できる。
例えば、少なくとも一組の隣接する送信アンテナ109は、同一のドップラ多重(例えば、ドップラシフト量)を用いたレーダ送信信号を送信する。例えば、隣接するNDOP_CODE(ndm_BF)個の送信アンテナ109には、位相回転部PROT#[1, ndm_BF]、位相回転部PROT#[2, ndm_BF]、…、位相回転部PROT#[NDOP_CODE(ndm_BF), ndm_BF]が割り当てられた送信アンテナTx#[1, ndm_BF]、送信アンテナTx#[2, ndm_BF]、…、送信アンテナTx#[NDOP_CODE(ndm_BF), ndm_BF]が含まれる。ここで、ndm_BFは、1,…, NDMの何れかの値であり、1<NDOP_CODE(ndm_BF)≦NCMである。換言すると、ドップラシフト量DOPndmと直交符号系列との複数の組み合わせのうち、複数の送信アンテナ109において隣り合う送信アンテナ109のそれぞれに対応付けられる組み合わせでは、ドップラシフト量が同一(例えば、ndm=ndm_BF)である。
例えば、上述した符号化ドップラ位相回転量の割り当てと、送信アンテナ109の配置との関連付けを満たす組み合わせが1組以上含まれてもよい。
一例として、多重送信に用いる送信アンテナ数Nt=3の場合に、ドップラ多重数NDM=2、符号多重数NCM=2とし、符号長Loc=2の直交符号系列Code1={1,1}、Code2={1,-1}とし、符号化ドップラ多重数をNDOP_CODE(1)=2, NDOP_CODE(2)=1とする場合について説明する。なお、ビーム送信アンテナ数NBF=1とし、ビーム送信アンテナに用いるドップラ多重信号のインデックスとしてndm_BF=1を用いる。
図12では、例えば、水平方向に隣接したNt=3個の送信アンテナ109は、左側のアンテナから、送信アンテナTx#[1, 1]、送信アンテナTx#[2, 1]、送信アンテナTx#[1, 2]である。図12では、左側から2(=NDOP_CODE(1))個の隣り合う送信アンテナTx#[1, 1]及びTx#[2, 1]は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP1)を用いてレーダ送信信号を送信する。
また、他の例として、多重送信に用いる送信アンテナ数Nt=4の場合に、ドップラ多重数NDM=2、符号多重数NCM=2とし、符号長Loc=2の直交符号系列Code1={1,1}、Code2={1,-1}とし、符号化ドップラ多重数をNDOP_CODE(1)=2, NDOP_CODE(2)=2とする場合について説明する。なお、ビーム送信アンテナ数NBF=2とし、ビーム送信アンテナに用いるドップラ多重信号のインデックスとしてndm_BF1=1、及びndm_BF2=2を用いる。
図13では、例えば、水平方向に隣接したNt=4個の送信アンテナ109は、左側のアンテナから、送信アンテナTx#[1, 1]、送信アンテナTx#[2, 1]、送信アンテナTx#[1, 2]、送信アンテナTx#[2, 2]である。図13では、左側から2(=NDOP_CODE(1))個の隣り合う送信アンテナTx#[1, 1]及びTx#[2, 1]は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP1)を用いてレーダ送信信号を送信する。また、右側から2(=NDOP_CODE(2))個の隣り合う送信アンテナTx#[1, 2]及びTx#[2, 2]は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP2)を用いてレーダ送信信号を送信する。
これらのように、少なくとも一組の隣り合う送信アンテナ109は、同一のドップラ多重を用いてレーダ送信信号を送信する。換言すると、少なくとも一組の隣接する送信アンテナ109は、同一のドップラ多重を用いて符号多重送信する。
ここで、同一のドップラ多重を用いて符号多重送信されたレーダ送信信号に対応する送信周期毎の受信信号は、複数の送信アンテナ109による直交ビーム送信に対応する受信信号とみなすことができる。例えば、上述した少なくとも一組の隣り合う送信アンテナ109の送信は、当該隣り合う送信アンテナ109によって構成されるサブアレーによる直交ビーム送信と等価となる。上述した少なくとも一組の隣り合う送信アンテナ109からレーダ送信信号を、例えば、等電力で送信する場合、当該送信を、隣り合う送信アンテナ109の中点位置をサブアレーの位相中心とした新たな送信アンテナ(以下、「ビーム送信アンテナ」と呼ぶ)による送信として扱うことができる(詳細は受信処理において後述する)。なお、ビーム送信アンテナを構成する送信アンテナ109から、レーダ送信信号を等電力で送信しない場合は、ビーム送信アンテナを構成する各送信アンテナ109の送信電力の比に応じた位置(各送信アンテナからの送信電力の重心位置)をサブアレーの位相中心としたビーム送信アンテナによる送信として扱うことができる。
以上のような送信方法によって、レーダ装置10は、多重送信する送信アンテナ数Ntを超える送信アンテナを利用可能となる。
なお、図12及び図13では、水平方向に配置された送信アンテナ109を例に説明したが、送信アンテナ109の配置方法はこれに限定されない。例えば、送信アンテナ109は、垂直方向に配置されてもよく、水平方向及び垂直方向の面的に配置されてもよい。また、送信アンテナ109を構成するアンテナは、水平方向に配置された複数のサブアレー素子、垂直方向に配置された複数のサブアレー素子、あるいは、水平及び垂直の面的に配置された複数のサブアレー素子から構成されてもよい。また、図12及び図13に示したアンテナは、レーダ装置10が有する複数のアンテナのうちの一部であってよい。
このように、本実施の形態では、複数の送信アンテナ109に対して、ドップラシフト量DOPndm及び直交符号系列Codencmの少なくとも一方が異なる、ドップラシフト量DOPndmと直交符号系列Codencmとの組み合わせ(換言すると、割り当て)がそれぞれ対応付けられる。
また、本実施の形態では、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)を不均一に設定する場合、ドップラシフト量DOPndmと直交符号系列Codencmとの組み合わせにおいて、各ドップラシフト量DOPndmに対応する直交符号系列Codencmの多重数(換言すると、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm))は異なってよい。一例として、図3に示すように、Nt個の送信アンテナ109には、少なくとも、異なる直交符号系列によって符号多重される送信信号がそれぞれ送信される複数(例えば、2つ)の送信アンテナ109と、符号多重されない送信信号が送信される少なくとも1つの送信アンテナ109と、が含まれてよい。換言すると、レーダ送信部100から送信されるレーダ送信信号には、少なくとも、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)を符号数NCMに設定した符号化ドップラ多重信号と、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)を符号数NCMより小さく設定した符号化ドップラ多重信号と、が含まれる。
また、本実施の形態では、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm)を均一に設定する場合、ドップラシフト量DOPndmと直交符号系列Codencmとの組み合わせにおいて、ドップラシフト量DOPndmそれぞれに対応する直交符号系列Codencmの多重数(換言すると、符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(ndm))は同一でよい。
[レーダ受信部200の構成]
図1において、レーダ受信部200は、Na個の受信アンテナ202を備え、アレーアンテナを構成する。また、レーダ受信部200は、Na個のアンテナ系統処理部201-1~201-Naと、CFAR(Constant False Alarm Rate)部211と、符号化ドップラ多重分離部212と、ピーク抽出部213と、方向推定部214と、を有する。
各受信アンテナ202は、物標(ターゲット)に反射したレーダ送信信号である反射波信号を受信し、受信した反射波信号を、対応するアンテナ系統処理部201へ受信信号として出力する。
各アンテナ系統処理部201は、受信無線部203と、信号処理部206とを有する。
受信無線部203は、ミキサ部204と、LPF(low pass filter)205と、を有する。受信無線部203は、ミキサ部204において、受信した反射波信号に対して、レーダ送信信号生成部101から入力される、送信信号であるチャープ信号をミキシングし、LPF205を通過させる。これにより、反射波信号の遅延時間に応じた周波数となるビート信号が取り出される。例えば、図14に示すように、送信チャープ信号(送信周波数変調波)の周波数と、受信チャープ信号(受信周波数変調波)の周波数との差分周波数がビート周波数として得られる。
各アンテナ系統処理部201-z(ただし、z=1~Naの何れか)の信号処理部206は、AD変換部207と、ビート周波数解析部208と、出力切替部209と、ドップラ解析部210と、を有する。
LPF205から出力された信号(例えば、ビート信号)は、信号処理部206において、AD変換部207によって、離散的にサンプリングされた離散サンプルデータに変換される。
ビート周波数解析部208は、送信周期Tr毎に、規定された時間範囲(レンジゲート)において得られたNdata個の離散サンプルデータをFFT処理する。これにより、信号処理部206では、反射波信号(レーダ反射波)の遅延時間に応じたビート周波数にピークが現れる周波数スペクトラムが出力される。なお、FFT処理の際、ビート周波数解析部208は、例えば、Han窓又はHamming窓等の窓関数係数を乗算してもよい。窓関数係数を用いることにより、ビート周波数ピーク周辺に発生するサイドローブを抑圧できる。
ここで、第m番目のチャープパルス送信によって得られる第z番目の信号処理部206におけるビート周波数解析部208から出力されるビート周波数応答をRFTz(fb, m)で表す。ここで、fbはビート周波数インデックスを表し、FFTのインデックス(ビン番号)に対応する。例えば、fb=0,…,Ndata/2-1であり、z=1,…,Naであり、m=1,…,NCである。ビート周波数インデックスfbが小さいほど、反射波信号の遅延時間が小さい(換言すると、物標との距離が近い)ビート周波数を示す。
また、ビート周波数インデックスf
bは、次式(36)を用いて距離情報R(f
b)に変換できる。そのため、以下では、ビート周波数インデックスf
bを「距離インデックスf
b」と呼ぶ。
ここで、Bwは、チャープ信号におけるレンジゲート内での周波数変調帯域幅を表し、C0は光速度を表す。
出力切替部209は、位相回転量設定部105の符号化部107から入力される直交符号要素インデックスOC_INDEXに基づいて、送信周期毎のビート周波数解析部208の出力を、Loc個のドップラ解析部210のうち、OC_INDEX番目のドップラ解析部210に選択的に切り替えて出力する。換言すると、出力切替部209は、第m番目の送信周期Trにおいて、式(11)により得られるOC_INDEX番目のドップラ解析部210を選択する。
信号処理部206は、Loc個のドップラ解析部210-1~210-Locを有する。例えば、第noc番目のドップラ解析部210には、出力切替部209によってLoc回の送信周期(Loc×Tr)毎にデータが入力される。このため、第noc番目のドップラ解析部210は、Nc回の送信周期のうち、Ncode回の送信周期のデータ(例えば、ビート周波数解析部208から入力されるビート周波数応答RFTz(fb, m))を用いて、距離インデックスfb毎にドップラ解析を行う。ここで、nocは符号要素のインデックスであり、noc=1, …, Locである。
例えば、Ncodeが2のべき乗値である場合、ドップラ解析においてFFT処理を適用できる。この場合、FFTサイズはNcodeであり、サンプリング定理から導出される折り返しが発生しない最大ドップラ周波数は±1/(2Loc×Tr)である。また、ドップラ周波数インデックスfsのドップラ周波数間隔は1/(Ncode×Loc×Tr)であり、ドップラ周波数インデックスfsの範囲はfs = -Ncode/2, …, 0, …, Ncode/2-1である。
以下では、一例として、Ncodeが2のべき乗値である場合について説明する。なお、Ncodeが2のべき乗でない場合には、例えば、ゼロ埋めしたデータを含めることで2のべき乗個のデータサイズ(FFTサイズ)としてFFT処理が可能である。また、ドップラ解析部210は、FFT処理の際に、Han窓又はHamming窓などの窓関数係数を乗算してもよい。窓関数を適用することでドップラ周波数ピーク周辺に発生するサイドローブを抑圧できる。
例えば、第z番目の信号処理部206のドップラ解析部210の出力VFT
z
noc(f
b, f
s)は、次式(37)に示される。なお、jは虚数単位であり、z=1~Naである。
以上、信号処理部206の各構成部における処理について説明した。
図1において、CFAR部211は、第1~第Na番目の信号処理部206それぞれのLoc個のドップラ解析部210の出力を用いて、CFAR処理(換言すると、適応的な閾値判定)を行い、ピーク信号を与える距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_cfarを抽出する。
CFAR部211は、例えば、次式(38)のように、第1~第Na番目の信号処理部206のドップラ解析部210の出力VFT
z
noc(f
b, f
s)を電力加算し、距離軸とドップラ周波数軸(相対速度に相当)とからなる2次元のCFAR処理、又は、1次元のCFAR処理を組み合わせたCFAR処理を行う。2次元のCFAR処理又は1次元のCFAR処理を組み合わせたCFAR処理については、例えば、非特許文献2に開示された処理が適用されてよい。
CFAR部211は、適応的に閾値を設定し、閾値よりも大きい受信電力となる距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_cfar、及び、受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_cfar)を符号化ドップラ多重分離部212に出力する。
なお、ドップラシフト量DOPndmを付与するための位相回転量φndmとして、例えば、式(5)を用いる場合、ドップラ解析部210の出力におけるドップラ周波数領域のドップラシフト量の間隔は等間隔となり、ドップラ周波数インデックスの間隔でドップラシフト量の間隔ΔFDを表すと、ΔFD=Ncode/NDMとなる。そのため、ドップラ解析部210の出力において、ドップラ周波数領域では、ドップラシフト多重される各信号に対して、ΔFDの間隔でピークがそれぞれ検出される。なお、位相回転量φndmとして、式(5)を用いる場合、Ncode及びNDMによってはΔFDが整数とならない場合がある。そのようなの場合には、後述する式(59)を用いることにより、ΔFDを整数値とすることができる。以下ではΔFDが整数値として受信処理動作の説明を行う。
図15の(a)は、NDM=2の場合に3つのターゲットの反射波が存在する距離におけるドップラ解析部210の出力の一例を示す。例えば、図15の(a)に示すように、3つのターゲットの反射波がドップラ周波数インデックスf1、f2及びf3で観測される場合、当該反射波は、f1、f2及びf3それぞれに対して、ΔFDの間隔のドップラ周波数インデックス(例えば、f1-ΔFD、f2-ΔFD、f3-ΔFD+Ncode)においても観測される。
したがって、CFAR部211は、ドップラ解析部210の各出力に対して、ドップラシフト量の間隔ΔFDの範囲で分割し、分割した各範囲に対して、次式(39)に示すように、ドップラシフト多重した各信号ピーク位置を合わせて電力加算(例えば、「ドップラ領域圧縮」と呼ぶ)した後に、CFAR処理(例えば、「ドップラ領域圧縮CFAR処理」と呼ぶ)を行ってよい。ここで、f
s_comp=-ΔFD/2,…,- ΔFD/2-1である。例えば、ΔFD=Ncode/N
DMの場合は、f
s_comp =Ncode/(2N
DM),…,Ncode/(2N
DM)-1である。
ただし、式(39)において、
の場合は、Ncodeを加えたドップラ周波数インデックスを用いる。
同様に、式(39)において、
の場合は、更に、Ncodeを減算したドップラ周波数インデックスを用いる。
これにより、CFAR処理のドップラ周波数範囲を1/NDMに圧縮でき、CFAR処理量を削減でき、かつ、回路構成の簡易化を図ることができる。また、CFAR部211では、NDM個のドップラシフト多重した各信号を電力加算できるため、SNR(Signal to Noise Ratio)を(NDM)1/2程度改善でき、レーダ装置10におけるレーダ検知性能を向上できる。
図15の(b)は、図15の(a)で示したドップラ解析部210の出力に対して、式(39)に示すドップラ領域圧縮処理を適用後の出力例を示す。図15の(b)に示すように、NDM=2の場合、CFAR部211は、ドップラ領域圧縮処理によって、ドップラ周波数インデックスf1の電力成分と、f1-ΔFDの電力成分とを加算して出力する。同様に、図15の(b)に示すように、CFAR部211は、ドップラ周波数インデックスf2の電力成分と、f2-ΔFDの電力成分とを加算して出力する。また、ドップラ周波数インデックスf3の電力成分について、f3-ΔFDが-Ncode/2よりも小さいため、CFAR部211は、ドップラ周波数インデックスf3の電力成分と、f3-ΔFD+Ncode(例えば、NDM=2の場合はf3+ΔFD)の電力成分とを加算して出力する。
ドップラ領域圧縮の結果、ドップラ周波数領域においてドップラ周波数インデックスfs_compの範囲は、-ΔFD/2以上,…, ΔFD/2-1以下(ΔFD=Ncode/NDM の場合、-Ncode/(2NDM)以上,…,Ncode/(2NDM)-1以下)に削減され、CFAR処理の範囲が圧縮されるので、CFAR処理の演算量を低減できる。また、図15において、例えば、3つのターゲットからの反射波は電力加算されるため信号成分のSNRが向上する。なお、ノイズ成分も電力合成されるため、SNRの改善効果は、例えば、(NDM)1/2程度の改善となる。
ドップラ領域圧縮CFAR処理を用いたCFAR部211は、例えば、適応的に閾値を設定し、閾値よりも大きい受信電力となる距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfar、及び、NDM個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil(NDM/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil(NDM/2)-1)×ΔFD)、nfd=1,…,NDMを符号化ドップラ多重分離部212に出力する。
また、CFAR部211は、例えば、距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarをピーク抽出部213に出力する。
なお、ドップラシフト量DOPndmを付与するための位相回転量φndmは、式(5)に限定されない。例えば、ドップラシフト多重した各信号が、ドップラ解析部210から出力されるドップラ周波数領域において一定の間隔でそれぞれピークが検出される位相回転量φndmであれば、CFAR部211は、ドップラ領域圧縮CFAR処理を適用できる。
例えば、等間隔ドップラシフト量設定を用いて、ΔfMinInterval=1/(Tr(NDM+Nint)LOC)が設定される場合、位相回転量φndmは、式(6)に従って設定され、ドップラシフト多重された各信号が、ドップラ解析部210から出力されるドップラ周波数領域においてΔFD=Ncode/(NDM+Nint)の間隔でそれぞれピークとして検出される。このような場合においても、CFAR部211は、ドップラ領域圧縮CFAR処理を適用できる。
次に、図1に示す符号化ドップラ多重分離部212の動作例について説明する。なお、以下では、CFAR部211において、ドップラ領域圧縮CFAR処理を用いた場合の符号化ドップラ多重分離部212の処理の一例について説明する。
符号化ドップラ多重分離部212は、CFAR部211の出力である距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfar、及び、NDM個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil(NDM/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil(NDM/2)-1)×ΔFD)、nfd=1,…,NDMに基づいて、ドップラ解析部210の出力を用いて、符号化ドップラ多重送信された信号を分離し、送信アンテナ109の判別(換言すると、判定又は識別とも呼ぶ)、及び、ドップラ周波数(換言すると、ドップラ速度又は相対速度)の判別を行う。
上述したように、位相回転量設定部105の符号化部107は、最大等間隔ドップラシフト量設定を含む等間隔ドップラシフト量設定を用いた場合、例えば、NDM個の符号化ドップラ多重数NDOP_CODE(1), NDOP_CODE(2),…, NDOP_CODE(NDM)の全てをNCM個に設定せず、少なくとも1つの符号化ドップラ多重数をNCM個より小さい値に設定してよい。例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、(1)符号分離処理を行い、符号化ドップラ多重数をNCM個より小さく設定した符号化ドップラ多重信号を検出し(換言すると、多重送信に用いない未使用の符号化ドップラ多重信号を検出し)、折り返し判定を行う。その後、符号化ドップラ多重分離部212は、(2)折り返し判定結果に基づいて、多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号のドップラ符号分離処理を行う。
以下、上述した符号化ドップラ多重分離部212における処理(1)及び(2)についてそれぞれ説明する。
<(1)折り返し判定処理(未使用の符号化ドップラ多重信号の検出処理)>
符号化ドップラ多重分離部212は、例えば、想定するターゲットのドップラ範囲を±1/(2Tr)としてドップラ折り返し判定処理を行う。
ここで、例えば、Ncodeが2のべき乗値である場合、ドップラ解析部210は、符号要素毎にFFT処理を適用するので、(Loc×Tr)周期で、ビート周波数解析部208からの出力を用いてFFT処理を行う。このため、ドップラ解析部210においてサンプリング定理によって折り返しが発生しないドップラ範囲は±1/(2Loc×Tr)である。このドップラ範囲±1/(2Loc×Tr)を、さらにドップラ多重数NDMを用いてドップラ多重を行う。このため、符号化ドップラ多重分離部212は、ドップラ多重による折り返しが発生しないドップラ範囲±1/(2Loc×NDM×Tr)に対して、Loc×NDM倍のドップラ範囲±1/(2Tr)までを想定して折り返し判定処理を行う。
ここでは、一例として、Nt=3とし、ドップラ多重数NDM=2、符号多重数NCM=2を用いる場合について説明する。ここで、ドップラシフト量DOPndmを付与するための位相回転量φndmは、一例として、最大等間隔ドップラシフト量設定に基づく式(5)のように割り当てられる。この場合、ドップラシフト量DOP1を付与する位相回転量φ1=0、及び、ドップラシフト量DOP2を付与する位相回転量φ2=πとなる。また、符号化部107は、符号長Loc=2のWalsh-Hadamard符号のうち、2個の直交符号Code1={1,1}、Code2={1,-1}を用いる。また、図3の(a)に示すように、NDOP_CODE(1)=2、NDOP_CODE(2)=1を用いる。
この場合、符号化ドップラ多重分離部212は、符号化ドップラ多重による折り返しが発生しないドップラ範囲±1/(2Loc×NDM×Tr)=±1/(8Tr)に対し、4倍(=Loc×NDM倍)のドップラ範囲±1/(2Tr)までを想定して折り返し判定処理を行う。
ここで、CFAR部211において抽出される距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarに対応するドップラ解析部210の出力であるドップラ成分VFTz
noc(fb_cfar,fs_comp_cfar)には、例えば、±1/(2Tr)のドップラ範囲において、図16における(a)及び(b)に示すような折り返しを含むドップラ成分が含まれる可能性がある。
例えば、図16における(a)に示すように、fs_comp_cfar<0の場合、±1/(2Tr)のドップラ範囲において、fs_comp_cfar-Ncode/NDM、fs_comp_cfar、fs_comp_cfar+Ncode/NDM、及びfs_comp_cfar +2Ncode/NDMの4(=Loc×NDM)通りのドップラ成分の可能性がある(ΔFD=Ncode/NDMを用いて、それぞれfs_comp_cfar-ΔFD、fs_comp_cfar、fs_comp_cfar+ΔFD、及びfs_comp_cfar +2ΔFDとも表すことができる。)。
また、例えば、図16における(b)に示すように、fs_comp_cfar>0の場合、±1/(2Tr)のドップラ範囲において、fs_comp_cfar -2Ncode/NDM、fs_comp_cfar -Ncode/NDM、fs_comp_cfar、及び、fs_comp_cfar +Ncode/NDM、の4(=Loc×NDM)通りのドップラ成分の可能性がある(ΔFD=Ncode/NDM を用いて、それぞれfs_comp_cfar-2ΔFD、fs_comp_cfar-ΔFD、fs_comp_cfar、及びfs_comp_cfar +ΔFDとも表すことができる。)。fs_comp_cfarに対し、これらの可能性のあるドップラ成分(4(=Loc×NDM)通り)をfs_comp_cfarに対する「ドップラ成分候補」と呼ぶ。以下では、このような4(=Loc×NDM)通りのドップラ成分候補が存在する各ドップラ領域に対し、図16に示すようなドップラ折り返し範囲を示すインデックス「Dr」を用いて表記する。Drはドップラ折り返し範囲を示すインデックスであり、例えば、Dr∈{-ceil(Loc×NDM/2),…, ceil(Loc×NDM/2)-1}の範囲の整数値を用いる。図16において、Dr=-2,…,1である。なお、Dr=0の領域はドップラ折り返しがない領域であり、Dr≠0の領域はドップラ折り返しが発生する領域であることを示す。また、Drの絶対値が大きいほどDr=0で示すドップラ領域から離れたドップラ領域であることを示す。
符号化ドップラ多重分離部212は、図16に示すような±1/(2Tr)のドップラ範囲において、折り返しを含む4(=Loc×NDM)通りのドップラ成分に対応した位相変化を補正して、符号化ドップラ多重数をNCM個より小さく設定した符号化ドップラ多重信号(換言すると未使用の符号化ドップラ多重信号)の符号化ドップラ多重分離処理を行う。
そして、符号化ドップラ多重分離部212は、未使用の符号化ドップラ多重信号を符号化ドップラ多重分離処理して得られた成分の受信電力に基づいて、各ドップラ成分候補について真のドップラ成分か否かを判定する。
例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、fs_comp_cfarに対するドップラ成分候補のうち、未使用の符号化ドップラ多重信号に基づいて符号化ドップラ多重分離処理して得られた成分の受信電力が最小のドップラ成分を検出し、検出したドップラ成分を真のドップラ成分と判定してよい。換言すると、符号化ドップラ多重分離部212は、fs_comp_cfarに対するドップラ成分候補のうち、最小の受信電力と異なる他の受信電力のドップラ成分を偽のドップラ成分と判定してよい。
この折り返し判定処理により、±1/(2Tr)のドップラ範囲における曖昧性を解決できる。また、この折り返し判定処理により、ドップラ多重による折り返しが発生しないドップラ範囲±1/(2Loc×NDM×Tr)=±1/(8Tr)と比較して、曖昧性なくドップラ周波数を検出できる範囲を、-1/(2Tr)以上、かつ、1/(2Tr)未満の範囲に拡大できる。
これは、未使用の符号化ドップラ多重信号に基づいて符号化ドップラ多重分離することにより、例えば、真のドップラ成分については、当該ドップラ成分の位相変化が正しく補正され、多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号と未使用の符号化ドップラ多重信号との間の直交性が維持される。よって、多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号符号と未使用の符号化ドップラ多重信号とは無相関となり、受信電力はノイズレベル程度となる。
一方、例えば、偽のドップラ成分については、当該ドップラ成分の位相変化が誤って補正され、多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号と未使用の符号化ドップラ多重信号との間の直交性は維持されない。よって、多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号符号と未使用の符号化ドップラ多重信号と相関成分(干渉成分)が発生し、例えば、ノイズレベルよりも大きい受信電力が検出され得る。よって、上述したように、符号化ドップラ多重分離部212は、未使用の符号化ドップラ多重信号に基づいて符号化ドップラ多重分離されたfs_comp_cfarに対するドップラ成分候補のうち、受信電力が最小のドップラ成分を真のドップラ成分と判定し、最小の受信電力と異なる受信電力の他のドップラ成分を偽のドップラ成分であると判定してよい。
例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、各アンテナ系統処理部201におけるドップラ解析部210の出力に基づいて、fs_comp_cfarに対するドップラ成分候補の各ドップラ成分に応じた位相変化を補正し、未使用の符号化ドップラ多重信号を用いた符号分離後の受信電力PDAR(fb_cfar,fs_comp_cfar,Dr, nuc,nud)を、式(40)に従って算出する。
ここで、nuc,nudは未使用の符号化ドップラ多重信号となる直交符号のインデックスとドップラ多重信号のインデックスを表す。例えば、図3の(b)の場合は、未使用の符号化ドップラ多重信号は、図中の×印で示されており、Code2が符号割り当てられ、DOP1のドップラシフト量が割り当てられている。従って、未使用の符号化ドップラ多重信号が割り当てられている直交符号のインデックスnuc=2, nud=1となる。
以下では、符号化ドップラ多重信号に用いられる直交符号のインデックスとドップラ多重信号のインデックスの組を「DCI(直交符号のインデックス, ドップラ多重信号のインデックス)」として記載する。DCI(nuc,nud)は、例えば、未使用の符号化ドップラ多重信号が割り当てられる直交符号のインデックスとドップラ多重信号のインデックスを表す。例えば、図3の(b)の場合、未使用の符号化ドップラ多重信号は、DCI(2,1)に割り当てられる。同様に、例えば、図5の(a)の場合、未使用の符号化ドップラ多重信号は、DCI(2, 2)とDCI(2,3)に割り当てられる。また、例えば、図6の(c)の場合は、未使用の符号化ドップラ多重信号はDCI(1,2)とDCI(2,3)に割り当てられる。
ここで、Y
z(f
b_cfar,f
s_comp_cfar,D
r, nuc,nud)は、次式(41)のようにz番目のアンテナ系統処理部201におけるドップラ解析部210の出力に基づいて、f
s_comp_cfarに対するドップラ成分候補の各ドップラ成分に応じた位相変化を補正し、DCI(nuc,nud)が割り当てられている未使用の符号化ドップラ多重信号を分離した後の受信信号である。
式(40)及び式(41)では、DCI(nuc,nud)が割り当てられた未使用の符号化ドップラ多重信号を分離するため、z番目のアンテナ系統処理部201におけるドップラ解析部210の出力VFTALLz(fb_cfar,fs_comp_cfar,Dr, nud)に対して、未使用直交符号Codenucを用いた符号分離後の受信電力が算出され、全てのアンテナ系統処理部201に対し、それらの電力の総和が算出される。これにより、受信信号レベルが低い場合でも、折り返し判定精度を向上できる。ただし、式(40)の代わりに、一部のアンテナ系統処理部201におけるドップラ解析部210の出力に対して、未使用の符号化ドップラ多重信号分離後の受信電力が算出されてもよい。この場合でも、例えば、受信信号レベルが十分高い範囲では、折り返し判定の精度を保ちつつ、演算処理量を削減できる。
なお、式(40)及び式(41)において、Drはドップラ折り返し範囲を示すインデックスであり、例えば、Dr∈{-ceil(Loc×NDM/2),…, ceil(Loc×NDM/2)-1}の範囲の整数値をとる。
また、式(41)において、
は、要素数が等しいベクトル同士の要素毎の積を表す。例えば、n次ベクトルA=[a
1,..,a
n]及びB=[b
1,..,b
n]に対して、要素毎の積は以下の式(42)で表される。
また、式(41)において、上付き添え字Tはベクトル転置を表し、上付き添え字*(アスタリスク)は複素共役演算子を表す。
式(41)において、α(fs_comp_cfar,Dr)は「ドップラ位相補正ベクトル」を表す。ドップラ位相補正ベクトルα(fs_comp_cfar,Dr)は、例えば、CFAR部211において抽出されたドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarが、ドップラ折り返しを含まないドップラ解析部210の出力範囲(換言すると、ドップラ範囲)とする場合に、ドップラ折り返し範囲DrでのLoc個のドップラ解析部210間におけるドップラ解析の時間差に起因するドップラ位相回転を補正する。
例えば、ドップラ位相補正ベクトルα(f
s_comp_cfar,D
r)は、次式(43)のように表される。式(43)に示すドップラ位相補正ベクトルα(f
s_comp_cfar,D
r)は、例えば、第1番のドップラ解析部210の出力VFT
z
1(f
b_cfar, f
s_comp_cfar)のドップラ解析時間を基準として、第2番のドップラ解析部210の出力VFT
z
2(f
b_cfar, f
s_comp_cfar)から第Loc番のドップラ解析部VFT
z
Loc(f
b_cfar, f
s_comp_cfar)のそれぞれにおけるTr,2Tr,…,(Loc-1)Trの時間遅れにより生じるドップラ周波数インデックスf
s_comp_cfarのドップラ折り返し範囲D
rにおけるドップラ成分での位相回転を補正するドップラ位相補正係数を要素とするベクトルである。なお、式(43)における、D
rN
code/N
DMの項は、ΔFD=Ncode/N
DMを用いて、D
rΔFDとも表記できる。従って、ΔFD=Ncode/N
DMに限らず適用できる。
このようなドップラ位相補正ベクトルα(fs_comp_cfar, Dr)による位相補正は、fs_comp_cfarに対するドップラ成分候補における各ドップラ成分に応じた位相変化を補正することに対応している。
また、式(41)において、VFTALL
z(f
b_cfar, f
s_comp_cfar, D
r,nud)は、例えば、次式(44)のように、第z番のアンテナ系統処理部201におけるLoc個のドップラ解析部210の出力VFT
z
noc(f
b, f
s)のうち、CFAR部211において抽出された距離インデックスf
b_cfar及びドップラ周波数インデックスf
s_comp_cfarに対応して、ドップラ折り返し範囲D
rにおいて、DCI(nuc,ndu)が割り当てられている未使用の符号化ドップラ多重信号のドップラ多重信号を抽出した成分をベクトル形式で表したものである。ただし、noc=1,…,Locであり、D
r={-ceil(Loc×N
DM/2),…, ceil(Loc×N
DM/2)-1}の範囲の整数値をとる。
式(44)において、NcodeFR(Dr, nud)/NDMは、ドップラ折り返し範囲Drにおいて、nud番目のドップラ多重信号の、fs_comp_cfarに対するドップラインデックスのオフセット値を表す。なお、式(44)における、NcodeFR(Dr, nud)/NDMの項は、ΔFD=Ncode/NDM を用いて、FR(Dr, nud) ΔFDとも表記できる。従って、ΔFD=Ncode/NDMに限らず適用できる。ここで、ndm=1,…, NDMである。
F
R(D
r, nud)は、ドップラ折り返し範囲D
rと、ドップラシフト量DOP
1 、DOP
2、 …、 DOP
N_DMを付与する位相回転量φ
1、φ
2、…、φ
N_DMが定まれば予め設定可能である。そのため、例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、ドップラ折り返し範囲D
r及び位相回転量と、F
R(D
r, nud)との対応関係をテーブル化し、ドップラ折り返し範囲D
r及び位相回転量に基づいて、F
R(D
r, nud)を読み出してもよい。また、例えば、ドップラシフト量DOP
1 、DOP
2、 …、 DOP
N_DMを付与する位相回転量φ
1、φ
2、…、φ
N_DMが-π≦φ
1<φ
2<…<φ
N_DM<πを満たす場合、F
R(D
r, nud)を次式(45)のように表すことができる。
例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、式(40),式(41)に従って、DCI(nuc,nud)が割り当てられる未使用の符号化ドップラ多重信号を用いた符号分離後の受信電力PDAR(fb_cfar,fs_comp_cfar,Dr, nuc,nud)を、各Dr∈{-ceil(Loc×NDM/2),…, ceil(Loc×NDM/2)-1}の範囲においてそれぞれ算出する。
そして、符号化ドップラ多重分離部212は、各D
rの範囲のうち、受信電力P
DAR(f
b_cfar,f
s_comp_cfar,D
r, nuc,nud)が最小となるD
rを検出する。以下では、次式(46)に示すように、各D
rの範囲のうち、受信電力P
DAR(f
b_cfar,f
s_comp_cfar,D
r, nuc,nud)が最小となるD
rを「D
r min」と表す。
なお、未使用の符号化ドップラ多重信号が複数ある場合、符号化ドップラ多重分離部212は、受信電力P
DAR(f
b_cfar,f
s_comp_cfar,D
r, nuc,nud)の代わりに、次式(47)のように、全ての未使用直交符号を用いた符号分離後の受信電力Pall
DAR(f
b_cfar,f
s_comp_cfar,D
r)を用いてもよい。
全ての未使用直交符号を用いた符号分離後の受信電力を求めることで、受信信号レベルが低い場合でも、折り返し処理の精度を向上できる。
例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、各D
r∈{-ceil(Loc×N
DM/2),…, ceil(Loc×N
DM/2)-1}の範囲においてPall
DAR(f
b_cfar,f
s_comp_cfar,D
r)を算出し、Pall
DAR(f
b_cfar,f
s_comp_cfar,D
r)が最小となるD
r(換言すると、D
r min)を検出する。例えば、式(47)を用いる場合、以下では、次式(48)に示すように、各D
rの範囲において最小となる受信電力を与えるD
rを「D
r min」と表す。
また、符号化ドップラ多重分離部212は、例えば、DCI(nuc,nud)が割り当てられる未使用の符号化ドップラ多重信号を用いた符号分離後の最小受信電力Pall
DAR(f
b_cfar,f
s_comp_cfar,D
r_min)と、CFAR部211においてドップラシフト多重した各信号ピーク位置を合わせて電力加算した式(39)の受信電力PowerFT_comp(f
b_cfar,f
s_comp_cfar)とを比較して、折り返し判定の確からしさを判定(換言すると、測定)する処理を行ってもよい。この場合、符号化ドップラ多重分離部212は、例えば、次式(49)及び式(50)に従って、折り返し判定の確からしさを判定してもよい。
例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、CFAR部211において抽出された距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarにおけるPowerFT_comp(fb,fs_comp_cfar)に所定値ThresholdDRを乗算した値よりも、DCI(nuc,nud)が割り当てられている未使用の符号化ドップラ多重信号を用いた符号分離後の最小受信電力PallDAR(fb_cfar,fs_comp_cfar,Drmin)が小さい場合(例えば、式(49))、折り返し判定が十分に確からしいと判定する。この場合、レーダ装置10は、例えば、以降の処理(例えば、符号分離処理)を行ってもよい。
一方、例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、PowerFT_comp(fb,fs_comp_cfar)に、ThresholdDRを乗算した値よりも、DCI(nuc,nud)が割り当てられている未使用の符号化ドップラ多重信号を用いた符号分離後の最小受信電力PallDAR(fb_cfar,fs_comp_cfar,Drmin)が等しい又は大きい場合(例えば、式(50))、折り返し判定の精度が十分ではなく、折り返し判定の信頼性が低い(例えば、ノイズ成分)と判定する。この場合、レーダ装置10は、例えば、以降の処理(例えば、符号分離処理)を行わなくてもよい。
このような処理により、折り返し判定の判定誤りを低減でき、また、ノイズ成分を除去できる。なお、所定値ThresholdDRは、例えば、0から1未満の範囲に設定されてよい。一例として、ノイズ成分が含まれることを考慮すると、ThresholdDRは、0.1~0.5程度の範囲で設定されてもよい。
以上、折り返し処理の動作例について説明した。
<(2)多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号のドップラ符号分離処理>
符号化ドップラ多重分離部212は、折り返し判定結果に基づいて、多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号の符号化ドップラ多重分離処理を行う。
例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、次式(51)のように、折り返し判定処理における折り返し判定結果であるD
rminに基づいて、式(41)を適用することにより、多重送信に用いたDCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号の分離受信を行う。例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、次式(51)を用いた分離処理を行うことにより、多重送信に用いたDCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号の分離受信を行う。折り返し判定処理にて、-1/(2Tr)以上、かつ、1/(2Tr)未満のドップラ範囲で、真のドップラ折り返し範囲であるインデックス(D
rtrue)を判定できることから(換言すると、D
rmin=D
rtrueとなるように判定できることから)、符号化ドップラ多重分離部212においては、-1/(2Tr)以上、かつ、1/(2Tr)未満のドップラ範囲で、符号多重に使用された直交符号間の相関値をゼロとすることができ、符号多重信号間の干渉を抑圧した分離処理が可能となる。
ここで、Yz(fb_cfar,fs_comp_cfar,Drmin, ncm,ndm)は、第z番のアンテナ系統処理部201におけるドップラ解析部210の距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarの出力において、ドップラ範囲Drminのndm番目の符号化ドップラ多重信号VFTALLz(fb_cfar,fs_comp_cfar,Drmin, ndm)に対して、直交符号Codencmを用いて符号多重信号を符号分離した出力(例えば、符号化ドップラ多重分離結果)であり、多重送信に用いたDCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号を分離することができる。なお、z=1,…,Naであり、ncm=1,…,NCMである。
以上のような符号分離処理によって、レーダ装置10は、ドップラ解析部210の折り返しが発生しないドップラ範囲±1/(2Loc×Tr)のLoc倍のドップラ範囲±1/(2Tr)までを想定した折り返し判定結果に基づいて、多重送信に用いたDCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号を分離受信できる。
また、DCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号は、送信アンテナTx#[ncm,ndm]から送信されるため、送信アンテナ109の判定も可能となる。換言すると、レーダ装置10は、送信アンテナTx#[ncm,ndm]から送信されたDCI(ncm,ndm)が割り当てられている符号化ドップラ多重信号を分離受信できる。
また、レーダ装置10は、例えば、符号化ドップラ多重分離処理時に、符号要素毎のドップラ解析部210の出力に対して、ドップラ折り返しを含めたドップラ位相補正(例えば、ドップラ位相補正ベクトルα(fs_comp_cfar, Dr)による位相補正を行う。これらの位相補正は、fs_comp_cfarに対するドップラ成分候補における各ドップラ成分に応じた位相変化を補正することに対応している。このため、符号多重信号間における相互干渉は、例えば、ノイズレベル程度にまで低減可能である。換言すると、レーダ装置10では、符号間干渉を低減でき、レーダ装置10における検出性能の劣化への影響を抑制できる。
以上、符号化ドップラ多重分離部212の動作例について説明した。
図1において、ピーク抽出部213は、CFAR部211から入力される距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarに対するドップラ解析部210の少なくとも一つの出力を、方向推定部214に出力する。この際、ピーク抽出部213は、例えば、符号化ドップラ多重分離部212から入力されるドップラ折り返し判定結果であるDrminを用いてよい。
例えば、図1に示す例では、ピーク抽出部213は、第1番目のドップラ解析部210(ドップラ解析部210-1)の出力VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF)/NDM))を方向推定部214へ出力する。ここで、ndm_BFは、1,…, NDMの何れかであり、ndm_BF番目のドップラ多重信号が割り当てられた複数の送信アンテナ109は、例えば、上述した隣り合う配置の条件を満たす送信アンテナ109の組み合わせである。
図1において、方向推定部214は、符号化ドップラ多重分離部212から入力される距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarに対するドップラ折り返し判定結果Drminに基づいて、送信アンテナTx#[ncm,ndm]から送信された、DCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号の分離受信信号Yz(fb_cfar,fs_comp_cfar,Drmin, ncm,ndm)、及び、ピーク抽出部213から入力される一部のドップラ解析部210(図1では、ドップラ解析部210-1)からの出力に基づいて、ターゲットの方向推定処理を行う。
なお、以下では、一例として第1番目のドップラ解析部210からの出力VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF)/NDM))を用いる場合について説明するが、ピーク抽出部213からの出力はこれに限定されない。また、z=1,…,Naである。
例えば、方向推定部214は、符号化ドップラ多重分離部212及びピーク抽出部213の出力に基づいて、次式(52)に示すような仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)を生成し、方向推定処理を行う。
仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、送信アンテナ数Ntと受信アンテナ数Naとの積であるNt×Na個の要素を含み、更にビーム送信アンテナを用いることによる要素を含む。以下その詳細を説明する。
また、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、ピーク抽出部213から入力される一部のドップラ解析部210の出力(例えば、VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF)/NDM)))に基づく、同一のドップラ多重を用いて符号多重送信され、隣り合う送信アンテナ109によってサブアレーを構成して直交ビーム送信するビーム送信アンテナの要素を含む。
例えば、ビーム送信アンテナがNBF個ある場合、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、(Nt+NBF)×Na個の要素を含む。一例として、ビーム送信アンテナ数NBF=1の場合、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は次式(52)のように表される。式(52)では、ピーク抽出部213が第1のドップラ解析部210からの出力VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF)/NDM))を方向推定部214へ出力する例を示すが、これに限定されない。
また、符号化ドップラ多重分離部212の出力と、ピーク抽出部213の出力とでは、ノイズレベルが異なるので、正規化する係数を乗算した値を仮想受信アレー相関ベクトルh(f
b_cfar, f
s_comp_cfar)に用いてもよい。
仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、ターゲットからの反射波信号に対して各受信アンテナ202間の位相差に基づく方向推定を行う処理に用いる。
なお、ビーム送信アンテナと送信アンテナ109とは指向性パターンが異なるため、例えば、方向推定部214は、ビーム送信アンテナと送信アンテナ109との指向性利得の差が所定範囲内となる範囲において方向推定処理を行うことがより好適である。
[アンテナの配置例]
例えば、多重送信に用いる送信アンテナ数Nt=3の場合に、ドップラ多重数NDM=2、符号多重数NCM=2とし、符号長Loc=2の直交符号系列Code1={1,1}、Code2={1,-1}とし、符号化ドップラ多重数をNDOP_CODE(1)=2, NDOP_CODE(2)=1とする場合について説明する。なお、ビーム送信アンテナ数NBF=1とし、ビーム送信アンテナに用いるドップラ多重信号のインデックスとしてndm_BF=1を用いる。
図17では、例えば、レーダ装置10において、水平方向に配置される3個の送信アンテナ109(Tx#1、Tx#2及びTx#3)は、左側のアンテナから、送信アンテナTx#[1, 1]、送信アンテナTx#[2, 1]、送信アンテナTx#[1, 2]である。図17では、左側から2つの隣り合う送信アンテナTx#1(Tx#[1, 1])及びTx#2(Tx#[2, 1])は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP1)を用いてレーダ送信信号を送信する。よって、図17では、Tx#1及びTx#2によってビーム送信アンテナが形成される。図17では、ビーム送信アンテナ数NBF=1である。以下では、図17におけるビーム送信アンテナを「Tx#4」と表記することもある。
また、図17に示ように、受信アンテナ数Naは2個(例えば、Rx#1, Rx#2)である。なお、受信アンテナ数Naは、2個に限定されず、例えば、3個以上でもよい。
例えば、隣り合うTx#1(Tx#[1, 1])とTx#2(Tx#[2, 1])とから例えば、等電力でレーダ送信信号が送信される場合、Tx#1及びTx#2の中点位置がビーム送信アンテナTx#4の位相中心となる(図17の(a)に示す×印)。なお、ビーム送信アンテナを構成する送信アンテナ109から、レーダ送信信号を等電力で送信しない場合は、ビーム送信アンテナを構成する各送信アンテナ109の送信電力の比に応じた位置(各送信アンテナからの送信電力の重心位置)をサブアレーの位相中心としたビーム送信アンテナによる送信として扱うことができる。
図17の(a)に示すような送信アンテナTx#1~Tx#3及びビーム送信アンテナTx#4(例えば、Nt+NBF個の送信アンテナ)、及び、受信アンテナRx#1,Rx#2(例えば、Na個の受信アンテナ)の配置から、図17の(b)に示すような仮想受信アンテナ(又は、MIMO仮想アンテナ)の配置VA#1~VA#8が構成される。図17の(b)において、ビーム送信アンテナTx#4に基づいて得られる仮想受信アンテナ配置は、VA#7及びVA#8に相当する。
ここで、仮想受信アンテナ(仮想受信アレー)の配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ109の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、次式(53)のように表されてよい。
ここで、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ109(例えば、Tx#n)の位置座標を(XT_#n,YT_#n)(例えば、n=1,.., Nt+NBF)と表し、受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202(例えば、Rx#m)の位置座標を(XR_#m,YR_#m)(例えば、m=1,.., Na)と表し、仮想受信アレーアンテナを構成する仮想アンテナVA#kの位置座標を(XV_#k,YV_#k)(例えば、k=1,.., (Nt+NBF)×Na)と表す。
なお、式(53)では、例えば、VA#1を仮想受信アレーの位置基準(0,0)として表す。
図17の(b)に示すように、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置は、8素子の等間隔アレー配置となる。その一方で、図18に示すように、図17の(a)と同様のアンテナ配置においてビーム送信アンテナを用いない場合に、図17の(b)と同様に等間隔配置を構成する場合、送信アンテナ数Nt=3、受信アンテナ数Na=2より、仮想受信アンテナ配置は6素子の等間隔アレー配置となる。
このように、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置により、仮想受信アンテナの開口長を拡大でき(例えば、仮想受信アンテナ数を増加でき)、角度分解能を向上できる。また、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置において、仮想受信アンテナを密に配置することでサイドローブの上昇を抑制して角度分解能の向上を図ることができる。
なお、図17に示す例では、送信アンテナ数Nt=3、及び、ビーム送信アンテナ数NBF=1の場合を示すが、送信アンテナ数Nt、及び、ビーム送信アンテナ数NBFは、これに限定されない。例えば、送信アンテナ109の数の増加により、多くのビーム送信アンテナ数を用いることが可能となり、角度分解能の向上、あるいは、サイドローブレベルの抑圧を図ることができる。なお、図17及び図18に示すアンテナは、レーダ装置10が有する複数のアンテナの一部であってよい。
以上、アンテナの配置例について説明した。
方向推定部214は、例えば、方向推定評価関数値PH(θ, fb_cfar, fs_comp_cfar)における方位方向θを規定された角度範囲内で可変として空間プロファイルを算出する。方向推定部214は、算出した空間プロファイルの極大ピークを大きい順に所定数抽出し、極大ピークの方位方向を到来方向推定値(例えば、測位出力)として出力する。
なお、方向推定評価関数値PH(θ, fb_cfar, fs_comp_cfar)は、到来方向推定アルゴリズムによって各種の方法がある。例えば、非特許文献3に開示されているアレーアンテナを用いた推定方法を用いてもよい。
例えば、(Nt+N
BF)×Na個の仮想受信アンテナが等間隔d
Hで直線状に配置される場合、ビームフォーマ法は次式(54)及び式(55)のように表すことができる。他にも、Capon, MUSICといった手法も同様に適用可能である。
ここで、式(54)において、上付き添え字Hはエルミート転置演算子である。また、a(θu)は、方位方向θuの到来波に対する仮想受信アレーの方向ベクトルを示す。
また、方位方向θuは到来方向推定を行う方位範囲内を方位間隔β1で変化させたベクトルである。例えば、θuは以下のように設定される。
θu=θmin + uβ1、u=0,…, NU
NU=floor[(θmax-θmin)/β1]+1
ここでfloor(x)は、実数xを超えない最大の整数値を返す関数である。
また、式(54)において、Dcalは、送信アレーアンテナ間及び受信アレーアンテナ間の位相偏差及び振幅偏差を補正するアレー補正係数及びアンテナ間の素子間結合の影響を低減する係数を含む((Nt+NBF)×Na)次の行列である。仮想受信アレーのアンテナ間の結合が無視できる場合、Dcalは、対角行列となり、対角成分に送信アレーアンテナ間及び受信アレーアンテナ間の位相偏差及び振幅偏差を補正するアレー補正係数が含まれる。
方向推定部214は、例えば、方向推定結果とともに、測位結果として、距離インデックスfb_cfarに基づく距離情報、及び、ターゲットのドップラ周波数判定結果(符号化ドップラ多重分離部212におけるドップラ折り返し判定処理結果)に基づくターゲットのドップラ速度情報を出力してもよい。
なお、位相回転量として、例えば、式(5)を用いる場合、ドップラ周波数情報は、符号化ドップラ多重分離部212におけるドップラ折り返し判定処理結果であるD
rminを用いて、次式(56)のように拡張した範囲で算出可能となる。
また、位相回転量として、例えば、式(6)を用いる場合、ドップラ周波数情報は、ドップラ折り返し判定処理結果であるD
rminを用いて、次式(57)のように拡張した範囲で算出可能となる。
なお、ドップラ周波数情報は相対速度成分に変換して出力されてもよい。ターゲットのドップラ折り返し判定結果であるD
rminを用いてドップラ周波数インデックスf
outを相対速度成分v
d(f
out)に変換するには、次式(58)を用いてもよい。ここで、λは送信無線部(図示せず)から出力されるRF信号のキャリア周波数の波長(チャープ信号を用いる場合は、チャープ信号の中心周波数における波長を用いる。)である。また、Δ
fは、ドップラ解析部210におけるFFT処理でのドップラ周波数間隔である。例えば、本実施の形態では、Δ
f=1/{N
code×Loc ×T
r}である。
以上のように、本実施の形態では、レーダ装置10は、レーダ送信信号に対してドップラシフト量と直交符号系列とに対応する位相回転量を付与することにより、レーダ送信信号(換言すると、符号化ドップラ多重信号)を複数の送信アンテナ109から多重送信する。また、少なくとも一組の隣り合う送信アンテナ109は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量)を適用したレーダ送信信号を送信することにより、同一のドップラ多重を用いて符号多重送信する。
これにより、少なくとも一組の隣り合う送信アンテナ109から送信された信号に対応する、送信周期毎の受信信号は、直交ビーム送信の受信信号とみなすことができるため、少なくとも一組の隣り合う送信アンテナ109によって、サブアレーを構成するビーム送信アンテナが得られる。例えば、ビーム送信アンテナを構成する送信アンテナ109から例えば、等電力でレーダ送信信号が送信される場合、ビーム送信アンテナは、当該送信アンテナ109の中点位置をサブアレーの位相中心としたアンテナとして扱うことができる。なお、ビーム送信アンテナを構成する送信アンテナ109から、レーダ送信信号を等電力で送信しない場合は、ビーム送信アンテナを構成する各送信アンテナ109の送信電力の比に応じた位置(各送信アンテナからの送信電力の重心位置)をサブアレーの位相中心としたビーム送信アンテナによる送信として扱うことができる。
よって、本実施の形態によれば、レーダ装置10は、多重送信する送信アンテナ109の数(Nt個)を超える送信アンテナを利用できる。また、例えば、レーダ装置10(レーダ受信部200(受信回路に相当))は、隣り合う送信アンテナ109によって構成されるビーム送信アンテナ(例えば、NBF個のアンテナ)と、複数(例えば、Nt個)の送信アンテナ109と、複数(例えば、Na個)の受信アンテナ202と、により構成される仮想受信アンテナ(例えば、(Nt+NBF)×Na個)を用いて、物標(ターゲット)の検知処理を行う。このように、レーダ装置10は、1つ以上のビーム送信アンテナと複数の送信アンテナ109を用いることにより、仮想受信アンテナを増加できるため、レーダ装置10の方向推定部214における角度分解能の向上、あるいは、サイドローブレベルの低減が可能となる。このような測角性能の向上により、レーダ装置10における物標の検知精度を向上できる。
また、本実施の形態では、複数の送信アンテナ109それぞれに対して、ドップラシフト量(DOPndm)及び直交符号系列(DOPncm)の少なくとも一方が異なる組み合わせが対応付けられる。また、本実施の形態では、符号化部107は、例えば、最大等間隔ドップラシフト量設定を含む等間隔ドップラシフト量設定を用いて、ドップラシフト量と直交符号系列との組み合わせにおける各ドップラシフト量に対応する直交符号系列の多重数(換言すると、符号数)を異なるように(換言すると、ドップラ多重送信信号毎の符号化ドップラ多重数を不均一に)設定してよい。
ドップラ多重送信信号毎の符号化ドップラ多重数を不均一に設定することにより、レーダ装置10は、例えば、各符号化ドップラ多重信号に対して符号分離した信号の受信電力に基づいて、各符号化ドップラ多重信号(換言すると、ドップラシフト量及び直交符号系列の組み合わせ)に対応付けられた送信アンテナ109、及び、ドップラ折り返しの有無を判定できる。これにより、レーダ装置10は、ドップラ折り返しが有る場合でも、ターゲットのドップラ周波数を適切に判定できる。
よって、本実施の形態によれば、レーダ装置10は、実効的なドップラ周波数帯域幅を1/(Tr)(例えば、±1/(2Tr)のドップラ範囲)に拡大でき、曖昧性(Ambiguity)が生じないドップラ周波数(相対速度)の検出範囲を拡大できる。これにより、レーダ装置10は、より広いドップラ周波数範囲において、物標の検知精度を向上できる。
また、本実施の形態では、符号化部107は、例えば、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定を用いて、ドップラ多重送信信号毎の符号化ドップラ多重数を同数になるように(換言すると、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数を均一に)設定してよい。ドップラ多重送信信号毎の符号化ドップラ多重数を均一に設定することにより、レーダ装置10は、例えば、受信処理における折り返し判定処理よって、±1/(2×Loc×Tr)のドップラ範囲に亘って、複数の送信アンテナ109から符号化ドップラ多重送信された信号を個別に分離して受信できる。
また、本実施の形態では、符号化部107は、例えば、最大等間隔ドップラシフト量設定を用いて、ドップラ多重送信信号毎の符号化ドップラ多重数を同数になるように(換言すると、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数を均一に)設定してよい。ドップラ多重送信信号毎の符号化ドップラ多重数を均一に設定することにより、レーダ装置10は、例えば、受信処理における折り返し判定処理を適用しない。また、レーダ装置10は、例えば、±1/(2Loc×NDM×Tr)のドップラ範囲に亘って、複数の送信アンテナ109から符号化ドップラ多重送信された信号を個別に分離して受信できる。
また、本実施の形態では、符号化ドップラ多重は、ドップラ多重と符号化とを併用するので、多重送信において、ドップラ多重のみを用いる場合と比較して、ドップラ多重数を低減できる。そのため、ドップラシフトを付与する位相回転量の間隔を広くできるので、例えば、位相器の精度要件(位相変調精度)を緩和でき、位相器の調整の工数も含めてRF部のコスト低減効果も得られる。
また、本実施の形態では、符号化ドップラ多重は、ドップラ多重と符号化とを併用するので、レーダ装置10は、符号要素毎にドップラ周波数検出(相対速度検出)のためのフーリエ周波数解析(FFT処理)を行う。これにより、例えば、多重送信において、ドップラ多重のみを用いたドップラ周波数検出(相対速度検出)のためのフーリエ周波数解析(FFT処理)と比較して、FFTサイズは、(1/符号長分)となり、FFTの処理回数は、(符号長)倍となる。例えば、FFTサイズNcのFFT演算量を、概算Nc×log2(Nc)として見積もる場合、ドップラ多重のみのFFT演算に対して、本実施の形態に係る符号化ドップラ多重は{Loc×Nc/Loc×log2(Nc/Loc)}/ {Nc×log2(Nc)}=1- log2(Loc)/ log2(Nc)程度の演算量比となる。例えば、Loc=2,Nc=1024の場合、演算量比は0.9となり、FFT処理の演算低減効果が得られ、回路構成の簡易化及び低コスト化の効果も得られる。
(実施の形態1のバリエーション1)
ドップラシフト量DOP
ndmを付与するための位相回転量φ
ndmは、例えば、式(5)等に示した値に限定されない。例えば、位相回転量φ
ndmは、次式(59)に示す値でもよい。ここで、round(x)は実数値xに対し、四捨五入した整数値を出力するラウンド関数である。なお、round(N
code/N
DM)の項は、位相回転量を、ドップラ解析部210におけるドップラ周波数間隔の整数倍とする目的で導入している。また、式(59)では、角度はラジアン単位で示している。
(実施の形態1のバリエーション2)
実施の形態1では、ドップラシフト設定部106は、ドップラ多重数NDMを2以上として、ドップラシフト量DOPndmを付与するための位相回転量φndm(ここで、ndm=1,…, NDMである)を設定する場合について説明したが、これに限定されず、ドップラ多重数NDM=1を設定してもよい。
この場合、ドップラシフト設定部106は、例えば、ドップラシフト量DOP1を、0≦DOP1<1/(Tr×LOC)を満たすように設定する。又は、ドップラシフト設定部106は、例えば、ドップラシフト量DOP1を、-1/(2Tr×LOC)≦DOP1<1/(2Tr×LOC)を満たすように設定してもよい。
また、ドップラシフト量DOP1を付与するための位相回転量φ1は、同様に、式(3)のように割り当てられてよい。
また、ドップラ多重数NDM=1が設定される場合の符号化部107の動作は、実施の形態1においてドップラ多重数NDM=1、NDOP_CODE(1)=Ntとする場合の動作と同様である。例えば、符号化部107は、符号多重数NCM=Ntの直交符号系列を用いて、ドップラシフト設定部106から入力されるドップラシフト量DOP1を付与する位相回転量φ1に対して、式(10)に示す符号化ドップラ位相回転量ψndop_code(1), 1(m)を設定して、位相回転部108に出力する。ここで、ndop_code(1)=1,…, Ntである。
以降のレーダ送信部100の動作は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
なお、ドップラ多重数NDM=1に設定する場合、全ての送信アンテナ109は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量DOP1)を用いてレーダ送信信号を送信する。このため、送信アンテナ109の配置と、符号化ドップラ位相回転量の割り当てとは関連付けられなくてもよい。また、ドップラ多重数NDM=1に設定する場合、1つのビーム送信アンテナ(NBF=1)を利用できるため、レーダ装置10は、多重送信する送信アンテナ数Ntに対して、(Nt+1)×Na個の仮想受信アンテナを利用できる。
また、ドップラ多重数NDM=1が設定される場合、レーダ受信部200において、符号化ドップラ多重分離部212は、符号多重分離処理を行う。
以下、レーダ受信部200において、実施の形態1と異なる動作について説明する。
CFAR部211は、ドップラ多重数NDM=1が設定される場合、ドップラ領域圧縮CFAR処理を適用しない。例えば、CFAR部211は、式(38)を適用して、適応的に閾値を設定し、閾値よりも大きい受信電力となる距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_cfar、及び、受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_cfar)を符号化ドップラ多重分離部212に出力する。
符号化ドップラ多重分離部212は、CFAR部211から入力される距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_cfar、及び、ドップラ解析部210の出力に基づいて、符号多重送信された信号を分離する。
例えば、ドップラシフト量DOP
1=0の場合、符号化ドップラ多重分離部212は、次式(60)のように、符号多重信号の分離受信を行う。例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、式(60)に基づく分離処理を行うことにより、符号多重送信に用いたCode
ncmが割り当てられている送信信号を分離受信できる。
ここで、YCz(fb_cfar,fs_cfar,ncm)は、第z番のアンテナ系統処理部201におけるドップラ解析部210の距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_cfarの出力VFTALLCz(fb_cfar,fs_cfar)に対して、直交符号Codencmを用いて符号多重信号を符号分離した出力である。このように、符号化ドップラ多重分離部212は、Codencmが割り当てられている送信信号を分離受信できる。なお、z=1,…,Naであり、ncm=1,…,NCMである。
なお、ドップラシフト量DOP1≠0の場合は、符号化ドップラ多重分離部212は、例えば、レーダ送信部100にて付与されたドップラシフト量DOP1に対応するドップラ周波数インデックスをfs_cfarから減算したドップラ周波数インデックスを、式(60)におけるα(fb_cfar,0)のfs_cfarに代入することで、符号多重送信に用いたCodencmが割り当てられている送信信号を、ドップラシフト量DOP1=0の場合と同様に分離受信できる。
符号化ドップラ多重分離部212では、例えば、-1/(2×Loc×Tr)以上、かつ、1/(2×Loc×Tr)未満のドップラ範囲において分離処理が可能となる。
なお、式(60)において、VFTALLC
z(f
b_cfar, f
s_cfar)は、例えば、次式(61)のように、第z番のアンテナ系統処理部201におけるLoc個のドップラ解析部210の出力VFT
z
noc(f
b, f
s)のうち、CFAR部211において抽出された距離インデックスf
b_cfar及びドップラ周波数インデックスf
s_cfarに対応して抽出した成分をベクトル形式で表したものである。ただし、noc=1,…,Locである。
また、ドップラ位相補正ベクトルα(fs_cfar, 0)による位相補正は、fs_cfarに対するドップラ成分候補における各ドップラ成分に応じた位相変化を補正することに対応している。このため、符号多重信号間における相互干渉は、例えば、ノイズレベル程度にまで低減可能である。換言すると、レーダ装置10では、符号間干渉を低減でき、レーダ装置10における検出性能の劣化への影響を抑制できる。
以上、符号化ドップラ多重分離部212における符号多重分離処理の動作例について説明した。
ピーク抽出部213は、CFAR部211から入力される距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_cfarに対するドップラ解析部210の少なくとも一つの出力を、方向推定部214に出力する。例えば、第1番目のドップラ解析部210(例えば、ドップラ解析部210-1)の出力を用いる場合、ピーク抽出部213は、VFTz
1(fb_cfar, fs_cfar)を方向推定部214へ出力する。
方向推定部214は、符号化ドップラ多重分離部212から入力される距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_cfarに対する符号多重信号の分離受信信号YCz(fb_cfar,fs_cfar,ncm)、及び、ピーク抽出部213から入力される一部のドップラ解析部210の出力に基づいて、ターゲットの方向推定処理を行う。
なお、以下では、一例として第1番目のドップラ解析部210からの出力VFTz
1(fb_cfar, fs_cfar)を用いる場合について説明するが、ピーク抽出部213からの出力はこれに限定されない。また、z=1,…,Naであり、ncm=1,…,NCMである。
例えば、方向推定部214は、符号化ドップラ多重分離部212及びピーク抽出部213からの出力に基づいて、次式(62)に示すような仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_cfar)を生成し、方向推定処理を行う。
仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_cfar)は、送信アンテナ数Ntと受信アンテナ数Naとの積であるNt×Na個の要素を含み、更にビーム送信アンテナを用いることによる要素を含む。以下その詳細を説明する。
また、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_cfar)は、ピーク抽出部213から入力される一部のドップラ解析部210の出力(例えば、VFTz
1(fb_cfar, fs_cfar))に基づく、同一のドップラ多重を用いて符号多重送信され、隣り合う送信アンテナ109によってサブアレーを構成して直交ビーム送信するビーム送信アンテナの要素を含む。
例えば、N
DM=1の場合、ビーム送信アンテナがN
BF=1であるので、仮想受信アレー相関ベクトルh(f
b_cfar, f
s_cfar)は、(Nt+1)×Na個の要素を含む。一例として、仮想受信アレー相関ベクトルh(f
b_cfar, f
s_cfar)は次式(62)のように表される。式(62)では、ピーク抽出部213が第1のドップラ解析部210からの出力VFT
z
1(f
b_cfar, f
s_cfar)を方向推定部214へ出力する例を示すが、これに限定されない。
仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_ cfar)は、ターゲットからの反射波信号に対して各受信アンテナ202間の位相差に基づく方向推定を行う処理に用いる。
なお、ビーム送信アンテナと送信アンテナ109とは指向性パターンが異なるため、例えば、方向推定部214は、ビーム送信アンテナと送信アンテナ109との指向性利得の差が所定範囲内となる範囲において方向推定処理を行うことがより好適である。
方向推定部214における、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_ cfar)を用いた方向推定処理及びそれ以降の動作は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
[アンテナの配置例]
例えば、多重送信に用いる送信アンテナ数Nt=2の場合に、ドップラ多重数NDM=1、符号多重数NCM=2とし、符号長Loc=2の直交符号系列Code1={1,1}、Code2={1,-1}とし、符号化ドップラ多重数をNDOP_CODE(1)=2とする場合について説明する。なお、ビーム送信アンテナ数NBF=1とし、ビーム送信アンテナに用いるドップラ多重信号のインデックスとしてndm_BF=1を用いる。
図19では、例えば、レーダ装置10において、水平方向に配置される2個の送信アンテナ109(Tx#1及びTx#2)は、左側のアンテナから、送信アンテナTx#[1, 1]、送信アンテナTx#[2, 1]である。図19では、2つの隣り合う送信アンテナTx#1(Tx#[1, 1])及びTx#2(Tx#[2, 1])は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP1)を用いてレーダ送信信号を送信する。よって、図19では、ビーム送信アンテナ数NBF=1である。以下では、図19におけるビーム送信アンテナを「Tx#3」と表記することもある。
また、図19に示すように、受信アンテナ数Naは2個(例えば、Rx#1, Rx#2)である。なお、受信アンテナ数Naは、2個に限定されず、例えば、3個以上でもよい。
例えば、隣り合うTx#1(Tx#[1, 1])とTx#2(Tx#[2, 1])とから、例えば、等電力でレーダ送信信号が送信される場合、Tx#1及びTx#2の中点位置がビーム送信アンテナTx#3の位相中心となる(図19の(a)に示す×印)。なお、ビーム送信アンテナを構成する送信アンテナ109から、レーダ送信信号を等電力で送信しない場合は、ビーム送信アンテナを構成する各送信アンテナ109の送信電力の比に応じた位置(各送信アンテナからの送信電力の重心位置)をサブアレーの位相中心としたビーム送信アンテナによる送信として扱うことができる。
図19の(a)に示すような送信アンテナTx#1、Tx#2及びビーム送信アンテナTx#3(例えば、Nt+1個の送信アンテナ)、及び、受信アンテナRx#1,Rx#2(例えば、Na個の受信アンテナ)の配置から、図19の(b)に示すような仮想受信アンテナ(又は、MIMO仮想アンテナ)の配置VA#1~VA#6が構成される。図19の(b)において、ビーム送信アンテナTx#3に基づいて得られる仮想受信アンテナ配置は、VA#5及びVA#6に相当する。
図19の(b)に示すように、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置は、(Nt+1)=3、Na=2より、6素子の等間隔アレー配置となる。その一方で、図19の(a)と同様のアンテナ配置においてビーム送信アンテナを用いない場合に、図19の(b)と同様に等間隔配置を構成する場合(図示せず)、送信アンテナ数Nt=2、受信アンテナ数Na=2より、仮想受信アンテナ配置は4素子の等間隔アレー配置となる。
このように、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置により、仮想受信アンテナの開口長を拡大でき(例えば、仮想受信アンテナ数を増加でき)、角度分解能を向上できる。また、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置において、仮想受信アンテナを密に配置することでサイドローブの上昇を抑制して角度分解能の向上を図ることができる。
なお、図19に示す例では、送信アンテナ数Nt=2の場合を示すが、送信アンテナ数Ntは、これに限定されない。例えば、送信アンテナ109の数の増加により、多くの送信アンテナ109をビーム送信アンテナに用いることが可能となり、指向性利得の向上を図れる。例えば、多重送信に用いる送信アンテナ数Nt=4の場合、ドップラ多重数NDM=1、符号多重数NCM=4とし、符号長Loc=4の直交符号系列を用いることで、4(=Nt)個の送信アンテナ109をビーム送信アンテナに用いることが可能となる。なお、図19に示すアンテナは、レーダ装置10が有する複数のアンテナの一部であってよい。
以上、アンテナの配置例について説明した。
以上のように、レーダ装置10は、レーダ送信信号に対して直交符号系列に対応する位相回転量を付与することにより、レーダ送信信号(換言すると、符号多重信号)を複数の送信アンテナ109から多重送信する。また、送信周期毎の受信信号は、直交ビーム送信の受信信号とみなすことができるため、複数の送信アンテナ109によって、サブアレーを構成するビーム送信アンテナが得られる。例えば、ビーム送信アンテナを構成する送信アンテナ109から等電力でレーダ送信信号が送信される場合、ビーム送信アンテナは、当該送信アンテナ109の中点位置をサブアレーの位相中心とした新たな送信アンテナ(ビーム送信アンテナ)として扱うことができる。なお、ビーム送信アンテナを構成する送信アンテナ109から、レーダ送信信号を等電力で送信しない場合は、ビーム送信アンテナを構成する各送信アンテナ109の送信電力の比に応じた位置(各送信アンテナからの送信電力の重心位置)をサブアレーの位相中心としたビーム送信アンテナによる送信として扱うことができる。
よって、レーダ装置10は、多重送信する送信アンテナ109の数(Nt個)を超える送信アンテナを利用できる。また、例えば、レーダ装置10(レーダ受信部200)は、複数の送信アンテナ109によって構成されるビーム送信アンテナと、複数の送信アンテナ109と、複数の受信アンテナ202と、により構成される仮想受信アンテナ(例えば、(Nt+1)×Na個)を用いて、物標(ターゲット)の検知処理を行う。このように、レーダ装置10は、例えば、ビーム送信アンテナと複数の送信アンテナ109を用いることにより、仮想受信アンテナを増加できる(例えば、多重送信する送信アンテナ数Ntに対して(Nt+1)×Na個の仮想受信アンテナが利用できる)ため、レーダ装置10の方向推定部214における角度分解能の向上、あるいは、サイドローブレベルの低減が可能となる。このような測角性能の向上により、レーダ装置10における物標の検知精度を向上できる。
(実施の形態1のバリエーション3)
実施の形態1のバリエーション3では、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定を用いて、符号化部107が、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数を均一に設定する場合の処理(例えば、受信処理)について説明する。
例えば、以下では、ドップラシフト設定部106が最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定(例えば、式(6))を用いて、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数を均一に設定する場合のレーダ受信部200の動作について説明する。以下、レーダ受信部200における実施の形態1と異なる動作について説明する。
CFAR部211は、例えば、式(6)に示す位相回転量φ
ndmを用いた等間隔ドップラシフト量設定を用いる場合、ΔFD=Ncode/(N
DM+N
int)の間隔でそれぞれN
DM個のピークが検出されるため、ドップラ領域圧縮CFAR処理を適用できる。例えば、CFAR部211は、次式(63)に示すように、ドップラ多重した各信号のピーク位置を合わせて電力加算し、ドップラ領域圧縮CFAR処理を行う。ここで、f
s_comp=-ΔFD/2,…, ΔFD/2-1=Ncode/{2(N
DM+N
int)},…,Ncode/{2(N
DM+N
int)}-1である。
ただし、式(63)において、
の場合は、Ncodeを加えたドップラ周波数インデックスを用いる。
同様に式(63)において、
の場合は、更にNcodeを減算したドップラ周波数インデックスを用いる。
これにより、CFAR処理のドップラ周波数範囲を1/(NDM+Nint)に圧縮でき、CFAR処理量を削減でき、かつ、回路構成の簡易化を図ることができる。また、CFAR部211では、NDM個のドップラシフト多重した各信号を電力加算できるため、SNRを(NDM)1/2程度改善でき、レーダ装置10におけるレーダ検知性能を向上できる。
ドップラ領域圧縮CFAR処理を用いたCFAR部211は、例えば、適応的に閾値を設定し、閾値よりも大きい受信電力となる距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfar、及び、NDM個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)、nfd=1,…, NDM+Nintを符号化ドップラ多重分離部212に出力する。
次に、図1に示す符号化ドップラ多重分離部212の動作例について説明する。なお、以下では、CFAR部211において、ドップラ領域圧縮CFAR処理を用いた場合の符号化ドップラ多重分離部212の処理の一例について説明する。
符号化ドップラ多重分離部212は、CFAR部211の出力である距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfar、及び、(NDM+Nint)個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)、nfd=1,…, (NDM+Nint)に基づいて、ドップラ解析部210の出力を用いて、符号化ドップラ多重送信された信号を分離し、送信アンテナ109の判別(換言すると、判定又は識別とも呼ぶ)、及び、ドップラ周波数(換言すると、ドップラ速度又は相対速度)の判別を行う。
上述したように、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定(例えば、式(6))を用いて、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数が均一に設定される場合、符号化ドップラ多重分離部212は、例えば、(1)折り返し判定を行い、(2)折り返し判定結果に基づいて、多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号のドップラ符号分離処理を行う。
以下、上述した符号化ドップラ多重分離部212における処理(1)及び(2)についてそれぞれ説明する。
<(1)折り返し判定処理(未使用の符号化ドップラ多重信号の検出処理)>
例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、折り返し判定において、CFAR部211の出力である距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfar、及び、(NDM+Nint)個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)、nfd=1,…, (NDM+Nint)を用いて、ΔFD=Ncode/(NDM+Nint)の間隔でそれぞれNDM個のピークを検出する。例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、(NDM+Nint)個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)を用いて、多重送信に用いていないNint個の符号化ドップラ多重信号のドップラ周波数インデックスを検出する。これにより、符号化ドップラ多重分離部212は、±1/(2Loc×Tr)のドップラ範囲において折り返し判定を行う。
例えば、式(6)を用いる場合に、N
DM=3の場合に、N
int=1と設定すると、
となり、φ
1,φ
2, φ
3(=φ
N_DM)はそれぞれ0°,90°,180°となる。ここで、ndm=1,…, N
DMである。
また、このような位相回転に対応する各ドップラシフト量は、DOP1=0、DOP2=ΔFD, DOP3(=DOPN_DM)=2ΔFDとなる。したがって、ΔFD間隔でNDM個のドップラ多重信号が割り当てられる一方で、ΔFD間隔で割り当てられないドップラシフト量は、Nint個ある。ここでは、Nint=1であり、-ΔFDのドップラシフト量にはドップラ多重信号が割り当てられていない。また、レーダ装置10は、ΔFD間隔で割り当てられないドップラシフト量を検出できれば、ΔFD間隔で割り当てられたNDM個のドップラ多重信号(DOP1、DOP2, DOP3(=DOPN_DM)を特定できる。
このようなレーダ送信部100において付与されたドップラシフト量の関係性を保持した信号が、レーダ装置10におけるレーダ受信信号となる。このことから、符号化ドップラ多重分離部212は、CFAR部211の出力である距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfar、及び、(NDM+Nint)個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)、nfd=1,…, (NDM+Nint)を用いて、ドップラ多重送信に用いられないNint個の符号化ドップラ多重信号のドップラ周波数インデックスを検出することで、±1/(2Loc×Tr)のドップラ範囲で折り返し判定を行うことができる。
ここで、ドップラ多重送信に用いられないNint個の符号化ドップラ多重信号のドップラ周波数インデックスの検出は、受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)を用いて、以下のように行われてよい。
例えば、N
int=1の場合、次式(64)に示すように、符号化ドップラ多重分離部212は、各D
rの範囲のうち、受信電力PowerFT(f
b_cfar, f
s_comp_cfar+(D
r-ceil((N
DM+N
int)/2)-1)×ΔFD)が最小となるD
rを検出し、「D
r min」と表す。ここで、D
rはD
r=-ceil((N
DM+N
int)/2),…,ceil((N
DM+N
int)/2)-1の範囲の整数値をとる。
例えば、N
int>2の場合、符号化ドップラ多重分離部212は、各Drにおけるドップラ多重送信に用いられないN
int個の符号化ドップラ多重信号のドップラ周波数インデックスの相対的な位置関係は予め既知であることを利用して、最小となるD
rを検出する。例えば、N
int>2の場合、符号化ドップラ多重分離部212は、次式(65)を用いて、各D
rの範囲のうち、受信電力が最小となるD
rを検出し、「D
r min」と表す。ここで、D
rはD
r=-ceil((N
DM+N
int)/2),…,ceil((N
DM+N
int)/2)-1の範囲の整数値をとる。ここで、F
nint(D
r)は、D
rにおけるドップラ多重送信に用いられない第nint番目の符号化ドップラ多重信号のドップラ周波数インデックスの相対的な位置関係を表すインデックスである。なお、F
nint(D
r)の表すインデックスは、ΔFDをインデックス間隔としている。ここで、nint=1、…、N
intである。
また、符号化ドップラ多重分離部212は、fb_cfar,fs_comp_cfarに対する受信信号に対する折り返し判定結果(例えば、fb_cfar、fs_comp_cfar、Drmin)をピーク抽出部213に出力する。
以上、折り返し処理の動作例について説明した。
<(2)多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号のドップラ符号分離処理>
符号化ドップラ多重分離部212は、折り返し判定結果に基づいて、多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号の符号化ドップラ多重分離処理を行う。
例えば、符号化ドップラ多重分離部は、式(51)に基づいて、折り返し判定処理における折り返し判定結果であるDrminに基づいて、多重送信に用いたDCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号の分離受信を行う。例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、式(51)を用いた分離処理を行うことにより、多重送信に用いたDCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号の分離受信を行うことができる。
なお、式(51)における、VFTALL
z(f
b_cfar,f
s_comp_cfar,D
r, ndm)は次式(66)を用いる。なお、式(66)における、N
codeF
R(D
r, ndm)/(N
DM+N
int)の項は、ΔFD=Ncode/(N
DM+N
int)を用いて、F
R(D
r, ndm) ΔFDとも表記できる。従って、ΔFD=Ncode/(N
DM+N
int)に限らず適用できる。また、以降に示す式に含まれるNcode/(N
DM +N
int)の項は、ΔFDを表しており、ΔFD=Ncode/(N
DM +N
int)を用いない場合は、Ncode/(N
DM +N
int)をΔFDと置き換えることで同様に適用でき、同様な効果が得られる。ここで、ndm=1,…, N
DMである。
式(66)において、F
R(D
r, ndm)は、ドップラ折り返し範囲D
rと、ドップラシフト量DOP
1 、DOP
2、 …、 DOP
N_DMを付与する位相回転量φ
1、φ
2、…、φ
N_DMとが定まれば予め設定可能である。そのため、例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、ドップラ折り返し範囲D
r及び位相回転量と、F
R(D
r, ndm)との対応関係をテーブル化し、ドップラ折り返し範囲D
r及び位相回転量に基づいて、F
R(D
r, ndm)を読み出してもよい。また、例えば、ドップラシフト量DOP
1 、DOP
2、 …、 DOP
N_DMを付与する位相回転量φ
1、φ
2、…、φ
N_DMが-π≦φ
1<φ
2<…<φ
N_DM<πを満たす場合、F
R(D
r, ndm)を次式(67)のように表すことができる。
折り返し判定処理にて、-1/(2LOC×Tr)以上、かつ、1/(2LOC×Tr)未満のドップラ範囲で、真のドップラ折り返し範囲であるインデックス(Drtrue)を判定できることから(換言すると、Drmin=Drtrueとなるように判定できることから)、符号化ドップラ多重分離部212においては、-1/(2LOC×Tr)以上、かつ、1/(2LOC×Tr)未満のドップラ範囲で、符号多重に使用された直交符号間の相関値をゼロとすることができ、符号多重信号間の干渉を抑圧した分離処理が可能となる。
以上のような符号分離処理によって、レーダ装置10は、ドップラ範囲±1/(2Loc×Tr)までを想定した折り返し判定結果に基づいて、多重送信に用いたDCI(ncm,ndm)が割り当てられている符号化ドップラ多重信号を分離受信できる。
また、DCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号は、送信アンテナTx#[ncm,ndm]から送信されるため、送信アンテナ109の判定も可能となる。換言すると、レーダ装置10は、送信アンテナTx#[ncm,ndm]から送信されたDCI(ncm,ndm)が割り当てられている符号化ドップラ多重信号を分離受信できる。
また、レーダ装置10は、例えば、符号化ドップラ多重分離処理時に、符号要素毎のドップラ解析部210の出力に対して、ドップラ折り返しを含めたドップラ位相補正(例えば、ドップラ位相補正ベクトルα(fs_comp_cfar, Dr)による位相補正を行う。これらの位相補正は、fs_comp_cfarに対するドップラ成分候補における各ドップラ成分に応じた位相変化を補正することに対応している。このため、符号多重信号間における相互干渉は、例えば、ノイズレベル程度にまで低減可能である。換言すると、レーダ装置10では、符号間干渉を低減でき、レーダ装置10における検出性能の劣化への影響を抑制できる。
以上、符号化ドップラ多重分離部212の動作例について説明した。
図1において、ピーク抽出部213は、CFAR部211から入力される距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarに対するドップラ解析部210の少なくとも一つの出力を、方向推定部214に出力する。この際、ピーク抽出部213は、例えば、符号化ドップラ多重分離部212から入力されるドップラ折り返し判定結果であるDrminを用いてよい。
例えば、図1に示す例では、ピーク抽出部213は、第1番目のドップラ解析部210(ドップラ解析部210-1)の出力VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF)/(NDM+ Nint)))を方向推定部214へ出力する。ここで、ndm_BFは、1,…, NDMの何れかであり、ndm_BF番目のドップラ多重信号が割り当てられた複数の送信アンテナ109は、例えば、上述した隣接する配置の条件を満たす送信アンテナ109の組み合わせである。
図1において、方向推定部214は、符号化ドップラ多重分離部212から入力される距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarに対する折り返し判定結果Drminに基づいて、送信アンテナTx#[ncm,ndm]から送信された、DCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号の分離受信信号Yz(fb_cfar,fs_comp_cfar,Drmin, ncm,ndm)、及び、ピーク抽出部213から入力される一部のドップラ解析部210(図1では、ドップラ解析部210-1)からの出力に基づいて、ターゲットの方向推定処理を行う。
なお、以下では、一例として第1番目のドップラ解析部210からの出力VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF)/(NDM+Nint)))を用いる場合について説明するが、ピーク抽出部213からの出力はこれに限定されない。また、z=1,…,Naである。
例えば、方向推定部214は、符号化ドップラ多重分離部212及びピーク抽出部213の出力に基づいて、次式(68)に示すような仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)を生成し、方向推定処理を行う。
仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、送信アンテナ数Ntと受信アンテナ数Naとの積であるNt×Na個の要素を含み、更にビーム送信アンテナを用いることによる要素を含む。以下その詳細を説明する。
また、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、ピーク抽出部213から入力される一部のドップラ解析部210の出力(例えば、VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF)/(NDM+Nint))))に基づく、同一のドップラ多重を用いて符号多重送信され、隣り合う送信アンテナ109によってサブアレーを構成して直交ビーム送信するビーム送信アンテナの要素を含む。
例えば、ビーム送信アンテナがNBF個ある場合、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、(Nt+NBF)×Na個の要素を含む。一例として、ビーム送信アンテナ数NBF=1の場合、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は次式(68)のように表される。式(68)では、ピーク抽出部213が第1のドップラ解析部210からの出力VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF)/(NDM+Nint)))を方向推定部214へ出力する例を示すが、これに限定されない。
また、符号化ドップラ多重分離部212の出力と、ピーク抽出部213の出力とでは、ノイズレベルが異なるので、正規化する係数を乗算した値を仮想受信アレー相関ベクトルh(f
b_cfar, f
s_comp_cfar)に用いてもよい。
仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、ターゲットからの反射波信号に対して各受信アンテナ202間の位相差に基づく方向推定を行う処理に用いる。
方向推定部214の以降の動作は、実施の形態1における動作と同様のため、その説明を省略する。
以上、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定を用いて、符号化部107が、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数を均一に設定する場合のレーダ受信部200における動作例について説明した。
[アンテナの配置例]
以下、符号化ドップラ多重数を均一に設定する場合のアンテナの配置例について説明する。また、例えば、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数が均一に設定され、ビーム送信アンテナ数が複数設定される場合のアンテナ配置例を示す。
図20では、例えば、レーダ装置10において、多重送信に用いる送信アンテナ数Nt=4の場合に、ドップラ多重数NDM=2、NCM=2とし、符号長Loc=2の直交符号系列Code1={1,1}、Code2={1,-1}とし、符号化ドップラ多重数をNDOP_CODE(1)=2, NDOP_CODE(2)=2とする場合について説明する。なお、ビーム送信アンテナ数NBF=2とし、ビーム送信アンテナに用いるドップラ多重信号のインデックスとしてndm_BF1=1、及びndm_BF2=2を用いる。
図20では、例えば、水平方向に配置される4個の送信アンテナ109(Tx#1、Tx#2、Tx#3及びTx#4)は、左側のアンテナから、送信アンテナTx#[1, 1]、送信アンテナTx#[2, 1]、送信アンテナTx#[1, 2]、送信アンテナTx#[2, 2]である。図20では、2つの送信アンテナTx#1(Tx#[1, 1])及びTx#2(Tx#[2, 1])は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP1)を用いてレーダ送信信号を送信する。また、2つの送信アンテナTx#3(Tx#[1, 2])及びTx#4(Tx#[2, 2])は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP2)を用いてレーダ送信信号を送信する。よって、図20では、Tx#1及びTx#2によって1つのビーム送信アンテナが形成され、Tx#3及びTx#4によって1つのビーム送信アンテナが形成される。図20では、ビーム送信アンテナ数NBF=2である。以下では、図20において、Tx#1及びTx#2に対応するビーム送信アンテナを「Tx#5」と表記し、Tx#3及びTx#4に対応するビーム送信アンテナを「Tx#6」と表記することもある。
また、図20では、受信アンテナ数Naは2個(例えば、Rx#1, Rx#2)である。なお、受信アンテナ数Naは、2個に限定されず、例えば、3個以上でもよい。
例えば、隣り合うTx#1(Tx#[1, 1])とTx#2(Tx#[2, 1])、及び、隣り合うTx#3(Tx#[1, 2])とTx#4(Tx#[2, 2])のそれぞれから、例えば、等電力でレーダ送信信号が送信される場合、Tx#1及びTx#2の中点位置がビーム送信アンテナTx#5の位相中心となり、Tx#3及びTx#4の中点位置がビーム送信アンテナTx#6の位相中心となる(図20の(a)に示す×印)。なお、ビーム送信アンテナを構成する送信アンテナ109から、レーダ送信信号を等電力で送信しない場合は、各ビーム送信アンテナを構成する各送信アンテナ109の送信電力の比に応じた位置(各送信アンテナからの送信電力の重心位置)をサブアレーの位相中心としたビーム送信アンテナによる送信として扱うことができる。
図20の(a)に示すような送信アンテナTx#1~Tx#4及びビーム送信アンテナTx#5、Tx#6、及び、受信アンテナRx#1,Rx#2の配置から、図20の(b)に示すような仮想受信アンテナ(又は、MIMO仮想アンテナ)の配置VA#1~VA#12が構成される。図20の(b)において、ビーム送信アンテナTx#5、Tx#6に基づいて得られる仮想アンテナ配置は、VA#9,VA#11,VA#10,及びVA#12に相当する。
ここで、仮想受信アレーの配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ109の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、式(53)のように表されてよい。
図20の(b)に示すように、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置は、(Nt+NBF)=6,Na=2より、12素子の等間隔アレー配置となる。その一方で、図20の(a)と同様のアンテナ配置においてビーム送信アンテナを用いない場合に、図19の(b)と同様に等間隔配置を構成する場合(図示せず)、送信アンテナ数Nt=4、受信アンテナ数Na=2より、仮想受信アンテナ配置は8素子の等間隔アレー配置となる。
このように、ドップラ多重数NDMの増加により、ビーム送信アンテナ数を増加できるので、仮想受信アンテナ数をより増大できる。また、符号化部107がドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数を均一に設定することで、レーダ装置10では、全ての送信アンテナ109が何れかのビーム送信アンテナに用いられるので、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数を不均一に設定する場合と比較して、ビーム送信アンテナ数を増加しやすい。換言すると、ビーム送信アンテナ数を増加するための送信アンテナ109の数を低減できる。
例えば、符号多重数NCM=2とし、ビーム送信アンテナ数NBF=1とするためには、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数が不均一に設定される場合には送信アンテナ数Nt>2が条件となる一方、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数が均一に設定される場合には送信アンテナ数Nt=2でも可能となる。
このようなドップラ多重数NDMの増加に伴うビーム送信アンテナ数の増加により、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置は、仮想受信アンテナの開口長をさらに拡大でき、角度分解能をより向上できる。また、仮想受信アンテナが密に配置されることにより、サイドローブの上昇を抑制し、角度分解能の向上を図ることができる。
なお、図20に示す例では、ビーム送信アンテナ数NBF=2の場合を示すが、ビーム送信アンテナ数NBFは、これに限定されない。例えば、送信アンテナ109の増加により、多くのビーム送信アンテナ数を設定可能となり、レーダ装置10の角度分解能の向上あるいはサイドローブレベルの抑圧を図ることができる。
また、図20では、水平方向に、複数の送信アンテナ109及び受信アンテナ202を配置する場合について示したが、送信アンテナ109及び受信アンテナ202の配置は、これに限定されない。例えば、送信アンテナ109及び受信アンテナ202の少なくとも一方は、垂直方向に配置されてもよく、水平方向及び垂直方向の面的に配置されてもよく、これらの場合でも同様の効果が得られる。なお、図20に示すアンテナは、レーダ装置10が有する複数のアンテナの一部であってよい。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1の動作に加え、ビーム送信アンテナの指向性を所定の方向に形成する指向性ウェイトを付加する方法(ビーム送信アンテナの指向性を制御する方法)について説明する。
[レーダ装置の構成]
図21において、実施の形態1(図1)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
レーダ装置20のレーダ送信部300において、位相回転量設定部105は、指向性ウェイト付加部301を備えてよい。
指向性ウェイト付加部301は、符号化部107から入力される、式(10)で示される第m番目の送信周期Trにおける各符号化ドップラ位相回転量ψ
ndop_code(ndm), ndm(m)のうち、ビーム送信アンテナに用いるndm
_BF番目の各符号化ドップラ位相回転量ψ
ndop_code(ndm_BF), ndm_BF(m)に対して、さらに、次式(69)に示す位相回転DIR
ndop_code(ndm_BF),ndm_BF(θ)及びTxCAL
ndop_code(ndm_BF),ndm_BFを付与した位相回転量DW
ndop_code(ndm_BF),ndm_BF(m)を、位相回転部108に出力する。
ここで、ピーク抽出部213には、OC_INDEXがnoc_BFとなる送信周期Trをビーム送信アンテナの送信タイミングとみなして、第noc_BF番目のドップラ解析部210の出力が入力される。noc_BFは、ビーム送信アンテナによる送信が行われるタイミング(送信周期)に対応する符号要素のインデックスを表す。ここで、noc_BFは、符号化部107で用いる符号長Locからなる符号多重数NCM個の直交符号系列符号要素のインデックスであるnoc=1,…,Locのうちの何れかの値である。
式(69)において、TxCALndop_code(ndm_BF),ndm_BFは、ndm_BF番目のドップラシフトDOPndm_BFを付与するNDOP_CODE(ndm_BF)個の送信アンテナTx#[1, ndm_BF]、送信アンテナTx#[2, ndm_BF]、…、送信アンテナTx#[NDOP_CODE(ndm_BF), ndm_BF]間の位相偏差(例えば、アンテナ又は給電線の線路長などの差によって生じる位相差)を補正する位相補正係数である。
また、式(69)において、angle[OCndop_code(ndm_BF)(noc_BF)]の項は、OC_INDEXがnoc_BFとなる場合の送信周期Trにおいて符号化部107で付与される符号OCndop_code(ndm_BF)(noc_BF)による位相回転の影響をなくして(換言すると、符号OCndop_code(ndm_BF)(noc_BF)による位相回転を基準位相とする。)指向性ウェイト形成するための位相補正係数である。
また、式(69)において、DIRndop_code(ndm_BF),ndm_BF(θ)は、ndm_BF番目のドップラシフトDOPndm_BFを付与するNDOP_CODE(ndm_BF)個の送信アンテナTx#[1, ndm_BF]、送信アンテナTx#[2, ndm_BF]、…、送信アンテナTx#[NDOP_CODE(ndm_BF), ndm_BF]に対して、所定の方向に指向性を向ける指向性ウェイト係数である。式(69)では、一例として方位θ方向に指向性を向ける指向性ウェイト係数を示すが、これに限定されず、仰角方向φあるいは、方位θ及び仰角方向φを含む2次元的に指向性方向を向ける指向性ウェイト係数を用いてもよい。
指向性ウェイト係数DIR
ndop_code(ndm_BF),ndm_BF(θ)は、ビーム送信アンテナとして用いるN
DOP_CODE(ndm
_BF)個の送信アンテナTx#[1, ndm
_BF]、送信アンテナTx#[2, ndm
_BF]、…、送信アンテナTx#[N
DOP_CODE(ndm
_BF), ndm
_BF]の配置に依存する。例えば、N
DOP_CODE(ndm
_BF)個の送信アンテナ109が素子間隔d
SAで直線状に配置され、送信ビーム方向をθ
TxBF方向に向ける場合、指向性ウェイト付加部301は、次式(70)のような指向性ウェイト係数DIR
ndop_code(ndm_BF),ndm_BF(θ
TxBF)を生成する。ここで、ndop_code(ndm_BF)=1, …, N
DOP_CODE(ndm
_BF)である。
ここで、λはレーダ送信信号の波長を示す。
なお、指向性ウェイト付加部301は、ビーム送信アンテナに使用されないndm番目の各符号化ドップラ位相回転量ψ
ndop_code(ndm), ndm(m)に対して、例えば、次式(71)のように、符号化部107から入力される、式(10)で示される第m番目の送信周期Trにおける各符号化ドップラ位相回転量ψ
ndop_code(ndm), ndm(m)をそのまま出力してよい。
Nt個の位相回転部108は、送信周期Tr毎に、レーダ送信信号生成部101から入力されるチャープ信号に対して、指向性ウェイト付加部301から入力されるDWndop_code(ndm),ndm(m)をそれぞれ付与する。位相回転部108のNt個の出力(例えば、符号化ドップラ多重信号と呼ぶ)は、規定された送信電力に増幅後に、Nt個の送信アンテナ109(送信アレーアンテナ部とも呼ぶ)から空間に放射される。
図21に示すレーダ装置20のレーダ受信部200は、例えば、実施の形態1と同様の動作を行う。ここで、ピーク抽出部213は、OC_INDEXがnoc_BFとなる送信周期Trをビーム送信アンテナの送信タイミングとみなすため、CFAR部211から入力される距離インデックスfb_cfar及びドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarに対する第noc_BF番目のドップラ解析部210の出力を方向推定部214に出力する。この際、ピーク抽出部213は、例えば、符号化ドップラ多重分離部212から入力されるドップラ折り返し判定結果であるDrminを用いてよい。
以上のように、位相回転量設定部105に、指向性ウェイト付加部301を設けることにより、レーダ装置20は、ビーム送信アンテナの指向性を所定の方向に形成でき、所定方向の指向性利得を向上できる。これにより、例えば、ビーム送信アンテナの3dBビーム幅程度内をレーダ装置20の視野角とする場合に、レーダ装置20の検知距離を拡大できる。
なお、ビーム送信アンテナの3dBビーム幅程度内をレーダ装置20の視野角とする場合、レーダ装置20の検知距離を拡大できる効果が得られるため、CFAR部211への入力を、第noc_BF番目のドップラ解析部210の出力としてもよい。例えば、図22は、noc_BF=1を用いた場合、CFAR部211への入力を、ドップラ解析部210-1の出力のみとする例を示す図である。なお、noc_BF=1に限定されない。
図22において、CFAR部211は、次式(72)に示すように、第noc
_BF番目のドップラ解析部210の出力VFT
z
noc_BF(f
b, f
s)を電力加算したPowerFT(fb,fs)を算出する。以降は、実施の形態1と同様な受信処理を行う。
図22に示すように、ビーム送信アンテナの3dBビーム幅程度内をレーダ装置20の視野角とする場合、CFAR部211は、第noc_BF番目のドップラ解析部210の出力VFTz
noc_BF(fb, fs)を電力加算したPowerFT(fb,fs)を用いてCFAR処理が可能となるため、CFAR部211のピーク検出性能が向上する。例えば、ピーク検出率の向上、ピーク未検出率の低下が可能となる。
また、例えば、CFAR部211は、第noc_BF番目のドップラ解析部210の出力VFTz
noc_BF(fb, fs)を電力加算すればよいので、電力加算の演算処理量を低減できる。
なお、ビーム送信アンテナが複数ある場合、複数(例えば、全て)のビーム送信アンテナの送信タイミング(送信周期)を一致させてもよい。すなわち、隣り合う送信アンテナ109によってそれぞれ構成される複数のビーム送信アンテナ(例えば、第1ビーム送信アンテナと第2ビーム送信アンテナ)間では、レーダ送信信号の送信タイミングは同一でもよい。これにより、例えば、図22に示すように、1つのドップラ解析部210の出力によってCFAR検出が可能となり、CFAR処理性能を向上でき、かつ、CFAR部211における電力加算の演算処理量を低減できる。
例えば、ビーム送信アンテナが複数(例えば、2個)ある場合、指向性ウェイト付加部301は、符号化部107から入力される式(10)で示される第m番目の送信周期Trにおける各符号化ドップラ位相回転量ψ
ndop_code(ndm), ndm(m)のうち、ビーム送信アンテナに用いるndm
_BF1番目及びndm
_BF2番目の各符号化ドップラ位相回転量ψ
ndop_code(ndm_BF1), ndm_BF1(m)、ψ
ndop_code(ndm_BF2), ndm_BF2(m)に対し、さらに次式(73)のような位相回転量DW
ndop_code(ndm_BF1),ndm_BF1(m)、DW
ndop_code(ndm_BF2),ndm_BF2(m)を、位相回転部108に出力する。ここで、ピーク抽出部213は、OC_INDEXがnoc
_BFとなる送信周期Trを2つのビーム送信アンテナの送信タイミングとみなして第noc
_BF番目のドップラ解析部210の出力をピーク抽出部213の入力とする場合を示す。
または、ビーム送信アンテナが複数ある場合、複数(例えば、全て)のビーム送信アンテナの送信タイミング(送信周期)を一致させなくてもよい。すなわち、隣り合う送信アンテナ109によってそれぞれ構成される複数のビーム送信アンテナ(例えば、第1ビーム送信アンテナと第2ビーム送信アンテナ)間では、送信タイミングは異なってもよい。この場合、1つのドップラ解析部210の出力によるCFAR検出(例えば、図22の構成)を適用できないが、送信周期による受信電力変動が平滑化されるため、A/Dのダイナミックレンジを狭くでき、AD量子化ビット数を削減できる効果が得られる。
例えば、ビーム送信アンテナが複数(例えば、2個)ある場合、指向性ウェイト付加部301は、符号化部107から入力される式(10)で示される第m番目の送信周期Trにおける各符号化ドップラ位相回転量ψ
ndop_code(ndm), ndm(m)のうち、ビーム送信アンテナに用いるndm
_BF1番目及びndm
_BF2番目の各符号化ドップラ位相回転量ψ
ndop_code(ndm_BF1), ndm_BF1(m)、ψ
ndop_code(ndm_BF2), ndm_BF2(m)に対し、さらに次式(74)のような位相回転量DW
ndop_code(ndm_BF1),ndm_BF1(m)、DW
ndop_code(ndm_BF2),ndm_BF2(m)を、位相回転部108に出力する。ここで、ピーク抽出部213は、OC_INDEXがnoc
_BF1となる送信周期Tr及び、OC_INDEXがnoc
_BF2となる送信周期Trを2つのビーム送信アンテナそれぞれの送信タイミングとみなして第noc
_BF1番目のドップラ解析部210及び第noc
_BF2番目のドップラ解析部210の出力をピーク抽出部213の入力とする場合を示す。ここで、noc
_BF1、及びnoc
_BF2は、それぞれ符号化部107で用いる符号長Locからなる符号多重数N
CM個の直交符号系列符号要素のインデックスであるnoc=1,…,Locのうちの何れかの値であり、noc
_BF1≠noc
_BF2である。
また、ビーム送信アンテナが複数ある場合、ピーク抽出部213は、CFAR部211から入力される距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarに対するドップラ解析部210の少なくとも一つの出力を方向推定部214に出力する。この際、ピーク抽出部213は、符号化ドップラ多重分離部212から入力されるドップラ折り返し判定結果であるDrminを用いてよい。
ここで、ビーム送信アンテナが複数ある場合において、複数(例えば、全て)のビーム送信アンテナとなる送信周期を一致させる場合、例えば、OC_INDEXがnoc_BFとなる送信周期Trをビーム送信アンテナの送信タイミングとみなして第noc_BF番目のドップラ解析部210の出力をピーク抽出部213への入力とする。
例えば、第1番目(noc
_BF=1)のドップラ解析部210を用いる場合、ピーク抽出部213は、
を出力する。ここで、ndm
_BFは、1,…, N
DMの何れかの値であり、ndm
_BF番目のドップラ多重信号が割り当てられた複数の送信アンテナは、隣接した配置条件を満たすものである。
一方で、ビーム送信アンテナが複数ある場合において、ビーム送信アンテナとなる送信周期を一致させない場合、例えば、OC_INDEXががnoc_BF1及びnoc_BF2なる送信周期Trをビーム送信アンテナの送信タイミングとみなして第noc_BF1番目のドップラ解析部210及び第noc_BF2番目のドップラ解析部210からの出力のそれぞれをピーク抽出部213への入力とする。
なお、ビーム送信アンテナが複数ある場合にビーム送信アンテナの送信タイミングを一致させる場合又は一致させない場合の動作は、本実施の形態に係る構成(例えば、ビーム送信アンテナの指向性を制御する構成)に限定されず、例えば、実施の形態1に係る構成(例えば、上述した指向性制御を行わない構成)に適用してもよい。
例えば、図23は、実施の形態1において、ビーム送信アンテナが複数ある場合にビーム送信アンテナとなる送信周期を一致させない場合の動作を適用したレーダ装置10aの構成例を示すブロック図である。また、図24は、実施の形態2において、ビーム送信アンテナが複数ある場合にビーム送信アンテナとなる送信周期を一致させない場合の動作を適用したレーダ装置20aの構成例を示すブロック図である。
図23及び図24において、例えば、符号化ドップラ多重信号のうち、ndm
_BF1番目及びndm
_BF2番目の符号化ドップラ多重信号をビーム送信アンテナに用いる場合について説明する。例えば、noc
_BF1が第1番目のドップラ解析部210を用いてndm
_BF1番目のビーム送信アンテナの送信タイミングに対応し、noc
_BF2が第2番目のドップラ解析部210を用いてndm
_BF2番目のビーム送信アンテナの送信タイミングに対応する場合、ピーク抽出部213aは、
を方向推定部214へ出力する。
ここで、ndm_BFは、1,…, NDMの何れかの値であり、ndm_BF番目のドップラ多重信号が割り当てられた複数の送信アンテナは、隣接した配置条件を満たすものである。
なお、本実施の形態において、指向性ウェイト付加部301において、ビーム送信アンテナの指向性を所定の方向に形成する際の指向性は、複数の測定毎に一定方向に固定してもよく、測定毎に指向性を可変してもよい。測定毎に指向性を可変に設定する場合、指向性ウェイト付加部301における指向性ウェイト係数DIRndop_code(ndm_BF),ndm_BF(θ)を測定毎に異なるθ方向となる指向性ウェイト係数を用いることで、測定毎に指向性を可変することができる。
[アンテナの配置例2-1]
符号化ドップラ多重数を不均一に設定する場合のアンテナ配置の例について説明する。また、ビーム送信アンテナ数が複数である場合のアンテナ配置の例について説明する。
図25では、例えば、レーダ装置20において、多重送信に用いる送信アンテナ数がNt=5であり、ドップラ多重数NDM=3、NCM=2とし、符号長Loc=2の直交符号系列Code1={1,1}、Code2={1,-1}とし、符号化ドップラ多重数をNDOP_CODE(1)=2, NDOP_CODE(2)=2, NDOP_CODE(2)=1とする場合について説明する。なお、ビーム送信アンテナ数NBF=2とし、ビーム送信アンテナに用いるドップラ多重信号のインデックスとしてndm_BF1=1、及びndm_BF2=2を用いる。
図25では、例えば、水平方向に配置される5個の送信アンテナ109(Tx#1~Tx#5)は、左側のアンテナから、送信アンテナTx#[1, 1]、送信アンテナTx#[2, 1]、送信アンテナTx#[1, 2]、送信アンテナTx#[2, 2]、送信アンテナTx#[1, 3]である。図25では、2つの送信アンテナTx#1(Tx#[1, 1])及びTx#2(Tx#[2, 1])は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP1)を用いてレーダ送信信号を送信する。また、2つの送信アンテナTx#3(Tx#[1, 2])及びTx#4(Tx#[2, 2])は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP2)を用いてレーダ送信信号を送信する。よって、図25では、Tx#1及びTx#2によって1つのビーム送信アンテナが形成され、Tx#3及びTx#4によって1つのビーム送信アンテナが形成される。図25では、ビーム送信アンテナ数NBF=2である。以下では、Tx#1及びTx#2に基づくビーム送信アンテナを「Tx#6」と表記し、Tx#3及びTx#4に基づくビーム送信アンテナを「Tx#7」と表記することもある。
また、図25では、受信アンテナ数Naは2個(例えば、Rx#1, Rx#2)である。なお、受信アンテナ数Naは、2個に限定されず、例えば、3個以上でもよい。
例えば、隣り合うTx#1(Tx#[1, 1])とTx#2(Tx#[2, 1])とから、例えば等電力でレーダ送信信号が送信される場合、Tx#1及びTx#2の中点位置がビーム送信アンテナTx#6の位相中心となる(図25の(a)に示す×印)。また、例えば、隣り合うTx#3(Tx#[1, 2])とTx#4(Tx#[2, 2])とから、例えば、等電力でレーダ送信信号が送信される場合、Tx#3及びTx#4の中点位置がビーム送信アンテナTx#7の位相中心となる(図25の(a)に示す×印)。なお、ビーム送信アンテナを構成する各送信アンテナ109から、レーダ送信信号を等電力で送信しない場合は、各ビーム送信アンテナを構成する各送信アンテナ109の送信電力の比に応じた位置(各送信アンテナからの送信電力の重心位置)をサブアレーの位相中心としたビーム送信アンテナによる送信として扱うことができる。
図25の(a)に示すような送信アンテナTx#1~Tx#5及びビーム送信アンテナTx#6、Tx#7、及び、受信アンテナRx#1,Rx#2の配置から、図25の(b)に示すような仮想受信アンテナ(又は、MIMO仮想アンテナ)の配置VA#1~VA#14が構成される。図25の(b)において、ビーム送信アンテナTx#6に基づいて得られる仮想受信アンテナ配置はVA#11及びVA#12に相当し、ビーム送信アンテナTx#7に基づいて得られる仮想受信アンテナ配置はVA#13及びVA#14に相当する。
ここで、仮想受信アンテナ(仮想受信アレー)の配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ109の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、式(53)のように表されてよい。
図25の(b)に示すように、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置は、(Nt+NBF)=7,Na=2より、14素子の等間隔アレー配置となる。その一方で、図25の(a)と同様のアンテナ配置においてビーム送信アンテナを用いない場合に、図25の(b)と同様に等間隔配置を構成する場合(図示せず)、送信アンテナ数Nt=5、受信アンテナ数Na=2より、仮想受信アンテナ配置は10素子の等間隔アレー配置となる。
このように、ドップラ多重数NDMの増加により、ビーム送信アンテナ数を増加でき、仮想受信アンテナ数をより増大できるので、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置は、仮想受信アンテナの開口長をさらに拡大でき、角度分解能をより向上できる。また、仮想受信アンテナが密に配置されることにより、サイドローブの上昇を抑制し、角度分解能の向上を図ることができる。
なお、図25に示す例では、ビーム送信アンテナ数NBF=2の場合を示すが、ビーム送信アンテナ数NBFは2個に限定されない。例えば、送信アンテナ109の増加により、多くのビーム送信アンテナ数を設定可能となり、レーダ装置10の角度分解能の向上あるいはサイドローブレベルの抑圧を図ることができる。
また、図25では、水平方向に、複数の送信アンテナ109及び受信アンテナ202を配置する場合について示したが、送信アンテナ109及び受信アンテナ202の配置は、これに限定されない。例えば、送信アンテナ109及び受信アンテナ202の少なくとも一方は、垂直方向に配置されてもよく、水平方向及び垂直方向の面的に配置されてもよく、これらの場合でも同様の効果が得られる。なお、図25に示すアンテナは、レーダ装置20が有する複数のアンテナの一部であってよい。
[アンテナの配置例2-2]
サブアレーを用いた2次元のアンテナ配置例について説明する。また、符号化ドップラ多重数を均一に設定する場合のアンテナ配置の例について説明する。
図26では、例えば、レーダ装置20において、多重送信に用いる送信アンテナ数がNt=4であり、ドップラ多重数NDM=2、NCM=2とし、符号長Loc=2の直交符号系列Code1={1,1}、Code2={1,-1}とし、符号化ドップラ多重数をNDOP_CODE(1)=2, NDOP_CODE(2)=2とする場合について説明する。なお、ビーム送信アンテナ数NBF=2とし、ビーム送信アンテナに用いるドップラ多重信号のインデックスとしてndm_BF1=1、及びndm_BF2=2を用いる。
図26に示すように、複数の送信アンテナ109及び受信アンテナ202は水平及び垂直方向に配置される。
図26では、例えば、垂直方向の上段に配置される送信アンテナ109(Tx#1及びTx#2)は、左側のアンテナから、送信アンテナTx#[1, 1]及び送信アンテナTx#[2, 1]であり、垂直方向の下段に配置される送信アンテナ109(Tx#3及びTx#4)は、左側のアンテナから、送信アンテナTx#[1, 2]及び送信アンテナTx#[2, 2]である。
図26では、2つの送信アンテナTx#1(Tx#[1, 1])及びTx#2(Tx#[2, 1])は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP1)を用いてレーダ送信信号を送信する。また、図26では、2つの送信アンテナTx#3(Tx#[1, 2])及びTx#4(Tx#[2, 2])は、同一のドップラ多重(ドップラシフト量=DOP2)を用いてレーダ送信信号を送信する。よって、図26では、Tx#1及びTx#2によって1つのビーム送信アンテナが形成され、Tx#3及びTx#4によって1つのビーム送信アンテナが形成される。図26では、ビーム送信アンテナ数NBF=2である。以下では、Tx#1及びTx#2に基づくビーム送信アンテナを「Tx#5」と表記し、Tx#3及びTx#4に基づくビーム送信アンテナを「Tx#6」と表記することもある。
また、図26では、受信アンテナ数Naは8個(Rx#1~#8)である。なお、受信アンテナ数Naは、8個に限定されず、他の個数でもよい。
例えば、水平方向において隣り合うTx#1(Tx#[1, 1])とTx#2(Tx#[2, 1])とから例えば、等電力でレーダ送信信号が送信される場合、Tx#1及びTx#2の中点位置がビーム送信アンテナTx#5の位相中心となる(図26に示す×印)。また、例えば、水平方向において隣り合うTx#3(Tx#[1, 2])とTx#4(Tx#[2, 2])とから、例えば、等電力でレーダ送信信号が送信される場合、Tx#3及びTx#4の中点位置がビーム送信アンテナTx#6の位相中心となる(図26に示す×印)。なお、各ビーム送信アンテナを構成する送信アンテナ109から、レーダ送信信号を等電力で送信しない場合は、ビーム送信アンテナを構成する各送信アンテナ109の送信電力の比に応じた位置(各送信アンテナからの送信電力の重心位置)をサブアレーの位相中心としたビーム送信アンテナによる送信として扱うことができる。
また、送信アンテナ109は、例えば、図27に示すようなサブアレー構成のアンテナを用いてもよい。サブアレー構成のアンテナを用いることにより、アンテナの指向性利得を向上でき、レーダ装置20における検知性能(例えば、検知距離)を向上できる。例えば、図27に示す例では、4個の送信アンテナ109(Tx#1~Tx#4)のそれぞれは、平面パッチアンテナを縦に3素子、横に2素子並べた6素子のサブアレー構成である。なお、サブアレーの構成は、図27に示す構成に限定されない。
図26に示すような送信アンテナTx#1~Tx#4及びビーム送信アンテナTx#5、Tx#6、及び、受信アンテナRx#1~Rx#8の配置から、図28に示すような仮想受信アンテナ(又は、MIMO仮想アンテナ)の配置VA#1~VA#48が構成される。図28において、ビーム送信アンテナTx#5に基づいて得られる仮想受信アンテナ配置はVA#33~VA#40に相当し、ビーム送信アンテナTx#6に基づいて得られる仮想受信アンテナ配置はVA#41~VA#48に相当する。
ここで、仮想受信アンテナ(仮想受信アレー)の配置は、例えば、送信アレーアンテナを構成する送信アンテナ109の位置(例えば、給電点の位置)及び受信アレーアンテナを構成する受信アンテナ202の位置(例えば、給電点の位置)に基づいて、式(53)のように表されてよい。
図28に示すように、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナは、(Nt+NBF)=6,Na=8より、48素子のアレー配置となる。その一方で、図26と同様のアンテナ配置においてビーム送信アンテナを用いない場合の仮想受信アンテナ配置は、例えば、図29に示すように、送信アンテナ数Nt=4、受信アンテナ数Na=8より、32素子のアレー配置となる。
このように、ドップラ多重数NDMの増加により、ビーム送信アンテナ数を増加でき、仮想受信アンテナ数をより増大できるので、ビーム送信アンテナを用いた仮想受信アンテナ配置は、仮想受信アンテナの開口長をさらに拡大でき、角度分解能を向上できる。また、仮想受信アンテナが密に配置することにより、サイドローブの上昇を抑制し、角度分解能の向上を図ることができる。
なお、図26に示す例では、ビーム送信アンテナ数NBF=2の場合を示すが、ビーム送信アンテナ数NBFは2個に限定されない。例えば、送信アンテナ109の増加により、多くのビーム送信アンテナ数を設定可能となり、レーダ装置10の角度分解能の向上あるいはサイドローブレベルの抑圧を図ることができる。
以上、アンテナの配置例について説明した。
図30の(a)及び(b)は、方向推定部214の到来方向推定アルゴリズムにビームフォーマ法を用いた場合の方向推定結果(計算機シミュレーション結果)の一例を示す図である。
図30の(a)及び(b)では、ターゲット真値を、水平0度及び垂直0度とした場合の水平方向±90度範囲、及び、垂直方向±90度範囲における到来方向推定評価関数値の出力をプロットしている。なお、各アンテナの指向性は、無指向性として算出している。
例えば、図30の(a)は、図28に示すビーム送信アンテナを用いた48素子の仮想受信アンテナ配置(ただし、DH =0.5λ、DV =0.5λ)を用いた場合の方向推定結果の一例を示す図である。また、図30の(b)は、図30の(a)との比較のために、一例として、図29に示す送信アンテナ数Nt=4、受信アンテナ数Na=8より構成される32素子の仮想受信アンテナ配置(ただし、DH =0.5λ、DV =0.5λ)を用いた場合の方向推定結果の一例を示す図である。
図30の(b)では、ターゲット真値の水平0度及び垂直0度の方向と異なる他の方向において、サイドローブが水平方向及び垂直方向に発生している。例えば、図30の(b)では、水平方向により多くのサイドローブが発生している。これに対して、図30の(a)では、図30の(b)と比較して、ターゲット真値の水平0度及び垂直0度の方向と異なる他の方向のサイドローブ(例えば、水平方向のサイドローブ)のピークレベルが低減されていることが確認できる。例えば、図30の(a)では、水平0度及び垂直0度の方向のメインローブのピーク電力値に対する、水平0度及び垂直0度の方向と異なる方向のメインローブを除いた最も高い水平方向のサイドローブのピーク電力値の比(PSLR:peak to sidelobe ratio)は-13dB程度であり、図30の(b)では、水平方向のサイドローブのPSLRは-5dB程度である。よって、図30の(a)では、図30の(b)と比較して、PSLRの低減効果が高いことが確認できる。
このように、図26(又は図27)に示すMIMOアレー配置における素子サイズが1λ程度でも、ビーム送信アンテナを用いることにより、仮想受信アンテナにおいては、水平方向のグレーティングローブあるいはサイドローブの低減効果が得られる。なお、図26、図27に示すアンテナは、レーダ装置20が有する複数のアンテナの一部であってよい。
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
[他の実施の形態]
(1)上述した各実施の形態において、ドップラシフト設定部106は、例えば、直交符号系列の符号長Locに対応する送信周期の期間(例えば、Loc×Tr)において、ドップラシフト量DOPndmを付与するための位相回転量φndmを設定して、符号化部107へ出力する動作について説明した。ドップラシフト設定部106は、例えば、符号多重に用いる符号長Locからなる直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを可変に設定してもよい。換言すると、符号多重に用いる符号長Locからなる直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを付与する位相回転量を可変に設定してもよい。
例えば、ドップラシフト設定部106は、符号要素の送信周期(Loc×Tr)毎に異なる位相回転量φndm(noc)を付与してもよい。ここで、nocは符号要素のインデックスであり、noc=1,…,Locである。換言すると、第m番目の送信周期において、OC_INDEX=mod(m-1、Loc)+1に依存して、位相回転量φndm(OC_INDEX)を可変して付与してもよい。ここで、OC_INDEX=1,…,Locである。すなわち、同一のドップラシフト量DOPndmに相当する位相回転量φndm(noc)は、直交符号系列の符号要素に対応する送信周期毎に異なる。ここで、ndm=1,.., NDMである。換言すると、例えば、図12に示すTx#[1,1]、Tx#[2,1]は、直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMが異なる。
ドップラシフト設定部106は、例えば、図12に示すように、隣り合う送信アンテナのペアが同一のドップラシフト量の組み合わせが対応付けられている場合でなくても、直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMが異なるように設定してもよい。
また、ドップラシフト設定部106が設定したドップラシフト量を、位相回転部108が隣り合う送信アンテナ190のペアの同一の位相回転量(同一のドップラシフト量)として設定する場合、符号化部107は、符号化ドップラ多重数を同一の値にしてもよいし、異なる値にしてもよい。
符号多重に用いる符号長Locの直交符号の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを付与する位相回転量を可変に設定する方法の例として、以下の3つの方法が挙げられる。
<位相回転量可変方法1>
ドップラシフト設定部106は、例えば、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定と、最大等間隔ドップラシフト量設定と、に基づいて、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを付与する位相回転量において可変した位相回転量を設定してもよい。換言すると、直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを可変して設定してもよい。
例えば、符号多重数N
CM=2を用いる場合(符号長Loc=2の場合)に、ドップラシフト設定部106は、noc=1(あるいはOC_INDEX=1となる送信周期)では、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定(例えば、式(6))に基づき、noc=2(あるいはOC_INDEX=2となる送信周期)では、最大等間隔ドップラシフト量設定(例えば、式(5))に基づいて、ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DMを付与する位相回転量を可変に設定してもよい。換言すると、直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DMを可変して設定してもよい。この場合、符号要素の送信周期(Loc×Tr)毎の位相回転量φ
ndm(noc)は、例えば、次式(75)及び式(76)で表される。
<位相回転量可変方法2>
ドップラシフト設定部106は、例えば、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定に基づく場合に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを付与する位相回転量においてNintを可変に設定した位相回転量を用いてもよい。換言すると、直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを可変して設定してもよい。
例えば、符号多重数N
CM=2を用いる場合(符号長Loc=2の場合)に、ドップラシフト設定部106は、noc=1(あるいはOC_INDEX=1となる送信周期)では、等間隔ドップラシフト量設定(例えば、式(6))においてN
int=1に基づき、noc=2(あるいはOC_INDEX=2となる送信周期)では、等間隔ドップラシフト量設定(例えば、式(6))においてN
int=2に基づいて、ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DMを付与する位相回転量を可変に設定してもよい。換言すると、直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP
1、DOP
2,..,DOP
N_DMを可変して設定してもよい。この場合、符号要素の送信周期(Loc×Tr)毎の位相回転量φ
ndm(noc)は、例えば、次式(77)及び式(78)で表される。
<位相回転量可変方法3>
ドップラシフト設定部106は、例えば、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定に基づく場合に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを付与する位相回転量のインデックスを可変に設定してもよい。換言すると、直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを可変して設定してもよい。
例えば、符号多重数N
CM=2を用いる場合(符号長Loc=2の場合)に、符号要素の送信周期(Loc×Tr)毎の位相回転量φ
ndm(noc)は次式(79)及び式(80)で表される。ここで、noc=1,…,Locである。
式(79)及び式(80)を用いる場合、第1番目の符号要素を送信する送信周期のドップラシフト量のインデックス設定と、第2番目の符号要素を送信する送信周期のドップラシフト量のインデックス設定とは、インデックス(ndm)を1つ分シフトした設定となる。
なお、インデックスのシフト方法は、これに限定されず、他のシフト方法でもよい。例えば、インデックスのシフト方法が予め既知の場合、レーダ受信部200の符号化ドップラ多重分離部212にて分離処理が可能である。
以上、位相回転量を可変に設定する方法(換言すると、ドップラシフト量を可変に設定する方法)の例について説明した。
以下、一例として、符号多重に用いる符号長Locの直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを付与する位相回転量を可変に設定する場合(換言すると、直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを可変に設定する場合)、すなわち、符号要素に対応する送信周期(Loc×Tr)毎に異なる位相回転量φndm(noc)を付与する場合の動作について、実施の形態1と異なる動作について説明する。
なお、以下では、位相回転量φ
ndm(noc)を付与する際にN
int(noc)と表記する。例えば、位相回転量可変方法1における式(75)及び式(76)は、次式(81)及び式(82)のように表記される。
符号化部107は、例えば、ドップラシフト設定部106から入力されるN
DM個のドップラシフト量を付与する位相回転量に対して、直交符号系列に基づく位相回転量を設定する。例えば、符号化部107は、第m番目の送信周期Trにおいて、第ndm番目のドップラシフト量DOP
ndmを付与する位相回転量φ
ndm(OC_INDEX)に対して、式(10)の代わりに、次式(83)に示す符号化ドップラ位相回転量ψ
ndop_code(ndm), ndm(m)を設定して、位相回転部108に出力してもよい。ここで、ndop_code(ndm)=1,…, N
DOP_CODE(ndm)であり、ndm=1,.., N
DMである。
以降のレーダ送信部100の動作は実施の形態1と同様である。
次に、レーダ受信部200において、実施の形態1と異なる動作について説明する。
位相回転量可変方法1~3の何れにおいても最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定が適用されるため、CFAR部211は、以下のような処理を行ってよい。
例えば、位相回転量可変方法1を用いる場合、CFAR部211は、第1~第Na番目の信号処理部206のドップラ解析部210の出力VFTz
noc(fb, fs)のうち、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定に基づく位相回転量の設定に対応するnoc(あるいはOC_INDEX=nocとなる送信周期)に基づいて電力加算を行う。例えば、CFAR部211は、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定に基づく位相回転量の設定に対応するnoc(あるいはOC_INDEX=nocとなる送信周期)と等しいドップラ解析部210の出力VFTz
noc(fb, fs)を用いて電力加算を行ってもよい。
例えば、符号多重数N
CM=2の場合、noc=1(あるいはOC_INDEX=1となる送信周期)では、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定として式(6)を用い、noc=2(あるいはOC_INDEX=2となる送信周期)では、最大等間隔ドップラシフト量設定として式(5)を用いる場合、CFAR部211は、式(38)の代わりに、次式(84)のように、第1~第Na番目の信号処理部206のドップラ解析部210の出力VFT
z
1(f
b, f
s)を電力加算してもよい。
そして、CFAR部211は、例えば、電力加算値に基づいて、距離軸とドップラ周波数軸(相対速度に相当)とからなる2次元のCFAR処理、又は、1次元のCFAR処理を組み合わせたCFAR処理を行ってもよい。
また、例えば、位相回転量可変方法2を用いる場合、CFAR部211は、第1~第Na番目の信号処理部206のドップラ解析部210の出力VFTz
noc(fb, fs)のうち、一つのnoc(あるいはOC_INDEX=nocとなる送信周期)を用いて電力加算を行う。例えば、CFAR部211は、式(6)を用いる場合、Nintが最も小さい位相回転量設定に対応するnoc(あるいはOC_INDEX=nocとなる送信周期)を用いて電力加算を行ってもよい。例えば、式(6)を用いる場合、CFAR部211は、nocが、Nintが最も小さい位相回転量設定に対応するnoc(あるいはOC_INDEX=nocとなる送信周期)と等しいドップラ解析部210の出力VFTz
noc(fb, fs)を用いて電力加算を行ってもよい。
例えば、noc=1(あるいはOC_INDEX=1となる送信周期)が、式(6)においてN
intが最も小さい位相回転量設定に対応する場合(以下、この場合のN
intをN
intMINと表記する)、CFAR部211は、式(38)の代わりに、次式(85)のように、第1~第Na番目の信号処理部206のドップラ解析部210の出力VFT
z
1(f
b, f
s)を電力加算してもよい。
そして、CFAR部211は、例えば、電力加算値に基づいて、距離軸とドップラ周波数軸(相対速度に相当)とからなる2次元のCFAR処理、又は、1次元のCFAR処理を組み合わせたCFAR処理を行ってもよい。
上述した位相回転量可変方法1~3の何れにおいてもCFAR処理に用いる電力加算値PowerFT(fb, fs)は、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定として式(6)に示す位相回転量φndmを用いた等間隔ドップラシフト量設定を用いている。このため、ΔFD=Ncode/(NDM+Nint)の間隔でそれぞれNDM個のピークが検出されるため、CFAR部211は、ドップラ領域圧縮CFAR処理を適用できる。
例えば、次式(86)に示すように、CFAR部211は、ドップラシフト多重した各信号ピーク位置を合わせて電力加算し、ドップラ領域圧縮CFAR処理を行ってもよい。ここで、f
s_comp=-ΔFD/2,…,ΔFD/2-1=Ncode/{2(N
DM+N
int)},…,Ncode/{2(N
DM+N
int)}-1である。
なお、以下では、位相回転量可変方法2を用いる場合は、各式及び説明におけるNintの代わりに、「NintMIN」を用いる。
ただし、式(86)において、
の場合は、Ncodeを加えたドップラ周波数インデックスを用いる。
同様に式(86)において、
の場合は、更に、Ncodeを減算したドップラ周波数インデックスを用いる。
これにより、CFAR処理のドップラ周波数範囲を1/(NDM+Nint)に圧縮でき、CFAR処理量を削減でき、かつ、回路構成の簡易化を図ることができる。また、CFAR部211では、NDM個のドップラシフト多重した各信号を電力加算できるため、SNRを(NDM)1/2程度改善でき、レーダ装置10におけるレーダ検知性能を向上できる。
ドップラ領域圧縮CFAR処理を用いたCFAR部211は、例えば、適応的に閾値を設定し、閾値よりも大きい受信電力となる距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfar、及び、NDM個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)、nfd=1,…, NDM+Nintを符号化ドップラ多重分離部212に出力する。
以上、CFAR部211における動作例について説明した。
次に、図1に示す符号化ドップラ多重分離部212の動作例について説明する。なお、以下では、CFAR部211において、ドップラ領域圧縮CFAR処理を用いた場合の符号化ドップラ多重分離部212の処理の一例について説明する。
符号化ドップラ多重分離部212は、CFAR部211の出力である距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfar、及び、(NDM+Nint)個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)、nfd=1,…, (NDM+Nint)に基づいて、ドップラ解析部210の出力を用いて、符号化ドップラ多重送信された信号を分離し、送信アンテナ109の判別(換言すると、判定又は識別とも呼ぶ)、及び、ドップラ周波数(換言すると、ドップラ速度又は相対速度)の判別を行う。
上述したように、最大等間隔ドップラシフト量設定よりも狭い間隔の等間隔ドップラシフト量設定(例えば、式(6))を用いて、ドップラ多重信号に対する符号化ドップラ多重数が設定される場合、符号化ドップラ多重分離部212は、例えば、(1)折り返し判定を行い、(2)折り返し判定結果に基づいて、多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号のドップラ符号分離処理を行う。
以下、上述した符号化ドップラ多重分離部212における処理(1)及び(2)についてそれぞれ説明する。
<(1)折り返し判定処理(未使用の符号化ドップラ多重信号の検出処理)>
例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、折り返し判定において、ΔFD=Ncode/(NDM+Nint)の間隔でそれぞれNDM個のピークを検出する。例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、CFAR部211の出力である距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfar、及び、(NDM+Nint)個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)、nfd=1,…, (NDM+Nint)を用いて、ΔFDの間隔でそれぞれNDM個のピークを検出する。例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、(NDM+Nint)個のドップラ多重信号のドップラ周波数インデックス(fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)における受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)を用いて、多重送信に用いていないNint個の符号化ドップラ多重信号のドップラ周波数インデックスを検出する。これにより、符号化ドップラ多重分離部212は、±1/(2Loc×Tr)のドップラ範囲で折り返し判定を行う。
ここで、ドップラ多重送信に用いられないNint個の符号化ドップラ多重信号のドップラ周波数インデックスの検出は、受信電力情報PowerFT(fb_cfar, fs_comp_cfar+(nfd-ceil((NDM+Nint)/2)-1)×ΔFD)を用いて、以下のように行われてよい。
例えば、N
int=1の場合、符号化ドップラ多重分離部212は、次式(87)に示すように、各D
rの範囲のうち、受信電力PowerFT(f
b_cfar, f
s_comp_cfar+(D
r-ceil((N
DM+N
int)/2)-1)×ΔFD)が最小となるD
rを検出し、「D
r min」と表す。ここで、D
rはD
r=-ceil((N
DM+N
int)/2), …, ceil((N
DM+N
int)/2)-1の範囲の整数値をとる。
例えば、N
int>2の場合、符号化ドップラ多重分離部212は、各Drにおけるドップラ多重送信に用いられないN
int個の符号化ドップラ多重信号のドップラ周波数インデックスの相対的な位置関係は予め既知であることを利用して最小となるD
rを検出する。例えば、N
int>2の場合、符号化ドップラ多重分離部212は、次式(88)を用いて、各D
rの範囲のうち、受信電力が最小となるD
rを検出し、「D
r min」と表す。ここで、D
rはD
r=-ceil((N
DM+N
int)/2),…,ceil((N
DM+N
int)/2)-1の範囲の整数値をとる。ここで、F
nint(D
r)は、D
rにおけるドップラ多重送信に用いられない第nint番目の符号化ドップラ多重信号のドップラ周波数インデックスの相対的な位置関係を表すインデックスである。なお、F
nint(D
r)の表すインデックスは、ΔFDをインデックス間隔としている。ここで、nint=1、…、N
intである。
また、符号化ドップラ多重分離部212は、例えば、fb_cfar,fs_comp_cfarに対する受信信号に対する折り返し判定結果(例えば、fb_cfar、fs_comp_cfar、Drmin)をピーク抽出部213に出力する。
以上、折り返し処理の動作例について説明した。
<(2)多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号のドップラ符号分離処理>
符号化ドップラ多重分離部212は、折り返し判定結果に基づいて、多重送信に用いた符号化ドップラ多重信号の符号化ドップラ多重分離処理を行う。
例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、折り返し判定処理における折り返し判定結果であるDrminに基づいて、式(51)を適用することにより、多重送信に用いたDCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号の分離受信を行う。例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、式(51)を用いた分離処理を行うことにより、多重送信に用いたDCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号の分離受信を行うことができる。
なお、式(51)におけるVFTALL
z(f
b_cfar, f
s_comp_cfar, D
r,ndm)には、次式(89)が用いられてもよい。
式(89)において、FR(Dr, ndm,noc)は、ドップラ折り返し範囲Dr、noc、及びドップラシフト量DOP1 、DOP2、 …、 DOPN_DMを付与する位相回転量φndm(noc)が定まれば予め設定可能である。そのため、例えば、符号化ドップラ多重分離部212は、ドップラ折り返し範囲Dr、noc、及び位相回転量と、FR(Dr, ndm,noc)との対応関係をテーブル化し、ドップラ折り返し範囲Dr及び位相回転量に基づいて、FR(Dr, ndm,noc)を読み出してもよい。
折り返し判定処理にて、-1/(2LOC×Tr)以上、かつ、1/(2LOC×Tr)未満のドップラ範囲で、真のドップラ折り返し範囲であるインデックス(Drtrue)を判定できることから(換言すると、Drmin=Drtrueとなるように判定できることから)、符号化ドップラ多重分離部212においては、-1/(2LOC×Tr)以上、かつ、1/(2LOC×Tr)未満のドップラ範囲で、符号多重に使用している直交符号間の相関値をゼロとすることができ、符号多重信号間の干渉を抑圧した分離処理が可能となる。
以上のような符号分離処理によって、レーダ装置10は、ドップラ範囲±1/(2Loc×Tr)までを想定した折り返し判定結果に基づいて、多重送信に用いたDCI(ncm,ndm)が割り当てられている符号化ドップラ多重信号の分離受信できる。
また、DCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号は、送信アンテナTx#[ncm,ndm]から送信されるため、送信アンテナ109の判定も可能となる。換言すると、レーダ装置10は、送信アンテナTx#[ncm,ndm]から送信されたDCI(ncm,ndm)が割り当てられている符号化ドップラ多重信号を分離受信できる。
また、レーダ装置10は、例えば、符号化ドップラ多重分離処理時に、符号要素毎のドップラ解析部210の出力に対して、ドップラ折り返しを含めたドップラ位相補正(例えば、ドップラ位相補正ベクトルα(fs_comp_cfar, Dr)による位相補正を行う。これらの位相補正は、fs_comp_cfarに対するドップラ成分候補における各ドップラ成分に応じた位相変化を補正することに対応している。このため、符号多重信号間における相互干渉は、例えば、ノイズレベル程度にまで低減可能である。換言すると、レーダ装置10では、符号間干渉を低減でき、レーダ装置10における検出性能の劣化への影響を抑制できる。
以上、符号化ドップラ多重分離部212の動作例について説明した。
図1において、ピーク抽出部213は、CFAR部211から入力される距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarに対するドップラ解析部210の少なくとも一つの出力を方向推定部214に出力する。この際、ピーク抽出部213は、例えば、符号化ドップラ多重分離部212から入力されるドップラ折り返し判定結果であるDrminを用いてよい。
例えば、図1に示す例では、ピーク抽出部213は、第1番目のドップラ解析部210(ドップラ解析部210-1)の出力VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF,1)/(NDM+ Nint(1))))を方向推定部214へ出力する。ここで、ndm_BFは、1,…, NDMの何れかであり、ndm_BF番目のドップラ多重信号が割り当てられた複数の送信アンテナ109は、例えば、上述した隣接する配置の条件を満たす送信アンテナ109の組み合わせである。
図1において、方向推定部214は、符号化ドップラ多重分離部212から入力される距離インデックスfb_cfar、ドップラ周波数インデックスfs_comp_cfarに対する折り返し判定結果Drminに基づいて、送信アンテナTx#[ncm,ndm]から送信された、DCI(ncm,ndm)が割り当てられた符号化ドップラ多重信号の分離受信信号Yz(fb_cfar,fs_comp_cfar,Drmin, ncm,ndm)、及び、ピーク抽出部213から入力される一部のドップラ解析部210(図1では、ドップラ解析部210-1)からの出力に基づいて、ターゲットの方向推定処理を行う。
なお、以下では、一例として第1番目のドップラ解析部210からの出力VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF,1)/(NDM+Nint(1))))を用いる場合について説明するが、ピーク抽出部213からの出力はこれに限定されない。また、z=1,…,Naである。
例えば、方向推定部214は、符号化ドップラ多重分離部212及びピーク抽出部213の出力に基づいて、次式(90)に示すような仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)を生成し、方向推定処理を行う。
仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、送信アンテナ数Ntと受信アンテナ数Naとの積であるNt×Na個の要素を含み、更に、ビーム送信アンテナを用いることによる要素を含む。以下その詳細を説明する。
また、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、ピーク抽出部213から入力される一部のドップラ解析部210の出力(例えば、VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF,1)/(NDM+Nint(1)))))に基づく、同一のドップラ多重を用いて符号多重送信され、隣り合う送信アンテナ109によってサブアレーを構成して直交ビーム送信するビーム送信アンテナの要素を含む。
例えば、ビーム送信アンテナがNBF個ある場合、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、(Nt+NBF)×Na個の要素を含む。一例として、ビーム送信アンテナ数NBF=1の場合、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は次式(90)のように表される。式(90)では、ピーク抽出部213が第1のドップラ解析部210からの出力VFTz
1(fb_cfar, fs_comp_cfar+(NcodeFR(Drmin, ndm_BF,1)/(NDM+Nint(1))))を方向推定部214へ出力する例を示すが、これに限定されない。
また、符号化ドップラ多重分離部212の出力と、ピーク抽出部213の出力とでは、ノイズレベルが異なるので、正規化する係数を乗算した値を仮想受信アレー相関ベクトルh(f
b_cfar, f
s_comp_cfar)に用いてもよい。
仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)は、ターゲットからの反射波信号に対して各受信アンテナ202間の位相差に基づく方向推定を行う処理に用いる。
以降の動作は、実施の形態1における動作説明と同様なため、その説明を省略する。
以上のような動作により、ドップラシフト設定部106は、符号多重に用いる符号長Locの直交符号の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを付与する位相回転量を可変に設定してもよい。換言すると、直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを可変して設定してもよい。この場合でも、符号化ドップラ多重分離部212における折り返し判定処理にて、-1/(2Loc×Tr)以上、かつ、1/(2Loc×Tr)のドップラ範囲未満のドップラ範囲において、真のドップラ折り返し範囲であるインデックス(Drtrue)を判定できる。また、符号化ドップラ多重分離部212において、-1/(2Loc×Tr)以上、かつ、1/(2Loc×Tr)未満のドップラ範囲において、符号多重に使用している直交符号間の相関値をゼロとすることができ、符号多重信号間の干渉を抑圧した分離処理が可能となる。
また、実施の形態1と同様に、同一のドップラ多重(例えば、ドップラシフト量)を用いて符号多重送信し、隣接する送信アンテナ間でサブアレーを構成して直交ビーム送信するビーム送信アンテナがNBF個ある場合、レーダ装置10は、多重送信する送信アンテナ数を超える送信アンテナを利用できる。この場合、仮想受信アレー相関ベクトルh(fb_cfar, fs_comp_cfar)に、(Nt+NBF)×Na個の要素を含めることができるので、レーダ装置10において角度分解能の向上あるいはサイドローブレベルの抑圧を図ることができる。
以上、符号多重に用いる符号長Locからなる直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量を付与する位相回転量を可変に設定する動作の例について説明した。
なお、ここでは、一例として、ビーム送信アンテナを用いる場合(例えば、ドップラシフト量DOPndmと直交符号系列との複数の組み合わせのうち、複数の送信アンテナ109において隣り合う送信アンテナそれぞれに対応付けられる組み合わせでは、ドップラシフト量が同一である場合)について説明したが、これに限定されない。例えば、複数の送信アンテナ109において隣り合う送信アンテナそれぞれに対応付けられる組み合わせにおけるドップラシフト量が異なる場合において、直交符号系列の符号要素毎に、ドップラシフト量DOP1、DOP2,..,DOPN_DMを可変して設定してもよい。また、このとき、ドップラシフト量DOPndmと直交符号系列との複数の組み合わせにおいて、少なくとも1つのドップラシフト量DOPndmに対応付けられる直交符号系列による多重数(符号化ドップラ多重数)は、他のドップラシフト量に対応付けられる符号化ドップラ多重数と異なってよい(換言すると、不均一に設定されてよい)。または、このとき、ドップラシフト量DOPndmと直交符号系列との複数の組み合わせにおいて、ドップラシフト量DOPndmそれぞれに対応付けられる直交符号系列による多重数(符号化ドップラ多重数)は同一でよい(換言すると、均一に設定されてよい)。
(2)本開示の一実施例に係るレーダ装置において、レーダ送信部及びレーダ受信部は、物理的に離れた場所に個別に配置されてもよい。また、本開示の一実施例に係るレーダ受信部において、方向推定部と、他の構成部とは、物理的に離れた場所に個別に配置されてもよい。
(3)本開示の一実施例において用いた、送信アンテナ数Nt、受信アンテナ数Na、ドップラ多重数NDM、符号数NCM、ビーム送信アンテナ数NBFといったパラメータの数値は一例であり、それらの値に限定されない。
本開示の一実施例に係るレーダ装置は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、およびRAM(Random Access Memory)等の作業用メモリを有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。但し、レーダ装置のハードウェア構成は、かかる例に限定されない。例えば、レーダ装置の各機能部は、集積回路であるIC(Integrated Circuit)として実現されてもよい。各機能部は、個別に1チップ化されてもよいし、その一部または全部を含むように1チップ化されてもよい。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力端子と出力端子を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
<本開示のまとめ>
本開示の一実施例に係るレーダ装置は、送信信号を送信する複数の送信アンテナと、前記送信信号に対してドップラシフト量と符号系列とに対応する位相回転量を付与することにより、前記送信信号を前記複数の送信アンテナから多重送信する送信回路と、を具備し、前記複数の送信アンテナに対して、前記ドップラシフト量及び前記符号系列の少なくとも一方が異なる、前記ドップラシフト量と前記符号系列との組み合わせがそれぞれ対応付けられ、前記複数の送信アンテナにおいて隣り合う送信アンテナのペアには、複数の前記組み合わせのうち、前記ドップラシフト量が同一である組み合わせが、対応付けられる。
本開示の一実施例において、複数の前記組み合わせにおいて、前記ドップラシフト量それぞれに対応付けられる前記符号系列による多重数は同一である。
本開示の一実施例において、複数の前記組み合わせにおいて、少なくとも1つの前記ドップラシフト量に対応付けられる前記符号系列による多重数は、他の前記ドップラシフト量に対応付けられる前記符号系列による多重数と異なる。
本開示の一実施例において、前記送信信号がターゲットに反射した反射波信号を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の送信アンテナと、前記複数の受信アンテナと、前記複数の送信アンテナのうち前記隣り合う送信アンテナによって構成されるアンテナと、により構成される仮想受信アンテナを用いて、前記ターゲットの検知処理を行う受信回路と、を更に具備する。
本開示の一実施例において、前記送信回路は、前記隣り合う送信アンテナのペアによって構成されるアンテナの指向性を制御する。
本開示の一実施例において、前記隣り合う送信アンテナのペアである第1のアンテナと第2のアンテナとの前記送信信号の送信タイミングは、同一である。
本開示の一実施例において、前記隣り合う送信アンテナのペアである第1のアンテナと第2のアンテナとの前記送信信号の送信タイミングは、異なる。
本開示の一実施例において、前記隣り合う送信アンテナのペアに対応付けた同一の前記ドップラシフト量は、前記符号系列の符号要素を送信する送信周期毎に異なる。
本開示の一実施例において、前記送信アンテナは、サブアレー構成である。
本開示の一実施例に係るレーダ装置は、送信信号を送信する複数の送信アンテナと、前記送信信号に対してドップラシフト量と符号系列とに対応する位相回転量を付与することにより、前記送信信号を前記複数の送信アンテナから多重送信する送信回路と、を具備し、前記複数の送信アンテナに対して、前記ドップラシフト量及び前記符号系列の少なくとも一方が異なる、前記ドップラシフト量と前記符号系列との組み合わせがそれぞれ対応付けられ、複数の前記組み合わせにおいて、前記ドップラシフト量それぞれに対応付けられる前記符号系列による多重数は同一である。
本開示の一実施例に係るレーダ装置は、送信信号を送信する複数の送信アンテナと、前記送信信号に対してドップラシフト量と符号系列とに対応する位相回転量を付与することにより、前記送信信号を前記複数の送信アンテナから多重送信する送信回路と、を具備し、前記複数の送信アンテナに対して、前記ドップラシフト量及び前記符号系列の少なくとも一方が異なる、前記ドップラシフト量と前記符号系列との組み合わせがそれぞれ対応付けられ、前記複数の送信アンテナにおいて隣り合う送信アンテナのペアに対応付けた同一の前記ドップラシフト量は、前記符号系列の符号要素を送信する送信周期毎に異なる。
本開示の一実施例において、複数の前記組み合わせにおいて、前記ドップラシフト量それぞれに対応付けられる前記符号系列による多重数は同一である。
本開示の一実施例において、複数の前記組み合わせにおいて、少なくとも1つの前記ドップラシフト量に対応付けられる前記符号系列による多重数は、他の前記ドップラシフト量に対応付けられる前記符号系列による多重数と異なる。