JP7528894B2 - フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
フェライト系ステンレス鋼 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7528894B2 JP7528894B2 JP2021144412A JP2021144412A JP7528894B2 JP 7528894 B2 JP7528894 B2 JP 7528894B2 JP 2021144412 A JP2021144412 A JP 2021144412A JP 2021144412 A JP2021144412 A JP 2021144412A JP 7528894 B2 JP7528894 B2 JP 7528894B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- content
- temperature
- thermal fatigue
- steel
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
[1]質量%で、
C:0.020%以下、
Si:0.05~1.00%、
Mn:0.05~1.30%、
P:0.050%以下、
S:0.010%以下、
Al:1.5~4.0%、
N:0.020%以下、
Cr:12.0~25.0%、
Nb:0.50~0.80%、
Ti:0.03%未満、
Mo:1.5~3.0%、
Co:0.01~0.50%、
Ni:0.01~0.30%、
V:0.005~0.100%を含有し、
N含有量とV含有量の比(N/V)が、N/V≦1.0を満たし、かつ、
Ti含有量とV含有量の比(Ti/V)が、Ti/V≦1.0を満たし、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するフェライト系ステンレス鋼。
[2]さらに、質量%で、
B:0.0002~0.0050%、
Zr:0.005~0.30%、
Cu:0.01~2.00%、
W:0.01~3.00%、
Sb:0.01~0.50%、
Sn:0.01~0.50%
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する[1]に記載のフェライト系ステンレス鋼。
[3]さらに、質量%で、
Ca:0.0002~0.0050%、
Mg:0.0002~0.0050%
のうちから選ばれる1種または2種を含有する[1]または[2]に記載のフェライト系ステンレス鋼。
Cは、鋼の強度を高めるのに有効な元素であるが、0.020%を超えてCを含有すると、靭性および成形性の低下が顕著となる。よって、C含有量は0.020%以下とする。なお、C含有量は、成形性を確保する観点からは0.010%以下とすることが好ましい。また、排気系部材としての強度を確保する観点からは、C含有量は0.001%以上とすることが好ましい。より好ましくは、C含有量は0.003%以上とする。また、より好ましくは、C含有量は0.008%以下とする。
Siは、耐酸化性向上のために必要な重要元素である。高温化した排ガス中での耐酸化性を確保するためには0.05%以上のSiの含有が必要である。一方、本発明のようにAlを多く含有する鋼においては、1.00%を超える過剰のSiの含有は、室温における加工性を低下させるのみならず、却って酸化スケールが剥離しやすくなるため、Si含有量の上限は1.00%とする。好ましくは、Si含有量は0.10%以上とする。また、好ましくは、Si含有量は0.50%以下とする。さらに好ましくは、Si含有量は0.30%以下とする。
Mnは、酸化スケールの耐剥離性を高める効果を有する。これらの効果を得るためには、0.05%以上のMnの含有が必要である。一方、Mnの1.30%を超える過剰な含有は、酸化スケールが異常に成長しやすくなり耐酸化性を低下させるのみならず、高温においてγ相を形成しやすくなるため、熱疲労特性が低下しやすくなる。また、常温において鋼を硬質化させるため、加工性も低下させる。よって、Mn含有量は0.05%以上1.30%以下とする。好ましくは、Mn含有量は0.10%以上とする。また、好ましくは、Mn含有量は1.00%以下とする。また、より好ましくは、Mn含有量は0.30%以下とする。
Pは、鋼の靭性を低下させる有害な元素であり、可能な限り低減することが望ましい。よって、P含有量は0.050%以下とする。好ましくは、P含有量は0.040%以下である。より好ましくは、P含有量は0.030%以下である。なお、P含有量の下限は特に限定されない。ただし、過度の脱Pはコストの増加を招くので、P含有量は0.005%以上が好ましい。
Sは、伸びやr値を低下させ、成形性に悪影響を及ぼすとともに、ステンレス鋼の基本特性である耐食性を低下させる有害元素でもあるため、できる限り低減することが望ましい。よって、本発明では、S含有量は0.010%以下とする。好ましくは、S含有量は0.005%以下である。なお、S含有量の下限は特に限定されない。ただし、過度の脱Sはコストの増加を招くので、S含有量は0.0005%以上が好ましい。
Alは、高温変形(クリープ)を抑制し、熱疲労特性と高温疲労特性を向上させるのに必要不可欠な元素である。使用温度が高温になるほど高温変形により熱疲労特性および高温疲労特性が低下するため、Alは排ガス温度が高温化する趨勢において重要な要素である。また、Alは鋼の耐酸化性を向上させる効果も有する。さらに、本発明のようにMoを含有する鋼においては、Alは熱疲労試験中のMoを含む第二相(σ相)の析出を抑制して熱疲労特性を向上させる効果も有する。第二相が析出すると、固溶Mo量の減少により、後述するような固溶強化効果が得られなくなるのみならず、短時間で第二相が粗大化して亀裂発生の起点となってしまい、高温疲労特性が低下する。さらに、Alは高温における局所変形(マイクロネッキング)を抑制する効果を有する。局所変形が抑制されると、部品の形状的に応力が集中した部分の優先的な破壊を防止することができ、早期の貫通破断を回避することが出来る。このことは、高温引張試験における最大引張強度と伸びで評価することができ、通常、最大引張強度が大きくなるほど伸びは低下するが、Alを含有すると、最大引張強度が高くなるにもかかわらず、伸びも増加する。その効果を得るためには、Alが鋼中に固溶していることが必要であり、後述するVとともにAlを含有することでより発揮される。最大引張強度が高いまま、高温伸びが増加すれば、熱疲労試験において熱疲労寿命のみならず熱疲労破断寿命も増加することができる。これらの効果を得るためにAlは1.5%以上の含有が必要である。一方、Alは熱膨張係数を高める欠点もあり、4.0%を超えてAlを含有すると、鋼が著しく硬質化して加工性が低下してしまう。これらより、Al含有量は1.5~4.0%とする。好ましくは、Al含有量は2.0%以上である。また、好ましくは、Al含有量は3.5%以下である。より好ましくは、Al含有量は2.8%以下である。
Nは、鋼の靭性および成形性を低下させる元素であり、0.020%を超えて含有すると、靭性および成形性の低下が顕著となる上、粗大なAlNの析出により上述したAl添加による効果が得られなくなる。よって、N含有量は0.020%以下とする。なお、Nは、靭性、成形性を確保する観点からは、できるだけ低減することが好ましく、N含有量は0.010%未満とすることが望ましい。なお、N含有量の下限は特に限定されない。ただし、過度の脱Nはコストの増加を招くので、N含有量は0.004%以上が好ましい。
Crは、ステンレス鋼の特徴である耐食性、耐酸化性を向上させるのに有効な重要元素である。Cr含有量が12.0%未満では、高温化する排ガス中で十分な耐酸化性が得られない。耐酸化性が不十分であると、酸化スケール生成量が多くなり、素材の断面積の減少に伴い熱疲労特性も低下する。また、酸化スケールが増大することにより、き裂が発生しやすくなるため、高温疲労特性も低下する。一方、Crは、室温において鋼を固溶強化し、加工性を低下させる元素であり、Cr含有量が25.0%を超えると、上記弊害が顕著となるため、Cr含有量の上限は25.0%とする。好ましくは、Cr含有量は15.0%以上である。より好ましくは、Cr含有量は18.0%以上である。また、好ましくは、Cr含有量は21.0%以下である。より好ましくは、Cr含有量は20.0%以下である。さらに好ましくは、Cr含有量は19.0%以下である。
Nbは、CおよびNと炭窒化物を形成してCおよびNを固定し、耐食性、成形性および溶接部の耐粒界腐食性を高める作用を有するとともに、固溶強化により高温強度を上昇させて熱疲労特性と高温疲労特性を向上させる本発明に重要な元素である。本発明のように排ガス温度が高温化した場合にこのような効果を得るには、0.50%以上のNbの含有が必要となる。Nb含有量が0.50%未満の場合は、高温における強度が不足し、優れた高温引張特性(高温強度)が得られない。しかし、0.80%を超えるNbの含有は、鋼を硬質化し加工性が低下する。よって、Nb含有量は0.50%以上0.80%以下とする。好ましくは、Nb含有量は0.55%以上である。また、好ましくは、Nb含有量は0.70%未満である。より好ましくは、Nb含有量は0.60%未満である。
Tiを含有することにより、TiがNbよりも優先的にCおよびNと結びつき、粗大な析出物として鋼中に析出する。粗大なTiNやTiCが析出していると、き裂の起点となり高温疲労特性が低下する。さらに、高温での使用中にTiNやTiCの周囲にNbCやNbNが析出して、NbCやNbNの析出を促進させる。これにより、鋼中のNb固溶量が低下し、上述したNbの固溶強化効果が十分に得られなくなる。より優れた高温疲労特性を得るためには、Nbの固溶量を維持するために鋼中Ti量を低減することが重要となる。さらに本発明のように、Vを添加する鋼においては、Vの添加効果を確保するため、Ti含有量を0.03%未満に規制する必要がある。好ましくは、Ti含有量は0.020%未満である。さらに好ましくは、0.010%以下である。Ti含有量の下限は低い方が好ましく、Tiを含まなくても(0%でも)よい。
Moは、鋼中に固溶し鋼の高温強度を向上させることで熱疲労特性、高温疲労特性を向上させる有効な元素である。本発明のように排ガス温度が高温化した場合にその効果を得るには1.5%以上のMoの含有が必要である。Mo含有量が1.5%未満の場合は高温強度が不十分となり、優れた熱疲労特性、高温疲労特性、高温引張特性(高温強度)が得られない。一方、過剰なMoの含有は、鋼を硬質化させて加工性を低下させてしまう。よって、Mo含有量の上限は3.0%とする。好ましくは、Mo含有量は2.0%以上である。また、好ましくは、Mo含有量は2.5%以下である。
Coは、鋼の靭性向上に有効な元素として知られている。さらに、本発明ではAl含有により増加した熱膨張係数を低減して、熱疲労特性を向上させる元素として重要な元素でもある。これらの効果を得るためには、Co含有量は0.01%以上とする。一方、過剰なCoの含有は鋼の靭性を却って低下させるのみならず、加工性を低下させてしまうため、Co含有量の上限は0.50%とする。好ましくは、Co含有量は0.03%以上である。また、好ましくはCo含有量は0.30%未満である。さらに好ましくは、Co含有量は0.10%未満である。
Niは、鋼の靭性および耐酸化性を向上させる元素である。これらの効果を得るためには、Ni含有量は0.01%以上とする。耐酸化性が不十分であると、酸化スケールの生成量が多くなることによる素材断面積の減少や、酸化スケールの剥離により、熱疲労特性も低下する。しかし、Niは、強力なγ相形成元素であるため、過剰なNiの含有は、高温でγ相を生成し、耐酸化性と熱疲労特性を低下させる。また、耐酸化性が低下することにより、酸化スケールが増大してき裂の起点となるため、もしくは酸化スケールが剥離してき裂の起点となるため、高温疲労特性も低下する。よって、Ni含有量の上限は0.30%とする。好ましくは、Ni含有量は0.05%超えである。また、好ましくは、Ni含有量は0.30%未満である。より好ましくは、Ni含有量は0.20%未満である。
Vは、鋼の加工性向上に有効な元素であるとともに、耐酸化性の向上にも有効な元素である。本発明においては、Alが局所変形(マイクロネッキング)を抑制する効果を発揮するためにも必要な元素である。Vを添加することにより、Vが鋼中のNと結びついて微細な窒化物として析出する。これにより、AlがNと結びついて粗大な窒化物となることを抑制する。Alが粗大なAlNを形成すると、鋼中の固溶Al量が低下し、上述したAl添加による局所変形抑制(高温引張特性向上)効果が十分に得られなくなる。上述したTiもNと結びついて窒化物を形成しやすい元素であるが、TiNは粗大であるため、Tiが粗大なTiNを形成すると高温疲労特性の低下を招く。このような粗大な窒化物形成の抑制効果は、V含有量が0.005%以上で顕著となる。よって、V含有量は0.005%以上とする。しかし、0.100%を超える過剰なVの含有は、粗大なV(C、N)の析出を招き、靭性を低下させるのみならず、優れた熱疲労特性(熱疲労破断寿命)が得られない。よって、V含有量は0.100%以下とする。好ましくは、V含有量は0.010%以上である。また、好ましくは、V含有量は0.050%以下である。より好ましくは、V含有量は0.030%以下である。
上述したように、VはNと結びついて微細な窒化物として析出することで、粗大なAlNの形成を防止する。AlNの形成を防止するには、Vを上述したように0.005~0.100%の範囲で含有させるとともに、N含有量とV含有量の比(N/V)を、N/V≦1.0となるようにすることが必要となる。N/V>1.0の場合、NはVだけでなくAlと結びつくようになり、所期したAlの局所変形抑制(高温引張特性向上)効果が得られなくなる。したがって、本発明において、VとNは、N/V≦1.0を満たすように含有する。好ましくは、N/V≦0.7である。さらに好ましくはN/V≦0.5である。
Bは、鋼の加工性、特に二次加工性を向上させるために有効な元素である。このような効果は、0.0002%以上のBの含有で得ることができる。一方、過剰なBの含有は、BNを生成して加工性を低下させる。よって、Bを含有する場合は、B含有量は0.0002~0.0050%とする。好ましくは、B含有量は0.0005%以上である。また、好ましくは、B含有量は0.0020%以下である。より好ましくは、B含有量は0.0010%以下である。
Zrは耐酸化性を向上させる元素であり、本発明では、必要に応じて含有することができる。この効果を得るためには、Zr含有量を0.005%以上とすることが好ましい。しかし、Zr含有量が0.30%を超えると、Zr金属間化合物が析出して、鋼を脆化させる。よって、Zrを含有する場合は、Zr含有量は0.005~0.30%とする。
Cuは鋼の耐食性や600℃近傍の高温強度を向上させる効果を有する元素であり、必要に応じて含有することができる。その効果は0.01%以上のCuの含有で得られる。一方で2.00%を超えてCuを含有すると、酸化スケールが剥離しやすくなり、耐繰り返し酸化特性が低下する。そのため、Cuを含有する場合は、Cu含有量は0.01~2.00%とする。好ましくは、Cu含有量は0.30%以上である。より好ましくは、Cu含有量は1.00%以上である。また、好ましくは、Cu含有量は1.50%以下である。
Wは、Moと同様に固溶強化により高温強度を大きく向上させる元素である。この効果は0.01%以上のWの含有で得られる。一方、Wの過剰な含有は鋼を著しく硬質化するのみならず、製造時の焼鈍工程において強固なスケールが生成するため、酸洗時の脱スケールが困難になる。よって、Wを含有する場合は、W含有量は0.01~3.00%とする。好ましくは、W含有量は0.30%以上である。より好ましくは、W含有量は1.00%以上である。また、好ましくは、W含有量は2.00%以下である。より好ましくは、W含有量は1.50%以下である。
Sbは、鋼の靭性を向上させる効果を有する元素であり、本発明のように合金元素が多い場合、合金元素が多くなるほど鋼の靭性が低下し、部品への加工時等に割れが生じてしまう場合があるため、必要に応じて含有する。その効果は0.01%以上の含有で得られる。一方、Sbの過剰な添加は却って靭性を低下させるため、Sb含有量は0.50%を上限とする。よって、Sbを含有する場合は、Sb含有量は0.01~0.50%とする。好ましくは、Sb含有量は0.03%以上である。また、Sb含有量は好ましくは、0.30%以下である。
Snは、鋼の耐食性や高温強度を向上させる効果を有する元素であり、必要に応じて含有する。その効果は0.01%以上のSnの含有で得られる。一方、Snの過剰な添加は鋼の加工性を低下させるため、Sn含有量は0.50%を上限とする。よって、Snを含有する場合は、Sn含有量は0.01~0.50%とする。好ましくは、Sn含有量は0.03%以上である。また、好ましくは、Sn含有量は0.30%以下である。
Caは、連続鋳造の際に発生しやすい介在物析出によるノズルの閉塞を防止するのに有効な成分である。Ca含有量が0.0002%以上でその効果が得られる。一方、表面欠陥を発生させず良好な表面性状を得るためには、Ca含有量は0.0050%以下とする必要がある。従って、Caを含有する場合は、Ca含有量は0.0002~0.0050%とする。好ましくは、Ca含有量は0.0005%以上である。また、好ましくは、Ca含有量は0.0030%以下である。より好ましくは、Ca含有量は0.0020%以下である。
Mgは、スラブの等軸晶率を向上させ、加工性や靭性の向上に有効な元素である。本発明のようにNbを含有する鋼においては、MgはNbの炭窒化物の粗大化を抑制する効果も有する。その効果は0.0002%以上のMgの含有で得られる。Nb炭窒化物が粗大化すると、Nbの鋼中固溶量が低下するため、熱疲労特性の低下に繋がる。一方、Mg含有量が0.0050%超えとなると、鋼の表面性状を悪化させてしまう。よって、Mgを含有する場合は、Mg含有量は0.0002~0.0050%とする。好ましくは、Mg含有量は0.0004%以上である。また、好ましくは、Mg含有量は0.0030%以下である。より好ましくは、Mg含有量は0.0020%以下である。
表1に示したNo.1~44の成分組成を有する鋼を真空溶解炉で溶製し、鋳造して50kg鋼塊とし、1170℃で加熱後、熱間圧延により35mm厚のシートバーとした。このシートバーから200mm長を切り出し、1150℃に加熱後、熱間圧延により板厚4.5mmの熱延板とし、1000~1150℃の範囲の温度で焼鈍後、研削し熱延焼鈍板とした。続いて、圧下率56%の冷間圧延を行い、1000~1150℃の温度で仕上げ焼鈍を行った後、板厚が2.0mmの冷延焼鈍板として、酸化試験(大気中連続酸化試験および大気中繰り返し酸化試験)、高温疲労試験、高温引張試験、室温引張試験および熱疲労試験に供した。なお、参考として、SUS444(No.25)についても、上記と同様にして冷延焼鈍板を作製し、酸化試験、高温疲労試験、高温引張試験、室温引張試験に供した。焼鈍温度については、上記温度範囲内で組織を確認しながら各鋼について温度を決定した。
上記のようにして得た各種冷延焼鈍板から30mm×20mmの試験片を切り出し、上部に4mmφの穴をあけ、表面および端面を#320のエメリー紙で研磨し、脱脂後、1100℃に加熱保持した大気雰囲気の炉内に吊り下げて、200時間保持した。試験後、試験片の質量を測定し、予め測定しておいた試験前の質量との差を求め、酸化増量(g/m2)を算出した。なお、試験は各2回実施し、酸化増量が多い方の値で評価した。なお、酸化増量には剥離したスケール分を含めて、以下のように評価した。
○:異常酸化もスケール剥離も発生しなかったもの
△:異常酸化は発生しないが、スケール剥離が生じたもの
×:異常酸化(酸化増量≧50g/m2)が発生したもの
得られた結果を表1に示す。○を合格、△と×を不合格とした(表1中の連続酸化1100℃参照)。
上記のようにして得た各種冷延焼鈍板から30mm×20mmの試験片を切り出し、上部に4mmφの穴をあけ、表面および端面を#320のエメリー紙で研磨し、脱脂後、大気中1100℃の炉内で20分保持と200℃以下で1分保持を繰り返す熱処理を400サイクル繰り返した。試験後、試験片の質量を測定し、予め測定しておいた試験前の質量との差を求め、酸化増量(g/m2)を算出し、かつ酸化スケールの剥離の有無を目視で確認した。なお、試験は各2回実施し、酸化増量はその多い方の値で評価し、酸化スケールの剥離は2つのうち剥離が顕著な試験片で評価した。
○:異常酸化もスケール剥離も発生しなかったもの
△:異常酸化は発生しないが、スケール剥離が生じたもの
×:異常酸化(酸化増量≧50g/m2)が発生したもの
得られた結果を表1に示す。○を合格、△と×を不合格とした(表1中の繰返酸化1100℃参照)。
上記のようにして作製した各種冷延焼鈍板から、機械加工により図1に示す形状の試験片を作製した。試験は950℃で行い、昇温後30分保持してから開始した。試験片に応力振幅50MPaを応力比-1で繰り返し付与し、破断までの曲げ回数(破断サイクル数)を測定した。回転速度は1300rpm(22Hz)とした。結果は以下の通り評価した。
○:1.0×106サイクル以上(合格)
×:1.0×106サイクル未満(不合格)
得られた結果を表1に示す。○を合格、×を不合格とした(表1中の高温疲労950℃参照)。なお、高温疲労判定基準が〇であれば、SUS444より優れた特性を有すると判断できる。
上記のようにして作製した各種冷延焼鈍板から、機械加工により図2に示す形状の試験片を作製した。標点間距離は50mmとした。試験は950℃に加熱後、15分保持してから開始した。引張速度は、5mm/minとした。引張試験後、破断部を突き合わせ、標点間距離を測定し、試験前の標点間距離50mmとの差分を50mmで割った値を伸び値El(%)として、最大引張強度TS(MPa)とともに記録した。
○:30MPa以上(合格)
×:30MPa未満(不合格)
○:100%以上(合格)
×:100%未満(不合格)
上記のように作製した冷延焼鈍板から、機械加工により長手方向が圧延方向に対して0°、45°、90°となるJIS 13B号引張試験片をそれぞれ作製した。標点間距離は50mmとした。これを用い、室温で引張速度10mm/minで引張試験を行った。引張試験後、破断部を突き合わせ、標点間距離を測定し、試験前の標点間距離50mmとの差分を50mmで割った値を伸び値El(%)として記録した。三方向の伸び値について測定した後、三方向平均の値を(El0°+2El45°+El90°)/4として算出し、以下の通り評価した。なお、室温は、一例として25℃である。
◎:30%以上(合格)
○:26%以上30%未満(合格)
×:26%未満(不合格)
得られた結果を表1に示す。◎と○を合格、×を不合格とした(表1中の室温伸び参照)。なお、この評価で◎、〇であれば、加工性に優れると判断できる。
次に、上記で使用した残りのシートバーから100mm長を切り出し、1100℃に加熱後、熱間鍛造により30mm角の角棒とした。次いで、1000~1150℃の温度で焼鈍後、機械加工し、図3に示す形状、寸法の熱疲労試験片に加工し、下記の熱疲労試験に供した。焼鈍温度は、成分毎に組織を確認し再結晶が完了した温度とした。なお、参考として、SUS444の成分組成を有する鋼についても、上記と同様にして試験片を作製し、熱疲労試験に供した。
◎:1200サイクル以上(合格)
×:800サイクル未満(不合格)
○:300サイクル以上(合格)
×:300サイクル未満(不合格)
得られた結果を表1に示す。熱疲労判定基準(熱疲労寿命)が◎であり、かつ、熱疲労判定基準(熱疲労破断寿命)が〇であれば、SUS444より優れた特性を有すると判断できる(表1中の熱疲労寿命950℃および熱疲労破断寿命950℃参照)。
鋼No.27は、Mn含有量が1.30%超えであり、耐連続酸化性、耐繰り返し酸化性がいずれも不合格となり、室温伸びも不合格となった。
鋼No.28は、Alが1.5%未満であり、熱疲労特性(熱疲労寿命、熱疲労破断寿命)、高温疲労特性、高温引張特性(高温伸び)が不合格となった。
鋼No.29は、Ni含有量が0.30%超えであり、耐連続酸化性、耐繰り返し酸化性と熱疲労特性(熱疲労寿命、熱疲労破断寿命)と高温疲労特性、高温引張特性(高温強度、高温伸び)が不合格となった。
鋼No.30は、Nb含有量が0.50%未満であり、熱疲労特性(熱疲労寿命、熱疲労破断寿命)、高温疲労特性、高温引張特性(高温強度)が不合格となった。
鋼No.32は、Mo含有量が1.5%未満であり、熱疲労特性(熱疲労寿命、熱疲労破断寿命)、高温疲労特性、高温引張特性(高温強度)が不合格となった。
鋼No.33は、Co含有量が0.50%超えであり、室温伸び(加工性)が不合格となった。
鋼No.34は、V含有量が0.005%未満であり、高温引張特性(高温伸び)、熱疲労特性(熱疲労破断寿命)が不合格となった。
鋼No.35は、V含有量が0.100%超えであり、高温引張特性(高温伸び)、熱疲労特性(熱疲労破断寿命)が不合格となった。
鋼No.37は、Cr含有量が12.0%未満であり、耐連続酸化性、耐繰り返し酸化性、熱疲労特性(熱疲労寿命、熱疲労破断寿命)、高温疲労特性が不合格となった。
鋼No.38は、Cr含有量が25.0%超えであり、室温伸びが不合格となった。
鋼No.39は、Co含有量が0.01%未満であり、熱疲労特性(熱疲労寿命、熱疲労破断寿命)が不合格となった。
鋼No.40は、N/Vが1.0超えであり、高温引張特性(高温伸び)、熱疲労特性(熱疲労破断寿命)が不合格となった。
鋼No.42は、Nbが0.50%未満であり、高温引張特性(高温強度)、熱疲労特性(熱疲労破断寿命)が不合格となった。
鋼No.43は、Moが1.5%未満であり、高温引張特性(高温強度)、熱疲労特性(熱疲労破断寿命)が不合格となった。
鋼No.44は、Alが1.5%未満であり、高温引張特性(高温伸び)、熱疲労特性(熱疲労破断寿命)が不合格となった。
Claims (3)
- 質量%で、
C:0.020%以下、
Si:0.05~0.51%、
Mn:0.05~1.30%、
P:0.050%以下、
S:0.010%以下、
Al:2.0~4.0%、
N:0.020%以下、
Cr:18.0~21.0%、
Nb:0.50~0.80%、
Ti:0.03%未満、
Mo:1.5~3.0%、
Co:0.01~0.50%、
Ni:0.01~0.30%、
V:0.005~0.100%を含有し、
N含有量とV含有量の比(N/V)が、N/V≦1.0を満たし、かつ、
Ti含有量とV含有量の比(Ti/V)が、Ti/V≦0.5を満たし、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するフェライト系ステンレス鋼。 - さらに、質量%で、
B:0.0002~0.0050%、
Zr:0.005~0.30%、
Cu:0.01~2.00%、
W:0.01~3.00%、
Sb:0.01~0.50%、
Sn:0.01~0.50%
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有する請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼。 - さらに、質量%で、
Ca:0.0002~0.0050%、
Mg:0.0002~0.0050%
のうちから選ばれる1種または2種を含有する請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2021144412A JP7528894B2 (ja) | 2021-09-06 | 2021-09-06 | フェライト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2021144412A JP7528894B2 (ja) | 2021-09-06 | 2021-09-06 | フェライト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2023037686A JP2023037686A (ja) | 2023-03-16 |
| JP7528894B2 true JP7528894B2 (ja) | 2024-08-06 |
Family
ID=85514161
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2021144412A Active JP7528894B2 (ja) | 2021-09-06 | 2021-09-06 | フェライト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP7528894B2 (ja) |
Citations (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2020080104A1 (ja) | 2018-10-15 | 2020-04-23 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス鋼 |
| JP2023005308A (ja) | 2021-06-28 | 2023-01-18 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |
-
2021
- 2021-09-06 JP JP2021144412A patent/JP7528894B2/ja active Active
Patent Citations (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2020080104A1 (ja) | 2018-10-15 | 2020-04-23 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス鋼 |
| JP2023005308A (ja) | 2021-06-28 | 2023-01-18 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2023037686A (ja) | 2023-03-16 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP5700175B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼 | |
| JP6075349B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼 | |
| EP2474635B1 (en) | Ferritic stainless steel having excellent heat resistance | |
| JP5234214B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼 | |
| JP5900714B1 (ja) | フェライト系ステンレス鋼 | |
| JP6908179B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼 | |
| JP5152387B2 (ja) | 耐熱性と加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼 | |
| CN108026623B (zh) | 铁素体系不锈钢 | |
| KR101899230B1 (ko) | 페라이트계 스테인리스강 | |
| JP7468470B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
| JP6624347B1 (ja) | フェライト系ステンレス鋼 | |
| JP6624345B1 (ja) | フェライト系ステンレス鋼 | |
| JP7722299B2 (ja) | フェライト系ステンレス冷延焼鈍鋼板、その素材となる冷延鋼板および前記冷延焼鈍鋼板の製造方法 | |
| JP7528894B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼 | |
| JP7679825B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼 | |
| JP2024129726A (ja) | フェライト系ステンレス鋼およびその製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20230426 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20240417 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20240507 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20240530 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20240625 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20240708 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7528894 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
