JP7532861B2 - 熱伝導性シート - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導性シートに関する。より詳細には、電子材料用の熱伝導性シートに関する。
モーターや発電機、プリント配線基板、ICチップ等の電気機器は、電気を通すための導体と、絶縁材料とを含んで構成される。近年、これら電気機器は急速に小型化されつつあり、絶縁材料の性能を改善する要求が高まっている。特に、小型化に伴い高密度化した導体から発生する発熱量は著しく増大しており、絶縁材料においていかに熱を放散させるかが重要な課題となっている。
これまで各種の電気機器に配設される絶縁材料としては、絶縁性能の高さや成型の容易さから、有機樹脂を含む樹脂組成物が広く用いられている。しかし、一般的に樹脂組成物は熱伝導率が低く、電気機器における熱の放散を妨げる一要因となっている。したがって、高い熱伝導率を有する樹脂組成物が求められている。
樹脂組成物の高熱伝導率化を達成する方法として、高熱伝導性セラミックからなる無機充填材を樹脂組成物に充填してコンポジットとする方法がある。高熱伝導性セラミックとしては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、および窒化ケイ素等の例が知られている。特に絶縁性、熱伝導性、化学的安定性および価格の観点からアルミナや窒化ホウ素が使用されることが多く、これらの無機充填材を樹脂組成物に充填することにより、絶縁性と高熱伝導性との両立を図ることが検討されている。
また、樹脂組成物の高熱伝導率化を達成するその他の方法として、メソゲン骨格を有するモノマーを秩序的に配列させることで、樹脂そのものの高熱伝導化を図る手法が検討されている。メソゲン骨格とは、ビフェニル骨格などに代表される液晶性を発現するような剛直な部位をいう。例えば、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂は、分子間でスタッキングを起こして秩序的に分子が配列する。これを硬化剤により硬化したものを絶縁材料として用いることができる。特許文献1には、このようなメソゲン骨格を有するモノマーの一例として、液晶性を示すエポキシ化合物が掲載されている。
特開平11-323162号公報
上記の無機充填材を充填する樹脂組成物において、近年に要求されている高い熱伝導率を実現するには、無機充填材の充填量を多くする必要がある。無機充填材を高充填した樹脂組成物では、無機充填材表面と樹脂の相互作用により粘度が著しく上昇する。また、無機充填材を高充填した樹脂組成物では、無機充填材どうしが嵌合する頻度が高くなるために、流動性が著しく低下する。その結果、無機充填材を高充填した樹脂組成物を被着材に付与した場合に、被着材の表面構造の埋め込み不良による空孔、または塗工時に発生した気泡が生じて、電気機器の絶縁破壊の原因となったり、流動性が不足するために被着材への接着性が不足し、加工の過程で剥離したりするなどの問題が生じやすい。
また、メソゲン骨格を有するモノマーは一般に結晶化しやすく常温で固体であるため、汎用の樹脂と比べて取り扱いが困難である。更に、メソゲン骨格を有するモノマーを秩序的に配列させて樹脂組成物の高熱伝導率化を図る場合において無機充填材を高充填すると、流動性が著しく低下するという無機充填材に起因する上記の困難性が加わるためにいっそう成形が困難になる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、半硬化(Bステージ)状態のシート形状としたときの柔軟性と流動性に優れるため取扱いが容易であり、硬化物としたときに高い熱伝導性と高い絶縁性を示す熱伝導性シートを提供する。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、硬化物の状態において、特定の範囲の熱伝導率、体積抵抗率および耐屈曲性を有していれば、Bステージ状態のシートの取扱い性が容易であるとともに、硬化物が優れた熱伝導性および電気絶縁性を有するため、電気機器の絶縁材として好適に使用できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、窒化ホウ素粒子とを含む熱伝導性シートであって、
前記窒化ホウ素粒子が、当該熱伝導性シート全体に対し、55体積%以上80体積%以下であり、
前記エポキシ化合物が、式(1)で示される化合物を含み、
Figure 0007532861000001
式(1)において、R ~R は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~5のアルキル基であり、
前記式(1)で示される化合物の重量平均分子量が1000以上10000以下であり、
当該熱伝導性シートの硬化物の、JIS R 1611に準拠したレーザーフラッシュ法で測定される25℃における熱伝導率が、13W/(m・K)以上25W/(m・K)以下であり、
当該熱伝導性シートの硬化物の、JIS C 2139に準拠して測定される、25℃における体積抵抗率が、1×1010Ω・m以上1×1016Ω・m以下であり、175℃における体積抵抗率が、1×10Ω・m以上1×1012Ω・m以下であり、
JIS 5600-5-1に準拠した円筒形マンドレル法による当該熱伝導性シートの硬化物の耐屈曲性試験において、クラックが生じるマンドレルの直径が2mm以下である、熱伝導性シートが提供される。
本発明によれば、Bステージ状態のシート形態において柔軟性と流動性に優れるため取扱いが容易であり、硬化物としたときに高い熱伝導性と高い絶縁性を示す熱伝導性シートが提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本明細書中、「熱伝導性シート」は、樹脂組成物をシート状に成形し、半硬化(Bステージ化)したシート状樹脂組成物を指す。また、この熱伝導性シートを加熱処理により完全硬化したものを、「熱伝導性シートの硬化物」と称する。
本実施形態の熱伝導性シートは、分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、窒化ホウ素粒子とを含み、窒化ホウ素粒子は、当該熱伝導性シート全体に対し、55体積%以上80体積%以下の量である。本実施形態の熱伝導性シートは、その硬化物のJIS R 1611に準拠したレーザーフラッシュ法で測定される25℃における熱伝導率が、13W/(m・K)以上25W/(m・K)以下であり、その硬化物の、JIS C 2139に準拠して測定される、25℃における体積抵抗率が、1×1010Ω・m以上1×1016Ω・m以下であり、175℃における体積抵抗率が、1×10Ω・m以上1×1013Ω・m以下であり、JIS 5600-5-1に準拠した円筒形マンドレル法による当該硬化物の耐屈曲性試験において、クラックが生じるマンドレルの直径が10mm以下である。
本実施形態の熱伝導性シートは、その硬化物において、上述の熱伝導率、体積抵抗率および耐屈曲性を備えるため、電子部品の絶縁放熱材として好適に用いることができる。
本実施形態の熱伝導性シートの上記特性は、当該シートを構成するエポキシ樹脂および窒化ホウ素粒子の種類および配合量、用いる添加剤の種類および配合量、ならびに製造方法を調整することにより達成できる。
一実施形態において、熱伝導性シートは、式(1)で示される、重量平均分子量が1000以上10000以下のエポキシ化合物を含む。
Figure 0007532861000002
式(1)において、R~Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1~5のアルキル基である。炭素数1~5のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル等が挙げられる。中でも、R~Rは、熱伝導性の観点から、水素またはメチル基が好ましい。
式(1)のエポキシ化合物の重量平均分子量は、流動性の点から、1000以上15000であり、好ましくは、2000以上8000以下である。
式(1)のエポキシ化合物を用いることにより、窒化ホウ素粒子が55体積%以上配合された場合であっても、柔軟性と流動性に優れた熱伝導性シートを得ることができる。また、熱伝導性シートの硬化物は、高い熱伝導性を有し得る。
式(1)のエポキシ化合物は、熱伝導性シート全体に対して、例えば、1質量%以上30質量%以下の量である。式(1)のエポキシ化合物の配合量の下限値は、熱伝導性シート全体に対して、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上であり、さらにより好ましくは5質量%以上である。式(1)のエポキシ化合物の配合量の上限値は、熱伝導性シート全体に対して、好ましくは28質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらにより好ましくは20質量%以下であり、なおより好ましくは15質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下である。
本実施形態の熱伝導性シートは、上記エポキシ化合物に加え、エポキシ樹脂を含み得る。用いられ得るエポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、を用いることができる。エポキシ樹脂としては、室温で液状のエポキシ樹脂を使用することができる。このようなエポキシ樹脂としては、室温で液状のビフェノール骨格を有するエポキシ樹脂が好ましく用いられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることができる。エポキシ樹脂を用いる場合、その配合量は、熱伝導性シート全体に対して、2質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
一実施形態において、熱伝導性シートは、シアネート樹脂を含んでもよい。シアネート樹脂を含むことにより、得られる熱伝導性シートの硬化物の、高温での絶縁性が向上される。シアネート樹脂としては、ノボラック型シアネート樹脂;ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるナフトールアラルキル型シアネート樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂;ビフェニルアルキル型シアネート樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。シアネート樹脂を用いる場合、その使用量は、熱伝導性シート全体に対して、2質量%以上25質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態の熱伝導性シートは、さらにフェノキシ樹脂を含んでもよい。フェノキシ樹脂を用いることにより、熱伝導性シートの耐屈曲性を向上させることができる。フェノキシ樹脂としては、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等を用いることができるが、これらに限定されない。フェノキシ樹脂を用いる場合、樹脂伝導性シート全体に対して、0.5質量%以上10質量%以下の量で用いることが好ましい。
本実施形態に係る熱伝導性シートは、フェノール系硬化剤または硬化触媒を含むことが好ましい。特に、本実施形態の熱伝導性シートが、エポキシ樹脂を含む場合、硬化触媒またはフェノール系硬化剤を用いることが好ましい。フェノール系硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、アミノトリアジンノボラック樹脂、ノボラック樹脂、トリスフェニルメタン型のフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;レゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノール系硬化剤を用いる場合、その使用量は、熱伝導性シート全体に対して、0.1質量%以上30質量%が好ましく、0.3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
硬化触媒としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類;2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジエチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、1,2-ビス-(ジフェニルホスフィノ)エタン等の有機リン化合物;フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物;酢酸、安息香酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸;等、またはこの混合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化触媒を用いる場合、その使用量は、熱伝導性シート全体に対して、0.001質量%以上1質量%であることが好ましい。
本実施形態の熱伝導性シートは、さらに、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤を配合することにより、エポキシ樹脂と窒化ホウ素粒子との界面濡れ性を向上させることができる。カップリング剤としては、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤等を用いることができるが、これらに限定されない。カップリング剤を用いる場合、熱伝導性シート全体に対して、0.1質量%以上10質量%以下の量で用いることが好ましく、0.5質量%以上7質量%以下の量で用いることがより好ましい。
本実施形態の熱伝導性シートに用いられる窒化ホウ素粒子は、鱗片状窒化ホウ素の凝集粒子であることが好ましい。このような窒化ホウ素粒子を用いることにより、熱伝導性と絶縁性のバランスに優れた熱伝導性シートの硬化物を得ることができる。
鱗片状の窒化ホウ素粒子(一次粒子)は、長手方向長さ(鱗片の厚み方向に対する直交方向における最大長さ)の平均が、例えば、1~100μm、好ましくは、3~90μmであることが好ましい。また、窒化ホウ素粒子の長手方向長さの平均は、5μm以上、好ましくは、10μm以上、さらに好ましくは、20μm以上、とりわけ好ましくは、30μm以上、最も好ましくは、40μm以上であり、通常、例えば、100μm以下、好ましくは、90μm以下である。
また、この窒化ホウ素粒子の厚み(鱗片の厚み方向長さ、つまり、粒子の短手方向長さ)の平均は、例えば、0.01~20μm、好ましくは、0.1~15μmである。
また、この窒化ホウ素粒子のアスペクト比(長手方向長さ/厚み)は、例えば、2~10000、好ましくは、10~5000である。
窒化ホウ素粒子の光散乱法によって測定される平均1次粒子径は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上、さらに好ましくは、20μm以上、とりわけ好ましくは、30μm以上、最も好ましくは、40μm以上であり、通常、100μm以下である。
なお、光散乱法によって測定される平均1次粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置にて測定される体積平均粒子径である。窒化ホウ素粒子の光散乱法によって測定される平均1次粒子径が上記範囲に満たないと、得られる樹脂組成物の硬化物が脆くなり、取扱性が低下する場合がある。
本実施形態において、窒化ホウ素粒子は、熱伝導性シート全体に対して、55体積%以上80体積%以下の量で含まれ、より好ましくは、60体積%以上80体積%以下の量である。
本実施形態の熱伝導性シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、レベリング剤、破泡剤、分散剤等の添加剤を含み得る。
本実施形態の熱伝導性シートは、上記材料を含むワニス状の樹脂組成物を作製し、この樹脂組成物を基材に塗布し、熱処理して乾燥することにより得ることができる。より詳細には、まず、上記樹脂成分を溶媒に添加することにより、樹脂ワニスを作成する。この樹脂ワニス中に、窒化ホウ素粒子を添加して、混練することにより、ワニス状の樹脂組成物を得る。次いで、得られたワニス状の樹脂組成物を、基材上に塗布し、乾燥して溶媒を除去して、Bステージ状態のシート状の樹脂組成物を、熱伝導性シートとして得ることができる。基材としては、たとえば放熱部材やリードフレーム、剥離可能なキャリア材等を構成する金属箔が挙げられる。また、樹脂組成物を乾燥するための熱処理は、たとえば80~150℃、5分~1時間の条件において行われる。樹脂シートの膜厚は、たとえば60μm以上500μm以下である。
一実施形態において、上述のようにして得られたBステージ状態のシートは、150℃における粘度が400kPa・s以下であることが好ましい。
一実施形態において、上述のようにして得られたBステージ状態のシートは、実施例に記載の方法により測定されるフロー量が5%以上であることが好ましい。フロー量は、Bステージ状態のシートを所定の温度および圧力でプレスした際の、シートの変形量である。フロー量は、5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましい。フロー量の上限値は、例えば、50%以下であり、好ましくは、35%以下である。フロー量が上記範囲内であれば、柔軟性と流動性のバランスに優れるため取扱いが容易である。
上記範囲の粘度または溶融粘度を有するシートは、取扱い性に優れるとともに、その硬化物が優れた熱伝導性および絶縁性を備え得る。
本実施形態の熱伝導性シートは、たとえば、半導体チップ等の発熱体と当該発熱体を搭載するリードフレーム、配線基板(インターポーザ)等の基板との間、あるいは、当該基板とヒートシンク等の放熱部材との間に設けられる。これにより、半導体装置の絶縁性を保ちつつ、上記発熱体から生じる熱を、半導体装置の外部へ効果的に放散させることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下、実施形態の例を付記する。
1. 分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、窒化ホウ素粒子とを含む熱伝導性シートであって、
前記窒化ホウ素粒子が、当該熱伝導性シート全体に対し、55体積%以上80体積%以下であり、
当該熱伝導性シートの硬化物の、JIS R 1611に準拠したレーザーフラッシュ法で測定される25℃における熱伝導率が、13W/(m・K)以上25W/(m・K)以下であり、
当該熱伝導性シートの硬化物の、JIS C 2139に準拠して測定される、25℃における体積抵抗率が、1×10 10 Ω・m以上1×10 16 Ω・m以下であり、175℃における体積抵抗率が、1×10 Ω・m以上1×10 12 Ω・m以下であり、
JIS 5600-5-1に準拠した円筒形マンドレル法による当該熱伝導性シートの硬化物の耐屈曲性試験において、クラックが生じるマンドレルの直径が2mm以下である、熱伝導性シート。
2. 前記エポキシ化合物が、式(1)で示される化合物を含み、
前記式(1)で示される化合物の重量平均分子量が1000以上10000以下である、1.に記載の熱伝導性シート。
Figure 0007532861000003
(式(1)において、R ~R は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~5のアルキル基である。)。
3. 前記窒化ホウ素粒子が、球状または鱗片状である、1.または2.に記載の熱伝導性シート。
4. 150℃における粘度が400kPa・s以下である、1.~3.のいずれかに記載の熱伝導性シート。
5. フロー量が5%以上であり、
前記フロー量は、プレスする前の厚さが2mmの当該熱伝導性シートの直径をφ0、当該熱伝導性シートを、温度130℃、圧力10MPaで、5分間プレスした後の直径をφ1としたとき、以下の式:
フロー量(%)=[(φ1-φ0)/φ0]×100
により求められる、1.~4.のいずれかに記載の熱伝導性シート。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1~3、比較例1~4)
表1に示す配合に従い、エポキシ化合物、熱硬化性樹脂、硬化剤および硬化触媒とを溶媒であるメチルエチルケトンに添加し、これを撹拌して混合溶液を得た。次いで、この混合溶液に窒化ホウ素粒子を加えて予備混合した後、三本ロールにて混練し、窒化ホウ素粒子を均一に分散させたワニス状の熱硬化性樹脂組成物を得た。次いで、得られた熱硬化性樹脂組成物に対し、60℃、15時間の条件によりエージングを行った。
表1に示す成分は以下のとおりである。
(エポキシ化合物)
・エポキシ化合物1:以下式(1)の化合物(三菱ケミカル株式会社製、商品名「XY4000」、R~R=水素またはメチル基、n=20、分子量:3500)
Figure 0007532861000004
・エポキシ化合物2:式(1)の化合物(分子量:7900)
・エポキシ化合物3:式(1)の化合物(分子量:11000)
・エポキシ化合物4:式(1)の化合物(分子量:25000)
(熱硬化性樹脂)
・シアネート樹脂1:フェノールノボラック型シアネート樹脂(PT-30、ロンザジャパン株式会社製)
・エポキシ樹脂1:ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(XD-1000、日本化薬株式会社製)
(硬化剤)
・硬化剤1:トリスフェニルメタン型のフェノールノボラック樹脂(MEH-7500、明和化成株式会社製)
(硬化触媒)
・硬化触媒1:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(2PHZ-PW、四国化成株式会社製)
(窒化ホウ素粒子)
・窒化ホウ素粒子1:以下の方法で得られた窒化ホウ素粒子
炭化ホウ素を窒素雰囲気中で、例えば、1200~2500℃、2~24時間の条件で窒化処理する。次いで、得られた窒化ホウ素に三酸化二ホウ素を加え、これを非酸化性雰囲気中にて焼成することにより形成することができる。焼成温度は、例えば、1200~2500℃である。焼成時間は、例えば、2~24時間である。焼成後に得られた窒化ホウ素粒子を、窒化ホウ素粒子1とした。
(熱伝導率試験)
前述したワニス状の熱硬化性樹脂組成物を100℃、30分間熱処理することにより膜厚が400μmのBステージ状の熱伝導性シートを作製した。次いで、上記熱伝導性シートを180℃、10MPaで40分間熱処理して熱伝導性シート硬化物を得た。次いで、レーザーフラッシュ法を用いて上記熱伝導性シート硬化物の厚み方向の熱伝導率を測定した。
具体的には、レーザーフラッシュ法(ハーフタイム法)にて測定した熱拡散係数(α)、DSC法により測定した比熱(Cp)、JIS-K-6911に準拠して測定した密度(ρ)より次式を用いて熱伝導率を算出した。熱伝導率の単位はW/(m・K)である。測定温度は25℃である。
熱伝導率[W/(m・K)]
=α[mm/s]×Cp[J/kg・K]×ρ[g/cm
(体積抵抗率)
前述したワニス状の熱硬化性樹脂組成物をガラス基材(松波硝子工業社製、スライドガラスS1225、CTE:8ppm/℃)上におよそ均一に塗布して、幅4mm、長さ40mm、厚さ40μmの塗布膜を得た。次いで、塗布膜を、温度25℃から175℃まで30分間かけて昇温し、さらに、175℃で30分間熱処理することで、ペースト状接着剤組成物を硬化し、硬化膜を得た。この硬化膜について、4端子法にて体積抵抗率を評価した。なお、単位はΩ・cmである。
(屈曲性)
前述の熱伝導性樹脂組成物を、100℃、30分間熱処理することにより、膜厚400μmのBステージ状態の熱伝導性シートを作製した。次いで、この熱伝導性シートを100mm×10mmに切り出し、25℃の環境下、直径1mm、直径2mm、直径8mm、直径12mm、および直径32mmのマンドレルの曲面に沿わせて曲げ確度180度で長手方向の中央部分にて折り曲げた。熱伝導性シート表面に亀裂が発生し、その亀裂の長辺が2mm以上であり、かつ、長辺に垂直な方向の亀裂幅の最大値が50μm以上となったものを割れと判断した。割れが生じたマンドレルの直径を測定した。
(シートのハンドリング性の評価)
Bステージシートを基材から剥がし単体シートとして取り扱った際に、自重で一定のたわみが発生するか否かを目視で観察した。結果を以下の基準で評価した。
A:良好(自重でたわみ、かつ破れない)。
B:硬すぎるため、たわみなく、折れてしまう。
C:柔らかすぎ、自重でたわむが、シート形状を保持する強度が足りず破れる。
(フロー量)
Bステージシートを直径(φ0)4mmに切り取り、総厚みが2mm以上もしくは重量で4g以上となるように重ね、130℃のフローテスターにてシートにかかる面圧が10MPaとなるようにして、5分間プレスした。プレスした後のシート直径(φ1)を測定した。
フロー量を以下の式より求めた。
フロー量(%)=[(φ1-φ0)/φ0]×100
結果を表1に示す。
(電子装置の信頼性評価(絶縁破壊電圧))
上記で得た熱伝導性シートの硬化物の絶縁破壊電圧をJIS K6911に準じて、次のように測定した。まず、得られた熱伝導性シートの硬化物を30mm角に切断して試験片を得た。さらに、得られた試験片を円電極に挟んだ状態で絶縁油中に設置した。
次いで、菊水電子社製TOS9201を用いて、両電極に昇圧速度2.5kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。試験片が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。評価基準は以下のとおりである。
○ :絶縁破壊電圧が45kV/mm以上
△ :絶縁破壊電圧が30kV/mm以上45kV/mm未満
× :絶縁破壊電圧が30kV/mm未満
Figure 0007532861000005

Claims (4)

  1. 分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、窒化ホウ素粒子とを含む熱伝導性シートであって、
    前記窒化ホウ素粒子が、当該熱伝導性シート全体に対し、55体積%以上80体積%以下であり、
    前記エポキシ化合物が、式(1)で示される化合物を含み、
    Figure 0007532861000006
    式(1)において、R ~R は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~5のアルキル基であり、
    前記式(1)で示される化合物の重量平均分子量が1000以上10000以下であり、
    当該熱伝導性シートの硬化物の、JIS R 1611に準拠したレーザーフラッシュ法で測定される25℃における熱伝導率が、13W/(m・K)以上25W/(m・K)以下であり、
    当該熱伝導性シートの硬化物の、JIS C 2139に準拠して測定される、25℃における体積抵抗率が、1×1010Ω・m以上1×1016Ω・m以下であり、175℃における体積抵抗率が、1×10Ω・m以上1×1012Ω・m以下であり、
    JIS 5600-5-1に準拠した円筒形マンドレル法による当該熱伝導性シートの硬化物の耐屈曲性試験において、クラックが生じるマンドレルの直径が2mm以下である、熱伝導性シート。
  2. 前記窒化ホウ素粒子が、球状または鱗片状である、請求項1に記載の熱伝導性シート。
  3. 150℃における粘度が400kPa・s以下である、請求項1または2に記載の熱伝導性シート。
  4. フロー量が5%以上であり、
    前記フロー量は、プレスする前の厚さが2mmの当該熱伝導性シートの直径をφ0、当該熱伝導性シートを、温度130℃、圧力10MPaで、5分間プレスした後の直径をφ1としたとき、以下の式:
    フロー量(%)=[(φ1-φ0)/φ0]×100
    により求められる、請求項1~のいずれかに記載の熱伝導性シート。
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