以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る立体造形物を造形する装置(以下、立体造形装置という)について図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る立体造形装置100の構成の一例を説明する図である。
図1に示すように、立体造形装置100は、ステージ101と、ステージ加熱ヒータ102と、断熱板103と、造形物加熱ヒータ104と、造形材料担持搬送体111と、供給手段300と、造形材料付着量検知手段170とを備えている。また飛翔用レーザ115と、エネルギーを付与する手段として溶融用レーザ116と、クリーニングブレード117と、回収ケース118とを備えている。
これらのうち、ステージ101は、造形する造形物(造形過程にある造形物)200を支持する支持部材として機能する。ステージ101は、矢印Y方向に往復移動可能であり、矢印Z方向に例えば造形厚み0.05mmピッチで上下動可能である。
ステージ101の下側にはステージ加熱ヒータ102が配置され、ステージ101は造形材料201に合わせた温度に制御される。また、ステージ101の上側には、断熱板103が配置され、その下面に造形物加熱ヒータ104が配置されている。造形物200は造形材料201に合わせた温度に制御される。さらに温度制御を均一に保つために、ステージ101と断熱板103の間を囲う壁面が配置され、その内側にヒータが配置されることもある。
ステージ101の上方には、粒子状の造形材料201を担持しつつ造形位置まで搬送する造形材料担持搬送体111が配置されている。造形材料担持搬送体111は、ガイドローラ150,151,152及び造形ガイド155に掛け回されている。
造形材料担持搬送体111は、造形材料201を担持して矢印111'方向(搬送方向)に走行し、ステージ101上の造形物200の上方まで造形材料201を搬送する第1の担持体の一例である。造形材料担持搬送体111は、透明な部材であり、無端ベルト状で構成しているが、これに限るものではない。
造形材料201は、目的とする造形物200に応じて適宜選択されるべきものであるが、樹脂の場合、例えば、PA12(ポリアミド12)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PSU(ポリスルホン)、PA66(ポリアミド66)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、LCP(液晶ポリマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリアセタール)、PSF(ポリサルホン)、PA6(ポリアミド6)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等である。
また、造形材料201は、結晶性樹脂のみに限らず、非晶性樹脂であるPC(ポリカーボネート)やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PEI(ポリエーテルイミド)、あるいは結晶性と非晶性の混合樹脂であってもよい。
また、造形材料201は、樹脂の他、金属や、セラミック、液体等の種々の材料を用いることができる。また、造形材料201は、1pa・s以上の粘度を有する材料であってもよい。
造形材料担持搬送体111による造形材料201の担持は、本実施形態では、ファンデルワールス力によって行っている。また、造形材料201の抵抗値が高い場合、静電的な付着力だけでも担持できる。
造形材料担持搬送体111の周囲には、造形材料担持搬送体111の表面に造形材料201を供給する供給手段300が配置されている。
供給手段300は、内部に造形材料201を収容保持する造形材料収容部の一例であり、担持ローラ301と、規制部材302と、供給ローラ303と、情報記録部304とを備えている。
担持ローラ301は、供給手段300に収容された造形材料201を担持して搬送する第2の担持体の一例である。担持ローラ301は、矢印301'方向に回転し、その表面に造形材料201を担持する部材である。
規制部材302は、担持ローラ301の表面に当接して造形材料201の層厚を規制する規制ブレード、又は規制ローラ等の部材である。
供給ローラ303は、規制部材302で規制された層厚の造形材料を、担持ローラ301から造形材料担持搬送体111に供給する供給部材である。供給ローラ303は、担持ローラ301に当接して矢印303'方向に回転し、造形材料201を担持ローラ301に供給する。
情報記録部304は、造形材料201の種類を示す情報や使用開始年月日情報等を記録するIDチップである。また情報記録部304は、造形材料201の種類に対応付けて、担持ローラ301及び供給ローラ303の回転数と、担持ローラ301、規制部材302及び供給ローラ303のそれぞれに印加するバイアス電圧の少なくとも1つを記録している。さらに情報記録部304は、バイアス電圧を印加する場合における電位差(オフセット)や、交流のバイアス電圧を印加する場合における周波数、振幅、オフセットバイアス電圧値等を記録することもできる。
供給手段300は、立体造形装置100に対して着脱可能に設けられ、使用する造形材料201の種類に応じて交換することができ、造形材料を変更して造形を行う場合に好適に構成されている。
担持ローラ301、規制部材302及び供給ローラ303は、立体造形装置100に対して電気的に接続されている。これにより、規制部材302及び供給ローラ303にプラス直流バイアス電圧、マイナス直流バイアス電圧、交流バイアス電圧等を印加でき、またこれらを接地できるようになっている。
担持ローラ301、規制部材302、供給ローラ303のそれぞれのバイアス正負、接地、AC/DC切替えを自在に可変できることで、規制部材302による規制の際に摩擦により発生する造形材料201の帯電列での帯電や、造形材料担持搬送体111に当接する際に発生する静電気等の影響を抑制できる。
供給手段300は、造形材料201の種類に基づき、情報記録部304を参照して決定されたプラス直流バイアス電圧、マイナス直流バイアス電圧、又は交流バイアス電圧等を規制部材302及び供給ローラ303のそれぞれに印加できる。
供給手段300によるプラス直流バイアス電圧、マイナス直流バイアス電圧、交流バイアス電圧等の印加については、別途図2によっても説明する。
また供給手段300は、造形材料201の種類に基づき、情報記録部304を参照して決定された回転数で、担持ローラ301及び供給ローラ303のそれぞれを回転させることができる。
供給手段300は、担持ローラ301の回転方向(矢印301'方向)における上流側で、担持ローラ301に対して造形材料201を供給及び規制し、担持ローラ301の表面に連続的に安定した造形材料201の薄層を形成する。そして担持ローラ301が造形材料担持搬送体111に当接することで、造形材料担持搬送体111の表面に造形材料201の薄層を形成することができる。
ここで、造形材料担持搬送体111の搬送速度V111と担持ローラ301の周速度V301をV111<V301の関係にすると、造形材料201による薄層を造形材料担持搬送体111に対してより密な状態で形成できるため、好適である。
供給手段300は、収容保持する造形材料201の種類に応じて、構成や配置を変更できる。例えば、担持ローラ301及び供給ローラ303の材料又は外径、規制部材302の形状、担持ローラ301への当接圧P302や当接位置等の変更が可能である。
立体造形装置100と供給手段300との間のインターフェースを共通化しておくことで、造形材料201の種類に応じて、立体造形装置100と供給手段300の設定を適正化できる。このインターフェースの項目には、造形材料担持搬送体111に対する供給手段300の当接条件や、立体造形装置100と供給手段300との電気接続条件、情報記録部304による記録情報の読み取り条件等が挙げられる。
造形材料付着量検知手段170は、造形材料担持搬送体111の搬送方向における供給手段300の下流側に設けられている。造形材料付着量検知手段170は、造形材料担持搬送体111表面に形成された薄層における造形材料201の付着量を検知する。造形材料付着量検知手段170として、照射した光の造形材料による反射光の光強度に基づき造形材料の付着量を検出する反射型光学センサ等を用いることができる。この造形材料付着量検知手段170は、「付着量検知手段」の一例である。
検知された造形材料201の付着量が所定範囲を超える場合には、立体造形装置100は、電気的接続条件や担持ローラ301及び供給ローラ303に印加するバイアス電圧や回転数等を変更する。所定範囲を超えた場合に、変更するバイアス電圧や回転数等は予め実験やシミュレーションに基づき定められている。
換言すると、供給手段300は、造形材料付着量検知手段170により検知された情報に基づいて、立体造形装置100により決定されたバイアス電圧を、担持ローラ301、規制部材302及び供給ローラ303のそれぞれに印加できる。また供給手段300は、造形材料付着量検知手段170により検知された情報に基づいて、立体造形装置100により決定された回転数で、担持ローラ301及び供給ローラ303のそれぞれを回転させることができる。
このようにすることで、同一の造形材料201でも規制により材料が劣化(割れ、変形等)したり、造形材料201の収容保持量又は使用環境が変動したりした場合にも、担持ローラ301による造形材料201の供給を安定して行うことができる。
飛翔用レーザ115は、造形材料担持搬送体111の搬送軌道内側に配置され、造形材料担持搬送体111に担持されている造形材料にエネルギーを付与するエネルギー付与手段である。
ここで、「飛翔」とは、造形材料201が非接触で造形材料担持搬送体111からステージ101側に移動することを意味し、転写と異なり、非接触で移動できるので、造形材料201のロスを少なくしたり、造形精度を向上したりすることができる。
飛翔用レーザ115はエネルギーが付与されればよく特に手段は限定されないが、例えば造形材料担持搬送体111の表面の造形材料201を飛翔させるためのパルスレーザである。
飛翔用レーザ115は、造形材料担持搬送体111に担持された造形材料201に対してパルスレーザ光115aを照射する。パルスレーザ光115aは、造形ガイド155の一部を空隙とした造形ガイドスリット部155aから造形材料担持搬送体111に照射される。
造形材料201は、パルスレーザ光115aを受けることで、輻射圧と呼ばれる力により粉の付着力が開放され、重力により下向きに落下する。換言すると、パルスレーザ光115aが照射された造形材料201は、造形物200の表面に向けて飛翔する。
なお、図1などでは、造形材料201が、ステージ101に対して重力方向に飛翔する例で示しているが、必ずしもステージ101に対して垂直(90°)を維持する必要はなく、必要に応じてステージ101に対して所要の角度で傾斜させてもよい。
US006025110A等に記載されているレーザ転写LIFT(Laser Induced Forward Transfer)は、担持体に密着した箔状、液状の材料をレーザ照射により非接触転写するものであり、局部的に加熱されて材料が気化することにより、造形材料担持搬送体111の表面からパルスレーザ光115aの方向に飛翔する。
本実施形態では、後者のメカニズムの寄与を皆無とまで言うことはできないが、前者が中心と考える理由に以下のものがある。
1.レーザ光の吸収率が高い黒色粉と透明粉で飛翔開始エネルギーが同等である。
2.担持体が透明樹脂フィルムであっても透明粉は飛翔する。
3.担持体の透明樹脂フィルムは1000回までの多数回パルスレーザ照射でも劣化しない。
造形材料担持搬送体111と造形物200との空隙距離は、造形材料201の平均粒径の3~10倍を目安に維持することが好ましい。これにより、飛翔前後の上下の造形材料同士の接触を避け、飛翔による散逸を避けることができる。
溶融用レーザ116は、造形材料担持搬送体111の外側に配置され、エネルギーを付与する手段として造形物200の表面を加熱することで、ステージ101上で造形される造形物200の表面を加熱して溶融状態にする。溶融用レーザ116は、ステージ101上で造形される造形物200の表面を加熱して溶融状態にする。1つまたは複数のエネルギーを付与する手段のエネルギーによって溶融状態になればよく、レーザによる加熱以外にも対流、ランプ、誘導加熱、誘電加熱など適用可能である。このときの「表面」とは、造形1回の1層でも良いし、2、3層などの複数層にわたっても良い。また、各層の一部でも良いし、全体でもよい。つまり、最表層の一部が含まれていることが重要である。
溶融用レーザ116には、エネルギーが付与されればよく特に手段は限定されないが、連続波(Continuous Wave)のレーザが好適である。
溶融用レーザ116の溶融用レーザ光116aは、パルスレーザ光115aの照射により飛翔した造形材料201の着弾位置を狙って照射される。溶融用レーザ116の溶融用レーザ光116aで溶融状態になった造形物200の表面に、パルスレーザ光115aの照射で飛翔した造形材料201が着弾することで、造形材料201を造形物200の表面に付着させることができる。
なお、飛翔用レーザ115及び溶融用レーザ116による照射位置は、造形材料201の種類や造形速度等に応じて調整可能である。また、着弾位置のばらつきや過不足は積層間で調整できる。造形物200の形状を決定するのは主に溶融用レーザ116である。
また、造形材料201の飛翔と造形物200の溶融の開始タイミングの前後関係は特に限定されるものではない。つまり、造形材料201が飛翔する前に、造形物200の表面を溶融させても良い。または、造形材料201が飛翔した後、造形物200の表面を溶融させ、この溶融させた表面に飛翔した造形材料201が着弾しても良い。
クリーニングブレード117は、造形材料担持搬送体111の搬送方向における造形物200の下流側に設けられ、造形材料担持搬送体111の表面に残存する造形材料201を除去する清掃部材である。クリーニングブレード117で掻き落とされた造形材料201は回収ケース118に回収される。但し、清掃部材は、クリーニングブレード117に限定されるものではなく、フィルムクリーナ等であってもよい。
次に図2は、供給手段300のバイアス電圧及び回転数の切り替えの一例を説明する図である。図2(a),(b)は、供給手段300における担持ローラ301、規制部材302及び供給ローラ303の電気的接続の切り替えを示している。図2(c),(d)は供給手段300における担持ローラ301及び供給ローラ303の回転数の切り替えを示している。また図2(e),(f)は、供給手段300における担持ローラ301及び規制部材302の電気的接続の極性(バイアス電圧のプラスマイナス)の切り替えを示している。
図2(a)では、担持ローラ301には直流マイナスバイアス電圧が印加され、規制部材302には直流プラスバイアス電圧が印加され、供給ローラ303は接地している。図2(b)では、担持ローラ301には交流バイアス電圧が印加され、規制部材302は接地し、供給ローラ303には直流マイナスバイアス電圧が印加されるように切り替わっている。図2(a)と図2(b)の状態の切り替えは自在に行うことができる。
図2(c)では、担持ローラ301及び供給ローラ303は共に遅い回転数であり、図2(d)では、担持ローラ301及び供給ローラ303は共に速い回転数に切り替わっている。図2(c)と図2(d)の状態の切り替えも自在に行うことができる。例えば、収容保持している造形材料201が少ない場合には、担持ローラ301及び供給ローラ303の回転数を速くすることができる。
図2(e)では、担持ローラ301及び規制部材302は共にプラスバイアス電圧が印加され、図2(f)では担持ローラ301及び規制部材302は共にマイナスバイアス電圧が印加されるように切り替わっている。図2(e)と図2(f)の状態の切り替えは自在に行うことができる。
なお、図2に示したものは一例であり、切り替えを組み合わせて行うこともできる。
図2(a)~(f)は、図1におけるガイドローラ151や情報記録部304、担持ローラ301、規制部材302、供給ローラ303の電気的接続のインターフェースは共通であるが、300内部の形状などは造形材料201の種類に応じて自在に変更することができる。例えば、図2(a)(b)と図2(c)(d)の供給ローラ303はその外径が異なるがインターフェースが共通なのでユニットとしては互換性がある。
ここで、造形材料担持搬送体111上での造形材料201の様子について図3及び図4を参照して説明する。図3は、造形材料担持搬送体上での造形材料の様子の一例を示す光学顕微鏡写真であり、図4は、造形材料担持搬送体上での造形材料の様子の他の例を示す光学顕微鏡写真である。
図3は、造形材料201として体積平均粒径は48μmの柱状の造形材料201を使用し、開目70μm、線径50μmのステンレス製メッシュを用いて、造形材料201を造形材料担持搬送体111の表面に供給したときの光学顕微鏡写真である。この例では、造形材料201は重なりがほぼなく全体として均一に配置されていることが確認された。
図4(a)は、造形材料201としてSiterit社製PA12smooth(体積平均粒径は38μm)を使用し、供給手段300を用いた立体造形装置100実験機を用いて、造形材料201を造形材料担持搬送体111の表面に供給したときの光学顕微鏡写真である。
なお、図4(b)は図4(a)の拡大写真である。この例でも、造形材料201の重なりがほぼなく、全体として均一に配置されている。なお、この造形材料201は、3ないし4つの球形粒子が合体したような特異な形状をしているが、凝集したり、重なったりしているわけではない。
また、供給手段300による供給は、図1に示した構成に限定されるものではない。例えば、電鋳等より製作可能なメッシュローラからの接触供給、非接触供給、非接触のメッシュ上からの散布、粉体気流撹拌による流動浸漬なども可能である。
次に、造形材料201の飛翔状態について図5を参照して説明する。図5は造形材料201の飛翔状態の一例を説明する図である。図5(b)、(c)は高速カメラによる断面観察の状態を示している。
図5(a1)に示すように、造形材料担持搬送体111の表面に造形材料201が多層に重なっているときには、パルスレーザ光115aを照射することによって、図5(b)に示すように、造形材料201が飛翔によって散逸する。
これに対し、図5(a2)に示すように、造形材料担持搬送体111の表面に造形材料201が重ならないで担持されているときには、パルスレーザ光115aを照射することによって、図5(c)に示すように、造形材料201が鉛直方向に飛翔する。
次に、造形材料の落下軌跡及び着弾ばらつきについて図6及び図7を参照して説明する。ここで図6は、造形材料の落下軌跡の一例を示す図であり、図7は造形材料の着弾ばらつきの一例を示す図である。
図6では、以下の条件で複数の粉末(造形材料)の落下軌跡をインターバル連続撮影でとらえた結果を示している。
PA12粉体:平均粒径38μm
レーザ波長:532nm
パルス幅:15ps
ピークパワー:0.74MW
ビーム重ね回数:1.3
ビーム径:40μm
周波数:6.6kHz
走査速度:200mm/s
撮影:20kfps
粉体は透明PC、黒色PC、PE、PBTで、レーザ波長:1064nm、パルス幅:2ns、20nsなどの組み合わせで同様な飛翔を確認した。特に、透明PCは532nmでも1064nmでも透過率が高く、熱として吸収されることが少ないため、従来のLIFTとは異なる機構であることが推察される。
その際の造形予定位置の0.5mmギャップ位置の着弾ばらつきを図7にヒストグラムで示している。
この結果から分かるように、76%の粒子が±50μmの範囲に着弾しており、±100μmなどの精度の造形を行うには十分である。最終形状は、溶融用レーザの位置精度で決まるため、溶融部から外れた僅かな粉は造形後に除去される。
飛翔用レーザ115のレーザ光源としては、特に制限はなく、ピコ秒からナノ秒などのパルス発振可能なものが好ましい。固体レーザとしては、YAGレーザ、チタンサファイアレーザなどがある。気体レーザとしては、アルゴンレーザ、ヘリウムネオンレーザ、炭酸ガスレーザなどがある。半導体レーザも小型で好ましい。ファイバーレーザはそのピークエネルギーの高さと小型化可能な面で本発明を製品化するに当たり最も適した光源である。
レーザの波長としては、適宜選択することができるが、300nm以上11μm以下が好ましい。特に、造形材料201が樹脂であるとき、2460nm付近はCHとCC結合の複合吸収帯で、カーボン入りのものも含む多様な樹脂で吸収率が80%以上であった。また、波長が2300nm~2500nmは吸収率が65%以上であり、この範囲でも安定的な飛翔及び溶融のエネルギーを付与できる。
この波長域は通常のガラスの透過率も高いため、基材との組み合わせも容易である。
レーザのパルス周波数としては、レーザの走査速度との組み合わせで適宜選択することができる。両者の組み合わせで決まるビーム径の重なりが多いと飛翔後の粉体(造形材料)にもレーザが当たり、粉が散逸しやすい。ビーム径の重なりが2回以上となるとその傾向が顕著であり、1.2~1.7回は粉の散逸が小さい。
次に、この立体造形装置100の動作の一例について図8のフローチャートを参照して説明する。
造形動作を開始すると、まずステップS0において、立体造形装置100は、情報記録部304に記録された情報を読み取り(参照し)、造形材料201に対応付けられた適正な電気的接続および担持ローラ301供給ローラ303の回転数を決定する。
続いて、ステップS1において、供給手段300は、担持ローラ301及び供給ローラ303を回転駆動させながら、内部に収容保持された造形材料201を担持ローラ301に担持させ、担持ローラ301上の造形材料201の厚みを規制部材302で規制して、担持ローラ301上に造形材料201の薄層を形成する。
続いて、ステップS2において、供給手段300は、造形材料201を造形材料担持搬送体111の表面に造形材料201同士が重ならない状態で配置する。
続いて、ステップS3において、造形材料付着量検知手段170は、適正な造形材料の薄層状態であるかを確認する。
続いて、ステップS4において、供給手段300は、造形が完了するまで、造形材料担持搬送体111に対して造形材料201の安定した供給を継続する。
このようにして、供給手段300によって造形材料担持搬送体111の表面に造形材料201が供給され、造形物200を支持するステージ101の上方に配置された造形材料担持搬送体111の表面に造形材料201が担持される。
そして、造形材料担持搬送体111を搬送駆動する機構によってステージ101の上方に搬送され、ステージ101の上方に造形材料201の天井が形成される。
一方、ステップS5において、造形開始タイミングになると、ステップS6において、溶融用レーザ116は溶融用レーザ光116aを照射して、造形物200の表面のうち造形材料201を付着する部分を加熱して溶融させる。但し、造形開始直後の第一層目だけはステージ加熱ヒータ102の温度により造形材料201が融着する。
続いて、ステップS7において、飛翔用レーザ115は造形データに応じて所要の造形材料201にパルスレーザ光115aを照射して、造形材料担持搬送体111に担持されている造形材料201を造形物200の溶融の部分に向けて飛翔させる。
造形材料担持搬送体111から飛翔する造形材料201は溶融状態にある造形物200の表面に着弾して造形物200と一体になり、造形物200が少なくとも1造形材料分成長する。
続いて、ステップS8において、供給手段300と造形材料担持搬送体111の連続供給と搬送によって造形材料201を順次ステージ101上に移送しながら、溶融用レーザ116による造形物200の表面に溶融化、飛翔用レーザ115による造形材料201の飛翔、着弾を、造形が完了するまで繰り返す。
これによって、造形物200を所要の形状まで成長させて立体造形物を造形することができる。
<立体造形装置100の作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、造形材料201を表面に担持する担持ローラ301と、担持ローラ301に造形材料201を供給する供給ローラ303と、担持ローラ301の表面における造形材料201の層厚を規制する規制部材302とを備える供給手段300を用いて、造形材料担持搬送体111に造形材料201を供給する。供給手段300により造形材料201の薄層を形成してから造形材料担持搬送体111に供給することで、造形材料201を造形材料担持搬送体111の表面に造形材料201同士が重ならない状態で配置することができる。これにより造形材料201を安定した状態で供給することができる。その結果、造形品質の向上を図ることができる。
また本実施形態では、供給手段300は、立体造形装置100本体から着脱可能に設けられ、供給手段300を交換することで、造形に用いる造形材料201を簡単に変更することができる。
また本実施形態では、造形材料201の種類に応じて予め定められた、担持ローラ301及び供給ローラ303の回転数と、担持ローラ301、規制部材302及び供給ローラ303のそれぞれに印加するバイアス電圧の少なくとも1つを記録する情報記録部304をさらに備える。造形材料201の種類に基づき情報記録部304に記録された情報を参照することで、造形材料201の種類に応じた適正な担持ローラ301及び供給ローラ303の回転数や、バイアス電圧等の条件を取得できる。そして、取得された条件を用いて造形を行うことで、造形材料201をより安定した状態で供給できる。その結果、造形品質の向上を図ることができる。
また情報記録部304を供給手段300に設けることで、造形材料201を変更するために供給手段300を交換した場合に、供給手段300に設けられた情報記録部304を参照することで、供給手段300が収容する造形材料201の種類に応じた造形条件の情報を簡単に取得可能になる。
また本実施形態では、造形材料担持搬送体111の表面における造形材料201の付着量を検知する造形材料付着量検知手段170をさらに備える。そして、供給手段300は、検知された情報に基づき決定されたバイアス電圧を、担持ローラ301、規制部材302及び供給ローラ303のそれぞれに印加し、また検知された情報に基づき決定された回転数で、造形材料担持体及び供給部材のそれぞれを回転させる。
例えば、検知された造形材料201の付着量が所定範囲を超える場合には、立体造形装置100は、電気的接続条件や担持ローラ301及び供給ローラ303に印加するバイアス電圧や回転数等を変更する。そして変更後のバイアス電圧を、担持ローラ301、規制部材302及び供給ローラ303のそれぞれに印加し、変更後の回転数で、造形材料担持体及び供給部材のそれぞれを回転させる。
このようにすることで、造形材料201をより安定した状態で供給できる。
また本実施形態では、飛翔された造形材料201は溶融にある造形物200の表面に着弾し付着し、衝突によって拡散しないので、造形物200のエッジ等でも高い精度を得ることができ、造形品質が向上する。
また粉体としては、結晶性樹脂のみならず、結晶性及び非結晶性樹脂の混合樹脂なども使用することができ、材料の多様性を確保でき、また連続造形によって造形速度の高速化を図れる。
更に、粉体焼結法では、立体造形物の周囲をその造形物の形状大きさにかかわらず、また立体造形装置の造形容積分の材料をそのレーザによる溶融有無にかかわらず埋め尽くす必要がある。これに対し、本実施形態では造形物の溶融分と、一部造形物の形状を補うサポート材兼務分しか使用しないため、廃棄材料を大幅に減少することができる。
また、飛翔用レーザ115によって飛翔されずに残留する造形材料201はクリーニングブレード117で回収ケース118に回収されるため、回収ケース118に堆積した造形材料201をリユースすることも可能であり、さらに廃棄材料を減少できる。
また、本実施形態及び粉体焼結法でも、立体造形後に造形物を取り出すまでに、造形物および周辺の余材(廃棄物)の温度が十分に冷めてからでないと造形物の材料収縮や反り変形などで精度が落ちる場合がある。
粉体焼結法では、造形容積分を造形材料で埋め尽くしているため熱容量が大きくなってしまい、造形物含めた冷却時間に長時間を要する。これに対し、本実施形態では、造形物の周囲にサポート材兼務分程度しかないため冷却時間を短くすることができ、造形時の時間と冷却時間を加算したトータル時間で粉体焼結法より圧倒的短時間で造形物を形成することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る立体造形装置100aについて図9を参照して説明する。図9は立体造形装置100aの構成の一例を説明する図である。図9において、図1と同一の符号を付している手段については、図1と同一のため説明を適宜省略する。
図9に示すように、立体造形装置100aは、造形材料担持搬送体111aを備えている。この造形材料担持搬送体111aは、飛翔用レーザ115の波長及び溶融用レーザ116の波長の両方に対して透過性を有する円筒形のガラス部材で構成され、矢印111'の方向に沿って回転する回転ドラムである。但し、回転ドラムであれば、円筒形のガラス部材に限定されるものではない。
造形材料担持搬送体111aの周囲には、造形材料担持搬送体111aの表面に造形材料201を供給する供給手段300aが配置されている。
この供給手段300aは、内部に造形材料201が供給されて矢印300'の方向に沿って回転するメッシュローラ121と、メッシュローラ121内で造形材料201を摺って擦るブレード122とを備えている。供給手段300aは、ブレード122で造形材料201を摺って擦りながら凝集を解くことで、メッシュローラ121を通過させ、造形材料担持搬送体111aの表面に造形材料201の薄層を形成する。
メッシュローラ121のメッシュの開目は造形材料201の平均粒径より20~30%大きいものが好ましい。金属線を編んだものを使用できるが、電鋳などで作製されるフラットなメッシュがより好ましい。また、ブレード122の当接方法は、図9に示すようにトレーリングでも良いし、カウンタ等であってもよく、適宜選択できる。
メッシュの開目には、造形材料201が詰まることがあるが、開目より細い繊維からなるブラシをメッシュローラ外周から接触させることで、詰まりを解消できる。
この供給手段300aを、第1実施形態で説明した供給手段300に置き換えることもできる。なお、以下の実施形態で供給手段300aを示す場合も、供給手段300に置き換え可能である点は同様である。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る立体造形装置100bついて図10を参照して説明する。図10は、立体造形装置100bの構成の一例を説明する図である。図10において、図1と同一の符号を付している手段については、図1と同一のため説明を適宜省略する。
図10に示すように、立体造形装置100bは、ヘッド131と、吸引手段132と、タンク133とを備えている。
ヘッド131は、造形材料担持搬送体111aの周囲に沿った供給手段300aと造形材料201を飛翔させる位置(造形位置)との間に配置され、造形材料201に液体130を吐出して付与する。
吸引手段132は、矢印111'で示す造形材料担持搬送体111aの回転方向(粉体移送方向)におけるヘッド131の下流側に配置され、液体130が付与されていない造形材料201を吸引回収する。
また、タンク133は、吸引手段132で回収した造形材料201を貯留する。
ヘッド131によって造形材料201に液体130を付与することで、造形材料201同士の間、及び造形材料担持搬送体111aと造形材料201との間のそれぞれに液架橋力が生じる。これにより、より安定して造形材料201を造形材料担持搬送体111aの表面に担持して造形位置まで移送できる。また液体が付与されていない造形材料201を造形材料担持搬送体111から吸引して除去することで、次に造形材料担持搬送体111に造形材料201を供給する際に、より安定して供給を行える。また除去した造形材料201を再利用すれば、造形材料201の有効活用を図れる。
ここで、ヘッド131は「液体を付与する手段」の一例であり、吸引手段132は「造形材料担持搬送体から除去する手段」の一例である。
また、ヘッド131を造形データに応じて駆動して、液体130を付与する領域を選択することで、造形材料担持搬送体111a上で造形データに応じた造形材料201の画像を形成できる。さらに、ヘッド131から吐出する液体に色材や添加剤を加えることで、色を加えたり、機能を付与したりすることもできる。また、ヘッド131として多色ヘッドを使用することで所要の色を着色することもできる。
なお、造形材料201による作像を行わず、全体に液架橋力を付与するのであれば、超音波加湿器のミストを吹き付けることなどでも、より安定的に造形位置までの移送を行うことができる。
また、ファンデルワールス力や粉の抵抗値が高い場合静電的な付着力だけでも飛翔部まで搬送することが可能である。
吸引手段132は、造形材料担持搬送体111aの表面に液架橋力で担持されていない造形材料201を吸引除去する。吸引手段132は、減圧吸引の他、高導電性の粉体以外では静電的な吸引も可能であり、これらを併用することもできる。吸引された造形材料201は、液体等も付着していないので、供給手段300a内に再供給することもできる。
ここで、液体130について説明する。液体130としては水を用いる。粘度調整のために、グリセリンやポリエチレングリコールなどの微量の増粘剤などを含んでもよい。
但し、造形材料201を構成する樹脂によっては、微量の水分をも加水分解などから避ける必要があり、その場合は、難燃性と材料への影響のないことを考慮した液体、例えばフッ化水素系の溶剤を選ぶと好適である。
例えば、スリーエム社製:商品名フロリナート(登録商標)、ソルベイ社製:商品名ガルデン(登録商標)等が沸点に応じて選択できる。フッ化水素系の溶剤がレーザ加熱などで分解する場合には、排気経路にフッ酸を吸収する炭酸カルシウムなどの吸収剤を配置しておけばよい。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る立体造形装置100cについて、図11を参照して説明する。図11は、立体造形装置100cの構成の一例を説明する図である。図11において、図1と同一の符号を付している手段については、図1と同一のため説明を適宜省略する。
立体造形装置100cは、造形材料担持搬送体111cと、ガイドローラ151c,152cと、加熱手段である加熱ローラ153cと、バックアップローラ154と、回収ローラ134とを備えている。
造形材料担持搬送体111cは、周回移動する回転部材である無端ベルトで構成されている。造形材料担持搬送体111cには例えばニッケルベルトを使用できる。
また造形材料担持搬送体111cは、ガイドローラ151c,152cと、加熱ローラ153cに掛け回されている。ここで、加熱ローラ153cは造形物200を造形する位置でステージ101の上方に配置されている。
加熱ローラ153cに対向してバックアップローラ154が配置されている。バックアップローラ154は加熱ローラ153cが小径であるために生じる無端ベルトの撓みを低減する。
回収ローラ134はバイアスローラであり、バイアス電界によって造形材料201を回収し、タンク133に落下させる。
加熱ローラ153cは例えば150℃まで加熱される。この加熱により造形材料担持搬送体111cと加熱ローラ153cとの接触部では100℃を超える温度になり、造形材料担持搬送体111cに担持された造形材料201の水による架橋力が開放される(突沸)。また、加熱ローラ153cが相対的に小径であり、造形材料201は遠心力でも架橋力が開放される。これにより、造形材料201は、例えば造形材料担持搬送体111cの搬送速度300mm/sで、造形材料担持搬送体111cから造形物200に向けて飛翔する。
換言すると、本実施形態では、造形材料担持搬送体111cから造形材料201を飛翔させる手段は、加熱ローラ153cと造形材料担持搬送体111cを回転させる手段とで構成され、突沸と遠心力によって造形材料担持搬送体111cの表面から造形材料201を飛翔させる。これにより、造形材料201がより飛翔しやすくなる。
一方、造形物200の造形材料201を付着させる部位は溶融用レーザ116によって加熱されて溶融される。
これにより、造形材料担持搬送体111cから飛翔した造形材料201は造形物200の溶融の部分に付着し、造形物200が成長する。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る立体造形装置100dについて、図12及び図13を参照して説明する。図12は立体造形装置100dの構成の一例を説明する図であり、図13は立体造形装置100dにおけるマルチエアーノズルの構成の一例を説明する図である。図12において、図1と同一の符号を付している手段については、図1と同一のため説明を適宜省略する。
図12に示すように、立体造形装置100dは、造形材料担持搬送体111dと、ガイドローラ151d,152d,156,157と、マルチエアーノズル160とを備えている。
造形材料担持搬送体111dは、無端のメッシュベルトで構成されている。造形材料担持搬送体111dは、ガイドローラ151d,152d,156,157に掛け回されている。そして、造形材料担持搬送体111dの周囲に沿ったガイドローラ156とガイドローラ157との間であって、造形物200を造形する位置でステージ101の上方には、マルチエアーノズル160が配置されている。
マルチエアーノズル160には供給源から空気が送られており、ノズル160aから造形材料担持搬送体111dに向けて空気を吹き出し、この空気圧によって造形材料担持搬送体111dから造形材料201が飛翔する。
飛翔前の粉体作像はインクジェットを用いたが、他の実施形態のようにレーザによりネガ部を除去しておくことも可能である。また、マルチエアーノズル160自体がマイクロキャビティ構造で個別に制御できるインクジェットのような構成の場合、事前の作像は不要であってパウダージェットの構成も実施可能である。
一方、造形物200の造形材料201を付着させる部位は溶融用レーザ116によって加熱されて溶融される。
これにより、造形材料担持搬送体111dから飛翔した造形材料201は造形物200の溶融部分に付着し、造形物200が成長する。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る立体造形装置100eについて、図14を参照して説明する。図14は、立体造形装置100eの構成の一例を説明する図である。図14において、図1と同一の符号を付している手段については、図1と同一のため説明を適宜省略する。
図14に示すように、立体造形装置100eは、造形材料担持搬送体111eと、ガイドローラ151e,152eと、造形ガイド155と、供給手段300eと、当接ローラ124と、塗布装置163とを備えている。
造形材料担持搬送体111eは、周回移動する回転部材である無端ベルトで構成されている。造形材料担持搬送体111eは、例えばPETフィルム(東レ製ルミラー)で構成されている。また、ポリイミドフィルム(東レ製カプトンH)で構成することもできる。これらのフィルムは、工業的に量産されており、無端ベルトとして使用することも可能であるが、長尺のフィルムロールをそのまま利用し、ロールtoロールで繰り返し使用することも可能である。
造形材料担持搬送体111eは、ガイドローラ151e,152e及び造形ガイド155に掛け回されている。ここで、造形ガイド155は、造形物200を造形する位置でステージ101の上方に配置されている。
供給手段300eはローレットローラ123を備えている。ローレットローラ123に対向して表面にゴム層を有する当接ローラ124が配置されている。
飛翔用レーザ115のパルスレーザ光115aは、造形ガイド155で造形ガイドスリット部155aから造形材料担持搬送体111eへ照射できる。
塗布装置163は、ステージ101に塗布液を吐出して塗布する。塗布装置163は、例えば加熱により析出する硫酸マグネシウム等の耐熱性で水溶性の液体162を吐出する。これにより、造形物200の界面のサポート除去性の向上などを図っている。
次に、複雑形状を造形する場合のサポート方法について図15を参照して説明する。
ここでは、図15(a)に示すように、コの字型の造形物200を造形する。このとき、図15(b)に示すように、造形物200の上部を支えるとともに、造形後に容易に外せるサポート材211を使用する。
サポート材211によるサポート部を形成するとき、飛翔用レーザ115のみ作動し、溶融用レーザ116は作動しないことで形成できる。粉の高さは飛翔頻度で調整可能であり、予め造形データ内で予測設定してもよいし、造形中に形状を測定しながら補正することもできる。
また、図15(c)、(d)に示すように、サポート材201bが崩れる可能性や精度を考慮し、サポート材211の一部に造形物212~214を造形して、造形後に除去する。
この供給手段300eを、第1実施形態で説明した供給手段300に置き換えることもできる。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態に係る立体造形装置100fについて、図16を参照して説明する。図16は立体造形装置100fにおける造形中の造形物の表面温度を説明する図である。
立体造形装置100fの構成及び造形動作は、第1実施形態の立体造形装置100と同様である。なお、第2乃至第6実施形態に係る立体造形装置100a乃至100eの何れかと同様の構成にすることもできる。
本実施形態では、造形材料201として、結晶性樹脂であるPEEKを使用している。但し、これ以外の結晶性樹脂を使用することもできる。
図16は造形物200の造形開始以降の表面の温度の時間による変化を示している。図16のS6は図8のステップS6(溶融用レーザ照射)のタイミングを示し、図16のS7は図8のステップS7(飛翔用レーザ照射)のタイミングを示している。
図16に示すように、本実施形態では、ステップS7で溶融用レーザ116によって溶融用レーザ光116aが照射されて温度が上昇した造形物200の表面は、飛翔用レーザ115によって飛翔される造形材料201が到達(衝突)して積層されるとき、ガラス転移温度Tgである143℃以上に保たれている。
造形物200の表面の温度をガラス転移温度Tg以上にすることで、造形物200の表面がゴム状態になり、飛翔した造形材料201が造形物200に衝突したときに造形物200の表面が変形し、造形材料201の運動エネルギーを吸収することができる。
これにより、造形材料201が造形物200の表面に衝突(到達)したときに、造形材料201が跳ね返りにくくなり、造形材料201の飛散を抑制することができ、造形物200の寸法精度や表面性が向上し、造形品質が向上する。
この場合、造形物200の表面の温度は、結晶化温度(Tc)、造形材料201としてPEEKを使用するときには300℃以上とすることが好ましい。これにより、温度下降時に結晶化に伴う急激な収縮による反りが局所的に発生することを抑制し、安定した形状の立体造形物を得ることができる。
造形物200の表面温度を保つために、造形物200を加熱する造形物加熱手段としての造形物加熱ヒータ104がステージ101の上側に配置されている(図1参照)。造形物加熱ヒータ104は、面状の抵抗発熱体により形成されており、造形物200の周囲の雰囲気温度を、造形材料201のガラス転移温度Tgである143℃以上に保っている。
また、断熱板103とステージ101との間には、ファン等により送風がなされており、雰囲気の温度が一様になるようにされている(図1参照)。
なお、造形物加熱ヒータ104或いは造形物200の周囲に温度センサを配置し、造形物200の周囲の雰囲気の温度を一定に保つように温度制御を行うこともできる。雰囲気温度を高く保つことにより、造形材料201が造形物200に衝突するときの造形材料201の飛散を抑制できるだけでなく、造形後の造形物200の内部の温度勾配を低減させることで反りを抑制させることもできる。
造形物加熱ヒータ104は、飛翔用レーザ115によって飛翔する前(担持された状態)の造形材料201の温度もガラス転移温度Tgである143℃以上に保持されるように造形物200の周囲の雰囲気温度を加熱する。
これにより、溶融用レーザ116によって投入するエネルギーを軽減させることができ、高速化、省電力化を図ることができる。
一方で、飛翔用レーザ115によって飛翔される前の造形材料201はガラス転移温度Tgである143℃未満でも良く、造形材料201がゴム状態にならないようにすることで造形材料担持搬送体111との接着力を一定以下に抑え、造形材料201が飛翔しやすいように調整することが好ましい。
また、図16に示すように、S6のタイミングで、造形物200の表面の温度は、溶融用レーザ116による溶融用レーザ光116aの照射前は融点Tmである343℃未満であり、かつ、溶融用レーザ光116aの照射後は343℃以上となっている。
溶融用レーザ116によって溶融用レーザ光116aを照射した後に融点Tm以上となるようにすることで、造形物200が液体状態となり、溶融した造形材料201同士が結合することで、高い強度の造形物を形成することができる。
一方で、溶融用レーザ116によって溶融用レーザ光116aを照射する前には融点Tm未満となるようにすることで、造形物200全体が溶融して崩れてしまうことを抑制し、一定の寸法精度を保つことができる。
なお、溶融用レーザ116による造形物200の表面の温度上昇は50℃になるようにしており、造形物の局所的な変形による反りが発生しない程度の温度上昇としている。
また、造形物200の表面の温度をガラス転移温度Tg以上に加熱する(保つ)手段として造形物加熱ヒータ104を用いる例を示したが、これに限るものではない。
例えば、溶融用レーザ116の出力や照射時間、あるいは、溶融用レーザ116からの溶融用レーザ光116aと飛翔用レーザ115からのパルスレーザ光115aを照射する時間の間隔などをレーザの制御により調整することもできる。
例えば、時間の間隔を調整する場合には、溶融用レーザ116からの溶融用レーザ光116aを造形物200の表面に照射して造形物200の表面温度が融点を超えてから、熱が造形物200の内部或いは雰囲気に伝わって温度が低下していく過程で、ガラス転移温度Tgを下回らない範囲で時間の間隔を決めておけば良い。
次に、造形材料を飛翔させる時間間隔について説明する。
造形材料201が飛翔して造形物200の表面に衝突したときに、造形物200から熱が伝わり造形材料201の温度が上昇する。このときの伝熱が不十分であると、同じ位置へ、次の造形材料201が衝突するときに造形材料201の表面温度が十分上がらず、ガラス転移温度Tgに届かない可能性が生じる。
そこで、十分な伝熱時間が得られるように、造形材料201の平均粒径をL[μm]とするとき、造形材料201が飛翔して造形物200の表面に到達する時間の間隔がL×L/200[ms]以上となるようにする。
時間間隔の閾値は厚さL、熱拡散率αの材料の温度が均一になるための閾値(RC回路での時定数RCに相当)としてL2/αとし、樹脂材料では一般にα=2.0×10―7[m2/s]であることを利用して導いた。L=50[μm]とするとき、時間間隔は12.5[ms]以上必要であることから、例えば、造形材料201を飛翔させる時間間隔を20[ms]とする。
これにより、造形材料201が飛翔して造形物200の表面に衝突したときに、造形物200から熱が伝わり造形材料201の温度が上昇するに十分な時間を確保でき、造形品質が向上する。
次に、飛翔中の造形材料に対する加熱について図17も参照して説明する。図17は飛翔する造形材料と溶融用レーザの照射領域(レーザ光の領域)との関係を示す説明図である。
溶融用レーザ光116aは、造形物200の表面に照射されるとともに、斜めに入射することで、造形物200の上方を通過する。
ここで、溶融用レーザ116から溶融用レーザ光116aを照射しているときに、造形材料201が飛翔して造形物200の表面に着弾する。
このようにして、飛翔中の造形材料201に直接溶融用レーザ116の溶融用レーザ光116aが照射されることにより、造形物200の表面だけでなく、造形材料201も同時に加熱することができる。
したがって、着弾する造形材料201自体がガラス転移温度Tg以上になったり、あるいは、造形物200と衝突するときの温度が高まったりすることにより、造形物200と衝突するときに、より造形物200の表面が変形し、運動エネルギーを吸収する。
これにより、造形材料201が造形物200の表面に衝突するときに跳ね返りにくくなり、造形材料201の飛散が抑制され、造形物200の寸法精度や表面性をさらに向上して、造形品質を向上させることができる。
[第8実施形態]
次に、第8実施形態に係る立体造形装置100gについて、図18を参照して説明する。図18は立体造形装置100gにおける造形中の造形物の表面温度を説明する図である。
立体造形装置100gの構成及び造形動作は、第1実施形態の立体造形装置100と同様である。なお、第2乃至第6実施形態に係る立体造形装置100a乃至100eの何れかと同様の構成にすることもできる。
本実施形態では、造形材料201として、非晶性樹脂であるPESを使用している。但し、これ以外の非晶性樹脂を使用することもできる。
造形材料201が非晶性樹脂である場合、融点を持たないため、第7実施形態と同様の作用効果を得ようとする場合、溶融用レーザ116の照射前後における造形物200の表面の温度で規定することができない。
そこで、本実施形態では、樹脂の粘度を元に規定する。
樹脂の粘度が溶融用レーザ116からの溶融用レーザ光116aの照射前は粘度が1.0×103Pa・s以上であるのに対し、溶融用レーザ光116aの照射後は1.0×103Pa・s未満となるようにする。つまり、造形物200の表面が加熱する手段によって加熱された後に粘度が1.0×103Pa・s未満になり、加熱される前の粘度が1.0×103Pa・s以上である構成とする。
PESでは、粘度が1.0×103Pa・sとなるのが300℃である。従って造形物200の表面の温度は、溶融用レーザ116による溶融用レーザ光116aの照射前は300℃未満であり、かつ、照射後は300℃以上となる。
これにより、融点を持たない非晶性樹脂に対しても第6実施形態と同様に、溶融用レーザ116からの溶融用レーザ光116aの照射後に造形物200が柔らかくなり、粉体同士が結合することで、高い強度の造形物を形成することができる。そして、溶融用レーザ116によるレーザ光の照射前に融点未満となるようにすることで、造形物200全体が柔らかくなり崩れてしまうことを抑制し一定の寸法精度を保つことができる。
上述した各実施形態においては非接触で積層することから、電子写真方式のSTEP方式などで生じる課題をほとんど解決できる。例えば、溶融樹脂を造形物に接触させて積層する方式では、界面でオフセットや荒れが起きやすく、温度の厳密な制御、時間の増大、溶融粘度などからも材料の制約があり、また、静電気を用いるため導電性樹脂は使用できないという課題があるが、非接触で積層することで、これら課題はなくなる。
[第9実施形態]
次に、第9実施形態に係る立体造形装置100hついて、図19を参照して説明する。図19は、立体造形装置100hにおける粒子を飛翔させる装置の作用を説明する図である。
本実施形態では、粒子を飛翔させる装置を第1実施形態に係る立体造形装置100に適用した場合を一例として説明する。
図19に示すように、粒子である造形材料201が造形材料担持搬送体111の一面に吸着力Fvdwで保持された状態で、造形材料担持搬送体111の造形材料201が保持されている面とは反対側の面に対して、飛翔用レーザ115からパルスレーザ光115aが照射されている。飛翔用レーザ115は、パルスレーザ光115aを10μ以下のパルス光で照射している。
図19において、「Fg」は、造形材料201(粒子)にかかる重力を表す。これは、一般に、物体の体積と密度の積で表される重量に重力加速度を乗じることで算出される。造形材料201として、Siterit社製PA12smooth(体積平均粒径は38μm)にて求めたところ、重力Fgは10-10N程度であった。
「Fvdw」は、造形材料201にかかるファンデルワールス力を表す。これは、計算により算出すると、10-7N程度であった。
「Fe」は、静電力による造形材料201の吸着力を表す。これは、同程度のサイズのプリンタにおけるキャリア材料で、10N程度の力のオーダーであることが知られているが、これは造形材料201(粒子、粉体)の帯電量に依存する。
FvdwとFeの和である付着力Fvは、遠心分離機を用いた付着力試験などにより実験的に求められるが、同様にSiterit社製PA12smoothにて付着力試験で求めたところ、Fgは10-8N程度であった。
Fvdwを構成する要素としては、他に造形材料201(粒子)と造形材料担持搬送体111の間に液体が含まれている場合に生じる液架橋力などが考えられる。
「Fr」は、輻射圧により造形材料201にかかる力を表す。Frは計算により算出することができるが、パルス幅10ps、パルスエネルギー1UJで計算すると、瞬間の力は10-4N程度であった。
「Fab」は、造形材料201の表面がレーザーアブレーションにより、一部の個体が瞬間的に気体化することで、気体の射出時に圧力が生じることで造形材料201にかかる力を表す。
例えばパルス幅PS程度のレーザを用いると、この気体及び場合によってはプラズマ化する、一般的にアブレーションと呼ばれる現象がある。これらは、数十万度といった高温となることが知られており、その場合、噴射圧はFvdwに比べて非常に大きいと考えることができる。
従って、レーザのエネルギーがアブレーションを誘起するだけのエネルギーを持てば、造形材料201に瞬間にかかる力は付着力を大きく上回る。
ここで、レーザが物体に対してアブレーション閾値を超えるか否かはレーザーフルエンスFllが閾値を超えるかどうかで議論されるケースが普通である。
フルエンスFllとは、パルスエネルギーJをレーザの面積で割ることで算出される(単位はJ/cm2が一般的)。粉体材料の場合、そのフルエンス閾値Flthは0.1-1.0J/cm2が一般的である。これは、当該材料のバルク材料にレーザを照射することで算定が可能である。
これらより、吸着力Fvdwはファンデルワールス力、静電力、液架橋力から構成され、粒子(造形材料201)に作用する重力をFgとするとき、Fvdw>Fgとすることで、造形材料担持搬送体111に造形材料201を担持することができる。
また、レーザ光の入力条件は、輻射圧により粒子(造形材料201)にかかる力をFrとするとき、Fr>Fvdwとすることで、粒子を飛翔させることができる。
また、レーザ光の入力条件は、フルエンス閾値をFlth、レーザーフルエンスをFlとするとき、Fl>Flthとすることで、粒子を飛翔させることができる。
本実施形態に係る粒子を飛翔させる装置を使用することで、飛翔させる粒子(粉体)が限定されてない。つまり、前述したように、例えば、結晶性樹脂、非晶性樹脂、エンプラ、金属材料、セラミックなどの粒子(粉体)を飛翔させることができる。
そして、粒子を担持体に吸着することができれば、立体造形物を造形することができる。
ここで、造形材料担持搬送体111と、立体造形物が造形されるステージ101とは、対向部位で同じ方向に移動する構成とすることが好ましい。
また、担持体の搬送速度は、ステージの移動速度よりも速いことが好ましい。通常、造形材料担持搬送体111は粉体材料が完全に充填することは難しい。そのため、造形材料担持搬送体111は造形物200に十分な速度で粉体を供給するためにより速い速度で移動する必要がある。
[第10実施形態]
次に、第10実施形態に係る立体造形装置100jについて、図20を参照して説明する。図20は、立体造形装置100jの構成の一例を説明する図である。図20において、図1と同一の符号を付している手段については、図1と同一のため説明を適宜省略する。
図20に示すように、立体造形装置100jは供給手段300jを備える。また供給手段300jは、ドクターローラ310と、スクレーパ311と、第1モータ312と、第2モータ313とを備える。
ドクターローラ310は、担持ローラ301に担持された201の層厚を規制する規制部材の一例であり、また回転可能な規制回転部材の一例である。ドクターローラ310は、担持ローラ301とは反対方向(カウンタ方向)等に回転しながら担持ローラ301に周面にドクターローラ310自身の重量と圧付与部材305とによる当接圧P302にて当接させ、担持ローラ301に担持された造形材料201の層厚を規制する。
スクレーパ311は、ドクターローラ310の表面を清掃する清掃部材の一例である。
第1モータ312は、カップリング又はギア等を介して担持ローラ301及び供給ローラ303のそれぞれと機械的に接続され、担持ローラ301及び供給ローラ303を回転駆動させるモータである。第2モータ313は、カップリング又はギア等を介してドクターローラ310と機械的に接続され、ドクターローラ310を回転駆動させるモータである。
担持ローラ301、供給ローラ303及びドクターローラ310は、それぞれ独立に駆動可能に構成されている。
次に、図21は、ドクターローラ310及びスクレーパ311へのバイアス電圧印加、並びにドクターローラ310の回転の一例を説明する図であり、(a)は第1の種類の造形材料201'の場合の図、(b)は第2の種類の造形材料201"の場合の図である。
図21に示すように、供給手段300jは、造形材料の種類に応じたバイアス電圧を、担持ローラ301、ドクターローラ310、供給ローラ303及びスクレーパ311のそれぞれに印加できる。
また供給手段300jは、造形材料付着量検知手段170により検知された情報に基づいて決定されたバイアス電圧を、担持ローラ301、ドクターローラ310、供給ローラ303及びスクレーパ311のそれぞれに印加できる。
また供給手段300jは、造形材料の種類に応じた回転数で、担持ローラ301、ドクターローラ310及び供給ローラ303を回転させることができる。
また供給手段300jは、造形材料付着量検知手段170により検知された情報に基づいて決定された回転数で、担持ローラ301、ドクターローラ310、供給ローラ303及びスクレーパ311のそれぞれを回転させることができる。
また供給手段300jは、造形材料の種類に応じて、担持ローラ301、ドクターローラ310及び供給ローラ303のそれぞれの回転数と、担持ローラ301、ドクターローラ310及び供給ローラ303のそれぞれに印加するバイアス電圧の少なくとも1つを記録する情報記録部304を有する。供給手段300jは、造形材料の種類に応じて、情報記録部304を参照して、担持ローラ301、ドクターローラ310及び供給ローラ303を回転させ、担持ローラ301、ドクターローラ310及び供給ローラ303のそれぞれにバイアス電圧を印加できる。
次に、図22は、ドクターローラ310の担持ローラ301への当接の一例を説明する図であり、(a)は第1の種類の造形材料201'の場合の図、(b)は第2の種類の造形材料201"の場合の図である。
図22に示すように、供給手段300jは、造形材料の種類に応じて、ドクターローラ310が担持ローラ301に当接する位置を異ならせることができるように構成されている。
次に、図23は、ドクターローラ310の担持ローラ301への当接の他の例を説明する図であり、(a)は第1の種類の造形材料201'の場合の図、(b)は第2の種類の造形材料201"の場合の図である。
図23に示すように、供給手段300jは、造形材料の種類に応じて、ドクターローラ310が担持ローラ301に当接する当接圧P302をドクターローラ310自身の重量と担持ローラ301への当接角度、および圧付与部材305との組み合わせで異ならせることができるように構成されている。造形材料の種類に応じて、図23(a)では、担持ローラ301に当接圧P302aが付与され、図23(b)では、担持ローラ301に当接圧P302bが付与されている。
<供給手段300jの作用効果>
担持ローラと、規制部材302(図1参照)等のブレード状の規制部材では、両者が物理的に擦れ合うため、造形材料が摩擦熱と規制圧で溶融する場合がある。固定された規制部材側に溶融した造形材料が付着固化すると、担持ローラ上に均一な層厚の造形材料の薄膜を形成できなくなる。
本実施形態では、回転可能なドクターローラ(規制回転部材)により規制部材を構成し、ドクターローラを担持ローラと反対方向(カウンタ方向)等に回転させながら、担持ローラに担持された造形材料の層厚を規制する。これにより、担持ローラとの当接部で摩擦熱と規制圧により造形材料がドクターローラに付着固化することを抑え、担持ローラ上に均一な層厚の造形材料の薄膜を形成できる。なお、ドクターローラの回転方向は担持ローラと反対方向に限定されるものではなく、回転駆動が可能であれば同じ方向であっても効果を発揮できる。
また供給手段300jは、スクレーパ(清掃部材)を備えることで、ドクターローラに造形材料が付着固化した場合にもドクターローラの表面を清掃できるため、担持ローラ上に均一な層厚の造形材料の薄膜をより好適に形成できる。
また供給手段300jは、造形材料の種類に応じて、担持ローラ、ドクターローラ、供給ローラ及びスクレーパのそれぞれにバイアス電圧を印加する。また供給手段300jは、造形材料の種類に応じて、担持ローラ、ドクターローラ、供給ローラ及びスクレーパのそれぞれを回転させる。これにより、ドクターローラへの造形材料の付着固化を造形材料の種類に応じて適切に抑制し、より安定して薄膜を形成できる。
また供給手段300jは、造形材料付着量検知手段の検知結果に応じて、担持ローラ、ドクターローラ、供給ローラ及びスクレーパのそれぞれに対する印加バイアス電圧、又は回転数を決定する。これにより、ドクターローラへの造形材料の付着固化を造形材料の付着量に応じて適切に抑制し、より安定して薄膜を形成できる。
また供給手段300jは、造形材料の種類に応じて情報記録部を参照して、担持ローラ、ドクターローラ、及び供給ローラを回転させ、或いは担持ローラ、ドクターローラ、及び供給ローラのそれぞれにバイアス電圧を印加する。これにより、ドクターローラへの造形材料の付着固化を造形材料の種類に応じて適切に抑制し、より安定して薄膜を形成できる。
さらに供給手段300jは、造形材料の種類に応じて、ドクターローラが担持ローラに当接する位置を異ならせたり、担持ローラへの当接圧を異ならせたりできる。これにより、担持ローラとの当接部における摩擦熱と規制圧を造形材料の種類に応じて適切に調整でき、ドクターローラへの造形材料の付着固化を抑制して、より安定して薄膜を形成できる。
本実施形態では、バイアス電圧に加え、ドクターローラの回転数(停止含む)も可変にすることで、担持ローラに安定して造形材料の薄層を供給できる。
また、ドクターローラの回転駆動を、担持ローラや供給ローラとは別の駆動源により行うことで、回転比率を担持ローラとは独立して変化させることができる。これにより、より細やかな造形材料の層厚制御が可能となり、多種の造形材料を適正且つ安定的に供給できる。
以上、実施形態を説明してきたが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
また、実施形態は立体造形方法も含む。例えば、立体造形方法は、立体造形物を造形する立体造形装置による立体造形方法であって、第1の担持体に造形材料を供給する供給工程と、前記第1の担持体に担持されている前記造形材料を飛翔させる工程と、を行い、前記供給工程は、造形材料収容部に収容された該造形材料を第2の担持体により担持して搬送すると、前記第2の担持体に担持された前記造形材料の層厚を規制する工程と、を行う。このような立体造形方法により、上述した立体造形装置と同様の効果を得ることができる。