JP7539802B2 - トナー、トナーカートリッジ、画像形成装置 - Google Patents

トナー、トナーカートリッジ、画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、トナー、トナーカートリッジ、画像形成装置に関する。
結晶性ポリエステル樹脂を含むトナーが知られている(例えば、特許文献1)。結晶性ポリエステル樹脂を含むトナーは、低温定着性に優れる。
しかし、結晶性ポリエステル樹脂を含むトナーは耐熱性が不充分である。そのため、結晶性ポリエステル樹脂を含むトナーは、高温下でソフトケーキング化しやすい。ソフトケーキング化したトナーは流動性が低いため、画像形成装置内で現像剤の搬送不良が起きる。
加えて、結晶性ポリエステル樹脂は吸湿性が高い。そのため、トナーの帯電量が低下しやすく、画像形成装置内で飛散量が低下する。
このように、結晶性ポリエステルを含むトナーにおいては、低温定着性、流動性、飛散量をともに維持することが困難である。
外添剤の使用は、トナーの耐熱性の向上、帯電量の維持に有効である。しかし、トナーが再利用される場合、外添剤が剥がれたトナーが現像装置に再供給されることがある。そのため、トナーが再利用される場合においては、耐熱性の向上、帯電量の維持が一層困難である。
一方で、トナーの帯電量が過度に高いと、画像形成の際にトナーの転写不足が起きる。その結果、画像濃度が低下する可能性がある。
特許第3693327号公報
本発明が解決しようとする課題は、低温定着性に優れ、再利用される場合でも耐熱性に優れ、帯電量が充分に維持され、かつ、画像濃度が低下しにくいトナー;前記トナーが収容されたトナーカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
実施形態のトナーは、トナー母粒子と、外添剤と、を持つ。外添剤はトナー母粒子の表面に付着している。トナー母粒子は、結晶性ポリエステル樹脂とエステルワックスとを含有する。
エステルワックスは、第1のモノマー群と第2のモノマー群との縮合重合物である。第1のモノマー群は少なくとも3種類以上のカルボン酸からなる。第2のモノマー群は少なくとも3種類以上のアルコールからなる。
炭素数Cのカルボン酸の割合は、第1のモノマー群100質量%に対して70~95質量%である。炭素数Cは、第1のモノマー群中の最大含有量であるカルボン酸の炭素数である。第1のモノマー群中の炭素数18以下のカルボン酸の割合は、第1のモノマー群100質量%に対して5質量%以下である。
炭素数Cのアルコールの割合は、第2のモノマー群100質量%に対して70~90質量%である。炭素数Cは、第2のモノマー群中の最大含有量であるアルコールの炭素数である。第2のモノマー群中の炭素数18以下のアルコールの割合は、第2のモノマー群100質量%に対して20質量%以下である。
外添剤は、シリカ粒子Aとシリカ粒子Bとシリカ粒子Cを含有する。シリカ粒子Aの粒子径rは、10~14nmである。シリカ粒子Bの粒子径rは、40~70nmである。シリカ粒子Cの粒子径rは、90~150nmである。
シリカ粒子Aの含有量は、トナー母粒子100質量部に対して0.1~0.8質量部である。
シリカ粒子Bの含有量は、トナー母粒子100質量部に対して0.3~1.2質量部である。
シリカ粒子Cの含有量は、トナー母粒子100質量部に対して0.3~1.2質量部である。
シリカ粒子Aの含有量とシリカ粒子Bの含有量とシリカ粒子Cの含有量の合計は、トナー母粒子100質量部に対して3.0質量部以下である。
シリカ粒子Aの含有量に対するシリカ粒子Bの含有量の比は、1.0~5.0である。
シリカ粒子Aの含有量に対するシリカ粒子Cの含有量の比は、1.0~5.0である。
トナーの体積平均一次粒子径D50は、5.5~11.0μmである。
実施形態の画像形成装置の概略構造の一例を示す図である。 図1の画像形成装置の現像装置の斜視図である。 図1の画像形成装置の現像装置の側面図である。 他の実施形態の画像形成装置の概略構造の一例を示す図である。 図4の画像形成装置の現像装置の変形例の斜視図である。
以下、実施形態のトナーについて説明する。
実施形態のトナーは、トナー母粒子と、外添剤とを有する。
トナー母粒子について説明する。
実施形態のトナー母粒子は、結晶性ポリエステル樹脂とエステルワックスとを含有する。実施形態のトナー母粒子は、結晶性ポリエステル樹脂、エステルワックスに加えて、結晶性ポリエステル樹脂以外の他のバインダー樹脂、着色剤をさらに含有してもよい。実施形態のトナー母粒子は、実施形態に開示の効果が得られる範囲内であれば、結晶性ポリエステル樹脂、エステルワックス、他のバインダー樹脂、着色剤以外の他の成分をさらに含有してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂について説明する。
結晶性ポリエステル樹脂はバインダー樹脂として機能する。トナー母粒子が結晶性ポリエステル樹脂を含有するため、実施形態のトナーは低温定着性に優れる。
実施形態においては、軟化温度と融解温度との比(軟化温度/融解温度)が0.8~1.2であるポリエステル樹脂を「結晶性ポリエステル樹脂」とする。また、軟化温度と融解温度との比(軟化温度/融解温度)が0.8未満であるか、1.2超であるポリエステル樹脂を「非結晶性ポリエステル樹脂」とする。
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、2価以上のアルコールと2価以上のカルボン酸との縮合重合物が挙げられる。
2価以上のアルコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン、グリセリン、ペンタエリストール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。2価以上のアルコールとしては、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールが好ましい。
2価以上のカルボン酸としては、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、アルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸;これらの酸無水物;これらのエステル等が挙げられる。
アルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸としては、炭素数2~20のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸が挙げられる。例えば、n-ドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸等が挙げられる。2価以上のカルボン酸としては、フマル酸が好ましい。
ただし、結晶性ポリエステル樹脂はここで例示した2価以上のアルコールと2価以上のカルボン酸との縮合重合物に限定されない。結晶性ポリエステル樹脂は、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の質量平均分子量は、6×10~18×10が好ましく、8×10~14×10がより好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の質量平均分子量が前記下限値以上であると、トナーが低温定着性にさらに優れる。また、結晶性ポリエステル樹脂の質量平均分子量が前記上限値以下であると、トナーが耐オフセット性にも優れる。
本明細書において質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、60~120℃が好ましく、70~115℃がより好ましく、80~110℃がさらに好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点が前記下限値以上であると、トナーが耐熱性にさらに優れる。結晶性ポリエステル樹脂の融点が前記上限値以下であると、トナーが低温定着性にさらに優れる。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、例えば、示差走査熱量計(DSC)により測定できる。
他のバインダー樹脂について説明する。
他のバインダー樹脂としては、例えば、非結晶性ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、エチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、マレイン酸系樹脂等が挙げられる。ただし、他のバインダー樹脂は、これらの例示に限定されない。
他のバインダー樹脂は、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
他のバインダー樹脂は、実施形態に開示の効果が得られやすい点から、非結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。非結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、2価以上のカルボン酸と2価のアルコールとの縮合重合物が挙げられる。
2価以上のカルボン酸としては、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸の酸無水物、2価以上のカルボン酸のエステル等が挙げられる。2価以上のカルボン酸のエステルとしては、2価以上のカルボン酸の低級アルキル(炭素数1~12)エステルが挙げられる。
2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等が挙げられる。ただし、2価のアルコールはこれらの例示に限定されない。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、ビスフェノールAに、炭素数2~3のアルキレンオキシドを平均1~10モル付加した化合物が挙げられる。ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としては、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
2価のアルコールとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物が好ましい。2価のアルコールは、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
他のバインダー樹脂は、例えば、ビニル重合性単量体を単独で又は複数種で重合することにより得られる。
ビニル重合性単量体としては、例えば、芳香族系ビニル単量体、エステル系単量体、カルボン酸含有単量体、アミン系単量体が挙げられる。
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、フェニルスチレン、クロロスチレン、これらの誘導体が挙げられる。
エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、これらの誘導体が挙げられる。
カルボン酸含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、これらの誘導体が挙げられる。
アミン系単量体としては、例えば、アミノアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、これらの誘導体が挙げられる。
他のバインダー樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分とからなる重合性単量体成分の重縮合によって得てもよい。重合性単量体成分の重縮合に際しては、連鎖移動剤、架橋剤、重合開始剤、界面活性剤、凝集剤、pH調整剤、消泡剤等の種々の助剤を用いてもよい。
エステルワックスについて説明する。
実施形態のエステルワックスは、炭素数の異なる2種類以上のエステル化合物からなる。トナー母粒子がエステルワックスを含有するため、トナーは耐熱性に優れる。
エステルワックスは、第1のモノマー群と第2のモノマー群との縮合重合物である。
第1のモノマー群について説明する。
第1のモノマー群は、少なくとも3種類以上のカルボン酸からなる。第1のモノマー群のカルボン酸の種類数は、エステルワックスの入手が容易である点から、7種類以下が好ましく、5種類以下がより好ましい。
ここで、第1のモノマー群中における含有量が最大であるカルボン酸の炭素数をCとする。炭素数Cは19~28が好ましく、19~24がより好ましく、20~24がさらに好ましい。炭素数Cが前記下限値以上であると、エステルワックスの耐熱性がさらに向上する。炭素数Cが前記上限値以下であると、トナーが低温定着性にさらに優れる。
最大含有量である炭素数Cのカルボン酸の割合は、第1のモノマー群100質量%に対して70~95質量%であり、80~95質量%が好ましく、85~95質量%がより好ましい。炭素数Cのカルボン酸の割合が前記下限値以上であるため、エステルワックスの炭素数分布の極大ピークが充分に高炭素数側に位置する。その結果、トナーが耐熱性に優れる。炭素数Cのカルボン酸の割合が前記上限値以下であるため、エステルワックスの入手が容易である。
第1のモノマー群中の炭素数18以下のカルボン酸の割合は、第1のモノマー群100質量%に対して5質量%以下であり、0~5質量%が好ましく、0~1質量%がより好ましい。炭素数18以下のカルボン酸の割合が前記下限値以上であると、エステルワックスの入手が容易である。炭素数18以下のカルボン酸の割合が前記上限値以下であるため、エステルワックスにおいて相対的に分子量が低いエステル化合物の割合が少なくなる。その結果、トナーが耐熱性に優れる。
第1のモノマー群における各炭素数のカルボン酸の含有量は、例えば、エステルワックスをメタノリシス反応後の生成物についてFD-MS(Field Desorption Mass Spectrometry)による質量分析を行うことで測定できる。FD-MSによる測定で得られる生成物中の各炭素数のカルボン酸のイオン強度の合計を100とする。前記合計に対する各炭素数のカルボン酸のイオン強度の相対値を算出する。この相対値を、第1のモノマー群中の各炭素数のカルボン酸の含有量とする。また、この相対値が最大である炭素数のカルボン酸における炭素数をCとする。
第1のモノマー群におけるカルボン酸としては、エステルワックスの入手が容易である点から長鎖カルボン酸が好ましく、長鎖アルキルカルボン酸が好ましい。長鎖カルボン酸は、エステルワックスが所定の要件を満たすように適宜選択される。
長鎖カルボン酸としては、炭素数19~28の長鎖カルボン酸が好ましく、炭素数20~24の長鎖カルボン酸がより好ましい。長鎖カルボン酸の炭素数が前記下限値以上であると、エステルワックスの耐熱性がさらに向上する。長鎖カルボン酸の炭素数が前記上限値以下であると、トナーが低温定着性にさらに優れる。
長鎖アルキルカルボン酸として、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキデン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸等が挙げられる。
第2のモノマー群について説明する。
第2のモノマー群は、少なくとも3種類以上のアルコールからなる。第2のモノマー群のアルコールの種類数は、エステルワックスの入手が容易である点から、5種類以下が好ましい。
ここで、第2のモノマー群中における含有量が最大であるアルコールの炭素数をCとする。炭素数Cは19~28が好ましく、20~24がより好ましく、20~22がさらに好ましい。炭素数Cが前記下限値以上であると、エステルワックスの耐熱性が向上する。炭素数Cが前記上限値以下であると、トナーが低温定着性に優れる。
最大含有量である炭素数Cのアルコールの割合は、第2のモノマー群100質量%に対して70~90質量%であり、80~90質量%が好ましく、85~90質量%がより好ましい。炭素数Cのアルコールの割合が前記下限値以上であるため、エステルワックスの炭素数分布の極大ピークが充分に高炭素数側に位置する。その結果、トナーが耐熱性に優れる。炭素数Cのアルコールの割合が前記上限値以下であると、エステルワックスの入手が容易である。
第2のモノマー群中の炭素数18以下のアルコールの割合は、第2のモノマー群100質量%に対して20質量%以下であり、10~20質量%が好ましく、15~20質量%がより好ましい。炭素数18以下のアルコールの割合が前記下限値以上であると、エステルワックスの入手が容易である。炭素数18以下のアルコールの割合が前記上限値以下であるため、エステルワックスにおいて相対的に分子量が低いエステル化合物の割合が少なくなる。その結果、トナーが耐熱性に優れる。
第2のモノマー群における各炭素数のアルコールの含有量は、例えば、エステルワックスをメタノリシス反応後の生成物についてFD-MSによる質量分析を行うことで測定できる。FD-MSによる測定で得られる生成物中の各炭素数のアルコールのイオン強度の合計を100とする。前記合計に対する各炭素数のアルコールのイオン強度の相対値を算出する。この相対値を、第2のモノマー群中の各炭素数のアルコールの含有量とする。また、この相対値が最大である炭素数のアルコールにおける炭素数をCとする。
第2のモノマー群におけるアルコールとしては、エステルワックスの入手が容易である点から長鎖アルコールが好ましく、長鎖アルキルアルコールがより好ましい。長鎖アルコールは、エステルワックスが所定の要件を満たすように適宜選択される。長鎖アルコールとしては、炭素数19~28の長鎖アルコールが好ましく、炭素数20~22の長鎖アルコールがより好ましい。長鎖アルコールの炭素数が前記下限値以上であると、エステルワックスの耐熱性が向上し、トナーが耐熱性にさらに優れる。長鎖アルコールの炭素数が前記上限値以下であると、トナーが低温定着性にさらに優れる。
長鎖アルキルアルコールとしては、例えば、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキデルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、モンタニルアルコールが挙げられる。
実施形態のエステルワックスにおいては、実施形態のエステルワックスを構成するエステル化合物のうち最大含有量である炭素数Cのエステル化合物が存在することが好ましい。炭素数Cは、43以上が好ましく、43~56がより好ましく、43~52がさらに好ましく、44~46が特に好ましく、44が最も好ましい。炭素数Cが前記下限値以上であると、トナーが耐熱性にさらに優れる。炭素数Cが前記上限値以下であると、エステルワックスの入手が容易である。
炭素数Cのエステル化合物は、下式(I)で表される。
COOR ・・・(I)
式(I)中のRおよびRはアルキル基である。RとRの炭素数の合計は42以上が好ましく、42~55がより好ましく、42~51がさらに好ましく、43~45が特に好ましく、43が最も好ましい。RとRの炭素数の合計が前記下限値以上であると、トナーが耐熱性にさらに優れる。RとRの炭素数の合計が前記上限値以下であると、エステルワックスの入手が容易である。Rの炭素数は、炭素数Cのカルボン酸の炭素数Cを調整することで制御できる。Rの炭素数は、炭素数Cのアルコールの炭素数Cを調整することで制御できる。
炭素数Cのエステル化合物の割合は、エステルワックス100質量%に対して65質量%以上が好ましく、65~90質量%がより好ましく、70~90質量%がさらに好ましく、80~90質量%が特に好ましい。炭素数Cのエステル化合物の割合が前記下限値以上であると、エステルワックスの炭素数分布の極大ピークが充分高くなる。その結果、トナーが耐熱性にさらに優れる。炭素数Cのエステル化合物の割合が前記上限値以下であると、エステルワックスの入手が容易である。
実施形態のエステルワックスの炭素数分布は、炭素数43以上の領域に極大ピークを1つだけ有することが好ましい。この場合、相対的に分子量が低いエステル化合物の割合が少なくなる。その結果、トナーが耐熱性にさらに優れる。
実施形態のエステルワックスの炭素数分布において、極大ピークの位置は、炭素数43~56の領域が好ましく、炭素数44~52の領域がより好ましく、炭素数44~46の領域がさらに好ましく、炭素数44が最も好ましい。極大ピークの位置が前記下限値以上の炭素数の領域にあると、トナーが耐熱性にさらに優れる。極大ピークの位置が前記上限値以下の炭素数の領域にあると、エステルワックスの入手が容易である。
エステルワックスにおける各炭素数のエステル化合物の含有量は、例えば、FD-MSによる質量分析により測定できる。FD-MSによる測定で得られるエステルワックス中の各炭素数のエステル化合物のイオン強度の合計を100とする。前記合計に対する各炭素数のエステル化合物のイオン強度の相対値を算出する。この相対値を、エステルワックス中の各炭素数のエステル化合物の含有量とする。また、この相対値が最大である炭素数のエステル化合物における炭素数をCとする。
エステルワックスの調製方法について説明する。
エステルワックスは、例えば、長鎖カルボン酸と長鎖アルコールとをエステル化反応させることで調製できる。エステル化反応においては、所定の要件を満たすエステルワックスが得られやすい点から、少なくとも3種類以上の長鎖アルキルカルボン酸と少なくとも3種類以上の長鎖アルキルアルコールを使用することが好ましい。少なくとも3種類の長鎖アルキルカルボン酸、少なくとも3種類の長鎖アルキルアルコールのそれぞれの使用量を調整すると、エステルワックスに含まれるエステル化合物の炭素数分布を調整できる。エステル化反応は、窒素気流下で加熱しながら行うと好ましい。
エステル化反応物は、エタノール、トルエン等を含む溶媒により溶解し、さらに、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性水溶液を添加し、有機層と水層に分離して精製されてもよい。水層を除去することで、エステルワックスを得ることができる。精製操作は、複数回繰り返すことが好ましい。
着色剤について説明する。
着色剤は特に限定されない。例えば、カーボンブラック、シアン、イエロー、マゼンタ系の顔料、染料等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、アニリンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。
顔料、染料としては、例えば、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、クロムイエロー、キノリンイエロー、インドファストオレンジ、イルガジンレッド、カーミンFB、パーマネントボルドーFRR、ピグメントオレンジR、リソールレッド2G、レーキレッドC、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、デュポンオイルレッド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、アニリンブルー、カルコイルブルー、ウルトラマリンブルー、ブリリアントグリーンB、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート、メチレンブルークロライド、ローズベンガル、キナクリドン等が挙げられる。
着色剤としては、カラーインデックスナンバーによる表記で、例えば、C.I.ピグメントブラック1、6、7、C.I.ピグメントイエロー1、12、14、17、34、74、83、97、155、180、185、C.I.ピグメントオレンジ48、49、C.I.ピグメントレッド5、12、31、48、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、81、81:4、122、146、150、177、185、202、206、207、209、238、269、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、75、76、79、C.I.ピグメントグリーン1、7、8、36、42、58、C.I.ピグメントバイオレット1、19、42、C.I.アシッドレッド52等が挙げられる。ただし、着色剤はこれらの例示に限定されない。
着色剤は、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
他の成分について説明する。
他の成分としては、荷電制御剤、界面活性剤、塩基性化合物、凝集剤、pH調整剤、酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。ただし、添加剤は、これらの例示に限定されない。添加剤は、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
荷電制御剤について説明する。
トナー母粒子が荷電制御剤を含有する場合、トナーが紙等の記録媒体上に転写されやすくなる。荷電制御剤としては、含金属アゾ化合物、含金属サリチル酸誘導体化合物、金属酸化物疎水化処理物、ポリサッカライドの包接化合物等が挙げられる。含金属アゾ化合物としては、金属が鉄、コバルトもしくはクロムである錯体又は錯塩、これらの混合物が好ましい。含金属サリチル酸誘導体化合物、金属酸化物疎水化処理物としては、金属がジルコニウム、亜鉛、クロムもしくはボロンの錯体又は錯塩、これらの混合物が好ましい。ポリサッカライドの包接化合物としては、アルミニウム(Al)とマグネシウム(Mg)を含むポリサッカライドの包接化合物が好ましい。
トナー母粒子の組成について説明する。
結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー母粒子100質量%に対して5~25質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が前記下限値以上であると、トナーが低温定着性にさらに優れる。また、結晶性ポリエステル樹脂の含有量が前記上限値以下であると、トナーが耐オフセット性に優れる。
エステルワックスの含有量は、トナー母粒子100質量%に対して3~15質量%が好ましく、3~13質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。エステルワックスの含有量が前記下限値以上であると、トナーが耐熱性にさらに優れる。また、エステルワックスの含有量が前記上限値以下であると、トナーが低温定着性にさらに優れ、帯電量が充分に維持されやすい。
トナー母粒子が非結晶性ポリエステル樹脂を含有する場合、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、トナー母粒子100質量%に対して60~90質量%が好ましく、65~85質量%がより好ましく、70~80質量%がさらに好ましい。非結晶性ポリエステル樹脂の含有量が前記下限値以上であると、トナーが耐オフセット性に優れる。また、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量が前記上限値以下であると、トナーが低温定着性にさらに優れる。
トナー母粒子が着色剤を含有する場合、着色剤の含有量は、トナー母粒子100質量%に対して2~13質量%が好ましく、3~8質量%がより好ましい。着色剤の含有量が前記下限値以上であると、トナーが色再現性に優れる。また、着色剤の含有量が前記上限値以下であると、着色剤の分散性が優れ、トナーが低温定着性にさらに優れる。また、トナーの帯電量の制御が容易である。
外添剤について説明する。
外添剤は、特定のシリカ粒子A、シリカ粒子B、シリカ粒子Cを含有する。シリカ粒子Aの粒子径rは、10~14nmである。シリカ粒子Bの粒子径rは、40~70nmである。シリカ粒子Cの粒子径rは、90~150nmである。
このように、実施形態のトナーにおいては、外添剤は粒子径が互いに異なるシリカ粒子A、シリカ粒子B、シリカ粒子Cを含有する。そのため、実施形態のトナーから外添剤を取り出し、外添剤について粒子径を測定して粒子径分布を得ると、少なくとも3つのシリカ粒子の極大ピークが存在すると考えられる。
前記粒子径分布においては、少なくとも3つの極大ピークのうち、10~14nm、40~70nm、90~150nmの各範囲内に少なくとも1つずつ極大ピークが存在することが好ましい。この場合、粒子径rは、前記粒子径分布における10~14nmの範囲内のモード値(最頻値)とすることができる。また、粒子径rは、前記粒子径分布における40~70nmの範囲内のモード値(最頻値)とすることができる。また、粒子径rは、前記粒子径分布における90~150nmの範囲内のモード値(最頻値)とすることができる。
各シリカ粒子の粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定できる。
シリカ粒子Aは、粒子径rが相対的に小さい。そのため、シリカ粒子Aによってトナーの流動性、帯電性が向上する。その結果、実施形態のトナーは再利用される場合でも、耐熱性に優れ、帯電量が充分に維持される。
しかし、シリカ粒子Aは現像装置内でトナー母粒子の表面がストレスを受けた際にトナー表面から離脱しやすく、また埋没もしやすい。そこで、相対的に粒子径rが大きいシリカ粒子Cによって、シリカ粒子Aがストレスから保護される。
ところが、粒子径の大きいシリカは、一般的に帯電付与力が弱い。そのためシリカ粒子Cの存在により、シリカ粒子Aの帯電付与力が損なわれ、帯電量が低下する可能性がある。そこで、シリカ粒子Cに加えて、粒子径rが中程度のシリカ粒子Bにより、シリカ粒子Aがストレスから保護される。同時に、シリカ粒子Bによって帯電量、トナー飛散量が充分に維持される。
これらのシリカ粒子A、シリカ粒子B、シリカ粒子Cの含有量は、それぞれ特定の範囲内である。そのため、実施形態のトナーは、再利用される場合でも耐熱性に優れ、帯電量が充分に維持され、かつ、画像濃度も低下しにくい。
粒子径rは、10~14nmであり、11~13nmが好ましく、11~12nmがより好ましい。粒子径rが前記下限値以上であるため、実施形態のトナーの帯電量が高くなり、トナーの飛散量が充分に維持される。粒子径rが前記上限値以下であるため、シリカ粒子Aのトナー母粒子への埋没が起きにくい。そのため、トナーの流動性が向上する。その結果、トナーの飛散量も充分に維持される。
粒子径rは、40~70nmであり、45~65nmが好ましく、50~60nmがより好ましい。粒子径rが前記下限値以上であるため、シリカ粒子Bがシリカ粒子Aを充分に保護できる。そのため、シリカ粒子Aの脱離が起きにくく、流動性が充分に発現し、搬送不良が低減される。粒子径rが前記上限値以下であるため、トナーの帯電量が充分に維持され、トナーの飛散量も充分に維持される。
粒子径rは、90~150nmであり、100~140nmが好ましく、115~130nmがより好ましい。粒子径rが前記下限値以上であるため、シリカ粒子Cがシリカ粒子Aを充分に保護できる。そのため、シリカ粒子Aの脱離が起きにくく、流動性が充分に発現し、搬送不良が低減される。粒子径rが前記上限値以下であるため、実施形態のトナーの帯電量、飛散量が低下しにくい。
シリカ粒子Aの含有量wは、トナー母粒子100質量部に対して0.1~0.8質量部であり、0.3~0.6質量部が好ましく、0.4~0.5質量部がより好ましい。シリカ粒子Aの含有量wが前記下限値以上であるため、実施形態のトナーの帯電量が充分に高くなり、トナーの飛散量が充分に維持される。また、再利用される場合でもトナーの流動性がよく、搬送不良が低減される。シリカ粒子Aの含有量wが前記上限値以下であるため、トナー帯電量が過度に高くならない。そのため、画像形成の際に画像濃度が充分に確保され、画像濃度が低下しにくい。
シリカ粒子Bの含有量wは、トナー母粒子100質量部に対して0.3~1.2質量部であり、0.5~1.0質量部が好ましく、0.7~0.9質量部がより好ましい。シリカ粒子Bの含有量wが前記下限値以上であるため、トナーの帯電量が高くなり、トナーの飛散量が充分に維持される。シリカ粒子Bの含有量wが前記上限値以下であるため、トナーの帯電量が充分に維持され、トナーの飛散量も充分に維持される。
シリカ粒子Cの含有量wは、トナー母粒子100質量部に対して0.3~1.2質量部であり、0.5~1.0質量部が好ましく、0.7~0.8質量部がより好ましい。シリカ粒子Cの含有量wが前記下限値以上であるため、シリカ粒子Aの脱離が起きにくく、流動性が充分に発現し、搬送不良が低減される。シリカ粒子Cの含有量wが前記上限値以下であるため、実施形態のトナーの帯電量、飛散量が低下しにくい。
シリカ粒子Aの含有量とシリカ粒子Bの含有量とシリカ粒子Cの含有量の合計wA+B+Cは、トナー母粒子100質量部に対して3.0質量部以下であり、1~3質量部が好ましく、1.8~2.4質量部がより好ましい。含有量の合計wA+B+Cが前記下限値以上であると、保管時にトナー母粒子が外添剤によって保護され、トナーが保存性にも優れる。含有量の合計wA+B+Cが前記上限値以下であるため、定着時にトナーが充分に溶融し、低温定着性が向上する。
シリカ粒子Aの含有量に対するシリカ粒子Bの含有量の比(B/A)は、1.0~5.0であり、2.0~4.5が好ましく、3.0~4.0がより好ましい。前記比(B/A)が前記下限値以上であるため、シリカ粒子Aの脱離が起きにくく、流動性が充分に発現し、搬送不良が低減される。前記比(B/A)が前記上限値以下であるため、トナーの帯電量が充分に維持され、トナーの飛散量も充分に維持される。
前記シリカ粒子Aの含有量に対する前記シリカ粒子Cの含有量の比(C/A)は、1.0~5.0であり、1.5~4.0が好ましく、2.0~3.0がより好ましい。前記比(C/A)が前記下限値以上であるため、シリカ粒子Aの脱離が起きにくく、流動性が充分に発現し、搬送不良が低減される。前記比(C/A)が前記上限値以下であるため、実施形態のトナーの帯電量、飛散量が低下しにくい。
シリカ粒子A、B、Cはいずれも、シリカの一次粒子であることが好ましい。シリカの一次粒子は、単分散の状態でトナー母粒子の表面に付着する。そのため、トナーの帯電量の制御が容易であり、飛散量の低下、画像濃度の低下がさらに少なくなる。ここで、シリカの一次粒子とは、シリカからなる1粒の粒子を意味する。シリカの一次粒子は、球状が好ましく、真球状がより好ましい。
外添剤として、実施形態に開示の効果が得られる範囲内であれば、シリカの一次粒子に加えて、シリカの二次粒子がトナー母粒子の表面に存在してもよい。シリカの二次粒子は、2粒以上のシリカの一次粒子が合着した合着物である。そのため、二次粒子は不定形となる。二次粒子の具体的な形状は特に限定されない。二次粒子の形状は、多角柱上でもよく、多面体形状でもよく、楕円体状でもよい。
シリカ粒子A、B、Cとしては、トナーの帯電量がさらに充分に維持される点から、湿式シリカが好ましい。湿式シリカは、例えば、珪砂を原料とする珪酸ソーダを原料とし、珪酸ソーダを含む水溶液を中和してシリカを析出し、ろ過、乾燥する方法(液相法)で製造できる。これに対し、四塩化珪素を高温の炎の中で反応させて得られる焼成シリカ(乾式シリカ)が知られている。湿式シリカがトナーの外添剤として使用されると、一般に水分量が低い焼成シリカに比べてトナーの帯電量が維持されやすくなる。
シリカ粒子A、B、Cとしては、トナーが耐熱性にさらに優れる点から、それぞれ疎水性シリカ粒子が好ましい。疎水性シリカ粒子は、例えば、湿式シリカの表面シラノール基をシラン、シリコーン等で疎水化処理して得られる。疎水性シリカ粒子がトナーの外添剤として使用されると、トナー母粒子との付着性がよくなる。
疎水性シリカの疎水化度は、例えば、下記の方法で測定できる。
イオン交換水50ml、試料0.2gをビーカーに入れ、マグネティックスターラーで攪拌しながらビュレットからメタノールを滴下する。次にビーカー内のメタノール濃度が増加するにつれ粉体は徐々に沈降していき、その全量が沈んだ終点におけるメタノールとイオン交換水の混合溶液中のメタノールの容量%を疎水化度(%)とする。
外添剤は、シリカ粒子以外の他の無機酸化物をさらに含有してもよい。他の無機酸化物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、アルミナ、酸化錫等が挙げられる。
シリカ粒子及び無機酸化物からなる粒子は、安定性が向上する点から、疎水化剤で表面処理されてもよい。無機酸化物は、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
実施形態のトナーの体積平均一次粒子径D50は、5.5~11.0μmであり、5.8~10.0μmが好ましく、6.0~8.0μmがより好ましい。トナーの体積平均一次粒子径D50が前記下限値以上であるため、トナーの流動性が向上する。そのため、再利用される場合でもトナーの搬送不良が起きにくい。トナーの体積平均一次粒子径D50が前記上限値以下であるため、画像濃度が低下しにくい。
トナーの製造方法について説明する。
実施形態のトナーは、トナー母粒子と外添剤とを混合して製造できる。トナー母粒子と外添剤との混合により、トナー母粒子の表面に外添剤が付着する。
実施形態のトナー母粒子は、例えば、混練粉砕法、ケミカル法により製造できる。
混練粉砕法について説明する。
混練粉砕法としては、例えば、下記の混合工程と混練工程と粉砕工程を含む製造方法が挙げられる。混練粉砕法は、下記の分級工程を必要に応じてさらに含んでもよい。
・混合工程:少なくとも結晶性ポリエステル樹脂とエステルワックスとを混合して混合物を得る工程。
・混練工程:前記混合物を溶融混練して混練物を得る工程。
・粉砕工程:前記混練物を粉砕して粉砕物を得る工程。
・分級工程:前記粉砕物を分級する工程。
混合工程では、トナーの原料が混合されて混合物が得られる。混合工程では混合機が用いられてもよい。混合機は特に限定されない。混合工程では、着色剤、他のバインダー樹脂、添加剤が必要に応じて使用されてもよい。
混練工程では、混合工程で得られた混合物が溶融混練されて混練物が得られる。混練工程は混練機が用いられてもよい。混練機は特に限定されない。
粉砕工程では、混練工程で得られた混練物が粉砕されて粉砕物が得られる。粉砕工程では粉砕機が用いられてもよい。粉砕機としては、ハンマーミル等の種々の粉砕機を用いることができる。また、粉砕機で得られた粉砕物はさらに微粉砕されてもよい。粉砕物をさらに微粉砕する粉砕機としては、種々の粉砕機を用いることができる。粉砕工程で得られた粉砕物は、このままトナー母粒子とされてもよく、必要に応じて分級工程を経てトナー母粒子とされてもよい。
分級工程では、粉砕工程で得られた粉砕物が分級される。分級工程では分級機が用いられてもよい。分級機は特に限定されない。
ケミカル法について説明する。
ケミカル法では、結晶性ポリエステル樹脂、エステルワックス、必要に応じて他のバインダー樹脂、添加剤を混合して混合物を得る。次に混合物を溶融混練して混練物を得る。次に混練物を粉砕して粗く粒状化された中砕粒子を得る。次に中砕粒子を水系媒体と混合して混合液を調製する。次に混合液を機械的せん断に供して微粒子分散液を得る。最後に微粒子分散液中で微粒子を凝集させてトナー母粒子とする。
外添剤の添加方法について説明する。
外添剤は、例えば、混合機によりトナー母粒子と混合される。混合機は特に限定されない。
外添剤は、必要に応じて篩い装置により篩分けされてもよい。篩い装置は特に限定されない。種々の篩い装置を用いることができる。
実施形態のトナーカートリッジについて説明する。
実施形態のトナーカートリッジは、上述の実施形態のトナーが収容されている。例えば、トナーカートリッジは、容器を有し、前記容器に実施形態のトナーが収容されている。容器は特に限定されず、画像形成装置に適用可能な種々の容器を用いることができる。
実施形態のトナーは一成分現像剤として用いてもよく、キャリアと組み合わせて二成分現像剤として用いてもよい。
以下、実施形態の画像形成装置について、図面を参照して説明する。図1は、回収されたトナーを再利用できる画像形成装置の概略構造の一例を示す図である。
図1に示す複写機本体101は、中央一側部に設けられた画像形成部101Aと;上面部に設けられた原稿載置台135と;原稿載置台135の下部側に設けられたスキャナ136と;下部側に設けられた複数段の給紙カセット142,143と;を備える。
画像形成部101Aは、矢印方向に回転自在な感光体ドラム102と;感光体ドラム102の表面を帯電する帯電チャージャー103と;感光体ドラム102の表面に静電潜像を形成するレーザユニット104と;感光体ドラム102上の静電潜像をトナーで現像する現像装置105と;感光体ドラム102上のトナー像を用紙に転写させる転写チャージャー106と;感光体ドラム102上の残留トナーを除去するクリーニング装置107と;現像装置105の上方部に設けられた補給容器108と;を有する。
帯電チャージャー103、レーザユニット104、現像装置105、転写チャージャー106、クリーニング装置107は、感光体ドラム102の周囲部に、感光体ドラム102の回転方向に沿ってこの順に設けられている。
補給容器108は、現像装置105に実施形態のトナーを補給する。補給容器108には実施形態のトナーが貯留されている。
スキャナ136は、原稿載置台135上の原稿を露光する。スキャナ136は、原稿に光を照射する光源137と;原稿から反射される光を所定方向に反射させる第1の反射ミラー138と;第1の反射ミラー138から反射される光を順次反射させる第2の反射ミラー139及び第3の反射ミラー140と;第3の反射ミラー140から反射される光を受光する受光素子141と;を有する。
給紙カセット142,143は、用紙を画像形成部101Aに送り出す。用紙は、搬送系144を介して上方へ搬送される。搬送系144は、搬送ローラ対145とレジストローラ対146と転写チャージャー106と定着ローラ対147と排出ローラ対148を有する。
図1に示す画像形成装置においては、例えば以下のようにして画像形成が行われる。
まず、原稿載置台135上の原稿に光源137から光が照射される。照射された光は、原稿から反射され、第1の反射ミラー138、第2の反射ミラー139、第3の反射ミラー140を順に経由して受光素子141に受光されて原稿像が読み取られる。次いで、受光素子141の読取情報に基づいて、レーザユニット104からレーザー光LBが感光体ドラム102の表面に照射される。
ここで、感光体ドラム102の表面は帯電チャージャー103により負に帯電されている。レーザユニット104からレーザー光LBが照射されると、感光体ドラム102が露光され、照射した部分の電位が0に近づく。そのため、原稿の画像部分に対応する領域では、感光体ドラム102の表面電位が画像の濃度に応じて0に近づき、静電潜像が形成される。
静電潜像は、感光体ドラム102の回転により現像装置105に対向する位置でトナーを吸着してトナー像となる。トナー像が形成される際には、用紙が給紙カセット142、143から搬送系144に供給される。用紙はレジストローラ146で整位されたのち、転写チャージャー106と感光体ドラム102との間に送り込まれる。その後、感光体ドラム102上のトナー像が用紙に転写される。
トナー像が転写された用紙は、定着ローラ対147へ搬送される。定着ローラ対147では、用紙が加圧及び加熱されて、トナー像が用紙に定着される。実施形態のトナーは、低温定着性に優れる。そのため、例えば140~170℃程度での定着が可能である。定着後、用紙は排紙ローラ対148を介して排紙トレイ150上に排出される。
一方、用紙に転写されずに感光体ドラム102の表面上に残留したトナーは、クリーニング装置107で除去される。その後、トナーは回収機構110によって現像装置105へ戻されて再利用される。また、図1に示す画像形成装置においては、現像装置105内のトナーが消費されると、補給容器108から実施形態のトナーが、フレッシュトナーとして新たに補給される。
現像装置105について、図2、図3を参照して説明する。
現像装置105は、トナーを再利用のために回収する回収機構110と;実施形態のトナーを含む現像剤が収納されている現像容器111と;現像容器111内に回転自在に設けられた現像ローラ112と;現像容器111内に第1の室116、第2の室117、第3の室118を形成する第1の仕切壁114及び第2の仕切壁115と;第1の室116内に設けられた第1のミキサー120と;第2の室117内に設けられた第2のミキサー121と;第3の室118内に設けられた第3のミキサー122と;補給容器から供給されるフレッシュトナーを受けるフレッシュトナー受部123と;リサイクルトナー受部124と;トナー濃度検知器129と;を有する。
現像装置105は、回収機構110を介してクリーニング装置107に接続されている。現像装置105においては、回収機構110は、再利用のトナーが搬送されるオーガである。ただし、回収機構110はオーガに限定されない。
クリーニング装置107は、クリーニングブレードでもよく、クリーニングブラシでもよい。
現像ローラ112は感光体ドラムの下面部に対向する位置に配置されている。現像ローラ112は、回転することにより現像剤を感光体ドラムに供給する。
第1の仕切壁114の第1の端部側には、第1の連通部125が形成されている。また、第1の仕切壁114の第2の端部側には第2の連通部126が形成されている。また、第2の仕切壁115には、第3の連通部127、第4の連通部128がそれぞれ形成されている。
現像容器111内は、第1の仕切壁114及び第2の仕切壁115によって第1の室116、第2の室117、第3の室118に仕切られている。第1の室116、第2の室117、第3の室118は、感光体ドラム102の軸方向に沿って略平行に形成されている。
ここで紙面上、第1の仕切壁114において、第2の連通部126から第1の連通部125に向かう向きを第1の方向とする。また、第1の方向と逆向き、すなわち第1の連通部125から第2の連通部126に向かう向きを第2の方向とする。
第1のミキサー120は回転することにより、第1の方向に現像剤を攪拌搬送して現像ローラ112に供給する。第2のミキサー121、第3のミキサー122は、第2の方向に現像剤を攪拌搬送して第1のミキサー120の上流側に送り込む。
第2のミキサー121、第3のミキサー122は、駆動手段によって回転駆動される。現像装置105においては、駆動手段は単一の駆動源としての駆動モータ162と;駆動モータ162によって回転される駆動ギヤ163と;を備えている。駆動ギヤ163には、大径の動力伝達ギヤ164を介して第3のミキサー122の回転シャフト151が接続されている。また、大径の動力伝達ギヤ164には小径の動力伝達ギヤ165を介して第2のミキサー121の回転軸121aが接続されている。
以上説明した構成を備える現像装置105においては、第3のミキサー122による現像剤の搬送速度が、第2のミキサー121による現像剤の搬送速度よりも低い。そのため、第3のミキサー122による現像剤の搬送時間が、第2のミキサー121による現像剤の搬送時間よりも長くなる。
ここで他の実施形態においては、第2及び第3のミキサー121,122は、回転速度を異にする複数の駆動モータによって個別に回転駆動するようにしてもよい。また、回収トナーを第2の方向とは逆の方向に搬送する逆送り羽根を第3のミキサー122に設けてもよい。いずれの手法を採用しても、第3のミキサー122による回収トナーの搬送速度を第2のミキサー121の現像剤の搬送速度よりも低くできる。
次に、図2、3を参照して現像装置105の現像動作について説明する。
現像容器111内において現像剤は、第1のミキサー120の回転により第1の方向に向かって、攪拌搬送され、現像ローラ112に供給される。その後、現像剤は現像ローラ112の回転により感光体ドラム102上の静電潜像に供給され、静電潜像が顕像化される。
第1のミキサー120から搬出される現像剤は、第1の連通部125を介して第2の室117内に案内される。その後、第2の室117内で、現像剤は第2のミキサー121の回転により矢印方向(第2の方向)に搬送される。第2のミキサー121により搬出される現像剤は、第2の連通部126を介して第1のミキサー120の上流側に送り出され、第1のミキサー120との間で循環するように搬送される。
第2のミキサー121によって搬送される現像剤の一部は、第3の連通部127から第3の室118内に送り込まれて、矢印方向(第2の方向)に搬送される。現像剤は第4の連通部128から再び第2の室117内に送り込まれ、第2のミキサー121によって攪拌搬送される。その後、現像剤は、第2の連通部126を介して第1のミキサー120の上流側に送り込まれる。
ここで、第2のミキサー121によって攪拌搬送される現像剤は、トナー濃度検知器129によってトナー濃度が検出される。トナー濃度検知器129によって検知されたトナー濃度が所定値以下になると、補給容器108から実施形態のトナーが補給される。このトナーは現像容器111のフレッシュトナー受部123に落下する。フレッシュトナーは第2のミキサー121の回転により矢印方向(第2の方向)に攪拌搬送され、第1のミキサー120の上流側に送り込まれる。
回収機構110によってクリーニング装置107から回収された回収トナーは、リサイクルトナー受部124に落下する。回収トナーは、第3のミキサー122の回転により第2の方向に搬送される。ここで、第3の連通部127から第3の室118内に案内された現像剤は、第3のミキサー122の逆送り羽根153の回転により一旦、矢印aで示すようにリサイクルトナー受部124側に向かって攪拌搬送される。その後、現像剤は回収トナーとともに、順送り羽根152の回転により矢印bで示すように、第2の方向に攪拌搬送される。回収トナーは第4の連通部128、第2の連通部126を順に経由して第1のミキサー120の上流側に送り込まれる。
現像剤、回収トナーのなかには、第4の連通部128を介して第2の室117内に送られずに、搬送方向の下流側に送られるものがある。このような現像剤、回収トナーは、逆送り羽根155の回転により逆送りされて第4の連通部128に戻され、第4の連通部128を介して第2の室117へ送られる。
従来、トナーを含む現像剤が再利用される場合には、物理的なストレスにより外添剤がトナー母粒子から剥がれ落ちやすく、ソフトケーキングが顕著に発生していた。そのため、現像剤の流動性が低下し、トナーの帯電量、飛散量が低下するという問題があった。
これに対して、実施形態のトナーは耐熱性に優れるため、トナーが再利用される場合でも、トナーの流動性が低下しにくい。そのため、トナーの帯電量、飛散量が充分維持され、良好な現像が行われる。
図4は、実施形態のトナーを含む現像剤が適用された画像形成装置の一例を示す。
図4に示す画像形成装置は、トナー像を定着させる形態である。ただし、実施形態の画像形成装置はこの形態に限定されない。他の実施形態に係る画像形成装置は、例えば、インクジェット式の形態であってもよい。
図4に示す画像形成装置1は、4連タンデム方式のカラー複写機MFPである。画像形成装置1は、スキャナ部2と;排紙部3と;給紙カセット4と;中間転写ベルト10と;中間転写ベルト10の走行方向Sに沿って配置された4つの画像形成ステーション11Y、11M、11C、11Kと;二次転写ローラ27と;定着装置30と;手差し機構31と;を備える。
中間転写ベルト10は、従動ローラ20とバックアップローラ21に巻かれて支持されている。中間転写ベルト10には、従動ローラ20、バックアップローラ21に加えて、第1のテンションローラ22、第2のテンションローラ23、第3のテンションローラ24により任意の張力がかけられている。
各画像形成ステーション11Y、11M、11C、11Kは、中間転写ベルト10と接触した感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kをそれぞれ有している。
感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kの周囲には、帯電チャージャー13Y、13M、13C、13Kと;現像装置14Y、14M、14C、14Kと;感光体クリーニング装置16Y、16M、16C、16Kと;一次転写ローラ18Y、18M、18C、18Kと;が配置される。
帯電チャージャー13Y、13M、13C、13Kは、感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kの表面を負に帯電する。帯電チャージャー13Y、13M、13C、13Kと現像装置14Y、14M、14C、14Kとの間で、レーザー露光装置17が感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kに露光光を照射する。そして、静電潜像が感光体ドラム12Y、12M、12C、12K上に形成される。
現像装置14Y、14M、14C、14Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナー及びキャリアからなる二成分現像剤を有する。現像装置14Y、14M、14C、14Kは、感光体ドラム12Y、12M、12C、12K上の静電潜像にトナーをそれぞれ供給する。このようにして、画像形成ステーション11Y、11M、11C、11Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の単色の画像をそれぞれ形成する。
一次転写ローラ18Y、18M、18C、18Kは、感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kとそれぞれ対向する位置の中間転写ベルト10上に設けられている。一次転写ローラ18Y、18M、18C、18Kは、感光体ドラム12Y、12M、12C、12K上のトナー像を中間転写ベルト10に一次転写するためのものである。
一次転写ローラ18Y、18M、18C、18Kは、それぞれ導電ローラである。一次転写ローラ18Y、18M、18C、18Kには一次転写バイアス電圧がそれぞれ印加される。
二次転写ローラ27は、中間転写ベルト10がバックアップローラ21により支持される転写位置に配置されている。バックアップローラ21は導電ローラである。バックアップローラ21には所定の二次転写バイアスが印加される。
印刷対象物のシート紙が、中間転写ベルト10と二次転写ローラ27間を通過すると、シート紙上に、中間転写ベルト10上のトナー像が二次転写される。二次転写終了後、中間転写ベルト10はベルトクリーナ10aによりクリーニングされる。
給紙カセット4は、レーザー露光装置17の下方に設けられている。給紙カセット4は、二次転写ローラ27に向けてシート紙P1を供給する。給紙カセット4と二次転写ローラ27との間には、ピックアップローラ4a、分離ローラ28a、搬送ローラ28b、レジストローラ対36が設けられている。
手差し機構31は、画像形成装置1の一側面部に設けられている。手差し機構31は、手差しによりシート紙P2を給紙するためのものである。手差し機構31においては、手差しトレイ31aとレジストローラ対36の間に、手差しピックアップローラ31b、手差し分離ローラ31cが設けられている。
給紙カセット4又は手差しトレイ31aからシート紙が搬送される縦搬送路35上には、シート紙の種類を検知するメディアセンサ39が配置されている。画像形成装置1は、メディアセンサ39による検知結果から、シート紙の搬送速度、転写条件、定着条件等を制御できる。シート紙は、縦搬送路35に沿って、レジストローラ対36、二次転写ローラ27を経て、定着装置30に搬送される。
定着装置30は、一対の加熱ローラ51及び駆動ローラ52に巻かれた定着ベルト53と;定着ベルト53を介して、加熱ローラ51に対向して配置された対向ローラ54と;を有する。定着装置30は、加熱ローラ51と接触する部分の定着ベルト53を加熱できる。そして、定着装置30は、定着ベルト53と対向ローラ54の間で、トナー像が転写されたシート紙を加熱及び加圧し、トナー像をシート紙に定着する。
実施形態のトナーは、低温定着性に優れている。そのため、例えば140~170℃程度での定着が可能である。
定着装置30の下流には、ゲート33が設けられている。シート紙は、排紙ローラ41方向又は再搬送ユニット32方向に振り分けられる。排紙ローラ41に振り分けられたシート紙は、排紙部3に排紙される。一方、再搬送ユニット32に振り分けられたシート紙は、再度二次転写ローラ27に向かって案内される。
図4に示す画像形成装置1においては、画像形成ステーション11Yは、感光体ドラム12Yとプロセス部材を一体的に有し、画像形成装置本体に対して着脱自在に設けられている。プロセス部材としては、帯電チャージャー13Y、現像装置14Y、感光体クリーニング装置16Yが挙げられる。ただし、他の実施形態においては、各画像形成ステーション11Y、11M、11C、11Kは、画像形成装置に対して各々着脱自在であってもよく、一体の画像形成ユニット11として画像形成装置に対して着脱自在であってもよい。
実施形態のトナーは、図4に示す画像形成装置の現像装置14Yが変形された画像形成装置に適用されてもよい。図5は、図4の画像形成装置に適用可能な現像装置の変形例の一例を示す。
図5に示す現像装置64Yは、イエロートナー及びキャリアからなる二成分現像剤が収容されたものである。現像装置64Yは、トナー濃度センサQを有する。トナー濃度センサQは、トナーの濃度低下を検知する。現像装置64Yは、濃度低下を検知すると、トナーカートリッジ(図示略)からイエロートナーを補給する。このようにして、現像装置64Yは、トナー濃度を一定に維持できる。
加えて、現像装置64Yはトナーカートリッジ(図示略)から現像剤補給口64Y1を介してキャリアを補給できる。そして、現像装置64Yは補給された分だけ、現像剤排出口64Y2から現像剤をオーバーフローにより排出できる。
このように、現像装置64Yにおいては、現像剤量が一定に維持され、かつ、古く劣化したキャリアが少しずつ新しいキャリアと入れ替わる。
図4の現像装置14M、14C、14Kも、現像装置14Yと同様に、イエロートナーに代えてマゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーがそれぞれ用いられること以外は現像装置64Yと同様の現像装置64M、64C、64K(図示せず)にそれぞれ変形されてもよい。
以上述べた少なくともひとつの実施形態のトナーは、低温定着性に優れ、再利用される場合でも耐熱性に優れ、帯電量が充分に維持され、かつ、画像濃度が低下しにくい。
以下、実施例を示し、実施形態をより具体的に説明する。
実施例のエステルワックスA~Q、エステルワックスa~iの調製について説明する。
攪拌器、熱電対、窒素導入管を取り付けた4つ口フラスコに、少なくとも3種類以上の長鎖アルキルカルボン酸80質量部と、少なくとも3種類以上の長鎖アルキルアルコール20質量部を投入した。窒素気流下、220℃でエステル化反応を行い、反応物を得た。得られた反応物をトルエン及びエタノールの混合溶媒を添加して反応物を溶解した。さらに、フラスコに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、70℃で30分間撹拌した。さらに30分間静置し、フラスコの内容物を有機層と水層に分離し、内容物から水層を除去した。その後、フラスコにイオン交換水を添加して、70℃で30分間撹拌した。フラスコを30分間静置し、フラスコ内の内容物を水層と有機層とに分離し、内容物から水層を除去した。この操作を5回繰り返した。フラスコ内の内容物の有機層から減圧条件下で溶媒を留去しエステルワックスAを得た。
使用した長鎖アルキルカルボン酸、長鎖アルキルアルコールの種類、使用量を変更した以外はエステルワックスAと同様にしてエステルワックスB~Qを得た。また、同様の操作によりエステルワックスa~iを得た。
使用した長鎖アルキルカルボン酸は、以下の通りである。
・パルミチン酸 (C1632
・ステアリン酸 (C1836
・アラキデン酸 (C2040
・ベヘニン酸 (C2244
・リグノセリン酸 (C2448
・セロチン酸 (C2652
・モンタン酸 (C2856
使用した長鎖アルキルアルコールは、以下の通りである。
・パルミチルアルコール (C1634O)
・ステアリルアルコール (C1838O)
・アラキデルアルコール (C2042O)
・ベヘニルアルコール (C2246O)
・リグノセリルアルコール(C2450O)
・セリルアルコール (C2654O)
・モンタニルアルコール (C2858O)
実施例1のトナーを以下のように製造した。
まず、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に、トナー母粒子の原料を入れて混合した。さらに、トナー母粒子の原料の混合物を二軸押し出し機で溶融混練した。この溶融混練物を冷却した後、ハンマーミルで粗粉砕した。この粗粉砕物を、ジェット粉砕機で微粉砕した。この微粉砕物を分級してトナー母粒子を得た。
トナー母粒子の原料の組成を下記に示す。
結晶性ポリエステル樹脂 5質量部
非結晶性ポリエステル樹脂 84質量部
エステルワックスA 5質量部
カーボンブラック 5質量部
帯電制御剤(AlとMgを含むポリサッカライド包接化合物) 1質量部
次に、実施例1のトナー母粒子100質量部に対し、ヘンシェルミキサーを用いて下記の組成の外添剤を混合し、実施例1のトナーを製造した。
シリカ粒子A 0.45質量部
シリカ粒子B 0.75質量部
シリカ粒子C 0.75質量部
酸化チタン 0.5質量部
実施例2~18、比較例1~24のトナーを以下のように製造した。
まず、トナー母粒子の原料の組成について、エステルワックスAの代わりに表1~3の各欄に示すエステルワックスを使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2~18、比較例1~24のトナー母粒子をそれぞれ製造した。
次に、シリカ粒子A、シリカ粒子B、シリカ粒子Cについて、粒子径r、粒子径r、粒子径r、含有量w、含有量w、含有量wを表1~3の各欄に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして外添剤を各例のトナー母粒子と混合し、実施例2~18、比較例1~24のトナーを製造した。
Figure 0007539802000001
Figure 0007539802000002
Figure 0007539802000003
エステルワックスを構成するエステル化合物の炭素数分布(各炭素数のエステル化合物の割合)の測定方法について説明する。
各例のトナーを0.5g秤量し、三角フラスコに収容した。次に、三角フラスコに塩化メチレン2mLを添加してトナーを溶解した。さらに、三角フラスコに、ヘキサン4mlを添加して混合液とした。混合液をろ過し、ろ液と不溶物とに分離した。窒素気流下で前記ろ液から溶媒を留去し、析出物を得た。この析出物について、トナーから抽出したエステルワックス中のエステル化合物の炭素数分布を測定した。
各炭素数のエステル化合物の割合は、FD-MS「JMS-T100GC(日本電子株式会社製)」により測定された。測定条件は、以下の通りである。
試料濃度:1mg/ml(溶媒:クロロホルム)。
カソード電圧:-10kv。
スペクトル記録間隔:0.4s。
測定質量範囲(m/z):10~2000。
測定で得られた各炭素数のエステル化合物のイオン強度の合計を100とした。合計に対する各炭素数のエステル化合物のイオン強度の相対値を求めた。相対値を、エステルワックス中の各炭素数のエステル化合物の割合とした。また、相対値が最大となる炭素数のエステル化合物における炭素数をCとした。
第1のモノマー群、第2のモノマー群の分析方法について説明する。
各エステルワックス1gを温度70℃、3時間の条件下でメタノリシス反応を行った。メタノリシス反応後の生成物について、FD-MSによる質量分析を行い、各炭素数の長鎖アルキルカルボン酸の含有量、各炭素数の長鎖アルキルアルコールの含有量を求めた。
第1のモノマー群を構成するカルボン酸の炭素数分布(各炭素数のカルボン酸の割合)の測定方法について説明する。
各炭素数のカルボン酸の割合は、FD-MS「JMS-T100GC(日本電子株式会社製)」により測定された。測定条件は、以下の通りである。
試料濃度:1mg/ml(溶媒:クロロホルム)。
カソード電圧:-10kv。
スペクトル記録間隔:0.4s。
測定質量範囲(m/z):10~2000。
測定で得られた各炭素数のカルボン酸のイオン強度の合計を100とした。合計に対する各炭素数のカルボン酸のイオン強度の相対値を求めた。相対値を、エステルワックス中の各炭素数のカルボン酸の割合とした。また、相対値が最大となる炭素数のカルボン酸における炭素数をCとした。
第2のモノマー群を構成するアルコールの炭素数分布(各炭素数のアルコールの割合)の測定方法について説明する。
各炭素数のアルコールの割合は、FD-MS「JMS-T100GC(日本電子株式会社製)」により測定された。測定条件は、以下の通りである。
試料濃度:1mg/ml(溶媒:クロロホルム)。
カソード電圧:-10kv。
スペクトル記録間隔:0.4s。
測定質量範囲(m/z):10~2000。
測定で得られた各炭素数のアルコールのイオン強度の合計を100とした。合計に対する各炭素数のアルコールのイオン強度の相対値を求めた。相対値を、エステルワックス中の各炭素数のアルコールの割合とした。また、相対値が最大となる炭素数のアルコールにおける炭素数をCとした。
各例で使用されたエステルワックスA~Qについて説明する。
エステルワックスA~Qについていずれも、最大含有量であるエステル化合物の炭素数Cは44であり、第1のモノマー群中の最大含有量であるカルボン酸の炭素数Cは22であり、第2のモノマー群中の最大含有量であるアルコールの炭素数Cは20であった。
エステルワックスA~Qについて、エステルワックスの炭素数分布は炭素数43以上の領域に極大ピークを1つだけ有していた。
質量分布の測定結果から得られたエステルワックスA~Qの性状を表4に示す。また、エステルワックスa~iの性状を表5に示す。
Figure 0007539802000004
Figure 0007539802000005
表4、5中、aは、第1のモノマー群中のカルボン酸の種類の数[個]である。aは、第2のモノマー群中のアルコールの種類の数[個]である。bは、第1のモノマー群100質量%に対する炭素数18以下のカルボン酸の合計割合[質量%]である。bは、第2のモノマー群100質量%に対する炭素数18以下のアルコールの合計割合[質量%]である。cは、第1のモノマー群100質量%に対する炭素数Cのカルボン酸の割合[質量%]である。cは、第2のモノマー群100質量%に対する炭素数Cのアルコールの割合[質量%]である。
各例のトナーの体積平均一次粒子径D50の測定方法について説明する。
レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製(SALD7000))を使用した。
実施例の現像剤について説明する。
フェライトキャリア100質量部に対し各例のトナー8.5質量部をターブラミキサーで撹拌し、各例の現像剤を得た。フェライトキャリアの表面は、平均粒径が40μmであるシリコーン樹脂でコートされている。
低温定着性の評価方法について説明する。
各例の現像剤をトナーカートリッジに収容した。このトナーカートリッジを低温定着性評価用の画像形成装置内に配置した。低温定着性評価用の画像形成装置は、定着温度を100℃から200℃まで0.1℃刻みで変更して設定できるように市販のe-studio5018A(東芝テック製)を改造したものである。低温定着性評価用の画像形成装置を用い、定着温度を150℃に設定し、トナー付着量が1.5mg/cmのベタ画像を10枚取得した。10枚のベタ画像のすべてにオフセット、未定着による画像剥がれが生じなかった場合、設定温度を1℃低下させて、上記と同様にしてベタ画像を取得した。この操作を繰り返し、ベタ画像に画像剥がれが生じない定着温度の下限の温度を求め、この下限の温度をトナーの最低定着温度とした。最低定着温度が120℃以下であるとき、トナーの低温定着性を合格(○)と評価した。最低定着温度が120℃超であるとき、トナーの低温定着性を不合格(×)と評価した。
保存性の評価方法について説明する。
各例のトナーを55℃で10時間放置した。55℃で10時間放置した後の各例のトナー15gを目開き0.07mmのメッシュで篩い、メッシュ上に残ったトナーを秤量した。メッシュ上に残ったトナーの量が少ないほど、保存性がよい。メッシュ上に残ったトナーが3g以下であるとき、トナーの保存性を合格(○)と評価した。メッシュ上に残ったトナーが3g超であるとき、トナーの保存性を不合格(×)と評価した。
耐熱性の評価方法について説明する。
下記の「流動性」、「飛散量」の評価結果がいずれも合格(〇)である場合、耐熱性が優れていると評価した。
「流動性」の評価方法について説明する。
各例の現像剤をトナーカートリッジに収容した。このトナーカートリッジを耐熱性評価用の画像形成装置内に配置した。耐熱性評価用の画像形成装置は、市販のe-studio5018A(東芝テック製)の現像器に熱電対を取り付けたものである。耐熱性評価用の画像形成装置を用い、高温多湿環境下(30℃、湿度85%)でベタ画像、ハーフトーン画像をA4用紙に連続的に1000枚コピーした。コピーしながら、現像器内の温度が2℃上昇するたびに不良画像が発生しているか否か確認し、不良画像が発生し始めた温度を記録した。不良画像が発生し始めた温度が47℃以上であるとき、トナーの流動性を合格(○)と評価した。搬送不良、不良画像が発生し始めた温度が45℃未満であるとき、トナーの流動性を不合格(×)と評価した。
「飛散量」の評価方法について説明する。
市販されているe-studio5018A(東芝テック製)を使用し、印字率8.0%の原稿をA4用紙に連続的に200,000枚コピーした。その後、現像器のマグネットローラの下側に堆積したトナーを掃除機で吸引し、堆積したトナー量を飛散トナー量として測定した。飛散トナー量が170mg以下であるとき、トナーの帯電量を合格(○)と評価した。飛散トナー量が170mg超であるとき、トナーの帯電量を不合格(×)と評価した。
画像濃度の評価方法を説明する。
各例の現像剤をトナーカートリッジに収容した。このトナーカートリッジを市販のe-studio5018A(東芝テック製)内に配置した。低温低湿環境下(10℃、湿度20%)で現像剤中のトナー濃度を8.0%に調整し、ベタ画像をA4用紙に印刷した。得られたベタ画像の濃度をマクベス濃度計で測定し、濃度が1.0以上であるとき、画像濃度を合格(○)と評価した。ベタ画像の濃度が1.0未満であるとき、画像濃度を不合格(×)と評価した。
各例のトナーの低温定着性、保存性、流動性、飛散量、画像濃度の評価結果を表1~3に示した。表1~3中、「D50」は、各例のトナーの体積平均一次粒子径D50[μm]である。
実施例1~18のトナーは、低温定着性、耐熱性に優れ、画像濃度が低下しなかった。また、トナー汚染量が少なく、画像形成装置内で帯電量が充分に維持された。e-studio5018Aは、トナーを再利用する画像形成装置である。したがって、実施例1~18のトナーは、再利用される場合でも耐熱性に優れ、帯電量が充分に維持され、かつ、画像濃度が低下しにくい。
また、実施例1~17のトナーは保存性にも優れていた。
これに対して比較例1~24のトナーは、低温定着性、耐熱性、画像濃度のすべてが同時に合格基準に達することはなかった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…画像形成装置、2…スキャナ部、3…排紙部、4…給紙カセット、10…中間転写ベルト、11Y、11M、11C、11K…画像形成ステーション、12Y、12M、12C、12K…感光体ドラム、13Y、13M、13C、13K…帯電チャージャー、14Y、14M、14C、14K…現像装置、30…定着装置、31…手差し機構、64Y…現像装置、101…複写機本体、102…感光体ドラム、103…帯電チャージャー、104…レーザユニット、105…現像装置、106…転写チャージャー、107…クリーニング装置、108…補給容器、110…回収機構、111…現像容器、112…現像ローラ、114,115…第1,第2の仕切材、116~118…第1~第3の室、120~122…第1~第3のミキサー、123…フレッシュトナー受部、124…リサイクルトナー受部、125~128…第1~第4の連通部、129…トナー濃度検知器。

Claims (5)

  1. トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを有し、
    前記トナー母粒子は、結晶性ポリエステル樹脂と、エステルワックスとを含有し、
    前記エステルワックスは、少なくとも3種類以上のカルボン酸からなる第1のモノマー群と、少なくとも3種類以上のアルコールからなる第2のモノマー群との縮合重合物であり、
    前記第1のモノマー群中の最大含有量である炭素数Cのカルボン酸の割合が、前記第1のモノマー群100質量%に対して70~95質量%であり、
    前記第1のモノマー群中の炭素数18以下のカルボン酸の割合が、前記第1のモノマー群100質量%に対して5質量%以下であり、
    前記第2のモノマー群中の最大含有量である炭素数Cのアルコールの割合が、前記第2のモノマー群100質量%に対して70~90質量%であり、
    前記第2のモノマー群中の炭素数18以下のアルコールの割合が、前記第2のモノマー群100質量%に対して20質量%以下であり、
    前記外添剤は、粒子径rが10~14nmであるシリカ粒子Aと、粒子径rが40~70nmであるシリカ粒子Bと、粒子径rが90~150nmであるシリカ粒子Cとを含有し、
    前記シリカ粒子Aの含有量が、前記トナー母粒子100質量部に対して0.1~0.8質量部であり、
    前記シリカ粒子Bの含有量が、前記トナー母粒子100質量部に対して0.3~1.2質量部であり、
    前記シリカ粒子Cの含有量が、前記トナー母粒子100質量部に対して0.3~1.2質量部であり、
    前記シリカ粒子Aの含有量と前記シリカ粒子Bの含有量と前記シリカ粒子Cの含有量の合計が、前記トナー母粒子100質量部に対して3.0質量部以下であり、
    前記シリカ粒子Aの含有量に対する前記シリカ粒子Bの含有量の比が、1.0~5.0であり、
    前記シリカ粒子Aの含有量に対する前記シリカ粒子Cの含有量の比が、1.0~5.0であり、
    体積平均一次粒子径D50が、5.5~11.0μmである、トナー。
    ただし、前記粒子径r は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定して得られる粒子径分布における10~14nmの範囲内のモード値(最頻値)であり、
    前記粒子径r は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定して得られる粒子径分布における40~70nmの範囲内のモード値(最頻値)であり、
    前記粒子径r は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定して得られる粒子径分布における90~150nmの範囲内のモード値(最頻値)である。
  2. 前記外添剤について測定される粒子径分布に、少なくとも3つのシリカ粒子の極大ピークが存在し、10~14nm、40~70nm、90~150nmの各範囲内に少なくとも1つずつ極大ピークが存在する、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記シリカ粒子Aの含有量と前記シリカ粒子Bの含有量と前記シリカ粒子Cの含有量の合計が、前記トナー母粒子100質量部に対して1.0質量部以上である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のトナーが収容された、トナーカートリッジ。
  5. 請求項1~3のいずれか一項に記載のトナーが収容された、画像形成装置。
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