JP7541304B2 - 水処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は水処理方法に関し、より詳しくは、製紙工程の製紙工程水中に薬剤を添加してスライムの発生を抑制する水処理方法に関する。
従来から紙・パルプ工業における製造工程水や各種工業における冷却水系統には、澱粉、サイズ剤、ラテックス、カゼイン等の有機物を多く含むため、細菌類、真菌類等の微生物が繁殖しやすく、このような微生物に由来するスライムが循環水系中、或いは配管や設備表面に発生しやすく、生産品の品質低下や生産効率の低下などの障害があることが知られている。
これらの微生物による障害を防止するため、多くの殺菌剤が使用されてきた。古くは有機水銀化合物や塩素化フェノール化合物などが使用されていたが、これらの薬剤は人体や魚介類に対する毒性が強く、環境汚染をひき起こすため使用が規制されるようになり、最近では比較的低毒性のメチレンビスチオシアネート、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンで代表される有機窒素硫黄系、2,2-ジブロモ-2-ニトロエタノール、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、1,2-ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,4-ビス(ブロモアセトキシ)-2-ブテン、ビストリブロモメチルスルホンで代表される有機ブロム系及び4,5-ジクロロ-1,2-ジチオール-3-オンで代表される有機硫黄系等の有機化合物が工業用殺菌剤として汎用されている(非特許文献1参照)。
また、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素剤やクロラミン等の結合塩素等の無機化合物、これらの無機化合物と有機化合物との併用によるスライム防止方法も提案されている(特許文献1~6)。
しかしながら、最終製品である紙・パルプ製品をより高い品質で得るために、更にスライムを抑制可能な殺菌剤及び該殺菌剤を用いた殺菌方法が求められている。
従来、最適なスライムコントロール処理をするために、白水中の生菌数測定を目安としていたが、一般生菌数測定は、結果がでるまでに1日~3日程所要していたため、生菌数の測定結果が判明した頃には系内の状況が変化しており、最適なタイミングでスライムコントロール処理をするのが難しかった。
このような問題に対し、例えば、特許文献7、8には製紙工程のスライムコントロール方法として酸化還元電位及び/又は溶存酸素濃度(DO値)を測定する工程を含む方法が開示されている。
しかしながら、溶存酸素濃度(DO値)を利用する方法は、水温の影響が大きいためスライムコントロールの目安とするには難しかった。
特開平5-146785号公報 特開2000-256993号公報 特開2002-336867号公報 特開2003-105692号公報 特開2003-306893号公報 特開2008-43836号公報 特表2010-518823号公報 特開2017-110326号公報
昭和61年8月22日に日本防菌防黴学会から発行された書籍「防菌防黴剤事典」24~30頁
本発明は、このような従来技術に鑑み、製紙工程の白水にスライムの発生を効果的に抑制できる水処理方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、製紙工程水中にスライムの発生を抑制する薬剤を添加した後の溶存酸素濃度変化率(DO変化率)に着目した。すなわち、DO変化率の値を0(ゼロ)に近くなるよう製紙工程水のスライムコントロールをすることで比較的適切にスライムコントロールができることを見出したが、DO変化率の値のみを指標として薬剤量を制御すると添加する薬剤が過剰となる恐れがあった。
そこで、本発明の発明者らは更に鋭意研究した結果、上記DO変化率の値に加えて製紙工程水の酸化還元電位(ORP)の値を確認しつつ薬剤を添加することで、効果的に製紙工程水のスライムコントロールが容易に可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明は、製紙工程水中に薬剤を添加してスライムの発生を抑制する水処理方法であって、上記製紙工程水の酸化還元電位(ORP)と、上記製紙工程水の下記数式(1)で表される溶存酸素濃度変化率(DO変化率、%)とを測定し、上記薬剤を添加した後の上記ORPと上記DO変化率の値に応じて上記薬剤の上記製紙工程水への添加量を制御することを特徴とする水処理方法である。
Figure 0007541304000001
なお、数式(1)中、DOは、前記製紙工程水の溶存酸素濃度変化が安定した時間における溶存酸素濃度を表し、DOは、DOから時間t経過後の溶存酸素濃度を表す。但し、DO>0である。
(2)本発明は、前記薬剤を添加した後の上記DO変化率が、t≦30分のときに60%以下となるように薬剤の製紙工程水への添加量を制御する(1)に記載の水処理方法である。
(3)本発明は、薬剤がハロゲンを有する酸化剤及び/又は過酸化水素である、(1)又は(2)に記載の水処理方法である。
本発明によれば、DO値の利用方法として例えば白水サイロの上流と下流のDO値の差をとってDO変化率を算出した場合に、温度の影響、水流による溶存酸素量の増加があるため、好気性菌の呼吸に起因するDO変化率とはならない。本発明は、同一サンプリング水に対する密閉条件下における所定時間でのDO変化率を見ているため好気性菌の呼吸による酸素の消費量を正確に測定することができる。これにより、製紙工程水の状態をリアルタイムで確認ができるため製紙工程水にスライムが発生することを効果的に抑制できる水処理方法を提供できる。
図1は、試験例1のDO変化率とORPの測定結果を示すグラフである。 図2は、試験例2のDO変化率とORPの測定結果を示すグラフである。 図3は、試験例3のDO変化率とORPの測定結果を示すグラフである。 図4は、試験例4のDO変化率とORPの測定結果を示すグラフである。 図5は、製紙工程水から採取したサンプリング水の溶存酸素濃度の経時変化を模式的に示すグラフである。 図6は、試験例5~8のDO変化率の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示すものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることは無い。
本明細書中、「X~Y」は、「X以上、Y以下」を意味する。
本発明は、上記製紙工程水中に薬剤を添加してスライムの発生を抑制する水処理方法である。
通常、製紙工程は、パルプと呼ばれる紙の原料を製造するパルプ化工程と、紙を抄く前にパルプ繊維を物理的に加工したり薬品を添加したりする調成工程と、パルプをシート状に広げ、脱水、乾燥、表面加工などを行う抄紙工程とを有する。
本発明における上記製紙工程水とは、上記パルプ化工程、調成工程及び抄紙工程に使用される白水、パルプスラリーを含む。上記製紙工程水は、製紙工程中の各工程を循環する水、及び製紙工程中の各工程を循環する水に供給される工業用水や再利用水を含み得る。
本発明では、上記製紙工程水の酸化還元電位(ORP)と、下記数式(1)で表される上記製紙工程水の溶存酸素濃度変化率(DO変化率、%)とを測定する。
Figure 0007541304000002
なお、数式(1)中、DOは、上記製紙工程水の溶存酸素濃度変化が安定した時間における溶存酸素濃度を表し、DOは、DOから時間t経過後の溶存酸素濃度を表す。但し、DO>0である。
上記ORPは、上記DO測定時における製紙工程水のORP値であり、上記ОRPの測定方法としては特に限定されず、例えば、市販の酸化還元電位計(一例として、マイラナ社製ポータブル水質計P40)を用いて測定することができる。
また、上記数式(1)におけるDOは、上記薬剤を添加した製紙工程水の溶存酸素濃度変化が安定した時間における溶存酸素濃度であり、具体的には、任意の箇所で採取した上記製紙工程水(以下、サンプリング水)について、溶存酸素濃度変化が安定した時間における溶存酸素濃度を測定する。なお、上記製紙工程水から採取したサンプリング水の溶存酸素濃度は経時的に減少するが、図5に示したように、その減少の程度は一定ではなく採取後一定時間までは急激に減少し、その後緩やかな減少となる。上記「溶存酸素濃度が安定した時間」とは、溶存酸素濃度の急激な減少から緩やかな減少に変化した時間である。また、上記サンプリング水の溶存酸素濃度変化が安定する時間は対象系によって異なるため一義的に決定することはできないため、例えば、サンプリング水採取後3分や5分における溶存酸素濃度をDO0と決めて測定を行ってもよい。
そして、上記DO変化率とは、上述した規定したDOと、上記サンプリング水の所定時間(t)経過後の溶存酸素濃度(DO)の数値差を、DOで割って百分率で表示したものである。但し、DO>0である。なお、上記数式(1)における時間(t)としては特に限定されず適宜設定でき、例えば、10秒以上、30秒以上、1分以上、3分以上、5分以上、若しくは10分以上、及び、60分以下、45分以下、30分以下、若しくは20分以下の組合せから任意に設定できる。
上記溶存酸素濃度の測定方法としては特に限定されず、例えば、市販の溶存酸素計(一例として、HACH社製蛍光式溶存酸素計LDO2)を用いることができる。
本発明では、上記ORPとDO変化率の値に応じて上記薬剤の上記製紙工程水への添加量を制御する。
本発明では製紙工程で流れる製紙工程水の状態(ORP及びDO変化率の各値)をリアルタイムで確認をすることができるため、製紙工程水にスライムが発生するような状態になる前に適切な量の薬剤を上記製紙工程水に添加するように調整できる。
具体的には、上記ORPが-400mV~+600mVであることが好ましく、上記薬剤添加後の上記DO変化率が、t≦30分のときに60%以下となるように薬剤の製紙工程水への添加量を制御することが好ましい。このように調節することで、スライムの発生をより効果的に抑制することができる。
上記製紙工程水の微生物汚染が進行し、系内の酸素が消費されるとORPは低下し易いORPが+600mVを超えると系内設備の腐食性の問題が懸念される。上記ORPは-150mV以上であることがより好ましい。
また、製紙工程水の微生物汚染が進行し、系内の酸素が消費されるとDO変化率は上がりやすい。上記DO変化率は55%以下であることがより好ましい。t=20分のときDO変化率は50%以下であることが好ましい。また、t=10分のときDO変化率は30%以下であることが好ましい。
本発明において、上記ORP及びDO変化率を測定する箇所は特に限定されないが、パルプ化工程、調成工程、又は、抄紙工程の薬剤添加点の下流等が好適に挙げられる。
上記パルプ化工程において上記ORP及びDO変化率を測定する具体的な箇所としては、例えば、原料タンク、ブロークチェスト等が挙げられる。
また、上記調整工程において上記ORP及びDO変化率を測定する具体的な箇所としては、例えば、調成白水ピット等が挙げられる。
また、上記抄紙工程において上記ORP及びDO変化率を測定する具体的な箇所としては、例えば、白水ピット等が挙げられる。
また、薬品(紙力増強剤、サイズ剤及び染料などの希釈を必要とする薬品)の希釈水ライン及びシャワー水ライン等で上記ORP及びDO変化率を測定してもよい。
上記製紙工程水における生菌数は特に限定されないが、上記薬剤添加直後において1×10CFU/mL以下であることが好ましく、より好ましくは1×10CFU/mL以下である。生菌数が上記上限を超えると、製紙工程水にスライムの発生を抑制できないことがある。上記薬剤添加直後を除く平常時は1×10CFU/mL以下であることが好ましく、より好ましくは1×10CFU/mL以下である。
なお、上記生菌数は公知の方法で測定できる。
上記薬剤は、上記製紙工程水にスライムが発生することを抑制できる殺菌剤として機能するものである。
このような薬剤としてはハロゲンを有する酸化剤及び/又は過酸化水素であることが好ましい。
上記ハロゲンを有する酸化剤としては結合ハロゲン及び/又は遊離ハロゲンが挙げられ、上記結合ハロゲンとしては結合塩素及び結合臭素等が挙げられ、上記遊離ハロゲンとしては、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩及び二酸化塩素等が挙げられる。
上記結合ハロゲンとしては、結合塩素及び結合臭素等が挙げられ、具体的には、モノクロラミン、モノブロマミン、クロロスルファマート、及び/又は、ブロモスルファマートであることが好ましい。
上記モノクロラミン及びモノブロマミンは、OCl(Br)+NH4+→NHCl(Br)+HOのような反応で生成される穏やかな酸化剤である。例えば、次亜塩素酸ナトリウムとアンモニウム化合物とを混合することによりモノクロラミンを生成でき、アンモニウム化合物としては、具体的に、硫酸アンモニウム、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、スルファミン酸アンモニウムが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
次亜塩素酸塩とアンモニウム化合物とのモル比は、一又は複数の実施形態において、残留塩素量と窒素とのモル比として1:1~1:2であることが好ましい。
上記クロロスルファマート及びブロモスルファマートは、塩素系酸化剤又は臭素系酸化剤と、スルファミン酸化合物又はその塩と、の反応生成物である。
上記塩素系酸化剤としては、一又は複数の実施形態において、次亜塩素酸又はその塩が挙げられ、中でも次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。
上記臭素系酸化剤としては、一又は複数の実施形態において、次亜臭素酸又はその塩が挙げられ、中でも次亜臭素酸ナトリウムが好ましい。
上記スルファミン酸化合物としては、一又は複数の実施形態において、スルファミン酸、クロロスルファミン酸及びブロモスルファミン酸等が挙げられる。
上記クロロ/ブロモスルファマートとしては、特に限定されない一又は複数の実施形態において、「水酸化ナトリウム及びスルファミン酸の反応生成物」と「次亜塩素酸/次亜臭素酸ナトリウム」との反応生成物が挙げられ、当該クロロ/ブロモスルファマートは、一又は複数の実施形態において、水酸化ナトリウム、スルファミン酸、及び次亜塩素酸ナトリウム又は次亜臭素酸ナトリウムを配合して得ることができる。
上記遊離ハロゲンとしては、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩及び二酸化塩素等が挙げられ、上記亜塩素酸塩としては、具体的には、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム及び亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、本発明ではこれらの1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
上記次亜塩素酸塩としては、具体的には、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム及び次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、本発明ではこれらの1種を単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
上記二酸化塩素は、極めて不安定な化学物質であるため、その貯蔵や輸送は非常に困難である。したがって、その場で公知の方法により二酸化塩素を製造(生成)し、添加濃度に調整して用いるのが好ましい。
例えば、次のような反応により二酸化塩素を製造することができ、市販の二酸化塩素発生器(装置)を用いることもできる。
(1)次亜塩素酸ナトリウムと塩酸と亜塩素酸ナトリウムとの反応
NaOCl+2HCl+2NaClO → 2ClO+3NaCl+H
(2)亜塩素酸ナトリウムと塩酸との反応
5NaClO+4HCl → 4ClO+5NaCl+2H
(3)塩素酸ナトリウム、過酸化水素および硫酸との反応
2NaClO+H+HSO → 2ClO+NaSO+O+2H
本発明に用いられるハロゲンを有する酸化剤は、次亜塩素酸塩であることがより好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(試験例1、2、及び3)
試験例1
某板紙原紙工場Aにおいて、抄紙工程における白水サイロに薬剤添加を行った。薬剤添加を行う前記白水サイロにおいて、ORPとDO変化率の測定を常時行った。水質測定には一般に市販している水質測定装置を使用した。
DO変化率は、白水サイロのサンプリング水の採取後3分のDO値をDOとし、10分経過後のDO値をDOとして算出した。ORPは、DO測定のために採取したサンプリング水について測定した。結果を図1に示した。なお、図1においてORP値は、薬剤添加直後を除いたピークのトップの値を読み取る。以下、図2から図4においても同様とする。
薬剤は結合ハロゲン(モノクロラミン)を使用した。薬剤添加後から次の薬剤添加までの間におけるORPが薬剤添加直後を除いて常時-50mVから+100mVになるように、DO変化率が略0になるように、上記薬剤の添加量を調整した。
図1に示したように試験を行った某板紙抄紙工場では、スライムに起因する欠点が発生していたが、本実施例では、1日に3回15分間薬剤を添加することで前記欠点の発生を抑制した。
DO変化率とORPを併用することで、薬剤の過不足を防ぎ、適切な量を添加してスライムの発生を抑制することができた。
なお、試験開始前の生菌数を測定したところ、1×10CFU/mL以上であった。他方、薬剤添加直後の生菌数は1×10CFU/mL以下であった。
試験例2
某板紙原紙工場Aにおいて、薬剤の添加量以外は試験例1と同様にして試験例2を行った。
DO変化率は、白水サイロのサンプリング水の採取直後3分のDO値をDOとし、10分経過後のDO値をDOとして算出した。ORPは、DO測定のために採取したサンプリング水について測定した。結果を図2に示した。
薬剤は結合ハロゲン(モノクロラミン)を使用した。薬剤添加後から次の薬剤添加までの間におけるORPが薬剤添加直後を除いて常時-50mVから+100mVになるように、DO変化率が略0以上10%以下になるように、前記薬剤の添加量を調整した。
図2に示したように、試験を行った某板紙抄紙工場では、スライムに起因する欠点が発生していたが、本実施例では、1日に3回15分間薬剤を添加することで前記欠点の発生を抑制した。
DO変化率とORPを併用することで、薬剤の過不足を防ぎ、適切な量を添加してスライムの発生を抑制することができた。
なお、試験開始前の生菌数を測定したところ、1×10CFU/mL以上であった。他方、薬剤添加直後の生菌数は1×10CFU/mL以下であった。
試験例3
某板紙原紙工場Aにおいて、薬剤の添加量以外は試験例1と同様にして試験例3を行った。結果を図3に示した。
試験例3では、薬剤添加後から次の薬剤添加までの間におけるORPが-30mVから+50mV、DO変化率が薬剤添加後を除いたときとほとんど同様の値であり、スライムの発生を抑制することができず、欠点の発生を抑制できなかった。
DO変化率とORPを併用することで、スライムの発生を抑制するには薬剤が不足していることを発見できた。
なお、試験開始前の生菌数を測定したところ、1×10CFU/mL以上であった。他方、薬剤添加直後の生菌数は1×10CFU/mL以上であった。
試験例4
某板紙原紙工場Bにおいて、抄紙工程における白水サイロに薬剤添加を行った。薬剤添加を行う前記白水サイロにおいて、ORPとDO変化率の測定を常時行った。水質測定には一般に市販している水質測定装置を使用した。結果を図4に示した。
薬剤は結合ハロゲン(モノクロラミン)を使用した。
試験期間1日~5日において、実施例1と同様にして測定したDO変化率が15%~55%になるように薬剤を添加した。このとき、ORPは、薬剤添加直後を除いて常時+0mV~+100mVであった。しかしながら、この試験期間中にスライムの発生抑制が十分ではなく、欠点の発生を抑制できなかった。
続いて、6日~12日において実施例1と同様に測定したDO変化率が略0になるように前記薬剤の添加量を調整した。なおかつ、過剰添加を避けるため、このときのORPが薬剤添加直後を除いて常時+100mV~+300mVに調整した。
本試験では、1日4回10分間薬剤を添加することで前記欠点の発生を抑制した。
なお、試験開始前の生菌数を測定したところ、1×10CFU/mL以上であった。他方、1日~5日における薬剤添加直後を除いた生菌数は1×10CFU/mLであり、薬剤添加直後の生菌数は1×10CFU/mLであった。また、6日~12日における薬剤添加直後を除いた生菌数は1×10CFU/mLであり、薬剤添加直後の生菌数は1×10CFU/mL以下であった。
試験例5
国内某製紙工場から製紙工程水を採取してサンプリング水とし該サンプリング水に薬剤を20mg/L添加し、ORPとDO変化率の測定を行った。水質測定には一般に市販している水質測定装置を使用した。
DO変化率は、採取したサンプリング水に薬剤添加後3分のDO値をDOとし、DOから時間t(3分、5分、10分、15分、20分、30分、45分及び57分)経過後のDO値をDOとして算出した。ORPは、DO測定時のサンプリング水について測定した結果340mVであった。DO変化率の結果を図6に示した。
薬剤は結合ハロゲン(モノクロラミン)を使用した。ORPはサンプリング水採取後3分で測定した。
図6に示したように試験例5に係る製紙工程水は、DO変化率が急激に上昇しておりスライムに起因する欠点の抑制が不十分であることが判明した。
試験例6~8
試験例5とは夫々異なる製紙工場から製紙工程水を採取してサンプリング水とし、該サンプリング水に薬剤を20mg/L(試験例6)、9mg/L(試験例7)、11mg/L(試験例8)添加した以外は、試験例5と同様にしてORPとDO変化率の測定を行った。ORPは、297mV(試験例6)、377mV(試験例7)、412mV(試験例8)であった。DO変化率の結果を図6に示した。
図6に示したように試験例6~8に係る製紙工程水は、上記数式(1)におけるt≦30分のときのDO変化率が60%以下であり、スライムに起因する欠点の抑制が十分であることが判明した。
なお、上記サンプリング水の試験後における生菌数を測定したところ、試験例5は1×10CFU/mLを超えていた。試験例6は1×10CFU/mL以下であった。試験例7及び8は1×10CFU/mL以下であった。

Claims (3)

  1. 製紙工程水に薬剤を添加してスライムの発生を抑制する水処理方法であって、
    前記製紙工程水から採取された密閉条件下にあるサンプリング水の酸化還元電位(ORP)と、前記サンプリング水の溶存酸素濃度(DO)とを測定し、
    前記溶存酸素濃度の変化率(DO変化率、%)を下記数式(1)に基づき算出し、
    前記酸化還元電位(ORP)が-400mV~+600mVとなり、前記DO変化率が、t≦30分のときに60%以下となるように、前記薬剤の前記製紙工程水への添加量を制御する
    ことを特徴とする水処理方法。
    Figure 0007541304000003
    なお、数式(1)中、DOは、前記サンプリング水の採取から3分以降の時間における溶存酸素濃度を表し、DOは、DOから時間t経過後の溶存酸素濃度を表す。但し、DO>0である。
  2. 前記O変化率が、t=10分のときに40%以下となるように薬剤の製紙工程水への添加量を制御する請求項1に記載の水処理方法。
  3. 薬剤がハロゲンを有する酸化剤及び/又は過酸化水素である、請求項1又は2に記載の水処理方法。
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