以下、図1~図8を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る走行制御装置は、自動運転機能を有する車両、すなわち自動運転車両に適用することができる。なお、本実施形態に係る走行制御装置が適用される車両を、他車両と区別して自車両と呼ぶことがある。自車両は、内燃機関(エンジン)を走行駆動源として有するエンジン車両、走行モータを走行駆動源として有する電気自動車、エンジンと走行モータとを走行駆動源として有するハイブリッド車両のいずれであってもよい。自車両は、ドライバによる運転操作が不要な自動運転モードでの走行だけでなく、ドライバの運転操作による手動運転モードでの走行も可能である。
まず、自動運転に係る概略構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る走行制御装置を有する車両制御システム100の全体構成を概略的に示すブロック図である。図1に示すように、車両制御システム100は、コントローラ10と、コントローラ10にそれぞれ通信可能に接続された外部センサ群1と、内部センサ群2と、入出力装置3と、測位ユニット4と、地図データベース5と、ナビゲーション装置6と、通信ユニット7と、走行用のアクチュエータACとを主に有する。
外部センサ群1は、自車両の周辺情報である外部状況を検出する複数のセンサ(外部センサ)の総称である。例えば外部センサ群1には、自車両の全方位の照射光に対する散乱光を測定して自車両から周辺の障害物までの距離を測定するライダ、電磁波を照射し反射波を検出することで自車両の周辺の他車両や障害物等を検出するレーダ、自車両に搭載され、CCDやCMOS等の撮像素子を有して自車両の周辺(前方、後方および側方)を撮像するカメラなどが含まれる。
内部センサ群2は、自車両の走行状態を検出する複数のセンサ(内部センサ)の総称である。例えば内部センサ群2には、自車両の車速を検出する車速センサ、自車両の前後方向の加速度および左右方向の加速度(横加速度)をそれぞれ検出する加速度センサ、走行駆動源の回転数を検出する回転数センサ、自車両の重心の鉛直軸回りの回転角速度を検出するヨーレートセンサなどが含まれる。手動運転モードでのドライバの運転操作、例えばアクセルペダルの操作、ブレーキペダルの操作、ステアリングホイールの操作等を検出するセンサも内部センサ群2に含まれる。
入出力装置3は、ドライバから指令が入力されたり、ドライバに対し情報が出力されたりする装置の総称である。例えば入出力装置3には、操作部材の操作によりドライバが各種指令を入力する各種スイッチ、ドライバが音声で指令を入力するマイク、ドライバに表示画像を介して情報を提供するディスプレイ、ドライバに音声で情報を提供するスピーカなどが含まれる。
測位ユニット(GNSSユニット)4は、測位衛星から送信された測位用の信号を受信する測位センサを有する。測位衛星は、GPS衛星や準天頂衛星などの人工衛星である。測位ユニット4は、測位センサが受信した測位情報を利用して、自車両の現在位置(緯度、経度、高度)を測定する。
地図データベース5は、ナビゲーション装置6に用いられる一般的な地図情報を記憶する装置であり、例えばハードディスクや半導体素子により構成される。地図情報には、道路の位置情報、道路形状(曲率など)の情報、交差点や分岐点の位置情報、道路に設定された制限速度の情報が含まれる。なお、地図データベース5に記憶される地図情報は、コントローラ10の記憶部12に記憶される高精度な地図情報とは異なる。
ナビゲーション装置6は、ドライバにより入力された目的地までの道路上の目標経路を探索するとともに、目標経路に沿った案内を行う装置である。目的地の入力および目標経路に沿った案内は、入出力装置3を介して行われる。目標経路は、測位ユニット4により測定された自車両の現在位置と、地図データベース5に記憶された地図情報とに基づいて演算される。外部センサ群1の検出値を用いて自車両の現在位置を測定することもでき、この現在位置と記憶部12に記憶される高精度な地図情報とに基づいて目標経路を演算するようにしてもよい。
通信ユニット7は、インターネット網や携帯電話網等に代表される無線通信網を含むネットワークを介して図示しない各種サーバと通信し、地図情報、走行履歴情報および交通情報などを定期的に、あるいは任意のタイミングでサーバから取得する。ネットワークには、公衆無線通信網だけでなく、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。取得した地図情報は、地図データベース5や記憶部12に出力され、地図情報が更新される。
アクチュエータACは、自車両の走行を制御するための走行用アクチュエータである。走行駆動源がエンジンである場合、アクチュエータACには、エンジンのスロットルバルブの開度(スロットル開度)を調整するスロットル用アクチュエータが含まれる。走行駆動源が走行モータである場合、走行モータがアクチュエータACに含まれる。自車両の制動装置を作動するブレーキ用アクチュエータと転舵装置を駆動する転舵用アクチュエータもアクチュエータACに含まれる。
コントローラ10は、電子制御ユニット(ECU)により構成される。より具体的には、コントローラ10は、CPU(マイクロプロセッサ)等の演算部11と、ROM,RAM等の記憶部12と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路とを有するコンピュータを含んで構成される。なお、エンジン制御用ECU、走行モータ制御用ECU、制動装置用ECU等、機能の異なる複数のECUを別々に設けることができるが、図1では、便宜上、これらECUの集合としてコントローラ10が示される。
記憶部12には、高精度の詳細な地図情報(高精度地図情報と呼ぶ)が記憶される。高精度地図情報には、道路の位置情報、道路形状(曲率など)の情報、道路の勾配の情報、交差点や分岐点の位置情報、車線数の情報、車線の幅員および車線毎の位置情報(車線の中央位置や車線位置の境界線の情報)、地図上の目印としてのランドマーク(信号機、標識、建物等)の位置情報、路面の凹凸などの路面プロファイルの情報が含まれる。記憶部12に記憶される高精度地図情報には、通信ユニット7を介して取得した自車両の外部から取得した地図情報、例えばクラウドサーバを介して取得した地図(クラウド地図と呼ぶ)の情報と、外部センサ群1による検出値を用いて自車両自体で作成される地図、例えばSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の技術を用いてマッピングにより生成される点群データからなる地図(環境地図と呼ぶ)の情報とが含まれる。記憶部12には、各種制御のプログラム、プログラムで用いられる閾値等の情報についての情報も記憶される。
演算部11は、機能的構成として、自車位置認識部13と、外界認識部14と、行動計画生成部15と、走行制御部16と、地図生成部17とを有する。
自車位置認識部13は、測位ユニット4で得られた自車両の位置情報および地図データベース5の地図情報に基づいて、地図上の自車両の位置(自車位置)を認識する。記憶部12に記憶された地図情報と、外部センサ群1が検出した自車両の周辺情報とを用いて自車位置を認識してもよく、これにより自車位置を高精度に認識することができる。なお、道路上や道路脇の外部に設置されたセンサで自車位置を測定可能であるとき、そのセンサと通信ユニット7を介して通信することにより、自車位置を認識することもできる。
外界認識部14は、ライダ、レーダ、カメラ等の外部センサ群1からの信号に基づいて自車両の周囲の外部状況を認識する。例えば自車両の周辺を走行する周辺車両(前方車両や後方車両)の位置や走行速度や加速度、自車両の周囲に停車または駐車している周辺車両の位置、および他の物体の位置や状態などを認識する。他の物体には、標識、信号機、道路の区画線や停止線等の標示(路面標示)、建物、ガードレール、電柱、看板、歩行者、自転車等が含まれる。他の物体の状態には、信号機の色(赤、青、黄)、歩行者や自転車の移動速度や向きなどが含まれる。他の物体のうち静止している物体の一部は、地図上の位置の指標となるランドマークを構成し、外界認識部14は、ランドマークの位置と種別も認識する。
行動計画生成部15は、例えばナビゲーション装置6で演算された目標経路と、自車位置認識部13で認識された自車位置と、外界認識部14で認識された外部状況とに基づいて、現時点から所定時間T先までの自車両の走行軌道(目標軌道)を生成する。目標経路上に目標軌道の候補となる複数の軌道が存在するときには、行動計画生成部15は、その中から法令を順守し、かつ効率よく安全に走行する等の基準を満たす最適な軌道を選択し、選択した軌道を目標軌道とする。そして、行動計画生成部15は、生成した目標軌道に応じた行動計画を生成する。行動計画生成部15は、先行車両を追い越すための追い越し走行、走行車線を変更する車線変更走行、先行車両に追従する追従走行、走行車線を逸脱しないように車線を維持するレーンキープ走行、減速走行または加速走行等の走行態様に対応した種々の行動計画を生成する。行動計画生成部15は、目標軌道を生成する際に、まず走行態様を決定し、走行態様に基づいて目標軌道を生成する。
走行制御部16は、自動運転モードにおいて、行動計画生成部15で生成された目標軌道に沿って自車両が走行するように各アクチュエータACを制御する。より具体的には、走行制御部16は、自動運転モードにおいて道路勾配などにより定まる走行抵抗を考慮して、行動計画生成部15で算出された単位時間毎の目標加速度を得るための要求駆動力を算出する。そして、例えば内部センサ群2により検出された実加速度が目標加速度となるようにアクチュエータACをフィードバック制御する。すなわち、自車両が目標車速および目標加速度で走行するようにアクチュエータACを制御する。なお、手動運転モードでは、走行制御部16は、内部センサ群2により取得されたドライバからの走行指令(ステアリング操作等)に応じて各アクチュエータACを制御する。
地図生成部17は、手動運転モードで走行しながら、外部センサ群1により検出された検出値を用いて、3次元の点群データからなる環境地図を生成する。具体的には、カメラ1aにより取得された撮像画像から、画素ごとの輝度や色の情報に基づいて物体の輪郭を示すエッジを抽出するとともに、そのエッジ情報を用いて特徴点を抽出する。特徴点は例えばエッジの交点であり、建物の角や道路標識の角などに対応する。地図生成部17は、抽出された特徴点を順次、環境地図上にプロットし、これにより自車両が走行した道路周辺の環境地図が生成される。カメラに代えて、レーダやライダにより取得されたデータを用いて自車両の周囲の物体の特徴点を抽出し、環境地図を生成するようにしてもよい。また、地図生成部17は、環境地図を生成する際に、地図上の目印としての信号機、標識、建物等のランドマークがカメラにより取得された撮像画像に含まれているか否かを、例えばパターンマッチングの処理により判定する。そして、ランドマークが含まれていると判定すると、撮像画像に基づいて、環境地図上におけるランドマークの位置および種別を認識する。これらランドマーク情報は環境地図に含まれ、記憶部12に記憶される。
自車位置認識部13は、地図生成部17による地図作成処理と並行して、自車両の位置推定処理を行う。すなわち、特徴点の時間経過に伴う位置の変化に基づいて、自車両の位置を推定して取得する。また、自車位置認識部13は、自車両の周囲のランドマークとの相対的な位置関係に基づいて自車位置を推定して取得する。地図作成処理と位置推定処理とは、例えばSLAMのアルゴリズムにしたがって同時に行われる。地図生成部17は、手動運転モードで走行するときだけでなく、自動運転モードで走行するときにも同様に環境地図を生成することができる。既に環境地図が生成されて記憶部12に記憶されている場合、地図生成部17は、新たに得られた特徴点により環境地図を更新してもよい。
ところで、行動計画生成部15は、自車両の目標軌道を生成するとき、自車両が走行車線内の車線幅方向の所定位置(例えば中央)を走行するように目標軌道が生成される。図2Aおよび図2Bは、目標軌道の一例を示す図である。そのとき、自車両の走行車線(以下、自車線と呼ぶ)LN1の区画線が消えていたり擦れていたりすると、図2Bに示すように、自車両101は、目標軌道TOを適切に生成できなくなるおそれがある。図2Bの点線は、中央線CLが擦れている様子を示している。図2Bに示す例では、中央線CLが擦れている区間において対向車線LN2の車道外側線OLが中央線CLと誤認識され、目標軌道TOが対向車線LN2側にずれている。このとき、自車両101が対向車線LN2側に寄ってしまい、自車両101と対向車線LN2を走行する対向車両とが接近するおそれがある。このように目標軌道TOが適切に生成されないとき、走行動作を良好に行うことが困難になる。なお、自車両101が走行する道路の周囲にランドマークとなる構造物等が存在するときには、それらの構造物に基づいて目標軌道TOのずれを修正することも可能である。しかしながら、郊外の道路など、構造物が周囲にあまり存在しないような道路では、目標軌道TOのずれを修正することが困難である。そこで、道路の状態や周囲の状況によらずに良好な走行動作を行うことができるように、本実施形態では、以下のように走行制御装置を構成する。
図3は、本発明の実施形態に係る走行制御装置50の要部構成を示すブロック図である。この走行制御装置50は、自車両101の走行動作を制御するものであり、図1の車両制御システム100の一部を構成する。図3に示すように、走行制御装置50は、コントローラ10と、カメラ1aと、レーダ1bと、ライダ1cと、アクチュエータACを有する。また、走行制御装置50は、走行制御装置50の一部を構成する軌道生成装置60を有する。軌道生成装置60は、走行制御装置50の制御に用いられる目標軌道を生成するものである。
カメラ1aは、CCDやCMOS等の撮像素子(イメージセンサ)を有する単眼カメラであり、図1の外部センサ群1の一部を構成する。カメラ1aはステレオカメラであってもよい。カメラ1aは、自車両の周囲を撮像する。カメラ1aは、例えば自車両の前部の所定位置に取り付けられ、自車両の前方空間を連続的に撮像し、対象物の画像データ(以下、撮像画像データまたは単に撮像画像と呼ぶ)を取得する。カメラ1aは、撮像画像をコントローラ10に出力する。レーダ1bは、自車両に搭載され、電磁波を照射し反射波を検出することで自車両の周辺の他車両や障害物等を検出する。レーダ1bは、検出値(検出データ)をコントローラ10に出力する。ライダ1cは、自車両に搭載され、自車両の全方位の照射光に対する散乱光を測定して自車両から周辺の障害物までの距離を検出する。ライダ1cは、検出値(検出データ)をコントローラ10に出力する。
コントローラ10は、演算部11(図1)が担う機能的構成として、区画線認識部141と、境界認識部142と、軌道生成部151と、算出部152と、走行制御部16を有する。なお、区画線認識部141と境界認識部142と軌道生成部151と算出部152とは、軌道生成装置60に含まれる。区画線認識部141および境界認識部142は、例えば図1の外界認識部14により構成される。軌道生成部151および算出部152は、例えば図1の行動計画生成部15により構成される。
区画線認識部141は、カメラ1aにより取得された撮像画像データに基づいて、自車両101が走行する道路上の区画線を認識する。図2Aに示す例では、区画線認識部141により、中央線CLと車道外側線OL1,OL2とが認識される。境界認識部142は、カメラ1aにより取得された撮像画像データに基づいて、道路の内側の領域と外側の領域との境界を認識する。図2Aに示す例では、境界認識部142により、境界BD1,BD2が認識される。
軌道生成部151は、区画線認識部141により認識された区画線に基づいて、現時点から所定時間T先までの自車両の目標軌道を生成する。算出部152は、軌道生成部151により生成された目標軌道から区画線認識部141により認識された区画線までの距離である第1距離を算出する。また、算出部152は、軌道生成部151により生成された目標軌道から境界認識部142により認識された境界までの距離である第2距離を算出する。図4は、算出部152により算出される第1距離および第2距離を説明するための図である。
ここで、目標軌道の生成について説明する。軌道生成部151は、所定時間Tごとに目標軌道TOを生成する。軌道生成部151により目標軌道TOが生成されると、算出部152は、目標軌道TOから区画線認識部141により認識された区画線までの距離である第1距離FD、および、目標軌道TOから境界認識部142により認識された境界までの距離である第2距離SDを算出する。図4には、目標軌道TOから道路上の区画線CL,OL1,OL2までの第1距離FD11,FD12,FD13が示されている。また、目標軌道TOから境界認識部142により認識された境界BD1,BD2までの第2距離SD21,SD22が示されている。なお、第1距離および第2距離は、カメラ1aにより取得される撮像画像データに基づいて算出してもよいし、記憶部12に記憶されている高精度地図により得られる区画線や境界線の位置情報に基づいて算出してもよい。算出部152は、第1距離および第2距離を示す情報(以下、距離情報と呼ぶ)を記憶部12に格納する。
軌道生成部151は、目標軌道TOを生成するとき、まず、区画線認識部141により認識された区画線のうち自車線を区画する区画線(中央線CLと車道外側線OL1)に基づいて仮目標軌道TTを生成する。次いで、軌道生成部151は、記憶部12に記憶された距離情報から、現時点より所定時間T手前の時点において算出部152により算出された第1距離FD(FD11,FD12,FD13)を読み出す。軌道生成部151は、区画線認識部141により認識された区画線(中央線CLと車道外側線OL1,OL2)と、記憶部12から読み出した第1距離FD(FD11,FD12,FD13)とに基づいて、第1目標軌道FTを生成する。このとき、中央線CLと第1距離FD11とに基づき、第1目標軌道FT1が生成される。車道外側線OL1と第1距離FD12とに基づき、第1目標軌道FT2が生成される。車道外側線OL2と第1距離FD13とに基づき、第1目標軌道FT3が生成される。
次いで、軌道生成部151は、記憶部12に記憶された距離情報から、現時点より所定時間T手前の時点において算出部152により算出された第2距離SD(SD21,SD22)を読み出す。軌道生成部151は、境界認識部142により認識された境界BD(BD1,BD2)と、記憶部12から読み出した第2距離SD(SD21,SD22)とに基づいて、第2目標軌道STを生成する。このとき、境界BD1と第2距離SD21とに基づき、第2目標軌道ST1が生成される。境界BD2と第2距離SD22とに基づき、第2目標軌道ST2が生成される。図5は、仮目標軌道TTと第1目標軌道FTと第2目標軌道STを模式的に示す図である。図5に示す例では、中央線CLが擦れているため、仮目標軌道TTが斜めにずれて生成されている。なお、図の簡略化のため、図5では第1目標軌道FTと第2目標軌道STとを1つずつ例示している。
軌道生成部151は、生成した仮目標軌道TTと第1目標軌道FTと第2目標軌道STとに基づいて、目標軌道TOを生成する。具体的には、軌道生成部151は、仮目標軌道TTと第1目標軌道FTと第2目標軌道STとを平均して得られる平均目標軌道を、目標軌道TOとして生成する。図6は、平均目標軌道の一例を示す図である。図6に示すように、仮目標軌道TTと第1目標軌道FTと第2目標軌道STとを自車線の幅方向をx軸、自車線の延在方向をy軸とする座標系で表したとき、平均目標軌道は、y軸上の所定区間Δd毎に各軌道のx座標を平均して得られる位置データp0,p1,p2,p3,・・・を接続して得られる線で表される。このように、仮目標軌道TTをそのまま目標軌道TOとせずに、各軌道の平均目標軌道を目標軌道TOとすることで、図5に示す例のように中央線の擦れ等により仮目標軌道TTが適切に生成されないときでも、より適切な目標軌道TOを生成することができる。すなわち、自車両101が、自車線の所定位置(車線幅方向の所定位置)により近い位置を走行するようになる。なお、平均目標軌道を生成する際、自車両から各軌道を生成するときに基準とされた区画線または境界までの車線幅方向の距離に基づいて、各軌道のそれぞれに対して重み付けしてから各軌道の平均目標軌道を生成してもよい。例えば、自車両からの距離がより近い軌道に対してより大きい重み係数を乗算して、各軌道のそれぞれに対して重み付けしてもよい。
なお、軌道生成部151は、仮目標軌道TTと第1目標軌道FTと第2目標軌道STとの各軌道のそれぞれに対して信頼度を設定し、該信頼度を考慮して平均目標軌道を生成してもよい。具体的には、軌道生成部151は、各軌道のそれぞれに対して、自車両101から各軌道を生成するときに基準とされた区画線または道路の境界までの車線幅方向の距離が短いほど高い信頼度を設定する。そして、軌道生成部151は、信頼度が所定程度以下である軌道を除いて平均目標軌道を生成する。
また、片側複数車線の道路のように自車線以外の車線が多数存在する道路では、車線の数に応じて多数の第1目標軌道FTが生成される。そのような場合には、仮目標軌道TTと第1目標軌道FTと第2目標軌道STの各軌道を互いの距離が近いもの同士でグループ化して、グループごとに信頼度の和を算出し、信頼度の和が最も高いグループの平均目標軌道を目標軌道としてもよい。図7は、グループ化された目標軌道を模式的に示す図である。図7に示す例では、互いの距離(車線幅方向の距離)が近い仮目標軌道TTと第1目標軌道FT1,FT3と第2目標軌道ST1がグループGR1に分類され、互いの距離が近い第1目標軌道FT2と第2目標軌道ST2がグループGR2に分類されている。例えば、グループGR1の信頼度の和がグループGR2の信頼度の和より高いとき、グループGR1の平均目標軌道が目標軌道として設定される。
走行制御部16は、軌道生成部151により目標軌道TOが生成されると、生成された目標軌道TOに沿って自車両101が走行するように、各アクチュエータACを制御する。
図8は、予め定められたプログラムに従い図3のコントローラ10で実行される処理の一例、特に目標軌道の生成に関する処理の一例を示すフローチャートである。図8のフローチャートに示す処理は、例えば、自車両101が自動運転モードで走行中に所定周期(所定時間T)ごとに繰り返される。
まず、ステップS11で、道路上の区画線および道路の境界を認識する。ステップS12で、ステップS11に認識された自車線の区画線に基づいて仮目標軌道TTを生成する。ステップS13で、記憶部12に距離情報が記憶されているか否かを判定する。ステップS13で否定されるとステップS16に進む。ステップS13で肯定されると、ステップS14で、記憶部12から距離情報を読み出す。より詳細には、現時点より所定時間T手前の時点において算出された第1距離FDおよび第2距離SDを読み出す。ステップS15で、ステップS14で読み出した距離情報に基づいて、ステップS12で生成した仮目標軌道TTを評価するための評価用目標軌道、すなわち、第1目標軌道FTおよび第2目標軌道STを生成する。
ステップS16で、目標軌道TOを生成する。具体的には、ステップS13,S14が実行され評価用目標軌道FT,STが生成されているときは、評価用目標軌道FT,STに基づいて目標軌道TOを生成する。一方、自動運転モードの走行を開始した直後など記憶部12に距離情報が記憶されていないときは、ステップS14,S15の処理がスキップされるため、評価用目標軌道FT,STが生成されない。そのようなときは、仮目標軌道TTをそのまま目標軌道TOとして生成する。したがって、自動運転モードの走行は、自車線の区画線が消えていたり擦れていたりしない地点、すなわち自車線の区画線を認識可能な地点から開始されるのが好ましい。
ステップS16で目標軌道TOが生成されると、生成された目標軌道TOに沿って自車両101が走行するように各アクチュエータACが制御される。ステップS17で、ステップS16で生成した目標軌道TOに基づいて第1距離FDおよび第2距離SDを算出し、算出した第1距離FDおよび第2距離SDを含む距離情報を記憶部12に記憶する。
本発明の実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)走行制御装置50は、目標軌道に沿って自車両101の走行動作を制御する。走行制御装置50は、自車両101が走行する道路上の区画線(例えば、図2Aの区画線CL,OL1,OL2)を認識する区画線認識部141と、道路の内側の領域と外側の領域との境界(例えば、図2Aの境界BD1,BD2)を認識する境界認識部142と、区画線認識部141により認識された区画線に基づいて、現時点から所定時間先までの自車両の目標軌道を生成する軌道生成部151と、目標軌道と区画線認識部141により認識された区画線との距離である第1距離と、目標軌道と境界認識部142により認識された境界との距離である第2距離とを算出する算出部152と、を備える。軌道生成部151は、区画線認識部141により認識された区画線のうち自車線を区画する区画線に基づいて生成した仮目標軌道と、現時点より所定時間手前の時点において算出部152により算出された第1距離および第2距離とに基づいて、目標軌道を生成する。これにより、道路の状態や周囲の状況によらずに、自車両が自車線内の所定位置(例えば、中央)を走行するように目標軌道を生成することができ、車両の走行動作を良好に行うことができる。
(2)軌道生成部151は、区画線認識部141により認識された区画線と現時点より所定時間手前の時点において算出部152により算出された第1距離とに基づいて第1目標軌道を生成する。また、軌道生成部151は、境界認識部142により認識された境界と現時点より所定時間手前の時点において算出部152により算出された第2距離とに基づいて第2目標軌道を生成する。そして、軌道生成部151は、仮目標軌道と第1目標軌道と第2目標軌道とに基づいて、目標軌道を生成する。具体的には、軌道生成部151は、仮目標軌道と第1目標軌道と第2目標軌道とを平均して得られる平均目標軌道を、目標軌道として生成する。これにより、区画線が認識できないときでも適切に目標軌道を生成することができる。
(3)軌道生成部151は、仮目標軌道と第1目標軌道と第2目標軌道との各軌道のそれぞれに対して、自車両101から各軌道を生成するときに基準とされた区画線または道路の境界までの車線幅方向の距離が短いほど大きな重み付け係数を乗算し、重み付け係数を乗算した各軌道を平均して平均目標軌道を生成する。これにより、道路の構造に応じて目標軌道を適切に生成することができる。
(4)軌道生成部151は、仮目標軌道と第1目標軌道と第2目標軌道との各軌道のそれぞれに対して、自車両101から各軌道を生成するときに基準とされた区画線または道路の境界までの車線幅方向の距離が短いほど高い信頼度を設定する。そして、信頼度が所定程度以下である軌道を除いて平均目標軌道を生成する。これにより、自車線により近い区画線や境界が平均目標軌道の生成に優先的に用いられるようになり、より適切な目標軌道を生成することができる。
(5)算出部152は、区画線認識部141により自車線以外の他の車線の区画線が認識されるとき、各車線のそれぞれについて第1距離を算出する。軌道生成部151は、各車線のそれぞれについて算出された第1距離に基づいて、各車線のそれぞれに対応する第1目標軌道を生成する。これにより、片側複数車線のように自車線以外の車線が多数存在する道路においても、目標軌道を適切に生成することができる。
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、カメラ1aにより自車両の周囲の状況を検出するようにしたが、自車両の周囲の状況を検出するのであれば、車載検出器の構成はいかなるものでもよい。例えば、車載検出器は、レーダ1bやライダ1cであってもよい。また、上記実施形態では、区画線認識部141が、カメラ1aの撮像画像データに基づいて、道路上の区画線を認識するようにした。しかしながら、区画線認識部とは、レーダ1bやライダ1cの検出データに基づいて道路上の区画線を認識してもよいし、記憶部12に記憶されている高精度地図により得られる区画線の位置情報から道路上の区画線を認識してもよい。また、上記実施形態では、境界認識部142が、カメラ1aの撮像画像データに基づいて、道路の境界を認識するようにした。しかしながら、境界認識部とは、レーダ1bやライダ1cの検出データに基づいて道路の境界を認識してもよいし、記憶部12に記憶されている高精度地図により得られる道路の境界の位置情報から道路の境界を認識してもよい。
また、上記実施形態では、軌道生成部151が、区画線認識部141により認識された区画線のうち自車線を区画する区画線に基づいて生成した仮目標軌道と、現時点より所定時間手前の時点において算出部152により算出された第1距離および第2距離とに基づいて、目標軌道を生成するようにした。しかしながら、軌道生成部は、自車両が走行中に、自車線を区画する区画線と他の車線の区画線や道路の境界との距離(現時点における距離)を算出するようにして、仮目標軌道とその距離とに基づいて目標軌道を生成するようにしてもよい。そのような方法によっても、自車線を区画する区画線が擦れ等により認識できない道路において目標軌道を適切に生成することができる。
また、上記実施形態では、走行制御装置50を自動運転車両に適用したが、走行制御装置50は、自動運転車両以外の車両にも適用可能である。例えば、ADAS(Advanced driver-assistance systems)を備える手動運転車両にも走行制御装置50を適用することができる。さらに、上記実施形態では、自動運転モードで走行しながら図8に示す処理を実行するようにしたが、手動運転モードでADASによる車線維持走行を行っているときなどにも図8に示す処理を実行してもよい。
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の一つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。