JP7549739B2 - 摩擦撹拌接合工具組立体 - Google Patents

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Description

本開示は、工具インサートおよび工具ホルダを含む摩擦撹拌接合(FSW)工具組立体に関する。具体的には、本開示は、高温合金鉄および他の高温合金を摩擦撹拌接合するためのFSW工具組立体に関する。より具体的には、本開示は、工具インサートが多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)またはタングステンレニウム(W‐Re)から成るFSW工具組立体に関する。
FSWは、回転中の工具を接合されるべき2つの隣り合う工作物に強く接触させ、そして工具の回転により工作物の摩擦および粘性加熱を生じさせる技術である。混ざり合っているときに広範囲に及ぶ変形が塑性ゾーンに沿って起こる。塑性ゾーンの冷却時、工作物は、溶接接合部に沿って接合される。工作物は、固相のままであるので、このプロセスは、技術的には、溶接プロセスではなく鍛造プロセスであるが、それにもかかわらず、このプロセスは、慣例により溶接または摩擦撹拌接合と呼ばれており、本明細書においては、かかる慣例に従う。
低温金属のFSWの場合、工具/工具ホルダ全体は、成形工具鋼から成る単一の部品の場合があり、この場合、かかる単一の部品は、「プローブ」と呼ばれる場合が多い。工具が鋼のような高温合金を溶接または接合するためのものである場合、工具は、2つ以上の部品で構成され、端要素が接合中の材料と直接的な接触状態にあり、多くの場合、「パック」または「工具インサート」と呼ばれており、工具の残部がパックをしっかりと保持し、そしてFSW機中に嵌まり込む「工具ホルダ」であり、その結果、工具パックと工具ホルダは一緒になって、「工具」または「工具組立体」を構成するようになっている。工具パックは、典型的には、肩(ショルダ)および撹拌ピンを形成するよう成形され、多くの場合、逆螺旋状切れ目が表面中に設けられ、その結果、回転中、この切れ目は、金属をピンに引き寄せるとともにこの金属をピンによって形成されている穴の中に押し下げるようになっている。
一般に、FSW作業は、多数のステップを含み、例えば次の通りである。
a)工具が工作物に接触した時点からピンが加熱されるとともに軟化した工作物内に最高肩まで完全に埋め込まれる時点までの侵入ステップ(プランジ(plunge)ステップとも呼ばれている)、
b)工具が接合されるべき工作物相互間内で直線的に横方向に動く際の工具横送り、および
c)工具が工作物から持ち上げられまたは横送りされながらこれから離れる際の取り出しステップ。
主として溶接部を形成する段階である工具横送りは、通常、一定条件下で行われ、すなわち、典型的には、これら条件は、回転速度、プランジ条件、横送り速度などである。
PCBN利用工具は、温度が1100℃を超える温度に達する過酷なFSW作業環境に耐えることができる。PCBNで作られた工具パックは、費用効果が比較的良く、しかも耐久性が高い。しかしながら、PCBNパックの製造プロセスの一欠点は、パックを作るもととなるバルクPCBN片が必要になるということにある。一体形PCBNブロックは、直径50mm、高さ50mmという大きなサイズであることが必要であり、その目的は、ピン高さが12mmのパックを作ることにあり、かかるパックは、12mmプレート(板)厚さを溶接・形成することができる。これよりも大きな一体形PCBNブロック(およびかくしてPCBNパック)は、現在のところ、PCBN焼結プロセス中に用いられる高圧高温(HPHT)プレスの制約に起因して実行可能ではない。これよりも大形のプレスは、材料均質性を損なう場合がある。要するに、現時点において実用的に達成できるPCBNパックのサイズは、厚さ12mm以下の板材を溶接・製作できるサイズに限定される。
厚さが12mmを超える鉄製板材を溶接・製作することができるPCBN工具および付随工具ホルダを開発することが切に求められている。
大形PCBN工具に関して直面する重要な課題は、特に侵入および横送り段階の際に工具を工具ホルダ内に保持することである。場合によっては分離が起こり、この分離は、PCBN工具インサートと典型的には鋼製の工具ホルダとの熱伝導率の不一致によって引き起こされると考えられる。FSWプロセスの極端な条件に起因して、伝統的な方法・手段、例えばねじは役には立たない。この問題は、PCBN工具インサートの性能を落とし、もしそうでなければ潜在的に得ることができる溶接長さが制限される。
工具インサートを長期間にわたる使用中、工具ホルダ内に保持する高温合金を溶接するFSW工具組立体が要望されている。
本発明によれば、使用中における回転の中心となる長手方向回転軸線を有する摩擦撹拌接合(FSW)工具組立体であって、工具組立体は、工具インサートおよび工具インサートを同軸状に保持する工具ホルダを含み、工具ホルダは、工具インサートを少なくとも部分的に受け入れる凹みカップを有し、工具組立体は、工具インサートと工具ホルダを互いに結合する結合層をさらに含み、結合層は、凹みカップ内に設けられた融解温度が少なくとも900℃の“ろう”(braze )の層であることを特徴とする工具組立体が提供される。
本発明の好ましい特徴および/またはオプションとしての特徴は、従属形式の請求項に記載されている。
次に、添付の図面を参照して本発明について具体的に説明するが、これは例示であるに過ぎない。
組み立て状態にある工具組立体の第1の実施形態の斜視図である。 図1の工具組立体の側面図である。 図1の工具組立体の平面図である。 図3の工具組立体のS‐S線矢視断面図である。 図1の工具ホルダの斜視図である。 ロックカラーを備えた図5の工具ホルダの斜視図であり、工具インサートが図面を分かりやすくするために省かれている図である。 図6のロックカラーの一部分の斜視図である。 図6の工具ホルダおよびロックカラー部分の平面図である。 図8の工具ホルダのZ1‐Z1線矢視断面図である。 図1の工具インサートの斜視図である。 図10の工具インサートについて下から見た斜視図である。 図10の工具インサートの側面図である。 図10の工具インサートの平面図である。 図13の工具インサートのW1‐W1線矢視断面図である。 これまた組み立て状態にある工具組立体の第2の実施形態の斜視図である。 図15の工具組立体の側面図である。 図15の工具組立体の平面図である。 図17の工具組立体のZ‐Z線矢視断面図である。 図17の工具組立体のY‐Y線矢視断面図である。 図15の工具ホルダの斜視図である。 図15の工具ホルダの平面図である。 図21の工具ホルダのT‐T線矢視断面図である。 図15の工具インサートの斜視図である。 図23の工具インサートの側面図である。 図23の工具インサートの平面図である。 図25の工具インサートのV‐V線矢視断面図である。 別の実施形態に係る工具インサートの斜視図である。 図27の工具インサートについて下から見た斜視図である。 図27の工具インサートの平面図である。 図29の工具インサートのY1‐Y1線矢視断面図である。 本発明の一実施形態に係る工具組立体の断面図であり、特に、工具インサートと工具ホルダとの間の“ろう”の層を示す図である。 有限要素解析から得られた先行技術設計例の画像であり、図33との比較的目的で、工具インサートおよび工具組立体内に生じる最大主応力を示す図である。 有限要素解析から得られた“ろう”設計例の画像であり、図32との比較的目的で、工具インサートおよび工具組立体内に生じる最大主応力を示す図である。 本発明の別の実施形態に係る工具組立体の断面図であり、特に、“ろう”の領域内の隣に位置する冷却システムを示す図である。
実施形態全体を通じて、類似の部分を同一の参照符号で示しており、簡潔にするためにそれ以上の説明を省く。
最初に図1~図4を参照すると、本発明の工具組立体の一実施形態が全体を符号10で示されている。工具組立体は、多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)工具インサート12およびPCBN工具インサート12を保持する工具ホルダ14を含む。工具ホルダ10は、これが摩擦撹拌接合プロセスにおける使用中に回転の中心となる長手方向回転軸線(図示せず)を有する。この回転軸線は、非対称ねじ山パターンが工具インサート12に機械加工により設けられていることにより回転対称軸ではないことに注目されたい。工具インサート12と工具ホルダ14は、回転軸線回りに同軸状に整列している。
工具組立体10は、工具インサート10と工具ホルダ12を互いに機械的にロックし、それによりFSW中の分離を阻止する保持機構体をさらに含む。この確実なロック作用は、当該技術分野において知られている受動的焼嵌め法とは別ものでありかつこれよりも遙かに優れている。この確実なロック作用はまた、場合によって工具ホルダ周りに取り付けられるねじ山付きねじキャップ構造とは別ものである。この実施形態では、保持機構体は、以下に詳細に説明するロックカラー16を含む。
工具インサート
図10~図14を参照すると、工具インサート12は、撹拌ピン18、肩部分20および本体部分22を有し、これらは全て、互いに軸方向整列状態にあり、肩部分20は本質的に、撹拌ピン18と本体部分22との間のインターフェースである。撹拌ピン18、肩部分20および本体部分22は、全て互いに一体形成されており、その結果、工具インサート12は、一体ものである。工具インサート12は、ブロックがHPHTプレス内で焼結された後に単一のPCBNブロックから機械加工により作られる。
撹拌ピン18は、丸みを帯びた頂点24から肩部分20に向かって外方にテーパした円錐形輪郭を有する。撹拌ピン18は、頂点24から肩部分20に向かって下方にかつこの上に延びる内接螺旋特徴部26を有する。螺旋体26は、平面状の経路を有し、この平面状の経路は、軸方向に向いており、作業面は、半径方向に向いている。
肩部分20は、ディスク状であり、この肩部分は、撹拌ピン18の円形底部よりも大きな直径を有する。肩部分20は、本体部分22に合体するよう軸方向下方に延びている。
本体部分22は、全体として円筒形である。
有利には、円周方向に延びるロック溝28が肩部分20の近くで本体部分22の上側領域に設けられており、保持機構体の一部としてロックカラー16と機械的に嵌合するようになっている。ロック溝28は、本体部分22の周囲全体に沿ってぐるりと延びている。しかしながら、このことは、そうである必要はなく、別法として、ロック溝28は、本体部分22の周囲に沿って一部にのみ延びていても良く、ロックカラー16は、それに応じて構成される。
変形実施形態では、工具インサート12の円周方向に延びる溝28に代えて円周方向に延びるフランジ(図示せず)が用いられる。フランジは、工具インサート12周りに部分的に延びても良く、あるいは、工具インサート12全体にわたってぐるりと延びても良い。かかる実施形態では、フランジは、ロックカラー16に設けられた1つ以上の円周方向に延びる溝(図示せず)と協働する。
図11に示すように、2つのセグメント状のスロット30が本体部分22の下端部に切欠き・形成されている。セグメント状スロット30は、互いに直径方向反対側に位置している。セグメント状スロット30は、工具インサート12が定位置にありかつ工具ホルダ14によって支持されているときに、回転防止機構の一部をなすよう2つのセグメント状ステップ(段部)32(図5参照)と協働する。回転防止機構は、回転軸線回りにおける工具インサート12と工具ホルダ14の相対回転運動を阻止する。回転防止機構の別の実施例について後で詳細に説明する。
使用にあたり、工具組立体10の回転は、螺旋体26が工作物材料流れを肩部分20のエッジから中心に、そして次に撹拌ピン18の長さ方向に沿って下方に駆動するようなものである。これにより、工作物材料は、撹拌ゾーン内で循環し、そして工具インサート12が既知の仕方で横断しているときに撹拌ピン18により形成される空所を埋めるようになる。
工具ホルダ
図4、図5、図6および図9を参照すると、工具ホルダ14は、工具インサートを受け入れる保持部材34および、一端が保持部材34に接合された細長い幹状部材36を有する。
幹状部材36は、中実かつ円筒形(円柱体)である。幹状部材36の目的は、FSW機械への工具組立体10の連結を容易にすることにある。
保持部材34は、外部が円筒形であり、そして内側に、工具インサート12を受け入れる凹みカップ38を有する。凹みカップ38は、回転軸線を中心として配置されている。凹みカップ38は、下側底面40、工具インサート12を挿入させる上側開口部42、および底面40を開口部42に連結する側壁44を有する。
この実施形態では、側壁44は、全体として円筒形であり、この側壁は、その長さ周りに一定の円形横断面を有し、少なくとも部分的に円筒形である工具インサートとの併用が意図されている。
変形実施形態では、側壁44は、全体として切頭円錐形であり、その側壁は、直径が底面40から遠ざかって増大する円形横断面を有する。凹みカップ38のこの輪郭は、少なくとも部分的に円錐形である工具インサートとの併用が意図されている。
凹みカップ38は、本体部分22の一部分だけを受け入れるような寸法および形状に設定されており、その結果、結合されると、工具インサート12は、肩部分20が露出された状態で工具ホルダ14から突き出るようになっている。
凹みカップ38の内側輪郭が円錐形であるか円筒形であるかとは関係なく、2つのセグメント状ステップ32が側壁44に組み込まれる。したがって、側壁44は、図22に示すように縦断面で見てステップ(段)が付けられている。セグメント状ステップ32は、上述の回転防止機構の一部をなす。工具インサート12が凹みカップ38内の位置にあるとき、セグメント状ステップ32は、工具インサート12のセグメント状スロット30に当接し、それにより工具ホルダ14に対する工具インサート12の回転を阻止する。これは、工具インサートが次第に弛み状態になって工具ホルダ14から外れる場合のある1つのあり方なので、回転を回避することが重要である。
保持機構体
上述したように、保持機構体は、ロックカラー16(図7)および工具インサート12に設けられた円周方向に延びる溝28を含む。オプションとして、保持機構体は、ロックカラー16の下に配置された高温シールをさらに含む。
図1および図6に示すように、ロックカラー16は、2つの弧状カラー部分16a,16bを有し、ただし、これとは異なりそれ以上のカラー部分を使用することができる。好ましくは、弧状カラー部分16a,16bは、長さが等しく設定されている。本質的には、弧状カラー部分16a,16bは、しっかりと端と端を付き合わせた状態で結合し、それにより単一のリングを形成するようになっている。ロックカラー16を弧状のカラー部分16a,16bの状態で設けることにより、工具インサート12および/または工具ホルダ14周りの密嵌めが可能であるが、圧縮力は生じない。
ロックカラー16は、環状であり、L字形横断面を備えている。工具インサート12が工具ホルダ14で支持された状態で現場に位置しているとき、ロックカラー16は、工具ホルダの開口部42周りにそのリムに当たった状態で延びる。ロックカラー16もまた、保持部材34の外面46に当たった状態で設けられる。ロックカラー16は、嵌合係合関係をなした状態で工具インサート12の円周方向に延びる溝28中に延びる。弧状カラー部分16a,16bは、互いにしっかりと連結されたとき、工具インサート12を工具ホルダ14内にしっかりと保持された状態で定位置に保持し、それにより工具インサート12が工具ホルダ14から外れないようにする。
図15~図26を参照すると、工具組立体の変形実施形態が全体を符号100で示されている。工具組立体100は、別の実施形態としての工具インサート112および別の実施形態としての工具ホルダ114を含む。この実施形態では、保持機構体は、工具インサート112および/または工具ホルダ114に設けられたロック孔50と結合するロックピン48を含む。好ましい実施形態では、保持機構体は、2本以上のロックピン48を含む。2本のロックピン48は、互いに直径方向反対側に位置している。好ましくは、ロックピン48は、応力を最小限に抑えるために軟鋼から作られる。一実施形態では、ロック孔50は、工具ホルダ114を貫通して設けられた半径方向に延びる貫通穴52、および工具インサート112に設けられるとともに工具ホルダ114の貫通穴52と整列した半径方向に延びる止まり穴54を含む。
図27~図30は、符号212で示された工具インサートの別の実施形態における回転防止機構の別の実施例を示している。回転防止部材は、工具ホルダの下面に設けられた正方形の形をしているボスおよび工具インサート112に設けられたこれに対応した形の凹部56を有する。別の実施例として、正方形のボスは、工具インサートに設けられても良く、正方形の凹部は、工具ホルダ114の底面40に設けられても良い。
工具ホルダ材料
上述の機械的ソリューションを補足する保持機構体のもう1つの観点は、工具ホルダ材料である。保持部材34および幹状部材36は、好ましくは、互いに一体に形成されそれにより工具ホルダ14は、単一の部品になる。しかしながら、これらの部材は、2つの別々のコンポーネントとして作られても良く、これら部材は、2つの別々の材料を含みまたは2つの別々の材料から成り、そして、その後に互いに接合される。
工具ホルダ12は、高温高力合金から成る。例えば、工具ホルダ12は、次の材料、すなわち、NIMONIC(登録商標)80A 、インコネル合金(ニッケル‐クロム系超合金の等級)、W‐Ni(タングステン‐ニッケル)合金、TZM(モリブデン‐チタン‐ジルコニウム)、高エントロピー合金のうちの任意の1つ以上から成るのが良い。一般に、これら合金は、高温でも強度が良好であることを特徴とする。
高エントロピー合金であるNIMONIC(登録商標)80A およびAl4Nb4HEAから成る工具ホルダ14について実施された試験の結果、工具ホルダ14内への優れた工具インサート12保持作用が得られた。理論に束縛されるものではないが、温度がFSWの初期段階中に増大するにつれて合金が軟化し、それにより工具インサート12が工具ホルダ14を10~50ミクロンの深さまで凹ませることができるということが考えられる。プランジ段階がいったん完了すると、次に、析出硬化が熱サイクル動作に起因して起こり、それにより合金を硬化させるとともに驚くべきこととして工具インサート12を定位置に把持する。
何種類かの材料に関し、析出硬化ではなく、別のまたは追加の硬化機構、例えばひずみ硬化および/または相変化がトリガされる。これらは、高温ではFSWプロセス中、しかも工具ホルダが荷重を受けている間に意図的に起こる。硬化機構の作用効果は、工具インサートを工具ホルダ内に保持するよう利用される。
“ろう”付けおよび材料
別の実施形態では、工具組立体300は、工具インサート12と工具ホルダ14との間に位置する“ろう”層302をさらに有し、これについては図31を参照されたい。“ろう”層302は、工具インサート12および工具ホルダ14に化学的に結合し、それにより、これら相互間に強固な接合部が形成される。“ろう”付け材302は、工具がプランジング(plunging)中に落ち込むことがないようにするに足るほどの強度を提供する。次に摩擦に起因して生じる熱は、工具ホルダ14を変形させ、工具インサート12は、上述の硬化機構により工具ホルダ14中にめり込む。
好ましくは、“ろう”層302は、パラジウム系合金、例えばジョンソン・マッセイ(Johnson Matthey(商標))社製の適当に選択されたPallabraze(商標)フィラー金属から成る。かかる合金は、良好な耐酸化性および高温での良好な強度を示す。適当に選択されると、パラジウム系合金は、950℃を超える融解温度を有しかつ高温での高い剪断強度を有する。
本用途に適した別の“ろう”材料としては、ジョンソン・マッセイ(Johnson Matthey(商標))社製のアクティブ・ブレージング・アロイ(ABA(登録商標))、モルガン・アドバンスド・マテリアルズ(Morgan Advanced Materials(商標))社製のTicusil(登録商標)およびNiCrInMn合金が挙げられる。
組み立て中、“ろう”付けは、高温かつ高真空下で行われ、圧力は、>10-5barである。
本発明者は、予期せぬこととして、“ろう”付けが12mmよりも厚い鋼板を接合する上で実施可能な技術であるという知見を得た。厚手の板を接合するための従来の制限要因は、撹拌ピン18の長さであり、その結果としてのPCBN工具インサート12の全体的サイズである。工具インサートについての先行技術の設計により、ピン厚さが高い工具インサートに対応するための大形PCBNブロック(「シリンダ」とも呼ばれる)の製造は、HPHTプレスダイボア長さに対する制約ならびに背の高いHPHTカプセルに起因して生じる不均一な圧力分布に起因して、とてつもない難題である。加圧用の長いシリンダを用いることなく撹拌ピン18の高さを増大させることは、製造の面で顕著な利点をもたらす。
フィラー金属を用いて工具インサートを工具ホルダに取り付ける場合、工具インサートの全高を著しく短くすることができ、と言うのは、工具インサートを定位置に焼嵌めするのに必要な広い表面積がもはや必要とされないからである。有利には、このことはまた、一般的に用いられるねじ山付きねじキャップは工具ホルダ周りに設けられるが、かかるねじ山付きねじキャップを省くことができ、それにより費用面での利益をもたらすと言うことを意味している。
短い工具インサート12を用いると、通常結果的に破損を生じる工具インサート中のピーク応力もまた、既存の設計例と比較して著しく小さくなり、これについては図32を参照されたい。有限要素解析モデル化の示すところによれば、平均応力が“ろう”付け設計例においては高いにもかかわらず、“ろう”付け設計例のピーク応力は、既存の設計例よりも約50%低く、これについては図33を参照されたい。
“ろう”を用いて工具インサートと工具ホルダを結合することなく、その代わりに、高温グルーおよび他の類似の接着剤を用いるこということが想定される。同様に、機械的結合もまた実施可能である。
冷却システム
図34に示すように、工具組立体300は、冷却システム304を含むのが良い。冷却システム304は、“ろう”接合部を保護する。オプションとして、冷却システム304は、冷却剤、例えば水を運ぶ導管網を含む。オプションとして、冷却システム304は、例えば蛇行状パターンをなして設けられた単一の導管から成っていても良い。好ましくは、冷却システム304は、“ろう”付け領域の温度を150℃未満の温度に維持するようになっている。
理想的には、導管は、工具ホルダ14の底面40内にまたはこの近くに配置される。冷却システム304の配設範囲はまた、凹みカップ38の側壁44まで完全に及ぶのが良い。変形例として、冷却システム304は、底面40ではなく側壁44内にまたはこの背後に配置されても良く、ただし、この配置は、実効性が低い。
このように、冷却システム304は、FSW中に生じる熱を運び去ることができ、かかる熱は、撹拌ピン18および肩部分20のところで生じ、またこの熱は、工具インサート12の本体部分22を通って伝導される。工具インサート12と工具ホルダ14との間の“ろう”付け領域の温度を低くすることにより、接合部は、高い温度から遮蔽され、もしそのようにしなければ生じる“ろう”強度に対する悪影響が最小限に抑えられる。これは、工具ホルダ14内への工具インサート12の保持を容易にする。
本発明を実施形態と関連して具体的に図示するとともに説明したが、当業者であれば理解されるように、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部における種々の変更を行うことができる。
例えば、回転防止機構に関し、たった1つの組をなすセグメントスロットおよびステップを上述の2つの組に代えて用いることができる。同様に、これに代えて、3つ以上の組をなすセグメントスロットおよびステップを設けても良い。
機械式保持機構は、次の要素、すなわち、“ろう”層、指定された工具ホルダ材料(すなわち、高温高力合金)および/または冷却システムのうちの任意の1つ以上と関連して使用できる。しかしながら、これら要素のうちの任意の1つがそれ自体の利益をもたらす。したがって、これら要素は、個々にまたはリスト中の他の要素のうちの任意の1つ以上と組み合わせて具体化できる。

Claims (14)

  1. 使用中における回転の中心となる長手方向回転軸線を有する摩擦撹拌接合(FSW)工具組立体であって、前記工具組立体は、工具インサートおよび前記工具インサートを同軸状に保持する工具ホルダを含み、前記工具ホルダは、前記工具インサートを少なくとも部分的に受け入れる凹みカップを有し、前記工具組立体は、前記工具インサートと前記工具ホルダを互いに結合する結合層をさらに含み、前記結合層は、前記凹みカップ内に設けられた融解温度が少なくとも900℃の“ろう”の層である、工具組立体。
  2. 前記凹みカップは、底面、前記工具インサートを挿入させる開口部、および前記底面を前記開口部に連結する側壁を有する、請求項1記載の工具組立体。
  3. 前記結合層は、前記底面上に配置されている、請求項2記載の工具組立体。
  4. 前記結合層は、前記側壁上に配置されている、請求項2または3記載の工具組立体。
  5. 前記“ろう”層は、ディスクの形をしている、請求項1~3のうちいずれか一に記載の工具組立体。
  6. 前記“ろう”層は、環状体の形をしている、請求項1~4のうちいずれか一に記載の工具組立体。
  7. 前記“ろう”層は、パラジウム系合金から成る、請求項1~6のうちいずれか一に記載の工具組立体。
  8. 冷却システムをさらに含む、請求項1~7のうちいずれか一に記載の工具組立体。
  9. 前記冷却システムは、前記工具ホルダの底面に隣接してまたは該底面の近くに位置決めされている、請求項8記載の工具組立体。
  10. 前記冷却システムは、前記工具ホルダの側壁に隣接してまたは該側壁の近くに位置決めされている、請求項8または9記載の工具組立体。
  11. 前記冷却システムは、導管網を含む、請求項8~10のうちいずれか一に記載の工具組立体。
  12. 前記冷却システムは、蛇行状パターンをなして設けられた単一の導管を含む、請求項8~10のうちいずれか一に記載の工具組立体。
  13. 前記工具インサートは、多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)を含む、請求項1~12のうちいずれか一に記載の工具組立体。
  14. 前記工具インサートは、W‐Reを含む、請求項13記載の工具組立体。
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