JP7552013B2 - 非水電解液、非水電解液蓄電素子及び非水電解液蓄電素子の製造方法 - Google Patents

非水電解液、非水電解液蓄電素子及び非水電解液蓄電素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極と、この電極間に介在する非水電解質とを有し、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
一般的に、非水電解質蓄電素子の非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解する電解質塩とを含む。電解質塩としては、LiPF等のヘキサフルオロリン酸塩や、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩が広く用いられている(特許文献1、2参照)。
特開2015-128052号公報 特開2018-101612号公報
電解質塩としてヘキサフルオロリン酸塩が用いられた非水電解質を有する非水電解質蓄電素子は、充放電サイクル後の容量維持率が十分では無い。一方、電解質塩としてイミド塩が用いられた非水電解質を有する非水電解質蓄電素子は、充放電に伴って、ガス発生による厚さの増加が生じやすい。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率を高め、厚さの増加を抑制することができる非水電解質、充放電サイクル後の容量維持率が高く、厚さの増加が抑制される非水電解質蓄電素子、並びにこのような非水電解質蓄電素子の製造方法を提供することである。
本発明の一態様に係る非水電解質は、イミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステルを含む、蓄電素子用の非水電解質である。
本発明の他の一態様に係る非水電解質蓄電素子は、本発明の一態様に係る非水電解質を備える非水電解質蓄電素子である。
本発明の他の一態様に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、イミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステルを含む非水電解質を調製することを備える、非水電解質蓄電素子の製造方法である。
本発明の一態様に係る非水電解質によれば、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率を高め、厚さの増加を抑制することができる。
本発明の他の一態様に係る非水電解質蓄電素子によれば、充放電サイクル後の容量維持率が高く、厚さの増加が抑制される。
本発明の他の一態様に係る非水電解質蓄電素子の製造方法によれば、充放電サイクル後の容量維持率が高く、厚さの増加が抑制される非水電解質蓄電素子を製造することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子を示す外観斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。
初めに、本明細書によって開示される非水電解質、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法の概要について説明する。
本発明の一態様に係る非水電解質は、イミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステルを含む、蓄電素子用の非水電解質である。
当該非水電解質によれば、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率を高め、厚さの増加を抑制することができる。当該非水電解質において上記効果が生じる理由は定かでは無いが以下の理由が推測される。当該非水電解質においては、電解質塩としてイミド塩を用いていることにより、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率を高めることができる。この理由は、イミド塩は、充電の際に、非水電解質蓄電素子の容量の低下を引き起こす副反応が生じ難いためと推測される。一方、従来のイミド塩を含む非水電解質が用いられた非水電解質蓄電素子において、ガス発生による厚さの増加が生じる原因としては、電極表面にガス発生を抑制可能な被膜が形成されないことが考えられる。例えば、ヘキサフルオロリン酸塩を含む従来の非水電解質を用いた場合、電極表面にヘキサフルオロリン酸塩に由来するリン原子を含む被膜が形成され、これによりガスの発生が抑制され、非水電解質蓄電素子の厚さの増加が抑制されると考えられる。これに対し当該非水電解質においては、イミド塩に加えて、テトラフルオロホウ酸塩とリン酸エステルとを含有させることで、これらに由来した、ガス発生を抑制可能な被膜が形成され、非水電解質蓄電素子の厚さの増加が抑制されるものと推測される。
当該非水電解質は、ヘキサフルオロリン酸塩を実質的に含まないことが好ましい。ヘキサフルオロリン酸塩は、特に正極電位が高電位(例えば4.0V vs.Li/Li以上)に至って非水電解質蓄電素子が充電される際、容量の低下を引き起こす副反応が生じやすい。従って、当該非水電解質がヘキサフルオロリン酸塩を実質的に含まない場合、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率がより高まり、特に正極電位が高電位に至る充放電サイクル後も容量の低下を抑えることができる。
なお、本発明において非水電解質がヘキサフルオロリン酸塩を「実質的に含まない」とは、ヘキサフルオロリン酸塩の含有量が0.15mol/kg未満であることをいう。
当該非水電解質は、鎖状カーボネートをさらに含んでいてもよい。鎖状カーボネートは沸点が比較的低い溶媒であるため、通常、ガス発生の要因となりやすい。しかし、当該非水電解質においては、鎖状カーボネートをさらに含む場合であっても、ガス発生が抑制され、非水電解質蓄電素子の厚さの増加を抑えることができる。従って、本発明の一実施形態に係る非水電解質として、鎖状カーボネートを含む形態も好適である。
当該非水電解質は、フッ素化環状カーボネートをさらに含んでいてもよい。フッ素化環状カーボネートは負極で還元分解しやすいため、通常、ガス発生の要因となりやすい。しかし、当該非水電解質においては、フッ素化環状カーボネートをさらに含む場合であっても、ガス発生が抑制され、非水電解質蓄電素子の厚さの増加を抑えることができる。従って、本発明の一実施形態に係る非水電解質として、フッ素化環状カーボネートを含む形態も好適である。
本発明の他の一態様に係る非水電解質蓄電素子は、本発明の一態様に係る非水電解質を備える非水電解質蓄電素子である。当該非水電解質蓄電素子は、当該非水電解質を用いているため、充放電サイクル後の容量維持率が高く、厚さの増加が抑制される。
当該非水電解質蓄電素子は、リン原子を含む正極合剤を有する正極をさらに備え、上記正極合剤表面のX線光電子分光スペクトルにおいて、P2pに帰属されるピークの極大値が134eV以下の位置に存在することが好ましい。このような正極が備わることで、充放電サイクル後の容量維持率をより高めることができる。この理由は定かではないが、以下が推測される。リンのオキソ酸を含有する正極合剤ペーストによって正極合剤を形成した場合、正極合剤表面にこのリンのオキソ酸に由来した、X線光電子分光スペクトルにおいて、P2pに帰属されるピークの極大値が134eV以下の位置に存在する成分を含有する被膜が形成される。この被膜が正極基材等として通常使用されるアルミニウムの酸化腐食を抑制するため、充放電サイクル後の容量維持率が高まるものと推測される。
なお、X線光電子分光スペクトルの測定に用いる試料(正極合剤)は、次の方法により準備する。非水電解質蓄電素子を、0.1Cの電流で、通常使用時の放電終止電圧まで放電し、完全放電状態とする。完全放電状態の非水電解質蓄電素子を解体して正極を取り出し、ジメチルカーボネートを用いて正極を充分に洗浄した後、室温にて減圧乾燥を行う。乾燥後の正極を、所定サイズ(例えば2×2cm)に切り出し、これをX線光電子分光スペクトルの測定における試料とする。非水電解質蓄電素子の解体からX線光電子分光スペクトルの測定における試料の作製までの作業は、露点-60℃以下のアルゴン雰囲気中で行い、作製した試料は、トランスファーベッセルに封入して露点-60℃以下のアルゴン雰囲気中に保持し、X線光電子分光スペクトルの測定装置の試料室に導入する。X線光電子分光スペクトルの測定における使用装置及び測定条件は以下のとおりである。
装置:KRATOS ANALYTICAL社の「AXIS NOVA」
X線源:単色化AlKα
加速電圧:15kV
分析面積:700μm×300μm
測定範囲:P2p=145~128eV、C1s=300~272eV
測定間隔:0.1eV
測定時間:P2p=72.3秒/回、C1s=70.0秒/回
積算回数:P2p=15回、C1s=8回
また、上記スペクトルにおけるピークの極大値の位置は、次のようにして求められる値とする。まず、sp2炭素に帰属されるC1sのピークの位置を284.8eVとし、得られたすべてのスペクトルの結合エネルギーを補正する。次に、補正されたスペクトルに対して、直線法を用いてバックグラウンドを除去することにより、水平化処理を行う。水平化処理後のスペクトルにおいて、結合エネルギーが128eVから144eVの範囲におけるスペクトルのピークの接線の傾きが0となり極大値を示す結合エネルギーをP2pに帰属されるピークの極大値の位置とする。
本発明の他の一態様に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、イミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステルを含む非水電解質を調製することを備える、非水電解質蓄電素子の製造方法である。当該製造方法によれば、充放電サイクル後の容量維持率が高く、厚さの増加が抑制される非水電解質蓄電素子を製造することができる。
当該製造方法は、リンのオキソ酸を含む正極合剤ペーストを用いて正極を作製することをさらに備えることが好ましい。このように正極を作製することで、上述のように、リンのオキソ酸に由来した、X線光電子分光スペクトルにおいて、P2pに帰属されるピークの極大値が134eV以下の位置に存在する成分を含有する被膜が正極合剤表面に形成されるため、得られる非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率がより高いものとなる。
以下、本発明の一実施形態に係る非水電解質、非水電解質蓄電素子、非水電解質蓄電素子の製造方法、及びその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<非水電解質>
本発明の一実施形態に係る非水電解質は、イミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステルを含む。イミド塩及びテトラフルオロホウ酸塩は、電解質塩として非水電解質に含まれる。当該非水電解質は、通常、イミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステルの他、非水溶媒等をさらに含んでいてよい。当該非水電解質は、蓄電素子用の非水電解質(非水電解液)として用いられる。
(イミド塩)
イミド塩は、第一の電解質塩として当該非水電解質に含有される。イミド塩としては、リチウムイミド塩、ナトリウムイミド塩、カリウムイミド塩、マグネシウムイミド塩、オニウムイオンを有するイミド塩等を挙げることができるが、リチウムイミド塩が好ましい。
上記リチウムイミド塩としては、
LiN(SOF)(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド:LiFSI)、LiN(CFSO(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:LiTFSI)、LiN(CSO(リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド:LiBETI)、LiN(CSO(リチウムビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド)、CF-SO-N-SO-N-SOCFLi、FSO-N-SO-CLi、CF-SO-N-SO-CLi、CF-SO-N-SO-CF-SO-N-SO-CFLi、CF-SO-N-SO-CF-SOLi、CF-SO-N-SO-CF-SO-C(-SOCFLi等のリチウムスルホニルイミド塩;
LiN(POF(リチウムビス(ジフルオロホスホニル)イミド:LiDFPI)等のリチウムホスホニルイミド塩等を挙げることができる。リチウムイミド塩は、1種又は2種以上を用いることができる。
リチウムイミド塩は、フッ素原子を有することが好ましく、具体的には例えばフルオロスルホニル基、ジフルオロホスホニル基、フルオロアルキル基等を有することが好ましい。
また、イミド塩としては、LiFSI等、ビス(フルオロスルホニル)イミド塩が好ましい。ビス(フルオロスルホニル)イミド塩は、例えばLiTFSIなどと比べて、一般的な正極基材等の材料として使用されるアルミニウムの腐食電位が高い。従って、ビス(フルオロスルホニル)イミド塩を用いることで、正極基材等の腐食が抑制され、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率をより高めることができる。
当該非水電解質におけるイミド塩の含有量は、0.2mol/kg以上5.0mol/kg以下が好ましく、0.4mol/kg以上3.0mol/kg以下がより好ましい。イミド塩の含有量の下限は、0.6mol/kgがさらに好ましい場合もある。また、イミド塩の含有量の上限は、2.0mol/kgがさらに好ましく、1.2mol/kgがよりさらに好ましい場合もある。イミド塩の含有量を上記下限以上とすることで、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率をより高めることができる。一方、イミド塩の含有量を上記上限以下とすることで、非水電解質蓄電素子の厚さの増加も抑制される傾向にある。
また、本発明の一実施形態に係る非水電解質においては、イミド塩を例えば1.0mol/kgを大きく上回るような高濃度としなくとも、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率を高める本発明の効果を発揮することができる。このため、当該非水電解質は、粘度が高い、内部抵抗が高いなどといった高濃度のイミド塩を用いた非水電解質又は非水電解質蓄電素子の好ましくない点が改善可能な、イミド塩を高濃度ではない濃度範囲とする設計としても好適に使用することができる。
一方、本発明の一実施形態に係る非水電解質においては、イミド塩を例えば2.0mol/kgを上回る高濃度としても、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率を高める本発明の効果を発揮することができる。このため、当該非水電解質は、イミド塩を含む電解質塩に溶媒和していない非水溶媒の含有量が非常に少ない又は存在しない状態を実現できるため、アルミニウムの腐食電位が低いといった低濃度のイミド塩を用いた非水電解質又は非水電解質蓄電素子の好ましくない点が改善可能な、イミド塩を高濃度な濃度範囲とする設計としても好適に使用することができる。
(テトラフルオロホウ酸塩)
テトラフルオロホウ酸塩は、第二の電解質塩として当該非水電解質に含有される。当該非水電解質においては、定かでは無いが、テトラフルオロホウ酸塩をリン酸エステルと共に含有させることで、ガス発生を抑制可能なリン原子を含む被膜が形成されていると推測される。
テトラフルオロホウ酸塩としては、LiBF(テトラフルオロホウ酸リチウム)、NaBF(テトラフルオロホウ酸ナトリウム)KBF(テトラフルオロホウ酸カリウム)等のテトラフルオロホウ酸のアルカリ金属塩、Mg(BF(テトラフルオロホウ酸マグネシウム)、オニウムイオンを有するテトラフルオロホウ酸塩等が挙げられ、LIBFが好ましい。テトラフルオロホウ酸塩は、1種又は2種以上を用いることができる。
当該非水電解質におけるテトラフルオロホウ酸塩の含有量は、0.05mol/kg以上1.50mol/kg以下が好ましく、0.10mol/kg以上1.00mol/kg以下がより好ましい。テトラフルオロホウ酸塩の含有量の下限は、0.15mol/kg又は0.25mol/kgがさらに好ましい場合もある。テトラフルオロホウ酸塩の含有量の上限は、0.75mol/kg又は0.50mol/kgがさらに好ましい場合もある。テトラフルオロホウ酸塩の含有量を上記下限以上とすることで、非水電解質蓄電素子の厚さの増加をより十分に抑制することができる。一方、テトラフルオロホウ酸塩の含有量を上記上限以下とすることで、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率が高まる傾向にある。
(ヘキサフルオロリン酸塩)
当該非水電解質は、電解質塩の一種であるヘキサフルオロリン酸塩(LiPF等)を実質的に含まないことが好ましい。この場合、当該非水電解質は、特に、正極電位が高電位に至る充放電サイクル後の非水電解質蓄電素子の容量維持率を高めることができる。当該非水電解質におけるヘキサフルオロリン酸塩の含有量は、0.15mol/kg未満が好ましく、0.10mol/kg未満がより好ましく、0.05mol/kg未満がさらに好ましく、0.01mol/kg未満がよりさらに好ましい。さらに言えば、実質的に0mol/kg又は0mol/kgであってもよい。
(他の電解質塩等)
当該非水電解質には、他の電解質塩がさらに含有されていてもよいし、含有されていなくてもよい。このような電解質塩としては、イミド塩及びテトラフルオロホウ酸塩以外のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができる。
当該非水電解質における全電解質塩に占めるイミド塩及びテトラフルオロホウ酸塩の合計含有量としては、80mol%以上が好ましく、90mol%以上がより好ましく、99mol%以上がさらに好ましい。当該非水電解質における電解質塩が、実質的にイミド塩及びテトラフルオロホウ酸塩のみから構成される場合、本発明の効果がより十分に奏される場合がある。また、当該非水電解質における電解質のイミド塩とテトラフルオロホウ酸塩のモル比(イミド塩:テトラフルオロホウ酸塩)としては、特に限定されないが、例えば10:90以上90:10以下が好ましく、20:80以上80:20以下がさらに好ましく、50:50以上75:25以下がさらに好ましい。
当該非水電解質における全電解質塩の含有量としては、0.5mol/kg以上5.0mol/kg以下が好ましく、0.7mol/kg以上2.0mol/kg以下がより好ましく、0.9mol/kg以上1.2mol/kg以下がさらに好ましい。
(リン酸エステル)
当該非水電解質は、リン酸エステルを含有する。リン酸エステルを含む非水電解質を用いると、電極表面にリン酸エステルに由来する、リンを含む被膜が形成されると推測される。この被膜が、ガス発生を抑制し、非水電解質蓄電素子の厚さの増加を抑えることができると推測される。
リン酸エステルは、O=P(OR)(OR)(OR)(R、R及びRは、それぞれ独立して、炭化水素基又はフッ素化炭化水素基である。)で表される化合物であることが好ましい。
、R及びRで表される炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等のアルキル基、エテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)等のアルケニル基、エチニル基、プロピニル基等のアルキニル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等を挙げることができる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基等を挙げることができる。
、R及びRで表されるフッ素化炭化水素基としては、上記した炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基を挙げることができる。
、R及びRとしては、脂肪族炭化水素基及びフッ素化脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、フルオロアルキル基及びフルオロアルケニル基がより好ましい。
、R及びRの炭素数としては、例えば1以上12以下であってよいが、1以上6以下が好ましく、2以上4以下がより好ましい。
、R及びRがフッ素化炭化水素基である場合、R、R及びRが有するフッ素数としては、1以上12以下が好ましく、2以上8以下がより好ましい。
リン酸エステルとしては、例えばO=P(OCH、O=P(OCHCH、O=P(OCHCFH、O=P(OCHCFH)、O=P(OCHCF、O=P(OCH(OCHCF)、O=P(OCH)(OCHCF、O=P(OCHCH(OCHCF)、O=P(OCHCH)(OCHCF、O=P(OCHCHCH、O=P(OCHCFCFH)、O=P(OCHCFCF、O=P(OCHCH=CH、O=P(OCH(CH、O=P(OCH(CF、O=P(OC(CH等を挙げることができる。
当該非水電解質における電解質塩以外の全成分に対するリン酸エステルの含有量は、1体積%以上60体積%以下が好ましく、3体積%以上50体積以下がより好ましく、5体積%以上40体積%以下がさらに好ましい。リン酸エステルの含有量の下限は、10体積%、15体積%又は20体積%がよりさらに好ましい場合もある。リン酸エステルの含有量の上限は、30体積%、25体積%又は20体積%がよりさらに好ましい場合もある。また、当該非水電解質におけるリン酸エステル及び非水溶媒の合計に対するリン酸エステルの含有量も上記数値範囲内が好適である。リン酸エステルの含有量を上記下限以上とすることで、十分な被膜が形成され、非水電解質蓄電素子の厚さの増加をより十分に抑制することができる。一方、リン酸エステルの含有量を上記上限以下とすることで、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率等が高まる傾向にある。
(非水溶媒)
非水溶媒としては、一般的な非水電解質蓄電素子用の非水電解質の非水溶媒として通常用いられる公知の非水溶媒を用いることができる。上記非水溶媒としては、カーボネート(環状カーボネート及び鎖状カーボネート)、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、カーボネートが好ましい。なお、カーボネートは、置換基を有さないカーボネートであってもよく、置換基を有するカーボネートであってもよい。この置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等を挙げることができる。非水溶媒は、1種又は2種以上を用いることができる。
非水溶媒として、鎖状カーボネートを含んでいてよい。当該非水電解質においては、一般的にガス発生の要因になりやすいとされる鎖状カーボネートを含む場合であっても、ガス発生が抑制され、非水電解質蓄電素子の厚さの増加を抑えることができる。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネート(MFEC)、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート(FDEC)等を挙げることができる。
鎖状カーボネートとしては、正極電位が高電位に至る充放電における副反応を抑制できることなどから、MFEC、FDEC等、フッ素化鎖状カーボネートが好ましい。
当該非水電解質における電解質塩以外の全成分に対する鎖状カーボネートの含有量は、20体積%以上80体積%以下が好ましく、30体積%以上70体積以下がより好ましい。当該非水電解質におけるリン酸エステル及び非水溶媒の合計に対する鎖状カーボネートの含有量も上記数値範囲内が好適である。また、非水溶媒に占める鎖状カーボネートの含有量としては、20体積%以上90体積%以下が好ましく、50体積%以上90体積%以下がより好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネートを含んでいてよい。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、フルオロメチルエチレンカーボネート、トリフルオロエチルエチレンカーボネート、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等を挙げることができる。
環状カーボネートとしては、正極電位が高電位に至る充放電における副反応を抑制できることなどから、FEC、DFEC等、フッ素化環状カーボネートが好ましい。一方、当該非水電解質においては、一般的にガス発生の要因になりやすいとされるフッ素化環状カーボネートを含む場合であっても、ガス発生が抑制され、非水電解質蓄電素子の厚さの増加を抑えることができる。
当該非水電解質における電解質塩以外の全成分に対する環状カーボネートの含有量は、5体積%以上50体積%以下が好ましく、10体積%以上40体積以下がより好ましい。当該非水電解質におけるリン酸エステル及び非水溶媒の合計に対する環状カーボネートの含有量も上記数値範囲内が好適である。また、非水溶媒に占める環状カーボネートの含有量としては、10体積%以上60体積%以下が好ましく、15体積%以上45体積%以下がより好ましい。
非水溶媒は、鎖状カーボネートと環状カーボネートとを含むことが好ましい。鎖状カーボネートと環状カーボネートとを併用する場合、鎖状カーボネートと環状カーボネートとの体積比(鎖状カーボネート:環状カーボネート)としては、特に限定されないが、例えば50:50以上90:10以下とすることが好ましい。
非水溶媒におけるカーボネートの含有量(鎖状カーボネートと環状カーボネートの含有量の合計)としては、50体積%以上が好ましい場合があり、90体積%以上がより好ましい場合があり、99体積%以上又は実質的に100体積%がさらに好ましい場合もある。このように、カーボネートが主の非水溶媒となることで、本発明の効果がより十分に奏される場合がある。
非水溶媒におけるフッ素化溶媒の合計含有量の下限は、50体積%が好ましく、90体積%がより好ましく、99体積%がさらに好ましい。なお、フッ素化溶媒とは、フッ素化カーボネート(フッ素化鎖状カーボネート及びフッ素化環状カーボネート)等、分子内にフッ素原子を有する溶媒(非水溶媒)をいう。このようにフッ素化溶媒の合計含有量を上記下限以上とすることで、特に正極電位が高電位に至る充放電サイクル後の容量維持率をより高めることができる。
非水電解質には、その他の添加剤が添加されていてもよい。但し、非水電解質における電解質塩、リン酸エステル及び非水溶媒以外の成分の含有量の上限としては、20質量%が好ましい場合があり、5質量%がより好ましい場合があり、2質量%がさらに好ましい場合があり、1質量%又は0.1質量%がさらにより好ましい場合がある。
<非水電解質蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を有する。非水電解質蓄電素子は、さらにセパレータを有していてもよい。以下、非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された電極体を形成する。すなわち、通常電極体は、正極、負極及びセパレータから構成されている。この電極体は容器に収納され、この容器内に非水電解質が充填される。非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、容器としては、二次電池の容器として通常用いられる公知の金属容器、樹脂容器等を用いることができる。
(正極)
上記正極は、正極基材、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層を有する。
上記正極基材は、導電性を有する。なお、「導電性」を有するとは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が10Ω・cm超であることを意味する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、上記正極基材がアルミニウム又はアルミニウム合金である場合、正極合剤へのリンのオキソ酸の添加により、正極基材のアルミニウムの酸化腐食による容量維持率の低下を抑制することができる。正極基材の形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。「平均厚さ」とは、所定の面積の基材を打ち抜いた際の打ち抜き質量を、基材の真密度及び打ち抜き面積で除した値をいう。他の部材等に対して「平均厚さ」を用いる場合にも同様に定義される。
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダ及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。
上記正極活物質層は、正極合剤から形成されている層である。この正極合剤は、正極活物質を含む。正極合剤は、リン原子を含むことが好ましく、さらにその他必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー、分散剤等の任意成分を含む。正極合剤がリン原子を含む場合、正極合剤(正極活物質層)表面のX線光電子分光スペクトルにおいて、P2pに帰属されるピークの極大値は134eV以下の位置に存在することが好ましい。正極活物質層は、通常、正極活物質等を含む正極合剤ペーストの塗工及び乾燥により正極基材表面に形成される。上記正極合剤ペーストは、リンのオキソ酸を含むことが好ましい。なお、当該二次電池中において、リンのオキソ酸の一部又は全部は変性していてもよい。また、上記リン原子は、正極活物質層表面に形成される被膜中に存在すると推測される。リンのオキソ酸に由来するリン原子が、正極活物質層表面に形成される被膜中に存在することによって、正極合剤(正極活物質層)表面のX線光電子分光スペクトルにおいて、P2pに帰属されるピークの極大値が134eV以下の位置に存在することとなると推測される。
正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物や、ポリアニオン化合物が挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、例えばLiMO(Mは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表される複合酸化物(層状のα-NaFeO型結晶構造を有するLiCoO、LiNiO、LiMnO、LiNiαCo1-α、LiNiαCoβAl1-α-β、LiNiαMnβCo1-α-β、Li1+x(NiαMnβCo1-α-β1-x等、スピネル型結晶構造を有するLiMn、LiNiαMn2-α等)が挙げられる。また、ポリアニオン化合物としては、LiMe(XO(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、V等を表す)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等)が挙げられる。これらの化合物中の元素又はポリアニオンは、他の元素又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極活物質層においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質は、二次電池の通常使用時の充電終止電圧における正極電位が4.0V vs.Li/Li以上、さらには4.2V vs.Li/Li以上又は4.4V vs.Li/Li以上となり得る正極活物質を含むことが好ましい。当該二次電池は、正極の最大到達電位が4.0V vs.Li/Li以上となる使用においても、充放電サイクル後の容量維持率が高く、厚さの増加も抑制でき得る。従って、二次電池の通常使用時の充電終止電圧における正極電位が4.0V vs.Li/Li以上となり得る正極活物質を用いることで、エネルギー密度が高まり、かつ充放電サイクル後の容量維持率が高く厚さの増加が抑制される二次電池とすることができる。
通常使用時の充電終止電圧における正極電位が4.0V vs.Li/Li以上となり得る正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられ、α-NaFeO型結晶構造を有し、ニッケル、マンガン及びコバルトのうちの少なくとも1種を含むリチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。具体的には、式Li1+x(NiαMnβCo1-α-β1-x(0≦x<1、0≦α≦1、0≦β≦1、0≦1-α-β≦1)であらわされる化合物等が挙げられる。上記式中のxは、0超0.5以下であることが好ましい。
ここで、通常使用時とは、当該二次電池において推奨され、又は指定される充放電条件を採用して当該二次電池を使用する場合をいう。充電条件に関しては、当該二次電池のための充電器が用意されている場合は、その充電器を適用して当該二次電池を使用する場合を通常使用時という。
全正極活物質に占めるリチウム遷移金属複合酸化物の含有割合の下限としては、50質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、99質量%がさらに好ましい。正極活物質は、実質的にリチウム遷移金属複合酸化物のみから構成されていてもよい。このようにリチウム遷移金属複合酸化物の含有割合を高めることで、エネルギー密度を高めることなどができる。
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。「平均粒径 」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層における正極活物質の含有量としては、例えば80質量%以上98質量%以下とすることができ、90質量%以上であることが好ましい。
正極合剤(正極活物質層)表面のX線光電子分光スペクトルにおいて、P2pに帰属されるピークの極大値の位置の上限は、134.0eVであることが好ましく、133.5eVであることがより好ましい。一方、このピークの極大値の位置の下限は、130eVであってよく、132eVであってもよい。
導電剤としては、二次電池性能に悪影響を与えない導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、天然又は人造の黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、金属、導電性セラミックス等が挙げられ、アセチレンブラックが好ましい。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。
バインダとしては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。
フィラーとしては、蓄電素子性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス等が挙げられる。
正極活物質層(正極合剤)は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
(負極)
負極は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層を有する。上記中間層は正極の中間層と同様の構成とすることができる。
負極基材は、正極基材と同様の構成とすることができるが、材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。つまり、負極基材としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含む負極合剤から形成される。また、負極活物質層を形成する負極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー、分散剤等の任意成分を含む。導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー、分散剤等の任意成分は、正極活物質層と同様のものを用いることができる。
負極活物質層(負極合剤)は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、「放電状態」とは、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態をいう。開回路状態での金属Li対極の電位は、Liの酸化還元電位とほぼ等しいため、上記単極電池における開回路電圧は、Liの酸化還元電位に対する炭素材料を含む負極の電位とほぼ同等である。つまり、上記単極電池における開回路電圧が0.7V以上であることは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されていることを意味する。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1μnm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が例えば炭素材料である場合、その平均粒径は1μm以上100μm以下が好ましい場合がある。負極活物質が、金属、半金属、金属酸化物、半金属酸化物、チタン含有酸化物、ポリリン酸化合物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下が好ましい場合がある。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び粉級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
(セパレータ)
セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
なお、セパレータと電極(通常、正極)との間に、無機絶縁物層が配設されていてもよい。この無機絶縁物層は、耐熱層等とも呼ばれる多孔質の層である。また、多孔質樹脂フィルムの一方又は両方の面に無機絶縁物層が形成されたセパレータを用いることもできる。上記無機絶縁物層は、通常、無機絶縁物粒子及びバインダとで構成され、その他の成分が含有されていてもよい。無機絶縁物粒子としては、Al、SiO、アルミノシリケート等が好ましい。
(非水電解質)
当該二次電池に用いられる非水電解質は、上述した本発明の一実施形態に係る非水電解質である。
(正極の最大到達電位等)
当該二次電池は、正極の最大到達電位が4.0V vs.Li/Li以上となる充放電サイクル後でも容量維持率が高く、厚さの増加も抑制されるため、正極を4.0V vs.Li/Li以上の作動電位で用いることができる。当該二次電池の正極の最大到達電位の下限は、4.0V vs.Li/Liが好ましく、4.2V vs.Li/Liがより好ましく、4.4V vs.Li/Liがさらに好ましく、4.6V vs.Li/Liがよりさらに好ましい。このように正極の最大到達電位が高いことにより、高エネルギー密度化を図ることができる。なお、この正極の最大到達電位の上限は、例えば5.4V vs.Li/Liであってよく、5.0V vs.Li/Liであってもよい。
正極の最大到達電位は、通常使用時における二次電池の充電終止電圧における正極電位であることが好ましい。一般的に、充放電の繰り返しによって頻繁に正極電位が高電位に至る場合、容量の低下や厚さの増加が生じやすい。そのため、充放電の繰り返しによって頻繁に正極の最大到達電位が例えば4.0V vs.Li/Li以上となる場合に、当該二次電池の充放電サイクル後の容量維持率の向上効果や厚さの増加の抑制効果がより顕著に発現される。
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
当該非水電解質蓄電素子は、以下の方法により製造することが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、イミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステルを含む非水電解質を調製すること(非水電解質調製工程)を備える。
当該製造方法は、正極合剤ペーストを用いて正極を作製すること(正極作製工程)をさらに備えることが好ましい。このとき、正極合剤ペーストは、リンのオキソ酸を含むことが好ましい。
(非水電解質調製工程)
本工程においては、イミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステル、並びに必要に応じて他の成分を混合することにより、非水電解質を調製することができる。このとき、ヘキサフルオロリン酸塩は、実質的に混合されないことが好ましい。
(正極作製工程)
正極合剤ペーストは、好ましい成分であるリンのオキソ酸以外に、通常、正極活物質及びバインダを含み、必要に応じてさらにその他の成分を含む。正極合剤ペーストは、これらの成分を混合することにより得ることができる。この正極合剤ペーストを正極基材表面に塗布し、乾燥させることにより、正極合剤のX線光電子分光スペクトルにおいて、P2pに帰属されるピークの極大値が134eV以下の位置に存在する正極が得られる。
リンのオキソ酸とは、リン原子にヒドロキシ基(-OH)とオキシ基(=O)とが結合した構造を有する化合物を指す。上記リンのオキソ酸としては、リン酸(HPO)、ホスホン酸(HPO)、ホスフィン酸(HPO)、ピロリン酸(H)、ポリリン酸等が挙げられる。これらの中でも、リン酸及びホスホン酸が好ましく、ホスホン酸がより好ましい。このリンのオキソ酸により、正極にリン原子を含む被膜が形成される。
正極合剤ペーストにおけるリンのオキソ酸の含有量(添加量)としては、正極活物質100質量部に対して、0.05質量部以上5質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3質量部以下がより好ましく、0.3質量部以上2質量部以下がさらに好ましい。リンのオキソ酸の含有量を上記範囲とすることで、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の容量維持率をより高めることができる。
正極合剤ペーストには、通常、分散媒として、有機溶媒が用いられる。この有機溶媒としては、例えばN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、アセトン、エタノール等の極性溶媒や、キシレン、トルエン、シクロヘキサン等の無極性溶媒を挙げることができる。
正極合剤ペーストの塗布方法としては特に限定されず、ローラーコーティング、スクリーンコーティング、スピンコーティング等の公知の方法により行うことができる。
当該製造方法は、非水電解質調製工程及び正極作製工程の他、通常の非水電解質蓄電素子の製造方法に備わる他の工程を備えていてよい。当該製造方法は、例えば、負極を作製すること、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成すること、正極及び負極(電極体)を容器に収容すること、並びに非水電解質を容器に注入すること等を備えることができる。通常、電極体を容器に収容した後、非水電解質を容器に注入するが、この順番は逆であってもよい。これらの工程の後、注入口を封止することにより非水電解質蓄電素子を得ることができる。
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、上記正極又は負極において、中間層を設けなくてもよい。また、当該非水電解質蓄電素子の正極において、正極合剤は明確な層を形成していなくてもよい。例えば上記正極は、メッシュ状の正極基材に正極合剤が担持された構造等であってもよい。
また、上記実施の形態においては、非水電解質蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の非水電解質蓄電素子であってもよい。その他の非水電解質蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。
図1に、本発明に係る非水電解質蓄電素子の一実施形態である矩形状の非水電解質蓄電素子1の概略図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図1に示す非水電解質蓄電素子1は、電極体2が容器3に収納されている。電極体2は、正極合剤を備える正極と、負極合剤を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。また、容器3には、非水電解質が注入されている。
本発明に係る非水電解質蓄電素子の構成については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。本発明は、上記の非水電解質蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図2に示す。図2において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質蓄電素子1を備えている。上記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(リチウム過剰型正極活物質の作製)
硫酸ニッケル6水和物17.7g及び硫酸マンガン5水和物32.5gを秤量し、これらの全量をイオン交換水200mLに溶解させ、Ni:Mnのモル比が33.3:66.7となる1.0mol/Lの硫酸塩水溶液を作製した。一方、2Lの反応槽に750mLのイオン交換水を注ぎ、COガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中にCOを溶解させた。反応槽の温度を50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を700rpmの回転速度で攪拌しながら、前記硫酸塩水溶液を2mL/minの速度で滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、1.0Mの炭酸ナトリウムを含有する水溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に7.9(±0.05)を保つように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに5h継続した。攪拌の停止後、12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した共沈炭酸塩の粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて20h乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、共沈炭酸塩前駆体を作製した。
前記共沈炭酸塩前駆体2.8gに、炭酸リチウム1.2gを加え、瑪瑙製乳鉢を用いてよく混合し、Li:(Ni,Mn)のモル比が1.35:1となる混合粉体を調製した。ペレット成型機を用いて、40MPaの圧力で成型し、直径25mmのペレットとした。ペレット成型に供した混合粉体の量は、想定する最終生成物の質量が2.5gとなるように換算して決定した。前記ペレット1個を全長約50mmのアルミナ製るつぼのフタに載置し、箱型電気炉(型番:AMF20)に設置し、空気雰囲気中、常圧下、常温から890℃の温度まで10hかけて昇温し、昇温後温度で9h焼成した。前記箱型電気炉の内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っている。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製るつぼのフタを炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5h後には約200℃程度にまで低下したが、その後の降温速度はやや緩やかであった。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、リチウム過剰型正極活物質Li1.35Ni0.315Mn0.685を作製した。
(リチウム過剰型正極活物質へのアルミニウム処理)
300mLの三角フラスコに硫酸アルミニウム水和物と、イオン交換水とを混合し、硫酸アルミニウムが0.5mol/Lとなる硫酸アルミニウム水溶液を調整した。上記の硫酸アルミニウム水溶液をスターラーを用いて、25℃、400rpmで撹拌しているところに、上記のリチウム過剰型正極活物質5.0gを投入した。リチウム過剰型正極活物質を投入してから、30s後に吸引ろ過することによって、ろ紙上にリチウム過剰型正極活物質を回収した。
このリチウム過剰型正極活物質を乾燥機を用いて、空気中、常圧、80℃で20h乾燥させることによって、アルミニウム処理したリチウム過剰型正極活物質を得た。
(アルミニウム処理したリチウム過剰型正極活物質への熱処理)
上記のアルミニウム処理したリチウム過剰型正極活物質をアルミナ製るつぼのフタに載置し、箱型電気炉(型番:AMF20)に設置し、空気中、昇温速度が5℃/min、熱処理温度が400℃、保持時間が4hの条件で熱処理することによって、アルミニウムが被覆されたリチウム過剰型正極活物質を得た。
(正極の作製)
上記のアルミニウムが被覆されたリチウム過剰型正極活物質:アセチレンブラック(AB):ポリフッ化ビニリデン(PVDF):ホスホン酸(HPO)=93.5:4.5:1.5:0.5の割合(固形物換算)で含み、N-メチルピロリドン(NMP)を分散媒とする正極合剤ペーストを作製した。この正極ペーストを正極基材であるアルミニウム箔の片面に塗布した。その後100℃で1h乾燥し、正極合剤ペースト中のNMPを除去することで、正極活物質層を形成した。また、アルミニウム箔の反対側の面にも同様に正極合剤ペーストを塗布し、乾燥した。この反対側の面に形成した正極活物質層は、乾燥後剥離した。このようにして正極を得た。
(負極の作製)
負極活物質としてグラファイトを用いた負極を作製した。
[実施例1]
(非水電解質の調製)
フルオロエチレンカーボネート(FEC)とメチルトリフルオロエチルカーボネート(MFEC)とリン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)(TFEP:O=P(OCHCF)とを体積比30:65:5の割合で混合した。さらに、電解質塩としてリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を0.75mol/kgの濃度で、及びテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)を0.25mol/kgの濃度で溶解させ、実施例1の非水電解質を調製した。
(非水電解質蓄電素子の作製)
ポリオレフィン製微多孔膜であるセパレータを介して、上記正極と上記負極とを積層することにより電極体を作製した。この電極体を金属樹脂複合フィルム製の容器に収納し、内部に実施例1の非水電解質を注入した後、熱溶着により封口し、実施例1の非水電解質蓄電素子(ラミネート型の非水電解質二次電池)を得た。
[実施例2から9、比較例1から8]
非水電解質の組成を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2から9及び比較例1から8の各非水電解質及び各非水電解質蓄電素子を得た。
なお、表中の非水溶媒及びリン酸エステル等は、以下の化合物を示す。
FEC:フルオロエチレンカーボネート
MFEC:メチルトリフルオロエチルカーボネート
TFEP:リン酸トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)(O=P(OCHCF
TEP:リン酸トリエチル(O=P(OCHCH
TAP:リン酸トリアリル(O=P(OCHCH=CH
HFiP:リン酸トリス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロピル)(O=P(OCH(CF
BTP:亜リン酸ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)(O=PH(OCHCF
[評価]
(初期充放電)
得られた各非水電解質蓄電素子について、以下の条件にて初期充放電を行った。25℃で4.6Vまで充電電流0.1Cの定電流にて充電したのちに、4.6Vの定電圧にて充電した。充電の終了条件は、充電電流が0.05Cとなるまでとした。充電後に10分間の休止を設けた後に、25℃で2.0Vまで0.1Cの定電流にて放電した。
(X線光電子分光測定)
初期充放電後の完全放電状態の実施例1及び比較例8の非水電解質蓄電素子を露点-60℃以下のアルゴン雰囲気中にて解体して正極を取り出し、ジメチルカーボネートを用いて正極を洗浄したのち、室温にて減圧乾燥した。得られた正極をアルゴン雰囲気中にてトランスファーベッセルに封入し、X線光電子分光スペクトルの測定装置の試料室に導入し、上記した条件にて正極の正極合剤(正極活物質層)表面のX線光電子分光測定を行った。得られたスペクトルから、上記した方法により、P2pに帰属されるピークの極大値の位置を求めた。実施例1及び比較例8の正極合剤において、P2pに帰属されるピークの極大値は133eVから134eVの間に存在した。また、リン酸エステルを含む実施例1の正極合剤においては、134.5eV付近にもリン酸エステルに由来するP2pに帰属されるピークの極大値が確認できた。一方、電解質塩としてLiPFを用いた比較例8の正極合剤においては、136eV付近にもLiPFに由来するP2pに帰属されるピークの極大値が確認できた。
(充放電サイクル試験)
初期充放電後の各非水電解質蓄電素子を、45℃の恒温槽内に2時間保管した後、4.6Vまで充電電流0.25Cの定電流にて充電したのちに、4.6Vの定電圧にて充電した。充電の終了条件は、充電電流が0.05Cとなるまでとした。充電終止時の正極電位(=正極の最大到達電位)は、4.7V vs.Li/Liであった。充電後に10分間の休止を設けた後に、2.0Vまで0.25Cの定電流にて放電した。放電後に10分間の休止を設けた。これら充電、放電及び休止の工程を1サイクルとして、このサイクルを25サイクル繰り返した。充電、放電及び休止ともに、45℃の恒温槽内で行った。
(容量維持率)
各非水電解質蓄電素子について、上記充放電サイクル試験の1サイクル目の放電容量に対する25サイクル目の放電容量を容量維持率(%)として表1に示す。容量維持率が93.0%以上を「A」、93.0%未満を「B」と評価した。
(厚さ増加量)
上記充放電サイクル試験前後で、各非水電解質蓄電素子におけるガス溜り部(電極体が存在していない容器の熱溶着部分を除いた端の部分)の厚さをノギスにて測定した。充放電サイクル試験前のガス溜り部の厚さに対する充放電サイクル試験後のガス溜り部の厚さの増加量(mm)を表1に示す。厚さ増加量が1.50mm未満を「A」、1.50mm以上を「B」と評価した。
Figure 0007552013000001
表1に示されるように、イミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステルを含む非水電解質を用いた実施例1から9の各非水電解質蓄電素子は、容量維持率が高く、厚さ増加量も小さい。
これに対し、電解質塩としてヘキサフルオロリン酸塩であるLiPFを含み、イミド塩及びテトラフルオロホウ酸塩を含まない非水電解質を用いた比較例1の非水電解質蓄電素子は、容量維持率が低い。電解質塩としてイミド塩を含む非水電解質を用いた比較例2から6の各非水電解質蓄電素子は、比較例1よりも容量維持率は高まっている。しかし、非水電解質がテトラフルオロホウ酸塩及びリン酸エステルを含まない比較例2、及び非水電解質がリン酸エステルを含むが、テトラフルオロホウ酸塩を含まない比較例3から6は、いずれも厚さ増加量が大きい。比較例2から6の各非水電解質蓄電素子においては、電解質塩としてイミド塩を用いることでガスの発生が生じやすくなっているにもかかわらず、リン酸エステル又はテトラフルオロホウ酸塩を含まないため、このようなガスの発生を抑制可能な被膜が形成されていないと考えられる。さらに、リン酸エステルに代えて亜リン酸エステルであるBTPを用いた比較例7の非水電解質蓄電素子は、容量維持率も低く、厚さ増加量も大きい。また、リン酸エステルに代えて同様にリン原子を含むLiPFを用いた比較例8の各非水電解質蓄電素子は、LiPFを用いていることで容量維持率も低く、厚さ増加量も大きい。なお、比較例8は、実施例1のリン酸エステルのリン原子とほぼ等モル量のリン原子を含む量のLiPFを用いたものである。これらの結果から、非水電解質においてリン酸エステルとテトラフルオロホウ酸塩との双方が存在することで、はじめてイミド塩を用いることで生じやすくなるガスの発生が抑制され、これによって非水電解質蓄電素子の厚さ増加の抑制効果が発揮されることがわかる。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等の電源として使用される非水電解質蓄電素子等に適用できる。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (7)

  1. リチウムイミド塩、ナトリウムイミド塩、カリウムイミド塩及びマグネシウムイミド塩よりなる群から選択される1種以上のイミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステルを含み、ヘキサフルオロリン酸塩を実質的に含まない、蓄電素子用の非水電解液。
  2. 鎖状カーボネートをさらに含む、請求項1に記載の非水電解液。
  3. フッ素化環状カーボネートをさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の非水電解液。
  4. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の非水電解液を備える、非水電解液蓄電素子。
  5. リン原子を含む正極合剤を有する正極をさらに備え、
    上記正極合剤表面のX線光電子分光スペクトルにおいて、P2pに帰属されるピークの極大値が134eV以下の位置に存在する、請求項に記載の非水電解液蓄電素子。
  6. リチウムイミド塩、ナトリウムイミド塩、カリウムイミド塩及びマグネシウムイミド塩よりなる群から選択される1種以上のイミド塩、テトラフルオロホウ酸塩、及びリン酸エステルを含み、ヘキサフルオロリン酸塩を実質的に含まない非水電解液を調製することを備える、非水電解液蓄電素子の製造方法。
  7. リンのオキソ酸を含む正極合剤ペーストを用いて正極を作製することをさらに備える、請求項に記載の非水電解液蓄電素子の製造方法。
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