JP7559686B2 - 歯車加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、歯車加工装置に関する。
特許文献1には、歯車加工装置において、歯切り工具により工作物に歯車の歯を加工する前に、工作物に予め形成された歯の位相と歯切り工具の刃の位相とを演算することが記載されている。特許文献2には、歯車加工装置において、センサにより歯切り工具の軸部に設けられた凹部の位相を検出し、凹部の位相に基づいて工具の位相割り出しを行うことが記載されている。
特開2019-115948号公報 特開2020-59088号公報
ところで、歯車加工装置の構造体に熱変位が生じた場合に、歯切り工具と工作物との位置が基準からずれてしまい、工作物に歯車の歯を高精度に加工することができなくなる。従って、歯切り工具と工作物との熱変位後の相対的な位置を把握することが重要である。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、歯車加工装置の構造体に熱変位が生じた場合であっても、高精度に歯車加工を行うことができる歯車加工装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
周方向に複数の工具刃を有する刃部、および、前記刃部に一体に設けられ円筒外周面を有する軸部を備える歯切り工具と、
前記歯切り工具を回転可能に保持する工具主軸装置と、
前記歯切り工具により加工される工作物を回転可能に保持する工作物主軸装置と、
前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを相対的に移動する移動装置と、
前記工作物主軸装置に設けられ、前記歯切り工具との距離を検出可能なセンサと、
前記工作物に歯車の歯を加工するために、前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを同期して回転制御しながら前記移動装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記歯切り工具は、前記軸部の前記円筒外周面の径が異なる複数の種類を適用され、
前記制御装置は、
前記センサの検出結果に基づいて、前記工作物主軸装置に対する前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の位置座標を演算する工具座標演算部と、
前記工具座標演算部により演算された前記位置座標に基づいて、前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを同期して回転制御しながら前記工作物を加工するために前記移動装置を制御する加工制御部と、
を備え、
前記工具座標演算部は、
前記センサを前記歯切り工具の前記軸部の前記円筒外周面に対向させた状態において、前記歯切り工具の中心軸に直交する方向であり、かつ、前記センサの距離検出方向に直交する方向に、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させる移動処理を実行し、
前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させているときに前記センサにより検出される前記歯切り工具の前記円筒外周面までの離間距離に基づいて、前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の前記位置座標を演算する演算処理を実行し、
前記移動処理は、
前記工具主軸装置に装着されている前記歯切り工具の前記円筒外周面の径が大きいほど、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に低速で移動させ、
前記工具主軸装置に装着されている前記歯切り工具の前記円筒外周面の径が小さいほど、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に高速で移動させる、歯車加工装置にある。
本発明の他の態様は、
周方向に複数の工具刃を有する刃部、および、前記刃部に一体に設けられ円筒外周面を有する軸部を備える歯切り工具と、
前記歯切り工具を回転可能に保持する工具主軸装置と、
前記歯切り工具により加工される工作物を回転可能に保持する工作物主軸装置と、
前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを相対的に移動する移動装置と、
前記工作物主軸装置に設けられ、前記歯切り工具との距離を検出可能なセンサと、
前記工作物に歯車の歯を加工するために、前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを同期して回転制御しながら前記移動装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記歯切り工具は、前記軸部の前記円筒外周面の径が異なる複数の種類を適用され、
前記制御装置は、
前記センサの検出結果に基づいて、前記工作物主軸装置に対する前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の位置座標を演算する工具座標演算部と、
前記工具座標演算部により演算された前記位置座標に基づいて、前記工作物を加工するために前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを同期して回転制御しながら前記移動装置を制御する加工制御部と、
を備え、
前記工具座標演算部は、
前記センサを前記歯切り工具の前記軸部の前記円筒外周面に対向させた状態において、前記歯切り工具の中心軸に直交する方向であり、かつ、前記センサの距離検出方向に直交する方向に、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させる移動処理を実行し、
前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させているときに前記センサにより検出される前記歯切り工具の前記円筒外周面までの離間距離に基づいて、前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の前記位置座標を演算する演算処理を実行し、
前記工具座標演算部は、
前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させる際に、前記工具主軸装置に装着されている前記歯切り工具の前記円筒外周面の径が大きいほど、前記センサのアンプ回路の感度を高くし、
前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させる際に、前記工具主軸装置に装着されている前記歯切り工具の前記円筒外周面の径が小さいほど、前記センサの前記アンプ回路の感度を低くする、歯車加工装置にある。
本発明の一態様である歯車加工装置によれば、センサは、歯切り工具の軸部との距離を検出している。そして、センサは、工作物主軸装置に設けられている。従って、センサは、工作物主軸装置に対する歯切り工具の軸部の相対的な位置を検出していることになる。
ここで、歯車加工装置の構造体に熱変位が生じた場合において、工作物に歯車の歯を高精度に加工するためには、工作物と歯切り工具との相対的な熱変位後の位置を把握することが重要である。上記のように、センサは、歯切り工具を直接検出しており、かつ、工作物主軸装置に設けられている。従って、センサは、工作物と歯切り工具との相対的な熱変位後の位置を直接検出していることに相当する。つまり、センサの検出結果を用いることにより、熱変位が生じた場合であっても、工作物と歯切り工具との相対的な熱変位後の位置を把握することにより、高精度に工作物に歯車の歯を加工することができる。
さらに、センサは、歯切り工具の軸部における円筒外周面との離間距離を検出しており、制御装置の工具座標演算部が、センサの検出結果に基づいて、工作物主軸装置に対する歯切り工具の中心軸の熱変位後の位置座標を演算している。ここで、センサによる歯切り工具の軸部の円筒外周面との離間距離の検出は、センサと歯切り工具とを相対的に移動させながら行う。そして、相対的な移動方向は、センサを歯切り工具の軸部の円筒外周面に対向させた状態において、歯切り工具の中心軸に直交する方向であり、かつ、センサの距離検出方向に直交する方向である。
従って、センサによる検出値は、歯切り工具の軸部の円筒外周面における径方向断面の円弧状となる。そして、センサによる検出値が最も小さくなるときが、センサは、センサの検出部と歯切り工具の中心軸とを通る円筒外周面上の位置を検出している状態となる。このようにして検出されるセンサの検出結果を用いることで、歯切り工具の中心軸の熱変位後の位置座標を得ることができる。
センサの検出値は、上述したように、歯切り工具の軸部の円筒外周面における径方向断面の円弧状に変化する。つまり、歯切り工具の軸部の円筒外周面の径によって、センサの検出値の変化率(相対移動方向の位置における検出値の微分値)が異なる。円筒外周面の径が大きいほど、検出値の変化率が小さくなり、円筒外周面の径が小さいほど、検出値の変化率が大きくなる。
そこで、制御装置の工具座標演算部の移動処理は、工具主軸装置に装着されている歯切り工具の円筒外周面の径が大きいほど、センサと歯切り工具とを相対的に低速で移動させる。一方、移動処理は、工具主軸装置に装着されている歯切り工具の円筒外周面の径が小さいほど、センサと歯切り工具とを相対的に高速で移動させている。
換言すると、以下のようになる。移動処理は、円筒外周面の径が第一径の歯切り工具が工具主軸装置に装着されている場合には、センサと歯切り工具との相対速度を第一速度とする。一方、移動処理は、円筒外周面の径が第一径よりも小さな第二径の歯切り工具が工具主軸装置に装着されている場合には、センサと歯切り工具との相対速度を第一速度より高速の第二速度とする。
つまり、円筒外周面の径が大きい場合には、センサの検出部と円筒外周面との距離の変化が小さくなるとしても、低速で移動させているため、センサによる検出値が最も小さくなるときを高精度に取得することができる。一方、円筒外周面の径が小さい場合には、センサの検出部と円筒外周面との距離の変化が大きいため、高速で移動させたとしても、センサによる検出値が最も小さくなるときを高精度に取得することができる。
このように、円筒外周面の径に応じて移動速度を変化させることで、高精度に、歯切り工具の中心軸の熱変位後の位置座標を得ることができる。その結果、高精度に工作物に歯車の歯を加工することができる。
仮に、円筒外周面の径に関わらず移動速度を低速にする場合には、高精度に、歯切り工具の中心軸の熱変位後の位置座標を得ることができる。しかし、常に移動速度を低速にすると、処理時間が長くなってしまう。そこで、常に低速にするのではなく、上記のように、円筒外周面の径が小さい場合には、移動速度を高速にしている。これにより、位置座標を得るために要する時間の短縮を図ることができる。
本発明の他の態様における歯車加工装置によれば、制御装置の工具座標演算部が、センサと歯切り工具とを相対的に移動させる際に、工具主軸装置に装着されている歯切り工具の円筒外周面の径が大きいほど、センサのアンプ回路の感度を高くする。一方、工具主軸装置に装着されている歯切り工具の円筒外周面の径が小さいほど、センサのアンプ回路の感度を低くしている。
換言すると、以下のようになる。工具座標演算部は、円筒外周面の径が第一径の歯切り工具が工具主軸装置に装着されている場合には、センサのアンプ回路の感度を第一感度とする。一方、工具座標演算部は、円筒外周面の径が第一径よりも小さな第二径の歯切り工具が工具主軸装置に装着されている場合には、センサのアンプ回路の感度を、第一感度よりも低い第二感度とする。
そして、センサの検出値は、上述したように、歯切り工具の軸部の円筒外周面における径方向断面の円弧状に変化する。つまり、歯切り工具の軸部の円筒外周面の径によって、センサの検出値の変化率(相対移動方向の位置における検出値の微分値)が異なる。円筒外周面の径が大きいほど、検出値の変化率が小さくなり、円筒外周面の径が小さいほど、検出値の変化率が大きくなる。
円筒外周面の径が大きい場合には、センサの検出部と円筒外周面との距離の変化が小さくなるとしても、アンプ回路の感度を高くしているため、センサによる検出値が最も小さくなるときを高精度に取得することができる。一方、円筒外周面の径が小さい場合には、センサの検出部と円筒外周面との距離の変化が大きいため、アンプ回路の感度を低くしたとしても、センサによる検出値が最も小さくなるときを高精度に取得することができる。
このように、円筒外周面の径に応じてアンプ回路の感度を変化させることで、高精度に、歯切り工具の中心軸の熱変位後の位置座標を得ることができる。その結果、高精度に工作物に歯車の歯を加工することができる。
仮に、円筒外周面の径に関わらず感度を高くする場合には、円筒外周面の径が小さい場合において、センサの距離検出方向に直交する方向に、センサと歯切り工具とを相対的に移動させるときに、距離が短いときの移動範囲が短くなってしまい、距離が短いところの位置が把握しづらくなってしまう。つまり、円筒外周面の径が小さい場合に感度を高くしてしまうと、歯切り工具の中心軸の熱変位後の位置座標を高精度に得ることができないおそれがある。そこで、常に感度を高くするのではなく、上記のように、円筒外周面の径が小さい場合には、感度を低くしている。
歯車加工装置の一例を示す図である。 X-Z平面において工作物の回転軸線に直交する方向から、工作物および工具を見た図である。工具を示す破線は、工作物に歯車加工を施した後の位置を示す。 Y方向から、工作物および工具を見た図である。工具を示す破線は、工作物に歯車加工を施した後の位置を示す。 歯車加工装置の一部構成についての機能ブロック図である。 制御装置による処理を示すフローチャートである。 制御装置の工具座標演算部による処理を示すフローチャートである。 工具座標演算処理における移動処理を説明する図であって、(a)は軸部の径が小さなギヤスカイビングカッタを対象とし、(b)は軸部の径が大きなギヤスカイビングカッタを対象とする。各図(a)(b)における右欄には、熱変位がゼロの場合におけるセンサとギヤスカイビングカッタとの相対位置を示す。 X軸方向への移動処理により検出された検出値であって、X軸位置に対するセンサの検出値を示すグラフであって、(a)は軸部の径が小さなギヤスカイビングカッタを対象とし、(b)は軸部の径が大きなギヤスカイビングカッタを対象とする。 X軸方向への移動処理により検出された検出値であって、検出時間に対するセンサの検出値を示すグラフであって、(a)は軸部の径が小さなギヤスカイビングカッタを対象とし、(b)は軸部の径が大きなギヤスカイビングカッタを対象とする。 工具座標演算処理における異常判定処理における上限値および下限値を示すグラフである。 制御装置の工具位相演算部による処理を示すフローチャートである。 工具位相演算処理を説明する図である。
(1.歯車加工装置1の構成)
歯車加工装置1について図1を参照して説明する。歯車加工装置1は、歯切り工具としての工作物WとギヤスカイビングカッタTとを回転させながら相対移動させることにより、ギヤスカイビングカッタTによって工作物Wに歯形(歯車の歯)を創成加工する装置である。
本形態においては、歯車加工装置1は、汎用的な工作機械、例えば、マシニングセンタを適用する。マシニングセンタは、工具交換可能に構成されており、装着された工具に応じた加工が可能である。例えば、交換可能な歯切り工具としては、ギヤスカイビングカッタTの他に、ホブカッタ、シェーパカッタなどである。ホブカッタやシェーパカッタに交換することで、歯車加工装置1は、ホブ加工やシェーパ加工により工作物Wに歯形(歯車の歯)を加工する装置となる。
また、歯切り工具以外の交換可能な工具としては、例えば、エンドミル、フライス工具、ドリル、旋削工具、ねじ切り工具、研削工具などである。なお、図1においては、工具交換装置および工具を保管する工具マガジンは図示しない。
また、本形態においては、歯車加工装置1としてのマシニングセンタは、横形マシニングセンタを基本構成とする。ただし、歯車加工装置1は、立形マシニングセンタなど、他の構成を適用することもできる。
図1に示すように、歯車加工装置1は、例えば、相互に直交する3つの直進軸(X軸、Y軸、Z軸)を駆動軸として有する。ここで、ギヤスカイビングカッタTの回転軸線(工具主軸の回転軸線に等しい)の方向をZ軸方向と定義し、Z軸方向に直交する2軸をX軸およびY軸と定義する。図1においては、水平方向をX軸方向とし、鉛直方向をY軸方向とする。
さらに、歯車加工装置1は、工作物WとギヤスカイビングカッタTとの相対姿勢を変更するための1つの回転軸(B軸)を駆動軸として有する。本形態において、B軸は、Y軸方向を回転中心とする回転軸である。また、歯車加工装置1は、ギヤスカイビングカッタTを回転するための回転軸としてのCt軸、および、工作物Wを回転するための回転軸としてのCw軸を有する。
歯車加工装置1において、工作物WとギヤスカイビングカッタTとを相対移動させる構成は、適宜選択可能である。例えば、歯車加工装置1は、B軸に代えて、X軸方向を回転中心とするA軸を有する構成としても良い。以下においては、歯車加工装置1は、ギヤスカイビングカッタTをY軸方向およびZ軸方向に直動可能とし、工作物WをX軸方向に直動可能とし、さらに工作物WをB軸に回転可能とする場合を例にあげる。
歯車加工装置1は、ベッド10、工作物保持装置20、工具保持装置30、センサ40および制御装置50を備える。ベッド10は、設置面上に設置され、工作物保持装置20の形状および工具保持装置30の形状などに応じた形状に形成される。本形態においては、ベッド10は、例えば、矩形状とする。ベッド10の上面には、X軸方向に延在する一対のX軸ガイドレール11、および、Z軸方向に延在する一対のZ軸ガイドレール12が形成されている。
工作物保持装置20は、工作物Wをベッド10に対して、X軸方向に直動し、B軸に回転可能とし、Cw軸に回転可能とする。工作物保持装置20は、X軸移動テーブル21、B軸回転テーブル22、工作物主軸装置23を主に備える。
X軸移動テーブル21は、図示しないリニアモータまたはボールねじ機構などの駆動装置によって駆動されることにより、ベッド10のX軸ガイドレール11に案内されながらX軸方向へ移動する。B軸回転テーブル22は、X軸移動テーブル21の上面に設置され、X軸移動テーブル21と一体的にX軸方向へ移動する。また、B軸回転テーブル22は、X軸移動テーブル21に対してB軸に回転可能に設けられる。B軸回転テーブル22には、図示しない回転モータが収納され、B軸回転テーブル22は、回転モータを駆動することでB軸に回転可能となる。
工作物主軸装置23は、B軸回転テーブル22に設けられ、B軸回転テーブル22と一体的にB軸回転する。工作物主軸装置23は、工作物Wを回転可能に保持する。工作物主軸装置23には、図示しない回転モータが収納され、工作物主軸装置23は、回転モータの駆動により工作物WをCw軸に回転可能とする。このようにして、工作物保持装置20は、工作物Wを、ベッド10に対して、X軸方向へ移動可能とし、B軸に回転およびCw軸に回転可能とする。
詳細には、工作物主軸装置23は、ハウジング23aと主軸23bとを備える。工作物主軸装置23のハウジング23aがB軸回転テーブル22に固定され、工作物主軸装置23の主軸23bがハウジング23aに回転可能に支持されている。この主軸23bの先端に、工作物Wが取り付けられている。つまり、工作物Wは、工作物主軸装置23の主軸23bに片持ち支持されている。
工具保持装置30は、コラム31、サドル32、工具主軸装置33を主に備える。コラム31は、図示しないリニアモータまたはボールねじ機構などの駆動装置によって駆動されることにより、ベッド10のZ軸ガイドレール12に案内されながらZ軸方向へ移動する。コラム31の上下方向に延びる面(図1の左面)には、Y軸ガイドレール31aが形成されている。サドル32は、図示しないリニアモータまたはボールねじ機構などの駆動装置によって駆動されることにより、コラム31のY軸ガイドレール31aに案内されながらY軸方向へ移動する。
工具主軸装置33は、サドル32に設けられると共に、サドル32と一体的にY軸方向へ移動する。工具主軸装置33は、ギヤスカイビングカッタTを保持する。工具主軸装置33には、図示しない回転モータが収納され、工具主軸装置33は、回転モータの駆動によりギヤスカイビングカッタTをCt軸に回転可能とする。このようにして、工具保持装置30は、ギヤスカイビングカッタTを、ベッド10に対して、Y軸方向およびZ軸方向に移動可能とし、かつ、Ct軸に回転可能に保持する。
詳細には、工具主軸装置33は、ハウジングと主軸とを備える。工具主軸装置33のハウジングがサドル32に固定され、工具主軸装置33の主軸がハウジングに回転可能に支持されている。この主軸の先端に、ギヤスカイビングカッタTが取り付けられている。つまり、ギヤスカイビングカッタTは、工具主軸装置33の主軸に片持ち支持されている。
センサ40は、工作物主軸装置23のハウジング23aに設けられている。センサ40は、ギヤスカイビングカッタTとの距離を検出可能なセンサである。センサ40は、例えば、渦電流やレーザなどによる非接触の距離センサを適用するのが好適である。センサ40は、工作物主軸装置23のハウジング23aに設けられるため、工作物主軸装置23のハウジング23aと一体に移動する。工作物主軸装置23のハウジング23aは、ハウジング23aを構成する主とした部材、当該主とした部材に取り付けられた部材などを含む。また、センサ40は、検出部を進退可能に設けられるようにしても良い。
制御装置50は、演算処理装置(プロセッサ)および記憶装置を備えており、加工プログラムを実行することにより、各駆動装置を制御する。つまり、制御装置50は、ギヤスカイビングカッタTの回転、工作物Wの回転、工作物WとギヤスカイビングカッタTとの相対的な移動を制御する。そして、制御装置50は、工作物Wに歯車の歯を加工するために、工作物主軸装置23と工具主軸装置33とを同期して回転制御しながら、各駆動装置を制御する。
(2.ギヤスカイビングカッタTの構成)
ギヤスカイビングカッタTの構成について図2および図3を参照して説明する。ギヤスカイビングカッタTは、刃部Taおよび軸部Tbを備える。
刃部Taは、周方向に複数の工具刃を有する。刃部Taにおける複数の工具刃は、軸方向端面がすくい面を構成し、工具刃の径方向外面が逃げ面を構成する。本形態においては、刃部Taの外接面、すなわち逃げ面である工具刃の径方向外面を接続した面は、円錐面を構成する。ただし、刃部Taの外接面は、円筒面をなすように構成することもできる。
軸部Tbは、刃部Taにおけるすくい面の背面側に一体に設けられ、刃部Taと同軸上に設けられている。軸部Tbは、円筒外周面Tb1を有する。円筒外周面Tb1の中心軸が、刃部Taの中心軸と同軸である。軸部Tbは、さらに、周方向の一部に円筒外周面Tb1に対して凹状に形成された位相基準要素Tb2を有する。なお、位相基準要素Tb2は、凹状に代えて、凸状に形成されるようにしても良い。
本形態においては、歯車加工装置1は、複数の種類のギヤスカイビングカッタTを適用可能である。詳細には、歯車加工装置1が適用可能なギヤスカイビングカッタTは、軸部Tbの円筒外周面Tb1の径が異なる複数の種類を適用される。つまり、円筒外周面Tb1の径が異なるギヤスカイビングカッタTが、工具主軸装置33に交換可能に装着される。
(3.ギヤスカイビング加工の説明)
ギヤスカイビングカッタTにより、工作物Wに歯形(歯車の歯)を創成加工する際の状態について、図2および図3を参照して説明する。
ギヤスカイビング加工は、図3に示すように、ギヤスカイビングカッタTの回転軸線Atを工作物Wの回転軸線Awに平行な軸線に対して交差角θを有する状態にする。また、図2に示すように、ギヤスカイビングカッタTの回転軸線Atと工作物Wの回転軸線Awは、X-Z平面に対して平行である。図2に示すように、ギヤスカイビングカッタTの回転軸線Atと工作物Wの回転軸線Awの中心間距離、すなわちY軸方向の距離をDaとする。
工作物Wを回転軸線Aw回り(Cw軸)に回転し、かつ、ギヤスカイビングカッタTを回転軸線At回り(Ct軸)に回転する。工作物Wの回転とギヤスカイビングカッタTの回転とを同期させながら、ギヤスカイビングカッタTを工作物Wに対して工作物Wの回転軸線Awの方向に相対移動させることで、工作物Wに歯形が創成加工される。ギヤスカイビング加工においては、工作物Wが1回転する間に、工作物Wの各歯溝の部分が、ギヤスカイビングカッタTによって1回だけ加工される。
(4.歯車加工装置1の機能ブロック構成)
次に、歯車加工装置1の一部構成における機能について図4を参照して説明する。図4に示すように、歯車加工装置1は、工作物WとギヤスカイビングカッタTとを、X軸方向に相対的に移動させるX軸移動装置61、Y軸方向に相対的に移動させるY軸移動装置62、および、Z軸方向に相対的に移動させるZ軸移動装置63を備える。
本形態においては、X軸移動装置61は、ベッド10に対してX軸移動テーブル21をX軸方向に移動するためのリニアモータまたはボールねじ機構などの駆動装置である。Y軸移動装置62は、コラム31に対してサドル32をY軸方向に移動するためのリニアモータまたはボールねじ機構などの駆動装置である。Z軸移動装置63は、ベッド10に対してコラム31をZ軸方向に移動するためのリニアモータまたはボールねじ機構などの駆動装置である。
さらに、図4に示すように、歯車加工装置1は、工作物主軸装置23、工具主軸装置33、および、回転装置64を備える。工作物主軸装置23は、上述したように、工作物保持装置20を構成し、工作物WをCw軸回りに回転可能に保持する。工具主軸装置33は、上述したように、工具保持装置30を構成し、ギヤスカイビングカッタTをCt軸回りに回転可能に保持する。回転装置64は、工作物WとギヤスカイビングカッタTとの姿勢を変更するための移動装置である。本形態においては、回転装置64は、X軸移動テーブル21に対してB軸回転テーブル22をB軸に回転するための回転モータを含む。
センサ40は、ギヤスカイビングカッタTとの距離を検出する。詳細には、センサ40は、図2および図3に示すギヤスカイビングカッタTの軸部Tbにおける円筒外周面Tb1または位相基準要素Tb2との距離を検出する。センサ40は、図4に示すように、検出部41と、アンプ回路42とを備える。検出部41は、検出距離に対応する電流や電圧などの物理量を出力し、アンプ回路42は、検出部41が出力する物理量を増幅して制御装置50へ出力する。アンプ回路42は、設定された感度に応じた分解能による処理が行われる。
制御装置50は、工具座標演算部51、工具位相演算部52および加工制御部53を備える。工具座標演算部51は、センサ40のアンプ回路42により増幅された物理量を、センサ40の検出結果として入力する。詳細には、工具座標演算部51は、センサ40の検出結果として、センサ40により検出されたギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面との距離を入力する。工具座標演算部51は、センサ40の検出結果に基づいて、工作物主軸装置23に対するギヤスカイビングカッタTの中心軸の位置座標を演算する。特に、工具座標演算部51は、ギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標を演算する。
工具位相演算部52は、工具交換が実行された場合に、工具主軸装置33に装着された状態のギヤスカイビングカッタTの位相を演算する。詳細には、工具位相演算部52は、センサ40のアンプ回路42により増幅された物理量を、センサ40の検出結果として入力する。詳細には、工具位相演算部52は、センサ40の検出結果として、センサ40により検出されたギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの位相基準要素Tb2との距離を入力する。さらに、工具位相演算部52は、工具主軸装置33を構成する回転角度検出器により検出された工具主軸の回転角(ギヤスカイビングカッタTの回転角に相当する)を入力する。
工具位相演算部52は、センサ40の検出結果および工具主軸の回転角に基づいて、ギヤスカイビングカッタTの刃部Taにおける基準位相として、軸部Tbの位相基準要素Tb2の位相を演算する。つまり、工具位相演算部52は、ギヤスカイビングカッタTの刃部Taの基準となる工具刃の周方向位置を取得する。
加工制御部53は、加工プログラムおよびセンサ40による検出結果に基づいて制御指令値を生成する。制御装置50は、移動装置としてのX軸移動装置61、Y軸移動装置62およびZ軸移動装置63を制御し、さらに、工作物主軸装置23、工具主軸装置33および回転装置64を制御する。
特に、加工制御部53は、工具座標演算部51により演算された位置座標および工具位相演算部52により演算されたギヤスカイビングカッタTの基準位相に基づいて、工作物主軸装置23と工具主軸装置33とを同期して回転制御しながら、工作物Wを加工するために移動装置としてのX軸移動装置61、Y軸移動装置62およびZ軸移動装置63を制御し、さらに、工作物主軸装置23、工具主軸装置33および回転装置64を制御する。
歯車加工装置1は、さらに、操作盤70を備える。操作盤70には、表示画面および各種の機械式ボタンなどが設けられている。表示画面には、例えば、タッチ式操作ボタンが表示され、かつ、加工プログラム、工作物Wの情報、歯車加工装置1の各機器の状態などが表示される。操作盤70は、少なくとも、運転準備ボタン71および加工プログラム起動ボタン72を備える。運転準備ボタン71および加工プログラム起動ボタン72などは、機械式ボタンとしても良いし、表示画面に表示されるタッチ式操作ボタンとしても良い。
運転準備ボタン71が押下またはタッチされると、制御装置50が、歯車加工装置1の各機器に対して、加工プログラムを実行可能な状態とする。例えば、クーラントポンプや潤滑油ポンプが動作したり、エア供給するためのバルブが駆動したりする。運転準備ボタン71が押下またはタッチされることで、歯車加工装置1の一部機器が動作開始することで、歯車加工装置1が徐々に温まっていく。
加工プログラム起動ボタン72が押下またはタッチされると、制御装置50が、加工プログラムを実行する。つまり、加工プログラム起動ボタン72が押下またはタッチされることで、加工が開始される。
(5.制御装置50の処理)
制御装置50の処理(制御方法)について、図5を参照して説明する。以下に説明する制御装置50の処理は、特に、熱変位が生じた場合の補正値の演算処理、および、工具交換を実施した場合の工具位相演算処理を中心に説明する。
歯車加工装置1は、ベッド10、コラム31、サドル32、工作物主軸装置23のハウジングなど、熱変位を生じる構造体により構成されている。従って、環境温度、ポンプやモータなどの駆動装置の発熱、クーラントや潤滑油などの流体温度の影響により、構造体には熱変位が生じる。
歯車加工装置1は、運転準備ボタン71が押下またはタッチされることで、ポンプなどの一部の駆動装置が作動することで、歯車加工装置1の構造体の温度が上昇する。さらに、歯車加工装置1は、加工プログラム起動ボタン72が押下またはタッチされることで、工作物Wが加工され、各駆動装置の熱や構造体の移動に伴う熱が生じる。その結果、歯車加工装置1の構造体の温度が上昇する。
運転準備ボタン71が押下またはタッチされることで、歯車加工装置1が運転準備動作を開始する。そして、歯車加工装置1の構造体の熱変位に伴う工作物WとギヤスカイビングカッタTとの熱変位は、運転準備の開始後において、徐々に大きくなる状態となる。つまり、歯車加工装置1は、運転準備動作開始後に熱的非定常状態となる。
そして、運転準備動作開始から一定時間を経過することにより、歯車加工装置1の構造体の熱変位が一定の状態となり、工作物WとギヤスカイビングカッタTとの熱変位も一定の状態となる。つまり、歯車加工装置1は、運転準備動作開始から一定時間を経過すると、熱的定常状態となる。
そして、工作物WとギヤスカイビングカッタTとの熱変位を補正して、工作物Wの加工を行うことにより、工作物Wに所望の歯車の歯を加工することができる。従って、熱変位の補正値を把握することは、高精度な加工を行うためには重要である。
また、工具交換を実施すると、工具主軸装置33に装着されたギヤスカイビングカッタTの正確な位相は、明らかではない。ギヤスカイビング加工を実施するためには、工具主軸装置33に装着された状態のギヤスカイビングカッタTの正確な位相を把握する必要がある。
以下に、制御装置50の処理について説明する。制御装置50は、工具座標演算処理を実施する(工具座標演算工程ST1)。工具座標演算処理は、工具座標演算部51により行われる。つまり、工具座標演算処理は、センサ40の検出結果に基づいて、工作物主軸装置23に対するギヤスカイビングカッタTの中心軸の位置座標を演算する。熱変位が生じている場合には、工具座標演算処理は、工作物主軸装置23に対するギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標を演算することになる。
続いて、制御装置50は、熱変位補正値の取得の要否を判定する(要否判定工程ST2)。熱変位補正値の取得は、例えば、工作物Wの連続加工を開始する前、および、連続加工を行っている最中の任意のタイミングに行う。任意のタイミングに行う場合には、熱的非定常状態においては取得間隔を短くすることで、高精度な工作物Wの加工が可能となる。
続いて、制御装置50は、熱変位補正値の取得を行うと判定された場合には(ST3:Yes)、工具座標演算処理により取得されたギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標を用いて、工作物Wの加工の際の補正値をセットする(補正値セット工程ST4)。一方、制御装置50は、熱変位補正値の取得を行わないと判定された場合には(ST3:No)、熱変位補正値のセット(ST4)を実施しない。
続いて、制御装置50は、工具交換を実施したか否かを判定し(工具交換判定工程ST5)、工具交換を実施した場合には(ST5:Yes)、工具位相演算処理を実施する(工具位相演算工程ST6)。工具位相演算処理は、工具位相演算部52により行われる。工具位相演算処理は、センサ40の検出結果、および、工具主軸装置33に設けられた回転角度検出器により検出された回転主軸の回転角に基づいて、工具主軸装置33に装着された状態のギヤスカイビングカッタTの刃部Taにおける基準位相を演算する。一方、制御装置50は、工具交換を実施していない場合には(ST5:No)、工具位相演算処理(ST6)を実施しない。
続いて、制御装置50は、加工制御部53により、ギヤスカイビングカッタTにより工作物Wの加工を行う(加工工程ST7)。加工制御部53は、熱変位補正値がセットされている場合には、当該熱変位補正値を考慮して工作物Wに加工が施される。また、加工制御部53は、工具交換後に取得されたギヤスカイビングカッタTの刃部Taにおける基準位相に基づいて、工作物Wの加工が行われる。
なお、詳細な説明は省略するが、仮に工作物Wに歯車が予め形成されている場合には、工作物主軸装置23に装着された状態の工作物Wの位相を取得する必要がある。
(6.工具座標演算処理)
次に、制御装置50の処理における工具座標演算処理、すなわち工具座標演算部51による処理(工具座標演算方法)について、図6~図10を参照して詳細に説明する。
工具座標演算部51は、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に移動させる移動処理を実行する(移動工程ST11)。移動処理において、ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1の径に応じて移動速度を変化させる。ここで、円筒外周面Tb1の径は、制御装置50に、ギヤスカイビングカッタTの種類毎に記憶されている。制御装置50は、工具主軸装置33に装着されたギヤスカイビングカッタTに対応付けられて記憶された円筒外周面Tb1の径を取得し、取得した円筒外周面Tb1の径に応じた移動速度を決定している。
移動処理の詳細について、図7を参照する。図7の(a)には、円筒外周面Tb1の径が小さなギヤスカイビングカッタTが工具主軸装置33に装着されている場合を示す。センサ40とギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1に対向させた状態とする。本形態においては、センサ40の検出部41と円筒外周面Tb1とをY軸方向に対向させた状態とする。ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbには、円筒外周面Tb1の他に、位相基準要素Tb2が設けられている。つまり、位相基準要素Tb2が、センサ40の検出部41に対向しない位置となるように、工具主軸装置33が回転位置決めされている。
そして、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に移動させる。本形態においては、X軸方向に相対的に移動させる。つまり、移動方向は、ギヤスカイビングカッタTの中心軸に直交する方向であり、かつ、センサ40の距離検出方向に直交する方向である。図7の(a)において、左右方向に移動させることになる。そして、この場合の移動速度は、Vaとする。
図7の(b)には、円筒外周面Tb1の径が大きなギヤスカイビングカッタTが工具主軸装置33に装着されている場合を示す。この場合も同様に、センサ40とギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1に対向させた状態とする。本形態においては、センサ40の検出部41と円筒外周面Tb1とをY軸方向に対向させた状態とする。そして、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に移動させる。本形態においては、X軸方向に相対的に移動させる。そして、この場合の移動速度は、Vbとする。
ここで、図7の(a)の左欄に示す円筒外周面Tb1の径が小さい場合の移動速度Vaは、図7の(b)の左欄に示す円筒外周面Tb1の径が大きい場合の移動速度Vbよりも大きい。つまり、工具座標演算部51は、移動処理において、工具主軸装置33に装着されているギヤスカイビングカッタTの円筒外周面Tb1の径が大きいほど、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に低速で移動させる。一方、工具座標演算部51は、工具主軸装置33に装着されているギヤスカイビングカッタTの円筒外周面Tb1の径が小さいほど、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に高速で移動させる。
換言すると、以下のようになる。移動処理は、円筒外周面Tb1の径が第一径であるギヤスカイビングカッタTが工具主軸装置33に装着されている場合には、センサ40とギヤスカイビングカッタTとの相対速度を第一速度とする。一方、移動処理は、円筒外周面Tb1の径が第一径よりも小さな第二径であるギヤスカイビングカッタTが工具主軸装置33に装着されている場合には、センサ40とギヤスカイビングカッタTとの相対速度を第一速度より高速の第二速度とする。つまり、移動速度Va,Vbは、円筒外周面Tb1の径に対して、単調減少する関係であれば良く、例えば、負の線形の関係としても良いし、非線形の関係としても良い。
続いて、工具座標演算部51は、ギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標を演算する演算処理を実行する(演算工程ST12)。ここで、図7の(a)(b)の左欄に示すように、ギヤスカイビングカッタTをX軸方向に移動させているときに、センサ40は、センサ40の検出部41から円筒外周面Tb1までのY軸方向の離間距離を検出する。
そこで、工具座標演算部51は、演算処理として、まず、ギヤスカイビングカッタTをX軸方向に移動させているときに、センサ40により検出された円筒外周面Tb1までのY軸方向の離間距離を取得する。図7の(a)の左欄においてセンサ40により検出される離間距離は、図8の(a)に示すようになる。図8の(a)にて、各検出点(サンプリング点)を黒丸にて示している。図8の(a)は、横軸をX軸位置としているため、黒丸を接続した二点鎖線が、小径の円筒外周面Tb1の形状に相当する。
図7の(b)の左欄においてセンサ40により検出される離間距離は、図8の(b)に示すようになる。図8の(b)にて、各検出点(サンプリング点)を黒丸にて示している。図8の(b)は、横軸をX軸位置としているため、黒丸を接続した二点鎖線が、大径の円筒外周面Tb1の形状に相当する。
上述したように、図7の(a)に示す小径の円筒外周面Tb1における移動速度Vaは、図7の(b)に示す大径の円筒外周面Tb1における移動速度Vbよりも大きい。従って、図8の(a)(b)を比較すると、図8の(a)に示す小径の円筒外周面Tb1における検出点の距離間隔(サンプリング距離間隔)は、図8の(b)に示す大径の円筒外周面Tb1における検出点の距離間隔よりも広くなっている。
図9の(a)には、円筒外周面Tb1の径が小さい場合において、横軸を時間とし、縦軸をセンサ40の検出値としており、各検出点(サンプリング点)を黒丸にて示している。図9の(b)には、円筒外周面Tb1の径が大きい場合において、横軸を時間とし、縦軸をセンサ40の検出値としており、各検出点(サンプリング点)を黒丸にて示している。図9の(a)(b)において、黒丸を接続した線を二点鎖線にて示す。そして、図9の(a)(b)の黒丸は、サンプリング時刻t1~t13におけるセンサ40の検出値を示す。
つまり、円筒外周面Tb1が小径の場合と大径の場合とを比較すると、図9の(a)(b)に示すように、サンプリング時間間隔は同一としているが、図8の(a)(b)に示すように、移動速度Va、Vbが異なるため、X軸方向におけるサンプリング距離間隔が異なる。
続いて、図8の(a)(b)に示すように、工具座標演算部51は、演算処理として、センサ40により検出された離間距離に基づいて、離間距離が最小となるX軸位置座標Xa,Xbを演算する。つまり、工具座標演算部51は、センサ40により検出された離間距離に基づいて、センサ40とギヤスカイビングカッタTとの相対移動方向(X軸方向)におけるギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標Xa,Xbを演算する。
さらに、図7の(a)(b)の左欄に示すように、工具座標演算部51は、演算処理として、センサ40により検出された離間距離に基づいて、離間距離の最小値Ya,Ybを演算する。ここで、円筒外周面Tb1の径は既知である。従って、工具座標演算部51は、センサ40により検出された離間距離に基づいて、ギヤスカイビングカッタTの中心軸に直交する方向であり、かつ、センサ40とギヤスカイビングカッタTとの相対移動方向に直交する方向(Y軸方向)におけるギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標Ya1,Yb1を演算することに相当する。
ここで、図7の(a)の右欄における熱変位がゼロである場合には、センサ40により検出される離間距離の最小値は、基準値Ya0である。つまり、図7の(a)の左欄においてセンサ40により検出される離間距離Yaと、基準値Ya0との差ΔYaが、Y軸方向の熱変位量となる。
図7の(b)の右欄における熱変位がゼロである場合には、センサ40により検出される離間距離の最小値は、基準値Yb0である。つまり、図7の(b)の左欄においてセンサ40により検出される離間距離Ybと、基準値Yb0との差ΔYbが、Y軸方向の熱変位量となる。このY軸方向の熱変位量が、Y軸方向の熱変位補正値となる。
また、図8の(a)(b)に示すセンサ40により検出される離間距離が最小となるギヤスカイビングカッタTの中心軸のX軸位置座標Xa,Xbと、熱変位のないときのX軸方向の基準X0との差ΔXa,ΔXb(図示せず)が、X軸方向の熱変位量となる。このX軸方向の熱変位量が、X軸方向の熱変位補正値となる。
続いて、工具座標演算部51は、熱変位量の大きさ、上限値Thuおよび下限値Thdに基づいて異常判定処理を実行する(異常判定工程ST13)。異常判定処理は、図10に示すように、センサ40により検出される離間距離が最小となるときのギヤスカイビングカッタTの中心軸のY軸位置と、熱変位のないときのY軸方向の基準との差ΔYa,ΔYbが、上限値Thuを上回った場合、または、下限値Thdを下回った場合に、異常と判定する。
ここで、上述したように、歯車加工装置1は、運転準備動作開始後において熱的非定常状態となり、運転準備動作開始から一定時間を経過すると熱的定常状態となる。図10に示すように、熱変位量ΔYa,ΔYbは、熱的非定常状態のときには、徐々に上昇しており、熱的定常状態とのときには、ほぼ一定となる。
そこで、異常判定のための上限値Thuおよび下限値Thdも、熱的非定常状態において、時間経過に応じて大きくなるように設定されている。一方、上限値Thuおよび下限値Thdは、熱的定常状態においては、時間経過に関わりなく一定値に設定されている。
続いて、工具座標演算部51は、異常判定処理の結果が異常でない場合には(ST14:No)、工具座標演算処理を終了する。一方、工具座標演算部51は、異常判定処理の結果が異常である場合には(ST14:Yes)、異常時処理を実行する(異常時処理工程ST15)。異常時処理は、例えば、加工プログラムの動作を停止する処理、作業者や管理者へ通報する処理、管理装置へ異常情報を通信する処理などである。異常時処理が実行された場合には、工具座標演算処理自体が終了することなく、図5に示す制御処理の次の処理が実行されず、制御処理自体が停止する。
(7.工具位相演算処理)
次に、制御装置50の処理における工具位相演算処理、すなわち工具位相演算部52による処理(工具位相演算方法)について、図11~図12を参照して詳細に説明する。
工具位相演算部52は、位相演算のために、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを位置決めする(位置決め工程ST21)。この位置決めは、上述した工具座標演算処理において、ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1とセンサ40の検出部41との離間距離が最小となる位置に位置決めする。
続いて、工具位相演算部52は、位置決めされた状態でギヤスカイビングカッタTを回転させる(回転工程ST22)。そうすると、図12に示すように、ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの位相基準要素Tb2が、センサ40の検出部41に対向する位置を通過する。このとき、センサ40は、ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1までの離間距離および位相基準要素Tb2までの離間距離を検出する。そして、工具位相演算部52は、センサ40により検出された離間距離を取得する。さらに、工具位相演算部52は、工具主軸装置33に設けられた回転角度検出器により検出された工具主軸の回転角を取得する。
続いて、工具位相演算部52は、センサ40により検出された離間距離および工具主軸の回転角に基づいて、位相基準要素Tb2の位相を演算する演算処理を実行する(演算工程ST23)。ここで、位相基準要素Tb2は、刃部Taの所定の工具刃の位相に対応した位置に位置する。従って、工具位相演算部52の演算処理においては、ギヤスカイビングカッタTの刃部Taにおける基準位相が演算されることとなる。そして、工具位相演算部52による処理を終了する。
(8.効果)
上述した歯車加工装置1によれば、センサ40は、ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbとの距離を検出している。そして、センサ40は、工作物主軸装置23に設けられている。従って、センサ40は、工作物主軸装置23に対するギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの相対的な位置を検出している。
ここで、歯車加工装置1の構造体に熱変位が生じた場合において、工作物Wに歯車の歯を高精度に加工するためには、工作物WとギヤスカイビングカッタTとの相対的な熱変位後の位置を把握することが重要である。そして、センサ40は、ギヤスカイビングカッタTを直接検出しており、かつ、工作物主軸装置23に設けられている。従って、センサ40は、工作物WとギヤスカイビングカッタTとの相対的な熱変位後の位置を直接検出していることに相当する。つまり、センサ40の検出結果を用いることにより、熱変位が生じた場合であっても、工作物WとギヤスカイビングカッタTとの相対的な熱変位後の位置を把握することにより、高精度に工作物Wに歯車の歯を加工することができる。
さらに、センサ40は、ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbにおける円筒外周面Tb1との離間距離を検出しており、制御装置50の工具座標演算部51が、センサ40の検出結果に基づいて、工作物主軸装置23に対するギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標を演算している。ここで、センサ40によるギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1との離間距離の検出は、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に移動させながら行う。そして、相対的な移動方向は、センサ40をギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1に対向させた状態において、ギヤスカイビングカッタTの中心軸に直交する方向であり、かつ、センサ40の距離検出方向に直交する方向である。
従って、センサ40による検出値は、ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1における径方向断面の円弧状となる。そして、センサ40による検出値が最も小さくなるときが、センサ40は、センサ40の検出部41とギヤスカイビングカッタTの中心軸とを通る円筒外周面Tb1上の位置を検出している状態となる。このようにして検出されるセンサ40の検出結果を用いることで、ギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標を得ることができる。
センサ40の検出値は、上述したように、ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1における径方向断面の円弧状に変化する。つまり、ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1の径によって、センサ40の検出値の変化率(相対移動方向の位置における検出値の微分値)が異なる。円筒外周面Tb1の径が大きいほど、検出値の変化率が小さくなり、円筒外周面Tb1の径が小さいほど、検出値の変化率が大きくなる。
そこで、制御装置50の工具座標演算部51の移動処理は、工具主軸装置33に装着されているギヤスカイビングカッタTの円筒外周面Tb1の径が大きいほど、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に低速で移動させる。一方、移動処理は、工具主軸装置33に装着されているギヤスカイビングカッタTの円筒外周面Tb1の径が小さいほど、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に高速で移動させている。
換言すると、以下のようになる。移動処理は、円筒外周面Tb1の径が第一径であるギヤスカイビングカッタTが工具主軸装置33に装着されている場合には、センサ40とギヤスカイビングカッタTとの相対速度を第一速度とする。一方、移動処理は、円筒外周面Tb1の径が第一径よりも小さな第二径であるギヤスカイビングカッタTが工具主軸装置33に装着されている場合には、センサ40とギヤスカイビングカッタTとの相対速度を第一速度より高速の第二速度とする。
つまり、円筒外周面Tb1の径が大きい場合には、センサ40の検出部41と円筒外周面Tb1との距離の変化が小さくなるとしても、低速で移動させているため、センサ40による検出値が最も小さくなるときを高精度に取得することができる。一方、円筒外周面Tb1の径が小さい場合には、センサ40の検出部41と円筒外周面Tb1との距離の変化が大きいため、高速で移動させたとしても、センサ40による検出値が最も小さくなるときを高精度に取得することができる。
このように、円筒外周面Tb1の径に応じて移動速度を変化させることで、高精度に、ギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標を得ることができる。その結果、高精度に工作物Wに歯車の歯を加工することができる。
仮に、円筒外周面Tb1の径に関わらず移動速度を低速にする場合には、高精度に、ギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標を得ることができる。しかし、常に移動速度を低速にすると、処理時間が長くなってしまう。そこで、常に低速にするのではなく、上記のように、円筒外周面Tb1の径が小さい場合には、移動速度を高速にしている。これにより、位置座標を得るために要する時間の短縮を図ることができる。
(9.変形例)
上記においては、円筒外周面Tb1の径に応じて、センサ40とギヤスカイビングカッタTとの相対的な移動速度を変化させることとした。この他に、工具座標演算部51は、演算処理(ST12)において、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に移動させる際に、工具主軸装置33に装着されているギヤスカイビングカッタTの円筒外周面Tb1の径が大きいほど、センサ40のアンプ回路42の感度を高くする。一方、工具主軸装置33に装着されているギヤスカイビングカッタTの円筒外周面Tb1の径が小さいほど、センサ40のアンプ回路42の感度を低くする。
換言すると、以下のようになる。工具座標演算部51は、円筒外周面Tb1の径が第一径のギヤスカイビングカッタTが工具主軸装置33に装着されている場合には、センサ40のアンプ回路42の感度を第一感度とする。一方、工具座標演算部51は、円筒外周面Tb1の径が第一径よりも小さな第二径のギヤスカイビングカッタTが工具主軸装置33に装着されている場合には、センサ40のアンプ回路42の感度を、第一感度よりも低い第二感度とする。つまり、アンプ回路42の感度は、円筒外周面Tb1の径に対して、単調増加する関係であれば良く、例えば、正の線形の関係としても良いし、非線形の関係としても良い。
この場合、工具座標演算部51は、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に移動させる際に、ギヤスカイビングカッタTの軸部Tbの円筒外周面Tb1の径に関わらず、センサ40とギヤスカイビングカッタTとの相対的な移動速度を一定とする。
ここで、円筒外周面Tb1の径が大きい場合には、センサ40の検出部41と円筒外周面Tb1との距離の変化が小さくなるとしても、アンプ回路42の感度を高くしているため、センサ40による検出値が最も小さくなるときを高精度に取得することができる。一方、円筒外周面Tb1の径が小さい場合には、センサ40の検出部41と円筒外周面Tb1との距離の変化が大きいため、アンプ回路42の感度を低くしたとしても、センサ40による検出値が最も小さくなるときを高精度に取得することができる。
このように、円筒外周面Tb1の径に応じてアンプ回路42の感度を変化させることで、高精度に、ギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標を得ることができる。その結果、高精度に工作物Wに歯車の歯を加工することができる。
仮に、円筒外周面Tb1の径に関わらず感度を高くする場合には、円筒外周面Tb1の径が小さい場合において、センサ40の距離検出方向に直交する方向に、センサ40とギヤスカイビングカッタTとを相対的に移動させるときに、距離が短いときの移動範囲が短くなってしまい、距離が短いところの位置が把握しづらくなってしまう。つまり、円筒外周面Tb1の径が小さい場合に感度を高くしてしまうと、ギヤスカイビングカッタTの中心軸の熱変位後の位置座標を高精度に得ることができないおそれがある。そこで、常に感度を高くするのではなく、上記のように、円筒外周面Tb1の径が小さい場合には、感度を低くしている。
1 歯車加工装置
23 工作物主軸装置
33 工具主軸装置
40 センサ
41 検出部
42 アンプ回路
50 制御装置
51 工具座標演算部
52 工具位相演算部
53 加工制御部
61~64 移動装置
T 歯切り工具
Ta 刃部
Tb 軸部
Tb1 円筒外周面
Tb2 位相基準要素
W 工作物

Claims (9)

  1. 周方向に複数の工具刃を有する刃部、および、前記刃部に一体に設けられ円筒外周面を有する軸部を備える歯切り工具と、
    前記歯切り工具を回転可能に保持する工具主軸装置と、
    前記歯切り工具により加工される工作物を回転可能に保持する工作物主軸装置と、
    前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを相対的に移動する移動装置と、
    前記工作物主軸装置に設けられ、前記歯切り工具との距離を検出可能なセンサと、
    前記工作物に歯車の歯を加工するために、前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを同期して回転制御しながら前記移動装置を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記歯切り工具は、前記軸部の前記円筒外周面の径が異なる複数の種類を適用され、
    前記制御装置は、
    前記センサの検出結果に基づいて、前記工作物主軸装置に対する前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の位置座標を演算する工具座標演算部と、
    前記工具座標演算部により演算された前記位置座標に基づいて、前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを同期して回転制御しながら前記工作物を加工するために前記移動装置を制御する加工制御部と、
    を備え、
    前記工具座標演算部は、
    前記センサを前記歯切り工具の前記軸部の前記円筒外周面に対向させた状態において、前記歯切り工具の中心軸に直交する方向であり、かつ、前記センサの距離検出方向に直交する方向に、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させる移動処理を実行し、
    前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させているときに前記センサにより検出される前記歯切り工具の前記円筒外周面までの離間距離に基づいて、前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の前記位置座標を演算する演算処理を実行し、
    前記移動処理は、
    前記工具主軸装置に装着されている前記歯切り工具の前記円筒外周面の径が大きいほど、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に低速で移動させ、
    前記工具主軸装置に装着されている前記歯切り工具の前記円筒外周面の径が小さいほど、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に高速で移動させる、歯車加工装置。
  2. 前記演算処理は、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させているときに前記センサにより検出される前記歯切り工具の前記円筒外周面までの離間距離に基づいて、前記センサと前記歯切り工具との相対移動方向における前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の前記位置座標を演算する、請求項1に記載の歯車加工装置。
  3. 前記演算処理は、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させているときに前記センサにより検出される前記歯切り工具の前記円筒外周面までの離間距離に基づいて、前記歯切り工具の中心軸に直交する方向であり、かつ、前記センサと前記歯切り工具との相対移動方向に直交する方向における前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の前記位置座標を演算する、請求項1または2に記載の歯車加工装置。
  4. 前記制御装置は、さらに、前記センサにより検出される熱変位後の前記位置座標と熱変位のないときの基準との差が、上限値を上回った場合、または、下限値を下回った場合に異常と判定する異常判定処理を実行し、
    前記上限値または前記下限値は、
    前記歯車加工装置の運転準備動作開始後の熱的非定常状態において、時間経過に応じて大きくなるように設定され、
    前記熱的非定常状態の後における熱的定常状態において、時間経過に関わりなく一定値に設定される、請求項1~3のいずれか1項に記載の歯車加工装置。
  5. 前記制御装置は、さらに、前記センサの検出結果に基づいて、前記歯切り工具の前記刃部における基準位相を演算する工具位相演算部を備え、
    前記加工制御部は、前記工具座標演算部により演算された前記位置座標および前記工具位相演算部により演算された前記基準位相に基づいて、前記工作物を加工するために前記移動装置、前記工具主軸装置および前記工作物主軸装置を制御する、請求項1~4のいずれか1項に記載の歯車加工装置。
  6. 前記軸部は、前記円筒外周面、および、周方向の一部に前記円筒外周面に対して凹状または凸状に形成された位相基準要素を備え、
    前記工具座標演算部による前記演算処理は、前記センサにより検出される前記軸部の前記円筒外周面までの離間距離に基づいて、前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の前記位置座標を演算し、
    前記工具位相演算部は、前記センサにより検出される前記軸部の前記位相基準要素までの離間距離に基づいて、前記歯切り工具の前記基準位相を演算する、請求項5に記載の歯車加工装置。
  7. 周方向に複数の工具刃を有する刃部、および、前記刃部に一体に設けられ円筒外周面を有する軸部を備える歯切り工具と、
    前記歯切り工具を回転可能に保持する工具主軸装置と、
    前記歯切り工具により加工される工作物を回転可能に保持する工作物主軸装置と、
    前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを相対的に移動する移動装置と、
    前記工作物主軸装置に設けられ、前記歯切り工具との距離を検出可能なセンサと、
    前記工作物に歯車の歯を加工するために、前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを同期して回転制御しながら前記移動装置を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記歯切り工具は、前記軸部の前記円筒外周面の径が異なる複数の種類を適用され、
    前記制御装置は、
    前記センサの検出結果に基づいて、前記工作物主軸装置に対する前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の位置座標を演算する工具座標演算部と、
    前記工具座標演算部により演算された前記位置座標に基づいて、前記工作物を加工するために前記工具主軸装置と前記工作物主軸装置とを同期して回転制御しながら前記移動装置を制御する加工制御部と、
    を備え、
    前記工具座標演算部は、
    前記センサを前記歯切り工具の前記軸部の前記円筒外周面に対向させた状態において、前記歯切り工具の中心軸に直交する方向であり、かつ、前記センサの距離検出方向に直交する方向に、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させる移動処理を実行し、
    前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させているときに前記センサにより検出される前記歯切り工具の前記円筒外周面までの離間距離に基づいて、前記歯切り工具の中心軸の熱変位後の前記位置座標を演算する演算処理を実行し、
    前記工具座標演算部は、
    前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させる際に、前記工具主軸装置に装着されている前記歯切り工具の前記円筒外周面の径が大きいほど、前記センサのアンプ回路の感度を高くし、
    前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させる際に、前記工具主軸装置に装着されている前記歯切り工具の前記円筒外周面の径が小さいほど、前記センサの前記アンプ回路の感度を低くする、歯車加工装置。
  8. 前記工具座標演算部は、前記センサと前記歯切り工具とを相対的に移動させる際に、前記歯切り工具の前記円筒外周面の径に関わらず、前記センサと前記歯切り工具との相対的な移動速度を一定とする、請求項7に記載の歯車加工装置。
  9. 前記歯切り工具は、軸方向端面をすくい面とし、かつ、径方向外面を逃げ面とする複数の前記工具刃を有するギヤスカイビングカッタである、請求項1~8のいずれか1項に記載の歯車加工装置。
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