JP7566577B2 - トナーおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法などの方法によって形成される静電潜像を現像するためのトナーおよびその製造方法に関する。
近年、複写機やプリンター、ファックスなどに用いられる乾式静電複写方式の電子写真においては、省エネルギー化が大きな技術的課題として考えられており、画像定着装置にかかる熱量の大幅な削減が望まれている。したがって、トナーにおいては、より少ないエネルギーでの画像定着が可能な、いわゆる「低温定着性」のニーズが高まっている。
トナーの低温定着性を改善するための一般的な方法としては、使用する結着樹脂の軟化を目的として、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を低くする方法や結着樹脂の分子量を小さくする方法が挙げられる。しかしながら、単に結着樹脂のTgを低くさせるだけ、あるいは分子量を小さくするだけでは、トナーの保存安定性の低下や、定着時の離型性不足による定着部材へのオフセットの発生などが起こる。
ガラス転移温度(Tg)を維持しながら、トナー強度を高めるために、結着樹脂の分子量を大きくしたり、結着樹脂に架橋構造を持たせたりすることが一般的に行われている。しかし、この方法のみでは一定以上にトナー強度を高めると、必然的に低温定着性が損なわれることとなる。
例えば、特許文献1では、パールネックレス状のシリカを添加することによって、トナー強度を大きくする方法が開示されている。
特開2009-42386号公報
特許文献1によれば、一般的なシリカに比べトナー強度を大きくすることができる。しかしながら、低温定着性が良好なトナーとした場合、結着樹脂とシリカの界面で割れやすくなり、長期使用でのトナーの割れ欠けよる部材汚染に課題があった。
これら課題に鑑み、本発明は、低温定着性が損なわれることなく、長期使用での割れ欠け抑制に優れたトナーを提供するものである。
本発明は、トナー粒子を含有するトナーであって、該トナー粒子が、結着樹脂、樹脂A、ケイ素を含有する粒子を含有し、
該樹脂A後述の式(1)で表される構造(但し、式中のL 1 は後述の式(17)で表される構造または式(18)で表される構造である連結基)を有し
該ケイ素を含有する粒子は、シリカもしくは有機ケイ素重合体から選択される少なくとも一つであることを特徴とするトナーに関する。
また、本発明は、上記構成のトナーの製造方法であって、
前記樹脂A、前記ケイ素を含有する粒子、及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散し、該水系媒体中で該重合性単量体組成物の粒子を形成する工程、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合する工程を有するトナーの製造方法に関する。
さらに、本発明は、上記構成のトナーの製造方法であって、
結着樹脂、前記樹脂A、前記ケイ素を含有する粒子を含有する混合物を溶融混練し、溶融混練物を得る工程、該溶融混練物を粉砕して粉砕物を得る工程を有するトナーの製造方法に関する。
以上説明したように、本発明によれば、低温定着性が損なわれることなく、長期使用での割れ欠け抑制に優れたトナーを提供することができる。
以下に本発明のトナーを具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明のトナーは、結着樹脂、樹脂A、ケイ素を含有する粒子を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記樹脂Aは、分子内に置換または無置換のシリル基を有し、該置換のシリル基の置換基が、炭素原子数1以上のアルキル基、炭素原子数1以上のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子または炭素原子数6以上のアリール基から選択される少なくとも一つであり、該ケイ素を含有する粒子は、シリカもしくは有機ケイ素重合体から選択される少なくとも一つであることを特徴とする。
本発明者らは、上記のような構成のトナーを採用することで、低温定着性が損なわれることなく、長期使用での割れ欠け抑制に優れることを見出した。
この理由については、以下のように推察している。
低温定着性が良好なトナーは、画像形成の際にローラーや現像ブレードにより摺擦された際、トナー粒子は柔らかくつぶれやすい。そのため、その摺擦に耐えうるには、トナーの強度を高める必要がある。一般に、シリカなどのケイ素を含有する粒子の添加(フィラー効果)でトナー粒子を硬くすることが知られている。一方でシリカなどのケイ素を含有する粒子はトナー粒子内での分散性が悪く、多量に添加する必要がある。ケイ素を含有する粒子を多量添加し、トナーの強度を高めたとしても、ケイ素を含有する粒子と結着樹脂の界面は割れやすく、もろいため、長期使用での割れ欠けに課題がある。また、ケイ素を含有する粒子を多量に添加した場合、低温定着性が損なわれるといった課題がある。
一方、本発明のトナーには、樹脂Aの分子内に置換または無置換のシリル基を有している。これにより、シリカなどのケイ素を含有する粒子のトナー粒子内での分散性が向上する。また、この樹脂Aを介して、結着樹脂とケイ素を含有する粒子の密着性が上がり、ケイ素を含有する粒子と結着樹脂の界面での割れ欠けを抑える効果を発現していると推察している。これにより、低温定着性が損なわれることなく、長期使用でのトナーの割れ欠け抑制に良好な効果が発現したと考えている。
以下、本発明の好ましい構成要件について説明する。
まず、本発明に用いられる結着樹脂について説明する。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。トナーの現像特性及び耐久性の観点から、結着樹脂はスチレンユニット、アクリルユニット、およびメタクリルユニットからなる群より選択される少なくとも一種のユニット(以下、スチレンアクリル系共重合体部位と称する)を含有する樹脂、もしくは、ポリエステル部位を含有する樹脂であることが好ましい。
スチレンアクリル系共重合体部位を有していれば、スチレンアクリル系共重合体のみからなっていてもよいし、スチレンアクリル系共重合体と他の重合体とのブロック共重合体やグラフト共重合体、又はそれらの混合物であってもよい。
スチレンユニットを構成するスチレン系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。スチレン系単量体は一種類で用いることもできるが、これらの中から選ばれる二種以上を組み合わせて用いることもできる。
アクリルユニットを構成するアクリル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレートのようなアクリル酸アルキルエステル類;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートなどのアクリル酸ジエステル類;アクリル酸などが挙げられる。
メタクリルユニットを構成するメタクリル系単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレートのようなメタクリル酸アルキルエステル類;メタクリル酸などが挙げられる。
アクリル系単量体、およびメタクリル系単量体は一種類で用いることもできるが、これらの中から選ばれる二種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記スチレンアクリル系共重合体部位を有する樹脂は、スチレン-アクリル酸アルキルエステル共重合体、又はスチレン-メタクリル酸アルキルエステル共重合体を含むことが好ましい。
スチレンアクリル系共重合体を形成する単量体のうち、スチレン系単量体の割合は、45質量%以上80質量%以下であることが好ましい。アクリル系単量体(好ましくはアクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル)の割合は、20質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
ポリエステル部位を含有する樹脂としては、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させたものを用いることができる。カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、ポリエステルは、ウレア基を含有したポリエステルであってもよい。ポリエステルとしては末端などのカルボキシル基はキャップしないことが好ましい。
結着樹脂には、架橋剤が含有されていてもよい。
架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。
例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が挙げられる。
これらは、単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。架橋剤の添加量は、前記結着樹脂100質量部に対して、0.001質量部以上15.000質量部以下であることが好ましい。
以下に本発明の樹脂Aについて、詳細に説明する。
本発明の樹脂Aは、下記式(1)で表される構造を有する樹脂であることが好ましい。
Figure 0007566577000001
(式(1)中、P1は高分子部位を表し、L1は単結合または二価の連結基を表し、R1~R3はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヒドロキシ基を表し、mは正の整数を表し、mが2以上である場合の、複数のL1、複数のR1、複数のR2および複数のR3は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)
該式(1)で表される樹脂では、ケイ素原子(Si)が樹脂の側鎖又は末端に存在している。これにより、ケイ素を含有する粒子を樹脂Aの近傍に効率的に存在させる効果を生み出すと考えている。この樹脂Aを介して、結着樹脂とケイ素を含有する粒子の密着性があがり、粒子界面での割れ欠けが抑制される。結果として長期使用でのトナーの割れ欠け抑制に良好な効果が発現していると考えている。
前記樹脂Aのトナー粒子中の含有量が0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。前記範囲であることで、低温定着性が損なわれることなく、長期使用での割れ欠け抑制に良好な効果を示す。
前記式(1)中の高分子部位P1は、特に限定されるものではないが、ポリエステル部位、ビニル樹脂部位、ポリウレタン部位、ポリカーボネート部位、フェノール樹脂部位、ポリオレフィン部位等が挙げられる。これらの中でも、P1の構造がポリエステル部位、ビニル樹脂部位を含有することが好ましく、中でもP1の構造がポリエステル部位を含有することがより好ましい。
前記P1の構造がポリエステル部位を含有すると、トナー粒子中でのケイ素を含有する粒子の分散性が良好となる効果を生み出すと考えている。この樹脂Aを介して、結着樹脂とケイ素を含有する粒子の密着性が上がり、粒子界面での割れ欠けが抑制される。結果として、長期使用でのトナーの割れ欠け抑制に良好な効果が発現していると考えている。
前記P1の構造がポリエステル部位を含有する例を説明する。
前記ポリエステル部位は、ジアルコールとジカルボン酸の縮合体である。ポリエステル部位としては、例えば、下記式(12)のユニットと、下記式(13)~(15)の何れかより選択されるユニット(複数選択可能)との縮合体である場合、もしくは下記式(16)のユニットで表される縮重合体が挙げられる。
Figure 0007566577000002
[式(12)中、R9はアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基を表す。]
Figure 0007566577000003
[式(13)中、R10はアルキレン基、フェニレン基を表す。]
Figure 0007566577000004
[式(14)中、R18はエチレン基又はプロピレン基を表す。x、yはそれぞれ0以上の整数値であり、且つx+yの平均値は2以上10以下である。]
Figure 0007566577000005
[式(16)中、R11はアルキレン基、アルケニレン基を表す。]
前記式(12)中のR9におけるアルキレン基としては、以下のものが挙げられる。メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、1,3-シクロペンチレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン基。
前記式(12)中のR9におけるアルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基、2-ブテニレン基が挙げられる。
前記式(12)中のR9におけるアリーレン基としては、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基、2,6-ナフチレン基、2,7-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基が挙げられる。
前記式(12)中のR9は、置換基により置換されていても良い。この場合、置換しても良い置換基としては、メチル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、トリフルオロメチル基及びそれらの組合せが挙げられる。
前記式(13)中のR10におけるアルキレン基としては、以下のものが挙げられる。メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、1,3-シクロペンチレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン基。
前記式(13)中のR10におけるフェニレン基としては、1,4-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基が挙げられる。
前記式(13)中のR10は置換基により置換されていても良い。この場合、置換しても良い置換基としては、メチル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子及びそれらの組合せが挙げられる。
前記式(16)中のR11におけるアルキレン基としては、以下のものが挙げられる。メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、1,4-シクロヘキシレン基。
前記式(16)中のR11におけるアルケニレン基としては、以下のものが挙げられる。ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘキサジエニレン基、ヘプテニレン基、オクタニレン基、デセニレン基、オクタデセニレン基、エイコセニレン基、トリアコンテニレン基。これらのアルケニレン基は直鎖状、分岐状、及び環状のいずれの構造であっても良い。また、二重結合の位置はいずれの箇所でも良く、少なくとも一つ以上の二重結合を有していれば良い。
前記式(16)中のR11は置換基により置換されていても良い。この場合、置換しても良い置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子及びそれらの組合せが挙げられる。
また、前記P1の構造が、ビニル樹脂部位を含有する場合、スチレンアクリル系共重合体部位を含有する樹脂であることが好ましい。
前記式(1)中のL1は、特に限定されるものではないが、例えば下記式(17)~(20)で表されるような部分構造を有することが好ましい。
Figure 0007566577000006
[式(17)中のR5は、アルキレン基、アリーレン基、または-NH-基を含有するアルキレン基を表す。(*)は前記式(1)中のP1への結合部位を表し、(**)は前記式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。]
Figure 0007566577000007
[式(18)中のR6は、アルキレン基、アリーレン基を表す。(*)は前記式(1)中のP1への結合部位を表し、(**)は前記式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。]
Figure 0007566577000008
Figure 0007566577000009
[式(19)及び(20)中のR7及びR8は、各々独立して、アルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基を表す。(*)は前記式(1)中のP1への結合部位を表し、(**)は前記式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。]
これらの中でも、L1の構造が、前記式(17)で表されるアミド結合を含有する構造を持つことで、低温定着性が損なわれることなく、長期使用での割れ欠け抑制に優れた効果を生み出すのに加えて、トナー定着後のテープ剥離特性の向上が確認された。これはアミド結合が、定着メディアである紙繊維を構成するセルロースの持つ水酸基との親和性が高いためと推測している。
前記式(17)で表される部分構造は、アミド結合を含有する二価の連結基である。前記部分構造は、例えば、樹脂中のカルボキシ基とアミノシラン化合物との反応によって形成される。
前記アミノシラン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えばγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニルγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルγ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-6-(アミノヘキシル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメチルシラン、3-アミノプロピルシリコン等が挙げられる。
前記式(18)で表される部分構造は、ウレタン結合を含有する二価の連結基である。前記部分構造は、例えば、樹脂中のヒドロキシ基とイソシアネートシラン化合物との反応によって形成される。
前記イソシアネートシラン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルジメチルメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
前記式(19)または(20)で表される部分構造は、樹脂中のエステル結合にグラフト化させた結合を含有する二価の連結基である。
該連結基は、反応によって形成される場合に限らないが、反応させる場合は、例えば、エポキシシラン化合物の挿入反応によって形成される。
エポキシシラン化合物の挿入反応とは以下のような反応である。樹脂中の主鎖に含まれるエステル結合に、エポキシシラン化合物のエポキシ基を挿入反応させる工程を包含する。
ここでいう挿入反応は、例えば、有機合成化学、第49巻、第3号、第218頁、1991年に「ポリマー鎖中のエステル結合へのエポキシ化合物の挿入反応」として説明されている反応をいう。
この反応機構は、簡単なモデル式で表わすと下記で表される。
Figure 0007566577000010
(D及びEは樹脂の構成部を示し、Fはエポキシ化合物の構成部を示す。)
上記モデル式において、エポキシ基の開環にはα開裂とβ開裂があることから2種類の化合物ができるが、いずれも樹脂中のエステル結合へエポキシ基が挿入された形、言い換えればエポキシ化合物のエポキシ部位を除く構成部が樹脂にグラフトした形となる。
エポキシシラン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、β-(3,4-エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
また、前記式(1)中のR1~R3のうち、少なくとも一つはアルコキシ基、またはヒドロキシ基であることが好ましい。さらに、前記式(1)中のR1~R3が、各々独立してアルコキシ基、またはヒドロキシ基であるものはより好ましい。
これらアルコキシ基、またはヒドロキシ基は、Si-O-結合を多く含むことになり、樹脂Aとケイ素を含有する粒子との密着性がより高まると考えられる。この樹脂Aを介して、結着樹脂とケイ素を含有する粒子の密着性があがり、粒子界面での割れ欠けが抑制される。結果として長期使用でのトナーの割れ欠け抑制に良好な効果を示す。
なお、前記式(1)中のR1~R3の一つ以上をヒドロキシル基とするためには、R1~R3の一つ以上がアルコキシ基である樹脂を加水分解し、アルコキシ基をヒドロキシ基に変換してもよい。加水分解の方法は、どのような方法でも構わないが、例えば以下の手法がある。
前記式(1)中のR1~R3の一つ以上がアルコキシ基である樹脂を適当な溶媒(重合性単量体でも構わない)に溶解、または懸濁し、酸やアルカリを用いてpHを酸性に調整し混合し、加水分解させる。また、トナー粒子製造中に加水分解を起こさせても構わない。
次に、前記式(1)で表される樹脂Aの好適な重量平均分子量(Mw)について説明する。
前記式(1)で表される樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は、3000以上100000以下であることが好ましく、より好ましくは5000以上30000以下である。前記範囲であることで、前記式(1)における高分子部位(L1)と結着樹脂との親和性が十分となり、長期使用での割れ欠け抑制に良好な効果を示す。
前記式(1)で表される樹脂Aの重量平均分子量(Mw)の測定方法は後述する。
次に、本発明におけるケイ素を含有する粒子について説明する。
本発明のケイ素を含有する粒子は、シリカもしくは有機ケイ素重合体からなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする。
該ケイ素を含有する粒子は、該トナー粒子に対して、0.040質量%以上0.800質量%以下であることが好ましい。前記範囲であることで、低温定着性が損なわれることなく、長期使用での割れ欠け抑制に良好な効果を示す。
本発明のケイ素を含有する粒子は、有機ケイ素重合体であり、下記式(3)で表される構造を有することが好ましい。
R-SiO3/2 式(3)
(式(3)中、Rは炭素数1以上4以下のアルキル基である。)
有機ケイ素重合体であり、式(3)の構造を有すると、樹脂Aとの親和性が高なり、且つ結着樹脂との親和性も高くなる。結果として、結着樹脂とケイ素を含有する粒子の密着性があがり、粒子界面での割れ欠けが抑制される。
式(3)の構造を有する有機ケイ素重合体は、下記式(4)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
Figure 0007566577000011
(式(4)中、R21は、炭素数1以上4以下の炭化水素基を表し、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
結着樹脂との親和性をよくする観点から、R21は炭素数1以上4以下の炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
22、R23及びR24は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合させて架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点から、炭素数1以上3以下のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。また、R22、R23及びR24の加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(4)中のR21を除く一分子中に3つの反応基(R22、R23及びR24)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
上記式(4)としては以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシランのような三官能性のシラン。
本発明において、ケイ素を含有する粒子としてシリカ粒子を用いることができる。
シリカ粒子の製造方法としては、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法(即ち、ヒュームドシリカの製造方法)、金属珪素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法、珪酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式法(このうちアルカリ条件で合成したものを沈降法、酸性条件で合成したものをゲル法という)、ヒドロカルビルオキシシランなどのアルコキシシランの加水分解によって得られるゾルゲル法(いわゆるStoeber法)が挙げられる。
本発明におけるケイ素を含有する粒子の個数平均粒径は、5nm以上200nm以下であることが好ましい。前記範囲であることで、低温定着性が損なわれることなく、長期使用での割れ欠け抑制に良好な効果を示す。
次に着色剤について説明する。
本発明のトナーは、必要に応じて着色剤を用いることもできる。着色剤は特に制限はなく、例えば以下に示す公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。
パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
必要により、着色剤には表面処理を施してもよい。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して1.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
次にワックスについて説明する。
本発明のトナーは、必要に応じてワックスを用いることが好ましい。ワックスとしては以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。上記ワックスは、1種を又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
エステルワックスを形成する脂肪族アルコールの例としては、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、1-ヘキサデカノール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコールが挙げられる。また、脂肪族カルボン酸の例としては、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸が挙げられる。
ワックスの含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して0.5質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
次に荷電制御剤について説明する。
本発明のトナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤として、トナー粒子を負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又はエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩のようなによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
これら荷電制御剤は単独で又は2種類以上組み合わせて含有することができる。これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
次に外添剤について説明する。
本発明のトナー粒子は、そのままトナーとして用いても良いが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる外添剤である流動化剤、クリーニング助剤などを添加してトナーとしてもよい。
外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。外添剤のBET比表面積は、10m2/g以上450m2/g以下であることが好ましい。
BET比表面積は、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置(商品名:ジェミニ2375 Ver.5.0、(株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m2/g)を算出することができる。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上5質量部以下である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
次に現像剤について説明する。
本発明のトナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金など、公知の材料からなる磁性粒子を用いることができる。これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアとしては、体積平均粒径が15μm以上100μm以下のものが好ましく、25μm以上80μm以下のものがより好ましい。
次に、トナー粒子およびトナーの製造方法について説明する。
トナー粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、混練粉砕法や湿式製造法を用いることができる。湿式製造法には懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などを挙げることができる。中でも、懸濁重合法や混練粉砕法が、トナー粒子中にケイ素を含有する粒子を樹脂Aの近傍に効率的に存在させることができるため、より好ましい。
次に懸濁重合法によりトナー粒子を製造する場合について述べる。
(重合性単量体組成物の調製工程)
懸濁重合法においてはまず、結着樹脂を生成するための重合性単量体、前記式(1)で表される樹脂A、ケイ素を含有する粒子と、必要に応じて、ワックス、着色剤、荷電制御剤、架橋剤、重合開始剤、及びその他の添加剤をボールミル、超音波分散機のような分散機を用いてこれらを均一に溶解又は分散して重合性単量体組成物を得る。前記重合性単量体としては、前述のスチレンアクリル系共重合体を形成する単量体として例示したものが挙げられる。
なお、ケイ素を含有する粒子及び着色剤は予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体又は有機溶媒中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、全ての組成物を混合した後に分散させてもよい。
また、ケイ素を含有する粒子はそれ単独で添加してもよいが、ケイ素を含有する粒子を予め含有するトナー粒子を原材料として再度用いることによって添加してもよい。
(重合性単量体組成物の分散工程(造粒工程))
次に、前記重合性単量体組成物を予め用意しておいた水系媒体中に投入し、高剪断力を有する撹拌機や分散機により、重合性単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズに形成する。
造粒工程における水系媒体は分散安定剤を含有していることが、トナー粒子の粒径制御、粒度分布のシャープ化、製造過程におけるトナー粒子の合一を抑制するために好ましい。分散安定剤としては、一般的に立体障害による反発力を発現させる高分子と、静電気的な反発力で分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。難水溶性無機化合物の微粒子は、酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができるため、好適に用いられる。難水溶性無機化合物の分散安定剤としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、リンのいずれかが含まれているものが好ましく用いられる。より好ましくは、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、リンのいずれかが含まれていることが望まれる。具体的には、以下のものが挙げられる。
リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイド。該難水溶性無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用してもよいが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることができる。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性のリン酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。
前記分散安定剤に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用しても構わない。これら分散安定剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.1質量部以上20.0質量部以下使用することが好ましい。
さらに、これら分散安定剤の微細化のため、重合性単量体100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
(重合工程)
造粒工程の後、あるいは造粒工程を行いながら、好ましくは50℃以上90℃以下の温度に設定して、重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体の重合を行い、トナー粒子分散液を得る。
重合工程では容器内の温度分布が均一になる様に撹拌操作を行うことが好ましい。重合開始剤を添加する場合、任意のタイミングと所要時間で行うことができる。また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温してもよく、さらに、未反応の重合性単量体、副生成物などを系外に除去するために反応後半、または反応終了後に、一部水系媒体を蒸留操作により留去してもよい。蒸留操作は常圧又は減圧下で行うことができる。
懸濁重合法において使用する重合開始剤としては、重合反応時における半減期が0.5時間以上30時間以下であるものが好ましい。また、重合性単量体100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下の添加量で用いて重合反応を行うと、分子量5000から50000の間に極大を有する重合体を得ることができる。重合開始剤としては、一般的に油溶性開始剤が用いられる。例えば、以下のものが挙げられる。
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルヒドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシピバレート、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤を挙げることができる。
重合開始剤は必要に応じて水溶性開始剤を用いてもよく、以下のものが挙げられる。
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素。
これらの重合開始剤は単独又は複数を併用して使用でき、重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤、重合禁止剤等をさらに添加し用いることも可能である。
(固液分離工程、洗浄工程及び乾燥工程)
トナー粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、トナー粒子分散液を酸又はアルカリで処理してもよい。
得られたトナー粒子分散液からトナー粒子を得るための固液分離は、一般的な濾過方法で行うことができ、その後トナー粒子表面から除去しきれなかった異物を除去するため、リスラリーや洗浄水のかけ洗いなどによって更に洗浄を行うことが好ましい。十分な洗浄が行なわれた後に、再び固液分離してトナーケーキを得る。その後、公知の乾燥手段により乾燥され、必要であれば分級により所定外の粒径を有する粒子群を分離してトナー粒子を得る。
次に、混練粉砕法を用いたトナー粒子の製造例について説明する。
混練粉砕法においてはまず、結着樹脂と、前記式(1)で表される樹脂Aと、ケイ素を含有する粒子と、必要に応じて、ワックス、着色剤、荷電制御剤、及びその他の添加剤を含有する混合物をヘンシェルミキサ、ボールミルなどの混合機により十分混合する。その後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練して各種材料を分散又は溶解して溶融混練物を得、冷却固化工程、粉砕工程、分級工程、必要に応じて表面処理工程を経てトナー粒子を得る。
粉砕工程では、機械衝撃式、ジェット式などの公知の粉砕装置を用いるとよい。また、分級工程及び表面処理工程の順序はどちらが先でもよい。
(外添工程)
得られたトナー粒子に対し、必要に応じて外添剤を添加してもよい。外添工程は、外添剤とトナー粒子を、高速回転する羽根を備えた混合装置に入れ、十分混合することによって行う。
本発明のトナー粒子の粒径は、高精細かつ高解像の画像を得るという観点から重量平均粒径が3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。トナーの重量平均粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて測定することができる。
以下、本発明のトナーに係る各物性の測定方法に関して記載する。
<トナーと外添剤の分離>
トナー粒子の表面に外添剤を有するトナーにおいては、トナー粒子と外添剤を下記方法により分離し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に前記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(容量50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外れた外添剤が分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、トナー粒子を得る。この操作を複数回実施して、必要量のトナー粒子を得る。
<トナー粒子中の(式(1)で表される樹脂Aの取り出し)>
トナー粒子中の式(1)で表される樹脂の取り出しはテトラヒドロフラン(THF)を用いた抽出物を溶媒グラジエント溶出法により分離することで行った。調製方法を以下に示す。
トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、抽出液を脱溶剤して得られた固体がTHF可溶分である。THF可溶分には、式(1)で表される樹脂が含まれる。これを複数回行い、必要な量のTHF可溶分を得た。
溶媒グラジエント溶出法にはグラジエント分取HPCL(島津製作所製LC-20AP高圧グラジエント分取システム、Waters社製SunFire分取カラム50mmφ250mm)を用いて、流量50ml/分で分離を行った。移動相には良溶媒としてTHF、クロロホルム、トルエンを適時選択し、貧溶媒としてアセトニトリル、アセトン、メタノール、n-ヘキサンを適時選択した。必要に応じて溶媒グラジエント溶出を繰り返すことで、式(1)で表される樹脂Aを得た。
<式(1)で表される樹脂A中のケイ素濃度の測定方法>
式(1)で表される樹脂A中のケイ素の含有量の測定は、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。
測定サンプルは、式(1)で表される樹脂Aそのものを用いるか、前記取り出し方法によりトナー粒子から取り出した樹脂Aを用いる。
前記測定サンプル100.00質量部に対して、シリカ(SiO2)微粉末[商品名:AEROSIL NAX50、比表面積:40±10、炭素含有量:0.45~0.85%;日本アエロジル(株)製]を0.50質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粉末を5.00質量部、10.00質量部、15.00質量部となるように測定サンプルとそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とした。測定用ペレットの作製は錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いる。専用のプレス用アルミリングの中に測定サンプル4gを入れて平らにならし、20MPaで60秒間加圧することで、厚さ2mm、直径39mmに成型した測定用ペレットを得る。
それぞれの測定用ペレットについて、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi-Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSi添加濃度を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、測定サンプルについても同様に測定用ペレットを作製し、Si-Kα線の計数率を測定する。そして、得られた検量線から式(1)で表される樹脂中のケイ素濃度(質量%)を求める。
<式(1)で表される樹脂Aの構造確認(R1~R3)>
式(1)で表される樹脂Aに含まれる官能基及び式(1)で表される構造中の高分子部位P1、L1部位、R1~R3部位は、1H-NMR分析、13C-NMR分析、29Si-NMR分析およびFT-IR分析を用いて行う。測定サンプルは樹脂Aそのものを用いるか、前記取り出し方法によりトナー粒子から取り出した樹脂Aを用いる。
1が前記式(17)で表されるようなアミド結合を含有する場合は、1H-NMR分析により同定できる。具体的には、アミド基のNH部位のプロトンのケミカルシフト値によって同定が可能であり、積分値の算出によってアミド基の定量が可能である。
また、式(1)で表される構造中のR1~R3がアルコキシ基、またはヒドロキシ基を含有する場合には、後述する「29Si-NMR(固体)の測定条件」に示す方法によりアルコキシ基、またはヒドロキシ基のケイ素原子に対する価数を決定することが可能である。
29Si-NMR(固体)の測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:式(1)で表される樹脂A 150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:97.38MHz(29Si)
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
試料回転数:10kHz
コンタクト時間:10ms
遅延時間:2s
積算回数:8192回
前記測定により、ケイ素に結合した酸素原子の数に応じた複数のシラン成分をカーブフィッティングにてピーク分離・積分することで存在比を求めることができる。このようにして、式(1)で表される樹脂AのR1~R3のアルコキシ基またはヒドロキシ基の数を確認できる。
<式(1)で表される樹脂Aの構造確認(P1及びL1)>
式(1)で表される樹脂におけるP1、L1及びR1~R3の構造は13C-NMR(固体)測定により確認できる。測定条件は以下の通りである。
13C-NMR(固体)の測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料量:150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
1H-NMR分析(溶液)の測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM-EX400
試料管:3.2mmφ
試料量:10mg
溶媒:CDCl3
測定温度:室温
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
式(1)中のP1、L1及びR1~R3の種類により各種ピークに分離し、それぞれを同定してP1、L1及びR1~R3の種類を決定する。
<式(3)の構造を有する有機ケイ素重合体の確認方法>
トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体の、式(3)で表される構造の確認には、式(3)で表される有機ケイ素重合体そのものを用いるか、次に説明する方法によりトナー粒子から取り出した有機ケイ素重合体を用いることができる。
前述に記載の方法で回収したトナー粒子1gをバイアル瓶に入れクロロホルム31gに溶解させ、分散させる。分散には超音波式ホモジナイザーを用いて30分間処理して分散液を作製する。
超音波処理装置:超音波式ホモジナイザーVP-050(タイテック株式会社製)
マイクロチップ:ステップ型マイクロチップ、先端径φ2mm
マイクロチップの先端位置:ガラスバイアルの中央部、且つバイアル底面から5mmの高さ
超音波条件:強度30%、30分。このとき、分散液が昇温しないようにバイアルを氷水で冷却しながら超音波を掛ける。
分散液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R;株式会社コクサン社製)にて、58.33S-1、30分間の条件で遠心分離を行う。遠心分離後のガラスチューブ内においては、有機ケイ素重合体粒子が分離している。これを抽出して、洗浄のため再度クロロホルム10gに分散させ、遠心分離機を用いて有機ケイ素重合体粒子を分離させる。再度洗浄操作をした後、抽出した有機ケイ素重合体粒子を真空乾燥(40℃/24時間)することでクロロホルムを除去し、サンプルを作製する。
得られたサンプルの重さを秤量することで、トナー粒子中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の含有量を求めることができる。
式(3)のRで表されるアルキル基の有無は、13C-NMRにより確認する。また、式(1)の詳細な構造は1H-NMR、13C-NMR及び29Si-NMRにより確認する。使用する装置及び測定条件を以下に示す。
(測定条件)
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフランTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
当該方法にて、式(3)のRで表されるアルキル基の有無を確認する。シグナルが確認できたら、式(3)の構造は“あり”とする。
13C-NMR(固体)の測定条件)
装置:JEOL RESONANCE製 JNM-ECX500II
測定核周波数:125.77MHz
基準物質:Glycine(外部標準:176.03ppm)
観測幅:37.88kHz
測定法:CP/MAS
コンタクト時間:1.75ms
繰り返し時間:4s
積算回数:2048回
LB値:50Hz
29Si-NMR(固体)の測定方法)
(測定条件)
装置:BRUKER製 AVANCE III 500
プローブ:4mm MAS BB/1H
測定温度:室温
試料回転数:6kHz
試料:測定試料(NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分)150mgを直径4mmのサンプルチューブに入れる。
測定核周波数:99.36MHz
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
観測幅:29.76kHz
測定法:DD/MAS、CP/MAS
29Si 90° パルス幅:4.00μs@-1dB
コンタクト時間:1.75ms~10ms
繰り返し時間:30s(DD/MASS)、10s(CP/MAS)
積算回数:2048回
LB値:50Hz
<ケイ素を含有する粒子の個数平均粒径の確認方法>
ケイ素を含有する粒子の個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって行う。SEM観察の方法は、以下の通り。日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影される画像を用いて行う。S-4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペースト(TED PELLA,Inc、 Product No. 16053, PELCO Colloidal Graphite,Isopropanol base)を薄く塗り、その上に対象の試料を吹き付ける。さらにエアブローして、余分な試料を試料台から除去した後、15mAで15秒間白金蒸着する。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを30mmに調節する。
(2)S-4800観察条件設定
S-4800の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20~40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[2.0kV]、エミッション電流を[10μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[下(L)]を選択し、反射電子像を観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[8.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を5000(5k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。
次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作を更に2度繰り返し、ピントを合わせる。観察粒子の最大径の中点を測定画面の中央に合わせた状態でコントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を10000(10k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。
次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を100000(100k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。
得られたSEMの観察結果から、ケイ素を含有する粒子を粒子数500の個数平均粒径(D1)の計算を画像処理ソフト(イメージJ)により行う。測定方法は以下の通りである。
・有機ケイ素重合体粒子の測定
計測コマンドの中から、選択された形状の最大長さを選択し、有機ケイ素重合体粒子の粒径を計測する。この操作を複数行い、500箇所の平均値を求めることで、ケイ素を含有する粒子の個数平均粒径を算出する。
<重量平均分子量(Mw)の測定方法>
式(1)で表される樹脂Aの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.6質量%以上1.0質量%以下となるように調製する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソ-社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<樹脂の酸価の測定方法>
酸価とは、試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。樹脂の酸価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。
前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。
<重量平均粒子径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒子径(D4)は、以下のようにして測定する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに電解水溶液30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子10mgを少量ずつ電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒子径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒子径(D4)である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例18は参考例である。実施例中及び比較例中の各材料の「部」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<ポリエステル樹脂(a-1)の製造例>
下記の手順によりポリエステル樹脂(a-1)を合成した。
減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置、及び撹拌装置を備えたオートクレーブ中に下記材料を仕込み、窒素雰囲気下、常圧、200℃で5時間反応を行った。
・ビスフェノールA-プロピレンオキサイド2.1モル付加物:39.6部
・テレフタル酸:8.0部
・イソフタル酸:7.6部
・テトラブトキシチタネート: 0.1部
その後、トリメリット酸0.01部及びテトラブトキシチタネート0.12部を追加し、220℃で3時間反応し、さらに10~20mmHgの減圧下で2時間反応してポリエステル樹脂(a-1)を得た。
得られたポリエステル樹脂(a-1)の酸価は6.1、Mw=10200であった。
<スチレンアクリル樹脂(a-2)の製造例>
下記の手順により、スチレンアクリル樹脂(a-2)を合成した。
プロピレングリコールモノメチルエーテル100.0部を窒素置換しながら加熱し、液温120℃以上で還流させた。そこへ、重合性単量体として、スチレン83.4部、アクリル酸ブチル20.9部、アクリル酸1.0部、及び、重合開始剤として、tert-ブチルパーオキシベンゾエート[日油(株)製、商品名:パーブチルZ]0.6部を混合したものを3時間かけて滴下した。滴下終了後、溶液を3時間撹拌した後、液温を170℃まで昇温しながら常圧蒸留した。液温が170℃に到達した後、1hPaに減圧し、1時間蒸留して脱溶剤し、樹脂固形物を得た。前記樹脂固形物をテトラヒドロフランに溶解し、n-ヘキサンで再沈殿させて析出した固体を濾別することでスチレンアクリル樹脂(a-2)を得た。
得られたスチレンアクリル樹脂(a-2)の酸価は10.6、Mw=13000であった。
<式(1)で表される樹脂A(A-1)の製造例>
下記の手順により式(1)で表される樹脂A(A-1)を合成した。
N,N-ジメチルアセトアミド200.00部に、ポリエステル樹脂(a-1)50.00部を溶解し、シラン化合物として、3-アミノプロピルトリエトキシシラン1.20部、トリエチルアミン1.70部、縮合剤としてDMT-MM(4-(4,4-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルフォリニウムクロライド)を1.70部添加し、常温で5時間撹拌した。反応終了後、この溶液をメタノール中に滴下し再沈殿して濾過することで、式(1)で表される樹脂A(A-1)を得た。得られた式(1)で表される樹脂A(A-1)の重量平均分子量Mwは10400であった。以上、得られた式(1)で表される樹脂A(A-1)についての物性を表2に示す。
<式(1)で表される樹脂A(A-2)の製造例>
前記式(1)で表される樹脂A(A-1)の合成において、シラン化合物を表1のように変更した以外は同様の操作で、式(1)で表される樹脂A(A-2)を得た。物性を表2に示す。
<式(1)で表される樹脂A(A-3)の製造例>
前記式(1)で表される樹脂A(A-1)10.0部をトルエン90.0部に溶解した溶液に、純水400.0部と混合撹拌し、希塩酸を用いてpHを4.0に調整し、常温で10.8時間撹拌させた後、撹拌を止め分液ロートに移し油相を抽出した。前記油相を濃縮し、メタノールで再沈殿することによって、式(1)で表される樹脂A(A-3)を得た。
得られた式(1)で表される樹脂A(A-3)を29Si-NMR(固体)測定によって分析したところ、式(1)におけるR1~R3は、いずれもヒドロキシ基であった。物性を表2に示す。
<式(1)で表される樹脂A(A-4)の製造例>
下記の手順により式(1)で表される樹脂A(A-4)を合成した。
クロロホルム500.00部に、ポリエステル樹脂(a-1)50.00部を溶解し、窒素雰囲気下、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン1.30部とチタン(IV)テトライソプロポキシド0.50部を添加し、常温で5時間撹拌した。反応終了後、この溶液をメタノール中に滴下し再沈殿して濾過することで、式(1)で表される樹脂A(A-4)を得た。物性を表2に示す。
<式(1)で表される樹脂A(A-5)の製造例>
前記式(1)で表される樹脂A(A-1)の合成において、ポリエステル樹脂(a-1)をスチレンアクリル樹脂(a-2)とする以外は同様の操作で、式(1)で表される樹脂A(A-5)を得た。物性を表2に示す。
<式(1)で表される樹脂A(A-6)の製造例>
ポリエステル樹脂(a-1)中のエステル結合に対して、エポキシシラン中のエポキシ基による挿入反応により、下記式(19)又は式(20)で表される連結基を形成した式(1)で表される樹脂A(A-6)を得た。
アニソール100.0部に、前記ポリエステル樹脂(A-2)50.0部を溶解し、窒素雰囲気下、5,6-エポキシヘキシルトリメトキシシラン2.90部、テトラブチルホスホニウムブロマイド10.00部を添加して、140℃で5時間撹拌した。放冷後、反応混合物を、クロロホルム200mlに溶解し、メタノール中に滴下し再沈殿して濾過することで、樹脂A(A-6)を得た。物性を表2に示す。
<比較例用樹脂の合成>
樹脂Aの比較例用樹脂として、ポリエステル樹脂(a-1)を樹脂A(A-7)として用いた。
Figure 0007566577000012
Figure 0007566577000013
Figure 0007566577000014
[式(17)中の(*)は式(1)中のP1への結合部位を表し、(**)は前記式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。]
Figure 0007566577000015
[式(18)中の(*)は式(1)中のP1への結合部位を表し、(**)は前記式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。]
Figure 0007566577000016
Figure 0007566577000017
[式(19)及び(20)中の(*)は前記式(1)中のP1への結合部位を表し、(**)は式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。]
表2における、ケイ素濃度は、樹脂A中のケイ素原子の含有量(質量%)を示す。
<式(3)で表される有機ケイ素重合体粒子1の製造例>
下記の手順により式(3)で表される有機ケイ素重合体粒子1を合成した。
25℃の水浴中に、撹拌機及び窒素菅を備えた容器を用意しpH3.0に調整した、塩酸水溶液800部を用意した。そこへ、メチルトリエトキシシランを100部添加し、120分間撹拌しメチルトリエトキシシランの加水分解溶液を得た。
一方、撹拌機を備えた容器に1620部の水を入れ温浴にて70℃に加熱したのち、1.0mol/L水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを9.0に調整した。そこへ、上記加水分解溶液を1時間かけ添加し、70℃で保持して1時間縮重合を行った。その後、0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液を徐々に添加してpHを10.5にしたのち、70℃でさらに3時間縮重合して有機ケイ素重合体粒子1の分散液を得た。
得られた有機ケイ素重合体粒子1の分散液を遠心分離工程にて粗粒を除去したのち、ろ過、洗浄及び乾燥することで、有機ケイ素重合体粒子1を得た。
有機ケイ素重合体粒子1の個数平均粒径は40nmであった。有機ケイ素重合体粒子1について表3に示す。
<式(3)で表される有機ケイ素重合体粒子2および3の製造例>
有機ケイ素重合体粒子1の製造例で、下記表3のように変更した以外は同様にして有機ケイ素重合体粒子2および3を得た。
Figure 0007566577000018
表中の略称は以下のとおり。
MTES:メチルトリエトキシシラン
PrTMS:プロピルトリメトキシシラン
シリカ粒子については下記表4のものを用いた。
Figure 0007566577000019
<トナー粒子1の製造>
撹拌機、温度計、還留管を具備した反応容器中に、イオン交換水390.0部、及びリン酸ナトリウム(12水和物)〔ラサ工業(株)製〕14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。次に、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12,000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、前記水系媒体に塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体1を得た。
一方、下記材料をアトライタ(日本コークス工業(株)製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を投入して、220rpmで5.0時間分散させた後、ジルコニア粒子を取り除き、着色剤が分散された分散液1を調製した。
・スチレン 60.0部
・着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
次に、調製した前記分散液1に下記材料を加えた。
・スチレン 15.0部
・アクリル酸n-ブチル 25.0部
・樹脂A(A-1) 4.0部
・有機ケイ素重合体粒子1 0.2部
・ジビニルベンゼン 0.3部
・ワックス(フィッシャートロプシュワックス、融点:78℃) 3.0部
・ワックス(エチレングリコールジステアレート) 10.0部
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサーを用いて、500rpmにて均一に溶解、分散させることで、重合性単量体組成物1を調製した。
前記水系媒体1の温度を72℃、撹拌装置の回転数を12,000rpmに保ちながら、前記水系媒体1中に前記重合性単量体組成物1を投入し、重合開始剤として、t-ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま前記撹拌装置にて12,000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
前記撹拌装置からプロペラ撹拌羽根を備えた撹拌機に変更し、150rpmで撹拌しながら72℃を保持して5.0時間重合を行い、さらに85℃に昇温して2.0時間加熱保持を行った。
反応容器の還留管を冷却管に付け替え、スラリーを100℃まで加熱することで、蒸留を6時間行い未反応の重合性単量体を留去し、トナー粒子分散液1を得た。
得られたトナー粒子分散液1に塩酸を添加し、pHを1.4以下として、前記分散安定剤を溶解し、ろ過、洗浄、乾燥、分級を行うことによって、トナー粒子1を得た。
<トナー粒子2~4、6~23の製造例>
前記トナー粒子1の製造例において、式(1)で表される樹脂A、ケイ素化合物含有粒子を、下記表5のように変更した以外は同様にして、トナー粒子2~4、6~23を得た。
得られたトナー粒子2~4、6~23の物性を表5に示す。
<トナー粒子5の製造例>
結着樹脂の作製
・ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2.2モル付加物 1200部
・ビスフェノールA・エチレンオキサイド2.2モル付加物 475部
・テレフタル酸 250部
・無水トリメリット酸 190部
・フマル酸 290部
・酸化ジブチル錫 0.1部
をガラス製の4リットルの4ツ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取り付けマントルヒーター内に置いた。窒素雰囲気下で、220℃で5時間反応させ、結着樹脂を得た。次に、
・上記結着樹脂 100.0部
・着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 6.5部
・樹脂A(A-1) 4.0部
・有機ケイ素重合体粒子1 0.2部
・ワックス(フィッシャートロプシュワックス、融点:78℃) 3.0部
・ワックス(エチレングリコールジステアレート) 10.0部
上記トナー材料をヘンシェルミキサにより十分予備混合を行ってから、二軸式押出機で溶融混練し、冷却後、ハンマーミルを用いて粒径約1~2mm程度に粗粉砕した。次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。さらに、得られた微粉砕物を多分割分級装置で分級して、トナー粒子5を得た。
〔実施例1~18、および、比較例1~5〕
<トナー1~18、および、比較用のトナー19~23の製造>
得られたトナー粒子1~23のそれぞれ100.0部に対して、シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:8nm、BET比表面積:160m2/g)0.8部をヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で混合した。
前記混合処理後、目開き200μmのメッシュで篩い、トナー1~18、および比較用のトナー19~23を得た。得られたトナーの物性を表5に示す。
Figure 0007566577000020
得られた各トナーについて、以下の方法に従って性能評価を行った。
<現像部材汚染評価>
トナー100gを、23℃/相対湿度50%の環境下に24時間放置した後、画像形成装置としてLBP712Ci(キヤノン製)を用い、温度23℃、相対湿度50%で画像評価を行った。
画像形成装置(LBP712Ci(キヤノン製))を準備し、シアンカートリッジからトナーを取り出し、代わりに評価するトナーを充填した。その他にはダミーカートリッジを装着することで評価を実施した。
シアン単色モードにてプロセススピードを240mm/sに設定した。“E”文字(画像印字率1%)を間欠印字(2枚プリントするごとに2秒停止)モードにて、500枚プリントアウトした。
上記シアンカートリッジを取り出し、現像ローラーを取り出した。新たに準備したトナー及び現像ローラーを取り出したシアンカートリッジに先ほど取り出した現像ローラーを取りつけた。
次に、トナーが充填されていなくても画像出力が可能なように画像形成装置を改造した。
これにより、現像ローラー上にコートされたトナーが、現像ブレードによって摺擦を繰りかえす状態を作った。
このカートリッジで、印刷枚数が150枚相当の現像部材上のトナー摺擦を行った後、現像部材を取り出してエアブローを行い、現像部材上のトナーを除去した。この現像ローラーにテーピングを行い、A4のカラーレーザーコピア用紙(キヤノン製、80g/m2)に、張り付けた。
このテープの濃度を5箇所測色し、その平均値を部材汚染の程度の指標とした。測色は、画像濃度は「504分光濃度計」(エックスライト社製)を用いて、現像ローラーのテーピングを行わないものを0.00の基準として評価を行った。結果を表6に示す。
(評価基準)
A:基準との濃度差が0.050未満
B:基準との濃度差が0.050以上0.100未満
C:基準との濃度差が0.100以上0.200未満
D:基準との濃度差が0.200以上
<低温定着性評価>
トナー100gを、23℃/相対湿度50%の環境下に24時間放置した後、画像形成装置としてLBP712Ci(キヤノン製)を用い、温度23℃、相対湿度50%で画像評価を行った。
画像形成装置(LBP712Ci(キヤノン製))を準備し、シアンカートリッジからトナーを取り出し、代わりに評価するトナーを充填した。
次いで、受像紙(HP Laser Jet90、HP社製、90g/m2)上に、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(トナーの載り量:0.9mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。
次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃/相対湿度60%)、プロセススピードを300m/sに設定し、初期温度を120℃として設定温度を2℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下の通りである。
低温側定着開始点とは、低温オフセット現象(トナーの一部が定着器に付着してしまう現象)が観察されない下限温度のことである。結果を表6に示す。
(評価基準)
A:低温側定着開始点が140℃未満
B:低温側定着開始点が140℃以上150℃未満
C:低温側定着開始点が150℃以上160℃未満
D:低温側定着開始点が160℃以上
<テープ剥離性の評価>
画像形成装置(LBP712Ci(キヤノン製))を準備し、シアンカートリッジからトナーを取り出し、代わりに評価するトナーを充填した。
画像形成装置は、現像バイアスを調整できるよう改造したものを使用し、定着メディアには比較的表面凹凸及び坪量が大きいFOX RIVER BOND紙(110g/m2)を用いた。
評価画像はライン画像とする。現像バイアスを振って画像濃度を高く設定することで画像上のトナー量を多くし、さらに表面凹凸が大きい厚紙を用いることで、定着工程において紙の凹部やトナー層の下層部のトナーが溶融しにくくなるため、剥がれに対して厳しく評価できる。
まず、画像形成装置を低温低湿環境下(15℃、10%RH)に一晩放置した。評価環境が低温であると、定着器が暖まりにくく厳しい評価となる。
その後、FOX RIVER BOND紙を用いてライン幅が180μmになるよう、現像バイアスを調整した横線画像を印字する。さらに低温低湿環境下において1時間放置した後に、横線画像に対してポリプロピレン製テープ(tesa社製、Klebeband 19mm×10mm)を張り付け、ゆっくり剥がした。剥がした後の画像を目視及び顕微鏡観察し、下記評価基準にて評価した。結果を表6に示す。
(評価基準)
A:欠損無し
B:欠損がわずかに見られるが、目視では分からない
C:目視でも認識できる欠損がわずかに見られる
D:目視で認識できる欠損があり、ラインが途切れている部分がある
Figure 0007566577000021

Claims (8)

  1. トナー粒子を含有するトナーであって、該トナー粒子が、結着樹脂、樹脂A、ケイ素を含有する粒子を含有し、
    該樹脂A下記式(1)で表される構造を有し
    該ケイ素を含有する粒子は、シリカもしくは有機ケイ素重合体から選択される少なくとも一つであることを特徴とするトナー。
    Figure 0007566577000022
    (式(1)中、P 1 は高分子部位を表し、L 1 は下記式(17)で表される構造または下記式(18)で表される構造である二価の連結基を表し、R 1 ~R 3 はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヒドロキシ基を表し、mは正の整数を表し、mが2以上である場合の、複数のL 1 、複数のR 1 、複数のR 2 および複数のR 3 は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。)
    Figure 0007566577000023
    [式(17)中のR 5 は、アルキレン基、アリーレン基、または-NH-基を含有するアルキレン基を表す。(*)は該式(1)中のP 1 への結合部位を表し、(**)は該式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。]
    Figure 0007566577000024
    [式(18)中のR 6 は、アルキレン基、アリーレン基を表す。(*)は該式(1)中のP 1 への結合部位を表し、(**)は該式(1)中のケイ素原子への結合部位を表す。]
  2. 前記樹脂Aのトナー粒子中の含有量が0.1質量%以上10.0質量%以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記式(1)のP1がポリエステル部位である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記式(1)のR1~R3のうち、少なくとも一つが、アルコキシ基又はヒドロキシ基である請求項1~のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 該ケイ素を含有する粒子は、該トナー粒子に対して、0.040質量%以上0.800質量%以下である請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 該ケイ素を含有する粒子は、該有機ケイ素重合体であり、下記式(3)で表される構造を有する請求項1~のいずれか1項に記載のトナー。
    R-SiO3/2 式(3)
    (式(3)中、Rは炭素数1以上4以下のアルキル基である。)
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載のトナーの製造方法であって、
    前記樹脂A、前記ケイ素を含有する粒子、及び重合性単量体を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散し、該水系媒体中で該重合性単量体組成物の粒子を形成する工程、該重合性単量体組成物の該粒子に含まれる該重合性単量体を重合する工程を有するトナーの製造方法。
  8. 請求項1~のいずれか一項に記載のトナーの製造方法であって、
    結着樹脂、前記樹脂A、前記ケイ素を含有する粒子を含有する混合物を溶融混練し、溶融混練物を得る工程、該溶融混練物を粉砕して粉砕物を得る工程を有するトナーの製造方法。
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