以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。
[実施形態1]
図1~図4を用いて、実施形態1のアクチュエータ1について説明する。
図1は、実施形態1のアクチュエータ1の構成を模式的に示す図である。
アクチュエータ1は、可撓性を有するフレキシブル電極10の変形を動力として機械的仕事を行うソフトアクチュエータである。アクチュエータ1は、一対の電極間に挟持された誘電エラストマの変形を動力とする従来のソフトアクチュエータとは異なり、フレキシブル電極10自体が変形する。アクチュエータ1は、各種産業機械又はロボット等に使用される各種アクチュエータに適用可能である。
実施形態1のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10がアクチュエータ1の外部の面P1に接触するように面P1に載置される(図2を参照)。実施形態1のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10及びベース電極20の両電極間への電圧の印加により発生するクーロン力によって、ベース電極20のフレキシブル電極10との対向面21にフレキシブル電極10が接近するようフレキシブル電極10を変形させる。その後、アクチュエータ1は、両電極間への電圧の印加を停止して、フレキシブル電極10を復元させる(図3を参照)。これによって、アクチュエータ1は、面P1を跳ねる動作を実現することができる。実施形態1のアクチュエータ1の仕事が出力される対象は、アクチュエータ1が載置される面P1である。
アクチュエータ1は、可能性を有するフレキシブル電極10と、フレキシブル電極10を変形させるクーロン力を発生させるために電圧を印加するためのベース電極20とを備える。更に、アクチュエータ1は、フレキシブル電極10をベース電極20に拘束する拘束部材40を備える。
フレキシブル電極10は、拘束部材40によって所定方向への変形が拘束される部分と、フレキシブル電極10とベース電極20との両電極間への電圧の印加によって変形する変形部10aとを有する。変形部10aは、当該両電極間への電圧の印加によって、拘束部材40を支点としてベース電極20の対向面21に接近する方向に変形する。
フレキシブル電極10は、可撓性を有する導電体によって形成される。フレキシブル電極10の可撓性は、ベース電極20との間に電圧が印加されることにより発生するクーロン力の作用によって変形し、当該電圧の印加が停止されると、原形(変形前の形状、すなわち当該電圧が印加される前の形状)に復元するような可撓性である。
フレキシブル電極10は、導電ゴム又は導電ゲル等を用いて形成されてもよい。この導電ゴムとしては、例えば、導電材を混ぜ合わせて成形されたエラストマが挙げられる。この導電材としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック若しくはカーボンナノチューブの微粉末、銀若しくは銅の金属微粉末、又は、シリカ若しくはアルミナ等の絶縁体にスパッタ等によって金属をコートしたコアシェル構造の導電体微粉末等が挙げられる。上記の導電ゲルとしては、例えば、3次元ポリマーマトリックスの中に、水若しくは保湿剤等の溶媒、電解質及び添加剤等を保持させた機能性ゲル材料等が挙げられる。この機能性ゲル材料としては、例えば、積水化成品工業株式会社のテクノゲル(登録商標)が挙げられる。また、フレキシブル電極10は、金属材料を用いて弾性変形可能に形成された板ばね等によって構成されてもよい。
フレキシブル電極10は、円形又は多角形の板状に形成される。本実施形態では、フレキシブル電極10は、円板状に形成される。フレキシブル電極10は、ベース電極20の後述する凹面部27に対向する平板部12を有する。平板部12は、平板部12に沿った方向に張力が付与された状態で凹面部27に対向するよう拘束部材40によって固定される。平板部12に張力が付与された状態とは、平板部12が自身の重量によって撓まないよう平板部12に沿った方向に平板部12が引っ張られた状態である。
平板部12は、縁部12aと、平板部12の縁部12a以外の部分である主部12bとを有する。平板部12の縁部12aは、拘束部材40によって凹面部27の縁部27aに固定される。平板部12の縁部12aは、拘束部材40により固定されることによって、平板部12に沿った方向への変形、及び、平板部12に交差する方向への変形が拘束される。平板部12に交差する方向は、ベース電極20の対向面21の凹面部27に対して接近又は離隔する方向を含む。
平板部12の主部12bは、平板部12の拘束部材40に固定されていない部分である。平板部12の主部12bは、凹面部27に対して接近又は離隔する方向への変形が拘束されない。平板部12の主部12bは、フレキシブル電極10の変形部10aである。平板部12の主部12bは、フレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加時に、拘束部材40を支点として凹面部27に接近する方向に変形する。平板部12の変形部10aである主部12bは、電圧の印加停止時に、拘束部材40を支点として凹面部27から離隔する方向に拘束部材40を越えて変形する。
ベース電極20は、剛性を有する導電体によって形成される。ベース電極20の形成に用いられる材料としては、鉄、銅又はアルミニウムのような金属材料が挙げられる。或いは、ベース電極20は、セラミックス等の耐熱性、剛性及び絶縁性を有する非金属材料を用いて形成された基板の一面を、導電性を有する金属膜等にて被覆することによって形成されてもよい。金属膜が被覆される基板の一面は、フレキシブル電極10に対向する面である。
ベース電極20のフレキシブル電極10との対向面21は、絶縁層22によって被覆される。絶縁層22は、ベース電極20とフレキシブル電極10との間への電圧の印加によってベース電極20に蓄積された電荷が確実に維持されるよう、セラミックスから成る強誘電体を用いて形成される。特に、絶縁層22は、ペロブスカイト構造を有する強誘電体を用いて形成される。ペロブスカイト構造を有する強誘電体としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛((Pb,La)(Zr,Ti)O3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸バリウムストロンチウム((Ba,Sr)TiO3)、又は、ニオブ酸カリウムナトリウム((NaK)NbO3)等が挙げられる。チタン酸バリウムには、CaZrO3やBaSnO3等の物質が固溶されていてもよい。
また、絶縁層22の形成に用いられる材料としては、フレキシブル電極10を変形させるクーロン力が発生し得るような高い比誘電率を有する材料であることが好ましい。絶縁層22の比誘電率は、例えば、セラミックス(ファインセラミックス)が採用されることによって1000以上であってもよい。チタン酸バリウムは、比誘電率が1000~10000前後である。チタン酸ジルコン酸鉛は、比誘電率が500~5000である。チタン酸ストロンチウムは、比誘電率が200~500である。これらのペロブスカイト構造を有する強誘電体は、高い比誘電率を有する材料である。
ベース電極20は、円柱状又は多角柱状に形成される。ベース電極20は、軽量化の観点から、中空構造を有するように形成されてもよい。本実施形態では、ベース電極20は、円柱状に形成される。ベース電極20の一方の底面は、フレキシブル電極10との対向面21である。ベース電極20の対向面21は、フレキシブル電極10から離隔する方向に窪んだ凹面部27を有する。凹面部27は、フレキシブル電極10の平板部12に対向する位置に形成される。凹面部27は、フレキシブル電極10の平板部12に対応する形状に形成される。本実施形態では、凹面部27は、半球面等の湾曲した面によって形成されてもよい。凹面部27と平板部12との間、すなわちベース電極20とフレキシブル電極10との間には、空間24が形成される。空間24は、フレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加時に、ベース電極20の対向面21に接近するよう変形するフレキシブル電極10を受け入れるための空間である。
拘束部材40は、フレキシブル電極10の平板部12の縁部12aと、ベース電極20の凹面部27の縁部27aとを固定することによって、フレキシブル電極10をベース電極20に拘束する。拘束部材40は、平板部12の縁部12aを固定端として支持する。拘束部材40は、絶縁体によって形成される。拘束部材40は、ブラケット若しくはジョイント等の固定具、ねじ若しくはビス等の締結具、又は、接着剤等によって構成されてもよい。
アクチュエータ1は、フレキシブル電極10とベース電極20との間に電圧を印加してアクチュエータ1を駆動する駆動回路60に接続される。
駆動回路60は、直流電圧源等によって構成される電源61と、駆動回路60の各構成要素とフレキシブル電極10及びベース電極20とを接続する配線62と、半導体素子等によって構成されるスイッチ63a~64bと、集積回路等によって構成される制御部65とを含む。
フレキシブル電極10は、配線62によって、電源61の正極及び負極の一方に接続されると共に、フレームグラウンド(又はアース)に接続される。ベース電極20は、配線62によって、電源61の正極及び負極の他方に接続されると共に、フレームグラウンドに接続される。スイッチ63aは、フレキシブル電極10と電源61との間に接続される。スイッチ63bは、フレキシブル電極10とフレームグラウンドとの間に接続される。スイッチ64aは、ベース電極20と電源61との間に接続される。スイッチ64bは、ベース電極20とフレームグラウンドとの間に接続される。
制御部65は、駆動回路60の各構成要素を制御する回路である。制御部65は、スイッチ63a~64bのON/OFF状態を制御することによって、フレキシブル電極10とベース電極20との間における電圧の印加と停止とを切り替える。また、制御部65は、電源61の出力電圧の大きさを制御することによって、印加される電圧の大きさを制御することができる。これにより、制御部65は、フレキシブル電極10に作用するクーロン力の大きさを制御することができ、フレキシブル電極10の変形量を制御することができる。更に、制御部65は、電圧の印加と停止とを切り替える速度を制御することによって、フレキシブル電極10の変形速度を制御することができる。更に、制御部65は、電圧の印加と停止とを切り替えるタイミングを制御することによって、フレキシブル電極10の変形タイミングを制御することができる。
図2は、図1に示すフレキシブル電極10とベース電極20との間に電圧が印加された場合のアクチュエータ1を説明する図である。図3は、図2に示す場合の後に電圧の印加が停止された場合のアクチュエータ1を説明する図である。
図2に示すように、駆動回路60の制御部65は、スイッチ63a,64aをON状態に制御し、スイッチ63b,64bをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間には、電圧が印加される。この場合、電源61の正極に接続されたフレキシブル電極10は正の電荷を帯び、電源61の負極に接続されたベース電極20は負の電荷を帯びる。ベース電極20の対向面21を被覆する絶縁層22は、誘電分極する。絶縁層22は、対向面21との界面付近が正の電荷を帯び、当該界面の反対側(空間24側)の表面付近が負の電荷を帯びる。絶縁層22とフレキシブル電極10との間には、クーロン力が発生する。当該クーロン力によって、フレキシブル電極10は、絶縁層22に引き付けられる。すなわち、当該クーロン力によって、フレキシブル電極10の平板部12は、ベース電極20の対向面21の凹面部27に接近するように変形する。平板部12の変形部10aである主部12bは、拘束部材40を支点として、凹面部27に接近する方向に変形する。
図2に示す場合の後、駆動回路60の制御部65は、図3に示すように、スイッチ63b,64bをON状態に制御し、スイッチ63a,64aをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加が停止される。この場合、フレキシブル電極10及びベース電極20に蓄積された電荷は、フレームグラウンドに解放される。フレキシブル電極10は、フレキシブル電極10の復元力によってベース電極20の対向面21から離隔するように変形する。すなわち、当該復元力によって、フレキシブル電極10の平板部12は、ベース電極20の対向面21の凹面部27から離隔するように変形する。ここで、平板部12は、図1に示す電圧が印加される前の初期段階では、上記のように張力を付与された状態で固定される。したがって、平板部12は、図3に示す場合において、図1に示す初期段階よりも凹面部27から離隔するように変形する。平板部12の変形部10aである主部12bは、拘束部材40を支点として、凹面部27から離隔する方向に拘束部材40を越えて変形する。これにより、平板部12の変形部10aである主部12bは、アクチュエータ1が載置された面P1を押圧することができる。平板部12の変形部10aである主部12bによる押圧の反力によって、アクチュエータ1は、面P1から跳ね上がることができる。
すなわち、アクチュエータ1は、平板部12の変形部10aの変形を、アクチュエータ1が載置された面P1の押圧に利用することによって、アクチュエータ1自体が跳ねる動作を実現することができる。平板部12の変形部10aは、アクチュエータ1の外部に仕事を出力する出力部として機能し得る。実施形態1のアクチュエータ1は、アクチュエータ1の仕事の出力形態を具体化して、跳ねる動作のような従来のソフトアクチュエータでは実現できなかった動作を実現することができる。
図4は、図1に示すベース電極20の他の例を説明する図である。図4では、絶縁層22の図示が省略されている。
実施形態1のベース電極20は、図4に示すように、ベース電極20の対向面21の凹面部27を分割することによって、複数の電極部25a~25dに分割されていてもよい。分割される電極部の数は、任意である。複数の電極部25a~25dは、板状の絶縁部26によって互いに絶縁されている。板状の絶縁部26により、複数の電極部25a~25dには、フレキシブル電極10との間において互いに独立して電圧が印加される。駆動回路60の制御部65は、複数の電極部25a~25dのそれぞれに対して印加される電圧の大きさを制御したり、電圧の印加又は停止のタイミングを制御したりすることができる。これにより、フレキシブル電極10は、電圧が印加された電極部25a~25dに応じて、様々な形態に変形することができる。したがって、実施形態1のアクチュエータ1は、任意の力によって、任意の方向に、任意のタイミングで面P1から跳ね上がることができる。
[実施形態2]
図5~図6を用いて、実施形態2のアクチュエータ1について説明する。実施形態2のアクチュエータ1において、従前の実施形態と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
図5は、実施形態2のアクチュエータ1の構成を模式的に示す図である。図5は、フレキシブル電極10とベース電極20との間に電圧が印加された場合を示す。図6は、図5に示すフレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加が停止された場合のアクチュエータ1を説明する図である。図5~図6では、駆動回路60の図示が省略されている。
実施形態1のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10が面P1に接触するように面P1に載置されていた。実施形態1のアクチュエータ1の仕事が出力される対象物は、アクチュエータ1が載置される面P1である。実施形態1のアクチュエータ1は、平板部12の変形部10aの変形を、アクチュエータ1が載置された面P1の押圧に利用することによって、アクチュエータ1自体が跳ねる動作を実現していた。
一方、実施形態2のアクチュエータ1は、ベース電極20が面P1に接触するように面P1に載置される。実施形態2のベース電極20は、面P1に交差する方向に移動しないよう面P1に固定されていてもよい。実施形態2のアクチュエータ1の仕事が出力される対象は、図5及び図6に示すようなフレキシブル電極10に載置される対象物T1である。実施形態2のアクチュエータ1は、平板部12の変形部10aの変形を、対象物T1を弾き出すことに利用することによって、対象物T1を投擲する動作を実現することができる。実施形態2のアクチュエータ1は、アクチュエータ1の仕事の出力形態を具体化して、投擲する動作のような従来のソフトアクチュエータでは実現できなかった動作を実現することができる。
なお、実施形態2のベース電極20は、図4に示すベース電極20と同様に、互いに独立して電圧が印加される複数の電極部25a~25dに分割されていてもよい。実施形態2のアクチュエータ1においても、実施形態1と同様に、任意の力によって、任意の方向に、任意のタイミングで対象物T1を投擲することができる。
[実施形態3]
図7~図12を用いて、実施形態3のアクチュエータ1について説明する。実施形態3のアクチュエータ1において、従前の実施形態と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
図7は、実施形態3のアクチュエータ1の構成を模式的に示す図である。図7では、ベース電極20の対向面21を被覆する絶縁層22の図示が省略されている。図8~図20でも同様に、絶縁層22の図示が省略されている。
実施形態3のアクチュエータ1は、対象物T2の上方に配置される。対象物T2は、アクチュエータ1の外部の面P2上の液体又は粉体等である。実施形態3のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10及びベース電極20の両電極間への電圧の印加によって、フレキシブル電極10の後述するスカート部14を、ベース電極20の後述する筒部28の径方向内側に向かって変位させる(図8を参照)。これにより、実施形態3のアクチュエータ1は、対象物T2を捕集する動作を実現することができる。実施形態3のアクチュエータ1の仕事が出力される対象は、面P2上の対象物T2である。
実施形態3のベース電極20は、一端部28aが閉塞され他端部28bが開口する筒部28を有する。筒部28は、中空構造を有し、円筒状又は多角筒状に形成される。筒部28は、筒部28の軸線方向に沿った断面が櫛歯状を有するように形成される。筒部28は、底部29と、フランジ部30と、開口部31と、外壁部32と、内壁部33とを有する。
底部29は、筒部28の一端部28aに設けられ、一端部28aを閉塞する。底部29は、筒部28の内部の空気を一端部28aから筒部28の外部に排出する孔を有していてもよい。底部29は、筒部28の径方向に延びる。筒部28の径方向は、筒部28の中心軸が延びる方向である筒部28の軸線方向に交差(直交)する方向である。フランジ部30は、底部29から、筒部28の径方向の外側に延びる。筒部28の径方向の外側は、筒部28の径方向において筒部28の外部に向かう側である。フランジ部30は、筒部28の外表側面28cに連続する下面30aを有する。下面30aは、筒部28の径方向に沿って延びると共に筒部28の軸線方向に交差(直交)する。筒部28の外表側面28cは、筒部28の軸線方向に沿って延びると共に、筒部28の径方向に交差(直交)する。
外壁部32及び内壁部33は、底部29から開口部31まで筒部28の軸線方向に延びる。外壁部32は、筒部28の外表側面28cを形成する。内壁部33は、外壁部32から径方向の内側に向かって間隔をあけて配置される。外壁部32及び内壁部33は、同一の中心軸を有する円筒状又は多角筒状に形成されてもよい。開口部31は、外壁部32の先端部と内壁部33の先端部とによって形成されると共に、内壁部33の先端部同士によって形成される。外壁部32の先端部及び内壁部33の先端部は、それぞれ、軸線方向において底部29とは反対側に位置する外壁部32の端部及び内壁部33の端部である。
実施形態3のベース電極20の対向面21は、後述するように、筒部28の外表側面28cと、フランジ部30の下面30aとによって構成される。フランジ部30の下面30aは、実施形態1と同様に、絶縁層22によって被覆される。筒部28の外表側面28cは、絶縁層22よりも十分に厚い絶縁層23によって被覆される。また、対象物T2が水又は電解液等の導電性液体である場合、フランジ部30の下面30aだけでなく、筒部28の内表面(外壁部32の内表面及び先端面、内壁部33の内外表面及び先端面、並びに、底部29の下面)についても、絶縁層22によって被覆される。
実施形態3の拘束部材40は、第1拘束部材41と、第2拘束部材42とを有する。第1拘束部材41は、筒部28の径方向において筒部28の外表側面28cよりも外側に配置される。第1拘束部材41は、外壁部32の先端部付近の外表側面28cを被覆する絶縁層23上に取り付けられる。第1拘束部材41は、筒部28の径方向におけるフレキシブル電極10の変形を拘束する。第1拘束部材41は、フレキシブル電極10を筒部28の軸線方向に沿って摺動可能に支持する。具体的には、第1拘束部材41は、フレキシブル電極10の胴部13の先端部13bを、筒部28の軸線方向に沿って摺動可能に支持し、当該先端部13bの径方向における変形を拘束する。これにより、第1拘束部材41は、筒部28の径方向においてフレキシブル電極10をベース電極20に拘束する。
第2拘束部材42は、筒部28の径方向において第1拘束部材41よりも外側に配置される。第2拘束部材42は、フランジ部30の縁部付近の下面30aを被覆する絶縁層22上に取り付けられる。第2拘束部材42は、フレキシブル電極10の胴部13の基端部13aと、フランジ部30の縁部とを固定することによってフレキシブル電極10をベース電極20に拘束する。第2拘束部材42は、胴部13の基端部13aを固定端として支持する。第2拘束部材42は、実施形態1の拘束部材40と同様に構成されてもよい。
実施形態3のフレキシブル電極10は、ベース電極20の筒部28の周囲を覆う帯状又は板状に形成される。フレキシブル電極10は、胴部13とスカート部14とを有する。胴部13は、第1拘束部材41よりも、筒部28の他端部28bから一端部28aに向かう方向に延びるフレキシブル電極10の部分である。胴部13は、第1拘束部材41と第2拘束部材42との間に配置される。胴部13は、筒部28の軸線方向において一端部28a側に位置する基端部13aと、他端部28b側に位置する先端部13bと、基端部13a及び先端部13b以外の部分である主部13cとを有する。胴部13の基端部13aは、第2拘束部材42に固定される部分である。胴部13の先端部13bは、第1拘束部材41に支持される部分である。胴部13の主部13cは、第1拘束部材41又は第2拘束部材42に支持又は固定されない部分である。胴部13の主部13cは、フレキシブル電極10の変形部10aである。
胴部13は、筒部28の外表側面28c及びフランジ部30の下面30aのそれぞれに傾斜した状態で、当該外表側面28c及び下面30aのそれぞれに対向するように、第1拘束部材41及び第2拘束部材42に支持される。筒部28の外表側面28c及びフランジ部30の下面30aは、ベース電極20のフレキシブル電極10との対向面21である。筒部28の外表側面28c及びフランジ部30の下面30aと胴部13との間には、フレキシブル電極10とベース電極20との電圧の印加時に、ベース電極20の対向面21に接近するよう変形するフレキシブル電極10を受け入れる空間24が形成される。
スカート部14は、第1拘束部材41よりも、筒部28の一端部28aから他端部28bに向かう方向に延びるフレキシブル電極10の部分である。スカート部14は、胴部13の先端部13bに連続する。スカート部14は、面P2に載置された対象物T2を覆う。スカート部14は、筒部28の径方向において第1拘束部材41よりも外側に広がりながら、第1拘束部材41から他端部28bを越えて軸線方向に延びる。スカート部14の先端部14aは、面P2に接触する。
実施形態3の駆動回路60は、実施形態1の駆動回路60に対して、電源66及びスイッチ67が追加される。電源66は、電源61に対して並列且つ逆向きに接続される。スイッチ67は、電源61及び電源66とスイッチ63aとの間、又は、電源61及び電源66とスイッチ64aとの間に接続される。スイッチ67は、フレキシブル電極10とベース電極20との間に印加される電圧を、電源61の出力電圧とするか、電源66の出力電圧とするかを切り替えるためのスイッチである。スイッチ67は、制御部65によって制御される。
図8は、図7に示すフレキシブル電極10とベース電極20との間に電圧が印加された場合のアクチュエータ1を説明する図である。図9は、図8に示す場合の後に逆電圧が印加された場合のアクチュエータ1を説明する図である。図10は、図9に示す場合の後に電圧の印加が停止された場合のアクチュエータ1を説明する図である。
図8に示すように、駆動回路60の制御部65は、スイッチ67を電源61に導通させ、スイッチ63a,64aをON状態に制御し、スイッチ63b,64bをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間には、電源61の出力電圧が印加される。この場合、フレキシブル電極10の胴部13は、筒部28の外表側面28c及びフランジ部30の下面30aに接近するように変形する。胴部13の変形部10aである主部13cは、第1拘束部材41及び第2拘束部材42を支点として、筒部28の径方向において外表側面28cに接近する方向に変形し、且つ、フランジ部30の下面30aに接近する方向に変形する。
ここで、第1拘束部材41は、フレキシブル電極10を筒部28の軸線方向に沿って摺動可能に支持する。これにより、胴部13に連続するスカート部14は、筒部28の軸線方向における他端部28bから一端部28aに向かう方向に引っ張られる。すなわち、胴部13の変形部10aである主部13cは、上記のような変形によって、スカート部14を、筒部28の軸線方向における他端部28bから一端部28aに向かう方向に引っ張る。更に、第1拘束部材41は、フレキシブル電極10の筒部28の径方向への変形を拘束する。これにより、スカート部14の先端部14aは、胴部13の主部13cによるスカート部14の引っ張りによって、第1拘束部材41を支点として筒部28の径方向の内側に向かって変位する。スカート部14の先端部14aによって囲まれた面P2の面積である占有面積は、電圧が印加される前の初期段階において、図7に示すように占有面積Q1であったものが、電圧印加時には図8に示すように占有面積Q2に縮小する。
すなわち、実施形態3のアクチュエータ1は、胴部13の変形部10aの変形を、スカート部14の先端部14aの径方向内側への変位に変換し、スカート部14の占有面積の縮小に利用することによって、スカート部14によって対象物T2を掻き集め、対象物T2を捕集する動作を実現することができる。スカート部14の先端部14aは、アクチュエータ1の外部に仕事を出力する出力部として機能し得る。
また、フランジ部30の下面30aは、絶縁層22によって被覆され、筒部28の外表側面28cは、絶縁層22よりも厚い絶縁層23によって被覆される。下面30aを被覆する絶縁層22と胴部13との間に発生するクーロン力は、外表側面28cを被覆する絶縁層23と胴部13との間に発生するクーロン力よりも大きい。したがって、胴部13は、まずフランジ部30の下面30aに接近してから筒部28の外表側面28cに接近するように変形する。すなわち、胴部13は、ベース電極20の対向面21のうちの第1拘束部材41に遠い部分に対して先行して接近した後、対向面21のうちの第1拘束部材41に近い部分に対して後続して接近するように変形する。これにより、胴部13の主部13cは、スカート部14を、筒部28の軸線方向における他端部28bから一端部28aに向かう方向に確実且つ十分に引っ張ることができる。スカート部14の先端部14aは、第1拘束部材41を支点として筒部28の径方向の内側に向かって確実且つ十分に変位することができる。実施形態3のアクチュエータ1は、対象物T2を捕集する動作を更に確実に実現することができる。
電圧印加時、対象物T2は、スカート部14と接触する。対象物T2が導電性液体である場合、対象物T2は、スカート部14からの電荷の移動によって、フレキシブル電極10と同じ極性の電荷を帯びる。図8に示す場合、対象物T2は正の電荷を帯びる。ベース電極20の筒部28と対象物T2との間にクーロン力が発生する。当該クーロン力によって、対象物T2は、筒部28の開口部31から筒部28の内部に吸引される。これにより、実施形態3のアクチュエータ1は、更に多くの対象物T2を迅速に捕集することができる。しかも、実施形態3のアクチュエータ1は、電圧印加を継続することによって、吸引された対象物T2を筒部28の内部に貯留する動作を実現することができる。
図8に示す場合の後、駆動回路60の制御部65は、図9に示すように、スイッチ67を電源66に導通させる。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間には、電源66の出力電圧が印加される。この場合、フレキシブル電極10は、図8に示す場合とは逆に、負の電荷を帯びる。ベース電極20は、図8に示す場合とは逆に、正の電荷を帯びる。胴部13の変形部10aである主部13cは、図8に示す場合と同様に、筒部28の外表側面28c及びフランジ部30の下面30aに接近する方向に変形したままである。スカート部14の先端部14aは、径方向の内側に変位したままである。スカート部14の先端部14aの占有面積は、占有面積Q2に縮小したままである。
対象物T2が導電性液体である場合、ベース電極20の筒部28が帯びた電荷の極性と、筒部28の内部に貯留された対象物T2が帯びた電荷の極性とは同じになる。筒部28の内部に貯留された対象物T2は、筒部28と反発する斥力が作用することによって、筒部28の開口部31から外部に放出される。この際、アクチュエータ1は、アクチュエータ1の外部の面であって面P2とは異なる面P3に対して対象物T2を放出することによって、対象物T2を面P2上から面P3上に移動させることができる。
図9に示す場合の後、駆動回路60の制御部65は、図10に示すように、スイッチ63b,64bをON状態に制御し、スイッチ63a,64aをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加が停止される。この場合、胴部13の変形部10aである主部13cは、フレキシブル電極10の復元力によって、筒部28の外表側面28c及びフランジ部30の下面30aから離隔する方向に変形し、図7に示すような電圧が印加される前の初期位置に復元する。スカート部14の先端部14aは、径方向の外側に変位し、初期位置に復元する。スカート部14の先端部14aの占有面積は、初期の占有面積Q1に復元する。
このように、実施形態3のアクチュエータ1は、胴部13の変形部10aの変形を、出力部を構成するスカート部14の変位に変換することによって、対象物T2を捕集する動作を実現することができる。実施形態3のアクチュエータ1は、対象物T2が導電性液体の場合、対象物T2を貯留する動作及び放出する動作を実現することができる。実施形態3のアクチュエータ1は、アクチュエータ1の仕事の出力形態を具体化して、捕集、貯留及び放出する動作のような従来のソフトアクチュエータでは実現できなかった動作を実現することができる。
図11は、図7に示すアクチュエータ1の他の例を説明する図。図12は、図11に示すフレキシブル電極10とベース電極20との間に電圧が印加された場合のアクチュエータ1を説明する図である。
実施形態3のアクチュエータ1は、少なくとも第1拘束部材41が設けられていればよく、図11に示すように、フレキシブル電極10の胴部13の基端部13aを固定する第2拘束部材42を省略することができる。図11に示すアクチュエータ1は、ベース電極20の筒部28を収容する有底筒状の筐体34を備える。筐体34は、絶縁体によって形成される。筐体34は、筒部28の軸線方向に沿って延びる。筐体34の底部34aは、筒部28の一端部28a側に配置される。筐体34の底部34aは、筒部28の底部29に取り付けられる。筐体34の開口部を形成する縁部34bは、筒部28の他端部28b側に配置される。
図11に示す第1拘束部材41は、筐体34の縁部34bに取り付けられる。図11に示す第1拘束部材41は、筒部28の径方向において筒部28の外表側面28cよりも外側に配置される。図11に示す第1拘束部材41は、筒部28の径方向におけるフレキシブル電極10の変形を拘束する。図11に示す第1拘束部材41は、フレキシブル電極10を筒部28の軸線方向に沿って摺動可能に支持する。図11に示す第1拘束部材41は、筐体34を介してフレキシブル電極10をベース電極20に拘束する。
図11に示すフレキシブル電極10の胴部13は、筒部28の外表側面28cに対して傾斜した状態で当該外表側面28cに対向するように第1拘束部材41に支持される。図11に示すスカート部14は、胴部13に連続し、筒部28の径方向において第1拘束部材41よりも外側に広がりながら、第1拘束部材41から他端部28bを越えて軸線方向に延びる。
図11に示すベース電極20の対向面21は、筒部28の外表側面28cによって構成される。図11に示すベース電極20は、図示していないが、筒部28の軸線方向に沿って筒部28の外表側面28cを分割することによって、複数の電極部に分割されている。複数の電極部は、互いに独立して電圧の印加が可能である。
図11に示すアクチュエータ1の駆動回路60は、図示していないが、複数の電極部に対して、筒部28の他端部28bから一端部28aに向かう方向に沿って順次電圧を印加する。すると、フレキシブル電極10の胴部13の変形部10aである主部13cは、図12に示すように、筒部28の外表側面28cに接近するように変形すると共に、筒部28の軸線方向における他端部28bから一端部28aに向かう方向に変位する。胴部13の変形部10aである主部13cは、スカート部14を、筒部28の軸線方向における他端部28bから一端部28aに向かう方向に引っ張る。スカート部14の先端部14aは、胴部13によるスカート部14の引っ張りによって、第1拘束部材41を支点として筒部28の径方向の内側に向かって変位する。
このように、図11に示すアクチュエータ1は、図7に示すアクチュエータ1と同様に、胴部13の変形部10aの変形を、出力部を構成するスカート部14の変位に変換することによって、対象物T2を捕集する動作を実現することができる。
[実施形態4]
図13~図16を用いて、実施形態4のアクチュエータ1について説明する。実施形態4のアクチュエータ1において、従前の実施形態と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
図13は、実施形態4のアクチュエータ1の構成を模式的に示す図である。
実施形態4のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10及びベース電極20の両電極間への電圧の印加によって、フレキシブル電極10の後述する一端面16がベース電極20の後述する凹面部35に接近するようにフレキシブル電極10を変形させる(図14を参照)。これにより、実施形態4のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10の後述する他端面17に取り付けられた複数の棒状部材50によって対象物を掴む動作を実現することができる。
実施形態4のベース電極20は、フレキシブル電極10の一端面16に沿った稜線部を有する谷形の板状に形成されてもよい。ベース電極20の対向面21は、フレキシブル電極10から離隔する方向に窪んだ凹面部35を有する。凹面部35は、一端面16に対して傾斜する。凹面部35と一端面16との間には、空間24が形成される。凹面部35は、断面がV字に屈曲した面によって形成されてもよい。
実施形態4のフレキシブル電極10は、直方体等の六面体15に形成される。フレキシブル電極10は、凹面部35に対向する一端面16と、フレキシブル電極10からベース電極20に向かう方向において一端面16とは反対側の他端面17とを有する。
フレキシブル電極10の一端面16は、縁部16aと、縁部16a以外の部分である主部16bとを有する。一端面16の縁部16aは、拘束部材40に固定される部分である。一端面16の主部16bは、拘束部材40に固定されない部分である。一端面16の主部16bは、変形部10aである。フレキシブル電極10の他端面17は、縁部17aと、縁部17a以外の部分である主部17bとを含む。他端面17の縁部17aには、複数の棒状部材50が取り付けられる。他端面17の主部17bは、複数の棒状部材50が取り付けられない部分である。
複数の棒状部材50のそれぞれは、絶縁体によって形成される。複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aは、他端面17に沿って互いに間隔G1をあけて配置される。複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aは、例えばピンセットのように、対象物を掴み易い形状に形成されてもよい。
実施形態4の拘束部材40は、フレキシブル電極10の一端面16の縁部16aと、ベース電極20の凹面部35の縁部35aとを固定することによって、フレキシブル電極10をベース電極20に拘束する。拘束部材40は、一端面16の縁部16aを固定端として支持する。拘束部材40は、実施形態1と同様に構成されてもよい。
図14は、図13に示すフレキシブル電極10とベース電極20との間に電圧が印加された場合のアクチュエータ1を説明する図である。
図14に示すように、駆動回路60の制御部65は、スイッチ63a,64aをON状態に制御し、スイッチ63b,64bをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間には、電圧が印加される。この場合、フレキシブル電極10の一端面16は、凹面部35に接近するように変形する。一端面16の変形部10aである主部16bは、拘束部材40を支点として凹面部35に接近する方向に変形する。フレキシブル電極10の他端面17の主部17bは、一端面16の主部16bの変形に応じて、凹面部35に接近する方向に変形する。複数の棒状部材50のそれぞれは、間隔G1を縮小するように回動する。すなわち、複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aは、他端面17の主部17bの変形に応じて、間隔G1を縮小する方向に変位する。これにより、複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aは、対象物を掴むことができる。
すなわち、実施形態4のアクチュエータ1は、一端面16の変形部10aの変形を、複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aの変位に変換し、複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aの間隔G1の縮小に利用することによって、対象物を掴む動作を実現することができる。複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aは、アクチュエータ1の外部に仕事を出力する出力部として機能し得る。
図14に示す場合の後、駆動回路60の制御部65は、スイッチ63b,64bをON状態に制御し、スイッチ63a,64aをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加が停止される。この場合、一端面16の変形部10aである主部16bは、フレキシブル電極10の復元力によって、拘束部材40を支点として凹面部35から離隔する方向に変形し、図13に示すような初期位置に復元する。複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aは、一端面16の変形部10aである主部16bの変形及び他端面17の主部17bの変形に応じて、間隔G1を拡大する方向に変位し、初期位置に復元する。これにより、複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aは、掴んだ対象物を放すことができる。
このように、実施形態4のアクチュエータ1は、一端面16の変形部10aの変形を、出力部を構成する複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aの変位に変換することによって、対象物を掴む動作を実現することができる。実施形態4のアクチュエータ1は、アクチュエータ1の仕事の出力形態を具体化して、対象物を掴んだり放したりする動作のような従来のソフトアクチュエータでは実現できなかった動作を実現することができる。
図15は、図13に示すアクチュエータ1の他の例を説明する図である。
実施形態4のベース電極20は、図15に示すように、複数の棒状部材50のそれぞれが取り付けられた位置に応じて、複数の電極部25e,25fに分割されていてもよい。例えば、ベース電極20は、対向面21を分割する板状の絶縁部26を含む平面が、複数の棒状部材50のそれぞれを画定するように、複数の電極部25e,25fに分割されていてもよい。複数の電極部25e,25fは、絶縁部26によって互いに絶縁されている。絶縁部26により、複数の電極部25e,25fには、フレキシブル電極10との間において互いに独立して電圧が印加される。駆動回路60の制御部65は、複数の電極部25e,25fのそれぞれに対して印加される電圧の大きさを制御したり、電圧の印加又は停止のタイミングを制御したりすることができる。これにより、実施形態4のアクチュエータ1は、複数の棒状部材50のそれぞれの先端部50aの位置やそれぞれの先端部50aが対象物を掴む力を、精確に制御することができる。
図16は、図13に示す駆動回路60の他の例を説明する図である。
実施形態4の駆動回路60は、図16に示すように、フレキシブル電極10及びベース電極20を、フレームグラウンドに接続しなくてもよい。図16に示す駆動回路60は、スイッチ63a~64bの代わりに、スイッチ68a,68bを有する。図16に示す駆動回路60において、フレキシブル電極10及びベース電極20は、スイッチ68aを介して電源61に接続される。フレキシブル電極10及びベース電極20は、スイッチ68bを介して互いに接続される。
図16に示す駆動回路60の制御部65は、フレキシブル電極10とベース電極20との間に電圧を印加する場合、スイッチ68aをON状態に制御し、スイッチ68bをOFF状態に制御すればよい。図16に示す駆動回路60の制御部65は、フレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加を停止する場合、スイッチ68bをON状態に制御し、スイッチ68aをOFF状態に制御すればよい。フレキシブル電極10及びベース電極20のそれぞれに蓄積された電荷が中和するまで移動し、フレキシブル電極10とベース電極20とが同電位になるので、電圧の印加は停止する。
これにより、図16に示す駆動回路60は、図13に示す駆動回路60よりも、回路構成を簡素化することができる。なお、図16に示す駆動回路60は、実施形態4以外のアクチュエータ1を駆動する駆動回路60にも適用可能である。また、実施形態4のアクチュエータ1は、対象物への帯電の影響がなければ、棒状部材50を省略し、フレキシブル電極10が対象物を直接掴むように構成されてもよい。
[実施形態5]
図17~図18を用いて、実施形態5のアクチュエータ1について説明する。実施形態5のアクチュエータ1において、従前の実施形態と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
図17は、実施形態5のアクチュエータ1の構成を模式的に示す図である。
実施形態5のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10及びベース電極20の両電極間への電圧の印加によって、フレキシブル電極10の後述する外周面182がベース電極20の後述する凹面部36に接近するようにフレキシブル電極10を変形させる(図18を参照)。これにより、実施形態5のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10の後述する内周面181による対象物T3の締め付けを緩める動作を実現することができる。対象物T3は、ピン、シャフト又はねじ等の軸Aの軸線方向に延びる部材である。
実施形態5のフレキシブル電極10は、所定の軸Aの周りを囲む円筒体18に形成される。フレキシブル電極10は、軸Aに交差(直交)する径方向において軸Aと間隔G2をあけて軸Aの周りを囲む内周面181と、径方向において内周面181より外側に配置された外周面182とを有する。
フレキシブル電極10の内周面181は、軸Aに対向して配置される。内周面181は、対象物T3に接触して、対象物T3を締め付ける面である。内周面181は、絶縁層によって被覆されていてもよい。内周面181は、縁部181aと、縁部181a以外の部分である主部181bとを有する。内周面181の縁部181aは、拘束部材40に固定される部分である。内周面181の主部181bは、拘束部材40に固定されない部分である。フレキシブル電極10の外周面182は、縁部182aと、縁部182a以外の部分である主部182bとを有する。外周面182の縁部182aは、拘束部材40に固定される部分である。外周面182の主部182bは、拘束部材40に固定されない部分である。外周面182の主部182bは、変形部10aである。
実施形態5のベース電極20は、軸Aの周回方向に沿ってフレキシブル電極10の外周面182を囲む筒体に形成される。ベース電極20は、径方向において外周面182に対向して配置される。ベース電極20の対向面21は、外周面182から離隔する方向に窪んだ凹面部36を有する。凹面部36は、外周面182に対して傾斜する。凹面部36と外周面182との間には、空間24が形成される。凹面部36は、断面がくの字に屈曲した面によって形成されてもよい。
実施形態5の拘束部材40は、フレキシブル電極10の内周面181の縁部181aと、外周面182の縁部182aと、凹面部36の縁部36aとを固定することによって、フレキシブル電極10をベース電極20に拘束する。拘束部材40は、内周面181の縁部181aと外周面182の縁部182aとを固定端として支持する。拘束部材40は、一対の板状部材43によって構成されてもよい。一対の板状部材43は、径方向に延びる。一対の板状部材43は、軸Aの軸線方向の両側からフレキシブル電極10及びベース電極20を挟持する。一対の板状部材43には、軸線方向に延びて、対象物T3を挿通可能な貫通孔が設けられる。
図18は、図17に示すフレキシブル電極10とベース電極20との間に電圧が印加された場合のアクチュエータ1を説明する図である。
図18に示すように、駆動回路60の制御部65は、スイッチ63a,64aをON状態に制御し、スイッチ63b,64bをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間には、電圧が印加される。この場合、フレキシブル電極10の外周面182は、凹面部36に接近するように変形する。外周面182の変形部10aである主部182bは、拘束部材40の縁部182aの支持位置を支点として径方向において凹面部36に接近する方向に変形する。フレキシブル電極10の内周面181の主部181bは、外周面182の変形部10aである主部182bの変形に応じて、径方向において凹面部36に接近する方向に変位する。内周面181の主部181bは、軸Aとの間隔G2を拡大する。これにより、内周面181と対象物T3との間には、空間Sが形成される。内周面181は、対象物T3の締め付けを緩めることができる。
すなわち、実施形態5のアクチュエータ1は、外周面182の変形部10aの変形を、内周面181の主部181bの変位に変換し、内周面181と軸Aとの間隔G2の拡大に利用することによって、締め付けられた対象物T3を緩める動作を実現することができる。内周面181の主部181bは、アクチュエータ1の外部に仕事を出力する出力部として機能し得る。
図18に示す場合の後、駆動回路60の制御部65は、スイッチ63b,64bをON状態に制御し、スイッチ63a,64aをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加が停止される。この場合、外周面182の変形部10aである主部182bは、フレキシブル電極10の復元力によって、拘束部材40の外周面182の支持位置を支点として径方向において凹面部36から離隔する方向に変形し、図17に示すような原形に復元する。内周面181の主部181bは、外周面182の変形部10aである主部182bの変形に応じて、間隔G2を縮小する方向に変位し、初期位置に復元する。これにより、内周面181は、再び対象物T3を締め付けることができる。
このように、実施形態5のアクチュエータ1は、外周面182の変形部10aの変形を、出力部を構成する内周面181の主部181bの変位に変換することによって、対象物T3を締め付けたり緩めたりする動作を実現することができる。実施形態5のアクチュエータ1は、アクチュエータ1の仕事の出力形態を具体化して、対象物T3を締め付けたり緩めたりする動作のような従来のソフトアクチュエータでは実現できなかった動作を実現することができる。
なお、実施形態5の拘束部材40は、少なくともフレキシブル電極10の外周面182の縁部182aと、凹面部36の縁部36aとを固定すればよい。実施形態5の拘束部材40が内周面181の縁部181aと凹面部36の縁部36aとを固定することは必須ではない。
また、実施形態5のベース電極20は、軸Aの周回方向に沿って配置される複数の電極部に分割されていてもよい。複数の電極部は、絶縁部26によって互いに絶縁される。絶縁部26により、複数の電極部には、フレキシブル電極10との間において互いに独立して電圧が印加可能である。駆動回路60の制御部65は、複数の電極部のそれぞれに対して印加される電圧の大きさを制御したり、電圧の印加又は停止のタイミングを制御したりすることができる。また、実施形態5のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10及びベース電極20を一組として、軸Aの周回方向に沿って配置される複数組のフレキシブル電極10及びベース電極20を有していてもよい。それぞれの組を構成するフレキシブル電極10は、軸Aの周りを囲む円筒体18を、軸Aの周回方向に沿って組ごとに分割した形状を有する。それぞれの組を構成するベース電極20は、フレキシブル電極10の外周面182を囲む筒体を、軸Aの周回方向に沿って組ごとに分割した形状を有する。それぞれの組を構成するフレキシブル電極10とベース電極20との間には、互いに独立して電圧が印加可能である。駆動回路60は、それぞれの組ごとに複数設けられてもよい。駆動回路60の制御部65は、それぞれの組に対して印加される電圧の大きさを制御したり、電圧の印加又は停止のタイミングを制御したりすることができる。これにより、実施形態5のアクチュエータ1は、それぞれのフレキシブル電極10の内周面181の主部181bの位置や、それぞれのフレキシブル電極10の内周面181が対象物T3を締め付ける力を、精確に制御することができる。
[実施形態6]
図19~図20を用いて、実施形態6のアクチュエータ1について説明する。実施形態6のアクチュエータ1において、従前の実施形態と同様の構成及び動作については、その説明を省略する。
図19は、実施形態6のアクチュエータ1の構成を模式的に示す図である。
実施形態6のアクチュエータ1は、フレキシブル電極10及びベース電極20の両電極間への電圧の印加によって、フレキシブル電極10の後述する流路壁191がベース電極20の後述する凹面部38に接近するようにフレキシブル電極10を変形させる(図20を参照)。これにより、実施形態6のアクチュエータ1は、流路壁191と凹面部38とによって形成された流路F内の対象物T4を吐出する動作を実現することができる。対象物T4は、気体、液体又は粉体等である。
実施形態6のベース電極20は、所定の長さを有する溝37が設けられた板状に形成されてもよい。ベース電極20の対向面21は、溝37を構成する凹面部38と、溝37の周辺の平面部39とを有する。凹面部38は、フレキシブル電極10から離隔する方向に窪む。凹面部38は、溝37が延びる方向に延びる。凹面部38は、断面が湾曲した面によって形成されてもよい。平面部39は、凹面部38の縁部38aに連続する。平面部39は、溝37が延びる方向、及び、溝37に交差する方向に広がる。
実施形態6のフレキシブル電極10は、半筒状の流路壁191が設けられた板状に形成されてもよい。フレキシブル電極10は、溝37に対応する流路壁191と、流路壁191の周辺の板部192とを有する。流路壁191は、凹面部38と間隔G3をあけて凹面部38を覆う。流路壁191と凹面部38との間には、空間24が形成される。空間24は、対象物T4の流路Fとして機能する。すなわち、流路壁191は、凹面部38と協働して間隔G3に流路Fを形成する。流路壁191は、溝37が延びる方向に延びる。流路壁191は、電圧印加時において凹面部38に接近するように変形した際に、凹面部38に勘合する形状に形成されてもよい。
流路壁191は、縁部191aと、縁部191a以外の部分である主部191bとを有する。流路壁191の縁部191aは、拘束部材40に固定される部分である。流路壁191の主部191bは、拘束部材40に固定されない部分である。流路壁191の主部191bは、変形部10aである。流路壁191の内面191cは、絶縁層によって被覆されていてもよい。板部192は、流路壁191の縁部191aに連続する。板部192は、溝37が延びる方向、及び、溝37に交差する方向に広がる。板部192の内面192aは、ベース電極20の平面部39に対向する。
実施形態6の拘束部材40は、流路壁191の縁部191aと、凹面部38の縁部38aとを固定することによってフレキシブル電極10をベース電極20に拘束する。拘束部材40は、流路壁191の縁部191aを固定端として支持する。拘束部材40は、絶縁性を有する接着剤44によって構成されてもよい。接着剤44は、フレキシブル電極10の板部192の内面192aと、ベース電極20の平面部39とを接着する。
図20は、図19に示すフレキシブル電極10とベース電極20との間に電圧が印加された場合のアクチュエータ1を説明する図である。
図20に示すように、駆動回路60の制御部65は、スイッチ63a,64aをON状態に制御し、スイッチ63b,64bをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間には、電圧が印加される。この場合、フレキシブル電極10の流路壁191は、凹面部38に接近するように変形する。流路壁191の変形部10aである主部191bは、拘束部材40の縁部191aの支持位置を支点として溝37に交差する方向において凹面部38に接近する方向に変形する。流路壁191の変形部10aである主部191bは、凹面部38との間隔G3を縮小する。これにより、流路Fの容積は、縮小する。流路壁191は、対象物T4を流路Fから吐出することができる。
すなわち、実施形態6のアクチュエータ1は、流路壁191の変形部10aの変形を、流路壁191と凹面部38との間隔G3の縮小に利用し、流路Fの容積の縮小に利用することによって、流路F内の対象物T4を吐出する動作を実現することができる。流路壁191の変形部10aは、アクチュエータ1の外部に仕事を出力する出力部として機能し得る。
図20に示す場合の後、駆動回路60の制御部65は、スイッチ63b,64bをON状態に制御し、スイッチ63a,64aをOFF状態に制御する。すると、フレキシブル電極10とベース電極20との間への電圧の印加が停止される。この場合、流路壁191の変形部10aである主部191bは、フレキシブル電極10の復元力によって、拘束部材40の縁部191aの支持位置を支点として溝37に交差する方向において凹面部38から離隔する方向に変形し、図19に示すような原形に復元する。間隔G3は拡大し、電圧が印加される前の初期の長さに復元する。これにより、流路Fの容積は、拡大する。流路壁191は、対象物T4を流路Fに吸引することができる。
このように、実施形態6のアクチュエータ1は、流路壁191の変形部10aの変形を、流路Fの容積の縮小又は拡大に利用することによって、流路Fに対して対象物T4を吐出したり吸引したりする動作、すなわちポンプの動作を実現することができる。実施形態6のアクチュエータ1は、アクチュエータ1の仕事の出力形態を具体化して、ポンプの動作のような従来のソフトアクチュエータでは実現できなかった動作を実現することができる。
上記のように、アクチュエータ1は、可撓性を有するフレキシブル電極10と、フレキシブル電極10との対向面21が絶縁層22にて被覆されたベース電極20とを有し、両電極間への電圧の印加によってフレキシブル電極10が対向面21に接近するよう変形するアクチュエータである。アクチュエータ1は、フレキシブル電極10をベース電極20に拘束する拘束部材40を備える。フレキシブル電極10は、両電極間への電圧の印加によって変形する変形部10aを有する。変形部10aは、拘束部材40を支点として対向面21に接近する方向に変形する。
このような構成により、アクチュエータ1は、変形部10aの変形に応じて、フレキシブル電極10の他の部分やアクチュエータ1の他の部材や対象物を変位させたり、変形部10aの変形に応じて生じた空間を利用したりといった、様々な形態で仕事を出力することができる。そして、アクチュエータ1は、跳ねる動作や、投擲する動作や、捕集、貯留及び放出する動作や、掴んだり放したりする動作や、締め付けたり緩めたりする動作や、ポンプの動作等のような、従来のソフトアクチュエータでは実現できなかった様々な動作を実現することができる。よって、アクチュエータ1は、仕事の出力形態を具体化して、様々な動作を実現することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。