JP7569663B2 - 水性インクジェットインク及びインクセット - Google Patents
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Description
インクとしては、安価に高画質の印刷物が得られることから、水性タイプのインクが普及している。水性インクは、水分を含有することにより乾燥性を高めたインクであり、さらに環境性に優れるという利点もある。
また、特許文献2には、金属板上に、色相塗膜、印刷層、及びクリヤー塗膜が設けられ、クリヤー塗膜が特定のポリエステル樹脂を含む塗装金属板が開示されている。
インクジェット印刷の吐出不良を抑制するために、通常、メンテナンス機構がプリンターに搭載される。特にインクジェットヘッドのノズル付近には、連続印刷中に徐々にインクが付着することがある。ノズル付近のインク汚れが顕著になると、インクがノズルから真っ直ぐに飛ばなくなる可能性があり、あるいは、インク汚れにさらに異物が付着してノズルから異物がヘッド内に入り込み、ノズルを詰まらせる可能性がある。
また、基材上のインク塗膜は柔軟性を備えることが望ましい。紙媒体、織物、不織布等の変形可能な基材では、基材の変形に応じてインク塗膜も追従して変形し、インク塗膜にひびが発生しないことが望まれる。また、印刷部分に曲げ加工等の加工を施す用途もあり、加工部分の画像性を確保することも重要である。オーバーコート層を施した部分に曲げ加工を施すと、樹脂量が多いため、樹脂膜にひびが入り、いわゆる白化現象が観察されることがある。
本発明の他の側面は、上記水性インクジェットインクと、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(C’)と、メンテナンス液全量に対し30質量%以上であるグリセリンとを含むメンテナンス液とを含む、インクセットである。
一実施形態による水性インクジェットインク(以下、単にインク、又は水性インクと称することがある。)としては、水分散性ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(A)、水分散性(メタ)アクリル系樹脂(B)、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(C)、色材、及び水を含む、ことを特徴とする。
一実施形態によれば、印刷画像の耐久性及び加工性に優れる印刷物を提供することができる。また、一実施形態によれば、印刷画像の画像性に優れる印刷物を提供することができる。
以下、水分散性ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(A)をウレタン系樹脂(A)とも記し、水分散性(メタ)アクリル系樹脂を(メタ)アクリル系樹脂(B)とも記し、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(C)を界面活性剤(C)とも記す。
その理由の一つを以下に説明するが、以下の理由に拘束されない。
一実施形態によれば、インク中に、柔軟性を備えるポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(A)と、硬さを備える(メタ)アクリル系樹脂(B)とがともに含まれることで、インク塗膜の耐久性及び加工性を高めることができる。
インク中に、ウレタン系樹脂(A)とともに、ウレタン系樹脂(A)を膨潤させる作用を備える低HLB値の界面活性剤(C)が含まれることで、印刷後にインク塗膜が乾燥し成膜する際に、基材上で水分が揮発しながら界面活性剤(C)が濃縮されて、ウレタン系樹脂(A)の膨潤が進み成膜しやすくなり、より強固なインク塗膜を形成し、インク塗膜の耐久性を高めることができる。また、ウレタン系樹脂(A)は柔軟性を備えるため、インク塗膜の加工性を高めることができる。ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(A)を膨潤させやすい界面活性剤として、HLB値が10.0以下であり低HLB値を示すアセチレングリコール系界面活性剤を好ましく用いることができる。
ウレタン系樹脂(A)は、水分散性を示すことから、水中で水に溶解することなく粒子状に分散して水中油(O/W)型の樹脂エマルションを形成することができる。ウレタン系樹脂(A)は、インク中で樹脂粒子として分散状態で含まれることが好ましい。
ウレタン系樹脂(A)は、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂、ノニオン性樹脂のいずれであってもよい。水性インクに適する色材は、特に水に分散させる色材の表面電荷がアニオン性を示すものが多いことから、水中での色材の安定性を考慮して、アニオン性樹脂、両性樹脂、ノニオン性樹脂を好ましく用いることができる。
水分散性のウレタン系樹脂(A)としては、自己乳化型樹脂のように、樹脂が有する官能基が樹脂粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面に分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。
ウレタン系樹脂(A)としては、脂肪族ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応生成物を用いることができる。
ウレタン系樹脂(A)において、ウレタン骨格部分が脂肪族ウレタン骨格であることで、より好ましくはウレタン骨格部分が脂肪族ジイソシアネートに由来して鎖状であることで、インク塗膜の強度をより高めるとともに、インク塗膜の柔軟性をより高めることができ、インク塗膜の耐久性をより高めるとともに、インク塗膜の加工性をより高めることができる。
また、脂肪族ポリイソシアネートから合成したウレタン系樹脂(A)を用いる場合は、ウレタン系樹脂自体の黄変を防止することができ、樹脂膜がより透明となり、水性インクの発色性をより改善することができる。
これらは、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ウレタン系樹脂(A)において、エーテル結合が鎖状エーテル結合であることで、より好ましくはポリエーテルジオールに由来して鎖状であることで、インク塗膜の強度をより高めるとともに、インク塗膜の柔軟性をより高めることができ、インク塗膜の耐久性をより高めるとともに、インク塗膜の加工性をより高めることができる。
また、ポリエーテルポリオールから合成されるウレタン系樹脂(A)を用いる場合は、エーテル部分が加水分解の影響を受けないため、インク塗膜の耐水性をより改善することができる。
一方で、ポリエステルポリオールから合成されるウレタン系樹脂を用いる場合は、エステル部分が加水分解されて、インク塗膜の画像性、耐久性、加工性が低下することがある。また、ポリカーボネートポリオールから合成されるウレタン系樹脂を用いる場合は、高い耐久性のインク塗膜を形成可能であるが、加工性が十分に得られないことがある。
これらは、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
測定対象のインクに配合されるウレタン系樹脂(A)と界面活性剤との組み合わせにおいて、ウレタン系樹脂(A)を界面活性剤に浸漬した状態で、ウレタン系樹脂(A)が膨潤する質量割合を求める。測定対象のインクに2種類以上のウレタン系樹脂が配合される場合は、膨潤率の測定において、2種類以上のウレタン系樹脂(A)の質量比をインク中の配合割合と合わせて混合して用いる。同様に、測定対象のインクに2種類以上の界面活性剤が配合される場合は、膨潤率の測定において、2種類以上の界面活性剤の質量比をインク中の配合割合と合わせて混合して用いる。測定対象のインクに、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(C)以外のその他の界面活性剤が含まれる場合は、膨潤率の測定において、界面活性剤(C)とその他の界面活性剤とを合わせて混合して用いる。
ウレタン系樹脂(A)は、その構造の中にエーテル結合を複数持っている。また、樹脂の網目構造の隙間に界面活性剤が入ることで樹脂の膨潤が起こる。そのため、ウレタン系樹脂(A)の結晶性、界面活性剤中の分子量やエーテル結合量、ウレタン系樹脂(A)と界面活性剤の溶解度パラメーターの差などを調整することで、膨潤率を制御可能になる。
膨潤率[%]={((浸漬後の試験片の質量)-(浸漬前の試験片の質量))/(浸漬前の試験片の質量)}×100
ウレタン系樹脂(A)の膨潤率は、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。これによって、インク塗膜において、ウレタン系樹脂(A)が界面活性剤の作用によって適切に柔らかくなり、インク塗膜に柔軟性をより付与することができ、インク塗膜の加工性をより高めることができる。
ウレタン系樹脂(A)の膨潤率は、100%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましい。これによって、インク塗膜において、ウレタン系樹脂(A)が界面活性剤の作用によって柔らかくなりすぎることを防止して、インク塗膜の強度をより高めることができ、インク塗膜の耐久性をより高めることができる。
ウレタン系樹脂(A)のインク中での樹脂粒子の平均粒子径は、インクジェット印刷に適した大きさであればよく、一般的には平均粒子径で300nm以下であることが好ましい。この平均粒子径は、インクの吐出性及びインクの貯蔵安定性の観点から、より好ましくは250nm以下であり、さらに好ましくは200nm以下であり、一層好ましくは150nm以下である。さらに、色材として顔料を用いる場合は、顔料粒子同士の結着性をより高める観点からは、この樹脂粒子の平均粒子径は、顔料の平均粒子径(一般的には80~200nm程度)よりも小さいことが好ましい。
また、ウレタン系樹脂(A)のインク中での樹脂粒子の平均粒子径の下限値は、特に限定はされないが、インクの貯蔵安定性の観点から、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。
ウレタン系樹脂(A)は、固形分量で、インク全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。ウレタン系樹脂(A)単体は(メタ)アクリル系樹脂(B)と比べると皮膜強度が低い傾向があるが、ウレタン系樹脂(A)と(メタ)アクリル系樹脂(B)との相互作用によって、インク塗膜の強度をより高めることができ、インク塗膜の耐久性をより改善することができる。また、ウレタン系樹脂(A)をより多く含むことで、インク塗膜の柔軟性をより高めることができる。これによって、印刷物のインク塗膜部分を曲げ加工等する際に、加工形状に沿ってインク塗膜が柔軟に変形し、加工部分でのひび割れや白化現象をより防ぐことができる。
ウレタン系樹脂(A)は、固形分量で、インク全量に対し、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が一層好ましい。ウレタン系樹脂(A)の配合量がこの範囲であることで、(メタ)アクリル系樹脂(B)との配合バランスを適切に保ちながら、インク中の樹脂分の量を適切に制限し、インクの粘度上昇をより防ぐことができ、また、インクの吐出性をより改善することができる。
ここで、(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル系単位、アクリル系単位、又はこれらの組み合わせを少なくとも含む重合体を意味する。
(メタ)アクリル系樹脂(B)は、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂、ノニオン性樹脂のいずれであってもよい。水性インクに適する色材は、特に水に分散させる色材の表面電荷がアニオン性を示すものが多いことから、水中での色材の安定性を考慮して、アニオン性樹脂、両性樹脂、ノニオン性樹脂を好ましく用いることができる。
水分散性の(メタ)アクリル系樹脂(B)としては、自己乳化型樹脂のように、樹脂が有する官能基が樹脂粒子表面に存在するものでもよいし、樹脂粒子表面に分散剤を付着させる等の表面処理がされたものでもよい。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。これらは、1種、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の単位としては、スチレン単位、酢酸ビニル単位、塩化ビニル単位等が挙げられる。これらは、1種、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂(B)としては、例えば、(メタ)アクリル重合体、スチレン-(メタ)アクリル共重合体、酢酸ビニル-(メタ)アクリル共重合体、塩化ビニル-(メタ)アクリル共重合体、又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル重合体、スチレン-(メタ)アクリル共重合体、又はこれらの組み合わせである。
(メタ)アクリル系樹脂(B)のインク中での樹脂粒子の平均粒子径は、インクジェット印刷に適した大きさであればよく、上記したウレタン系樹脂(A)と同様の数値範囲であることが好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(B)は、固形分量で、インク全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(B)がこの範囲で含まれることで、インク塗膜の強度をより高めることができ、インク塗膜の耐久性をより改善することができる。(メタ)アクリル系樹脂(B)単体ではインク塗膜の柔軟性が不十分になる傾向があるが、ウレタン系樹脂(A)と(メタ)アクリル系樹脂(B)との相互作用によって、インク塗膜の強度及び柔軟性をともに改善することができ、インク塗膜の耐久性及び加工性をより高めることができる。
(メタ)アクリル系樹脂(B)は、固形分量で、インク全量に対し、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が一層好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(B)の配合量がこの範囲であることで、ウレタン系樹脂(A)との配合バランスを適切に保ちながら、インク中の樹脂分の量を適切に制限し、インクの粘度上昇をより防ぐことができ、また、インクの吐出性をより改善することができる。
ウレタン系樹脂(A)と(メタ)アクリル系樹脂(B)との合計量は、固形分量で、インク全量に対し、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
例えば、ウレタン系樹脂(A)と(メタ)アクリル系樹脂(B)との合計量は、固形分量で、インク全量に対し、1~20質量%が好ましく、3~10質量%がより好ましく、5~8質量%がさらに好ましい。
ウレタン系樹脂(A)と(メタ)アクリル系樹脂(B)との合計量に対し、ウレタン系樹脂(A)の質量割合は、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、40~70質量%がより好ましい。
その他の樹脂として、その他の水分散性樹脂、水溶性樹脂、これらの組み合わせ等を挙げることができる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/スルホン酸共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂にアニオン性の官能基を導入したアニオン性水溶性樹脂を用いることができる。
上記したその他の樹脂は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
その他の樹脂(有効成分)は、インク全量に対し、1~20質量%が好ましい。また、インクにその他の樹脂が配合される場合、インクに配合される全ての樹脂の合計量に対し、ウレタン系樹脂(A)及び(メタ)アクリル系樹脂(B)の合計量は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤(C)として、エチレンオキサイドを付加したアセチレングリコールを用いる場合において、エチレンオキサイドの付加モル数は5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤(C)は、HLB値の下限値は特に限定されないが、インクの貯蔵安定性の観点から、1.0以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、3.0以上であってもよい。
例えば、アセチレングリコール系界面活性剤(C)は、HLB値が1.0以上10.0以下が好ましく、2.0以上8.0以下がより好ましく、3.0以上5.0以下がさらに好ましい。
HLB値=20×(親水部の式量)/(界面活性剤の分子量)・・・式(1)
ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基(ポリエチレンオキサイド;EO:-(CH2CH2O)n-)、ポリオキシプロピレン基(ポリプロピレンオキサイド;PO:-(CH2CH2CH2O)n-)等が挙げられる。
また、アルコール基としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、スクロース(ショ糖)、マンニット、グリコール類等に由来する基(例えばエタノールであれば-CH2CH2OH)が挙げられる。
上記したアセチレングリコール系界面活性剤(C)は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤(C)は、有効成分量で、インク全量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。これによって、インクにおいて、貯蔵安定性の低下を防止することができる。
例えば、界面活性剤(C)は、有効成分量で、インク全量に対し、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。
界面活性剤(C)は、(メタ)アクリル系樹脂(B)の固形分量に対し、有効成分量の質量比で、0.1~2が好ましく、0.5~1がより好ましい。
その他の界面活性剤として、HLB値が10.0より大きいアセチレングリコール系界面活性剤を用いてもよい。
HLB値が10.0より大きいアセチレン系界面活性剤の市販品として、例えば、「オルフィンE1010、E1006、E1020」、「サーフィノール465、485」(以上、日信化学工業株式会社製)等を挙げることができる(いずれも商品名)。
顔料分散体としては、顔料が溶媒中に分散可能なものであって、インク中で顔料が分散状態となるものであればよい。例えば、顔料を顔料分散剤で水中に分散させたもの、自己分散性顔料を水中に分散させたもの、顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を水中で分散させたもの等を用いることができる。
また、無機顔料としては、コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、これらの金属酸化物及び硫化物、並びに黄土、群青、紺青等が挙げられる。
また、顔料として白色顔料を用いてもよい。白色顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム等の無機顔料が挙げられる。
カラー顔料の市販例としては、LIONOL BLUE FG-7400G(東洋インキ製造社製 フタロシアニン顔料);YELLOW PIGMENT E4GN(バイエル社製 ニッケル錯体アゾ顔料);Cromophtal Pink PT(BASF社製 キナクリドン顔料);Fastogen Super Magenta RG(DIC社製 キナクリドン顔料);Fastogen Super Magenta RGT(DIC社製 キナクリドン顔料);YELLOW PIGMENT E4GN(ランクセス社製 ニッケル錯体アゾ顔料);イルガライトブルー8700(BASF社製 フタロシアニン顔料);E4GN-GT(ランクセス社製 ニッケル錯体アゾ顔料);Fastogen Blue TGR(DIC株式会社製シアン顔料);Cinquasia Magenta D4550J(BASF社製マゼンタ顔料);Inkjet Yellow 4GP(クラリアント社製イエロー顔料)等が挙げられる。
高分子分散剤の市販品として、例えば、EVONIK社製のTEGOディスパースシリーズ「TEGOディスパース740W、750W、755W、757W、760W」、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ「ソルスパース20000、27000、41000、41090、43000、44000、46000」、ジョンソンポリマー社製のジョンクリルシリーズ「ジョンクリル57、60、62、63、71、501」、BYK社製の「DISPERBYK-102、185、190、193、199」、第一工業製薬株式会社製のポリビニルピロリドン「K-30、K-90」等が挙げられる(いずれも商品名)。
界面活性剤型分散剤の市販品として、例えば、花王株式会社製エマルゲンシリーズ「エマルゲンA-60、A-90、A-500、B-40、L-40、420」等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる(いずれも商品名)。
顔料分散剤を用いる場合では、顔料分散剤の添加量はその種類によって異なり特に限定はされない。例えば、顔料分散剤は、有効成分の質量比で、顔料1に対し、0.005~0.5の範囲で添加することができる。
色材は、有効成分量で、インク全量に対し、0.1~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましく、2~5質量%がさらに好ましい。
水としては、特に制限されないが、イオン成分をできる限り含まないものが好ましい。特に、インクの貯蔵安定性の観点から、カルシウム等の多価金属イオンの含有量が少ないことが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等を用いるとよい。
水は、インク粘度の調整の観点から、インク全量に対して20~90質量%で含まれることが好ましく、30~80質量%で含まれることがより好ましい。
これらは、単独で用いてもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して用いてもよい。
さらに、水溶性有機溶剤のなかから、低極性溶剤を用いることが好ましい。低HLB値の界面活性剤は水性溶媒に溶解しにくく、インク中で浮いてしまうことがある。この場合、インク中に低極性溶剤を加えることで、低HLB値の界面活性剤の溶解性を高めることができる。低極性溶剤としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリアセチン、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、2-ピロリドン等を好ましく用いることができる。
低極性の水溶性有機溶剤は、1~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましく、2~3質量%がさらに好ましい。
インクに配合するウレタン系樹脂(A)の樹脂エマルションは、エマルションの状態で粘度が1~300mPa・sであることが好ましく、1~100mPa・sがより好ましい。
インクに配合する(メタ)アクリル系樹脂(B)の樹脂エマルションは、固形分量が10~50質量%であることが好ましい。
インクに配合する(メタ)アクリル系樹脂(B)の樹脂エマルションは、エマルションの状態で23℃における粘度が1~300mPa・sであることが好ましく、1~100mPa・sがより好ましい。
表面エネルギーが異なる多様な基材に高品質な印刷をするためには、インクの濡れ広がりやすさが重要になる。そのため、インク中の樹脂エマルションの粘度は低い方が好ましい。
前処理剤は、例えば、水性媒体とともに、界面活性剤、凝集剤、無機粒子等、又はこれらの組み合わせを含むことが好ましい。より好ましくは、前処理剤は、水性媒体と、界面活性剤及び/又は凝集剤とを含む。また、前処理剤は、凝集剤を基材に定着させるためにバインダー樹脂を含んでもよい。
界面活性剤は、有効成分量で、前処理剤全量に対し、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、0.7~2質量%がさらに好ましい。
バインダー樹脂は、有効成分量で、前処理剤全量に対し、0.5~20.0質量%が好ましい。
凝集剤としては、カチオン性樹脂、多価金属塩、有機酸、無機酸、無機酸の塩等、又はこれらの組み合わせを用いることができる。カチオン性樹脂としては、カチオン性水溶性樹脂、カチオン性水分散性樹脂、又はこれらの組み合わせであってよい。
カチオン性樹脂、多価金属塩、有機酸、及び無機酸を含む凝集剤の合計量は、前処理剤全量に対し、1~50質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましい。
前処理剤は、粘度調整と保湿効果の観点から、水溶性有機溶剤を含むことができる。
水及び水溶性有機溶剤については、上記したインクで説明したものを用いることができる。
さらに前処理剤には、上記の成分に加え、任意に、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(浸透剤)、消泡剤、定着剤、酸化防止剤、防腐剤、pH調整剤等を適宜含有させることができる。
以下、印刷物の製造方法の一例について説明する。
印刷物の製造方法は、例えば、水性インクジェットインクを用いて基材に画像を形成することを含むことができる。水性インクジェットインクには、上記した水性インクジェットインクを用いることができる。
また、水性インクジェットによる画像形成の前に、前処理剤を用いて基材を処理することを含むことができる。
さらに、水性インクジェットインクを用いて基材に画像を形成する前に、白インクを用いて基材に白塗装を施してもよい。これによって、水性インクジェットインクによるインク塗膜の発色性をより高めることができる。白インクとしては、特に限定されずに通常の処方のインクにおいて色材として白顔料を含むものを用いてよいし、一実施形態による水性インクジェットインクにおいて色材として白顔料を含むものを用いてもよい。
インクジェット印刷装置は、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよく、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を基材に付着させるようにする。
一実施形態では、インクにウレタン系樹脂(A)及び(メタ)アクリル系樹脂(B)が含まれるため、得られた印刷物を熱処理することで、インク中の樹脂成分が溶融又は軟化して均一な塗膜を形成し、インク塗膜の強度及び柔軟性をより高めることができ、インク塗膜の耐久性及び加工性をより高めることができる。
また、(メタ)アクリル系樹脂(B)を用いる場合、熱などの外部刺激によって架橋する性質を有する架橋剤と併用することで、インク塗膜の耐久性をより高めることができる。このような(メタ)アクリル系樹脂(B)としては、官能基としてカルボキシ基、グリシジル基、ケトン基等を構造に持つものが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(B)と好ましく併用可能な架橋剤としては、例えば、(ポリ)カルボジイミド化合物、(ポリ)イソシアネート化合物、エポキシ化合物、シリル化合物、オキサゾリン化合物、ヒドラジン化合物等が挙げられる。
後処理剤としては、例えば、皮膜を形成可能な樹脂と、水性媒体又は油性媒体とを含む後処理液を用いることができる。
低浸透性基材としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、チタン、錫、クロム、カドミウム、合金(例えばステンレス、スチール等)等の金属板等の金属基材;ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス等の板ガラス等のガラス基材;PETフィルム、OHTシート、ポリエステルシート、ポリプロピレンシート等の樹脂製シート、アクリル板等の樹脂基材;アルミナ、ジルコニア、ステアタイト、窒化ケイ素等の成形体等のセラミック基材等が挙げられる。
これらの基材は、メッキ層、金属酸化物層、樹脂層等が形成されていてもよく、又は、界面活性剤、コロナ処理等を用いて表面処理されていてもよい。なお、一実施形態による水性インクジェットインクは、未処理の基材に対して処理してもその効果を発揮することができる。
これによれば、印刷画像の耐久性及び加工性に優れる印刷物を提供することができる。また、一実施形態によれば、印刷画像の画像性に優れる印刷物を提供することができる。
特に、基材に金属基材等の剛性基材を用いて加飾物品を作製する場合には、印刷部分において曲げ加工等をする際に、インク塗膜が柔軟性を有することから、加工部分において印刷画像のひび割れ及白化現象を防止することができる。
印刷物において、基材、ウレタン系樹脂(A)、(メタ)アクリル系樹脂(B)、界面活性剤(C)、及び色材の詳細については、上記した通りである。
以下、一実施形態によるインクセットについて説明する。以下の説明において、特段の説明がない部分は、上記した水性インクジェットインク及び印刷物の製造方法で説明した通りであり、上記した水性インクジェット及び印刷物の製造方法と共通する部分についての説明は省略することがある。
一実施形態によるインクセットよれば、印刷画像の耐久性及び加工性に優れる印刷物を提供することができるとともに、水性インクジェットインクの連続吐出性を改善することができる。また、一実施形態によるインクセットによれば、印刷画像の均一性に優れる印刷物を提供することができる。
一実施形態による水性インクに対して任意の割合で混和可能なメンテナンス液を用いることで、洗浄効率をより高めることができる。さらに、ノズル面でインクとメンテナンス液とを含む混和液が濃縮された場合にも、混和性が維持されることで、濃縮された混和液中で異物の発生を抑制することができる。例えば、ノズル面に付着したインクが濃縮された状態でメンテナンス液が付与される場合、又はノズル面にメンテナンス液を付与した後にメンテナンス液の揮発性成分が揮発してメンテナンス液が濃縮された場合にも、濃縮された混和液において、インクの顔料、樹脂エマルション等の凝集の発生を抑制することができる。
また、メンテナンス液がグリセリンを30質量%以上含むことでメンテナンス液の保湿性が高くなり、メンテナンス液単体又はインクとの混和液が大気開放状態になっても、水分の急激な蒸発による凝集物の発生を抑制することができる。また、メンテナンス液がグリセリンを含む場合では、相対的に水分の割合が小さくなるため、インクとメンテナンス液との混和液においても水の割合が小さくなり、混和液において低HLB値のアセチレングリコール系界面活性剤を溶解状態で維持することができ、画像の均一性や連続吐出性を高めることができる。
インクセットに備えられるメンテナンス液としては、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(C’)と、グリセリンとを含むことができる。以下、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(C’)を界面活性剤(C’)とも記す。
水性インクジェットインクに含まれるアセチレングリコール系界面活性剤(C)と、メンテナンス液に含まれるアセチレングリコール系界面活性剤(C’)とは、同じ成分を含むことが好ましい。これによって、メンテナンスにおいてノズル面でメンテナンス液とインクとが混和される場合に、混和液の安定性をより高めることができ、連続吐出性を高めることが出来る。
界面活性剤(C’)は、有効成分量で、メンテナンス液全量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
例えば、界面活性剤(C’)は、有効成分量で、メンテナンス液全量に対し、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。
その他の界面活性剤をインクに配合する場合では、界面活性剤全量に対し、界面活性剤(C’)は、有効成分の質量割合で、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましい。
メンテナンス液に含まれる水溶性有機溶剤として、例えば、上記した水性インクジェットインクで説明した水溶性有機溶剤を挙げることができる。
グリセリンは、メンテナンス液全量に対し20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。これによって、メンテナンス液の保湿性を高めることができ、洗浄面からの水分の蒸発を低減することができる。例えば、洗浄面においてメンテナンス液単体又はインクとの混和液が大気開放状態になっても、水分の急激な蒸発による凝集物の発生を抑制することができ、画像の均一性と連続吐出性を高めることができる。
グリセリンは、メンテナンス液全量に対し50質量%以下が好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、35質量%以下であってもよい。これによって、水分が蒸発した際のメンテナンス液の急激な増粘を抑制することができる。
例えば、グリセリンは、メンテナンス液全量に対し20~50質量%が好ましく、30~40質量%がより好ましく、30~35質量%がさらに好ましい。
低極性の水溶性有機溶剤は、メンテナンス液全量に対し、1~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましく、2~3質量%がさらに好ましい。
水は、メンテナンス液全量に対し、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。水分量が多くなると低HLB値の界面活性剤が析出しやすくなるため、水分量がより少ないことで、低HLB値の界面活性剤の析出を抑制することができる。
水は、メンテナンス液全量に対し、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。これによって、水性インクに含まれる水性成分を溶解ないし分散させて除去することができる。
例えば、水は、メンテナンス液全量に対し、30~60質量%が好ましく、40~60質量%がより好ましく、40~50質量%がさらに好ましい。
メンテナンス液のpHは、5.5~9.0が好ましい。この範囲で、ヘッド面の洗浄において凝集物の発生を抑制し、ノズル詰まりを防止し、連続吐出性を高めることができる。
メンテナンス液の表面張力は、20~50mN/mが好ましく、25~40mN/mがより好ましい。
メンテナンス液の作製方法は、特に限定されないが、各成分を適宜混合することで所望のメンテナンス液を得ることができる。また、得られた組成物をフィルター等を用いてろ過してもよい。
インクジェット印刷装置では、インクジェットヘッドからのインクの吐出不良を低減するために、インクジェットヘッドのメンテナンス動作を行うことができる。
メンテナンス動作の一つとして、メンテナンス液をノズル面に付与する方法、メンテナンス液をノズル面に付与しワイパでノズル面をワイピングする方法、ワイパにメンテナンス液を付与した状態でワイパでノズル面をワイピングする方法等がある。いずれの方法においても、一実施形態によれば、ノズル面において、インクとメンテナンス液との混和液の安定性を高めることができ、ノズル面からインク汚れを効率よく除去することができる。
ワイパの材料は、ヘッドに接触することから、ノズルを傷付けないように硬質の材料よりも弾性を持ったシリコーンゴム、フッ素ゴムのような素材が適している。ワイパは、メンテナンス液やインクに頻繁に接触するため、これらの液体によって変形等が生じない耐久性を備えることが好ましい。
メンテナンス動作は、インクジェット印刷装置内に、メンテナンス液の収容部、ワイパ等のメンテナンス機構を設けてもよい。他の方法として、ノズル面が汚れたタイミングで、メンテナンス液を用いて手動でノズル面の汚れを拭き取ってもよく、あるいは、ノズル面をメンテナンス液に浸漬させてインクを溶解させて除去してもよい。
メンテナンス液は、ノズル面の洗浄に適するが、ノズルヘッドの内部、基材の搬送経路、インクタンク、筐体等のその他の部材にも適用可能である。
<顔料分散体の作製>
表1に顔料分散体の処方を示す。
表中に示す処方にしたがって、各成分をプレミックスした。その後、500mLのPP(ポリプロピレン)容器に300gの混合物を入れ、直径Φ0.5mmのジルコニアビーズを、PP容器中の総量が容器の9割程度になるように添加した。このPP容器をロッキングミル((株)セイワ技研製)にセットし、2時間分散した後、ジルコニアビーズを分散液から分離し、顔料分散体を得た。
マゼンタ顔料:DIC株式会社製「FASTOGEN SUPER MAGENTA RGT」。
アクリル系分散剤:BYK社製「DISPERBYK-190」、有効成分40%。
pH調整剤:富士フイルム和光純薬株式会社製「TEA(トリエタノールアミン)」。
防腐剤:ロンザジャパン株式会社製「PROXEL XL2(S)」。
表2から表5に、実施例及び比較例のインクの処方を示す。各表において、マゼンタ顔料分散体の配合量は、顔料分散体の総量で示す。また、各樹脂エマルションの配合量は、樹脂エマルションの総量で示す。表中に示す顔料分散体の顔料分及び樹脂エマルションの固形分の単位は質量%である。表中の顔料分散体及び樹脂エマルションに含まれる溶媒は主に水である。
各表に示すインクの処方にしたがって、各成分を混合し、その後、孔径3μmのメンブレンフィルターで濾過し、インクを得た。
(成分1:顔料分散体)
マゼンタ分散体:上記手順によって製造したもの;顔料分20%。
ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(1):三井化学株式会社製「タケラックW-6020」、固形分30.0%。
ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(2):三洋化成工業株式会社製「パーマリンUA-200」、固形分30.0%。
ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(3):三井化学株式会社製「タケラックW-5661」、固形分35.0%。
ポリエーテル型芳香族ウレタン系樹脂:DSM社製「NeoRez R-9404」、固形分31.0%。
ポリエステル型脂肪族ウレタン系樹脂:株式会社ADEKA製「アデカボンタイターHUX-370」、固形分33.0%。
ポリカーボネート型脂肪族ウレタン系樹脂:三洋化成工業株式会社製「ユーコートUX-485」、固形分40.0%。
以上のウレタン系樹脂エマルションは、いずれもアニオン性である。表中の成分(2a)はポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂エマルションを示し、成分(2b)は比較ウレタン系樹脂エマルションを示す。
スチレンアクリル系樹脂:ジャパンコーティングレジン社製「モビニール 966A」、固形分45.0%。
アクリル系樹脂:ジャパンコーティングレジン社製「モビニール 9760」、固形分19.5%。
以上のアクリル系樹脂エマルションは、いずれもアニオン性である。
表中のグリセリン、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、富士フイルム和光純薬株式会社より入手可能である。
アセチレングリコール(HLB:4.0):日信化学工業株式会社製「サーフィノール420」。
アセチレングリコール(HLB:8.1):日信化学工業株式会社製「サーフィノール440」。
アセチレングリコール(HLB:13.2):日信化学工業株式会社製「オルフィンE1010」。
アセチレングリコール(HLB:17.1):日信化学工業株式会社製「サーフィノール485」。
以上の界面活性剤は、いずれもアセチレングリコール系界面活性剤であり、非イオン性であり、有効成分100質量%である。表中の成分(5a)はHLB値が10.0以下の界面活性剤を示し、成分(5b)はHLB値が10.0超過の界面活性剤を示す。
HLB値=20×(親水部の式量)/(界面活性剤の分子量)・・・式(1)
測定対象のインクに配合されるウレタン系樹脂エマルションと界面活性剤との組み合わせにおいて、ウレタン系樹脂エマルションを界面活性剤に浸漬した状態で、ウレタン系樹脂エマルションが膨潤する割合を求めた。測定対象のインクに2種類の界面活性剤が配合される場合は、2種類の界面活性剤の質量比をインク中の配合割合と合わせて混合して用いた。
測定対象のインク中に含まれるウレタン系樹脂エマルションを直径5cmのガラスシャーレに、固形分で1.5gになる量を入れ、100℃の熱乾燥器にいれ、水分を蒸発させ樹脂を乾燥させて乾燥膜を得た。乾燥膜にした試験片を1cm×1cmの大きさにカットし、その質量を測定後、ガラス瓶に入れ、そこに測定対象のインク中に含まれる界面活性剤を1.0g加え乾燥膜を浸漬し、12時間後に取り出し乾燥膜表面の界面活性剤をふき取った後、質量を測定した。膨潤率は下記式から算出した。
膨潤率[%]={((浸漬後の乾燥膜の質量)-(浸漬前の乾燥膜の質量))/(浸漬前の乾燥膜の質量)}×100
得られたインクを用いて、以下の手順に従って加飾物品を作製し、以下の評価を行った。結果を表2~表5に併せて示す。
基材には、白塗装されたアルミニウム板(ニッカル商工株式会社、アルミ平板)を用いた。
10cm×10cmにカットした白塗装アルミニウム板を70℃のオーブンで10分間加熱した。
各インクをインクジェットプリンタ(Anajet社製Anajet mPower-10)のインクジェットヘッドに導入し、加熱した白塗装アルミニウム板の表面温度が40℃になった状態で、マゼンタの単色で写真画像を印刷した。
印刷後に150℃のオーブンで10分間加熱乾燥させ、得られた印刷物を加飾物品とした。
得られた加飾物品の画像部を荷重60kg/m2かけて底面積9cm×9cmのスチールウールで往復し、基材表面の変化を観察した。以下の基準で印刷画像の耐久性を評価した。
AA:30往復擦っても画像に大きな変化がない。
A:30往復擦って、画像がやや白っぽくなる。
B:30往復以下で画像が剥がれる。
C:10往復以下で画像が剥がれる。
D:1往復で画像が剥がれる。
得られた加飾物品をベンダーで90度に折り曲げ、折り曲げた部分の画像の変化を観察した。以下の基準で印刷画像の加工性を評価した。
A:曲げによる画像の微小なひび割れによる白化が観察されなかった。
B:白化は観察されないが、拡大鏡で分かる微小なひび割れが観察された。
C:白化が観察された。
D:白化が観察され、画像が割れた部分から剥がれが生じていた。
得られた加飾物品の画像部をズーム顕微鏡で観察し、写真画像の黄変の有無を観察した。以下の基準で印刷画像の画像性を評価した。
A:写真画像の発色に黄変が見られない。
B:写真画像の発色がやや黄味がかっている。
C:写真画像の黄味が強い。
各実施例を通して、ウレタン系樹脂(A)、(メタ)アクリル系樹脂(B)、界面活性剤(C)、顔料の種類が異なっても、一実施形態の成分を用いることで、各評価が良好であった。
各実施例を通して、ウレタン系樹脂(A)の配合量が3質量%以上で、印刷画像の耐久性及び加工性、特に耐久性がより改善されることがわかる。
各実施例を通して、測定対象のインクに用いるウレタン系樹脂の界面活性剤に対する膨潤率が10~100%であることで、印刷画像の耐久性及び加工性がより改善されることがわかる。
実施例3、5、7を通して、界面活性剤(C)は2種類を組み合わせてもよく、界面活性剤(C)とその他の界面活性剤を組み合わせてもよいことがわかる。
比較例1では、ポリエステル型脂肪族ウレタン系樹脂を用いており、印刷画像の耐久性及び加工性が低下した。さらに、比較例1では、ウレタン系樹脂のエステル結合に由来して、印刷画像の画像性が低下した。
比較例2では、ポリカーボネート型脂肪族ウレタン系樹脂を用いており、印刷画像の加工性が低下した。これは、ウレタン系樹脂のカーボネート結合に由来して、樹脂自体が硬いが柔軟性が不十分であるからと考えられる。
比較例3では、ポリエーテル型芳香族ウレタン系樹脂を用いており、印刷画像の耐久性及び加工性が低下した。また、比較例3では、ウレタン系樹脂の芳香族ウレタン結合に由来して、インク塗膜の黄変が発生し、印刷画像の画像性が低下した。
比較例4は、(メタ)アクリル系樹脂を用いない例であり、インク塗膜に起因する画像性の低下は発生しなかったが、印刷画像の耐久性及び加工性が低下した。
比較例8は、ウレタン系樹脂を用いない例であり、印刷画像の耐久性及び加工性、特に加工性が低下した。
比較例9及び10は、HLB値が10.0超過の界面活性剤を用いている例であり、印刷画像の耐久性及び加工性が低下した。これは、ウレタン系樹脂(A)とHLB値が10.0以下の界面活性剤(C)との相互作用が得られずに、インク塗膜の均質性が低下したことを一因とすると考えられる。
各比較例を通して、測定対象のインクに用いるウレタン系樹脂の界面活性剤に対する膨潤率が10%未満である場合では、この点からも、印刷画像の耐久性及び加工性が低下したと考えられる。
<顔料分散体の作製>
上記製造例Aと同じ手順でマゼンタ顔料分散体を作製した。
表6に、インクの処方を示す。各表において、マゼンタ顔料分散体の配合量は、顔料分散体の総量で示す。また、各樹脂エマルションの配合量は、樹脂エマルションの総量で示す。表中に示す顔料分散体の顔料分及び樹脂エマルションの固形分の単位は質量%である。表中の顔料分散体及び樹脂エマルションに含まれる溶媒は主に水である。
表中に示すインクの処方にしたがって、各成分を混合し、その後、孔径3μmのメンブレンフィルターで濾過し、インクを得た。
用いた成分は、上記した製造例Aのインクと共通する。界面活性剤のHLB値、及びウレタン系樹脂エマルションの膨潤率は、上記した製造例Aと同様にして求めた。
表7に、メンテナンス液の処方を示す。表中に示すメンテナンス液の処方にしたがって、各成分を混合し、その後、孔径3μmのメンブレンフィルターで濾過し、メンテナンス液を得た。得られたメンテナンス液のpHを測定し表中に示す。
用いた水溶性有機溶剤は、いずれも富士フイルム和光純薬株式会社より入手可能である。用いた界面活性剤及び防腐剤は、上記した製造例Aのインクと共通する。
得られたインクを用いて、製造例Aと同様の手順に従って加飾物品を作製し、以下の評価を行った。以下の印刷画像の均一性及び連続吐出性の評価において、ベタ画像の加飾物品は、マゼンタの単色で写真画像の代わりにベタ画像を印刷する他は、製造例Aと同じ操作を繰り返して作製した。
印刷画像の耐久性、印刷画像の加工性、及び印刷画像の画像性は、上記した製造例Aと同様の手順で同じ基準で評価した。
(印刷画像の均一性)
10cm×10cmのアルミニウム板に縁なしのベタ画像を3枚印刷した後に、各メンテナンス液に浸したゴムブレードで、インクジェットヘッドのノズル面を拭き取った。この状態で、もう一度、10cm×10cmのアルミニウム板に縁なしのベタ画像を印刷した。ノズル面を拭き取った後に印刷して得られた加飾物品の画像部をズーム顕微鏡で観察し、ベタ画像の均一性を観察した。以下の基準で印刷画像の均一性を評価した。
A:均一なベタ画像を形成している。
B:ベタ画像の一部にムラがある。
C:ベタ画像の半分程度にムラがある。
10cm×10cmのアルミニウム板に縁なしのベタ画像を10枚印刷し続けた後、各メンテナンス液に浸したゴムブレードでインクジェットヘッドのノズル面を拭き取った。この状態で、もう一度、10cm×10cmのアルミニウム板に縁なしのベタ画像を10枚印刷し続けた後、ノズルチェックパターンを印刷し吐出されていないノズルが何本あるかチェックした。以下の基準で連続吐出性を評価した。
AA:抜け本数が0本である。
A:抜け本数が1本以上2本以下である。
B:抜け本数が3本以上4本以下である。
C:抜け本数が5本以上である。
実施例B4は、メンテナンス液に含まれる界面活性剤のHLB値が4.0であり、印刷画像の均一性及び連続吐出性が良好であった。
実施例B5は、メンテナンス液に含まれる界面活性剤のHLB値が13.2であり、印刷画像の均一性及び連続吐出性が低下している。
実施例B6は、メンテナンス液に含まれる界面活性剤のHLB値が17.1であり、印刷画像の均一性及び連続吐出性が低下している。
実施例B1~B6を通して、メンテナンス液に含まれる界面活性剤のHLB値が10.0以下の範囲で、ノズルヘッドのノズル面に付着したインクが適切に除去され、印刷画像の均一性及び連続吐出性が改善されると考えられる。
Claims (8)
- 水分散性ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(A)、水分散性(メタ)アクリル系樹脂(B)、HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(C)、色材、及び水を含み、前記水分散性ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(A)及び前記水分散性(メタ)アクリル系樹脂(B)がそれぞれインク中に樹脂粒子として分散状態で含まれている、水性インクジェットインク。
- 前記水分散性ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(A)と前記水分散性(メタ)アクリル系樹脂(B)とは複合樹脂粒子化されていない、請求項1に記載の水性インクジェットインク。
- 前記水分散性ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(A)は、前記水分散性ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(A)を乾燥膜にした試験片を、インクに配合される界面活性剤に浸漬し、12時間後に取り出した際の、浸漬前からの質量基準の膨潤率が10%以上100%以下である、請求項1又は2に記載の水性インクジェットインク。
- 前記水分散性ポリエーテル型脂肪族ウレタン系樹脂(A)は、インク全量に対し、3.0質量%以上である、請求項1~3のいずれか一つに記載の水性インクジェットインク。
- 前記水分散性(メタ)アクリル系樹脂(B)の含有量が、インク全量に対し、2.0質量%以上である、請求項1~3のいずれか一つに記載の水性インクジェットインク。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の水性インクジェットインクと、
HLB値が10.0以下であるアセチレングリコール系界面活性剤(C’)と、メンテナンス液全量に対し30質量%以上であるグリセリンとを含むメンテナンス液とを含む、インクセット。 - 前記メンテナンス液は、メンテナンス液全量に対し水分量が40~60質量%である、請求項6に記載のインクセット。
- 前記水性インクジェットインクに含まれるアセチレングリコール系界面活性剤(C)と、
前記メンテナンス液に含まれるアセチレングリコール系界面活性剤(C’)とは、同じ成分を含む、請求項6又は7に記載のインクセット。
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