JP7570979B2 - 乗り心地向上支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、乗り心地向上支援装置に関する。
鉄道車両の高速化や省エネ化への対応方法の1つに車両の軽量化が挙げられる。車両の軽量化に伴い、車体の軽量化が必要とされ、その結果として車体の剛性低下に影響を与えることがある。この車体の剛性低下を要因とした車体の弾性振動が発生することで、鉄道車両を利用する乗客の乗り心地を悪化させる原因となり、弾性振動の改善や対策が求められる場合がある。
これに対し、特許文献1には、複数の車両で編成される電車の乗り心地レベルをリアルタイムに近い状態で求めることが可能な乗り心地監視システムが開示されている。これは、従来の乗り心地監視システムに対し、加速度センサと、振動測定装置と、乗り心地演算手段と、を追加したものである。
また、特許文献2には、鉄道車両に対し、サスペンション制御によって動的に車体の弾性振動の振幅レベルを低下させるサスペンション制御装置が開示されている。これは、ヨーダンパと、台車振動検出手段と、制御装置と、から構成される。ヨーダンパは、鉄道車両の台車と車体との間に設けられ、鉄道車両に加わるヨー方向の減衰力を調整可能にする。
なお、特許文献3において、鉄道車両用車体に対し、乗心地レベル、周波数応答解析、車体の曲げ振動を低減させる減衰手段、といった技術が開示されている。これは、主に鉄道車両用車体に対する設計製造段階の対策であって、走行中の対応(オペレーション)によって弾性振動の発生を抑制する技術ではない。
特開2005-306119号公報 特開2014-198522号公報 特開2013-52734号公報
特許文献1の乗り心地監視システムは、乗り心地が「非常に良い」、「良い」、「普通」、又は「悪い」といった閾値判定による監視結果が得られる。しかし、その監視結果に基づいて、積極的に乗り心地を向上させる手段までは開示されていない。
また、特許文献2のサスペンション制御装置は、車体の弾性振動の固有値範囲でヨーダンパの減衰力を小さくするように制御することで、車体の弾性振動を抑制するものの、状態方程式で利用するパラメータ設定作業やセンサ調整作業などが必要かつ煩雑であるという問題点があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、乗り心地の監視結果に基づいて、乗り心地を向上させるための支援情報(Support information)を生成し、改善手段を有する実行体へ送出して弾性振動の発生を抑制する乗り心地向上支援装置を提供することにある。
上記課題を解決する本発明は、車両に搭乗した乗客7の乗り心地に寄与する乗り心地向上支援装置であって、車両に配設されて弾性振動を検出する振動センサと、車両の運行を制御可能な車両情報管理システムから取得された運行情報に基づいて加振情報を算出する加振情報算出部と、振動センサが検出した弾性振動と、加振情報算出部が算出した加振情報と、に基づいて弾性振動の発生を予測可能な振動発生予測処理部と、を備え、振動発生予測処理部の予測結果に基づいて算出された支援情報を実行体(Execution body)へ送出し、実行体を支援情報に基づいて機能させることにより、弾性振動の発生を抑制する。
本発明は、乗り心地を向上させるための支援情報を生成し、改善手段を有する実行体へ送出して弾性振動の発生を抑制する乗り心地向上支援装置を提供できる。
本発明の実施形態に係る乗り心地向上支援装置(以下、「本装置」ともいう)の構成を示すブロック図である。 本装置の基本動作を説明するフローチャートである。 本装置の弾性振動検出部が弾性振動の特徴量を検出したスペクトル密度を示すグラフである。 本装置の振動発生予測処理部が算出した振動発生予測時間を示すグラフである。 図2の基本動作を実行する条件を説明するフローチャートである。 図2の予測時間基本動作から弾性振動発生予測時間算出を除外して実行する処理を説明するフローチャートである。
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。なお、各図において、共通な機能を有する構成要素には同一の番号を付与し、その重複する説明を省略する。また、車体の弾性振動は単に弾性振動として説明する。
<本装置の構成>
図1は、本装置10の構成を示すブロック図である。本装置10は、1両の鉄道車両(単に「車両」ともいう)1に搭載された振動センサ5と監視カメラ、及び、車両情報管理システム8の情報を利用して、車両1で発生した弾性振動を検出し、乗客7に対する弾性振動の体感機会を減らすものである。本装置10は、少なくとも、発生時期の予測値と、実際の発生状況と、を含む支援情報を出力し、それを受けた実行体に、弾性振動の発生機会を低減させる。
なお、車両情報管理システム8は、運行管理システムその他で呼称されることもあるが、車両1の性能仕様、配車情報、及び運行ダイヤまで広範囲な情報管理するのみならず、運転指令及び無人運転の機能まで広範囲に有するコンピュータを例示している。本装置10は鉄道車両への適用例であるが、トラックのほか、エレベーターにも応用可能である。
支援情報とは、それを受けた実行体が、弾性振動の発生を抑制させる行動のために寄与する情報である。実行体は、乗心地の改善命令を発令する主体(決定部門:Decision department)と、客体(制御対象:Control target)との少なくとも何れかである。
主体は、人かコンピュータであり、人なら運転士か運転指令員であるが、コンピュータなら車両情報管理システム8である。客体は、主体の操作や命令を実行する制御対象であり、該当する周辺機器を意味する。すなわち、実行体は、本装置10が生成し送出する支援情報を受けて、弾性振動の発生を抑制させるための行動を起こす命令機能(主体)と、その命令を実現する周辺機器(客体)である。
図1において、車両1は、乗客(ヒト)7やモノを輸送する車体2と、軌道3の上を走行する台車4から構成され、車体2の内部には、振動状態を検出する振動センサ5と監視カメラ6が搭載される。なお、振動センサ5は、車体2の弾性振動が検出できる車体2中央の床面や特定の座席下に設置されていれば良く、複数台設置されていても良い。
また、監視カメラ6は、車体2の天井、又は、側面に設置されていれば良く、複数台設置されていても良い。また、車両1は、走行位置や走行速度、乗車率、速度パターンといった運転情報などの車両運行情報を管理する車両情報管理システム8を搭載する。
さらに、車両1は本装置10を搭載している。本装置10、振動情報取得部11と、弾性振動検出部12と、走行情報取得部13と、加振情報算出部14と、映像情報取得部15と、乗客情報検出部16と、振動発生予測処理部17と、乗客影響度算出部18と、判定・支援処理部19と、指令情報出力部20と、を備えて構成される。
本装置10は、振動センサ5から振動加速度信号31aと、車両情報管理システム8から車両情報32aを入力し、監視カメラ6から映像信号33aを入力し、車両情報管理システム8へ指令情報44aを出力する。
振動情報取得部11は、振動加速度信号31aを入力し、弾性振動を検出処理するための振動加速度34aへ変換して、弾性振動検出部12へ出力する。弾性振動検出部12は、振動加速度34aを入力し、高速フーリエ変換処理などの周波数解析処理を実行した上で、弾性振動の周波数や振幅レベルといった弾性振動情報35aを振動発生予測処理部17へ出力する。
走行情報取得部13は、車両情報32aから軌道加振情報を算出するための走行速度36aを加振情報算出部14へ出力し、車両情報32aから支援処理に利用する速度パターンなどの車両情報42aを判定・支援処理部19へ出力する。
加振情報算出部14は、走行速度36aを入力し、当該車両1の車両諸元情報を基に、考慮すべき加振情報37aを振動発生予測処理部17へ出力する。振動発生予測処理部17は、弾性振動情報35aと加振情報37aを入力し、弾性振動周波数と加振周波数の比率、及び、その時間変化率を算出した上で、判定・支援処理部19へ振動発生予測情報40aを出力する。
映像情報取得部15は、映像信号33aを入力し、乗客7の有無や配置箇所を検出するための映像情報38aを乗客情報検出部16へ出力する。乗客情報検出部16は、映像情報38aを入力し、映像解析などを適用して、車体2にいる乗客(ヒト)7の人数、及び場所といった乗客情報39aを乗客影響度算出部18へ出力する。
乗客影響度算出部18は、乗客情報39aを入力し、振動センサ5と乗客7の位置関係を基に、乗客7に対して弾性振動がどの程度影響があるのか乗客影響度を算出した上で、判定・支援処理部19へ乗客影響度情報41aを出力する。
判定・支援処理部19は、振動発生予測情報40aと乗客影響度情報41aと速度パターンなどの車両情報42aを入力し、弾性振動レベルや周波数比率の閾値判定を実行した上で、指令情報出力部20へ判定結果・支援情報などの指令情報43aを出力する。
指令情報出力部20は、指令情報43aを入力し、車両情報管理システム8へ指令信号44aを出力する。なお、上述した本装置10の機能の一部を車両情報管理システム8内で構成するシステム構成としても良い。また、振動センサ5、及び監視カメラ6から出力される各信号を車両情報管理システム8に入力した上で、本装置10に出力するようなシステム構成でも良い。上述した処理内容の詳細は、以降で別途説明する。
<弾性振動発生時期から支援情報を出力するフローの一例>
図2は、本装置10の基本動作を説明するフローチャート(以下、「フローF100」という)である。図2のフローF100は、本装置10の動作において、特に軌道加振情報を基に車体2の弾性振動が励起される予測時間を算出し、支援情報を出力する流れである。後述する図5及び図6にも概ね整合された図2のステップ番号に沿って、本装置10の動作を説明する。なお、図2、図5及び図6の説明において、主語の無い実行主体は、本装置10である。
図3は、本装置10の弾性振動検出部が弾性振動の特徴量を検出したスペクトル密度を示すグラフであり、横軸に周波数を示し、縦軸にパワースペクトル密度を示している。
ステップS101:本装置10の弾性振動検出部12は、振動センサ5の振動加速度から弾性振動の特徴量である周波数及び振幅レベルを検出する。弾性振動検出部12は、例えば図3に示すように、振動加速度に対して、実時間で高速フーリエ変換処理を実行し、事前の解析結果を基に、弾性振動の周波数範囲を明らかにした上で、パワースペクトル密度の振幅レベルを検出すれば良い。
また、弾性振動検出部12は、走行試験結果などの実測結果に基づき、弾性振動の周波数範囲を選定し、パワースペクトル密度の振幅レベルを検出しても良い。あるいは、弾性振動の周波数範囲内で最も大きいパワースペクトル密度の振幅レベルを検出しても良い。
ステップS102:本装置10の加振情報算出部14は、車両情報管理システム8の走行速度から軌道加振情報である加振周波数を算出する。加振情報算出部14は、例えば、車体2の前後にある台車4相互間距離に起因して発生する加振周波数を予め記録された車両諸元情報を基に、走行速度情報から算出すれば良い。また、加振情報算出部14は、台車4に搭載された前後の輪軸距離に起因して発生する加振周波数も同様に算出すれば良い。
ステップS103:本装置10の振動発生予測処理部17は、ステップS101とステップS102で得られた弾性振動周波数と、軌道加振周波数の比率(以下、周波数比率)及び、その周波数比率の時間変化率と、を算出する。この時、軌道加振周波数は車両走行速度に依存するため、ある車両走行速度以上で周波数比率を計算するようにすれば良い。
また、振動発生予測処理部17は、弾性振動の周波数と軌道加振周波数の差分値の絶対値を算出し、差分値の時間変化率を算出しても良い。図4は、本装置10の振動発生予測処理部17が算出した振動発生予測時間を示すグラフであり、横軸に時間を示し、縦軸に比率を示してる。
ステップS104:本装置10の振動発生予測処理部17は、上記ステップS103で算出した周波数比率とその周波数比率の時間変化を基に、現在時間からの弾性振動発生予測時間を算出する。振動発生予測処理部17は、例えば図4に示すように、ある周波数比率の1パターンがあるとする。このパターンは、ある時間帯にて周波数比率が1近傍に存在しており、弾性振動周波数が軌道加振周波数にほぼ一致していることを意味している。
このように、振動発生予測処理部17は、弾性振動周波数と軌道加振周波数がほぼ一致する時間帯をできるだけ短くするために、現在時間を基準に何秒後に周波数比率が1となるかを予測する。それから、振動発生予測処理部17は、現在時間を基準に周波数比率が1となる時間を周波数比率、及び周波数比率の時間変化率で算出する予測式に基づき算出する。
振動発生予測処理部17は、この予測式によって算出された時間から現在時間を差し引くことで、振動発生予測時間を算出する。また、振動発生予測処理部17は、図4では加速時を想定した振動発生予測時間の算出例を示したが、減速時(1より大きい周波数比率が1に近づく場合)も同様に振動発生予測時間を算出すれば良い。
ステップS105:本装置10の判定・支援処理部19は、ステップS104で算出した弾性振動発生予測時間が事前に設定された閾値を超過したと判定された場合に、車両情報管理システム8に対して、支援情報を出力する。例えば、「何秒後に弾性振動が発生する」といった情報を車両情報管理システム8へ出力し、車両情報管理システム8を介して車両運転画面に提示すれば良い。
また、判定・支援処理部19は、車両情報管理システム8から得る速度パターン情報に基づき、上記周波数比率がある閾値範囲内にできるだけ存在しないように、速度パターンを修正する支援情報を提示すれば良い。なお、判定・支援処理部19は、本支援情報を基にした速度パターンの修正は、車両情報管理システム8側で、車両運行の定時性など考慮して、支援情報を活用するか否かを判断すれば良い。
<検出した乗客影響度を考慮した処理フローの一例>
図5は、図2の基本動作を実行する条件を説明するフローチャート(以下、「フローF101」ともいう)である。すなわち、図5のフローF101は、本装置10の動作において、特に乗客7への弾性振動の乗客影響度を考慮した上で、支援情報を出力する流れである。図2及び図6との間で、概ね整合されたステップ番号に沿って、本装置10の動作を説明するので、既に重複するステップ番号については説明を省略する。
ステップS111:本装置10の乗客情報検出部16は、監視カメラの映像情報から乗客情報を検出する。例えば、映像解析を実行して、乗客7が車体2内の、どの場所に、どのくらいの人数が存在するのか、位置情報を検出する。また、判定・支援処理部19は、車両情報管理システム8から乗客7が事前に購入、又は予約した座席情報を取得し、乗客7の位置情報を推定しても良く、乗車率を利用しても良い。
ステップS112:本装置10の乗客影響度算出部18は、上記ステップS111で得られた乗客情報より、乗客7に対する弾性振動の乗客影響度を算出する。乗客影響度算出部18は、例えば、車体2中央を中心として、車体2中央から乗客7位置に応じた重み定数を設定し、乗客7人数分の重み定数の総和を弾性振動の乗客影響度とすれば良い。また、乗客影響度算出部18は、設置した振動センサ5の位置を基に、弾性振動の乗客影響度を算出しても良い。
本装置10は、上記ステップS112で得られた乗客影響度を基に、乗客影響度の閾値を決定しておき、その閾値以上(乗客影響度が高い)であれば、図2で説明したフローF100を実行し、その閾値以下(乗客影響度が低い)であれば、支援を実行しないように、最適な処理を実行すれば良い。
<検出した弾性振動レベルを考慮した処理フローの一例>
つぎに、図6は、図2の予測時間基本動作から弾性振動発生予測時間算出を除外して実行する処理を説明するフローチャート(以下、「フローF102」ともいう)である。すなわち、図6のフローF102は、本装置10の動作において、特に振動センサ5より検出した弾性振動の振幅レベルの大きさを考慮した上で、支援情報を出力する流れである。図2及び図5との間で、概ね整合されたステップ番号に沿って、本装置10の動作を説明するので、既に重複するステップ番号については説明を省略する。
ステップS121:本装置10の判定・支援処理部19は、上記ステップS101からステップS103の処理フローを経た後に実行される。このステップS121は、検出された弾性振動の振幅レベルが予め設定された閾値を超過し、且つ、弾性振動周波数と軌道加振周波数の周波数比率が予め設定された閾値範囲内に存在する場合に実行される処理である。すなわち、このステップS121は、弾性振動周波数と軌道加振周波数がほぼ一致する場合に実行される。
このステップS121では、判定・支援処理部19が、例えば「現在弾性振動が発生中」といった情報を車両情報管理システム8へ出力し、車両情報管理システム8を介して車両運転画面に提示すれば良い。
また、判定・支援処理部19が、車両情報管理システム8から得る速度パターン情報に基づき、上記周波数比率がある閾値範囲内にできるだけ存在しないように速度パターンを修正する支援情報を提示すれば良い。この支援情報を基にした速度パターンの修正は、車両情報管理システム8側にて、車両運行の定時性など考慮して支援情報を活用するか否かを判断すれば良い。
ステップS122:本装置の判定・支援処理部19が、上記ステップS101からステップS103の処理フローを経て、検出された弾性振動の振幅レベルが予め設定された閾値を超過し、且つ、弾性振動周波数と軌道加振周波数の周波数比率が予め設定された閾値範囲内に存在しない場合に実行される処理である。すなわち、このステップS122は、弾性振動周波数と軌道加振周波数が外れている場合に実行される。
このステップS122では、速度パターンを修正する支援情報では対応困難であるため、例えば「現在弾性振動が発生中」であるアラーム情報を車両情報管理システム8へ出力すると共に、車両情報管理システム8で管理している機器群の運転情報や軌道インフラ情報を併せて記録しておくようにすれば良く、乗心地改善に資する、これら情報の関連性を別途分析処理すれば良い。
ステップS123:本装置10の判定・支援処理部19は、上記ステップS101からステップS103の処理フローを経て、検出された弾性振動の振幅レベルが予め設定された閾値以下で、且つ、弾性振動周波数と軌道加振周波数の周波数比率が予め設定された閾値範囲内に存在する場合に実行される処理である。すなわち、このステップS123は、弾性振動周波数と軌道加振周波数が一致するものの、弾性振動の振幅レベルとしては問題ない場合に実行される。
このステップS123では、速度パターンを修正するといった支援情報が必要でなくとも、つぎのようにすると良い。例えば、車両固有の特性に依存するのか否かを判断し、車両運行や車両設計などにフィードバック可能な車両運行情報として記録しておくようにすれば良く、これら情報の関連性を別途分析処理しても良い。なお、ステップS123の処理は、判定・支援処理部19で実行する。
なお、本装置10は、以上に示した支援フローを組み合わせて、車両1の状態監視、及び乗り心地向上支援を実行しても良い。また、1つの車両1だけでなく、振動特性の異なる複数車両が1編成として併結された状態にて運行される場合において、各車両1に振動センサ5と監視カメラを設けた上で、個別の車両1で発生する弾性振動と乗客影響度を鑑みて、1編成の列車全体の乗り心地を向上するシステム構成としても良い。
<効果>
(1)上述したように本装置10では、弾性振動の発生予測時間を基に、車両情報管理システム8を介して、運転士、運転指令員等の関係者、自動運転装置等、又は周辺機器に対して、乗心地を向上させる支援情報を提示又は送出し、乗心地の改善対策を実行させることが可能になる。なお、本装置10を無人運転車両に適用した場合、本装置10から支援情報を周辺機器へ直接に送出して乗心地を向上させるように制御しても良い。
(2)さらに、本装置10では、車体2内に存在する乗客7に対する弾性振動の乗客影響度を測ることで、適切なタイミングにて、支援情報を提示することが可能になる。
(3)また、本装置10では、車体2で発生する弾性振動の振幅レベルに応じて、加振周波数の影響有無を考慮した支援情報を提示することが可能になる。
<補足>
上述した本装置10では、車両1の状態監視、及び乗り心地向上支援の用途について述べたが、本発明の用途はこれに限定されない。例えば、自動車やエレベーターの乗り心地向上支援、その他の用途に適用することができる。
なお、本発明は上記した本装置10に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した本装置10は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
一般的に、広義の車両情報管理システム8は、運輸業における運行計画の作成や管理、車両の手配などを行う情報システムを意味することが多い。一方、ここでいう車両情報管理システム8は、車両1の運行を制御可能な車両運行情報管理の主体である。この車両情報管理システム8は、車両1を安全確保や渋滞回避あるいは乗心地の追求といった目的に応じて、最適な運行制御する車両運行情報を適切に処理するコンピュータシステムである。なお、車両運行情報とは、車両1のGPS(Global Positioning System)等による現在位置情報、地図(路線)情報その他の必要な情報をいう。
やや狭義の車両情報管理システム8は、列車運行管理システム(PTC: Programed Traffic Control)を意味する。このPTCは、鉄道の列車運行管理において、計画ダイヤを基に列車集中制御装置(CTC: Centralized Traffic Control)、自動進路制御装置(PRC: Programmed Route Control)、運転整理システム、旅客案内システム等を一括管理可能に制御するコンピュータシステムである。
さらに狭義の車両情報管理システム8は、列車車両情報管理システム(TIMSC: Train
Information Management System)を意味し、車両1の性能仕様をはじめ、列車の制御からメンテナンスに至るまで、必要なあらゆる情報を統括的にネットワーク活用できるように構築されたシステムである。本装置10の車両情報管理システム8は、上述の機能を適宜に備える。
本装置10は、つぎのように総括できる。
[1]<基本型>
本装置10は、図1に示すように、振動センサ5と、加振情報算出部14と、振動発生予測処理部17と、を備えて構成される。振動センサ5は、車両1に配設されて弾性振動を検出する。加振情報算出部14は、車両1の運行を制御可能な車両情報管理システム8から取得された運行情報に基づいて加振情報を算出する。
振動発生予測処理部17は、振動センサ5が検出した弾性振動と、加振情報算出部14が算出した加振情報と、に基づいて弾性振動の発生を予測可能である。本装置10は、少なくとも、発生時期の予測値と、実際の発生状況と、を含む支援情報を出力し、それを受けた実行体に、弾性振動の発生機会を低減させる。つまり、支援情報とは、それを受けた実行体に、弾性振動の発生を抑制させる機能を発揮(オペレーション)させるために寄与する情報である。なお、実行体の具体例については後述するが、車両1の走行中に即時対応するものであり、人やコンピュータが介在するとは限らない。
[2]<鉄道車両>
上記[1]の本装置10における車両1として鉄道車両1が好適である。その場合、車両情報管理システム8は、車両1の走行を制御可能な車両運行情報について処理可能であれば良い。また、支援情報は、検出された弾性振動と、乗客7の不快感と、を関係付ける数値計算に基づいて生成し出力されると良い。なお、数値計算は、必ずしも数式を用いた演算に限らず、記憶部に記憶されたテーブルの情報を読み出して参照しても良い。
テーブルの情報は予め数値計算された内容のほか、官能検査(sensory test)等の実験値、あるいは経験則の集大成でも良い。つまり、本装置10が生成し、実行体へ送出する支援情報は、予測される弾性振動の周波数成分から、乗客7の不快感を高める成分を重点的に除去するように重みづけされていると良い。
実行体は、乗心地の改善命令を発令する主体と、客体との少なくとも何れかである。主体は、人かコンピュータであり、人なら運転士か運転指令員であるが、コンピュータなら車両情報管理システム8である。客体は、主体の操作や命令を実行する制御対象であり、該当する周辺機器を意味する。すなわち、実行体は、本装置10が生成し送出する支援情報を受けて、弾性振動の発生を抑制させるための行動を起こす命令機能(主体)と、その命令を実現する周辺機器(客体)である。
より具体的には、本装置10が弾性振動の発生を予測し、その弾性振動を抑制させるための支援情報を実行体に与える。実行体は、主体である運転士、運転指令員、又は車両情報管理システム8が受けた支援情報に基づいて、周辺機器を制御するように、適切な運転操作する等の命令機能を実現させる。
制御対象である周辺機器は、その命令を実現することによって、弾性振動の発生を抑制させる。なお、実行体は、主体である運転士、運転指令員、又は車両情報管理システム8を介することなく、支援情報に基づいて直接に周辺機器を制御して弾性振動の発生を抑制させても良い。
例えば、車輪と台車4との懸架装置、あるいは、その台車4と車体2との懸架装置に、それぞれ備わるダンパの減衰力を支援情報に基づいて直接に制御しても良い。一例として、振り子式車両に本装置10を適用し、各種センサ、油圧や空気圧を活用しながら、急カーブ通過時と直線走行時を区別して最適に懸架制御することも可能である。
[3]<加振情報>
上記[2]の本装置10の適用において、例えば、特急列車等の優等列車と普通列車との区別は、あってしかるべきであり、車両走行速度や車両設計パラメータ、車両1の車体2や台車4に搭載されている機器の稼働情報が当然に異なる。このように異なる稼働情報に基づいて加振周波数を算出することにより、優等列車等にふさわしい乗り心地を実現できる。他の適用例として、寝台車は夜間に運行ダイヤの許容する範囲で低速運転させるが、普通に相当する車両は、より大量、高速で緻密に運行させる、といった区別ができる。このように、本装置10を適用した最適オペレーションが考えられる。
[4]<センサ設置箇所と数>
上記[3]の本装置10において、振動センサ5は、車両1の車体2端部と、車体2端部よりも車体2中央に近い車体2中央部と、の少なくとも何れかに1つ以上設置されていると良い。
一例として、車体21の長手方向の長さ(例えば20m)を4等分(5m)に分割し、車体2端部寄り(5m以内)の両側それぞれの区画内を車体2端部とし、中央寄り(中心から5m範囲内)の区画内を車体2中央部と定義すれば、該当区画の何れかに、振動センサ5が1つ以上設置されていれば良い。なお、上記分割は4等分(5m)に限らず10等分(2m)にしても構わない。
一般的な旅客用の車両1は、1両が相当の長さ(例えば20m又は25m)の車体21を、その前後に配設された各1台ずつ、合計2台の台車4で支承する。通常の台車4は、1台が2軸構成のため、合計4つの車輪を有する。したがって、1両の車両1は、4軸で軸支された8つの車輪で走行する構成である。
このような車両1の複数が連結された列車の編成において、車両1毎に上述のように振動センサ5を配置すれば、車両構造と走行状態とにより発生する固有の弾性振動をより的確に検出し易くなる。その結果、本装置10が生成し送出する支援情報は、より効果的に弾性振動の発生を抑制できる。
[5]<乗客情報の検出>
上記[4]において、本装置10は、監視カメラ6と、乗客影響度算出部18と、処理部(判定・支援処理部)19と、をさらに備えると良い。監視カメラ6は、車両1の車体2に設置されて乗客7の人数と位置に係る乗車情報を検出する。
乗客影響度算出部18は、監視カメラ6が検出した乗客情報に基づいて弾性振動の乗客影響度を算出する。処理部19は、乗客影響度算出部18が算出した乗客影響度も交えて支援情報を算出する。
このように、処理部19は、乗客7の人数や位置等の乗車情報に基づく乗客影響度も交えて算出する。本装置10の支援情報は、処理部19が算出した乗客7の人数等に基づく乗客影響度を交えているので、この乗客影響度に基づいて効率良く弾性振動の発生を抑制できる。
[6]<乗客影響度の算出>
上記[5]の本装置10において、乗客影響度算出部18は、振動センサ5の設置位置と、乗客情報に基づいて設定した重み定数の総和で乗客影響度を算出すると良い。何らかの事情により、一編成中の何れかの列車、又はある一つの車両1における偏った位置に乗客7が過度に集中した場合も考慮し、それらの場合に応じた制御の種類、質、及び程度を変えて設定した重み定数の総和で乗客影響度を算出すると良い。
例えば、車両1の回送運行時には乗客影響度ゼロであり、満員運行時には乗客影響度が高いので、このような乗客影響度に応じて、乗心地に対する制御を変えた方が合理的で無駄も生じない。乗客影響度がゼロならば、乗心地への配慮を止めて低質なサスペンションにするような制御でも構わない。逆に、満員で乗客影響度が高ければ、車体2の揺れを減衰させる制御が好ましい。
[7]<弾性振動の検出>
上記[5]又は[6]において、本装置10は、振動センサ5の周波数解析により、特定周波数帯域で大きくなるパワースペクトル密度のピーク値とその周波数を検出すると良い。この周波数解析で検出された特定周波数帯域は、その弾性振動と、上記[2]でいう乗客7の不快感と、に関連性が高いことも考えられる。したがって、本装置10は、特定周波数帯域の弾性振動を除去するような支援情報を生成し、実行体へ送出できれば、乗客7の不快感を軽減して、乗り心地を向上できる。
[8]<振動予測>
上記[7]において、本装置10は、弾性振動の周波数と加振周波数との差分値、あるいは、比率を基に、事前に設定した閾値範囲内を超えるか否か、また、超える時間を時間変化率の近似式で予測すると良い。構成部材のひび割れや摩耗といった損傷を原因とする弾性振動が、乗り心地ばかりでなく、品質劣化を示唆する作用効果も知られている。したがって、このような本装置10によれば、車体2や台車4それぞれに対する品質管理の効果が期待できるほか、危険運転の予防も含めた安全運転の効果もあるので実用性が高い。
[9]<判定・支援>
上記[8]の本装置10は、閾値判定に基づき車両情報管理システム8に対して、アラーム情報と加振周波数の差分値、あるいは、比率の閾値以下となるように車両1の走行速度を加減速させる支援情報を出力すると良い。このような本装置10によれば、予防的な安全運転の効果が得られるので実用性が高い。
[10]<複数車両>
上記[5]~[9]の何れかにおいて、本装置10は、車両1が複数連結された状態にて、乗客影響度を車両1毎に算出し、車両1毎に本装置10が個別に機能すると良い。このような複数連結の車両1において、車両1毎に、独立動作する本装置10と、振動センサ5と、それぞれが配設されていると良い。そうすれば、本装置10は、当該列車の当該車両1毎に異なる車両構造と、利用状況と、走行状態と、に基づいて発生する固有の弾性振動をより的確に検出して、きめ細かに対応し易くなる。
その結果、本装置10は、より効果的に弾性振動の発生を抑制できる。例えば、本装置10は、モータ等で重装備した車両と、そうでない軽装備の車両とを自動的に区別して適宜に最適に制御できる。そのほか、揺れを嫌う食堂車や寝台車に対する普通列車の区別、といった一列車の編成内でも、車両1の種類別に応じて適宜に最適制御できる。
1…鉄道車両(車両)、2…車体、3…軌道、4…台車、5…振動センサ、6…監視カメラ、7…乗客(ヒト)、8…車両情報管理システム、10…乗り心地向上支援装置(本装置)、11…振動情報取得部、12…弾性振動検出部、13…走行情報取得部、14…加振情報算出部、15…映像情報取得部、16…乗客情報取得部、17…振動発生予測処理部、18…乗客影響度算出部、19…判定・支援処理部(処理部)、20…指令情報出力部

Claims (10)

  1. 車両に搭乗した乗客の乗り心地に寄与する乗り心地向上支援装置であって、
    前記車両に配設されて弾性振動を検出する振動センサによる検出結果を基に弾性振動情報を算出する弾性振動検出部と、
    前記車両の運行を制御可能な車両情報管理システムから取得された運行情報に基づいて、加振周波数を含む加振情報を算出する加振情報算出部と、
    前記振動センサが検出した前記弾性振動と、前記加振情報算出部が算出した前記加振情報と、に基づいて前記弾性振動の発生を予測可能な振動発生予測処理部と、
    前記振動発生予測処理部の予測結果に基づいて支援情報を算出する判定・支援判定部と、
    を備え、
    前記判定・支援判定部は、前記弾性振動の周波数と前記加振周波数との差分値が、事前に設定した閾値を超えるとともに、前記弾性振動の周波数と前記加振周波数との比率が事前に設定した閾値範囲内になったときに、前記支援情報を算出し、
    前記援情報を実行体へ送出し、
    該実行体を前記支援情報に基づいて機能させることにより、前記弾性振動の発生を抑制する、
    乗り心地向上支援装置。
  2. 前記車両は鉄道車両であり、
    前記車両情報管理システムは、前記鉄道車両の走行を制御可能な車両運行情報について処理可能であり、
    前記支援情報は、検出された弾性振動と、乗客の不快感と、を関係付ける数値計算に基づいて生成出力され、
    前記実行体は、乗心地を改善可能な主体と制御対象との少なくとも何れかであり、
    前記主体は、運転士、運転指令員又は前記車両情報管理システムであり、
    前記制御対象は、前記主体の操作や命令を実行する周辺機器である、
    請求項1に記載の乗り心地向上支援装置。
  3. 前記加振情報算出部は、車両走行速度や車両設計パラメータ、前記鉄道車両の車体や台車に搭載されている機器の稼働情報を基に前記加振周波数を算出する、
    請求項2に記載の乗り心地向上支援装置。
  4. 前記振動センサは、前記鉄道車両の車体端部と、該車体端部よりも車体中央に近い車体中央部と、の少なくとも何れかに1つ以上設置されている、
    請求項に記載の乗り心地向上支援装置。
  5. 前記振動発生予測処理部は、前記比率が事前に設定した閾値範囲内になる時間を時間変化率の近似式で予測する、
    請求項に記載の乗り心地向上支援装置。
  6. 前記判定・支援判定部は、前記比率が事前に設定した閾値範囲内となるように前記両の走行速度を加減速させる支援情報を算出する、
    請求項に記載の乗り心地向上支援装置。
  7. 車両に搭乗した乗客の乗り心地に寄与する乗り心地向上支援装置であって、
    前記車両に配設されて弾性振動を検出する振動センサによる検出結果を基に弾性振動情報を算出する弾性振動検出部と、
    前記車両の運行を制御可能な車両情報管理システムから取得された運行情報に基づいて、加振周波数を含む加振情報を算出する加振情報算出部と、
    前記振動センサが検出した前記弾性振動と、前記加振情報算出部が算出した前記加振情報と、に基づいて前記弾性振動の発生を予測可能な振動発生予測処理部と、
    記振動発生予測処理部の予測結果に基づいて支援情報を算出する判定・支援判定部と、
    前記両の車体に設置されて乗客の人数と、前記乗客の位置と、少なくとも何れかに係る乗客情報を検出する監視カメラが検出した前記乗客情報に基づいて、乗客に対して前記弾性振動がどの程度影響があるのかを表す乗客影響度を算出する乗客影響度算出部と、
    を備え、
    前記判定・支援判定部は、該乗客影響度算出部が算出した乗客影響度も交えて前記支援情報を算出し、
    前記支援情報を実行体へ送出し、
    該実行体を前記支援情報に基づいて機能させることにより、前記弾性振動の発生を抑制する、
    り心地向上支援装置。
  8. 前記乗客影響度は、前記乗客情報と、前記振動センサの設置位置と、に基づいて設定した重み定数の総和で算出される、
    請求項に記載の乗り心地向上支援装置。
  9. 前記振動センサの周波数解析により、特定周波数帯域で大きくなるパワースペクトル密度のピーク値とその周波数を検出する、
    請求項又はに記載の乗り心地向上支援装置。
  10. 前記車両は鉄道車両であり、
    前記鉄道車両が複数連結された状態にて、前記乗客影響度を車両毎に算出し、
    前記車両毎に前記乗り心地向上支援装置が機能する、
    請求項の何れか1項に記載の乗り心地向上支援装置。
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