JP7577334B2 - 単分散流体容積を有する粒子包含小滴系 - Google Patents
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Description
[0001] 本出願は、2018年8月17日に出願された米国仮特許出願第62/719,476号の優先権を主張し、当該出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許法第119条及びその他の適用法令にしたがって優先権が主張される。
[0002] 本発明は、米国国立衛生研究所から付与された認可番号GM126414の下で政府の支援を得てなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
[0082] 滴状物10を使用する系の明確な利点は、短時間(~1分)で多数の均一な小滴を生成する能力である。例えば、1000万個の細胞の試料が単一細胞分析のためにカプセル化される場合を考える。マイクロ流体的に生成された小滴に投入する単一のポアソン分布は108個の小滴の生産を必要とする(10%のカプセル化効率を仮定する)。典型的なマイクロ流体小滴生成器デバイス30は、1000Hzの速度で小滴を生成し、全細胞集団をカプセル化するのに28時間を必要とする。場合によっては、2次ビーズ/粒子のカプセル化が必要である(例えば、小滴シーケンス)。この状況において、二重ポアソンの投入は、単一ビーズ及び単一細胞のカプセル化(1%のビーズ+細胞のカプセル化効率)を確実にするために、109個の小滴の生産を必要とするであろう。この場合、カプセル化のための時間は約11.7日である。しかしながら、小滴担体粒子12は、大量に事前に短時間スケールで生産され、貯蔵され、かつ、ユーザに送られることができる。その後、ユーザは、膨大な数の細胞のカプセル化を可能にするバルク溶液中の単純な混合工程を使用して、滴状物10を大規模に並行して形成するために乳化工程を実行することができる。
[0084] 連続相の界面活性剤の量は、小滴の破壊及び滴状物10の形成を最適化するために、非混和性相間の界面張力を調整するために調節されることができる。分散相の界面活性剤(非イオン性、例えば、Pluronic又はイオン性)が添加されて、界面張力をさらに調整し、分散相の小滴担体粒子12の凝集を減少させてもよい。滴状物10の形成に使用される油は、意図された用途に応じて調整されることができる。例えば、フッ素オイル(Novec(商標)7500 3M社、FC-40 3M社など)は、滴状物の形成のために同等の界面活性剤(Pico-Surf(商標)、RAN界面活性剤など)と共に使用されることができる。これらの油は、その高い生体適合性のために生物学的検体の分析に特に適している。他の実施形態では、異なる油(例えば、シリコーン油、鉱油、植物由来油、動物由来油、長鎖炭化水素、有機溶媒)が、滴状物10同士の間の試薬の移動、滴状物10内のpHの変化などを可能にするために所望される場合がある。他の実施形態では、小滴担体粒子12は、疎水性材料(例えば、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート+ラウリルアクリレート、1H,1H,6H,6H-ペルフルオロ-1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、又はメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン)から製造され、かつ、油相に分散され、その後、水中油滴状物10のエマルションを生成する。
[0086] 分散相14の小滴担体粒子12の相対数は、サテライト小滴28の過剰な形成を防止するだけでなく、効率的で一貫性のある滴状物10の形成を達成するために最適化されることができる。より高い分散容積比では、滴状物に関連付けられる分散容積のより低い画分が存在し、より多くのサテライト小滴の形成につながる。より低い容積比では、試薬及び粒子(滴状物10に関連付けられた試料からのマイクロスケール物体の画分)の滴状物10への捕捉効率が向上する。ある容積から分析される検体の画分が、カプセル化される容積の画分に依存するマイクロ流体小滴カプセル化とは異なり、滴状物10内の固相の存在が、分析されることが可能な検体の画分から、分析される容積を分離させる固相の表面(又はマトリックス内)上の検体の濃度を可能にすることに留意されたい。
[0088] 場合によっては、追加の洗浄工程、2次共役を実行し、分析/ソーティングなどのためフローサイトメータ150(図13A、図13B、図16及び図18)を通って小滴担体粒子12を流すため、小滴担体粒子12を大量の分散相14(例えば、水相)に戻すことが望ましい。ヒドロゲル基の小滴担体粒子12、水及びフッ素オイルを使用する系では、第2界面活性剤(ペルフルオロ-オクタノール)が油相16に添加されて、エマルションを不安定化し、水相14の小滴担体粒子12を回収することができる。より具体的には、過剰な油及び界面活性剤は、滴状物10を除去することなくピペットを介してエマルション懸濁液から除去される。その後、Novec(商標)7500フッ素オイル(3M社)中のペルフルオロ-オクタノールの20%溶液が、残りの懸濁液容積にほぼ等しい容積で懸濁液に添加される。追加の水相14が添加されて試料を希釈し、懸濁液をより容易に取り扱い、及び/又は、小滴担体粒子12同士の間のクロストークを防止する。懸濁液は穏やかに混合され、数分後に小滴が凝集する。粒子懸濁液は、発生する非混和性相の上部から直接除去されることができる。所望であれば、フッ素オイルと混和する低密度有機相を用いて追加の洗浄工程が実行されることができる。ヘキサンの添加によって、フッ素オイルが、水相の上方で分離されることを可能にし、かつ、ピペットを介して除去されることができる。電場を介した遠心分離及び不安定化のような他の方法が、エマルションを凝集させるために利用されており、かつ、潜在的な代替方法であり得る。
[0090] 生体試料の効率的な標識又は検出には、抗体又は蛍光性小分子のような試薬の存在下でのインキュベーションが必要である。さらに、サンドイッチELISAのような試薬の連続的な添加を必要とするアッセイは、以前の工程からの残留試薬を除去するための中間洗浄ステップに依存する。ここでは、滴状物10を洗浄/単離するための種々の方法並びに油相及び水相の両方におけるソーティングについて説明する。
[0093] サテライト小滴28からのバックグラウンドシグナルを低減するために、滴状物10は、本明細書に記載されるような種々の方法を用いてサテライト小滴28から分離されることができる。一実施形態では、非磁性であるサテライト小滴28から磁気的に修飾された小滴担体粒子12を有する滴状物10を分離するために磁場が加えられる(例えば、図5参照)。磁性粒子は、マイクロ流体製造中に溶液内にそれらを投入することによって、小滴担体粒子12のマトリックス内に埋め込まれることができる。外部磁場を使用して、磁気的に標識された小滴担体粒子12を容器22内のある位置に引き寄せるか又はサテライト小滴28から分離してスライドさせ、小滴担体粒子12は、そこで高純度で収集され、画像化され又は他の方法で分析されることができる。別の実施形態では、当技術分野で知られた周知のサイズ/変形可能性に基づく濾過スキームを使用して、より小さなバックグラウンドのサテライト小滴28からより大きな滴状物10を分離してもよい。これには、粒子及び小滴のサイズに基づく分離を可能にする周知のマイクロ流体粒子分離技術の使用が含まれ得る。例示的なアプローチは、慣性マイクロ流体分離デバイス、確定的横方向変位デバイス、接線流濾過デバイス、並びに、粒子のサイズ及び/又は密度差を利用する音響又は沈降に基づく分離デバイスを含む。浮力の相違も分離に利用されることができる。例えば、滴状物10は、抗力に対する浮力の比の増加によりエッペン管の上部に蓄積する傾向がある一方で、サテライト小滴28は、下部に蓄積し、ピペットにより部分的に除去されることができる。
[0095] 小滴マイクロ流体工学(図7A及び図7B)と組み合わせた水性二相系(ATPS)を利用してマイクロゲル小滴担体粒子12が製造されてもよい。これらのマイクロゲル小滴担体粒子12は内部空隙又は空洞18を有している。概して、ATPSの一方の相は架橋性成分を含むべきである一方で、他方の相は架橋性成分を包含すべきでない。一実施形態では、架橋性PEG相及びデキストラン相が、界面活性剤を包含する第3油相と共にマイクロ流体小滴生成器デバイス30内で共に流されて、PEG相及びデキストラン相の均一な画分が、油相に懸濁された各小滴中に存在する混合水性エマルションを生成する。PEG及びデキストランのある濃度レジームでは、二相が、別個の形態を有する小滴内の別個の空間的位置に分離する(図8)。1つの空間的位置は、PEG成分を包含する富化相を包含する一方で、別の空間的位置は、水性二相系(例えば、デキストランのようなポリマー)の第2成分を包含する。その後、PEG成分を包含する富化相において架橋が誘導され、形成された小滴担体粒子12が洗浄されて油及びデキストランを除去し、PEG小滴担体粒子12内に内接した空隙又は空洞18を有する球状又は楕円形のPEG粒子を生成する。空隙又は空洞18の形状は、各小滴の以前のデキストランリッチ領域の形状に対応する。
[0100] 小滴担体粒子12のサイズ及び空隙又は空洞18の容積は、サイズ及び形状において変化し得る。マイクロ流体小滴生成器デバイス30を使用して、油相の相対流量を水相に対して調整することによって、及び/又は、チャネル形状を変化させることによって、粒子の外径が調節されることができる。直径が100マイクロメートルを超える及び直径が40マイクロメートル未満の小滴担体粒子12は、異なるチャネル高さ/流速を使用して生産されてきた。例えば、100マイクロメートルの直径の小滴担体粒子12は、以下の流速:油=10マイクロリットル/分(一実施形態では)、PEG=4μL/分、デキストラン=1μL/分で、70マイクロメートルのチャネル高さのデバイスを使用して生産された。40マイクロメートルの直径の小滴担体粒子12は、流速:油=20μL/分、PEG=2μL/分、デキストラン=0.5μL/分(図9)で、18マイクロメートルのチャネル高さのデバイスを使用して生産された。
[00103] マイクロ流体(マイクロ流体小滴生成器デバイス30)を使用した単分散小滴の生成は、空隙領域を包含する形成された小滴担体粒子12の高い均一性を可能にする。具体的には、上述の実施形態では、非架橋PEG-デキストランエマルションは、外径についてCV<1%、かつ、内部デキストラン相の均等な直径についてCV<2%を維持する(図10A)。デキストラン相分離領域によって規定された空隙又は空洞18を有する形成された小滴担体粒子12は、CV<5%で高い均一性を維持する(図10B)。
[00105] 球形の鋳型上の記述された幾何学的形状の明確な利点は、小滴担体粒子12に使用される材料空間の外部により均一な試薬容積を有する滴状物10を生成する能力である。これは、粒子材料マトリックス内に自由に拡散することができない大きな分子のカプセル化/定量化において特に重要である。球形の粒子によって鋳型化された小滴は、粒子の外部に小さな容積画分を包含している。この容積画分は、エマルションの分散相と小滴担体粒子12との間の相対直径に非常に敏感である。しかしながら、内部空洞又は空隙18を有する小滴担体粒子12を生成することは、カプセル化された流体容積の大部分を包含する所定の幾何学的形状を有することによって、小滴担体粒子12の外部の容積の均一性を顕著に改善する。ある実施形態では、固体の球形の粒子と比較して、空洞又は空隙18を包含する小滴担体粒子12を用いて形成された小滴の容積変動において3倍の減少が達成される(図11A参照)。容積の均一性が増大すると、滴状物10内で実行される反応の均一性が増大する。空洞又は空隙18の別の利点は、細胞、ビーズ及び他の対象のマイクロスケール物体をカプセル化するための空間を提供することである。さらに、空隙又は空洞18の形態及びサイズの操作は、特定のサイズ、形状、剛性などを有する物体の選択的捕捉を可能にすることができる。
[00108] 小滴担体粒子12として作用するのに適した空洞包含粒子は、他の犠牲カプセル化材料の使用を通じて生産されることができる。一実施形態では、単一の犠牲粒子(小滴より小さいサイズ)は、架橋性材料を包含する小滴中にカプセル化される。その後、小滴の架橋性材料は、当該技術分野において公知の種々の方法(例えば、前述の方法及び当業者に公知の他の架橋方法)を使用して架橋され、埋め込まれた犠牲粒子は洗浄及び/又は分解される。代替的に、ある実施形態では、複数の犠牲粒子/材料が、架橋性エマルション内にカプセル化されて、各々生成された小滴担体粒子12内に空隙容積を含むマイクロ/ナノ多孔性空洞ネットワークを形成する。単一の犠牲粒子は、例えば、小滴カプセル化の前にマイクロ流体慣性オーダリング(ordering)の使用を通じて、マイクロ流体的に生成されたエマルションの各小滴中にカプセル化されることができる。犠牲粒子材料の例としては、アルギン酸塩、ゼラチン、MMP切断可能なPEG、ポリスチレンマイクロビーズなどが含まれる。ナノ多孔性を調節するために、多孔性の小滴担体粒子12から構成される一実施形態では、架橋前に架橋性PEG相に非架橋性PEGが添加される。架橋後、ゲルが洗浄されて非架橋PEGを除去し、空隙空間を明らかにする。
[00111] 一実施形態では、小滴担体粒子12は、分散相14中に懸濁されている間に貯蔵される。任意選択的に、グリセロール又は他の細胞保護剤が使用されて、粒子を損傷させずに、低温(-20又は-80℃)で小滴担体粒子12を貯蔵することができる。他の実施形態では、小滴担体粒子14は、乾燥又は凍結乾燥され、その後、使用前に分散相14内に又は分散相14を含む試料流体内に再分散されてもよい。これにより、所定の分散相容積の滴担体粒子12の密度を制御することができ、分散相/試料流体の高効率なカプセル化によって、小滴担体粒子12を油連続相内に分散させることができる。凍結乾燥は、小滴担体粒子12の長期間の貯蔵を可能にする1つの方法である。ヒドロゲル粒子の構造に損傷を与えないヒドロゲル粒子の凍結乾燥方法は、Sheikhiらによる「Microengineered emulsion-to-powder (MEtoP) technology for the high-fidelity preservation of molecular, colloidal,and bulk properties of hydrogel suspensions」、ACS Appl. Polym. Mater.,1, 8,1935-1941 (2019)に見出されることができ、当該文献は本明細書に参照によって組み込まれる。
[00113] 多くの実施形態では、本明細書に記載される小滴担体粒子12は、広く入手可能であって多くのバイオテクノロジーの用途において使用されるポリマー前駆体から製造される。したがって、種々のバイオアッセイに適合可能又は有用とするため、乳化に先立って小滴担体粒子12に適用されることが可能な化学修飾の明確に定義された多くの方法がある。例としては、チオール-エン/チオール-インクリック化学、マイケル(Michael)付加、NHSエステル反応、アジド-アルキン化学、ビオチン-ストレプトアビジン結合、抗原-抗体相互作用などが挙げられる(図12)。これらの変更及びそれらの用途を説明するいくつかの実施形態を以下に示す。
[00115] ビオチンは、タンパク質アビジン及びストレプトアビジンと強く特異的に結合するので、バイオテクノロジー産業において極めて有用であることを見い出した小分子である。さらに、ビオチンは、その機能に影響することなく、より大きなバイオ分子に容易に共役され、ストレプトアビジン被覆基質又は対象の他の生体分子へのそれらの迅速かつ効率的な共役を可能にする。ポリマーとの共役には、多数のヒドロゲル前駆体と容易に架橋される反応基を包含する短いポリマー鎖に結合された多くの市販のビオチンがある。小滴担体粒子12をビオチン化する1つの好適な方法は、マイクロ流体小滴生成デバイス30内のPEG溶液内にビオチンPEG-チオールを取り込むことによるものである。より具体的には、空隙構造を有するビオチン官能化ヒドロゲル小滴担体粒子12が、PBS中の15重量%の10kDaのPEG-ノルボルネン及びPBS中の1.3%のDTTを包含する20重量%のデキストランを有する5mg/mLのビオチンPEG-チオールを共に流すことによって達成された。界面活性剤を除去し、ストレプトアビジン-FITCとゲルをインキュベートすることによって水相で小滴担体粒子12を再構成した後に蛍光シグナルを観察することによって、共役が検証された。小滴担体粒子12のビオチン化は、抗体、タンパク質、核酸、細胞、ナノ粒子及びプライマーのような多くの一般的な試薬の共役を可能にし、かつ、ELISA、PCR、他の核酸増幅アッセイ及びフローサイトメトリを含む広範囲のアッセイにおけるそれらの使用を可能にする。
[00117] 細胞接着ペプチドは、粒子製造中又は製造後に小滴担体粒子12に結合されることもできる。一実施形態では、RGDペプチド(Ac-RGDSPGERCG-NH2)[配列番号1]又は別のインテグリン結合ペプチド又は誘導体ペプチドは、前駆体溶液内に取り込まれ、ペプチド内に存在するシステイン基との反応を通じてポリマー骨格内に共有結合的に架橋されることができる。インテグリン結合ペプチドは、基質上への細胞接着を促進し、接着性細胞集団における生存性を維持するために重要である。現在、長期インキュベーション又は細胞培養を必要とする小滴アッセイは、細胞が付着することができる標準的な油中水エマルションに固体表面が存在しないため、懸濁細胞に限定されている。このプラットフォームは、液体及び小分子が固体ゲル支持体を通じて容易に拡散することができるので、細胞に利用可能な培地の総容積(総小滴容積)を制限することなく、単一細胞シグナル(内部空隙又は空洞18の空間)の付着及び定量化のための均一サイズのポケットを提供することによって、小滴アッセイの有用性を拡大する。さらに、滴状物10の固有の性能は、カプセル化された細胞のサイズを制限するこし器として機能するため(例えば、白血球、赤血球又は細菌を大細胞のバックグラウンドから捕捉する)、かつ、カプセル化されることができる細胞の容積及び数を制御するための両方のために内部空隙又は空洞18の寸法を制御する能力であり、又は、接着細胞及び懸濁細胞の両方を同時に維持する能力である。このタイプの共培養は、細胞集団の対間の相互作用をプロービングするなどの現在の技術では困難であることが分かっている。例えば、患者由来腫瘍細胞への抗原特異的T細胞の検出及びその後の拡張を可能にする。
[00119] ビオチン化小滴担体粒子12は、10~250μg/mLのストレプトアビジンによって粒子を前処理する一方で遊離の脂質又はコレステロールに共役されたビオチン(FSL-ビオチン、1,2-ジステロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-PEG-ビオチン(DSPE-PEG-ビオチン)、コレステロール-PEG-ビオチン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-PEG-ビオチン(DMPE-PEG-ビオチン)などとして市販されている)によって細胞を同時に修飾することによって、又は、ビオチン化粒子12と混合する前にビオチン化脂質及びストレプトアビジンによって細胞を修飾することによって、非接着性細胞型に同様に結合するために使用されることができる。好適な実施形態では、10~100μg/mLのビオチン化脂質が、PBS中の100万個の細胞の懸濁液に添加され、37℃で60~90分間インキュベートされる。水性溶液からの非接着性細胞の親和性及び結合は、高度に希釈された試料の分析に重要なサテライト小滴28ではなく、滴状物10にカプセル化された細胞の濃度の増大を可能にする。さらに、フローサイトメトリ(フローサイトメータ150を使用する)のような標準的技術を使用して、細胞集団の高性能部材の良好なソーティングが、水相においてより容易に達成され、及びしたがって、油中水エマルションを破壊した後に小滴担体粒子12内に細胞を保持する能力と、ソーティング後の小滴担体粒子12からの細胞のその後の放出の能力との両方に高度に依存する。FSL-ビオチンは、細胞膜に恒久的に結合されていないので、時間とともに分解され、最終的にはその基質から細胞を放出する。分解性ペプチドが、小滴担体粒子12の形成中にペグ化された骨格鎖に取り込まれることができ、適切なプロテアーゼ酵素への曝露によってアッセイの完了時に開裂されることができる。例えば、ペプチドAc-GCRDGPQGIWGQDRCG-NH2[配列番号:2]は、その末端に2つのシステイン基が存在するため、架橋剤として小滴担体粒子12の製造中に使用されることができ、かつ、マトリックスメタロプロテアーゼの基質であるペプチド配列に起因する分解性を付与する。
[00121] 小滴担体粒子12の表面への修飾された抗体の共役又は共有結合も、水溶液中での共インキュベーションを通じて容易に達成される。表面共役抗体は、それらの表面上の特定のタンパク質の発現に基づいて、細胞集団のサブセットの選択的結合を可能にする。これにより、集団中のすべての細胞にわたって保存された表面抗原との、又は、混合集団中の外部由来細胞の大きなバックグラウンド内の細胞のサブセットを濃縮するよりまれな表面抗原との抗体相互作用を通じて直接的に対象の単一細胞の捕捉及び濃縮が可能となる。このような濃縮は、対象の小さな亜集団からのデータが、標的細胞からの測定に起因するノイズによって交絡されることが多い、多くの生物学的流体試料のアッセイにおいて重要な特徴である。保存されたタンパク質マーカを通じてすべての細胞の捕捉が望ましい態様では、ビオチン化抗体は、通常、試薬を保存しつつ、すべての利用可能な表面部分を修飾するために細胞に予め結合される。最大1000万個のT細胞が、10μg/mLのビオチン-抗-CD3抗体で1mL容積で修飾され、小滴担体粒子12上の遊離ストレプトアビジン部位に接着された。選択された細胞群の捕捉が必要とされる別の実施形態では、小滴担体粒子12は、対象の表面マーカを包含しない細胞の接着を排除するために、抗体によって直接修飾されなければならない。小滴担体粒子12のより大きな総表面積に起因して、これは、より高い濃度の抗体、例えば、標的抗原に対する抗体親和性に依存して、試料当たり10~250μg/mLの濃度を必要とする。
[00124] 別個の実施形態では、架橋性材料は、滴状物10中の分散相14としてカプセル化されるために試料に添加されることができる。分散相のゲル化は、下流分析/ソーティングのために、細胞、ビーズ又は他の試料をそれらのそれぞれの小滴担体粒子12中に結合又は固定化するために、小滴担体粒子12を水相に戻す前にトリガされることができる。一例では、温度感受性ゲル(アガロース、ゼラチンなど)が、水相に移行する前に(例えば、冷却を通じて4℃まで)、ゲルマトリックス中で細胞をゲル化してカプセル化するために使用されることができる。その後、カプセル化された細胞は、下流分析及びソーティング機器(例えば、フローサイトメトリ)を通って流されることができる。ある実施形態では、その後、アガロース(又は他のゲル材料)を溶融させる温度変化、又は、酵素、例えばアガラーゼの使用、若しくはそれらの組み合わせを介して、細胞が小滴担体粒子12及びゲル化領域から放出されることができるように可逆的ゲル化材料が使用される。
[00127] 各小滴担体粒子12の多孔性は、架橋中に、ポロゲンの取り込み、前駆体鎖の長さの変化によって、又は、必要に応じて部分的な分解を可能にする2次化学的性質の追加を介して、操作されることもできる。この制御は、汎用性を有する追加の層を提供し、それにより、小滴担体粒子12は、特定のアッセイの要件に基づいて特別に設計されることができる。より小さい孔を有する小滴担体粒子12は、タンパク質及び他の大きな生物分子に対して不透過性であってもよく、そのようなアッセイの見かけ容積は粒子容積全体ではなく粒子空隙空間であるので、そうした種のより高感度の検出を可能にする。対照的に、より大きな孔間隔は、より大きな生体分子の拡散を可能にし、シグナル飽和前の付着のためのより多くの部位を提供し、定量可能な範囲を広げる。
[00129] 滴状物10は、多くの広く使用されている小滴又は容積を区画化することに依存する他のデジタルアッセイと適合するようにされることができる。材料化学及び粒子設計における慎重な選択を通じて、滴状物10は、多くのアッセイワークフローに直接適用されることができ、所望の細胞集団の濃縮を通じて、又は、検体検出のためのより小さい見かけ容積を提供することによって、収集されたデータを増強することができる。
[00131] 遺伝子発現を監視し、遺伝性疾患を識別し、かつ、遺伝子改変ワークフローにおける適切な遺伝子導入を検証するために、核酸配列の識別及び特徴付けのための生物学において核酸増幅が広く使用されている。これらの増幅スキームの最もよく知られたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、小滴中での使用に適合されており、かつ、デジタルアッセイとして使用するためにBio-Rad社によって商品化されている。小滴デジタルPCR(ddPCR)は、マイクロ流体小滴生成器を使用して、核酸、プライマー、dNTP、蛍光インターカレーション染料、及びDNA合成酵素を包含する水性容積をナノリットル容積小滴にセグメント化する。試料がヒートサイクル試験されると、標的DNAが増幅され、標的配列の欠如のために増幅が進行しなかった小滴中のバックグラウンド蛍光と容易に区別される標的配列を包含する小滴内の蛍光シグナルの増加(例えば、インターカレーション蛍光染料による)がもたらされる。この技術は、生物学的試料内の標的配列の濃度の絶対的定量を提供するという付加的な利点を有する。
[00141] デジタルELISAは、サンドイッチ免疫認識反応を使用して、少量の水性分配内の低濃度のタンパク質又は他の検体を定量化するために使用される、ddPCRと概念的に類似した技術である。滴状物10内でデジタルELISAを実行するために、標的タンパク質又は他の検体に特異的な捕捉抗体が、まず、小滴担体粒子12の表面に共役される(図13B参照)。その後、抗体被覆小滴担体粒子12は、小滴担体粒子12の数が検体の数よりも大きく過剰になるように、標的検体を包含する溶液内に配置され、かつ、完全な結合を可能にするようにインキュベートされる。結合後、試料溶液は洗浄されて洗浄溶液と置換される。この最初の結合反応及び洗浄工程が完了すると、標的検体の第2領域に親和性を有し、かつ、シグナル増幅成分を包含する2次抗体が溶液に添加され、小滴担体粒子12と結合した検体に結合されることができる。余分な2次抗体は、本明細書に記載される技術を使用して、小滴担体粒子12から再度洗浄され、溶液は、シグナル(蛍光、比色、pH変化)を生成するために抗体の増幅成分と反応する基質を包含するシグナル現像溶液と置換される。シグナル増幅成分の例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRB)、β-ガラクトシダーゼ、エステラーゼなどの酵素が含まれる。基質の例としては、フルオレセイン ジ-β-D-ガラクトピラノシード(FDG)又はβ-ガラクトシダーゼの他の蛍光発生基質、並びにAmplex Red、QuantaRed、QuantaBluなどのHRPの蛍光発生基質が挙げられる。シグナル現像液の添加直後、小滴担体粒子12は油相16で乳化されて滴状物10を形成し、試料全体がインキュベートされて、滴状物10によって蛍光又は他のシグナルを蓄積する。シグナルの作成に続いて、滴状物10は、大きなリザーバ内に配置されることができ、そこで、顕微鏡又は広視野低コストの撮像装置を使用してすべての滴状物10が同時に画像化されて定量化され、滴状物10の総数に対して高いシグナルを有する滴状物10の画分を決定することができる。先に特定したように、これは、試料中の検体の予想される濃度の計算を可能にする。さらに、検体が、ELISAプロセスで洗浄及び再懸濁される小滴担体粒子12に結合され、かつ、試料が乳化された後、すべてのサテライト小滴28は、シグナル生成要素を含まず、また、問題なく廃棄されることができる。別の実施形態では、チラミドが使用されて、小滴担体粒子12自体の表面を、増幅された局所シグナルが小滴担体粒子12上に捕捉されることを可能にするHRP酵素代謝回転の生成物として連結することができる。その後、蛍光シグナルのようなこれらのシグナルは、滴状物10のエマルションが破壊された後、フローサイトメトリのような下流技術を使用して(フローサイトメータ150を使用して)、検体が各小滴担体粒子12上に結合されたかどうかの直接的な尺度を提供することができる。一実施形態では、Alexa Flour(商標)488-チラミドが、2次抗体上の増幅成分として作用するHRPによって活性化される基質として使用され、活性化された蛍光チラミド共役体は、小滴担体粒子12上又は内に取り込まれた近傍のタンパク質、ペプチド又は他のフェノール基に共有結合する。関連の実施形態では、ビオチン-チラミドが、多数のビオチン分子の小滴担体粒子12への共有結合によるシグナルの増幅を導く基質として使用される。その後、ビオチンは、ストレプトアビジン共役フルオロフォアを使用して蛍光的に多数の方法で標識されることができる。
[00144] 前述のシークエンシングアプローチのコストの低減と組み合わせて、細胞遺伝子発現測定の解像度を向上させるための推進は、RNA及びDNAの小滴媒介単一細胞シークエンシングへの関心を促進した。単一細胞RNAシークエンシングアプローチでは、個々の細胞が、固有の細胞バーコード及び分子識別子を包含する結合ポリ-T捕捉核酸を有するmRNAを捕捉することができるバーコード化されたビーズと共カプセル化される。これらのバーコード化された捕捉核酸は逆転写のプライマーとしても作用する。細胞は小滴内で溶解されてmRNAが放出され、バーコード化されたビーズ上のポリ-T捕捉核酸に結合する。その後、エマルションが破壊され、各ビーズ上の捕捉RNAが逆転写される。プールされたcDNAは、集団のその細胞メンバーに対応する固有の遺伝子発現読み取り値を取得するために、各個々の細胞からのバーコードを包含する。各小滴中に単一のバーコードビーズ及び細胞が存在する場合、このプロセスは、固有の分子署名を各個々の細胞からの読み取り値に帰属させ、かつ、試料分化を維持しつつプーリング及びバルク遺伝子シークエンシング及び署名の他の分析を可能にする。これらのアプローチのいくつか一般的なバリエ-ションには、Drop-Seq、InDrop及びCytoSeqなどがある。
[00147] さらに、既存の方法における微小粒子上の核酸捕捉配列をバーコード化する標準的な方法は、分割及びプール合成を通じてであり、ここで、微小粒子は、各々が1ヌクレオチドを包含する4つの異なる溶液に分割され、収集され、かつ、合計n回に再度ランダムに分割され、長さnのランダムオリゴマーを形成する。このタイプの添加は、滴状物10を作製するために使用される小滴担体粒子12上で直接行われることができ、第2固相の必要性をなくし、DNA増幅を、官能化された粒子を包含する小滴のみに制限する。すなわち、滴状物10を使用することが、ビーズ及び細胞の両方の無駄であるビーズ及び細胞負荷の確率過程を克服することによって有意な利点を提供することができる。単一細胞ではあるが、ビーズを含まない小滴はシグナルを導かず、細胞を有しないビーズを有する小滴もシグナルを導かない。滴状物10は、単一のビーズ(小滴担体粒子12)を包含し、空隙領域は、単一細胞を単離するように寸法付けされることができる。
[00149] ある実施形態では、小滴担体粒子12のマトリックス内に捕らえられた試薬は経時的に放出される。例えば、溶解試薬(すなわち、界面活性剤、洗浄剤及び/又は酵素)は、乾燥した小滴担体粒子12内に貯蔵されることができる。水和すると、溶解試薬はゆっくりと放出され、滴状物10内にカプセル化された細胞を溶解する。別の実施形態では、溶解試薬は、ほぼ飽和まで小滴担体マトリックス材料内でインキュベートされ、分散相は、カプセル化されるべき細胞を包含する非溶解性流体と交換され、滴状物10が形成される。小滴担体マトリックスに貯蔵された溶解試薬は拡散によってゆっくりと放出されて、カプセル化された細胞を溶解する。小滴担体粒子12のヒドロゲルマトリックスの多孔性は、本明細書で説明するように、試薬放出の時間経過を調節するために調整されることができ、多孔性が増加すると、より迅速な放出がもたらされ、かつ、多孔性が減少して長期間にわたる放出がもたらされる。
[00152] いくつかのアッセイは、単一細胞測定後でさえ細胞生存性の維持を必要とする。例えば、有用なバイオ製品の生産のためや、ある種の疾患の治療に最適な表現型を有する細胞の選択のために、ハイパフォーマを選別するためである。これらのアッセイは、高度に細胞適合性であることが知られている油及び界面活性剤を使用することによって、滴状物10乳化系で実行されることもできる。好適な実施形態では、非イオン性細胞適合性界面活性剤を包含するフルオロカーボン連続相が使用される。このことを実証するために、ヘキスト及びカルセインの両方によって染色されたジャーカット細胞が、本明細書で説明するように製造された乾燥PEGマイクロゲル小滴担体粒子12と混合され、0.5%Pico-Surf(商標)を有するNovec(商標)7500内でピペットにより乳化された。乳化時、滴状物10は顕微鏡スライド上に配置され、明視野、DAPI、及び蛍光顕微鏡を介したFITCチャネルで画像化され、生存率を決定した(図14A~図14C参照)。滴状物10内で乳化された細胞の大多数は、乳化前及び乳化後の両方でカルセイン陽性に染色され、提案されたカプセル化アプローチとの適合性を示した。
[00155] 従来、均質であると考えられている細胞集団は、実際には、多くの一般的なアッセイにおける限定された分解によって単純にマスクされている表現型において非常に大きな不均一性を示すことがある。細胞集団動態の有用な指標を収集するために、これらのアッセイは、単一細胞レベルで実行されなければならない。例えば、生体内(in vivo)で局所微小環境の攪乱に対する大規模な免疫学的応答は、白血球間のシグナル伝達分子の分泌を通じて統合される。このシナリオにおいてタンパク質組成を決定するために体液を単純にバルクでプローブすると、総試料濃度が得られるが、どの亜集団が分泌しているかに関する情報は得られず、そのような協調的応答が理解され得る程度を制限する。
[00158] (1)水溶液内の小滴担体粒子12上への細胞のローディング
[00159] 一実施形態では、小滴担体粒子12は、最初に、例えば、ピペットにより、平坦な底面を有するウェルプレート、ウェル、フラスコ又は他の容器内に装填される(図16参照-粒子播種及び細胞ローディング)。ある実施形態では小滴担体粒子12の形状が非対称であるため、小滴担体粒子12は、直立方向にそれらの空洞と共に沈降する(例えば、空洞18は、重力による加速の方向とは反対の表面に開く)。これは、その後、開放した空洞18に細胞が播種されることができる点で有利である。小滴担体粒子12の播種の量は、球体の閉じたパッキングを仮定することによって、所定の粒子径及びウェル表面積に近似されることができる。例えば、直径85ミクロンの粒子12及び12個のウェルプレート(ウェル当たりの表面積が2cm2)について、30マイクロリットルの濃縮粒子12がウェル表面の底部の大部分を覆うことが分かった。
[00166] ある応用では、小滴担体粒子12と結合されないままである細胞は、望ましくなく、ノイズ源になる場合さえある。バックグラウンドを減少させるために、小滴担体粒子12は、滴状物10の形成の前に洗浄されて、アッセイが実施される前に溶液から、結合していない細胞を排除することができる。1つのアプローチでは、小滴担体粒子12の懸濁液、付着細胞を有する小滴担体粒子12及び非結合細胞が、細胞径よりも大きいが小滴担体粒子12の径よりも小さいメッシュサイズを有する細胞濾過器に添加される。これにより、付着細胞を有する小滴担体粒子12がメッシュによって保持される一方、非結合細胞がメッシュを通過することを可能にする。小滴担体粒子12は、保持される一方で、緩衝液の連続的な添加によって連続的に洗浄されることができ、小滴担体粒子12の表面にしっかり付着していない細胞を除去することができる。その後、小滴担体粒子12及びそれらの結合した細胞は、細胞濾過器の単純な反転、メッシュの下側からの緩衝液の添加、並びに、緩衝液及び付着細胞を有する溶出した小滴担体粒子12を包含する得られた溶液の回収を通じて単離される。この用途のための好適な細胞濾過器の1つは、Fisher Scientific社のFicherbrand 40μmの滅菌細胞濾過器である。
[00170] 滴状物10の最適な形成及び維持は、使用される界面活性剤のタイプ及び濃度並びに攪拌方法を含むいくつかの要因に依存する。例示的な一実施形態では、連続相としてのNovec(商標)7500で操作された流体中の2%Pico-Surf(商標)(Sphere Fluidics社)が、それぞれ2:1容積比の分散相としてのPBS又は細胞培養培地中の小滴担体粒子12と共に使用された。このような状況下で、手動によるピペット(100μL、200μL又は1mLピペットを使用して、毎秒50~100X、毎秒2~4回のピペットの反復)を介した激しい攪拌が、単一小滴担体粒子12のみを包含する高い画分を有する単分散滴状物10を確実かつ再現性良く形成することが分かった。
[00172] インキュベーション中の細胞生存率を維持するため、滴状物10は、細胞培養培地(RPMI-1640/DMEMなど)及び2%FBSによって富化されたPBSの両方を使用して形成された。ほとんどの小分子は、ヒドロゲル小滴担体粒子12の孔を通じて容易に拡散することができるので、滴状物10の総容積は、栄養素リザーバとして役立つ。さらに、滴状物12は、標準的な細胞インキュベータ内で約37℃に維持されることができる。滴状物10の層の上部に軽質又は重質鉱油の層を加えると、蒸発及び凝集を減少させることによって安定性が改善されることが分かった。
[00176] 滴状物10が、可視化のために小滴担体粒子12上に十分な分泌物が蓄積及び結合するのに十分な長さでインキュベートされると、エマルションは、小滴担体粒子12及びそれらの結合細胞を回収する安定性を失う。これは、パーフルオロオクタノール(PFO)又はPico-Break(商標)のような2次界面活性剤を添加することによって達成される。一実施形態では、すべての過剰な油が滴状物10のエマルションから除去され、Novec(商標)-7500油中の等量の20%PFOに置換される。小滴が不安定化すると、水相と有機相との間に2分以内に明確な境界が見えるので、溶液は、チューブ表面を軽くたたくことによって弱く攪拌される。残りの任意の小さな有機サテライト小滴28は、低速(~100g)で急速に5秒以内の遠心分離を通じて水相から除去されることができる。その後、水溶液及び小滴担体粒子12は、下流分析の前に、解離した油相から(例えば、ピペットによって)容易に除去される。
[00178] 小滴担体粒子12に結合された分泌分子を分析するために、いくつかの異なる報告スキームが使用されることができる。好適な一実施形態では、分泌分子上の第2エピトープに対して特異的であるフルオロフォアに共役された2次抗体が添加されて、蛍光サンドイッチ免疫複合体を形成し、結合した分泌分子の存在を報告することができる。この方法は、フローサイトメータ150(図13A、図13B、図16及び図18に図示)、プレートリーダ及び蛍光顕微鏡のような多くの一般的に使用される分析ツールを通じた定量化を可能にする。
[00181] 染色されると、小滴担体粒子12及びそれらの結合細胞は、市販のフローソータ150(図13A、図13B、図16及び図18に図示)を使用して、高スループットで分析され、かつ、ソーティングされることができる。好適な実施形態では、小滴担体粒子12は、PBS+2%FBSなどの栄養素が豊富なPBS内に懸濁され、ソーティングプロセス中、細胞生存性を維持する。小滴担体粒子12の相対サイズは、前方散乱シグナル及び側方散乱シグナルを使用して容易に識別することを可能にするソーティング中、汚染された塵埃、細胞残渣又は溶液中の小径油滴からの粒子の明確な識別を可能にする。細胞質トラッキング染料、核染色、生存性染色又はレポータ抗体によって染色された付着細胞も、小滴担体粒子12上で容易に検出され、小滴担体粒子12を包含する細胞の直接の分析を可能にする。最後に、エマルションの破壊時に小滴担体粒子12の表面に添加されたレポータ抗体は、小滴担体粒子12表面の相対蛍光強度から粒子空洞18内の個別の細胞クローンからの相対的なタンパク質生産の直接的な定量化を可能にする。対象のソーティングされた細胞、例えば、高レベルの所望のタンパク質を分泌するクローンは、容易に単離され、かつ、その後の増殖のために生存可能のままであり、有益な細胞表現型の濃縮を可能にする。
[00184] 高分泌CHO細胞を選択するためのワークフローの例を以下に詳述する。使用される細胞株の例は、CHO-DP12クローン#1934(ATCC)である。細胞培地は、ATCCにより規定されるように調製された。CHO-DP12細胞株は、この例の実験のための標的分泌物であるヒト抗-IL-8抗体を産生する。
[00186] この例では、外径82.5ミクロン、内径50ミクロンの小滴担体粒子12が使用された。小滴担体粒子12は、0.5mg/mLのビオチン-PEG-チオール(5000MW、nanocs社)及び4mg/mlのRGD(前述のように製造中にデキストラン相に添加される)によって修飾された。30μLの濃縮小滴担体粒子12が1mLの細胞培地で希釈され、12個のウェルプレートのうちの1つのウェル内に添加された。その後、小滴担体粒子12は10分間沈降することを許容された。CHO DP-12細胞が、1ml当たり400万個の細胞に濃縮された。粒子当たり~0.3個の細胞の標的カプセル化のため、18μLの濃縮細胞ストックがとられ、培地で50μLに希釈され、その後、小滴担体粒子12で予め播種されたウェル内に慎重に移された。粒子当たり~0.1個の細胞の標的カプセル化のため、6μLの濃縮細胞ストックが50μLに希釈され、その後、小滴担体粒子12で予め播種されたウェル内に慎重に移された。ウェルプレートをインキュベータに移動させる前に、細胞が10分間にわたって播種されることが許容された。4~12時間の範囲が、細胞が小滴担体粒子12に強く付着するのに必要であることが分かった。
[00188] 細胞が十分な時間にわたってインキュベートされて小滴担体粒子12に付着した後、小滴担体粒子12はウェルプレートから15mLのコニカルチューブに移された。これは、ウェルプレートを約30°の角度で傾け、表面に付着した小滴担体粒子12を剪断するために上から過剰の培地をピペットし、除去された小滴担体粒子12及び結合した細胞を15mLのコニカルチューブにピペットすることによって行われた。小滴担体粒子12のコニカルチューブの壁への付着を制限するために、チューブは、0.1%Pluronic F-127を有するPBS、0.5%BSA(ウシ血清アルブミン)を有するPBS、又は、2%FBS(ウシ胎児血清)を有するPBSの溶液によって前処理されることができる。その後、小滴担体粒子12及び結合した細胞は、0.5%BSAを補充したPBS(カルシウム及びマグネシウムイオン)で2~3回洗浄された。この洗浄は、培地中に存在する可能性のあるビオチン及びバックグラウンド培地中に存在する可能性のある細胞からの任意のタンパク質を除去する。すべての洗浄工程について、試料は300gで3分間遠心分離された。その後、小滴担体粒子12は、小滴担体粒子12上の利用可能なビオチン基に結合するストレプトアビジンの0.02mg/ml溶液によって修飾される。10分間インキュベートした後、小滴担体粒子12及び結合した細胞は、PBS+0.5%BSAによって2~3回洗浄された。次に、小滴担体粒子12は、分泌された抗-IL-8タンパク質の捕捉部位の例として使用されるビオチン化プロテインAによって修飾された。この例では、ビオチン化プロテインA(Thermo Fischer Scientific社)の0.5mg/mlストック溶液10μLが各試料に添加され、その後、10分間インキュベートされた。代替的に、ビオチン化IgG1、FCマウス抗ヒトが使用されることができる。最後に、試料は、PBS+0.5%BSAによって2~3回洗浄された。最終洗浄時、PBSは細胞培養培地に置換された。
[00190] 小滴担体粒子12及び結合した細胞は、試料を遠心沈殿させることによって濃縮された。その後、約50μLの試料が残るまで浮遊物が除去された。その後、100μLのNovec(商標)油+2%w/vのPico-Surf(商標)が試料に添加された。その後、エッペンチューブが2~5xフリックされ、試料を大きな小滴に分解するのを助けた。その後、100μL又は200μLピペットのいずれかを用いて、試料が毎秒2~4ピペット、50~100Xの速度で上下にピペットされて、単分散滴状物10を生成した。その後、滴状物10形成後、試料の蒸発を防止し、試料をインキュベートする間の凝集を減少させるために、鉱油が試料の上部に添加された(~100-150μL)。
[00192] 試料は、細胞インキュベータ(37℃、5%CO2)内で2~24時間インキュベートすることを許容された。この工程中、分泌された抗-IL-8タンパク質は、小滴担体粒子12上のプロテインA結合部位に付着する(図17A参照)。
[00194] 小滴担体粒子12及び細胞を水相に戻すために、試料の上部に~4-6mLのPBS+2%FBSが添加された。その後、添加された鉱油はピペットによって除去される。その後、Novec(商標)油中の50μLの20%v/vのPFOが試料に添加されて小滴の凝集を助けた。エッペンチューブを軽くたたくことによって凝集が助けられる。2~5分後、残りの小滴は、試料を100gで5~10秒間遠心分離することによって凝集されることができる。相移動が完了した時点で、小滴担体粒子12及び結合した細胞は、新しい15mlのコニカルチューブに移される(PBS中の2%FBS、又は、0.5%BSA、又は、0.1%Pluronic F-127によって前処理される)。
[00196] 水相14の小滴担体粒子12試料がPBS+2%FBSによって2~3回洗浄された。最後の洗浄で試料が遠心沈降されて、~100μLが残るまで浮遊物が吸引される。10μLの0.5mg/mlヤギ抗ヒトIgG H&L(Cy5)予備吸着(Abcam社、ab97172)が試料に添加されて、小滴担体粒子12上に捕捉された捕捉された抗-IL-8タンパク質を染色した(図17A)。37℃で30分間インキュベートした後、試料は、PBS+2%FBSによって2~3X洗浄され、共役していない染色剤をすべて除去した。その後、試料は、フローサイトメータ150への移送中に氷上に置かれた。
[00199] 試料は、オンチップバイオテクノロジーズ社(日本国東京)からのオンチップソーティングフローサイトメータ150を使用して高スループットで分析された。試料は、PBS+2%FBSで200μLに希釈され、試料入口に添加された。ここでは、オンチップバイオテクノロジーズ社からの150μmフローチップが使用された。PBS+2%FBSもシース液として使用された。前方散乱高さ(FSC(H))及び側方散乱高さ(SSC(H))のゲーティングが使用されて、他のバックグラウンド事象/ノイズから小滴担体粒子12を選択した。他の事象は、溶液中にまだ存在する少量のNovec(商標)7500油小滴、小滴担体粒子12から解離した細胞、又は細胞破片と関連している可能性がある。ゲーティングプロットの例が図18に示されている。この最初のゲーティングの後、ソーティング事象は、その後、相対的遠赤色蛍光シグナルから選択された。例えば、図18において、遠赤色シグナルの上部10%はソーティングゲートとして選択された。その後、付着細胞を有する小滴担体粒子12を包含する試料がソーティングされて収集された。オンチップソータフローサイトメータ150を使用すると、事象率は、典型的には、試料について約50~300事象/秒であった。収集された試料は、カルセインAMによって染色され、図18に示すように蛍光顕微鏡下で可視化された。ソーティング後、カルセインAM生染色シグナルによって示されるように、細胞の大部分が生存性を維持した。Cy5チャネル(捕捉された分泌物染色チャネル)のさらなる画像は、小滴担体粒子12の明確な蓄積を示しており、ソーティング後、高レベルの捕捉された分泌物と結合する細胞を示している。これは、滴状物10系を使用して相対的な分泌物レベルから細胞をソーティングする能力を実証する。
[00201] 多数のスキームは、多数の標的(例えば、核酸、タンパク質、細胞又は他の検体)が同じ実験手順でプローブされることができるように、一意の識別子を用いて小滴担体粒子12のバッチをバーコーディングするために使用されることができる。これらには、上述したようなDNAオリゴの生成のためのスプリットアンドプール合成を通じたもの、若しくは、複数のフルオロフォアの様々な比率を有する蛍光強度(図15B)を通じたもの、予めカプセル化された磁性ナノ粒子52の様々な濃度を介した磁気親和性(図15C)を通じたもの、様々なサイズ及び量のナノ粒子54からの固有のフローサイトメトリ側方散乱特徴(図15D)を通じたもの、又は、均一なサイズの空洞又は空隙を維持しながら、小滴担体粒子12の直径又は他の寸法を一意の識別子として機能させる粒子形態の変化(図15A)を通じたものが含まれる。異なるバーコーディングアプローチを組み合わせて、様々なタイプの小滴担体粒子12の数をさらに増加させることもできる。
[00207] 滴状物アッセイで生成されたシグナルを定量可能な測定値に変換するために、アッセイ出力を読み取る明確に定義された方法が滴状物系と適合しなければならない。さらに、シグナルを処理し、滴状物10のサブセットを異なる集団にソーティングする方法を開発することは、単一細胞研究からのハイパフォーマの単離にとって重要である。特に、小滴担体粒子12及び形成された滴状物10は、多くの一般的に使用される実験システムと適合性があり、適切な機器によって読み取り及びソーティングの両方を比較的に容易にする。
Claims (17)
- 細胞からの分泌物を捕捉して分析するための複数の粒子において、
架橋されたヒドロゲルから形成された複数の3次元親水性粒子であって、各3次元親水性粒子が、その内部に形成された空隙又は空洞を有し、前記空隙又は空洞が、1つの細胞を収容する寸法であるとともに、前記3次元親水性粒子の表面に開口している複数の3次元親水性粒子と、
前記3次元親水性粒子におけるそれぞれの空隙又は空洞に配置された細胞結合性部分であって、それぞれの空隙又は空洞内に収容された前記細胞と結合する細胞結合性部分と、
前記3次元親水性粒子におけるそれぞれの空隙又は空洞に配置された細胞分泌物結合性部分であって、それぞれの前記空隙又は空洞内に結合された前記細胞から分泌された分泌物と結合してこれを捕捉する細胞分泌物結合性部分と、を含むことを特徴とする複数の粒子。 - 請求項1に記載の複数の粒子において、各3次元親水性粒子における空隙又は空洞が、前記3次元親水性粒子のエンベロープの総表面積の33%未満の面積を有する開口部で、前記3次元親水性粒子の表面に開口していることを特徴とする複数の粒子。
- 請求項1に記載の複数の粒子において、前記複数の3次元親水性粒子の少なくとも一部における前記空隙又は空洞が、前記細胞結合性部分を介してそれぞれの前記3次元親水性粒子に結合されたそれぞれの細胞を内部に包含することを特徴とする複数の粒子。
- 請求項1に記載の複数の粒子において、前記複数の3次元親水性粒子のそれぞれにおける前記空隙又は空洞が、約100fL~約10nLの範囲内の容積を有することを特徴とする複数の粒子。
- 請求項1に記載の複数の粒子において、前記複数の3次元親水性粒子のそれぞれにおける前記空隙又は空洞が、約5μm及び約250μmの範囲内の長さ寸法を有することを特徴とする複数の粒子。
- 請求項1に記載の複数の粒子において、前記細胞結合性部分が、核酸、ペプチド、細胞接着ペプチド、抗体、抗原、アプタマー、ビオチン又はビオチン/ストレプトアビジン複合体のうちの1つ以上を含むことを特徴とする複数の粒子。
- 請求項1に記載の複数の粒子が、さらに、捕捉した前記分泌物に結合した2次親和性試薬を含むことを特徴とする複数の粒子。
- 請求項7に記載の複数の粒子において、前記2次親和性試薬が、さらに、フルオロフォア、磁性粒子、又は酵素を含むことを特徴とする複数の粒子。
- 請求項3に記載の複数の粒子において、前記複数の3次元親水性粒子が、前記複数の3次元親水性粒子における前記空隙又は空洞内に配置された水性流体に結合して、油相に懸濁されていることを特徴とする複数の粒子。
- 細胞からのmRNAを捕捉して分析するための複数の粒子において、
架橋されたヒドロゲルから形成された複数の3次元親水性粒子であって、各3次元親水性粒子が、その内部に形成された空隙又は空洞を有し、前記空隙又は空洞が、1つの細胞を収容する寸法であるとともに、前記3次元親水性粒子の表面に開口している複数の3次元親水性粒子と、
前記3次元親水性粒子におけるそれぞれの空隙又は空洞に配置された細胞結合性部分であって、それぞれの空隙又は空洞内に収容された前記細胞と結合する細胞結合性部分と、
前記3次元親水性粒子におけるそれぞれの空隙又は空洞に配置された1以上の分子捕捉部位であって、それぞれの前記空隙又は空洞に収容された前記細胞から放出されたmRNAと結合してこれを捕捉する結合性部分を有する分子捕捉部位と、を含むことを特徴とする複数の粒子。 - 請求項10に記載の複数の粒子において、各3次元親水性粒子における空隙又は空洞が、前記3次元親水性粒子のエンベロープの総表面積の33%未満の面積を有する開口部で、前記3次元親水性粒子の表面に開口していることを特徴とする複数の粒子。
- 請求項10に記載の複数の粒子において、前記複数の3次元親水性粒子の少なくとも一部における前記空隙又は空洞が、前記細胞結合性部分を介して前記3次元親水性粒子に結合された細胞を内部に包含することを特徴とする複数の粒子。
- 請求項10に記載の複数の粒子において、前記複数の3次元親水性粒子のそれぞれにおける前記空隙又は空洞が、約100fL~約10nLの範囲内の容積を有することを特徴とする複数の粒子。
- 請求項10に記載の複数の粒子において、前記複数の3次元親水性粒子のそれぞれにおける前記空隙又は空洞が、約5μm及び約250μmの範囲内の長さ寸法を有することを特徴とする複数の粒子。
- 請求項10に記載の複数の粒子において、前記細胞結合性部分が、核酸、ペプチド、細胞接着ペプチド、抗体、抗原、アプタマー、ビオチン又はビオチン/ストレプトアビジン複合体のうちの1つ以上を含むことを特徴とする複数の粒子。
- 請求項10に記載の複数の粒子において、前記複数の3次元親水性粒子が、前記複数の3次元親水性粒子における前記空隙又は空洞内に配置された水性流体に結合して、非混和性相に懸濁されていることを特徴とする複数の粒子。
- 請求項10に記載の複数の粒子において、前記複数の3次元親水性粒子は固有のバーコード化がなされていることを特徴とする複数の粒子。
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