以下に、図面を参照して実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる部分を含む。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置1の構成を図1に示す。半導体装置1は、第1導電型のドリフト領域21、第2導電型の第1ウェル領域22、第1ウェル領域22を介してドリフト領域21とそれぞれ対向する第1導電型の第1領域24と第2導電型の第2ウェル領域23を備える。
ドリフト領域21と第1ウェル領域22は隣接して基板10に形成されている。第1領域24と第2ウェル領域23は隣接して基板10に形成されている。具体的には、第1領域24は第2ウェル領域23の上面に配置されている。なお、第2ウェル領域23は、第1ウェル領域22よりも不純物濃度が高い。
更に、半導体装置1は、第1ウェル領域22から離間した位置でドリフト領域21に接続する第1導電型の第2領域25と、第2ウェル領域23の上面に配置され、第1領域24と隣接する第2導電型のコンタクト領域26を備える。
第1導電型と第2導電型とは互いに反対導電型である。すなわち、第1導電型がn型であれば、第2導電型はp型であり、第1導電型がp型であれば、第2導電型はn型である。以下では、第1導電型をn型、第2導電型をp型とする場合について説明する。
基板10は、半導体基板であってもよいし、半絶縁性基板や絶縁性基板であってもよい。ここで、絶縁性基板は、抵抗率が数kΩ/cm以上の半導体基板のことをいう。例えば、基板10は絶縁性炭化珪素基板である。
また、半導体装置1は、第1領域24および第2ウェル領域23と電気的に接続する第1主電極41と、第2領域25と電気的に接続する第2主電極42を備える。第1主電極41は、第1領域24とコンタクト領域26の上面に配置されている。第2ウェル領域23は、コンタクト領域26を介して第1主電極41と電気的に接続する。第2主電極42は、第2領域25の上面に配置されている。第1主電極41と第2主電極42との間に、ドリフト領域21と第1ウェル領域22の表面を覆う層間絶縁膜50が配置されている。層間絶縁膜50に形成された開口部において、第1主電極41が第1領域24とコンタクト領域26に接続し、第2主電極42が第2領域25に接続する。
ここで、図1に示すように、第1領域24と第2ウェル領域23の接続面241から、第1領域24の接続面241に対向する対向面242までの距離を、第1距離dとする。また、第1領域24から第2領域25までの距離を、第2距離hとする。半導体装置1において、第1距離dは、第2距離hの10分の1以下である。
図1に示した半導体装置1は、第1領域24をアノード、第2領域25をカソードとする、pn接合ダイオードとして機能する。すなわち、第1主電極41の電位を基準として、第2主電極42に所定の電位(例えば-3V程度)を印加する。これにより、半導体装置1の第1ウェル領域22とドリフト領域21の間に形成されるpn接合ダイオードが導通し、第1主電極41から第2主電極42に電流が流れる。
半導体装置1では、第1距離dが第2距離hの10分の1以下であることにより、損失が低減する。その理由を、図2~図4に示したシミュレーションモデルを用いたシミュレーションにより、以下に説明する。
このシミュレーションでは、第2距離hを固定し、第1距離dを変化させて、第1主電極41から第2主電極42に流れる電流Idを計算した。なお、シミュレーションを容易にするために、図2~図4に示すように、第1ウェル領域22の上部の一部に第2ウェル領域23と第1領域24の積層構造を配置し、第2ウェル領域23の側面に第1主電極41を配置したシミュレーションモデルを用いた。図2~図4に示したシミュレーションモデルによって、図1に示した構造の半導体装置1を流れる電流を算出できる。
図2に示したシミュレーションモデルでは、第2距離hが4.5μmである。図3に示したシミュレーションモデルでは、第2距離hが8.5μmである。図4に示したシミュレーションモデルでは、第2距離hが10.5μmである。シミュレーションは、第1主電極41の電位を4V、第2主電極42の電位を0Vとして行った。
図2に示したシミュレーションモデルを用いた電流Idのシミュレーション結果を、図5に示す。図5に示すように、第1距離dが長くなるにしたがって、電流Idが小さくなる。そして、第1距離dが0.4μm以上で電流Idはほぼ一定になる。
図3に示したシミュレーションモデルを用いた電流Idのシミュレーション結果を、図6に示す。図6に示すように、第1距離dが長くなるにしたがって、電流Idが小さくなる。そして、第1距離dが0.8μm以上で電流Idはほぼ一定になる。
図4に示したシミュレーションモデルを用いた電流Idのシミュレーション結果を、図7に示す。図7に示すように、第1距離dが長くなるにしたがって、電流Idが小さくなる。そして、第1距離dが1.1μm以上で電流Idはほぼ一定になる。
図5~図7に示すように、第2距離hが4.5μm~10.5μmの場合において、第1距離dが長くなるにしたがって電流Idが小さくなる。そして、第1距離dがある程度の長さを超えると、電流Idは一定である。電流Idが一定であるのは、第1距離dが第2距離hのほぼ10分の1よりも大きい場合である。つまり、第1距離dが第2距離hの10分の1より大きい場合には、電流Idは制限され、損失が発生する。したがって、損失を抑制する条件は、第1距離dが第2距離hの10分の1以下である。第1距離dが第2距離hの10分の1より大きいと電流Idが一定になる理由を、以下に説明する。
図8に、電流分布をシミュレーションした結果を表示する範囲Aを示した。範囲Aにおけるシミュレーションの結果を、図9~図10に示す。図9に示したシミュレーションの結果は、第1距離dが0.1μmの場合である。図10に示したシミュレーションの結果は、第1距離dが0.8μmの場合である。なお、図9~図10のシミュレーション結果は、第1距離dに沿った方向をX方向、第2距離hに沿った方向をY方向として示した(以下において同様。)。
図9に示すように、第1距離dが0.1μmの場合には、半導体装置の表面においても電流が流れる。これは、第1領域24から第1ウェル領域22に広がる空乏層の幅が狭いためである。このため、第1主電極41を通る電流の経路は、第1領域24より深い領域で第1ウェル領域22と第2ウェル領域23を流れる経路と、半導体装置の表面を流れる経路である。
一方、図10に示すように、第1距離dが0.8μmの場合には、半導体装置の表面に流れる電流が少ない。これは、第1領域24から第1ウェル領域22に広がる空乏層の幅が大きいためである。このため、第1主電極41を流れる電流の経路は、第1領域24より深い領域で第1ウェル領域22と第2ウェル領域23を流れる経路のみとなる。したがって、第1距離dが0.1μmである場合と比べて、第1距離dが0.8μmの場合には電流Idが小さい。
以上に説明したように、第1距離dが第2距離hの10分の1以下である半導体装置1では、第1領域24から第1ウェル領域22に広がる空乏層に起因して第1主電極41から第2主電極42に流れる電流Idの経路が減少することが、抑制される。このため、半導体装置1によれば、pn接合を流れる電流の損失を低減することができる。
例えば、半導体装置1において、第1距離dを0.3μm、第2距離hを4.5μmとする。なお、第1距離dを第2距離hの10.5分の1以下に設定してもよい。例えば、図7に示すように、第1距離dが1μmのときに第2距離hを10.5μmにすることにより、電流Idを大きくする効果を確認できる。
基板10に、ワイドバンドギャップ半導体からなる基板を用いてもよい。ワイドバンドギャップ半導体の基板では、pn接合ダイオードの導通電圧が大きく、Siなどの半導体材料の基板のpn接合ダイオードよりも損失が大きい。このため、基板10がワイドバンドギャップ半導体である場合に、半導体装置1による損失の低減の効果がより有効である。
炭化珪素基板(SiC基板)を基板10に使用してもよい。p型のSiCはキャリア移動度が低いため、基板10にSiC基板を使用することにより、pn接合ダイオードの電気抵抗を低減する効果が大きい。SiCにはいくつかのポリタイプ(結晶多形)が存在するが、代表的な4HのSiC基板を基板10に使用できる。
半絶縁性基板又は絶縁性基板を基板10に使用してもよい。この場合、pn接合ダイオードの電流が基板10に流れにくい。このため、半導体装置1の表面を流れる電流の経路が重要である。したがって、半導体装置1による損失の低減の効果は、基板10が半絶縁性基板又は絶縁性基板である場合により有効である。
以下に、図面を参照して第1の実施形態に係る半導体装置1の製造方法を説明する。なお、以下に述べる半導体装置1の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能である。以下では、基板10に絶縁性炭化珪素基板を用いる場合を説明する。
まず、図11に示すように、基板10の主面に形成したマスク材101を、ドリフト領域21を形成する領域の残余の領域を覆うようにパターニングする。
一般的なマスク材としては、例えばシリコン酸化膜を用いることができる。マスク材の堆積法としては、熱CVD法やプラズマCVD法を用いてもよい。パターニングの方法としては、フォトリソグラフィ技術を用いてもよい。すなわち、パターニングされたフォトレジスト膜をマスクにしてマスク材をエッチングする。エッチング方法としては、酸化シリコン膜との反応性を有するイオンを使用する反応性イオンエッチング法などのドライエッチング法を用いてもよい。その後、フォトレジスト膜を酸素プラズマや硫酸などで除去する。このようにして、マスク材がパターニングされる(以下において同様。)。
次に、パターニングしたマスク材101をマスクとするイオン注入法によって基板10にn型不純物をドープして、ドリフト領域21を選択的に形成する。例えば、n型不純物を窒素として、深さ1μm、不純物濃度1E16cm-3のドリフト領域21を形成する。図12に、ドリフト領域21を形成した後にマスク材101を除去した状態を示す。シリコン酸化膜であるマスク材101の除去方法として、フッ酸を用いたウェットエッチング法などを用いてもよい。
次に、パターニングしたマスク材をマスクとするイオン注入法によって基板10にp型不純物をドープして、図13に示すように、第1ウェル領域22を形成する。例えば、p型不純物をアルミニウムとして、深さ1.0μm、不純物濃度1E17cm-3の第1ウェル領域22を形成する。
更に、図14に示すように、第1領域24と第2領域25を形成する。このとき、パターニングしたマスク材をマスクとするイオン注入法によって、第1領域24と第2領域25を同時に形成してもよい。例えば、n型不純物に窒素イオンを用いて、深さ0.3μm、不純物濃度1E19cm-3の第1領域24と第2領域25を形成する。図14に示すように、第1領域24は第1ウェル領域22の上部に選択的に形成される。第2領域25は、ドリフト領域21の上部に、第1ウェル領域22から離間した位置に形成される。
第1領域24の底面から第1領域24の上面までの距離が、第1距離dに相当する。このため、第1領域24の膜厚が、第1領域24から第2領域25までの第2距離hの10分の1以下であるように、第1領域24と第2領域25を形成する。これにより、完成した半導体装置1において第1距離dが第2距離hの10分の1以下になる。
そして、第1ウェル領域22にp型不純物を選択的にドープするイオン注入法によって、図15に示すように、コンタクト領域26を形成する。例えば、p型不純物としてアルミニウムイオンを第1ウェル領域22の所定の領域に注入して、深さ0.3μm、不純物濃度1E20cm-3のコンタクト領域26を形成する。
次に、図16に示すように、第1領域24とコンタクト領域26の下方に第2ウェル領域23を形成する。例えば、パターニングしたマスク材をマスクとするイオン注入法によって、第1ウェル領域22の下部にp型不純物をドープして、第2ウェル領域23を形成する。このとき、イオン注入の注入エネルギーを適切に設定することにより、基板10の膜厚方向における第2ウェル領域23の位置を設定する。例えば、基板表面から深さ0.3μm~1μmの範囲に、不純物濃度1E19cm-3の第2ウェル領域23を形成する。第2ウェル領域23の形成条件は、第1領域24およびコンタクト領域26の下面と第2ウェル領域23が接続するように設定する。
その後、熱処理により、基板10にドープした不純物を活性化させる。例えば、アルゴン雰囲気中や窒素雰囲気中で、1700℃程度の熱処理を行う。
上記のイオン注入法では、半導体装置1の用途に合わせて、各領域の深さや不純物濃度を設定する。例えば、n型不純物として窒素を用い、p型不純物としてアルミニウムやボロンを用いる。なお、基板10の温度を600℃程度に加熱した状態でイオン注入することにより、イオン注入した領域に結晶欠陥が生じるのを抑制することができる。また、イオン注入の方法としてボックス注入を採用することにより、深さ方向に均一の不純物濃度分布を実現できる。以下において、不純物をドープして各領域を形成した基板10を「基体」とも称する。
次に、図17に示すように、基体100の表面に層間絶縁膜50を形成する。例えば、層間絶縁膜50としてシリコン酸化膜を形成する。シリコン酸化膜の成膜方法として、熱CVD法やプラズマCVD法を用いてもよい。
その後、第1主電極41と第2主電極42を形成するために、層間絶縁膜50の一部を選択的に除去する。例えば、層間絶縁膜50の表面に形成したフォトレジスト膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングして、第1主電極41と第2主電極42を配置するために除去する層間絶縁膜50の領域を露出させる。そして、パターニングしたフォトレジスト膜をマスクに用いて、層間絶縁膜50の一部を選択的にエッチングする。エッチング方法としては、シリコン酸化膜と反応性をもつイオンを用いるドライエッチング法でもよいし、フッ酸を用いたウェットエッチング法でもよい。そして、層間絶縁膜50の一部を除去して露出させた基体100の上面に、第1主電極41と第2主電極42を形成する。第1主電極41と第2主電極42の形成には、リフトオフ法などを用いてもよい。第1主電極41と第2主電極42の導電性材料は、例えばニッケル膜を使用してもよいし、他のメタル材でもよい。以上により、図1に示した半導体装置1が完成する。
上記の製造方法により、第1距離dが第2距離hの10分の1以下になるように半導体装置1が製造される。例えば、第1領域24の膜厚を3μm、第1領域24と第2領域25の基板10の主面方向に沿った距離を4.5μmとする。これにより、第1主電極41と第2主電極42の間を流れる電流は、基体100の表面も流れる。その結果、pn接合ダイオードの損失を低減することができる。
上記の製造方法では、第1領域24とコンタクト領域26を形成した後に、第2ウェル領域23を形成する。しかし、第2ウェル領域23を形成した後に、第1領域24とコンタクト領域26を形成してもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る半導体装置1aは、図18に示すように、第1主電極41と第2主電極42の間に配置されたゲート電極31を備える。ゲート電極31は、層間絶縁膜50を介して、ドリフト領域21、第1ウェル領域22および第1領域24と対向する。図18に示した半導体装置1aは、ゲート電極31を更に備える点が、第1の実施形態と異なる。その他の構成については、第2の実施形態に係る半導体装置1aは、第1の実施形態と同様である。
図18に示した半導体装置1aは、第1主電極41をソース電極、第2主電極42をドレイン電極とするプレーナ構造のトランジスタである。第1領域24はソース領域であり、第2領域25はドレイン領域である。層間絶縁膜50のドリフト領域21、第1ウェル領域22および第1領域24に接する領域は、ゲート絶縁膜として機能する。
半導体装置1aでは、ゲート電極31の電位によって第1主電極41と第2主電極42の間を流れる主電流を制御する。このため、ゲート電極31は、第1主電極41と第2主電極42との間を流れる主電流の経路に配置されている。オン動作時に、第1ウェル領域22の層間絶縁膜50と接する領域(以下、「チャネル領域」とも称する。)に反転層が形成される。以下に、半導体装置1aの動作について説明する。
オン動作において、第1主電極41の電位を基準として第2主電極42に正の電位を印加する。第1主電極41は、第1領域24、第1ウェル領域22、コンタクト領域26および第2ウェル領域23と電気的に接続している。このため、第1領域24、第1ウェル領域22、コンタクト領域26および第2ウェル領域23はすべて基準電位である。
上記のように第1主電極41と第2主電極42の電位を設定した状態で、ゲート電極31の電位を制御する。これにより、半導体装置1aがトランジスタとして動作する。すなわち、ゲート電極31と第1主電極41間の電圧を所定の閾値電圧以上にすることにより、第1ウェル領域22のチャネル領域に反転層が形成される。これにより、半導体装置1aがオン状態となり、第1主電極41と第2主電極42の間に主電流が流れる。このとき、第2主電極42の電位は、半導体装置1aのオン抵抗にもよるが、例えば1V以下である。
一方、オフ動作では、ゲート電極31と第1主電極41間の電圧を所定の閾値電圧以下にする。これにより、第1ウェル領域22の反転層が消滅し、第1主電極41と第2主電極42の間で主電流が遮断される。
半導体装置1aのオフ状態での還流動作では、第1主電極41の電位を基準として第2主電極42に-3V以上の電位を印加した状態で、半導体装置1aのボディダイオードが導通し、第1主電極41から第2主電極42に電流が流れる。このときの半導体装置1a内部の電流分布をシミュレーションした結果を図19に示す。シミュレーションの条件は、第1距離dが0.3μm、第2距離hが4.5μmである。第1領域24から第1ウェル領域22に広がる空乏層の幅が狭いため、図19に示すように半導体装置1aの表面も電流が流れる。このため、第1ウェル領域22とドリフト領域21間に形成されるpn接合のボディダイオードを流れる電流の損失が小さい。したがって、半導体装置1aの損失を低減することができる。
上記のように、第2の実施形態に係る半導体装置1aによれば、損失の低いボディダイオードを有するトランジスタを実現できる。他は、第1の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
以下に、第2の実施形態に係る半導体装置1aの製造方法を説明する。なお、以下に述べる半導体装置1aの製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能である。また、第1の実施形態に係る半導体装置1の製造方法と重複する部分については、詳細な説明を省略する。以下では、基板10に絶縁性炭化珪素基板を用いる場合を説明する。
まず、図11~図16を参照して説明した方法と同様にして、基板10にドリフト領域21、第1ウェル領域22、第2ウェル領域23、第1領域24、第2領域25、及びコンタクト領域26を形成する。その後、図20に示すように、ゲート絶縁膜となる層間絶縁膜50およびゲート電極31を形成する。ゲート絶縁膜の形成方法は、熱酸化法でも堆積法でも構わない。ゲート絶縁膜を熱酸化法で形成する場合、酸素雰囲気中で1100℃程度の温度に基体100を加熱する。これにより、基体100が酸素に触れるすべての部分において、シリコン酸化膜が形成される。或いは、NOかN2O雰囲気中での熱酸化によりゲート絶縁膜を形成してもよい。その場合の温度は1100℃~1400℃が好適である。ゲート絶縁膜の厚さは、例えば数十nm程度である。ゲート絶縁膜の厚さは半導体装置1の用途に合わせて適宜設定可能である。
ゲート絶縁膜となる層間絶縁膜50を形成した後、層間絶縁膜50の上面の一部にゲート電極31を形成する。ゲート電極31の材料はポリシリコン膜が一般的である。ここでは、ポリシリコン膜をゲート電極31に使用する場合を説明する。ポリシリコン膜の堆積法としては、減圧CVD法などを用いてもよい。ゲート電極31の膜厚は、例えば1μm前後としてもよい。なお、ポリシリコン膜を堆積した後に、オキシ塩化リン(POCl3)中で950℃のアニール処理することで、n型のポリシリコン膜を形成し、ポリシリコン膜に導電性を持たせる。その後、形成したポリシリコン膜をエッチングして、ゲート電極31を所定の形状に形成する。エッチング方法は等方性エッチング法でも異方性の選択エッチング法でもよい。エッチング用マスクはレジスト膜でもよい。ポリシリコン膜をエッチングした後、エッチング用マスクのレジスト膜を酸素プラズマや硫酸などで除去する。
次に、第1の実施形態と同様の工程により、第1主電極41および第2主電極42を形成する。以上により、図18に示した半導体装置1aが完成する。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る半導体装置1bの構成を図21に示す。半導体装置1bは、基板10の上面にバッファ領域251、ドリフト領域21、第1ウェル領域22を積層した構成である。第1ウェル領域22の上面の一部に第1領域24が選択的に配置されている。そして、第1領域24が配置された領域の残余の領域において、第1ウェル領域22の上面に、第2ウェル領域23が第1領域24に隣接して配置されている。また、第2ウェル領域23の上面にコンタクト領域26が配置されている。第1主電極41が、第1領域24の上面とコンタクト領域26の上面にわたって配置されている。また、基板10の下面の全面に、第2主電極42が配置されている。
半導体装置1bでは、バッファ領域251と基板10が第2領域25として機能する。バッファ領域251はドリフト領域21よりも不純物濃度が高い第1導電型の領域である。基板10とドリフト領域21の間にバッファ領域251を配置することにより、電界分布を制御することができる。バッファ領域251は、例えばエピタキシャル成長法により基板10に形成される。
基体100bに、第1領域24の上面から延伸し、第1領域24と第1ウェル領域22を貫通し、底部がドリフト領域21に達する溝が形成されている。ドリフト領域21、第1ウェル領域22および第1領域24に接する溝の内壁面に、ゲート絶縁膜30が形成されている。ゲート電極31は、溝の内部に配置されている。つまり、半導体装置1bは、トレンチゲート構造のトランジスタである。ゲート電極31が基体100bに設けられた溝(以下において、「ゲート溝」と称する。)の内部に配置されていることが、第2の実施形態と異なる点である。
図21に示した半導体装置1bでは、第1領域24のゲート絶縁膜30と接する面が、対向面242である。つまり、第1距離dは、基板10の主面に沿った第1領域24の幅である。また、第2距離hは、第1ウェル領域22の膜厚とドリフト領域21の膜厚の合計である。
半導体装置1bの基本的な動作は、第2の実施形態に係る半導体装置1aと同様である。すなわち、半導体装置1bでは、ゲート電極31の電位によって第1主電極41と第2主電極42の間を流れる主電流を制御する。オン動作時に、第1ウェル領域22のゲート絶縁膜30と接するチャネル領域に反転層が形成される。
半導体装置1bではゲート溝の側壁にチャネル領域が形成されるため、チャンネル幅はゲート溝の深さに比例する。このため、ゲート溝を深くすることで、チャンネル幅が増加し、チャンネル抵抗を低減できる。半導体装置1bではチャンネル幅の拡大が基板面積の増大にならないため、半導体装置1bを小型化できる。すなわち基板の単位面積当たりのオン抵抗が低下する。半導体装置1bによれば、より損失を低減した半導体装置を実現できる。
以下に、第3の実施形態に係る半導体装置1bの製造方法を説明する。なお、以下に述べる半導体装置1bの製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能である。また、第1の実施形態に係る半導体装置1の製造方法と重複する部分については、詳細な説明を省略する。
まず、基板10とバッファ領域251の積層体を形成する。基板10に、絶縁性を有する炭化珪素基板(SiC基板)を使用してもよい。例えば、厚みが数十nm~数百μm程度のn型の炭化珪素基板を基板10に使用する。そして、膜厚0.1μm~数μmのn型炭化珪素エピタキシャル層をバッファ領域251として基板10に形成する。
次に、エピタキシャル成長法によりドリフト領域21を形成する。例えば、ドリフト領域21の不純物濃度は1E14~1E18cm-3、膜厚は数μm~数十μmである。
その後、イオン注入法などにより、ドリフト領域21の上部に第1ウェル領域22を形成する。例えば、p型不純物をアルミニウムとして、深さ0.8μm、不純物濃度1E17cm-3の第1ウェル領域22を形成する。
次いで、第1ウェル領域22の上部の一部に第1領域24をイオン注入法などにより形成する。例えば、第1ウェル領域22の上面にパターニングした酸化シリコン膜をマスクにして、n型不純物を窒素として、深さ1μm、不純物濃度1E19cm-3の第1領域24を形成する。更に、第1ウェル領域22の上部の一部に、第1領域24と隣接するコンタクト領域26をイオン注入法などにより形成する。例えば、p型不純物をアルミニウムとして、深さ0.3μm、不純物濃度1E20cm-3のコンタクト領域26を形成する。
更に、コンタクト領域26の下方に第2ウェル領域23をイオン注入法などにより形成する。例えば、p型不純物をアルミニウムとして、深さ0.3μm~1μm、不純物濃度1E19cm-3の第2ウェル領域23を形成する。以上の工程により、図22に示す基体100bが形成される。
その後、第1領域24の上面から延伸し、第1領域24と第1ウェル領域22を貫通し、底部がドリフト領域21に達するゲート溝を形成する。例えば、フォトリソグラフィ技術によりパターニングしたマスク材を使った異方エッチング法を用いて、ゲート溝を形成する。ゲート溝の形成方法として、炭化珪素基板である基板10に対してドライエッチング法が好適に使用される。
ゲート溝を形成した後、ゲート溝の内壁面を覆うように、ゲート絶縁膜30を形成する。ゲート絶縁膜30の形成方法は熱酸化法でも堆積法でもよい。
次に、ゲート溝の内部を埋め込んでゲート電極31を形成する。ゲート電極31には、例えばポリシリコン膜を使用する。ポリシリコン膜の堆積法としては、減圧CVD法などを用いることができる。例えば、堆積させるポリシリコン膜の厚さをゲート溝の幅の2分の1よりも大きな値にして、ゲート溝の内部をポリシリコン膜で埋める。ゲート溝の内壁面からポリシリコン膜が形成されていくため、上記のようにポリシリコン膜の厚さを設定することにより、ゲート溝をポリシリコン膜によって完全に埋めることができる。例えば、ゲート溝の幅が2μmの場合は、膜厚が1μmよりも厚くなるようにポリシリコン膜を形成する。ポリシリコン膜を堆積した後に、オキシ塩化リン(POCl3)中で950℃のアニール処理することで、n型のポリシリコン膜を形成し、ポリシリコン膜に導電性を持たせる。その後、形成したポリシリコン膜をエッチングして、ゲート電極31を所定の形状に形成する。
その後、第1主電極41および第2主電極42を、例えばリフトオフ法などを用いて形成する。以上により、図21に示した半導体装置1bが完成する。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る半導体装置1cの構成を図23に示す。半導体装置1cは、図18に示した半導体装置1aと同様に、ドリフト領域21と第1ウェル領域22が、平面視で隣接して基板10に形成されている。第1領域24と第2ウェル領域23は、第1ウェル領域22を介してドリフト領域21と対向する。第1ウェル領域22から離間した位置で、第2領域25がドリフト領域21に接続する。ゲート電極31は、第1主電極41と第2主電極42の間に配置されている。
図18に示した半導体装置1aと異なり、半導体装置1cでは、ドリフト領域21、第1ウェル領域22および第1領域24にまたがる開口部を有するゲート溝が形成され、ゲート溝の内壁面にゲート絶縁膜30が配置されている。ゲート溝の側面は、ドリフト領域21、第1ウェル領域22および第1領域24に接する。ゲート電極31は、ゲート溝の内部に配置されている。その他の構成については、図23に示す半導体装置1cは、図18に示した第2の実施形態に係る半導体装置1aと同様である。
図24に、図23のA-A方向に沿った断面図を示す。ゲート溝の内部に埋め込まれたゲート電極31は、ドリフト領域21、第1ウェル領域22および第1領域24と、ゲート溝の側面においてゲート絶縁膜30を介して対向する。
半導体装置1cでは、オン動作時に、第1ウェル領域22のゲート溝の側面に接するチャネル領域に反転層が形成される。このため、ゲート電極31を埋め込むゲート溝の深さが深いほど、反転層の幅は広がる。したがって、半導体装置1cでは、第1ウェル領域22においてゲート溝を深く形成することにより、平面視でのサイズを増大させることなく反転層の幅を増大させてチャンネル抵抗を低減できる。その結果、単位面積当たりのオン抵抗が低下する。このように、半導体装置1cによれば、より損失を低減した半導体装置を実現できる。他は、第1~3の実施形態と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。
以下に、第4の実施形態に係る半導体装置1cの製造方法を説明する。なお、以下に述べる半導体装置1cの製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能である。以下では、基板10に炭化珪素基板を用いる場合を説明する。
まず、図11~図16を参照して説明した方法と同様にして、基板10にドリフト領域21、第1ウェル領域22、第2ウェル領域23、第1領域24、第2領域25、及びコンタクト領域26を形成する。以上により、図25に示す基体100cが形成される。
次に、図26に示すように、基体100cの上面において第1領域24、第1ウェル領域22およびドリフト領域21にまたがる開口部を有するゲート溝300を、基体100cに形成する。例えば、フォトリソグラフィ技術によりパターニングしたマスク材を用いた異方エッチング法により、ゲート溝300を形成する。ゲート溝300の形成方法として、炭化珪素基板である基板10に対してドライエッチング法が好適に使用される。
ゲート溝300を形成した後、ゲート溝300の内壁面および基体100cの上面を覆うように、ゲート絶縁膜30を形成する。ゲート絶縁膜30の形成方法は熱酸化法でも堆積法でもよい。
次に、ゲート溝300の内部を埋め込んでゲート電極31を形成する。ゲート電極31には、例えばポリシリコン膜を使用する。ゲート電極31は、例えば第3の実施形態に係る半導体装置1bの製造方法で説明した方法と同様に形成してもよい。すなわち、ゲート溝300の内部をポリシリコン膜で埋める。そして、アニール処理によりn型のポリシリコン膜を形成し、ポリシリコン膜に導電性を持たせる。その後、ポリシリコン膜をエッチングして、所定の形状のゲート電極31を形成する。
その後、第1主電極41および第2主電極42を、例えばリフトオフ法などを用いて形成する。以上により、図23に示した半導体装置1cが完成する。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る半導体装置1dの構成を図27に示す。半導体装置1dは、図18に示した半導体装置1aと同様に、ドリフト領域21と第1ウェル領域22が、平面視で隣接して基板10に配置されている。第1領域24と第2ウェル領域23は、第1ウェル領域22を介してドリフト領域21と対向する。第1ウェル領域22から離間した位置で、第2領域25がドリフト領域21に接続する。ゲート電極31は、第1主電極41と第2主電極42の間に配置されている。
図18に示した半導体装置1aと異なる点として、半導体装置1dは、第1ウェル領域22から離間した位置でドリフト領域21と接続し、第2主電極42と電気的に接続する第2導電型のコレクタ領域27を更に備える。例えば図27に示すように、第2領域25とコレクタ領域27は隣接して配置される。そして、第2領域25とコレクタ領域27の上面に接して第2主電極42が配置されている。その他の構成については、半導体装置1dは、図18に示した第2の実施形態に係る半導体装置1aと同様である。
第5の実施形態に係る半導体装置1dでは、第2領域25とコレクタ領域27が同電位である。これにより、半導体装置1dは逆導通絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(RC-IGBT)を構成する。半導体装置1dによれば、損失の低いボディpn接合ダイオードを有するRC-IGBTを実現できる。なお、半導体装置1dにおいても、ゲート電極31をゲート溝の内部に配置してもよい。
コレクタ領域27は、コンタクト領域26と同時にイオン注入法で形成してもよい。例えば、フォトリソグラフィ技術によりパターニングした酸化シリコン膜をマスクに用いて、p型不純物をアルミニウムとして深さ0.5μm、不純物濃度1E20cm-3のコレクタ領域27とコンタクト領域26を形成する。他の製造方法は、第2の実施形態に係る半導体装置1aの製造方法と同様である。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、上記ではゲート電極31にn型のポリシリコン膜を使用する例を説明したが、p型のポリシリコン膜をゲート電極31に使用してもよい。また、他の半導体材料をゲート電極31に使用してもよいし、メタル材などの他の導電性材料をゲート電極31に使用してもよい。例えば、p型のポリ炭化珪素、SiGe、Alなどをゲート電極31の材料に使用してもよい。
また、ゲート絶縁膜30にシリコン酸化膜を使用する例を説明したが、シリコン窒化膜をゲート絶縁膜30に使用してもよい。または、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜をゲート絶縁膜30に使用してもよい。ゲート絶縁膜30にシリコン窒化膜を使用した場合の等方性エッチングは、160℃の熱燐酸による洗浄によって行うことができる。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。