JP7580251B2 - 耐熱性ミラブル型シリコーンゴム組成物 - Google Patents

耐熱性ミラブル型シリコーンゴム組成物 Download PDF

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Description

本発明はミラブル型シリコーンゴム組成物に関する。
シリコーンゴムは、優れた耐候性、電気特性、低圧縮永久歪性、耐熱性、耐寒性等の特性を有しているため、電気機器、自動車、建築、医療、食品を初めとして様々な分野で広く使用されている。例えば、リモートコントローラー、タイプライター、ワードプロセッサー、コンピューター端末、楽器等のゴム接点として使用されるラバーコンタクト;建築用ガスケット;複写機用ロール、現像ロール、転写ロール、帯電ロール、給紙ロール等の各種ロール;オーディオ装置等の防振ゴム;コンピューターに使用されるコンパクトディスク用パッキンなどの用途が挙げられる。現在、シリコーンゴムの需要は益々高まっており、優れた特性を有するシリコーンゴムの開発が望まれている。
シリコーンゴムの耐熱性を更に向上させるため、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化鉄、カーボンブラック等の添加剤を配合することは知られている。しかし、250℃以上の高温条件下でのシリコーンゴムの耐熱性は十分ではなく、このような条件下で優れた耐熱性を示すシリコーンゴムが要求されている。
特許文献1には、シリコーンゴムに0.1質量%以上の酸化チタンと酸化鉄(特には三酸化二鉄)を添加することでシリコーンゴムの耐熱性を向上させることが記載されているが、300℃で1時間加熱した際のホルムアルデヒド、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン発生量を測定しているのみで、物性変化についての記載はない。
特許文献2には、シリコーンゴムに含水酸化セリウムおよび/または含水酸化ジルコニウムを添加することでシリコーンゴムの耐熱性を向上させることが記載されており、225℃の乾燥機に72時間入れた後の物性を測定している。しかしこれより高温の条件での耐熱性は十分ではない。
特許文献3や特許文献4には、遷移金属などの金属イオン(金属塩)を酸化チタンにドープしたものが記載されているが、中間赤外線フィルターや光触媒体といったその光学特性を利用した用途のみが開示されている。
特許文献5には、黄色酸化鉄微粉末、好ましくはアルミン酸或いはアルミン酸塩を固溶した黄色酸化鉄を、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1~50重量部含有する付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物の記載があり、該組成物は付加反応により硬化して280℃以上の高温度領域において優れた耐熱性を有する硬化物を提供すると記載されている。また特許文献6には0.01~5質量%の遷移金属酸化物をドープした酸化チタン及び酸化セリウム及び/又は水酸化セリウムをシリコーンゴム組成物に配合することでシリコーンゴムの耐熱性を向上することが記載されている。
特表2016-518461号公報 特開2014-031408号公報 特開2006-021991号公報 WO2010/140499 特開平7-292256号公報 WO2018/079376
上記特許文献5に記載の付加反応硬化剤は300℃近い高温下での耐熱性に劣るという問題がある。特許文献6に記載のシリコーンゴム組成物から得られるシリコーンゴムも高温での長期耐熱性に劣る。従って、本発明は、200℃以上、特に300℃という高温での耐熱性により優れたシリコーンゴム(硬化物)を与えるミラブル型シリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、有機過酸化物硬化型のシリコーンゴム組成物に特定量の黄色酸化鉄及び酸化セリウム等を含有することで、シリコーンゴムの耐熱性がより向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
下記(A)~(F)成分を含有するミラブル型シリコーンゴム組成物
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有し、主鎖がR SiO2/2で示されるジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がR SiO1/2で示されるトリオルガノシロキシ基で封鎖された、平均重合度が1,000以上を有する、直鎖状ジオルガノポリシロキサン 100質量部
(上記式中、Rは、互いに独立に、非置換の、炭素原子数1~20の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基から選ばれる基である)
(B)比表面積50m/g以上を有する補強性シリカ 5~100質量部、
(C)黄色酸化鉄 0.01~10質量部、
(D)酸化セリウム 0.01~10質量部、
(E)有機過酸化物 0.1~10質量部、及び
(F)シリカ分散剤 0.1~50質量部
であり、
ただし、該組成物は遷移金属酸化物をドープした酸化チタンを含まず、かつ、エポキシ樹脂を含まない、前記ミラブル型シリコーンゴム組成物
を提供する。
本発明のミラブル型シリコーンゴム組成物は、耐熱性に優れたシリコーンゴムを与えることができる。すなわち、本発明のミラブル型シリコーンゴム組成物を硬化してなるシリコーンゴムは、200℃以上、特に300℃下で、優れた耐熱性を示す。また、該シリコーンゴム(硬化物)の硬度上昇を抑制できる。
本明細書中において、比表面積はBET法により測定された値である。なお、ミラブル型組成物とは、室温(25℃)において自己流動性のない高粘度で非液状の組成物であって、ロールミル(例えば、二本ロールや三本ロール)などの混練機で剪断応力下に均一に混練することが可能な組成物を意味する。
[(A)オルガノポリシロキサン]
(A)成分は、本組成物の主剤(ベースポリマー)であるオルガノポリシロキサンであり、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有することを特徴とする。好ましくは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を2~10,000個有する。
(A)成分は、平均重合度100以上を有することを特徴とし、特に1,000~100,000の範囲であることが好ましく、3,000~50,000の範囲であることがより好ましく、4,000~20,000の範囲であることが特に好ましい。平均重合度が上記下限値未満では、本発明のシリコーンゴム組成物がミラブルゴムとしての性状を満たさなくなり、ロール混練性等が著しく悪化してしまうため好ましくない。なお、この平均重合度は、下記条件で測定したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量から、平均重合度として求められる。
[測定条件]
・展開溶媒:トルエン
・流量:1mL/min
・検出器:示差屈折率検出器(RI)
・カラム:KF-805L×2本(Shodex社製)
・カラム温度:25℃
・試料注入量:30μL(濃度0.2質量%のトルエン溶液)
本発明において(A)成分は、高重合度(高粘度)であって、室温(25℃)において自己流動性のない非液状のオルガノポリシロキサン生ゴムであるのが好ましい。
該(A)成分は、上記平均重合度を満たすアルケニル基含有オルガノポリシロキサンであればよいが、好ましくは下記平均組成式(1)で表される。
SiO(4-n)/2 (1)
(式(1)中、Rは、互いに独立に、置換又は非置換の、炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、nは1.95~2.04の正数である)
上記平均組成式(1)中、Rは、置換又は非置換の、炭素原子数1~20、好ましくは1~12、より好ましくは1~8の1価炭化水素基である。該1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、β-フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。なお、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部若しくは全部がハロゲン原子で置換されていてもよく、例えば3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられる。これらの中では、メチル基、ビニル基、フェニル基及びトリフルオロプロピル基が好ましく、より好ましくは、メチル基またはビニル基である。これらの中でも好ましくは、上記式(1)中のRの合計モルのうち50モル%以上がメチル基であり、より好ましくは80モル%以上がメチル基であり、更に好ましくはアルケニル基以外の全てのRがメチル基であるのがよい。
また、上記式(1)中、Rの合計モルに対して0.001~10モル%、特に0.01~5モル%がアルケニル基であることが好ましい。該アルケニル基としては、好ましくはビニル基及びアリル基であり、特に好ましくはビニル基である。
上記平均組成式(1)中、nは1.95~2.04の正数であり、好ましくは1.98~2.02の正数である。このn値が1.95~2.04の範囲であれば、得られる硬化物は十分なゴム弾性を示す。
(A)成分の構造は特に制限されないが、主鎖がジオルガノシロキサン単位(R SiO2/2、Rは上記と同じ、以下同様)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R SiO1/2)で封鎖された、直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。分子鎖両末端が、トリメチルシロキシ基、ジメチルビニルシロキシ基、ジメチルヒドロキシシロキシ基、メチルジビニルシロキシ基、トリビニルシロキシ基等で封鎖されたものが好ましく、特に、少なくとも1つのビニル基を有しているシロキシ基で封鎖されたものが好適である。これらのオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いてもよく、重合度や分子構造の異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のシリコーンゴム組成物中、(A)成分の含有量は43~96質量%であることが好ましく、50~90質量%であることがより好ましく、60~80質量%であることがさらに好ましい。
[(B)補強性シリカ]
(B)補強性シリカは、得られるシリコーンゴムに対して優れた機械的特性を付与する充填材として作用する。該補強性シリカは、沈降シリカ(湿式シリカ)でもヒュームドシリカ(乾式シリカ)でもよく、表面に多数のシラノール(SiOH)基が存在しているものである。本発明において(B)補強性シリカは、BET法による比表面積50m/g以上を有することが必要である。比表面積の上限は特に制限されないが400m/g以下であればよく、好ましくは100~400m/gである。比表面積が50m/g未満であると、(B)成分により付与されるシリコーンゴムの補強効果が不十分となる。
(B)補強性シリカは、未処理の状態で使用しても、必要に応じて、オルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の有機ケイ素化合物で表面処理されたものであってもよい。なお、この有機ケイ素化合物は、後述する(F)補強性シリカの分散剤とは異なるものである。補強性シリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)補強性シリカの配合量は、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して5~100質量部であり、好ましくは10~80質量部、より好ましくは20~70質量部である。(B)成分の配合量が上記上限値超又は下限値未満では、得られるシリコーンゴム組成物の加工性が低下するだけでなく、該シリコーンゴム組成物を硬化して得られるシリコーンゴム硬化物の引張り強度や引き裂き強度等の機械的特性が不十分なものとなる。
[(C)黄色酸化鉄]
(C)黄色酸化鉄は、下記(D)成分と併用することでシリコーンゴムの耐熱性を著しく向上させる。該黄色酸化鉄は、主成分(たとえば85%以上)が式α-FeOOHで表されるオキシ水酸化鉄の粉末であり、粒子の形状は針状である。粒径は特に限定されず、一般的な黄色酸化鉄であればよい。45μmフルイ残分が0.01%以下であることが好ましい。黄色酸化鉄の市販品としてはTAROXシリーズ(チタン工業株式会社製)等があげられる。
黄色酸化鉄の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01~10質量部であり、好ましくは0.1~8質量部であり、より好ましくは0.5超~5質量部である。該添加量が上記下限値未満では、シリコーンゴムの耐熱性が向上せず、上記上限値を超えて添加すると、シリコーンゴムの機械特性が著しく低下する虞がある。
また、組成物中の黄色酸化鉄の量は0.01~5質量%、好ましくは0.1~3質量%であるのが好ましい。本発明のシリコーンゴム組成物は、当該(C)成分及び下記(D)成分以外の遷移金属酸化物を本発明の効果を損ねない範囲において少量含んでもよい。また、本発明のシリコーンゴム組成物は、酸化チタン、赤色酸化鉄、及び、酸化鉄等の遷移金属酸化物をドープした酸化チタンを含まない態様も包含する。
[(D)酸化セリウム及び/又は水酸化セリウム]
(D)成分は、酸化セリウム及び水酸化セリウムから選ばれる少なくとも1種である。いずれも、前記(C)成分と併用することによりシリコーンゴムの耐熱性を著しく向上させることができる。
酸化セリウムの市販品としては、ショウロックスFL-2(昭和電工株式会社製)、SN-2(ニッキ株式会社製)、酸化セリウムS(阿南化成株式会社製)等が挙げられる。水酸化セリウムの市販品としては、水酸化セリウム(ニッキ株式会社製)、Cerhydrate90(トライバッハ インダストリ エージー社製)等が挙げられる。
(D)成分の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01~10質量部が好ましく、より好ましくは0.1~5質量部である。上記下限値未満では、シリコーンゴムの耐熱性が向上せず、上記上限値超で添加すると、シリコーンゴムの機械特性が著しく低下する虞がある。なお、酸化セリウム及び水酸化セリウムは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。酸化セリウム及び水酸化セリウムを併用する場合は、その総量が上記範囲を満たせばよい。
前記(C)成分と(D)成分との好ましい配合比は、質量比で1:100~100:1であり、より好ましくは1:50~50:1である。
[(E)有機過酸化物]
(E)有機過酸化物は、本発明のシリコーンゴム組成物を硬化させ得る硬化剤である。有機過酸化物は300℃近い高温下での耐熱性に優れるため、シリコーンゴム組成物の高温度耐熱性をより向上させることができる。これに対し、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系金属化合物触媒とを用いる付加反応硬化剤は、300℃近い高温下での耐熱性に劣るため、好ましくない。
有機過酸化物硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、1,6-ヘキサンジオール-ビス-t-ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。有機過酸化物硬化剤の量は(A)成分100質量部に対して0.1~10質量部、特に0.2~5質量部が好ましい。配合量が少なすぎると硬化が不十分となる場合があり、多すぎると有機過酸化物の分解残渣によりシリコーンゴム硬化物が黄変する場合がある。
[(F)充填材用分散剤]
本発明のシリコーンゴム組成物は、前記(A)~(E)成分に加えて、充填材用分散剤、特には無機充填材又はシリカ用の分散剤をさらに含んでもよい。好ましくはシリカ分散剤である。当該分散剤を更に含むことで上述した補強性シリカを組成物中に良好に分散することができる。当該分散剤は、例えば、アルコキシ基又はシラノール基を有する低分子有機ケイ素化合物又はその加水分解物であればよい。より詳細には、各種アルコキシシラン、特にフェニル基含有アルコキシシラン及びその加水分解物、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子シロキサン等が挙げられる。中でも、ジフェニルシランジオールを用いると、シリコーンゴムの耐熱性がさらに向上するため好ましい。また、ジフェニルシランジオールをアルキルアルコキシシランまたはその加水分解物と併用することで、補強性シリカの分散性がさらに向上するため、より好ましい。尚、上述した通り、(F)成分は、前記(B)補強性シリカを表面処理するための有機ケイ素化合物とは異なる。
(F)成分の量は、上記(A)成分100質量部に対して0.1~50質量部が好ましく、特に1~20質量部が好ましい。両末端シラノール基封鎖オルガノポリシロキサンの使用量が少なすぎると、添加した効果が見られず、多すぎると組成物の可塑度が低くなりすぎ、ロールミル等の混練手段においてロール粘着が発生してロール作業性が悪化することがある。
-その他の成分-
本発明で用いるシリコーンゴム組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記成分に加え、必要に応じて、その他の、熱硬化型シリコーンゴム組成物における公知の充填材及び添加剤を含んでよい。例えば、(B)成分以外の充填材(粉砕石英、珪藻土、炭酸カルシウム等)、着色剤(顔料)、引き裂き強度向上剤、難燃性向上剤(白金化合物等)、受酸剤、熱伝導率向上剤(アルミナ、窒化硼素等)、離型剤、及び反応制御剤等が挙げられる。その他の成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また配合量は、本発明の効果を損ねない範囲において適宜調整されればよい。
-組成物の製造方法-
本発明のミラブル型シリコーンゴム組成物は、上述した各成分をニーダー、バンバリーミキサー、二本ロール等の公知の混練機で混合することにより得ることができる。たとえば、上記(A)~(E)成分を含有する組成物を調製する場合、(A)オルガノポリシロキサンと(B)補強性シリカと(C)黄色酸化鉄と(D)酸化セリウムとを混合した後、得られた混合物に(E)有機過酸化物を添加することが好ましい。更にその他の成分を含む場合には、(A)、(B)、(C)、及び(D)成分とその他の成分とを混合した後、得られた混合物に(E)有機過酸化物を添加することが好ましい。
ミラブル型シリコーンゴム組成物は、目的とする成形品の形状及び大きさにあわせて公知の成形方法により成形されればよい。成形方法としては、例えば、注入成形、圧縮成形、射出成形、カレンダー成形、及び押出成形などが挙げられる。
-硬化物-
ミラブル型シリコーンゴム組成物の硬化条件は、用いる成形方法における公知の条件でよく、一般的に60~450℃の温度で数秒~1日程度である。また、得られる硬化物の圧縮永久歪の低下、得られるシリコーンゴム中に残存している低分子シロキサン成分の低減、該シリコーンゴム中の有機過酸化物の分解物の除去等の目的で、200℃以上、好ましくは200~250℃のオーブン内等で1時間以上、好ましくは1~70時間程度、より好ましくは1~10時間のポストキュア(2次キュア)を行ってもよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例において耐熱性試験は下記に従い行った。
[耐熱性]
シリコーンゴム組成物を硬化して作製した試験用シートを用い、JIS K 6249:2003に準拠して硬さ(デュロメーターA)、引張強さ(MPa)、及び切断時伸び(%)の初期値を測定した。該試験用シートを300℃の乾燥機に3日間及び7日間、又は、220℃の乾燥機に7日間入れた後に、硬さ、引張強さ、切断時伸びを測定した。結果を表1に示す。
[実施例1]
ジメチルシロキサン単位99.85モル%、メチルビニルシロキサン単位0.125モル%、及びジメチルビニルシロキシ単位0.025モル%からなり、平均重合度が8,000であるオルガノポリシロキサン生ゴム100質量部、BET法比表面積200m/gのヒュームドシリカ(アエロジル200、日本アエロジル株式会社製)40質量部、ジフェニルシランジオール5質量部、及び、両末端シラノール基を有し、平均重合度4であり、25℃における粘度15mPa・sであるジメチルポリシロキサン2質量部を添加し、170℃で2時間、ニーダーにより混合下で加熱した後、ベースコンパウンド(1)を調製した。
該ベースコンパウンド(1)に、黄色酸化鉄(TAROX-LL-XLO、87.5%以上がα-FeOOHである、針状粉末、チタン工業株式会社製)0.5質量部、及び酸化セリウム(SN-2、ニッキ株式会社製)0.5質量部を二本ロールで添加してコンパウンド(A)を調製した。
該コンパウンド(A)に、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンを0.6質量部、二本ロールにて添加し、均一に混合してミラブル型シリコーンゴム組成物を得た。
該シリコーンゴム組成物を165℃、70kgf/cmの条件で10分間プレスキュアし、2mm厚の試験用シートを作製した。次いで該試験用シートを200℃のオーブンで4時間ポストキュアした。得られた硬化物について、上述した耐熱性試験を行った。
[実施例2]
上記酸化セリウムの添加量を、オルガノポリシロキサン生ゴム100質量部に対して1.5質量部とした以外は、実施例1を繰り返してシリコーンゴム組成物を調製し、硬化物を得た。該硬化物について上述した耐熱性試験を行った。
[実施例3]
上記黄色酸化鉄の添加量を、オルガノポリシロキサン生ゴム100質量部に対して3.0質量部とした以外は、実施例2を繰り返してシリコーンゴム組成物を調製し、硬化物を得た。該硬化物について上述した耐熱性試験を行った。
参考例4]
上記酸化セリウムの代わりに、水酸化セリウム(Cerhydrate90、トライバッハ インダストリ エージー社製)を同量で用いた以外は、実施例3を繰り返してシリコーンゴム組成物を調製し、硬化物を得た。該硬化物について上述した耐熱性試験を行った。
[比較例1]
上記実施例3において、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンに替えて、オルガノポリシロキサン生ゴム100質量部に対して、側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度38、SiH基が0.0074モル%の両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体)0.37質量部を用い、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.07質量部、及び白金触媒(Pt濃度1質量%)0.15質量部を用い、二本ロールにて添加し、均一に混合して生ゴム状のシリコーンゴム組成物を製造した。該シリコーンゴム組成物を、120℃、70kgf/cmの条件で10分間プレスキュアし、2mm厚の試験用シートを作製した。次いで該試験用シートを200℃のオーブンで4時間ポストキュアした。得られた硬化物について、上述した耐熱性試験を行った。
[比較例2]
上記黄色酸化鉄の代わりに、赤色酸化鉄(弁柄SR-570、利根産業株式会社製)を用いた以外は実施例3を繰り返してシリコーンゴム組成物を調製し、硬化物を得た。該硬化物について上述した耐熱性試験を行った。
[比較例3]
上記酸化セリウムを使用しない以外は実施例3を繰り返してシリコーンゴム組成物を調製し、硬化物を得た。該硬化物について上述した耐熱性試験を行った。
[比較例4]
上記酸化セリウムを使用しない以外は、比較例2を繰り返してシリコーンゴム組成物を調製し、硬化物を得た。該硬化物について上述した耐熱性試験を行った。
[比較例5]
上記酸化セリウムの添加量を、オルガノポリシロキサン生ゴム100質量部に対して3.0質量部とし、上記黄色酸化鉄を使用しない以外は、実施例3を繰り返してシリコーンゴム組成物を調製し、硬化物を得た。該硬化物について上述した耐熱性試験を行った。
[比較例6]
上記黄色酸化鉄の代わりに、3質量%の酸化鉄(Fe)をドープした酸化チタン(AEROXIDE TiO PF、日本アエロジル株式会社製)0.8質量部を用いた他は実施例2を繰り返してシリコーンゴム組成物を調製し、硬化物を得た。該硬化物について上述した耐熱性試験を行った。
上記表1に示す通り、比較例3及び5に示す通り、黄色酸化鉄及び酸化セリウム又は水酸化セリウムのいずれか一方しか含まない組成では300℃の耐熱性に優れるシリコーンゴムは得られない。また、比較例2に示す通り、赤色酸化鉄を酸化セリウムと併用しても300℃の耐熱性を改善することができない。また、黄色酸化鉄及び酸化セリウムを含む組成であっても、付加反応型シリコーンゴム組成物では、300℃下での耐熱性に劣り機械的特性が劣化した(比較例1)。また、酸化鉄をドープした酸化チタン及び酸化セリウムを含むシリコーンゴム組成物から得られるシリコーンゴムは220℃7日間及び300℃下7日間の保管にて、機械的特性が大きく変化し、高温長期の耐熱性に劣る(比較例6)。これに対し本発明のシリコーンゴム組成物から得られるシリコーンゴム(硬化物)は、300℃7日間という高温度長期保存下においても耐熱性に優れ、良好な機械的特性を維持することができ、シリコーンゴムの硬度上昇を抑制できる。

Claims (5)

  1. 下記(A)~(F)成分を含有するミラブル型シリコーンゴム組成物
    (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有し、主鎖がR SiO2/2で示されるジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がR SiO1/2で示されるトリオルガノシロキシ基で封鎖された、平均重合度が1,000以上を有する、直鎖状ジオルガノポリシロキサン 100質量部
    (上記式中、Rは、互いに独立に、非置換の、炭素原子数1~20の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、及びアラルキル基から選ばれる基である)
    (B)比表面積50m/g以上を有する補強性シリカ 5~100質量部、
    (C)黄色酸化鉄 0.01~10質量部、
    (D)酸化セリウム 0.01~10質量部、
    (E)有機過酸化物 0.1~10質量部、及び
    (F)シリカ分散剤 0.1~50質量部
    であり、
    ただし、該組成物は遷移金属酸化物をドープした酸化チタンを含まず、かつ、エポキシ樹脂を含まない、前記ミラブル型シリコーンゴム組成物。
  2. 前記(A)成分が平均重合度1,000~100,000を有する、請求項1記載のミラブル型シリコーンゴム組成物。
  3. 前記(C)成分の量が組成物全体に対して0.01~5質量%である、請求項1または2記載のミラブル型シリコーンゴム組成物。
  4. 前記(F)成分が、アルコキシ基又はシラノール基を有する低分子有機ケイ素化合物又はその加水分解物である、請求項1~3のいずれか1項記載のミラブル型シリコーンゴム組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項記載のミラブル型シリコーンゴム組成物の硬化物。
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