JP7599018B2 - 雨天時浸入水率推定装置、雨天時浸入水率推定方法、及びプログラム - Google Patents
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Description
また一態様においては、区域ごとの浸入水率とリアルタイムの降水量および予測降水量をもとに下水処理場、雨水ポンプ場を含む下水処理施設の雨天時の流入量予測が可能となる。
流入量の急変を高精度に予測することで、先を見越した運転制御が可能となり運転員の作業負荷とエネルギー消費を軽減できる。また処理しきれない量の流入に対しても、事前に予測することで対応を検討する時間が得られ、浸水や設備の損傷など、発生する損害の軽減が可能となる。
A=(当該領域の雨量)/Σ全領域(領域ごとの雨量)×(雨天時浸入水量)
ただし、上式中、「領域ごとの雨量」においては流達時間を考慮する(図18も参照)。
図4は、雨天時浸入水率推定の対象地域が複数の区域(メッシュ)に分割されることを示す概念図であり、図5は、複数の区域に分割された対象地域における、下水(汚水)処理場と下水道管路(汚水管)との配置を示す図である。以下においては1つ1つの区域が50m四方の正方形区域であるとする(図4は、説明のための概念図であり、区域の形状の正確性は考慮していない)が、区域の形状やサイズは任意に定めることができる。「対象地域」とは、雨天時浸入水率の推定を行う対象となる任意の地域であり、対象地域を複数の区域に分割することにより、複数の区域の集合体として対象地域をとらえることができる。図5の例においては、区域49,51のような、8×11=88個の矩形区域(一辺の長さが50mの正方形区域とする)の集合体として対象地域が与えられる。また、図4、図5では対象地域を矩形で示しているが、通常は48に示す処理場またはポンプ場に流入する地域全域が対象地域であり、不定形となる。
各区域において個別に定義される「雨天時浸入水率」とは、降雨量に対する雨天時浸入水量の割合に対応する量であり、或る区域における「雨天時浸入水率」とは、以下の(1)式
図1は、雨天時浸入水率推定装置の構成を示すブロック図である。雨天時浸入水率推定装置1は、制御部2と、記憶部3と、入出力部4と、通信部5とを備える。後述する通信部を介して入力および表示を行う場合は、入出力部は不要としてもよい。
(1)降雨情報データベース20
対象地域に含まれる各々の区域の各日時における降水量を、「区域の識別子」、「日時(時間帯でもよい。以下においても同様)」、「単位時間(例えば1時間だが、これに限らず、より短い時間を単位時間とすることもある)あたりの降水量(mm)(以下、単に「降水量」と呼ぶ)」をデータ項目として含むレコードの形式で格納するデータベース。
(2)施設流入量、雨天時浸入水量データベース21
雨天時浸入水量算出部11によって算出される、各々の区域の各日時における雨天時浸入水量を、「区域の識別子」、「日時」、「浸入水量」をデータ項目として含むレコードの形式で格納するとともに、下水関連施設流入量推定部12によって算出される、各日時における下水関連施設への流入量を、「日時」、「流入量」をデータ項目として含むレコードの形式で格納するデータベース(少なくとも2つのテーブルを含む)。
(3)変数データベース22
変数データ取得部8によって取得される、各々の区域の各日時における変数を、「区域の識別子」、「日時」、「変数1」,「変数2」…「変数L」をデータ項目として含むレコードの形式で含むデータベース。なお、Lは説明変数としての変数の数であり1以上の任意の整数である。また、後述のとおり、変数のうち流入対象雨量のみが時々刻々と変化し、それ以外の変数が(短期的には)時間変化しないとみなせる場合は、第1の変数データベースとして、「区域の識別子」、「日時」、「流入対象雨量(変数L)」をデータ項目として含むレコードの形式で格納するデータベースを用意し、更に第2の変数データベースとして、「区域の識別子」、「変数1」,「変数2」,…「変数L-1」をデータ項目として含むレコードの形式で格納するデータベースを用意してもよい。
(4)雨天時浸入水率データベース23
雨天時浸入水率推定部10によって算出される、各々の区域の各日時における雨天時浸入水率を、「区域の識別子」、「日時」、「浸入水率」をデータ項目として含むレコードの形式で格納するデータベース。
(5)地理情報データベース24
変数データ取得部8により、外部サーバマシン(地理情報サーバ)31等から取得される(後述の図2を参照)各々の区域における地理情報を、「区域の識別子」、「地理情報1」,「地理情報2」,…「地理情報P」をデータ項目として含むレコードの形式で格納するデータベース。なお、Pは、或る区域に対して与えられる地理情報の数であり1以上の任意の整数である。
図2は、雨天時浸入水の発生領域絞り込みシステムの構成を示すブロック図である。雨天時浸入水率推定装置1、外部サーバマシン(地理情報サーバ)31、下水関連施設32、降水量測定システム33、クライアントマシン34が、インターネット等の通信回線30を介して連携することにより雨天時浸入水の発生領域絞り込みシステムが構成される。
以下、図3~図10も参照しつつ、雨天時浸入水率推定装置、雨天時浸入水の発生領域絞り込みシステムの動作を説明する。
図3は、雨天時浸入水率推定装置によって実行される学習段階の動作フローを示すフローチャートである。
まずステップS301において、地図読み込み、及び区域(メッシュ)情報生成が行われる。入出力部4を介して、或いは入出力部(表示部)43を介して雨天時浸入水率推定装置1が管理者等のユーザからの命令を受け付けたことに応答して雨天時浸入水率推定装置1のプロセッサ6が変数データ取得プログラムを実行することにより、変数データ取得部8は地理情報サーバ31に対して地図データ35、土地用途データ36、地上雨量計位置データ37、その他の地理的データ38を要求する。要求を受けた地理情報サーバ31は、地図データ35、土地用途データ36、地上雨量計位置データ37、その他の地理的データ38を雨天時浸入水率推定装置1に送信する。変数データ取得部8は、予め管理者等のユーザが入出力部4或いは入出力部(表示部)43を介して入力すること等により指定された、対象地域(地図データ35の示す地域において、どの地域を対象とするか)と、区域(メッシュ)のサイズ(対象地域をどの程度まで細かく分割するか)と、を示す情報に基づき、対象地域内のメッシュ情報を生成する。一例において、メッシュ情報は、メッシュの基準位置(中心点、或いは左上の端等)の座標とメッシュのサイズ(一辺の長さ、或いは縦と横それぞれの長さ等)とからなる情報であり、メッシュ情報のデータは記憶部3の地理情報データベース24内に格納される。なお、降雨情報として対象地域内に設置された雨量計からの情報を用いる場合、変数データ取得部8は解析単位の雨量計を選択して、その情報も地理情報データベース24に格納する。
次にステップS302において、各区域における流達時間の設定が行われる。「流達時間」とは、各々の区域から下水管を流下して目的地(例:下水処理場)まで浸入水等が到達するまでにかかる時間として各々の区域に対して別個に定義される時間であり、1つの区域内での流達時間の平均値として、1つの区域に対して1つの「流達時間」が定められる。各々の区域における上記流達時間は、予め計算、測定調査等により決定されて(一例においては、下水道台帳の管渠諸元からマニング式を用いて流速を管渠毎に算出し、当該管渠から処理場までの流達時間を求め、各々の区域内の平均値を計算して各々の区域に割り当てる。)、各種データ19の一部として記憶部3に記憶される。
ステップS303において、変数データ取得部8は、各々のメッシュについて、各種変数を設定する。区域ごとに設定される変数の1つには「土地利用(浸透率)情報」がある。土地利用(浸透率)情報とは、1つのメッシュ内の平均浸透率(雨水の土地への浸透のし易さ)を示す情報(0以上、1以下の値とする)であり、当該メッシュの土地のうち、どれだけの面積がどのような用途に利用されているかに応じて、用途ごとに与えられた浸透率の値の加重平均(「或る用途に利用される面積がメッシュの面積において占める割合(0以上1以下)と、当該用途における浸透率との積」を、全ての用途について加算することで得られる)を算出することにより設定される。
建物… 0.0
道路… 0.1
河川・池… 1.0
その他… 0.8
の値が定義される。例えば或るメッシュの面積のうち、40%が建物によって占められており、20%が道路によって占められており、10%が河川又は池によって占められており、30%がその他の用途で用いられている場合、その区域の(平均)浸透率は、
(表1)
次に、ステップS304において、各種制御、表示部13は、晴天時(平均)流入量を算出する。「晴天時平均流入量」とは、季節、気象条件、曜日等に応じて推定可能な下水処理場の晴天時の平均流入量であり、下水関連施設流入量推定部12により推定値が算出されて各種データ19の一部として記憶部3に記憶されるとする。この例においては、晴天時平均流入量は晴天時の曜日ごとの3か月平均流入量であるとする(例えば月曜日の晴天時平均流入量は、3か月間にわたる月曜日の晴天時流入量実測値の平均値とし、他の曜日も同様に、同じ曜日の実測値の3か月平均値を算出する)。
ステップS305において、変数データ取得部8は、過去の降雨データを取得する。具体的には、降水量測定システム33の装置から、降雨データがリアルタイムで配信される。流入量の予測では、この配信データを用いる。なお、雨天時浸入水発生領域の絞り込みで使う過去データの入手は、降水量測定システム33に対する注文を受けて行われる。発注後にダウンロードするか外部記憶メディアを経由してデータを受け取る。変数データ取得部8は、降水量測定システム33のコンピュータから過去の降雨データを取得して降雨情報データベース20に格納する。降水量測定システム33のコンピュータは、対象地域内での各地点における過去のさまざまな日時での降水量の測定値、及び必要に応じて各地点における未来のさまざまな日時での降水量の予測値を示す降雨情報データ及び予測降雨情報データ40を雨天時浸入水率推定装置1に送信する。変数データ取得部8は、取得した降雨情報データ、予測降雨情報データを降雨情報データベース20に格納する。
長時間降雨:降雨が、例えば5時間以上等、所定時間以上かつ所定降雨強度以上続いた場合、
局所集中降雨(前方集中):総降水量(降水量の時間積算値)のうち、例えば70%以上の雨が降雨時間の前半に降った場合、
局所集中降雨(後方集中):総降水量のうち、例えば70%以上の雨が降雨時間の後半に降った場合、
豪雨:例えば総降水量90mm以上、
強雨:例えば総降水量50mm以上90mm未満、
中雨:例えば総降水量10mm以上50mm未満、
弱雨:例えば総降水量5mm以上10mm未満、
小雨:例えば総降水量5mm未満、
その他:上記いずれのパターンにも該当しない場合、
のように降雨パターンを定義し(或る降雨が2以上の降雨パターンに該当する場合は、予め各々の降雨パターンに対して定めた優先順位の最も高い特定の降雨パターンのみに該当するとみなすことができ、または該当する全てのパターンと関連付けることもできる)、降雨パターンを識別する識別子と関連付けて、降雨情報データを降雨情報データベース20に格納することができる。降雨パターンの定義は任意であり(例えば豪雨、強雨、中雨において、最大瞬間降水量が10mm以上か10mm未満かに応じて2パターンに分けてもよい)、一例においては管理者等のユーザが入出力部4或いは入出力部(表示部)43を介してデータ入力することにより予め各種データ19の一部として記憶されている。ただし、降雨パターンごとにモデルを別個に生成することは必須ではない。
ステップS306において、雨天時浸入水量算出部11は、教師データ17の一部としての雨天時浸入水量を算出する。雨天時浸入水量は、図18に示されるとおり、処理場への流入量(t)から晴天時流入量(t)を差し引くことで算出される。ここにおける雨天時浸入水量は、後述の(7)式中、「雨天時流入量-晴天時平均流入量」として用いられる。
ステップS307において、変数データ取得部8は、上述の表1中、「流入対象雨量」を区域ごとに算出して、教師データ17の変数データ(説明変数データ)として記憶部3に格納する。上記表1の説明変数中、流入対象雨量とは、各区域において上記(2)式で定義される流入対象雨量(t)であり、ステップS307において変数データ取得部8によって算出されて、教師データ17の変数データ(説明変数データ)として記憶部3に格納される。他の説明変数とは異なり、流入対象雨量は日時に依存して短い時間スケールで変化する量であり、後述の目的変数としての浸入水率も日時に依存して短い時間スケールで変化する量である。
降雨パターン1用教師データ
降雨パターン2用教師データ
…
降雨パターンM用教師データ
のようにパターンごとに分類され(Mは2以上の任意の整数)、且つ、それぞれの降雨パターン用の教師データは、変数データと雨天時浸入水率データとの組として、区域及び日時(時間帯)を示す情報と関連付けた形式で格納される(降雨パターン、区域、日時(時間帯)を指定して、変数データと雨天時浸入水率データとの組を読み出すことが可能)。ただし、降雨パターンごとに別個にモデルを作成することは必須ではなく、1つのモデルのみを作成することとしてよい。
ステップS308において、変数データ取得部8は、区域ごとの浸入水率を仮設定する。既に述べたとおり、本実施形態の推定モデルにおける目的変数は、雨天時浸入水率である。
(表2)
上述の教師データ17における雨天時浸入水率の値は、ステップS306において変数データ取得部8により、以下の(5)~(8)式に従って算出される。
機械学習アルゴリズムとしては、公知の、或いは非公知のあらゆるアルゴリズムを用いてよいが、ここでは例としてランダムフォレスト(random forest)とニューラルネットワーク(neural network)について説明する。
ステップS309において、機械学習部9は、これまでのステップで生成、記憶された教師データ17を用いて機械学習アルゴリズムにより雨天時浸入水率の推定モデルを生成する。機械学習部9は、教師データとして上述の表1の説明変数データと表2の目的変数データとを用いて機械学習を行うことにより、学習済みモデル16を生成し、記憶部3に記憶させる。降雨パターン別にモデルを生成する場合は、降雨パターン1に従う降雨に関する教師データのみを教師データとして用いて機械学習を行うことにより降雨パターン1用モデルを生成し、同様に、各降雨パターン用のモデルを、当該降雨パターンに従う降雨に関する教師データのみを教師データとして用いて機械学習を行うことにより生成し、記憶部3に記憶させる。
図6は、雨天時浸入水率推定装置によって実行される運用段階の動作フローを示すフローチャートである。雨天時浸入水率推定装置1の運用段階においては、降雨が発生し、その降雨により対象地域内の各区域にて雨天時浸入水が発生する際の、当該各区域における各日時での浸入水率が学習済みのモデルを用いて推定される。
まずステップS601において、変数データ取得部8は、説明変数の運用データとして、土地利用(浸透率)等のデータを変数データベース22から取得する。具体的に変数データ取得部8は、表1の説明変数のうち、流入対象雨量(又は雨量)以外の少なくとも短い時間スケールでは変化しない定数とみなすことができる説明変数のデータとして、各々の区域についてのそれら変数データを変数データベース22から取得する。なお、管種や設置年を変えるなど、検討用に意図的に変数を変える場合もある。
ステップS602において、変数データ取得部8は、過去の降雨データを取得する。具体的には、降水量測定システム33の装置から、降雨データがリアルタイムで配信される。流入量の予測では、この配信データを用いる。なお、雨天時浸入水発生領域の絞り込みで使う過去データの入手は、降水量測定システム33に対する注文を受けて行われる。発注後にダウンロードするか外部記憶メディアを経由してデータを受け取る。変数データ取得部8は、降水量測定システム33のコンピュータから降雨情報データ及び予測降雨情報データ40を取得して降雨情報データベース20に格納する。なお、実降雨データの他に、仮想の降雨データを用いる場合もある。
引き続き、変数データ取得部8は、ステップS603において、区域ごとの流入対象雨量を算出する。教師データ作成時と同様に、変数データ取得部8は、上記(2)式に従い各々の区域について流入対象雨量を算出するが、(2)式中の「区域の降水量(mm)」としては、教師データの降水量ではなく、推定の対象とする日時の降水量の値を降雨情報データベース20から取得した上で用いる。
各々の区域についての、ステップS601で取得した変数データの値、及びステップS603で算出した流入対象雨量の値(流入対象雨量ではなく雨量を用いる場合は、ステップS602で取得した雨量の値)を機械学習済みのモデルへの入力データとして用いることにより、モデル出力値として、各々の区域についての浸入水率の推定値を得ることができる。雨天時浸入水率推定部10は、ステップS604において、そのような入力データを用いて上述の機械学習モデルによる推定を行うことにより、各々の区域における対象とする日時の浸入水率の推定値を決定し、雨天時浸入水率データベース23に格納する。ランダムフォレストを用いる一例においては、最終的な機械学習済みモデルが3つの決定木から構成され、運用時のそれぞれの決定木の出力(浸入水率の推定値)が5%,10%,15%であれば、最終的な出力は3つの値から計算した数値がランダムフォレストから出力される。例えば平均値である10%が浸入水率の推定値として得られる。ニューラルネットワークを用いる一例においては、上記表1の9つの説明変数は入力層に属し(図9においては単純化のため4つのノードx1~x4のみを描いたが、9つの説明変数を用いる場合はx1~x9の9つのノードが入力層に存在し、各々の説明変数に対応する。)、上記表2の目的変数は出力層に属する(ノードy1に対応)。特に降雨パターン別の推定モデルを用いる場合、雨天時浸入水率推定部10は、ステップS602で取得された降雨情報データから予測対象の降雨の降雨パターンが降雨パターン1~降雨パターンMのうちのどれに該当するかを判定し、現在の降雨パターンが該当すると判定された降雨パターン用のモデルを、学習済みモデル16として記憶された降雨パターン1用モデル~降雨パターンM用モデルの中から選択して用いる。
モデル推定により得られた浸入水率の推定値は、ステップS605において、各種制御、表示部13により任意の形式で出力される。例えば図5のように区域に区切られたマップ画像上において各々の区域の浸入水率の推定値に対応する色(半透明とする等、表現は任意)を各々の区域に付けた上で当該マップ画像をディスプレイ装置27に表示するか、或いはそのようなマップ画像のデータをクライアントマシン34に送信してマップ画像をクライアントマシン34のディスプレイ装置に表示すれば、管理者等のユーザは浸入水率の高い区域を容易に認識することができる。
機械学習部9は、浸入水率の推定値と実測値とを比較して推定モデルを更新(一例においては、運用時の説明変数データと浸入水率の実測値とを新たな教師データ(トレーニングデータ)として用いて再度機械学習を行う)することにより、推定モデルの性能を向上させることができる。特に、下水道管路の上流域の区域(図5の例でいえば、下水処理場48から比較的遠い区域であり、例えば下水処理場48に通じている各々の汚水管を中間点で分断した場合に下水処理場48に遠い方の汚水管部分が通る区域を「上流域の区域」と呼ぶことができる。)における、変数データと浸入水率の実測値(実測方法の一例としては、ここでいう「中間点」に流量計を数か月間設置し、上流域全体の浸入水率を実測によって求めることができる。)とを機械学習部9がトレーニングデータとして記憶部3に蓄積しておき、蓄積されたトレーニングデータを機械学習部9が機械学習モデルに与えて再度モデルの機械学習をすることにより、効率よく機械学習モデルを最適化できると考えられる。
次に、上述の推定モデルにより推定された浸入水率を用いて、下水処理場48等の下水関連施設に流入する浸入水の流入量をリアルタイムで予測する方法を説明する。前提として、降雨情報データベース20には、既に述べたとおり各々の時刻における各区域に対しする(1時間あたりの)降水量(mm)データが日時と関連付けて格納されているが、これに加えて、当該降雨における将来の降水量の予測値も、各々の時刻における各区域に対しての予測降水量(mm)として日時と関連付けて降雨情報データベース20に格納されているとする(変数データ取得部8が降水量測定システム33のコンピュータに、降水量測定システム33のコンピュータから予測降水量データを受信して、降雨情報データベース20に格納しているとする)。また、或る降雨が発生している最中に、図3~図6を用いてこれまでに説明したとおりの各区域における浸入水率の推定が時々刻々と行われ、各々の時刻における各区域に対する浸入水率の推定値が日時と関連付けて雨天時浸入水率データベース23に時々刻々と格納されているとする。さらに、計算開始時刻から予測対象の時刻との差分(例えば60分先予測)よりも流達時間が短くなる区域では、降雨量の計測値では予測できないので注区降雨データを使用する。降雨情報データベース20に格納された降雨量実測値および将来の降水量の予測値を用いて、将来の各々の時刻における各区域に対する浸入水率の推定が、同様に機械学習済みの推定モデルを用いて行われており、そのような将来の各々の時刻における各区域に対する浸入水率の推定値が、日時と関連付けて雨天時浸入水率データベース23に時々刻々と格納されているとする。また各々の時刻の各区域に対する晴天時流入量の推定値は、各種データ19の一部として日時と関連付けて既に記憶部3に記憶されているとするが、各区域に対する晴天時流入量は季節、気象条件、曜日等に応じて推定可能な量であり、既知(推定値が既に得られている)の量として扱うので、将来の各々の時刻における各区域に対する晴天時流入量(「晴天時流入量」は、雨天時浸入水がない状態での流入量である(晴天時も雨天に起因しない流入がありえるが、処理場流入量を元にしているのでこれを含む)。ここでは『各区域に対する~』とすることで対象を示している。)の推定値も、各種データ19の一部として既に記憶部3に記憶されているとする。
以下、本発明の実施例として作成した雨天時浸入水率推定モデルの性能評価結果を説明する。2019年1月~11月の雨量情報、及び処理場流入量情報を用いて推定モデル(解析モデル)を構築した。今回の推定モデルの説明変数(各区域の入力項目)は、以下の表3に示すとおりである。ただし、各区域は一辺が250mmの正方形であるとして、XRAINレーダの雨量情報を用いてモデルを構築した。また目的変数は浸入水率とした。
(1)晴天時流入量の推定
晴天時の処理場流入量から対象エリア全域の晴天時流入量を求め、各メッシュに晴天時流入量を割り振る。その際、地図の画像解析によりメッシュ内の建物面積を取得して、汚水量原単位設定に利用する。
(2)雨量情報の入力
XRAINの雨量情報を各区域(メッシュ)に割り当てる。
(3)流域特性(変数)の入力
地表の浸透状況、汚水管、雨水管延長など様々な流域特性値を各メッシュに割り当てる。
(4)流達時間の入力
下水道台帳の管渠諸元からマニング式を用いて満管流速を管渠毎に算出し、当該管渠から処理場までの流達時間を求め、メッシュ内の平均値を計算して各メッシュに割り当てる。
(5)処理場流入量の入力
処理場流入量データ(1時間単位またはそれより細分化されたデータ)を取り込む。
(6)雨天時浸入水量、浸入水率の解析
各メッシュからの汚水+雨天時浸入水は、そのメッシュの流達時間経過後に処理場に流入する。各メッシュの降雨量変動と処理場の流入量変動の関係を機械学習で解析することで、各メッシュの浸入水率が求められる。
1.既存情報の整理
・雨量(XRAIN)
・地理的特性、施設的特性、その他
・処理場流入量
2.モデル構築
・既存情報を用いて学習
3.浸入水率の解析
・構築モデルに流量調査期間の雨量データを入力し、浸入水率算出
4.検証
・実測値との比較
(流量調査計10か所)
2 制御部
3 記憶部
4 入出力部
5 通信部
6 プロセッサ
7 一時メモリ
8 変数データ取得部
9 機械学習部
10 雨天時浸入水率推定部
11 雨天時浸入水量算出部
12 下水関連施設流入量推定部
13 各種制御、表示プログラム
14 機械学習関連プログラム
15 各種プログラム
16 学習済みモデル
17 教師データ
18 テストデータ
19 各種データ
20 降雨情報データベース
21 施設流入量、雨天時浸入水量データベース
22 変数データベース
23 雨天時浸入水率データベース
24 地理情報データベース
25 キーボード
26 マウス
27 ディスプレイ装置
28 通信インタフェース
29 通信回路
30 通信回線(インターネット等、ネットワーク回線)
31 外部サーバマシン(地理情報サーバ)
32 下水関連施設(下水処理場、ポンプ場等)
33 降水量測定システム(気象レーダ、雨量計等)
34 クライアントマシン(パーソナルコンピュータ、スマートフォン等)
35 地図データ
36 土地用途データ
37 地上雨量計位置データ
38 その他の地理的データ
39 水位実測データ
40 降雨情報データ
41 制御部
42 記憶部
43 入出力部
44 通信部
45 メッシュ構造
46 メッシュ(区域)
47 メッシュ(区域)
48 下水(汚水)処理場
49 メッシュ(区域)
50 汚水管(流入先管路)
51 メッシュ(区域)
52 汚水管(流入先管路)
1000 下水道管(汚水管)
1001 下水(汚水)処理場
1002 不良箇所(ひび、破損、孔等)
1100 雨水管
1101 雨水ポンプ場
1200 建造物(民家)
1300 建造物(オフィスビルディング)
1400 雨雲
Claims (7)
- 複数の区域に分割される対象地域において区域の各々に対して定義される、降雨量に対する雨天時浸入水量の割合に対応する雨天時浸入水率、を推定する雨天時浸入水率推定装置であって、
前記区域の各々に対して定義される変数であって、区域の各々における降水量の関数を含む変数のデータを取得する、変数データ取得部と、
雨天時浸入水率推定部であって、
前記変数データ取得部が取得した、前記区域の各々における前記変数のデータと、
前記雨天時浸入水率と前記変数との過去のデータを教師データとして機械学習を行った、変数から雨天時浸入水率を推定する推定モデルと
を用いて、前記区域の各々における雨天時浸入水率を推定する、雨天時浸入水率推定部と
を備え、
前記推定モデルは、前記雨天時浸入水率と前記変数との過去のデータを教師データとして2以上の降雨パターンの各々に対応して各々が別個に機械学習を行った2以上の別個のパターン別推定モデルのうち、対象降雨の降雨パターンに対応するパターン別推定モデルであり、
前記降雨パターンは、局所集中降雨のパターンであり、前方集中パターン及び後方集中パターンを含む、雨天時浸入水率推定装置。 - 前記機械学習の学習アルゴリズムは、ランダムフォレスト又はニューラルネットワークである、請求項1に記載の雨天時浸入水率推定装置。
- 前記変数データ取得部により取得された前記区域の各々における前記降水量の関数である流入対象雨量のデータと、前記雨天時浸入水率推定部による推定により得られた該区域の各々における雨天時浸入水率の推定値とを用いて、該区域の各々における雨天時浸入水量の推定値を算出する、雨天時浸入水量算出部
を更に備える、請求項1又は2に記載の雨天時浸入水率推定装置。 - 前記降水量の関数は、該各々の区域において、降水量と、面積とを用いて算出される流入対象雨量である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の雨天時浸入水率推定装置。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の雨天時浸入水率推定装置において、
前記雨天時浸入水率推定部による推定により得られた前記区域の各々における雨天時浸入水率の推定値を日時と関連付けて時々刻々と記憶する、雨天時浸入水率記憶部と、
雨天時に下水関連施設に流入する流入水の、基準時点よりも一定時間後の将来時点での流入量を推定する、下水関連施設流入量推定部であって、
各々の区域から前記下水関連施設への流達時間に応じて該各々の区域に対して決定される日時における、該各々の区域の予測降水量又は実績降水量と、
前記各々の区域の面積と、
前記各々の区域に対する浸透率と、
前記流達時間に応じて前記各々の区域に対して決定される前記日時における、該各々の区域の前記雨天時浸入水率の推定値と、
前記流達時間に応じて前記各々の区域に対して推定される前記日時における、晴天時流入量と
を用いて前記基準時点よりも一定時間後の将来時点での流入量を推定する、下水関連施設流入量推定部と
を更に備えた、下水関連施設流入量推定装置。 - 複数の区域に分割される対象地域において該区域の各々に対して定義される、降雨量に対する雨天時浸入水量の割合に対応する雨天時浸入水率、を推定する雨天時浸入水率推定装置が実行する推定方法であって、
前記区域の各々に対して定義される変数であって、該区域の各々における降水量の関数を含む変数のデータを取得する、変数データ取得工程と、
雨天時浸入水率推定工程であって、
前記変数データ取得工程で取得した、前記区域の各々における前記変数のデータと、
前記雨天時浸入水率と前記変数との過去のデータを教師データとして機械学習を行った、変数から雨天時浸入水率を推定する推定モデルと
を用いて、前記区域の各々における雨天時浸入水率を推定する、雨天時浸入水率推定工程と
を備え、
前記推定モデルは、前記雨天時浸入水率と前記変数との過去のデータを教師データとして2以上の降雨パターンの各々に対応して各々が別個に機械学習を行った2以上の別個のパターン別推定モデルのうち、対象降雨の降雨パターンに対応するパターン別推定モデルであり、
前記降雨パターンは、局所集中降雨のパターンであり、前方集中パターン及び後方集中パターンを含む、雨天時浸入水率推定方法。 - 請求項6に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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