JP7600944B2 - 車両用サスペンション制御装置、及び車両用サスペンション制御方法 - Google Patents

車両用サスペンション制御装置、及び車両用サスペンション制御方法 Download PDF

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Description

本開示は、サスペンションストロークを制御するために互いに応答性及び出力の異なる第1及び第2アクチュエータを備える車両用サスペンション制御装置及び車両用サスペンション制御方法に関する。
特許文献1は、車両の各輪に電動アクチュエータを備えるアクティブサスペンション装置を開示している。
特開2011-251636号公報
車両の姿勢を制御するためには、大きな力が必要となる。サスペンションストロークを制御するアクチュエータの応答性と出力は、一般的に相反する関係にある。具体的には、アクチュエータが大きな出力を発生させるためには、アクチュエータが大きくなり、体格の大きなアクチュエータは応答性が低くなる。このため、応答性と出力の両立が難しい。
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、応答性と出力とを両立しつつ車両姿勢制御を行えるようにした車両用サスペンション制御装置及び車両用サスペンション制御方法を提供することを目的とする。
本開示に係る車両用サスペンション制御装置は、第1アクチュエータと、第2アクチュエータと、電子制御ユニットと、を備える。第1アクチュエータは、第1制御対象輪のサスペンションストロークを制御する。第2アクチュエータは、第1制御対象輪又は当該第1制御対象輪と異なる第2制御対象輪のサスペンションストロークを制御し、第1アクチュエータと比べて高い応答性と低い出力を有する。電子制御ユニットは、車両姿勢制御のための要求制御量を算出する算出処理を実行する。また、電子制御ユニットは、第1アクチュエータが出力可能な第1制御量の最大値である第1最大制御量だけでは要求制御量に対する制御量の不足がある場合には、第1最大制御量を第1アクチュエータに指令し、かつ、当該不足を補うための第2制御量を第2アクチュエータに指令する指令処理を実行する。
車両姿勢制御は、車両操作入力に対する第1姿勢制御、及び、路面入力に対する第2姿勢制御の少なくとも一方を含んでもよい。そして、要求制御量は、第1姿勢制御のための第1要求制御量、及び、第2姿勢制御のための第2要求制御量の少なくとも一方を含んでもよい。
車両姿勢制御は、第1姿勢制御及び第2姿勢制御の双方を含んでもよい。そして、算出処理において、電子制御ユニットは、第1要求制御量と第2要求制御量との和を要求制御量として算出してもよい。
第1姿勢制御は、車両のロール制御を含んでもよい。そして、第1要求制御量は、ロール制御のためのロール要求制御量を含んでもよい。
第1アクチュエータが適用される第1制御対象輪は、車両の左右前輪及び左右後輪の一方であってもよい。第2アクチュエータは第2制御対象輪に適用され、第2制御対象輪は車両の左右前輪及び左右後輪の他方であってもよい。そして、算出処理において、電子制御ユニットは、車両の全輪の合計のロール要求制御量を要求制御量として算出してもよい。
第1姿勢制御は、車両のピッチ制御を含んでもよい。そして、第1要求制御量は、ピッチ制御のためのピッチ要求制御量を含んでもよい。
第2姿勢制御は、路面入力に対する車両のばね上構造体の振動を低減する振動制御を含んでもよい。そして、第2要求制御量は、振動制御のための要求制御量を含んでもよい。
指令処理において、電子制御ユニットは、第1アクチュエータの第1制御量だけで要求制御量を満たせる場合には、要求制御量のすべてを第1アクチュエータに指令し、かつ、第2アクチュエータへの要求制御量に関する指令は行わなくてもよい。
本開示に係る車両用サスペンション制御方法は、第1制御対象輪のサスペンションストロークを制御する第1アクチュエータと、第1制御対象輪又は当該第1制御対象輪と異なる第2制御対象輪のサスペンションストロークを制御し且つ第1アクチュエータと比べて高い応答性と低い出力を有する第2アクチュエータと、を備える車両用サスペンションを制御する。この制御方法は、車両姿勢制御のための要求制御量を算出する算出処理と、第1アクチュエータが出力可能な第1制御量の最大値である第1最大制御量だけでは要求制御量に対する制御量の不足がある場合には、第1最大制御量を第1アクチュエータに指令し、かつ、当該不足を補うための第2制御量を第2アクチュエータに指令する指令処理と、を含む。
本開示に係る車両用サスペンション制御装置、及び車両用サスペンション制御方法によれば、車両姿勢制御のための要求制御量の実現のために応答性及び出力の異なる第1及び第2アクチュエータが組み合わせて用いられる。そして、車両姿勢制御のためのメインのアクチュエータとして出力の高い第1アクチュエータを利用しつつ、要求制御量を実現するための制御量を必要に応じて応答性の高い第2アクチュエータを利用して補うことができる。これにより、応答性と出力との両立を可能としつつ車両姿勢制御を行えるようになる。
実施の形態に係る車両の構成の一例を概略的に示す図である。 実施の形態に係るサスペンションの構成例を示す概念図である。 プレビュー制御を説明するための概念図である。 実施の形態に係る車両姿勢制御に関する処理を示すフローチャートである。 要求制御量X、第1最大制御量X1max、及び第2制御量X2の関係を概略的に表したタイムチャートである。
以下、添付図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る技術思想が限定されるものではない。
1.車両の構成例
図1は、実施の形態に係る車両1の構成の一例を概略的に示す図である。車両1は、車輪2とサスペンション3を備えている。車輪2は、左前輪2FL、右前輪2FR、左後輪2RL、及び右後輪2RRを含んでいる。それら左前輪2FL、右前輪2FR、左後輪2RL、及び右後輪2RRのそれぞれに対してサスペンション3FL、3FR、3RL、及び3RRが設けられている。以下の説明では、特に区別の必要が無い場合、各車輪を車輪2と呼び、各サスペンションをサスペンション3と呼ぶ。
図2は、実施の形態に係るサスペンション3の構成例を示す概念図である。サスペンション3は、車両1のばね下構造体4とばね上構造体5との間を連結するように設けられている。ばね下構造体4は、車輪2を含んでいる。サスペンション3は、スプリング3S及びダンパ(ショックアブソーバ)3Dとともに、第1アクチュエータ3A1及び第2アクチュエータ3A2を含んでいる。スプリング3S、ダンパ3D、並びに、第1及び第2アクチュエータ3A1、3A2は、ばね下構造体4とばね上構造体5との間に並列に設けられている。スプリング3Sのばね定数はKである。ダンパ3Dの減衰係数はCである。第1及び第2アクチュエータ3A1、3A2は、それぞれ、ばね下構造体4とばね上構造体5との間に上下方向の制御力Fc1及びFc2を作用させることにより、サスペンション3のストロークを制御する。
より具体的には、第1及び第2アクチュエータ3A1、3A2を備えることにより、サスペンション3は、アクティブサスペンションを構成している。そして、第1アクチュエータ3A1と第2アクチュエータ3A2とは、次のように構成されている。すなわち、第2アクチュエータ3A2は、第1アクチュエータと比べて高い応答性と低い出力を有する。このような特性の違いを有する第1及び第2アクチュエータ3A1、3A2は、例えば次のように構成できる。
すなわち、相対的に出力(制御力Fc1)は高いが応答性は低い第1アクチュエータ3A1は、例えば、油圧式のアクティブアクチュエータ(いわゆる、フルアクティブサスペンションを構成するアクチュエータ)である。一方、相対的に応答性は高いが出力(制御力Fc2)は低い第2アクチュエータ3A2は、例えば、電動式のアクティブアクチュエータ(いわゆる、フルアクティブサスペンションを構成するアクチュエータ)である。より詳細には、第2アクチュエータ3A2は、例えば、リニアモータ式のアクティブサスペンション装置(例えば、特開2019-162909号公報参照)に含まれるリニアモータに相当する。
さらに、車両1は、電子制御ユニット(ECU)10を備えている。ECU10は、プロセッサ、記憶装置、及び入出力インターフェースを備えている。入出力インターフェースは、車両1に取り付けられたセンサ類12からセンサ信号を取り込むとともに、第1アクチュエータ3A1及び第2アクチュエータ3A2に対して操作信号を出力する。記憶装置には、アクチュエータ3A1及び3A2を制御するための各種の制御プログラムが記憶されている。プロセッサは、制御プログラムを記憶装置から読み出して実行し、これにより、アクチュエータ3A1及び3A2を利用した「アクティブサスペンション」の制御(後述の車両姿勢制御を含む)が実現される。
センサ類12は、例えば、車両1に作用する横加速度LA及び前後加速度FAをそれぞれ検出する加速度センサ、ばね上構造体5の上下加速度を検出するばね上加速度センサ、サスペンションストロークセンサ、並びに、各車輪2に設けられた車輪速センサを含む。車輪速センサによれば、車速Vを検出できる。また、センサ類12は、例えば、アクセルペダル及びブレーキペダルの踏み込み量をそれぞれ検出するアクセルポジションセンサ及びブレーキポジションセンサ、並びに、車輪2の舵角センサを含む。さらに、センサ類12は、車両1の位置及び方位を検出する位置センサを含む。当該位置センサは、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を含んでいる。
また、車両1は通信装置14を備える。ECU10は、通信装置14を介して車両1の外部と通信を行う。
2.車両姿勢制御
車両1の姿勢制御である車両姿勢制御は、車両操作入力に対する第1姿勢制御、及び、路面入力に対する第2姿勢制御の少なくとも一方を含む。本実施形態では、車両姿勢制御として、第1姿勢制御及び第2姿勢制御が組み合わされて実行される。
2-1.第1姿勢制御
車両操作入力に対する第1姿勢制御は、車両1の操舵に伴う旋回時のロール制御、及び車両1の加減速に伴うピッチ制御の少なくとも一方を含む。本実施形態では、第1姿勢制御として、ロール制御及びピッチ制御が組み合わされて実行される。
ここでいうロール制御とは、車両1の操舵に伴う旋回時に生じるロールを打ち消すように、アクチュエータ3A1及び3A2の制御力Fc1及びFc2を制御して逆ロールモーメントを発生させる制御のことである。より詳細には、「ロールを打ち消す」とは、ロール制御なしの場合と比べて発生するロールを抑制したり、発生するロールと逆方向のロールを発生させたりすることをいう。同様に、ここでいうピッチ制御とは、車両1の加減速時に生じるピッチを打ち消すように、アクチュエータ3A1及び3A2の制御力Fc1及びFc2を制御して逆ピッチモーメントを発生させる制御のことである。より詳細には、「ピッチを打ち消す」とは、ピッチ制御なしの場合と比べて発生するピッチを抑制したり、発生するピッチと逆方向のピッチを発生させたりすることをいう。
2-2.第2姿勢制御
路面入力に対する第2姿勢制御(換言すると、乗り心地制御)は、路面入力に対するばね上構造体5の振動(より詳細には、上下振動)を低減する振動制御を含む。このような振動制御は、車両1の乗り心地の改善のために、路面入力に伴うばね上構造体5の姿勢(挙動)の変化を抑制する制御ともいうことができる。
第2姿勢制御(乗り心地制御)は、例えば、車両前方の路面情報に基づくプレビュー制御である。図3は、プレビュー制御を説明するための概念図である。車両前方の路面情報は、例えば、車両1が通信装置14を介してクラウド上の管理サーバから路面データマップとして取得することができる。この路面データマップは、路面の上下方向の変位Zrに関連する路面変位関連値をデータ記憶位置(地図上の位置)と関連付けてマップ化したものである。その具体例は、路面変位関連値の一例としてばね下変位Zuを用いるばね下変位マップである。なお、路面データマップの生成及び更新は、車両1を含む多数の車両から収集した情報に基づいて事前に行われている。なお、車両前方の路面情報は、路面データマップを利用した取得に代え、例えば、車両前方に搭載されたカメラにより撮影される画像を利用して取得されてもよい。
プレビュー制御において、ECU10は、各車輪2の現在位置P0を取得する。車両1における車両位置の基準点と各車輪2との間の相対位置関係は既知情報である。その相対位置関係と位置情報で示される車両位置に基づいて、各車輪2の位置を算出することができる。ここでいう位置情報は、例えば、センサ類12に含まれる位置センサを用いて取得される。また、位置情報は、デッドレコニングによって取得されてもよい。
ECU10は、プレビュー時間tp後の車輪2の予測通過位置Pfを算出する。プレビュー時間tpは、例えば、サスペンション3のアクチュエータ3A1及び3A2を作動させるまでに必要な計算処理や通信処理に要する時間以上に設定される。プレビュー時間tpは、固定であってもよいし、状況に応じて可変であってもよい。プレビュー距離Lpは、プレビュー時間tpと車速Vの積により与えられる。予測通過位置Pfは、現在位置P0からプレビュー距離Lpだけ前方の位置である。変形例として、ECU10は、車速Vと車輪2の舵角に基づいて予想走行ルートを算出し、予想走行ルートに基づいて予測通過位置Pfを算出してもよい。
ECU10は、予測通過位置Pfにおけるばね下変位Zuをばね下変位マップから読み出す。そして、ECU10は、予測通過位置Pfにおけるばね下変位Zuに基づいて、サスペンション3のアクチュエータ3A1及び3A2の目標制御力Fc_tを算出する。目標制御力Fc_tは、例えば、次のように算出される。この目標制御力Fc_tは、プレビュー制御のために必要とされる制御力Fc(Fc1とFc2)の要求値(すなわち、後述の要求制御量Xpv)に相当する。
ばね上構造体5(図2参照)に関する運動方程式は、次の式(1)により表される。
m・Zs''=C(Zu'-Zs')+K(Zu-Zs)-Fc ・・・(1)
式(1)において、mはばね上構造体5の質量であり、Zsはばね上変位であり、Cはダンパ3Dの減衰係数であり、Kはスプリング3Sのばね定数であり、Fc(=Fc1+Fc2)はアクチュエータ3A1及び3A2が発生させる上下方向の制御力である。仮に、制御力Fcによってばね上構造体5の振動が完全に打ち消される場合(Zs''=0,Zs'=0,Zs=0)、その制御力Fcは次の式(2)により表される。
Fc=C・Zu'+K・Zu ・・・(2)
少なくとも制振効果をもたらす制御力Fcは、次の式(3)により表される。
Fc=α・C・Zu'+β・K・Zu ・・・(3)
式(3)において、ゲインαは、0より大きく且つ1以下であり、ゲインβも、0より大きく且つ1以下である。式(3)中の微分項を省略した場合、少なくとも制振効果をもたらす制御力Fcは、次の式(4)により表される。
Fc=β・K・Zu ・・・(4)
ECU10は、上記式(3)あるいは式(4)に従って、目標制御力Fc_t(すなわち、要求制御量Xpv)を算出する。すなわち、ECU10は、予測通過位置Pfにおけるばね下変位Zuを式(3)あるいは式(4)に代入して、目標制御力Fc_t(要求制御量Xpv)を算出する。
ECU10は、車輪2が予測通過位置Pfを通過するタイミングで目標制御力Fc_t(要求制御量Xpv)を発生させるようにアクチュエータ3A1及び3A2を制御する。車輪2が予測通過位置Pfを通過するタイミングはプレビュー時間tpから分かる。2つのアクチュエータ3A1及び3A2への要求制御量Xpvを含む要求制御量Xの具体的な指令手法は、図4を参照して後述される。
以上に説明されたプレビュー制御によれば、車両1(ばね上構造体5)の振動を効果的に抑制することが可能となる。
第2姿勢制御は、プレビュー制御に代え、あるいはそれとともに、例えば、ばね上変位、ばね上速度、及びばね上加速度の少なくとも1つを用いてばね上構造体5の振動を低減するためのスカイフック制御則に基づくフィードバック制御(例えば、特開2019-135120号公報参照)であってもよい。
2-3.ECUによる処理
本実施形態では、応答性と出力とを両立しつつ車両姿勢制御を行えるようにするために、ECU10は、次のような「算出処理」及び「指令処理」を実行する。すなわち、ECU10は、車両姿勢制御のための要求制御量Xを算出する算出処理を実行する。そして、ECU10は、第1アクチュエータ3A1が出力可能な第1制御量X1の最大値である第1最大制御量X1maxだけでは要求制御量Xに対する制御量の不足がある場合には、第1最大制御量X1maxを第1アクチュエータ3A1に指令し、かつ、当該不足を補うための第2制御量X2を第2アクチュエータ3A2に指令する指令処理を実行する。
一方、第1制御量X1だけで要求制御量Xを満たせる場合には、ECU10は、要求制御量Xのすべてを第1制御量X1として第1アクチュエータ3A1に指令し、かつ、第2アクチュエータ3A2への要求制御量Xに関する指令は行わない。
図4は、実施の形態に係る車両姿勢制御に関する処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、車両1の走行中に、所定の時間ステップΔt(図5参照)毎に繰り返し実行される。なお、図4では、ステップS100の処理が上述の「算出処理」の一例に相当し、ステップS102~S110の処理が上述の「指令処理」の一例に相当する。
<ステップS100>
ステップS100において、ECU10は、要求制御量Xを算出する。要求制御量Xは、車両1において行われる車両姿勢制御全体の(トータルの)要求制御量である。具体的には、ステップS100において、ECU10は、第1姿勢制御に含まれるロール制御及びピッチ制御のためのロール要求制御量Xr及びピッチ要求制御量Xpをそれぞれ算出する。また、ECU10は、第2姿勢制御の一例であるプレビュー制御のための要求制御量Xpvを算出する。そして、ECU10は、算出した要求制御量Xr、Xp、及びXpvの和をトータルの要求制御量Xとして算出する。
車両姿勢制御を構成するロール制御、ピッチ制御、及びプレビュー制御の制御則は特に限定されない。また、各要求制御量Xr、Xp、及びXpvの算出方法も特に限定されず、アクティブサスペンションを構成するサスペンション3への何らかの制御要求であれば良い。そのうえで、各要求制御量Xr、Xp、及びXpvの算出方法の一例は、下記のように説明される。
まず、ロール要求制御量Xrは、ロール制御のために必要とされる制御力Fcの要求値に相当する。ピッチ要求制御量Xpは、ピッチ制御のために必要とされる制御力Fcの要求値に相当する。なお、制御力Fcは、第1アクチュエータ3A1の制御力Fc1と第2アクチュエータ3A2の制御力Fc2との和に相当する。また、各車輪2において、サスペンション発生力である制御力Fcは、ばね上構造体5を上方に持ち上げるように作用する時に正とする。これに伴い、要求制御量X(Xr、Xp、及びXpv)も、ばね上構造体5を上方に持ち上げるように作用する時に正となる。したがって、ロール要求制御量Xrは、旋回外側の車輪2では正となり、旋回内側の車輪2では負となる。同様に、ピッチ要求制御量Xpは、加速時には、前輪2FL及び2FRでは負となり、後輪2RL及び2RRでは正となり、逆に、減速時には、前輪2FL及び2FRでは正となり、後輪2RL及び2RRでは負となる。
一例として、ロール要求制御量Xr及びピッチ要求制御量Xpは、それぞれ、次の式()及び()により表される。なお、ロール要求制御量Xr及びピッチ要求制御量Xpの和は、本開示に係る「第1要求制御量」の一例に相当する。
Xr=LA×Gr ・・・(5)
Xp=FA×Gp ・・・(6)
式(5)に示すように、ロール要求制御量Xrは、横加速度LAと制御ゲインGrとの積により与えられる。式(6)に示すように、ピッチ要求制御量Xpは、前後加速度FAと制御ゲインGpとの積により与えられる。なお、ロール制御用の制御ゲインGrとピッチ制御用の制御ゲインGpは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
ステップS100では、ECU10は、次回のサンプル時刻(k+1)におけるロール要求制御量Xrを算出する。ロール要求制御量Xrは、例えば、今回のサンプル時刻(k)にて取得される横加速度LAに制御ゲインGr(比例係数)を乗じることによって算出される。このため、横加速度LAの絶対値が大きくなるにつれ、ロール要求制御量Xrの絶対値も大きくなる。制御ゲインGrは、例えば事前に決定された固定値である。ただし、制御ゲインGrは、車両姿勢制御に関連するパラメータに応じて可変であってもよい。横加速度LAは、例えば横加速度センサを用いて取得できる。また、横加速度LAは、例えば、車速V及び舵角等の情報に基づいて推定されてもよい。
また、ECU10は、次回のサンプル時刻(k+1)におけるピッチ要求制御量Xpを算出する。同様に、ピッチ要求制御量Xpは、例えば、今回のサンプル時刻(k)にて取得される前後加速度FAに制御ゲインGp(比例係数)を乗じることによって算出される。このため、前後加速度FAの絶対値が大きくなるにつれ、ピッチ要求制御量Xpの絶対値も大きくなる。制御ゲインGpは、例えば事前に決定された固定値である。ただし、制御ゲインGpは、車両姿勢制御に関連するパラメータに応じて可変であってもよい。前後加速度FAは、例えば前後加速度センサを用いて取得できる。また、前後加速度FAは、例えば、車両前後力の要求情報(例えば、要求エンジントルク、又は要求制動力)に基づいて推定されてもよい。
また、第2姿勢制御の例であるプレビュー制御のための要求制御量Xpv(目標制御力Fc_t)の算出手法の一例は、図3を参照して上述した通りである。なお、要求制御量Xpvは、本開示に係る「第2要求制御量」の一例に相当する。また、要求制御量Xpvとともに、スカイフック制御則に基づくフィードバック制御のための要求制御量が算出される例では、これらの要求制御量の和が「第2要求制御量」の他の一例に相当する。
ステップS100では、ECU10は、車輪2毎に、上述のように算出される3つの要求制御量Xr、Xp,及びXpvの和(すなわち、第1要求制御量と第2要求制御量との和)を要求制御量Xとして算出する。
<ステップS102>
次に、ステップS102において、ECU10は、第1アクチュエータ3A1で出力可能な第1最大制御量X1maxを算出する。より詳細には、第1最大制御量X1maxは、第1制御量X1が時間の経過とともに変化している時を含めて第1アクチュエータ3A1が出力可能な最大の第1制御量X1に相当する。ステップS102では、ECU10は、次回のサンプル時刻(k+1)において出力可能な第1最大制御量X1maxを算出する。
ここで、第1アクチュエータ3A1で出力可能な制御力Fc1の最大変化速度V1max及び最大値F1max(図5参照)は、基本的には第1アクチュエータ3A1のスペックによって定まっている。このため、最大変化速度V1max及び最大値F1maxは事前に把握できる。ECU10の記憶装置は、最大変化速度V1max及び最大値F1max等の第1アクチュエータ3A1の基本的な動作特性に関する情報を記憶している。より詳細には、最大変化速度V1maxは、単位時間(時間ステップΔt)当たりの最大変化量ΔF1max(図5参照)に相当する。
図5は、要求制御量X、第1最大制御量X1max、及び第2制御量X2の関係を概略的に表したタイムチャートである。図5では、車両1の操舵に伴う旋回時が例示されているが、説明の簡素化のために、ロール要求制御量Xr以外のピッチ要求制御量Xp及び要求制御量Xpvはゼロであるものとする。したがって、この例では、要求制御量Xrが要求制御量Xと等しい。また、図5に表された関係は、旋回時に旋回外側となる車輪2におけるものである。旋回時に旋回内側となる車輪2における関係では、要求制御量X及び第1最大制御量X1maxの符号は、図5に示す関係における符号と逆となる。
図5に示す例では、サンプル時刻(k=0)での操舵開始に伴い、時間経過とともに、横加速度LAが増加し、それに伴って要求制御量Xが増加している。また、この例では、その後に車速V及び横加速度LAが一定の定常円旋回状態となり、時間の経過に対して要求制御量Xが一定となっている。より詳細には、図5には、旋回時に発生する横加速度LAが異なる2通りの旋回時における要求制御量X(実線及び破線)が表されている。
各サンプル時刻kでの第1アクチュエータ3A1の第1最大制御量X1maxは、例えば、上述の最大変化速度V1max及び最大値F1maxに基づいて算出できる。具体的には、図5に示すように、まず、サンプル時刻(k=0)での第1最大制御量X1maxはゼロである。次のサンプル時刻(k=1)での第1最大制御量X1maxは、記憶装置に記憶されている最大変化速度V1maxと時間ステップΔtとの積である最大変化量ΔF1maxとして算出される。次のサンプル時刻(k=2)以降であって第1最大制御量X1maxが最大値F1maxに達するまでの期間中の各サンプル時刻kの第1最大制御量X1maxは、前回値に対して最大変化量ΔF1maxを加算することによって算出される。第1最大制御量X1maxが最大値F1maxに達した後の第1最大制御量X1maxは、最大値F1maxとして算出される。付け加えると、このように算出される第1最大制御量X1maxを実線の要求制御量Xと比較したとき、第1最大制御量X1maxの時間波形は、要求制御量Xの波形を最大変化速度V1maxによってレート制限し、かつ、最大値F1maxによって上限制限することによって得られる時間波形に相当する。
また、図5に示す例では、要求制御量Xは、時間の経過に対して一定で推移した後にゼロに向けて減少している。このように変化する要求制御量Xの実現のために、第1制御量X1も時間の経過とともに減少させる必要がある。第1制御量X1が減少する際の最大変化速度(すなわち、第1最大制御量X1maxの時間波形の傾き)はV1max(負の値)である。したがって、例えばサンプル時刻(k=m)から第1制御量X1を減少させる場合、各サンプル時刻kの第1最大制御量X1maxは、要求制御量Xが増加している時と同様に、前回値に対して負の最大変化量ΔF1maxだけ減算することによって算出できる。
付け加えると、第1最大制御量X1maxの算出のために記憶装置に格納されている第1アクチュエータ3A1の基本的な動作特性に関する情報は、無駄時間特性及び一次遅れ特性等の動特性に関する情報を含んでいてもよい。そして、第1最大制御量X1maxは、例えば、無駄時間特性及び一次遅れ特性の一方又は双方を考慮して算出されてもよい。
<ステップS104>
次に、ステップS104において、ECU10は、第1アクチュエータ3A1が出力可能な第1最大制御量X1maxだけでは要求制御量Xに対する制御量の不足があるか否かを判定する。この判定は、例えば、差分ΔX1がゼロでないか否かに基づいて行うことができる。差分ΔX1は、ステップS100にて算出した要求制御量XからステップS102にて算出した第1最大制御量X1maxを引くことにより得られる値(=X-X1max)である。
具体的には、図5に例示されるように要求制御量Xが時間の経過とともに増加している場合には、要求制御量Xが第1最大制御量X1maxよりも大きいため、上記の差分ΔX1は正となる。また、同図に例示されるように、一定で推移する要求制御量Xが第1最大制御量X1max(最大値F1max)よりも大きい場合にも、差分ΔX1は正となる。これらのように、差分ΔX1が正となることは、第1最大制御量X1maxだけでは制御量が不足することを意味する。
さらに、ステップS104において判定される「制御量の不足」は、図5中にハッチングを付して示される領域のように、差分ΔX1が負となる時にも生じる。このハッチング領域は、例えば車両1の運転者による急なステアリングホイールの戻し動作を受けて減少する際の要求制御量Xの傾き(実線)が第1最大制御量X1maxの傾きより大きくなることに起因して生じる。このハッチング領域では、各サンプル時刻kにおける第1最大制御量X1maxが要求制御量Xよりも大きくなる。すなわち、差分ΔX1は負となる。
<ステップS106>
ステップS104の判定結果がNoである場合(すなわち、制御量の不足がない場合)には、処理はステップS106に進む。例えば要求制御量Xが図5中に破線で表されるものであると、この判定結果がNoとなる。ステップS106では、ECU10は、ステップS100にて算出した要求制御量Xに等しい第1制御量X1を第1アクチュエータ3A1に指令する。その結果、第1アクチュエータ3A1は、指令された要求制御量Xに応じた制御力Fc1を発生させるように制御される。
<ステップS108>
一方、ステップS104の判定結果がYesである場合(すなわち、制御量の不足がある場合)には、処理はステップS108に進む。例えば要求制御量Xが図5中に実線で表されるものであると、この判定結果がYesとなる。
ステップS108では、ECU10は、第2アクチュエータ3A2の制御量である第2制御量X2を算出する。より詳細には、ECU10は、次回のサンプル時刻(k+1)における第2制御量X2を算出する。第2制御量X2は、「制御量の不足」を補うために必要な値として算出される。
具体的には、第2制御量X2は、ステップS100にて算出された要求制御量XからステップS102にて算出した第1最大制御量X1maxを引くことにより得られる値、すなわち、差分ΔX1である。その理由は、図5に例示されるように、差分ΔX1が正である場合には、要求制御量Xのうちで第1最大制御量X1maxだけでは不足する分(差分ΔX1)だけ第2アクチュエータ3A2の制御力Fc2を高めることが必要となるためである。一方、差分ΔX1が負となる場合には、第1最大制御量X1maxのみでは負の差分ΔX1だけ制御量が不足することになる。このため、負の差分ΔX1だけ減少するように第2アクチュエータ3A2の制御力Fc2を制御することが必要となる。
<ステップS110>
ステップS108に続くステップS110では、ECU10は、ステップS102にて算出した第1最大制御量X1maxを第1制御量X1として第1アクチュエータ3A1に指令するとともに、ステップS108にて算出した第2制御量X2を第2アクチュエータ3A2に指令する。その結果、第1アクチュエータ3A1は、指令された第1最大制御量X1maxに応じた制御力Fc1を発生させるように制御される。また、第2アクチュエータ3A2は、指令された第2制御量X2に応じた制御力Fc2を発生させるように制御される。
付け加えると、図5に示す例において、サンプル時刻(k=m)から減少し始める要求制御量Xの傾きが第1最大制御量X1maxの傾きと同じ(一点鎖線)であるか小さい場合には、要求制御量Xが第1最大制御量X1maxより大きい期間中はサンプル時刻(k=m)から第2制御量X2を時間経過とともにゼロにまで減らすことにより、その後に第1制御量X1のみで要求制御量Xを満たすことが可能である。
3.効果
車両の姿勢を制御するためには、大きな力が必要となる。しかしながら、一般的に、アクティブサスペンションのアクチュエータの応答性と出力は、相反する関係にあり、両立させることが難しい。より詳細には、一般的には、応答性を重視した場合、アクチュエータの出力は小さくなる。その結果、車両操作入力に対する第1姿勢制御(すなわち、操舵に対するロール制御、及び、加減速に対するピッチ制御)を満足に行うことが難しくなる。このことは、路面入力に対する第2姿勢制御(乗り心地制御)についても同様であり、大きな路面振幅に対して乗り心地制御を満足に行うことも難しくなる。一方、出力を重視した場合、第1姿勢制御(ロール及びピッチ制御)において要求制御量Xr及びXpが過渡的に変化する時に、これらの制御の応答性を満足に確保することが難しくなる。同様に、急な路面変化に対して乗り心地制御の応答性を満足に確保することが難しくなる。
これに対し、本実施形態によれば、第1姿勢制御及び第2姿勢制御のための複数の要求制御量Xr、Xp、及びXpvの組み合わせである要求制御量Xが、アクティブサスペンションであるサスペンション3の2つのアクチュエータ3A1及び3A2に分配される。このように、要求制御量Xの実現のために応答性及び出力の異なる第1及び第2アクチュエータ3A1、3A2が組み合わせて用いられる。より詳細には、指令処理において、第1アクチュエータ3A1が出力可能な第1最大制御量X1maxだけでは要求制御量Xに対する制御量の不足がある場合には、第1最大制御量X1maxが第1アクチュエータ3A1に指令され、かつ、上記不足を補うための第2制御量X2が第2アクチュエータ3A2に指令される。
これにより、車両姿勢制御(すなわち、第1姿勢制御及び第2姿勢制御)のためのメインのアクチュエータとして出力の高い第1アクチュエータ3A1を利用しつつ、要求制御量Xを実現するための制御量を必要に応じて応答性の高い第2アクチュエータ3A2を利用して補うことができる。これにより、応答性と出力との両立を可能としつつ、車両姿勢制御を行えるようになる。
付け加えると、特に、応答性の高い第2アクチュエータ3A2をサブのアクチュエータとして利用することにより、要求制御量Xが過渡的に変化する時(増加又は減少する時)に、第1アクチュエータ3A1の応答遅れを補うことができる。これにより、過渡時に、2つのアクチュエータ3A1及び3A2の合計の制御量を要求制御量Xに好適に近づけることができる。また、2種類のアクチュエータ3A1及び3A2を使用することにより、アクチュエータ3A1及び3A2のそれぞれが出力可能な最大制御量を必要に応じて利用可能となる。その結果、アクチュエータ3A1及び3A2の一方のみの使用では満たせない大きさの要求制御量Xを、応答性と出力とを両立しつつ車両姿勢制御において実現できるようになる。このため、車両1の快適性が向上する。具体的には、変化率及び絶対量の少なくとも一方の大きな操舵及び加減速の少なくとも一方に対する第1姿勢制御の性能が向上する。また、大きく速い路面入力に対する第2姿勢制御(乗り心地制御)の性能が向上する。その結果、フィードフォワード制御(例えば、プレビュー制御)に適用された際に、ばね上構造体5の振動を効率良く抑制できる。また、フィードバック制御(例えば、スカイフック制御則に基づくフィードバック制御)に適用された際に、フィードバック制御量が減るため、アクチュエータによるエネルギ消費、及びアクチュエータの発熱を減らすこともできる。
4.車両姿勢制御の補足説明
本開示に係る「車両姿勢制御」の実施に関し、下記のように補足説明を行う。
4-1.車両姿勢制御の具体例
図4を参照して説明した例に代え、車両操作入力に対する第1姿勢制御と路面入力に対する第2姿勢制御の何れか一方のみが車両姿勢制御として実行されてもよい。具体例には、例えば、第1姿勢制御に含まれるロール制御及びピッチ制御の少なくとも一方のみが実行されてもよい。また、プレビュー制御等の路面入力に対する第2姿勢制御のみが実行されてもよい。
4-2.アクティブスタビライザ装置の利用(第1アクチュエータ)
図1及び図2に示す例における第1アクチュエータ3A1は、4つの車輪2のそれぞれに対して配置されている。第1アクチュエータ3A1に代え、本開示に係る「第1アクチュエータ」は、例えば、アクティブスタビライザ装置(例えば、特開2013-001225号公報参照)のアクチュエータ(例えば、電動モータ)であってもよい。以下、このアクチュエータを、便宜上「第1アクチュエータ3A1’」と称する。
このようなアクティブスタビライザ装置では、1つの第1アクチュエータ3A1’が左右前輪2FL及び2FRに対応するサスペンション3FL及び3FRにおいて共有される。同様に、1つの第1アクチュエータ3A1’が左右後輪2RL及び2RRに対応するサスペンション3RL及び3RRにおいて共有される。これらの第1アクチュエータ3A1’は、左右前輪2FL及び2FRに対し、又は左右後輪2RL及び2RRに対し、逆相の制御力Fc1(モーメント)を発生させる。
第1アクチュエータ3A1’は、第2アクチュエータ3A2(例えば、リニアモータ)と組み合わせて、次のようにロール制御に用いることができる。
具体的には、ここでいうロール制御は、例えば左右前輪2FL及び2FRと左右後輪2RL及び2RRのそれぞれを対象として、次のように実行されてもよい。すなわち、ECU10は、まず、4つの車輪(全輪)2の合計のロール要求制御量Xrtを算出する。このロール要求制御量Xrtは、一例として、車体重心におけるロールモーメントの要求値であって、横加速度LAと所定の制御ゲインとの積によって表される。
次いで、ECU10は、所定の演算式に従って、合計のロール要求制御量Xrtを、左右前輪2FL及び2FRのロール要求制御量Xrtfと、左右後輪2RL及び2RRのロール要求制御量Xrtrとに変換する。
次いで、ECU10は、左右前輪2FL及び2FRの第1アクチュエータ3A1’の第1最大制御量X1maxを算出する。そして、ECU10は、算出した第1最大制御量X1maxだけではロール要求制御量Xrtfに対する制御量の不足があるか否かを判定する。その結果、制御量の不足がない場合には、ECU10は、ロール要求制御量Xrtfと等しい第1制御量X1を第1アクチュエータ3A1’に指令する。一方、制御量の不足がある場合には、ECU10は、第1最大制御量X1を第1アクチュエータ3A1’に指令し、不足分(=Xrtf-X1max)を左右前輪2FL及び2FRの第2アクチュエータ3A2に指令する。また、ECU10は、左右後輪2RL及び2RRに対しても、同様の処理を実行する。
なお、第1アクチュエータ3A1’と第2アクチュエータ3A2との組み合わせは、ロール制御だけでなく、例えば、ロール制御と第2姿勢制御(例えば、プレビュー制御)との組み合わせに対して用いられてもよい。
4-3.制御対象輪(サスペンションストロークの制御対象となる車輪)の具体例
図1及び図2に示す例のように、本開示に係る「第1アクチュエータ」の制御対象輪は、「第2アクチュエータ」の制御対象輪と同一であってもよい(すなわち、これらの双方の制御対象輪が本開示に係る「第1制御対象輪」に相当していてもよい)。ただし、「第1アクチュエータ」及び「第2アクチュエータ」の制御対象輪が同一である場合、制御対象輪は、車両の全輪に限られず、例えば、左右前輪のみ、又は左右後輪のみであってもよい。
また、「第1アクチュエータ」の制御対象輪は、「第2アクチュエータ」の制御対象輪とは異なっていてもよい。例えば、「第1アクチュエータ」の制御対象輪(第1制御対象輪)が左右後輪であって、「第2アクチュエータ」の制御対象輪(第2制御対象輪)が左右前輪であってもよい。また、これとは逆に、「第1アクチュエータ」の制御対象輪(第1制御対象輪)が左右前輪であって、「第2アクチュエータ」の制御対象輪(第2制御対象輪)が左右後輪であってもよい。
4-4.車両の前後で応答性が異なる場合
例えば、上述のように左右前輪及び左右後輪の一方に「第1アクチュエータ」が適用され、その他方に「第2アクチュエータ」が適用される例では、車両の前後でアクチュエータの応答性が異なるものとなる。
このように車両の前後でアクチュエータの応答性が異なる場合、ロール制御は、例えば次のように実行されてもよい。すなわち、上記の項目4-2.において説明されたように、ECU10は、まず、4つの車輪(全輪)2の合計のロール要求制御量Xrtを要求制御量Xとして算出する。
次いで、ECU10は、第1アクチュエータの第1最大制御量X1maxを算出する。この場合の第1アクチュエータの例としては、左右前輪(又は左右後輪)のそれぞれに適用された第1アクチュエータ3A1、又は、左右前輪(又は左右後輪)に共有で適用された1つの第1アクチュエータ3A1’が相当する。
次いで、ECU10は、算出した第1最大制御量X1maxだけでは合計のロール要求制御量Xrtに対する制御量の不足があるか否かを判定する。その結果、制御量の不足がない場合には、ECU10は、ロール要求制御量Xrtと等しい第1制御量X1を第1アクチュエータに指令する。一方、制御量の不足がある場合には、ECU10は、第1最大制御量X1を第1アクチュエータに指令し、不足分(=Xrt-X1max)を第2アクチュエータ(例えば、第2アクチュエータ3A2)に指令する。
付け加えると、車両の前後でアクチュエータの応答性が異なる場合、第1アクチュエータの出力と第2アクチュエータの出力との間に位相差が生じ得る。このような位相差に関連して次のような対策が行われてもよい。
まず、第1アクチュエータと第2アクチュエータとを比較したとき、周波数応答特性の差は小さく、単にストローク速度に差があるといえる場合であれば、位相差は無視できる。このような場合には、実行される車両姿勢制御の種類によらず、ECU10は、既に説明された原則に従い、メインのアクチュエータとして出力の高い第1アクチュエータを利用しつつ、制御量の不足がある場合には不足分を応答性の高い第2アクチュエータを利用して補えばよい。
また、第2姿勢制御の一例であるプレビュー制御を行う例では、第1及び第2アクチュエータの周波数応答及びシステム無駄時間の少なくとも一方を考慮して、次のような対策が行われてもよい。すなわち、ECU10は、プレビュー制御における上述のプレビュー時間(先読み時間)tpを、応答性の低い方の第1アクチュエータの応答特性に合わせて決定する。そして、この例においても、ECU10は、既に説明された原則に従い、出力の高い第1アクチュエータが、要求制御量Xpvを満たすために必要な第1制御量X1を可能な限り多く発生させる。また、制御量の不足がある場合において応答性の高い第2アクチュエータが不足分の第2制御量X2を発生させる際に、ECU10は、第2アクチュエータへの第2制御量X2の指令のタイミングを、第2アクチュエータと第1アクチュエータとの応答時間差だけ遅らせる。
さらに、第2姿勢制御として、プレビュー制御とともに上述のスカイフック制御則に基づくフィードバック制御を行う例では、次のような対策が行われてもよい。すなわち、フィードフォワード制御に相当するプレビュー制御と比べて、フィードバック制御は高い応答性を確保することが重要である。そこで、ECU10は、当該フィードバック制御の要求制御量については応答性の高い第2アクチュエータで実現するように第2アクチュエータに指令を行い、プレビュー制御の要求制御量Xpvについては上述の原則に従う手法で実現するように第1及び第2アクチュエータに指令を行ってもよい。
1 車両
2 車輪
3 サスペンション
3A1 第1アクチュエータ(高出力かつ低応答)
3A2 第2アクチュエータ(高応答かつ低出力)
5 ばね上構造体
10 電子制御ユニット(ECU)
12 センサ類
14 通信装置

Claims (7)

  1. 第1制御対象輪のサスペンションストロークを制御する第1アクチュエータと、
    前記第1制御対象輪又は前記第1制御対象輪と異なる第2制御対象輪のサスペンションストロークを制御し、前記第1アクチュエータと比べて高い応答性と低い出力を有する第2アクチュエータと、
    電子制御ユニットと、
    を備える車両用サスペンション制御装置であって、
    前記電子制御ユニットは、
    車両姿勢制御のための要求制御量を算出する算出処理と、
    前記第1アクチュエータが出力可能な第1制御量の最大値である第1最大制御量だけでは前記要求制御量に対する制御量の不足がある場合には、前記第1最大制御量を前記第1アクチュエータに指令し、かつ、前記不足を補うための第2制御量を前記第2アクチュエータに指令する指令処理と、
    を実行し、
    前記車両姿勢制御は、車両操作入力に対する第1姿勢制御、及び、路面入力に対する第2姿勢制御の少なくとも一方を含み、
    前記要求制御量は、前記第1姿勢制御のための第1要求制御量、及び、前記第2姿勢制御のための第2要求制御量の少なくとも一方を含む
    ことを特徴とする車両用サスペンション制御装置。
  2. 前記車両姿勢制御は、前記第1姿勢制御及び前記第2姿勢制御の双方を含み、
    前記算出処理において、前記電子制御ユニットは、前記第1要求制御量と前記第2要求制御量との和を前記要求制御量として算出する
    ことを特徴とする請求項に記載の車両用サスペンション制御装置。
  3. 前記第1姿勢制御は、前記車両のロール制御を含み、
    前記第1要求制御量は、前記ロール制御のためのロール要求制御量を含む
    ことを特徴とする請求項又はに記載の車両用サスペンション制御装置。
  4. 前記第1アクチュエータが適用される前記第1制御対象輪は、前記車両の左右前輪及び左右後輪の一方であって、
    前記第2アクチュエータは前記第2制御対象輪に適用され、前記第2制御対象輪は前記車両の左右前輪及び左右後輪の他方であって、
    前記算出処理において、前記電子制御ユニットは、前記車両の全輪の合計のロール要求制御量を前記要求制御量として算出する
    ことを特徴とする請求項に記載の車両用サスペンション制御装置。
  5. 前記第1姿勢制御は、前記車両のピッチ制御を含み、
    前記第1要求制御量は、前記ピッチ制御のためのピッチ要求制御量を含む
    ことを特徴とする請求項の何れか1つに記載の車両用サスペンション制御装置。
  6. 前記第2姿勢制御は、前記路面入力に対する前記車両のばね上構造体の振動を低減する振動制御を含み、
    前記第2要求制御量は、前記振動制御のための要求制御量を含む
    ことを特徴とする請求項の何れか1つに記載の車両用サスペンション制御装置。
  7. 前記指令処理において、前記電子制御ユニットは、前記第1アクチュエータの第1制御量だけで前記要求制御量を満たせる場合には、前記要求制御量のすべてを前記第1アクチュエータに指令し、かつ、前記第2アクチュエータへの前記要求制御量に関する指令は行わない
    ことを特徴とする請求項1~の何れか1つに記載の車両用サスペンション制御装置。
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