JP7601876B2 - ポリビニルアルコールフィルム、及びそれを用いた光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
[1]水/メタノール混合溶媒中(体積比率:2/8)で行った小角X線散乱測定から求められる結晶長周期Dsと、前記混合溶媒に浸漬する前に行った小角X線散乱測定から求められる結晶長周期Daとが以下の式を満たす、PVAフィルム。
0.3≦(Ds-Da)/Da<0.5
[2]前記結晶長周期Daが10.0~12.5nmである、[1]に記載のPVAフィルム。
[3]前記PVAフィルム中に含まれるPVAがエチレン単位を含有し、その含有量が1~8モル%である、[1]または[2]に記載のPVAフィルム。
[4]フィルムの平均厚さが15~60μmである、[1]から[3]のいずれかに記載のPVAフィルム。
[5]光学フィルム製造用の原反フィルムである、[1]から[4]のいずれかに記載のPVAフィルム。
[6][1]から[5]のいずれかに記載のPVAフィルムを一軸延伸する、光学フィルムの製造方法。
[7]PVAフィルムを膨潤させる膨潤工程を含む、[6]に記載の光学フィルムの製造方法。
(小角X線散乱測定)
本発明のPVAフィルムは、水/メタノール混合溶媒中(体積比率:2/8)で行った、小角X線散乱測定から求められる結晶長周期Dsと、前記混合溶媒に浸漬する前に行った小角X線散乱測定から求められる結晶長周期Daとが、0.3≦(Ds-Da)/Da<0.5の式を満たす。
本発明では、小角X線散乱測定の対象であるPVAフィルムを以下の通り調製し、測定サンプルとした。まず、測定対象であるPVAフィルムを幅方向(TD方向)、機械流れ方向(MD方向)の区別無く、2cm×1cmのサイズに複数枚カットした。このカットしたPVAフィルムを、温度20℃、湿度65%の条件で24時間保管した後、測定セルに10枚積層し、測定サンプルとした。ここで、この測定サンプルを空気(温度20℃、湿度65%)中で小角X線散乱測定を行った際に得られる散乱曲線から求めた結晶長周期が、後述の結晶長周期Daである。また、同様に2cm×1cmのサイズに複数枚カットしたPVAフィルムを、水/メタノール混合溶媒(体積比率:2/8)に24時間浸漬した後、該混合溶媒で満たした測定セルに10枚積層し、測定サンプルとした。ここで、この測定サンプルに対して小角X線散乱測定を行った際に得られる散乱曲線から求めた結晶長周期が、後述の結晶長周期Dsである。
X線:CuKα線
波長:0.15418nm
出力:40kV-20mA
第1スリット:φ0.4mm
第2スリット:φ0.2mm
第3スリット:φ0.45mm
検出器:半導体2次元検出器 PILATUS-100K(測定面積=33.5×83.8mm)
ピクセルサイズ:0.172mm角
カメラ長:1004.51mm
ビームストッパー径:4mm
X線露光時間:1時間
測定モード:通常測定
環境温度:室温(20℃)
結晶長周期(nm) = 2π/q
本発明のPVAフィルムが含有するPVAとして、ビニルエステルモノマーを重合して得られるビニルエステル重合体をけん化することにより製造された重合体を使用することができる。ビニルエステルモノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリアン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げることができる。上述の中でも、ビニルエステルモノマーとしては、酢酸ビニルが好ましい。
重合度Po = ([η]×104/8.29)(1/0.62)
本発明のPVAフィルムは、可塑剤を含むことが好ましい。PVAフィルムが可塑剤を含むことにより、光学フィルムを製造する際の延伸工程において、PVAフィルムの延伸性を高めることができる。可塑剤としては多価アルコールが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらの中でも、延伸性の向上効果の点からグリセリンが好ましい。可塑剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のPVAフィルムは、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤を含む製膜原液を用いてPVAフィルムを製造することにより、PVAフィルム製膜性が向上する。その結果、PVAフィルムの厚み斑の発生が抑制されると共に、製膜に使用する金属ロールやベルトからのPVAフィルムの剥離が容易になる。界面活性剤を含む製膜原液からPVAフィルムを製造する場合には、得られるPVAフィルム中には界面活性剤が含有される。
本発明のPVAフィルムには、さらに、充填剤、銅化合物などの加工安定剤、耐候性安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、他の熱可塑性樹脂、潤滑剤、香料、消泡剤、消臭剤、増量剤、剥離剤、離型剤、補強剤、架橋剤、防かび剤、防腐剤、結晶化速度遅延剤などの添加剤が必要に応じて適宜含有されていてもよい。
本発明のPVAフィルムは、光学フィルムの材料として用いられる、いわゆる光学フィルム製造用の原反フィルムである。但し、本発明のPVAフィルムは、ロール状になっているものに限定されるものではない。
膨潤度(%)=100×N/M
式中、NはPVAフィルムから採取したサンプルを30℃の蒸留水中に30分間浸漬後、表面の水を除去した後のサンプルの質量(g)を表す。Mはそのサンプルを105℃の乾燥機で16時間乾燥した後のサンプルの質量(g)を表す。
本発明において、PVAフィルムの製膜方法は、PVAに溶媒、添加剤等を加えて均一化させた製膜原液を使用して、流延製膜法、湿式製膜法(貧溶媒中への吐出)、乾湿式製膜法、ゲル製膜法(製膜原液を一旦冷却ゲル化した後、溶媒を抽出除去し、PVA系重合体フィルムを得る方法)、あるいはこれらの組み合わせにより製膜する方法や、押出機などを使用して上記製膜原液を得てこれをTダイなどから押出すことにより製膜する溶融押出製膜法やインフレーション成形法など、任意の方法により製膜することができる。これらの中でも、流延製膜法及び溶融押出製膜法が、均質なフィルムを生産性よく得ることができるため、好ましい。以下、PVAフィルムの流延製膜法または溶融押出製膜法について説明する。
製膜原液の揮発分率(質量%)={(Wa-Wb)/Wa}×100
(式中、Waは製膜原液の質量(g)を表し、WbはWa(g)の製膜原液を105℃の電熱乾燥機中で16時間乾燥した時の質量(g)を表す。)
γ=6Q/Wh2
ここで、γは壁面での剪断速度(s-1)、Wはダイリップの幅(cm)、hはダイリップの開度(cm)、Qは製膜原液のダイリップからの吐出速度(cm3/s)を意味する。
本発明の光学フィルムの製造方法は、上述したPVAフィルムを一軸延伸する工程を備える。以下には、光学フィルムの製造方法の一例として、偏光フィルムの製造方法を挙げて具体的に説明する。
T’=T/(1-0.04)2 ・・・(a)
R={-ln[T’(1-V)]}/{-ln[T’(1+V)]} ・・・(b)
T‘=[1-V]1/(R-1)/[1+V]R/(R-1) ・・・(c)
以下の実施例及び比較例で得られたPVAフィルムについて、水/メタノール混合溶媒(体積比率:2/8)への浸漬前後で小角X線測定を行った。具体的には、まず、PVAフィルムを幅方向(TD方向)、機械流れ方向(MD方向)の区別無く、2cm×1cmのサイズに複数枚カットした。このカットしたPVAフィルムを、温度20℃、湿度65%の条件で24時間保管した後、測定セルに10枚積層し、測定サンプルとした。この測定サンプルに対して空気(温度20℃、湿度65%)中で小角X線散乱測定を行い、散乱曲線を得た。この散乱曲線のピークトップにおける散乱ベクトルq(nm-1)の値から、以下の式の通り結晶長周期Daを求めた。
結晶長周期Da(nm) = 2π/q
結晶長周期Ds(nm) = 2π/q
前記の方法にて、以下の実施例及び比較例で得られたPVAフィルムの膨潤度を求めた。
以下の実施例及び比較例で得られたPVAフィルムを用いて偏光フィルムを作製した。まず、25℃の純水(膨潤処理浴)中でPVAフィルムをMD方向に2.0倍延伸した後、ヨウ素を0.03質量%、ヨウ化カリウムを0.7質量%含む32℃の水溶液(染色処理浴)中で総延伸倍率が2.4倍になるように延伸した。続いて、ホウ酸を2.6質量%含む32℃の水溶液(架橋処理浴)中で総延伸倍率が3.0倍になるように延伸し、さらにホウ酸を2.8質量%、ヨウ化カリウムを5.0質量%含む58℃の水溶液(延伸処理浴)中で総延伸倍率が6.0倍になるまで延伸した。続いて、ホウ酸を1.5質量%、ヨウ化カリウムを2.5質量%含む22℃の水溶液(洗浄処理浴)中に5秒間浸漬し、80℃の乾燥炉で4分間乾燥させた。
上記偏光フィルムの作製において、延伸処理浴において隣接するロール間にかかるPVAフィルムの延伸張力を、その間に設置したテンションロールによって計測し、PVAフィルムの断面積で除した値を最大延伸応力とした。このとき、PVAフィルムの断面積は偏光フィルムの作製に供する前の未延伸のPVAフィルムから求めた。
得られた偏光フィルムの幅方向(TD方向)の中央部から、偏光フィルムの機械流れ方向(MD方向)に4cm、幅方向(TD方向)に1.5cmの長方形の測定サンプルを採取した。この測定サンプルに対して、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製「V7100」)を用いて、JIS Z8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2°視野の可視光領域の視感度補正を行った上で、単体透過率及び偏光度を測定した。上述した方法により、単体透過率44.0%の偏光度を算出した。
収縮応力は島津製作所製の恒温槽付きオートグラフAG-Xを用いて測定した。測定には20℃/20%RHで18時間調湿した偏光フィルム(長さ方向15cm、幅方向1.5cm)をチャック(チャック間隔5cm)に取り付け、引張り開始と同時に、80℃へ恒温槽の昇温を開始した。偏光フィルムを1mm/minの速さで引張り、張力が2Nに到達した時点で引張りを停止し、その状態で4時間後までの張力を測定した。このとき、シャフトの熱膨張によってチャック間の距離が変わるため、チャックに標線シールを貼り、ビデオ式伸び計TR ViewX120Sを用いてチャックに貼り付けた標線シールが動いた分だけチャック間の距離を修正できるようにして測定を行った。なお、4時間後の張力の測定値から初期張力2Nを差し引いた値を変更フィルムの収縮力とし、その値をサンプル断面積で除した値を収縮応力(N/mm2)と定義した。
ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られたPVA(けん化度99.9モル%、重合度2400)100質量部、可塑剤としてグリセリン14質量部、界面活性剤としてラウリン酸ジエタノールアミド0.1質量部、及び水からなる揮発分率73質量%の製膜原液を調整した。この製膜原液をろ過したものを、Tダイから剪断速度207s-1で支持体(表面温度90℃)上に、膜状に吐出し、支持体上で、支持体との非接触面の全体に85℃の熱風を5m/秒の速度で吹き付けて乾燥した。次いで、支持体から剥離して、PVAフィルムの一方の面と他方の面とが各乾燥ロールに交互に接触するように第1乾燥ロールから熱処理ロールの直前にある最終乾燥ロール(第19乾燥ロール)までの間で更に乾燥した後、最終乾燥ロールから剥離した。このとき、第1乾燥ロールから最終乾燥ロールまでの各乾燥ロールの表面温度の平均値が70℃となるようにした。最後に表面温度104℃の熱処理ロールで熱処理を行った後、ロール状に巻き取ってPVAフィルム(厚み45μm、幅3.3m)を得た。
PVAの種類、可塑剤量及び製造条件を表1のとおり変更したこと以外は、実施例1と同様にしてPVAフィルムを得た。なお、表1ではエチレン単位の含有量が3モル%のエチレン変性を「ΔEt3」と略記した。
2 散乱曲線のピークトップにおける散乱ベクトルqを設定する際の補助線
3 散乱曲線のピークトップにおける散乱ベクトルq
Claims (7)
- 水/メタノール混合溶媒中(体積比率:2/8)で行った小角X線散乱測定から求められる結晶長周期Dsと、前記混合溶媒に浸漬する前に行った小角X線散乱測定から求められる結晶長周期Daとが以下の式を満たす、ポリビニルアルコールフィルム。
0.3≦(Ds-Da)/Da<0.5 - 前記結晶長周期Daが10.0~12.5nmである、請求項1に記載のポリビニルアルコールフィルム。
- 前記ポリビニルアルコールフィルム中に含まれるポリビニルアルコールがエチレン単位を含有し、その含有量が1~8モル%である、請求項1または請求項2に記載のポリビニルアルコールフィルム。
- フィルムの平均厚さが15~60μmである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のポリビニルアルコールフィルム。
- 光学フィルム製造用の原反フィルムである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポリビニルアルコールフィルム。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸する、光学フィルムの製造方法。
- ポリビニルアルコールフィルムを膨潤させる膨潤工程を含む、請求項6に記載の光学フィルムの製造方法。
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