JP7611112B2 - 密閉型電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、密閉型電池の製造方法に関する。
特許文献1には、注液口を有する電池ケースと、注液口を封止する封止栓と、を備える密閉型電池の製造方法が開示されている。具体的には、注液工程において、注液口を通じて電池ケースの内部に電解液を注入する。その後、溶接工程において、封止栓で注液口を塞いだ状態で、電池ケースと封止栓との円環状の被溶接部に対して、レーザビームを線状に走査しつつ照射して、電池ケースと封止栓とを溶接する。この溶接工程では、まず、キーホール溶接によって、電池ケースと封止栓との円環状の被溶接部の周方向一部を溶接し、その後、熱伝導溶接によって、被溶接部の残りの周方向一部を溶接する。
特開2016-143656号公報
ところで、電池ケースと封止栓との被溶接部の表面には、電池ケースや封止栓の製造時に使用した油(例えば、プレス油)や、注液工程において電池ケース内に注入した電解液が付着していることがある。これに対し、前述の溶接工程では、被溶接部に対し、まず、キーホール溶接を行っている。キーホール溶接は、電解液や油に起因するボイド(ブローホール)が発生し易いため、前述の溶接工程では、キーホール溶接を行った溶接部に多数のボイドが生じる虞があった。また、熱伝導溶接では、十分な溶け込み深さを得ることができないため、熱伝導溶接によって溶接した部位では、溶接強度が不十分になる虞があった。このため、前述の製造方法では、電池ケースと封止栓とを強固に接合することができない虞があった。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、電池ケースと封止栓とを強固に接合することができる密閉型電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、注液口を有する電池ケースと、前記注液口を封止する封止栓と、を備える密閉型電池の製造方法において、前記注液口を通じて前記電池ケースの内部に電解液を注入する注液工程と、前記注液工程の後、前記封止栓で前記注液口を塞いだ状態で、前記電池ケースと前記封止栓との被溶接部に対してレーザビームを線状に走査しつつ照射して、前記電池ケースと前記封止栓とを溶接する溶接工程と、を備え、前記レーザビームは、前記被溶接部の表面に存在する前記電解液及び油を蒸発させ得る第1ビームで、前記被溶接部のうち前記第1ビームの照射によって前記電解液及び前記油の少なくとも一部が除去された除去部をキーホール溶接する第2ビームを囲むビームプロファイルを有する密閉型電池の製造方法である。
上述の製造方法のレーザ溶接工程では、レーザビームとして、電池ケースと封止栓との被溶接部の表面に存在する電解液及び油(油分)を蒸発させ得る第1ビームと、被溶接部のうち第1ビームの照射によって電解液の少なくとも一部及び油の少なくとも一部が除去された除去部をキーホール溶接する第2ビームと、を一体的に含むビームプロファイルを有するレーザビームを用いて、電池ケースと封止栓とをレーザ溶接する。
具体的には、電池ケースと封止栓との被溶接部(レーザ照射予定部)に対して第1ビームを線状に照射して、被溶接部の表面に存在する電解液及び油を蒸発させてゆくと共に、被溶接部のうち第1ビームの照射によって電解液の少なくとも一部及び油の少なくとも一部が除去された(蒸発により消失した)除去部に対して第2ビームを線状に照射して、当該除去部をキーホール溶接してゆく。このように、電解液の少なくとも一部及び油の少なくとも一部が除去された被溶接部に対して第2ビームを照射して、電池ケースと封止栓とをキーホール溶接することで、電解液及び油に起因するボイドの発生を低減することができると共に、溶け込み深さの深い溶接をすることができる。従って、電池ケースと封止栓とを強固に接合することができる。
なお、第1ビームは、電解液及び油(油分)を蒸発させ得る出力密度を有するレーザビームである。この第1ビームには、被溶接部の溶接形態が熱伝導溶接になる出力密度(キーホール溶接になる出力密度よりも低い)を有するレーザビームも含まれる。
上述の製造方法のレーザ溶接工程では、レーザビームとして、第1ビームで第2ビームを囲むビームプロファイルを有するレーザビームを用いて、電池ケースと封止栓とをレーザ溶接する。具体的には、例えば、第2ビームからなる平面視円形状の中央部分と、この中央部分を囲む第1ビームからなる平面視円環状のリング部分と、によって構成されるビームプロファイルを有するレーザビームを用いる。
このようなレーザビームを、電池ケースと封止栓との被溶接部に対して線状に走査しつつ照射することで、第2ビーム(中央部分)に先行して第1ビーム(リング部分)の一部を被溶接部に照射してゆくことができる。これにより、第1ビーム(リング部分)を被溶接部に対して線状に照射して、被溶接部の表面から電解液及び油を除去してゆくと共に、被溶接部のうち第1ビーム(リング部分)の照射によって電解液の少なくとも一部及び油の少なくとも一部が除去された除去部に対して、第2ビーム(中央部分)を線状に照射して、電池ケースと封止栓とをキーホール溶接してゆくことができる。
実施形態にかかる密閉型電池の斜視図である。 実施形態にかかる注液工程を説明する図である。 実施形態にかかる密閉型電池の製造方法の流れを示すフローチャートである。 実施形態にかかるレーザビームプロファイルを示す図である。 実施形態にかかる溶接工程を説明する図である。 図5のB-B断面図である。 実施形態にかかる溶接工程を説明する他の図である。 実施形態にかかるレーザ溶接装置の概略図である。 図5のC部拡大図である。 レーザビームによる電解液除去試験の結果を示す図である。 レーザビームによる油除去試験の結果を示す図である。
<実施形態>
次に、実施形態にかかる密閉型電池の製造方法について説明する。なお、本実施形態では、密閉型電池としてリチウムイオン二次電池1を製造する例について説明する。図1は、実施形態にかかるリチウムイオン二次電池1の斜視図である。図2は、リチウムイオン二次電池1の製造工程である注液工程を説明する図であり、リチウムイオン二次電池1の製造工程である組み付け工程を終えた組み付け構造体1Aの断面図を示している。
リチウムイオン二次電池1は、電池ケース10と、電池ケース10の内部に収容された電極体20と、正極端子50と、負極端子60とを備える(図2参照)。電池ケース10は、矩形箱形状のケース本体部11と、ケース本体部11の開口を閉塞する蓋部13とを備える。電池ケース10の蓋部13には、注液口13hが形成されている。また、蓋部13には、注液口13hを封止する封止栓15が溶接されている。電極体20を構成する正極板21には、正極端子50の接続部52が接合されている。また、電極体20を構成する負極板31には、負極端子60の接続部62が接合されている。
以下、リチウムイオン二次電池1の製造方法について詳細に説明する。図3は、リチウムイオン二次電池1の製造方法の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS1(組み付け工程)において、リチウムイオン二次電池1の構成部品を組み付けて、組み付け構造体1Aを作製する。具体的には、正極板21と負極板31とセパレータ(図示なし)を捲回することによって、電極体20を作製する(図2参照)。また、蓋部13に、正極端子50と負極端子60を組み付ける。
その後、電極体20を構成する正極板21に正極端子50の接続部52を接合する。さらに、電極体20を構成する負極板31に負極端子60の接続部62を接合する。その後、ケース本体部11の内部に電極体20を収容すると共に、蓋部13によってケース本体部11の開口を閉塞し、この状態で、蓋部13とケース本体部11を溶接する。これにより、ケース本体部11と蓋部13とが接合されて、電池ケース10になると共に、組み付け構造体1Aが作製される(図2参照)。
次に、ステップS2(注液工程)において、図2に示すように、組み付け構造体1Aの蓋部13の注液口13hを通じて、電池ケース10の内部に電解液ESを注入する。なお、本実施形態の電解液ESは、溶媒として有機溶媒(例えば、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネート)を有し、溶質としてLiPF6を有する非水電解液である。その後、ステップS3(溶接工程)において、封止栓15で注液口13hを塞いだ状態で、電池ケース10の蓋部13と封止栓15とをレーザ溶接する。なお、注液口13hは、円筒状の孔であり、封止栓15は、平面視円形状の部材である。本実施形態では、蓋部13及び封止栓15は、アルミニウム製である。
ここで、本実施形態の溶接工程について詳細に説明する。図8は、本実施形態で使用するレーザ溶接装置100の概略図である。レーザ溶接装置100は、ファイバーレーザ発振器110とヘッドユニット120を備える。ファイバーレーザ発振器110とヘッドユニット120は、ファイバーケーブル130によって接続されている。ファイバーレーザ発振器110は、第1ビームLB1を発生させる第1レーザモジュール113と、第1レーザモジュール113に電力を供給する第1電源111と、第2ビームLB2を発生させる第2レーザモジュール114と、第2レーザモジュール114に電力を供給する第2電源112とを備える。このファイバーレーザ発振器110は、第1ビームLB1と第2ビームLB2とを組み合わせたレーザビームLBを発射する。
具体的には、ファイバーレーザ発振器110は、図4に示すように、第1ビームLB1で第2ビームLB2を囲むビームプロファイルを有するレーザビームLBを発生させて、このレーザビームLBをヘッドユニット120に向けて発射する。より具体的には、レーザビームLBは、第2ビームLB2からなる平面視円形状の中央部分と、この中央部分を囲む第1ビームLB1からなる平面視円環状のリング部分と、によって構成されるビームプロファイルを有する(図4参照)。本実施形態では、ファイバーレーザ発振器110として、コヒーレント社製のHighLighit FL4000CSM-ARMを用いている。
ヘッドユニット120は、公知のヘッドユニット(光学ヘッド)であり、ファイバーレーザ発振器110から発射されたレーザビームLBを、電池ケース10の蓋部13と封止栓15との被溶接部WPに対して線状に走査しつつ照射して、電池ケース10の蓋部13と封止栓15とを溶接する。なお、被溶接部WPは、平面視円環状をなしている。従って、本実施形態では、レーザビームLBによって、電池ケース10の蓋部13と封止栓15とを円環状に全周溶接する。
ところで、蓋部13と封止栓15との被溶接部WPの表面には、蓋部13及び封止栓15の製造時に使用した油(例えば、プレス油)や、注液工程において電池ケース10内に注入した電解液ESが付着していることがある。
これに対し、本実施形態のレーザビームLBのうち第1ビームLB1は、被溶接部WPの表面に存在する電解液ES及び油(油分)を蒸発させ得る出力密度(W/mm2)を有する。また、第2ビームLB2は、被溶接部WPの溶接形態がキーホール溶接となる出力密度(W/mm2)を有する。なお、本実施形態では、第1ビームLB1の出力密度を、被溶接部WPの溶接形態が熱伝導溶接となる出力密度(キーホール溶接となる出力密度よりも低い)としている。詳細には、レーザビームLBは、被溶接部WPの表面に存在する電解液ES及び油を蒸発させ得る第1ビームLB1と、被溶接部WPのうち第1ビームLB1の照射によって電解液ES及び油の少なくとも一部が除去された除去部CPをキーホール溶接する第2ビームLB2と、を含むビームプロファイルを有する。
従って、本実施形態の溶接工程では、電池ケース10の蓋部13と封止栓15との被溶接部WPの表面に存在する電解液ES及び油(油分)を蒸発させ得る第1ビームLB1と、被溶接部WPのうち第1ビームLB1の照射によって電解液ESの少なくとも一部及び油の少なくとも一部が除去された除去部CPをキーホール溶接する第2ビームLB2と、を含むビームプロファイルを有するレーザビームLBを用いて、電池ケース10の蓋部13と封止栓15をレーザ溶接する(図5~図9参照)。
具体的には、平面視円環状の被溶接部WP(レーザ照射予定部)に対して第1ビームLB1を線状に照射して、被溶接部WPの表面に存在する電解液ES及び油(油分)を蒸発させてゆくと共に、被溶接部WPのうち第1ビームLB1の照射によって電解液ESの少なくとも一部及び油の少なくとも一部が除去された(蒸発により消失した)除去部CPの少なくとも一部に対して第2ビームLB2を線状に照射して、除去部CPの少なくとも一部をキーホール溶接してゆく。なお、図9には、被溶接部WPに照射されたレーザビームLBのビームプロファイルの平面図を示しており、図9に示すレーザビームLBによる除去部CPを破線のハッチングで示している。また、図9では、レーザビームLB(第1ビームLB1及び第2ビームLB2)の走査方向をDSとして示している。
より具体的に説明すると、前述のように、レーザビームLBは、第1ビームLB1で第2ビームLB2を囲むビームプロファイルを有している。詳細には、レーザビームLBは、第2ビームLB2からなる平面視円形状の中央部分と、この中央部分を囲む第1ビームLB1からなる平面視円環状のリング部分と、によって構成されるビームプロファイルを有している(図4参照)。このようなレーザビームLBを、被溶接部WPに対して線状に走査しつつ照射することで、第2ビームLB2(中央部分)に先行して、第1ビームLB1(リング部分)の一部を被溶接部WPに照射してゆくことができる(図5及び図9参照)。
これにより、第1ビームLB1(リング部分)を被溶接部WPに対して線状に照射して、被溶接部WPの表面から電解液ES及び油を除去してゆくと共に、被溶接部WPのうち第1ビームLB1(リング部分)の照射によって電解液ESの少なくとも一部及び油の少なくとも一部が除去された除去部CPの一部(具体的には、第2ビームLB2が照射されている部位に対して走査方向DSに位置する部位。例えば、図9に示すレーザビームLBによる除去部CPにおいてはクロスハッチングで示す部位)に対して、第2ビームLB2(中央部分)を線状に照射して、電池ケース10の蓋部13と封止栓15をキーホール溶接してゆくことができる。
このように、電解液ESの少なくとも一部及び油の少なくとも一部が除去された被溶接部WPに対して第2ビームLB2を照射して、電池ケース10の蓋部13と封止栓15とをキーホール溶接することで、電解液ES及び油に起因するボイド(溶接熱によって電解液ESまたは油から生じたガスによって形成されるボイド)の発生を低減することができると共に、溶け込み深さの深い溶接をすることができる。従って、電池ケース10の蓋部13と封止栓15を強固に接合することができる。
図7は、本実施形態の溶接工程におけるレーザビームLBの走査経路を示す図である。本実施形態では、図7において実線で示すように、まず、平面視円環状の被溶接部WPの外側に位置する第1位置P1からレーザビームLBの照射を開始して、被溶接部WPに含まれる第2位置P2に達するまで、直線状にレーザビームLBを走査する。引き続き、被溶接部WPの第2位置P2から第3位置P3まで、被溶接部WPの半周にわたって、円弧状にレーザビームLBを走査し、その後、レーザビームLBの照射を一旦停止する。
次いで、図7において破線で示すように、被溶接部WPの外側に位置する第4位置P4からレーザビームLBの照射を開始して、被溶接部WPの第3位置P3に達するまで、直線状にレーザビームLBを走査する。引き続き、被溶接部WPの第3位置P3から第2位置P2まで、被溶接部WPの残り半周にわたって、円弧状にレーザビームLBを走査して、溶接工程を終了する。このような走査経路でレーザビームLBを照射することで、被溶接部WPの全周にわたって、第2ビームLB2(中央部分)に先行して第1ビームLB1(リング部分)の一部を照射してゆくことができる(図5及び図9参照)。これにより、電池ケース10の蓋部13と封止栓15を全周溶接する。
なお、本実施形態では、第1ビームLB1の出力密度(W/mm2)を、被溶接部WPの溶接形態が熱伝導溶接となる出力密度(例えば、3574~25015W/mm2の範囲内の値としている。また、第2ビームLB2の出力密度(W/mm2)を、被溶接部WPの溶接形態がキーホール溶接となる出力密度(例えば、26802W/mm2以上の値)としている。なお、本実施形態のファイバーレーザ発振器110は、第1ビームLB1の出力密度の値と第2ビームLB2の出力密度の値を、所定範囲内で独立して調節(変更)することができる。従って、本実施形態の溶接工程では、第1ビームLB1で溶融させた被溶接部WPに対して第2ビームLB2(キーホール溶接となる出力密度を有する)を照射して、被溶接部WPをキーホール溶接する。このようにすることで、溶け込み深さの深い溶接をすることができるので、電池ケース10の蓋部13と封止栓15を強固に接合することができる。
<レーザビームによる電解液除去試験>
次に、レーザビームの照射による電解液除去試験について説明する。まず、アルミニウム製の平板を用意し、この平板の表面に電解液ESを塗布する。その後、レーザビームを照射する前に、平板の表面のうち電解液ESを塗布した塗布面(以下、電解液塗布面ともいう)についてEDS(エネルギー分散型X線分光器)の定量分析を行い、P(リン)成分の割合(wt%)を測定した。なお、P(リン)は、電解液ESに含まれる成分である。この測定値を、Refとして図10に示す。その後、第2ビームLB2(中央部分)の出力密度を0とし、第1ビームLB1(リング部)の出力密度を様々な値に設定したレーザ溶接装置100を用いて、電解液塗布面に対して第1ビームLB1を線状に走査しつつ照射した。
なお、本試験では、第1ビームLB1の出力密度(W/mm2)の値を、3574、7147、10721、14294、17868、21442、25015、26802の8種類としている。このうちの26802(W/mm2)は、被溶接部WPの溶接形態がキーホール溶接となる出力密度であり、その他の値は、被溶接部WPの溶接形態が熱伝導溶接となる出力密度である。その後、上記のように出力密度が異なる各々の第1ビームLB1を照射した面について、EDSの定量分析を行い、P成分の割合(wt%)を測定した。この結果を図10に示す。なお、P成分は電解液ESに含まれる成分であるため、P成分の測定値(wt%)がRefよりも小さい場合には、電解液ESの少なくとも一部を除去する(蒸発させる)効果があるといえる。
図10に示すように、第1ビームLB1の出力密度を、被溶接部WPの溶接形態が熱伝導溶接となる3574~25015(W/mm2)の範囲内の値とした場合には、P成分の測定値(wt%)がRefよりも小さくなった。一方、第1ビームLB1の出力密度の値を、被溶接部WPの溶接形態がキーホール溶接となる26802(W/mm2)とした場合には、P成分の測定値(wt%)がRefよりも大きくなった。この結果より、出力密度が3574~25015(W/mm2)の範囲内の値である第1ビームLB1は、被溶接部WPの表面に存在する電解液ESを蒸発させ得る第1ビームであるといえる。また、被溶接部WPの溶接形態が熱伝導溶接となる出力密度を有する第1ビームLB1は、被溶接部WPの表面に存在する電解液ESを蒸発させ得る第1ビームであるといえる。
また、電解液ESを塗布した平板のうち、出力密度が異なる各々の第1ビームLB1を照射した部位について、CTによる断面撮影を行って、当該部位に含まれるボイドの数を調査した。なお、本試験では、直径が0.05mm以上の空洞をボイドとみなして、その個数をカウントしている。その結果を「電解液塗布 ボイド数」として、表1に示す。
Figure 0007611112000001
表1に示すように、被溶接部WPの溶接形態が熱伝導溶接となる出力密度を有する第1ビームLB1を照射した部位では、ボイドが発生していなかった。一方、被溶接部WPの溶接形態がキーホール溶接となる出力密度を有する第1ビームLB1を照射した部位では、多数のボイドが発生していた。この結果より、表面に電解液ESが存在している被溶接部WPに対し、被溶接部WPの表面に存在する電解液ESを蒸発させ得るレーザビーム(第1ビームLB1)を照射することなく、溶接形態がキーホール溶接となる出力密度を有するレーザビーム(第2ビームLB2)を被溶接部WPに照射した場合は、溶接部に多数のボイド(ブローホール)が発生する虞があるといえる。
<レーザビームによる油除去試験>
次に、レーザビームの照射による油除去試験について説明する。前述の電解液除去試験と同様に、アルミニウム製の平板を用意し、この平板の表面にプレス油を塗布する。その後、レーザビームを照射する前に、平板の表面のうちプレス油を塗布した塗布面(以下、油塗布面ともいう)についてEDS(エネルギー分散型X線分光器)の定量分析を行い、C(炭素)の割合(wt%)を測定した。なお、C(炭素)は、プレス油に含まれる成分である。この測定値を、Refとして図11に示す。その後、第2ビームLB2(中央部分)の出力密度を0とし、第1ビームLB1(リング部)の出力密度を様々な値に設定したレーザ溶接装置100を用いて、油塗布面に対して第1ビームLB1を線状に走査しつつ照射した。
なお、本試験でも、第1ビームLB1の出力密度(W/mm2)の値を、3574、7147、10721、14294、17868、21442、25015、26802の8種類としている。その後、上記のように出力密度が異なる各々の第1ビームLB1を照射した面について、EDSの定量分析を行い、C成分の割合(wt%)を測定した。この結果を図11に示す。なお、C成分はプレス油に含まれる成分であるため、C成分の測定値(wt%)がRefよりも小さい場合には、プレス油の少なくとも一部を除去する(蒸発させる)効果があるといえる。
図11に示すように、本試験では、第1ビームLB1の出力密度を、3574~26802(W/mm2)の範囲内のいずれの値とした場合でも、C成分の測定値(wt%)がRefよりも小さくなり、プレス油の少なくとも一部を除去できる効果が確認された。従って、本試験と前述の電解液除去試験の結果より、出力密度が3574~25015(W/mm2)の範囲内の値である第1ビームLB1は、被溶接部WPの表面に存在する電解液ES及び油を蒸発させ得る第1ビームであるといえる。また、被溶接部WPの溶接形態が熱伝導溶接となる出力密度を有する第1ビームLB1は、被溶接部WPの表面に存在する電解液ES及び油を蒸発させ得る第1ビームであるといえる。
また、プレス油を塗布した平板のうち、出力密度が異なる各々の第1ビームLB1を照射した部位について、CTによる断面撮影を行って、当該部位に含まれるボイドの数を調査した。なお、本試験では、直径が0.05mm以上の空洞をボイドとみなして、その個数をカウントしている。その結果を「油塗布 ボイド数」として、表1に示す。
表1に示すように、被溶接部WPの溶接形態が熱伝導溶接となる出力密度を有する第1ビームLB1を照射した部位では、ボイドが発生していなかった。一方、被溶接部WPの溶接形態がキーホール溶接となる出力密度を有する第1ビームLB1を照射した部位では、多数のボイドが発生していた。従って、本試験と前述の電解液除去試験の結果より、表面に電解液ESまたは油が存在している被溶接部WPに対し、被溶接部WPの表面に存在する電解液ES及び油を蒸発させ得るレーザビーム(第1ビームLB1)を照射することなく、溶接形態がキーホール溶接となる出力密度を有するレーザビーム(第2ビームLB2)を被溶接部WPに照射した場合は、溶接部に多数のボイド(ブローホール)が発生する虞があるといえる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。例えば、実施形態では、レーザビームLBを、第1ビームLB1で第2ビームLB2を囲むビームプロファイルとしたが、ビームプロファイルは、被溶接部WPの表面に存在する電解液ES及び油を蒸発させ得る第1ビームLB1と、被溶接部WPのうち第1ビームLB1の照射によって電解液ES及び油の少なくとも一部が除去された除去部CPをキーホール溶接する第2ビームLB2と、を含むビームプロファイルであれば、いずれのビームプロファイルであっても良い。
1 リチウムイオン二次電池(密閉型電池)
10 電池ケース
13 蓋部
13h 注液口
15 封止栓
100 レーザ溶接装置
110 ファイバーレーザ発振器
120 ヘッドユニット
CP 除去部
DS 走査方向
ES 電解液
LB レーザビーム
LB1 第1ビーム
LB2 第2ビーム
WP 被溶接部

Claims (1)

  1. 注液口を有する電池ケースと、前記注液口を封止する封止栓と、を備える
    密閉型電池の製造方法において、
    前記注液口を通じて前記電池ケースの内部に電解液を注入する注液工程と、
    前記注液工程の後、前記封止栓で前記注液口を塞いだ状態で、前記電池ケースと前記封止栓との被溶接部に対してレーザビームを線状に走査しつつ照射して、前記電池ケースと前記封止栓とを溶接する溶接工程と、を備え、
    前記レーザビームは、
    前記被溶接部の表面に存在する前記電解液及び油を蒸発させ得る第1ビームで、前記被溶接部のうち前記第1ビームの照射によって前記電解液及び前記油の少なくとも一部が除去された除去部をキーホール溶接する第2ビームを囲むビームプロファイルを有する
    密閉型電池の製造方法。
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