JP7614488B2 - 垂直共振器面発光レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、垂直共振器面発光レーザ素子及びその製造方法に関する。
従来から、窒化物半導体を用いて、垂直共振器面発光レーザとして機能するレーザ素子の研究が進められており、反射鏡として半導体多層膜を用いることなどが提案されている。特許文献1には、(20-21)面のGaNを主面として有する発光素子が記載されている。特許文献2には、半導体基板の半極性面上にAlInN層及びGaN層を積層した反射鏡を有する半導体発光素子が記載されている。
WO2018/116596号 特開2017-168560号公報
しかし、半極性面等を主面とする基板上に形成された、半導体多層膜として用いられる窒化物半導体の結晶面によっては、光反射膜の反射率が設計通りに得られない場合がある。
本開示は、以下の発明を含む。
〔1〕第1窒化物半導体層と、該第1窒化物半導体層とは組成の異なる第2窒化物半導体層とを含み、前記第1窒化物半導体層は、主面に入射する光に対して、第1の偏光方向と第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有し、前記第1の偏光方向に対する屈折率がnであり、以下の式(1)で表される厚みLを有し、かつ前記第2窒化物半導体層は、主面に入射する光に対して、前記第1の偏光方向と前記第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有し、前記第1の偏光方向に対する屈折率がnであり、以下の式(2)で表される厚みLを有する、第1光反射膜と、
前記第1光反射膜の上に配置され、活性層を有する窒化物半導体の積層体と、
前記積層体の上方に配置された第2光反射膜とを備える垂直共振器面発光レーザ素子。
=λ/(4・n) (1)
=λ/(4・n) (2)
〔2〕基板の上に、第1光反射膜を成長させ、
該第1光反射膜の上に、活性層を含む窒化物半導体の積層体を成長させ、
該積層体の上に、第2光反射膜を成長させることを含む垂直共振器面発光レーザ素子の製造方法であって、
前記第1光反射膜を、
第1窒化物半導体層と、該第1窒化物半導体層とは組成の異なる第2窒化物半導体層とを含む、2種以上の単結晶の窒化物半導体層の積層により形成し、
前記第1窒化物半導体層は、主面に入射する光に対して、第1の偏光方向と第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有し、前記第1の偏光方向に対する屈折率がnであり、以下の式(1)で表される厚みLを有し、かつ前記第2窒化物半導体層は、主面に入射する光に対して、前記第1の偏光方向と前記第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有し、前記第1の偏光方向に対する屈折率がnであり、以下の式(2)で表される厚みLを有する膜とする垂直共振器面発光レーザ素子の製造方法。
=λ/(4・n) (1)
=λ/(4・n) (2)
(式中、λは共振波長を示す。)
本開示の一態様によれば、より反射率が向上した光反射膜を備えた垂直共振器面発光レーザ素子及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態の垂直共振器面発光レーザ素子における第1反射鏡の構造を説明するための要部の概略断面図である。 本発明の一実施形態の垂直共振器面発光レーザ素子の積層構造を説明するための概略断面図である。 垂直共振器面発光レーザ素子の変形例を示す概略断面図である。 (20-21)面を主面とするAlInN/GaN多層膜の[-1014]軸偏光、[-12-10]軸偏光及び無偏光の反射スペクトルを示すグラフである。 図3AのX部の拡大図である。
以下、本開示の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実施の形態は、本開示の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示を以下のものに限定しない。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。各図面が示す部材の大きさ、厚み、位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。数値範囲を示す場合、「~」の両側の値は含まれるものとする。
〔垂直共振器面発光レーザ素子8〕
本発明の一実施形態の垂直共振器面発光レーザ素子8は、図1A及び1Bに示すように、第1光反射膜10と、活性層を有する窒化物半導体の積層体3と、第2光反射膜6とを備える。第1光反射膜10は、第1窒化物半導体層11と、第1窒化物半導体層11とは組成の異なる第2窒化物半導体層12とを含む窒化物半導体多層膜からなる。第1窒化物半導体層11は、主面に入射する光に対して、第1の偏光方向と第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有し、第1の偏光方向に対する屈折率がnであり、以下の式(1)で表される厚みLを有する。第2窒化物半導体層12は、主面に入射する光に対して、第1の偏光方向と第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有し、第1の偏光方向に対する屈折率がnであり、以下の式(2)で表される厚みLを有する。ここで主面に入射する光とは、具体的には活性層から放出される光を指す。窒化物半導体の積層体3は、第1光反射膜10の上に配置されている。第2光反射膜6は、積層体3の上方に配置されている。
=λ/(4・n) (1)
=λ/(4・n) (2)
窒化物半導体層を活性層に有するレーザ素子は、成長させる面を極性面とした場合、ピエゾ電界が生じることで閾値電流の上昇が懸念される。一方で、極性面ではなく半極性面もしくは非極性面の基板上に形成される窒化物半導体の積層体は、このようなピエゾ電界の発生を抑制し、閾値電流をより低減することができる。
しかし、第1光反射膜を構成する窒化物半導体多層膜では、極性面においては屈折率に異方性がないが、半極性面及び非極性面においては屈折率の異方性がある。そのため、第1光反射膜に用いる窒化物半導体多層膜を特定の偏光方向の光に対する屈折率を用いて設計することにより、第1光反射膜の反射率を向上させることができる。その結果、閾値電流を低減することが可能となる。また、窒化物半導体多層膜の屈折率に合わせて反射膜を設計することにより、反射帯域、つまり、反射率が安定して高い範囲を広くすることができる。その結果、製造時のずれに対する許容度を向上することができ、垂直共振器面発光レーザ素子の歩留まりを向上させることが可能となる。
(第1光反射膜10)
第1光反射膜10は、図1Aに示すように、第1窒化物半導体層11と、第1窒化物半導体層11と組成の異なる第2窒化物半導体層12とを含む窒化物半導体多層膜からなる。第1窒化物半導体層及び第2窒化物半導体層は、単結晶の窒化物半導体層であることが好ましい。窒化物半導体層が単結晶である場合、第1光反射膜10上に形成する窒化物半導体の積層体3をより良質な結晶とすることができる傾向がある。
第1窒化物半導体層11は、主面11aに入射する光に対して、第1の偏光方向と第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有する。この第1窒化物半導体層11は、上述した式(1)で表される厚みLを有する。式(1)において、第1の偏光方向に対する第1窒化物半導体層11の屈折率はnで表されている。
第2窒化物半導体層12は、主面12aに入射する光に対して、第1の偏光方向と第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有する。この第2窒化物半導体層12は、上述した式(2)で表される厚みLを有する。式(2)において、第1の偏光方向に対する第2窒化物半導体層12の屈折率はnで表されている。
例えば、第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12は、GaN、AlInN、AlGaN等によって形成することができる。第1窒化物半導体層11にAlInN層を用いる場合、AlX1InY1Nは、0.1≦X1≦0.25、0.75≦Y1≦0.9であってよく、0.14≦X1≦0.21、0.79≦Y1≦0.86であることが好ましい。AlInN層の組成が上述の範囲であると、転位やクラックの発生をより効果的に抑制できる傾向がある。また、屈折率差と構成整合の観点から、なかでも、第1窒化物半導体層11がAlInN層、第2窒化物半導体層12がGaN層であることが好ましい。そして、上述したように複数の屈折率を有するために、これらの窒化物半導体層の主面、つまり光入射面が、半極性面又は非極性面であることが挙げられる。具体的には、{10-10}面、{10-12}面、{10-11}面、{11-20}面、{20-21}面、{11-22}面、{11-23}面、{11-26}面、{10-1-1}面、{30-31}面、{30-3-1}面等が挙げられる。また、これらの面に対して0~3°程度のオフ角を有するものであってもよい。なかでも、これらの窒化物半導体層の主面は{20-21}面であることが好ましい。{20-21}面を主面とする窒化物半導体層とする場合、他の半極性面を主面とする場合に比べて、結晶性成長させやすく、発光素子におけるピエゾ分極をより抑制できる傾向がある。
また、第1の偏光方向及び第2の偏光方向とは、特に限定されるものではなく、第1の偏光方向と第2の偏光方向とが異なっていればよい。例えば、第1の偏光方向を六方晶におけるa軸偏光方向とする場合、第2の偏光方向はc軸偏光方向とすることができる。これらは逆でもよい。
具体的には、第1の偏光方向及び第2の偏光方向としては、[-12-10]軸方向、[-11-10]軸方向、[-1014]軸方向、[-1012]軸方向、[-1011]軸方向、[-11-26]軸方向、[11-2-3]軸方向、[-11-22]軸方向、[0001]軸方向、[1-100]軸方向等が挙げられる。例えば第2の偏光方向は第1の偏光方向に対して垂直な方向とすることが挙げられる。特に、第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12の主面が(10-10)面(m面、非極性面)であり、第1の偏光方向が[1-210]軸(a軸)方向であるか、主面が(10-12)面(r面、半極性面)であり、第1の偏光方向が[-12-10]軸(a軸)方向であるか、主面が(11-22)面(半極性面)であり、第1の偏光方向が[1-100]軸(m軸)方向であるか、主面が(10-11)面(半極性面)であり、第1の偏光方向が[-12-10]軸(a軸)方向であるか、主面が(20-2-1)面(半極性面)であり、第1の偏光方向が[-12-10]軸(a軸)方向であるか、主面が(20-21)面(半極性面)であり、第1の偏光方向が[-12-10]方向であることが好ましい。
第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12の主面と第1偏光方向について、上記のような組み合わせを採用する場合には、第1偏光方向の光は積層体の界面の散乱損失が少なくなる傾向があるため、第1偏光方向に対する屈折率を用いて反射膜を設計することで閾値電流を低減することができる。
具体的には、主面が(20-21)面であり、第1の偏光方向が[-12-10]軸方向、第2の偏光方向が[-1014]軸方向であることが好ましい。
ここで、結晶構造について、軸方向に関する個別方位は[]、個別面は()、集合面は{}でそれぞれ示し、また、指数の前にマイナスを付すことによって、その指数が負であることを示している。
第1窒化物半導体層11は、主面11aに入射する光に対して、第1の偏光方向と第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有する。言い換えると、第1窒化物半導体層11は、主面11aに入射する光に対して、偏光方向の違いによって複数の屈折率を有する。第2窒化物半導体層12は、主面12aに入射する光に対して、第1の偏光方向と第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有する。言い換えると、第2窒化物半導体層12は、主面12aに入射する光に対して、偏光方向の違いによって複数の屈折率を有する。
例えば、第1窒化物半導体層11が主面を(20-21)面とするAl0.8In0.2N層であり、第1の偏光方向を[-12-10]軸方向とした場合、第1の偏光方向の光に対する屈折率は、例えば、波長400nm~800nmにおいて、2.56~2.32となる。
また、第2窒化物半導体層12が主面を(20-21)面とするGaN層であり、第1の偏光方向を[-12-10]軸方向とした場合、第1の偏光方向の光に対する屈折率は、例えば、波長400nm~800nmにおいて、2.26~2.16となる。
第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12はそれぞれが一定の厚みで繰り返し交互に積層されたものであってよい。
ここで、レーザ素子の共振波長λとは、共振器長Lから以下の式(3)によって求められる値である。
λ=2n・L/m (3)
式中、nは共振器の実効屈折率、mは共振器の中に何波長分の光が含まれるかを数値で表したものである。
本実施形態では、第2光反射膜の積層体側の端部から第1光反射膜の積層体側の端部までの長さを共振器長とし、その共振器長Lは840nmであるが、この共振器長は、後述する窒化物半導体の積層体及びp側電極等の厚みによって適宜設定される。
(窒化物半導体の積層体3)
窒化物半導体の積層体3は、第1光反射膜10を構成する窒化物半導体多層膜の上面に配置されていることが好ましい。また、窒化物半導体の積層体3は、活性層3aを有する。具体的には、図1Bに示すように、窒化物半導体の積層体3は、III族窒化物半導体からなるn側半導体層3n、III族窒化物半導体からなる活性層3a、III族窒化物半導体からなるp側半導体層3pが、第1光反射膜10側からこの順に積層されて構成されていることが好ましい。III族窒化物半導体としては、例えば、AlN、InN、GaN、AlInN、AlGaN、InGaN、AlInGaNが挙げられる。
この中でも特に活性層3aはInGaN井戸層を含むことが好ましい。InGaN井戸層を活性層に有する半導体発光素子の利得は、[-12-10]方向の偏光成分の割合が他の偏光成分と比べて多い傾向があるため、[-12-10]方向に対する屈折率を用いて第1光反射膜10を設計することで、反射率をより高くすることができ、閾値電流を低減することができる。
n側半導体層3nは、活性層3aと第1光反射膜10との間に配置されていることが好ましい。n側半導体層3nは、単層又は多層であり、アンドープの層を有していてもよく、n型不純物、例えば、Si等をドープしたn型層を1層以上有する。活性層3aは、例えば、InGaNよりなる量子井戸層と、GaNよりなる障壁層とを交互に積層した積層構造である。積層数は所望の特性により適宜設定することができる。p側半導体層3pは、p側光スペーサ層と、その上に配置されたp側コンタクト層を有することができる。p側コンタクト層は、p型不純物、例えば、Mg等がドープされた層である。p側光スペーサ層は、p型不純物を、p側コンタクト層よりもp型不純物を低濃度でドープした層又はアンドープの層とすることができる。この場合、p側コンタクト層はp側半導体層3pの最上層とする。
n側半導体層3n、活性層3a及びp側半導体層3pの各厚みは、適宜設定することができる。第1光反射膜10の上面から後述する第2光反射膜6の下面までの全厚みをλ/(2n)の整数倍とし、その間に定在波が生じるように設定する。そして、定在波の最も強い部分が活性層3aに、定在波の最も弱い部分が、後述する透光性のp側電極4に位置するように配置する。
p側半導体層3pは、その上面がp側電極4に接触するものが挙げられる。特に、p側半導体層3pは、活性層3aと後述する第2光反射膜6との間に配置されていることが好ましい。
窒化物半導体層の積層体3は、p側半導体層3pの上面に凸部3xを有する。この凸部3xの上面が電流注入領域として機能する。電流注入領域の直下が発光部となる。凸部3xの平面視形状は、円形、楕円形、多角形等の形状が挙げられ、なかでも円形であるものが好ましい。凸部3xの上面の大きさは、例えば、直径又は一辺の長さが2μm~12μmが挙げられる。
窒化物半導体層の積層体3は、凸部3xの周囲の表面、つまりp側半導体層3pの側において、p側半導体層3p、活性層3a及びn側半導体層3nの一部が厚み方向に除去されて、n側半導体層3nが一部露出していることが好ましい。これにより、レーザ素子に電流を供給するp側電極4及びn側電極5nを積層体3の同一面側に配置することができる。
(第2光反射膜6)
第2光反射膜6は、窒化物半導体層の積層体3の表面に凸部3xが形成されている場合には、例えば、図1Bに示すように、凸部3xの上面から凸部3xの周囲の表面の少なくとも一部に配置することができる。また、凸部が形成されていない場合には、窒化物半導体層の積層体3の一部を露出する絶縁膜を形成し、その露出した窒化物半導体層の積層体3の上方を覆うように第2光反射膜6を形成してもよい。
第2光反射膜6は、上述した第1光反射膜10と同様の構成としてもよいし、例えば、誘電体多層膜を含む構成としてもよい。誘電体多層膜としては、例えば、SiO/Nb、SiO/Ta、SiO/Al等が挙げられる。各層の厚さはλ/(4n)である。第2光反射膜6の積層数及び厚みは、誘電体多層膜の組み合わせにより適宜設定することができる。具体的には、第2光反射膜6を、SiO/Nb等によって構成する場合、各層は、40nm~100nmが挙げられる。積層膜の積層数は、2層以上が挙げられ、例えば5層~20層とすることができる。第2光反射膜6の全体の厚みは、例えば、0.08μm~2.0μmが挙げられ、0.6μm~1.7μmとすることができる。
本開示の垂直共振器面発光レーザ素子は、さらに、基板16、下地層9、p側電極4、n側電極5n、絶縁膜7を備えることができる。
このような垂直共振器面発光レーザ素子8は、また、接合層13及び金属膜15を有する放熱基板17に接合され、基板16側を発光面とするように構成されていることが好ましい。これにより、第2光反射膜6側を発光面とする場合より、より高い光出力を得られる場合がある。
(基板16及び下地層9)
第1光反射膜10は、基板16の上方に設けられていてもよい。いいかえると、基板16は第1光反射膜10の下方に設けられていてよい。また、第1光反射膜10は、基板16の上に、任意に下地層9を介して形成されていることが好ましい。下地層9を介して第1光反射膜10を形成することにより、より平坦な層とすることができる。基板16としては、垂直共振器面発光レーザ素子を構成し得る基板であれば、当該分野で公知のものを利用することができる。
例えば、半導体層成長用の基板、具体的には、窒化物半導体(GaN等)、サファイア、SiC、Si等の基板が挙げられる。なかでも、窒化物半導体が好ましく、GaN基板がより好ましい。半導体成長用基板としてGaN基板を用いることで、より転位の少ない半導体反射鏡とすることができる。また、下地層9は、これらの基板16及び第1光反射膜10との格子整合を考慮して選択することができ、例えば、GaN層が好ましい。
基板16又は下地層9は、第1窒化物半導体層11を成長させる面が極性面以外の面であるものが挙げられ、例えば、{10-10}面、{10-12}面、{10-11}面、{11-22}面、{20-21}面、{20-2-1}面、{11-2-2}面、{11-23}面、{11-26}面、{10-1-1}面、{30-31}面、{30-3-1}面等が挙げられる。なかでも、基板16又は下地層9は、第1窒化物半導体層11を成長させる面がGaNの{20-21}面であるものが好ましい。また、これらの面に対して0~3°程度のオフ角を有するものであってもよい。{20-21}面の基板を採用することにより、この上に成長する第1窒化物半導体層及び第2窒化物半導体層の主面が{20-21}面となりやすい。そして、このような面では、例えば、屈折率に異方性がある、つまり、入射する光に対して、互いに異なる第1の偏光方向と第2の偏光方向とで、異なる複数の屈折率を有するため、いずれかの屈折率に合わせて第1光反射膜を設計することができる。これにより、図3A及び図3Bに示すように、反射帯域をより広くすることができる。その結果、製造時のずれ等に対する許容度を向上することができ、歩留まりを向上させることができる。また、第1光反射膜の反射率の向上が可能となり、閾値電流を低減することが可能となる。
下地層9は、任意の厚みに設定することができる。例えば、100nm~3000nmが挙げられる。また、下地層9には、n型不純物をドーピングすることができるが、結晶性の点からはアンドープのものが好ましい。
(p側電極4)
p側電極4は、窒化物半導体の積層体におけるp側半導体層3pの凸部3xから電流を注入するための電極であり、少なくとも凸部3xの上面に接触している電極である。p側電極4は、凸部3xの側面まで延長していてもよいし、凸部3xの周囲のp側半導体層3pの上面にまで延長していてもよい。
p側電極4は、レーザ発振する波長域に対して透光性の材料から形成される導電部材である。透光性の材料としては、ITO(インジウム-錫酸化物)、IZO(インジウム-亜鉛酸化物)等を母材とする透明導電材料が挙げられる。具体的にはITOが挙げられる。厚みは薄いほうが、p側電極4による光吸収を低減することができる一方、抵抗が上昇するため、これらのバランスを考慮して適宜調整することができる。p側電極4の厚みは、例えば、5nm~100nmが挙げられる。
(絶縁膜7)
絶縁膜7は、凸部3xの上面と離間して配置される。絶縁膜7は、少なくともp側半導体層3pの凸部3xの周囲の表面の一部を被覆する。絶縁膜7は、p側半導体層3pのみならず、活性層3aの側面と、露出したn側半導体層3nの上面の一部を被覆してもよいし、さらに積層体3の側面を被覆してもよい。
絶縁膜7は、SiO2、Ta、ZrO、Al、Ga等の無機材料等によって形成することができる。
(n側電極5n、pパッド電極5p)
垂直共振器面発光レーザ素子8は、さらに、露出したn側半導体層3nに電気的に接続されたn側電極5nが配置されていることが好ましい。
p側半導体層3pの上に形成された透光性のp側電極4に加えて、p側電極4に電気的に接続されたpパッド電極5pが配置されていてもよい。
これらn側電極5n及びpパッド電極5pは、当該分野において通常電極として用いられる導電性材料のいずれによって形成してもよい。例えば、Ti/Pt/Au、Ti/Rh/Au等が挙げられる。
n側電極5n及びpパッド電極5pは、同じ又は異なる材料にて単層構造で形成されていてもよいし、同じ材料によって、同じ積層構造で形成されていてもよいし、異なる材料で異なる積層構造で形成されていてもよい。n側電極5n及びpパッド電極5pを同じ材料によって同じ積層構造で形成する場合、n側電極5n及びpパッド電極5pを同一工程で形成することができる。
(放熱基板17)
垂直共振器面発光レーザ素子8は、図2に示すように、放熱基板17に接合されていてもよい。放熱基板17としては、AlN等のセラミックス、SiC等の半導体を含む半導体基板、金属単体基板又は2種以上の金属の複合体からなる金属基板等が挙げられる。例えば、絶縁性のAlNセラミックスを母材とし、その表面に複数の金属膜15が形成された基板を放熱基板17として用いることができる。金属膜15は、それぞれ、pパッド電極5p及びn側電極5nと電気的に接続される。放熱基板17の厚みは、例えば、50μm~500μm程度が挙げられる。
放熱基板17の形成方法は、当該分野で通常使用される方法を利用することができる。
接合層13は、例えば、上述したpパッド電極5p及びn側電極5n等と同様の材料のほか、半田等を用いることができる。
金属膜15は、上述したpパッド電極5p及びn側電極5n等と同様の材料によって形成することができる。
(反射防止膜14)
垂直共振器面発光レーザ素子8は、第1光反射膜10側からレーザ光が出射されるが、第1光反射膜10の積層体3とは反対側の面、つまり、基板16の積層体3とは反対側の面に、反射防止膜14を配置していてもよい。反射防止膜14としては、上述した第2光反射膜6で例示した誘電体多層膜と同様の材料を用いることができる。積層数や各層の厚みを光反射膜とは異なるものとすることで反射防止機能を有する膜を形成することができる。例えば、SiO2/Nb25、SiO2/Ta25、SiO2/Al23等が挙げられる。その厚みは、例えば、0.1μm~1μmが挙げられる。
〔垂直共振器面発光レーザ素子の製造方法〕
本開示の垂直共振器面発光レーザ素子の製造方法においては、基板の上に、第1光反射膜を成長させ、第1光反射膜の上に、活性層を含む窒化物半導体の積層体を成長させ、積層体の上に、第2光反射膜を成長させることを含む。
(第1光反射膜10の成長)
第1光反射膜10は、第1窒化物半導体層11を成長させる工程と、第2窒化物半導体層12を成長させる工程とを有する。これら第1窒化物半導体層11を成長させる工程及び第2窒化物半導体層12を成長させる工程は、交互に繰り返し行う。上述したように、第1光反射膜10は、例えば、基板16又は下地層9の直上に、第1窒化物半導体層11及び第2窒化物半導体層12のいずれが形成されてもよい。例えば、第1窒化物半導体層11が、第1光反射膜10における最下層となる場合には、基板16又は下地層9の上に第1窒化物半導体層11を成長させ、その上に、第2窒化物半導体層12を成長させることが好ましい。また、それよりも上の層では、第1窒化物半導体層11の上に成長した第2窒化物半導体層12上に、第1窒化物半導体層11を成長させることが好ましい。あるいは、第2窒化物半導体層12が、第1光反射膜10における最下層となる場合には、基板16又は下地層9の上に第2窒化物半導体層12を成長させ、その上に、第1窒化物半導体層11を成長させることが好ましい。また、それよりも上の層では、第2窒化物半導体層12の上に成長した第1窒化物半導体層11上に、第2窒化物半導体層12を成長させることが好ましい。第1窒化物半導体層11を成長させる工程と、第2窒化物半導体層12を成長させる工程との交互の繰り返しは、用いる材料、目的とする性能等によって、任意にその回数を設定することができる。例えば、交互の繰り返しは、5回~100回行うことが挙げられ、20回~80回が好ましく、30回~70回がより好ましい。言い換えると、第1窒化物半導体層11と第2窒化物半導体層12とのペアを、それぞれ5ペア~100ペアとすることが好ましく、20ペア~80ペアとすることがより好ましく、30ペア~70ペアとすることがさらに好ましい。この範囲内のペア数とすることにより、制御性を保ちながら、より反射率を高くすることができる。これにより、窒化物半導体多層膜を形成して、第1光反射膜10を形成することができる。
(第1窒化物半導体層11を成長させる工程)
第1窒化物半導体層11は、例えば、アルミニウム及びインジウムを含むIII族窒化物半導体からなる層として形成することができる。このような半導体としては、AlX2InY2Ga1-X2-Y2N(0<X2、0<Y2、X2+Y2≦1)が挙げられ、具体的には、AlInGaN、AlInN等が挙げられる。なかでも、AlInN層が好ましい。
第1窒化物半導体層11は、当該分野で公知の方法、例えば、MOCVD法(有機金属気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシャル成長法)等によって成長させることができる。なかでも、厚みの制御のしやすさや成長時間の点からMOCVD法が好ましい。いずれの方法を利用する場合においても、第1窒化物半導体層11は常圧で成長させてもよいが、減圧して成長させてもよい。
例えば、MOCVD装置の反応炉内に、任意に下地層9が形成された基板16をセットし、基板温度を、例えば、700℃~1050℃に昇温し、キャリアガスと、原料ガスとを反応炉内に流す。これにより、例えば、アルミニウム及びインジウムを含むIII族窒化物半導体からなる第1窒化物半導体層11を形成することができる。キャリアガスは、例えば、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。原料ガスとしては、例えば、窒素の原料ガスとして、アンモニア、窒素等が挙げられる。アルミニウム源ガスとしては、TMA(トリメチルアルミニウム)等のトリアルキルアルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられ、インジウム源ガスとしては、TMI(トリメチルインジウム)等のトリアルキルインジウム等が挙げられる。窒素の原料ガスとして、アンモニア、窒素等が挙げられる。なお、AlInGaNを成長させる際には、ガリウム源ガスを導入してもよい。また、第1窒化物半導体層11の形成において、第1窒化物半導体層11を成長させる表面が、基板又は下地層(例えば、GaN)の(20-21)面であることが好ましい。
第1窒化物半導体層11の厚みLは、上述したように、式(1)によって算出することができ、それに基づいて設定することができる。例えば、30nm~80nmが挙げられる。また、第1窒化物半導体層11には、n型不純物をドーピングすることができるが、結晶性及び反射率の点からはアンドープのものが好ましい。例えば、n型不純物がSiである場合、n型不純物濃度は、0.5~10×1018cm-3とすることができる。
なお、第1窒化物半導体層11は、第2窒化物半導体層12が形成された基板16上に形成してもよい。
(第2窒化物半導体層12を成長させる工程)
第2窒化物半導体層12は、例えば、GaNからなる層として形成することができる。第2窒化物半導体層12を成長させる工程は、第1窒化物半導体層11を成長させる工程と同様に行うことができる。
例えば、MOCVD装置の反応炉内に、任意に下地層9が形成された基板16をセットする。この基板16は、上述した第1窒化物半導体層11が下地層9の上に形成されているものが好ましい。その後、基板温度を、例えば、700℃~1050℃に昇温し、キャリアガスと、原料ガス(TEG及びアンモニア)とを反応炉内に流す。キャリアガスは、例えば、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。原料ガスとしては、例えば、ガリウムの原料ガスとして、TMG(トリメチルガリウム)、TEG(トリエチルガリウム)等のトリアルキルガリウム等が挙げられる。窒素の原料ガスとして、アンモニア、窒素等が挙げられる。これにより、例えば、GaNからなる第2窒化物半導体層12を形成することができる。第2窒化物半導体層12の成長速度は、成長中、変動してもよいが、一定であることが好ましい。
ここでの第2窒化物半導体層12の厚みLは、上述したように、式(2)によって算出することができ、それに基づいて設定することができる。例えば、30nm~80nmが挙げられる。従って、第1光反射膜10を構成する窒化物半導体多層膜の総厚みは、例えば、500nm~10000nmが挙げられ、2000nm~8000nmが好ましく、3000nm~7000nmがより好ましい。また、第2窒化物半導体層12には、n型不純物をドーピングすることができるが、アンドープのものが好ましい。例えば、n型不純物がSiである場合、n型不純物濃度は、0.5~10×1018cm-3とすることができる。
(窒化物半導体の積層体の成長)
第1光反射膜10の上面に、活性層3aを有する窒化物半導体の積層体3を形成する。
窒化物半導体層の積層体3では、第1光反射膜10側から、n側半導体層3n、活性層3a、p側半導体層3pをこの順に形成することが好ましい。窒化物半導体層の積層体3は、当該分野で公知の方法を利用して形成することができる。
窒化物半導体層の積層体3は、その表面、つまり、第1光反射膜10が配置された側とは反対側の表面に、凸部3xを形成してもよい。凸部3xは、フォトリソグラフィ及びエッチング等を利用して、形成することができる。
(第2光反射膜の形成)
第2光反射膜6は、窒化物半導体層の積層体3の表面に凸部3xが形成されている場合には、例えば、図1Bに示すように、凸部3xの上面から凸部3xの周囲の表面の少なくとも一部に配置することができる。また、凸部3xが形成されていない場合には、窒化物半導体層の積層体3の一部を露出する絶縁膜を形成し、その露出した窒化物半導体層の積層体3の上方を覆うように第2光反射膜6を形成することができる。
第2光反射膜6は、上述した第1光反射膜10と同様の構成としてもよいし、例えば、誘電体多層膜を含んだ構成としてもよい。誘電体多層膜としては、例えば、SiO/Nb、SiO/Ta、SiO/Al等が挙げられる。各層の厚さはλ/4nである。第2光反射膜6の積層数や厚みは、誘電体多層膜の組み合わせにより適宜設定することができる。具体的には、第2光反射膜6を、SiO/Nb等によって構成する場合、各層は、40nm~100nmが挙げられる。積層膜の積層数は、2層以上が挙げられ、例えば5層~20層とすることができる。第2光反射膜6の全体の厚みは、例えば、0.08μm~2.0μmが挙げられ、0.6μm~1.7μmとすることができる。
試験例1
主面が(20-21)面である基板16の上に下地層9としてGaN層を形成し、その上に第1光反射膜10とを形成した。
第1光反射膜10は、上述した式(1)及び式(2)から、波長500nmの[-12-10]方向の偏光に対して厚みを設計し、第1窒化物半導体層11としてAl0.8In0.2N層(厚み:56.7nm、n=2.2049)、第2窒化物半導体層としてGaN層(厚み:52.1nm、n=2.4015)を50ペア積層した多層膜とした。
作製した第1光反射膜について、それぞれの偏光に対して分光光度計で反射スペクトルを測定した。結果を図3Aおよび図3Bに示す。図3Bに示すように、第1光反射膜は499nmから505nm付近の[-12-10]方向の偏光に対して98%以上の反射率を示し、特に504nm付近の[-12-10]方向の偏光に対して99%以上の反射率を示すことが確認された。
3 積層体
3a 活性層
3n n側半導体層
3p p側半導体層
3x 凸部
4 p側電極
5n n側電極
5p pパッド電極
6 第2光反射膜
7 絶縁膜
8 垂直共振器面発光レーザ素子
9 下地層
10 第1光反射膜
11 第1窒化物半導体層
11a 主面
12 第2窒化物半導体層
12a 主面
13 接合層
14 反射防止膜
15 金属膜
16 基板
17 放熱基板

Claims (8)

  1. 第1窒化物半導体層と、該第1窒化物半導体層とは組成の異なる第2窒化物半導体層とを含み、前記第1窒化物半導体層は、主面に入射する光に対して、第1の偏光方向と第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有し、前記第1の偏光方向に対する屈折率がn1であり、以下の式(1)で表される厚みL1を有し、かつ前記第2窒化物半導体層は、主面に入射する光に対して、前記第1の偏光方向と前記第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有し、前記第1の偏光方向に対する屈折率がn2であり、以下の式(2)で表される厚みL2を有する、第1光反射膜と、
    前記第1光反射膜の上に配置され、活性層を有する窒化物半導体の積層体と、
    前記積層体の上方に配置された第2光反射膜とを備える垂直共振器面発光レーザ素子。
    1=λc/(4・n1) (1)
    2=λc/(4・n2) (2)
    (式中、λcは共振波長を示す。)
  2. 前記第1窒化物半導体層及び前記第2窒化物半導体層は、主面が(20-21)面であり、前記第1の偏光方向が[-12-10]方向であり、前記第2の偏光方向が[-12-10]方向以外の偏光方向であり、
    前記第1光反射膜の下方に設けられた基板を備え、前記基板の主面が(20-21)面である請求項1に記載の垂直共振器面発光レーザ素子。
  3. 前記第1窒化物半導体層がAlInN層、前記第2窒化物半導体層がGaN層である請求項1又は2に記載の垂直共振器面発光レーザ素子。
  4. 共振波長における前記第1の偏光方向の光に対する前記第1光反射膜の反射率が、98%以上である請求項3に記載の垂直共振器面発光レーザ素子。
  5. 前記窒化物半導体の積層体は、前記活性層と前記第1光反射膜との間に配置されたn側半導体層と、前記活性層と前記第2光反射膜との間に配置されたp側半導体層とを有する請求項1~4のいずれか1項に記載の垂直共振器面発光レーザ素子。
  6. 前記第2光反射膜は、誘電体多層膜を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の垂直共振器面発光レーザ素子。
  7. 前記第1窒化物半導体層と、前記第2窒化物半導体層とは、交互に繰り返し積層されており、繰り返しの回数は、30回以上70回以下である請求項1~6のいずれか1項に記載の垂直共振器面発光レーザ素子。
  8. 基板の上に、第1光反射膜を成長させ、
    該第1光反射膜の上に、活性層を含む窒化物半導体の積層体を成長させ、
    該積層体の上に、第2光反射膜を成長させることを含む垂直共振器面発光レーザ素子の製造方法であって、
    前記第1光反射膜を、
    第1窒化物半導体層と、該第1窒化物半導体層とは組成の異なる第2窒化物半導体層とを含む、2種以上の単結晶の窒化物半導体層の積層により形成し、
    前記第1窒化物半導体層は、主面に入射する光に対して、第1の偏光方向と第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有し、前記第1の偏光方向に対する屈折率がn1であり、以下の式(1)で表される厚みL1を有し、かつ前記第2窒化物半導体層は、主面に入射する光に対して、前記第1の偏光方向と前記第2の偏光方向とで異なる複数の屈折率を有し、前記第1の偏光方向に対する屈折率がn2であり、以下の式(2)で表される厚みL2を有する膜とする垂直共振器面発光レーザ素子の製造方法。
    1=λc/(4・n1) (1)
    2=λc/(4・n2) (2)
    (式中、λcは共振波長を示す。)
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