JP7615550B2 - 食用油劣化抑制フィルター、劣化抑制剤組成物、及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に開示のフィルターは、比較的厚みがあるため、ろ過の際の圧力損失が大きくなりやすく、食用油を循環させるためのポンプが比較的大きいものになるなど、改善の余地があった。
本発明の他の態様に係る食用油劣化抑制フィルターの製造方法は、上記の一態様に係る食用油劣化抑制フィルターを製造する方法であって、濾材の表面及び細孔の内面の少なくとも一方もしくは両方に劣化抑制組成物を滴下法、ロールコーター法、浸漬法、又はスプレー塗工法によって付着させる付着工程を備えることを要旨とする。
また、本発明の他の態様に係る食用油劣化抑制組成物は、劣化抑制剤とバインダーを備えることを要旨とする。
まず、本発明に係る食用油劣化抑制フィルターの一例について、図1を参照しながら説明する。図1の食用油劣化抑制フィルター10は、食用油劣化抑制剤とバインダーとを含有する劣化抑制組成物1と、細孔2aを有する濾材2と、を備えている。劣化抑制組成物1は、濾材2の表面及び細孔2aの内面の少なくとも一方にバインダーにより付着している。図1においては、濾材2の表面及び細孔2aの内面に付着した劣化抑制組成物1が模式的に描画されている。
このように、上記の数値範囲内の気孔率、細孔2aの直径、密度、及び厚さを有する濾材2を使用することにより、食用油劣化抑制フィルター10の初期の濾過性の悪化と早期の目詰まりを防ぐことが可能である。なお、気孔率及び細孔2aの直径は、水銀圧入法の原理を利用した水銀ポロシメータを用いて測定することができる。
また、バインダーが少なくなると、食用油劣化抑制剤が脱落しやすくなり、バインダーが多すぎると、食用油劣化抑制剤と被濾過食用油との接触の機会が少なくなり、酸化劣化防止能力が十分に発揮できない可能性が考えられる。
揚げ物を揚げるフライヤー等に使用されて酸化劣化した食用油20の濾過及び酸化劣化抑制を行う処理装置は、食用油20が貯留される油槽21と、食用油20が通液される環状の配管22と、食用油20を送液するポンプ24と、食用油20の濾過及び酸化劣化抑制を行う食用油劣化抑制フィルター10(図2には図示せず)が装填されている処理部23と、を備えている。
食用油劣化抑制フィルター10の酸化劣化抑制性能が低下した場合又は失われた場合や、濾過性が低下した場合又は目詰まりし通液しなくなった場合は、処理部23内の食用油劣化抑制フィルター10を新品と交換する。食用油劣化抑制フィルター10は、濾過助剤等の粉体が使用されていないため、取り扱いが容易である。
また、食用油劣化抑制フィルター10の前、もしくは後ろ側に更に通常の揚げカス捕集フィルター等を設置することもできる。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
(比較例1-1)
食品用資材として使用できるセルロース製の濾紙を直径90mmの円形に裁断したものを、比較例1-1のフィルターとした。この濾紙の厚さは1.0mmであり、密度は0.38g/cm3である。また、この濾紙の気孔率及び細孔の直径を水銀ポロシメータで測定したところ、気孔率は67体積%で、細孔の直径は35μmであった。
比較例1-1のフィルター上に、酒石酸水素カリウムと酸化カルシウムを質量比1:1で混合した混合物を散布して、濾紙上に混合物が載置された状態のものを、比較例1-2のフィルターとした。濾紙上に載置されている混合物の量は、120g/m2である。
セルロース製の濾紙を直径90mmの円形に裁断したものを、比較例2のフィルターとした。この濾紙の厚さは2.8mmであり、密度は0.33g/cm3である。また、この濾紙の気孔率及び細孔の直径を水銀ポロシメータで測定したところ、気孔率は68体積%で、細孔の直径は35μmであった。
食品用のフィルターとして使用されるポリエチレンテレフタレート製の不織布を直径90mmの円形に裁断したものを、参考例1のフィルターとした。この不織布の厚さは3.8mmであり、密度は0.09g/cm3である。なお、不織布の気孔率及び細孔の直径を水銀ポロシメータで測定したが、水銀ポロシメータの測定上限値以上であったため、数値は不明であった。ただし、水銀ポロシメータによる気孔率の測定上限値は80体積%、細孔の直径の測定上限値は100μmであるので、不織布の気孔率は80体積%以上であり、細孔の直径は100μm以上であると言える。
セラック樹脂をエタノールに溶解して、濃度7質量%のセラック樹脂溶液を得た。このセラック樹脂溶液に、酒石酸水素カリウムと酸化カルシウムを質量比1:1で混合した混合物を食用油劣化抑制剤として添加し、劣化抑制組成物を調製した。液状の劣化抑制組成物中の食用油劣化抑制剤の含有量は、5質量%である。また、劣化抑制剤とバインダーの比率としては、質量比で1:1.4となる。
食品用資材として使用できるセルロース製の濾紙を直径90mmの円形に裁断したものを、参考例2のフィルターとした。この濾紙の厚さは1.9mmであり、密度は0.24g/cm3である。また、この濾紙の気孔率及び細孔の直径を水銀ポロシメータで測定したところ、気孔率は79体積%で、細孔の直径は54μmであった。
セラック樹脂をエタノールに溶解して、濃度1質量%のセラック樹脂溶液を得た。このセラック樹脂溶液に、酒石酸水素カリウムと酸化カルシウムを質量比1:1で混合した混合物を食用油劣化抑制剤として添加し、液状の劣化抑制組成物を調製した。液状の劣化抑制組成物中の食用油劣化抑制剤の含有量は、10質量%である。
参考例2のフィルターを濾材とし、この濾材に上記の液状の劣化抑制組成物を滴下法により塗布した。フィルターに塗布された劣化抑制組成物の量は、約160g/m2である。その後、60℃の温風を用いて劣化抑制組成物を乾燥させることにより、実施例2のフィルターを得た。実施例2のフィルターの厚さは1.9mmであり、密度は0.33g/cm3であった(濾材の密度は0.24g/cm3である)。
食品用資材として使用できるセルロース製の濾紙を直径90mmの円形に裁断したものを、参考例3のフィルターとした。この濾紙の厚さは1.4mmであり、密度は0.30g/cm3である。また、この濾紙の気孔率及び細孔の直径を水銀ポロシメータで測定したところ、気孔率は74体積%で、細孔の直径は50μmであった。
食品用資材として使用できるセルロース製の濾紙を直径90mmの円形に裁断したものを、参考例4のフィルターとした。この濾紙の厚さは1.0mmであり、密度は0.31g/cm3である。また、この濾紙の気孔率及び細孔の直径を水銀ポロシメータで測定したところ、気孔率は73体積%で、細孔の直径は36μmであった。
2 濾材
2a 細孔
10 食用油劣化抑制フィルター
20 食用油
23 処理部
Claims (6)
- 食用油劣化抑制剤及びバインダーを含有する劣化抑制組成物と、細孔を有する濾材と、を備え、
前記劣化抑制組成物が前記濾材の表面及び前記細孔の内面の少なくとも一方に前記バインダーにより付着しており、
前記濾材の気孔率が50体積%以上であり、前記濾材の密度が0.24g/cm 3 以下であり、前記細孔の直径が30μm以上であり、
前記細孔の直径が前記食用油劣化抑制剤の粒径よりも大きい食用油劣化抑制フィルター。 - 前記食用油劣化抑制剤が酒石酸塩を含むものである請求項1に記載の食用油劣化抑制フィルター。
- 前記バインダーがセラック樹脂である請求項1又は請求項2に記載の食用油劣化抑制フィルター。
- 前記濾材の厚さが1mm以上10mm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の食用油劣化抑制フィルター。
- 前記濾材の密度が0.09g/cm 3 以上0.24g/cm 3 以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の食用油劣化抑制フィルター。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の食用油劣化抑制フィルターを製造する方法であって、
前記濾材の表面及び前記細孔の内面の少なくとも一方に前記劣化抑制組成物を滴下法、ロールコーター法、浸漬法、又はスプレー塗工法によって付着させる付着工程を備える食用油劣化抑制フィルターの製造方法。
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