JP7615599B2 - 二酸化炭素固定システム - Google Patents

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Description

本開示は、二酸化炭素固定システムに関する。
二酸化炭素は、地球温暖化の原因として問題視されており、世界的に二酸化炭素の排出を抑制する動きが活発化している。大気中への二酸化炭素の排出量を削減する方法の一つとして、二酸化炭素を炭酸塩として固定する方法が提案されている。
このような方法として、特許文献1は、蛇紋岩などの岩石中のマグネシウム等を比較的低温にて最大限溶出させて安定な炭酸塩に転換できる二酸化炭素の鉱物固定システムを開示している。鉱物固定システムは、二酸化炭素を昇圧する加圧ポンプと、昇圧した二酸化炭素と鉱物とを水の存在下に加熱及び加圧反応させる圧力容器と、圧力容器から排出される流体の圧力を制御する保圧弁と、保圧弁を流通した流体を分離する気液分離器とを備えている。
特開2009-240855号公報
上記鉱物固定システムでは、例えば蛇紋岩の場合、温度100℃かつ圧力10MPaの条件下において二酸化炭素の固定率が最大となる。しかしながら、二酸化炭素を加圧ポンプのような圧縮装置でこのような高い圧力にまで昇圧する場合、加圧ポンプの稼働に大きなエネルギーが必要になる。また、二酸化炭素から炭酸塩を生成するためだけに加圧ポンプを定期的にメンテナンスする必要もある。大量の二酸化炭素を固定化するためには、反応スケールを大きくする必要があり、従来のシステムでは、二酸化炭素を効率よく固定化することができないおそれがある。
そこで、本開示は、専用の圧縮装置を用いなくても炭酸塩を生成可能な二酸化炭素固定システムを提供することを目的とする。
本開示に係る二酸化炭素固定システムは、気体の二酸化炭素を圧縮する圧縮装置を備える。二酸化炭素固定システムは、圧縮装置から送られる二酸化炭素を冷却して二酸化炭素を液化する冷却装置を備える。二酸化炭素固定システムは、冷却装置から供給される二酸化炭素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくともいずれか一方の元素を含む物質と、水とを反応させて炭酸塩を生成する反応装置を備える。
二酸化炭素固定システムは、空気から酸素を分離する酸素分離部と、酸素分離部で分離された酸素で燃料を燃焼し、圧縮装置に供給される気体の二酸化炭素を生成するボイラーとをさらに備えてもよい。反応装置はボイラーで生成された蒸気によって加温されてもよい。二酸化炭素固定システムは、圧縮装置で圧縮された二酸化炭素の熱と、冷却装置から反応装置に向かう二酸化炭素の熱とを交換する熱交換器をさらに備えてもよい。アルカリ金属はリチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素であってもよい。アルカリ土類金属はカルシウム及びマグネシウムの少なくともいずれか一方の元素であってもよい。
本開示によれば、専用の圧縮装置を用いなくても炭酸塩を生成可能な二酸化炭素固定システムを提供することができる。
一実施形態に係る二酸化炭素固定システムを示す概略図である。 一実施形態に係る酸素燃焼発電装置を示す概略図である。 一実施形態に係る二酸化炭素固定システムの詳細を示す概略図である。
以下、いくつかの例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1に示すように、二酸化炭素固定システム1は、酸素燃焼発電装置10と、二酸化炭素回収装置20と、水供給装置60と、原料供給装置70と、反応装置80とを備える。
酸素燃焼発電装置10は、酸素を燃焼して発電する。図2に示すように、酸素燃焼発電装置10は、燃料供給部11と、酸素分離部12と、ボイラー13と、集塵装置14とを含んでいる。
燃料供給部11は燃料をボイラー13に供給する。ボイラー13に供給される燃料は特に限定されないが、例えば石炭、石油又は天然ガスなどが挙げられる。これらの中でも、安価であり、供給が安定している観点から、燃料は石炭であることが好ましい。燃料として石炭を使用する場合、石炭粉砕ミルなどによって燃料に適した大きさに石炭を粉砕し、粉砕した石炭をボイラー13に供給することが好ましい。
酸素分離部12は空気から酸素を分離する。酸素分離部12は、例えば深冷分離法又は圧力スイング法などによって空気から窒素を除去する。酸素分離部12は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上の酸素を生成する。酸素分離部12で分離された酸素はボイラー13に供給される。
ボイラー13は、酸素分離部12で分離された酸素で燃料を燃焼する。燃料は燃料供給部11から供給される。燃料の燃焼によって得られたエネルギーで水が気化して水蒸気となり、水蒸気は図示しないタービンを回転させ、タービンの回転によってタービンと接続された発電機が発電する。一方、ボイラー13は、酸素雰囲気下で燃料が燃焼されることにより、後述する圧縮装置27に供給される気体の二酸化炭素を生成する。また、ボイラー13では燃料が燃焼されることにより水も生成される。
集塵装置14は、ボイラー13での燃焼によって生成されたガスから粉塵のような異物を除去する。集塵装置14で異物が除去されたガスは、二酸化炭素回収装置20へ供給される。集塵装置14で異物が除去されたガスの一部は、ボイラー13へ再度供給されて再循環されてもよい。上記ガスの主成分は二酸化炭素であるため、上記ガスをボイラー13へ供給することにより、ボイラー13の燃焼温度が低下し、ボイラー13の負荷が軽減される。
酸素燃焼発電装置10では、酸素分離部12によって空気から窒素を除去して酸素を分離し、ボイラー13はこの酸素を燃焼用ガスとして燃料を燃焼する。ボイラー13から排出されるガスの主成分は二酸化炭素及び水であり、二酸化炭素と水とは容易に分離可能である。そのため、空気を燃焼用ガスとして燃料を燃焼する場合と比較して容易に二酸化炭素を回収することができる。
二酸化炭素回収装置20は、酸素燃焼発電装置10の下流に設けられている。二酸化炭素回収装置20は、酸素燃焼発電装置10から供給された二酸化炭素を精製して液化することにより、酸素燃焼発電装置10で生成された二酸化炭素を回収する。図3に示すように、二酸化炭素回収装置20は、スクラバ21と、圧縮装置27と、熱交換器29と、冷却器30と、ドライヤ40と、冷却装置50とを含む。
スクラバ21は、酸素燃焼発電装置10で生成されたガスから硫黄成分を除去する。ガス中の硫黄成分を除去することにより、圧縮装置27が腐食するのを抑制することができる。スクラバ21は例えば湿式の脱硫装置であるが、ガス中の塩化水素も除去され得る。スクラバ21は乾式の脱硫装置であってもよい。スクラバ21は、吸収塔22と、充填材23と、循環配管24と、循環ポンプ25とを含んでいる。
吸収塔22の内部には充填材23が設けられている。吸収塔22において充填材23より下側の底部と充填材23の上側には循環配管24が接続されている。循環配管24には循環ポンプ25が設けられている。吸収塔22には処理液が収容されており、処理液は、循環ポンプ25によって循環配管24を通じて充填材23の上側に汲み上げられる。処理液は、充填材23の上側から充填材23に向かって噴霧され、充填材23から吸収塔22の底部に落下する。一方、吸収塔22には、充填材23の下方に、酸素燃焼発電装置10で生成されたガスが供給される供給口が設けられている。また、吸収塔22には、充填材23の上側に、供給口から供給されたガスを排出する排出口が設けられている。供給口から供給されたガスは、充填材23を通過し、処理液との気液接触によってガスから硫黄酸化物が除去されて排出口より排出される。
スクラバ21の処理液は、硫黄酸化物を除去することができれば特に限定されないが、水、又は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム若しくは炭酸マグネシウムの水溶液などであってもよい。
圧縮装置27は、スクラバ21と配管26を介して接続されている。圧縮装置27は、気体の二酸化炭素を圧縮する。具体的には、圧縮装置27は、スクラバ21で硫黄成分が除去されたガスを例えば2.5MPaまで圧縮する。圧縮装置27は、単一の圧縮機を含んでいてもよく、複数の圧縮機を含んでいてもよい。圧縮機は、例えば遠心式圧縮機であってもよい。圧縮装置27は、ドライヤ40と配管28を介して接続されている。配管28には、熱交換器29と、熱交換器29よりも下流に設けられた冷却器30とが設けられている。
熱交換器29は、圧縮装置27で圧縮された二酸化炭素の熱と、冷却装置50から反応装置80に向かう二酸化炭素の熱とを交換する。これにより、圧縮装置27から送られてくる二酸化炭素を冷却して冷却装置50で液化するのに必要なエネルギーを低減することができる。また、冷却装置50から反応装置80に送られる二酸化炭素を加温するのに必要なエネルギーを低減することができる。圧縮装置27で圧縮されたガスは、熱交換器29で冷却された後、冷却器30で50℃程度までさらに冷却される。なお、本実施形態では、二酸化炭素の冷却効率を向上させるために熱交換器29及び冷却器30によって二酸化炭素を冷却する例について説明しているが、二酸化炭素回収装置20は熱交換器29及び冷却器30を備えていなくてもよい。
ドライヤ40は、圧縮装置27と冷却装置50との間に配置されており、圧縮装置27で圧縮されたガスを乾燥させて冷却装置50に送気する。これにより、ガス中の水分を除去し、冷却装置50に霜が付着したり、冷却装置50の冷却効率が低下したりすることを抑制することができる。ドライヤ40は第1乾燥槽41と第2乾燥槽43とを含んでいる。第1乾燥槽41の内部には乾燥剤42が充填されており、第2乾燥槽43の内部には乾燥剤44が充填されている。乾燥剤42及び乾燥剤44は圧縮装置27で圧縮されたガスが接触するように設けられている。そのため、ガスが第1乾燥槽41内又は第2乾燥槽43内を通過すると、ガス中の水分が乾燥剤42又は乾燥剤44によって吸湿され、ガスから水分が除去される。乾燥剤42及び乾燥剤44は、水分を吸収又は吸着することができれば特に限定されず、例えば、モレキュラーシーブ、シリカゲル、アルミナゲル、ゼオライト及び活性炭などを使用することができる。
圧縮装置27、第1乾燥槽41及び第2乾燥槽43は配管28を介して接続されており、配管28には切替弁45が設けられる。切替弁45は、圧縮装置27から第1乾燥槽41へガスを供給するか又は第2乾燥槽43へガスを供給するようにガスの流路を切り替えることができる。第1乾燥槽41、第2乾燥槽43及び水供給装置60は配管52を介して接続されており、配管52には切替弁46が設けられる。切替弁46は、冷却装置50から第1乾燥槽41を通じて供給されるガスを水供給装置60へ供給するか、又は冷却装置50から第2乾燥槽43を通じて供給されるガスを水供給装置60へ供給するようにガスの流路を切り替えることができる。切替弁45と切替弁46とは並列に配置されている。
第1乾燥槽41、第2乾燥槽43及び冷却装置50は配管47を介して接続されており、配管47には切替弁48が設けられる。切替弁48は、第1乾燥槽41から冷却装置50へガスを供給するか、又は第2乾燥槽43から冷却装置50へガスを供給するようにガスの流路を切り替えることができる。第1乾燥槽41、第2乾燥槽43及び冷却装置50は配管51を介して接続されており、配管51には切替弁49が設けられる。切替弁49は、冷却装置50から供給されるガスを第1乾燥槽41へ供給するか、又は冷却装置50から供給されるガスを第2乾燥槽43へ供給するようにガスの流路を切り替えることができる。切替弁48と切替弁49とは並列に配置されている。
第1乾燥槽41と第2乾燥槽43とは並列に設けられており、第1乾燥槽41又は第2乾燥槽43のいずれか一方の乾燥剤でガスを乾燥している間に、他方の乾燥剤を再生することができる。すなわち、第1乾燥槽41の乾燥剤42でガスを乾燥している間に第2乾燥槽43の乾燥剤44を再生し、第1乾燥槽41の乾燥剤42を再生している間に第2乾燥槽43の乾燥剤44でガスを乾燥することができる。なお、図3中、一点破線は第1乾燥槽41の乾燥剤42で圧縮装置27から冷却装置50へ供給されるガスを乾燥させる際のガスの流路を示している。また、図3中、二点鎖線は冷却装置50から供給される乾燥された乾燥ガスで第2乾燥槽43の乾燥剤44の水分を水供給装置60へ供給する際の流路を示している。
具体的には、切替弁45は、圧縮装置27から供給されるガスが、第1乾燥槽41又は第2乾燥槽43のいずれか一方へ流れるようにガスの流路を切り替える。切替弁48は、第1乾燥槽41で水分が除去される場合には、第1乾燥槽41で水分が除去されたガスを冷却装置50に供給するようにガスの流路を切り替える。また、切替弁48は、第2乾燥槽43で水分が除去される場合には第2乾燥槽43で水分が除去されたガスを冷却装置50に供給するようにガスの流路を切り替える。このようにして、圧縮装置27から供給されるガスからドライヤ40で水分が除去され、冷却装置50へ供給される。
切替弁49は、冷却装置50から供給される乾燥ガスを第1乾燥槽41又は第2乾燥槽43のいずれか一方へ流れるようにガスの流路を切り替える。乾燥ガスが第1乾燥槽41又は第2乾燥槽43を通過することによって、乾燥剤42又は乾燥剤44から水分が放出されて乾燥剤42又は乾燥剤44が再生される。切替弁46は、第1乾燥槽41で乾燥剤42が再生される場合には乾燥剤42から放出された水分を含むガスが第1乾燥槽41から水供給装置60へ供給されるようにガスの流路を切り替える。切替弁46は、第2乾燥槽43で乾燥剤44が再生される場合には乾燥剤44から放出された水分を含むガスが第2乾燥槽43から水供給装置60へ供給されるようにガスの流路を切り替える。冷却装置50から第1乾燥槽41又は第2乾燥槽43へ供給されるガスは、乾燥剤42又は乾燥剤44の水分が放出されやすいように加温されてもよい。
冷却装置50は、圧縮装置27から送られる二酸化炭素を冷却して二酸化炭素を液化する。冷却装置50は、ドライヤ40の下流に設けられ、深冷分離により二酸化炭素が精製及び液化される。冷却装置50に供給されたガスは、例えば-20℃~-50℃程度に冷却されてガス中の二酸化炭素が液化し、液化しないで気体として残った不純物を含む残部ガスが分離される。これにより、ドライヤ40で乾燥された乾燥ガスから、液化した二酸化炭素と、酸素などの二酸化炭素よりも凝縮温度が低い不純物とが分離される。例えば、二酸化炭素濃度80~90%、温度30℃、2.5MPaのガスが冷却装置50に供給されると、濃度が95~99%程度の液化した二酸化炭素が回収され、分離精製の残渣として残部ガスが冷却装置50から排出される。残部ガスには、例えば、窒素、アルゴン及び酸素などが含まれる。
冷却装置50で液化した二酸化炭素には、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上の二酸化炭素が含まれる。冷却装置50で液化した二酸化炭素は配管53を介して反応装置80に供給される。冷却装置50で液化した二酸化炭素の一部は、地下の帯水層へ圧入し、貯留してもよい。また、冷却装置50で分離されたガスには水分がほとんど含まれていないため、上述のように分離されたガスを用いてドライヤ40の乾燥剤42及び乾燥剤44を再生することができる。
冷却装置50から第1乾燥槽41を通って乾燥剤42から放出された水分を含むガス、及び第2乾燥槽43を通って乾燥剤44から放出された水分を含むガスは、配管52に設けられた熱交換器54で冷却される。熱交換器54で冷却されて凝集された水は、水供給装置60の貯水タンク61に貯水される。
水供給装置60は、反応装置80に水を供給する。水供給装置60は、貯水タンク61と、流量調節部62と、流量調節部63とを含んでいる。貯水タンク61は、反応装置80に供給するための水を貯水する。流量調節部62は、貯水タンク61の上流側に設けられ、貯水タンク61に供給される水の流量を調節する。流量調節部63は、貯水タンク61の下流側に設けられ、貯水タンク61から反応装置80に供給する水の流量を調節する。貯水タンク61には液面計64が設けられており、液面計64によって貯水タンク61内に貯水されている水の液量が計測される。流量調節部63は、液面計64により計測された貯水タンク61の液量に基づいて貯水タンク61に供給する水の供給量を調節してもよい。
原料供給装置70は、反応装置80に原料の一つとなるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくともいずれか一方の元素を含む物質を供給する。これらの元素は、二酸化炭素及び水と反応して炭酸塩を生成することができる。原料供給装置70は、ホッパー71と、フィーダー72とを含んでいる。ホッパー71は上記物質を収容している。フィーダー72は、ホッパー71から反応装置80に供給される上記物質の量を調節する。
アルカリ金属は、例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。アルカリ金属を含む物質としては、例えば、火成岩又は花崗岩を挙げることができる。
アルカリ土類金属は、例えば、カルシウム及びマグネシウムの少なくともいずれか一方の元素である。アルカリ土類金属を含む物質としては、例えば、廃コンクリート、鉄鋼スラグ、安山岩、玄武岩、土壌又はフライアッシュなどが挙げられる。これらは、廃材をその処理を兼ねて二酸化炭素の固定に有効活用することができる。
反応装置80は、冷却装置50から供給される二酸化炭素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくともいずれか一方の元素を含む物質と、水とを反応させて炭酸塩を生成する。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくともいずれか一方の元素を含む物質は、原料供給装置70から供給される。水は水供給装置60から供給される。反応装置80により生成される炭酸塩は、化学的に安定しているため、長期間安定して二酸化炭素を固体の状態で保管することができる。したがって、二酸化炭素を反応させて炭酸塩として固定することで、長期間安定的に炭酸塩の性状が維持されるため、炭酸塩が二酸化炭素に戻りにくい。このような炭酸塩は、地下に貯蔵された場合であっても、地震等で二酸化炭素が地上に漏れ出す可能性は低いため、モニタリングする必要性が低く、二酸化炭素固定化のための管理費用を低減することができる。
反応装置80は、反応槽81と、加温部82と、排出弁86とを含んでいる。反応槽81は、冷却装置50から二酸化炭素が供給され、原料供給装置70からアルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくともいずれか一方の元素を含む物質が供給され、水供給装置60から水が供給されるように設けられている。反応槽81では、二酸化炭素、上記物質及び水が反応して炭酸塩が生成される。
加温部82は、所定の反応温度で反応が起こるように反応槽81を加温する。反応装置80は、図3に示すように、ボイラー13で生成された蒸気によって加温されてもよい。加温部82は、具体的には、循環配管83と、流量調節部84と、温度計85とを含んでいる。循環配管83には、ボイラー13、反応槽81、流量調節部84及び温度計85が設けられている。ボイラー13から供給された水蒸気は、反応槽81を加温してボイラー13へ戻される。温度計85は反応槽81とボイラー13との間に配置されており、反応槽81からボイラー13へ戻る水蒸気の温度を測定することができる。温度計85で得られた温度に関する信号に基づいて流量調節部84の開度が調節されてもよい。
反応装置80は、上述のように室温程度で反応させてもよいが、反応速度を向上させる観点からは、反応温度が高い方が好ましい。反応装置80は図示しない加温器によって加温してもよいが、本実施形態に係る二酸化炭素固定システム1は、上述のように、酸素分離部12と、ボイラー13とを含む酸素燃焼発電装置10を備えている。そのため、ボイラー13で生成された蒸気によって反応装置80を加温することにより、二酸化炭素固定システム1全体としてエネルギー効率を向上させることができる。
反応装置80では、以下の反応式(1)に示すように水に二酸化炭素が溶解して炭酸水素イオン(HCO3-)が生成される。
CO+HO→HCO3-+H (1)
炭酸水素イオン(HCO3-)は、以下の反応式(2)に示すように反応して炭酸イオン(CO 2-)が生成される。
HCO3-→CO 2-+H (2)
アルカリ金属として、例えばリチウムを含む物質が反応槽81に投入された場合には、以下の反応式(3)に示すように反応して炭酸リチウム(LiCO)が生成される。
2Li+CO 2-→LiCO (3)
アルカリ金属として、例えばナトリウムが反応槽81に投入された場合には、以下の反応式(4)に示すように反応して炭酸ナトリウム(NaCO)が生成される。
2Na+CO 2-→NaCO (4)
アルカリ金属として、例えばカリウムが反応槽81に投入された場合には、以下の反応式(5)に示すように反応して炭酸カリウム(KCO)が生成される。
2K+CO 2-→KCO (5)
アルカリ土類金属として、例えばカルシウムを含む物質が反応槽81に投入された場合には、以下の反応式(6)に示すように反応して炭酸カルシウム(CaCO)が生成される。
Ca2++CO 2-→CaCO (6)
アルカリ土類金属として、例えばマグネシウムを含む物質が反応槽81に投入された場合には、以下の反応式(7)に示すように反応して炭酸マグネシウム(MgCO)が生成される。
Mg2++CO 2-→MgCO (7)
反応装置80の反応温度は、例えば20℃~300℃の範囲内である。反応装置80の反応圧力は、例えば0.5MPa~30MPaの範囲内である。反応装置80の反応時間は、例えば12時間以上である。反応時間が長い程反応生成物の量が多くなる傾向があるが、反応時間がある程度以上であると反応が平衡に達するため、反応時間の上限は例えば10日間である。
反応槽81で生成された炭酸塩は、排出弁86を開くことにより反応槽81から排出される。排出された炭酸塩は化学的に安定であり、常温常圧で長期間保管することができる。そのため、地下の帯水層に貯留する液体の二酸化炭素の少なくとも一部を炭酸塩に変化させることにより、モニタリングの不要な炭酸塩が生成されるため、モニタリングの負担を軽減することができる。
以上の通り、本実施形態に係る二酸化炭素固定システム1は、気体の二酸化炭素を圧縮する圧縮装置27を備える。二酸化炭素固定システム1は、圧縮装置27から送られる二酸化炭素を冷却して二酸化炭素を液化する冷却装置50を備える。二酸化炭素固定システム1は、冷却装置50から供給される二酸化炭素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくともいずれか一方の元素を含む物質と、水とを反応させて炭酸塩を生成する反応装置80を備える。
反応装置80は、二酸化炭素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくともいずれか一方の元素を含む物質と、水とを含む原料から炭酸塩を生成することができる。炭酸塩は、化学的に安定であるため、モニタリングの必要性が低く、二酸化炭素を安定して固定することができる。炭酸塩は圧力が高い方が効率よく生成することができるが、圧縮装置27は、稼働に大きなエネルギーが必要になる。しかしながら、本実施形態に係る二酸化炭素固定システム1では、冷却装置50で二酸化炭素を液化するために用いられる圧縮装置27を兼用している。そのため、本実施形態に係る二酸化炭素固定システム1は、専用の圧縮装置を用いなくても炭酸塩を生成することができる。
二酸化炭素固定システム1は、空気から酸素を分離する酸素分離部12と、酸素分離部12で分離された酸素で燃料を燃焼し、圧縮装置27に供給される気体の二酸化炭素を生成するボイラー13とをさらに備えてもよい。ボイラー13は、酸素分離部12で分離された酸素で燃料を燃焼するため、燃焼によって生成される二酸化炭素の濃度が高い。そのため、高濃度の二酸化炭素を圧縮装置27に供給し、冷却装置50で二酸化炭素を容易に液化することができる。
反応装置80はボイラー13で生成された蒸気によって加温されてもよい。ボイラー13で生成された蒸気によって反応装置80を加温することにより、二酸化炭素固定システム1全体としてエネルギー効率を向上させることができる。
二酸化炭素固定システム1は、圧縮装置27で圧縮された二酸化炭素の熱と、冷却装置50から反応装置80に向かう二酸化炭素の熱とを交換する熱交換器29をさらに備えてもよい。熱交換器29により、圧縮装置27から送られてくる二酸化炭素を冷却して冷却装置50で液化するのに必要なエネルギーを低減することができる。また、冷却装置50から反応装置80に送られる二酸化炭素を加温するのに必要なエネルギーを低減することができる。そのため、二酸化炭素固定システム1全体としてエネルギー効率を向上させることができる。
アルカリ金属はリチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素であってもよい。これらの元素は、火成岩又は花崗岩などに含まれており、容易に炭酸塩を生成することが可能である。
アルカリ土類金属はカルシウム及びマグネシウムの少なくともいずれか一方の元素であってもよい。これらの元素は、廃コンクリート、鉄鋼スラグ、安山岩、玄武岩、土壌又はフライアッシュなどに含まれており、容易に炭酸塩を生成することが可能である。また、これらは、廃材をその処理を兼ねて二酸化炭素の固定に有効活用することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正または変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
1 二酸化炭素固定システム
12 酸素分離部
13 ボイラー
27 圧縮装置
29 熱交換器
50 冷却装置
80 反応装置

Claims (4)

  1. 気体の二酸化炭素を圧縮する圧縮装置と、
    前記圧縮装置から送られる二酸化炭素を冷却して二酸化炭素を液化する冷却装置と、
    前記冷却装置から供給される液化した二酸化炭素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくともいずれか一方の元素を含む物質と、水とを反応させて炭酸塩を生成する反応装置と、
    空気から酸素を分離する酸素分離部と、
    前記酸素分離部で分離された酸素で燃料を燃焼し、前記圧縮装置に供給される前記気体の二酸化炭素を生成するボイラーと、
    を備え
    前記反応装置は前記ボイラーで生成された蒸気によって加温される、二酸化炭素固定システム。
  2. 気体の二酸化炭素を圧縮する圧縮装置と、
    前記圧縮装置から送られる二酸化炭素を冷却して二酸化炭素を液化する冷却装置と、
    前記冷却装置から供給される液化した二酸化炭素と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくともいずれか一方の元素を含む物質と、水とを反応させて炭酸塩を生成する反応装置と、
    前記圧縮装置で圧縮された二酸化炭素の熱と、前記冷却装置から前記反応装置に向かう二酸化炭素の熱とを交換する熱交換器と、
    を備える、二酸化炭素固定システム。
  3. 前記アルカリ金属はリチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素である、請求項1又は2に記載の二酸化炭素固定システム。
  4. 前記アルカリ土類金属はカルシウム及びマグネシウムの少なくともいずれか一方の元素である、請求項1~のいずれか一項に記載の二酸化炭素固定システム。
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