JP7620732B2 - 運転席用エアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のステアリングホイールに設置される運転席用エアバッグ装置に関する。
現在、車両のステアリングホイールには、運転席用エアバッグ装置がほぼ標準装備されている。運転席用エアバッグ装置のエアバッグクッションは、主にステアリングホイールの中央のハブに収容されていて、樹脂製のカバー等をその膨張圧で開裂して乗員の前方に膨張展開する。
上記エアバッグクッションには、乗員のより効率的な拘束が求められている。本願の発明者らは、人体の構造上、乗員の頭部を回転させる動きが身体に負担を与えやすいことに着目し、乗員の頭部の回転を抑えたまま効率よく拘束できるエアバッグクッションの開発を進めている。
例えば、進行方向に対して斜めからの衝突であるオブリーク衝突が生じた場合、乗員はエアバッグクッションに斜めに進入し、頭部が回転しやすいことが判明している。このことを鑑みて、本願出願人は、例えば特許文献1の図2に開示されているように、エアバッグクッション104の乗員側の中央に、内部テザー116を利用した凹部114を形成する技術を開発している。
特開2020-37382号公報
上記特許文献1の技術では、凹部114を形成するために、中央基布118や計3本の内部テザー116などの部品を利用している。この技術とは別に、現在ではさらに簡潔な部品構成で凹部114と同等の窪みを形成する技術も開発が進められている。
本発明は、このような課題に鑑み、簡潔な構成で運転者の傷害値を抑えることが可能な運転席用エアバッグ装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる運転席用エアバッグ装置の代表的な構成は、車両のステアリングホイールに設置されるインフレータと、インフレータと共にステアリングホイールに収容されインフレータからガスを受給して運転者に向かって膨張展開するエアバッグクッションとを備える車両用エアバッグ装置であって、エアバッグクッションは、ステアリングホイール側に位置するリアパネルと、運転者側に位置し運転者を拘束するフロントパネルと、リアパネルの縁とフロントパネルの縁とをつないでいてエアバッグクッションの側部を構成するサイドパネルと、を有し、フロントパネルは、円環状の円環パネルと、扇形であって円弧部分が円環パネルの内周部分に接続される1または複数の扇形パネルと、を有し、エアバッグクッションはさらに、エアバッグクッションの内部にて扇形パネルをリアパネル側に引っ張る内部テザーを有することを特徴とする。
上記構成によれば、内部テザーが扇形パネルを引っ張ることで、フロントパネルの中央に円錐状に窪んだ凹部を効率よく形成することができる。この凹部によれば、オブリーク衝突などによって運転者が斜め前方へ進入したとき、単なる平面で運転者を拘束する場合に比べて、頭部の回転を抑えることができる。したがって、上記構成によれば、運転者をその傷害値をより抑えて拘束することができる。
加えて、上記構成では、扇形パネルと内部テザーとを利用した簡潔な構成で凹部を形成することが可能になっている。そのため、上記構成であれば、パネル等の材料の使用量が少なくて済み、軽量化や材料歩留まりの向上による低コスト化を達成でき、さらにはエアバッグクッションをよりコンパクトに畳んで収納することも可能になる。
上記の1または複数の扇形パネルは、複数設けられ、複数の扇形パネルは、直線部分が互いに接続されてもよい。
上記1または複数の扇形パネルを利用することで、円錐状に窪んだ凹部を効率よく形成することが可能になる。
上記の内部テザーは、一端が1または複数の扇形パネルの中心角の部分に接続されてもよい。
上記構成によれば、内部テザーによって扇形パネルの中心角の部分を引っ張ることで、円錐状に窪んだ凹部を効率よく形成することが可能になる。
上記の内部テザーは、扇形パネルと一体に形成されていてもよい。
上記の内部テザーによっても、扇形パネルをリアパネル側に効率よく引っ張ることが可能になる。
上記のサイドパネルは、フロントパネル側に大きい円弧を有する環状扇型であってもよい。
上記サイドパネルがエアバッグクッションの側部を形成することで、余計な膨らみを抑えつつ、運転者に向かって次第に径が広がった形のエアバッグクッションを実現することができる。
上記のサイドパネルは、複数のサブパネルを組み合わせた状態になっていてもよい。
上記複数のサブパネルをつなぎ合わせることによっても、エアバッグクッションの側部を好適に形成することが可能である。
上記の円環パネルの内周部分は、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも大きくてもよい。
上記構成によれば、フロントパネルの中央に上下に長い凹部を形成することができる。この凹部によれば、体格差のある様々な運転者を拘束し、その頭部の回転を抑えることが可能になる。
上記の運転者は、大柄な成人男性および小柄な成人女性を含んでいて、内周部分の上下方向の寸法は、少なくとも運転席に正規の姿勢で着座した大柄な成人男性の頭部重心から小柄な成人女性の頭部重心までの上下方向の距離よりも大きいとよい。
上記構成によれば、フロントパネルの中央の上下に長い凹部を利用して、大柄な成人男性の頭部や小柄な成人女性の頭部まで、体格の異なる様々な運転者の頭部を拘束することが可能になる。
上記のインフレータの一部は、リアパネルからエアバッグクッション内に挿入されていて、一部には所定のガス排出口が形成されていて、エアバッグクッションはさらに、リアパネルに接続されていてインフレータの一部を覆う整流布を有し、整流布は、インフレータの一部の下方に開口部を有しているとよい。
上記の整流布であれば、インフレータから供給されるガスを開口部を通じて下方へと流すことができ、エアバッグクッションを下部側から膨張させることができる。したがって、エアバッグクッションは、乗員の腹部方向に早期に展開を開始し、ステアリングホイールと乗員の腹部との間に迅速に入り、腹部から初期拘束を開始することが可能となる。
本発明によれば、簡潔な構成で運転者の傷害値を抑えることが可能な運転席用エアバッグ装置を提供することができる。
本発明の実施形態にかかる運転席用エアバッグ装置の概要を例示する図である。 図1(b)の膨張展開時のエアバッグクッションの斜視図である。 図2(a)のエアバッグクッションを構成する各パネルを例示した図である。 図1(b)のエアバッグクッションのA-A断面図である。 図1(b)のエアバッグクッションがオブリーク衝突時に運転者を拘束する過程を例示した図である。 図3に例示したリアパネルおよびサイドパネルの変形例である。 図1(b)のエアバッグ装置の変形例を例示した図である。 図7(a)のエアバッグクッションがオブリーク衝突時に運転者を拘束する過程を例示した図である。 図7(b)のエアバッグクッションの内部構造の変形例を例示した図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の実施形態にかかる運転席用エアバッグ装置(以下、エアバッグ装置100)の概要を例示する図である。図1(a)はエアバッグ装置100の可動前の状態を例示した図である。当該エアバッグ装置100は、図1(b)に示すように、左ハンドル車における前列左側の運転席102のフロンタルエアバッグとして実施されている。
本実施形態においては、運転者166(図5(a)参照)が正規の姿勢で運転席102に着座した際に、運転者166が向いている方向を前方、その反対方向を後方と称し、座標の軸を示すときは前後方向とする。また運転者166が正規の姿勢で運転席102に着座した際に、運転者166の右側を右方向、運転者166の左側を左方向と称し、座標の軸を示すときは左右方向とする。更に、運転者166が正規の姿勢で着座した際に、運転者166の頭部方向を上方、運転者166の腰部方向を下方と称し座標の軸を示すときは上下方向とする。
以下、本発明の実施形態の説明において用いる図面では、必要に応じて、上述した運転者166を基準とした前後左右上下方向を、矢印F(Forward)、B(Back)、L(Left)、R(Right)、U(up)、D(down)で示す。
図1(a)のエアバッグ装置100は、ステアリングホイール106に設置されていて、車両に衝撃が発生した場合などの緊急時に、運転席102に着座した運転者166(図5(a)等参照)をエアバッグクッション108(図1(b)参照)によって拘束して保護する。エアバッグクッション108は、ガスで膨張可能な袋状の部材であって、巻回や折り畳みによって小さくまとめられた収納形態となって、ステアリングホイール106の中央の収容部110にインフレータ112(図2(a)参照)と共に収容されている。
収容部110は、ステアリングホイール106のリム114よりも中央側に設けられていて、表面がカバー111で覆われている。カバー111は、内側に溝状のテアライン等が設けられていて、エアバッグクッション108(図1(b)参照)の膨張展開時に開裂する仕組みになっている。
図1(b)は、エアバッグ装置100の可動後の状態を例示した図である。クッション104は、インフレータ112(図2(a)参照)からのガスによる膨張圧でカバー111(図1(a)参照)を開裂しながら運転席102の運転者166(図5(a)参照)に向かって袋状に膨張展開し、前方へ移動しようとする運転者166の上半身や頭部を拘束する。
エアバッグクッション108は、運転席側から見て、円形であって中央に凹部126が形成された形状に膨張展開する。エアバッグクッション108は、その表面を構成する複数の基布を重ねて縫製または接着すること等によって形成されている。
図2は、図1(b)の膨張展開時のエアバッグクッション108の斜視図である。図2(a)は、図1(b)のエアバッグクッション108を車幅方向左側のやや上方から見て例示した図である。図2(a)では、エアバッグクッション108を構成するパネルの一部を切り欠いて、内部のインフレータ112を露出させている。
本実施形態のエアバッグクッション108は、円錐台に沿った形状に膨張展開する。エアバッグクッション108は複数のパネルから形成されていて、運転者側に位置するフロントパネル120、ステアリングホイール106側(図1(a)参照)に位置するリアパネル122、およびこれらフロントパネル120とリアパネル122とをつないでエアバッグクッション108の側部を構成するサイドパネル124とを含んでいる。フロントパネル120には、中央に凹部126が形成されている。サイドパネル124には、ガスを排出するベントホール128aが設けられている。
インフレータ112は、ガス発生装置であって、収容部110の底に固定される。インフレータ112は、不図示のセンサから送られる衝撃の検知信号に起因して可動し、エアバッグクッション108にガスを供給する。インフレータ112は、ディスク型であって、円柱状の本体部130と、本体部130の側面に設けられたガス噴出孔132と、本体部130の外周に設けられたフランジ134とを有している。
インフレータ112は、複数のスタッドボルト136が設けられている。スタッドボルト136は、エアバッグクッション108のリアパネル122を貫通し、ステアリングホイール106(図1(a)参照)の収容部110の底部に締結される。このスタッドボルト136の締結によって、エアバッグクッション108も収容部110の内部に固定されている。
なお、現在普及しているインフレータには、ガス発生剤が充填されていてこれを燃焼させてガスを発生させるタイプや、圧縮ガスが充填されていて熱を発生させることなくガスを供給するタイプ、または燃焼ガスと圧縮ガスとを両方利用するハイブリッドタイプのものなどがある。インフレータ112としては、いずれのタイプのものも利用可能である。
図2(b)は、図2(a)のサイドパネル124等を透過して凹部126を例示した図である。本実施形態のエアバッグクッション108は、運転者側のフロントパネル120の中央に、円錐状の凹部126が形成されている。
フロントパネル120は、外側の円環パネル138と、内側の左右2枚の扇形パネル140、142とで構成されている。凹部126は、扇形パネル140、142を内部テザー144でリアパネル122側に引っ張ることで形成されている。当該凹部126は、後述する図5に例示するように、乗員拘束時において運転者166(図5(a)参照)の頭部168の回転を抑制するために利用される。
図3は、図2(a)のエアバッグクッション108を構成する各パネルを例示した図である。図3では、各パネルを平面上に広げた状態で例示している。
図3(a)は、図2(a)の円環パネル138を例示した図である。円環パネル138は、フロントパネル120の外周側を形成する円環状のパネルである。円環パネル138は、エアバッグクッション108の膨張展開時において、扇形パネル140、142(図2(a)参照)と共に乗員拘束面を形成して運転者166を拘束する。
図3(b)は、図2(b)の扇形パネル140を例示した図である。扇形パネル140、142は同じ構成であるため、代表して扇形パネル140を例に挙げる。扇形パネル140は、扇形であって、円弧部分146が円環パネル138の内周部分148に接続され、直線部分150、152が他の扇形パネル142の直線部分に接続される。
本実施形態では、円錐状の凹部126を形成するにあたって2枚の扇形パネル140、142を利用している。なお、他の形態として、円錐状の凹部126は、1枚の面積の広い扇形パネルによって形成することも、3枚以上の扇形パネルによっても形成することが可能である。
扇形パネル140には、内部テザー144が一体に形成されている。内部テザー144は、エアバッグクッション108の内部にて、扇形パネル140をリアパネル122側に引っ張る帯状の部分である。内部テザー144は、他の扇形パネル142の内部テザーと重ねて互いに接合される。
内部テザー144は、一端144aが扇形パネル140の中心角154の部分に接続され、他端144bがリアパネル122の固定領域156(図3(c)参照)の周囲に接続される。この構成によって、内部テザー144は、扇形パネル140の中心角154の部分をリアパネル122側に引っ張り、円錐状の凹部126を効率よく形成することができる。
他の形態として、内部テザー144の他端144bは、インフレータ112や、インフレータ112を固定するときに使用する不図示のリテーナ、さらには収容部110(図1(a)参照)の底部など、エアバッグクッション108の車両側の部分に適宜接続することができる。
図3(c)は、図2(a)のリアパネル122を例示した図である。リアパネル122は、円形であって、エアバッグクッション108の膨張展開時にはステアリングホイール106(図1(a)参照)から反力を得る反力面を形成する。当該エアバッグクッション108は運転者側に広がる円錐台状に膨張展開するため、リアパネル122は円環パネル138(図3(a)参照)よりも径が小さい構成になっている。
リアパネル122の中央には、インフレータ112(図2(a)参照)が挿入され、収容部110に固定される領域として、固定領域156が形成されている。
図3(d)は、図2(a)のサイドパネル124を例示した図である。サイドパネル124は、環状扇形の構成になっている。サイドパネル124には、2つのベントホール128a、128bが設けられている。
サイドパネル124が有する2つの弧158、160のうち、大径側の弧158はフロントパネル120の縁となる円環パネル138の外周部分174に縫製され、小径側の弧160はリアパネル122の縁に縫製される。サイドパネル124の両端162、164は、互いに縫製される。当該環状扇形のサイドパネル124がリアパネル122の縁とフロントパネル120の縁とをつなぎ、エアバッグクッション108の側部を形成することで、余計な膨らみを抑えつつ、運転者166(図5(a)参照)に向かって次第に径が広がった形状のエアバッグクッション108を実現することができる。
図4は、図1(b)のエアバッグクッション108のA-A断面図である。内部テザー144の一端144aから他端144bまでの寸法L1は、エアバッグクッション108の膨張展開時において、扇形パネル140、142とリアパネル122との間で緊張し、扇形パネル140、142をリアパネル122側に引っ張ることができる寸法に形成されている。この構成によって、頂点が内部テザー144によってリアパネル122側に引っ張られた円錐状の凹部126を形成することができる。
なお、内部テザー144は、扇形パネル140と一体に形成された構成に限らず、別部材として形成してから扇形パネル140に接続させることも可能であり、いずれの構成によっても扇形パネル140をリアパネル122側に引っ張ることができる。
図5は、図1(b)のエアバッグクッション108がオブリーク衝突時に運転者166を拘束する過程を例示した図である。図5の各図は、図4のエアバッグクッション108のA-A断面図に対応していて、エアバッグクッション108および運転者166を車両上方から見て例示している。
図5(a)は、エアバッグクッション108が膨張展開した直後の様子を例示した図である。図5(a)に例示するように、車両にオブリーク衝突による衝撃が発生すると、エアバッグクッション108が運転席102(図1(b)参照)の車両前方に膨張展開する。
図5(b)は、図5(a)の運転者166が車両前方に移動した様子を例示した図である。運転者166は、オブリーク衝突時の慣性によって、例えば図5(a)の状態から車幅方向左斜め前方に移動することがある。
図5(c)は、図5(b)の運転者166がさらに車両前方に移動した様子を例示した図である。斜め前方に移動した運転者166は、例えば左肩を円環パネル138に接触させつつ、頭部168の左側から凹部126の扇形パネル142に接触する。
凹部126を形成するフロントパネル120であれば、従来の平面状に広がる単一のフロントパネル120と比べて、円環パネル138付近の張力を抑えつつ、扇形パネル142によって頭部168を斜め前方から拘束することができる。これによって、当該エアバッグクッション108は、運転者166の頭部168の肩170に対する回転172を最小限にし、頭部168の動きを肩172の動きとそろえて拘束することができる。
これらのように、当該エアバッグクッション108では、通常の衝突時に乗員拘束を図るだけでなく、オブリーク衝突時において運転者166の頭部168の回転172を大幅に減少または打消し、頭部168の角速度を小さくすることで頭部168の回転172に伴う運転者166の傷害値を抑えることが可能になっている。
以上のように、本実施形態では、内部テザー144が扇形パネル140、142を引っ張ることで、フロントパネル120の中央に円錐状に窪んだ凹部126を効率よく形成することが可能になっている。この凹部126によれば、オブリーク衝突などによって運転者104が斜め前方へ進入したとき、単なる平面で運転者104を拘束する場合に比べて、頭部168の回転172を抑えることができる。したがって、上記構成によれば、運転者104をその傷害値をより抑えて拘束することができる。
加えて、本実施形態では、扇形パネル140、142と内部テザー144とを利用した簡潔な構成で凹部126を形成している。そのため、本実施形態であれば、パネル等の材料の使用量が少なくて済み、軽量化や材料歩留まりの向上による低コスト化を達成でき、さらにはエアバッグクッション108をよりコンパクトに畳んで収納することも可能になる。
なお、上記図5(c)を参照した説明では、頭部168に生じる回転の例として時計回りの回転172を挙げた。しかし、緊急時の状況によっては、例えば運転者166は車幅方向右斜め前方に移動し、頭部168には上方から見て首を中心に反時計回りの回転が生じる場合もある。この反時計回りの回転に対しても、本実施形態のエアバッグクッション108であれば、凹部126を利用して頭部168の回転を減少または打ち消し、頭部168の角速度を小さくすることができる。このように、本実施形態のエアバッグクッション108は、車幅方向のいずれに移動する運転者166に対しても、同様の効果を得ることができる。
(変形例)
以下、上述したエアバッグ装置100の各構成要素の変形例について説明する。以降の図6から図9に例示する各変形例において、既に説明した構成要素と同じものについては、同じ符号を付することによって説明を省略する。また、既に説明した構成要素と同じ名称のものについても、例え異なる符号を付していても、特に明記しない場合は同じ機能を有するものとする。
図6は、図3に例示したリアパネル122およびサイドパネル124の変形例である。図6(a)は、変形例のリアパネル180を例示した図である。リアパネル180は、四角形に形成されている。この構成のリアパネル180によっても、エアバッグクッション108(図1(b)参照)の膨張展開時にステアリングホイール106(図1(a)参照)から反力を得る反力面として機能することが可能である。
図6(b)は、変形例のサイドパネル(サブパネル182、184)を例示した図である。サブパネル182、184は、台形型であって、互いにつなぎ合わせることでサイドパネルとして機能する。
サブパネル182は、例えば台形の下底に相当する長辺186で円環パネル138(図3(a)参照)の外周部分に縫製し、上底に相当する短辺188でリアパネル180(図6(a)参照)の縁に縫製することができる。そして、側辺190、192を他のサブパネル184の側辺とつなぎ合わせることで、これら複数のサブパネル180、184によってもエアバッグクッション108の側部を好適に形成することができる。
図7は、図1(b)のエアバッグ装置100の変形例(エアバッグ装置200)を例示した図である。図7(a)は、図1(b)に対応してエアバッグ装置200を運転席102側から見て例示している。
当該エアバッグ装置200のエアバッグクッション202が採用する円環パネル206は、内周部分208の上下方向の寸法W1が、左右方向の寸法W2よりも大きく設定されている(W1>W2)。よって、エアバッグクッション202のフロントパネル204の中央には、上下に長い凹部210が形成されている。
図7(b)は、図7(a)のエアバッグクッション202のB-B断面図である。図7(b)は、二人の運転者212、214を例示している。
運転者212は、自動車の前面衝突試験用の人体ダミーであるHybridIII(ハイブリッドスリー)のAM50ダミーおよびAM95ダミー、並びにThorダミーのいずれをも含めたものとして例示している。AM50ダミーは、平均的な体格の米国成人男性をモデルとして、身長175cm、座高88cm、体重約78kgの人物を模した人体ダミーである。AM95ダミーは、大柄な体格の米国成人男性をモデルとして、身長183cm、座高94cm、体重約101kgの人物を模した人体ダミーである。Thorダミーは、HybridIIIダミーの後継として開発された人体ダミーであり、平均的な体格の男性のみをモデルにしている。これら人体ダミーは、NHTSA(National Highway Traffic Safety Administration:米国高速道路交通安全協会)の規格に基づいて作成されている。
運転者214は、上述したHybridIIIダミーのうちのAF05を想定して例示している。AF05は、小柄な体格の女性をモデルとして、身長145cm、座高79cm、体重約45kgの人物を模した人体ダミーである。
本実施例のエアバッグクッション202における内周部分208の上下方向の寸法W1は、運転席102(図1(b)参照)に正規の姿勢で着座した大柄な成人男性の運転者212の頭部重心P1から、小柄な成人女性の運転者214の頭部重心P2までの上下方向の距離D1よりも、大きく設定している(W1>D1)。
当該エアバッグクッション202によれば、フロントパネル204の中央の上下に長い凹部210を利用して、大柄な成人男性の運転者212の頭部や小柄な成人女性の運転者214の頭部まで、体格の異なる様々な運転者の頭部を凹部210の範囲内に収めて拘束することが可能である。
図8は、図7(a)のエアバッグクッション202がオブリーク衝突時に運転者212を拘束する過程を例示した図である。図8の各図は、図7(a)のエアバッグクッション202のC-C断面図に対応していて、エアバッグクッション202および運転者212を車両上方から見て例示している。
図8(a)は、エアバッグクッション202が膨張展開した直後の様子を例示した図である。図8(a)に例示するように、車両にオブリーク衝突による衝撃が発生すると、エアバッグクッション202が運転席106(図1(b)参照)の車両前方に膨張展開する。
本実施例では、円環パネル206の内周部分208の左右方向の寸法W2は、運転者212が斜め前方に進入したときにも凹部210で運転者212の頭部を拘束することができるよう、少なくとも運転者212の頭部よりもある程度広めに設定している。
図8(b)は、図8(a)の運転者212がエアバッグクッション202に進入した様子を例示した図である。斜め前方に移動した運転者212は、例えば右肩216を円環パネル206に接触させつつ、頭部の右側から凹部210の扇形パネル140に接触する。
凹部210を形成するフロントパネル204においても、従来の平面状に広がる単一のフロントパネルと比べて、円環パネル206付近の張力を抑えつつ、扇形パネル140、142によって運転者212の頭部を斜め前方から拘束することができる。これによって、当該エアバッグクッション202もまた、運転者212の頭部の肩に対する回転218を最小限にし、頭部の動きを肩の動きとそろえて拘束することができる。
これらのように、当該エアバッグクッション202もまた、通常の衝突およびオブリーク衝突の両方において、運転者212の頭部の回転218を大幅に減少または打消し、頭部の角速度を小さくすることで頭部の回転218に伴う運転者212の傷害値を抑えることが可能になっている。特に、当該エアバッグクッション202であれば、フロントパネル204の中央の上下に長い凹部210を利用して、大柄な成人男性の運転者212の頭部から小柄な成人女性の運転者214の頭部まで、体格の異なる様々な運転者の頭部を拘束することが可能である。
本実施形態においても、内部テザー144が扇形パネル140、142を引っ張ることで、フロントパネル204の中央に円錐状に窪んだ凹部210を効率よく形成することが可能になっている。そのため、図5のエアバッグクッションと同様に、扇形パネル140、142と内部テザー144とを利用した簡潔な構成で凹部210を形成していて、低コスト化およびよりコンパクトな収納を達成することが可能になっている。
図9は、図7(b)のエアバッグクッション202の内部構造の変形例を例示した図である。図9(a)は、図7(b)のエアバッグクッション202の各パネルを透過して内部構造を例示している。エアバッグクッション202には、新たな内部構造として、整流布360が備えられている。
整流布360は、インフレータ112(図8(a)参照)のガスを特定の方向に導く部材であり、エアバッグクッション202の内部にて、挿入されたインフレータ112のガス噴出孔132(図2(a)参照)を有する部分を覆った状態で、リアパネル122に接続されている。整流布360は、インフレータ112の下方にガスを排出する開口部364を有し、側部にもガスを排出する小径の排気口366a、366b(図9(c)参照)を有している。
図9(b)は、図9(a)の整流布360を側方から例示した図である。整流布360は、縫製によって袋状に形成されていて、下方側の縁が開放されて開口部364が形成されている。
図9(c)は、図9(b)の整流布360の縫製を解いて平面上に広げた状態を例示している。整流布360は、中央にインフレータ112(図2(a)参照)の一部が挿入される挿入口368が設けられていて、インフレータ112のスタッドボルト136によってリアパネル122と共に収容部110(図1(a)参照)の内側に固定される。
排気口366a、366bは、左右の二箇所に設けられていて、ガスをエアバッグクッションの中央付近へと供給する。開口部364は、排気口366a、266bよりも大きな径に形成され、排気口366a、266bよりもガスの通過量が多くなるよう設定されている。
上記の整流布360によって、インフレータ112(図2(a)参照)から供給されるガスは、開口部364を通じてエアバッグクッション202(図9(a))の上部202aよりも下部202bへと優先的に供給される。これによって、エアバッグクッション202は、下部202b側から運転者の腹部方向に向かって早期に展開を開始する。
上記構成によれば、エアバッグクッション202は、下部202bを早期にステアリングホイール106(図7(b)参照)と運転者212、214の腹部との間に入り込ませ、運転者212、214に対して腹部から初期拘束を開始しつつ、下部202bをステアリングホイール106と腹部とに挟持させて全体の姿勢を安定させることが可能になる。
特に、体格の小柄な成人女性の運転者214(図7(b)参照)は、運転席102を通常よりも前寄りに移動させ、ステアリングホイール106に近づいた状態で運転する場合が多い。このような場合にも、当該エアバッグクッション202であれば、整流布360を利用して下部202bを早期に膨張展開させ、運転者214の腹部をステアリングホイール106のリムに接触しないよう保護することが可能である。
なお、整流布360は、上述した内部テザー144とも同時に実施することが可能である。このとき、内部テザー144は、整流布360の開口部364および排気口366a、366bからのガスの流れを阻害しない位置に設けると好適である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、上記実施形態においては本発明にかかるエアバッグ装置を自動車に適用した例を説明したが、自動車以外にも航空機や船舶などに適用することも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、車両のステアリングホイールに設置される車両用エアバッグ装置に利用することができる。
100…エアバッグ装置、102…運転席、106…ステアリングホイール、108…エアバッグクッション、110…収容部、111…カバー、112…インフレータ、114…リム、120…フロントパネル、122…リアパネル、124…サイドパネル、126…凹部、128a、128b…ベントホール、130…本体部、132…ガス噴出孔、134…フランジ、136…スタッドボルト、138…円環パネル、140、142…扇形パネル、144…内部テザー、144a…一端、144b…他端、146…円弧部分、148…内周部分、150、152…直線部分、154…中心角、156…固定領域、158…弧、160…弧、162、164…両端、166…運転者、168…頭部、170…肩、172…回転、174…外周部分、180…リアパネル、182、184…サブパネル、186…長辺、188…短辺、190、192…側辺、L1…寸法、200…エアバッグ装置、202…エアバッグクッション、202a…上部、202b…下部、204…フロントパネル、206…円環パネル、208…内周部分、210…凹部、212、214…運転者、216…右肩、218…回転、D1…距離、P1、P2…頭部重心、W1、W2…寸法、360…整流布、364…開口部、366a、366b…排気口、368…挿入口

Claims (9)

  1. 車両のステアリングホイールに設置されるインフレータと、該インフレータと共に該ステアリングホイールに収容され該インフレータからガスを受給して運転者に向かって膨張展開するエアバッグクッションとを備える車両用エアバッグ装置であって、
    前記エアバッグクッションは、
    前記ステアリングホイール側に位置するリアパネルと、
    前記運転者側に位置し該運転者を拘束するフロントパネルと、
    前記リアパネルの縁と前記フロントパネルの縁とをつないでいて該エアバッグクッションの側部を構成するサイドパネルと、
    を有し、
    前記フロントパネルは、
    円環状の円環パネルと、
    扇形であって円弧部分が前記円環パネルの内周部分に接続される1または複数の扇形パネルと、
    を有し、
    前記エアバッグクッションはさらに、該エアバッグクッションの内部にて前記扇形パネルを前記リアパネル側に引っ張る内部テザーを有することを特徴とする運転席用エアバッグ装置。
  2. 前記1または複数の扇形パネルは、複数設けられ、
    前記複数の扇形パネルは、直線部分が互いに接続されることを特徴とする請求項1に記載の運転席用エアバッグ装置。
  3. 前記内部テザーは、一端が前記1または複数の扇形パネルの中心角の部分に接続されることを特徴とする請求項2に記載の運転席用エアバッグ装置。
  4. 前記内部テザーは、前記扇形パネルと一体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の運転席用エアバッグ装置。
  5. 前記サイドパネルは、前記フロントパネル側に大きい円弧を有する環状扇型であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の運転席用エアバッグ装置。
  6. 前記サイドパネルは、複数のサブパネルを組み合わせた状態になっていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の運転席用エアバッグ装置。
  7. 前記円環パネルの内周部分は、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の運転席用エアバッグ装置。
  8. 前記運転者は、大柄な成人男性および小柄な成人女性を含んでいて、
    前記内周部分の上下方向の寸法は、少なくとも運転席に正規の姿勢で着座した前記大柄な成人男性の頭部重心から前記小柄な成人女性の頭部重心までの上下方向の距離よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の運転席用エアバッグ装置。
  9. 前記インフレータの一部は、前記リアパネルから前記エアバッグクッション内に挿入されていて、該一部には所定のガス排出口が形成されていて、
    前記エアバッグクッションはさらに、前記リアパネルに接続されていて前記インフレータの一部を覆う整流布を有し、
    前記整流布は、前記インフレータの一部の下方に開口部を有していることを特徴とする請求項7に記載の運転席用エアバッグ装置。
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