<実施形態1>
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付す。
[無線電力伝送システムの構成]
図4に本実施形態に係る無線充電システムを示す。無線充電システムは、送電装置(第1送電装置401、第2送電装置402)及び受電装置(第1受電装置411及び第2受電装置412)を含んで構成される。なお、以下では、第1送電装置401及び第1受電装置411を、それぞれ「TX1」及び「RX1」と呼ぶ場合があり、同様に、第2送電装置402及び第2受電装置412を、それぞれ「TX2」及び「RX2」と呼ぶ場合がある。
受電装置は、送電装置から受電して内蔵バッテリに充電を行う電子機器である。送電装置は、送電装置上に載置された受電装置に対して無線で送電する電子機器である。なお、受電装置と送電装置は無線充電以外のアプリケーションを実行する機能を有しうる。受電装置の一例はスマートフォンであり、送電装置の一例はそのスマートフォンを充電するためのアクセサリ機器である。受電装置及び送電装置は、タブレットや、ハードディスク装置やメモリ装置などの記憶装置であってもよいし、パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置であってもよい。また、受電装置及び送電装置は、例えば、撮像装置(カメラやビデオカメラ等)、自動車、ロボット、医療機器、プリンターであってもよい。また、受電装置は、電気自動車であってもよい。また、送電装置は、自動車内のコンソール等に設置される充電器であってもよいし、電気自動車を充電する充電装置でもよい。
なお、これらの送電装置及び受電装置は、それぞれBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)による通信機能を有するものとする。具体的には、送電装置及び受電装置は、Bluetooth 4.0以降の規格に基づいて通信を行う。また、図4には、本無線充電システムの周囲には、一例として、BLEによる通信機能を有するが、無線電力伝送の機能を有しない他の装置(第1通信装置421及び第2通信装置422)が存在する場合を示す。なお、以下では、BLEの通信部(アンテナや通信回路等によって構成されるユニット)を「BLE」と呼ぶ場合がある。送電装置と受電装置の詳細な構成については図1及び図2を用いて後述する。
本システムでは、非接触充電の標準化団体Wireless Power Consortium(WPC)が策定する規格(WPC規格)に基づいて、無線充電のための電磁誘導方式を用いた無線電力伝送を行う。すなわち、受電装置と送電装置は、受電装置の受電アンテナ205と送電装置の送電アンテナ105との間で、WPC規格に基づく無線充電のための無線電力伝送を行う。なお、本システムに適用される無線電力伝送方式は、WPC規格で規定された方式に限られず、他の電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界共鳴方式、マイクロ波方式、レーザー等を利用した方式であってもよい。また、本実施形態では、無線電力伝送が無線充電に用いられるものとするが、無線充電以外の用途で無線電力伝送が行われてもよい。
WPC規格では、受電装置が負荷(例えば、充電用の回路、バッテリー等)に出力可能であることが保証される電力の大きさが、Guaranteed Power(以下、「GP」と呼ぶ)と呼ばれる値によって規定される。GPは、例えば受電装置と送電装置の位置関係が変動して受電アンテナ205と送電アンテナ105との間の送電効率が低下したとしても、受電装置の負荷(例えば、充電用の回路、バッテリー等)への出力が保証される電力値を示す。例えばGPが5ワットの場合、受電アンテナ205と送電アンテナ105の位置関係が変動して送電効率が低下したとしても、送電装置は、受電装置内の負荷へ5ワットを出力することができるように制御して送電を行う。また、GPは、送電装置と受電装置とが行う交渉により決定される。なお、GPに限らず、送電装置と受電装置とが互いに交渉を行うことにより決定される電力で送受電が行われる構成において、本実施形態は適用可能である。
また、送電装置から受電装置へ送電を行う際に、送電装置の近傍に受電装置ではない物体である異物が存在する場合、送電のための電磁波が異物に影響して異物の温度を上昇させたり異物を破壊したりしてしまう虞がある。そこでWPC規格では、異物が存在する場合に送電を停止することで異物の温度上昇や破壊を防げるように、送電装置が送電装置の上に異物が存在することを検出する手法が規定されている。具体的には、送電装置における送電電力と受電装置における受電電力の差分により異物を検出するPower Loss(パワーロス)法が規定されている。また、送電装置における送電アンテナ105(送電アンテナ)の品質係数(Q値)の変化により異物を検出するQ値計測法が規定されている。なお、本実施形態における送電装置が検出する異物は送電装置の上に存在する物体に限定されない。送電装置は、送電装置の近傍に位置する異物を検出すればよく、例えば送電装置が送電可能な範囲に位置する異物を検出することとしてもよい。また、異物検出方法は、上記の方法に限られず、波形減衰法であってもよい。波形減衰法とは、電力の送電を一時停止、あるいは送電する電力を一時低下させ、その時の送電に係る送電波形(電圧の波形又は電流の波形)の減衰状態に基づいて異物検出を行う方法である。
WPC規格で規定されているPower Loss法に基づく異物検出について、図13を用いて説明する。図13の横軸は送電装置の送電電力、縦軸は受電装置の受電電力である。本開示における異物とは、例えば、クリップ、またはICカード等である。受電装置および受電装置が組み込まれた製品または送電装置および受電装置が組み込まれた製品に不可欠な部分の物体のうち、送電アンテナが送電する無線電力にさらされたときに意図せずに熱を発生する可能性のある物体は、異物には当たらない。
まず、送電装置は第1送電電力値Pt1で受電装置に対して送電を行う。受電装置は、第1受電電力値Pr1で受電する(この状態をLight Loadの状態(軽負荷状態)という)。そして、送電装置は第1送電電力値Pt1を記憶する。ここで、第1送電電力値Pt1、又は第1受電電力値Pr1は、予め定められた最小の送電電力又は受電電力である。このとき、受電装置は受電する電力が最小の電力となるように、負荷を制御する。たとえば、受電装置は、受電した電力が負荷(充電回路とバッテリなど)に供給されないように、受電アンテナ205から負荷を切断してもよい。続いて、受電装置は、第1受電電力の電力値Pr1を送電装置に報告する。受電装置からPr1を受信した送電装置は、送電装置と受電装置との間の電力損失はPt1-Pr1(=Ploss1)であると算出し、Pt1とPr1との対応を示すキャリブレーションポイント2000を作成することができる。
続いて、送電装置は、送電電力値を第2送電電力値Pt2に変更し、受電装置に対して送電を行う。受電装置は、第2受電電力値Pr2で受電する(この状態をConnected Loadの状態(負荷接続状態)という)。そして、送電装置は第2送電電力値Pt2を記憶する。ここで、第2送電電力値Pt2、又は第2受電電力値Pr2は、予め定められた最大の送電電力又は受電電力である。このとき、受電装置は受電する電力が最大の電力となるように、負荷を制御する。たとえば、受電装置は、受電した電力が負荷に供給されるように、受電アンテナ205と負荷を接続する。続いて、受電装置はPr2を送電装置に報告する。受電装置からPr2を受信した送電装置は、送電装置と受電装置との間の電力損失はPt2-Pr2(=Ploss2)であると算出し、Pt2とPr2との対応を示すキャリブレーションポイント2001を作成することができる。
そして送電装置はキャリブレーションポイント2000とキャリブレーションポイント2001の間を直線補間する直線2002を作成する。直線2002は送電装置と受電装置の近傍に異物が存在しない状態における送電電力と受電電力の関係を示している。送電装置は直線2002に基づいて、異物がない状態において所定の送電電力で送電した場合に受電装置が受電する電力値を予想することができる。例えば、送電装置が第3送電電力値Pt3で送電した場合は、直線2002上のPt3に対応する点2003から、受電装置が受電する第3受電電力値はPr3になると推測することができる。
以上のように、負荷を変えながら測定した送電装置の送電電力値と受電装置の受電電力値との複数の組み合わせに基づいて、負荷に応じた送電装置と受電装置との間の電力損失を求めることができる。また、複数の組み合わせからの補間により、すべての負荷に応じた送電装置と受電装置との間の電力損失を推定することができる。このように、送電装置が送電電力値と受電電力値との組み合わせを取得するために送電装置と受電装置とが行う処理をキャリブレーション処理という。
キャリブレーション後、実際に送電装置がPt3で受電装置に送電した場合に、送電装置が受電装置から受電電力値Pr3’という値を受信したとする。送電装置は異物が存在しない状態における受電電力値Pr3から実際に受電装置から受信した受電電力値Pr3’を引いた値Pr3-Pr3’(=Ploss_FO)を算出する。このPloss_FOは、送電装置と受電装置の近傍に異物が存在する場合に、その異物で消費される電力による電力損失と考えることができる。よって、異物で消費されたであろう電力Ploss_FOがあらかじめ決められた閾値を超えた場合に、異物が存在すると判定することができる。あるいは、送電装置は、事前に、異物が存在しない状態における受電電力値Pr3から、送電装置と受電装置との間の電力損失Pt3-Pr3(=Ploss3)を求めておく。そして次に、異物が存在する状態において受電装置から受信した受電電力値Pr3’から、異物が存在する状態での送電装置と受電装置との間の電力損失Pt3-Pr3’(=Ploss3’)を求める。そして、Ploss3’-Ploss3 (=Ploss_FO)を用いて、異物で消費されたであろう電力Ploss_FOを推定してもよい。
以上述べたように、異物で消費されたであろう電力Ploss_FOの求め方としては、Pr3-Pr3’(=Ploss_FO)として求めてもよいし、Ploss3’-Ploss3 (=Ploss_FO)として求めてもよい。以下の本明細書中においては、基本的にPloss3’-Ploss3 (=Ploss_FO)として求める方法について述べるが、Pr3-Pr3’(=Ploss_FO)として求める方法においても本実施形態の内容を適用可能である。以上がPower Loss法に基づく異物検出の説明である。
Power Loss法による異物検出は、後述するCalibrationフェーズにより得られたデータを基に、電力伝送(送電)中(後述のPower Transferフェーズ)に実施される。また、Q値計測法による異物検出は、電力伝送前(後述のDigital Ping送信前、NegotiationフェーズまたはRenegotiationフェーズ)に実施される。
本実施形態によるRXとTXは、WPC規格に基づく無線電力伝送の制御のための通信を行う。WPC規格では、電力伝送が実行されるPower Transferフェーズと、実際の電力伝送前の1以上のフェーズとを含んだ、複数のフェーズが規定され、各フェーズにおいて必要な無線電力伝送のための通信が行われる。電力伝送前のフェーズは、Selectionフェーズ、Pingフェーズ、Identification and Configurationフェーズ、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズを含みうる。なお、以下では、Identification and ConfigurationフェーズをI&Cフェーズと呼ぶ。以下、各フェーズの処理について説明する。
Selectionフェーズでは、TXが、Analog Pingを間欠的に送信し、物体が送電装置に載置されたこと(例えば充電台にRXや導体片等が載置されたこと)を検出する。TXは、Analog Pingを送信した時の送電アンテナ105の電圧値と電流値の少なくともいずれか一方を検出し、電圧値がある閾値を下回る場合又は電流値がある閾値を超える場合に物体が存在すると判断し、Pingフェーズに遷移する。
Pingフェーズでは、送電装置が、Analog Pingより電力が大きいDigital Pingを送信する。Digital Pingの電力の大きさは、送電装置の上に載置された受電装置の制御部が起動するのに十分な電力である。つまり、Digital Pingは、受電装置を起動するために送電装置から送信される電力である。受電装置は、受電電圧の大きさを送電装置へ通知する。この通知は、WPC規格に規定されるSignal Strength Packetを用いて行われる。このように、送電装置は、そのDigital Pingを受信した受電装置からの応答を受信することにより、Selectionフェーズにおいて検出された物体が受電装置であることを認識する。送電装置は、受電電圧値の通知を受けると、I&Cフェーズに遷移する。また、送電装置はDigital Pingを送信する前に、送電アンテナ105のQ値(Q-Factor)を測定する。この測定結果は、Q値計測法を用いた異物検出処理を実行する際に使用する。
I&Cフェーズでは、送電装置は、受電装置を識別し、受電装置から機器構成情報(能力情報)を取得する。受電装置は、ID Packet及びConfiguration Packetを送信する。ID Packetには受電装置の識別子情報が含まれ、Configuration Packetには、受電装置の機器構成情報(能力情報)が含まれる。ID Packet及びConfiguration Packetを受信した送電装置は、アクノリッジ(ACK、肯定応答)で応答する。そして、I&Cフェーズが終了する。
Negotiationフェーズでは、受電装置が要求するGPの値や送電装置の送電能力等に基づいてGPの値が決定される。また送電装置は、受電装置からの要求に従って、Q値計測法を用いた異物検出処理を実行する。また、WPC規格では、一旦Power Transferフェーズに移行した後、受電装置の要求によって再度Negotiationフェーズと同様の処理を行う方法が規定されている。Power Transferフェーズから移行してこれらの処理を行うフェーズのことをRenegotiationフェーズと呼ぶ。
Calibrationフェーズでは、WPC規格に基づいてCalibrationを実施する。また、受電装置が所定の受電電力値(軽負荷状態における受電電力値/最大負荷状態における受電電力値)を送電装置へ通知し、送電装置が、効率よく送電するための調整を行う。送電装置へ通知された受電電力値は、Power Loss法による異物検出処理のために使用されうる。
Power Transferフェーズでは、送電の開始、継続、及びエラーや満充電による送電停止等のための制御が行われる。送電装置と受電装置は、無線電力伝送のために、WPC規格に基づいて無線電力伝送を行う際に使用する送電アンテナ105及び受電アンテナ205を用いて、送電アンテナ105あるいは受電アンテナ205から送信される電磁波に信号を重畳して通信を行う。なお、送電装置とRXとの間で、WPC規格に基づく通信が可能な範囲は、送電装置の送電可能範囲とほぼ同様である。
ここで、図4に示すように、第1送電装置401(TX1)と第2送電装置402(TX2)は、BLEのCentralとして機能し、第1受電装置411(RX1)と第2受電装置412(RX2)は、BLEのPeripheralとして機能する。また、第1通信装置421はCentralとして機能し、第2通信装置422はPeripheralとして機能する。
なお、「Central」は、BLEの制御局であることを示し、「Peripheral」は、BLEの端末局であることを示している。BLEのCentralは、BLEのPeripheralとの間で通信を行い、他のCentralとの通信を行わない。また、BLEのPeripheralは、BLEのCentralとの間では通信を行うが、他のPeripheralとの間では通信を行わない。すなわち、BLEでは、Central同士又はPeripheral同士の通信は行われない。また、Centralは複数のPeripheralと接続状態(BLEのCONNECT_State)となることができ、複数のPeripheralとの間でデータを送受信することができる。一方、Peripheralは、1台のCentralとしか接続状態になることができず、複数のCentralと並行して通信することはない。
図4において、TX1から見て、RX1は送受電範囲内に位置している一方で、RX2は送受電範囲内に位置していないものとする。したがって、TX1はRX1のみに対して無線電力伝送を行い、RX2に対して電力伝送は行わない。
この場合、TX1がBLEを用いてアウトオブバンド(Out-of-Band)通信によって無線電力伝送の制御通信を行うためには、TX1のBLE(Central)が、RX1のBLE(Peripheral)と接続状態とならなければならない。上述のように、BLEのCentralは、同時に複数のPeripheralと接続状態になりうるため、TX1のBLE(Central)は、RX1のみならず、Peripheralとして機能するRX2や第2通信装置422と接続状態であってもよい。同様に、TX2のBLE(Central)は、RX2のBLE(Peripheral)と接続状態であれば、RX1や第2通信装置422と接続状態であってもよい。本開示では、アウトオブバンド(Out-of-Band)通信は、送受電用のアンテナとは異なるアンテナを用いた通信をいう。以下では、「OOB通信」と呼ぶ場合がある。一方、送受電用のアンテナを用いた通信を、インバンド(In-Band)通信という。以下では、「IB通信」と呼ぶ場合がある。
一方、RX1のBLE(Peripheral)は、1つのCentralとのみ接続可能である。このため、TX1とRX1との間の電力伝送のための制御通信をBLEで行うためには、RX1のBLE(Peripheral)が、TX1のBLE(Central)とのみ接続状態である必要がある。RX1のBLE(Peripheral)は、TX2や第1通信装置421などの他のBLE(Central)と接続状態となると、TX1のBLE(Central)と制御通信を行うことができなくなるからである。同様に、TX2とRX2との間の電力伝送のための制御通信をBLEで行うためには、RX2のBLE(Peripheral)はTX2のBLE(Central)とのみ接続状態でなければならない。したがって、RX2のBLE(Peripheral)は、Tx1や第1通信装置421等の他のBLE(Central)と接続状態であるべきでない。
このように、制御通信は送受電が実行される送電装置及び受電装置(例えばTX1とRX1)の間で行われるべきである。しかしながら、OOB通信の通信範囲がIB通信の通信範囲より広い場合、送電装置及び受電装置は送受電対象でない機器とOOB通信のための接続を確立してしまう場合がある。このような送受電対象でない機器とOOB通信のための接続を確立することをクロスコネクションと呼ぶ。例えば、図4において、RX1と、TX2又は第1通信装置421がBLE接続される状態がクロスコネクションである。
図4において、TX1は、制御通信としてBLE(OOB通信)を使用する時は、送受電範囲内にあるRX1とBLE接続がなされているという確証がなければ、RX1のバッテリを充電する電力の送電や電力に関する交渉等を行うべきでない。TX1は、RX1を送電対象としながら、RX2や第2通信装置422とのBLE接続を確立して制御通信を行うと、送電対象(RX1)と制御通信の相手装置(RX2や第2通信装置422)とが異なってしまいうるからである。この場合、TX1が、RX1に対する適切な制御通信を行うことができなくなる。同様に、RX1も、BLE(OOB通信)による制御通信を用いる場合は、送受電範囲内にあるTX1とBLE接続がなされているという確証がなければ、TX1からのバッテリを充電するための電力の受電や電力に関する交渉等を行うべきでない。RX1は、TX1が送電する電力を受電するとしながら、TX2や第1通信装置421とのBLE接続を確立して制御通信を行うと、電力の送電元(TX1)と制御通信の相手装置(TX2や第1通信装置421)とが異なってしまいうるからである。この場合、RX1は、TX1との間で適切な制御通信を行うことができなくなる。
以上のように、図4の無線電力伝送システムでは、送電装置及び受電装置の両方が、バッテリを充電する電力の送受電やその電力の交渉に先立って、送受電範囲内にある相手装置とBLEによる制御通信が可能であるという確証を得ることが重要となる。なお、「制御通信」とは、異物検出を行う上で必要な送電装置と受電装置間の情報のやり取りを行う通信のような、無線電力伝送に必要な情報をやり取りするための通信や、上述したTXにおける機器認証のための通信等を含む。
このため、本実施形態では、送電装置と受電装置が無線電力伝送の相手装置との間でBLEによる接続を確立することができるようにする。なお、これを実現するために、装置のBLEの通信機能(後述する第2通信部106、204)の個体識別情報を示す、BLE規格で規定されたPublic AddressであるBluetooth Device Addressを使用する。または、送電装置あるいは受電装置のメーカの個体識別情報であってもよい。なお、以下では、Bluetooth Device Addressを「BD_ADDR」と呼ぶ。
受電装置あるいは送電装置は、例えば、プライバシー保護の観点から、このBD_ADDRを定期的、あるいは不定期に変更することが考えられる。本実施形態では、受電装置あるいは送電装置がBD_ADDRを変更する場合であっても、送電装置と受電装置が無線電力伝送の相手装置との間でBLEによる接続を確立することができるようにする。なお、BD_ADDRの変更は、BD_ADDRの一部あるいは全部が変えられることで行われてもよいし、複数のBD_ADDRを切り替えて行われてもよい。
なお、BLEは一例であり、無線電力伝送におけるOOB通信に利用可能な任意の無線通信方式が利用可能である。また、以下では、実行される無線電力伝送はWPC規格に準拠しているものとし、ここでのWPC規格は、バージョン1.2.3に規定された機能を含む。なお、本実施形態では送電装置と受電装置とがWPC規格に準拠しているものとして説明するが、これに限られず、他の無線電力伝送規格であってもよい。以下では、送電装置及び受電装置の構成例と、実行される処理の流れの一例について説明する。
[送電装置および受電装置の構成]
本実施形態における送電装置及び受電装置の構成について説明する。なお、以下で説明する構成は一例に過ぎず、説明される構成の一部(場合によっては全部が)他の同様の機能を果たす他の構成と置き換えられ又は省略されてもよく、さらなる構成が説明される構成に追加されてもよい。さらに、以下の説明で示される1つのブロックが複数のブロックに分割されてもよいし、複数のブロックが1つのブロックに統合されてもよい。また、以下に示す各機能ブロックは、ソフトウェアプログラムとして機能が実施されるものとするが、本機能ブロックに含まれる一部または全部がハードウェア化されていてもよい。
図1は、本実施形態による送電装置100の構成例を示すブロック図である。送電装置100は、例えば、制御部101、電源部102、送電回路部103、第1通信部104、送電アンテナ105、第2通信部106、及びメモリ107を有する。なお、第2通信部106は不図示のアンテナを用いて通信を行う。
制御部101は、送電装置全体を制御する。また、制御部101は、送電装置における機器認証のための通信を含む送電制御に関する制御を行う。さらに、制御部101は、無線電力伝送以外のアプリケーションを実行するための制御を行ってもよい。制御部101は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(MicroProcessor Unit)等の1つ以上のプロセッサーを含んで構成される。なお、制御部101は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアで構成されてもよい。また、制御部101は、所定の処理を実行するようにコンパイルされたFPGA(Field Programmable Gate Array)等のアレイ回路を含んで構成されてもよい。制御部101は、各種処理を実行中に記憶しておくべき情報をメモリ107に記憶させる。また、制御部101は、タイマ(不図示)を用いて時間を計測しうる。
電源部102は、少なくとも制御部101及び送電回路部103が動作する際の電力を供給する電源である。電源部102は、例えば、商用電源から電力の供給を受ける有線受電回路やバッテリ等でありうる。バッテリには、商用電源から供給される電力が蓄電される。
送電回路部103は、電源部102から入力される直流又は交流電力を、無線電力伝送に用いる周波数帯の交流周波数電力に変換し、その交流周波数電力を送電アンテナ105へ入力することによって、RXに受電させるための電磁波を発生させる。例えば、送電回路部103は、電源部102が供給する直流電圧を、FET(Field Effect Transister)を使用したハーフブリッジ又はフルブリッジ構成のスイッチング回路で交流電圧に変換する。この場合、送電回路部103は、FETのON/OFFを制御するゲ-トドライバを含む。
送電回路部103は、送電アンテナ105に入力する電圧(送電電圧)又は電流(送電電流)、又はその両方を調節することにより、出力させる電磁波の強度を制御する。送電電圧又は送電電流を大きくすると電磁波の強度が強くなり、送電電圧又は送電電流を小さくすると電磁波の強度が弱くなる。また、送電回路部103は、制御部101の指示に基づいて、送電アンテナ105からの送電が開始又は停止されるように、交流電力の出力制御を行う。また、送電回路部103はWPC規格に対応した受電装置200(RX)の充電部206に15ワット(W)の電力を出力するだけの電力を供給する能力があるものとする。
第1通信部104は、受電装置の通信部(図2に示す第1通信部203)との間で、上述のようなWPC規格に基づく送電制御のための通信を行う。第1通信部104は、送電アンテナ105から出力される電磁波を変調し、受電装置へ情報を伝送して、通信を行う。この場合、送電装置は周波数偏移変調(FSK)による変調を行う。また、第1通信部104は、受電装置が変調した送電アンテナ105から送電される電磁波を復調して、受電装置が送信した情報を取得する。このとき受電装置は、後述するように負荷変調あるいは振幅変調による変調を行う。すなわち、第1通信部104で行う通信は、送電アンテナ105から送電される電磁波に信号が重畳されて行われる。また、第1通信部104は、送電アンテナ105とは異なるアンテナを用いたWPC規格とは異なる規格による通信で受電装置と通信を行ってもよいし、複数の通信を選択的に用いて受電装置と通信を行ってもよい。第1通信部104は、上述したIB通信を行う。
第2通信部106は、受電装置の通信部(図2に示す第2通信部204)との間で、WPC規格に基づいた無線電力伝送の制御通信を行う。第2通信部106は、送電回路部103の周波数と異なる周波数を使用し、送電アンテナ105と異なる不図示のアンテナを使用して、いわゆるOOB通信を行う。本実施形態では、第2通信部106がBluetooth 4.0以降の規格に基づいて通信を行い、BLEに対応しているものとする。なお、第2通信部106は、近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)やWi-Fi(登録商標)等の他の無線通信方式に対応する通信部が用いられてもよい。
なお、本実施形態では、送電装置は、受電装置との間での制御通信にOOB通信が使用される場合は、IB通信が使用される場合と比較して、その受電装置に大きい電力を供給することができるものとする。例えば、送電装置は、OOB通信によって制御通信を行う場合には、受電装置の充電部に出力される電力が最大100ワットとなるように、電力を供給することができるものとする。IB通信では、通信のために、送電電力に微小な電圧および電流の変化が重畳される。これに対して、送電電力が大きくなると、送電回路部や受電回路部から発生するノイズが大きくなる。このため、IB通信が用いられる場合には、通信のための微小な電圧および電流の変化をIB通信の通信部が検出可能とするために、送電電力が制限されることとなる。一方、OOB通信が用いられる場合は、このような制約がなくなるため、送電する電力を大きくすることができる。
メモリ107は、制御プログラムを記憶するほかに、送電装置及び受電装置の状態(送電電力値、受電電力値等)なども記憶しうる。例えば、送電装置の状態は制御部101により取得され、受電装置の状態は受電装置の制御部201により取得され、第1通信部104あるいは第2通信部106を介して受信されうる。メモリ107は、送電装置や無線電力伝送システムの各要素および全体の状態を記憶する。
図1では、制御部101、電源部102、送電回路部103、第1通信部104、メモリ107、第2通信部106が、それぞれ別個のブロックとして記載されているが、これらのうちの2つ以上のブロックが1つのチップ等によってまとめられてもよい。また、1つのブロックが複数のブロックに分割されてもよい。
図2は、本実施形態による受電装置200の構成例を示すブロック図である。受電装置200は、例えば、制御部201、受電回路部202、第1通信部203、第2通信部204、受電アンテナ205、充電部206、バッテリ207、及びメモリ208を有する。なお、第2通信部204は不図示のアンテナを用いて通信を行う。
制御部201は、例えばメモリ208に記憶されている制御プログラムを実行することにより受電装置全体を制御する。すなわち、制御部201は、図2で示す各機能部を制御する。さらに、制御部201は、無線電力伝送以外のアプリケーションを実行するための制御を行ってもよい。制御部201の一例は、CPU又はMPU等の1つ以上のプロセッサーを含んで構成される。なお、制御部201が実行しているOS(Operating System)との協働により受電装置全体(受電装置がスマートフォンである場合にはスマートフォン全体)を制御するようにしてもよい。
また、制御部201は、ASIC等のハードウェアで構成されてもよい。また、制御部201は、所定の処理を実行するようにコンパイルされたFPGA等のアレイ回路を含んで構成されてもよい。制御部201は、各種処理を実行中に記憶しておくべき情報をメモリ208に記憶させる。また、制御部201は、タイマ(不図示)を用いて時間を計測しうる。
受電回路部202は、受電アンテナ205を介して、送電装置の送電アンテナ105から放射された電磁波に基づく電磁誘導により生じた交流電力(交流電圧及び交流電流)を取得する。そして、受電回路部202は、交流電力を直流又は所定周波数の交流電力に変換して、バッテリ207を充電するための処理を行う充電部206に電力を出力する。すなわち、受電回路部202は、受電装置における負荷に対して電力を供給するために必要な、整流部と電圧制御部を含む。上述のGPは、受電回路部202から出力されることが保証される電力量である。受電回路部202は、充電部206がバッテリ207を充電するための電力を供給し、充電部206に15ワットの電力を出力するだけの電力を供給する能力があるものとする。
第1通信部203は、送電装置の第1通信部104との間で、WPC規格に基づいた無線電力伝送のための制御通信を行う。第1通信部203は、受電アンテナ205から入力された電磁波を復調して送電装置から送信された情報を取得する。ここで送電装置の第1通信部104は、送電アンテナ105から出力される電磁波を周波数偏移変調(FSK)による変調を行い、受電装置へ情報を伝送して、通信を行う。そして、第1通信部203は、その入力された電磁波を負荷変調あるいは振幅変調することによって送電装置へ送信すべき情報に関する信号を電磁波に重畳することにより、送電装置との間で通信を行う。この制御通信は、受電アンテナ205で受電する電磁波を負荷変調あるいは振幅変調するIB通信によって行われる。本実施形態では、受電装置は、送電装置との間の制御通信にIB通信のみを使用する場合、その送電装置から無線で電力を受電し、充電部206に最大で15ワットの電力を出力できるものとする。
第2通信部204は、送電装置の第2通信部106との間で、WPC規格に基づいた無線電力伝送の制御通信を行う。第2通信部204は、受電回路部202が受電する電磁波の周波数と異なる周波数を使用し、受電アンテナ205とは異なる不図示のアンテナを使用してOOB通信を行う。本実施形態では、第2通信部106がBluetooth 4.0以降の規格に基づいて通信を行い、BLEに対応しているものとする。なお、第2通信部106は、NFCやWi-Fi等の他の無線通信方式に対応する通信部が用いられてもよい。また、第2通信部204は、バッテリ207から電力供給を受けてもよいし、受電回路部202から直接電力供給を受けてもよい。なお、本実施形態では、受電装置は、送電装置との間の制御通信にOOB通信を使用する場合は、この送電装置から無線で電力を受電し、充電部206に最大で100ワットの電力を出力できるものとする。
充電部206は、受電回路部202から供給される直流電圧と直流電流を利用して、バッテリ207を充電する。
メモリ208は、制御プログラムを記憶するほかに、送電装置及び受電装置の状態なども記憶する。例えば、受電装置の状態は制御部201により取得され、送電装置の状態は送電装置の制御部101により取得され、第1通信部203あるいは第2通信部204を介して受信されうる。
図2では制御部201、受電回路部202、第1通信部203、第2通信部204、充電部206、及びメモリ208が、それぞれ別個のブロックとして記載されているが、これらのうちの2つ以上のブロックが1つのチップ等によってまとめられてもよい。また、1つのブロックが複数のブロックに分割されてもよい。
なお、送電装置または受電装置がOOB通信による制御通信に対応していることを、以下ではWPC規格のバージョンAに対応していると表す。WPC規格のバージョンAは、WPCv1.2.3の後継の規格であり、少なくともOOB通信による制御通信機能が追加されているものとする。
次に、図3を参照して、TXの制御部101の機能について説明する。図3は、送電装置100(TX)の制御部101の機能構成例を示すブロック図である。制御部101は、通信制御部301、送電制御部302、測定部303、設定部304、異物検出部305を有する。通信制御部301は、第1通信部104あるいは第2通信部106を介したWPC規格に基づいた受電装置との制御通信を行う。送電制御部302は、送電回路部103を制御し、受電装置への送電を制御する。
測定部303は、送電回路部103を介して受電装置に対して送電する電力を計測し、単位時間ごとに平均送電電力を測定する。また、測定部303は、送電アンテナ105のQ値を測定する。設定部304は、測定部303により測定された平均送電電力あるいはQ値に基づいて、異物検出のために用いる閾値を、例えば算出処理により、設定する。また設定部304は、その他の手法を用いた異物検出処理を行う上で必要となる、異物の有無を判定するための基準となる閾値を設定する機能を有してもよい。
異物検出部305は、設定部304により設定された閾値と、測定部303により測定された送電電力やQ値に基づいて、異物検出処理を行うことができる。また異物検出部305は、その他の手法を用いて異物検出処理を行うための機能を有してもよい。例えばNFC通信機能を備えるTXにおいては、異物検出部305は、NFC規格による対向機検出機能を用いて異物検出処理を行ってもよい。また、異物検出部305は、異物を検出する以外の機能として、TX上の状態が変化したことを検出することもできる。例えば、送電装置は、送電装置上の受電装置411の数の増減も、検出することが可能である。
通信制御部301、送電制御部302、測定部303、設定部304、異物検出部305は、制御部101において動作するプログラムとしてその機能が実現される。各処理部は、それぞれが独立したプログラムとして構成され、イベント処理等によりプログラム間の同期をとりながら並行して動作しうる。ただし、これらの処理部のうち2つ以上が1つのプログラムに組み込まれていてもよい。
(処理の流れ)
上述したクロスコネクションを防止するために各装置において実行される処理の流れの例について説明し、その後、システム全体の処理の流れの例について説明する。特に、受電装置がBD_ADDRを変更する場合においても、クロスコネクションを防止することが可能な方法について述べる。
[送電装置の動作]
以下、送電装置401(TX1)が実行する処理の流れの例について、図5を用いて説明する。なお、本処理は、送電回路部103が電源部102から電源供給を受ける等によって電源が投入されて起動したことに応じて開始されうる。また、本処理は、制御部101が、メモリ107に記憶されたプログラムを実行することによって実現されうる。ただし、これらに限られず、例えばユーザによる所定のボタンの押下等の操作によって電力伝送機能が起動されたことに応じて、本処理が実行されてもよい。また、図5に示される処理の少なくとも一部がハードウェアによって実現されてもよい。少なくとも一部の処理がハードウェアによって実現される場合、例えば、その処理ステップを実現するためのプログラムから、所定のコンパイラを用いてFPGA上に自動的に生成された専用回路が用いられうる。また、FPGAと同様に、Gate Array回路によって、所定の処理ステップを実行するためのハードウェアが実現されてもよい。
TX1は、本処理が開始されると、WPC規格に準拠した処理を開始する。WPC規格では、Selectionフェーズ、Pingフェーズ、Identification&Configurationフェーズ(I&Cフェーズ)によって相手装置が特定される。そして、Negotiationフェーズにおいて、送電電力に関する交渉が実行され、その後、電力伝送のためのCalibrationフェーズを経て、実際の電力伝送を行うPower Transferフェーズ(PTフェーズ)の処理が実行される。
図5において、TX1は、まず、Selectionフェーズ及びPingフェーズの処理を実行する(S501)。TX1は、Selectionフェーズにおいて、送電アンテナ105を介してAnalog Pingを送電する。Analog Pingは、送電アンテナ105の近傍に存在する物体を検出するための微小な電力である。TX1は、Analog Pingを送電した時の送電アンテナの電圧値または電流値を検出し、電圧がある閾値を下回る場合または電流値がある閾値を超える場合に物体が近傍に存在すると判断し、Pingフェーズに移行する。そして、Pingフェーズにおいて、TX1は、Analog Pingより大きいDigital Pingを送電する。
ここで、Digital Pingは、送電アンテナ105の近傍に存在するRX1の制御部201、第1通信部203、及び第2通信部204が起動するのに十分な電力を有する。RX1の制御部201及び第1通信部203は、受電アンテナ205を介して受電したDigital Pingにより起動すると、第1通信部203によるIB通信で受電電圧の大きさをTX1へ通知する。
TX1は、第1通信部104を介して受電電圧値の通知を受けると、Pingフェーズの処理を終了し、I&Cフェーズに移行する。TX1は、I&Cフェーズにおいて、RX1によって送信されたIdentification Packetを受信する(S502)。この場合、TX1は、パケットの送信元であるRX1がWPC規格のバージョンAに対応しているか否かの情報と、少なくともバージョンAより前のバージョンのWPC規格で使用するRX1の個体識別情報と、BLEで使用する識別情報とを取得してもよい。一例において、TX1は、Identification Packetにおいて、RX1がWPC規格で使用する識別情報を取得すると共に、追加のID情報があることを示すEXTビットが「1」となっているか否かを確認する。そして、TX1は、EXTビットが「1」である場合、続いてWPC規格に従って送信されてくるExtended Identification Packetによって、追加のID情報を取得する。本実施形態では、このExtended Identification Packetには、RX1がBLEで使用する8バイトのBD_ADDRが格納されるものとする。BD_ADDRは、例えば、RX1の製造メーカや、BLEの通信機能(第2通信部204)の個体識別情報を示す、BLE規格で規定されたPublic Addressである。TX1は、この時点で、RX1の、WPC規格で使用される識別情報と、BLEの識別情報とが対応する(同一の装置に関するものである)ことを認識することができる。
また、TX1は、I&Cフェーズにおいて、RX1によって送信されたConfiguration Packetも受信する(S502)。本実施形態では、Configuration Packetを用いて、このパケットの送信元であるRX1がBLEによる制御通信を使用可能であるか否かを示すBLE対応情報が送信される。WPC規格バージョンAに対応するTX1は、このBLE対応情報を監視することにより、RX1がその時点でBLEを制御通信として使用可能であるか否かを判定することができる。これにより、WPC規格のバージョンAに準拠していない受電装置がBLEでの制御通信を実行可能であるように送電装置が誤解することを防ぐことができる。また、例えば、BLEに限定しないOOB通信による制御通信を実行可能な状態にあるかが示されてもよい。また、BLE以外のOOB通信に利用可能な通信方式のそれぞれについて、制御通信が実行可能か否かを示す、BLE対応情報と同様の領域が設けられてもよい。例えば、NFC通信機能を有するか否かを示すNFC対応情報等が設けられてもよい。
そして、TX1は、Configuration Packetを受信したことに応答して、IB通信によって肯定応答(ACK)を送信する(S503)。TX1は、ACKを送信したことに応じて、Negotiationフェーズへ移行する。
また、TX1は、受信したConfiguration Packetにより、RX1がBLEによる制御通信機能を行うことができる状態にあるかを判定する(S504)。TX1は、RX1がBLEによる制御通信を実行可能な状態にない場合(S504でNO)、RX1との間でBLEによる制御通信を行うことができないため、OOB通信を使用しないことを決定する(S532)。この場合、TX1は、OOB通信の代わりにIB通信を実行する。
一方、TX1は、RX1がBLEによる制御通信機能を有し、かつ、BLEによる制御通信を実行可能な状態である場合(S504でYES)、RX1からの能力情報の問い合わせがあったか否かを判定する(S505)。この能力情報の問い合わせは、WPC規格で規定されているデータであるGeneral RequestがRX1からTX1へ送信されることによって行われる。なお、このような能力情報を問い合わせるGeneral Requestを、以下では、「General Req(Capability)」と呼ぶ。
TX1は、General Req(Capability)を受信しなかった場合(S505でNO)は、S532の処理に移り、OOB通信を使用しないことを決定する。一方で、TX1は、General Req(Capability)を受信した場合(S505でYES)、WPC規格で規定されているPower Transmitter Capability Packetを、RX1へ送信する。以下では、Power Transmitter Capability Packetのことを「TX Capability Packet」と呼ぶ。TX Capability Packetは、GPの最大値など、送電装置の能力に関する情報を含む。
本実施形態では、さらに、TX Capability Packetに、BLE対応情報を含める。このBLE対応情報は、RX1によって送信されるConfiguration Packet内のBLE対応情報と同様の意味を有する。
TX1は、TX Capability Packetにおける情報伝送に先立ち、自装置がBLEを使用可能な状態にあるかを判定する(S506)。TX1は、自装置がBLEを使用可能な状態でない場合(S506でNO)は、Tx Capability PacketのBLE対応情報を「対応していない」ことを表す情報に設定してRX1へ送信し(S531)、S532の処理に移る。
なお、TX1は、例えば、自装置がBLE通信機能を有しているか否か、BLEのPeripheralとして動作しているか否か、BLEを他の装置との間で使用中であるか等に基づいて、現時点でBLEによる制御通信を実行可能であるかを判定する。例えば、TX1は、自装置がCentralである場合は、複数のPeripheralと接続可能であるため、BLEを制御通信に使用可能であると判定しうる。また、TX1は、自装置が他の装置とBLEによる通信を行っていない場合にBLEを制御通信に使用可能であると判定しうる。一方、TX1は、自装置がPeripheralとして他の装置とBLEによる通信を行っている場合は、BLEを制御通信に使用可能でないと判定しうる。また、TX1は、TX1と接続されている製品(例えばプリンタなど)の制御部との通信により、この判定を行ってもよい。例えば、TX1の制御部101と、製品の制御部をGPIO(General Purpose Input/Output)やシリアル通信で接続し、TX1の制御部101が、製品の制御部へBLEの使用状況を問い合わせてもよい。この場合、TX1の制御部101は、製品の制御部からBLEの使用状況についての応答がBLEを使用中であることを示す場合、その時点で制御通信にBLEを使用できないと判定しうる。また、TX1の制御部101は、その応答がBLEを使用中でないことを示す場合、制御通信にBLEを使用可能であると判定しうる。
そして、TX1は、自装置がBLEを使用可能な状態である場合(S506でYES)、Tx Capability PacketのBLE対応情報を「BLEは使用可能」である情報にして、RX1へ送信する(S507)。そして、TX1は、この時点でRX1との間でBLEによる通信を行うことが可能であると判定し、S502で取得したRX1のBD_ADDRをメモリに保持する(S508)。なお、TX1は、S502でRX1のBD_ADDRを取得した時点でメモリに保持しておき、自装置がBLEを使用可能でないと判定した場合(S518でNO)に、その情報を破棄するようにしてもよい。
なお、S507の後に、TX1は、RX1から、TX1のBLEの識別情報を問い合わせる信号を受信しうる。この信号は、例えば、WPC規格のGeneral Requestでありうる。以下では、BLEの識別情報を問い合わせるGeneral Requestを、「General Req(ID)」と呼ぶ。TX1は、General Req(ID)を受信すると、自装置のBLEについてのBD_ADDRを含んだ応答をRX1へ送信する。この応答は、WPC規格で規定されているPower Transmitter Identification Packet(以下では、「TX ID Packet」と呼ぶ。)でもよい。TX ID Packetには、送電装置が対応しているWPC規格のバージョンや、送電装置のIB通信に係る機能ブロックの製造者等による識別番号が含まれる。さらに、バージョンAに対応した送電装置は、このTX ID Packetに、BLEのBD_ADDRを含めることができる。これにより、RX1が、TX1のWPC規格における識別情報と、BLEにおける識別情報(BD_ADDR)とを関連付けて認識することができるようになる。
S508の処理に続いて、TX1は、RX1とのBLEによる制御通信を試行するために、自装置のBLE通信機能を、Scannerとして起動する(S509)。なお、Scannerは、BLE規格で定義されている状態の1つであり、ブロードキャストされるADVERTISE_INDICATIONを受信して、その送信元のBLEデバイス(またはサービス)を発見する。以下では、ADVERTISE_INDICATIONをADV_INDと呼ぶ。ADV_INDは、BLE規格で定義されているAdvertiserの状態のデバイスによってブロードキャストされ、そのデバイスのBD_ADDRや対応しているサービス情報を報知するための信号である。
TX1は、Scannerとして起動後に、ADV_INDが送信されてくるのを待ち受ける。TX1は、ADV_INDを受信しなかった場合(S510でNO)には、S541でタイムアウトしたか否かを判定し、タイムアウトした場合にはS532に進む。S541でタイムアウトしなかった場合には、TX1は、IB通信によりIdentification PacketおよびConfiguration Packetを受信したか否かを確認する(S542)。RX1は、自装置のBD_ADDRを変更したら、TX1に対してIB通信で通知する。そして、TX1は、それを受信することでRX1のBD_ADDRが変更されたことを認識することが可能となる。Identification PacketおよびConfiguration Packetを受信しなかった場合、S510へ遷移する。また、Identification PacketおよびConfiguration Packetを受信した場合(S542でYes)、TX1はRX1の変更された新しいBD_ADDRをメモリに保持する(S543)。その後、S510へ遷移する。
そして、TX1は、所定時間が経過する前(S541でYESとなる前)に、メモリに保持されたBD_ADDRを含むADV_INDを受信すると(S510及びS511でYES)、BLEによる接続要求メッセージを送信する(S512)。すなわち、TX1は、タイムアウト前にRX1からのADV_INDを受信した場合に、BLEによる接続要求メッセージをRX1へ送信する。この接続要求メッセージは、BLE規格で規定されたCONNECT_REQ(以下では「CONNECT」と呼ぶ場合がある)である。このメッセージにより、RX1とBLEの通信接続が確立する。そして、TX1は、Negotiationフェーズへと移行する。ここでは、BLEによる通信が可能な状態であるため、Negotiationフェーズにおける交渉はBLEを用いて実行される。
なお、TX1は、ADV_INDを受信したとしても、メモリに保持されたBD_ADDRのADV_INDでない場合(S511でNO)にはCONNECTを送信しない。すなわち、TX1は、電力伝送のための制御通信を試行する段階において、そのような制御通信とは異なる用途でのBLEの接続が確立されないように、CONNECTを送信する対象を限定する。
その後、TX1は、OOB通信の使用が可能であることから、GPの許容値を100Wとする(S513)。そして、Negotiationフェーズに移行し、RXとGPを交渉する(S514)。そして、Calibrationフェーズでの処理を実行後(S515)、PTフェーズに移行して(S516)、RX1へ電力を伝送する。PTフェーズでは、RX1からTX1へ送電電力の増減を要求する制御データが送信されるが、この通信は制御通信であるため、BLE(OOB通信)を利用可能な状況ではBLEによって行われる。その後、TX1は、RX1から充電終了などによって電力伝送の停止を要求するEnd Power Transfer(EPT)を受信すると(S517)、電力伝送処理を終了する。なお、EPTの送受信も制御通信であるため、BLE(OOB通信)を利用可能な状況ではBLEによって行われる。つまり、無線電力伝送の制御通信が、第2通信部106を用いてBLEによって行われる。
以上のように、TX1は、RX1がBLEによる制御通信を実行することができるか否かを確認する。また、TX1は、RX1のWPC規格での識別情報とBLEでの識別情報とを対応付けて認識しておき、RX1のBLEでの識別情報を含んだADV_INDを受信した場合に、CONNECTを送信するようにする。これにより、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立し、一方で電力伝送の対象ではない他の装置との間でBLEによる接続を確立しないようにすることができる。
[受電装置の動作]
まず、受電装置(RX1)が実行する処理の流れの例について、図6を用いて説明する。なお、本処理は、例えばユーザによる所定のボタンの押下等の操作によって受電機能が起動されたことに応じて、又はRX1がTX1の近傍に持ち込まれたことに応じて、実行されうる。なお、受電アンテナ205を介して受信した電力によって制御部201及び第1通信部203が起動したことに応じて本処理が開始されてもよい。また、本処理は、制御部201が、メモリ208に記憶されたプログラムを実行することによって実現されうるが、後述の処理を実行するための専用のハードウェアが用いられてもよい。例えば、少なくとも一部の処理がハードウェアによって実現される場合、その処理ステップを実現するためのプログラムから、所定のコンパイラを用いてFPGA上に自動的に生成された専用回路が用いられうる。また、FPGAと同様に、Gate Array回路によって、所定の処理ステップを実行するためのハードウェアが実現されてもよい。
図6において、RX1は、まず、TX1の近傍に置かれることによってTX1に検出され、これによりTX1がDigital Pingを送信する。そして、RX1の制御部201および第1通信部203が、受電アンテナ205を介して受電したDigital Pingにより起動し、そのDitigal Pingの受電電圧の大きさを測定する。そして、RX1は、その受電電圧の大きさをIB通信によりTX1へ通知する(S601)。
その後、RX1は、I&Cフェーズへ移行する。I&Cフェーズにおいて、RX1は、Identification Packetを、IB通信によりTX1へ送信する(S603)。この場合、Identification Packetには、WPC規格のバージョンAに対応しているか否かを示す情報と、少なくともバージョンAより前のバージョンのWPC規格で使用される個体識別情報を含む。なお、WPC規格で使用される個体識別情報は、IB通信で制御通信を行う場合の識別情報である。また、RX1は、Identification Packetにおいて、追加のID情報があるか否かを示すEXTビットを設定して送信しうる。追加のID情報が存在する場合、RX1は、Identification PacketのEXTビットを「1」に設定し、追加のID情報の送信のためのExtended Identification Packetを送信する。Extended Identification Packetも、WPC規格によるIB通信によって送信される。本実施形態では、Extended Identification Packetにより、BLEで使用される8バイトのBD_ADDRが送信される。
RX1は、Identification Packetの送信後、Configuration Packetを送信する。このとき、まず、RX1は、現時点において自装置がBLEを制御通信に使用可能な状態であるかを判定する(S604)。BLEを制御通信に使用可能であるか否かの判定は、例えば、自装置がBLE通信機能を有しているか否か、自装置がBLEのPeripheralとして動作しているか否か、BLEを他の装置との間で使用中であるか等に基づいて行われる。例えば、RX1は、自装置がCentralである場合は、複数のPeripheralと接続可能であるため、BLEを制御通信に使用可能であると判定しうる。また、RX1は、自装置が他の装置とBLEによる通信を行っていない場合にBLEを制御通信に使用可能であると判定しうる。一方、RX1は、自装置がPeripheralとして他の装置とBLEによる通信を行っている場合は、BLEを制御通信に使用可能でないと判定しうる。また、RX1は、RX1と接続されている製品(例えばスマートフォンやカメラなど)の制御部との通信により、この判定を行ってもよい。例えば、RX1の制御部201と、製品の制御部をGPIO(General Purpose Input/Output)やシリアル通信で接続し、RX1の制御部201が、製品の制御部へBLEの使用状況を問い合わせてもよい。この場合、RX1の制御部201は、製品の制御部からBLEの使用状況についての応答がBLEを使用中であることを示す場合、その時点で制御通信にBLEを使用できないと判定しうる。また、RX1の制御部201は、その応答がBLEを使用中でないことを示す場合、制御通信にBLEを使用可能であると判定しうる。なお、RX1がBLEによる通信に対応しているか否か及び制御通信にBLEを使用可能であるか否かを示す情報は、Configuration Packetに含めて送信されうる。
RX1は、現時点において自装置がBLEを制御通信に使用可能でない場合(S604でNO)は、BLEによる制御通信が使用不可能であることを示す情報をConfiguration Packetに含めて、IB通信でTX1へ送信する(S631)。そして、RX1は、TX1との間でBLEによる制御通信を行うことができないため、OOB通信を使用しないことを決定する(S632)。そして、RX1は、要求するGPの最大値を15ワット(W)とすることを決定し(S634)、処理をS619へ進める。
一方、RX1は、現時点において自装置がBLEを制御通信に使用可能である場合(S604でYES)は、BLEによる制御通信が使用可能であることを示す情報をConfiguration Packetに含め、IB通信でTX1へ送信する(S605)。
その後、RX1は、TX1からのACKを待ち受ける(S606)。RX1は、ACKを受信しなかった場合(S606でNO)は、PTフェーズへ移行し(S621)、TX1から送電された電力を受信する。そして、RX1は、例えば、バッテリ207の充電が完了したことに応じて、電力伝送を終了すると決定したこと等に応じて、EPTをTX1へ送信し(S622)、処理を終了する。WPC規格のバージョン1.2より前のバージョンのみに対応している送電装置は、Negotiationフェーズ及びCalibrationフェーズに対応していない。このため、このような送電装置は、Configuration Packetを受信すると、ACKを送信せずにPTフェーズに移行する。このため、RX1は、TX1からACKを受信しなかった場合にPTフェーズに移行することにより、TX1がWPC規格のバージョン1.2より前のバージョンの送電装置である場合であっても受電を行うことができる。すなわち、このような構成により、RX1は、後方互換性を確保することができる。なお、ACKを受信しなかった場合、受電回路部202が負荷(充電部206及びバッテリ207)へ供給できる電力の最大値は5ワットに制限される。
RX1は、ACKを受信した場合(S606でYES)、I&Cフェーズを終了して、Negotiationフェーズに移行する。そして、TX1の能力情報の問い合わせを行うGeneral Req(Capability)を送信し、その応答(TX Capability Packet)を待ち受ける(S607)。そして、TX Capability Packetを受信しなかった場合(S607でNO)、RX1は、OOB通信を使用しないことを決定し(S632)、上述のS634以降の処理を実行する。一方、RX1は、TX Capability Packetを受信した場合(S607でYES)、Tx Capability Packet内のBLE対応情報を示すbitを確認する。そして、RX1は、TX1がBLEでの制御通信を実行可能であるか否かを判定する(S608)。TX1がBLEでの制御通信を実行可能でないと判定した場合(S608でNO)には、処理はS632へ進む。
TX1がBLEでの制御通信を実行可能であると判定した場合(S608でYES)、RX1は、TX1のBLEにおける識別情報を取得するために、General Req(ID)を送信する(S609)。そして、RX1は、General Req(ID)への応答として、TX1からのTX ID Packetを待ち受ける(S610)。
TX1からTX ID Packetが受信されなかった場合(S610でNO)、RX1は、OOB通信を使用しないことを決定し(S632)、上述のS634以降の処理を実行する。
一方、RX1は、WPC規格のバージョンAに対応するTX1からTX ID Packetを受信すると(S610でYES)、そのパケット内に格納されているTX1のBD_ADDRを取得し、メモリ208に保持する(S611)。この時点で、RX1は、TX1のWPC規格における識別情報とBLEにおけるBD_ADDRとを対応付けて認識することができる。そして、RX1は、TX1との間でBLEによる制御通信を行うために、自装置をBLEのAdvertiserとして起動し(S612)、ADV_INDをブロードキャスト送信する(S613)。なお、Advertiserは、BLE規格で定義されている状態の1つであり、上述のScannerがBLEデバイス(又はサービス)を発見できるように、自装置のBD_ADDRや対応しているサービス情報をADV_INDによって報知する役割である。ここで、ADV_INDは、第2通信部204が対応しているサービス(プロファイル)を示すUUID(Universally Unique IDentifier)を含む。なお、本実施形態では、WPC規格によるOOB通信を用いた無線充電サービス(以下では「無線充電サービス」と呼ぶ。)を示すUUIDが、ADV_INDに含まれる。また、ADV_INDは、受電装置(RX1)が接続される製品の機器種別(例えば、カメラ、スマートフォン)、メーカ名、モデル名、シリアル番号等の情報をも含みうる。
その後、RX1は、ADV_INDを受信したScannerから送信されるCONNECTを待ち受ける(S614)。そして、RX1は、CONNECTを受信すると(S614でYES)、そのCONNECTの送信元の識別情報が、TX1の識別情報(BD_ADDR)としてメモリ208に保持されているか否かを判定する(S615)。すなわち、RX1は、CONNECTの送信元がTX1であるか否かを判定する。ここで、CONNECTの送信元がTX1でない場合(S615でNO)、RX1は、CONNECTで接続したBLE接続を切断することを示すLL_TERMINATE_INDを、CONNECTの送信元の装置へ送信する(S641)。なお、以下では、LL_TERMINATE_INDを、「TERMINATE」と呼ぶ。RX1は、TX1からのCONNECTを受信しないままタイムアウトした場合(S642でYES)、OOB通信を使用しないことを決定し(S632)、上述のS634以降の処理を実行する。
また、RX1は、TX1からのCONNECTを受信していない場合(S614又はS615でNO)で、かつタイムアウトしていない場合(S642でNOの間)、RX1のBD_ADDRが変更されていないかを確認する。これは上述したように、RX1がBD_ADDRを変更することがあるためである。S643では、RX1がBD_ADDRを新しいBD_ADDRに更新しているか否かを確認する。RX1は、BD_ADDRが新しいBD_ADDRに更新されていないと判定した場合(S643でNO)、には、ADV_INDを送信する(S613)。RX1は、BD_ADDRが新しいBD_ADDRに更新されていると判定した場合(S643でYES)には、RX1は、Identification Packetを、IB通信によりTX1へ送信する(S644)。上述したように、Identification Packetには、WPC規格のバージョンAに対応しているか否かを示す情報と、少なくともバージョンAより前のバージョンのWPC規格で使用される個体識別情報を含む。なお、WPC規格で使用される個体識別情報は、IB通信で制御通信を行う場合の識別情報である。また、RX1は、Identification Packetにおいて、追加のID情報があるか否かを示すEXTビットを設定して送信しうる。追加のID情報が存在する場合、RX1は、Identification PacketのEXTビットを「1」に設定し、追加のID情報の送信のためのExtended Identification Packetを送信する。Extended Identification Packetも、WPC規格によるIB通信によって送信される。本実施形態では、Extended Identification Packetにより、BLEで使用される8バイトのBD_ADDRが送信される。このように、RX1はRX1のBD_ADDRが変更されたか否かを定期的に確認し、変更された場合にはIB通信で変更後のBD_ADDRをTX1に通知する。これにより、RX1は、TX1に対して、変更されたBD_ADDRを通知することが可能となり、TX1とRX1との間で現時点の正しいBD_ADDRを交換することで、OOB通信のBLE通信を確立することが可能となる。RX1は、Identification Packetを送信後(S644)、S613に戻り、変更された新たなBD_ADDRの情報を含んだADV_INDを送信する。
一方、RX1は、TX1からCONNECTを受信した場合(S614及びS615でYES)、OOB通信を使用することを決定し(S616)、RX1とTX1はOOB通信の接続を確立する。続いてRX1は要求するGPの最大値を100ワット(W)とすることを決定する(S618)。その後、RX1は、処理をS619へ進める。S619では、RX1は、TX1との間でGPの交渉を行う。この交渉は、TX1において許容できるGPの最大値と、RX1が要求するGPの値とに基づいて行われる。なお、RX1が要求するGPの最大値は、上述のように、S634又はS618の処理によって、OOB通信を利用可能か否かに応じて決定される。その後、RX1は、Calibrationフェーズでの処理を実行後(S620)、PTフェーズに移行して(S621)、TX1から電力を受電する。PTフェーズでは、RX1からTX1へ送電電力の増減を要求する制御データが送信されるが、この通信は制御通信であるため、BLE(OOB通信)を利用可能な状況ではBLEによって行われる。
その後、RX1は、例えば充電が終了したことに応じて、TX1に対してバッテリ充電のための電力伝送を停止する要求を示すEPTを、BLE(OOB通信)で送信する(S622)。そして、RX1は、必要に応じてBLEの接続を切断するためのTERMINATEを送信して、本処理を終了する。なお、EPTを送信した後のTERMINATEの送信はTX1が行ってもよい。
以上のように、RX1は、TX1がBLEによる制御通信を実行することができるか否かを確認する。また、RX1は、TX1のWPC規格での識別情報とBLEでの識別情報とを対応付けて認識しておき、TX1のBLEでの識別情報を含まないCONNECTを受信した場合に、接続を切断して、TX1からのCONNECTのみを受け付けるようにする。これにより、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立し、一方で電力伝送の対象ではない他の装置との間でBLEによる接続を確立しないようにすることができる。
また、RX1のBD_ADDRが変更されていないかを定期的に確認し、変更されていると判定された場合には、変更された新しいRX1のBD_ADDRを、TX1に対してIB通信で通知する。これにより、RX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLE(OOB通信)による接続を確立することが可能になる。
[電力伝送システムの処理の流れ]
続いて、電力伝送システムで実行される処理の流れの例について図7を用いて説明する。図7は本実施形態で述べる、図4に示した第1受電装置411(RX1)と、第1送電装置401(TX1)における、クロスコネクションを防止するための動作を表したシーケンス図である。なお、図7において、破線の矢印は、RX1と、TX1との間で、IB通信で行われるやり取りを示す。実線の矢印は、RX1と、TX1との間で、OOB通信で行われるやり取りを示す。
まず、BLE通信におけるPeripheralとして動作するRX1は、BLE通信におけるCentralとして動作するTX1に対して、RX1のBD_ADDRを通知する(S701)。BD_ADDRは、IB通信で、Identification PacketあるいはExtended ID Packetに含めて送信する。
この場合、RX1のBD_ADDRはAAAであるとする。上述したように、BD_ADDRは、BLEの通信機能(第2通信部204)の固体識別情報である。TX1は、S601で取得したBD_ADDRをメモリに保持する。次にRX1は、TX1に対してBD_ADDRを問い合わせる信号を送信する(S702)。この信号は、上述したGeneral Request(ID)でありうる。TX1は、General Req(ID)を受信すると、自装置のBLEについてのBD_ADDRを含んだ応答をRX1へ送信する(S703)。この場合、TX1のBD_ADDRは、XXXであるとする。この応答は、上述したようにTX ID Packetでありうる。RX1は、TX1のBD_ADDRであるXXXをメモリに保持する。
上述したS701~703の処理が終了し、TX1とRX1は、お互いのBD_ADDRを相手に通知し、お互いが相手のBD_ADDRを認識することができたら、以下を行う。すなわち、TX1は、RX1とのBLEによる制御通信を試行するために、自装置のBLE通信機能を、Scannerとして起動する(不図示)。一方、RX1は、ADVERTISE_INDICATIONのブロードキャスト送信を開始する(不図示)。
上述したように、S701~703の処理により、TX1とRX1は、IB通信でお互いのBD_ADDRを相手に通知し、お互いが相手のBD_ADDRを認識することが可能となる。IB通信は、送電アンテナ105から送電される電磁波に信号が重畳されて行われる通信であり、基本的には、TX1と通信可能な相手はRX1しかない。よって、S701~703のIB通信での処理により、TX1は送電対象であるRX1のBD_ADDRを認識することができ、RX1は、RX1に対して送電を行うTX1のBD_ADDRを認識することができる。これらのBD_ADDRに基づきOOB通信を行えば、上述したクロスコネクションは発生しない。しかし、機器によっては、BLE通信における識別情報(BD_ADDR)を、例えば、プライバシー保護のために、定期的あるいは不定期に変更するものも存在する。上述したS701~703の処理でお互いが相手のBD_ADDRを認識し、BLE通信の接続が完了する前にBD_ADDRが変更されると、送電装置と受電装置はBLE通信による接続ができなくなってしまう。この場合の解決方法を以下に示す。
本実施形態では、RX1がBD_ADDRを変更するものとする。RX1はBD_ADDRを変更する(S704)。この場合、RX1はBD_ADDRをAAAからBBBに変更するものとする。ここで、RX1のBD_ADDRを変化させる方法の例を説明する。まず受電装置全体を制御するホストCPUは、第2通信部204を制御する通信制御部301に対して、Bluetooth規格で定義されるLE_Set_Advertising_Enable(停止)コマンドを送る。これによりADVERTISE_INDICATIONが一時停止される。続いてHCI_LE_Set_Random_AddressコマンドでBD_ADDRを変更する。
次に、RX1はTX1に対して、IB通信で、変更後の新しいBD_ADDRであるBBBを通知する(S705)。これは、RX1の全体を制御するホストCPUが、第1通信部203を制御する通信制御部301に対して、TX1に、変更後の新しいBD_ADDRであるBBBを通知するように制御する(コマンドを送る)ことで実現可能である。なお、S705とS704の順番は逆でもよい。すなわち、RX1はBD_ADDRを変更することを決定したのちに、変更後の新しいBD_ADDRであるBBBを通知する(S705)。そして、RX1は、RX1のBD_ADDRをBBBに変更する(S704)。あるいは、S704とS705は、同じタイミングで実施してもよい。すなわち、RX1はBD_ADDRの変更(S704)と、変更後の新しいBD_ADDRの通知(S705)を同時に実施してもよい。そして、TX1は取得した新しいBD_ADDRをメモリに保持する。
次に、RX1は、OOB通信であるBLE通信において、新しいBD_ADDRの情報を含んだADVERTISE_INDICATIONのブロードキャスト送信を開始する(S706)。ここでは、RX1は、変更後の新しいBD_ADDRであるBBBを含んだADVERTISE_INDICATIONのブロードキャスト送信を開始する。まず受電装置全体を制御するホストCPUは、第2通信部204を制御する通信制御部301に対して、Bluetooth規格で定義されるLE_Set_Advertising_Enable(開始)コマンドを送る。これにより、ADVERTISE_INDICATIONアドバタイズが再開される。これにより、再開したADVERTISE_INDICATIONには、変更されたBD_ADDRが含まれる。上記の処理を所定時間毎に行うことで、所定時間毎に自装置のBD_ADDRを変化させることができる。
一方、TX1はADVERTISE_INDICATIONを受信し、ADVERTISE_INDICATIONに含まれるBD_ADDRが、IB通信でRX1から得たBD_ADDRの情報と一致するかを確認する(S707)。つまりTX1は、IB通信で得た、RX1のBD_ADDRであるBBBと(S706)、OOB通信(BLE通信)のADVERTISE_INDICATIONで得られたRX1のBD_ADDRであるBBBが一致するかどうかを確認する。そして、TX1は、IB通信で得られたRX1のBD_ADDRと、OOB通信のADVERTISE_INDICATIONで得られたRX1のBD_ADDRが一致している場合には、BLEによる接続要求メッセージをRX1へ送信する(S708)。この接続要求メッセージは、BLE規格で規定されたCONNECT_REQである。
なお、TX1は、ADV_INDを受信したとしても、S705で保持されたBD_ADDRのADV_INDでない場合にはCONNECTを送信しない。すなわち、TX1は、電力伝送のための制御通信を試行する段階において、そのような制御通信とは異なる用途でのBLEの接続が確立されないように、CONNECTを送信する対象を限定する。
TX1が送信したCONNECT_REQを受信したRX1は、そのCONNECTの送信元の識別情報が、TX1の識別情報(BD_ADDR)としてメモリに保持されているか否かを判定する(S709)。すなわち、RX1は、CONNECTの送信元がTX1であるか否かを判定する。RX1は、CONNECTの送信元がTX1であると判定した場合、TX1とのBLE通信を確立する。そして、BLE通信によって、無線電力伝送の制御を行う(S710)。そして、充電を終了したら、RX1は、CONNECTで接続したBLE接続を切断することを示すLL_TERMINATE_INDを、CONNECTの送信元の装置へ送信する(S711)。なお、以下では、LL_TERMINATE_INDを、「TERMINATE」と呼ぶ。
一方、RX1が、CONNECTの送信元がTX1でないと判定した場合、RX1は、CONNECTで接続したBLE接続を切断することを示すLL_TERMINATE_INDを、CONNECTの送信元の装置へ送信する。RX1は、TX1からのCONNECTを受信していない場合は、ADV_INDの送信開始後に所定時間が経過してタイムアウトするまでは、ADV_INDを繰り返し送信する。そして、RX1は、TX1からのCONNECTを受信しないままタイムアウトした場合、OOB通信を使用しないことを決定する。
これにより、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立し、一方で電力伝送の対象ではない他の装置との間でBLEによる接続を確立しないようにすることができる。また、RX1のBD_ADDRが変更されていないかを定期的に確認し、変更されていると判定された場合には、変更された新しいRX1のBD_ADDRを、TX1に対してIB通信で通知する。これにより、RX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
また、これにより、送電装置及び受電装置は、バッテリを充電する電力の送受電やその電力の交渉に先立って、送受電範囲内にある受電装置及び送電装置と、BLEによる制御通信を行うことが可能となる。そして、このようにOOB通信によって制御通信を行うことによって、IB通信の場合と比較して大きな電力を送受電することが可能となる。
また、送電装置及び受電装置は、相手装置がBLEに対応していても、BLEが使用可能でない場合、OOB通信を使用せずにIB通信を使用すると判定する。これにより、送電装置及び受電装置は、相手装置が接続されている製品の制御部によってBLEがすでに使用されている場合等に、IB通信を使用して送受電を行うことができる。
また、上述の実施形態では、RX1が、General Req(ID)を送信することによって、TX1のBD_ADDRの送信を要求したが、これに限られない。この要求に、例えば、WPC規格のバージョン1.2.3のSpecific Requestのうち、Packet typeが未定義のReserved PacketやProprietary Packetパケットが用いられてもよい。また、この要求に、WPC規格のバージョン1.2.3のGeneral Requestのうち、Packet typeが未定義のReserved PacketやProprietary Packetが用いられてもよい。また、WPC規格のバージョン1.2.3のパケットのうち、Specific RequestやGeneral Request以外のパケットが、この要求に用いられてもよい。例えば、Specific RequestやGeneral Request以外のPacket typeが未定義のReserved PacketやProprietary Packetがこの要求のために用いられうる。
また、RX1は、自装置がBLEによる制御通信に対応していることをConfiguration Packetを使用してTX1に通知すると説明した。しかしながらこれに限られない。例えば、WPC規格のバージョン1.2.3のSpecific Requestのうち、Packet typeが未定義のReserved PacketやProprietbary Packetによってこの通知が行われてもよい。また、WPC規格のバージョン1.2.3のGeneral Requestのうち、Packet typeが未定義のReserved PacketやProprietary Packetがこの通知に用いられてもよい。また、WPC規格のバージョン1.2.3のパケットのうち、Specific RequestやGeneral Request以外のパケットがこの通知に用いられてもよい。例えば、Specific RequestやGeneral Request以外の、Packet typeが未定義のReserved PacketやProprietary Packetが用いられてもよい。
また、上述の説明では、BD_ADDRが、送電装置または受電装置の製造メーカや、BLEの通信回路(第2通信部)の固体識別情報を示すBLE規格で規定されたPublic Addressであるものとしたが、これに限られない。例えば、BLE規格で規定されるRandom Addressなどの第2通信部で自動生成される乱数であってもよい。また、このRandom Addressのうち、Static Device Address、Resolvable Private Address、Non-resolvable Private Addressのいずれかが用いられてもよい。ここで、Static Device Addressは、第2通信部(BLE通信回路)に電源投入されるたびに生成される乱数アドレスである。Non-resolvable private Addressは、一定時間ごとに生成される乱数アドレスである。Resolvable Private addressは、CentralとPeripheralとの間で交換された暗号鍵に基づいて生成されるアドレスである。
また、RX1は、ADV_INDを送信し、IB通信でBD_ADDRを送信したTX1以外のBLE対応機器(例えば第1通信装置421やTX2)からのCONNECTに対してTERMINATEを送信すると説明した。これに代えて、BLE規格で定義され、CONNECTを送信するBLE対応機器のBD_ADDRを直接指定することが可能なADV_DIRECT_INDが送信されてもよい。例えば、RX1は、TX1のBD_ADDRを格納したADV_DIRECT_INDを送信する。この場合、BD_ADDRを指定されたTX1のみがCONNECTを送信し、第1通信装置421はCONNECTを送信しなくなる。このため、BLEの接続処理を簡単化することができる。
<実施形態2>
実施形態1では、受電装置のBD_ADDRが変更になった場合には、受電装置は送電装置に対して新たなBD_ADDRをIB通信で通知する、という方法について述べた。本実施形態では、実施形態1とは異なる方法で新たなBD_ADDRをTX1に通知する方法について述べる。
本実施形態で述べる電力伝送システムで実行される処理の流れの例について図8を用いて説明する。図8は本実施形態で述べる、図4に示した第1受電装置411(RX1)と、第1送電装置401(TX1)における、クロスコネクションを防止するための動作を表したシーケンス図である。なお、図8において、破線の矢印は、RX1とTX1との間でのIB通信で行われるやり取りを示す。実線の矢印は、RX1とTX1との間でのOOB通信で行われるやり取りを示す。なお、TX1が実行する処理の流れは、大部分は実施形態1で述べた図5と同様であるため、異なる動作についてのみ説明する。RX1が実行する処理の流れも、大部分は実施形態1で述べた図6と同様であるため、異なる動作についてのみ説明する。
まず、BLE通信におけるPeripheralとして動作するRX1は、BLE通信におけるCentralとして動作するTX1に対して、RX1のBD_ADDRを通知する(S801)。BD_ADDRは、IB通信で、Identification PacketあるいはExtended ID Packetに含めて送信する。
この場合、RX1のBD_ADDRはAAAであるとする。上述したように、BD_ADDRは、BLEの通信機能(第2通信部204)の固体識別情報である。TX1は、S801で取得したBD_ADDRをメモリに保持する。次にRX1は、TX1に対してBD_ADDRを問い合わせる信号を送信する(S802)。この信号は、上述したGeneral Request(ID)でありうる。TX1は、General Req(ID)を受信すると、自装置のBLEについてのBD_ADDRを含んだ応答をRX1へ送信する(S803)。この場合、TX1のBD_ADDRは、XXXであるとする。この応答は、上述したようにTX ID Packetでありうる。RX1は、TX1のBD_ADDRであるXXXをメモリに保持する。
上述したS801~803の処理が終了し、TX1とRX1は、お互いのBD_ADDRを相手に通知し、お互いが相手のBD_ADDRを認識することができたら、以下を行う。すなわち、TX1は、RX1とのBLEによる制御通信を試行するために、自装置のBLE通信機能を、Scannerとして起動する(不図示)。一方、RX1は、ADVERTISE_INDICATIONのブロードキャスト送信を開始する(不図示)。
上述したように、S801~803の処理により、TX1とRX1は、IB通信でお互いのBD_ADDRを相手に通知し、お互いが相手のBD_ADDRを認識することが可能となる。IB通信は、送電アンテナ105から送電される電磁波に信号が重畳されて行われる通信であり、基本的には、TX1と通信可能な相手はRX1しかない。よって、S801~803のIB通信での処理により、TX1は送電対象であるRX1のBD_ADDRを認識することができ、RX1は、RX1に対して送電を行うTX1のBD_ADDRを認識することができる。これらのBD_ADDRに基づきOOB通信を行えば、上述したクロスコネクションは発生しない。しかし、機器によっては、BLE通信における識別情報(BD_ADDR)を、例えば、プライバシー保護のために、定期的あるいは不定期に変更するものも存在する。上述したS801~803の処理でお互いが相手のBD_ADDRを認識し、BLE通信の接続が完了する前にBD_ADDRが変更されると、送電装置と受電装置はBLE通信による接続ができなくなってしまう。この場合の解決方法を以下に示す。
本実施形態では、RX1がBD_ADDRを変更するものとする。RX1はBD_ADDRを変更する(S804)。この場合、RX1はBD_ADDRをAAAからBBBに変更するものとする。
次に、RX1はTX1に対して、IB通信で、End Power Transfer Packetを送信する(S805)。具体的には、End Power Transfer Codeとして、Restart Power Transfer を表す値を含むEnd Power Transfer Packetを送信する。これは、RX1の全体を制御するホストCPUが、第1通信部203を制御する通信制御部301に対して、TX1に、End Power Transfer Packetを送信するように制御する(コマンドを送る)ことで実現可能である。
これは、実施形態1で述べたRX1の動作を表すフローにおける図6のS644において、その代わりに、End Power Transfer Packetの送信を行うことになる。End Power Transfer Packetを受信したTX1は、送電を行っている場合には送電を停止し、異物の有無の検出を行い、ping フェーズに移行する。またRX1は、End Power Transfer Packet を送信すると同時にリセットされ、初期の状態に戻る。つまり、TX1は図5のS501に、RX1は図6のS601に移行することになる。TX1とRX1はともに図5と図6におけるフローの初期状態に移行するため、S801~S803のIB通信での処理を再度実行することになる(S806~S808)。つまり、RX1は、S806において変更後の新しいBD_ADDRをTX1に通知することになるため、実施形態1で述べた図7のS705と同様の効果を得ることが可能となる。そして、TX1は取得した新しいBD_ADDRをメモリに保持する。
S809からS814は、実施形態1の図7のS706からS711と同様であるため、説明は省略する。
以上のように、RX1は、RX1のBD_ADDRが変更になった場合には、TX1に対してIB通信でEnd Power Transfer Packetの送信を行う。送電停止により、TX1およびRX1が一度リセットされることで、変更された新しいRX1のBD_ADDRをTX1に通知することが可能となる。これにより、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立し、一方で電力伝送の対象ではない他の装置との間でBLEによる接続を確立しないようにすることができる。そして、RX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
<実施形態3>
実施形態1、2では、RX1のBD_ADDRが変更された場合に、受電装置は送電装置に対してIB通信で、変更後の新しいBD_ADDRを通知する方法について述べた。本実施形態では、受電装置のBD_ADDRが変更になった場合に、受電装置は送電装置に対して変更後の新しいBD_ADDRを通知することを行わない場合においても、クロスコネクションが生じないように制御する方法について述べる。
本実施形態で述べる電力伝送システムで実行される処理の流れの例について図9を用いて説明する。図9は本実施形態で述べる、図4に示した第1受電装置411(RX1)と、第1送電装置401(TX1)における、クロスコネクションを防止するための動作を表したシーケンス図である。なお、図9において、破線の矢印は、RX1と、TX1との間で、IB通信で行われるやり取りを示す。実線の矢印は、RX1と、TX1との間で、OOB通信で行われるやり取りを示す。なお、TX1が実行する処理の流れは、大部分は実施形態1で述べた図5と同様であるため、異なる動作についてのみ説明する。RX1が実行する処理の流れも、大部分は実施形態1で述べた図6と同様であるため、異なる動作についてのみ説明する。
まず、BLE通信におけるPeripheralとして動作するRX1は、BLE通信におけるCentralとして動作するTX1に対して、RX1のBD_ADDRを通知する(S901)。BD_ADDRは、IB通信で、Identification PacketあるいはExtended ID Packetに含めて送信する。
この場合、RX1のBD_ADDRはAAAであるとする。上述したように、BD_ADDRは、BLEの通信機能(第2通信部204)の固体識別情報である。TX1は、S901で取得したBD_ADDRをメモリに保持する。次にRX1は、TX1に対してBD_ADDRを問い合わせる信号を送信する(S902)。この信号は、上述したGeneral Request(ID)でありうる。TX1は、General Req(ID)を受信すると、自装置のBLEについてのBD_ADDRを含んだ応答をRX1へ送信する(S903)。この場合、TX1のBD_ADDRは、XXXであるとする。この応答は、上述したようにPower Transmitter Identification PacketTX ID Packetでありうる。RX1は、TX1のBD_ADDRであるXXXをメモリに保持する。
上述したS901~903の処理が終了し、TX1とRX1は、お互いのBD_ADDRを相手に通知し、お互いが相手のBD_ADDRを認識することができたら、以下を行う。すなわち、TX1は、RX1とのBLEによる制御通信を試行するために、自装置のBLE通信機能を、Scannerとして起動する(不図示)。一方、RX1は、ADVERTISE_INDICATIONのブロードキャスト送信を開始する(不図示)。
上述したように、S901~903の処理により、TX1とRX1は、IB通信でお互いのBD_ADDRを相手に通知し、お互いが相手のBD_ADDRを認識することが可能となる。IB通信は、送電アンテナ105から送電される電磁波に信号が重畳されて行われる通信であり、基本的には、TX1と通信可能な相手はRX1しかない。よって、S901~903のIB通信での処理により、TX1は送電対象であるRX1のBD_ADDRを認識することができ、RX1は、RX1に対して送電を行うTX1のBD_ADDRを認識することができる。これらのBD_ADDRに基づきOOB通信を行えば、上述したクロスコネクションは発生しない。しかし、機器によっては、BLE通信における識別情報(BD_ADDR)を、例えば、プライバシー保護のために、定期的あるいは不定期に変更するものも存在する。上述したS901~903の処理でお互いが相手のBD_ADDRを認識し、BLE通信の接続が完了する前にBD_ADDRが変更されると、TX1とRX1はBLE通信による接続ができなくなってしまう。この場合の解決方法を以下に示す。
本実施形態では、RX1がBD_ADDRを変更するものとする。RX1はBD_ADDRを変更する(S904)。この場合、RX1はBD_ADDRをAAAからBBBに変更するものとする。
次に、RX1は新しいBD_ADDRであるBBBの情報を含んだADVERTISE_INDをTX1に送信する(S905)。そしてTX1は、S902で取得したRX1のBD_ADDRの情報と、S905で取得したBD_ADDRの情報が一致するか否かを判定し、一致しないことを認識する(S906)。そして、TX1は、上述したようにRX1のBD_ADDRの情報が一致しないため、BLE通信の接続要求であるCONNECT_REQを、RX1に送信しない(S907)。
RX1は、定期的に、新しいBD_ADDRであるBBBの情報を含んだADVERTISE_INDを送信し続ける(S908)。それに対して、TX1は、BLE通信の接続要求であるCONNECT_REQを、RX1に送信しない(不図示)。RX1は、ADVERTISE_INDを送信し続けるが、所定の期間経過してもTX1からRX1に対してCONNECT_REQが送信されないことを検知する(S909)。つまり、図6においては、S626で所定の期間、TX1からCONNECT_REQが送信されなかった場合、RX1はRX1のBD_ADDRが変更された可能性がある、と判断する。これにより、RX1は、RX1のBD_ADDRが変更された可能性があることを検知し、IB通信で新しい変更後のBD_ADDR(BBB)を、TX1に対して送信する。BD_ADDRは、IB通信で、Identification PacketあるいはExtended ID Packetに含めて送信する。そして、RX1は、新しいBD_ADDRであるBBBの情報を含んだADVERTISE_INDを送信し続けている(S911)。そのため、TX1はS910で得られたBD_ADDRの情報と、S911のADVERTISE_INDから得られたBD_ADDRの情報を比較し、一致していることを認識することができる(S912)。よって、TX1はRX1を送電対象の受電装置として認識し、RX1とBLE通信を確立するためにCONNECT_REQをRX1に送信する(S913)。S914~S916の動作は、実施形態1のS709~S711と同様のため、説明は省略する。
本実施形態では、所定の期間、送電装置からCONNECT_REQが送信されないことを検知したこと(S909)をトリガとして、TX1に、新たな変更後のBD_ADDRをIB通信で直接通知することを行う。これにより、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立し、一方で電力伝送の対象ではない他の装置との間でBLEによる接続を確立しないようにすることができる。そして、RX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
<実施形態4>
実施形態3では、所定の期間、送電装置からCONNECT_REQが送信されないことを検知したこと(S909)をトリガとして、TX1に、新たな変更後のBD_ADDRをIB通信で直接通知することを行う、という方法について述べた。本実施形態では、受電装置のBD_ADDRが変更され、受電装置が、所定の期間、送電装置からCONNECT_REQが送信されないことを検知したときに、実施形態3とは異なる方法でクロスコネクションが生じないように制御する方法について述べる。
本実施形態で述べる電力伝送システムで実行される処理の流れの例について図10を用いて説明する。図10は本実施形態で述べる、図4に示した第1受電装置411(RX1)と、第1送電装置401(TX1)における、クロスコネクションを防止するための動作を表したシーケンス図である。なお、図10において、破線の矢印は、RX1と、TX1との間で、IB通信で行われるやり取りを示す。実線の矢印は、RX1と、TX1との間で、OOB通信で行われるやり取りを示す。なお、送電装置(TX1)が実行する処理の流れは、大部分は実施形態1で述べた図5と同様であるため、異なる動作についてのみ説明する。受電装置(RX1)が実行する処理の流れも、大部分は実施形態1で述べた図6と同様であるため、異なる動作についてのみ説明する。
図10のS1001~S1009までの動作は、実施形態3で述べたS901~S909までの動作と同様であるため、説明は省略する。RX1は、所定の期間、送電装置からCONNECT_REQが送信されないことを検知したら(S1009)、RX1はTX1に対して、IB通信で、End Power Transfer Packetを送信する(S1010)。特に、End Power Transfer Codeとして、Restart Power Transfer を表す値を含むEnd Power Transfer Packetを送信する。
つまり、図6においては、S614で所定の期間、TX1からCONNECT_REQが送信されなかった場合、RX1はRX1のBD_ADDRが変更された可能性がある、と判断する(S643)。そして、RX1が、RX1のBD_ADDRが変更された可能性がある、と判断した場合は、図6のS644に代えてRX1はTX1に対して、IB通信で、End Power Transfer Packetを送信する。
これは、RX1の全体を制御するホストCPUが、第1通信部203を制御する通信制御部301に対して、TX1に、End Power Transfer Packetを送信するように制御する(コマンドを送る)ことで実現可能である。End Power Transfer Packetを受信したTX1は、送電を行っている場合には送電を停止し、異物の有無の検出を行い、ping フェーズに移行する。またRX1は、End Power Transfer Packetを送信すると同時にリセットされ、初期の状態に戻る。つまり、TX1は図5のS501に、RX1は図6のS601に移行することになる。TX1とRX1はともに図5と図6におけるフローの初期状態に移行するため、S1001~S1003のIB通信での処理を再度実行することになる(S1011~1013)。この時、RX1は、S1011において変更後の新しいBD_ADDRをTX1に通知することになる。そして、TX1は取得した新しいBD_ADDRをメモリに保持する。S1014~S1019の動作は、図9のS911~S916と同様であるため、説明は省略する。
本実施形態では、所定の期間、TX1からCONNECT_REQが送信されないことを検知したこと(S909)をトリガとして、End Power Transfer Packet が送信される。これにより、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立し、一方で電力伝送の対象ではない他の装置との間でBLEによる接続を確立しないようにすることができる。そして、RX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
<実施形態5>
実施形態4では、RX1がTX1に対してEnd Power Transfer Packet を送信し、TX1とRX1をリセット状態にして、RX1がTX1に対して新しい変更されたBD_ADDRを通知するように制御する方法について述べた。本実施形態では送電装置が、送電装置と受電装置をリセット状態にすることでクロスコネクションが生じないように制御する方法について述べる。
本実施形態で述べる電力伝送システムで実行される処理の流れの例について図11を用いて説明する。図11は本実施形態で述べる、図4に示した第1受電装置411(RX1)と、第1送電装置401(TX1)における、クロスコネクションを防止するための動作を表したシーケンス図である。なお、図11において、破線の矢印は、RX1と、TX1との間で、IB通信で行われるやり取りを示す。実線の矢印は、RX1と、TX1との間で、OOB通信で行われるやり取りを示す。なお、TX1が実行する処理の流れは、大部分は実施形態1で述べた図5と同様であるため、異なる動作についてのみ説明する。受電装置(RX1)が実行する処理の流れも、大部分は実施形態1で述べた図6と同様であるため、異なる動作についてのみ説明する。
図11におけるS1101からS1106は、実施形態4で述べた、S1001からS1006と同様であるため、説明は省略する。S1106において、TX1は、IB通信で得られたRX1のBD_ADDRと、OOB通信のADV_INDから得られたRX1のBD_ADDRが一致しないことを検知すると、TX1はRX1への送電を停止する(S1107)。つまり、図5においてS541でYESの場合、TX1はRX1への送電を停止するように制御する。
S1107において、このTX1がRX1に対して送電を停止することで、RX1は第1通信部203、第2通信部204、受電回路部202等が動作することができなくなるため、RX1はリセットされ、初期の状態となり、図6のS601に戻る。また、TX1も、S1107においてRX1への送電を停止したことを契機に、TX1の状態をリセットし、図5のS501に戻る。TX1がRX1に対して送電を停止することによって、TX1とRX1ともにリセット状態とすることが可能となる。S1108からS1116は、実施形態4で述べたS1011からS1019と同様の動作のため、説明は省略する。
以上により、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立し、一方で電力伝送の対象ではない他の装置との間でBLEによる接続を確立しないようにすることができる。そして、RX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
<実施形態6>
実施形態5では、TX1は、IB通信で得られたRX1のBD_ADDRと、OOB通信のADV_INDから得られたRX1のBD_ADDRが一致しないことを検知すると、TX1がRX1への送電を停止した。これにより、TX1とRX1をリセット状態にし、RX1がTX1に対してIB通信で変更後の新しいBD_ADDRを送信することで、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立する方法について述べた。
本実施形態では、受電装置のBD_ADDRが変更され、送電装置が、受電装置のBD_ADDRが変更された可能性を検知したときに、送電装置が、受電装置に対してBD_ADDRの再通知を要求する。そして、変更後のBD_ADDRをIB通信で受信することで、クロスコネクションが生じないように制御する方法について述べる。
本実施形態で述べる電力伝送システムで実行される処理の流れの例について図12を用いて説明する。図12は本実施形態で述べる、図4に示した第1受電装置411(RX1)と、第1送電装置401(TX1)における、クロスコネクションを防止するための動作を表したシーケンス図である。なお、図12において、破線の矢印は、RX1と、TX1との間で、IB通信で行われるやり取りを示す。実線の矢印は、RX1と、TX1との間で、OOB通信で行われるやり取りを示す。なお、TX1が実行する処理の流れは、大部分は実施形態1で述べた図5と同様であるため、異なる動作についてのみ説明する。RX1が実行する処理の流れも、大部分は実施形態1で述べた図6と同様であるため、異なる動作についてのみ説明する。
S1201からS1206は、実施形態5のS1101からS1106と同様であるため、説明は省略する。TX1は、IB通信で得られたRX1のBD_ADDRと、OOB通信のADV_INDから得られたRX1のBD_ADDRが一致しない場合、RX1に対して、BD_ADDRの再通知をIB通信で実施するように要求する(S1207、S1208)。このS1207において、TX1からRX1に対して送信する要求パケットは、TX1がRX1に対して動作を要求することを示すパケットである。そして、S1208では、TX1がRX1に対して要求する動作を識別する識別情報を含むパケットである。なお、S1206とS1207の動作を、1つのパケットで実施してもよい。すなわち、TX1がRX1に対して動作を要求することを示すパケットであり、かつ要求する動作を識別する識別情報を含むパケットを、TX1がRX1に送信してもよい。
つまり、図5のS511においてIB通信で得られたRX1のBD_ADDRと、OOB通信のADV_INDから得られたRX1のBD_ADDRが一致しないことを検知した場合、RX1はRX1のBD_ADDRが変更された可能性がある、と判断する。そして、S542において、TX1はRX1へBD_ADDRの再通知を要求するためのパケットを送信する(上述のS1207、S1208)。そして、RX1からTX1に対して新たな変更後のBD_ADDRが通知された場合には、BD_ADDRをメモリに保持する(S543)。なお、S1209からS1215までの動作は、図7のS705からS711と同様であるため、説明を省略する。
以上により、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立し、一方で電力伝送の対象ではない他の装置との間でBLEによる接続を確立しないようにすることができる。そして、RX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
<その他の実施形態>
上述した実施形態1から6では、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立し、一方で電力伝送の対象ではない他の装置との間でBLEによる接続を確立しないようにする方法について述べた。以下、実施形態1から6に適用可能な構成について述べる。
TX1とRX1の間でBLE通信が確立されたのちに、RX1のBD_ADDRが変更された場合は、RX1はTX1に対して、変更後の新たなBD_ADDRを送信することは行わない。これは、TX1とRX1の間でOOB通信(BLE通信)が確立後は、BLE通信を行うにあたってBD_ADDRは必要としないからである。これにより、不必要な通信を行うことを抑制することが可能である。
また、実施形態1から6においては、RX1がPeripheralでTX1がCentralであり、RX1のBD_ADDRが変更される場合について説明した。しかしながら、RX1がCentralでTX1がPeripheralであって、TX1のBD_ADDRが変更されてもよい。この場合のクロスコネクションを防止する方法について、実施形態1から6それぞれの場合について述べる。つまり、図7から図12のRX1とTX1が入れ替わった場合について説明する。
以下、図7から図12のRX1とTX1は、入れ替わっているものとして、図を用いながら説明する。実施形態1において、RX1がCentralでTX1がPeripheralであって、TX1のBD_ADDRが変更される場合について考える。TX1はTX1のBD_ADDR(S704)を変更したら、RX1に対して、RX1がTX1に対してGenral Req(ID)を送信することを要求する要求パケットを送信する。RX1はこれを受信したら、Genral Req(ID)をTX1に対して送信する。TX1はこれを受信したらRX1に対して変更後の新しいTX1のBD_ADDRを、IB通信で送信する。これにより、TX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
実施形態2の場合は、TX1はBD_ADDRを変更(S804)したら、RX1がTX1に対してEPT_restartを送信するように要求する要求パケットを、RX1に送信する。これを受信したRX1は、TX1に対してEPT restart(S805)を送信する。これにより、TX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
実施形態3の場合は、TX1は、新BD_ADDRを通知する場合(S910)、RX1に対して、RX1がTX1に対してGenral Req(ID)を送信することを要求する要求パケットを送信する。RX1はこれを受信したら、Genral Req(ID)をTX1に対して送信する。TX1はこれを受信したらRX1に対して変更後の新しいTX1のBD_ADDRを、IB通信で送信する。これにより、TX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
実施形態4の場合は、S1009でTX1が、RX1からCONNECT_REQが送信されないことを検知した場合に、S1010において、RX1がTX1にEPT Restartを送信するように制御する必要がある。RX1がTX1にEPT Restartを送信することを実現するために、TX1は、RX1に対して動作を要求するための要求パケットを送信する。続けて、RX1がTX1に対してEPT Restartの送信を要求する旨を示す情報を含んだパケットを送信する。なお、RX1に対して動作を要求する(要求パケット)ことと、EPT Restartの送信を要求する旨を示す情報は、一つのパケットで送信してもよい。これにより、TX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
実施形態5の場合は、TX1はS1104でBD_ADDRを変更したら、RX1への送電を停止する。これにより、TX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
実施形態6の場合は、RX1は要求パケット(S1207)、BD_ADDR再通知の要求(S1208)を送信せずに、その代わりに、RX1はTX1に対してGeneral Req(ID)を送信する。そして、TX1は、変更後の新しいBD_ADDRをRX1に送信する(S1209)。これにより、TX1のBD_ADDRが変更された場合においても、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
以上は、RX1がCentralでTX1がPeripheralであって、TX1のBD_ADDRが変更される場合について述べた。それ以外のケースとして、以下の場合がある。
・RX1がPeripheralでTX1がCentralであって、TX1のBD_ADDRが変更される場合
・RX1がCentralでTX1がPeripheralであって、RX1のBD_ADDRが変更される場合
これらの場合においても、実施形態1から6で述べた方法、ならびに本実施形態で述べた方法で、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。つまり、TX1がBD_ADDRを変更した場合、あるいはRX1がBD_ADDRを変更した場合においては、実施形態1から6で述べた方法、ならびに本実施形態で述べた方法を適用することができる。
また、それ以外のケースとして、RX1およびTX1の両方のBD_ADDRが変更されるケースも考えられる。この場合においても、実施形態1から6で述べた方法、ならびに本実施形態で述べた方法で、TX1あるいはRX1がそれぞれ制御を行うことにより、電力伝送の対象との間でBLEによる接続を確立することが可能になる。
また、実施形態1から6においては、RX1がTX1に対して、変更後の新しいBD_ADDRを通知することで課題を解決した。それとは異なる方法として、RX1がBD_ADDRを変更する機能を有するということをTX1が認識した場合、TX1とRX1の制御通信は、OOB通信を使用せず、IB通信を使用することとしてもよい。これを実現するためには、例えば、BD_ADDRを変更する機能を有するRX1は、OOB通信機能を有している場合であっても、OOB通信の通信手段を有していないことを送電装置に通知する。これはI&Cフェーズ、あるいはNegotiationフェーズにおいてTX1とRX1の能力を交換する過程において実現可能であり、例えば上述したConfiguration Packetに含めて送信されうる。
あるいは、RX1は、TX1とRX1との間でOOB通信が確立されていない段階でBD_ADDRを変更する場合、BD_ADDRを変更すると判断した時点で、OOB通信の通信手段を有していないことを送電装置に通知する。あるいは、RX1は、BD_ADDRを変更した時点で、OOB通信機能を有している場合であっても、OOB通信の通信手段を有していないことを送電装置に通知する。これにより、TX1とRX1は制御通信をIB通信で実施することとなり、電力伝送の対象ではない他の装置との間でBLEによる接続を確立しないようにすることが可能となる。
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC等)によっても実現可能である。また、そのプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
また、本開示の受電装置は、情報端末機器でもよい。例えば、情報端末機器は、受電アンテナから受けた電力が供給される、情報をユーザに表示する表示部(ディスプレイ)を有している。なお、受電アンテナから受けた電力は蓄電部(バッテリ)に蓄積され、そのバッテリから表示部に電力が供給される。この場合、受電装置は、送電装置とは異なる他の装置と通信する通信部を有していてもよい。通信部は、NFC通信や、第5世代移動通信システム(5G)などの通信規格に対応していてもよい。
また、本開示の受電装置が自動車などの車両であってもよい。例えば、受電装置である自動車は、駐車場に設置された送電アンテナを介して充電器(送電装置)から電力を受けとるものであってもよい。また、受電装置である自動車は、道路に埋め込まれた送電アンテナを介して充電器(送電装置)から電力を受けとるものでもよい。このような自動車は、受電した電力はバッテリに供給される。バッテリの電力は、車輪を駆動する発動部(モータ、電動部)に供給されてもよいし、運転補助に用いられるセンサの駆動や外部装置との通信を行う通信部の駆動に用いられてもよい。つまり、この場合、受電装置は、車輪の他、バッテリや、受電した電力を用いて駆動するモータやセンサ、さらには送電装置以外の装置と通信を行う通信部を有していていもよい。さらに、受電装置は、人を収容する収容部を有していてもよい。例えば、センサとしては、車間距離や他の障害物との距離を測るために使用されるセンサなどがある。通信部は、例えば、全地球測位システム(Global Positioning System、Global Positioning Satellite、GPS)に対応していてもよい。また、通信部は、第5世代移動通信システム(5G)などの通信規格に対応していてもよい。また、車両としては、自転車や自動二輪車であってもよい。
また、本開示の受電装置は、電動工具、家電製品などでもよい。受電装置であるこれらの機器は、バッテリの他、バッテリに蓄積された受電電力によって駆動するモータを有していてもよい。また、これらの機器は、バッテリの残量などを通知する通知手段を有していてもよい。また、これらの機器は、送電装置とは異なる他の装置と通信する通信部を有していてもよい。通信部は、NFCや、第5世代移動通信システム(5G)などの通信規格に対応していてもよい。
また、本開示の送電装置は、自動車の車両内で、無線電力伝送に対応するスマートフォンやタブレットなどの携帯情報端末機器に対して送電を行う車載用充電器であってもよい。このような車載用充電器は、自動車内のどこに設けられていてもよい。例えば、車載用充電器は、自動車のコンソールに設置されてもよいし、インストルメントパネル(インパネ、ダッシュボード)や、乗客の座席間の位置や天井、ドアに設置されてもよい。ただし、運転に支障をきたすような場所に設置されないほうがよい。また、送電装置が車載用充電器の例で説明したが、このような充電器が、車両に配置されるものに限らず、電車や航空機、船舶等の輸送機に設置されてもよい。この場合の充電器も、乗客の座席間の位置や天井、ドアに設置されてもよい。
また、車載用充電器を備えた自動車等の車両が、送電装置であってもよい。この場合、送電装置は、車輪と、バッテリとを有し、バッテリの電力を用いて、送電回路部や送電アンテナにより受電装置に電力を供給する。