図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る寝返り補助パッド2は、使用者の上半身側が載置される第1パッド3と、使用者の下半身側が載置される第2パッド4とからなり、第1パッド3と第2パッド4とが身長方向に一列に配置されて構成されている。なお、本明細書において上下とは、寝返り補助パッド2をマットレスや敷物等に設置して使用する状態での上下方向、すなわち、図1における上下方向をいうものとする。また、本明細書において幅方向とは、寝返り補助パッド2を使用する状態での幅方向、すなわち、図2における左右方向をいい、長さ方向とは、寝返り補助パッド2を使用する状態での長さ方向(身長方向)、すなわち、図2における上下方向をいうものとする。
まず、使用者の上半身側が載置される第1パッド3について説明する。図1に示すように、第1パッド3は、その幅方向中央部に長さ方向(身長方向)に延びる略平坦な面として形成されている第1支持面31と、その第1支持面31の長さ方向の端部から外方に向けて下り傾斜する一対の傾斜面として形成されている第1傾斜部32とを備えている。
第1パッド3における第1支持面31の幅方向の長さW1と、第1傾斜部32の傾斜角度θ1とは、第1パッド3に所望の作用をもたらすように設定することができる。第1支持面31の幅方向の長さW1を適宜設定することによって、上半身側の転回を開始するタイミングや転回開始トルク、仰臥位における背中の支持安定性を調整することができ、第1傾斜部31の傾斜角度θ1と協働させることで転回動作中のトルクを調整し、目的の上半身側の低負荷な転回動作を適宜設定することができる。具体的には、第1支持面31の幅方向の長さW1は使用者の上半身側の支持安定性が確保される範囲とするところ、その範囲内で第1支持面31の幅方向の長さW1を小さく設定するほど、上半身側の転回に要する力(トルク)が小さくなり、転回動作も早く開始される。また、第1傾斜部32の傾斜角度θ1を大きく設定するほど上半身側の転回に要するトルクは小さくなる。そのため、第1支持面31の幅方向の長さW1と第1傾斜部32の傾斜角度θ1との各々の設定値の組合せによって、上半身側の転回し易さを寝返りパターンや使用者の体型等に応じて調整することができる。以下、第1支持面31及び第1傾斜部32について、詳細に説明する。
図2に示すように、第1パッド3の第1支持面31は仰臥姿勢の使用者Bの体のうち、背中の少なくとも一部を支持するように構成されている。本実施形態における第1支持面31は、幅方向の長さW1が25cm、長さ方向(身長方向)の長さが90cm、高さH1(第1支持面31部分のクッション材の厚み)が3cmの大きさに形成されており、仰臥姿勢の使用者Bの頭及び背骨を中心とした背中を支持することができるように設計されている。第1支持面31の幅方向の長さW1は、後述するように、仰臥姿勢の使用者Bの肩部Sが第1支持面31の外方の第1傾斜部32に対向するように配置される必要がある関係から、第1支持面31の幅方向の長さW1は使用者Bの肩幅SW以下の幅、好ましくは使用者Bの一方の肩峰から他方の肩峰までの長さ(肩峰幅)以下で形成される。なお、使用者Bの肩部Sとは肩峰近傍であり、少なくとも肩峰から上腕骨の大結節までの領域を含んでいる。また、使用者Bの肩幅SWとは一方の肩から他方の肩までの長さであり、より具体的には、三角筋部の輪郭が最も外側に突出した位置において、矢状面に対して垂直に測った身体の最大横径である。第1支持面31の幅方向の長さW1は、使用者の肩幅以下の幅、好ましくは肩峰幅以下とすると共に、安定的に使用者Bの上半身を支持できるようにする観点から、使用者Bの左右の肩甲骨下角間の長さ以上とすることが好ましく、より具体的には、15cm~40cmとすることが好ましく、15cm~35cmとすることが好ましく、20cm~30cmとすることが特に好ましい。なお、後述するように、第1支持面31の幅方向の長さW1と第2支持面41の幅方向の長さW2が等しい構成(W1=W2)の場合には、第1支持面31の幅方向の長さW1は、第2支持面41の幅方向の長さW2の最大設定値である、使用者Bの骨盤の幅PW以下に設定される。また、第1支持面31の長さ方向(身長方向)の長さは、使用者Bの頭から背中を支持できるように適宜設定される。さらに、第1支持面31の高さH1は、上半身の転回に要する力を低減して適度な寝返りができるように、後述する傾斜角度θ1と合わせて適宜設定される。また、第1支持面31は、本実施形態では略平坦な面として形成されているが、仰臥姿勢の使用者Bの体の背中の少なくとも一部を支持することができれば、どのような形状に形成されていてもよく、その形状は平坦な面に限定されない。
図1及び図2に示すように、本実施形態における第1パッド3の一対の第1傾斜部32は、第1支持面31の長さ方向全体に亘って設けられており、寝返り動作する際の使用者Bの肩及び上腕全体が支持されるように形成されている。第1パッド3の第1支持面31で使用者Bの背中が支持されるところ、第1支持面31で支持されていない、肩部S及びこの肩部Sと連続する背中側部分からなる領域(以下、肩周辺部SAという)は、第1支持面31の端部から下方に傾斜する第1傾斜部32と対向するように位置している。それゆえ、使用者Bが上半身を転回させる際に、寝返り方向にある肩周辺部SAは第1傾斜部32に支持される。図3(a)に示すように、使用者Bが寝返り動作する際、寝返り方向にある使用者の肩部Sを含む肩周辺部SAと第1傾斜部32との接地点Gと使用者の体軸Xとの距離が近くなり、上半身の転回に要する力が小さくなるため、上半身側の転回が促進される。ここで、肩周辺部SAとは、少なくとも、使用者Bの肩部S(肩峰から上腕骨の大結節までの領域)を含む部分であって、第1支持面31で支持されていない部分であるので、第1支持面31の幅方向の長さW1の設定によっては、使用者Bの上腕骨の大結節から背中側の肩甲骨下角に至る領域が含まれる。また、本実施形態における第1傾斜部32は、平面から形成されているが、曲面構造や後述する実施形態に示すような段状構造とすることもできる。ここで、段状構造とした場合の傾斜部は略垂直の傾斜面を含んでいてもよく、例えば階段状構造や、第1支持面31の端部から連続する最初の傾斜面が垂直に形成されたのちに鋭角の傾斜面に変化する構造などとしてもよい。これらのように第1傾斜部32を段状の傾斜面とすることで、寝返りパターンや使用者の体型などに応じて、上半身側の転回し易さをより細かく調整できる。また、第1傾斜部32の傾斜角度が、第1パッド3の長さ方向に向かって、漸次的(連続的又は非連続的)に変化するような構造も包含される。なお、第1傾斜部32は、仰臥姿勢の使用者Bの体のうち、少なくとも肩周辺部SAを支持するように形成されていればよく、それゆえ、第1支持面31の長さ方向に亘って設けられなくともよく、使用者Bの肩周辺部SAのみに第1傾斜部を設ける構成としてもよい。
この第1パッド3の第1傾斜部32による作用について、図3を参照し、より詳細に説明する。図3は仰臥姿勢の使用者の上半身が回転する際のトルク(T=F×L)を示す図であるところ、図3(a)では、本実施形態に係る寝返り補助パッドを使用した際のトルクを、図3(b)では、通常の平坦なマットレスを使用した際のトルクを示している。この図では寝返り動作に要する力を回転中心(体軸)Xについてのトルク(ねじりの強さ)として表している。トルクTは、回転円の接線方向に働く力Fと接地点Gと回転中心Xの距離Lとの積(T=F×L)で表される。それゆえ、接地点Gと回転中心Xの距離Lを短くすることにより、トルクTの値は低減する。図3(b)では、通常の(傾斜部が設けられていない)マットレスの例を示しているが、この例によれば、使用者Bの肩周辺部SAがマットレスに接地する位置Gは、肩部Sの比較的外側である。他方、図3(a)に示すように、第1パッド3に第1傾斜部32を設けることによって、使用者Bの肩周辺部SAが第1パッド3に接地する位置Gは、図3(b)よりも内側に移動するため、接地点Gが回転中心Xに近づき、接地点Gと回転中心Xの距離Lが短くなってトルクTは低減する。それゆえ、上半身側の転回にかかる負荷が小さくなるため、少ない力で上半身側の転回を行うことができる。
第1パッド3の第1傾斜部32の水平面に対する傾斜角度θ1は、角度θ1が大きくなると、肩周辺部SAの接地点Gと回転中心Xとの距離Lが短くなるため、上半身側の転回にかかる力が低減するが、その一方で転回動作が容易になり過ぎると仰臥位における使用者Bの体が不安定になる。それゆえ、寝心地にも寄与する仰臥位安定性と寝返り(転回)容易性を両立する傾斜角度θ1とすることが好ましい。具体的には、傾斜角度θ1は、本実施形態のように、第1傾斜部32が平面状の傾斜面から形成されている場合には、40度未満が好ましく、30度未満がより好ましく、5~20度がさらに好ましく、10~15度が特に好ましい。なお、第1傾斜部32が、本実施形態のような平面から形成されておらず、段状構造から形成されている場合の傾斜角度θ1は、断面視における第1支持面31の端部を傾斜始点とし、この傾斜始点と第1傾斜部32を構成する最下段の段部の先端を最短の直線で結んだ線を含む平面を傾斜面とし、この傾斜面の水平面に対する角度を傾斜角度θ1とする。また、第1傾斜部32が曲面構造から形成されている場合の傾斜角度θ1は、断面視における第1支持面31の端部の傾斜始点と第1パッド3の底面端部(第1傾斜部32の底面端部)の傾斜終点とを最短の直線で結んだ線を含む平面を傾斜面とし、この傾斜面の水平面に対する角度を傾斜角度θ1とする。また、第1傾斜部32の傾斜角度が、第1パッド3の長さ方向に向かって、漸次的(連続的又は非連続的)に変化する構造として形成されている場合には、傾斜角度θ1は、使用者Bの肩周辺部SAを支持する部分の傾斜面の角度である。
次に、使用者の下半身側が載置される第2パッド4について説明する。図1に示すように、第2パッド4は、その幅方向中央部に長さ方向(身長方向)に延びる略平坦な面として形成されている第2支持面41と、その第2支持面41の長さ方向の端部から外方に向けて下り傾斜する一対の傾斜面として形成されている第2傾斜部42とを備えている。
第2パッド4における第2支持面41の幅方向の長さW2と、第2傾斜部42の傾斜角度θ2とは、第2パッド4に所望の作用をもたらすように設定することができる。第2支持面41の幅方向の長さW2を適宜設定することによって、下半身側(骨盤)の転回を開始するタイミングや転回開始トルク、仰臥位における骨盤部の支持安定性を調整することができ、第2傾斜部42の傾斜角度θ2と協働させることで転回動作のトルクを調整し、目的の下半身側の低負荷な転回動作を適宜設定することができる。具体的には、第2支持面41の幅方向の長さW2は使用者の下半身側の支持安定性が確保される範囲とするところ、その範囲内で第2支持面41の幅方向の長さW2を小さく設定するほど下半身側の転回に要する力(トルク)が小さくなり、転回動作も早く開始される。また、傾斜角度θ2を大きく設定するほど下半身側の転回に要するトルクは小さくなる。そのため、第2支持面41の幅方向の長さW2と第2傾斜部42の傾斜角度θ2との各々の設定値の組合せによって、下半身側の転回し易さを寝返りパターンや使用者の体型等に応じて調整することができる。以下、第2支持面41及び第2傾斜部42について、詳細に説明する。
図2に示すように、第2パッド4の第2支持面41は仰臥姿勢の使用者Bの体のうち、腰臀部の少なくとも一部を支持するように構成されている。本実施形態における第2支持面41は、幅方向の長さW2が13cm、長さ方向(身長方向)の長さが90cm、高さH2(第2支持面41部分のクッション材の厚み)が3cmの大きさに形成されており、仰臥姿勢の使用者Bの仙椎を中心とした腰臀部を支持することができるように設計されている。第2支持面41の幅方向の長さW2は、後述するように、仰臥姿勢の使用者Bの大腿骨の大転子が第2支持面41の外方の第2傾斜部42に対向するように配置される必要があるため、第2支持面41の幅方向の長さW2は使用者Bの骨盤の幅PW以下の幅で形成される。ここで、使用者Bの骨盤の幅PWとは一方の上前腸骨棘Pから他方の上前腸骨棘Pまでの長さである。なお、上前腸骨棘Pとは骨盤を構成する腸骨の腸骨稜の前縁にある突起部である。具体的に、第2支持面41の幅方向の長さW2は、使用者Bの骨盤の幅PW以下の幅とすると共に、使用者Bの下半身を安定的に支持できるようにする観点から、使用者Bの体の少なくとも上後腸骨棘(骨盤の腸骨稜の後縁にある突起部)間の幅以上とすることが好ましく、より具体的には、5cm~30cmとすることが好ましく、10cm~25cmとすることがより好ましく、10cm~20cmとすることがさらに好ましい。また、第2支持面41の長さ方向(身長方向)の長さは、使用者Bの下半身を支持できるように適宜設定される。さらに、第2支持面41の高さH2は、下半身の転回に要する力を低減できるように、後述する傾斜角度θ2と合わせて適宜設定される。また、第2支持面41は、本実施形態では略平坦な面として形成されているが、仰臥姿勢の使用者Bの体の背中の少なくとも一部を支持することができれば、どのような形状に形成されていてもよく、その形状は平坦な面に限定されない。
図1及び図2に示すように、本実施形態における第2パッド4の一対の第2傾斜部42は、第2支持面41の長さ方向全体に亘って設けられており、寝返り動作する際の使用者Bの大腿骨の大転子が少なくとも支持されるように形成されている。第2パッド4の第2支持面41で使用者Bの上後腸骨棘間を中心とした腰臀部が支持されるところ、第2支持面41で支持されていない、大腿骨の大転子及び骨盤の上前腸骨棘P並びにこの上前腸骨棘Pと連続する臀部側部分からなる領域(以下、骨盤周辺部PAという)は、第2支持面41の端部から下方に傾斜する第2傾斜部42と対向するように位置している。それゆえ、使用者Bが下半身を転回させる際に、寝返り方向にある骨盤周辺部PAは第2傾斜部42に支持される。このように、使用者Bが寝返り動作する際、寝返り方向にある使用者の大腿骨の大転子を含む骨盤周辺部PAと第2傾斜部42との接地点Gと使用者の体軸Xとの距離が近くなり、骨盤の転回に要する力が小さくなるため、下半身側の転回が促進される。この下半身側の転回が促進される作用については、図3の図3(a)で示した第1パッド3の第1傾斜部32による作用と同様である。ここで、骨盤周辺部PAとは、少なくとも、使用者Bの大腿骨の大転子及び骨盤の上前腸骨棘Pを含む部分であって、第2支持面41で支持されていない部分であるので、第2支持面41の幅方向の長さW2の設定によっては、使用者Bの骨盤の上前腸骨棘Pから臀部側の上後腸骨棘に至る領域が含まれる。また、本実施形態における第2傾斜部42は、平面から形成されているが、曲面構造や後述する実施形態に示すような段状構造とすることもできる。ここで、段状構造とした場合の傾斜面は略垂直の傾斜面を含んでいてもよく、例えば階段状構造や、第2支持面41の端部から連続する最初の傾斜面が垂直に形成されたのちに鋭角の傾斜面に変化する構造などとしてもよい。これらのように第2傾斜部42を段状の傾斜面とすることで、寝返りパターンや使用者の体型などに応じて、下半身側の転回し易さをより細かく調整できる。また、第2傾斜部42の傾斜角度が、第2パッド4の長さ方向に向かって、漸次的(連続的又は非連続的)に変化するような構造も包含される。なお、第2傾斜部42は、仰臥姿勢の使用者Bの体のうち、少なくとも骨盤周辺部PAを支持するように形成されていればよく、それゆえ、第2支持面41の長さ方向に亘って設けられなくともよく、使用者Bの骨盤周辺部PAのみに第2傾斜部を設ける構成としてもよい。
第2パッド4の第2傾斜部42の水平面に対する傾斜角度θ2は、角度θ2が大きくなると、骨盤周辺部PAの接地点Gと回転中心Xとの距離Lが短くなるため、骨盤の転回トルクが低減し、その結果として下半身の転回にかかる力が低減するが、その一方で骨盤の転回動作が容易になり過ぎると仰臥位における使用者Bの体が不安定になる。それゆえ、仰臥位安定性と寝返り(転回)容易性を両立する傾斜角度θ2とすることが好ましい。具体的には、傾斜角度θ2は、本実施形態のように、第2傾斜部42が平面状の傾斜面から形成されている場合には、35度未満が好ましく、5~20度がより好ましく、10~15度が特に好ましい。なお、第2傾斜部42が、本実施形態のような平面から形成されておらず、段状構造から形成されている場合の傾斜角度θ2は、断面視における第2支持面41の端部を傾斜始点とし、この傾斜始点と第2傾斜部42を構成する最下段の段部の先端を最短の直線で結んだ線を含む平面を傾斜面とし、この傾斜面の水平面に対する角度を傾斜角度θ2とする。また、第2傾斜部42が曲面構造から形成されている場合の傾斜角度θ2は、断面視における第2支持面41の端部の傾斜始点と第2パッド4の底面端部(第2傾斜部42の底面端部)の傾斜終点とを最短の直線で結んだ線を含む平面を傾斜面とし、この傾斜面の水平面に対する角度を傾斜角度θ2とする。また、第2傾斜部42の傾斜角度が、第2パッド4の長さ方向に向かって、漸次的(連続的又は非連続的)に変化する構造として形成されている場合には、傾斜角度θ2は、使用者Bの骨盤周辺部PAを支持する部分の傾斜面の角度である。
本実施形態の寝返り補助パッド2は、第1パッド3の第1支持面31の幅方向の長さW1及び第1傾斜部32の傾斜角度θ1、並びに、第2パッド4の第2支持面41の幅方向の長さW2及び第2傾斜部42の傾斜角度θ2の各設定値の組合せによって、目的の寝返りタイプに応じた寝返りが容易になるように設計される。そこで、本実施形態の寝返り補助パッド2について、第1パッド3と第2パッド4に係る各構成の関係について以下説明する。
本実施形態の寝返り補助パッド2において、第1パッド3の第1傾斜部32の水平面に対する傾斜角度θ1と、第2パッド4の第2傾斜部42の水平面に対する傾斜角度θ2とは異なるように構成されている。各パッドの傾斜部の傾斜角度θを異ならせることによって、寝返りに係る負荷の低減作用を上半身側と下半身側とで適宜調整することができ、使用者Bの筋力や体型、寝返りタイプ等に応じた寝返り補助パッド2を得ることができる。さらに、主に屈曲回旋タイプの寝返りを促進させる観点から、第2パッド4の第2傾斜部42の傾斜角度θ2よりも、第1パッド3の第1傾斜部32の傾斜角度θ1の方が大きい(θ1>θ2)構成とすることが好ましい。これにより、寝返り動作のスタートとなる上半身の転回を促進させる作用を高めると共に仰臥姿勢の下半身の安定性を高め、骨盤の転回を緩やかに連動させる寝返り動作を促すことができる。具体的には、特に限定されないが、図1に示す寝返り補助パッド2については、第1傾斜部32の傾斜角度θ1が15度、第2傾斜部42の傾斜角度θ2が10度で形成されている。
本実施形態の寝返り補助パッド2において、第1パッド3の第1支持面31の幅方向の長さW1と、第2パッド4の第2支持面41の幅方向の長さW2とは、図4に示す寝返り補助パッド2のように略同じ長さに形成することも可能であるが、第1支持面の幅W1を第2支持面の幅W2よりも広く(W1>W2)形成することが好ましい。これにより、上半身側の第1パッド3よりも下半身側の第2パッド4の方が、寝返り補助パッド2の幅方向中央寄りに傾斜部が位置するようになり、骨盤の転回開始のタイミングが早くなるため、上半身の転回動作と下半身側の転回動作とが、より低トルクで連動し、自力での寝返りがより容易となる。具体的には、特に限定されないが、図1に示す寝返り補助パッド2については、第1支持面31の幅W1が25cm、第2支持面41の幅W2が13cmで形成されている。なお、促進すべき寝返りのタイプ等によっては、第1支持面の幅W1を第2支持面の幅W2よりも狭く(W1<W2)形成する構成とすることも可能である。
また、図4には、第1パッド3の第1傾斜部32の傾斜角度θ1と、第2パッド4の第2傾斜部42の傾斜角度θ2とが異なる(θ1≠θ2)構成を有する本実施形態の寝返り補助パッド2の他の形態の例を示している。図4に示す寝返り補助パッド2では、第1パッド3の第1支持面31の幅W1と第2パッド4の第2支持面41の幅W2は略同じ長さで形成されている(W1=W2)ところ、第1傾斜部32の傾斜角度θ1と、第2傾斜部42の傾斜角度θ2とを異ならせるために、第1支持面31の高さH1は第2支持面41の高さH2よりも高く(H1>H2)形成されている。その結果、第2パッド4の第2傾斜部42の傾斜角度θ2よりも、第1パッド3の第1傾斜部32の傾斜角度θ1の方が大きい(θ1>θ2)構成となっている。これにより、上半身側の第1パッド3の第1支持面31と下半身側の第2パッド4の第2支持面41との間に段差が生じるため、この段差に沿って使用者Bの臀部から腰椎部に至る部分が支持されて自然な寝姿勢が得られ易くなるとともに、使用者Bが寝返り動作する際に、この段差によって骨盤の転回が容易となって下半身側の転回動作の動き出しが促進される。それゆえ、上半身の転回動作と下半身側の転回動作とが連動し易くなるため、自力での寝返りが容易となる。なお、図4では、第1支持面31の幅W1と第2支持面41の幅W2とが略同じ長さの場合(W1=W2)の例を示したが、それに限定されず、第1支持面の幅W1を第2支持面の幅W2よりも広く(W1>W2)なるように形成したり、逆に狭くする(W1<W2)ように形成することももちろん可能である。
本発明に係る寝返り補助パッド2を構成する第1パッド3及び第2パッド4は、それぞれ上述した所定厚さ(高さ)を有するクッション材で形成されている。第1パッド3を形成する第1のクッション材としては、使用者が仰臥位に寝た状態で著しく厚み方向に変形して第1傾斜部32の傾斜を大きく変形させることがない程度の硬度を有するものが好適に選択される。また、第1パッド3を構成する第1支持面31と第1傾斜部32とを異なる硬度のクッション材でそれぞれ形成し、これらを組み合わせて第1パッド3を得ることもできる。この場合、第1支持面31を形成するクッション材として、第1傾斜部32を形成するクッション材よりも柔軟なクッション材を選択することが好ましく、これにより、第1支持面31は体圧分散性に優れ、第1支持面31に接する使用者Bの体を柔軟に支持することができると共に、第1傾斜部32は使用者の肩Sを沈み込みさせすぎることなく、接地点Gと回転中心Xとの距離Lを短く保ったまま、上半身の転回動作を促進する。さらに、第1支持面31及び第1傾斜部32のいずれについても、複数の異なるクッション材を組み合わせて各々に相当する部分を得ることも可能であり、例えば、複数のクッション材を積層させて第1支持面31に相当する部分を得ることや、第1傾斜部32に相当する部分のうち、肩周辺部SAとその他の部分とで異なるクッション材を組み合わせて形成することも可能である。なお、第1パッド3を構成する第1支持面31と第1傾斜部32とを同じクッション材で形成した場合には、第1支持面31にスリット加工等を施して見かけの硬度を低減させ、柔軟化させることも可能である。
第2パッド4を形成する第2のクッション材としては、使用者が仰臥位に寝た状態で著しく厚み方向に変形して第2傾斜部42の傾斜を大きく変形させることがない程度の硬度を有するものが好適に選択される。また、第2パッド4を構成する第2支持面41と第2傾斜部42とを異なる硬度のクッション材でそれぞれ形成し、これらを組み合わせて第2パッド4を得ることもできる。この場合、第2支持面41を形成するクッション材として、第2傾斜部42を形成するクッション材よりも柔軟なクッション材を選択することが好ましく、これにより、第2支持面41は体圧分散性に優れ、第2支持面41に接する使用者Bの体を柔軟に支持することができると共に、骨盤の転回動作時には第2傾斜部42は使用者の骨盤周辺部PAと接地する部分を沈み込みさせすぎることなく、接地点Gと回転中心Xとの距離Lを短く保ったまま、下半身の転回動作を促進する。さらに、第2支持面41及び第2傾斜部42のいずれについても、複数の異なるクッション材を組み合わせて各々に相当する部分を得ることも可能であり、例えば、複数のクッション材を積層させて第2支持面41に相当する部分を得ることや、第2傾斜部42に相当する部分のうち、骨盤周辺部PAとその他の部分とで異なるクッション材を組み合わせて形成することも可能である。なお、第2パッド4を構成する第2支持面41と第2傾斜部42とを同じクッション材で形成した場合には、第2支持面41にスリット加工等を施して見かけの硬度を低減させ、柔軟化させることも可能である。
上述した第1及び第2のクッション材としては、上述した硬度を有し、クッション性を有するものであれば特に限定されないが、樹脂発泡体、三次元網状構造体及び綿成形体が好適に用いられ、取り扱い及び加工のしやすさの観点から、樹脂発泡体がより好ましい。樹脂発泡体として、具体的には、発泡ポリウレタン、発泡ポリオレフィン又は発泡シリコーン等が挙げられる。また、第1及び第2のクッション材はお互いに同じ素材でもよいし、異なる素材としてもよい。
本実施形態においては、前述したように、第1パッド3と第2パッド4とは異なるクッション材で形成されている。そのため、第1パッド3と第2パッド4とは、両者の配置がずれないように、両者の隣接面において、面ファスナー等の係合手段で着脱自在に固定されていてもよいし、接着剤等で固定されていてもよい。また、寝返り補助パッド2が載置されるマットレスや敷物、後述するベース層6に係合手段や接着剤等で第1パッド3と第2パッド4がそれぞれ固定されていてもよく、このとき、第1パッド3と第2パッド4とは所定の隙間を有するように離間配置されていてもよい。さらに、第1パッド3と第2パッド4とが同じクッション材で形成されている場合には、第1パッド3と第2パッド4とが一体的に形成されていてもよい。
また、本実施形態における寝返り補助パッド2は、第1パッド3と第2パッド4とから構成されているが、所定厚さを有するクッション材からなる第3パッドを、第1パッド3と第2パッド4との間や第1パッド3の頭側、第2パッド4の脚側に少なくとも1つ設けてもよい。主に使用者Bの頭部、腰部又は脚部を別途支持する第3パッドを設けることにより、使用者Bの寝心地の好みや体形等に応じ、頭部、腰部又は脚部を支持するクッション材を別途選定することができるため、寝心地を高めた寝返り補助パッド2を得ることができる。
上述した第3パッドが第2パッド4の脚側に設けられた、本実施形態の寝返り補助パッド2の他の形態の例を図5に示す。この寝返り補助パッド2は、第2パッド4の脚側に設けられた第3パッドが下肢部を支持するところ、第3パッドは第1パッド3と同じ構成で形成されている。すなわち、第1パッド3が備える第1支持面31と第1傾斜部32を第3パッドも備えている。このように、第1パッド3と第3パッドとを同じ構成とすることで、寝返り補助パッド2の長さ方向に対し、使用者がいずれの向きで寝て使用しても、本発明の作用効果を得ることができる。
次に、図6を参照しつつ、本実施形態に係る寝返り補助パッド2の使用方法について説明する。まず、図6(a)に示すように、使用者Bが寝返り補助パッド2の上に仰向けで寝た姿勢を取る。このとき、使用者Bの上半身側が第1パッド3で支持され、下半身側が第2パッド4で支持されるようにし、第1パッド3の第1傾斜部32に対向するように使用者Bの肩Sを含む肩周辺部SAが位置し、第2パッド4の第2傾斜部42に対向して使用者Bの大腿骨の大転子を含む骨盤周辺部PAが位置するように、使用者Bの横たわる位置を調整する。この状態では、頭部と背骨を中心とした背中部分は第1支持面31に安定的に支持され、下半身の仙椎を中心とした臀部部分は第2支持面32に安定的に支持されている。
次に、屈曲回旋タイプの寝返りをする場合、図6(b)から図6(d)に示すように、使用者Bが寝返り方向に上半身を転回させようとすると、肩周辺部SAが第1傾斜部32で支持される。このように、使用者Bが寝返り動作する際に、寝返り方向にある使用者の肩周辺部SAと第1傾斜部32との接地点Gと使用者の体軸Xとの距離が近くなるため、上半身の転回に要する力が小さくなり、上半身の転回が容易になされる。そして引き続き、図6(c)から図6(e)に示すように、上半身の転回動作に連動して下半身側の転回動作が行われる。詳細には、本実施形態に係る寝返り補助パッド2は、第1支持面31の幅W1よりも第2支持面41の幅W2が狭いため、下半身側の第2パッド4の第2傾斜部42の方が、寝返り補助パッド2の幅方向中央寄りに位置しており、早いタイミングで、骨盤の転回が低トルクで開始する構成となっている。それゆえ、図6(c)に示すように、使用者Bの上半身側の転回動作が行われている際に、この寝返り補助パッド2の第2傾斜部42に接地した骨盤の転回動作の動き出しが開始され、第2傾斜部42上での転回動作が進行する。これによって、上半身の転回動作と下半身側の転回動作とが連動するため、自力での寝返りが容易となっている。そして、図6(d)に示すように、使用者Bが寝返り方向に骨盤を転回させようとすると、転回で最も力を要する使用者Bの大腿骨の大転子に向かって骨盤周辺部PAが第2傾斜部42で支持されるため、寝返り方向にある使用者の骨盤周辺部PAと第2傾斜部42の接地点Gと使用者の体軸Xとの距離が近くなる。これにより、骨盤の転回に要する力が小さくなり、下半身側の転回も容易になされ、図6(e)に示すように寝返りが完了する。なお、伸展回旋タイプの寝返りの場合には、下半身と上半身との連動順序が逆になるが、上半身の転回に寄与する第1パッド3の作用と、下半身の転回に及ぼす第2パッド4の作用は、上記の屈曲回旋タイプの場合と同じである。
次に、第2の実施形態に係る寝返り補助パッド20について説明する。図7に示すように、本実施形態に係る寝返り補助パッド20は、使用者の上半身側が載置される第1パッド30と、使用者の下半身側が載置される第2パッド40とからなり、第1パッド30と第2パッド40とが身長方向に一列に配置されて構成されている。使用者の上半身側が載置される第1パッド30は、その幅方向中央部に長さ方向(身長方向)に延びる略平坦な面として形成されている第1支持面310と、その第1支持面310の長さ方向の端部から外方に向けて下り傾斜する一対の傾斜面として形成されている第1傾斜部320とを備えている。また、第2パッド40は、その幅方向中央部に長さ方向(身長方向)に延びる略平坦な面として形成されている第2支持面410と、その第2支持面410の長さ方向の端部から外方に向けて下り傾斜する一対の傾斜面として形成されている第2傾斜部420とを備えている。
本実施形態の寝返り補助パッド20について、第1パッド30と第2パッド40に係る各構成の関係について、図7を参照し、以下説明する。本実施形態の寝返り補助パッド20において、第1パッド30の第1傾斜部320の水平面に対する傾斜角度θ10と、第2パッド40の第2傾斜部420の水平面に対する傾斜角度θ20とは、略同じ角度にて構成されている。さらに、第1パッド30の第1支持面310の幅方向の長さW10と、第2パッド40の第2支持面410の幅方向の長さW20とは、第1支持面の幅W1が第2支持面の幅W2よりも広くなる(W1>W2)ように構成されている。これにより、上半身側の第1パッド30よりも下半身側の第2パッド40の方が、寝返り補助パッド20の幅方向中央寄りに傾斜部が位置するようになり、骨盤を転回させようとすると、寝返り方向の骨盤周辺部がこの第2傾斜部420に迅速に接地して支持され、下半身が低トルクで転回開始するタイミングが、早く設定される。それゆえ、使用者Bが屈曲回旋タイプの寝返り動作をする際には、上半身側が転回した後の骨盤の転回動作の動き出しが促進される。また、伸展回旋タイプの寝返り動作をする際には、骨盤の転回がスムーズに開始され、上半身側の転回へと連動し易くなる。これによって、上半身の転回動作と下半身側の転回動作とがスムーズに連動するとともに、上半身側と下半身側との転回動作のトルクバランスが良好となり、自力での寝返りが容易となる。
また、本実施形態の寝返り補助パッド20の他の形態の例を図8に示している。図7に示す寝返り補助パッド20では、第1パッド30の第1支持面310の高さH10と第2パッド40の第2支持面410の高さH20は略同じ高さで形成されている(H10=H20)ところ、図8に示す他の例においては、第1支持面310の高さH10は第2支持面410の高さH20よりも高く(H1>H2)形成されている。これにより、上半身側の第1パッド30の第1支持面310と下半身側の第2パッド40の第2支持面410との間にさらに段差が生じるため、この段差に沿って使用者Bの臀部から腰椎部に至る部分が支持され、自然な寝姿勢が得られ易くなるとともに、使用者Bが寝返り動作する際に、上半身側が転回した後、この段差と、第1パッド30の第1傾斜部320と第2パッド40の第2傾斜部420との間に形成された段差との協働によって骨盤の転回動作の動き出しがさらに促進される。それゆえ、上半身の転回動作と下半身側の転回動作とが連動するため、自力での寝返りが容易となる。
本実施形態における寝返り補助パッド20を構成する第1パッド30及び第2パッド40に関するその他の説明並びに第3パッド等のその他の構成に関する説明は、上述した第1の実施形態の第1パッド3及び第2パッド4等と同様であり、その作用効果も同様である。
次に、第3の実施形態に係る寝返り補助パッド21について説明する。図9に示すように、本実施形態に係る寝返り補助パッド21は、使用者の上半身側が載置される第1パッド301と、使用者の下半身側が載置される第2パッド401とからなり、第1パッド301と第2パッド401とが身長方向に一列に配置されて構成されている。使用者の上半身側が載置される第1パッド301は、その幅方向中央部に長さ方向(身長方向)に延びる略平坦な面として形成されている第1支持面311と、その第1支持面311の長さ方向の端部から外方に向けて下り傾斜する一対の傾斜面として形成されている第1傾斜部321とを備えている。また、第2パッド401は、その幅方向中央部に長さ方向(身長方向)に延びる略平坦な面として形成されている第2支持面411と、その第2支持面411の長さ方向の端部から外方に向けて下り傾斜する一対の傾斜面として形成されている第2傾斜部421とを備えている。
本実施形態の寝返り補助パッド21について、第1パッド301と第2パッド401に係る各構成の関係について、図9を参照し、以下説明する。本実施形態の寝返り補助パッド21において、第1パッド301の第1傾斜部321の水平面に対する傾斜角度θ11と、第2パッド401の第2傾斜部421の水平面に対する傾斜角度θ21とは、略同じ角度であり、第1パッド301の第1支持面311の幅W11と、第2パッド401の第2支持面411の幅W21とは、略同じ幅長さにて構成されている。そして、第1パッド301の第1支持面311の高さH11と第2パッド401の第2支持面411の高さH21については、第1支持面311の高さH11は第2支持面411の高さH21よりも高くなる(H1>H2)ように構成されている。これにより、上半身側の第1パッド301の第1支持面311と下半身側の第2パッド401の第2支持面411との間に段差が生じるため、この段差に沿って使用者Bの臀部から腰椎部に至る部分が支持されて自然な寝姿勢が得られ易くなるとともに、使用者Bが寝返り動作する際に、上半身側が転回した後、この段差と、第1パッド301の第1傾斜部321と第2パッド401の第2傾斜部421との間に形成された段差との協働によって骨盤の転回動作の動き出しが促進される。それゆえ、上半身の転回動作と下半身側の転回動作とが連動するため、自力での寝返りを容易とすることができる。
本実施形態における寝返り補助パッド21を構成する第1パッド301及び第2パッド401に関するその他の説明並びにその他の構成に関する説明は、上述した第1の実施形態の第1パッド3及び第2パッド4等と同様であり、その作用効果も同様である。
次に、第4の実施形態に係る寝返り補助パッド22について説明する。図10に示すように、本実施形態に係る寝返り補助パッド22は、2つの第1パッド302と、1つの第2パッド402とからなり、第1パッド302、第2パッド402、第1パッド302の順に身長方向に一列に配置されて構成されている。使用者の上半身側又は脚部が載置される第1パッド302は、その幅方向中央部に長さ方向(身長方向)に延びる略平坦な面として形成されている第1支持面312と、その第1支持面312の長さ方向の端部から外方に向けて段状に下り傾斜する一対の段部として形成されている第1傾斜部322とを備えている。また、使用者の腰臀部が載置される第2パッド402は、その幅方向中央部に長さ方向(身長方向)に延びる略平坦な面として形成されている第2支持面412と、その第2支持面412の長さ方向の端部から外方に向けて段状に下り傾斜する一対の段部として形成されている第2傾斜部422とを備えている。
本実施形態の第1パッド302の第1支持面312は仰臥姿勢の使用者Bの体のうち、背中の少なくとも一部を支持するように構成されている。本実施形態における第1支持面312は、幅方向の長さW12が39cm、長さ方向(身長方向)の長さが65cm、高さH12(第1支持面312部分のクッション材の厚み)が4cmの大きさに形成されており、仰臥姿勢の使用者Bの頭及び背骨を中心とした背中を支持することができるように設計されている。第1支持面312の幅方向の長さW12は、上述したように、仰臥姿勢の使用者Bの肩部Sが第1支持面312の外方の第1傾斜部322に対向するように配置される必要がある関係から、第1支持面312の幅方向の長さW12は使用者Bの肩幅SW以下の幅、好ましくは肩峰幅以下で形成される。本実施形態の第1パッド302は、第2パッド402の長さ方向端部の両側に配置されているため、使用者がいずれの向きでも寝返り補助パッド22を使用できるようになっており、使用者Bの体の頭及び背骨を中心とした背中と使用者Bの脚部が第1パッド302の第1支持面312に支持される。
図10に示すように、本実施形態における第1パッド302の一対の第1傾斜部322は、第1支持面312の長さ方向全体に亘って設けられており、寝返り動作する際の使用者Bの肩及び上腕全体が支持されるように形成されている。本実施形態における第1傾斜部322は1つの段部から形成されているが、2つ以上の段部からなる多段構造としても良く、各段部の幅や勾配をそれぞれ変化させた構造とすることも可能である。これら段部の幅や勾配、段部の数等を調整することにより、後述する第1傾斜部322の傾斜角度θ12を好適な角度に調整できると共に、寝返りパターンや使用者の体型などに応じて、上半身側の転回し易さをより細かく調整できる。
本実施形態における第1パッド302の第1傾斜部322の水平面に対する傾斜角度θ12とは、図10(b)に示すように、断面視における第1支持面312の端部の傾斜始点と、第1傾斜部322を構成する最下段の段部の先端とを最短の直線で結んだ線を含む平面を傾斜面としたときの、この傾斜面の水平面に対する角度のことをいう。傾斜角度θ12が大きくなると、使用者Bの肩周辺部SAの接地点Gと回転中心Xとの距離Lが短くなるため、上半身側の転回にかかる力が低減するが、その一方で転回動作が容易になり過ぎると仰臥位における使用者Bの体が不安定になる。それゆえ、寝心地にも寄与する仰臥位安定性と寝返り(転回)容易性を両立する傾斜角度θ12とすることが好ましい。具体的には、傾斜角度θ12は、本実施形態のように、第1傾斜部322が段状の傾斜面から形成されている場合には、40度未満が好ましく、5~30度がより好ましく、10~20度が特に好ましい。なお、第1傾斜部322を構成する各段部の高さや幅が一定でない場合においても、傾斜角度θ12は、断面視における第1支持面312の端部の傾斜始点と、第1傾斜部322を構成する最下段の段部の先端とを最短の直線で結んだ線を含む平面を傾斜面としたときの、この傾斜面の水平面に対する角度である。
本実施形態の第2パッド402の第2支持面412は仰臥姿勢の使用者Bの体のうち、腰臀部の少なくとも一部を支持するように構成されている。本実施形態における第2支持面412は、幅方向の長さW22が27cm、長さ方向(身長方向)の長さが55cm、高さH22(第2支持面412部分のクッション材の厚み)が4cmの大きさに形成されており、仰臥姿勢の使用者Bの仙椎を中心とした腰臀部を支持することができるように設計されている。第2支持面412の幅方向の長さW22は、上述したように、仰臥姿勢の使用者Bの大腿骨の大転子が第2支持面412の外方の第2傾斜部422に対向するように配置される必要があるため、第2支持面412の幅方向の長さW22は使用者Bの骨盤の幅PW以下の幅で形成される。
図10に示すように、本実施形態における第2パッド402の一対の第2傾斜部422は、第2支持面412の長さ方向全体に亘って設けられており、寝返り動作する際の使用者Bの大腿骨の大転子が少なくとも支持されるように形成されている。本実施形態における第2傾斜部422は1つの段部から形成されているが、2つ以上の段部からなる多段構造としても良く、各段部の幅や勾配をそれぞれ変化させた構造とすることも可能である。これら段部の幅や勾配、段部の数等を調整することにより、後述する第2傾斜部422の傾斜角度θ22を好適な角度に調整できると共に、寝返りパターンや使用者の体型などに応じて、下半身側の転回し易さをより細かく調整できる。
本実施形態における第2パッド402の第2傾斜部422の水平面に対する傾斜角度θ22とは、図10(c)に示すように、断面視における第2支持面412の端部の傾斜始点と、第2傾斜部422を構成する最下段の段部の先端とを最短の直線で結んだ線を含む平面を傾斜面としたときの、この傾斜面の水平面に対する角度のことをいう。傾斜角度θ22が大きくなると、骨盤周辺部PAの接地点Gと回転中心Xとの距離Lが短くなるため、骨盤の転回トルクが低減し、その結果として下半身の転回にかかる力が低減するが、その一方で骨盤の転回動作が容易になり過ぎると仰臥位における使用者Bの体が不安定になる。それゆえ、仰臥位安定性と寝返り(転回)容易性を両立する傾斜角度θ22とすることが好ましい。具体的には、傾斜角度θ22は、本実施形態のように、第2傾斜部422が段状の傾斜面から形成されている場合には、30度未満が好ましく、4~20度がより好ましく、4~10度が特に好ましい。なお、第2傾斜部422を構成する各段部の高さや幅が一定でない場合においても、傾斜角度θ22は、断面視における第2支持面412の端部の傾斜始点と、第2傾斜部422を構成する最下段の段部の先端とを最短の直線で結んだ線を含む平面を傾斜面としたときの、この傾斜面の水平面に対する角度である。
また、図11には、本実施形態の寝返り補助パッド22の他の形態の例として、第2傾斜部422の構成を変化させた例を示している。この図11に示す寝返り補助パッド22では、第2傾斜部422の幅方向の長さを短くすることによって、第2傾斜部422の傾斜角度θ22が図10に示す寝返り補助パッド22の実施形態に比べて大きくなるように設計されている。このような調整を行うことにより、下半身側の転回し易さをより高めた寝返り補助パッド22が得られる。
本実施形態の寝返り補助パッド22は、主に屈曲回旋タイプの寝返りを促進させる観点から、第2パッド402の第2傾斜部422の傾斜角度θ22よりも、第1パッド302の第1傾斜部322の傾斜角度θ12の方が大きく(θ1>θ2)なるように形成されている。これにより、寝返り動作のスタートとなる上半身の転回を促進させる作用を高めると共に仰臥姿勢の下半身の安定性を高め、骨盤の転回を緩やかに連動させる寝返り動作を促すことができる。具体的には、特に限定されないが、図10、図11に示す寝返り補助パッド22については、第1傾斜部322の傾斜角度θ12が10~20度、第2傾斜部422の傾斜角度θ22が5~15度で形成されている。
また、本実施形態の寝返り補助パッド22は、図10に示すとおり、第1支持面の幅W12が第2支持面の幅W22よりも広く(W1>W2)なるように形成されている。これにより、上半身側の第1パッド302よりも腰臀部側の第2パッド402の方が、寝返り補助パッド22の幅方向中央寄りに傾斜部が位置するようになり、骨盤の転回開始のタイミングが早くなるため、上半身の転回動作と下半身側の転回動作とが、より低トルクで連動し、自力での寝返りをより容易とすることができる。具体的には、特に限定されないが、図10、図11に示す寝返り補助パッド22については、第1支持面312の幅W12が39cm、第2支持面412の幅W22が27cmで形成されている。
本発明に係る寝返り補助パッド22を構成する第1パッド302及び第2パッド402は所定厚さ(高さ)を有するクッション材で形成されている。第1パッド302を構成する第1支持面312と第1傾斜部322とは同じクッション材で形成されていてもよいが、異なる硬度のクッション材でそれぞれ形成し、これらを組み合わせて第1パッド302を得ることも好ましい。図10では、第1パッド302を構成する第1支持面312と第1傾斜部322とが同一のクッション材で一体的に形成された例を示しており、図11では、第1パッド302を構成する第1支持面312と第1傾斜部322とが異なるクッション材で形成された例を示している。さらに、第1支持面312及び第1傾斜部322のいずれについても、複数の異なるクッション材を組み合わせて各々に相当する部分を得ることも可能であり、例えば、複数のクッション材を積層させて第1支持面312に相当する部分を得ることや、複数のクッション材を段状に積層させて第1傾斜部322を形成することも可能である。図11では、第1支持面312が複数のクッション材を積層させて形成された例を示している。
第2パッド402についても、第1パッド302と同様に、第2支持面412と第2傾斜部422とは同じクッション材で形成されていてもよいが、異なる硬度のクッション材でそれぞれ形成し、これらを組み合わせて第2パッド402を得ることもできる。図10では、第2パッド402を構成する第2支持面412と第2傾斜部422とが同一のクッション材で一体的に形成された例を示しており、図11では、第2パッド402を構成する第2支持面412と第2傾斜部422とが異なるクッション材で形成された例を示している。さらに、第2支持面412及び第2傾斜部422のいずれについても、複数の異なるクッション材を組み合わせて各々に相当する部分を得ることも可能であり、例えば、複数のクッション材を積層させて第2支持面412に相当する部分を得ることや、複数のクッション材を段状に積層させて第2傾斜部422を形成することも可能である。図11では、第2支持面412が複数のクッション材を積層させて形成された例を示している。
第1パッド302と第2パッド402とは、転回動作のし易さや体圧分散性等の求める物性に応じて、同じクッション材で形成することも、異なるクッション材で形成することも可能である。図10では、第1パッド302と第2パッド402とが異なるクッション材により別体として形成された例を示している。また、図11では、第1パッド302と第2パッド402とが同じ複数のクッション材を用いて一体的に形成された例を示しており、具体的には、所定の形状に形成された2種類のクッション材が上下に積層されることによって、一体的に寝返り補助パッド22が形成されている。
本実施形態における寝返り補助パッド22を構成する第1パッド302及び第2パッド402に関するその他の説明並びに第3パッド等のその他の構成に関する説明は、上述した第1の実施形態の第1パッド3及び第2パッド4等と同様であり、その作用効果も同様である。
次に、第5の実施形態に係る寝返り補助パッド23について説明する。図12に示すように、本実施形態に係る寝返り補助パッド23は、2つの第1パッド303と、1つの第2パッド403とからなり、第1パッド303、第2パッド403、第1パッド303の順に身長方向に一列に配置されて構成されている。使用者の上半身側及び脚部が載置される第1パッド303は、その幅方向中央部に長さ方向(身長方向)に延びる略平坦な面として形成されている第1支持面313を備えている。また、使用者の腰臀部が載置される第2パッド403は、その幅方向中央部に長さ方向(身長方向)に延びる略平坦な面として形成されている第2支持面413と、その第2支持面413の長さ方向の端部から外方に向けて段状に下り傾斜する一対の段部として形成されている第2傾斜部423とを備えている。なお、本実施形態では第1パッド303は2つ備えられているが、上半身用の1つの第1パッド303と下半身用の1つの第2パッド403とからなる構成とすることも可能である。
本実施形態の第1パッド303の第1支持面313は仰臥姿勢の使用者Bの体のうち、背中の少なくとも一部を支持するように構成されている。本実施形態における第1支持面313は、幅方向の長さW13が39cm、長さ方向(身長方向)の長さが65cm、高さH13(第1支持面313部分のクッション材の厚み)が3cmの大きさに形成されており、仰臥姿勢の使用者Bの頭及び背骨を中心とした背中を支持することができるように設計されている。第1支持面313は、本実施形態では略平坦な面として形成されているが、仰臥姿勢の使用者Bの体の背中の少なくとも一部を支持することができれば、どのような形状に形成されていてもよく、その形状は平坦な面に限定されない。
本実施形態の第2パッド403の第2支持面413は仰臥姿勢の使用者Bの体のうち、腰臀部の少なくとも一部を支持するように構成されている。本実施形態における第2支持面413は、幅方向の長さW23が27cm、長さ方向(身長方向)の長さが55cm、高さH23(第2支持面413部分のクッション材の厚み)が3cmの大きさに形成されており、仰臥姿勢の使用者Bの仙椎を中心とした腰臀部を支持することができるように設計されている。第2支持面413の幅方向の長さW23は、仰臥姿勢の使用者Bの大腿骨の大転子が第2支持面413の外方の第2傾斜部423に対向するように配置される必要があるため、第2支持面413の幅方向の長さW23は使用者Bの骨盤の幅PW以下の幅で形成される。
図12に示すように、本実施形態における第2パッド403の一対の第2傾斜部423は、第2支持面413の長さ方向全体に亘って設けられており、寝返り動作する際の使用者Bの大腿骨の大転子が少なくとも支持されるように形成されている。本実施形態における第2傾斜部423は1つの段部から形成されているが、2つ以上の段部からなる多段構造としても良く、各段部の幅や勾配をそれぞれ変化させた構造とすることも可能である。これら段部の幅や勾配、段部の数等を調整することにより、後述する第2傾斜部422の傾斜角度θ23を好適な角度に調整できると共に、寝返りパターンや使用者の体型などに応じて、下半身側の転回し易さをより細かく調整できる。さらに、第2傾斜部423は段状構造に限定されず、上述した実施形態で説明したような平面や曲面等の斜面状構造とすることも可能である。
本実施形態における第2パッド403の第2傾斜部423の水平面に対する傾斜角度θ23とは、図12(b)に示すように、断面視における第2支持面413の端部の傾斜始点と、第2傾斜部423を構成する最下段の段部の先端とを最短の直線で結んだ線を含む平面を傾斜面としたときの、この傾斜面の水平面に対する角度である。傾斜角度θ23が大きくなると、骨盤周辺部PAの接地点Gと回転中心Xとの距離Lが短くなるため、骨盤の転回トルクが低減し、その結果として下半身の転回にかかる力が低減するが、その一方で骨盤の転回動作が容易になり過ぎると仰臥位における使用者Bの体が不安定になる。それゆえ、仰臥位安定性と寝返り(転回)容易性を両立する傾斜角度θ23とすることが好ましい。具体的には、傾斜角度θ23は、本実施形態のように、第2傾斜部423が段状の傾斜面から形成されている場合には、30度未満が好ましく、5~25度がより好ましく、10~20度が特に好ましい。
本実施形態に係る寝返り補助パッド23の使用に係る作用について説明すると、使用者Bが仰向けで寝た姿勢では、使用者Bの頭部と背骨を中心とした背中部分は第1パッド303で安定的に支持され、下半身の仙椎を中心とした腰臀部部分は第2パッドの第2支持面413で安定的に支持される。そして、上半身を動作の起点とする屈曲回旋タイプの寝返りをする場合には、上半身を転回させた後に骨盤の転回が行われるが、この骨盤の転回の際に、寝返り方向にあって転回動作に最も力を要する大腿骨の大転子及びその近傍にある腸骨等の骨盤周辺部PAが第2傾斜部423で支持される。第2傾斜部423は第2支持面413の端部から下り傾斜しているため、寝返り方向にある大腿骨の大転子等の骨盤周辺部PAが第2傾斜部に接地した点と使用者の体軸との距離が近くなって、骨盤の転回に要する力が小さくなり、骨盤の転回から下肢部の転回に連動する下半身側の転回を容易にすることができる。これにより、下半身の転回に係る負荷が低減されるため、寝返りを容易とすることができる。また、下半身を動作の起点とする伸展回旋タイプの寝返りをする場合においては、下半身側から転回が開始されるところ、骨盤を転回させる際に、寝返り方向にある大腿骨の大転子及びその近傍にある腸骨等の骨盤周辺部PAが第2傾斜部423で支持される。第2傾斜部423は第2支持面413の端部から下り傾斜しているため、寝返り方向にある大腿骨の大転子等の骨盤周辺部が第2傾斜部413に接地した点と使用者の体軸との距離が近くなって、骨盤の転回に要する力が小さくなり、下半身側の転回が容易になされる。
本発明に係る寝返り補助パッド23を構成する第1パッド303及び第2パッド403は所定厚さ(高さ)を有するクッション材で形成されている。第2パッド403を構成する第2支持面413と第2傾斜部423とは同じクッション材で形成されていてもよいが、異なる硬度のクッション材でそれぞれ形成し、これらを組み合わせて第2パッド403とすることもできる。さらに、第2支持面413及び第2傾斜部423のいずれについても、複数の異なるクッション材を組み合わせて各々に相当する部分を得ることも可能であり、例えば、複数のクッション材を積層させて第2支持面413に相当する部分を得ることや、複数のクッション材を段状に積層させて第2傾斜部423を形成することも可能である。また、第1パッド303と第2パッド403とは、転回動作のし易さや体圧分散性等の求める物性に応じて、同じクッション材で形成することも、異なるクッション材で形成することも可能である。図12では、第1パッド303と第2パッド403とが異なるクッション材で形成された例を示しているが、第1パッド303と第2パッド403とが同じ複数のクッション材によって一体的に形成されていてもよく、一例として、所定の形状に形成された2種類のシート状のクッション材が上下に積層されることによって、寝返り補助パッド23を形成することも可能である。
本実施形態における寝返り補助パッド23を構成する第1パッド303及び第2パッド403に関するその他の説明並びに第3パッド等のその他の構成に関する説明は、上述した第1の実施形態の第1パッド3及び第2パッド4等並びに第5の実施形態の第1パッド302及び第2パッド402等と同様であり、その作用効果も同様である。
次に、上述した寝返り補助パッド2が組み込まれた、本発明の寝返り補助マットレス1について図13を参照して説明する。本発明の寝返り補助マットレス1は、下側から上側の順に、ベース層6、寝返り補助パッド2及び端部ブロック7、上層5が積層されて概略構成されている。寝返り補助パッド2はベース層6の幅方向の中央部分に載置されており、端部ブロック7はベース層6の幅方向の両端部分に、寝返り補助パッド2と所定の間隔をあけて、ベース層6の長さ方向に亘り載置されている。ベース層6、寝返り補助パッド2及び端部ブロック7、上層5といった寝返り補助マットレス1を構成する部材は、各々の配置がずれないように、各構成部材が接する面において係合手段や接着剤等で固定されていてもよい。
まず、ベース層6について説明する。寝返り補助マットレス1のベース層6は、比較的硬質で使用者の体を安定して支持できるクッション材で形成されている。本実施形態におけるベース層6は、一例として、幅方向の長さが91cm、長さ方向の長さが195cm、高さ2cmの大きさに形成されている。ベース層6のクッション材としては、その硬度が第1パッド31及び第2パッド41を構成するクッション材と同等以上のものが好ましい。ベース層6のクッション材としては、上述した硬度を有し、クッション性を有するものであれば特に限定されないが、樹脂発泡体、三次元網状構造体及び綿成形体が好適に用いられ、取り扱い及び加工のしやすさの観点から、樹脂発泡体がより好ましい。樹脂発泡体として、具体的には、発泡ポリウレタン、発泡ポリオレフィン又は発泡シリコーン等が挙げられる。
次に、寝返り補助パッド2について説明する。本発明に係る寝返り補助マットレス1に組み込まれる寝返り補助パッド2については、上述した第1の実施形態に係る寝返り補助パッド2に限定されず、第2~第5の実施形態を当然に含むほか、上述したあらゆる実施形態に係る寝返り補助パッドを用いることができる。
次に、端部ブロック7について説明する。端部ブロック7が設けられることにより、使用者Bが寝返りした際に寝返り補助パッド2から転がりすぎてベース層6から落下するのを防ぐことができ、安全にマットレス上で寝返り動作を行うことができる。本実施形態における端部ブロック7は、一例として、幅方向の長さが10cm、長さ方向の長さが195cm、高さ3cmの大きさに形成されている。また、端部ブロック7の材料を比較的硬質なクッション材で形成することにより、使用者が端部ブロック7の部分に手をついたときに踏ん張りが効いたり、端部ブロック7の部分に座ったときに各パッドの傾斜部32,42と端部ブロック7とで形成される凹部に臀部が保持されるとともに端部ブロック7で太腿裏近辺が支持されるため、座位のバランスがとりやすく、端座位安定性及び起き上がり安定性を有する。具体的には、端部ブロック7のクッション材としては、JIS K6401「耐荷重用軟質ポリウレタンフォーム」に準拠して測定された硬度が、180~440Nであるものが好ましく、200~300Nであるものがより好ましく、210~250Nであるものが特に好ましい。端部ブロック7のクッション材としては、上述した硬度を有し、クッション性を有するものであれば特に限定されないが、樹脂発泡体、三次元網状構造体及び綿成形体が好適に用いられ、取り扱い及び加工のしやすさの観点から、樹脂発泡体がより好ましい。樹脂発泡体として、具体的には、発泡ポリウレタン、発泡ポリオレフィン又は発泡シリコーン等が挙げられる。
また、本実施形態においては、端部ブロック7はベース層6に載置された状態で配置されているが、端部ブロック7がベース層6上に配置されず、ベース層6の長さ方向の端部と接する状態で配置されてもよい。この場合には、ベース層6の上面よりも端部ブロック7の上面が突出している必要があるので、端部ブロック7の高さ(厚み)は、少なくともベース層6の高さよりも大きく形成される。
さらに、本実施形態においては、端部ブロック7は、ベース層6の幅方向の両端部に設けられているが、いずれか一方の端部のみに設けられてもよい。また、本実施形態においては、端部ブロック7は、ベース層6の長さ方向に亘って設けられているが、長さ方向の中央周辺のみに設ける、といったように、ベース層6の長さ方向の一部に設けられることも可能である。さらに、寝返り補助マットレス1の保形性を高めることを目的として、ベース層6の幅方向の端部に端部ブロック7を設けることも可能である。
次に上層5について説明する。図13に示すように、上層5は、上述した寝返り補助パッド2、端部ブロック7及びベース層6の上面を被覆する層であり、寝返り補助パッド2、端部ブロック7及びベース層6よりも柔軟なクッション材から形成されている。本実施形態における上層5は、幅方向の長さが91cm、長さ方向の長さが195cm、寝返り補助パッド2の上面からの高さが6cmとなるように形成されている。上層5のクッション材としては、寝返り補助パッド2の作用効果を維持しつつ、かつ、使用者Bの寝心地や体圧分散性を高める観点からJIS K6401「耐荷重用軟質ポリウレタンフォーム」に準拠して測定された硬度が、50~160Nであるものが好ましく、70~150Nであるものがより好ましく、90~140Nであるものが特に好ましい。上層5のクッション材としては、上記硬度を有し、クッション性を有するものであれば特に限定されないが、樹脂発泡体、三次元網状構造体及び綿成形体が好適に用いられ、取り扱い及び加工のしやすさの観点から、樹脂発泡体がより好ましい。樹脂発泡体として、具体的には、発泡ポリウレタン、発泡ポリオレフィン又は発泡シリコーン等が挙げられる。
本実施形態においては、図13(b)及び図13(c)に示すように、上層5は一定の厚みを有する平坦なシート形状として形成されており、上層5とベース層6との間には、端部ブロック7と寝返り補助パッド2の第1傾斜部32・及び第2傾斜部42とで囲まれた空間が形成されている。これらの空間を形成することで、第1傾斜部32及び第2傾斜部42による上半身側と下半身側のそれぞれの転回力を調整することができる。なお、この場合の上層5は使用者Bの肩周辺部SAまたは骨盤周辺部PAの転回動作を著しく阻害しないように伸び変形できる材料で形成されていることが好ましい。なお、上層5の形状のうち、その下面側について、上述した空間、すなわち、ベース層6と端部ブロック7と寝返り補助パッド2の第1傾斜部32及び第2傾斜部42とで囲まれた空間と略嵌合する形状に形成することも可能である。さらに、ベース層6と端部ブロック7と寝返り補助パッド2の第1傾斜部32及び第2傾斜部42とで囲まれた空間のうち、一部の空間のみ残すような形状に形成することも可能である。また、この空間(ベース層6と端部ブロック7と寝返り補助パッド2の第1傾斜部32及び第2傾斜部42とで囲まれた空間)に上層5とは異なるクッション材を配置させることもでき、その場合には上層5のクッション材と同程度又はそれよりも柔軟なクッション材を選択することが好ましい。なお、上層5の積層や、上記空間に配置されたクッション材によって、寝返り補助パッド2の各傾斜部32,42が被覆され、各傾斜部32,42が奏する作用効果が低下する場合には、第1パッド3の第1傾斜部32や第2パッド4の第2傾斜部42の各傾斜角度を大きく設計調整すればよい。
また、図13に示す本実施形態においては、上層5は寝返り補助パッド2、端部ブロック7及びベース層6の上面を被覆しているが、寝返り補助パッド2の第1支持面31及び第2支持面41は被覆されず、これらの支持面は露出し、第1傾斜部32及び第2傾斜部42を被覆する構成とすることも可能である。この場合は、上層5は少なくとも2つに分割されて配置されることになる。また、別の形態として、上層5が第1支持面31及び/又は第2支持面41のみを被覆する構成とすることも可能である。
なお、本実施形態における寝返り補助マットレス1は、ベース層6の上に寝返り補助パッド2と、端部ブロック7が積層され、さらに上層5が積層されて構成されているが、端部ブロック7又は上層5を省いた構成としてもよい。また、端部ブロック7及び上層5を省いた、ベース層6の上に寝返り補助パッド2が積層されたのみの構成とすることもできる。
また、他の実施形態に係る寝返り補助マットレス10を図14に示す。本実施形態に係る寝返り補助マットレス10は、ベース層60の上に寝返り補助パッド2が積層されて概略構成されている。図14に示すように、本実施形態におけるベース層60は、第1パッド3を配置する第1ベース部60aと、第2パッド4を配置する第2ベース部60bとから構成されており、それぞれ厚さ(高さ)が異なるように形成されている。具体的には、第1ベース部60aが厚く(高く)、第2ベース部60bが薄く(低く)形成されており、それゆえ、第1パッド3と第2パッド4との境界に段差60cが生じている。この段差の低い部分に配置される第2パッド4は、この段差分だけ、第2パッド4の第2支持面41の上面までの高さが増すため、第2傾斜部42の下り長さが長くなり、使用者Bの下半身側の転回を容易にさせることができる。ただし、段差60cが大きすぎると寝返りに勢いが付きすぎて好ましくない場合があるため、第2パッド4の傾斜角度θ2などの条件に応じて段差60cの大きさを設定することが好ましい。なお、図14においては、ベース層60は第2パッド4を配置する第2ベース部60bの方を第1ベース部60aよりも低い構造としているが、第1パッド3を配置する第1ベース部60aの方を第2ベース部60bよりも低くした構造とし、傾斜角度θ1等の条件に応じた大きさの段差としてもよい。また、第1パッド3の第1支持面31及び第2パッド4の第2支持面41の幅や高さを変えた場合にも本実施形態を適用することができる。なお、本実施形態における寝返り補助マットレス10は、ベース層60の上に寝返り補助パッド2が積層された構成のみとしているが、上述した端部ブロック7及び/又は上層5がさらに積層された構成とすることももちろん可能である。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1]
1.寝返り補助パッドの傾斜部の傾斜角度とトルク値の検討
発明者は、図3に示すように、寝返り動作を回転運動とみなし、寝返り動作に要する力をトルクTで定量することを試みた。トルクTは、回転円の接線方向に働く力Fと接地点Gと回転中心Xの距離Lとの積(T=F×L)で表される。そこで、図15(a)に示す人体を模したシミュレータを作製した。このシミュレータは、肩部及び胸部を模した上半身部分と、臀部を模した下半身部分とが、回転軸を備えた腰部によって連結されている。腰部の回転軸は、静置した下半身部分に対して回転角度40度までは上半身部分のみ回転し、回転角度が40度を超えると、上半身部の回転に下半身部の回転が連動するように構成した。肩部と臀部にはおもりがそれぞれ、11kg及び16kg搭載され、回転中心Xの先端には、トルクメーター(WISRETEC社製、型番:WRG3-135)が取り付けられている。まず、このシミュレータの有効性を確認するために、このシミュレータを平坦な面上に置き、トルクメーターの一端にラチェットハンドルを差し込みし、回動させてトルクを測定したところ、シミュレータのトルクによる寝返り完了までのグラフと生体データである筋電電位による寝返り完了までのグラフは、類似する形状を示した。この結果からこのシミュレータの有効性が確認できたため、そこで、このシミュレータを図15(b)に示すように、使用者の仰臥状態を模して、測定対象の寝返り補助パッドの所定位置に置き、トルクメーターの一端にラチェットハンドルを差し込みして回動させてトルクを測定した。シミュレータの上半身部分及び下半身部分が横向きになるまで、すなわち、寝返りが完了するまでのトルクを測定すると共に、シミュレータの動きを調べた。測定対象の寝返り補助パッドは、第1パッド3の第1支持面31の幅W1と、第2パッド4の第2支持面41の幅W2をそれぞれ25cmとし、第1パッド3の第1支持面31の高さH1(第1支持面31部分のクッション材の厚み)と第2パッド4の第2支持面41の高さH2(第2支持面41部分のクッション材の厚み)をそれぞれ3cmとして、第1傾斜部32と第2傾斜部42の傾斜角度のみを変えたものであり、第1傾斜部32の傾斜角度θ1と第2傾斜部42の傾斜角度θ2とは同じ角度(θ1=θ2)とした。なお、第1傾斜部32と第2傾斜部42は、平面からなる斜面として形成した。第1パッド3及び第2パッド4の各傾斜部の斜面の傾斜角度は0°(平坦面)、5°、10°及び15°とした。結果を図16のグラフに示す。
図16において、縦軸はトルクメーターで測定したトルク(Nm)の値であり、横軸は経過時間である。白抜き丸形のマーカーは傾斜角度0°、三角形のマーカーは傾斜角度5°、白抜き四角形のマーカーは傾斜角度10°及び丸形のマーカーは傾斜角度15°を示す。また、グラフ横軸の下側に示されたイラストは、各時間におけるシミュレータの動きに対応させた使用者Bの寝返り状態を模式的に示したものである。このグラフによれば、シミュレータを転回させる方向に傾斜角度を設けることにより、シミュレータの転回時(寝返り時)のトルクの値が低下することが示され、傾斜角度を10°以上とすることにより、明らかなトルク低減効果があることが明らかとなった。
[実施例2]
2.寝返り補助パッドの傾斜構造とトルク値の検討
上述した実施例1で用いたシミュレータを用いて、図1に示した第1の実施形態で示した寝返り補助パッド2(複合傾斜構造)と、第1パッドと第2パッドとから形成されるが、各支持面の幅及び各傾斜部の傾斜角度がそれぞれ一致するように形成されている寝返り補助パッド(単純傾斜構造)の寝返り動作に係るトルクを測定した。なお、第1傾斜部32と第2傾斜部42のいずれも、各傾斜部は平面からなる斜面として形成されている。第1の実施形態で示した寝返り補助パッド2は、第1パッド3と第2パッド4とから構成されており、各支持面の幅及び各傾斜部の傾斜角度θがそれぞれ異なるように形成されている(複合傾斜構造)。比較のため、第1傾斜部32及び第2傾斜部42を有さない平坦な寝返り補助パッド(傾斜なし)の寝返り動作に係るトルクも測定した。なお、各寝返り補助パッドを構成するクッション材は全て同じであり、東洋佳嘉(寧波)海綿制品有限公司のウレタンフォーム(品番M3200)を用いた。結果を図17のグラフに示す。
図17において、縦軸はトルクメーターで測定したトルク(Nm)の値であり、横軸は経過時間である。丸形のマーカーは複合傾斜構造、白抜き丸形のマーカーは単純傾斜構造、白抜き四角形のマーカーは比較例(傾斜なし)を示す。また、グラフ横軸の下側に示されたイラストは、各時間におけるシミュレータの動きに対応させた使用者Bの寝返り状態を模式的に示したものである。このグラフによれば、本発明の寝返り補助パッドは、傾斜面が無い比較例の平坦な寝返り補助パッドに比べて、寝返り動作におけるトルクの最大値が大きく低減することが示された。さらに、寝返り補助パッドを上半身の転回動作と下半身の転回動作とを個別に調整して連動させる構造(複合傾斜構造)とすること、すなわち、第1支持面の幅W1>第2支持面の幅W2、第1傾斜部の傾斜角度θ1>第2傾斜部の傾斜角度θ2とすることにより、上半身側の転回だけでなく下半身側の転回に至るまで、寝返り動作におけるトルクの値がさらに大きく全体的に低減することが示され、寝返りが容易となることがわかった。
[実施例3]
3.本発明に係る寝返り補助パッドの評価
以下表2及び図18(a)~(e)に示す仕様にて、5種類の寝返り補助パッド3a~3eをそれぞれ作製し、寝返り補助パッドとして使用した際の寝返り容易性及び寝心地に関する官能試験を行った。ここで、図18(a)に示す実施例3aの寝返り補助パッドは上記実施例2において試験された複合傾斜構造(第1の実施形態)の寝返り補助パッド2であり、図18(b)に示す実施例3bの寝返り補助パッドは上記実施例2において試験された単純傾斜構造の寝返り補助パッドと同じものである。また、図18(c)に示す実施例3cの寝返り補助パッドは第3の実施形態として詳述された寝返り補助パッド21に、図18(d)に示す実施例3dの寝返り補助パッドは第4の実施形態として詳述した寝返り補助パッド22に、図18(e)に示す実施例3eの寝返り補助パッドは第5の実施形態として詳述した寝返り補助パッド23に夫々対応している。なお、実施例3a~3eの各寝返り補助パッドを構成するクッション材は全て同じであり、東洋佳嘉(寧波)海綿制品有限公司のウレタンフォーム(品番M3200)を用いた。
作製したパッドを床面に置き、以下表3に示す40~50代の5名の男性を被験者として以下項目についての試験を行った。試験方法及び評価方法は下記の通りである。
(1)寝返り性
寝返り補助パッドの幅方向の中心に背骨位置を合わせ、被験者の上半身側が第1パッドで支持され、下半身側が第2パッドで支持された仰臥位(仰向け)の状態から、屈曲回旋動作(頭部の転回→上半身の転回→骨盤の転回→下肢部の転回の動作)で寝返りしてもらい、寝返りのし易さを評価した。上記実施例2において比較例として用いた傾斜部のない平坦なパッド(後述する比較例1と同じ)の寝返りのし易さを基準とし、この平坦なパッドと比較して、非常に寝返りし易い場合を「◎」、寝返りし易い場合を「○」、やや寝返りし易い場合を「△」、同程度の場合を「×」と被験者毎に評価した。被験者5名の評価のうち、最多数の評価を寝返り性の評価結果とした。なお、最多数の評価が複数あった場合には、優れた方の評価を評価結果とした。同様に、伸展回旋動作(下肢部の転回→下肢部の転回と同時又はその後の骨盤の転回→上半身の転回→頭部の転回の動作)での寝返りも行い、寝返りのし易さの評価を同様に行った。
(2)寝心地
寝返り補助パッドの幅方向の中心に背骨位置を合わせ、被験者の上半身側が第1パッドで支持され、下半身側が第2パッドで支持された仰臥位(仰向け)に寝た状態における寝た姿勢の安定性について評価を行った。寝た姿勢が安定している場合を「○」、やや不安定である場合を「△」、不安定である場合を「×」と被験者毎に評価した。被験者5名の評価のうち、最多数の評価を寝心地の評価結果とした。なお、最多数の評価が複数あった場合には、優れた方の評価を評価結果とした。
本実施例の寝返りパッド3a~3eの評価結果を表2に示す。
実施例3の評価結果により、本発明の寝返り補助パッドは、安定した寝心地を維持しつつ、寝返り性が向上することが分かった。また、実施例3aと実施例3dの評価結果より、傾斜部の形態が斜面状又は段状のいずれの場合にも、寝返り性が向上しており、寝心地の安定感にも差異が無いことが分かった。また、実施例3bと実施例3a、3c及び3dとの比較から、第1パッドの傾斜角度θ1>第2パッドの傾斜角度θ2であるか、第1パッドの支持面高さH1>第2パッドの支持面高さH2であることにより、寝返り性が向上することが示された。
[比較例]
4.他の寝返り補助パッドの評価
以下表4及び図19(a)~(d)に示す仕様にて、4種類の比較例1~4のパッドをそれぞれ作製し、寝返り補助パッドとして使用した際の寝返り容易性及び寝心地に関する官能試験を行った。5名の被験者及び試験方法及び評価方法は上述した実施例3と同様とした。ここで、図19(a)に示す比較例1のパッドは上記実施例2において比較例として用いられた傾斜部のない平坦なパッドと同じものであり、従来品の平坦なマットレスである。図19(b)に示す比較例2のパッドは、第1パッド3は傾斜部を有するが、第2パッドは傾斜部を有さない平坦なパッドであり、第2パッドの幅長さは骨盤の幅を超える長さのものである。また、図19(c)及び図19(d)に示す比較例3、4のパッドはいずれも傾斜部を全く有さないものである。なお、比較例1~4の各パッドを構成するクッション材は全て同じであり、東洋佳嘉(寧波)海綿制品有限公司のウレタンフォーム(品番M3200)を用いた。比較例1~4の評価結果を表4に示す。
実施例3及び比較例1~4の評価結果をみると、本発明の構成を備えることにより、安定した寝心地を維持しつつ、寝返り性が向上することが示された。また、実施例3と比較例2との結果を比較したところ、上半身側の回転動作に作用する第1パッドに傾斜部があっても、下半身側の回転動作に作用する第2パッドに傾斜部が無いと、寝返り性が低下することが分かった。また、比較例3や比較例4のように、傾斜部を有さないパッドは、各パッドの支持面の端部近傍及び端部から外方における身体の保持安定性が低下し、寝心地が悪くなることが分かった。
[実施例4]
5.本発明に係る寝返り補助マットレスの評価
以下表5及び図20(a)~(c)に示す仕様にて、3種類の寝返り補助マットレス4a~4cをそれぞれ作製し、作製したマットレスを床面に置き、寝返り補助マットレスとして使用した際の寝返り容易性及び寝心地に関する官能試験を行った。5名の被験者及び試験方法及び評価方法は上述した実施例3と同様とした。
図20(a)に示す実施例4aの寝返り補助マットレスは上記実施例3aとして作製された寝返り補助パッドを用いたものであり、図20(b)に示す実施例4bの寝返り補助マットレスは上記実施例3dとして作製された寝返り補助パッドを用いたものであり、図20(c)に示す実施例4cの寝返り補助マットレスは上記実施例3eとして作製された寝返り補助パッドを用いたものである。いずれの寝返り補助マットレスも、下側から上側の順に、ベース層6、各寝返り補助パッド及び端部ブロック7、上層5を積層することにより作製し、寝返り補助パッド2はベース層6の幅方向の中央部分に載置し、端部ブロック7はベース層6の幅方向の両端部分に、寝返り補助パッド2と所定の間隔をあけて、ベース層6の長さ方向に亘り載置して作製した。上層5を構成するクッション材としては、大きさが幅91cm、身長方向の長さ185cm、厚み7cmのウレタンフォーム(品番MF-20、イノアックコーポレーション社製品)を用い、ベース層6を構成するクッション材としては、大きさが幅91cm、身長方向の長さ185cm、厚み2cmのウレタンフォーム(品番MF-50、イノアックコーポレーション社製品)を用いた。また、端部ブロック7を構成するクッション材としては、実施例4aについては大きさが幅10cm、身長方向の長さ185cm、厚み3cmのウレタンフォーム(品番MF-55、イノアックコーポレーション社製品)を用い、実施例4b及び4cについては大きさが幅10cm、身長方向の長さ185cm、厚み4cmのウレタンフォーム(品番MF-55、イノアックコーポレーション社製品)を用いた。実施例4a~4cの評価結果を表5に示す。
実施例4a~4cの評価結果をみると、本発明の寝返り補助パッドを適用したマットレスは、安定した寝心地を備えると共に寝返り性にも優れることが分かった。このように、寝返り補助パッドの上に、比較的厚みのある上層5が積層された場合においても、寝返り性向上に係る効果が失われることがないことが示された。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含むものである。