JP7624162B2 - ガラス板の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、縦姿勢で下動するガラスリボンに幅方向に沿うスクライブ線を形成し、ガラスリボンをスクライブ線に沿って折割ることで、ガラスリボンからガラス板を切り出すようにしたガラス板の製造方法及びその製造装置に関する。
周知のように、ガラス板の製造の分野では、ダウンドロー法により成形されて下動するガラスリボンからガラス板を切り出すことが行われている。このようにしてガラス板を製造する方法及び装置の具体例としては、特許文献1に開示されたものが挙げられる。
同文献に開示された装置は、縦姿勢で下動するガラスリボンにスクライブ線を形成するスクライブ手段と、ガラスリボンのスクライブ線形成領域に押し当てられる折割バー(同文献では支点バー)と、ガラスリボンの切出予定部を支持する支持手段(同文献では折割アーム)とを備える。そして、この装置を用いてガラス板を切り出すために同公報に開示された方法は、スクライブ手段によりガラスリボンに幅方向に沿うスクライブ線を形成した後、まず、ガラスリボンのスクライブ線形成領域に折割バーを押し当てる。次いで、ガラスリボンの切出予定部を支持した状態にある支持手段を動作させて、折割バーを支点としてスクライブ線形成領域を湾曲させる。これにより、ガラスリボンをスクライブ線に沿って折割り、ガラスリボンからガラス板を切り出す。
特開2018-90446号公報
ところで、特許文献1に開示のように、ガラスリボンにスクライブ線を形成した後、まず、折割バーをスクライブ線形成領域に押し当て、然る後、折割バーを支点としてスクライブ線形成領域を湾曲させることでガラスリボンを折割る構成によれば、以下に示すような問題が生じる。
すなわち、縦姿勢で下動するガラスリボンには、成形時の熱の影響、例えば徐冷時の熱応力等によって反りや歪(以下、単に「反り」という)が発生しているのが通例である。この反りは、ガラスリボンの長手方向(縦方向)に沿って発生するだけでなく、縦方向と直交する幅方向に沿っても発生する。このガラスリボンの反りは、スクライブ線を形成した後もそのまま残存する。そのため、折割バーをガラスリボンのスクライブ線形成領域に押し当てた際には、折割バーがスクライブ形成領域に局所的に接触する。この状態で、折割バーを支点としてスクライブ線形成領域を湾曲させた場合には、スクライブ線からずれた位置でガラスリボンの折割りが行われたり、折割バーとの接触部を起点としてガラスリボンが割れたり等の割断ミスを招くおそれがある。
また、このような割断ミスを考慮してガラスリボンの折割りを行うには、スクライブ線形成領域を湾曲させるための支持手段の動作速度を低速にする必要がある。そのため、折割りを行う際のタクトタイムが長くなり、作業効率の悪化を招くおそれがある。
以上の観点から、本発明は、折割バーを用いてガラスリボンを折割る際の割断ミスを抑止すると共に、タクトタイムの短縮を可能にして、切り出されたガラス板の品質の改善並びに作業効率の改善を図ることを課題とする。
上記課題を解決するために創案された本発明の第1の側面は、縦姿勢で下動するガラスリボンに対し、その幅方向に沿うスクライブ線を形成するスクライブ工程と、前記ガラスリボンの前記スクライブ線よりも下方に存する切出予定部を支持手段により支持した状態で、前記ガラスリボンを前記スクライブ線に沿って折割り、前記切出予定部をガラス板として切り出す折割工程とを含むガラス板の製造方法であって、前記折割工程では、前記支持手段を動作させて前記ガラスリボンの前記スクライブ線の形成領域を縦方向で湾曲させた状態で、前記スクライブ線の形成領域に折割バーを押し当てることによって、前記ガラスリボンを折割ることに特徴づけられる。
この方法によれば、縦姿勢で下動するガラスリボンに、長手方向(縦方向)やこれと直交する幅方向に沿う反りが発生していても、この反りによる悪影響を受け難くしてガラスリボンを適正に折割ることができる。詳述すると、この方法では、スクライブ工程を実行した後の割断工程で、まず、ガラスリボンのスクライブ線の形成領域(以下、スクライブ線形成領域という)を縦方向で湾曲させるため、このときに当該領域に強制的に生じる湾曲変形によって反りがおのずと消え失せる。次いで、反りが消え失せた状態で湾曲しているスクライブ線形成領域に折割バーを押し当てることで、折割バーは当該領域に局所的に接触せずに均等に接触する。そして、折割バーとの均等な接触状態を維持してガラスリボンが折割りされるため、割断ミスが生じ難くなる。さらに、折割りをする際に割断ミスを考慮する必要性が減じられるため、支持手段を高速で動作させることが可能になり、タクトタイムを短縮することができる。以上の結果、切り出されたガラス板の品質の改善並びに作業効率の改善が図られる。
この方法において、前記支持手段の動作が終了した後に、前記スクライブ線形成領域に前記折割バーを押し当てるようにしてもよい。
このようにすれば、ガラスリボンの揺れ等に対して適切に対処することが可能となる。すなわち、支持手段がガラスリボンを支持した状態で動作している間は、ガラスリボンに揺れ等が生じるため、適正な折割りを行い難くなる。ここでの構成によれば、支持手段の動作の終了に伴ってガラスリボンに生じていた揺れ等が低減される。この状態で、スクライブ線形成領域に折割バーが押し当てられてガラスリボンの折割りが行われるため、割断ミスがより一層確実に抑止される。
この方法における構成とは別に、前記支持手段を動作させている途中で、前記スクライブ線形成領域に前記折割バーを押し当てるようにしてもよい。
このようにすれば、ガラスリボンの折割りを行った後も、支持手段は継続して動作する。そのため、折割りを行った後は、切り出されたガラス板と、継続して動作する支持手段に支持されているガラスリボンとが瞬時に離反する。これにより、ガラス板とガラスリボンとの不当な接触によってそれらが破損する等の不具合が回避される。しかも、ガラスリボンの折割りが完了するまでの時間に無駄がなくなり、タクトタイムのさらなる短縮が可能になると共に、折割りが行われた後のガラス板の搬送処理などを円滑に行うことができる。
前述の方法において、前記支持手段を動作させている途中で一時停止させた後、前記スクライブ線形成領域に前記折割バーを押し当て、その後に前記支持手段を再び動作させるようにしてもよい。
このようにすれば、支持手段の動作を一時停止させている間に、ガラスリボンの揺れ等が低減される。したがって、揺れ等が低減された状態にあるガラスリボンのスクライブ線形成領域に折割バーを押し当てることができ、既述の場合と同様に、割断ミスをより一層確実に抑止できる。
この方法における構成とは別に、前記支持手段を相対的に高速で動作させた後に相対的に低速で動作させ、然る後、前記スクライブ線形成領域に前記折割バーを押し当てるようにしてもよい。
このようにすれば、支持手段の動作の後半に動作速度が相対的に低速になることで、ガラスリボンの揺れ等が低減され、その状態でスクライブ線形成領域に折割バーを押し当てることができる。したがって、この場合にも、既述の場合と同様に、折割りを行う際の割断ミスをより一層抑止できる。そして、この場合には、折割りが行われるまで支持手段の動作が停止しないため、タクトタイムが長くなることを抑止できる。したがって、ここでの構成によれば、割断ミスの抑止と、タクトタイムの短縮とを、より一層確実に両立させることができる。なお、支持手段を相対的に低速で動作させた際には、その動作が終了した後に、折割バーをスクライブ線形成領域に押し当てるようにしてもよく、或いは、支持手段を相対的に低速で動作させている途中で、折割バーをスクライブ線形成領域に押し当てるようにしてもよい。
以上の方法において、前記ガラスリボンの形成領域における前記スクライブ線よりも上側の部位に前記折割バーを押し当てるようにしてもよい。
このようにすれば、ガラスリボンをスクライブ線に沿って折割る際に、折割バーがスクライブ線よりも上側の部位に押し当てられるため、折割バーの押し当て位置とスクライブ線の形成位置とが上下方向に離れる。そのため、スクライブ線を起点としてクラックが上下に進展する確率が減少し、ガラスの割れや損傷等が生じ難くなり得る。
この方法においては、前記ガラスリボンにおける前記スクライブ線から上側に5mm以上で且つ70mm未満の範囲内で離れた部位に前記折割バーを押し当てるようにしてもよく、或いは、前記ガラスリボンにおける前記スクライブ線から上側に5mm以上で且つ有効領域の下端までの範囲内で離れた部位に前記折割バーを押し当てるようにしてもよい。ここで、上述したガラスリボンの有効領域とは、折割りが行われた後におけるガラス板の製品となる領域を意味する。詳しくは、ガラスリボンには、折割りが行われた後に切断して除去される不要領域と、除去されない有効領域とが存在している。
以上の方法において、前記縦方向と直交する幅方向に沿う形状が一方側に凸となる湾曲形状をなしている前記スクライブ線の形成領域に、幅方向に沿う形状が前記スクライブ線の形成領域と同じ側に凸となる湾曲形状をなす前記折割バーの押し当て側端部を押し当てるようにしてもよい。
このようにすれば、ガラスリボンをスクライブ線に沿って折割る際に、縦方向と直交する幅方向に沿う反りが仮に完全に消え失せない場合でも適切に対処することができる。すなわち、幅方向に沿う形状が一方側に凸となる湾曲形状をなしているガラスリボンを折割る際には、幅方向に沿う形状がガラスリボンと同じ側に凸となる湾曲形状をなす押し当て側端部を有する折割バーが用いられる。したがって、押し当て側端部が幅方向で一直線に沿う形状をなす折割バーを用いて幅方向で湾曲しているガラスリボンを折割る場合における割れや割断ミスの発生を抑止することができる。
上記課題を解決するために創案された本発明の第2の側面は、縦姿勢で下動するガラスリボンに対し、その幅方向に沿うスクライブ線を形成するスクライブ手段と、前記ガラスリボンの前記スクライブ線よりも下方に存する切出予定部を支持する支持手段と、前記ガラスリボンの前記スクライブ線の形成領域に押し当てられる折割バーと、前記ガラスリボンを前記スクライブ線に沿って折割り、前記切出予定部をガラス板として切り出すために、前記支持手段及び前記折割バーの各動作を制御する制御手段と、を備えたガラス板の製造装置であって、前記制御手段は、前記ガラスリボンを折割る際に、前記スクライブ線の形成領域を縦方向で湾曲させた状態で、前記スクライブ線の形成領域に前記折割バーを押し当てることが可能となるように、前記支持手段及び前記折割バーの各動作を制御することに特徴づけられる。
この製造装置によれば、ガラスリボンを折割る際には、制御手段が、支持手段及び折割バーの各動作を制御することにより、スクライブ線形成領域を湾曲させた状態で、スクライブ線形成領域に折割バーを押し当てることができるようになる。したがって、この製造装置によっても、既述の製造方法の場合と同様にして、割断ミスが抑止されると共に、タクトタイムの短縮が可能になる。
本発明によれば、折割バーを用いてガラスリボンを折割る際の割断ミスが抑止されると共に、タクトタイムの短縮が可能になり、切り出されたガラス板の品質の改善並びに作業効率の改善が図られる。
本発明の実施形態に係るガラス板の製造装置の概略構成を示す正面図である。 本発明の実施形態に係るガラス板の製造装置の概略構成を示す正面図(図1の矢印Xに従って視た正面図)である。 本発明の実施形態に係るガラス板の製造方法の実施状況を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るガラス板の製造方法の実施状況を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るガラス板の製造方法の実施状況を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るガラス板の製造方法の実施状況を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るガラス板の製造方法の実施状況(当該実施状況の第1の変形例)を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るガラス板の製造方法の実施状況(当該実施状況の第2の変形例)を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るガラス板の製造方法の実施状況(当該実施状況の第3の変形例)を示す概略側面図である。
以下、本発明の実施形態に係るガラス板の製造方法及び製造装置について添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るガラス板の製造装置を例示する側面図であり、図2は、当該製造装置を図1の矢印Xに従って視た正面図である。これら各図に示すように、製造装置1は、縦姿勢で矢印Z方向に下動するガラスリボン2に対し、その幅方向に沿うスクライブ線3を形成するスクライブ手段Sと、ガラスリボン2のスクライブ線3よりも下方に存する切出予定部2xを支持する支持手段4と、ガラスリボン2のスクライブ線形成領域2sに押し当てられる折割バー5とを備える。さらに、製造装置1は、ガラスリボン2をスクライブ線3に沿って折割り、切出予定部2xをガラス板として切り出すために、支持手段4及び折割バー5の各動作を制御する制御手段6を備える。詳述すると、制御手段6は、ガラスリボン2を折割る際に、図1に実線で示す形態のように、スクライブ線形成領域2sを湾曲させた状態で、スクライブ線形成領域2sに折割バー5を押し当てることが可能となるように、支持手段4及び折割バー5の各動作を制御するものである。
スクライブ手段Sは、下動するガラスリボン2の表面2a上を幅方向(図1では、紙面に鉛直な方向)に沿って走行しながらスクライブ線3を形成するホイールカッター7と、ガラスリボン2のホイールカッター7が走行する部位を裏面2b側から支持する幅方向に長尺な支持ロッド8とを備える。ホイールカッター7は、走行時に回転する周部に刃(エッジ)を有し、円盤状に形成されている。支持ロッド8は、ホイールカッター7が走行する部位に当接する当接面を有し、ガラスリボン2の幅方向両端から食み出している。
折割バー5は、スクライブ線形成領域2sの裏面2bに押し当てられるものであって、スクライブ線形成領域2sに当接する縦断面が凸形状(例えば半円形状または湾曲形状)の押し当て側端部5aを有する。押し当て側端部5aは、幅方向に沿って一直線状に延びるように形成され、ガラスリボン2の幅方向両端から食み出している。ここで、折割バー5が押し当てられるスクライブ線形成領域2sの裏面2bとは、厳密には、スクライブ線3を含み且つガラスリボン2の厚み方向に沿う仮想平面が、ガラスリボン2の裏面2bと交差する直線を含む裏面部である。また、スクライブ線形成領域2sとは、ガラスリボン2におけるスクライブ線3から上下にそれぞれ80~120mmだけ離れた部位の相互間の領域である。
ガラスリボン2を挟んで折割バー5と対向する位置には、折割りで発生したガラス粉を吸引する吸引ノズル9が配置されている。吸引ノズル9は、ガラスリボン2の表面2aと対面する開口部9aを備え、負圧ポンプ等の負圧発生装置(図示略)の動作により開口部9aを通じてガラス粉の吸引を行うものである。
支持手段4は、ガラスリボン2の長手方向に沿って延びるアーム10と、相互に間隔を空けてアーム10に取り付けられた複数(本実施形態では五つ)のチャック11aでなるチャック群11とを備えている。アーム10およびチャック群11は、ガラスリボン2の幅方向の一方側及び他方側のそれぞれに配置されている。複数のチャック11aはそれぞれ、ガラスリボン2の切出予定部2xを厚み方向に把持する一対の爪11axを備えている。
さらに、支持手段4は、切出予定部2xを支持した状態の下で、図1に鎖線で示す基本姿勢から、同図に実線で示す傾斜姿勢に姿勢を変化させる構成となっている。この支持手段4の姿勢の変化は、折割バー5の位置(図1に実線で示す位置)を中心とする支持手段4の回転動作によってなされる。さらに、支持手段4の姿勢の変化は、ガラスリボン2と同一速度で下方に移動しつつ行われる。そして、支持手段4は、上記の回転動作によって、スクライブ線形成領域2sを縦方向で表面2a側が凸となるように湾曲させる。このような支持手段4の回転動作は、スクライブ線形成領域2sに折割バー5を押し当てる動作と協働して、ガラスリボン2をスクライブ線3に沿って折割る役割を担う。そして、折割りを行う際の支持手段4の回転動作及び折割バー5を押し当てる動作は、制御手段6がタイミングをとって制御するようになっている。
この実施形態では、ガラスリボン2の幅方向の一方側に配置されているアーム10及びチャック群11と、ガラスリボン2の幅方向の他方側に配置されているアーム10及びチャック群11とが、一体となって回転動作するように構成されている。ただし、この両側のアーム10およびチャック群11は、それぞれが個別に回転動作するものであってもよく、その場合には、制御手段6が両側のアーム10及びチャック群11を同期して回転動作させるように制御する。
製造装置1の各構成要素のうち、折割バー5及び支持ロッド8は、ガラスリボン2の裏面2b側に配置された第一筐体(図示略)に搭載されると共に、ホイールカッター7及び吸引ノズル9は、ガラスリボン2の表面2a側に配置された第二筐体(図示略)に搭載されている。第一筐体および第二筐体は、それぞれ上下方向に沿って移動することが可能となっている。これにより、折割バー5及び支持ロッド8は、これらの上下方向の相対的な位置関係を維持した状態で、第一筐体と一体となって上下動する構成となっている。また、ホイールカッター7及び吸引ノズル9は、これらの上下方向の相対的な位置関係を維持した状態で、第二筐体と一体となって上下動する構成となっている。
第一筐体及び第二筐体の各々は、ガラスリボン2の下動速度と同一速度で、ガラスリボン2に追従して下動することが可能となっている。これにより、折割バー5、支持ロッド8、ホイールカッター7、及び、吸引ノズル9の各々は、上記の第一筐体及び第二筐体のガラスリボン2に追従した下動に伴って、ガラスリボン2の下動速度と同一速度で下動しつつ、自身の機能を発揮する構成となっている。同様にして、支持手段4についても、ガラスリボン2の下動速度と同一速度で下動しつつ、自身の機能を発揮する構成となっている。したがって、製造装置1の上記の各構成要素は、自身の機能を発揮する際において、ガラスリボン2に対する上下方向に沿う相対速度がゼロの状態となる。
上記の各構成要素のうち、折割バー5、支持ロッド8、ホイールカッター7、及び、吸引ノズル9は、図1にそれぞれ矢印で示すように、自身の機能を発揮するための作動位置と、ガラスリボン2から離れて退避するための退避位置との間を、ガラスリボン2の厚み方向に沿って移動する構成となっている。これら各構成要素の厚み方向に沿った移動は、ガラスリボン2と同一速度で下動しつつ行われる。なお、折割バー5及び吸引ノズル9は、図1に実線で示す位置が作動位置であり、同図に鎖線で示す位置が退避位置である。一方、ホイールカッター7及び支持ロッド8は、図1に鎖線で示す位置が作動位置であり、同図に実線で示す位置が退避位置である。
必要に応じ、折割工程でのガラスリボン2の揺れを規制するため、スクライブ手段Sと折割バー5の間に、対をなすフリーローラ(規制ローラ)を設けてもよい。対をなすフリーローラは、第一筐体及び第二筐体にそれぞれ搭載され、作動位置と退避位置の間をガラスリボン2の厚み方向に沿って移動する構成となっている。
なお、スクライブ手段Sの上方位置には、ガラスリボン2を挟持する複数対のローラ12(図1では二対のみのローラ12を図示)が一対ずつ上下に間隔を空けて配置されている。これらのローラ12は、アニール炉内のアニーラーローラや、アニール炉よりも下方に位置する支持ローラなどである。
次に、上記の製造装置1を用いたガラス板の製造方法について、図3~図9を参照して説明する。
本実施形態に係るガラス板の製造方法において、折割りの対象となるガラスリボン2は、例えば、ダウンドロー法(オーバーフローダウンドロー法等)によって成形されるものである。ガラスリボン2は、例えば、1000μm以下(好ましくは700μm以下で250μm以上)の厚みに成形されており、外力の作用によって湾曲し得る可撓性を有している。
本実施形態に係るガラス板の製造方法は、大別すると、ガラスリボン2にスクライブ線3を形成するスクライブ工程と、スクライブ工程で形成したスクライブ線3に沿ってガラスリボン2を折割り、ガラス板を切り出す折割工程とを備える。
スクライブ工程では、図3に示すように、まず、支持手段4の複数のチャック11aが切出予定部2xを支持した状態で、ホイールカッター7及び支持ロッド8を退避位置から作動位置に移動させる。次いで、作動位置に移動したホイールカッター7を、ガラスリボン2の表面2a上で幅方向に沿って走行させてスクライブ線3を形成する。
以上のようにしてスクライブ工程が完了した後は、ホイールカッター7及び支持ロッド8を作動位置から退避位置に移動させる。この場合、支持手段4の複数のチャック11aによる切出予定部2xの支持は、スクライブ工程の完了後にも継続させる。ここで、スクライブ工程が完了した時点では、ホイールカッター7及び支持ロッド8が、スクライブ線3と同一の高さ位置にある状態となっている。この状態から折割工程を実行する準備として、第一筐体および第二筐体の双方がガラスリボン2に対して相対的に上動する。これにより、図4に示すように、ホイールカッター7及び支持ロッド8に代わって、折割バー5及び吸引ノズル9が、スクライブ線3と同一の高さ位置に保持される。なお、規制ローラを用いる場合、規制ローラを退避位置から作動位置に移動させる。
折割工程では、図5に示すように、折割バー5および吸引ノズル9を退避位置に保持した状態で、支持手段4を矢印Cで示すように回転動作させる。これにより、支持手段4の姿勢が基本姿勢から傾斜姿勢に変化して、ガラスリボン2のスクライブ線形成領域2sが、縦方向で表面2a側が凸になるように湾曲する。このとき、ガラスリボン2のスクライブ線形成領域2sよりも上側部分は、複数対のローラ12によって挟持され、さらには必要に応じて規制ローラによって挟持される。このため、スクライブ線形成領域2sを縦方向で湾曲させる動作が適正に行われる。そして、支持手段4の鉛直線に対する角度αが予め設定された傾斜角度に到達した時点、すなわちスクライブ線形成領域2sの曲率が所定の曲率まで大きくなった時点で、支持手段4の回転動作を停止させる。ここで、支持手段4の回転動作を停止させるタイミングは予め設定されており、制御手段6がその設定に基づいて支持手段4の回転動作を停止させるための制御を行う。
以上のようにして支持手段4の回転動作が終了した後は、折割バー5及び吸引ノズル9を退避位置から作動位置に移動させる。これにより、図6に示すように、湾曲した状態にあるスクライブ線形成領域2sの裏面2bに折割バー5が押し当てられる。このような動作によって、ガラスリボン2がスクライブ線3に沿って折割られ、切出予定部2xがガラス板2yとして切り出される。この折りに伴って発生したガラス粉は、吸引ノズル9によって吸引される。ここで、折割バー5をスクライブ線形成領域2sに押し当てるタイミングは、支持手段4の回転動作との関係で予め設定されており、制御手段6がその設定に基づいて折割バー5をスクライブ線形成領域2sに押し当てるための制御を行う。
本実施形態では、以上のような折割工程が実行されることにより、次に示すような作用効果が得られる。すなわち、縦姿勢で下動しているガラスリボン2には、例えば熱応力やローラ12との接触等によって反りが発生している。この反りは、ガラスリボン2の長手方向に沿って発生するだけでなく、長手方向と直交する幅方向に沿っても発生する。このガラスリボン2の反りは、スクライブ工程でガラスリボン2にスクライブ線3を形成した後もそのまま残存する。しかし、上記の割断工程では、まず、ガラスリボン2のスクライブ線形成領域2sを縦方向で湾曲させるため、このときにスクライブ線形成領域2sに強制的に生じる湾曲変形によって反りがおのずと消え失せる。次いで、反りが消え失せた状態で湾曲しているスクライブ線形成領域2sに折割バー5を押し当てるため、折割バー5は当該スクライブ線形成領域2sに均等に接触する。この後、折割バー5との均等な接触状態を維持してガラスリボン2の折割りが行われるため、割断ミスが抑止される。さらに、折割りを行う際に割断ミスを考慮する必要性が減じられるため、支持手段4を高速で回転動作させることが可能になり、タクトタイムを短縮することができる。以上の結果、ガラスリボン2から切り出されたガラス板の品質の改善並びに作業効率の改善が図られる。また、上記の割断工程によれば、ガラスリボン2の揺れ等に対して適切に対処可能となる。すなわち、支持手段4がガラスリボン2を支持した状態で回転動作している間は、ガラスリボン2に揺れ等が生じるため、適正な折割りを行い難くなる。しかし、上記の折割工程では、支持手段4の回転動作の終了に伴ってガラスリボン2の揺れ等が低減されるため、折割バー5は、揺れ等が低減されて安定した状態にあるスクライブ線形成領域2sに押し当てられる。これにより、折割り時の割断ミスがより一層確実に抑止される。
上記実施形態では、折割工程で、支持手段4の回転動作が終了した後に、スクライブ線形成領域2sに折割バー5を押し当てるようにしたが、これに代えて、次に示すような構成を採用することができる。すなわち、スクライブ線形成領域2sに折割バー5を押し当ててガラスリボン2の折割りを行った後、図7に示すように、継続して支持手段4を回転動作させるように構成する。換言すれば、支持手段4を回転動作させている途中で、スクライブ線形成領域2sに折割バー5を押し当てるように構成する。このようにすれば、同図に示すように、ガラスリボン2と、切り出されたガラス板2yとが、折割りを行った直後に瞬時に離反するため、それらが不当な接触により破損する等の不具合が生じ難くなる。しかも、ガラスリボン2の折割りが完了するまでの時間に無駄がなくなり、タクトタイムのさらなる短縮が可能になると共に、折割りが行われた後のガラス板2yの搬送処理などを円滑に行うことができる。
上記実施形態では、支持手段4の回転動作を、動作開始時から動作終了時まで連続して一定の速度で行うようにしたが、これに代えて、次に示すような構成を採用することができる。すなわち、支持手段4が回転動作を開始してから折割り時の傾斜姿勢になるまでの間に、支持手段4の回転動作を一時停止するように構成する。詳しくは、図8に示すように、支持手段4を回転動作させている途中で、支持手段4が鎖線で示す傾斜姿勢(鉛直線に対して角度α1だけ傾斜した姿勢)になった時に、支持手段の回転動作を一時停止させる。その後、支持手段4を再び回転動作させて、同図に実線で示す傾斜姿勢(鉛直線に対して角度(α1+α2)だけ傾斜した姿勢)になった時点で、折割バー5をスクライブ線形成領域2sに押し当てて折割りを行う。この場合、同図に示す角度α1は、角度α2よりも大きい。したがって、支持手段4が回転動作を開始してから一時停止するまでの時間は、支持手段4が一時停止してから折割り時の傾斜姿勢になるまでの時間よりも長い。換言すれば、一時停止する前の支持手段4の円軌道に沿う移動距離は、一時停止した後の支持手段4の円軌道に沿う移動距離よりも長い。なお、支持手段4の回転動作を一時停止させるタイミング、及び再び回転動作を開始させるタイミングは予め設定されており、制御手段6がそれらの設定に基づいて支持手段4の回転動作の制御を行う。このような構成にすれば、支持手段4の回転動作を一時停止させている間に、ガラスリボン2の揺れ等が低減される。したがって、既述の場合と同様に、折割バー5を、揺れ等が低減されて安定した状態にあるスクライブ線形成領域2sに押し当てることができ、折割り時の割断ミスをより一層確実に抑止できる。なお、支持手段4を再び回転動作させた際には、その回転動作が終了した後に、折割バー5をスクライブ線形成領域2sに押し当てるようにしてもよく、或いは、支持手段4を再び回転動作させている途中で、折割バー5をスクライブ線形成領域2sに押し当てるようにしてもよい。
さらに、ここでは支持手段4が図8に鎖線で示す傾斜姿勢になった時に、支持手段4の回転動作を一時停止させるようにしたが、これに代えて、次に示すような構成を採用することもできる。すなわち、支持手段4が回転動作を開始して図8に鎖線で示す傾斜姿勢になるまでの間は、支持手段4を相対的に高速で回転動作させ、当該傾斜姿勢になった後は、支持手段4を相対的に低速で回転動作させるように構成する。この場合、支持手段4を相対的に低速で回転動作させる場合の速度T1と、相対的に高速で回転動作させる場合の速度T2との関係は、T1/T2が、1/5以上で3/5以下(好ましくは、1/4以上で1/2以下)である。また、相対的に高速での回転動作が終了する時点における支持手段4の鉛直線に対する角度α1は、相対的に低速での回転動作を開始してから折割りが行われるまでの間に支持手段4が回転する角度α2よりも大きい。換言すれば、相対的に高速で回転動作する場合の支持手段4の円軌道に沿う移動距離は、相対的に低速で回転動作する場合の支持手段4の円軌道に沿う移動距離よりも長い。なお、支持手段4の各動作速度の切り替えタイミング、及びそれら各動作速度の値は予め設定されており、制御手段6がそれらの設定に基づいて支持手段4の動作速度の制御を行う。以上のような構成によれば、支持手段4の動作の後半に動作速度が相対的に低速になることで、ガラスリボン2の揺れ等が低減され、この状態を維持してガラスリボン2を折割ることができる。この場合には、支持手段4の動作が停止しないため、タクトタイムが長くなることを抑止できる。したがって、ここでの構成によれば、割断ミスの抑止と、タクトタイムの短縮とを、より一層確実に両立させることができる。なお、支持手段4を相対的に低速で動作させた際には、その動作が終了した後に、折割バー5をスクライブ線形成領域2sに押し当てるようにしてもよく、或いは、支持手段4を相対的に低速で動作させている途中で、折割バー5をスクライブ線形成領域2sに押し当てるようにしてもよい。
なお、以上の実施形態では、折割バー5を、水平方向に沿って移動させるようにしたが、図9に示すように、湾曲したスクライブ線形成領域2sの厚み方向(スクライブ線3に近づくに連れて下降傾斜する方向)に沿って移動させるようにしてもよい。この場合には、折割バー5を、同図に示す仮想直線、すなわちスクライブ線3を通り且つ湾曲したスクライブ線形成領域2sの厚み方向に延びる仮想直線に沿って移動させることが好ましい。
また、以上の実施形態では、折割バー5が、ガラスリボン2(スクライブ線形成領域2s)におけるスクライブ線3と同一または略同一の高さ位置に押し当てられるようにしたが、ガラスリボン2におけるスクライブ線3よりも上側の部位に押し当てられるようにしてもよい。ここで、スクライブ線3よりも上側の部位とは、縦方向で湾曲していないガラスリボン2におけるスクライブ線3から所定距離だけ上側に離れた部位である。この所定距離は、5mm以上で且つ70mm未満とされる。また、ガラスリボン2には有効領域(折割り後に製品のガラス板になる領域)が存在していることを考慮すれば、この所定距離は、5mm以上で且つスクライブ線3から有効領域の下端までの距離未満としてもよい。この場合の所定距離は、この実施形態におけるガラスリボン2の有効領域を考慮して、5mm以上で且つ20mm未満とされる。
さらに、以上の実施形態では、折割バー5の押し当て側端部5aが、幅方向に沿って一直線状に延びるように形成されている。しかし、ガラスリボン2をスクライブ線3に沿って折割る際には、幅方向に沿う反りが完全に消え失せないことに起因して、ガラスリボン2の幅方向に沿う形状が、一方側(表面2a側)に凸となる湾曲形状をなす場合がある。この場合には、幅方向に沿う形状(横断面での形状)がガラスリボン2と同じ側に凸となる湾曲形状をなす押し当て側端部5aを有する折割バー5を用いて折割りが行われる。すなわち、幅方向に沿う形状が湾曲形状をなすガラスリボン2のスクライブ線形成領域2sに、幅方向に沿う形状がガラスリボン2と同じ側に凸となる湾曲形状をなす押し当て側端部5aを押し当てることで、ガラスリボン2がスクライブ線3に沿って折割られる。したがって、この場合には、押し当て側端部5aが幅方向で一直線に沿う形状をなす折割バー5を用いて幅方向で湾曲しているガラスリボンを折割る場合における割れや割断ミスの発生を抑止することができる。
また、以上の実施形態では、支持手段4が、チャック11aの一対の爪11axによってガラスリボン2の切出予定部2xを支持する態様となっているが、これに代えて、切出予定部2xの表面または裏面を吸着する吸着パッドによって切出予定部2xを支持する態様などとしてもよい。
さらに、以上の実施形態では、支持手段4が、折割バー5の位置(図1に実線で示す位置)を中心とする円軌道に沿う回転動作を行うようにしたが、円軌道以外の湾曲軌道に沿う回転動作を行うようにしてもよい。さらに、支持手段4の動作は、スクライブ線形成領域2sを湾曲させることが可能な動作であれば、回転動作以外の動作であってもよい。また、支持手段4の動作速度は、既述のように一回だけでなく、二回以上高速から低速に切り換えてもよく、或いは連続して速度低下するようにしてもよい。
以上の実施形態では、支持手段4の回転動作により、図5又は図8に示すように、ガラスリボン2のスクライブ線形成領域2sを表面2a側が凸になるように湾曲させたが、スクライブ線形成領域2sのみならず、最下段のローラ12と最上段のチャック11aとの間に位置する部位の全体を湾曲させてもよい。規制ローラを用いる場合であれば、規制ローラと最上段のチャック11aとの間に位置する部位の全体を湾曲させてもよい。
1 ガラス板の製造装置
2 ガラスリボン
2a ガラスリボンの表面
2b ガラスリボンの裏面
2s スクライブ線形成領域
2x 切出予定部
2y ガラス板
3 スクライブ線
4 支持手段
5 折割バー
5a 折割バーの押し当て側端部
6 制御手段
S スクライブ手段

Claims (8)

  1. 縦姿勢で下動するガラスリボンに対し、その幅方向に沿うスクライブ線を形成するスクライブ工程と、前記ガラスリボンの前記スクライブ線よりも下方に存する切出予定部を支持手段により支持した状態で、前記ガラスリボンを前記スクライブ線に沿って折割り、前記切出予定部をガラス板として切り出す折割工程とを含むガラス板の製造方法であって、
    前記折割工程では、前記ガラスリボンの前記スクライブ線の形成領域が縦方向で湾曲した状態になるように前記支持手段を回転動作させて、前記切出予定部を鉛直線に対し予め設定された傾斜角度の傾斜姿勢とすることで、前記スクライブ線の形成領域に発生する反りが軽減された状態で、前記スクライブ線の形成領域に折割バーを押し当てることによって、前記ガラスリボンを折割ることを特徴とするガラス板の製造方法。
  2. 前記支持手段の回転動作が終了した後に、前記スクライブ線の形成領域に前記折割バーを押し当てることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記支持手段を回転動作させている途中で、前記スクライブ線の形成領域に前記折割バーを押し当てることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記支持手段を回転動作させている途中で一時停止させた後、前記スクライブ線の形成領域に前記折割バーを押し当て、その後に前記支持手段を再び回転動作させることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  5. 前記支持手段を相対的に高速で回転動作させた後に相対的に低速で回転動作させ、然る後、前記スクライブ線の形成領域に前記折割バーを押し当てることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のガラス板の製造方法。
  6. 前記ガラスリボンの形成領域における前記スクライブ線よりも上側の部位に前記折割バーを押し当てることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のガラス板の製造方法。
  7. 前記縦方向と直交する幅方向に沿う形状が一方側に凸となる湾曲形状をなしている前記スクライブ線の形成領域に、幅方向に沿う形状が前記スクライブ線の形成領域と同じ側に凸となる湾曲形状をなす前記折割バーの押し当て側端部を押し当てることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載のガラス板の製造方法。
  8. 縦姿勢で下動するガラスリボンに対し、その幅方向に沿うスクライブ線を形成するスクライブ手段と、前記ガラスリボンの前記スクライブ線よりも下方に存する切出予定部を支持する支持手段と、前記ガラスリボンの前記スクライブ線の形成領域に押し当てられる折割バーと、前記ガラスリボンを前記スクライブ線に沿って折割り、前記切出予定部をガラス板として切り出すために、前記支持手段及び前記折割バーの各動作を制御する制御手段と、を備えたガラス板の製造装置であって、
    前記制御手段は、前記ガラスリボンを折割る際に、前記ガラスリボンの前記スクライブ線の形成領域が縦方向で湾曲した状態になるように前記支持手段を回転動作させて、前記切出予定部を鉛直線に対し予め設定された傾斜角度の傾斜姿勢とすることで、前記スクライブ線の形成領域に発生する反りが軽減された状態で、前記スクライブ線の形成領域に前記折割バーを押し当てることが可能となるように、前記支持手段及び前記折割バーの各動作を制御することを特徴とするガラス板の製造装置。
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