JP7624726B2 - アンテナ装置およびサンドイッチアレー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アンテナ装置およびサンドイッチアレー装置に関する。
近年、都市の渋滞を避けた通勤もしくは通学、離島もしくは山間部での新しい移動手段、または、災害時の救急搬送もしくは迅速な物資輸送などに活用することができる乗り物として、空飛ぶ車の実用化が期待されている。空飛ぶ車の実用化に際しては、空飛ぶ車同士(飛翔車両間)の通信の実現に多くの関心が集まっている。
例えば、特許文献1では、水平面内における受信電波の到来波方向を検出できる受信用アンテナ装置について開示されている。これによれば、円上に等間隔に配列されたアンテナ素子と中心に配されたアンテナ素子とからなる円形配列フェーズドアレーアンテナを用いることで、小型軽量に構成でき、受信電波の到来波方向を高精度で検出できるアンテナ装置を実現できる。
特開昭59-114907号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、水平方向における到来波方向を推定できるものの、仰角方向の到来波方向は推定できないという課題がある。換言すると、空飛ぶ車は、水平および垂直方向へ自由に飛行方向を変化させることができるため、従来の自動車とは異なり、通信を行うターゲットが水平面に限定されないため、全立体角に渡る放射特性を有するアンテナが必要となる。
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたもので、水平方向だけでなく仰角方向の到来波方向を推定し、高速通信可能なアンテナ装置およびサンドイッチアレー装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係るアンテナ装置は、円上に等間隔に配列されたN個(Nは3以上の自然数)の第1アンテナ素子と、前記円の略中心に配された1個の第2アンテナ素子とからなる円形配列フェーズドアレーアンテナと、スイッチング制御により半径が可変である円形状の地板と、を備え、前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、前記地板に実装されたモノポールアンテナで構成される。
この構成により、水平方向だけでなく仰角方向の到来波方向を推定し、高速通信可能なアンテナ装置を実現できる。
ここで、例えば、前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、1/4波長モノポールアンテナで構成される。
また、例えば、前記円形配列フェーズドアレーアンテナに到来する到来波の前記地板と平行な方向である到来波方向に応じて、前記N個の第1アンテナ素子を前記到来波方向に直交するように前記N/2個のサブアレーに分割し、前記サブアレーの指向性を制御することで前記到来波方向に向いた前記N/2個のビームを独立に形成するサブアレー制御部を備えるとしてもよい。
この構成により、推定した到来波方向に対して指向性を制御することができる。これにより、常時最適な受信信号を得ることができ、高速通信を実現することができる。
ここで、前記N/2個のサブアレーそれぞれは、配列方向が平行となる2個のアンテナ素子の組み合わせで構成され、前記組み合わせは、前記到来波方向に応じて、変更されるとしてもよい。
また、前記円形配列フェーズドアレーアンテナに到来する到来波の前記地板となす方向である仰角方向の経路差を用いて算出されるデルタ指向性およびシグマ指向性を形成するために与えられる位相を、所望の通信方向に最も近い2つの前記第1アンテナ素子に与えることによって、前記仰角方向を含む所定の角度範囲に、前記円形配列フェーズドアレーアンテナの指向性を制御する指向性制御部を備え、前記デルタ指向性は、前記仰角方向に逆相励振を実現することによって放射利得を小さくさせる指向性であり、前記シグマ指向性は、前記仰角方向に同相励振を実現することによって放射利得を大きくさせる指向性であるとしてもよい。
この構成により、指向性を所定方向の角度範囲に形成することができるので、ターゲットのみと通信するようにすることができる。
また、前記第1アンテナ素子それぞれの受信信号を前記第1アンテナ素子の配置に応じた2つの重みそれぞれをかけて合計した第1信号および第2信号と、前記第2アンテナ素子の受信信号である第3信号とを統計解析し、前記第1信号および前記第3信号の位相差を算出することにより、前記円形配列フェーズドアレーアンテナに到来する到来波の前記地板となす方向である到来波方向を推定する演算部とを備え、前記演算部は、前記第3信号の電圧の位相角を、前記第1信号の電圧の位相角と前記第2信号の電圧の位相角との平均により算出することで、前記第1信号および前記第3信号の位相差を算出し、前記位相差は、前記到来波方向に略比例するとしてもよい。
また、上記目的を達成するために、本発明の一形態に係るサンドイッチアレー装置は、上記態様のいずれかの2つのアンテナ装置である第1アンテナ装置および第2アンテナ装置を備え、前記第1アンテナ装置は、飛翔車両の天頂部に配置され、前記第2アンテナ装置は、前記飛翔車両の天底部に配置され、前記第1アンテナ装置および前記第2アンテナ装置における前記地板から見た前記円形配列フェーズドアレーアンテナの立設方向は、反対方向である。
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本発明のアンテナ装置等によれば、水平方向だけでなく仰角方向の到来波方向を推定し、高速通信できる。
図1は、実施の形態におけるアンテナ装置の概要構成の一例を示す図である。 図2は、図1に示す円形配列フェーズドアレーアンテナの具体的構成例を示す図である。 図3Aは、実施の形態におけるサイズが可変である地板の構成の一例を示す図である。 図3Bは、図3Aに示す地板のサイズを切り替えるために用いられる具体的な構成を示す図である。 図4は、実施の形態における円形配列フェーズドアレーアンテナの+X軸方向から電波が到来した場合のサブアレーの具体的構成例を示す図である。 図5Aは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置の概要構成の一例を示す図である。 図5Bは、図5Aに示すサンドイッチアレー装置のユースケースを示す図である。 図6は、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置を用いて飛翔車両間の通信を行う場合の概念を示す図である。 図7Aは、モノパルス指向性を形成するために励振される第1アンテナ素子のXY平面における位置関係を示す図である。 図7Bは、デルタ指向性とシグマ指向性とを設計するために用いた仰角方向の経路差を示す図である。 図7Cは、図7Aに示される励振された第1アンテナ素子の電気長を求めるために用いた角度を示す図である。 図8は、シグマ指向性およびデルタ指向性を形成するために必要な第1アンテナ素子#1、#8の位相と仰角との関係を示す図である。 図9Aは、空間分割モノパルス法を実現するモノパルス指向性を形成するシグマ指向性およびデルタ指向性の一例を示す図である。 図9Bは、モノパルス指向性を形成するために送信される2つのパルスの概念を示す図である。 図10Aは、実施の形態における仰角方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図10Bは、実施の形態における仰角方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図10Cは、実施の形態における仰角方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図10Dは、実施の形態における仰角方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図10Eは、実施の形態における仰角方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図10Fは、実施の形態における仰角方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図11Aは、実施の形態における水平方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図11Bは、実施の形態における水平方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図11Cは、実施の形態における水平方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図11Dは、実施の形態における水平方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図11Eは、実施の形態における水平方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図11Fは、実施の形態における水平方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図11Gは、実施の形態における水平方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図11Hは、実施の形態における水平方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナのシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。 図12は、比較例における円形配列フェーズドアレーアンテナに誘起される信号の電圧を示す図である。 図13Aは、比較例における第1信号および第3信号のXY平面における指向特性を示す図である。 図13Bは、比較例における第1信号および第3信号それぞれのXY平面における位相特性を示す図である。 図14は、実施の形態における円形配列フェーズドアレーアンテナの第1アンテナ素子の2つの重み関数を示す図である。 図15Aは、モーメント法を用いて電磁界解析を行うことにより得た第1信号の仰角指向性である。 図15Bは、モーメント法を用いて電磁界解析を行うことにより得た第3信号の仰角指向性である。 図16は、位相反転重み付け法の原理を説明するための概略図である。 図17は、実施の形態における、第1信号と第3信号との3次元指向性を示す図である。 図18Aは、仰角方向が30度である場合の指向性および推定される到来波方向の角度特性である。 図18Bは、仰角方向が80度である場合の指向性および推定される到来波方向の角度特性である。 図19は、実施の形態における地板の半径を変化させたときの到来波の仰角方向に対する伝送容量の変化を示す図である。 図20Aは、比較例におけるダイポールアレーアンテナの3次元放射指向性を示す図である。 図20Bは、実施の形態におけるモノポールアレーアンテナの3次元放射指向性を示す図である。 図21Aは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置に指向性走査を実施させたときの3次元指向性を示す図である。 図21Bは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置に指向性走査を実施させたときの3次元指向性を示す図である。 図21Cは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置に指向性走査を実施させたときの3次元指向性を示す図である。 図21Dは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置に指向性走査を実施させたときの3次元指向性を示す図である。 図22Aは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置に指向性走査を実施させたときの3次元指向性を示す図である。 図22Bは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置に指向性走査を実施させたときの3次元指向性を示す図である。 図22Cは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置に指向性走査を実施させたときの3次元指向性を示す図である。 図22Dは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置に指向性走査を実施させたときの3次元指向性を示す図である。 図23は、比較例における半波長ダイポールアレーアンテナを使用したMIMOアレーアンテナの伝送容量の仰角特性を示す図である。 図24Aは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置を使用したMIMOアレーアンテナの伝送容量のアジマス特性を示す図である。 図24Bは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置を使用したMIMOアレーアンテナの伝送容量の仰角特性を示す図である。 図25は、比較例における半波長ダイポールアレーアンテナを使用したMIMOアレーアンテナの全立体角にわたる3次元伝送容量を示す図である。 図26は、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置を使用したMIMOアレーアンテナの全立体角にわたる3次元伝送容量を示す図である。 図27は、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置を使用したMIMOアレーアンテナの全立体角にわたる通信遮断確率を示す図である。 図28は、変形例における多素子MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。 図29Aは、変形例における4×4MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。 図29Bは、変形例における8×8MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。 図29Cは、変形例における16×16MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。 図29Dは、変形例における32×32MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。 図29Eは、変形例における64×64MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。 図29Fは、変形例における128×128MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。 図29Gは、変形例における256×256MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態)
[アンテナ装置の構成]
図1は、本実施の形態におけるアンテナ装置10の概要構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態におけるアンテナ装置10は、円形配列フェーズドアレーアンテナ1と、地板2と、制御部3と、演算部4とを備える。本実施の形態におけるアンテナ装置10は、例えば飛翔車両(空飛ぶ車とも称される)に搭載される。図1に示す例では、円形配列フェーズドアレーアンテナ1は、9個のアンテナ素子を有している。図1で示されるθは仰角を表している。
[円形配列フェーズドアレーアンテナ1]
図2は、図1に示す円形配列フェーズドアレーアンテナ1の具体的構成例を示す図である。図2で示されるφは、水平面(XY平面)におけるX軸となす方向であり、XY平面における到来波の方向(到来波方向)を表している。
円形配列フェーズドアレーアンテナ1は、図1および図2に示すように、円上に等間隔に配列されたN個(Nは3以上の自然数)の第1アンテナ素子と、当該円の略中心に配された1個の第2アンテナ素子とからなる。第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とは、地板2に実装されたモノポールアンテナで地板2上に構成される。本実施の形態では、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とは、1/4波長モノポールアンテナであり、半径rの地板2上に構成されている。
これにより、円形配列フェーズドアレーアンテナ1は、当該円の領域を含む平面(水平面内)の指向特性が実質的に全方向となるだけでなく、天頂方向(図1で+Z軸方向)にも指向特性を有する。
以下、N=8の場合すなわち、円形配列フェーズドアレーアンテナ1が8個の第1アンテナ素子を備える場合を例に挙げて説明する。
例えば図2に示すように、円形配列フェーズドアレーアンテナ1は、半径aの円周上に45度間隔で配列された8個のアンテナ素子(第1アンテナ素子:#1~#8)と、円の中心に配置された1個の無給電素子であるアンテナ素子(第2アンテナ素子:#9)とで構成される。ここで、半径aは、例えば4.9cmである。また、これら9個のアンテナ素子は、1/4波長モノポールアンテナであり、半径rの地板2上に構成されている。
そして、8個の第1アンテナ素子の受信信号を足し合わせたときの位相と、中心に配置された1個の第2アンテナ素子の受信信号の位相との差を求めることにより、仰角方向にも角度を有する受信信号の到来波方向を推定できる。その推定方法の詳細については後述するが、到来する受信電波によって第2アンテナ素子(#9)に誘起される信号の電圧の位相角は、後述する位相反転重みづけ法により合成される。
また、円形配列フェーズドアレーアンテナ1では、制御部3によって、8個のアンテナ素子(第1アンテナ素子:#1~#8)を到来波方向に応じて到来波方向に直交するように4組のペア素子からなるサブアレーに分割制御(位相差給電)される。これにより、円形配列フェーズドアレーアンテナ1を、MIMO(Multiple Input Multiple Output)アレーアンテナなどの指向性走査アレーアンテナとして動作させることができる。
また、円形配列フェーズドアレーアンテナ1の仰角方向への放射指向性は、地板2の半径のサイズがスイッチング制御されることで最適化される。つまり、円形配列フェーズドアレーアンテナ1を、MIMOアレーアンテナとして動作させる場合には、到来波方向を推定する場合と異なる地板2の半径のサイズにスイッチング制御される。
さらに、円形配列フェーズドアレーアンテナ1では、後述する空間分割モノパルス法を用いて制御部3によって制御されることで、仰角方向を含む所定の角度範囲内に、仰角方向の指向性が制御される。
[地板2]
地板2は、スイッチング制御により半径rが可変である円形状の地板である。本実施の形態では、地板2は、例えば図1に示されるように、面状(板状)の導体である。なお、地板2の半径rのサイズを可変にするのは、円形配列フェーズドアレーアンテナ1を用いて到来波方向を推定する動作を行う場合と、MIMOアレーアンテナとして動作させる場合とにおいて最適な地板2のサイズが異なるためである。
図3Aは、本実施の形態におけるサイズが可変である地板2の構成の一例を示す図である。図3Bは、図3Aに示す地板2のサイズを切り替えるために用いられる具体的な構成を示す図である。
地板2の半径rは、制御部3により、スイッチング制御される。本実施の形態では、図3Aに示すように、ダイオード301のオンとオフとが制御されて、地板2の半径rが例えば7cmまたは10cmに変更される。より具体的には、図3Bに示すように、地板2にダイオード301とチョークコイル302とが接続され、ダイオード301に5Vまたは0Vのバイアス電圧Vが与えられることで、地板2のサイズを制御してもよい。この場合、例えば5Vのバイアス電圧Vが与えられると、ダイオード301がオンになり、外側の地板2aに電流が流れるので地板2の半径rは10cmに変更される。また、例えば0Vのバイアス電圧Vが与えられると、ダイオード301がオフになり、外側の地板2aに電流が流れず、内側の地板2bのみが有効となるので、地板2の半径rは7cmに変更される。
なお、地板2の半径rは、7cmおよび10cmのいずれかにスイッチング制御される場合に限らず、実現したいシステムに応じて適切なサイズに構成されるようにスイッチング制御されればよい。
[制御部3]
制御部3は、円形配列フェーズドアレーアンテナ1をサブアレーに分割制御するサブアレー制御機能を有する。より具体的には、制御部3は、円形配列フェーズドアレーアンテナ1に到来する到来波の地板2と平行な方向である到来波方向に応じて、N個の第1アンテナ素子を到来波方向に直交するようにN/2個のサブアレーに分割する。そして、制御部3は、このようにサブアレーの指向性を制御することで到来波方向に向いたN/2個のビームを独立に形成する。
ここで、N/2個のサブアレーはそれぞれ、配列方向が平行となる2個のアンテナ素子の組み合わせで構成され、組み合わせは、到来波方向に応じて、変更される。組み合わせには、N/2のパターンがある。制御部3は、N/2のパターンの組み合わせのうち、到来波方向と所定の角度範囲以内において平行となる2個のアンテナ素子の組み合わせのパターンを選択することで、組み合わせを、到来波方向に応じて変更する。
図4は、本実施の形態における円形配列フェーズドアレーアンテナ1の+X軸方向から電波が到来した場合のサブアレーの具体的構成例を示す図である。
例えば、制御部3は、円形配列フェーズドアレーアンテナ1を構成する第1アンテナ素子が8個であるので、到来波方向に応じて4パターンの組み合わせの一を選択する。図4に示す例では、第1アンテナ素子#2,#3と、第1アンテナ素子#1,#4と、第1アンテナ素子#5,#8と、第1アンテナ素子#6,#7とをそれぞれサブアレー(サブアレー1~4)とする組み合わせが示されている。
一般にクラスター伝搬環境では、到来波方向に対してサブアレーの配列が平行な場合は受信信号の相関が高くなるのに対して、直交している場合は受信信号の相関が低くなる。制御部3は、到来波方向に対して垂直に配列されたサブアレーの組み合わせとなるように、円形配列フェーズドアレーアンテナ1の8個の第1アンテナ素子を4つに分割するため、4つの受信信号は低相関となる。さらに、円形配列フェーズドアレーアンテナ1では、8個の第1アンテナ素子が45度間隔で円形に配列されているため、制御部3は、到来波方向に応じてサブアレーの給電をスイッチングによって切り替えることによって、サブアレーの組み合わせを45度ごとに回転することができる。
また、制御部3は、空間分割モノパルス法を用いることで、円形配列フェーズドアレーアンテナ1の指向性を、仰角方向を含む所定の角度範囲内に制御する全立体角指向性制御機能を有する。より具体的には、制御部3は、デルタ指向性およびシグマ指向性を形成するために与えられる位相を、所望の通信方向に最も近い2つの第1アンテナ素子に与えることによって、仰角方向を含む所定の角度範囲に、円形配列フェーズドアレーアンテナ1の指向性を制御する。ここで、デルタ指向性は、仰角方向に逆相励振を実現することによって放射利得を小さくさせる指向性であり、シグマ指向性は、仰角方向に同相励振を実現することによって放射利得を大きくさせる指向性である。デルタ指向性およびシグマ指向性は、円形配列フェーズドアレーアンテナ1に到来する到来波の地板2となす方向である仰角方向の経路差を用いて算出される。なお、空間分割モノパルス法は、シグマ指向性とデルタ指向性によるSLS機能(Side Lobe Suppression)すなわちサイドローブ抑圧機能の実現方法である。詳細は後述する。
また、制御部3は、地板2の半径サイズを制御するスイッチング制御機能を有する。例えば図3Bに示すように、制御部3は、ダイオード301に与えるバイアス電圧Vを0Vまたは5Vに制御することで、地板2の半径サイズを制御すればよい。
[演算部4]
演算部4は、円形配列フェーズドアレーアンテナ1に到来する到来波の方向である到来波方向を推定する到来波方向推定機能を有する。より具体的には、演算部4は、第1アンテナ素子それぞれの受信信号を第1アンテナ素子の配置に応じた2つの重みそれぞれをかけて合計した第1信号および第2信号と、第2アンテナ素子の受信信号である第3信号とを統計解析し、第1信号および第3信号の位相差を算出する。ここで、位相差は、到来波方向に略比例する。このように、演算部4は、第1信号および第3信号の位相差を算出することにより、円形配列フェーズドアレーアンテナ1に到来する到来波の仰角方向にも角度を有する到来波方向を推定する。なお、本実施の形態では、演算部4は、第3信号の電圧の位相角を、第1信号の電圧の位相角と第2信号の電圧の位相角との平均により算出することで、第1信号および第3信号の位相差を算出する。また、本実施の形態では、統計解析として、平均値を求める演算を行っているが、平均値を求める演算に限らず、多重波環境に適応させるために行う演算とを組み合わせてもよい。
本実施の形態では、8個の第1アンテナ素子のそれぞれは、図2に示すように、第1アンテナ素子の配置に応じた2つの重みを有する。このため、演算部4は、8個の第1アンテナ素子のそれぞれの一方の重み(反時計回りの重み)を8個の第1アンテナ素子の受信信号それぞれにかけて合計した第1信号を取得する。また、演算部4は、8個の第1アンテナ素子のそれぞれの他方の重み(時計回りの重み)を8個の第1アンテナ素子の受信信号それぞれにかけて合計した第2信号を取得する。また、演算部4は、第2アンテナ素子から、第3信号を取得する。
そして、演算部4は、第1信号の電圧の位相と、第3信号の電圧の位相の差を求めることにより、仰角方向にも角度を有する受信信号の到来波方向を推定することができる。なお、第3信号の電圧の位相は、位相反転重みづけ法を適用し、第1信号の電圧の位相と第2信号の電圧の位相とを合成すなわち平均化することで算出される。
[効果等]
以上のように、本実施の形態のアンテナ装置10は、円上に等間隔に配列された複数の第1アンテナ素子と、当該円の略中心に配された1個の第2アンテナ素子とからなる円形配列フェーズドアレーアンテナ1が地板2上に構成される。第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とは、地板2に実装されたモノポールアンテナである。これにより、本実施の形態のアンテナ装置10は、水平方向だけでなく仰角方向の到来波方向を推定できる。また、本実施の形態のアンテナ装置10は、推定した到来波方向に対して指向性を制御することができる。これにより、常時最適な受信信号を得ることができるので、高速通信を実現することができる。さらに、本実施の形態のアンテナ装置10では、仰角方向を含む所定方向の角度範囲に指向性を制御することができるので、ターゲットとなる通信相手のみと通信するようにすることができる。
また、本実施の形態のアンテナ装置10では、円形配列フェーズドアレーアンテナ1の円の中心に構成された1個の無給電素子である第2アンテナ素子は、電磁結合を利用して利得向上に寄与する。また、本実施の形態のアンテナ装置10の仰角方向への放射指向性は、地板2のサイズをスイッチング制御することによって最適化される。
なお、本実施の形態のアンテナ装置10は、水平方向だけでなく天頂方向(図1で+Z軸方向)にも指向特性を有するが、地板2の下方向(図1で-Z方向)には指向特性を有さない。そこで、アンテナ装置10を上下にサンドイッチ状に配置することで、全立体角に指向性を持たせることができる。以下、アンテナ装置10を上下にサンドイッチ状に配置したサンドイッチアレー装置100について説明する。
[サンドイッチアレー装置100]
図5Aは、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100の概要構成の一例を示す図である。
サンドイッチアレー装置100は、図5Aに示すように、上述したアンテナ装置10を2つ備え、上下(図5AでZ軸方向)にサンドイッチ状に配置されている。より具体的には、サンドイッチアレー装置100は、2つのアンテナ装置10である第1アンテナ装置10Aおよび第2アンテナ装置10Bを備える。第1アンテナ装置10Aの地板2Aから見た円形配列フェーズドアレーアンテナ1Aの立設方向は、第2アンテナ装置10Bの地板2Bから見た円形配列フェーズドアレーアンテナ1Bの立設方向とは反対方向である。この構成により、サンドイッチアレー装置100は、全立体角にわたる放射特性を有することができる。
図5Bは、図5Aに示すサンドイッチアレー装置100のユースケースを示す図である。
図5Bに示すように、サンドイッチアレー装置100は、ユースケースとして、飛翔車両300に搭載される。より具体的には、第1アンテナ装置10Aは、飛翔車両300の天頂部に配置され、第2アンテナ装置10Bは、飛翔車両300の天底部に配置される。そして、第1アンテナ装置10Aの地板2Aから見た円形配列フェーズドアレーアンテナ1Aの立設方向は、第2アンテナ装置10Bの地板2Bから見た円形配列フェーズドアレーアンテナ1Bの立設方向とは反対方向である。
飛翔車両300は、空飛ぶ車とも称され、水平方向および垂直方向(上下方向)へ自由に飛行方向を変化させることができる。飛翔車両300は、飛翔車両間で信頼性の高い通信を行うために、任意の方向において飛翔車両間のMIMO通信が達成される必要がある。つまり、飛翔車両300は、全立体角に渡る放射特性を有するアンテナが必要となる。そこで、飛翔車両300は、サンドイッチアレー装置100を搭載することで、飛翔車両間の通信を行うことができる。
飛翔車両300では、サンドイッチアレー装置100のアンテナ装置10Aおよび10Bを、受信信号の到来波方向に応じて切り替えることで、任意上下間の通信を実現することができる。また、アンテナ装置10Aおよび10Bの仰角方向への放射指向性は、地板2および地板2Bのサイズを変更することによって制御できる。もちろん、例えば通信相手が飛翔車両300の天頂側に固定されている場合、飛翔車両300は、上側のアンテナ装置10Aのみを使用してもよい。また、通信相手が天底側に固定されている場合、飛翔車両300は、下側のアンテナ装置10Bのみを使用してもよい。
以上のようにして、飛翔車両300は、サンドイッチアレー装置100を搭載することで、全立体角に渡って受信信号の到来波方向を推定し、推定した到来波方向に指向性を向けることができるので飛翔車両間で高信頼性通信を実現できる。サンドイッチアレー装置100を構成するアンテナ装置10は、RF部において処理することで簡便な方法で到来波方向を推定することができる。より具体的には、図5Aに示すように、円形配列フェーズドアレーアンテナ1Aおよび1Bを構成する8個の第1アンテナ素子が45度間隔で円形に配列されている。このため、飛翔車両300は、到来波方向に応じて、当該8個の第1アンテナ素子をサブアレーに分割制御するための給電をスイッチングによって切り替えることによって、サブアレーの組み合わせを45度ごとに回転することができる。これにより、飛翔車両300が空間において上下左右に飛行方向を自由に変化させた場合でも、到来波方向に対して垂直に配列されたサブアレーの組み合わせを適切に選択することができるので、伝送容量の向上を図ることができる。
さらに、飛翔車両300は、サンドイッチアレー装置100を用いて、推定した受信信号の到来波方向にビームを向けることができるので、他の飛翔車両とネットワーク化し、他の飛翔車両との衝突防止のみならず高画質ビデオコンテンツの交換が実現可能となる。
また、飛翔車両300は、サンドイッチアレー装置100を用いて、所定方向の角度範囲を順次ずらしながら(空間分割しながら)、指向性を形成することで、全立体角に渡って空間分割した指向性を形成することができる。これにより、飛翔車両300は、空間中に複数の通信可能な他の飛翔車両が存在していたとしても、同期性干渉を排除してターゲットの飛翔車両のみと通信するようにすることができる。
以下、所定方向の角度範囲に指向性を制御するために用いられる空間分割モノパルス法について説明する。
<空間分割モノパルス法>
図6は、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100を用いて飛翔車両間の通信を行う場合の概念を示す図である。図6には、自由に飛行方向を変化させることができる4つの飛翔車両300が示されており、それぞれ飛翔車両300a、300b、300c、300dと称している。飛翔車両300a~300dのそれぞれには、アンテナ装置10Aおよび10Bで構成されるサンドイッチアレー装置100が搭載されている。
図6に示すように、複数の飛翔車両300の間(飛翔車両間)で通信を行うためには、それぞれのサンドイッチアレー装置100は、全立体角にわたる放射特性を有する必要がある。しかし、同期性の干渉があると、正しく通信を行えず、複数の飛翔車両300同士で衝突する恐れが発生する。換言すると、例えば飛翔車両300aは、飛翔車両300b、300cおよび300dと通信を行うために、任意の方向において飛翔車両300b~300dと間で通信が実現される必要がある。一方で、飛翔車両300aは、飛翔車両300b、300cおよび300dと同時(同期的)に通信すると、飛翔車両300b、300cおよび300dを区別できず、最悪の場合、衝突してしまう恐れがある。このため、衝突防止機能が必要になる。
この衝突防止機能を、サンドイッチアレー装置100すなわちアンテナ装置10において、空間分割モノパルス法を用いて、所定方向の角度範囲を順次ずらしながら(空間分割しながら)、当該所定方向の角度範囲に指向性を制御することで実現する。
以下、指向性を所定方向の角度範囲に形成するための手法(以降、モノパルス指向性の形成手法とも称する)として、デルタ指向性とシグマ指向性とを形成する位相を計算する方法について説明する。
図7Aは、モノパルス指向性を形成するために励振される第1アンテナ素子のXY平面における位置関係を示す図である。図7Bは、デルタ指向性とシグマ指向性とを設計するために用いた仰角方向の経路差を示す図である。図7Cは、図7Aに示される励振された第1アンテナ素子の電気長を求めるために用いた角度を示す図である。
モノパルス指向性の形成のため、例えば、図7Aに示す8個の第1アンテナ素子のうち、4個の第1アンテナ素子(#1、#2、#7、#8)を励振し、その他の第1アンテナ素子(#3、#4、#5、#6)を50Ωで終端する。この場合、図7Bに示される仰角方向の経路差により、第1アンテナ素子#1と第1アンテナ素子#2との間の電気長、または、第1アンテナ素子#7と第1アンテナ素子#8との間の電気長は、(式1)によって求められる。
Figure 0007624726000001
ここで、図7Aに示される距離S、換言すると、X方向における第1アンテナ素子#7と第1アンテナ素子#8との間の距離Sは、図7Aに示される円形配列フェーズドアレーアンテナ1の半径aと、図7Cに示される角度δを用いて表すことができる。すなわち、S=a・cosδ-a・sinδ=a・(cosδ-sinδ)と表すことができる。
また、三角関数の加法定理から、sin(α-β)=sinα・cosβ-cosα・sinβが成立する。ここで、α=π/4、β=δとすると、sin(π/4-δ)=sin(π/4)・cosδ-cos(π/4)・sinδ=1/√2(cosδ-sinδ)と変形できる。
したがって、cosδ-sinδ=√2sin(π/4-δ)と導出できる。
また、図7Cに示される角度δは、22.5度であることから、距離Sは、次のように変形できる。すなわち、S=a(cosδ-sinδ)=√2a・sin(π/4-δ)=√2a・sin(π/8)と変形できる。
一方、図7Bに示されるように、Δl=S・cosθであり、Δl=S・cosθ=√2a・sin(π/8)・cosθと変形できる。このようにして、上記の(式1)を求めることができる。
ここで、k=2π/λであることから、シグマ指向性は、下記の(式2)で表すことができ、デルタ指向性は、下記の(式3)で表すことができる。なお、上述したが、シグマ指向性は、仰角方向に同相励振を実現することによって放射利得を大きくさせる指向性であり、デルタ指向性は、仰角方向に逆相励振を実現することによって放射利得を小さくさせる指向性である。
Figure 0007624726000002
Figure 0007624726000003
図8は、シグマ指向性およびデルタ指向性を形成するために必要な第1アンテナ素子#1、#8の位相と仰角との関係を示す図である。図8において、第1アンテナ素子#2、#7の位相は0としている。また、図8において、解析に使用した周波数は2GHzであり、本実施の形態における円形配列フェーズドアレーアンテナ1の半径aを4.9cmとし、地板2の半径rを7cmとしている。
なお、仰角(エレベーション角)とは、水平面(図2でXY平面)を0度、天頂方向(図1で+Z軸方向)を+90度、天底方向(図1で-Z軸方向)を-90度で定義される角度である。
図8から、仰角=45度のとき,シグマ指向性に対してφ=φ=-45度となり、デルタ指向性に対してφ=φ=135度となる。図1、図7Aおよび図7Cに示されるように、円形配列フェーズドアレーアンテナ1を構成する8個の第1アンテナ素子は、回転対称構造である。このため、45度だけ回転した4個の第1アンテナ素子(#1、#2、#3、#8)を励振し、その他の第1アンテナ素子(#4、#5、#6、#7)を50Ωで終端し、この場合において同相励振と逆相励振を実現する位相を算出すればよい。つまり、励振させる4個の第1アンテナ素子の組み合わせをアジマス方向に45度ずつ回転させ、同相励振と逆相励振を実現する位相を都度算出することにより、全アジマス方向に対してシグマ指向性とデルタ指向性とを形成することができる。なお、アジマス方向とは、図2または図7Bにおいて、+X軸方向を0度、+Y軸方向を90度であると定義される角度であり、図1ではφで表現されている。
図9Aは、空間分割モノパルス法を実現するモノパルス指向性を形成するシグマ指向性およびデルタ指向性の一例を示す図である。図9Bは、モノパルス指向性を形成するために送信される2つのパルスP、Pの概念を示す図である。なお、空間分割モノパルス法は、上述したように、シグマ指向性とデルタ指向性によるサイドローブ抑圧機能の実現方法である。
図9Aに示すように,シグマ指向性の前方向(図9Aで上方向)においてデルタ指向性よりも9dB大きい領域が所定の角度範囲だけ存在している。さらに、シグマ指向性のサイドローブはデルタ指向性によって完全に包含されている。
TCAS II(Traffic alert and Collision Avoidance System II)において、質問機は、周囲のターゲット機に図9Bに示されるような2つのパルスP、Pを送信する。パルスP、Pとは同じ電力で送信され、パルスPはシグマ指向性により送信され、パルスPはデルタ指向性により送信される。そして、ターゲット機は、パルスPがパルスPよりも9dB小さい場合のみ、IDコード等を付与して応答する。つまり、TCAS IIでは、この所定の角度範囲に存在するターゲット機のトランスポンダのみ応答する。これにより、質問機は、図9Aに示す所定の角度範囲に存在するターゲット機のみと通信することが可能となるので、同期性干渉を排除できる。さらに、TCAS IIでは選択的に空間分割を行って通信することで、全空間に渡る質問応答のシーケンスを実施することができる。
このように、空間分割モノパルス法を用いることによって、小型アンテナであっても、大型のSSRアンテナと同様のサイドローブ抑圧機能を実現することが可能となる。
図10A~図10Fは、本実施の形態における仰角方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナ1のシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。より具体的には、図10A~図10Fは、図8を用いて算出した位相を第1アンテナ素子#1、#8に与えた場合に、θで表される仰角において形成されるシグマ指向性およびデルタ指向性の計算結果である。図10Aは、θ=0度、図10Bは、θ=15度、図10Cは、θ=30度、図10Dは、θ=45度、図10Eは、θ=60度、図10Fは、θ=75度において形成されるシグマ指向性およびデルタ指向性の計算結果である。また、図10A~図10Fでは、図9Bで説明したモノパルス指向性を形成する2つのパルスの関係に基づき、各仰角の指向性においてデルタ指向性がシグマ指向性よりも9dBだけ小さくなる所定の角度範囲δが示されている。
図10A~図10Fからわかるように、すべての仰角において所定の角度範囲δは70度前後である。このことは、仰角(エレベーション角)によらずアジマス方向の一定の角度範囲のターゲットを補足可能であることを意味する。さらに、この70度前後という値は、アジマス方向の指向性走査を実施する場合に、隣接指向性の重ね合わせが適度に発生することから好適である。
図11A~図11Hは、本実施の形態における水平方向の指向性走査において形成される円形配列フェーズドアレーアンテナ1のシグマ指向性およびデルタ指向性の解析結果の一例を示す図である。図11A~図11Hのそれぞれでは、所望の通信方向であるφを変化させた場合に、仰角を表すθ=30度において形成されるシグマ指向性およびデルタ指向性が示されている。図11Aは、φ=0度、図11Bは、φ=45度、図11Cは、φ=90度、図11Dは、φ=135度、図11Eは、φ=180度、図11Fは、φ=225度、図11Gは、φ=270度、図11Hは、φ=315度における計算結果である。
図11A~図11Hに示すように、φ=0度からφ=315度まで45度間隔で指向性走査することによって、アンテナ装置10A及び10Bで構成されるサンドイッチアレー装置100は、全立体角に対する空間分割モノパルス法を実施することができるのがわかる。
したがって、サンドイッチアレー装置100は、シグマ指向性およびデルタ指向性を用いて、所定方向の角度範囲の指向性であるモノパルス指向性を形成し、3次元走査することができる。これにより、サンドイッチアレー装置100を搭載した飛翔車両300は、同期性干渉を除去して選択的に他の飛翔車両と通信が可能となるので、他の飛翔車両との衝突防止を実現できる。
<位相反転重みづけ法>
次に、仰角方向にも角度を有する受信電波によって第2アンテナ素子(#9)に誘起される信号の電圧の位相を合成によって得る位相反転重みづけ法について説明する。以下でも、円形配列フェーズドアレーアンテナ1は、8個の第1アンテナ素子を有するとして説明する。
まず、比較例として仰角方向に角度を有しない到来波の方向を推定する方法について説明する。
図12は、比較例における円形配列フェーズドアレーアンテナ1に誘起される信号の電圧を示す図である。図12では、仰角方向に角度を有しない到来波方向の受信電波によって比較例における円形配列フェーズドアレーアンテナ1に誘起される信号の電圧が示されている。
比較例では、到来波方向は、中心と円上に配置したアンテナ素子の電圧の位相差を利用して推定できる。より具体的には、8個の第1アンテナ素子の受信信号を足し合わせたときの位相と、中心に配置された1個の第2アンテナ素子の受信信号の位相との差を求めることにより、受信信号の到来波方向を推定できる。
円形配列フェーズドアレーアンテナ1の平面であるXY平面のX軸とφをなす方向のみから受信電波が到来するとする。この場合、受信電波によってi番目の第1アンテナ素子に誘起される信号すなわち電圧Ei(φ)は、次の(式4)から算出できる。
Figure 0007624726000004
第1アンテナ素子(#1~#8)ごとに受信のタイミングが微妙にずれるので、それを反映した重み関数を(式4)から算出した電圧Eiにかけて重み付けしたものを、円上のすべての第1アンテナ素子の信号を足し合わせる。これにより、8個の第1アンテナ素子それぞれの受信信号の合計である第1信号の電圧EΔ(φ)を得ることができる。この第1信号の電圧EΔ(φ)は、(式5)から算出できる。
Figure 0007624726000005
ここで、(式5)に示される要素は8であるが、第1信号の電圧EΔ(φ)の性質を理解するために第1アンテナ素子の数が無限個になったとすると、電圧EΔ(φ)はベッセル関数を用いて以下の(式6)で表すことができる。
Figure 0007624726000006
また、X軸とφをなす方向から到来する受信電波によって第2アンテナ素子(#9)に誘起される信号(第3信号)の電圧をEΩ(φ)とする。さらに、第3信号の電圧EΩ(φ)の位相角を∠EΩ、第1信号の電圧EΔ(φ)の位相角を∠EΔとすれば、位相差φは以下の(式7)を用いて算出することができる。
Figure 0007624726000007
したがって、第1信号と第3信号との位相差φは、仰角方向に角度を有しない受信電波の到来波角度φにほぼ比例した値となっているのがわかる。このようにして、円形配列フェーズドアレーアンテナ1における中心と円周上に配置したアンテナ素子の電圧の位相差を利用することで、仰角方向に角度を有しない到来波方向を推定できる。
図13Aは、比較例における第1信号および第3信号のXY平面における指向特性を示す図である。図13Bは、比較例における第1信号および第3信号それぞれのXY平面における位相特性を示す図である。図13Aおよび図13Bには、比較例すなわちX軸とφをなす方向のみから受信電波が到来するとして、モーメント法を用いて電磁界解析を行った解析結果が示されている。なお、解析に使用した周波数は2GHzであり、円形配列フェーズドアレーアンテナ1の半径aを4.9cmとしている。
図13Aに示すように、第1信号の指向特性および第3信号の指向特性、すなわち第1アンテナ素子の受信信号を足し合わせたときの指向特性と第2アンテナ素子の受信信号の指向特性とがXY平面において無指向性であるのがわかる。図13Bから、第1信号の指向性の位相特性はアジマス角に応じて変化することがわかる。これにより、第1信号の指向性の位相特性と第3信号の指向性の位相特性との差が、到来波方向に比例するのがわかる。
次に、本実施の形態における、仰角方向に角度を有する到来波の方向を推定する方法について説明する。
図14は、本実施の形態における円形配列フェーズドアレーアンテナ1の第1アンテナ素子の2つの重み関数を示す図である。図14では、第1アンテナ素子(#1~#8)のそれぞれには、反時計回りの重み関数(重み)と時計回りの重み関数(重み)との2つの重み関数が示されている。
図14に示す円形配列フェーズドアレーアンテナ1において、仰角方向に角度を有する受信電波がX軸とφをなす方向から到来するとする。この場合、受信電波によって、円周上に位置するi番目の第1アンテナ素子に誘起される信号すなわち電圧Vi(φ)は、次の(式8)から算出できる。
Figure 0007624726000008
第1アンテナ素子(#1~#8)ごとに受信のタイミングがずれるので、それを反映するために、(式9)および(式10)で定義される2つの重み関数W 、W を(式8)から算出した電圧Viにかけて重み付けする。
Figure 0007624726000009
Figure 0007624726000010
そして、円上のすべての第1アンテナ素子の信号を足し合わせれば、8個の第1アンテナ素子それぞれの受信信号の合計である第1信号の電圧EΔ 、第2信号の電圧EΔ を得ることができる。より具体的には、第1信号の電圧EΔ は、(式11)から、第2信号の電圧EΔ は(式12)から算出できる。
Figure 0007624726000011
Figure 0007624726000012
図15Aは、モーメント法を用いて電磁界解析を行うことにより得た第1信号の仰角指向性である。図15Bは、モーメント法を用いて電磁界解析を行うことにより得た第3信号の仰角指向性である。図15Aおよび図15Bにおいて、解析に使用した周波数は2GHzであり、円形配列フェーズドアレーアンテナ1の半径aを4.9cmとし、地板の半径rを7cmとしている。
図15Aに示すように、第1信号の指向特性すなわち重み関数W で重み付けられた第1アンテナ素子の受信信号を足し合わせたときの指向特性は、天頂方向(+Z軸方向)も含め、高仰角において良好な放射特性を有しているのがわかる。これに対して、図15Bに示すように、第3信号の指向特性すなわち第2アンテナ素子の受信信号の指向特性は、天頂方向に深いヌルが形成されている。これにより、比較例と同じ手法で、第1信号の指向性の位相特性と第3信号の指向性の位相特性との差を算出しても、天頂方向まで含めた到来波方向の推定ができないことがわかる。
そこで、本実施の形態では、以下で説明する位相反転重みづけ法を用いて、第1信号の電圧EΔ および第2信号の電圧EΔ から第3信号の電圧EΩを合成する方法を想到するに至った。すなわち、本実施の形態では、第1信号EΔ の位相角および第2信号の電圧EΔ の位相角から、第2アンテナ素子に誘起される第3信号の電圧EΩの位相角を合成する方法を想到するに至った。
図16は、位相反転重み付け法の原理を説明するための概略図である。図16には、第1信号の電圧EΔ の位相角∠EΔ と、第2信号の電圧EΔ の位相角∠EΔ とが示されている。図16に示されるように、位相角∠EΔ と位相角∠EΔ とは、到来波方向に対して逆の傾きを有している。つまり、位相角∠EΔ と位相角∠EΔ とは対称性をもつ。したがって、到来波方向を推定するために用いる第3信号の電圧EΩの位相角∠EΩ(基準位相とも称する)を、下記の(式13)に示されるように定義する。これにより、仰角方向に角度を有する到来波の方向を表す角度φは、(式14)で表すことができる。
Figure 0007624726000013
Figure 0007624726000014
ここで、第1信号の電圧EΔ と第2信号の電圧EΔ とはともに、図15Aに示される仰角指向性を有する。一方、(式13)より、第3信号の電圧EΩの指向性は第1信号の電圧EΔ と第2信号の電圧EΔ との指向性の平均値である。従って、第3信号の電圧EΩの指向性は、図15Aと同一となり良好な仰角指向性を有することになるので、高仰角における到来波方向の推定を可能とすることがわかる。
図17は、本実施の形態における、第1信号と第3信号との3次元指向性を示す図である。図17には、モーメント法を用いて電磁界解析を行うことにより得た第1信号と第3信号との3次元指向性が示されている。
第3信号の電圧EΩの指向性は、第1信号の電圧EΔ の指向性と第2信号の電圧EΔ の指向性との平均であることから、第1信号の電圧EΔ と同じ振幅特性である。図17から、第1信号の電圧EΔ と第3信号の電圧EΩとは、地板より上方向(+Z方向)である天頂方向に高い利得を有していることがわかる。
図18Aは、仰角方向が30度である場合の指向性および推定される到来波方向の角度特性である。図18Aの(a)には、仰角方向が30度である場合における第1信号の電圧EΔ と第3信号の電圧EΩとの指向性が示されている。図18Aの(b)には、上記の(式14)により定義される角度φすなわち仰角方向に30度を有する到来波の方向を表す角度φが示されている。
図18Bは、仰角方向が80度である場合の指向性および推定される到来波方向の角度特性である。図18Bの(a)には、仰角方向が80度である場合における第1信号の電圧EΔ と第3信号の電圧EΩとの指向性が示されている。図18Bの(b)には、上記の(式14)により定義される角度φすなわち仰角方向に80度を有する到来波の方向を表す角度φが示されている。
図18Aの(a)および図18Bの(a)から、第1信号の電圧EΔ および第3信号の電圧EΩともに、80度の高い仰角においてアジマス方向に一定の高い利得を維持していることがわかる。また、図18Aの(b)および図18Bの(b)から、仰角を示すθ=30度と80度とのいずれにおいても、推定される角度φは到来波方向に比例することがわかる。
<伝送容量と地板サイズとの関係の確認>
本実施の形態のアンテナ装置10では、到来波方向に対して垂直に配列されたサブアレーの組み合わせとなるように、円形配列フェーズドアレーアンテナ1の8個の第1アンテナ素子を4つに分割制御することで、MIMOアレーアンテナ機能を実現する。そして、本実施の形態のアンテナ装置10は、MIMOアレーアンテナ機能を実現することで、伝送容量の向上を図ることができる。
ところで、円形地板の中心に取り付けられたモノポールアンテナの仰角方向への放射指向性は、地板のサイズを変更することによって制御できることが知られている。しかし、MIMOアレーアンテナの伝送容量に対する地板サイズの影響はこれまで十分に検討されていなかった。そこで、伝送容量と地板サイズとの関係を確認した結果について以下説明する。
図19は、本実施の形態における地板2の半径rを変化させたときの到来波の仰角方向に対する伝送容量の変化を示す図である。図19には、3次元座標においてアジマス角とエレベーション角とのいずれもガウス分布到来波を有したクラスター伝搬環境のチャネルモデルを用いて、モンテカルロシミュレーションを実施した結果が示されている。MIMOアレーアンテナ全体の放射特性はモーメント法によって計算した。解析周波数は2GHzである。円形配列フェーズドアレーアンテナ1を構成するすべてのアンテナ素子は、長さ37.5mm、半径0.5mmの1/4波長モノポールアンテナとした。4×4MIMOアレーアンテナとして機能する円形配列フェーズドアレーアンテナ1の半径aは4.9cmとし、第1アンテナ素子#2、#3の間隔を2GHzで1/4波長とすることによって、カージオイド指向性を形成した。
図19から、仰角(エレベーション角)における伝送容量が地板2の半径rによって変化することがわかる。より具体的には、図19から、エレベーション角が0~15度の範囲は地板の半径rが13cm、15~60度の範囲は地板2の半径rが10cm、60~90度の範囲は地板の半径rが13cmのときに伝送容量が最大となっている。従って、通信したいエレベーション角に応じて最適な地板の半径rを制御する必要があることがわかる。
特に、地板2の半径r=10cmのとき、30度~60度の高仰角において伝送容量が著しく増加している。この結果から、仰角特性および実用的なアンテナ形状を考慮して、本実施の形態における可変である地板2の半径rの一方を10cmとした。
<サブアレーにおける3次元放射指向性の確認>
次に、サブアレーにおける3次元放射指向性について説明する。以下では、円形配列フェーズドアレーアンテナ1において第1アンテナ素子#1、#4をサブアレー2(以下、モノポールアレーアンテナとも称する)とした場合の3次元放射指向性について説明する。なお、比較例として、地板2がなく9個のダイポールアンテナで構成された円形配列フェーズドアレーアンテナ1において第1アンテナ素子#1、#4をサブアレー2(以下、ダイポールアレーアンテナとも称する)とした場合の3次元放射指向性についても説明する。
図20Aは、比較例におけるダイポールアレーアンテナの3次元放射指向性を示す図である。図20Bは、本実施の形態におけるモノポールアレーアンテナの3次元放射指向性を示す図である。
図20Aおよび図20Bを比較するとわかるように、図20Aに示すダイポールアレーアンテナの3次元放射指向性は、天頂方向(+Z方向)に深いヌルが形成されており、高仰角方向における放射が著しく低下している。一方、図20Bに示すモノポールアレーアンテナでは、天頂方向(+Z方向)に深いヌルは形成されておらず、図20Aに示すダイポールアレーアンテナと比較して高仰角における放射利得の大幅な向上が見られる。
<サンドイッチアレー装置100における3次元放射指向性の確認>
次に、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100が指向性走査を実施したときの3次元放射指向性について説明する。サンドイッチアレー装置100は、45度間隔の指向性走査を行う機能を有しているが、以下では、90度間隔の3次元放射指向性のみを例に挙げて説明する。
図21A~図22Dは、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100に指向性走査を実施させたときの3次元指向性を示す図である。図21A~図21Dには、サンドイッチアレー装置100の上部のアンテナ装置10Aにおいて、地板2の半径rを10cmとし、第1アンテナ素子#1、#4をサブアレー2とした場合に、通信したいアジマス角を変化させたときの3次元放射指向性が示されている。図22A~図22Dには、サンドイッチアレー装置100の下部のアンテナ装置10Bにおいて、地板2の半径rを10cmとし、第1アンテナ素子#1、#4をサブアレー2とした場合に、通信したいアジマス角を変化させたときの3次元放射指向性が示されている。また、図21A~図21Dと図22A~図22Dとには、90度間隔の3次元放射指向性が示されている。
図21A~図22Dにより、通信したいアジマス方向の利得が大きくなっていることがわかる。また、図21A~図22Dに示されるように、指向性走査を実施することで高仰角角度方向を照射しながら指向性が回転している。なお、他の3つのサブアレー(サブアレー1、3、4)の指向性も同様のことが言える。
そして、上部のアンテナ装置10Aと下部のアンテナ装置10Bとを相補的に連携させることにより、俯角方向への指向性利得を向上させることができ、全立体角をカバーすることができることがわかる。
<MIMOアレーアンテナの伝送容量の確認>
次に、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100を、MIMOアレーアンテナとして動作させたときの伝送容量について説明する。なお、比較例として、地板2がなく9個の半波長ダイポールアンテナで構成された円形配列フェーズドアレーアンテナ1(半波長ダイポールアレーアンテナと称する)をMIMOアレーアンテナとして動作させたときの伝送容量についても説明する。
図23は、比較例における半波長ダイポールアレーアンテナを使用したMIMOアレーアンテナの伝送容量の仰角特性を示す図である。図23には、到来波のアジマス方向を0度(φ=0度)として、到来波エレベーション角を変化させたときのMIMOアレーアンテナの伝送容量の解析結果が示されている。ここで、解析周波数は2GHzであり、SNRは30dB、XPR(交差偏波電力比)は10dBである。図23に示されるσは、アジマス方向(水平方向)およびエレベーション方向(仰角方向)におけるガウス到来波の広がり角(標準偏差)を表している。θは、エレベーション方向の角度すなわち到来波エレベーション角を表している。
図23から、半波長ダイポールアレーアンテナを使用したMIMOアレーアンテナは、0度のエレベーション角に対して伝送容量が対称となる特性を有していることがわかる。また、天頂方向(θ=+90度)と天底方向(θ=-90度)において伝送容量の大幅な減少が見られることがわかる。また、広がり角が10度の場合において、0度のエレベーション角の伝送容量と±90度のエレベーション角の伝送容量を比較すると、22bits/s/Hz劣化することがわかる。
これらの結果は、図20Aに示すように,ダイポールアレーアンテナでは、天頂方向と天底方向とにおいて、ヌルが形成されていることに起因すると考えられる。
図24Aは、実施の形態におけるサンドイッチアレー装置を使用したMIMOアレーアンテナの伝送容量のアジマス特性を示す図である。図24Bは、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナの伝送容量の仰角特性を示す図である。図24Aには、アジマス角に対する伝送容量の仰角特性が示されており、図24Bには、エレベーション角に対する伝送容量の仰角特性が示されている。
図24Aおよび図24Bにおいて、解析周波数は2GHzであり、SNRは30dB、XPRは10dBである。なお、飛翔車両間通信では、見通し内(Line-of-Sight:LOS)伝搬環境が予想される。そのため,垂直偏波成分が水平偏波成分よりも優位な伝搬環境を想定し、交差偏波電力比を表すXPRを10dBとしている。
また、サンドイッチアレー装置100では、MIMOアレーアンテナとして、0度~90度の仰角ターゲットで上部のアンテナ装置10Aが選択され、-90度~0度の俯角ターゲットで下部のアンテナ装置10Bが選択されるとした。
図24Aからわかるように、いずれの広がり角に対しても、当該MIMOアレーアンテナの伝送容量は全アジマス方向でほぼ一定である。これにより、サンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナのビーム(指向性)を到来波アジマス角に制御することにより、安定した伝送容量を実現できることがわかる。
また、図24Bから、上部のアンテナ装置10Aと下部のアンテナ装置10Bとの切り替え動作により、当該MIMOアレーアンテナの伝送容量は、0度のエレベーション角に対して対称な特性を有することがわかる。また、図24Bは、エレベーション角に対する当該MIMOアレーアンテナの伝送容量の変動が小さいことがわかる。これにより、サンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナのビーム(指向性)を到来波エレベーション角に制御することにより、安定した伝送容量を実現できることがわかる。
図23と図24A、図24Bとにおいてエレベーション角が0度である場合の伝送容量を比較すると、次のことがわかる。すなわち、サンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナの伝送容量は、半波長ダイポールアレーアンテナを使用したMIMOアレーアンテナの最大伝送容量をおおむね維持していることがわかる。
これにより、上記の実施の形態において、全立体角照射を目的として、図19から選択した地板2の半径rを10cmとした(選択した)ことは、妥当であることがわかる。
図25は、比較例における半波長ダイポールアレーアンテナを使用したMIMOアレーアンテナの全立体角にわたる3次元伝送容量を示す図である。図26は、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナの全立体角にわたる3次元伝送容量を示す図である。
図25からわかるように、半波長ダイポールアレーアンテナを使用したMIMOアレーアンテナの伝送容量は、天頂方向および天底方向において深いヌルが形成されている。一方、図26に示すように、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナの伝送容量は、等半径の球体形状を有している。これにより、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナは、任意方向においてターゲットに接続できる能力を持っていることがわかる。
なお、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナの伝送容量の上記特徴は、放射指向性のθ成分およびφ成分の適切な電力合成によって得られる。特に、φ成分は地板2に誘導された電流分布から生じる。このため、ダイポールアンテナで構成される半波長ダイポールアレーアンテナにはφ成分は原理的に存在しない。
<高速通信が可能であることの確認>
次に、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100を、MIMOアレーアンテナとして動作させたときに高速通信が可能であることを、伝送容量に基づく通信遮断確率(Outage Probability)を利用して確認したので、以下説明する。
まず、通信遮断確率は、下記の(式15)に示すように、伝送容量が規定の閾値よりも下回る確率として定義した。
Figure 0007624726000015
(式15)において、p(θ、φ)は、全立体角にわたる伝送容量の確率密度関数(PDF)を示す。Cthは伝送容量の閾値を示す。φthは、Cthに対応するアジマス角を示し、θthはCthに対応するエレベーション角を示す。
図27は、本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナの全立体角にわたる通信遮断確率を示す図である。図27に示される本開示は、サンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナを表す。図27に示される比較例は、上述した半波長ダイポールアレーアンテナを使用したMIMOアレーアンテナを表す。また、図27において、横軸は、下記の(式16)で定義される伝送容量の最大値Cmaxによって規格化された伝送容量である。
Figure 0007624726000016
図27より、比較例では、例えば広がり角が10度(σ=10度)のとき、通信遮断確率がゼロになる規格化伝送容量rは22%であることがわかる。一方、本開示では、広がり角が10度のとき、通信遮断確率がゼロになる規格化伝送容量rは87%である。
これにより、本開示すなわち本実施の形態におけるサンドイッチアレー装置100を使用したMIMOアレーアンテナでは、3次元空間の全方位に渡って最大伝送容量の87%の高速通信が可能であることがわかる。
以上の確認等により、本実施の形態のサンドイッチアレー装置100は、1)空間分割モノパルス法によりモノパルス指向性を形成できること、2)全立体角に渡り到来波方向を推定できること、3)MIMOアレーアンテナの機能を有することが明らかとなった。また、本実施の形態のサンドイッチアレー装置100では、モノパルス指向性の形成を行う場合と、全立体角に渡る到来波方向を推定する場合とには、地板2の半径rは7cmとし、MIMOアレーアンテナの機能を実現する場合には、地板2の半径rは10cmとする。つまり、本実施の形態のサンドイッチアレー装置100では、1)~3)のすべての機能を1つの装置で実現するため、ダイオードのオン・オフで地板2の半径rを切り替える。
(変形例)
上記の実施の形態では、MIMOアレーアンテナとして、2つのアンテナ装置10で構成される1つのサンドイッチアレー装置100を用いる場合について説明したが、これに限らない。サンドイッチアレー装置100をモジュール化して組み合わせることで、多素子MIMOアレーアンテナを形成してもよい。以下、この場合について説明する。
図28は、変形例における多素子MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。図28では、多素子MIMOアレーアンテナを形成するために、5つのサンドイッチアレー装置100a、100b、100c、100d、100eが組み合わされた場合の一例が示されている。
また、上記の実施の形態では、アンテナ装置10をMIMOアレーアンテナとして用いる場合について説明したが、これに限らない。アンテナ装置10をモジュール化して組み合わせることで、多素子MIMOアレーアンテナを形成してもよい。以下、この場合について説明する。
図29Aは、変形例における4×4MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。図29Bは、変形例における8×8MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。図29Cは、変形例における16×16MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。図29Dは、変形例における32×32MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。図29Eは、変形例における64×64MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。図29Fは、変形例における128×128MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。図29Gは、変形例における256×256MIMOアレーアンテナの一例を示す図である。図29A~図29Gにはそれぞれ、多素子MIMOアレーアンテナを上面から見た場合のアンテナ装置10の組み合わせが示されている。
このように、サンドイッチアレー装置100またはアンテナ装置10をモジュール化して組み合わせることで、容易に多素子MIMOアレーアンテナとして拡張できる。
(その他の実施の形態)
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。上述した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
また、上記実施形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。
また、例えば、アンテナ装置10を構成するモジュールを、IC(集積回路)、ASIC(特定用途向け集積回路)、およびLSI(大規模集積)などの形態で実現されるか、ARMなどのCPUに基づくプロセッサおよびPC(パーソナルコンピュータ)などの機械により実現するとしてもよい。これらの各モジュールは、多くの単機能LSIまたは1つのLSIに含まれ得る。ここで用いられた名称はLSIであるが、集積度に応じて、IC、システムLSI、スーパーLSIまたはウルトラLSIと呼称されることもある。さらに、集積方法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサなどによっても集積することができる。これには、プログラム命令により指示可能なDSP(デジタル信号プロセッサ)などの特殊なマイクロプロセッサも含まれる。LSIの製造後にプログラム可能なFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)もしくはLSIの接続または配置を再構成できる再構成可能プロセッサを同様の目的で用いることができる。今後は、製造と処理技術の発展に伴い、全く新しい技術がLSIに置き換わるかもしれない。集積はそのような技術によって実現され得る。
本発明は、受信電波の到来波方向を推定するとともに、推定した到来波方向に指向性を制御して高信頼性通信を実現するアンテナ装置等に利用でき、特に飛翔車両、MIMOアンテナなどに用いられるアンテナ装置等に利用することができる。
1、1A、1B 円形配列フェーズドアレーアンテナ
2、2A、2B、2a、2b 地板
3 制御部
4 演算部
10、10A、10B アンテナ装置
100、100a、100b、100c、100d、100e サンドイッチアレー装置
301 ダイオード
302 チョークコイル

Claims (6)

  1. 円上に等間隔に配列されたN個(Nは3以上の自然数)の第1アンテナ素子と、前記円の略中心に配された1個の第2アンテナ素子とからなる円形配列フェーズドアレーアンテナと、
    スイッチング制御により半径が可変である円形状の地板と、
    前記円形配列フェーズドアレーアンテナに到来する到来波の前記地板と平行な方向である到来波方向に応じて、前記N個の第1アンテナ素子を前記到来波方向に直交するように前記N/2個のサブアレーに分割し、前記サブアレーの指向性を制御することで前記到来波方向に向いた前記N/2個のビームを独立に形成するサブアレー制御部と、を備え、
    前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、前記地板に実装されたモノポールアンテナで構成される、
    アンテナ装置。
  2. 前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、1/4波長モノポールアンテナで構成される、
    請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記N/2個のサブアレーそれぞれは、配列方向が平行となる2個のアンテナ素子の組み合わせで構成され、
    前記組み合わせは、前記到来波方向に応じて、変更される、
    請求項1または2に記載のアンテナ装置。
  4. 円上に等間隔に配列されたN個(Nは3以上の自然数)の第1アンテナ素子と、前記円の略中心に配された1個の第2アンテナ素子とからなる円形配列フェーズドアレーアンテナと、
    スイッチング制御により半径が可変である円形状の地板と、
    前記円形配列フェーズドアレーアンテナに到来する到来波の前記地板となす方向である仰角方向の経路差を用いて算出されるデルタ指向性およびシグマ指向性を形成するために与えられる位相を、所望の通信方向に最も近い2つの前記第1アンテナ素子に与えることによって、前記仰角方向を含む所定の角度範囲に、前記円形配列フェーズドアレーアンテナの指向性を制御する指向性制御部と、を備え、
    前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、前記地板に実装されたモノポールアンテナで構成され、
    前記デルタ指向性は、前記仰角方向に逆相励振を実現することによって放射利得を小さくさせる指向性であり、
    前記シグマ指向性は、前記仰角方向に同相励振を実現することによって放射利得を大きくさせる指向性である、
    ンテナ装置。
  5. 円上に等間隔に配列されたN個(Nは3以上の自然数)の第1アンテナ素子と、前記円の略中心に配された1個の第2アンテナ素子とからなる円形配列フェーズドアレーアンテナと、
    スイッチング制御により半径が可変である円形状の地板と、
    前記第1アンテナ素子それぞれの受信信号を前記第1アンテナ素子の配置に応じた2つの重みそれぞれをかけて合計した第1信号および第2信号と、前記第2アンテナ素子の受信信号である第3信号とを統計解析し、前記第1信号および前記第3信号の位相差を算出することにより、前記円形配列フェーズドアレーアンテナに到来する到来波の前記地板となす方向である到来波方向を推定する演算部とを備え、
    前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、前記地板に実装されたモノポールアンテナで構成され、
    前記演算部は、前記第3信号の電圧の位相角を、前記第1信号の電圧の位相角と前記第2信号の電圧の位相角との平均により算出することで、前記第1信号および前記第3信号の位相差を算出し、
    前記位相差は、前記到来波方向に略比例する、
    ンテナ装置。
  6. 1アンテナ装置および第2アンテナ装置を備え、
    前記第1アンテナ装置および前記第2アンテナ装置の各々は、
    円上に等間隔に配列されたN個(Nは3以上の自然数)の第1アンテナ素子と、前記円の略中心に配された1個の第2アンテナ素子とからなる円形配列フェーズドアレーアンテナと、
    スイッチング制御により半径が可変である円形状の地板と、を有し、
    前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子とは、前記地板に実装されたモノポールアンテナで構成され、
    前記第1アンテナ装置は、飛翔車両の天頂部に配置され、
    前記第2アンテナ装置は、前記飛翔車両の天底部に配置され、
    前記第1アンテナ装置および前記第2アンテナ装置における前記地板から見た前記円形配列フェーズドアレーアンテナの立設方向は、反対方向である、
    サンドイッチアレー装置。
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