JP7625326B2 - 生分解性高分子複合体の製造方法および生分解性高分子複合体 - Google Patents

生分解性高分子複合体の製造方法および生分解性高分子複合体 Download PDF

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Description

本明細書は機械的物性に優れる生分解性高分子複合体を製造する方法および機械的物性に優れる生分解性高分子複合体に関する。
ポリエステル系樹脂は機械的特性および化学的性質に優れ、多様な用途への応用、例えば従来から飲用水容器および医療用、食品包装紙、食品容器、シート(sheet)、フィルム(film)、自動車成形品などの分野への応用が進められている。
中でも、ポリブチレンアジペートテレフタレート(Polybutylene Adipate Terephthalate,PBAT)は、軟質のポリエステルで生分解が可能であるので、最近の環境規制により包装材、農業用フィルムに主に使用されるポリオレフィン(polyolefin)系高分子代替剤として脚光を浴びている。
しかし、当該用途に軟質のPBATを単独で使用するにはPBATの機械的物性が多少不足するので、主に硬質のポリ乳酸(Polylactic acid,PLA)とブレンド(blending)して使用するか;PBATを単独で使用するもののカーボンブラック(carbon black)などの有機充填剤(filler)をコンパウンディングして使用している。
ただし、PLAとブレンドする場合、単独PBATに比べて生分解度が低下し、PBATとPLAは相容性がないので相溶化剤を投入しなければならない短所がある。また、有機充填剤とのコンパウンディングによりPBATを単独で使用する場合、押出機によるミキシング(mixing)を活用する。このような物理的ミキシングは有機充填剤を分散させるのに限界があり、実際の必要量より過量が投入される場合が多く、高い有機充填剤の含有量を有するマスターバッチを製作してミキシングすることが一般的である。
本発明は機械的物性に優れる生分解性高分子複合体および機械的物性に優れる生分解性高分子複合体を製造する方法を提供する。
本発明の一実施形態では、有機充填剤の存在下で触媒混合物を製造した後、重合系に投入する工程を含む、有機充填剤およびポリブチレンアジペートテレフタレート(Polybutylene adipate terephthalate,PBAT)の製造方法を提供する。
また、本発明の他の一実施形態では、ポリブチレンアジペートテレフタレート;および前記ポリブチレンアジペートテレフタレートの高分子鎖の間に分散した有機充填剤;を含む、生分解性高分子複合体を提供する。
前記一実施形態の製造方法によれば、後工程を行うことなく、単独で使用しても優れた機械的物性を有する生分解性高分子複合体を高効率および低コストで提供することができる。
また、前記一実施形態の生分解性高分子複合体は、有機充填剤の含有量に従って結晶化度が制御され、生分解性に優れる。
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を示さない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものとして理解しなければならない。
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
生分解性高分子複合体の製造方法
本発明の一実施形態によれば、アジピン酸(adipic acid)およびテレフタル酸(terephthalic acid)を含む単量体混合物を製造する段階;有機充填剤、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)および触媒を混合して、触媒混合物を製造する段階;および前記単量体混合物と前記触媒混合物を混合してエステル化反応を行う段階を含む、生分解性高分子複合体の製造方法が提供される。
前記一実施形態の製造方法によれば、有機充填剤とのin-situ重合によって複合化されたポリブチレンアジペートテレフタレートを提供することができ、これは単独で使用しても十分な物性を発現することができる。
そのため、前記一実施形態の製造方法は、有機充填剤が存在しない環境で重合されたポリブチレンアジペートテレフタレートとは異なり、後工程を行うことなく単独で使用しても十分な物性を発現しながらも生分解性が向上した生分解性高分子複合体を高効率および低コストで提供することができる。
ここで、生分解性高分子複合体は、ポリブチレンアジペートテレフタレートの高分子鎖の間に有機充填剤が分散して位置するものであり、液状あるいは固状のポリブチレンアジペートテレフタレートの高分子樹脂組成物と有機充填剤が単純混合された、ブレンド樹脂とは区別される。
以下、場合によっては、「生分解性高分子複合体」を単に「複合体」と略称することができる。
触媒混合物の製造工程
触媒混合物の製造工程では、有機充填剤とともに、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)および触媒を混合して、触媒混合物を製造する。この過程により、有機充填剤が均一に分散した触媒混合物を重合系に供給することができる。
このような有機充填剤をPBATなどの高分子と共に重合する場合において、物性を効果的に向上させるためには新たに形成される高分子鎖の間に有機充填剤が均一に分散しなければならない必要がある。
本発明の一例による方法では、セルロースなどの有機充填剤を触媒とともに先に反応させる方法などで触媒混合物を製造し、このように作られた触媒混合物を重合反応に投入する。この場合、重合反応物、重合触媒、有機充填剤を同時に投入する場合より、PBAT高分子鎖が形成される過程で有機充填剤がより均一に分散することができる。
本発明の一例の方法によれば、有機充填剤と触媒物質の事前混合により、有機充填剤の表面に触媒が分布する。より具体的には、有機充填剤分子に含まれた多様な形態の官能基と触媒分子の間でエステル交換反応が行われるが、このようなエステル交換反応が有機充填剤分子の立体障害によってある程度制限され、有機充填剤の表面を触媒分子がコートする形態の触媒-有機充填剤の複合体が形成されることができる。
有機充填剤は一般に分子内の官能基およびその形態などにより、有機充填剤分子間の凝集が発生し得るが、本発明の一例の方法によれば、前述した通り、有機充填剤の表面を触媒分子がコートするようになり、有機充填剤分子同士が互いに重なるか凝集する現象を防止することができる。このような原理により、有機充填剤分子が互いに分散し、PBAT高分子鎖が形成される重合過程でも、重合体内に有機充填剤がより均一に分散することができる。
そのため、重合反応の進行時に、有機充填剤の表面を中心に高分子鎖が成長することによって、高分子鎖と有機充填剤が互いに分離されない程度に、高分子鎖の間に有機充填剤が均一に分布することができる。
また、このような方法によれば、高分子鎖の間に有機充填剤が均一に分散して、高分子鎖が結晶化されることを防止することができ、結晶化度が低い高分子複合体を製造することができる。
また、この過程で、触媒のクラスタを一部あらかじめ壊して、反応サイトが増加して一部活性化した触媒を製造することができる。このように一部活性化した触媒を供給することによって、重合系の初期反応率を高めて、重合時間を減らすことができる。
前記触媒混合物を製造する段階は、40~240℃の温度範囲で、10~120分間行われることができる。
前記温度および時間範囲内では、有機充填剤が均一に分散した触媒混合物を製造することができる。また、前記触媒のクラスタが壊れて最大に多数の反応サイトが生成され、有機充填剤の表面に触媒がコートされて、単量体および後述するプレポリマーの重合反応を適切に媒介することができる。
ただし、触媒混合物の製造時に温度が過度に低いと、有機充填剤の分散性が低下し、1,4-ブタンジオールが結晶化されて、混和および/または反応性に問題が生じ得る。これとは異なり、触媒混合物の製造時に温度が過度に高いと、触媒の熱安定性が低下して最終PBATの変色が発生し得る。
一方、触媒混合物の製造時間が過度に短いと活性化は不充分であり、触媒混合物の製造時間が過度に長いと1,4-ブタンジオールの重合が行われてしまうかまたは最終PBATの変色が発生し得る。
このような傾向性を考慮して、前記触媒混合物の製造時の温度を調節することができる。例えば、前記触媒混合物を製造する段階は、40℃以上、50℃以上、60℃以上、または70℃以上であり、かつ240℃以下、200℃以下、140℃以下、または90℃以下である温度範囲で行われることができる。また、10分以上、15分以上、20分以上、または25分以上であり、かつ120分以下、90分以下、60分以下、40分以下である時間範囲内で行われることができる。
前記触媒混合物内の触媒は、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、0.001~10重量部で含まれ得る。
前記範囲内で、前記単量体混合物のエステル化反応および当該エステル化反応生成物(すなわち、プレポリマー)の重合を適切に媒介することができる。
ただし、触媒混合物の製造時に触媒投入量が過度に少ないと、重合時間が長くなり、生産性が落ち得る。これとは異なり、触媒投入量が過度に多いと、重合時間は短くなるが、最終PBATの変色可能性が高くなるので、触媒投入量に比例して熱安定剤の投入量を増加させなければならず、製造原価が増加する。
このような傾向を考慮して、前記触媒混合物内の触媒投入量を調節することができる。例えば、前記触媒混合物内の触媒は、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、0.001重量部以上、0.005重量部以上、または0.01重量部以上であり、かつ10重量部以下、5重量部以下、または0.1重量部以下の量で使用することができる。
前記触媒混合物内の有機充填剤は、前記触媒1mmol当たり0.5~20g、または1.0~20g、または1.5~17g、または1.5~5g、または1.5~3gで含まれ得る。
前記範囲内で、有機充填剤による補強効果と触媒による反応媒介効果がバランスを取ることができる。
ただし、触媒に比べて有機充填剤の投入量が過度に低い場合、上述した有機充填剤および触媒の相互作用による補強効果が不充分であり、有機充填剤の投入量が過度に多い場合は、不均一な分散が行われ、触媒の活性低下が発生し得る。
一方、前記触媒混合物内の1,4-ブタンジオールは、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、150~250重量部であり得る。
これは、PBAT合成のために必要な1,4-ブタンジオールの全量である。1,4-ブタンジオールは反応物であると同時に、有機充填剤を分散させる、溶媒ないし分散剤の役割を兼ねることができる。既存の場合、重合過程で触媒の均一性および安定性のために反応させようとする1,4-ブタンジオールの一部のみ供給し、残りの残量は今後の反応時に供給する場合が多いが、本発明の一実施例による製造方法では、反応させようとする1,4-ブタンジオールの全量を触媒混合物に供給して、後述する有機充填剤の分散性を高めることができる
このような観点から前記触媒混合物内の1,4-ブタンジオールは、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、150~250重量部であり得る。
例えば、前記触媒混合物内の1,4-ブタンジオールは、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、180~220重量部であり得る。
前記有機充填剤は、本発明が属する技術分野で高分子補強材として広く使用されるものであれば、特に限定されない。
具体的には、前記有機充填剤は、セルロース、および澱粉系の化合物などが挙げられ、前記セルロースおよび澱粉系化合物は、アルキル基、またはヒドロキシ基、またはカルボキシ基、またはヒドロキシアルキル基、またはカルボキシアルキル基などで置換されたものを使用することもできる。
前記触媒は、本発明が属する技術分野でポリエステル重合触媒として広く使用されるものであれば、特に限定されない。
具体的には、前記触媒は、チタンメトキシド(Titanium methoxide)、チタンエトキシド(Titanium ethoxide)、チタンプロポキシド(Titanium propoxide)、チタンイソプロポキシド(Titanium isopropoxide)、チタンブトキシド(Titanium butoxide)、およびチタンイソブトキシド(Titanium isobutoxide)からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
例えば、前記触媒はチタンブトキシドであり得る。
プレポリマーの製造工程
プレポリマーとは、成形を容易にするために重合反応を中途段階で中止させた、比較的重合度が低い重合体をいう。
前記一実施形態でプレポリマーは、前記触媒混合物の存在下で、アジピン酸およびテレフタル酸を含む単量体混合物をエステル化反応させて製造された、比較的重合度が低い重合体に該当する。
本発明の一実施例によれば、このようなプレポリマーの形成過程で、有機充填剤の表面にコートされている形態の触媒を中心に、有機充填剤の表面周辺で初期高分子鎖が形成されることができる。
具体的には、前記単量体混合物は、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、前記テレフタル酸50~150重量部を含むものであり得る。
テレフタル酸は芳香族環の構造により、高分子の結晶性に影響を及ぼし得るが、前記投入範囲内で製造される高分子の機械的物性および生分解性の両方において優れたものを実現することができる。
例えば、前記単量体混合物は、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、前記テレフタル酸80~120重量部を含むものであり得る。
前記プレポリマーを製造する段階で、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、0.1~1重量部の架橋剤ないし分枝剤を添加してエステル化反応させることができる。
架橋剤を添加してエステル化反応させる時、内部架橋したプレポリマーが製造され、最終複合体の機械的物性が向上することができる。
前記架橋剤は分子内に3以上のヒドロキシ基、あるいは分子内に3以上のカルボキシ基を含む低分子化合物として、例えば、グリセロール、またはクエン酸などを使用することができる。例えば、前記架橋剤はグリセロールであり得る。
前記プレポリマーを製造する段階は、150~350℃の温度範囲で、10~120分間行われることができる。
前記温度および時間範囲で、有機充填剤の均一な分散を維持してプレポリマーを製造することができる。
例えば、前記プレポリマーを製造する段階は、150℃以上、170℃以上、190℃以上、または210℃以上であり、かつ350℃以下、320℃以下、290℃以下、または250℃以下である温度範囲で行われることができる。また、10分以上、15分以上、20分以上、または25分以上であり、かつ120分以下、90分以下、60分以下、40分以下である時間範囲内で行われることができる。
前記プレポリマーを製造する段階で、窒素ガスを注入することができる。具体的には、窒素ガスの注入時、副生成物として発生する水を迅速に除去することによって水による逆反応を抑制して単量体(monomer)の転換率と分子量を上昇させることができる。
例えば、窒素ガスは(0.001)ml/min以上、(0.01)ml/min以上、(0.02)ml/min以上、または(0.05)ml/min以上であり、かつ(100)ml/min以下、(50)ml/min以下、(10)ml/min以下、または(5)ml/min以下で注入することができる。
前記プレポリマーの重合時、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、0.001~10重量部の触媒を追加で投入することができる。
最初に投入した触媒は、プレポリマーの製造段階で活性度が低下する可能性が高い。例えば、触媒の中心金属成分であるチタンはエステル反応の副生成物である水と反応してチタン酸化物を形成することもでき、上述した有機充填剤の分子内に存在する官能基がチタンアルコキシドのアルコキシドサイトに置換されることもできる。したがって、反応直前に触媒を追加で入れることが好ましい。
例えば、前記追加投入される触媒は、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、0.001重量部以上、0.005重量部以上、または0.01重量部以上であり、かつ10重量部以下、5重量部以下、または0.1重量部以下の量で使用することができる。
前記触媒を追加で投入した後、熱安定剤を投入することができる。熱安定剤の投入時、最終PBATの変色を抑制することができる。
具体的には、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、0.001~1重量部の熱安定剤を投入することができる。
例えば、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、0.001重量部以上、0.005重量部以上、0.08重量部以上、または0.01重量部以上であり、かつ1重量部以下、0.6重量部以下、0.3重量部以下、または0.1重量部以下である量の熱安定剤を投入することができる。
前記プレポリマーの重合時、前記プレポリマーを含む反応器の温度が150~350℃の範囲内に到達するまで昇温させる段階;前記昇温後、反応器の圧力が0.1~0.00001atmに到達するまで減圧させる段階;および前記減圧後に圧力および温度を維持して2~8時間経過後に反応を終結させる段階;を含むことができる。
例えば、前記プレポリマーを含む反応器の温度を150℃以上、170℃以上、190℃以上、または210℃以上であり、かつ350℃以下、320℃以下、290℃以下、または250℃以下である温度範囲に到達するまで昇温させることができる。
前記温度範囲に到達した後の1~10分後、反応器の圧力が0.00001atm以上、0.00005atm以上、0.0001atm以上、または0.0002atm以上であり、かつ0.1atm以下、0.05atm以下、0.03atm以下、または0.01atm以下である圧力範囲に到達するまで減圧させることができる。
前記減圧後には、圧力および温度を維持して反応させて、反応開始後に2時間以上、2.2時間以上、2.4時間以上、または3時間以上であり、かつ8時間以下、7.5時間以下、7時間以下、または6時間が経過した後に反応を終結させることができる。
生分解性高分子複合体
本発明の他の一実施形態では、a)1,4-ブタンジオール由来の繰り返し単位、b)アジピン酸由来の繰り返し単位およびc)テレフタル酸由来の繰り返し単位を含むポリブチレンアジペートテレフタレート;および前記ポリブチレンアジペートテレフタレートの高分子鎖の間に分散した有機充填剤;を含む、生分解性高分子複合体を提供する。
前記一実施形態の複合体は、前述した一実施形態の製造方法によって製造され、補強材との混合など、後工程を行うことなく単独で使用しても十分な物性を発現することができる。
また、有機充填剤の含有量に従って結晶化度が制御され、生分解度が向上したものであり得る。
本発明の一実施例による生分解性高分子複合体の場合、有機充填剤が存在しない環境で重合された生分解性高分子と酸価は等しい水準であり、DIN EN 12634による酸価が1.8~3mg KOH/gであり得る。例えば、前記複合体は、DIN EN 12634による酸価が1.8mg KOH/g以上であり、かつ3mg KOH/g以下、2.6mg KOH/g以下、または2.5mg KOH/g以下であり得る。
酸価とは油脂1g中に含有されている遊離脂肪酸を中和するのに必要とするKOHのmg数である。RCOOH+KOH→RCOOK+HO、すなわち酸価は脂肪酸がグリセリド(glyceride)であって結合形態を取らない遊離脂肪酸の量を測定することである。
特に、エステル化反応においては、反応の程度が分かる尺度として、重合物1gに含まれたカルボキシル(carboxyl)基を中和するのに必要とするKOHの量を意味し、数値が大きいほど反応率が良くないことを意味する因子(factor)である。
ここで、酸価はDIN EN 12634に従って測定することができる。具体的には、1:1重量比のO-クレゾール(O-cresol):クロロホルム(Chloroform)混合溶液に試料を溶かして、0.1重量%フェノールレッド(Phenol red)が溶解した水溶液1~2滴を指示薬として使用し、マイクロピペット(micropipette)を用いて0.1N水酸化カリウム(KOH)/エタノール(Ethanol)溶液を滴定して、下記式1により酸価を測定することができる。
[式1]酸価(mgKOH/g)=(V-V0)×M×F×1000/W
V:サンプルの滴定に消費されたKOH/Ethanol溶液の体積(mL)
V0:ブランク(blank)試験の滴定に消費されたKOH/Ethanol溶液の体積(mL)
M:KOH/Ethanol溶液のモル濃度(0.1M/L)
W:サンプルの質量(g)
F:KOH/Ethanol溶液の力価
そして、本発明の一実施例による生分解性高分子複合体は、示差走査熱量計を用いて測定した結晶化度が20~27%であり得る。この範囲で、有機充填剤の種類と関係がなく、有機充填剤の含有量が増加するほど結晶化度がより減少し、生分解性は増加し得る。
結晶化度とは、樹脂全体に対する結晶部分の重量分率で求めることができる。結晶化度が高いほど(すなわち、結晶が多いほど)高分子の強度が高い傾向があり、強度を予想できる因子である。特に、生分解性ポリエステル系樹脂の場合、結晶化度が高いほど生分解度が低下すると知られており、生分解度を概略的に予想できる因子である。
前記一実施形態の生分解性高分子複合体は、有機充填剤が存在しない環境で重合されたPBATとは異なり、溶融(molten)PBATが冷却によって結晶化される過程で有機充填剤による立体障害によって、結晶が完全に成長できず結晶化度が低いこともある。
ここで、結晶化度は、示差走査熱量計を用いて測定することができる。具体的には、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter,DSC、装置名:DSC2500、製造会社:TA instrument)を用いて、温度範囲(Temperature range)(-70~200度、10度/min)で1回目の加熱(1st heating)、1回目の冷却(1st cooling)および2回目の加熱(2nd heating)を順次行い、2回目の加熱(2nd heating)時に溶融転移(melting transition)の融解熱(heat of fusion)を用いて結晶化度を計算(PBAT ΔHm0=114J/g利用)することができる。
前記一実施形態の生分解性高分子複合体は、ASTM D 882による引張強度値が400kgf/cm~550kgf/cmであり得る。
この時、MD引張強度が400~450kgf/cm、具体的には410~450kgf/cm、例えば410~430kgf/cmであり、TD引張強度が400~550kgf/cm、具体的には430~550kgf/cm、例えば430~500kgf/cmであり得る。
引張強度(tensile strength,max stress)は、前記生分解性高分子複合体を含む成形品をブローンフィルム試験片に製造し、ASTM D 882に従って測定することができる。具体的には、インストロン(Instron)社の万能試験機(UTM)を用いて、各フィルム試験片に対して10mm/minの延伸速度で引張テストを行い、引張強度を測定することができる。
引張試験の条件はLoad Cell 10KN、LE position 40mmを適用して、TDである機械方向(machine-direction)(MD)およびMDである横断方向(transverse-direction)(TD)に対してそれぞれS-S曲線(curve)の応力(stress)最大値を測定することができる。
前記一実施形態の生分解性高分子複合体内のポリブチレンアジペートテレフタレートは、前記アジピン酸由来の繰り返し単位100重量部を基準として、前記1,4-ブタンジオール由来の繰り返し単位150~250重量部、前記テレフタル酸由来の繰り返し単位50~150重量部を含むことができる。
1,4-ブタンジオール含有量が過度に高い場合、高くなるとエステル化反応率には効果的であるが、高分子の分子量を高くすることに限界があり、副反応により生成されるTHFの量が多くなるので経済的な面から効率性が落ちる。また、アジピン酸に対してテレフタル酸の投入比率が高くなると加工性および生分解性が低下し得る。
例えば、前記一実施形態の生分解性高分子複合体内のポリブチレンアジペートテレフタレートは、前記アジピン酸由来の繰り返し単位100重量部を基準として、前記1,4-ブタンジオール由来の繰り返し単位180~220重量部、前記テレフタル酸由来の繰り返し単位80~120重量部を含むものであり得る。
また、前記一実施形態の生分解性高分子複合体は、前記ポリブチレンアジペートテレフタレート内のアジピン酸由来の繰り返し単位100重量部を基準として、有機充填剤0.001~10重量部を含むものであり得る。
成形品
本発明のまた他の一実施形態では、前述した生分解性高分子複合体を含む成形品を提供する。
前記一実施形態の成形品の用途は特に制限されないが、特に透明性が求められる食品包装紙、瓶、フィルムまたはシートなどに広く使用することができる。
以下では、本発明による実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。ただし、このような実施例は発明の例示として提示されたものに過ぎなく、これによって発明の権利範囲が定められるものではない。
触媒混合物の製造
比較例1
チタンブトキシド(Titanium butoxide)0.5mmolおよび1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)6.77molを混合して、160℃で60分間放置して触媒混合物を収得した。0.17g
実施例1
チタンブトキシド(Titanium butoxide)0.5mmol、セルロース0.847g、および1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)6.77molを混合して、160℃で60分間反応させて1,4-ブタンジオールおよび有機充填剤が分散した触媒混合物を収得した。
実施例2
チタンブトキシド(Titanium butoxide)0.5mmol、セルロース8.47g、および1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)6.77molを混合して、160℃で60分間反応させて1,4-ブタンジオールおよび有機充填剤が分散した触媒混合物を収得した。
実施例3
チタンブトキシド(Titanium butoxide)0.5mmol、澱粉0.847g、および1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)6.77molを混合して、160℃で60分間反応させて1,4-ブタンジオールおよび有機充填剤が分散した触媒混合物を収得した。
実施例4
チタンブトキシド(Titanium butoxide)0.5mmol、澱粉8.47g、および1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)6.77molを混合して、160℃で60分間反応させて1,4-ブタンジオールおよび有機充填剤が分散した触媒混合物を収得した。
プレポリマーの製造
反応器に、アジピン酸(Adipic acid)303g、テレフタル酸(Terephthalic acid)317gd、およびグリセロール(glycerol)0.88gが混合された単量体混合物および前記実施例および比較例の触媒混合物を投入した。
前記反応物が投入された反応器の温度を230℃に維持させた後、240分間2cc/minの流量で窒素ガスを流して副反応物を除去しながら、プレポリマー(prepolymer)を製造した。
比較例2
プレポリマーの製造
反応器に、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)610g、セルロース0.847g、アジピン酸(Adipic acid)303g、テレフタル酸(Terephthalic acid)317g、グリセロール(glycerol)0.88gおよびチタンブトキシド(Titanium butoxide)0.17gを投入して反応器の温度を230℃に維持させた後、240分間2cc/minの流量で窒素ガスを流して副反応物を除去しながら、プレポリマー(prepolymer)を製造した。
比較例3
プレポリマーの製造
反応器に、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)610g、セルロース8.47g、アジピン酸(Adipic acid)303g、テレフタル酸(Terephthalic acid)317g、グリセロール(glycerol)0.88gおよびチタンブトキシド(Titanium butoxide)0.17gを投入して反応器の温度を230℃に維持させた後、240分間2cc/minの流量で窒素ガスを流して副反応物を除去しながら、プレポリマー(prepolymer)を製造した。
生分解性高分子複合体の製造
前記プレポリマー(prepolymer)が製造された反応器に、触媒であるチタンブトキシド(Titanium butoxide)0.5mmolを追加で投入して10分間60rpmで攪拌させた。
前記攪拌後に、熱安定剤(トリエチルホスホノアセテート(Triethylphosphonoacetate))0.09gを投入した後、10分間60rpmで攪拌させた。
その後、反応器の温度が240℃に到達するまで昇温させて、240℃に到達した時点から5分経過後に反応器の内部圧力が0.001atmに到達するまで減圧し、減圧された圧力を維持して60rpmで攪拌を持続して重合を行った。重合開始時点から210分経過後に攪拌を中止して反応器を解体して、生分解性高分子複合体を最終的に収得した。
重量平均分子量の測定
測定対象をクロロホルム(chloroform)に1mg/mlの濃度で溶かした後、当該溶液をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography,PL GPC220,Agilent Technologies)機器に投入して分子量を測定した。この時、スタンダード高分子としてはポリスチレン(polystyrene)を使用した。
酸価測定
1:1重量比のO-クレゾール(O-cresol):クロロホルム(Chloroform)混合溶液に試料を溶かして、0.1重量%フェノールレッド(Phenol red)が溶解した水溶液1~2滴を指示薬として使用した。
マイクロピペット(micropipette)を用いて0.1N水酸化カリウム(KOH)/エタノール(Ethanol)溶液を滴定して、下記式1により酸価を測定した。
[式1]酸価(mg KOH/g)=(V-V0)×M×F×1000/W
V:サンプルの滴定に消費されたKOH/Ethanol溶液の体積(mL)
V0:ブランク(blank)試験の滴定に消費されたKOH/Ethanol溶液の体積(mL)
M:KOH/Ethanol溶液のモル濃度(0.1M/L)
W:サンプルの質量(g)
F:KOH/Ethanol溶液の力価
酸価とは、油脂1g中に含有されている遊離脂肪酸を中和するのに必要とするKOHのmg数である。RCOOH+KOH→RCOOK+HO、すなわち酸価は脂肪酸がグリセリド(glyceride)であって結合形態を取らない遊離脂肪酸の量を測定することである。
特に、エステル化反応においては、反応の程度が分かる尺度として、重合物1gに含まれたカルボキシル(carboxyl)基を中和するのに必要とするKOHの量を意味し、数値が大きいほど反応率が良くないことを意味する因子(factor)である。
前記比較例および実施例の場合、重合反応の傾向を判断できる酸価と重量平均分子量値は大部分同等な水準であることが示された。
結晶化度および機械的物性の評価
前記実施例および比較例による生分解性高分子複合体に対して、結晶化度および機械的物性を測定し、その結果を下記表に整理した。
具体的には、結晶化度の測定方法は次のとおりである。
結晶化度:
前記実施例1~4の生分解性高分子複合体および比較例1~3のPBATに対して、それぞれ示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter,DSC、装置名:DSC2500、製造会社:TA instrument)を用いて、温度範囲(Temperature range)(-70~200度、10度/min)で1回目の加熱(1st heating)、1回目の冷却(1st cooling)および2回目の加熱(2nd heating)を順次行い、2回目の加熱(2nd heating)時に溶融転移(melting transition)の融解熱(heat of fusion)を用いて結晶化度を計算(PBAT ΔHm0=114J/g利用)した。
試験片の製造:
前記実施例および比較例の生分解性高分子複合体に対してそれぞれ、単軸押出機(SHINHWA工業Single Screw Extruder,Blown Film M/C、50パイ、L/D=20)を用いて押出温度130℃~170℃で約50μmの厚さになるようにインフレーション成形してブローンフィルムを製造した。この時、ダイギャップ(Die Gap)は2.0mm、膨張比(Blown-Up Ratio)は2.3とした。
引張強度(tensile strength,max stress):
ASTM D 882に従うインストロン(Instron)社の万能試験機(UTM)を用いて、各フィルム試験片に対して10mm/minの延伸速度で引張テストを行い、引張強度を測定した。この時、引張試験の条件は、Load Cell 10KN、LE position 40mmを適用し、TDである機械方向(machine-direction)(MD)およびMDである横断方向(transverse-direction)(TD)に対してそれぞれS-S曲線(curve)の応力(stress)最大値を測定した。
結晶化度とは、樹脂全体に対する結晶部分の重量分率で求めることができる。結晶化度が高いほど(すなわち、結晶が多いほど)高分子の強度が高い傾向があり、強度を予想できる因子である。特に、生分解性ポリエステル系樹脂の場合、結晶化度が高いほど生分解度が低下すると知られており、生分解度を概略的に予想できる因子である。
前記比較例のPBATは結晶化度が約29%~約34%程度であり、有機充填剤が含まれた前記実施例1~4の生分解性高分子複合体は比較例に比べて結晶化度値が小幅に減少する傾向がある。
このように本発明の実施例において結晶化度値が比較例より小幅に減少したのは、溶融(molten)PBATが冷却によって結晶化される過程で、有機充填剤による立体障害によって、結晶が完全に成長できなかったことに起因する。
また、結晶化度が小幅に減少したのは、生分解性が小幅に増加したことを意味することもある。有機充填剤が含まれた前記実施例1~4において、有機充填剤の種類と関係がなく、有機充填剤の含有量が増加するほど結晶化度がより減少したことを確認することができる。これにより、有機充填剤含有量を調節して結晶化度および生分解度が制御できることがわかる。
これと共に、有機充填剤が含まれた前記実施例1~4の生分解性高分子複合体は、前記比較例のPBATに比べてMDおよびTD引張強度が顕著に増加した効果を示した。
特に、前記実施例1~4において、有機充填剤の種類と関係がなく、有機充填剤の含有量が増加するほどMDおよびTD引張強度が増加する傾向が示された。
このような傾向は、結晶化度が減少するほど、相対的に非結晶部分(portion)が増加することに起因すると考えられる。
まとめ
前記実施例1~4の傾向性を参照して、有機充填剤の含有量を調節することによって生分解性高分子複合体の生分解性および機械的物性を目的とする範囲に制御することができる。
ただし、これは例示であり、前述した一連の工程を用いる限り、有機充填剤が存在しない環境で重合されたポリブチレンアジペートテレフタレートとは異なり、後工程を行うことなく単独で使用しても十分な物性を発現しながらも生分解性が向上した生分解性高分子複合体を高効率および低コストで提供することができる。

Claims (11)

  1. アジピン酸(adipic acid)およびテレフタル酸(terephthalic acid)を含む単量体混合物を製造する段階;
    有機充填剤、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol)および触媒を混合して、触媒混合物を製造する段階;および
    前記単量体混合物と前記触媒混合物を混合してエステル化反応を行う段階を含み、
    前記有機充填剤は、セルロースおよび澱粉系化合物を含む群より選ばれた1種以上であり、
    前記触媒混合物内の有機充填剤は、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、0.01~10重量部で含まれる、生分解性高分子複合体の製造方法。
  2. 前記触媒混合物内の1,4-ブタンジオールは、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、150~250重量部で含まれる、請求項1に記載の生分解性高分子複合体の製造方法。
  3. 前記触媒混合物内の触媒は、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、0.001~10重量部で含まれる、請求項1または2に記載の生分解性高分子複合体の製造方法。
  4. 前記触媒混合物内の有機充填剤は、前記触媒1mmol当たり0.5~20gで含まれる、請求項1からのいずれか一項に記載の生分解性高分子複合体の製造方法。
  5. 前記単量体混合物は、前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、前記テレフタル酸50~150重量部を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の生分解性高分子複合体の製造方法。
  6. 前記触媒は、
    チタンメトキシド(Titanium methoxide)、チタンエトキシド(Titanium ethoxide)、チタンプロポキシド(Titanium propoxide)、チタンイソプロポキシド(Titanium isopropoxide)、チタンブトキシド(Titanium butoxide)、およびチタンイソブトキシド(Titanium isobutoxide)からなる群より選ばれた1種以上である、請求項1からのいずれか一項に記載の生分解性高分子複合体の製造方法。
  7. 前記エステル化反応を行う段階は、
    プレポリマー(prepolymer)を製造する段階;および
    前記プレポリマーを重合して生分解性高分子複合体を収得する段階を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の生分解性高分子複合体の製造方法。
  8. プレポリマーの重合時、
    前記単量体混合物内のアジピン酸100重量部を基準として、0.001~10重量部の触媒を追加で投入する、請求項に記載の生分解性高分子複合体の製造方法。
  9. a)1,4-ブタンジオール由来の繰り返し単位、b)アジピン酸由来の繰り返し単位、およびc)テレフタル酸由来の繰り返し単位を含むポリブチレンアジペートテレフタレート;および
    前記ポリブチレンアジペートテレフタレートの高分子鎖の間に分散した、セルロースおよび澱粉系化合物を含む群より選ばれた有機充填剤を含み、
    示差走査熱量計を用いて測定された結晶化度が20~27%である、生分解性高分子複合体。
  10. ASTM D 882に従って測定された引張強度値が400kgf/cm~550kgf/cmである、請求項に記載の生分解性高分子複合体。
  11. 請求項9または10に記載の複合体を含む、成形品。
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