更に理解するために、X線イメージングシステム全体の非限定的な例について導入的な説明を続けることが効果的である。
図2Aは、X線イメージングシステム100の一例を示す概略図であり、X線イメージングシステム100は、X線を放出するX線源10と、物体を通過した後のX線を検出するX線検出器20と、検出器からの生の(raw)電気信号を処理してデジタル化するアナログ処理回路25と、測定データに対してさらなる処理動作(補正を実行する、測定データを一時的に保存する、又はフィルタリングを実行するなど)を実行することができるデジタル処理回路40と、処理されたデータを保存して更に後処理及び/又は画像再構成を実行することができるコンピュータ50とを有している。
検出器の全体は、X線検出器システム20であると考えてもよいし、関連するアナログ処理回路25と組み合わされたX線検出器システム20であると考えてもよい。
図2のデジタル処理回路40及び/又はコンピュータ50を含むデジタル部は、X線検出器からの画像データに基づいて画像再構成を実行する図1のデジタル画像処理システム30と考えることができる。したがって、図1の画像処理システム30を、図2のコンピュータ50と理解してもよいし、あるいは、デジタル処理回路40とコンピュータ50を組み合わせたシステムと理解してもよいし、又はデジタル処理回路が画像処理及び/又は再構成に特化されている場合にはデジタル処理回路40単体として理解することも可能である。
一般に使用されるX線イメージングシステムの一例は、コンピュータ断層撮影(CT)システムである。CTシステムは、X線のファンビーム又はコーンビームを生成するX線源と、患者又は物体を透過したX線を検知するための対向するX線検出器システムとを含むことができる。X線源と検出器システムは、一般には、撮影される物体の周りを回転するガントリに搭載される。
したがって、図1及び図2に示されたX線源10及びX線検出器20は、CTシステムの一部として、例えばCTガントリに搭載できるように配置することができる。
X線イメージングシステム100は、提案された技術を実施するための同時計数検出システム60を含むこともできる。図2Aを参照すると、同時計数検出システム60は、一例として、少なくとも部分的にデジタル処理回路40に実装する、及び/又は少なくとも部分的にアナログ処理回路25に実装する、及び/又は少なくとも部分的にコンピュータ50によって実行させるための実行可能プログラムコードとして実装することができる。
図2Bは、提案された技術によるX線検出器システムの一例を示す概略図である。X線検出器システム5は、X線検出器20と同時計数検出システム60とを含んでいる。
図2Cは、同時計数検出システム60がデジタル処理回路40に実装される特定の非限定的な実施形態の一例を示す概略図である。
したがって、一態様によれば、改良されたX線検出器システム5が提供される。このX線検出器システム5は、
X線源からのX線を検出するフォトンカウンティングX線検出器20、及び
前記X線検出器20における光子相互作用の時間に関する情報と前記X線検出器に対する前記X線源の位置に関する情報に基づいて、前記X線検出器20に入射するX線に関する情報を決定する及び/又は取得する同時計数検出システム60
を含んでいる。
例として、このような検出器システムは、検出器システムと、X線源と、データ処理用のコンピュータとを含むイメージングシステムに組み込むことができる。
例として、X線検出器システムは、160keV未満の最大エネルギーを有する広エネルギー帯域のX線スペクトルで動作するように構成することができる。このX線スペクトルはX線源によって放出され、このX線源は、X線検出器の一点から見て0.5ミリステラジアンより小さい範囲にある局在したX線源である。この非限定的な例は、医療用のX線システム又はCTシステムの典型的な動作条件と一致する。また、このようなシステムは、典型的には、更に小さな線源で動作して、放射線の入射方向を更に局在化させることができる。
特定の例では、同時計数検出システムは、光子相互作用の時間に関する前記情報及びX線検出器に対するX線源の位置に関する前記情報に基づいて、X線検出器に入射するX線に関する情報であって、特定の領域における入射光子の数、入射光子の空間分布、及び入射光子のエネルギー分布のうちの少なくとも1つを含む情報を決定する及び/又は得る。
一例として、同時計数検出システムは、光子散乱モデルに基づいて動作をするように構成することができ、前記光子散乱モデルを、X線検出器に対するX線源の位置に関する前記情報と組み合わせることによって、X線に関する前記情報を決定する及び/又は取得することができる。非限定的な例では、X線源の位置に関する前記情報を、相互作用の位置の測定値とともに使用して、入射X線の散乱角を測定してもよいし、前記光子散乱モデルを使用して、検知された複数の光子エネルギーのうちの1つ以上のエネルギーと共に散乱角が観測される尤度を推定してもよい。
本発明者らは、例えばX線管などの局在した線源を有することにより、改良された同時計数検出システムを構成できることが分かった。例として、放射線の入射方向が高い精度で分かっている場合(例えば、X線源が約1mmの大きさの点として局在している場合、より一般的には、検出器から見たX線源が0.5ミリステラジアン未満の立体角の場合など)、この情報をX線光子散乱のモデルと組み合わせて、同時計数の検出を改善することができる。
例えば、第1の相互作用がコンプトン相互作用、第2の相互作用が光電相互作用の場合、全入射光子エネルギーは、2つの相互作用において付与されたエネルギーの合計として推定することができ、入射方向に対する2つの相互作用の位置から散乱角度を計算することができる。そして、この角度は、コンプトン散乱の式又はクライン-仁科の断面積を用いて、コンプトン相互作用の検知されたエネルギー及び推定された入射エネルギーと比較することができる。このようにして、単一の入射光子から2つの相互作用が生成された尤度を計算することができる。
これは非限定的な例であり、他の数の相互作用及び相互作用の他の組み合わせも同様の方法で処理できることが理解される。また、局在した線源を備え、それによって検出器への光子の入射方向に関する情報を得ることは、この種の同時計数検出にとって必要であることが理解される。
例えば、同時計数検出システムは、前記光子散乱モデルとX線源の位置に関する事前知識とを、異なる入射X線エネルギー分布の確率に関する事前知識と組み合わせて、X線に関する前記情報を決定する及び/又は取得することができる。例として、このような事前知識は、表形式のデータで表されたX線管のスペクトル又はシミュレーションされたX線管のスペクトルであって、異なる材料を通過させてフィルタリングされているスペクトルに基づいたX線源スペクトルのモデルの形態をとることができる。また、事前知識には、或るエネルギー(例えば、20keV)より低いエネルギー又は或るエネルギー(例えば、160keV)より高いエネルギーを有する入射X線がわずかに存在しているという情報を含むことができる。また、このような事前情報は、X線管からの出力スペクトルのモデルと組み合わせて、X線ビームが異なる基準物質の複数の組合せであって互いに厚さが異なる複数の組合せを通過した確率のモデルを含んでもよい。また、このような事前情報は、二次光電相互作用の典型的な相互作用のエネルギーに関する情報、例えば、これらのエネルギーが、付与されたエネルギーの検出されたスペクトルの特定の部分に局在していることを含んでもよい。
特定の例では、X線検出器は、光子相互作用の異なるエネルギーを弁別することができるフォトンカウンティングマルチビンX線検出器であり、同時計数検出システムは、光子相互作用のエネルギーに関する情報を使用して前記X線に関する前記情報を決定する。
例として、同時計数検出システムは、光子相互作用の時間及び/又はタイミングの少なくとも1つの表現形式に基づいてX線に関する前記情報を決定する及び/又は取得することができる。この情報は、一例として、電気パルスが最大振幅に達する時点の測定値として得ることができ、この電気パルスは、センサ材料におけるX線光子の相互作用によって生成される。
任意選択で、同時計数検出システムは、光子相互作用の位置に関する情報と光子相互作用において付与されたエネルギーに関する情報とのうちの少なくとも一方の情報に基づいて、X線に関する前記情報を決定及び/又は取得してもよい。
例えば、同時計数検出システムは、単一の入射光子によって生成可能な光子相互作用の少なくとも1つのセットを識別することに基づいて、検出器に入射するX線に関する前記情報を決定する及び/又は取得することができる。
特定の例では、同時計数検出システムは、光子相互作用の少なくとも2つのセットであって、少なくとも2つの異なる入射光子によって生成された可能性が高い少なくとも2つのセットを識別することに基づいて、前記X線検出器に入射するX線に関する情報を生成及び/又は取得する。各セットの全ての光子相互作用は、単一の入射光子によって生成された可能性が高く、前記同時計数検出システムは、光子相互作用の少なくとも2つのセットを光子相互作用の起こり得る少なくとも1つの他のセットと比較することに基づいて、光子相互作用の少なくとも2つのセットを、少なくとも2つの異なる入射光子によって生成された可能性が高いものとして識別する。
例えば、同時計数検出システムは、光子相互作用の時間に関する情報を、光子相互作用の少なくとも2つの位置によって規定される少なくとも1つの角度と組み合わせることに基づいて、及び/又は光子相互作用の3つの位置によって規定される少なくとも1つの角度に基づいて、及び/又は入射放射線方向と光子相互作用の2つの位置によって規定される少なくとも1つの角度に基づいて、X線検出器に入射したX線に関する情報を生成する及び/又は取得することができる。例として、このような角度は、複数の相互作用のうちの少なくとも1つの相互作用において付与されたエネルギーに関連付けられ、また、このような角度は、光子散乱モデルを用いて、特定の相互作用順序の尤度又は複数の相互作用が単一の相互作用によって生成可能な相互作用のセットに分類される尤度を計算するために使用することができる。相互作用順序とは、単一の光子によって連続的に生成されたと考えられる相互作用の順序のことである。正しい相互作用順序は、単一の入射光子によって生成される相互作用の時系列的順序に対応する。
特定の例では、X線検出器はシリコン検出器である。
通常、X線検出器システムは、エネルギー閾値に基づいてコンプトン相互作用と光電相互作用とを弁別する。例として、ある閾値未満のエネルギーを付与する相互作用はコンプトン相互作用として識別され、ある閾値より大きいエネルギーの相互作用は光電相互作用として識別することができる。前記閾値は、付与されたエネルギーのスペクトルが極小値となるエネルギーとして、又はコンプトン相互作用の数と光電相互作用の数がほぼ等しくなるエネルギーとして、例示的に選択されている。
任意に、X線検出器システムは、X線検出器内の散乱を減少させるための高減衰遮蔽体を有する。散乱を減少させることにより、検出される相互作用の数が減少し、これによって、或る時間間隔における相互作用の総数が減少する。これは、例えば、起こり得る同時計数の数を減少させることによって、同時計数検出法を簡素化することができる。しかし、散乱が少なくなると、光子がその全エネルギーを検出器に付与することなく吸収されるので、同時計数検出の難度が上がる恐れもある。
例として、X線検出器システムは、電荷拡散量の推定値に基づいて相互作用の位置を推定するための方法を使用してもよい。
特定の例では、同時計数検出システムを、X線検出器のモデルに基づいて動作するように構成することができる。
例として、同時計数検出システムは、光子散乱モデルに基づいて動作するように構成することができ、前記光子散乱モデルは、コンプトン散乱の式と、クライン-仁科の式と、ランベルト-ベールの法則と、光電効果、コンプトン効果、又はレイリー散乱に対するX線相互作用の断面積と、光子輸送のシミュレーションのうちの少なくとも1つに基づくものとすることができる。
特定の例において、同時計数検出システムは、光子散乱モデルに基づいて動作するように構成することができ、前記光子散乱モデルはレイリー散乱を含んでおり、あるいはレイリー散乱を除外する。レイリー散乱は、束縛電子から光子が弾性拡散することを表している。このタイプの散乱では、入射光子は偏向するが、エネルギーが付与されないため、束縛から解放された電子と正孔の対は生じない。
同時計数検出システムは、検出器のボリューム全体で検出された光子相互作用、又は検出器の中の少なくとも1つのサブボリュームから独立したサブボリュームで検出された光子相互作用を処理することができる。サブボリュームのデータを処理すると、例えば、検出器全体からのデータを一緒に集約する必要がなく、サブボリュームにおける少ない数の相互作用で補正を実行することは計算が容易となるので、好ましい。例として、サブボリュームは、単一の物理検出器モジュールから構成することができ、複数の物理検出器モジュールから構成することもできる。しかしながら、サブボリュームは、必ずしも物理検出器モジュールによって画定される必要はなく、1つの又は多数の物理検出器モジュールのうちの1つの又は多数の部分ボリュームを含むこともできる。
例えば、同時計数検出システムは、最尤法、最大事後確率推定法、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、又は決定木による方法のうちの少なくとも1つに基づいて、入射放射線に関する前記情報を取得する及び/又は決定するようにしてもよい。
最尤法は、ある入射光子の尤度を計算するステップと、前記尤度を最適化することによって光子の類型を選択するステップとを含んでもよい。例として、例えば、異なる入射スペクトルの確率の事前モデル又は他の事前情報を含むことによって、事前情報が組み込まれてもよく、それによって最大事後確率推定アルゴリズムが作成され、推定が改善される。
例として、ニューラルネットワーク推定装置は、検知された光子数、エネルギー、及び位置を含む入力データを受け取り、人工ニューラルネットワークを使用して入力データを処理し、推定された入射カウント数又は推定された入射エネルギーに関連する出力データを生成することができる。このネットワークは、シミュレーションデータ又は測定データでトレーニングすることができる。
例として、決定木による方法は、いくつかの連続的に続く比較ステップで入力データを処理し、その比較の結果に基づいて出力を生成することができる。いくつかの決定木を集約して、例えばブートストラップアグリゲーションによって複合推論装置を形成することができる。
一例として、同時計数検出システムは、光子相互作用の少なくとも1つのセットに少なくとも1つの尤度を割り当てることに基づいて、X線検出器に入射するX線に関する前記情報を取得する及び/又は決定するようにしてもよい。前記尤度は、これらの光子相互作用を観測する確率に基づいている。
任意に、前記同時計数検出システムは、尤度を最適化することに基づいて、前記X線検出器に入射するX線に関する前記情報を取得する及び/又は決定するようにしてもよい。前記尤度は、これらの光子相互作用を観測する確率に基づいている。
例えば、同時計数検出システムは、光子相互作用の少なくとも1つのセットに少なくとも1つの尤度を割り当てることに基づいて、X線検出器に入射するX線に関する前記情報を取得する及び/又は決定するようにしてもよい。前記尤度は、これらの光子相互作用が全て単一の入射光子に由来する場合にこれらの光子相互作用を観測する確率に基づくものである。
特定の例では、同時計数検出システムは、複数の光子相互作用の各々について、単一の入射光子からこれらの光子相互作用を観測する前記少なくとも1つの尤度に基づいて、光子相互作用のセットに相互作用を割り当てる。
例として、同時計数検出システムは、前記複数の光子相互作用を、どの相互作用も2つ以上のセットに割り当てられないように、光子相互作用のセットに割り当ててもよい。
例えば、同時計数検出システムは、相互作用順序の尤度に基づいて、複数のセットのうちの少なくとも1つのセットにおける光子相互作用に少なくとも1つの相互作用順序を割り当ててもよい。このような相互作用順序は、一例として、起こり得る全ての相互作用順序のうち尤度が最も高い相互作用順序として選択することができる。
特定の例において、同時計数検出システムは、少なくとも1つの相互作用順序によって特定されるセットにおける第1の光子相互作用の位置に基づいて、光子入射の推定位置を、光子相互作用の少なくとも1つのセットに割り当てる。
一例として、X線検出器システムは、単一の入射光子に起因する可能性が高い光子相互作用の少なくとも1つのセット内における光子相互作用の検出されたエネルギーに基づいて、少なくとも1つの入射光子のエネルギーを推定する。例として、この推定は、前記セット内における光子相互作用のエネルギーを合計することによって実行することができる。
任意に選択可能な実施形態では、X線検出器システムは、前記少なくとも1つの尤度に基づいて、少なくとも1つの時間間隔においてX線検出器に入射する又はX線検出器の少なくとも1つのサブボリュームに入射する光子の数を推定する。
例として、尤度は、X線検出器に入射する可能性のあるスペクトルのセットに関する事前確率分布に基づいて計算することができる。
任意選択で、同時計数検出システムは、複数の時間間隔にわたって測定されたカウントを合計すること、及びフォトンカウンティングX線検出器から測定されたカウントを読み出すことのうちの少なくとも一方を実行する前に、測定データに適用されるようにしてもよい。
例えば、X線検出器システムは、X線検出器に入射したX線に関する前記情報を出力して、画像再構成アルゴリズム、基準物質弁別アルゴリズム、ノイズ除去アルゴリズム、ぼけ除去アルゴリズム、パイルアップ補正アルゴリズム、及びスペクトル歪み補正アルゴリズムのうちの少なくとも1つに対する入力データとして使用されるようにしてもよい。
例として、画像再構成アルゴリズムは、入力として投影カウントデータを受け取り、再構成された画像を出力することができる。基準物質弁別アルゴリズムは、カウントデータを入力とし、基準画像又は基準サイノグラムを出力することができる。ノイズ除去アルゴリズムは、ノイズの多い画像又はサイノグラムを入力とし、ノイズ除去されたサイノグラム又は画像を出力することができる。ぼけ除去アルゴリズムは、低解像度の画像を入力とし、高解像度の画像を出力することができる。パイルアップアルゴリズムは、パイルアップによって歪んだカウントデータを入力とし、補正された画像を出力することができる。スペクトル歪み補正アルゴリズムは、非理想的な検出器応答関数によって歪んだカウントデータを入力とし、補正されたカウントデータを出力することができる。
画像再構成アルゴリズム、基準物質弁別アルゴリズム、ノイズ除去アルゴリズム、ぼけ除去アルゴリズム、パイルアップ補正アルゴリズム、又はスペクトル歪み補正アルゴリズムは、例えば、最大事後確率、ブロックマッチング、バイラテラルフィルタリング、又は畳み込みニューラルネットワークにビルドすることができる。
好ましい実施形態では、同時計数検出は、検出器に接続されたデジタル処理回路、例えば、マイクロコードシーケンサ又はFPGAによって実施される。別の実施形態では、同時計数検出は、アナログ処理回路、又は検出器からデータを読み出した後にコンピュータで実施される。
別の態様によれば、このようなX線検出器システムを含む全般的なX線イメージングシステムが提供される。
例として、X線イメージングシステムは、単一の入射光子に起因する可能性が高いる光子相互作用の少なくとも1つのセット内における光子相互作用の検出されたエネルギーに基づいて、少なくとも1つの入射光子のエネルギーを推定するようにしてもよい。
更に別の態様によれば、フォトンカウンティングX線検出器20と動作する同時計数検出システム60が提供される。同時計数検出システム60は、前記X線検出器における光子相互作用の時間に関する情報とX線検出器に対するX線源の位置に関する情報に基づいて、X線検出器20に入射するX線に関する情報を決定する及び/又は取得する。
更に別の態様によれば、後で詳細に説明されるように、X線検出器に入射するX線に関する情報を取得する又は決定する方法が提供される。
より理解できるようにするため、提案された技術を、特定の非限定的な例を参照しながら説明する。
始めに一般的なX線検出器技術について簡単に説明することが便利であり、その後、本発明の非限定的な実施例を説明する。
一般に、X線画像検出器の課題は、検出されたX線から最大限の情報を抽出し、物体又は被検体を密度、組成、構造の観点から描出するための物体又は被検体の画像に対する入力データを提供することである。検出器としてフィルムスクリーンを使用することは一般的ではあるが、今日の検出器はデジタル画像を提供することがほとんどである。
現行のX線検出器は、通常、入射したX線を電子に変換する必要がある。これは、典型的には、光吸収又はコンプトン相互作用によって発生し、この結果生成された電子は、そのエネルギーが失われるまで、通常、二次可視光を生成し、この光が感光性材料によって検出される。また、半導体をベースにした検出器もあり、この場合、X線によって生成された電子が、電子-正孔対による電荷を生成し、電界を印加することによって収集される。
従来のX線検出器はエネルギー積分型であり、したがって、検出された各光子から検出信号への寄与は検出された光子のエネルギーに比例し、従来のCTでは、シングルエネルギー分布に対して測定値が取得される。そのため、従来のCTシステムによって生成される画像は、異なる組織及び異なる物質が或る範囲内の標準値を示す様相を表している。
積分モードで動作する検出器があり、これは、多数のX線から積分信号を得て、その積分信号を後でデジタル化して、ピクセル内の入射X線の数の最良の推測値を取り出すというものである。
一部の用途で実現可能な代替手段として、フォトンカウンティング検出器も登場しており、現在、フォトンカウンティング検出器は主にマンモグラフィで商業的に利用されている。フォトンカウンティング検出器は、原理的に各X線のエネルギーを測定することができるため、物体の組成に関する追加情報を得ることができるという利点がある。この情報を使用して画質を向上させること、及び/又は放射線量を低減することができる。
フォトンカウンティングX線検出器の材料として最も有望な材料は、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛カドミウム(CZT)、及びシリコンである。CdTeとCZTは、臨床CTで使用される高エネルギーX線の吸収効率が高いため、いくつかのフォトンカウンティングスペクトルCTプロジェクトで使用されている。しかし、CdTe/CZTのいくつかの欠点が原因で、これらのプロジェクトを進めるのに時間が掛かっている。CdTe/CZTは電荷担体の移動度が低いため、臨床で経験するフラックスレートの10倍低いフラックスレートで深刻なパルスパイルアップが発生する。この問題を軽減するための1つの方法は、画素サイズを小さくすることであるが、この方法では、チャージシェアリング及びKエスケープの結果として、スペクトル歪みが増加してしまう。また、CdTe/CZTはチャージトラッピングの問題があり、チャージトラッピングは分極を生じさせ、光子束があるレベル以上に到達した場合、出力されるカウントレートを急激に低下させると考えられる。
これに対し、シリコンは電荷担体の移動度が高く、分極の問題がない。また、製造プロセスが成熟しており、比較的安価であることも利点である。しかし、シリコンにはCdTe/CZTにはない制約がある。シリコンセンサは、低い阻止能を補うために、かなり厚くしなければならない。一般的に、シリコンセンサは、入射した光子の大部分を吸収するために数センチメートルの厚さが必要になるが、CdTe/CZTは数ミリメートルの厚さしか必要としない。一方、シリコンは減衰経路が長いため、後述するように、検出器を、異なる深さセグメントに分割することが可能である。これによって、検出効率が向上し、シリコンベースのフォトンカウンティング検出器は、CTの高フラックスに適切に対応することが可能になる。
シリコンやゲルマニウムなどの単元素半導体材料を使用した場合、光子エネルギーの一部のみが検出器に付与されるコンプトン散乱が発生することがある。その結果、もともと高いエネルギーを持っていたX線光子の大部分が、予想よりもはるかに少ない電子-正孔対しか生成せず、このため、光子束のかなりの部分がエネルギー分布の低域に現れる。したがって、できるだけ多くのX線光子を検出するためには、できるだけ低いエネルギーを検出する必要がある。
図3は、異なる3つのX線管電圧に対するエネルギースペクトルの例を示す概略図である。エネルギースペクトルは、異なるタイプの相互作用(低エネルギー範囲のコンプトンイベント及び高エネルギー範囲の光電吸収イベントなど)が混在したものから付与されたエネルギーによって得られたものである。
図4は、エネルギー弁別型フォトンカウンティング検出器を実現するための概念的な構成の一例を示す概略図である。
他の改良点は、例えば図4に概略的に示されているような、いわゆるエネルギー弁別型フォトンカウンティング検出器の開発に関連している。このタイプのX線検出器では、検知された各光子は電流パルスを生成し、電流パルスは一組の閾値と比較され、それによって、幾つかのいわゆるエネルギービンの各々において入射した光子の数をカウントする。これは、画像再構成プロセスにおいて非常に有用であると考えられる。
図5は、例示的な一実施形態によるX線検出器の概略図である。この実施例では、X線(C)を放出するX線源(B)とともにX線検出器(A)の概略図が示されている。検出器の素子(D)は線源の反対側に位置しており、したがって、好ましくは、全体的にわずかに湾曲した構造に設計される。検出器の2つの可能な走査運動(E,F)が示されている。各走査運動では、線源は静止していても移動していてもよく、(E)で示される走査運動では、X線源と検出器は、その間に配置された物体の周りを回転することができる。また、(F)で示される走査運動では、検出器と線源は物体に対して移動してもよいし、物体が移動してもよい。また、走査運動(E)では、回転中に物体が移動してもよく、いわゆるスパイラルスキャンと呼ばれる。例として、CTの実装では、X線源と検出器は、撮像される物体又は被検体の周りを回転するガントリに搭載することができる。
図6は、例示的な一実施形態による半導体検出器モジュールの一例を示す概略図である。これは、センサ部が検出器素子又は画素(B)に分割された半導体検出器モジュール(A)の例であり、各検出器素子又は画素は、通常、ダイオードが使用されている。X線(C)は、半導体センサのエッジ(D)から入射する。
図7は、例示的な一実施形態によるX線検出器サブモジュールの他の例を示す概略図である。この実施例では、X線検出器サブモジュール21のセンサ部は、X線がエッジから入射することを前提として、深さ方向に、いわゆる深さセグメントに分割されている。各検出器素子22は、通常、重要な構成要素として電荷収集電極を有するダイオードを使用している。
通常、検出器素子は、検出器のX線を感知する個々のサブ素子を指します。一般に、光子の相互作用は検出器素子で発生し、この結果発生した電荷は、検出器素子の対応する電極によって収集される。各検出器素子は、通常、入射X線束を一連のフレームとして測定する。フレームは、フレームタイムと呼ばれる特定の時間間隔における測定データである。
図8は、例えば、X線焦点に位置するX線源に対して全体的にわずかに湾曲した形状で横並びに配列された幾つかの検出器サブモジュール21を含むモジュール式X線検出器の一例を示す概略図である。
図9は、横並びに配列され更に積み重ねられた幾つかの検出器サブモジュール21を含むモジュール式X線検出器の一例を示す概略図である。X線検出器サブモジュールを順に積み重ねて、より大きな検出器モジュールを形成し、それを横に並べて組み立てることでX線検出器システムを作製することができる。
前述の通り、エッジオンはX線検出器の設計の一つであり、X線検出器素子又はピクセルなどのX線センサが入射X線にエッジを向けるように設計されたものである。
例えば、検出器は、少なくとも2つの方向に検出器要素を有し、エッジオン検出器の少なくとも2つの方向のうちの1つの方向は、X線方向の成分を有することができる。このようなエッジオン検出器は、入射X線の方向に2つ以上の深さセグメントの検出器素子を有する深さセグメント型X線検出器と呼ばれることもある。
代替例として、X線検出器は、深さ方向にセグメントされずに、入射X線に対してエッジを向けるように配置したままにしてもよい。
検出器のトポロジーによっては、例えば、検出器がフラットパネル検出器である場合、1個の検出器素子が1個の画素に対応していてもよい。しかし、深さ方向にセグメント化された検出器は、幾つかの検出器ストリップを有し、各ストリップは幾つかの深さセグメントを有すると考えることができる。このような深さセグメント型検出器では、特に複数の深さセグメントの各々が、各深さセグメントの個別の電荷収集電極に関連付けられている場合、各深さセグメントは、個別の検出器素子であると考えることができる。
深さセグメント型検出器の検出器ストリップは、通常、一般的なフラットパネル検出器の画素に対応する。しかし、深さセグメント型検出器を3次元の画素配列と見なすことも可能であり、この場合、各画素(ボクセルと呼ばれることもある)は個々の深さセグメント/検出器素子に対応する。
フォトンカウンティング検出器は、一部の用途で実現可能な代替手段として登場しており、現在、フォトンカウンティング検出器は主にマンモグラフィで商業的に利用されている。フォトンカウンティング検出器は、原理的に各X線のエネルギーを測定することができるため、物体の組成に関する追加情報を得ることができるという利点がある。この情報を使用して画質を向上させること、及び/又は放射線量を低減することができる。
エネルギー積分システムと比較して、フォトンカウンティングCTには次のような利点がある。第1に、エネルギー積分型検出器によって信号に組み込まれる電子ノイズを、フォトンカウンティング検出器のノイズフロアより大きい最小エネルギー閾値を設定によって除去することができる。第2に、エネルギー情報を検出器によって抽出することができ、これにより、最適なエネルギー重付けによってコントラスト対ノイズ比を改善することができ、また、いわゆる物質基準弁別(material basis decomposition)も可能となり、この弁別によって、検査された被検体又は物体の異なる物質及び/又は成分を識別し定量化することができる。第3に、3つ以上の基準物質を使用することができ、これは、造影剤(ヨウ素やガドリニウムなど)の分布を定量的に決定するKエッジイメージングなどの弁別技術に有利である。第4に、検出器の残光がないため、高い角度分解能を得ることができるということを意味する。最後に重要なことを述べると、画素サイズを小さくすることで、高い空間分解能を得ることができる。
X線光子計数型検出器で問題となるのは、いわゆるパイルアップ問題である。X線光子のフラックスレートが高い場合、その後に発生する2つの電荷パルスの区別に問題が生じることがある。前述したように、フィルタ後のパルス長は整形時間に依存する。このパルス長が、X線光子により誘起された2つの電荷パルスの間の時間より長い場合、この2つの電荷パルスは合わさってしまい、2つの光子が区別できなくなり、1つのパルスとしてカウントされることがある。これはパイルアップと呼ばれる。したがって、光子束が高いに場合におけるパイルアップを回避する1つの方法は、短い整形時間を使用すること、又は本明細書に記載される任意の実施形態で提案されるように深さ方向のセグメンテーションを使用することである。
吸収効率を高めるために、検出器をエッジオンに配置することができる。この場合、吸収深さを任意の長さに選択することができ、非常に高い電圧をかけなくても検出器を完全に空乏化することができる。
特に、シリコンは、純度が高くて電荷担体の生成(電子-正孔対)に必要なエネルギーが低いこと、また電荷担体の移動度が高いので高いX線レートでも動作することなど、検出器材料として多くの利点を有している。
半導体X線検出器サブモジュールは、通常、タイル状に配置されて、ほぼ完全な幾何学的効率を持つ(半導体検出器モジュールのうちの少なくとも一部のモジュール間に組み込むことができる任意の散乱防止モジュール(例えば、タングステン製のフォイル又はシート)は除く)実質的に任意のサイズの完全な検出器を形成する。
いわゆるフォトンカウンティングエッジオンX線検出器に関する更なる情報は、一般に、例えば、フォトンカウンティングエッジオンX線検出器の一例を開示している米国特許8,183,535号において見つけることができる。米国特許第8,183,535号には、検出器領域の全体を形成するように配置された複数の半導体検出器モジュールが記載されており、各半導体検出器モジュールは、入射X線に対してエッジオンに向けられたX線センサであって、X線センサ内で相互作用するX線を記録するための集積回路に接続されたX線センサを含んでいる。
説明されているように、X線検出器の全体は、例えば、複数の検出器サブモジュール、又は複数のウェハを使用することができ、複数の検出器サブモジュール又は複数のウェハの各々は、入射X線の方向にいくつかの深さセグメントを有している。
このような複数の検出器サブモジュールは、様々な配列で順々に配置又は積み重ねられ、及び/又は様々な配列で並ぶように配置されて、任意の有効な検出器面積又は検出器ボリュームを構成することができる。例えば、CTアプリケーション用のフル検出器は、典型的には、200cm2より大きい総面積を有しており、このため、多数の検出器モジュール(1500個~2000個の検出器モジュールなど)が必要になる。
例として、複数の検出器サブモジュールを、例えば、全体的に平面の構成又は全体的にわずかに湾曲した構成に並べて配置する及び/又は積み重ねることができる。
一般には、できるだけ多くの検出器素子及び検出器セグメントを有することが望ましい。これは、空間分解能を高くするからである。また、電極が小さくなれば、一般的には電子ノイズが減少し、線量効率とエネルギー分解能が向上する。
X線相互作用は、センサの深さ(深さ方向の長さ)に沿って、異なる複数の深さセグメントに分布するように発生するので、例えば、図5から分かるように、全体のカウントレートはセグメント間に深さ方向に分布する。図5は、各セグメントにおけるカウントレートの一例を示す概略図である。この実施例では、第1のセグメントは、X線源に最も近いセグメントである。
例えば、深さ40mmを超えるセンサでは、400個以上のセグメントを有することが可能であり、カウントレートはそれに応じて減少する。センサの深さは線量効率に重要であり、セグメンテーションは、パルスのパイルアップを防ぎ、システムの空間分解能を維持する。
電流は、例えば、先に述べた図4に概略的に示されているように、電荷有感型増幅器(CSA)などの増幅器と、その後に続く整形フィルタ(SF)などのフィルタによって測定することができる。
1つのX線イベントからの電子と正孔の数がX線エネルギーに比例するので、誘起された1つの電流パルスの全電荷はこのエネルギーに比例する。電流パルスは(CSA)増幅器で増幅され、(SF)フィルタでフィルタ処理される。SFフィルタの整形時間を適切に選択することで、フィルタ処理した後のパルス振幅は電流パルスの総電荷に比例し、したがって、X線エネルギーに比例する。(SF)フィルタの後、パルス振幅の値を1つ以上の比較器COMPで1つ以上の閾値(T1-TN)と比較することによってパルス振幅を測定することができる。そして、カウンタが備えられており、カウンタによって、パルスが閾値より大きい場合の数を記録することができる。このようにして、ある時間フレーム内に検出され、それぞれの閾値(T1-TN)に対応するエネルギーを超えるエネルギーを持つX線光子の数をカウントする及び/又は記録することが可能である。
異なる複数の閾値を使用する場合、検出された光子を様々な閾値に対応するエネルギービンに分類することができる、いわゆるエネルギー弁別型フォトンカウンティング検出器が得られる。特にこのタイプのフォトンカウンティング検出器は、マルチビン検出器とも呼ばれることがある。
一般に、エネルギー情報によって、新しい情報を得ることができ且つ従来技術に特有の画像アーチファクトを除去することができる新しい種類の画像を作成することができる。
言い換えると、エネルギー弁別型のフォトンカウンティング検出器では、パルス波高が、比較器で、プログラム可能ないくつかの閾値(T1-TN)と比較され、パルス波高に応じて分類されるが、パルス波高はエネルギーに比例する。
しかし,電荷有感型増幅器には、検出された電流に電子ノイズが加わるという固有の問題がある。したがって、実際のX線光子の代わりにノイズを検出してしまうことを回避するために、最小の閾値を十分に高い値に設定して、ノイズ値が閾値を超える回数が、X線光子の検出を妨げないように十分に少なくなることが重要である。
最小の閾値をノイズフロアよりも大きく設定することで、X線イメージング装置の放射線量を低減する上で大きな障害となる電子ノイズを、大幅に低減することができる。
整形フィルタは、整形時間の値が大きくなるとX線光子によって引き起こされるパルスを長くし、フィルタ後のノイズの振幅を小さくするという一般的な特性を有している。整形時間を小さくすると、パルスが短くなり、ノイズの振幅が大きくなる。したがって、できるだけ多くのX線光子をカウントするためには、(パイルアップを引き起こさずに)できるだけ長い整形時間を使用することが望ましく、これによって、ノイズを最小限に抑え、比較的小さい閾値レベルを使用することができる。
閾値のセット又は閾値のテーブルの値は、比較器でパルスの高さと比較されるが、フォトンカウンティング検出器によって生成される画像データの品質に影響を及ぼす。更に、これらの閾値は温度に依存するものである。したがって、一実施形態では、電力消費回路によって生成される較正データは、閾値のセット又は閾値のテーブル(T1-TN)である。
ただし、エネルギー弁別型フォトンカウンティング検出器は、利点はあるが、必ずしもエネルギー弁別型フォトンカウンティング検出器を有する必要はないことを理解すべきである。
図10は、フォトンカウンティングX線検出器の一例を示す概略図であり、この検出器は、ここではウェハと呼ばれるいくつかのX線検出器サブモジュール21が使用されている。複数のウェハ21が順に積層されている。各ウェハは長さ(x)及び厚さ(y)を有しており、また各ウェハは深さ方向(z)に分割されている、いわゆる深さセグメンテーションであることがわかる。単なる一例として、ウェハの長さは25~50mmのオーダーとすることができ、ウェハの深さは同じ25~50mmのオーダーとすることができ、一方、ウェハの厚さは300~900umのオーダーとすることができる。
例として、各ウェハは、ウェハ上において入射X線の方向(z)を含む2つの方向に分散された検出器要素を有している。
各ウェハは、反対側に位置する2つの面(表面及び裏面など)による厚さ(y)を有しており、2つの面は、一般には検出器素子(画素とも呼ばれる)が配置されている面に向かって電荷ドリフトできるように電位が異なる面である。
提案された技術をよりよく理解するためには、コンプトン効果の基本的な考えに戻ることが有効である。
入射したX線光子は、光電効果(本明細書では単に光効果と呼ぶ)、又はコンプトン相互作用(図11参照)のどちらかによって、検出器モジュールの半導体材料と相互作用することができる。
コンプトン相互作用は、コンプトン散乱とも呼ばれ、荷電粒子(通常は電子)による光子の散乱である。この結果、光子のエネルギーが減少し、コンプトン効果と呼ばれる。光子のエネルギーの一部は、反跳電子に伝達される。光子は、半導体基板を通過する間に複数のコンプトン相互作用に関わることがある。簡単に説明すると、コンプトン相互作用では、入射したX線光子は、電子との相互作用によって元の経路から偏向し、電子はその最初の軌道位置から放出されて、いわゆる二次電子又は「自由」電子が発生する。このような二次電子は、光効果の結果による場合もあり、この場合、入射X線光子の全エネルギーが電子に伝達される。
具体的には、X線光子はコンプトン相互作用又は光効果によって二次電子を生成する場合がある。電子は、X線光子から運動エネルギーを得て短い距離(例えば1um~50umの)を移動し、その移動の間に、電子-正孔対を生成させる。各電子正孔対の生成には約3.6eVが必要であり、これは、例えば、15keVのエネルギーを電子に付与するコンプトン相互作用では、約4200個の電子-正孔対が生成され、いわゆるチャージクラウドが形成されることを意味する。このチャージクラウドは電気力線に従って移動又はドリフトし、検出器サブモジュール又はウェハの裏側が正にバイアスされている場合、正孔は、検出器サブモジュール又はウェハの表側に配置された読出し電極に向かって移動し、電子は裏側に向かって移動する。ドリフト中は、チャージクラウドを形成している電子-正孔対も拡散し、これは、チャージクラウドが大きくなることを意味する。
読出し電極は、検出器素子又は画素として機能する。例として、裏側の電圧を約200V、表側は仮想接地とすることができる。
理解されるように、チャージクラウドを解像できるようにするために、センサ領域を比較的高い分解能、例えば5umから100umの分解能に細分化し、X線検出器をビームに対してエッジオン(すなわち、入射X線に対してエッジオン)に向けることが望ましい場合がある。
一般に、X線光子は、X線検出器の半導体材料内部で電子-正孔対に変換され、電子-正孔対の数は光子のエネルギーに概ね比例する。電子と正孔は、検出器素子に向かってドリフトし、その後、フォトンカウンティング検出器を離れる。このドリフト中に、電子と正孔によって検出器素子に電流が誘発される。
次に、提案する技術の非限定的な例を、主にフォトンカウンティング・シリコンX線検出器を参照して説明するが、本発明は、他のタイプのX線検出器にも適用可能である。
シリコン検出器のコンプトン相互作用により、単一光子から複数のカウントが得られることがある。タングステンシールドがない場合、これはS/N比を低下させ、スペクトル情報を減少させる。一方、シリコンは純度や結晶品質が他の物質よりも優れているため、空間分解能やスペクトル分解能が非常に高く、我々は、各相互作用点において付与されたエネルギーの情報を使用し、確率論的手法によって同一の入射光子により引き起こされる複数のコンプトン相互作用を組み合わせることを提案する。
シリコンは原子番号が小さいため、コンプトン相互作用が頻繁に起こる。コンプトン相互作用では、入射光子のエネルギーの一部のみが付与され、単一の入射光子が複数のカウントを発生させることがある。シリコンは、フォトンカウンティングCT検出器の競合材料であることは示されているが、更に性能を向上させるためには、同時計数技術を使用して、コンプトン散乱した複数の光子を結合することが望ましい。
例えば、散乱光子はタングステンシールド又は同様の散乱防止モジュールで除去することができ、エネルギー情報をほとんど含まないが一意的な光子に対応するコンプトンカウントであって、光子数として画像のコントラストに寄与するコンプトンカウントが残る。しかし、光子が、光電イベントによる一連の相互作用を通じてエネルギーを付与する場合、一連の相互作用により付与されたエネルギーを加算することで、全光子エネルギーを推定することができる。この情報は検出器のスペクトル性能を向上させるため、この情報を取り出すことが望まれる。
コンプトン散乱した光子は、そのエネルギーと散乱角に基づいて識別することができるので、本発明者らは、相互作用の位置と付与されたエネルギーに基づいて、同じ光子に属する相互作用を識別することが可能であることに気が付いた。空間分解能とエネルギー分解能が高ければ、相互作用の正しい組み合わせを見つける尤度が高くなる。
更に、本発明者らは、フォトンカウンティングX線検出器の信号対雑音比とスペクトル性能を向上させるために、同じ入射光子に属する相互作用を識別し組み合わせる同時計数技術を使用することの実現可能性を認識した。これは、特にシリコンX線検出器に有効である。
シリコン検出器では、複数の入射光子の一部はコンプトン相互作用による相互作用をする。コンプトン相互作用では、入射光子のエネルギーの一部のみが付与されるので、単一の光子から複数の相互作用が生じることになる。この可能性を排除するために、タングステンシールドを使用して、二次的な相互作用を除去することができる。結果として得られる各コンプトンカウントは、一意的な光子に対応するので、コンプトンカウントは不利益になるものではなく、イメージングの性能に寄与する。コンプトンカウントは、密度画像のタスクで特に重要であるが、スペクトル画像のコントラストも向上させるものであり、このことは、「Photon-counting spectral computed tomography using silicon strip detectors: a feasibility study”, H. Bornefalk and M. Danielsson, Physics in Medicine and Biology 55, 1999-2022, 2010」に述べられている。
シリコン検出器の性能を更に向上させるには、タングステンシールドの代わりに(又はタングステンシールドと組み合わせて)、同時計数技術を使用してコンプトン散乱光子を検出することが望ましい。タングステンシールドのない検出器では、多くの光子が、光電イベントによる一連のコンプトン相互作用によって相互作用する。全体の光子エネルギーが検出器内に付与された場合、入射光子のエネルギーは、一連の相互作用により付与されたエネルギーを加算することによって求めることができる。同じ光子に属する相互作用を識別し、組み合わせることにより、空間分解能及びエネルギー分解能を高くする上で、より効率的である。
我々の特許出願US16/653200及びPCT/SE2019/051011には、フォトンカウンティング・シリコン検出器で1umの分解能を得る方法が提案されている。
本発明では、実現された空間分解能を使用して、例えば、光子相互作用のタイミング情報に基づいて(任意で、付与されたエネルギー及び相互作用の位置の情報と組み合わせて)、コンプトン散乱した光子を識別できるかどうかを評価することを目指している。
本研究の非限定的な目的は、シリコンフォトンカウンティング検出器などのX線検出器の信号対雑音比とスペクトル性能を向上させるために、同じ入射光子に属する相互作用を識別し組み合わせる同時計数の手法を使用することの実現可能性を評価することである。
非限定的な実施例
周知のGATEシミュレーションツールキットを使用してシリコン検出器をモデル化し、X線源と検出器との間に30cmの軟組織のフィルタ作用を生じさせる手段を置いて、120kVpで動作するX線源のスペクトルからサンプリングされた光子エネルギーを持つX線ビームを照射した。
GATEシミュレーションツールキットの更なる情報には、“GATE: a simulation toolkit for PET and SPECT”, S. Jan, G. Santin, D. Strul, et al., Physics in Medicine and Biology 49, 4543-4561, 2004を参照することができる。
相互作用する各光子に対して、結果として生じる相互作用のエネルギー及び位置を、相互作用の種類(光電相互作用、コンプトン相互作用)と一緒に検知した。
得られたデータは、より小さなサブセットに整理された。各サブセットは、ある時間窓(スナップショット)の間に検出器で発生する相互作用を表している。次に、各スナップショット内の相互作用を、相互作用のエネルギーと位置に対して特徴づけた。次に、最尤法を実装し、最尤法を使用して、最も可能性の高い相互作用チェーンに従って相互作用を分類した。
例示的な結果
次の表は、タングステンシールドのないシリコン検出器における相互作用チェーンの確率の一例を示している。
表1:タングステンシールドのないシリコン検出器における相互作用チェーンの確率
図12は、相互作用スペクトルのコンプトン部分及び光電部分の付与されたエネルギーのスペクトルの一例を示す概略図である。縦の破線はコンプトン閾値を示しており、コンプトン閾値よりも大きい範囲では全ての光電相互作用のうちの99.75%が現れており、コンプトン閾値よりも小さい範囲では全てのコンプトン相互作用のうちの99.70%が現れている。
図13は、1つのスナップショットにおける、即ち、ある時間間隔の間における相互作用の一例を示す概略図である。黒線は、同じ入射光子に属する相互作用を示している。
図14は、相互作用チェーン(1つのコンプトン相互作用+1つの光電相互作用)における1D散乱距離の一例を示す概略図である。
図15は、異なる相互作用チェーンに対する入射光子エネルギーのスペクトルの一例を示す概略図である。
このように、フォトンカウンティングX線(シリコン)検出器における相互作用の動態を、例えばスペクトルCTに対して調査し、特性評価を行った。更に、同じ入射光子に属する相互作用を識別して組み合わせる(例えば、最尤法に基づいた)コンプトン同時計数手法を使用することの実現可能性を評価し、検出器のスペクトル性能に対するコンプトン同時計数手法の効果を示した。提案された技術により、各入射光子に対して非常に高いエネルギー分解能と非常に高い位置分解能とを持つ理想的なX線検出器を実現することができる。
シリコン検出器などのX線検出器において、光電相互作用とコンプトン相互作用とを区別することが可能であり、光子エネルギーと散乱距離とに基づいて互いに異なる相互作用チェーンの特性を表すことができることを明らかにした。その結果、付与されたエネルギーと相互作用位置とに基づいて、同じ入射光子に属する相互作用を識別することが可能であることが示されている。
一般に、従来の同時計数検出技術は、核医学や天体物理学で利用されるコンプトンカメラの中に見い出すことができ、例えば、以下に記載されている。
R. Todd, J. Nightingale, D. Everett, A proposed γ camera. Nature 251, 132-134 (1974). https ://doi.org/10.1038/251132a V. Schonfelder, A. Hirner, K. Schneider, A telescope for soft gamma ray astronomy, Nuclear Instruments and Methods, Volume 107, Issue 2, 1973, Pages 385-394, https ://doi.org/10.1016/0029-554X(73)90257-7.
放出源の位置を決定するために、コンプトンカメラを使用して入射ガンマ光子が検出される。核医学では、入射光子は単一エネルギーであるが、宇宙物理学の用途では、幅広いエネルギースペクトル(keV~MeVの範囲)が含まれる。
本発明は、放出源の位置が既知である場合に多くの異なるエネルギーの光子を検出するX線検出器においてコンプトン同時計数技術などの同時計数検出技術を使用する及び/又は改善するための解決策を提供する。
入射放射線の受入れ角を制限するための粗いコリメータを含むコンプトンガンマカメラは、核医学の分野において以前に提案されており、例えば、米国特許第7,291,841号を参照することができる。この特許では、X線撮影において高度に局在した線源を使用することと、どのようにして焦点型X線光学コリメータを特定のX線管焦点分布用に設計することができるかについて述べている。これとは対照的に、本明細書では、同時計数技術において線源の位置が使用される同時計数検出方法について説明されている。
核医学における用途(単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)や、ある用途では陽電子放出断層撮影(PET)など)では、コンプトンカメラは、通常、異なる2つの検出器(散乱体及び検出器)を有しており、例えば、Si+CdTeを使用することができる(以下の文献を参照“Compton imaging with 99mTc for human imaging”, M. Sakai,Y. Kubota, R.K. Parajuli et al. Sci Rep 9, 12906 (2019), doi: 10.1038/s41598-019-49130-z)
これに対し、本発明では、シリコンの単一検出器で使用することができる同時計数検出法を提案する。
Si+CdTeなどのコンプトンカメラでは、入射光子は、シリコン部分でコンプトン散乱し、CdTeで光電相互作用による相互作用を起こすが、これは、全光子エネルギーが検出器に付与されたことを意味する。入射光子の方向は、相互作用位置と付与されたエネルギーに基づいて、コンプトン散乱の式を使用して決定することができる。
Ge検出器でガンマ線追跡を行い、同じ入射光子に属する相互作用を識別し、ガンマ線エネルギーを入射光子の方向と共に得ることが提案されており、これは、例えば、I.Y. Lee, Gamma-ray tracking detectors, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment, Volume 422, Issues 1-3, 1999, pages 195-200, https://doi.org/10.1016/S0168-9002(98)01093-6.に記載されている。
しかし、コンピュータ断層撮影(CT)などの多くの用途では、入射光子の方向を決定する代わりに、入射光子の数とそのエネルギーを定量化することが重要である。そのため、この用途での同時計数検出法は、かなり違った要求がある。この要求には、単一光子の二重カウントを避けるために同じ入射光子に属する相互作用を識別することと、入射光子のエネルギーを得るために相互作用を組み合わせることが含まれる。また、コンピュータ断層撮影では、より高い入射光子束が必要であり、このため、同時計数技術を使用することが難しくなっている。
CT及びコンプトンカメラを含む様々な検出器システムが過去に記載されている(例えば、米国特許10,088,580、米国特許10,067,239、WO2017015473A8、米国特許10,274,610、米国2018/0172848A1、米国特許10,365,383、及び米国2020/0096656A1を参照)。これらの文献には、本明細書に記載されるような、線源の位置を同時計数検出方法で使用することができる局在した線源は含まれていない。
従来の多くの同時計数法は、時間だけに依存する方法である。つまり、同じタイムスタンプを持つ2つの相互作用が自動的に同じ光子に割り当てられる方法である。
多くの関心のある用途及び/又は状況では、同じ時間窓の中に複数の光子に属する相互作用が存在する可能性が高い。このため、検知された相互作用に対応する最適解(入射光子数と入射光子のエネルギー)を見つけるなど、より高度な同時計数法が必要となる。提案された技術は、そのような高度な解決策を提供する。
他の設計上の配慮事項の例
同時計数検出のためのシステム及び/又は処理方法は、光電子とコンプトン散乱した光子を分離できることが必要である。
同時計数検出法の実装と使用を簡略化するために、長い相互作用チェーンの識別を省略することが望ましい場合がある。
通常、識別する同時計数が多すぎることと、識別する同時計数が少なすぎることの間はトレードオフの関係にある。理想的には、各入射光子に対して検知された1つのイベントが存在すべきである。しかし、識別される同時計数が多すぎると、一部のイベントが誤って除去される。一方、識別される同時計数が少なすぎると、単一の光子によって、複数のイベントが検知されることになる。
全光子エネルギーが検出器には付与されない相互作用チェーンであっても、二重カウントを排除するので、識別には有利である。
タングステンシールド又は同様の散乱防止モジュールを使用しない場合、多くの光子はその全エネルギーを検出器に付与する。しかし、この結果、相互作用チェーンが長くなり、これによって、相互作用を正しく組み合わせることが全体的に難しくなる。タングステンシールドを使用すると、長い相互作用チェーンが取り除かれるので、相互作用を組み合わせることが容易になるが、これは、検出器に全エネルギーを付与する光子の数も減少させてしまい、全体のスペクトル情報を減少させてしまう。
同時計数処理は、後処理工程として実行することができ、また、データ取得中に検出器に電子回路で直接に実行することもできる。後処理では、各相互作用に対して、付与されたエネルギーと相互作用位置とのデータ出力が必要である。検出器における同時計数処理は検出器の設計に影響を与え、同時計数法を実行するように特別に設計された電子機器及び/又はソフトウェアを必要とする場合がある。
同時計数検出技術は、イベントが検知されたときに連続的に適用することができ、ある時間窓(スナップショット)内に発生した相互作用に適用することもできる。
通常、相互作用の間の角度を得るためには高い空間分解能が必要である。また、各イベントで付与されるエネルギーを正しく検知するためには、高いエネルギー分解能が必要となる場合がある。
つまり、基本的な考えは、光子の相互作用のタイミングに基づいて(任意に、検出器における相互作用位置と付与されたエネルギーに関する情報を組み合わせて)、入射光子の数とそのエネルギーを定量化することである。
例として、この定量化は、相互作用位置と付与されたエネルギーに基づいて、同じ入射光子に属する相互作用を識別し組み合わせるか、又は、識別工程と組合せ工程を無視して、相互作用位置と付与されたエネルギーから、入射光子の数とそのエネルギーを、より直接的に得ることによって行うことができる。
以下に、新規な同時計数法及び/又は手順の非限定的な例を示す。
1. 各相互作用のエネルギーと位置が検知される。
2. 相互作用は、相互作用エネルギーに基づいて、コンプトン相互作用又は光電相互作用に分類される。
3. 検知された相互作用から、起こり得る相互作用チェーンが作成される。各相互作用チェーンは、単一の入射光子からの相互作用を表している。相互作用チェーンの一例は、例えば、1つのコンプトン相互作用+1つの光電相互作用が考えられる。
4. 起こり得る各相互作用チェーンに対して、相互作用間の距離と角度を、連続する相互作用間の付与された全エネルギーと光子エネルギーとともに計算する。
5. 次に、距離、角度、及びエネルギーを使用して、各相互作用チェーンの尤度関数を推定する。尤度関数は、例えば、コンプトン散乱の式、クライン-仁科の式、ランベルト-ベールの法則、相互作用断面積に基づくものである。
6. 相互作用は、尤度関数の最大値を求める相互作用チェーンに従って分類される。
一部の工程は任意であり、当該一部の工程は、単一の相互作用を近傍の相互作用と組み合わせるため、及び/又は相互作用のセットを分類していくつかの相互作用チェーンを得るために実行することができる。
この方法を使用して、相互作用位置と付与されたエネルギーとのセットから入射光子の数とエネルギーを直接に得ることもできる(例えば、明確に定義されたエネルギーの入射光子をシミュレーションし、シミュレーションの結果、相互作用の種類、位置、及び付与されたエネルギーに関して検出器で得られた相互作用を収集することによって、尤度関数が得られる場合など)、
相互作用の大きなセットに相互作用チェーンを割り当てる場合、最初は、ランダムに、又は確率に基づく方法を使用して、各相互作用を相互作用チェーンに割り当てることが望ましいと考えられる。これにより、相互作用チェーンの初期セットが得られ、次に、この初期セットは、構成される相互作用チェーンの集合的な尤度(collective likelihood)の最大値を求めるために反復的に変更され、その結果、最も可能性の高い相互作用チェーンのセットを得ることができる。
あるいは、機械学習を使用して入射光子の数と入射光子のエネルギーを決定する方法を適用することも可能である。これは、ディープニューラルネットワークを使用して、相互作用の位置と付与されたエネルギーに基づいて同じ入射光子に属する相互作用を識別し組み合わせることによって行うことができる。教師あり学習と教師なし学習の両方が適用することができ、強化学習も適用することができる。
別の代替案によれば、決定木手法を使用して入射光子の数及び入射光子のエネルギーを決定する方法が提供される。これは、相互作用位置及び付与されたエネルギーに基づいて特定の基準を満たす相互作用を組み合わせることによって行うことができる。例えば、2つの相互作用が互いに或る距離内に存在しており、2つの相互作用により付与されたエネルギーの合計が或る値を超えている場合、その2つの相互作用は組み合わされる。
任意で、本発明は、後述するように、フォトンカウンティングX線検出器においてX線光子の相互作用の初期点を推定できるようにする技術と組み合わせることができる。
補完的な側面として、いくつかのX線検出器サブモジュール又はウェハが使用されたフォトンカウンティングX線検出器において、X線光子の相互作用の初期点の推定を改善できることが望ましい。これらのX線検出器サブモジュール又はウェハの各々は、検出器素子を含んでおり、X線検出器サブモジュールは、X線がエッジを通過して入射すると仮定して、エッジがX線源に向けられたエッジオンになるように配置される。
各検出器サブモジュール又は各ウェハは、反対側に位置する2つの面(前面/主面及び裏面など)による厚さを有しており、この2つの面は、検出器素子(画素とも呼ばれる)が配置されている(前/主)面に向かって電荷ドリフトできるように電位が異なる面である。
X線検出器の(特定の)検出器サブモジュール又はウェハにおけるX線光子に関連する光電効果による相互作用又はコンプトン相互作用に起因する電荷拡散の推定値を決定し、決定された電荷拡散の推定値に基づいて、少なくとも部分的に検出器サブモジュールの厚さ方向に沿って相互作用の初期点を推定することが可能である。
例として、電荷拡散の形状、特に幅を測定又は推定し、電荷拡散又は電荷分布の形状又は幅に基づいて、相互作用の初期点と検出点との間の距離を決定することができる。
例えば、電荷拡散はチャージクラウドによって表され、検出器サブモジュール又はウェハの主面に分布する検出器素子は、画素のアレイを実現することができ、画素は、解像されるべきチャージクラウドよりも一般に小さい。
前述のように、X線検出器サブモジュールは、X線がエッジを通過して入射すると仮定して、エッジがX線源に向けられたエッジオンになるように配置することができる。
エッジオンとは、X線検出器素子又は画素などのX線センサが入射X線に対してエッジオンに向けられていることを表すX線検出器のデザインである。
一例として、X線検出器サブモジュールの各々は、検出器サブモジュール又はウェハにおいて、X線の入射方向を含む2方向に分布する検出器素子を含むことができる。これは、通常、いわゆる深さセグメント型X線検出器サブモジュールに相当する。しかし、提案された技術は、深さ方向にセグメントされていないX線検出器サブモジュールにも適用可能である。複数の検出器素子は、入射X線の方向と実質的に直交する方向にアレイのように配置されるが、各検出器素子は、入射X線に対してエッジオンに配置される。言い換えれば、X線検出器サブモジュールは、入射X線に対してエッジオンに配置されているが、深さ方向に分割されていなくてもよい。
特定の例では、検出器要素又は画素の少なくとも一部は、入射X線の方向に直交する方向のサイズよりも、入射X線の方向のサイズが長くなっており、少なくとも2:1の関係になっている。すなわち、検出器素子又は画素は、幾何学的なデザインが非対称であり、検出器素子又は画素は、入射X線の方向に直交する方向(垂直方向)の長さよりも、入射X線の方向に少なくとも2倍の長さ(深さ)を有することができる。
任意選択で、検出器サブモジュールの厚さ方向における入射X線光子の相互作用の初期点は、クラウドの測定された幅及びクラウドの電荷の総和に基づいて推定される。説明したように、チャージクラウドは、検出器サブモジュールの動作が引き起こされた検出器素子の誘導電流によって表現することができる。
一例として、電荷拡散の推定値に基づいて、検出器サブモジュールにおけるX線光子の検出点と相互作用の初期点との間の距離であって、検出器サブモジュールの厚さに沿う距離の推定値を決定し、検出点と検出器サブモジュールの厚さに沿う距離の決定された推定値とに基づいて相互作用の初期点の推定値を決定することが可能である。
相互作用は、X線光子と半導体基板(一般的にはシリコンで作製された基板)との間の相互作用である。
検出器サブモジュール又はウェハの厚さは、一般に、検出器サブモジュールの反対側に位置する2つの側面(裏面及び表面など)の間の長さを表している。
例として、電荷拡散の形状、特に幅を、測定又は推定し、電荷拡散又は電荷分布の形状又は幅に基づいて、検出点と相互作用の初期点との距離を決定することができる。
例として、フォトンカウンティングX線検出器におけるX線光子の相互作用の初期点を推定することを可能にするシステムを提供することができる。X線検出器は、いくつかのX線検出器サブモジュール又はウェハを使用することができ、各X線検出器サブモジュール又は各ウェハは、検出器要素を含んでいる。X線検出器サブモジュールは、X線がエッジを通過して入射すると仮定して、エッジがX線源(10)に向けられたエッジオンになるように配置することができる。
各検出器サブモジュール又は各ウェハは、反対側に位置する2つの面による厚さを有しており、この2つの面は、検出器素子(画素とも呼ばれる)が配置されている面に向かって電荷ドリフトできるように電位が異なる面である。
そして、システムは、X線検出器の検出器サブモジュール又はウェハにおけるX線光子に関連する光電効果による相互作用又はコンプトン相互作用に起因する電荷拡散の推定値を決定し、電荷拡散の決定された推定値に基づいて検出器サブモジュールの厚さ方向に沿って相互作用の初期点を推定することができる。
図16は、x-z平面における特定のウェハの一部の画素の一例を示す概略図である。この実施例では、画素22は、解像されるべきチャージクラウドよりも一般に小さい。例えば、チャージクラウドは100umのオーダーの幅を有することがあり、従って、画素は、通常、チャージクラウドよりも小さい又はかなり小さくなるように設計されている。したがって、半導体基板を通過するX線光子によって、通常、検出器モジュールの隣接する複数の画素を覆うチャージクラウドが生じる。これは、単一のX線光子が、複数の画素でイベントが検出されるトリガになる可能性が高いことを意味している。
画素22は正方形として図示されているが、画素は長方形であってもよいし、他の形態であってもよいことが理解されるべきである。
特定の例では、電荷拡散に関する情報は、検出器サブモジュール又はウェハの前面側に検出器素子が分布する2つの方向のうちの少なくとも1つの方向において解像度を向上するために使用することができる。例えば、2つの方向のうちの1つの方向又は両方の方向におけるチャージクラウドプロファイルの情報に基づいて、分解能を向上させることができる。考えられる方向としては、検出器サブモジュール又はウェハの長さ(x)方向及び/又は深さ(z)方向がある。
例として、この方法は、X線検出器サブモジュール又はウェハの主面に検出器要素が分布する2つの方向(x,z)のうちの少なくとも1つの方向における入射X線光子の相互作用の点の推定値を決定するステップを更に含んでいる。
例えば、主面に検出器素子が分布する2つの方向(x,z)のうちの少なくとも1つの方向における入射X線光子の相互作用の点の推定値を決定するステップは、X線検出器サブモジュール又はウェハの主面に検出器素子が分布する2つの方向(x,z)のうちの1つの方向又は両方の方向におけるチャージクラウドプロファイルの情報に基づいて実行することができる。
図17は、チャージクラウドのx方向におけるチャージクラウドプロファイルの一例を示す概略図である。
図18は、チャージクラウドのz方向におけるチャージクラウドプロファイルの一例を示す概略図である。
一例として、この図では、1つ以上のチャージクラウドプロファイル(例えば、図17及び図18参照)を決定し、加重平均法及び/又は最小二乗法などの任意の一般的なカーブフィッティング方法を用いてカーブフィッティングを実行することが示されている。例えば、曲線がピークを持つ箇所を見つけ出し、そのピークを、特定の方向における相互作用の点として識別すると、解像度を、サブピクセル解像度にまで(例えば、1umの解像度にまで)向上させることができる。これは、従来のX線イメージングシステムの空間分解能が約1mmであることと対照的である。
あるいは、どの画素22が最も高い電荷を検出したかを表す情報を相互作用の点として使用することが可能である。例えば、主面側に検出器素子が分布する2つの方向(x,z)のうちの少なくとも1つの方向における入射X線光子の相互作用の点の推定値を決定するステップは、最も高い電荷を検出した画素を相互作用の点として識別することにより実行することができる。
しかし、上記のように適切なカーブフィッティングを使用することによって、サブピクセルの解像度を得ることができることを理解しておくべきでる。
先に示したように、本発明者らは、検出器サブモジュール又はウェハの厚さ(y)方向において、光子の検出点が最初の相互作用点から大きく異なる場合があることに気が付いた。
分析と実験を注意深く行った後、本発明者らは、電荷拡散又はチャージクラウドの形状、特に幅が、X線検出器の着目している検出器サブモジュール又はウェハの厚さ方向における最初の相互作用の点から検出点までの距離に依存することを更に認識した。このことが、異なる3つの距離又は深さ(100μm、300μm、及び600μm)に対して図19に概略的に示されている。
例として、チャージクラウドの断面が円形ではなく、楕円形や他の形状であり、それによってz-x面内において異なる方向に異なる広がりを持つ場合、チャージクラウドの断面の最小幅を電荷拡散の関連指標として使用することが推奨される。
チャージクラウドが移動する間に電荷は拡散し、この拡散は、静電反発によって加速される。誘導電流は、前面の近くで発生する電荷の移動が支配的である。拡散は時間の関数であるため、相互作用が裏面の近くで発生した場合(時間が長い)、前面の近くで発生した場合(電荷キャリアが寄与する拡散が無視できる)と比較して、(前面において収集されると)チャージクラウドの幅が広くなる。全エネルギー(電子正孔クラウドの積算電荷)とクラウドの幅を知ることで、エッジオンウェハの厚み方向における相互作用点の推定が可能になります。
フォトンカウンティング検出器の領域で、同時又はほぼ同時のイベントが隣接する検出器素子で(x-y平面内で)検出されると、入射X線光子と半導体材料との間の相互作用点を示す(z方向における)深さ情報を得ることもできる。したがって、図19に概略的に示すように、検出面積が広いほど電荷拡散が広くなり、これは、検出面積が小さく電荷拡散が狭い(例えば100μm)場合と比較して、相互作用点が遠くに離れていること(例えば600μm)を意味する。実験によれば、分解能はかなり改善され、例えば50μmまで改善できることが示されている。これは、相互作用がどのウェハで発生したかを単に知ることと比較して、かなりの改善点である。また、最初の相互作用点がウェハの厚み方向のどの場所で発生したかを、約50μmの解像度の範囲内で知ることもできる。
図20は、一実施形態による、チップ又はウェハとも呼ばれる検出器モジュールの概略図である。この例では、検出器モジュール21は、半導体基板又は半導体材料を含んでおり、これは、半導体基板に配置された複数のアクティブ統合型画素を含んでいる。特定の実施形態において、複数のアクティブ統合型画素は、図に示すように、半導体基板の主面(表面)において、グリッドパターン若しくはマトリクスパターン、又は他のパターンで配置される。また、この図には、X線源に対向するエッジであって、検出器モジュールにおいてX線の入射が行われるエッジに対して、異なる深さセグメントの画素の配置が示されている。
一実施形態において、検出器モジュールは、アナログ処理回路及び/又はデジタル処理回路などの他の処理回路も含んでおり、この図では、読出回路、制御回路、及びアナログ-デジタル変換(ADC)回路として例示されている。これらの他の処理回路は、1つ以上のASICに実装されていてもよいし、1つ以上のASICとして実装されていてもよい。
他の処理回路は、半導体基板において、複数のアクティブ統合型画素と同じ主面(表面)に配置されることが有利である。その場合、他の処理回路は、図に示すように、主面の一部において、X線源及び入射X線から離れたエッジ側に配置される、又はそのエッジに関連するように配置されることが好ましい。この実施形態では、検出器モジュールにおいて他の処理回路用に使用される部分を減少することによって、検出器モジュールのデッドエリアが減少する。更に、他の処理回路は、入射エッジから最も離れて配置されることによって、入射X線から保護される。
また、図20は、読出し電子回路及び相互接続部とともに、いわゆる検出ダイオード(電極)を有するアクティブ統合型画素を概略的に示している。このような各アクティブ統合型画素は、典型的には、μm範囲のサイズを有する。一実施形態では、アクティブ統合型画素は正方形であり、典型的には、検出器モジュール内の全てのアクティブ統合型画素は同じ形状及びサイズを有する。しかしながら、図21に示すように、長方形などの他の形状の画素を使用すること、及び/又は、同じ検出器モジュール内に異なるサイズ及び/又は異なる形状のアクティブ統合型画素を有することが可能である。図21において、アクティブ統合型画素は、同じ幅を有するが、深さ方向の長さは異なっている。例えば、アクティブ統合型画素の深さ方向の長さは、異なる深さセグメントに対して、X線が入射する検出器モジュールのエッジまでの距離に従って増加する。これは、当該エッジにおけるアクティブ統合型画素は、反対側のエッジに最も近いアクティブ統合型画素と比較して、深さ方向の長さが小さいことが好ましいことを意味する。このような実施形態では、検出器モジュールは、異なる2つ以上の深さを有するアクティブ統合型画素を含んでいてもよい。
異なる画素深さ、特に深さセグメントに応じた画素深さ又は検出器モジュールにおいてX線が入射するエッジまでの距離に応じた画素深さを使用して、アクティブ統合型画素でイベントを検出する確率又は尤度を調整することができる。
提案される技術の特定の態様によれば、全てのアナログ信号処理又は一部のアナログ信号処理(例えば、図4に例示したアナログ処理)を画素に統合し、これによって、いわゆるアクティブ統合型画素を形成することができる。
前述のように、本発明の一態様は、エッジオンフォトンカウンティング検出器に関する。エッジオンフォトンカウンティング検出器は、入射X線に面するエッジを有する少なくとも1つの検出器モジュールを含んでいる。少なくとも1つの検出器モジュールは、半導体基板を含んでいる。
特定の例では、エッジオンフォトンカウンティング検出器は、半導体基板に配置された複数のアクティブ統合型画素も含んでいる。
一実施形態では、エッジオンフォトンカウンティング検出器は、並べて配置された及び/又は積層して配置された複数の検出器モジュールを含んでいる。
エッジオンフォトンカウンティング検出器は、典型的には、検出器モジュールの半導体材料としてシリコンを使用して製造される。
シリコンの低い阻止能を補うために、検出器モジュールは、典型的には、そのエッジをX線源に向けたエッジオン・ジオメトリで配置され、これによって吸収厚さが増加する。臨床CTにおける高い光子束に対処するため、アクティブ統合型画素の構造を深さ方向に分割することが好ましく、これは個々のアクティブ統合型画素をシリコン基板の深さセグメントに埋め込むことによって実現される。
特定の実施形態では、半導体基板は、フロートゾーン(FZ)シリコンで作製される。FZシリコンは、垂直ゾーンメルティング法によって得られる純度の高いシリコンである。垂直の配置では、溶融シリコンは、装入部分が分離しないように十分な表面張力を有する。格納容器を必要としないため、シリコンの汚染を防ぐことができる。そのため、FZシリコンの軽不純物の濃度は極めて低い。FZシリコンウェハの直径は、成長時の表面張力の限界によって、一般に200mmより大きくはない。電子産業用の超高純度シリコンの多結晶ロッドをRF加熱コイルに挿入して、局所的に溶融ゾーンを形成して、そこから結晶インゴットを成長させる。結晶の成長を開始するために、一端に種結晶が使用される。すべての工程は、真空チャンバ又は不活性ガスパージで行われる。溶融ゾーンは不純物を運び、したがって、不純物濃度を低下させる。コアドーピング、ピルドーピング、ガスドーピング、中性子変換ドーピングなどの特殊なドーピング技術を使用して、均一な濃度の不純物が含まれるようにしてもよい。
半導体基板は、一実施形態では、高抵抗FZシリコンなどの高抵抗シリコンで作製される。本明細書において、高抵抗シリコンは、1kΩcmより大きいバルク抵抗率を有する単結晶シリコンとして定義される。
複数のアクティブ統合型画素は、半導体基板にアクティブ統合型相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画素として実装してもよい。したがって、アクティブ統合型画素のアナログ回路は、CMOS技術を使用して製造してもよい。
図22~図25は、画素内に異なるアナログ読み出し電子回路を有するアクティブ統合型画素の様々な実施形態を示す図である。これらの図において、画素の電流生成部は、電流パルス又はダイオード信号を出力するダイオードとして図示されている。
図22は、アクティブ統合型画素又はダイオードによって生成された電流パルスに基づいて出力信号を生成する増幅器を含むアクティブ統合型画素の一実施形態を示す図である。一実施形態では、増幅器は、電流パルスを積分して電圧信号にする電荷有感型増幅器(CSA)である。
増幅器(好ましくは、CSA)からの出力信号(電圧信号など)は、この実施形態では、検出器モジュールの半導体基板に配置された外部処理回路(1つ以上のASICの形態など)に送られる(図20及び図21のREAD-OUT(読出し)、CTRL(制御)、及びADC参照)。
検出器モジュールのアクティブ統合型画素の数が増加すると、画素あたりのカウント数は減少し、ノイズの要件も緩和される。このことは、比較的低消費電力で低帯域幅の増幅器をアクティブ統合型画素に使用できることを意味する。更に、ダイオードの性質上、シングルエンドの増幅器が好ましい。このため、あまり複雑ではない増幅器を使用することが可能になる。ダイオードの容量が小さいほど、増幅器からの基準入力ノイズは、大きな画素サイズを使用する場合と比較して、支配的でなくなる。
図23は、アクティブ統合型画素の他の実施形態を示す図である。この実施形態では、増幅器に加えて、パルス整形器(整形フィルタとも呼ばれる)が含まれている。このパルス整形器は、増幅器からの出力信号をフィルタリングするように構成されている。
ダイオードからの電流パルスは、CSAを使用して積分することが好ましい。このとき、一般的には、CSAの出力に動きの遅い(slow-moving)電圧が発生する。この挙動を補償するために、ポールゼロ相殺回路などの相殺回路(CC)が配置され、CSA及びパルス整形器に接続される。このポールゼロCCは、電荷積分/電流積分を維持したままCSAの遅い応答をキャンセルする又は少なくとも抑制する。従って、代わりに、パルス整形器のシェーパ積分時間によって時定数が決定される。
パルス整形器からの出力信号は、この実施形態では、検出器モジュールの半導体基板に配置された外部処理回路(1つ以上のASICの形態など)に送られる(図20及び図21のREAD-OUT(読出し)、CTRL(制御)、及びADC参照)。
図24は、アクティブ統合型画素の他の実施形態を示す図である。この実施形態は、パルス整形器に接続されたアナログ記憶部であって、パルス整形器の下流に配置されたアナログ記憶部を含んでいる。このアナログ記憶部は、パルス整形器からの出力信号を少なくとも一時的に記憶及び保存するように、アクティブ統合型画素に実装することができる。これにより、制御信号(ctrl)に基づいて、又は予定された時刻に(例えば、クロック信号(clk)に基づいて制御される)、アクティブ統合型画素及びアナログ記憶部からのデータの読出しを制御することができる。
図24に示すようなアナログ記憶部は、図22に示すような実施形態(すなわち、パルス整形器のない実施形態)においても使用することができる。その場合、アナログ記憶部は、増幅器(CSA)に接続されるか、又はポールゼロCCを通じて増幅器(CSA)に接続される。
図25に示すような更に別の実施形態では、画素は、この図において比較器として表されるイベント検出器を含んでいる。そして、このイベント検出器は、パルス整形器からの出力信号のパルス振幅を閾値(この図において、ノイズ閾値)と比較することにより、光子イベントを検出する。
特定の実施形態では、イベント検出器は、パルス振幅を閾値と比較することに基づいてトリガ信号を生成し、好ましくは、パルス振幅が閾値以上であるか、又は閾値を超える場合、トリガ信号を生成する。
この実施形態では、アナログ記憶部の読出しは、イベント検出器によって出力されるトリガ信号によって制御することができる。したがって、アナログ記憶部のデータの読出しは、ノイズ閾値によって表されるノイズフロアを超える(又はノイズフロアに等しい)パルス振幅を有するような光子イベントをアクティブ統合型画素が検出したことをイベント検出器が確認したときにのみ行われることが好ましい。
言い換えれば、イベント検出器として機能する比較器を使用して、典型的にはアクティブ統合型画素の外部に配置された読出回路に信号を送ることができる(図20及び図21のREAD-OUTを参照)。この読出回路は、イベント検出器からのトリガ信号に基づいて、アナログ記憶部のデータを読み出す。そして、読み出されたデータに対して、閾値と比較される(T1-TN)(図4参照)及び/又はADCでデジタル化される(図20及び21参照)などの他の処理を実行することができる。
アナログ記憶部のデータの読出しが行われない場合、例えば、先入れ先出し(FIFO)方式で動作させることによって、アナログ記憶部のデータを連続的にフラッシュすることができる。これにより、アナログ記憶部から非同期でデータを読み出すことができ、その結果、読出しの間の消費電力を削減することができる。
イベント検出器からのトリガ信号は、検出器モジュールの隣接するアクティブ統合型画素に供給され、それらの画素がデータを記憶するように画素をトリガし、次に、そのデータを読み出して更に処理されるようにすることもできる。これにより、ノイズ閾値を超えなくてもデータの特性を検出することができる。
別の実施形態では、アナログ記憶部の読出しは、アクティブ統合型画素のイベント検出器からのトリガ信号だけでなく、検出器モジュールの少なくとも1つの隣接するアクティブ統合型画素からのそれぞれのトリガ信号によって実行される。
アクティブ統合型画素を実装することにより、従来のソリューションと比較して、画素のサイズを小さくすることができる。アクティブ統合型画素サイズを小さくすることによって、検出器サブモジュールの複数のアクティブ統合型画素は、単一のX線光子によって生成されたチャージクラウドを検出することができる。これにより、例えば先に説明したように、エッジオンフォトンカウンティング検出器の特定の検出器サブモジュールにおけるコンプトン相互作用又はX線光子に関連する光効果による相互作用に由来する電荷拡散の推定値を決定すること、及び、電荷拡散の決定された推定値に少なくとも部分的に基づいて検出器サブモジュールの厚さ方向におけるX線光子の相互作用の初期点を推定することができる。
本明細書に記載された方法及び装置は、様々な方法で組み合わせたり再構成できることが理解される。
例えば、特定の機能をハードウェアで実装してもよいし、ソフトウェアで実装して適切な処理回路で実行するするようにしてもよいし、それらを組み合わせてもよい。
本書に記載された工程、機能、手順、モジュール及び/又はブロックは、汎用電子回路及び特定用途向け回路の両方を含めて、半導体技術、ディスクリート回路又は集積回路の技術など、任意の従来技術を使用して、ハードウェアで実装することができる。
特定の例としては、1つ以上の適切に構成されたデジタルシグナルプロセッサや他の既知の電子回路、例えば特殊な機能を実行するために相互接続されたディスクリート論理ゲートや特定用途向け集積回路(ASIC)などがある。
あるいは、本明細書に記載された工程、機能、手順、モジュール及び/又はブロックの少なくとも一部は、1つ以上のプロセッサ又は処理ユニットなどの適切な処理回路によって実行されるコンピュータプログラムなどのソフトウェアで実装されてもよい。
処理回路の例としては、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、1つ以上の中央処理装置(CPU)、ビデオ加速ハードウェア、及び/又は、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は1つ以上のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)などの任意の適切なプログラマブル論理回路があるが、これらに限定されることはない。
また、提案された技術が実装された従来の装置やユニットの一般的な処理能力を再利用することが可能であることも理解されるべきである。また、既存のソフトウェアを再プログラミングすることによって、あるいは新しいソフトウェアコンポーネントを追加することによって、既存のソフトウェアを再利用することも可能である。
別の態様によれば、X線検出器システム及び/又は同時計数検出システムを含むX線イメージングシステムが提供される。
例として、X線撮像装置は、コンピュータ断層撮影(CT)装置とすることができる。
特定の実施例では、X線イメージングシステムは、X線検出器システムに接続された、画像再構成を行う関連する画像処理装置を更に含む。
第4の態様によれば、対応するコンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品が提供される。
特に、命令を含むコンピュータプログラムが提供される。この命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載の方法を実行させる。
例えば、このようなコンピュータプログラムが格納された非一過性のコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品も提供することができる。
図26は、一実施形態によるコンピュータ実装の一例を示す概略図である。この特定の例では、システム200は、プロセッサ210とメモリ220とを含んでいる。メモリ220は、プロセッサによって実行可能な命令を含み、それによって、プロセッサは、本明細書に記載の工程及び/又は動作を実行するように動作可能である。命令は、典型的には、コンピュータプログラム225及び235として構成される。命令は、メモリ220に予め構成されていてもよいし、外部メモリデバイス230からダウンロードしてもよい。任意選択で、システム200は、入力パラメータ及び/又はその結果得られる出力パラメータなどの関連データの入力及び/又は出力をすることができるようにプロセッサ210及び/又はメモリ220に相互接続することができる入力/出力インタフェース240を含む。
特定の実施例では、メモリは、プロセッサによって実行可能な命令のセットを含み、これによって、プロセッサは、電荷拡散の推定値又は測定値を決定し、電荷拡散の決定された推定値に基づいて検出器サブモジュールの厚さ方向における相互作用の初期点を推定するように動作可能である。
用語「プロセッサ」は、プログラムコード又はコンピュータプログラム命令を実行して、特定の処理、判断、又は計算タスクを実行することができる任意のシステム又はデバイスとして、一般的な意味で解釈されるべきである。
このように、1つ以上のプロセッサを含む処理回路は、コンピュータプログラムを実行する際に、本明細書で説明するような明確に定義された処理タスクを実行するように構成される。
処理回路は、上述した工程、関数、手順及び/又はブロックの実行のみに特化する必要はなく、他のタスクを実行してもよい。
提案された技術は、コンピュータプログラムを格納したコンピュータ読取り可能な媒体220及び230を含むコンピュータプログラム製品も提供する。
例として、ソフトウェア又はコンピュータプログラム225及び235は、コンピュータプログラム製品として実現されてもよく、一般には、コンピュータ可読媒体220及び230、特に不揮発性媒体に担持又は格納される。コンピュータ可読媒体は、1つ以上の取外し可能なメモリ装置を含んでいてもよいし、取外しができないメモリ装置を含んでいてもよく、これらのメモリ装置としては、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ブルーレイディスク、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)記憶装置、フラッシュメモリ、磁気テープ、又は他の任意の従来のメモリデバイスがあるが、これらに限定されることはない。したがって、コンピュータプログラムは、コンピュータ又は同等の処理装置の動作メモリにロードされ、その処理回路によって実行することができる。
メソッドフローは、1つ以上のプロセッサによって実行される場合、コンピュータの動作フローと考えることができる。対応するデバイス、システム及び/又は装置は、機能モジュールのグループとして定義されてもよく、プロセッサによって実行される各ステップは、機能モジュールに対応する。この場合、機能モジュールは、プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムとして実装される。したがって、デバイス、システム及び/又は装置は、代替的に、機能モジュールのグループとして定義することができ、機能モジュールは、少なくとも1つのプロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムとして実装される。
したがって、メモリに常駐するコンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されたときに、本明細書に記載の工程及び/又はタスクの少なくとも一部を実行する適切な機能モジュールとして構成することができる。
また、そのモジュールを主にハードウェアモジュールで実現することも可能であり、純粋なハードウェア論理としてのハードウェアで実現することも可能である。ソフトウェアとハードウェアとの割合は、単に実装の選択によるものである。
図27は、X線検出器に入射する放射線に関する情報を取得又は決定する方法の一例を示す模式的なフロー図である。
基本的に、この方法は、以下のステップを含む。
S1:X線を検出するフォトンカウンティングX線検出器を使用するステップであって、前記フォトンカウンティングX線検出器は、局在したX線源から放出される160keV未満の最大エネルギーを有する広エネルギー帯域のX線スペクトルで動作する、ステップ
S2:前記フォトンカウンティングX線検出器における光子相互作用のタイミング情報を検知するステップ
S3:前記タイミング情報と前記X線検出器に対する前記X線源の位置に関する情報とに基づいて、前記X線検出器に入射するX線に関する情報であって、特定の領域における入射光子の数、入射光子の空間分布、及び入射光子のエネルギー分布のうちの少なくとも1つの表現形式を含む情報を取得する又は決定するステップ
特定の非限定的な例では、前記X線検出器に入射するX線に関する情報を取得する又は決定するステップは、以下のステップを含む。
前記X線検出器に入射した単一の光子から得られる前記セットの格子相互作用の尤度に基づいて、光子相互作用の少なくとも1つのセットを識別するステップであって、前記セットの光子相互作用に関する検知されたタイミング情報が、単一の入射光子に起因する前記セットの全ての光子相互作用に一致し、
前記尤度は、前記X線検出器に対する前記X線源の位置と、
コンプトン散乱の式と、クライン-仁科の式と、ランベルト-ベールの法則と、光電効果、コンプトン効果、又はレイリー散乱に対するX線相互作用の断面積と、光子輸送のシミュレーションのうちの少なくとも1つと
に基づくものである、ステップ、及び
光子相互作用の前記セット又は前記尤度に基づいて、特定の領域における入射光子の数、入射光子の空間分布、及び入射光子のエネルギー分布のうちの少なくとも1つに関する情報を取得する又は決定するステップ。
他の例示的かつ任意の方法のステップは、対応する機能として、すなわち様々なシステム及び/又はシステム構成要素によって実行されるステップ及び/又は動作として、システムの説明に関連して既に説明されている。
上述した実施形態は、単に例として説明されたものであり、提案された技術はこれに限定されないことが理解されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対して様々な修正、組み合わせ、及び変更を行うことができることが理解される。特に、異なる実施形態における異なる部分的な解決策は、技術的に可能であれば、他の構成で組み合わせることができる。