JP7625819B2 - 繊維強化成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、強化繊維を含んだ芯材と、芯材が埋設されたマトリックス樹脂と、を有する繊維強化成形体の製造方法に関する。
従来、繊維強化成形体を製造する方法として、RTM(Resin Transfer Molding)法やVaRTM(Vacuum Assisted Resin Transfer Molding)法等が知られている(特許文献1参照)。これらは、強化繊維を含んだ織物を成形型のキャビティに配置したうえで、キャビティ内に未硬化樹脂を注入して、織物に未硬化樹脂を含浸させた後、未硬化樹脂を硬化させて繊維強化成形体を得る方法であり、VaRTM法は、上記のなかでも、未硬化樹脂の含浸を補助するためにキャビティ内を脱気する操作を伴う点でRTM法と異なる。
特開2015-186884号公報
上述のようなRTM法及びVaRTM法は、量産に適しているというメリットがあるものの、3次元立体的な形状、即ち、複雑な立体形状を有する成形体を製造することが困難であるという問題がある。即ち、補強繊維を含んだ織物は、もともと平坦な2次元形状であるため、型成形によって複雑な3次元形状へと賦形することが難しい。従って、上記特許文献1には、RTM法において、芯材7を利用する方法が開示されている。この方法では、芯材7の長手方向へ直線的な形状の繊維強化成形体において優れるものの、例えば、芯材7が分岐された形状にすることは困難である。
このようなことから、複雑な形状の繊維強化成形体は、分割製造された複数のパーツを一体化することによって多く実現される。しかしながら、分割製造されたパーツを一体化するには、接合箇所の強度を得るために、構造が複雑化し易いという問題がある。また、形状の異なる補強構造を組合せて形成される骨格構造等の繊維強化成形体では、接合箇所における強度低下を招き、バランスのよい補強構造が得られ難いという問題を生じる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、複雑な3次元形状を有する繊維強化成形体を製造する際に、各部を分割して製造することを抑制できる繊維強化成形体の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、上記問題を解決するために、本発明は以下に示される。
[1]本発明の繊維強化成形体の製造方法は、強化繊維を含んだ芯材と、前記芯材が埋設されたマトリックス樹脂と、を有する繊維強化成形体の製造方法であって、
前記芯材となる繊維集合体を、中型(中子等)の周面に沿わせて固定する固定工程と、
固定された前記繊維集合体を前記マトリックス樹脂に埋設した後、前記中型を解体、変形又は減容して、前記繊維強化成形体を取り出す取出工程と、を備えることを要旨とする。
[2]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記繊維集合体は、前記強化繊維を含む連続繊維を束ねた繊維束と、前記繊維束が縫着された基層と、を有し、
前記繊維束が、前記基層上に複列に並ぶように縫着された帯状部を有することができる。
[3]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記固定工程は、前記帯状部を、前記中型の前記周面に巻き付けるように沿わせる工程を含むことができる。
[4]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型は、前記繊維集合体の厚みを収容する凹部を前記周面に有することができる。
[5]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型は、前記繊維集合体に設けられた貫通孔に係合する凸部を前記周面に有することができる。
[6]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記固定工程は、前記中型の前記周面に沿わせた前記繊維集合体の外表面側から前記中型へ向けて係止具を打ち込んで行うことができる。
[7]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型は、解体可能な材料から形成されており、
前記材料が、粒状物を結着剤で結着した結着物、及び、粒状物が凝集された凝固物から選択されたものとすることができる。
[8]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型は、加熱溶融可能な材料から形成されており、
前記材料が、熱可塑性組成物であるものとすることができる。
[9]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記繊維強化成形体は、隣り合った2つの補強孔H及び補強孔Hを含む、補強構造を形成するための複数の補強孔を有し、
前記補強孔Hの開口面と、前記補強孔Hの開口面と、が互いに異なる平面に属することができる。
本発明の繊維強化成形体の製造方法によれば、複雑な3次元形状を有する繊維強化成形体を製造する際に、各部を分割して製造することを抑制できる。
より具体的には、RTM法及びVaRTM法に伴って生じる量産に適するというメリットを享受しつつ、従来に比べて、より複雑な繊維強化成形体(例えば、補強構造を備えた骨格構造物等)を分割製造することなく、一体的に製造することができる。このため、繊維強化成形体を、接続箇所の発生を抑制して効率よく製造できる。また、接続箇所の発生を抑制できるために、接続に要する形状の複雑化や重さの増大が抑制された繊維強化成形体を得ることができる。そして、よりスムーズな形状を実現し、均一な強度バランスを有する繊維強化成形体を得ることができる。更に、従来であれば、孔設されていない成形体を得たうえで、必要な箇所へ孔設を行って実現できた開口補強構造を、孔設工程を行うことなく、低工数で得ることができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
本発明の繊維強化成形体の製造方法の一例を説明する説明図である。 繊維集合体の一例を説明する説明図である。 縫着型の繊維集合体の縫着態様を説明する説明図である。 縫着型の繊維集合体の縫着態様を説明する説明図である。 固定工程を説明する説明図である。 繊維強化成形体の一例を説明する説明図である。 繊維強化成形体の一例を説明する説明図である。 繊維強化成形体の一例を説明する説明図である。 繊維強化成形体の他例を説明する説明図である。
ここで示される事項は、例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
尚、図2(b)では、縫糸175を図示するが、その他の図では煩雑になるため縫糸175の図示を省略する。また、図面における図1内の(a)図は、明細書内において図1(a)又は図1aと記載する。
本発明の繊維強化成形体の製造方法は、強化繊維(12)を含んだ芯材(13)と、芯材(13)が埋設されたマトリックス樹脂(15)と、を有する繊維強化成形体(1)の製造方法である(図1及び図9参照)。
この製造方法は、固定工程(R1)と、取出工程(R2)と、を備える。
このうち、固定工程(R1)は、芯材(13)となる繊維集合体(14)を、中型(20)の周面(201)に沿わせて固定する工程である。
また、取出工程(R2)は、固定された繊維集合体(14)をマトリックス樹脂(15)に埋設した後、中型(20)を解体、変形又は減容して、繊維強化成形体(1)を取り出す工程である。
[1]固定工程
固定工程R1は、芯材13となる繊維集合体14を、中型20の周面201に沿わせて固定する工程である(図1a、図1b、図1c参照)。
(1)芯材及び繊維集合体
芯材13は、繊維強化成形体1内において、マトリックス樹脂15を補強する部分であり、繊維の集合体から形成される。即ち、マトリックス樹脂15が、芯材13の内部にまで含浸された状態で固定(硬化、固化等)され、全体として高い強度を有する繊維強化成形体1となっている。従って、マトリックス樹脂15のみからなる樹脂部材に比べ、樹脂内に芯材13が加わることで、繊維強化成形体1は機械的強度が増強されたものとなる。
尚、本明細書では、繊維強化成形体1の一部をなす繊維の集合体を芯材13と称し、繊維強化成形体1が完成される以前の芯材13を繊維集合体14と称する。芯材13と繊維集合体14とは、上述の通り、基本的には同じものであることから、以下では、繊維集合体14を用いて説明するが、芯材13も同様である。
繊維集合体14の形態は限定されない。例えば、不織布、織物、編物及び繊維束(トウ)並びにこれらの複合形態とすることができる。
上記のうち、繊維束17は、連続繊維171を束ねた形態であり、連続繊維171の一部又は全部として強化繊維12が含まれる。尚、繊維束17は、強化繊維12のみから形成されてもよいし、強化繊維以外の他の繊維172を含んでもよい。
また、上記のうち、複合形態は、不織布、織物、編物及び繊維束のうちの2種以上を組合せた形態である。具体的には、繊維束が基層に固定された形態が挙げられる。固定手段は限定されず、例えば、縫着、接着、融着等の手段のうちの1種又は2種以上を採用できる。即ち、繊維集合体14は、繊維束17と、繊維束17が縫着された基層18と、を有し、繊維束17が、基層18上に縫着された形態等とすることができる。繊維束17は、基層18の一面のみに縫着されてもよいし、基層18の両面に縫着されてもよい。
縫着型の繊維集合体14では、基層として、不織布、織物及び編物等のうちの1種又は2種以上を採用できる。即ち、例えば、繊維束17が織物製の基層18に縫着された形態や、繊維束17が不織布製の基層18に縫着された形態が挙げられる(図2参照)。
このように、繊維束17が基層18に縫着された形態の繊維集合体14(以下、この形態の繊維集合体14を「縫着型の繊維集合体」ともいう)(図2及び図4参照)では、繊維束17は、縫糸175によって縫着される。縫糸175のどのような繊維を用いてもよい。即ち、後述する強化繊維と同様の繊維を用いてもよく、強化繊維以外の他の繊維を用いてもよい。
また、縫着型の繊維集合体14における基層18は、上記のなかでも、織物が好ましい。織物である場合は、繊維束17を縫着し易いこと、縫着した際の縫糸175に対する拘束が高いこと、基層18として柔軟性に優れること、更には、マトリックス樹脂(未固化物)を含浸させ易いこと等の利点を有する。基層18が織物である場合、この織物を構成する繊維には、どのような繊維を用いてもよい。即ち、後述する強化繊維と同様の繊維を用いてもよく、強化繊維以外の他の繊維を用いてもよい。
更に、縫着型の繊維集合体14では、通常、基層18の形状が、繊維集合体14の全体概形を決定する。例えば、基層18が帯状部141を有する場合、その形状に応じて、繊維集合体14も帯状部141を有することができる(図1、図2、図5参照)。
尚、縫着型の繊維集合体14では、上述の通り、繊維束17が基層18に縫着された領域(縫着領域)を有することができるが、その他に、繊維束17が基層18に縫着されずに基層18から離間可能に配された領域(非縫着領域)を有することができる。
上述の通り、繊維束17を基層18に固定する手段として縫着を選択した場合、縫糸175のテンションにより、繊維束17の拘束の程度を自在に制御できる。従って、基層18に対して繊維束17を強固に固定しながら、繊維束17の可動性(基層18に対する可動性、及び/又は、繊維束17同士の間の可動性)を、繊維束を製織してなる織布等と比較してより多く確保できる。その結果、例えば、縫着領域における繊維集合体14の柔軟性を高く保つことができる。
更に、縫着領域において、繊維束17は、どのように縫着してもよいが、基層18に対して複列に並ぶように平面状に配置することができる。より具体的には、所定面を埋めるように複数本の繊維束17を引き揃えて縫着(図3a参照)することができる。更に、繊維束17を折りたたんで所定面を埋めるように縫着することができる。より具体的には、1本の繊維束17を蛇腹状に折り畳んで配置(図3b参照)することができる。また、螺旋状(円螺旋、多角形螺旋等)に巻回することによって折り畳んで配置(図3c参照)することができる。これらの縫着態様は、1種のみを用いてよく2種以上を併用してもよい。また、当然ながら、これら以外の縫着態様を利用できる。
また、繊維束17の縫着は、基層18に対して1層となるように敷き詰めて縫着(図4a参照)してもよいし、2層以上となるように複層に敷き詰めて縫着(図4b及び図4c参照)してもよい。更に、基層18の表裏に各々敷き詰めて縫着してもよい。また、2層以上に敷き詰めて縫着する場合や、表裏に敷き詰めて縫着する場合には、一層を構成する繊維束17の配列方向と、隣接される他層を構成する繊維束17の配列方向と、は平行に配置してもよいが、配列方向が異なるように、交差させて配置(図4b及び図4c参照)できる。この場合、交差角度は90度以下(0度<θ≦90度)にすることができる。
更に、前述の通り、芯材13は強化繊維12を含む(図2b参照)。即ち、繊維集合体14も強化繊維12を含んでいる。繊維集合体14は、どの部分に強化繊維12を含んでもよい。即ち、例えば、縫糸175として強化繊維12を含んでもよいし、基層18として強化繊維12を含んでもよいが、とりわけ、繊維束17として強化繊維12を含むことが好ましい。
強化繊維12は、通常の繊維に比べて機械的強度に優れる繊維であり、例えば、JIS L1015による引張強さにおいて7cN/dtex以上(通常50cN/dtex)を有する繊維が好ましい。
強化繊維12は、無機材料からなる繊維であってもよく、有機材料からなる繊維であってもよく、これらを併用した繊維であってもよい。無機材料繊維としては、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、ガラス繊維、金属繊維などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、有機材料繊維としては、芳香族ポリアミド樹脂繊維(パラ型アラミド:商品名「ケブラー」、商品名「トワロン」、商品名「テクノーラ」等、メタ型アラミド:商品名「ノーメックス」、商品名「コーネックス」等)、ポリベンズアゾール樹脂繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、商品名「ザイロン」等)、芳香族ポリエステル樹脂繊維(商品名「ベクトラン」等)、高強度ポリエチレン樹脂繊維(商品名「ダイニーマ」)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、強化繊維12の繊維形態は限定されず、スパンヤーンであってもよく、フィラメントヤーンであってもよく、これらの併用形態であってもよいが、これらのなかでは、フィラメントヤーンであることが好ましい。更に、強化繊維12は、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよく、これらを併用してもよい。
繊維集合体14は、構成繊維の全てが強化繊維12からなってもよいし、部分的に強化繊維12を含んでもよい。強化繊維12による構成率は限定されないが、繊維集合体14をなす全構成繊維100質量%に対し、強化繊維12の含有割合は50質量%以上(100質量%でもよい)にすることができ、75質量%以上にすることができ、90質量%以上にすることができる。即ち、繊維集合体14が、強化繊維以外の他繊維を含む場合、構成繊維全体を100質量%とした場合に、他繊維は50質量%未満(1質量%以上)にすることができ、25質量%未満にすることができ、10質量%未満にすることができる。
強化繊維12以外の他繊維の構成材料は限定されず、上述した強化繊維以外の繊維を利用できる。具体的には、各種の樹脂繊維及び植物性繊維等を用いることができ、このうち樹脂繊維を構成する樹脂として、ポリアミド(脂肪族ポリアミド等)、ポリエステル(芳香族ジカルボン酸由来の構成単位を有するポリエステル等)等を利用できる。また、植物繊維としては、綿繊維及び麻繊維等を用いることができる。
また、他繊維の繊維形態も限定されず、スパンヤーンであってもよく、フィラメントヤーンであってもよく、これらの併用形態であってもよい。
また、繊維束17は、どのように束化されていてもよい。複数の連続繊維が単に引き揃えただけの状態であってもよいし、糸(束化用の糸)を用いて複数の連続繊維が結束されていてもよいし、接着剤、粘着剤、熱融着剤等の他剤を介して連続繊維同士が結着されて束化されていてもよく、更に、その他の方法によって束化されてもよい。
1本の繊維束17を構成する連続繊維の本数は限定されず、例えば、3000本以上とすることができる。繊維束17を構成する連続繊維の本数が3000本以上であることにより、柔軟でありながら繊維集合体14及び芯材13として優れた強度を発揮させることができる。この本数は限定されないが、例えば、3000本以上100000本以下とすることができ、更に5000本以上70000本以下とすることができ、更に7000本以上50000本以下とすることができ、更に10000本以上30000本以下とすることができる。
また、繊維束17を扱う際の作業性を考慮した場合、1本の繊維束17を構成する連続繊維の本数が多い繊維束(太束)を用いることができる。この場合、1本の繊維束17を構成する連続繊維の本数は、例えば、30000本以上とすることができ、更に40000本以上とすることができ、更に60000本以上とすることができる。一方、1本の繊維束17を構成する連続繊維の本数は、例えば、1500000本以下、更に1000000本以下とすることができる。
(2)中型
中型20は、繊維集合体14を周面201に沿わせて固定するための部材であり、マトリックス樹脂15が固化された後に、除去される部材である(図1、図5、図6参照)。
また、中型20は、結果として、繊維集合体14に立体形状を与える部材である。通常、繊維集合体14は、平面形状をなしており、中型20の周面201へ沿わせて固定することで、立体形状を有することとなる。更に、中型20は、中子のように、外型21(例えば、上型、下型、主型等)から独立した型であってもよいし、外型21の一部として突設された型であってもよい。
また、中型20は、本発明では、複雑な立体形状を有することで本発明の効果をより顕著に得ることができる。中型20は、どのように形成してもよく、種々の立体造形方法を利用できることから、例えば、3Dプリンティングの活用もその1つの方法に含まれる。3Dプリンティングにより得られた造形をそのまま中型20として利用してもよいし、得られた造形を手直しした後、再度、型取りして雌型を形成し、次いで、雌型内に中型20となる材料を投入して、雄型としての中型20を得ることもできる。
尚、中型20の構成等については、取出工程R2の説明において詳述する。
繊維集合体14を中型20に対して固定する際には、どのような手法を用いてもよいが、例えば、中型20は、繊維集合体14の厚みの一部又は全部を収容する凹部203(図1a参照)を周面201に有することができる。凹部203を有することにより、繊維集合体14は、この凹部203へ嵌め込んで固定できる。また、凹部203は、繊維集合体14へ未硬化樹脂等を含浸させる際には、繊維集合体14が樹脂の含浸圧力によって移動することを抑制する機能を発揮できる。
また、中型20は、繊維集合体14に設けられた貫通孔143(図1b参照)に係合する凸部205(図1a参照)を周面201に有することができる。凸部205を有することにより、繊維集合体14に設けられた貫通孔143を凸部205へ嵌め込んで固定できる。また、凸部205は、繊維集合体14へ未固化樹脂(未硬化樹脂、溶融樹脂等)を含浸させる際には、繊維集合体14が樹脂の含浸圧力によって移動することを抑制する機能を発揮できる。
更に、中型20の周面201に沿わせた繊維集合体14の外表面側から中型20へ向けて係止具207(図5b参照)を打ち込むことによって固定することができる。具体的には、(1)コの字、Uの字、Lの字などの型をなした係止具、(2)画鋲、釘及びビス等のように幅広な係止部を有する係止具などの各種の係止具207を中型20へ打ち込んで繊維集合体14を周面201へ固定することができる。上記(1)としては、例えば、ステープラ、ホチキス、紙綴器等と称される装置を利用できる。これらの係止具207も、繊維集合体14へ未固化樹脂を含浸させる際には、繊維集合体14が樹脂の含浸圧力によって移動することを抑制する機能を発揮できる。
また、固定工程R1では、繊維集合体14を、中型20の周面201に沿わせて固定する。沿わせることで、繊維集合体14と周面201とは密着することになり、繊維集合体14へ未固化樹脂を含浸させる際には、繊維集合体14が樹脂の含浸圧力によって移動することを抑制できる。
更に、繊維集合体14が帯状部141を有する場合、固定工程R1では、帯状部141を、中型20の周面201に巻き付けるように沿わせることが好ましい。帯状部141を利用して巻き付けることにより、自由度の高い形状設計が可能となる。即ち、平面形状の繊維集合体14を中型20へ巻き付けると、筒形状にしか繊維集合体14を立体化することはできない。これに対して、帯状の繊維集合体14を中型20へ巻き付けると、筒形状に加えて、螺旋形状や分岐形状等を形成できるため、骨格構造を容易に形成できるようになる。例えば、中型20が立方体形状である場合、中型20は、その周面201として6面の正方形を有する。平面形状の繊維集合体14を用いると、これら6面の全てを通るように繊維集合体14を巻回することができないが、帯形状の繊維集合体14では、リボンを掛ける要領により、6面の全てを通る骨格形状を形成できる。
[2]取出工程
取出工程R2は、固定された繊維集合体14をマトリックス樹脂15に埋設した後、中型20を解体、変形又は減容して、繊維強化成形体1を取り出す工程である(図1d、図1e、図1f、図1g参照)。
(1)マトリックス樹脂15
マトリックス樹脂15は、芯材13を埋設している樹脂である。より具体的には、芯材13の内部に行きわたるように含浸されて固定(硬化性樹脂である場合には硬化、熱可塑性樹脂である場合には固化)された樹脂である。このマトリックス樹脂15の含浸方法及び固定方法は、従来公知の各種方法を利用できる。
マトリックス樹脂15の種類は限定されず、種々の樹脂を利用できる。即ち、硬化性樹脂を用いてもよく、熱可塑性樹脂を用いてもよく、これらを併用してもよい。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂(硬化性ポリエステル樹脂)、ウレタン樹脂等が挙げられる。一方、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂)、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
マトリックス樹脂15への埋設は、例えば、固定工程R1の後に、繊維集合体14が固定された中型20の周面201を外型21で覆う外型配設工程と、外型21と中型20との間隙へ未固化樹脂を充填するとともに繊維集合体14へ樹脂を含浸させる充填含浸工程と、繊維集合体14に含浸された樹脂を固化してマトリックス樹脂15を得る固化工程と、を備えて実現できる。
上述のうち、外型配設工程において利用する外型21は、どのようなものであってもよく、金属型及び樹脂型等を利用できる他、袋状物(樹脂製の袋等)を外型21として利用することができる。
(2)繊維強化成形体の取り出し
繊維強化成形体1の取り出しは、中型20を解体、変形又は減容して行う。即ち、中型20は、解体、変形又は減容が可能なものから形成されている。
上記のうち、解体可能な材料(もの)としては、粒状物(粉末を含む)を結着剤で結着した結着物、及び、粒状物(粉末を含む)が凝集された凝固物等が挙げられる。具体的には、前者としては、砂型や圧縮木材等が挙げられる。また、後者としては石膏が挙げられる。これらの中型20には、前述の通り、彫り込み及び/又は切削等の方法により、凹部203、凸部205等を形成できる。また、係止具207の打ち込みも可能である。また、これらの中型20の解体は、加圧、衝撃の付与、切削、研削等の方法により行うことができる。これらの解体方法は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記のうち、加熱溶融可能な材料(もの)、加熱変形可能な材料(もの)、加熱減容可能な材料(もの)、としては、熱可塑性組成物が挙げられる。更に、粒状物が熱可塑性組成物によって結着された結着物、粉末が熱可塑性組成物によって結着された結着物等が挙げられる。
上記の熱可塑性組成物としては、熱可塑性樹脂、ワックス、ろう、低融点金属(スズ、スズ合金等)など、融点以下の温度域において固体となる液体を挙げることができる。中型20の材料として熱可塑性組成物を利用する場合であって、マトリックス樹脂15として熱硬化性樹脂を利用する場合には、熱硬化性樹脂の硬化開始温度(T)より、熱可塑性組成物の融点(T)の方が、25℃以上高い温度となる組合せを用いることが好ましい。この温度は、更に、T-T(℃)≧30がより好ましく、T-T(℃)≧40が更に好ましく、T-T(℃)≧50が特に好ましい。
また、融点(T)は、50℃以上であることが好ましい。この場合には、中型20に対して、彫り込み及び/又は切削等の方法により、凹部203、凸部205等を形成し易い(型成形を行うこともできる)。また、係止具207の打ち込みの観点からも適する。この融点(T)は、60℃以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましい。但し、通常、融点(T)は200℃以下である。
取出工程において、熱可塑性組成物による中型20も、上記と同様に解体できる場合には、解体してもよいが、加熱によって、中型20を減容、変形させることがより好ましい。即ち、加熱によって軟化させたうえで、加圧によって変形させることによって、繊維強化成形体1から取り外したり、加熱によって溶融させることにより、繊維強化成形体1から取り外したり、加熱によって溶解したり、加熱によって消失させることができるのであれば、焼失させて減容してもよい。
中型20の材料として熱可塑性樹脂を用いる場合、例えば、ポリオレフィンを利用できる。ポリオレフィンは低融点材料として利用し易いというメリットを有する。また、ポリアミドを利用できる。ポリアミドは溶融粘度が低いという観点から利用し易いというメリットを有する。
[3]その他の工程
本方法では、上記工程以外にも他工程を備えることができる。即ち、前述の通り、固定工程R1の後であって、取出工程R2の前に、外型配設工程を備えることができる。また、固定工程R1前に、繊維集合体14を得る繊維集合体形成工程を備えることができる。更に、例えば、取出工程R2は、中型20と外型21との間隙へ未固化樹脂を充填する充填工程や、未固化樹脂を固化させてマトリックス樹脂15を得る固化工程等を備えることができる。これらの工程は1種のみを備えてもよいし、2種以上を備えてもよい。
[4]繊維強化成形体
本方法により得られる繊維強化成形体1は、芯材13と、芯材13を埋設するマトリックス樹脂15と、を有する(図6~図9参照)。繊維強化成形体1において、マトリックス樹脂15は、芯材13を埋設している樹脂である。より具体的には、芯材13の内部に行きわたるように含浸されて固定(硬化性樹脂である場合には硬化、熱可塑性樹脂である場合には固化)された樹脂である。このマトリックス樹脂15の含浸方法及び固定方法は、従来公知の各種方法を利用できる。
マトリックス樹脂15の種類は限定されず、種々の樹脂を利用できる。即ち、硬化性樹脂を用いてもよく、熱可塑性樹脂を用いてもよく、これらを併用してもよい。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂(硬化性ポリエステル樹脂)、ウレタン樹脂等が挙げられる。一方、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂)、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
本方法により製造する繊維強化成形体1の形状、大きさ及び厚さ等の寸法は特に限定されないが、例えば、隣り合った2つの補強孔H及び補強孔Hを含む、補強構造を形成するための複数の補強孔Hを有し、補強孔Hの開口面と、補強孔Hの開口面と、が互いに異なる平面に属する形状を有する繊維強化成形体1を製造する場合に適する(図6~8参照)。
具体的には、例えば、開閉式の上下型を用いて、補強孔Hと補強孔Hとを構成する構造部を均質に形成することは困難である。この点、本方法では、中型20を用いるため、上下型とは別個に賦形形状を得ることができる。従って、上述のような形状において特に優れた賦形性を得ることができる。このため、上述のような複雑な3次元形状を有する繊維強化成形体1の製造に際して、各部を分割して製造することを防止できる。それにより、繊維強化成形体1を一体的に製造することができるため、繊維強化成形体1を、接続箇所の発生を抑制して効率よく製造できる。また、接続箇所の発生を抑制できるために、接続に要する形状の複雑化や重さの増大が抑制された繊維強化成形体を得ることができる。そして、よりスムーズな形状を実現し、均一な強度バランスを有する繊維強化成形体1を得ることができる。更に、従来であれば、孔設されていない成形体を得たうえで、必要な箇所へ孔設を行って実現できた開口補強構造を、孔設工程を行うことなく、低工数で得ることができる。
補強孔は、立体造形物内にトラス構造、ラーメン構造、アーチ構造等の強化構造を形成する孔である。即ち、全体として薄板状である立体造形物に事後的に孔を設けることで、この立体造形物内に強化構造を形成することができる。孔を設けていない立体造形物には複雑な力の負荷を生じるが、補強孔を設けることで力が負荷される箇所を明瞭化できるためより高い構造強度を得ることができる。
このような補強孔は、従来であれば、上述の通り、事後的な孔設工程を要したが、本方法では、繊維集合体14を切断せず、繊維集合体14を利用することによる補強特性を低下させることなく、補強孔を予め設けることができる。即ち、孔設工程を要さず、より優れた補強孔を得ることができる。とりわけ、開口面同士が異なる平面に属する2つ以上の補強孔を一括して得ることができる。
同様に、本方法は、無端状で三次元的に連なった帯状部を有する繊維強化成形体1、リング状部、環状部及び開口部のうちの少なくともいずれかを有する繊維強化成形体1、湾曲されたねじれ面を有する帯状部を備えた繊維強化成形体1、立体的に異なる方向へ分岐された帯状分岐部を備えた繊維強化成形体1(図5参照)等の製造において同様に優れる。特に、第1分岐部141aと第2分岐部141bとを有する帯状分岐部を備えた繊維強化成形体1を用いる場合であって、各々の分岐部を中型20の異なる周面201(第1面201a及び第2面201b)へ固定する場合の製造において優れる。
また、本方法により得られる繊維強化成形体1の用途も特に限定されないが、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の外装材、内装材、構造材(ボディシェル、車体、航空機用胴体)及び衝撃吸収材等として用いることができる。これらのうち自動車用品としては、自動車用外装材、自動車用内装材、自動車用構造材、自動車用衝撃吸収材、エンジンルーム内部品等が挙げられる。
具体的には、バンパー、スポイラー、カウリング、フロントグリル、ガーニッシュ、ボンネット、トランクリッド、カウルルーバー、フェンダーパネル、ロッカーモール、ドアパネル、ルーフパネル、インストルメントパネル、センタークラスター、ドアトリム、クオータートリム、ルーフライニング、ピラーガーニッシュ、デッキトリム、トノボード、パッケージトレイ、ダッシュボード、コンソールボックス、キッキングプレート、スイッチベース、シートバックボード、シートフレーム、アームレスト、サンバイザ、インテークマニホールド、エンジンヘッドカバー、エンジンアンダーカバー、オイルフィルターハウジング、車載用電子部品(ECU、TVモニター等)のハウジング、エアフィルターボックス、ラッシュボックス等のエネルギー吸収体、フロントエンドモジュール等のボディシェル構成部品などが挙げられる。
更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材等が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材、構造材、更には、ユニットバス、浄化槽などとすることができる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等として用いることもできる。また、家電製品(薄型TV、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、携帯電話、携帯ゲーム機、ノート型パソコン等)の筐体及び構造体などの成形体とすることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(1)使用材料について
基層18:植物繊維布(紡績綿繊維を製織した織布)
繊維束17:炭素繊維を12000本引き揃えた繊維束(12Kマルチフィラメント)
縫糸175:樹脂繊維(ポリエステル製単繊維を用いたマルチフィラメント)
(2)繊維集合体14の作製
繊維束17を縫糸175により1.7mmピッチで基層18のうちの必要箇所のみ縫着し、基層18の不要部を切除することによって、全体として帯状(蛇行形状を有する)となった繊維集合体14を得た。
(3)繊維強化成形体1の作製
上記(2)までに得られた繊維集合体14を、ワックス製(融点101℃)の中型20(図6参照)に巻き付けるように固定することによって、立体形状を付与した。
その後、繊維集合体14を固定した中型20を樹脂バッグ内に投入し、樹脂バッグ内を脱気しながら、マトリックス樹脂となる未硬化エポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、品番「XNR6830」)を投入した。次いで、中型20を加熱することによって、ワックスを熱膨張させつつ、未硬化エポキシ樹脂を繊維集合体14へ含浸させた後、未硬化エポキシ樹脂を硬化させて繊維強化成形体1(図6~8参照)を得た。
得られた繊維強化成形体1は、複雑な骨格形状を有しながら、各部を分割製造することなく、一体的に製造できた。このため、繊維強化成形体1を、接続箇所の発生を抑制して効率よく製造できた。また、接続箇所の発生を抑制できるために、接続に要する形状の複雑化や重さの増大が抑制された繊維強化成形体1を得られた。そして、よりスムーズな形状を実現し、均一な強度バランスを有する繊維強化成形体1を得ることができた。更に、従来であれば、孔設されていない成形体を得たうえで、必要な箇所へ孔設を行って実現できた開口補強構造を、孔設工程を行うことなく、低工数で得ることができた。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
1;繊維強化成形体、
12;強化繊維、13;芯材、14;繊維集合体、
141;帯状部、141a;第1分岐部、141b;第2分岐部、143;貫通孔、
15;マトリックス樹脂、
17;繊維束、171;連続繊維、172;強化繊維以外の他の繊維、
175;縫糸、
18;基層、
20;中型、
201;周面、201a;第1面、201b;第2面、
203;凹部、205;凸部、207;係止具、
21;外型、215;脱気、216;未固化樹脂の充填、
H、H、H;補強孔、
R1;固定工程、
R2;取出工程。

Claims (8)

  1. 強化繊維を含んだ芯材と、前記芯材が埋設されたマトリックス樹脂と、を有する繊維強化成形体の製造方法であって、
    前記芯材となる繊維集合体を、中型の周面に沿わせて固定する固定工程と、
    固定された前記繊維集合体を前記マトリックス樹脂に埋設した後、前記中型を解体、変形又は減容して、前記繊維強化成形体を取り出す取出工程と、を備え
    前記中型は、前記繊維集合体の厚みの一部又は全部を収容する凹部を前記周面に有することを特徴とする繊維強化成形体の製造方法。
  2. 前記繊維強化成形体は、隣り合った2つの補強孔H 及び補強孔H を含む、補強構造を形成するための複数の補強孔を有し、
    前記補強孔H の開口面と、前記補強孔H の開口面と、が互いに異なる平面に属する請求項1に記載の繊維強化成形体の製造方法。
  3. 前記繊維集合体は、前記強化繊維を含む連続繊維を束ねた繊維束と、前記繊維束が縫着された基層と、を有し、
    前記繊維束が、前記基層上に複列に並ぶように縫着された帯状部を有する請求項1又は2に記載の繊維強化成形体の製造方法。
  4. 前記固定工程は、前記帯状部を、前記中型の前記周面に巻き付けるように沿わせる工程を含む請求項に記載の繊維強化成形体の製造方法。
  5. 前記中型は、前記繊維集合体に設けられた貫通孔に係合する凸部を前記周面に有する請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
  6. 前記固定工程は、前記中型の前記周面に沿わせた前記繊維集合体の外表面側から前記中型へ向けて係止具を打ち込んで行う請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
  7. 前記中型は、解体可能な材料から形成されており、
    前記材料が、粒状物を結着剤で結着した結着物、及び、粒状物が凝集された凝固物から選択される請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
  8. 前記中型は、加熱溶融可能な材料から形成されており、
    前記材料が、熱可塑性組成物である請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
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