JP7625819B2 - 繊維強化成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]本発明の繊維強化成形体の製造方法は、強化繊維を含んだ芯材と、前記芯材が埋設されたマトリックス樹脂と、を有する繊維強化成形体の製造方法であって、
前記芯材となる繊維集合体を、中型(中子等)の周面に沿わせて固定する固定工程と、
固定された前記繊維集合体を前記マトリックス樹脂に埋設した後、前記中型を解体、変形又は減容して、前記繊維強化成形体を取り出す取出工程と、を備えることを要旨とする。
[2]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記繊維集合体は、前記強化繊維を含む連続繊維を束ねた繊維束と、前記繊維束が縫着された基層と、を有し、
前記繊維束が、前記基層上に複列に並ぶように縫着された帯状部を有することができる。
[3]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記固定工程は、前記帯状部を、前記中型の前記周面に巻き付けるように沿わせる工程を含むことができる。
[4]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型は、前記繊維集合体の厚みを収容する凹部を前記周面に有することができる。
[5]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型は、前記繊維集合体に設けられた貫通孔に係合する凸部を前記周面に有することができる。
[6]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記固定工程は、前記中型の前記周面に沿わせた前記繊維集合体の外表面側から前記中型へ向けて係止具を打ち込んで行うことができる。
[7]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型は、解体可能な材料から形成されており、
前記材料が、粒状物を結着剤で結着した結着物、及び、粒状物が凝集された凝固物から選択されたものとすることができる。
[8]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記中型は、加熱溶融可能な材料から形成されており、
前記材料が、熱可塑性組成物であるものとすることができる。
[9]本発明の繊維強化成形体の製造方法では、前記繊維強化成形体は、隣り合った2つの補強孔H1及び補強孔H2を含む、補強構造を形成するための複数の補強孔を有し、
前記補強孔H1の開口面と、前記補強孔H2の開口面と、が互いに異なる平面に属することができる。
より具体的には、RTM法及びVaRTM法に伴って生じる量産に適するというメリットを享受しつつ、従来に比べて、より複雑な繊維強化成形体(例えば、補強構造を備えた骨格構造物等)を分割製造することなく、一体的に製造することができる。このため、繊維強化成形体を、接続箇所の発生を抑制して効率よく製造できる。また、接続箇所の発生を抑制できるために、接続に要する形状の複雑化や重さの増大が抑制された繊維強化成形体を得ることができる。そして、よりスムーズな形状を実現し、均一な強度バランスを有する繊維強化成形体を得ることができる。更に、従来であれば、孔設されていない成形体を得たうえで、必要な箇所へ孔設を行って実現できた開口補強構造を、孔設工程を行うことなく、低工数で得ることができる。
尚、図2(b)では、縫糸175を図示するが、その他の図では煩雑になるため縫糸175の図示を省略する。また、図面における図1内の(a)図は、明細書内において図1(a)又は図1aと記載する。
この製造方法は、固定工程(R1)と、取出工程(R2)と、を備える。
このうち、固定工程(R1)は、芯材(13)となる繊維集合体(14)を、中型(20)の周面(201)に沿わせて固定する工程である。
また、取出工程(R2)は、固定された繊維集合体(14)をマトリックス樹脂(15)に埋設した後、中型(20)を解体、変形又は減容して、繊維強化成形体(1)を取り出す工程である。
固定工程R1は、芯材13となる繊維集合体14を、中型20の周面201に沿わせて固定する工程である(図1a、図1b、図1c参照)。
(1)芯材及び繊維集合体
芯材13は、繊維強化成形体1内において、マトリックス樹脂15を補強する部分であり、繊維の集合体から形成される。即ち、マトリックス樹脂15が、芯材13の内部にまで含浸された状態で固定(硬化、固化等)され、全体として高い強度を有する繊維強化成形体1となっている。従って、マトリックス樹脂15のみからなる樹脂部材に比べ、樹脂内に芯材13が加わることで、繊維強化成形体1は機械的強度が増強されたものとなる。
尚、本明細書では、繊維強化成形体1の一部をなす繊維の集合体を芯材13と称し、繊維強化成形体1が完成される以前の芯材13を繊維集合体14と称する。芯材13と繊維集合体14とは、上述の通り、基本的には同じものであることから、以下では、繊維集合体14を用いて説明するが、芯材13も同様である。
上記のうち、繊維束17は、連続繊維171を束ねた形態であり、連続繊維171の一部又は全部として強化繊維12が含まれる。尚、繊維束17は、強化繊維12のみから形成されてもよいし、強化繊維以外の他の繊維172を含んでもよい。
また、上記のうち、複合形態は、不織布、織物、編物及び繊維束のうちの2種以上を組合せた形態である。具体的には、繊維束が基層に固定された形態が挙げられる。固定手段は限定されず、例えば、縫着、接着、融着等の手段のうちの1種又は2種以上を採用できる。即ち、繊維集合体14は、繊維束17と、繊維束17が縫着された基層18と、を有し、繊維束17が、基層18上に縫着された形態等とすることができる。繊維束17は、基層18の一面のみに縫着されてもよいし、基層18の両面に縫着されてもよい。
このように、繊維束17が基層18に縫着された形態の繊維集合体14(以下、この形態の繊維集合体14を「縫着型の繊維集合体」ともいう)(図2及び図4参照)では、繊維束17は、縫糸175によって縫着される。縫糸175のどのような繊維を用いてもよい。即ち、後述する強化繊維と同様の繊維を用いてもよく、強化繊維以外の他の繊維を用いてもよい。
尚、縫着型の繊維集合体14では、上述の通り、繊維束17が基層18に縫着された領域(縫着領域)を有することができるが、その他に、繊維束17が基層18に縫着されずに基層18から離間可能に配された領域(非縫着領域)を有することができる。
強化繊維12は、無機材料からなる繊維であってもよく、有機材料からなる繊維であってもよく、これらを併用した繊維であってもよい。無機材料繊維としては、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、ガラス繊維、金属繊維などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、有機材料繊維としては、芳香族ポリアミド樹脂繊維(パラ型アラミド:商品名「ケブラー」、商品名「トワロン」、商品名「テクノーラ」等、メタ型アラミド:商品名「ノーメックス」、商品名「コーネックス」等)、ポリベンズアゾール樹脂繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、商品名「ザイロン」等)、芳香族ポリエステル樹脂繊維(商品名「ベクトラン」等)、高強度ポリエチレン樹脂繊維(商品名「ダイニーマ」)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、他繊維の繊維形態も限定されず、スパンヤーンであってもよく、フィラメントヤーンであってもよく、これらの併用形態であってもよい。
中型20は、繊維集合体14を周面201に沿わせて固定するための部材であり、マトリックス樹脂15が固化された後に、除去される部材である(図1、図5、図6参照)。
また、中型20は、結果として、繊維集合体14に立体形状を与える部材である。通常、繊維集合体14は、平面形状をなしており、中型20の周面201へ沿わせて固定することで、立体形状を有することとなる。更に、中型20は、中子のように、外型21(例えば、上型、下型、主型等)から独立した型であってもよいし、外型21の一部として突設された型であってもよい。
尚、中型20の構成等については、取出工程R2の説明において詳述する。
更に、繊維集合体14が帯状部141を有する場合、固定工程R1では、帯状部141を、中型20の周面201に巻き付けるように沿わせることが好ましい。帯状部141を利用して巻き付けることにより、自由度の高い形状設計が可能となる。即ち、平面形状の繊維集合体14を中型20へ巻き付けると、筒形状にしか繊維集合体14を立体化することはできない。これに対して、帯状の繊維集合体14を中型20へ巻き付けると、筒形状に加えて、螺旋形状や分岐形状等を形成できるため、骨格構造を容易に形成できるようになる。例えば、中型20が立方体形状である場合、中型20は、その周面201として6面の正方形を有する。平面形状の繊維集合体14を用いると、これら6面の全てを通るように繊維集合体14を巻回することができないが、帯形状の繊維集合体14では、リボンを掛ける要領により、6面の全てを通る骨格形状を形成できる。
取出工程R2は、固定された繊維集合体14をマトリックス樹脂15に埋設した後、中型20を解体、変形又は減容して、繊維強化成形体1を取り出す工程である(図1d、図1e、図1f、図1g参照)。
(1)マトリックス樹脂15
マトリックス樹脂15は、芯材13を埋設している樹脂である。より具体的には、芯材13の内部に行きわたるように含浸されて固定(硬化性樹脂である場合には硬化、熱可塑性樹脂である場合には固化)された樹脂である。このマトリックス樹脂15の含浸方法及び固定方法は、従来公知の各種方法を利用できる。
上述のうち、外型配設工程において利用する外型21は、どのようなものであってもよく、金属型及び樹脂型等を利用できる他、袋状物(樹脂製の袋等)を外型21として利用することができる。
繊維強化成形体1の取り出しは、中型20を解体、変形又は減容して行う。即ち、中型20は、解体、変形又は減容が可能なものから形成されている。
上記のうち、解体可能な材料(もの)としては、粒状物(粉末を含む)を結着剤で結着した結着物、及び、粒状物(粉末を含む)が凝集された凝固物等が挙げられる。具体的には、前者としては、砂型や圧縮木材等が挙げられる。また、後者としては石膏が挙げられる。これらの中型20には、前述の通り、彫り込み及び/又は切削等の方法により、凹部203、凸部205等を形成できる。また、係止具207の打ち込みも可能である。また、これらの中型20の解体は、加圧、衝撃の付与、切削、研削等の方法により行うことができる。これらの解体方法は、1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記の熱可塑性組成物としては、熱可塑性樹脂、ワックス、ろう、低融点金属(スズ、スズ合金等)など、融点以下の温度域において固体となる液体を挙げることができる。中型20の材料として熱可塑性組成物を利用する場合であって、マトリックス樹脂15として熱硬化性樹脂を利用する場合には、熱硬化性樹脂の硬化開始温度(TA)より、熱可塑性組成物の融点(TB)の方が、25℃以上高い温度となる組合せを用いることが好ましい。この温度は、更に、TB-TA(℃)≧30がより好ましく、TB-TA(℃)≧40が更に好ましく、TB-TA(℃)≧50が特に好ましい。
取出工程において、熱可塑性組成物による中型20も、上記と同様に解体できる場合には、解体してもよいが、加熱によって、中型20を減容、変形させることがより好ましい。即ち、加熱によって軟化させたうえで、加圧によって変形させることによって、繊維強化成形体1から取り外したり、加熱によって溶融させることにより、繊維強化成形体1から取り外したり、加熱によって溶解したり、加熱によって消失させることができるのであれば、焼失させて減容してもよい。
本方法では、上記工程以外にも他工程を備えることができる。即ち、前述の通り、固定工程R1の後であって、取出工程R2の前に、外型配設工程を備えることができる。また、固定工程R1前に、繊維集合体14を得る繊維集合体形成工程を備えることができる。更に、例えば、取出工程R2は、中型20と外型21との間隙へ未固化樹脂を充填する充填工程や、未固化樹脂を固化させてマトリックス樹脂15を得る固化工程等を備えることができる。これらの工程は1種のみを備えてもよいし、2種以上を備えてもよい。
本方法により得られる繊維強化成形体1は、芯材13と、芯材13を埋設するマトリックス樹脂15と、を有する(図6~図9参照)。繊維強化成形体1において、マトリックス樹脂15は、芯材13を埋設している樹脂である。より具体的には、芯材13の内部に行きわたるように含浸されて固定(硬化性樹脂である場合には硬化、熱可塑性樹脂である場合には固化)された樹脂である。このマトリックス樹脂15の含浸方法及び固定方法は、従来公知の各種方法を利用できる。
このような補強孔は、従来であれば、上述の通り、事後的な孔設工程を要したが、本方法では、繊維集合体14を切断せず、繊維集合体14を利用することによる補強特性を低下させることなく、補強孔を予め設けることができる。即ち、孔設工程を要さず、より優れた補強孔を得ることができる。とりわけ、開口面同士が異なる平面に属する2つ以上の補強孔を一括して得ることができる。
具体的には、バンパー、スポイラー、カウリング、フロントグリル、ガーニッシュ、ボンネット、トランクリッド、カウルルーバー、フェンダーパネル、ロッカーモール、ドアパネル、ルーフパネル、インストルメントパネル、センタークラスター、ドアトリム、クオータートリム、ルーフライニング、ピラーガーニッシュ、デッキトリム、トノボード、パッケージトレイ、ダッシュボード、コンソールボックス、キッキングプレート、スイッチベース、シートバックボード、シートフレーム、アームレスト、サンバイザ、インテークマニホールド、エンジンヘッドカバー、エンジンアンダーカバー、オイルフィルターハウジング、車載用電子部品(ECU、TVモニター等)のハウジング、エアフィルターボックス、ラッシュボックス等のエネルギー吸収体、フロントエンドモジュール等のボディシェル構成部品などが挙げられる。
(1)使用材料について
基層18:植物繊維布(紡績綿繊維を製織した織布)
繊維束17:炭素繊維を12000本引き揃えた繊維束(12Kマルチフィラメント)
縫糸175:樹脂繊維(ポリエステル製単繊維を用いたマルチフィラメント)
繊維束17を縫糸175により1.7mmピッチで基層18のうちの必要箇所のみ縫着し、基層18の不要部を切除することによって、全体として帯状(蛇行形状を有する)となった繊維集合体14を得た。
上記(2)までに得られた繊維集合体14を、ワックス製(融点101℃)の中型20(図6参照)に巻き付けるように固定することによって、立体形状を付与した。
その後、繊維集合体14を固定した中型20を樹脂バッグ内に投入し、樹脂バッグ内を脱気しながら、マトリックス樹脂となる未硬化エポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、品番「XNR6830」)を投入した。次いで、中型20を加熱することによって、ワックスを熱膨張させつつ、未硬化エポキシ樹脂を繊維集合体14へ含浸させた後、未硬化エポキシ樹脂を硬化させて繊維強化成形体1(図6~8参照)を得た。
12;強化繊維、13;芯材、14;繊維集合体、
141;帯状部、141a;第1分岐部、141b;第2分岐部、143;貫通孔、
15;マトリックス樹脂、
17;繊維束、171;連続繊維、172;強化繊維以外の他の繊維、
175;縫糸、
18;基層、
20;中型、
201;周面、201a;第1面、201b;第2面、
203;凹部、205;凸部、207;係止具、
21;外型、215;脱気、216;未固化樹脂の充填、
H、H1、H2;補強孔、
R1;固定工程、
R2;取出工程。
Claims (8)
- 強化繊維を含んだ芯材と、前記芯材が埋設されたマトリックス樹脂と、を有する繊維強化成形体の製造方法であって、
前記芯材となる繊維集合体を、中型の周面に沿わせて固定する固定工程と、
固定された前記繊維集合体を前記マトリックス樹脂に埋設した後、前記中型を解体、変形又は減容して、前記繊維強化成形体を取り出す取出工程と、を備え、
前記中型は、前記繊維集合体の厚みの一部又は全部を収容する凹部を前記周面に有することを特徴とする繊維強化成形体の製造方法。 - 前記繊維強化成形体は、隣り合った2つの補強孔H 1 及び補強孔H 2 を含む、補強構造を形成するための複数の補強孔を有し、
前記補強孔H 1 の開口面と、前記補強孔H 2 の開口面と、が互いに異なる平面に属する請求項1に記載の繊維強化成形体の製造方法。 - 前記繊維集合体は、前記強化繊維を含む連続繊維を束ねた繊維束と、前記繊維束が縫着された基層と、を有し、
前記繊維束が、前記基層上に複列に並ぶように縫着された帯状部を有する請求項1又は2に記載の繊維強化成形体の製造方法。 - 前記固定工程は、前記帯状部を、前記中型の前記周面に巻き付けるように沿わせる工程を含む請求項3に記載の繊維強化成形体の製造方法。
- 前記中型は、前記繊維集合体に設けられた貫通孔に係合する凸部を前記周面に有する請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
- 前記固定工程は、前記中型の前記周面に沿わせた前記繊維集合体の外表面側から前記中型へ向けて係止具を打ち込んで行う請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
- 前記中型は、解体可能な材料から形成されており、
前記材料が、粒状物を結着剤で結着した結着物、及び、粒状物が凝集された凝固物から選択される請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。 - 前記中型は、加熱溶融可能な材料から形成されており、
前記材料が、熱可塑性組成物である請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の繊維強化成形体の製造方法。
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