JP7625941B2 - ヘマトクリットセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、患者の血液を体外循環させつつ浄化させる血液透析装置の血液流路に配設され、血液の濃度を示すヘマトクリット値を測定するためのヘマトクリットセンサに関する。
透析治療を行うための血液透析装置は、通常、患者の血液を体外循環させるための動脈側血液回路及び静脈側血液回路から成る血液回路と、動脈側血液回路及び静脈側血液回路にそれぞれ接続され、体外循環する血液を浄化するための血液浄化器としてのダイアライザと、ダイアライザを流れる血液中の余剰水分を除去して除水する除水ポンプとを備えており、血液回路で体外循環する血液を除水しつつ血液浄化治療ができる。
除水時において除去すべき水分量(除水速度)は、除水ポンプの駆動を制御することにより行われるのであるが、急激或いは過度の除水を行うと、患者の循環血液量を過剰に減少させ、それによって血液低下やショック等を引き起こす懸念がある一方、除水速度が遅いと、治療時間全体が延びてしまい却って患者に負担を強いてしまう。そのため、例えば動脈側血液回路に血液濃度センサ等を配設し、治療中において体外循環している血液の濃度、特に血球の体積分率(簡単には(赤血球量)÷((赤血球量)+(血漿)))であるヘマトクリット値を逐次測定して監視することで、効率的且つ安全な治療を行うことができる。このようなヘマトクリット値を測定するための血液濃度センサをヘマトクリットセンサと呼ぶ。
上記血液透析装置の一例を、図1に示す。血液回路1は、主に可撓性チューブから成る動脈側血液回路1a及び静脈側血液回路1bから構成されており、これら動脈側血液回路1aと静脈側血液回路1bの間には、ダイアライザ2が接続されている。動脈側血液回路1aには、その先端に動脈側穿刺針aが接続されているとともに、途中にしごき型の血液ポンプ3が配設されている。一方、静脈側血液回路1bには、その先端に静脈側穿刺針bが接続されているとともに、途中にドリップチャンバ(図示しない)、気泡検知器(図示しない)などが接続されている。そして、動脈側穿刺針a及び静脈側穿刺針bを患者に穿刺した状態で、血液ポンプ3を駆動させると、患者の血液は、動脈側血液回路1aを通ってダイアライザ2に至った後、ダイアライザ2によって血液透析が施され、静脈側血液回路1bを通って患者の体内に戻る。即ち、患者の血液を血液回路1にて体外循環させつつダイアライザ2にて浄化するのである。ダイアライザ2は、動脈側血液回路1a、静脈側血液回路1bに加え、血液透析装置4から延設された透析液導入ライン5a及び透析液排出ライン5bとそれぞれ接続されている。ダイアライザ2内には、複数の中空糸が収容されており、中空糸内部が血液の流路とされるとともに、中空糸外周面と筐体部の内周面との間が透析液の流路とされている。中空糸には、その外周面と内周面とを貫通した微少な孔(ポア)が多数形成されて中空糸膜を形成しており、中空糸膜を介して血液中の不純物等が透析液内に透過し得るよう構成されている。透析用監視装置4は、血液ポンプ3の回転速度や透析液の循環、排液、温度などを制御しつつ患者の血液を循環させて血液浄化治療を実行する。ここで、除水中の患者の血液状態を監視すべく、動脈側血液回路1aの途中にヘマトクリットセンサ6が配設される。
特許文献1には、血液回路を流れて体外循環する血液に、血液回路を介して、赤外線等の光を照射、その反射光を受光し、その受光量に応じた電圧(受光電圧)に基づき、ヘマトクリット値を求めることが開示されている。このときには、あらかじめ求めておいた受光電圧からヘマトクリット値を算出する算出式を用いる。
また特許文献2には、血液回路の種類や製造ロット等の相違により受光電圧にオフセット量が生じるため、除水装置による除水前の単位時間当たりの流量および単位時間当たりの除水量に基づいて、ヘマトクリット値を補正することが開示されている。ヘマトクリット値の補正においては、除水装置より上流部分の血液回路に設けられたヘマトクリットセンサと下流部分に設けられたヘマトクリットセンサにおける血液回路のオフセット量は同一とみなして補正をしている。
特許4129867号公報 特許6621734号公報
特許文献1、2に開示されている方法では、血液回路の種類や製造ロット等によって厚さや材質等が異なることによる受光電圧のオフセット量は、ヘマトクリットセンサへの血液回路の取り付け位置や取り付け状態に関わらず、一定値であるとしてヘマトクリット値は計算される。
しかしながら、実際には、同一種類または製造ロットの血液回路であっても、ヘマトクリットセンサの取り付け位置により受光電圧のオフセット量が変化する。例えば、血液回路の位置により血液回路の厚みや表面状態が異なる場合がある。本発明者らが検討した結果、近赤外光領域における受光電圧は、最大で9%程度、オフセット量が変化することが分かっている。また、血液回路は可撓性チューブであり、ヘマトクリットセンサへ取り付けた際の変形の仕方は一定とは限らないため、測定の再現性は高いとは言えない。すなわち、特許文献1、2の方法では、血液回路により生じる受光電圧のオフセット量の変化を補正することはできない。
また、血液回路はヘマトクリットセンサで測定するために作られた製品ではないため、測定の精度に対して製造ムラが大きいことから、測定専用の部材(非可撓性のチューブ材など)を使うことも考えられる。しかし、治療毎に測定専用の部材を使うことになるため追加の費用が発生し、ランニングコストが高くなる。
上記課題を鑑み、本発明は、厚みや表面状態が多様な血液回路においても高精度に測定できるヘマトクリットセンサを提供する。
上記課題を解決する本発明は、光透過性を持つ管路を流れる流体に対して、光を照射し、反射した光を受光して得られる信号に基づき、ヘマトクリット値を測定するヘマトクリットセンサであって、
上記管路を介して上記管路に充填される流体に光を照射する発光部と、
上記発光部から照射され、上記管路に充填された上記流体で反射した光を、上記管路を介して受光する受光部と、
上記管路を固定する溝を有し、上記発光部と上記受光部を上記管路の外側に固定する固定部と、
上記受光部から得られる信号に基づきヘマトクリット値を算出するデータ処理部と、を備え、
上記データ処理部は、
上記管路に血液を充填する前段階として生理食塩水、透析液、空気のいずれかを充填し、得られる信号を参照信号として保持するデータ保持部と、
上記管路に血液を充填した後の信号を血液信号として取得するデータ取得部と、
上記血液信号と上記参照信号とに基づいてヘマトクリット値を算出するヘマトクリット算出部と、を備える。
本発明のヘマトリックセンサは、記発光部が、発光波長780ナノメートル以上830ナノメートル以下の第1近赤外光を含む光を照射する第1発光素子を備え、
上記受光部が、上記第1近赤外光を受光する第1受光素子を備え、
上記ヘマトクリット算出部が、下記(1)式によりヘマトクリット値を算出してもよい。
Ht=α805(sub) +α805(sub)+β805(div) +β805(div)+γ ・・・(1)
ここで、
Ht:ヘマクトリット値
α、α、β、β、γ:係数
805(sub):(第1受光素子による血液信号)-(第1受光素子による参照信号)
805(div):(第1受光素子による血液信号)/(第1受光素子による参照信号)。
本発明のヘマトリックセンサは、上記発光部が、発光波長780ナノメートル以上830ナノメートル以下の第1近赤外光を含む光を照射する第1発光素子と、発光波長1400ナノメートル以上1600ナノメートル以下の第2近赤外光を含む光を照射する第2発光素子と、を備え、
上記受光部が、上記第1近赤外光を受光する第1受光素子と、上記2近赤外光を受光する第2受光素子と、を備え、
上記ヘマトクリット算出部が、下記(2)式によりヘマトクリット値を算出してもよい。
Ht=α12805(sub) +α11805(sub)+β121450(sub) +β111450(sub)+δ11805(sub)1450(sub)+α22805(div) +α21805(div)+β221450(div) +β211450(div)+δ21805(div)1450(div)+γ ・・・(2)
ここで、
Ht:ヘマクトリット値
α12、α11、β12、β11、δ11、α22、α21、β22、β21、γ:係数
805(sub):(第1受光素子による血液信号)-(第1受光素子による参照信号)
805(div):(第1受光素子による血液信号)/(第1受光素子による参照信号)
1450(sub):(第2受光素子による血液信号)-(第2受光素子による参照信号)
1450(div):(第2受光素子による血液信号)/(第2受光素子による参照信号)。
本発明のヘマトリックセンサは、上記管路が可撓性のチューブであり、上記固定部における上記管路を固定する溝の高さが、上記管路の直径の85~95%であってもよい。
本発明のヘマトリックセンサは、上記固定部から上記管路が外されことを検知し、上記参照信号を再度測定するよう表示する表示部を備えていてもよい。
また、上記課題を解決する本発明は、光透過性を持つ管路を流れる流体に対して、光を照射し、反射した光を受光して得られる信号出力に基づき、ヘマトクリット値を測定するヘマトクリット測定方法であって、
上記管路に血液を充填する前段階として生理食塩水、透析液、空気のいずれかを充填し、得られる信号を参照信号として保持するデータ保持工程と、
上記管路に血液を充填した後の信号を血液信号として取得するデータ取得工程と、
上記血液信号と上記参照信号とに基づいてヘマトクリット値を算出するヘマトクリット算出工程と、を有する。
本発明によれば、光透過性の管路を流れる血液のヘマトクリット値の測定に際し、厚みや表面状態が多様な管路においても高精度に測定できる。
図1は、血液透析装置を例示する概略図である。 図2は、本実施形態に係るヘマトクリットセンサを例示する斜視図である。 図3は、本実施形態に係るヘマトクリットセンサを例示する断面図である。 図4は、同一の血液信号に対する、参照信号が無い場合と参照信号がある場合のヘマトクリット値の算出結果を示すグラフである。 図5は、ヘマトクリットセンサの固定部による血液回路の変形について例示する模式図である。 図6は、平坦部を作成した場合と、作成しなかった場合のヘマトクリット値の算出結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部
材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。なお、以下に示す実施形態によって本発明が限定されるものではない。
本実施形態に係るヘマトクリットセンサ6は、図1に示すように、透析治療で用いられる血液回路1の一部に取り付けられ、当該血液回路1内を流れる患者の血液の濃度を示すヘマトクリット値を測定するものである。
本実施形態に係るヘマトクリットセンサ6の構造を、図2に示す。センサモジュール9、本体部10a、蓋部10bで構成されており、本体部10aの溝に血液回路1を嵌め、蓋部10bで血液回路1を抑え込んで固定する。このとき、本体部10aの溝深さは血液回路1の直径の85~95%であり、蓋部10bで固定したときに血液回路1が変形していることが望ましい。本体部10a、蓋部10bは、樹脂や金属など血液回路1よりも硬い材質で形成することが好ましい。センサモジュール9には、第1発光素子7a、第2発光素子7b、第1受光素子8a、第2受光素子8bが取り付けられており、図3に示すように、本体部10aに設けられた4つの穴でそれぞれ固定される。第1発光素子7a、第2発光素子7bは発光ダイオード素子やレーザ素子など、照射する光が高い指向性があり、発光波長が限定されていることが好ましい。また、第1受光素子8a、第2受光素子8bはフォトダイオードなどである。この状態において、第1発光素子7aから第1近赤外光が照射され、血液回路1を介して血液回路1に充填された流体で反射し、第1受光素子8aで受光する。同様に、第2発光素子7bから第2近赤外光が照射され、血液回路1を介して血液回路1に充填された流体で反射し、第2受光素子8bで受光する。第1受光素子8a、第2受光素子8bは、受光した受光量に応じた受光電圧をヘマトクリットセンサ6のデータ処理部(図示しない)へと伝達する。ここで第1近赤外光とは発光波長780ナノメートル以上830ナノメートル以下の光を含んでおり、更に好ましくは発光波長805ナノメートルを含んで発光波長幅が小さいことである。第2近赤外光とは発光波長1400ナノメートル以上1600ナノメートル以下の光を含んでおり、更に好ましくは発光波長1450ナノメートルを含んで発光波長幅が小さいことである。また、流体とは、血液、透析液、生理食塩水、空気のことである。
本実施形態に係る上記ヘマトクリットセンサ6によるヘマトクリット値の測定方法を、以下で詳細に述べる。始めに、血液回路1に血液以外の流体を充填し、第1受光素子8a、第2受光素子8bそれぞれでの受光量に応じた受光電圧を取得し、データ処理部へと伝達する。このとき、第1受光素子8aの受光電圧を第1受光素子による参照信号、第2受光素子8bの受光電圧を第2受光素子による参照信号とし、データ処理部内のデータ保持部(図示しない)に保存する。次に、血液回路1に血液を充填し、第1受光素子8a、第2受光素子8bそれぞれでの受光量に応じた受光電圧を取得し、データ処理部へと伝達する。このとき、第1受光素子8aの受光電圧を第1受光素子による血液信号、第2受光素子8bの受光電圧を第2受光素子による血液信号とし、データ処理部内のデータ取得部(図示しない)に保存する。この後、第1受光素子による血液信号、第2受光素子による血液信号、第1受光素子による参照信号、第2受光素子による参照信号に基づき、データ処理部内のヘマトクリット算出部(図示しない)において、あらかじめ定めたヘマトクリット算出式によりヘマトクリット値を算出する。このヘマトクリット算出式は、下記(2)式で示される。
Ht=α12805(sub) +α11805(sub)+β121450(sub) +β111450(sub)+δ11805(sub)1450(sub)+α22805(div) +α21805(div)+β221450(div) +β211450(div)+δ21805(div)1450(div)+γ ・・・(2)
ここで、
Ht:ヘマクトリット値
α12、α11、β12、β11、δ11、α22、α21、β22、β21、γ:係数
805(sub):(第1受光素子による血液信号)-(第1受光素子による参照信号)
805(div):(第1受光素子による血液信号)/(第1受光素子による参照信号)
1450(sub):(第2受光素子による血液信号)-(第2受光素子による参照信号)
1450(div):(第2受光素子による血液信号)/(第2受光素子による参照信号)。
これら第1受光素子による参照信号、第2受光素子による参照信号の取得と、第1受光素子による血液信号、第2受光素子による血液信号の取得の間において、蓋部10bは外されないことが好ましく、外された場合には、外されたことを検知し、再度参照信号を取得するように表示することが好ましい。
以下、本実施形態により、厚みや表面状態が多様な血液回路においても高精度に測定できることを示す。
ヘマトクリットセンサは、血液を構成する赤血球や血漿などの各成分がそれぞれ固有の吸光特性を持つ性質を利用して、成分を電子光学的に定量化することによりヘマトクリット値を求める。ここで、赤血球の主成分であるヘモグロビンの吸収について、酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンの吸光度は波長805ナノメートルにおいて等しい。したがって、805ナノメートル近傍の発光波長780ナノメートル以上830ナノメートル以下の第1近赤外光は、ヘモグロビンが酸素化ヘモグロビンか脱酸素化ヘモグロビンであるかの影響を受けることなく、赤血球量を好適に定量化できるのである。一方で、血漿の主成分である水は1200ナノメートルから1600ナノメートルに吸収を持ち、特に1450ナノメートルにおいて吸光度のピークをもつ。したがって、発光波長1400ナノメートル以上1600ナノメートル以下の第2近赤外光は、血漿の量を好適に定量化できるのである。即ち、第1近赤外光に加え、第2近赤外光も使用することで、血球の体積分率であるヘマトクリット値を精度よく測定することができる。
次に、取得した血液信号と参照信号に基づいた算出式からヘマトクリット値を算出することについて説明する。
上記データ保持部は、血液回路1を、本体部10aおよび蓋部10bで構成される固定部10に取り付けた後、血液が充填される前の生理食塩水、透析液、空気のいずれかを充填した状態で参照信号を取得し、蓋部10bが外されるまでデータを保持する。すなわち、データ保持部では、血液の無い状態で血液回路1の光学的特性を含むデータを取得し保持する。例えば、血液回路1の厚み(チューブの肉厚)が厚いとき受光電圧が高くなる。その原因は、センサモジュール9側の血液回路1のチューブを介した反射光である。
次に、上記データ取得部は、血液回路1に血液を充填した後に血液信号を取得する。得られる血液信号は、ヘマトクリット値に応じた信号強度となる一方で、血液回路1の光学的特性を含んだ値となる。
上記ヘマトクリット算出部は、データ取得部で随時取得される血液信号と、データ保持部が保持する参照信号とに基づいてヘマトクリット値を算出する(式(2)参照)。血液信号はヘマトクリット値と血液回路1の光学的特性を含んだ値であるから、血液の無い状態で血液回路1の光学的特性を含むデータである参照信号を用いて補正する。こうした光学的特性の影響を除去するには、血液信号を参照信号で除算することが一般的だが、本実施形態においては精度が向上しなかった。本発明者らは鋭意検討を進め、血液回路1の光学的特性において、センサモジュール9側の血液回路1のチューブを介した反射光の影響が大きいことを見出した。これは流体によらず一定であるとして、血液信号を参照信号で減算する項を導入することにした。次に、ヘマトクリット算出式そのものであるが、本現象の精確なモデル化が困難であることを鑑み、多項式での近似とした。多項式の係数は実験的に求めるため、実験データ数との関係から、本実施形態においては2次式が好ましいとして式(2)での近似とした。ただし、実験データ数が豊富にあるならば、3次式、4次式でも良い。また、実験データを取得する際には、血液回路1の種類などを多くすることは当然だが、血液そのものも多数の検体から取得することが好ましい。こうして得られた式(2)を用いて、実際の透析治療時にヘマトクリット値を連続的に監視するのである。
図4に、同一の血液信号に対する、参照信号が無い場合と参照信号が有る場合のヘマトクリット値の算出結果を示す。縦軸が本実施形態でのヘマトクリット算出値であり、横軸がミクロヘマトクリット法による測定値である。3種類の血液回路1を用いており、参照信号を用いた方が、血液回路1によらず、正確にヘマトクリット値を測定できることを示している。このように、データ保持部で得られる参照信号を用いて算出することで、血液回路1の光学的特性の影響を低減できる。
なお、本実施形態では第1近赤外光および第2近赤外光を用いているが上記したように、第1近赤外光が赤血球量を直接捉えるため、第1近赤外光および第2近赤外光を用いるよりも測定精度は劣るものの、第1近赤外光のみで測定することも可能である。その場合は、第1近赤外光および第2近赤外光を用いる場合と比べて発光素子および受光素子を減らすことができるため、装置のコストダウンになる。ヘマトクリット算出式(2)は下記式(1)のようになる。
Ht=α805(sub) +α805(sub)+β805(div) +β805(div)+γ ・・・(1)
ここで、
Ht:ヘマクトリット値
α、α、β、β、γ:係数
805(sub):(第1受光素子による血液信号)-(第1受光素子による参照信号)
805(div):(第1受光素子による血液信号)/(第1受光素子による参照信号)。
次に、本体部10aの溝深さは血液回路1の直径の85~95%であり、蓋部10bで固定したときに血液回路1が変形していることが望ましい理由を、図5を用いて示す。本実施形態によれば、血液回路1は、本体部10aと蓋部10bに接触するように押し潰されて、平坦部が形成される。この形成した平坦部において光の照射、受光が成されることにより、ヘマトクリットセンサにおける光の照射、受光の現象の再現性が高くなる。仮に平坦部を十分に生成できていない場合、血液回路1の設置位置によっては、血液回路1の曲率を考慮しなければならなくなり、式(1)、式(2)を実験的に求めた際と、光の照射、受光の現象が変化してしまい、精度を維持できなくなる。本発明者らは鋭意検討を進め、血液回路1の位置ズレや、血液回路1を押し潰し過ぎることによる透析治療への影響(血液の流れの阻害など)、十分な平坦部の形成条件を見極め、本体部10aの溝深さを血液回路1の直径の85~95%にすることが好ましいと結論付けた。この値は、センサモジュール9での各素子の設置距離などによっても変化するが、技術的な本質は、血液回路1に平坦部を作成し、そこで光の照射、受光を実現することでヘマトクリット測定における再現性を確保することである。図6に、平坦部を作成した場合と、作成しなかった場合のヘマトクリット値の算出結果を示す。なお、取り付けの再現性の評価においてはデータのバラツキを評価するため、血液同等の受光電圧を得られる疑似血液で十分と判断し、受光電圧をヘマトクリット値相当に換算することで評価した。縦軸は、本体部10aに血液回路1を取り付けて、受光電圧を測定する作業を10回繰り返したときの最大値と最小値の差を示している。溝深さを血液回路1の直径の91%にして平坦部を作成した方が、血液回路1の取り付けの再現性が高くなり、正確にヘマトクリット値を測定できることを示している。このように、溝深さによる押し潰しにより平坦部を作成することで、血液回路1の光学的特性の影響を低減できる。
さらに、本実施形態においては、ヘマトクリットセンサ6から血液回路1が外されたことを検知し、血液回路1に血液を充填する前の信号出力である参照信号を再度測定してデータ保持部のデータを更新するよう表示する表示部を備える。たとえば、受光電圧の変化に基づいて血液回路1の外れを検知してもよいし、血液回路1の取り付け有無の検知専用の可視光の投受光部を追加して血液回路1の外れを検知してもよい。本ヘマトクリットセンサは、参照信号と血液信号を取得する際に、血液回路1の光学的特性に差異がないことが前提となっているため、本機能を追加することで、測定精度を維持することができるようになる。
このように、本実施形態によれば、測定専用の部材(非可撓性のチューブ材など)が不要で、汎用の血液回路上から測定することができ、部品点数を削減してランニングコストを低減することができるのであるが、勿論、測定専用の部材を使用して測定精度を向上させるようにしてもよい。
本発明は、透析用監視装置に限らず、例えば人工心肺装置など血液をチューブによって循環させる装置にも適用可能であり、その他の血液循環装置に広く応用することができるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
1 血液回路
1a 動脈側血液回路
1b 静脈側血液回路
2 ダイアライザ
3 血液ポンプ
4 透析用監視装置
5a 透析液導入ライン
5b 透析液排出ライン
6 ヘマトクリットセンサ
7 発光部
7a 第1発光素子
7b 第2発光素子
8 受光部
8a 第1受光素子
8b 第2受光素子
9 センサモジュール
10 固定部
10a 本体部
10b 蓋部

Claims (5)

  1. 光透過性を持つ管路を流れる流体に対して、光を照射し、反射した光を受光して得られる信号に基づき、ヘマトクリット値を測定するヘマトクリットセンサであって、
    前記管路を介して前記管路に充填される流体に光を照射する発光部と、
    前記発光部から照射され、前記管路に充填された前記流体で反射した光を、前記管路を介して受光する受光部と、
    前記管路を固定する溝を有し、前記発光部と前記受光部を前記管路の外側に固定する固定部と、
    前記受光部から得られる信号に基づきヘマトクリット値を算出するデータ処理部と、
    を備え、
    前記データ処理部は、
    前記管路に血液を充填する前段階として生理食塩水、透析液、空気のいずれかを充填し、得られる信号を参照信号として保持するデータ保持部と、
    前記管路に血液を充填した後の信号を血液信号として取得するデータ取得部と、
    前記血液信号と前記参照信号とに基づいてヘマトクリット値を算出するヘマトクリット算出部と、
    を備える、ヘマトクリットセンサ。
  2. 前記発光部が、発光波長780ナノメートル以上830ナノメートル以下の第1近赤外光を含む光を照射する第1発光素子を備え、
    前記受光部が、前記第1近赤外光を受光する第1受光素子を備え、
    前記ヘマトクリット算出部が、下記(1)式によりヘマトクリット値を算出する、請求項1に記載のヘマトクリットセンサ。
    Ht=α805(sub) +α805(sub)+β805(div) +β805(div)+γ ・・・(1)
    ここで、
    Ht:ヘマクトリット値
    α、α、β、β、γ:係数
    805(sub):(第1受光素子による血液信号)-(第1受光素子による参照信号)
    805(div):(第1受光素子による血液信号)/(第1受光素子による参照信号)
  3. 前記発光部が、発光波長780ナノメートル以上830ナノメートル以下の第1近赤外光を含む光を照射する第1発光素子と、発光波長1400ナノメートル以上1600ナノメートル以下の第2近赤外光を含む光を照射する第2発光素子と、を備え、
    前記受光部が、前記第1近赤外光を受光する第1受光素子と、前記第2近赤外光を受光する第2受光素子と、を備え、
    前記ヘマトクリット算出部が、下記(2)式によりヘマトクリット値を算出する、請求項1に記載のヘマトクリットセンサ。
    Ht=α12805(sub) +α11805(sub)+β121450(sub) +β111450(sub)+δ11805(sub)1450(sub)+α22805(div) +α21805(div)+β221450(div) +β211450(div)+δ21805(div)1450(div)+γ ・・・(2)
    ここで、
    Ht:ヘマクトリット値
    α12、α11、β12、β11、δ11、α22、α21、β22、β21、γ:係数
    805(sub):(第1受光素子による血液信号)-(第1受光素子による参照信号)
    805(div):(第1受光素子による血液信号)/(第1受光素子による参照信号)
    1450(sub):(第2受光素子による血液信号)-(第2受光素子による参照信号)
    1450(div):(第2受光素子による血液信号)/(第2受光素子による参照信号)
  4. 前記管路が可撓性のチューブであり、
    前記固定部における前記管路を固定する溝の高さが、前記管路の直径の85~95%である、請求項1~3のいずれかに記載のヘマトクリットセンサ。
  5. 前記固定部から前記管路が外されことを検知し、前記参照信号を再度測定するよう表示する表示部を備えた、請求項1~4のいずれかに記載のヘマトクリットセンサ。
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