JP7628689B2 - 血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団、その製造方法、及び医薬組成物 - Google Patents

血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団、その製造方法、及び医薬組成物 Download PDF

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Description

本発明は、血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団に関する。本発明はさらに、血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団の製造方法、並びに前記細胞集団を含む医薬組成物に関する。
移植治療等において血管内皮(前駆)細胞を併用すると治療効果を増進できることが期待できることから、ヒト由来血管内皮(前駆)細胞は、再生医療における治療ツールとして期待されている。ヒト由来血管内皮(前駆)細胞を臍帯静脈又は大血管から回収する方法としては、血管内腔に細胞分散用酵素液を満たし、血管内皮(前駆)細胞を回収し播種することで、容易に血管内皮(前駆)細胞を回収、純化及び培養することが可能であり、その方法は確立している。しかし、血管を、再生医療の細胞源として採取することは難しいことから、臍帯静脈又は大血管から回収した血管内皮(前駆)細胞は、基礎研究のみで利用されており、治療ツールとしては利用されていない。
一方、大量に存在し採取に伴う犠牲や侵襲が小さい皮下脂肪組織には、大量(脂肪組織1gあたり約100万個)の血管内皮(前駆)細胞が存在するが、その単離及び純化は困難である。なぜなら、血管内皮(前駆)細胞は、脂肪幹細胞などの他の細胞との混合物(間質血管細胞群、以下SVF(Stromal Vascular Fraction))として分離・回収され、その後の培養過程において、血管内皮(前駆)細胞は、脂肪幹細胞により駆逐されてしまうためである。
特許文献1には、脂肪組織から内皮細胞を調製する方法が記載されている。特許文献1に記載の方法は、脂肪吸引処置患者から得られた脂肪組織を洗浄する工程;洗浄された脂肪組織から細胞を回収する工程;精製されたコラゲナーゼ調製物で細胞を酵素的に処理する工程であって、該調製物はペプシン、トリプシン、およびサーモリシンを欠失している工程;CD31、CD34、CD144、およびCD146からなる第一の群より選択される抗原、またはCD14、CD45、およびF19からなる第二の群より選択される抗原に特異的な第一の抗体を含む磁気ビーズと接触させることにより、処理された細胞を選別する工程;もし抗体が第一の群の抗原に特異的であれば、該磁気ビーズに結合している細胞を回収し、もし抗体が第二の群に特異的であれば、該磁気ビーズに結合していない細胞を回収する工程を含む方法である。
特表2009-528841号公報
上記の通り、脂肪組織から血管内皮(前駆)細胞を製造することは、脂肪幹細胞などの他の細胞が混入することにより血管内皮(前駆)細胞が駆逐されてしまうという問題があった。特許文献1に記載の方法においては、CD31マイクロビーズによる正の選択を用いて細胞を精製しているが、濃縮後の内皮(前駆)細胞比率は17.2%~86.7%であり(特許文献1の段落0031の表1を参照)、内皮細胞の純度は十分とは言えない。
本発明は、脂肪組織から製造される血管内皮(前駆)細胞の含有率が高い細胞集団、並びに血管内皮(前駆)細胞の含有率が高い細胞集団を脂肪組織から製造するための方法を提供することを解決すべき課題とした。さらに、本発明は、上記した細胞集団を含む医薬組成物を提供することを解決すべき課題とした。
吸引及び破砕した脂肪組織から酵素処理を通して分散・採取される細胞集団には、血管内皮(前駆)細胞の他に脂肪幹細胞、線維芽細胞等の他の細胞が多く含まれており、血管内皮(前駆)細胞の割合は1~数%程度である。このような細胞集団の中から血管内皮(前駆)細胞のみを単離するために、本発明者らは2種類の表面抗原(CD45及びCD31)の発現に注目して、磁気ビーズを用いたフローサイトメトリーを行うことにより、CD45陰性かつCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得した。その後、得られた細胞集団を一定期間だけ培養した後に、CD31陽性細胞を、磁気ビーズを用いたフローサイトメトリーで回収することを試みた。その結果、上記の方法を用いることで、血管内皮(前駆)細胞の含有率が92%以上である細胞集団を取得することが可能であることが見いだされた。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
<1> 血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞を含む細胞集団であって、前記細胞集団におけるCD45陰性かつCD31陽性の血管内皮(前駆)細胞の割合が92%以上であり、前記細胞集団における脂肪幹細胞の割合が8%以下である、細胞集団。
<2> (1)脂肪組織を酵素で処理して、少なくとも血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞とを含む細胞集団を取得する工程;
(2)前記(1)の工程で取得した細胞集団からCD31陽性の細胞を選別することによりCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程;
(3)前記(2)の工程で得たCD31陽性の細胞を含む細胞集団を1時間~7.0日間培養する工程;及び
(4)前記(3)の工程で得た細胞集団からCD31陽性の細胞を選別することによりCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程;
を含む、血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団の製造方法。
<3> 前記の(2)の工程が、前記(1)の工程で取得した細胞集団からCD45陰性かつCD31陽性の細胞を選別することによりCD45陰性かつCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程であり、前記の(3)の工程が、前記(2)の工程で得たCD45陰性かつCD31陽性の細胞を含む細胞集団を2.0~6.0日間(又は3.0~6.0日間)培養する工程である、<2>に記載の方法。
<4> 前記の(1)の工程と前記の(2)の工程との間に、前記(1)の工程で取得した細胞集団を1.0時間~5.0日間(1.0~4.0日間でもよい)培養する工程を含む、<2>に記載の方法。
<5> 血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団が、血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞とを含む細胞集団であって、前記細胞集団における血管内皮(前駆)細胞の割合が92%以上であり、前記細胞集団における脂肪幹細胞の割合が8%以下である、細胞集団である、<2>~<4>の何れか一に記載の方法。
<6> 前記(1)の工程において、酵素がコラゲナーゼである、<2>から<5>の何れか一に記載の方法。
<7> 前記(1)の工程における酵素処理の際のコラゲナーゼ濃度が0.02%~0.5%である、<6>に記載の方法。
<8> 前記(1)の工程における酵素処理に使用する酵素処理液が、DNaseIをさらに含む、<6>又は<7>に記載の方法。
<9> 前記(1)の工程における酵素処理に使用する酵素処理液が、ポロキサマー及びプロナーゼを含有しない、<6>から<8>の何れか一に記載の方法。
<10> 前記(2)の工程において、抗CD45抗体で標識した磁気ビーズと、抗CD31抗体で標識した磁気ビーズとを用いて、CD45陰性かつCD31陽性の細胞を選別する、<2>から<9>の何れか一に記載の方法。
<11> 前記(4)の工程において、抗CD31抗体で標識した磁気ビーズを用いて、CD31陽性の細胞を選別する、<2>から<10>の何れか一に記載の方法。
<12> 前記(4)の工程において選別されたCD31陽性の細胞を含む細胞集団を培養する工程をさらに含む、<2>から<11>の何れか一に記載の方法。
<13> <1>に記載の細胞集団、又は<2>から<12>の何れか一に記載の方法により製造される細胞集団を含む、医薬組成物。
[14] 医薬組成物の製造のための、<1>に記載の細胞集団、又は<2>から<12>の何れか一に記載の方法により製造される細胞集団の使用。
[15] 疾患の治療において使用するための、<1>に記載の細胞集団、又は<2>から<12>の何れか一に記載の方法により製造される細胞集団。
[16] <1>に記載の細胞集団、又は<2>から<12>の何れか一に記載の方法により製造される細胞集団を、治療を必要とする患者に投与することを含む、疾患の治療方法。
本発明によれば、皮下脂肪組織から、血管内皮(前駆)細胞の含有率が高い細胞集団を製造することができる。本発明の細胞集団は、血管内皮(前駆)細胞の含有率が高いことから、培養した場合に他の細胞により血管内皮(前駆)細胞が駆逐されることがなく、血管内皮(前駆)細胞を安定的に大量に培養することができる。
図1は、至適コラゲナーゼ濃度を検討した結果を示す。 図2は、至適コラゲナーゼ濃度を検討した結果を示す。 図3は、酵素組成を変化させた場合における回収される細胞集団をFACSで解析した結果を示す。 図4は、MACSによる純化の効果をFACSで確認した結果を示す。 図5は、2回目のMACSを培養4日目でかけた場合と、培養7日目でかけた場合の経時的な細胞を示す。 図6は、溶血処理後SVFを播種して、培養した場合の細胞を示す。1回目のMACSによる細胞分離が必要であることを示す比較例を示す。 図7は、CD45陰性かつCD31陽性の細胞集団を播種して、培養した場合の細胞を示す。1回目のMACSによる細胞分離を行い、かつ2回目のMACSによる細胞分離も必要であることを示す比較例を示す。 図8は、純化培養された血管内皮(前駆)細胞を示す。 図9は、凍結保存後のnetwork formation assayによる細胞特性解析の結果を示す。 図10は、凍結保存後の細胞蛍光免疫染色法による細胞特性解析の結果を示す。 図11は、実施例8におけるヒト脂肪組織由来の血管内皮前駆細胞の純化の様子を示す。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
[1]血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞とを含む細胞集団
本発明は、血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞とを含む細胞集団であって、前記細胞集団におけるCD45陰性かつCD31陽性の血管内皮(前駆)細胞の割合が92%以上であり、前記細胞集団における脂肪幹細胞の割合が8%以下である、細胞集団に関する。
血管内皮(前駆)細胞とは、血管の内表面を構成する細胞であり、血液の循環する内腔と接している細胞である。血管内皮(前駆)細胞とは、血管内皮細胞及び血管内皮前駆細胞とを包含する概念である。本発明における血管内皮(前駆)細胞は、脂肪組織に由来する血管内皮(前駆)細胞であり、分裂増殖する能力を保持している。血管内皮(前駆)細胞は、CD45陰性かつCD31陽性を指標として同定することができ、CD146陽性およびCD144陽性としても同定することができる。
血管内皮(前駆)細胞は、血管の新生を通して、あらゆる臓器の虚血性疾患の治療に利用できるとともに、臓器(器官、組織)の再生医療として臓器構成細胞、臓器特異的前駆細胞、幹細胞(胎性幹細胞、iPS細胞を含む)や幹細胞から誘導された細胞とともに臓器を体外もしくは体内で再生させるために必要な細胞である。本発明による血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団は、広範囲の疾患の治療に利用できる価値がある細胞医薬品として有用である。
脂肪幹細胞は、脂肪に由来する多分化能を有する細胞であり、脂肪細胞、骨母細胞、軟骨母細胞、筋線維母細胞、骨母細胞、筋肉細胞又は神経細胞などに分化することができる細胞である。
細胞集団とは、1種又は2種以上の多数の細胞を含む集団を意味する。細胞集団は、一般的には、1種類の優勢な細胞タイプと1種類以上の少数の細胞タイプとを含む、純粋ではない細胞集団である。本発明においては、血管内皮(前駆)細胞が、優勢な細胞タイプに該当し、脂肪幹細胞が、少数の細胞タイプに該当する。
CD45陰性かつCD31陽性とは、CD45の発現が陰性であり、CD31の発現が陽性であることを意味する。CD45陰性かつCD31陽性の細胞は、CD45抗体及びCD31抗体を用いて後記する磁気細胞分離(MACS)等により回収することができる。
本発明の細胞集団においては、CD45陰性かつCD31陽性の血管内皮(前駆)細胞の割合が92%以上であり、好ましくは93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であり、100%でもよい。CD45陰性かつCD31陽性の血管内皮(前駆)細胞の割合は、FACS(fluorescence activated cell sorting)により測定することができる。
本発明の細胞集団においては、脂肪幹細胞の割合は8%以下であり、好ましくは7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、又は1%以下であり、0%でもよい。脂肪幹細胞の割合は、CD31陰性かつCD146陰性で、CD90が陽性の細胞として確認することが可能である。脂肪幹細胞の割合は、さらに、CD45陰性、CD44陽性、CD29陽性、CD13陽性として確認することができる。上記のマーカーは、FACS(fluorescence activated cell sorting)により測定することができる。
[2]血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団の製造方法
本発明は、
(1)脂肪組織を酵素で処理して、少なくとも血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞とを含む細胞集団を取得する工程;
(2)前記(1)の工程で取得した細胞集団からCD31陽性の細胞を選別することによりCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程;
(3)前記(2)の工程で得たCD31陽性の細胞を含む細胞集団を1時間~7.0日間培養する工程;及び
(4)前記(3)の工程で得た細胞集団からCD31陽性の細胞を選別することによりCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程;
を含む、血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団の製造方法に関する。
工程(2)における「CD31陽性の細胞を選別する」としては、CD45-/CD31+で選別すること(即ち、CD45陰性かつCD31陽性の細胞を選別すること)でもよいし、CD31+で選別すること(即ち、CD31陽性のみで細胞を選別すること)でもよい。
本発明の一例としては、
(1)脂肪組織を酵素で処理して、少なくとも血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞とを含む細胞集団を取得する工程;
(2)前記(1)の工程で取得した細胞集団からCD45陰性かつCD31陽性の細胞を選別することによりCD45陰性かつCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程;
(3)前記(2)の工程で得たCD45陰性かつCD31陽性の細胞を含む細胞集団を2.0~6.0日間(又は3.0~6.0日間)培養する工程;及び
(4)前記(3)の工程で得た細胞集団からCD31陽性の細胞を選別することによりCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程;
を含む、血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団の製造方法に関する。
また、前記の(1)の工程と前記の(2)の工程との間に、前記(1)の工程で取得した細胞集団を1.0時間~5.0日間(または1.0~4.0日間)培養する工程を含めてもよい。
本発明による血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団の製造方法は、再生医療に有用な細胞である血管内皮(前駆)細胞を、脂肪組織(皮下脂肪組織)から分離し、純化し、培養する方法に関するものである。
本発明において血管内皮(前駆)細胞の分離源となる脂肪組織とは、脂肪細胞を主成分とする全身にわたる組織であり、主に皮下に存在し、エネルギー貯蔵のほか、外界からの物理的衝撃や温度変化に対する身体の保護、ホルモンやサイトカインなどを分泌する働きを有する。
脂肪組織は、例えばヒト、又はヒト以外の哺乳類又は鳥類などから外科的切除することにより得ることができる。ヒト以外の哺乳類としては、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、サル、フェレット、ウサギ、マウス、ラット、スナネズミ、モルモット、ハムスター等を挙げることができる。鳥類としては、ニワトリ等を挙げることができる。外科的切除の際には、局所麻酔をしてもよい。脂肪組織は、カニューレを腹部、大腿部、臀部、又は全身の皮下脂肪組織に挿管することによって、吸引により得ることもできる。得られる脂肪組織の量は、例えば1g~1000gであり、好ましくは1g~500g、1g~100g、2g~50g、又は2g~40gであるが、これらに限定されない。
得られた脂肪組織は、肉眼で、腫瘍性病変や汚染がないことを確認することが好ましい。脂肪組織は、HBV、HCV、HIV、HTLV-1、及びTPHA/RPRがいずれも陰性であることを確認してもよい。脂肪組織は、マイコプラズマが128倍未満(PA法)、単純ヘルペスが320倍未満(CF法)であることを確認してもよい。
吸引脂肪組織を使用する場合には、吸引脂肪組織を静置しておき、脂肪層と水層を分離させることが好ましい。また、吸引脂肪組織を遠心分離器により分離して、脂肪層、水層を分離することもできる。脂肪層と水層とが分離した後に、水層を回収除去することにより脂肪層のみを単離することができる。
得られた脂肪組織は、例えば生理食塩水などで洗浄してから酵素処理に供してもよい。
酵素処理に供する前の脂肪組織は、酵素処理の前に室温または37℃ウォーターバスで5分~15分間温めておくことが好ましい。
<工程(1)について>
本発明における工程(1)は、脂肪組織を酵素で処理して、少なくとも血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞とを含む細胞集団を取得する工程である。
酵素処理は、チューブ中の脂肪組織に適量の酵素反応液を加え、恒温振とう機にチューブを固定して、振盪させることによって行うことができる。酵素処理の温度は、酵素反応が進行する限り特に限定されないが、一般的には25℃~50℃であり、好ましくは30~45℃であり、例えば、37℃である。振盪は、往復振盪でも旋回振盪でもよい。往復振盪の場合、往復振盪速度は特に限定されないが、一般的には10rpm~300rpmであり、好ましくは50rpm~200rpmであり、例えば、120rpmである。反応時間は特に限定されないが、一般的には10分間~3時間であり、好ましくは15分間から1時間であり、例えば、30分間である。
酵素としては、少なくともコラゲナーゼを使用することが好ましい。
コラゲナーゼとは、動物組織細胞、炎症細胞、腫瘍細胞又はClostridium histolyticum等のバクテリアなどが産生する、又は、遺伝子組換え技術により人工的に産生される組換え蛋白質であり、I型、II型、III型コラーゲンを分解する酵素をいう。
酵素処理液におけるコラゲナーゼ濃度は、好ましくは0.02%~0.5%であり、より好ましくは0.1%~0.5%であり、さらに好ましくは0.1%~0.4%であり、さらに好ましくは0.1%~0.3%であり、最も好ましくは0.2%である。
酵素処理に使用する酵素処理液は、コラゲナーゼに加えてDNaseIをさらに含むことも好ましい。DNaseIを使用する場合、酵素処理液におけるDNaseIの濃度は、好ましくは100~10000U/mLであり、より好ましくは200~5000U/mLであり、さらに好ましくは500~2000U/mLである。
酵素処理に使用する酵素処理液は、ポロキサマー及びプロナーゼを含有しないことが好ましい。
酵素処理に使用する酵素処理液はさらにCaCl2を含むことが好ましい。酵素処理液におけるCaCl2の濃度は、好ましくは1mM~10mMであり、より好ましくは2mM~5mMであり、さらに好ましくは2mM~4mMであり、例えば、3mMである。
酵素処理に使用する酵素処理液は、緩衝液であることが好ましく、HBSS(Hanks' Balanced Salt Solution)であることがより好ましい。
酵素処理に使用する酵素処理液の組成の好ましい具体例は、0.2%コラゲナーゼ、HBSS、3 mM CaCl2、1000U/ml-DNaseIである。
<工程(2)について>
本発明における工程(2)は、前記(1)の工程で取得した細胞集団からCD31陽性の細胞を選別することによりCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程である。
本発明における工程(2)は、前記(1)の工程で取得した細胞集団からCD45陰性かつCD31陽性の細胞を選別することによりCD45陰性かつCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程であってもよい。
CD31陽性の細胞、またはCD45陰性かつCD31陽性の細胞を選別する方法は特に限定されず、抗体を用いてマーカータンパク質を発現する細胞又はマーカータンパク質を発現しない細胞を選別及び分離する方法を使用すればよい。
本発明においては、CD31に対して特異的に結合し得る抗体、更に所望によりCD45に対して特異的に結合し得る抗体を用いて細胞の選別及び分離を行うことができる。抗体は、上記のマーカータンパク質と特異的に結合可能なものであれば特に限定されず、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであってもよい。また抗体は、上記のマーカータンパク質に特異的に結合し得る限り断片であってもよい。抗体の断片としては、例えば、Fab断片、F(ab’)2断片、単鎖抗体(scFv)等が挙げられる。
抗体を用いてマーカータンパク質を発現する細胞又はマーカータンパク質を発現しない細胞を選別及び分離する方法としては、例えば、蛍光細胞分離法(Fluorescence activated cell sorting:FACS)、磁気細胞分離法(Magnetic activated cell sorting:MACS)等が挙げられ、上記の中でもMACSが好ましい。
MACSは、マーカータンパク質に対する抗体を磁気ビーズに固定化し、強力な磁石を利用して円筒形容器(カラム)の内壁又は、単にチューブ内で目的とする細胞を分離することができる。固定化する磁気ビーズ試薬としては、一般的なものを用いることができる。例えば、MACS(Miltenyi Biotec社製)、IMag(日本BD社製)等が挙げられる。
前記(2)の工程においては、抗CD31抗体で標識した磁気ビーズと、所望により抗CD45抗体で標識した磁気ビーズとを用いて、CD31陽性の細胞、またはCD45陰性かつCD31陽性の細胞をMACSにより選別することができる。
FACSにおいては、セルソーター機能を有するフローサイトメーターを用いれば、指定した蛍光を発する特定の細胞のみを分取することが可能である。このような機器として、例えばFACSAriaII(日本BD社製)、JSAN(ベイバイオサイエンス社製)、MoFlo XDP(ベックマン・コールター社製)等が挙げられる。
<工程(3)について>
本発明における工程(3)は、前記(2)の工程で得たCD31陽性の細胞を含む細胞集団を1時間~7.0日間(3.0~6.0日間でもよい)培養する工程である。
工程(2)で得た細胞集団を培養する期間が1時間~7.0日間であること、特には3.0~6.0日間であることは本発明の特徴の一つである。工程(2)で得た細胞集団を培養する期間は、好ましくは3.5~5.5日間であり、より好ましくは3.5~5.0日間であり、特に好ましくは4.0~4.5日間である。
工程(2)で得た細胞集団を培養する際の培養条件は、通常の動物細胞(好ましくは血管内皮(前駆)細胞)の培養に適した条件に準じて設定することができる。
培地は、血管内皮(前駆)細胞を培養できる培地であれば特に限定されず、EGM-2(Lonza)、αMEM、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地/ハムF-12混合培地(DMEM/F12)、RPMI1640などを挙げることができる。これらの培養液に対しては、通常、血清、各種ビタミン、各種抗生物質、各種ホルモン、各種増殖因子等、通常の細胞培養に適用可能な各種添加剤を添加してもよい。培地としては特に好ましくは、EGM-2培地(Lonza)、又はEGM-2MV (Lonza)などを使用することができる。
培養は、フラスコ等の培養容器を用いて、5%CO2、37℃で行うことが好ましい。培地交換は、例えば2日おきに行えばよい。
<工程(4)について>
工程(4)は、工程(3)で得た細胞集団からCD31陽性の細胞を選別することによりCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程である。
CD31陽性の細胞を含む細胞集団を選別する方法は特に限定されず、工程(2)の場合と同様に、抗体を用いてマーカータンパク質であるCD31を発現する細胞を選別及び分離する方法を使用すればよい。具体的には、工程(2)の場合と同様に、FACS、MACS等が挙げられ、上記の中でもMACSが好ましい。
工程(4)においては、抗CD31抗体で標識した磁気ビーズを用いて、CD31陽性の細胞を選別することができる。
<工程(4)の後について>
本発明の方法は、前記(4)の工程において選別されたCD31陽性の細胞を含む細胞集団を培養する工程をさらに含んでいてもよい。
工程(4)で得た細胞集団を培養する際の培養条件は、通常の動物細胞(好ましくは血管内皮(前駆)細胞)の培養に適した条件に準じて設定することができる。
培地は、血管内皮(前駆)細胞を培養できる培地であれば特に限定されず、EGM-2(Lonza)、αMEM、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地/ハムF-12混合培地(DMEM/F12)、RPMI1640などを挙げることができる。これらの培養液に対しては、通常、血清、各種ビタミン、各種抗生物質、各種ホルモン、各種増殖因子等、通常の細胞培養に適用可能な各種添加剤を添加してもよい。培地としては特に好ましくは、EGM-2培地(Lonza)、又はEGM-2MV (Lonza)などを使用することができる。
培養は、フラスコ等の培養容器を用いて、5%CO2、37℃で行うことが好ましい。培地交換は、例えば2日おきに行えばよい。
培養期間は特に限定されないが、例えば、1日~14日間の培養を行うことができる。日~6日間の培養を行った後に、細胞を継代して、例えば、3日~6日間の培養を再度行ってもよい。工程(4)の後における継代の回数及び培養の回数は特に限定されない。
細胞懸濁液の播種は特に限定されないが、一例としては、1x104個生存有核細胞/cm2、培地量は1mL/5cm2程度で実施可能である。継代培養が安定して可能になったP3以降においては、一例としては、2500個生存有核細胞/cm2、培地量は1mL/5cm2とすることができる。
[3]医薬組成物
本発明は、本発明による細胞集団、又は本発明の製造方法により製造される細胞集団(以下、これらをまとめて本発明の細胞集団とも言う)を含む、医薬組成物に関する。
本発明の細胞集団は、血管内皮(前駆)細胞を含むものであり、生体組織や臓器の損傷、変性、障害や機能不全の治療や美容を目的とした移植材料として用いることができる。
本発明の細胞集団は、単独で、あるいは幹細胞及び/又は体細胞と組み合わせて使用することによって、血流に問題のある様々な病的組織に血管新生を促すことができる。
本発明の細胞集団は、幹細胞と組み合わせて使用することによって、様々な臓器や組織を効率的に再生させ、移植先に生着させることができる。
本発明の細胞集団は、脂肪組織と組み合わせて使用することによって、豊胸、乳がん切除後の乳房再建、目元や頬のシワやハリの低下の改善等を目的とした移植を行うことができる。
本発明の細胞集団は、骨芽細胞と組み合わせて使用することによって、骨折の治療、低身長・骨変形・脚長差を改善するための骨延長術等を目的とした移植を行うことができる。
本発明の細胞集団は、軟骨細胞と組み合わせて使用することによって、関節軟骨の退化・変性・変形その他の異常に関連する疾患(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、肩関節周囲炎、顎関節症など)の治療を目的とした移植を行うことができる。
本発明の細胞集団は、平滑筋細胞と組み合わせて使用することによって、平滑筋細胞の傷害や異常に起因する疾患(例えば、排尿障害(尿漏れ、頻尿、尿閉など)、平滑筋腫、平滑筋肉腫等)の治療を目的とした移植を行うことができる。
本発明の医薬組成物は、本発明の細胞集団を、製薬上許容し得る媒体として使用される輸液製剤、又は培養液により希釈したものでもよい。輸液製剤としては特に限定されないが、例えば、生理食塩液、5%ブドウ糖液、リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、開始液(1号液)、脱水補給液(2号液)、維持輸液(3号液)、術後回復液(4号液)等を挙げることができる。希釈する際の細胞数は特に限定されないが、例えば、1×103~1×107個/mLとすることができる。
本発明の医薬組成物は、保存安定性、無菌性、等張性、吸収性及び/又は粘性を増加するための種々の添加剤、例えば、乳化剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、湿潤剤、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、増粘剤、ゲル化剤、pH調整剤等を含んでもよい。増粘剤としては、例えば、HES、デキストラン、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物のpHは、中性付近のpH、例えば、pH6.5以上又はpH7.0以上とすることができ、またpH8.5以下又はpH8.0以下とすることができるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物は、使用直前まで凍結状態にて保存することができる。本発明の医薬組成物を患者又は被験者に投与する際には、37℃で急速に解凍して使用することができる。
本発明の医薬組成物の投与量は、投与形態、投与方法、使用目的、及び患者又は被験者の年齢、体重及び症状等によって適宜決定することができる。血管内皮(前駆)細胞の1回の投与量は、特に限定されないが、例えば、104個/kg体重以上、105個/kg体重以上又は106個/kg体重以上である。また、血管内皮(前駆)細胞の1回の投与量は、特に限定されないが、例えば、109個/kg体重以下、108個/kg体重以下又は107個/kg体重以下である。
本発明の医薬組成物の投与方法は、特に限定されないが、例えば、皮下注射、リンパ節内注射、静脈内注射、動脈内注射、腹腔内注射、胸腔内注射又は局所への直接注射でもよいし、又はカテーテルなどにより局所に直接移植することなどが挙げられる。
また本発明の医薬組成物は、細胞懸濁液として投与することに限定されず、
(1)脂肪や皮膚などほかの組織に付着、もしくは混合して投与する;
(2)他の細胞や足場に付着、もしくは混合して、投与する;
(3)他の細胞や足場に付着、もしくは混合して、投与して、作成した細胞加工物として、投与する;
などの投与形態も可能である。
本発明の医薬組成物の投与対象は、典型的にはヒトであるが、他の動物であってもよい。他の動物としては、哺乳類又は鳥類などが挙げられる。哺乳類としては、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、サル、フェレット、ウサギ、マウス、ラット、スナネズミ、モルモット、ハムスター等を挙げることができる。鳥類としては、ニワトリ等を挙げることができる。
以下の実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
<試薬、使用機器など>
HBSS without Ca++, without Mg++ (Gibco, #14175-095)
コラナゲーゼ粗精製、Clostridium histolyticum由来(Wako, #032-22364)
遠沈管 (500 mL, Corning, #431123; 250 mL, Corning #430776; 50 mL, Falcon, #352070,15 mL, FALCON #352096)
卓上遠心機 (Kubota, 本体#S700T, 支柱#RS-7504M, バケット#053-0100)
恒温振盪機 (Yamato, #100)
電子秤
カルスピペット10 mL (Iwaki, #K-PIPET-LT10)
ピペット滅菌器角型 (三商, #92-0655-4)
スポイトシリコンゴム10 mL用 (アズワン, #6-356-04)
Cell culture dish (Falcon, #353025, 150mm dish, growth area 156.36 cm2)
セルストレーナーφ100 μm, FALCON #352360
セルストレーナーφ40 μm, FALCON # 352340
DNaseI粗精製(Worthington, #LS002138)
Blood cell lysis kit (ミルテニー, #130-094-183)
BSA fatty acid free, low endotoxin, lyophilized powder, BioReagent, suitable for cell culture, ≧96% (agarose gel electrophoresis) (Sigma, #A8806)
EDTA-2Na (Dojindo, #N001)
MS column (ミルテニー, #120-000-472)
MACS separator(ミルテニー)
CD45 Microbeads (ミルテニー, #130-045-801)
CD31 Microbeads kit (human) (ミルテニー, #130-091-935)
Culture sure CaCl2(wako, #037-24031, MW110.98)
0.22 μmφシリンジフィルター (ミリポア、Millex-GV, #2LGV-33RS)
血管内皮(前駆)細胞培地(EGM-2, Lonza #CC-3162)
TrypLE express (Gibco, #12604-021)
ジメチルスルホキシド分子生物学用(DMSO)(和光純薬, #047-29353)
非働化Fetal Bovine Serum (FBS)
凍結保存ユニット(Thermo Fisher Scientific, #5100-0001)
-80℃ディープフリーザー、気相式液体窒素極低温フリーザー
ソニケーター(ブランソン, #M2800J)
ディスポーザブルピペット(コーニング、コースター、5 mL #4487, 10 mL #4488, 25 mL #4489, 50 mL #4490)
マトリゲル基底膜マトリックス フェノールレッドフリー (Corning, #356237)
96 wellプレート、SpectraPlate-96 TC(パーキンエルマー, #6005650)
4%パラホルムアルデヒド・りん酸緩衝液(和光純薬, #163-20145)
グリシン(和光純薬, #077-00735)
Triton-X100(和光純薬,#591-12191)
Human CD31抗体(R&D, #BBA7)
Normal mouse IgG抗体 (Santa cruz, # sc-2025)
Alexa-488 Goat anti-mouse IgG1抗体(Invitrogen, #A21121)
DAPI (Dojindo, #340-07971)
4ウェルチャンバースライド(Iwaki, # 5722-004)
VECTA shield mounting medium (VECTOR Laboratories, #H-1000)
共焦点顕微鏡(OLYMPUS, FV1000)
カバーグラス(Matsunami, 24x50 mm, No.1, 0.12-0.17)
<試薬の調製>
(1M CaCl2 stockの調製)
Culture sure CaCl2 (wako, #037-24031, MW110.98) 11.1 g
MiliQ water 100 mL
上記を良く混合し、 オートクレーブ (121℃, 20分)した。
(Collagenase basal 2x mixの調製)
Figure 0007628689000001
Collagenaseを0.4%になるようにHBSSで溶解した。完全に溶かし切るため、ローテーターで15分溶解した。安全キャビネット内で、0.4% collagenase/HBSSをシリンジフィルターに掛けて、滅菌濾過した。その後、1 M CaCl2を添加して、6 mM CaCl2を含むCollagenase basal 2x mixを調製した。
(酵素反応液の調製)
Figure 0007628689000002
Figure 0007628689000003
実施例3の酵素反応液の調製
条件Bの酵素反応液については、コラゲナーゼ濃度を、0.0%、0.02%、0.1%、0.2%、0.4%、0.8%、1.0%又は2.0%に変更した酵素反応液も調製した。
カルスピペットは、滅菌管に入れて、乾熱滅菌(180℃、2時間)した。
(100 mM EDTA stockの調製)
EDTA-2Na 0.37 gを10 mL MiliQ waterに溶解した。シリンジフィルター0.22μmφで滅菌濾過した。
(MACS bufferの調製)
0.5% BSA/2 mM EDTA/HBSSで溶解し、シリンジフィルター0.22μmφで滅菌濾過した。脱気のためソニケーターに10分間掛けて、4℃で保存した。
実施例1:酵素処理
<吸引脂肪組織の分注>
コニカルチューブ重さを秤量した。
吸引脂肪組織を静置しておき、脂肪層と水層を分離させる。分離したところで、ディスポーザブルピペットをスポイトシリコンゴムを用いて陽圧の状態で水層まで差し込み静かに水層を回収除去した。
10 mLディスポーザブルピペットの先端を折り、口を広くした。
上記ピペットで吸引脂肪組織をかき混ぜて、組織を可能な限り均一な状態にして、コニカルチューブに分注した。
コニカルチューブ分注量:
50 mLコニカルチューブ:吸引脂肪5 g前後(小スケール)
250 mLコニカルチューブ:吸引脂肪25 g前後(中スケール)
500 mLコニカルチューブ:吸引脂肪50 g前後(大スケール)
以下により、吸引脂肪の重量を秤量した。
「吸引脂肪の重量」=「組織分注後の重さ」-「 空のコニカルチューブの重さ」
分注した吸引脂肪組織は、事前に37℃ウォーターバスで5分~30分温める、もしくは室温の状態で置いた。
<酵素処理>
酵素反応液を上述の条件で用意し、事前に37℃で10分間温めたか、もしくは室温の状態で置いた。
吸引脂肪組織に等量の酵素反応液(条件A、B、C、D、E又はF)を加えた。恒温振とう機にコニカルチューブを横倒しに固定して、37℃ 120rpm 30分間振盪し、酵素反応させた。コニカルチューブのキャップは、パラフィルムを巻き、コンタミを防いだ。チューブを取り出して、800G 10分間で遠心した。遠心後の組織-酵素反応液は、遠沈管上部から、オイル層、残存脂肪層、エマルジョン層、水層、細胞ペレットに分離した状態になった。チューブから、オイル層、脂肪層、エマルジョン層を除去した。中・大スケールの場合は、カルスピペット、小スケールの場合は、50 mL のディスポーザブルピペットで除去した。沈殿した細胞塊が崩れないように注意した。水層はパスツールピペットを用いてアスピレーターで吸引除去した。チューブ内の細胞ペレットは、大中小スケール共に50 mLディスポーザブルピペットを用いて、45 mLのHBSS (4℃)で穏やかに懸濁し、細胞懸濁液を得た。
新品の50 mLコニカルチューブにφ100umセルストレイナーを置き、乳白色の繊維質の塊を細胞懸濁液(約10 mL)と共にピペットでセルストレーナー上に移動させて細胞懸濁液を通した。セルストレーナー上にトラップされた繊維質の塊を5 mLディスポーザーブルピペットの先端でしごいて繊維質に付着している細胞を回収した。残りの細胞懸濁液(約35 mL)をセルストレーナーに通した。50 mLディスポーザブルピペット(コーニング##4490のピペット先端の内径3.15 mm)で、細胞懸濁を十分に行った(15回)。(3.15 mm内径の穴に15回通して細胞懸濁した)。
新品の50 mLコニカルチューブにφ40umセルストレーナーを置き、100μmφのセルストレーナーに通した細胞懸濁液をさらにφ40umセルストレーナーに通した。
遠心分離操作、800G 5分間、4℃で遠心した。上清を吸引してHBSS (4℃)で45 mLまでメスアップ、再懸濁した。800G、5分間、4℃で遠心した。上清を吸引してHBSS (4℃)に再懸濁した。脂肪1 g当たり0.5 mLで懸濁した。
有核生細胞数をLuna-stemを用いて計測した。有核生細胞数の判定は、Acridine Orange (AO)とPropidium Iodide(PI)の共染色で行った。この有核生細胞数をSVF (stromal vascular fraction)の細胞数とした。
ミルテニーred blood cell lysis solution kitで溶血操作した(全てキットのプロトコールどおりに行なった)。上清を吸引してHBSS (4℃)で再懸濁した。脂肪5 g当たり1 mLで懸濁した。有核生細胞数をLuna-stemで計測した。この有核生細胞数を溶血処理後SVFの細胞数とした。
溶血処理後SVFに関して、FACSによる溶血処理後SVFに含まれる細胞集団の比率調査(実施例2)、MACS による溶血処理後SVFに含まれる細胞集団の比率調査(実施例3)、及びMACSによる脂肪組織由来血管内皮(前駆)細胞(EC細胞)の純化(実施例4)を行なった。
実施例2:FACSによる溶血処理後SVFに含まれる細胞集団の比率調査
条件Bの酵素反応液において、コラゲナーゼ濃度を、0.0%、0.02%、0.1%、0.2%、0.4%、0.8%、1.0%又は2.0%に変更した酵素反応液を用いて酵素処理した場合について、CD45、CD34、CD31の比率をFACSにより確認した。
(FACS bufferの調製)
0.5% BSA/2 mM EDTA/DPBSで溶解し、シリンジフィルター0.22μmφで滅菌濾過した。脱気のためソニケーターに10分間掛けて、4℃で保存した。
(FcR block反応液の調製)
BD Fc blockTMReagent for Human (BD, #564220)を2.5μg/mLの濃度でFACS bufferに添加してFcR block反応液とした。
4×105個の溶血処理後SVFをFcR block反応液80 μLで懸濁して、氷中で10分間インキュベートした。下記の実験系列に従って抗体又はFACS bufferを添加し、十分に混和し、氷中で10分間インキュベートした。抗体反応後、0.5 mLのFACS bufferを添加し、氷中で待機させ順じFACSに掛けた。系列#01-05で、Voltage設定とCompensation設定を行い、設定条件を固定してサンプル群系列#06-13をFACSに掛けてデータ取得した。
実験系列
Figure 0007628689000004
Figure 0007628689000005
APC-IgG1抗体 (BD, #550854)
PE-IgG1抗体 (BD, #555749)
FITC-IgG1抗体 (BD, #555748)
APC-CD45抗体 (BD, #555485)
PE-CD31抗体 (BD, #555446)
FITC-CD34抗体 (BD, #564221)
その結果を図1に示す。 コラゲナーゼ濃度と細胞数との関係を図2に示す。
Populationの判断:
CD45-/CD34+/CD31+: 血管内皮(前駆)細胞を多数含むpopulation
CD45-/CD34+/CD31-: 脂肪幹細胞を多数含むpopulation
CD45+: 血球系細胞を多数含むpopulation
また、各酵素反応液(条件A、B、C、D、E又はF)について、CD45、CD34、CD31の比率をFACSにより確認した。FACSの方法は、実施例2中の上記と同様の方法で行った。下に実験系列を示す。
(実験系列)
Figure 0007628689000006
Figure 0007628689000007
その結果を図3に示す。酵素組成により、回収できる細胞集団の比率が変わることが分かった。条件Bが最も、血管内皮(前駆)細胞の比率が高かった。
実施例3:MACS による溶血処理後SVFに含まれる細胞集団の比率調査
<実施例3の酵素反応液の調製>
表1(Collagenase basal 2x mixの調製)に従って、Collagenase basal 2x mixを調製した。
下記条件A-Dの酵素反応液を調製した。
Figure 0007628689000008
Figure 0007628689000009
その結果を以下の表に示す。
FACSの場合と同様に、血管内皮(前駆)細胞の比率(MACS:CD45陰性かつCD31陽性細胞の比率)は、条件Bが高かった。
実施例4:MACSによる脂肪組織由来血管内皮(前駆)細胞(EC細胞)の純化
実施例1に記載した酵素処理条件を以下の条件とした場合のSVFを用いて、MACSによる脂肪組織由来血管内皮(前駆)細胞(EC細胞)の純化を行った。SVF回収時をPassage number P0とする。
Figure 0007628689000011
SVF回収時をPassage number P0とする。
(1)MACSによるCD45-/CD31+細胞集団回収
ミルテニー社MACSのプロトコールどおりに以下の通り行なった。
有核細胞数をカウント後、MACSに掛ける細胞を15 mLコニカルチューブに分注した。1x10^7個生存有核細胞を1カラムに掛けることを目安とした。遠心分離(300G, 3分, 4℃)を行った。細胞ペレットを80 μLのMACS bufferに穏やかに懸濁した。20μLのCD45マイクロビーズを添加し、穏やかにピペッティングした。CD45抗体との反応を15分、4℃で行った。1 mLのMACS bufferを添加し、タッピングにより液体混和をした。遠心分離(300G, 3分, 4℃)を行った。細胞ペレットを0.5 mLのMACS bufferに再懸濁し、4℃で待機させた。ミルテニー社のMSカラムをセパレーターにセットし、カラムを0.5 mL MACS bufferで1回洗浄した。カラム洗浄後すぐにCD45マイクロビーズ処理した細胞懸濁液をカラムに添加した。フロースルー分画をCD45-細胞集団として回収した。磁気カラムに補足され、セパレーターからのカラム離脱後にフラッシュで溶出される分画をCD45+細胞集団として回収した。
CD45-細胞集団を遠心分離(300G, 3分, 4℃)した。細胞ペレットを60μLのMACS bufferに穏やかに再懸濁した。細胞懸濁液に20μLのFc receptor (FcR) block reagentを添加し、2-3秒ボルテックスした。20μLのCD31マイクロビーズを添加して、穏やかにピペッティングした。CD31抗体反応を15分、4℃で行った。1 mLのMACS bufferを添加、タッピングにより液体混和をした。遠心分離(300G, 3分, 4℃)を行った。細胞ペレットを0.5 mLのMACS bufferに再懸濁し、4℃で待機させた。ミルテニー社の新品のMSカラムをセパレーターにセットし、カラムを0.5 mL MACS bufferで1回洗浄した。カラム洗浄後すぐにCD31マイクロビーズ処理した細胞懸濁液をカラムに添加した。0.5 mLのMACS bufferを3回カラムに通した。フロースルーをCD45-/CD31-細胞集団として回収した(脂肪幹細胞を多く含む)。磁気カラムに補足され、セパレーターからのカラム離脱後にフラッシュで溶出される分画をCD45-/CD31+細胞集団として回収した(血管内皮(前駆)細胞を多く含む)。CD45-/CD31+細胞集団を遠心分離(300G, 3分, 4℃)した。
MACS操作の直後に下記3種類の細胞集団をCD45/CD31/CD34でFACSし、各細胞集団のpopulationの違い、特に血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞の比率を確認した。
(細胞集団)
1. 溶血処理後(MACS未処理)SVF
2. CD45-/CD31+細胞集団
3. CD45-/CD31+細胞集団
FACSの方法、実施例2と同様のプロトコールで行った。
以下に実験系列を示す。
(実験系列)
Figure 0007628689000012
上記したMACSによる純化の効果をFACSで確認した結果を、図4に示す。
(2)細胞の培養
EGM-2培地に、上記で得たCD45-/CD31+細胞集団を再懸濁し、カウントした。Luna-stemで有核細胞数および細胞生存率をカウントした。1x104個生存有核細胞/0.25 mL EGM-2培地/cm2で細胞懸濁し、播種した。CD45-/CD31+細胞集団の細胞懸濁液の一部を表9条件Bとして、FACSした。以下、条件A-Hは、表9に示す培養スケジュール条件に該当する。培養(EGM-2培地)(P0)は、4日間、又は7日間、37℃、5% CO2、培地交換2日おきに行った。また、溶血処理後SVFの細胞懸濁液の一部を条件Aとして、FACSした。
細胞培養のスケジュールを下記の表に示す。
2回目のMACSを培養4日目と培養7日目で行うため、培養4日目と培養7日目で下記の細胞剥離、分散操作を行った。細胞を、HBSS(37℃)で洗浄後、1x TrypLE express (37℃)を適量(3 mL TrypLE express/25 cm2)添加し、37℃、5% CO25分間で細胞剥離させた。EGM-2培地で反応停止、遠心分離(300G, 5分、4℃)で細胞ペレットを得た。有核細胞数をLuna stemでカウントした。培養4日目の細胞懸濁液の一部を条件Cとして、培養7日目の細胞懸濁液の一部を条件FとしてFACSした。
(3)MACS によるCD31+の細胞集団回収
細胞懸濁液を遠心分離(300G, 3分, 4℃)した。細胞ペレットを60μLのMACS bufferに穏やかに再懸濁した。細胞懸濁液に20μLのFc receptor (FcR) block reagentを添加し、2-3秒ボルテックスした。20μLのCD31マイクロビーズを添加して、穏やかにピペッティングした。CD31抗体反応を15分、4℃で行った。1 mLのMACS bufferを添加、タッピングによる液体混和をした。遠心分離(300G, 3分, 4℃)を行った。細胞ペレットを0.5 mLのMACS bufferに再懸濁し、4℃で待機させた。ミルテニー社のMSカラムをセパレーターにセットし、カラムを0.5 mL MACS bufferで1回洗浄した。カラム洗浄後すぐにCD31マイクロビーズ処理した細胞懸濁液をカラムに添加した。0.5 mLのMACS bufferを3回カラムに通した。フロースルーをCD31-細胞集団として回収した(脂肪幹細胞を多く含む)。磁気カラムに補足され、セパレーターからのカラム離脱後にフラッシュで溶出される分画をCD31+細胞集団として回収した(血管内皮(前駆)細胞を多く含む)。CD31+細胞集団を遠心分離(300G, 3分, 4℃)した。培養4日目の細胞懸濁液をMACSした細胞懸濁液を条件Dとして、培養7日目の細胞懸濁液の一部を条件GとしてFACSした。
(4)細胞培養
2500個生存有核細胞/0.2 mL EGM2培地/cm2で細胞懸濁し、播種した。培養(EGM-2培地)(P1)を6日間、37℃、5% CO2で行った。培地交換は2日おきに行った。80-90%コンフルエントまで培養した。培養4日目の細胞懸濁液をMACSした条件Dを培養した細胞集団を条件Eとして、培養7日目の細胞懸濁液をMACSした条件Gを培養した細胞集団を条件Hとして図5に検鏡像を示す。条件Eでは、血管内皮(前駆)細胞の純化は完了している。一方、条件Hでは、脂肪幹細胞の増加が確認でき、血管内皮(前駆)細胞は駆逐される傾向にあった。したがって、条件Eとなる培養スケジュールでのみ、血管内皮(前駆)細胞の純化が完了することを示す。
条件A-D及び条件F, Gの時点でのFACSによる解析結果及び、条件E及びHでの細胞の写真を図5に示す。
比較例1:
比較のために、上記の実施例4において、酵素処理条件BでSVFの細胞集団を回収後、1回目のMACSを実施しなかった場合における細胞の写真を図6に示す。
比較例2:
比較のために、上記の実施例4において、酵素処理条件BでSVFの細胞集団を回収後、1回目のMACSにより回収したCD45-/CD31+の細胞集団について、2回目のMACSを実施しなかった場合における細胞の写真を図7に示す。
実施例5:
実施例5は、純化したEC細胞を細胞増殖し大量に獲得するための細胞培養および継代ステップである。
実施例4条件Eの細胞を、上記と同様に、細胞を剥離分散した。2500個生存有核細胞/0.2 mL EGM2培地/cm2で細胞懸濁し、播種した。培養(EGM-2培地)(P2)を5-6日間、37℃、5% CO2で行った。培地交換2日おきに行った。80-90%コンフルエントまで培養した。
上記と同様に、細胞を剥離分散した。2500個生存有核細胞/0.2 mL EGM2培地/cm2で細胞懸濁し、播種した。培養(EGM-2培地)(P3)を5-6日間、37℃、5% CO2で行った。培地交換2日おきに行った。80-90%コンフルエントまで培養した。
これにより得られた酵素処置条件Bについての細胞の写真を図8Aに示す。
(結果)
上記の結果から、溶血処理後SVF回収直後に、MACSによりCD45-/CD31+細胞集団を回収すること及び、2回目のMACSを培養4日で掛けることが好ましいことが判明した。
実施例6
細胞保存液(80% EGM-2, 10% 非働化済FBS, 10% DMSO)に、実施例5で得られた細胞ペレットを懸濁した。凍結保存ユニットに入れて、-80℃ディープフリーザーで凍結した。さらに、気相式液体窒素タンクに移動し、極低温保存した。ここで保存した細胞は、極低温保存容器から取り出した直後に37℃ウォーターバスにて2分間温め、事前に温めておいたEGM-2培地に2500個生存有核細胞/0.2 mL EGM2培地/cm2で細胞懸濁し、播種した。培養(EGM-2培地)(P4)を5-6日間、37℃、5% CO2で行った。培地交換を2日おきに行った。80-90%コンフルエントまで培養した。実施例4、5と同様に、細胞を剥離分散した。2500個生存有核細胞/0.25 mL EGM2培地/cm2で細胞懸濁し、播種した。培養(EGM-2培地)(P5)を5-6日間、37℃、5% CO2で行った。培地交換2日おきに行った。80-90%コンフルエントまで培養した。以上の、純化された血管内皮(前駆)細胞の凍結、保存、起眠の工程を図8Bに示す。
細胞を融解し、2500個の生存有核細胞/0.2 mL EGM2培地/cm2で細胞を懸濁し、播種した。培養(EGM-2培地)(P4)を、5-6日間、37℃、5% CO2で行った。培地交換は2日おきに行った。上記により、様々な用途に使用可能な血管内皮(前駆)細胞を得た。
凍結保存後の細胞特性解析の結果を図9及び図10に示す。
血管内皮(前駆)細胞の特徴的な性質の1つとして、マトリゲル上での培養によりチューブ状のネットワーク構造を形成することが知られている。これは、臍帯静脈血管内皮(前駆)細胞などの細胞特性解析に一般的に用いられる方法である。そこで、脂肪組織由来血管内皮(前駆)細胞(P5)がネットワーク構造を形成するかをnetwork formation assayにより確認した。比較条件として、ネットワーク構造を形成する臍帯静脈血管内皮(前駆)細胞(HUVEC)とやや弱くネットワーク構造を形成することが報告されている脂肪幹細胞を設定した。脂肪幹細胞は、SVFとして回収し、DMEM/F12/ペニシリンストレプトマイシン/10%非働化済FBS培地で継代培養することにより得られた細胞を使用した。
下記にnetwork formation assayの方法を示す。
マトリゲルを4℃で一晩かけて融解した。氷上で冷やした96ウェルプレートにマトリゲルを50 mL/wellになるように添加した。37℃、5% CO2のインキュベーター内で30分以上静置し、マトリゲルをゲル化した。実施例6で得られた脂肪由来血管内皮(前駆)細胞(P4)、臍帯静脈血管内皮(前駆)細胞(P4)、及び脂肪幹細胞(P3)を実施例4、5と同様に細胞分散した。脂肪由来血管内皮(前駆)細胞及び臍帯静脈血管内皮(前駆)細胞は、5x103 viable cells/50 mL EGM-2/wellになるように細胞懸濁液を調製し、マトリゲル上に添加しP5とした。脂肪幹細胞(P2)は、5x103 viable cells/50 mL DMEM/F12/ペニシリンストレプトマイシン/10%非働化済FBS培地/wellになるように細胞懸濁液を調製し、マトリゲル上に添加しP3とした。37℃、5% CO2のインキュベーター内で、6時間培養後に倒立位相差顕微鏡で撮像した写真を図9に示す。
(結果)
脂肪組織由来血管内皮(前駆)細胞(P5)は、臍帯静脈血管内皮(前駆)細胞と同等のチューブ状のネットワーク構造を形成した。
細胞蛍光免疫染色の手順を以下に示す。
PBSの調製:137 mM NaCl/2.7 mM KCl/10 mM Na2HPO4/1.8 mM KH2PO4/MiliQ水になるように調製した。10 mM グリシン/PBSになるように調製した。0.1% Triton X-100/PBSになるように調製した。3% BSA/PBS、1% BSA/PBS、及び0.1% BSA/PBSを調製した。サンプル群としてCD31抗体、及びコントロール群としてNormal Mouse IgG抗体を 10 μg/mLの濃度で1% BSA/PBSに希釈し、1次抗体反応液を調製した。Alexa-488 goat anti-mouse IgG1抗体を% BSA/PBSで1000倍希釈し、2次抗体反応液を調製した。DAPIをPBSで2000倍希釈し、核染色反応液を調製した。
実施例7
実施例6と同様に血管内皮(前駆)細胞(P4)及び臍帯静脈内皮細胞(P4)を細胞分散後、4ウェルチャンバースライドに2500個生存有核細胞/0.2 mL EGM2培地/cm2で細胞懸濁し、播種した。培養(EGM-2培地)(P5)を4日間、37℃、5% CO2で行った。培地交換を2日おきに行った。培地を除去して、4%パラホルムアルデヒド・りん酸緩衝液0.4 mL/wellで10分間、室温で細胞固定した。10 mM グリシン/PBS液、1 mL/wellで5分間、3回、室温で洗浄した。10 mM グリシン/PBS液を除去し、0.1% Triton X-100/PBS 0.4 mL/wellで5分間、室温で透過処理した。PBS 1 mL/wellで5分間、3回、室温で洗浄した。PBSを除去し、3% BSA/PBS 0.4 mL/wellで10分間、室温でブロッキング処理した。3% BSA/PBSを除去し、PBS 1 mL/wellで5分間、室温で洗浄した。1次抗体反応液のサンプル群及びコントロール群を 0.25 mL/well添加し、4℃、一晩、湿潤下、遮光でインキュベートした。0.1% BSA/PBS 1mL/wellで5分間、3回、室温で洗浄した。2次抗体反応液を0.25 mL/well添加し、20分間、室温、湿潤下、遮光でインキュベートした。0.1% BSA/PBS 1mL/wellで5分間、3回、室温で洗浄した。核染色反応液を0.25 mL/well添加し、5分間、室温、湿潤下、遮光でインキュベートした。PBS 1mL/wellで5分間、1回、室温で洗浄した。VECTA shieldを封入し、24時間、室温で封入剤を固化した。共焦点顕微鏡で撮像した。撮像の結果を図10に示す。
(結果)
細胞蛍光免疫染色法による細胞特性解析。血管内皮(前駆)細胞マーカーであるCD31と核染色により、継代培養を繰り返した血管内皮(前駆)細胞(P5)の細胞形態を確認した。
実施例8:ヒト脂肪組織由来の血管内皮前駆細胞を純化する培養方法(新方式)
吸引および破砕した皮下脂肪組織25~200 gを回収した。
酵素処理(酵素組成1:0.2% コラゲナーゼ+1000 U/mL DNase1+3 mM CaCl2+HBSS)、及び遠心により脂肪組織から間質血管細胞群(SVF、血管内皮前駆細胞に加え、脂肪幹細胞など他の細胞も含む混合物)を調製した。この時、SVFは、脂肪1g当たり2~10×105有核細胞を取得する。
細胞を培養用プラスチック容器(培養フラスコ等)に播種した。播種密度は、5x104有核細胞/cm2(5×103 ~5×105 有核細胞/ cm2)とし、培地としては、0.2 mL/cm2(0.02~20 mL/cm2)の血管内皮細胞培養用培地(例えばEGM-2またはEGM2MV、ロンザ社)を使用した。
SVFを血管内皮細胞培養用培地で2日間(1.0時間から5日間であればよい)培養した。
培養SVFは細胞分散液を用いて培養容器から分散させ、SVF細胞集団の細胞懸濁液を得た。SVF細胞集団から、MACSによりCD31陽性の細胞を選別することによりCD31陽性の細胞を含む細胞集団(CD31陽性細胞集団)を取得した。このとき、MACS操作は、CD31マイクロビーズによる選別を2回繰り返し行うことで純度をさらにあげることができる(CD31+/CD31+細胞を回収する。)
CD31陽性細胞集団を培養用プラスチック容器(培養フラスコ等)に播種した。播種密度は、5×104有核細胞/cm2(5×103~5×105 有核細胞/ cm2)とし、培地としては、0.2 mL/cm2(0.02~20 mL/cm2)の血管内皮細胞培養用培地(例えばEGM-2またはEGM2MV、ロンザ社)を使用した。CD31陽性細胞集団を血管内皮細胞培養用培地で3日間(1時間 から 7日間であればよい)培養した。
培養CD31陽性細胞集団は細胞分散液を用いて、培養容器から分散させ、CD31陽性細胞集団の細胞懸濁液を得た。MACSにより更にCD31陽性の細胞を選別することによりCD31陽性の細胞を高効率で含む細胞集団(高純度CD31陽性細胞集団)を取得した。このとき、MACS操作は、CD31マイクロビーズによる選別を2回繰り返し行うことで純度をさらに上げることもできる。このとき、フローサイトメトリ解析によりCD45陰性・CD31陽性・CD146陽性細胞の比率が90%以上である細胞集団を高純度CD31陽性細胞集団(血管内皮前駆細胞)とした。
増幅するために、高純度CD31陽性細胞集団を培養用プラスチック容器(培養フラスコ等)に播種した。播種密度は、5x104有核細胞/cm2(5×103~5×105 有核細胞/ cm2)とし、培地としては、0.2 mL/cm2(0.02~20 mL/cm2)の血管内皮細胞培養用培地(例えばEGM-2またはEGM2MV、ロンザ社)を使用した。5日間(2日~10日間であればよい)培養し、高純度CD31陽性細胞集団を継代した。播種密度は、2.5×103有核細胞/cm2(2.5×102 ~2.5×105 有核細胞/ cm2)とし、培地としては、0.2 mL/cm2(0.02~20 mL/cm2)の血管内皮細胞培養用培地(例えばEGM-2またはEGM2MV、ロンザ社)を使用した。
以上により、純化された脂肪組織由来血管内皮(前駆)細胞を取得した(図11)。

Claims (10)

  1. (1)吸引脂肪組織を酵素で処理して、少なくとも血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞とを含む細胞集団を取得する工程;
    (2)前記(1)の工程で取得した細胞集団からCD45陰性かつCD31陽性の細胞を選別することによりCD45陰性かつCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程;
    (3)前記(2)の工程で得たCD45陰性かつCD31陽性の細胞を含む細胞集団を2.0~6.0日間培養する工程;及び
    (4)前記(3)の工程で得た細胞集団からCD31陽性の細胞を選別することによりCD31陽性の細胞を含む細胞集団を取得する工程;
    を含む、血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団の製造方法であって、血管内皮(前駆)細胞を含む細胞集団が、血管内皮(前駆)細胞と脂肪幹細胞とを含む細胞集団であって、前記細胞集団における血管内皮(前駆)細胞の割合が92%以上であり、前記細胞集団における脂肪幹細胞の割合が8%以下である、細胞集団である、製造方法。
  2. 前記の(1)の工程と前記の(2)の工程との間に、前記(1)の工程で取得した細胞集団を1.0時間~5.0日間培養する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記(1)の工程において、酵素がコラゲナーゼである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記(1)の工程における酵素処理の際のコラゲナーゼ濃度が0.02%~0.5%である、請求項3記載の方法。
  5. 前記(1)の工程における酵素処理の際のコラゲナーゼ濃度が0.1%~0.3%である、請求項3記載の方法。
  6. 前記(1)の工程における酵素処理に使用する酵素処理液が、DNaseIをさらに含む、請求項3から5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記(1)の工程における酵素処理に使用する酵素処理液が、ポロキサマー及びプロナーゼを含有しない、請求項3から6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記(2)の工程において、抗CD45抗体で標識した磁気ビーズと、抗CD31抗体で標識した磁気ビーズとを用いて、CD45陰性かつCD31陽性の細胞を選別する、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記(4)の工程において、抗CD31抗体で標識した磁気ビーズを用いて、CD31陽性の細胞を選別する、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
  10. 前記(4)の工程において選別されたCD31陽性の細胞を含む細胞集団を培養する工程をさらに含む、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
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