JP7630774B2 - リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 - Google Patents

リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置 Download PDF

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Description

本開示は、リアクトル、コンバータ、及び電力変換装置に関する。
本出願は、2020年8月24日付の日本国出願の特願2020-141155に基づく優先権を主張し、前記日本国出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
ハイブリッド自動車などの車両に搭載されるコンバータの構成部品にリアクトルがある。リアクトルは、コイルと、磁性コアとを備える。特許文献1の図5から図8には、一つのコイルと、二つのE字状のコア片を組み合わせた磁性コアとを備えるリアクトルが記載されている。この磁性コアは、所謂E-E型コアである。この磁性コアは、両コア片の端面同士が向かい合うように組み合わされることでθ状に構成される。磁性コアは、エンドコア部と、ミドルコア部と、サイドコア部とを有する。エンドコア部は、コイルを軸方向から挟むようにコイルの端面側に配置される。ミドルコア部は、コイルの内側に配置される。サイドコア部は、ミドルコア部を挟むようにコイルの外側に配置される。
特開2016-201509号公報
本開示のリアクトルは、
コイルと磁性コアとを備えるリアクトルであって、
前記磁性コアは、X方向に組み合わされることでθ状に構成される第一コアと第二コアとを備え、
前記第一コアは、第一エンドコア部と、ミドルコア部の少なくとも一部と、第一サイドコア部及び第二サイドコア部を含む両サイドコア部の少なくとも一部とを含み、
前記第二コアは、第二エンドコア部と、前記ミドルコア部の残部と、前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々の残部とを含み、
前記第一エンドコア部は、前記コイルの第一の端面に臨み、
前記第二エンドコア部は、前記コイルの第二の端面に臨み、
前記ミドルコア部は、前記コイルの内側に配置され、
前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部は、前記ミドルコア部を挟むように前記コイルの外側に配置され、
前記第二コアの比透磁率は前記第一コアの比透磁率よりも高く、
前記第一コアの前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々は、前記第二コアに向く先端面を有し、
前記第二コアの表面は、前記先端面と向かい合う対向面を有し、
前記磁性コアをZ方向から見たとき、
前記対向面の外側縁は前記先端面の外側縁からY方向の内側に位置すると共に、
前記対向面の内側縁と前記先端面の内側縁とは前記Y方向に実質的に揃っており、
前記対向面における前記Y方向の幅が、前記先端面における前記Y方向の幅よりも短く、
前記X方向は、前記ミドルコア部の軸方向に沿った方向であり、
前記Y方向は、前記ミドルコア部と前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部とが並列される方向であり、
前記Z方向は、前記X方向と前記Y方向の双方に直交する方向である。
本開示のコンバータは、本開示のリアクトルを備える。
本開示の電力変換装置は、本開示のコンバータを備える。
図1は、実施形態1に係るリアクトルの全体の概略を示す斜視図である。 図2は、実施形態1に係るリアクトルを分解した状態の概略を示す斜視図である。 図3は、実施形態1に係るリアクトルの全体の概略を示す上面図である。 図4は、実施形態1に係るリアクトルに備える磁性コアにおいて、第一コアの先端面と第二コアの対向面との位置関係を説明する拡大図である。 図5は、実施形態2に係るリアクトルの全体の概略を示す上面図である。 図6は、実施形態3に係るリアクトルの全体の概略を示す上面図である。 図7は、実施形態3に係るリアクトルに備える磁性コアにおいて、第一コアの先端面と第二コアの対向面との位置関係を説明する拡大図である。 図8は、実施形態4に係るリアクトルの全体の概略を示す上面図である。 図9は、ハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す構成図である。 図10は、コンバータを備える電力変換装置の一例の概略を示す回路図である。 図11は、試験例1におけるインダクタンスの解析結果を示すグラフである。
[本開示が解決しようとする課題]
リアクトルの軽量化を図る観点から、磁性コアの軽量化が要求されている。
一般に、E-E型の磁性コアは、二つのE字状のコア片を対称に配置する。両コア片は、同一材質で、同一形状かつ同一サイズである。磁性コアの軽量化を図るため、磁性コア全体を小型化する、具体的には両コア片のサイズを小さくすると、リアクトルの電磁気性能に影響を及ぼすおそれがある。また、磁性コア全体を小型化すると、損失の増加が懸念される。したがって、電磁気性能を保ちつつ、磁性コアの軽量化を実現することが望まれる。電磁気性能としては、例えば、インダクタンスが挙げられる。
そこで、本開示は、軽量化を図ることができるリアクトルを提供することを目的の一つとする。また、本開示は、上記リアクトルを備えるコンバータを提供することを別の目的の一つとする。更に、本開示は、上記コンバータを備える電力変換装置を提供することを他の目的の一つとする。
[本開示の効果]
本開示のリアクトルは、軽量化を図ることができる。また、本開示のコンバータ及び電力変換装置は、軽量化できる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の実施形態に係るリアクトルは、
コイルと磁性コアとを備えるリアクトルであって、
前記磁性コアは、X方向に組み合わされることでθ状に構成される第一コアと第二コアとを備え、
前記第一コアは、第一エンドコア部と、ミドルコア部の少なくとも一部と、第一サイドコア部及び第二サイドコア部を含む両サイドコア部の少なくとも一部とを含み、
前記第二コアは、第二エンドコア部と、前記ミドルコア部の残部と、前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々の残部とを含み、
前記第一エンドコア部は、前記コイルの第一の端面に臨み、
前記第二エンドコア部は、前記コイルの第二の端面に臨み、
前記ミドルコア部は、前記コイルの内側に配置され、
前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部は、前記ミドルコア部を挟むように前記コイルの外側に配置され、
前記第二コアの比透磁率は前記第一コアの比透磁率よりも高く、
前記第一コアの前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々は、前記第二コアに向く先端面を有し、
前記第二コアの表面は、前記先端面と向かい合う対向面を有し、
前記磁性コアをZ方向から見たとき、
前記対向面の外側縁は前記先端面の外側縁からY方向の内側に位置すると共に、
前記対向面の内側縁と前記先端面の内側縁とは前記Y方向に実質的に揃っており、
前記対向面における前記Y方向の幅が、前記先端面における前記Y方向の幅よりも短く、
前記X方向は、前記ミドルコア部の軸方向に沿った方向であり、
前記Y方向は、前記ミドルコア部と前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部とが並列される方向であり、
前記Z方向は、前記X方向と前記Y方向の双方に直交する方向である。
上記リアクトルは、軽量化を図ることができる。その理由は、比較コアに比べて第二コアの体積を小さくできるからである。比較コアとは、対向面の外側縁と先端面の外側縁とがY方向に揃っている点を除き、上記リアクトルの第二コアと仕様が同じコアのことをいう。先端面は、第一コアの第一サイドコア部及び第二サイドコア部におけるX方向の端面である。対向面は、第二コアの表面のうち、第一コアの先端面と向かい合う面である。第二コアの対向面の少なくとも一部の領域には、第一コアの先端面が接触される。上記リアクトルは、第二コアの対向面の幅が第一コアの先端面の幅よりも短い。更に、第一コアの先端面と第二コアの対向面とは、対向面の外側縁が先端面の外側縁からY方向の内側に位置すると共に、対向面の内側縁と先端面の内側縁とがY方向に実質的に揃っているという位置関係にある。先端面と対向面とが上記位置関係を満たせば、第一コアの外幅に対して第二コアの外幅が狭くなることから、第二コアの体積を小さくできる。そのため、第二コアの重量が削減されるので、磁性コアを軽量化できる。先端面の幅又は対向面の幅は、それぞれのY方向に沿う長さであり、先端面又は対向面における外側縁と内側縁との間のY方向の距離に等しい。第一コアの外幅又は第二コアの外幅はそれぞれ、第一コア又は第二コアのY方向に沿う最大長さである。第一コアの外幅又は第二コアの外幅は、代表的には、第一エンドコア部又は第二エンドコア部の各々の幅、即ちY方向に沿う長さに相当する。
上記リアクトルは、第二コアの対向面の幅が第一コアの先端面の幅よりも短くても、電磁気性能を保つことができる。上記リアクトルでは、第一コアと第二コアとの磁気特性が異なる、具体的には、第二コアの比透磁率が第一コアの比透磁率よりも高いからである。第一コアの先端面の幅よりも第二コアの対向面の幅が短い場合、先端面と対向面との接触箇所において局所的に磁性コアの磁路面積が小さくなる。第二コア及び第一コアの各比透磁率の関係が上記関係を満たすことで、先端面と対向面との間で通過可能な磁束をつり合わせ易い。換言すれば、第一コアと第二コアとの間で磁束のバランスを概ね保つことができる。仮に、第一コアと第二コアとが同じ比透磁率であるが、先端面よりも対向面の面積が小さいと、先端面と対向面との接触箇所の近傍において、第二コアに流れる磁束は第一コアに流れる磁束よりも小さくなる。先端面よりも対向面の面積は小さいが、第一コアと第二コアとの比透磁率が異なることで、上記磁束が概ねつり合う範囲であれば、第一コアと第二コアとに流れる磁束への影響は軽微となる。そのため、第二コアが高透磁率であることで、インダクタンスといった電磁気性能を保ちながら、第二コアの対向面の幅を短くすることが可能である。
(2)上記リアクトルの一形態として、
前記対向面における前記Y方向の幅は、前記先端面における前記Y方向の幅の60%以上92%以下であることが挙げられる。
上記形態は、電磁気性能を保ちつつ、軽量化を図り易い。電磁気性能を保つことができる理由は、対向面の幅が先端面の幅の60%以上であることで、先端面と対向面との接触面積を確保し易いからである。先端面と対向面との接触面積を確保することで、先端面と対向面との間で上記磁束をつり合わせ易い。つまり、第一コアと第二コアとの間で磁束のバランスを概ね保つことができるので、インダクタンスといった電磁気性能を保ち易い。軽量化できる理由は、対向面の幅が先端面の幅の92%以下であることで、対向面の幅が十分に短くなるからである。対向面の幅が十分に短いことで、第二コアの重量を効果的に削減できる。
(3)上記リアクトルの一形態として、
前記第一コアは、樹脂中に軟磁性粉末が分散した複合材料の成形体であり、
前記第二コアは、軟磁性粉末を含む原料粉末の圧粉成形体であることが挙げられる。
上記形態は、所定のインダクタンスを得易い。磁性コアが、圧粉成形体に比べて比透磁率が低い複合材料の成形体を備えることで、磁性コア全体の磁気特性を調整できるからである。更に、上記形態は、磁性コアにギャップ部がなくても、磁性コア全体の磁気特性を調整できる。磁性コアにギャップ部を設けなくてもよいため、ギャップ部からの漏れ磁束を抑制できる。よって、漏れ磁束に起因する損失を低減できる。また、第一コアが複合材料の成形体で構成され、第二コアが圧粉成形体で構成されている場合、第一コア及び第二コアの各比透磁率の関係が上記関係を満たし易い。
(4)上記リアクトルの一形態として、
前記第一コアの比透磁率は5以上50以下であることが挙げられる。
上記形態は、所定のインダクタンスを得易い。
(5)上記リアクトルの一形態として、
前記第二コアの比透磁率は50以上500以下であることが挙げられる。
上記形態は、所定のインダクタンスを得易い。
(6)上記リアクトルの一形態として、
前記第一コアの比透磁率に対する前記第二コアの比透磁率の比が1.1以上12以下であることが挙げられる。
上記形態は、電磁気性能を保ちつつ、軽量化を図り易い。上記比透磁率の比が1.1以上であることで、先端面の幅に対して対向面の幅を十分に短くできるからである。また、上記比透磁率の比が12以下であれば、所定のインダクタンスを得易い。
(7)上記リアクトルの一形態として、
{(μr×Ws)/(μr×Ws)}が0.1以上1.6以下を満たし、
μrは前記第一コアの比透磁率、Wsは前記先端面における前記Y方向の幅、μrは前記第二コアの比透磁率、Wsは前記対向面における前記Y方向の幅であることが挙げられる。
上記形態は、電磁気性能の低下を効果的に抑制できる。第一コアの比透磁率及び先端面の幅と、第二コアの比透磁率及び対向面の幅とが上記関係式を満たすことで、先端面と対向面との間で通過可能な磁束が概ねつり合う範囲に設定できるからである。第一コアと第二コアとの間で磁束のバランスを概ね保つことができるので、インダクタンスといった電磁気性能の低下を抑制できる。
(8)上記リアクトルの一形態として、
前記第一コアは、前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々の全部を含み、
前記対向面は、前記第二コアの前記第二エンドコア部に備わることが挙げられる。
上記形態は、代表的には、E-T型、E-I型の磁性コアが得られる。上記形態では、第一コアの第一エンドコア部の幅よりも第二コアの第二エンドコア部の幅が短い。各エンドコア部の幅は、それぞれのY方向の幅である。
(9)上記リアクトルの一形態として、
前記第一コアは、前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々の一部を含み、
前記対向面は、前記第二コアの前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々の残部に備わることが挙げられる。
上記形態は、代表的には、E-E型、E-U型の磁性コアが得られる。上記形態では、第一コアの第一サイドコア部及び第二サイドコア部の各々の一部における幅よりも第二コアの第一サイドコア部及び第二サイドコア部の各々の残部における幅が短い。各サイドコア部の一部の幅は、それぞれのY方向の幅である。各サイドコア部の残部の幅は、それぞれのY方向の幅である。
(10)本開示の実施形態に係るコンバータは、
上記(1)から(9)のいずれか1つに記載のリアクトルを備える。
上記コンバータは、上記リアクトルを備えるため、軽量化できる。
(11)本開示の実施形態に係る電力変換装置は、
上記(10)に記載のコンバータを備える。
上記電力変換装置は、上記コンバータを備えるため、軽量化できる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
[実施形態1]
〔リアクトル〕
図1から図4を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。リアクトル1は、図1、図2に示すように、コイル2と磁性コア3とを備える。磁性コア3は、第一コア3aと第二コア3bとを備える。磁性コア3は、図3に示すように、第一コア3aと第二コア3bとが組み合わされることで、全体としてθ状に構成される。第一コア3aは後述する先端面3afを有する。第二コア3bは、先端面3afと向かい合う対向面3bfを有する。
本実施形態のリアクトル1の特徴の一つは、以下の要件(a)から要件(c)を満たす点にある。
(a)第二コア3bの比透磁率が第一コア3aの比透磁率よりも高い。
(b)第一コア3aの先端面3afと第二コア3bの対向面3bfとが特定の位置関係にある。
(c)対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsよりも短い。
以下、リアクトル1の構成を詳細に説明する。図3は、説明の便宜上、コイル2を二点鎖線で示す。この点は、後述する実施形態2から実施形態4でそれぞれ参照する図5、図6、図8でも同様である。
(コイル)
コイル2は、図1、図2に示すように、一つの巻回部21を有する。巻回部21は、巻線を螺旋状に巻回して形成される。巻線は、公知の巻線を利用できる。本実施形態では、巻線は被覆平角線である。巻線の導体は銅製の平角線で構成されている。被覆平角線の絶縁被覆はエナメルからなる。コイル2は、被覆平角線をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルである。
本実施形態の巻回部21の形状は矩形筒状である。矩形には正方形が含まれる。即ち、巻回部21の端面形状は矩形枠状である。巻回部21の形状は円筒状でもよい。巻回部21の形状が矩形筒状であることで、巻回部21が同じ内側面積を有する円筒状である場合に比較して、巻回部21と設置対象との接触面積を大きくし易い。上記内側面積とは、巻回部21の内周で囲まれる空間の開口面積のことである。上記接触面積が大きくなるため、巻回部21を介して設置対象に放熱し易い。その上、巻回部21を設置対象に安定して設置し易い。巻回部21の角部は丸められている。
巻回部21の端部21a及び端部21bはそれぞれ、巻回部21の軸方向の一端側及び他端側において、巻回部21の外周側に引き出されている。巻回部21の端部21a及び端部21bは、絶縁被覆が剥がされて導体が露出している。端部21a及び端部21bには、図示しない端子部材が取り付けられる。この端子部材を介してコイル2に外部装置が接続される。外部装置の図示は省略する。外部装置は、コイル2に電力供給を行なう電源などが挙げられる。
(磁性コア)
磁性コア3は、図3に示すように、ミドルコア部30と、第一エンドコア部31と、第二エンドコア部32と、第一サイドコア部33と、第二サイドコア部34とを有する。図3では、各コア部の境界が二点鎖線で示されている。この点は、後述する実施形態2から実施形態4でそれぞれ参照する図5、図6、図8でも同様である。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向を次のように規定する。X方向は、ミドルコア部30の軸方向に沿った方向である。Y方向は、X方向に直交する方向であって、ミドルコア部30と第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34とが並列される方向である。Z方向は、上記X方向と上記Y方向の双方に直交する方向である。X方向は長さ方向に相当する。Y方向は幅方向に相当する。Z方向は高さ方向に相当する。
磁性コア3の形状は、図3に示すようにZ方向から見て、θ状である。コイル2を通電すると、磁性コア3に磁束が流れてθ状の閉磁路が形成される。図3中、太破線の矢印は磁束の流れを示している。磁束の流れる向きは、図3に示す上記矢印の向きと逆向きでもよい。コイル2によって発生した磁束は、ミドルコア部30から、第一エンドコア部31、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34、第二エンドコア部32を通り、ミドルコア部30に戻る。つまり、磁性コア3では、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34をそれぞれ通る二つの環状の閉磁路が形成される。
〈ミドルコア部〉
ミドルコア部30は、磁性コア3のうち、コイル2の内側に配置される部分である。本実施形態では、ミドルコア部30のX方向に沿う両端部がコイル2の両端面2a,2bから突出する。この突出する部分もミドルコア部30の一部である。
ミドルコア部30の形状は、巻回部21の内側形状に対応した形状であれば特に限定されない。図2に示すように、本実施形態のミドルコア部30の形状は略直方体状である。X方向から見て、ミドルコア部30の角部は、巻回部21の角部の内周面に沿うように丸められていてもよい。
ミドルコア部30は、X方向に分割されていてもよいし、分割されていなくてもよい。本実施形態のミドルコア部30は、X方向に二分割されており、第一ミドルコア部30aと第二ミドルコア部30bとを有する。第一ミドルコア部30aは、ミドルコア部30のX方向の一方側、具体的には、第一エンドコア部31側に位置する。第二ミドルコア部30bは、ミドルコア部30のX方向の他方側、具体的には、第二エンドコア部32側に位置する。本実施形態では、第一ミドルコア部30aと第二ミドルコア部30bとは接触しており、第一ミドルコア部30aと第二ミドルコア部30bとの間に実質的に隙間がない。つまり、ミドルコア部30は、第一ミドルコア部30aと第二ミドルコア部30bとの間にギャップ部を有していない。第一ミドルコア部30a及び第二ミドルコア部30bの各々の長さは、所定の磁気特性が得られるように、適宜設定すればよい。ここでいう長さとは、X方向の長さのことをいう。第一ミドルコア部30aは、第二ミドルコア部30bよりも長くてもよいし、短くてもよい。本実施形態では、第一ミドルコア部30aが第二ミドルコア部30bよりも長い。第一ミドルコア部30a及び第二ミドルコア部30bの各々のY方向の幅は同等である。
ミドルコア部30は、ギャップ部を有してもよい。ギャップ部は、第一ミドルコア部30aと第二ミドルコア部30bとの間に設けることが挙げられる。ギャップ部の位置は、巻回部21の内側であることが好ましい。ギャップ部が巻回部21の内側に位置することで、ギャップからの漏れ磁束を抑制し易い。よって、漏れ磁束に起因する損失を低減し易い。ギャップ部の長さは、所定の磁気特性が得られるように、適宜設定すればよい。ギャップ部の長さは、例えば0.1mm以上、更に0.3mm以上が挙げられる。ギャップ部の長さの上限は、例えば2mm以下、更に1.5mm以下、1.0mm以下が挙げられる。ギャップ部は、エアギャップでもよいし、樹脂やセラミックスなどの非磁性体を配置してもよい。
〈第一エンドコア部・第二エンドコア部〉
第一エンドコア部31は、磁性コア3のうち、コイル2の第一の端面2aに臨む部分である。第二エンドコア部32は、コイル2の第二の端面2bに臨む部分である。ここでいう臨むとは、各エンドコア部31,32とコイル2の各端面2a,2bとが互いに向き合うことをいう。第一エンドコア部31と第二エンドコア部32とは、コイル2の両端面2a,2bを挟むように、X方向に間隔をあけて配置される。
第一エンドコア部31及び第二エンドコア部32のそれぞれの形状は、所定の磁路が形成される形状であれば特に限定されない。図2に示すように、本実施形態の両エンドコア部31,32の形状は略直方体状である。
〈第一サイドコア部・第二サイドコア部〉
第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34は、磁性コア3のうち、ミドルコア部30を挟むように、コイル2の外側に配置される部分である。つまり、第一サイドコア部33と第二サイドコア部34とは、コイル2の軸方向に沿う両側面を挟むように、Y方向に間隔をあけて配置される。本実施形態では、図3に示すようにZ方向から見たとき、両サイドコア部33,34のうち、Y方向の一方側、即ち紙面上側に配置されるサイドコア部を第一サイドコア部33とし、Y方向の他方側、即ち紙面下側に配置されるサイドコア部を第二サイドコア部34とする。第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の軸方向は、ミドルコア部30の軸方向と平行である。
第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34は、第一エンドコア部31と第二エンドコア部32とをつなぐ長さを有していればよい。各サイドコア部33,34の形状は特に限定されない。図2に示すように、本実施形態の両サイドコア部33,34の形状はそれぞれ略直方体状である。第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の長さは同等でも異なってもよい。本実施形態では、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各長さは、同等であり、かつミドルコア部30の長さとも同等である。ミドルコア部30の長さは、第一ミドルコア部30aと第二ミドルコア部30bとの合計長さである。ミドルコア部30が上記ギャップ部を有する場合、ミドルコア部30の長さは、ギャップ部を除く各ミドルコア部30a,30bの合計長さである。ミドルコア部30、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の長さは、第一エンドコア部31と第二エンドコア部32との互いに向かい合う面間の距離と同等である。
第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々のY方向の幅は同等でも異なってもよい。本実施形態では、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各幅は、同等である。また、第一サイドコア部33の幅と第二サイドコア部34の幅との合計幅は、ミドルコア部30の幅と同等である。即ち、第一サイドコア部33の断面積と第二サイドコア部34の断面積との合計断面積は、ミドルコア部30の断面積と同等である。
第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の少なくとも一方は、X方向に分割されていてもよいし、分割されていなくてもよい。本実施形態の両サイドコア部33,34はいずれも分割されていない。
ミドルコア部30に上述したギャップ部を有する場合は、ミドルコア部30が両サイドコア部33,34よりも短い。第一ミドルコア部30aと第二ミドルコア部30bとの合計長さが両サイドコア部33,34の長さよりも短いことで、第一ミドルコア部30aと第二ミドルコア部30bとの間にギャップ部となる隙間を設けることができる。
(第一コア・第二コア)
磁性コア3は、図2、図3に示すように、第一コア3aと第二コア3bとを組み合わせた組物である。磁性コア3は、第一コア3aと第二コア3bとがX方向に組み合わされることで構成される。第一コア3a及び第二コア3bの各々の形状は、種々の組み合わせから選択できる。本実施形態の磁性コア3は、E字状の第一コア3aと、T字状の第二コア3bとを組み合わせたE-T型である。
〈第一コア〉
第一コア3aは、第一エンドコア部31と、ミドルコア部30の少なくとも一部と、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34を含む両サイドコア部33,34の少なくとも一部とを含むことが挙げられる。本実施形態では、図3に示すように、第一コア3aは、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の全部を含む。また、第一コア3aは、ミドルコア部30の一部である第一ミドルコア部30aを含む。第一エンドコア部31と、第一ミドルコア部30aと、第一サイドコア部33と、第二サイドコア部34とは一体に成形されている。第一ミドルコア部30aは、第一エンドコア部31のY方向の中間部から、第二ミドルコア部30bに向かってX方向に延びている。第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34は、第一エンドコア部31のY方向の両端部から、第二エンドコア部32に向かってX方向に延びている。第一コア3aの形状は、Z方向から見て、E字状である。
第一コア3aの第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々は、図3に示すように、第二コア3bに向く先端面3afを有する。図2に示すように、X方向から見た先端面3afの形状は、矩形状である。
〈第二コア〉
第二コア3bは、第二エンドコア部32と、ミドルコア部30の残部と、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の残部を含むことが挙げられる。本実施形態では、図3に示すように、第二コア3bは、両サイドコア部33,34を含まない。第二コア3bは、ミドルコア部30の残部である第二ミドルコア部30bを含む。第二エンドコア部32と、第二ミドルコア部30bとは一体に成形されている。第二ミドルコア部30bは、第二エンドコア部32のY方向の中間部から、第一ミドルコア部30aに向かってX方向に延びている。第二コア3bの形状は、Z方向から見て、T字状である。
第二コア3bの表面は、第一コア3aの先端面3afとX方向に向かい合う対向面3bfを有する。つまり、対向面3bfは、第二コア3bの表面のうち、先端面3afとX方向に重なり合う領域である。本実施形態では、対向面3bfは、第二コア3bの第二エンドコア部32に備わる。対向面3bfには、先端面3afと接触される接触領域が含まれる。
(先端面と対向面との位置関係)
先端面3afと対向面3bfとは特定の位置関係を満たす。具体的には、図4に示すように、対向面3bfの外側縁3boが先端面3afの外側縁3aoからY方向の内側に位置すると共に、対向面3bfの内側縁3biと先端面3afの内側縁3aiとがY方向に実質的に揃っている。図4は、第一サイドコア部33側における先端面3afと対向面3bfとの近傍をZ方向から見た拡大図である。図4では、第一サイドコア部33側のみを図示しているが、図3に示す第二サイドコア部34側も同様の構成である。また、図4では、説明の便宜上、先端面3afと対向面3bfとを離して示しているが、実際には互いに接している。ここでいう外側縁とは、Y方向の外側の縁のことをいう。内側縁とは、Y方向の内側の縁のことをいう。Y方向の外側とは、Y方向においてミドルコア部30から離れる側を意味する。Y方向の内側とは、Y方向においてミドルコア部30に近付く側を意味する。先端面3afの外側縁3ao又は対向面3bfの外側縁3boは、先端面3af又は対向面3bfを構成する縁のうち、Z方向から見てミドルコア部30(図3)から遠い側の縁である。先端面3afの内側縁3ai又は対向面3bfの内側縁3biは、先端面3af又は対向面3bfを構成する縁のうち、Z方向から見てミドルコア部30(図3)に近い側の縁である。上記「対向面3bfの外側縁3boが先端面3afの外側縁3aoからY方向の内側に位置する」とは、外側縁3boと外側縁3aoとがY方向に揃っておらず、Z方向から見て、外側縁3boが外側縁3aoよりもY方向の内側にずれていることを意味する。上記「対向面3bfの内側縁3biと先端面3afの内側縁3aiとが実質的に揃っている」とは、内側縁3biと内側縁3aiとのY方向のずれが、先端面3afの幅Wsの10%以下、更に5%以下であることを意味する。本実施形態のように、第二エンドコア部32が対向面3bfを有する場合、対向面3bfの内側縁3biは、図4に示すように、先端面3afの内側縁3aiをX方向に延長した延長線上に位置する。そのため、内側縁3biと内側縁3aiとは、Y方向にずれておらず、Y方向に揃っている。つまり、Z方向から見て、内側縁3biと内側縁3aiとは、Y方向の位置が一致する。
(対向面と先端面との幅の関係)
対向面3bfの幅Wsは先端面3afの幅Wsよりも短い。ここでいう幅とは、Y方向の幅のことをいう。対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsよりも短いことで、先端面3afの幅Wsと対向面3bfの幅Wsとが同じである場合に比較して、第二コア3bの体積が小さくなる。そのため、第二コア3bの重量が削減されるので、磁性コア3を軽量化できる。本実施形態では、図3に示すようにZ方向から見て、両サイドコア部33,34のY方向の外側部分が第二エンドコア部32よりも外側に突出する。よって、第二エンドコア部32の幅W32が第一エンドコア部31の幅W31よりも短い。
対向面3bfの幅Wsは、例えば、先端面3afの幅Wsの60%以上92%以下、更に65%以上90%以下、70%以上85%以下であることが挙げられる。対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsの60%以上であることで、先端面3afと対向面3bfとの接触面積を確保し易い。先端面3afと対向面3bfとの接触面積を確保することで、先端面3afと対向面3bfとの間で通過可能な磁束が概ねつり合う範囲に設定し易い。上記磁束が概ねつり合う範囲であれば、磁性コア3に磁路が形成されたとき、第一コア3aと第二コア3bとの間で磁束のバランスを概ね保つことができる。そのため、インダクタンスといった電磁気性能を保つことが可能となる。対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsの92%以下であることで、対向面3bfの幅Wsが十分に短い。そのため、第二コア3bの重量を効果的に削減できる。
(第一コアと第二コアとの比透磁率の関係)
第一コア3aと第二コア3bとは比透磁率が異なる。具体的には、第二コア3bの比透磁率が第一コア3aの比透磁率よりも高い。つまり、第一コア3aの比透磁率をμr、第二コア3bの比透磁率をμrとすると、μr<μrの関係を満たす。第二コア3bの比透磁率が第一コア3aの比透磁率よりも高いことで、対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsよりも短くても、先端面3afと対向面3bfとの間で上記磁束をつり合わせ易い。そのため、第一コア3aと第二コア3bとの間で磁束のバランスを概ね保つことができる。よって、インダクタンスといった電磁気性能を保ちながら、対向面3bfの幅Wsを先端面3afの幅Wsよりも短くすることが可能である。
第一コア3aの比透磁率は、例えば5以上50以下であることが挙げられる。第二コア3bの比透磁率は、例えば50以上500以下であることが挙げられる。第一コア3a及び第二コア3bの各々の比透磁率は、上記比透磁率の関係を満たした上で、適宜設定できる。第一コア3a及び第二コア3bの各比透磁率が、上記各範囲内であれば、所定のインダクタンスを得易い。第一コア3aの比透磁率は、更に10以上45以下、15以上40以下でもよい。第二コア3bの比透磁率は、更に100以上、150以上でもよい。
更に、第一コア3aの比透磁率に対する第二コア3bの比透磁率の比が1.1以上12以下であることが好ましい。つまり、1.1≦[μr/μr]≦12の関係を満たす。上記比透磁率の比が1.1以上であることで、第二コア3bの比透磁率が第一コア3aの比透磁率よりも十分に高い。よって、先端面3afの幅Wsに対して対向面3bfの幅Wsを十分に短くすることが可能である。上記比透磁率の比が12以下であることで、所定のインダクタンスを得易い。上記比透磁率の比は、更に1.5以上、2以上、2.5以上でもよい。
比透磁率は、次のようにして求めることができる。第一コア3aと第二コア3bのそれぞれからリング状の測定試料を切り出す。上記各々の測定試料に、一次側:300巻き、二次側:20巻きの巻線を施す。B-H初磁化曲線をH=0(Oe)以上100(Oe)以下の範囲で測定し、このB-H初磁化曲線のB/Hの最大値を求める。この最大値を比透磁率とする。ここでいう磁化曲線とは、いわゆる直流磁化曲線のことである。
(材質)
第一コア3a及び第二コア3bは、成形体で構成されている。成形体としては、例えば、圧粉成形体、複合材料の成形体などが挙げられる。第一コア3aと第二コア3bとは、互いに異なる材質の成形体である。互いに異なる材質とは、第一コア3a及び第二コア3bを構成する各成形体の個々の構成要素の材質が異なる場合は勿論、各構成要素の材質が同じであっても、各構成要素の含有量が異なる場合も含む。例えば、第一コア3aと第二コア3bとが圧粉成形体で構成されていても、圧粉成形体を構成する軟磁性粉末の材質や含有量が異なれば、互いに異なる材質である。また、第一コア3aと第二コア3bとが複合材料の成形体で構成されていても、複合材料を構成する軟磁性粉末の材質や含有量が異なれば、互いに異なる材質である。
圧粉成形体は、軟磁性粉末を含む原料粉末を圧縮成形してなる。圧粉成形体は、複合材料の成形体に比較して、軟磁性粉末の含有量を高くできる。そのため、圧粉成形体は、磁気特性を高め易い。磁気特性としては、比透磁率や飽和磁束密度が挙げられる。圧粉成形体は、バインダ樹脂や成形助剤などを含有してもよい。圧粉成形体における磁性粉末の含有量は、圧粉成形体を100体積%とするとき、例えば85体積%以上99.99体積%以下であることが挙げられる。
複合材料は、樹脂中に軟磁性粉末が分散されてなる。複合材料の成形体は、未固化の樹脂中に軟磁性粉末を分散させた流動性の素材を金型に充填し、樹脂を固化させることで得られる。複合材料は、軟磁性粉末の含有量を容易に調整できる。そのため、複合材料は、磁気特性を調整し易い。複合材料における軟磁性粉末の含有量は、複合材料を100体積%とするとき、例えば20体積%以上80体積%以下が挙げられる。
軟磁性粉末を構成する粒子は、軟磁性金属の粒子や、軟磁性金属の粒子の外周に絶縁被覆を備える被覆粒子、軟磁性非金属の粒子などが挙げられる。軟磁性金属は、純鉄や鉄基合金などが挙げられる。鉄基合金としては、例えば、Fe(鉄)-Si(シリコン)合金、Fe-Ni(ニッケル)合金などが挙げられる。絶縁被覆は、リン酸塩などが挙げられる。軟磁性非金属は、フェライトなどが挙げられる。
複合材料の樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、液晶ポリマー、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂などが挙げられる。ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン9Tなどが挙げられる。その他、不飽和ポリエステルに炭酸カルシウムやガラス繊維が混合されたBMC(Bulk molding compound)、ミラブル型シリコーンゴム、ミラブル型ウレタンゴムなども利用できる。
複合材料は、軟磁性粉末及び樹脂に加えて、フィラーを含有していてもよい。フィラーは、例えば、アルミナ、シリカなどのセラミックスフィラーが挙げられる。複合材料がフィラーを含有することで、放熱性を高めることができる。フィラーの含有量は、複合材料を100体積%とするとき、0.2質量%以上20質量%以下、更に0.3質量%以上15質量%以下、0.5質量%以上10質量%以下が挙げられる。
圧粉成形体や複合材料の成形体における軟磁性粉末の含有量は、成形体の断面における軟磁性粉末の面積割合と等価とみなす。軟磁性粉末の含有量は、次のようにして求める。成形体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して観察画像を取得する。SEMの倍率は、例えば200倍以上500倍以下とする。観察画像の取得数は、10個以上とする。総断面積は0.1cm以上とする。一断面につき一つの観察画像を取得してもよいし、一断面につき複数の観察画像を取得してもよい。取得した各観察画像を画像処理して粒子の輪郭を抽出する。画像処理としては、例えば二値化処理が挙げられる。各観察画像において軟磁性粒子の面積割合を算出し、その面積割合の平均値を求める。その平均値を軟磁性粉末の含有量とみなす。
本実施形態では、第一コア3aが複合材料の成形体であり、第二コア3bが圧粉成形体である。第一コア3aが複合材料の成形体で構成され、第二コア3bが圧粉成形体で構成されていることで、磁性コア3全体の磁気特性を調整できる。そのため、本実施形態のように、磁性コア3にギャップ部を設けなくても、所定のインダクタンスを得易い。第一コア3aと第二コア3bとが互いに異なる材質であっても、必要に応じて、ギャップ部を設けてもよい。また、第一コア3aが複合材料の成形体で構成され、第二コア3bが圧粉成形体で構成されていると、第一コア3a及び第二コア3bの各比透磁率の関係が上記関係を満たし易い。本実施形態では、第一コア3aの比透磁率が20であり、第二コア3bの比透磁率が150である。
(第一コアの比透磁率及び先端面の幅と第二コアの比透磁率及び対向面の幅との関係)
第一コア3aの比透磁率をμr、先端面3afの幅をWs、第二コア3bの比透磁率をμr、対向面3bfの幅をWsとするとき、{(μr×Ws)/(μr×Ws)}が0.1以上1.6以下を満たすことが好ましい。比透磁率μr及び幅Wsと比透磁率μr及び幅Wsとが上記関係式を満たすことで、先端面3afと対向面3bfとの間で通過可能な磁束が概ねつり合う範囲に設定できる。{(μr×Ws)/(μr×Ws)}が0.1以上1.6以下であれば、上記磁束が概ねつり合う範囲といえることから、第一コア3aと第二コア3bとの間で磁束のバランスを概ね保つことができる。そのため、インダクタンスの低下を効果的に抑制できる。{(μr×Ws)/(μr×Ws)}は、更に0.1以上1.4以下、0.15以上1.2以下でもよい。
(サイズ)
例えば、リアクトル1が車載用である場合、図1に示すように、磁性コア3のサイズは以下のとおりである。磁性コア3のX方向の長さLは、例えば30mm以上150mm以下である。磁性コア3のY方向の幅Wは、例えば30mm以上150mm以下である。磁性コア3のZ方向の高さHは、例えば15mm以上75mm以下である。磁性コア3の幅Wは、第一エンドコア部31の幅W31に相当する。第二エンドコア部32の幅W32は第一エンドコア部31の幅W31よりも短い。具体的には、先端面3afと対向面3bfとの幅の差の分だけ、第二エンドコア部32の幅W32は第一エンドコア部31の幅W31よりも短い。
また、磁性コア3の主要部のサイズは以下のとおりである。ミドルコア部30の幅、即ち第一ミドルコア部30a及び第二ミドルコア部30bの幅は、例えば10mm以上50mm以下である。第一エンドコア部31及び第二エンドコア部32の長さは、例えば5mm以上40mm以下である。第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の幅は、例えば5mm以上40mm以下である。第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の幅は、先端面3afの幅Wsに相当する。各コア部のサイズは、磁性コア3の磁路面積の大きさに関わる。
(その他)
リアクトル1は、その他の構成として、ケース、接着層、保持部材、及びモールド樹脂部の少なくとも一つを備えていてもよい。ケースは、コイル2と磁性コア3との組合体を内部に収納する部材である。ケースに収納された組合体は、封止樹脂部により埋設されていてもよい。接着層は、上記組合体を載置面、上記組合体をケースの内底面、上記ケースを載置面などに固定するものである。保持部材は、コイル2と磁性コア3との間に介在され、コイル2と磁性コア3との間の電気的絶縁を確保する部材である。モールド樹脂部は、上記組合体の外周を覆うことで、コイル2と磁性コア3とを一体化するものである。
〔作用効果〕
実施形態1のリアクトル1は、軽量化を図ることができる。第二コア3bの対向面3bfの幅Wsが第一コア3aの先端面3afの幅Wsよりも短いからである。対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsよりも短いことで、先端面3afの幅Wsと対向面3bfの幅Wsとが同じである場合に比較して、第二エンドコア部32の幅W32が第一エンドコア部31の幅W31よりも短くなる。つまり、第二コア3bの体積が小さくなる。そのため、第二コア3bの重量が削減されるので、磁性コア3を軽量化できる。
また、リアクトル1は、インダクタンスといった電磁気性能を保つことができる。第二コア3bの比透磁率μrが第一コア3aの比透磁率μrよりも高いからである。第二コア3bの比透磁率μrが第一コア3aの比透磁率μrよりも高いことで、対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsよりも短くても、先端面3afと対向面3bfとの間で通過可能な磁束をつり合わせ易い。つまり、第一コア3aと第二コア3bとの間で磁束のバランスを概ね保つことができ、インダクタンスの低下を抑制できる。そのため、インダクタンスを保ちながら、対向面3bfの幅Wsを短くすることが可能である。
特に、リアクトル1は、先端面3afの幅Wsに対する対向面3bfの幅Wsの比が特定の範囲であり、第一コア3aの比透磁率をμrに対する第二コア3bの比透磁率μrの比が特定の範囲であることで、電磁気性能を保ちつつ、軽量化を図り易い。更に、比透磁率μr及び幅Wsと比透磁率μr及び幅Wsとが特定の関係を満たすことで、インダクタンスの低下を効果的に抑制できる。
リアクトル1は、第一コア3aが複合材料の成形体で構成され、第二コア3bが圧粉成形体で構成されていることで、第一コア3a及び第二コア3b各比透磁率をそれぞれ所定の範囲に設定し易い。また、第一コア3aが複合材料の成形体で構成され、第二コア3bが圧粉成形体で構成されていれば、磁性コア3にギャップ部を設けなくても、所定のインダクタンスを得易い。
[実施形態2]
図5を参照して、実施形態2のリアクトル1を説明する。実施形態2のリアクトル1は、磁性コア3がE-I型である点が、実施形態1のリアクトル1と相違する。以下の説明は、実施形態1との相違点を中心に行う。実施形態1と同様の構成の説明は省略することがある。
第一コア3aは、第一エンドコア部31と、ミドルコア部30の全部と、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の全部とを含む。ミドルコア部30は、第一エンドコア部31のY方向の中間部から、第二エンドコア部32に向かってX方向に延びている。第一コア3aの形状はE字状である。第一コア3aは複合材料の成形体である。
第二コア3bは、第二エンドコア部32のみを含む。第二コア3bは、ミドルコア部30、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34を含まない。第二コア3bの形状はI字状である。第二コア3bは圧粉成形体である。
本実施形態では、ミドルコア部30における第二エンドコア部32側の端部が第二エンドコア部32に接触している。そのため、ミドルコア部30と第二エンドコア部32との間には、実質的に隙間がなく、ギャップ部が存在しない。本実施形態とは異なり、ミドルコア部30と第二エンドコア部32との間にギャップ部を設けることも可能である。ミドルコア部30と第二エンドコア部32との間にギャップ部を設ける場合、ミドルコア部30が両サイドコア部33,34よりも短い。これにより、ミドルコア部30と第二エンドコア部32との間にギャップ部となる隙間を設けることができる。
対向面3bfと先端面3afとの位置関係、対向面3bfの幅Wsと先端面3afの幅Wsとの関係、第一コア3aの比透磁率μrと第二コア3bの比透磁率μrとの関係は、実施形態1と同様である。また、実施形態1と同様に、比透磁率μr及び幅Wsと比透磁率μr及び幅Wsとが上記関係式を満たす。即ち、{(μr×Ws)/(μr×Ws)}が0.1以上1.6以下である。
〔作用効果〕
実施形態2のリアクトル1は、実施形態1のリアクトル1と同様に、インダクタンスを保ちつつ、軽量化を図ることができる。
[実施形態3]
図6、図7を参照して、実施形態3のリアクトル1を説明する。実施形態3のリアクトル1は、磁性コア3がE-E型である点が、実施形態1のリアクトル1と相違する。以下の説明は、実施形態1との相違点を中心に行う。実施形態1と同様の構成の説明は省略することがある。図7は、第一サイドコア部33側における先端面3afと対向面3bfとの近傍をZ方向から見た拡大図である。図7では、第一サイドコア部33側のみを図示しているが、図6に示す第二サイドコア部34側も同様の構成である。また、図7では、説明の便宜上、先端面3afと対向面3bfとを離して示しているが、実際には互いに接している。
本実施形態の第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々は、図6に示すように、X方向に二分割されている。第一サイドコア部33は、第一部分33aと第二部分33bとを有する。第二サイドコア部34は、第一部分34aと第二部分34bとを有する。第一部分33a,34aは、両サイドコア部33,34のX方向の一方側、具体的には、第一エンドコア部31側に位置する。第二部分33b,34bは、両サイドコア部33,34のX方向の他方側、具体的には、第二エンドコア部32側に位置する。本実施形態では、第二部分33b,34bの幅が第一部分33a,34aの幅よりも短い。第一部分33a,34aの各幅は同等である。第二部分33b,34bの各幅は同等である。また、第一部分33a,34aの合計幅は、ミドルコア部30の幅と同等である。
第一部分33a,34aと第二部分33b,34bとは接触しており、第一部分33a,34aと第二部分33b,34bとの間に実質的に隙間がない。つまり、両サイドコア部33,34は、第一部分33a,34aと第二部分33b,34bとの間にギャップ部を有していない。第一部分33a,34a及び第二部分33b,34bの各々の長さは、所定の磁気特性が得られるように、適宜設定すればよい。第一部分33a,34aは、第二部分33b,34bよりも長くてもよいし、短くてもよい。また、第一部分33a,34aの各々の長さは、等しくてもよいし、異なってもよい。第二部分33b,34bの各々の長さは、等しくてもよいし、異なってもよい。本実施形態では、第一部分33a,34aが第二部分33b,34bよりも長い。また、第一部分33a,34aの各長さは同等である。第二部分33b,34bの各長さは同等である。
第一コア3aは、図6に示すように、第一エンドコア部31と、第一ミドルコア部30aと、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の一部である第一部分33a,34aとを含む。第一エンドコア部31と、第一ミドルコア部30aと、両サイドコア部33,34の第一部分33a,34aとは一体に成形されている。第一部分33a,34aは、第一エンドコア部31のY方向の両端部から、第二部分33b,34bに向かってX方向に延びている。第一コア3aの形状は、Z方向から見て、E字状である。第一コア3aは複合材料の成形体である。
第一コア3aの両サイドコア部33,34における第一部分33a,34aの各々は、図6に示すように、第二コア3bに向く先端面3afを有する。先端面3afの幅Wsは、第一部分33a,34aの幅と同等である。
第二コア3bは、第二エンドコア部32と、第二ミドルコア部30bと、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の残部である第二部分33b,34bを含む。第二エンドコア部32と、第二ミドルコア部30bと、両サイドコア部33,34の第二部分33b,34bとは一体に成形されている。第二部分33b,34bは、第二エンドコア部32のY方向の両端部から、第一部分33a,34aに向かってX方向に延びている。第二コア3bの形状は、Z方向から見て、E字状である。第二コア3bは圧粉成形体である。
本実施形態では、対向面3bfは、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の第二部分33b,34bに備わる。本実施形態の対向面3bfの幅Wsは、第二部分33b,34bの幅と同等である。
先端面3afと対向面3bfとは、実施形態1と同様に、特定の位置関係を満たす。具体的には、図7に示すように、対向面3bfの外側縁3boが先端面3afの外側縁3aoからY方向の内側に位置すると共に、対向面3bfの内側縁3biと先端面3afの内側縁3aiとがY方向に実質的に揃っている。
また、実施形態1と同様に、対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsよりも短い。本実施形態では、図6に示すようにZ方向から見て、第一部分33a,34aのY方向の外側部分が第二部分33b,34bよりも外側に突出する。そのため、第二エンドコア部32の幅W32が第一エンドコア部31の幅W31よりも短い。
第一コア3aの比透磁率μrと第二コア3bの比透磁率μrとの関係は、実施形態1と同様である。また、実施形態1と同様に、比透磁率μr及び幅Wsと比透磁率μr及び幅Wsとが上記関係式を満たす。即ち、{(μr×Ws)/(μr×Ws)}が0.1以上1.6以下である。
〔作用効果〕
実施形態3のリアクトル1は、実施形態1のリアクトル1と同様に、インダクタンスを保ちつつ、軽量化を図ることができる。
[実施形態4]
図8を参照して、実施形態4のリアクトル1を説明する。実施形態4のリアクトル1は、磁性コア3がE-U型である点が、実施形態3のリアクトル1と相違する。以下の説明は、実施形態3との相違点を中心に行う。実施形態3と同様の構成の説明は省略することがある。
第一コア3aは、第一エンドコア部31と、ミドルコア部30の全部と、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の第一部分33a,34aとを含む。第一コア3aの形状はE字状である。第一コア3aは複合材料の成形体である。
第二コア3bは、第エンドコア部32と、第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の各々の第二部分33b,34bとを含む。第二コア3bは、ミドルコア部30を含まない。第二コア3bの形状はU字状である。第二コア3bは圧粉成形体である。
本実施形態では、ミドルコア部30における第二エンドコア部32側の端部が第二エンドコア部32に接触している。そのため、ミドルコア部30と第二エンドコア部32との間には、実質的に隙間がなく、ギャップ部が存在しない。実施形態2と同様に、ミドルコア部30と第二エンドコア部32との間にギャップ部を設けることも可能である。
対向面3bfと先端面3afとの位置関係、対向面3bfの幅Wsと先端面3afの幅Wsとの関係、第一コア3aの比透磁率μrと第二コア3bの比透磁率μrとの関係は、実施形態3と同様である。また、実施形態1と同様に、比透磁率μr及び幅Wsと比透磁率μr及び幅Wsとが上記関係式を満たす。即ち、{(μr×Ws)/(μr×Ws)}が0.1以上1.6以下である。
〔作用効果〕
実施形態4のリアクトル1は、実施形態1のリアクトル1と同様に、インダクタンスを保ちつつ、軽量化を図ることができる。
[実施形態5]
〔コンバータ・電力変換装置〕
実施形態1から実施形態4のリアクトル1は、以下の通電条件を満たす用途に利用できる。通電条件としては、例えば、最大直流電流が100A以上1000A以下程度であり、平均電圧が100V以上1000V以下程度であり、使用周波数が5kHz以上100kHz以下程度であることが挙げられる。実施形態1から実施形態4のリアクトル1は、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車両などに搭載されるコンバータの構成部品や、このコンバータを備える電力変換装置の構成部品に利用できる。
ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両1200は、図9に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジン1300を備える。図9では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態とすることができる。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V以上300V以下程度のメインバッテリ1210の入力電圧を400V以上700V以下程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される入力電圧をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。入力電圧は、直流電圧である。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図10に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトル1115とを備え、ON/OFFの繰り返しにより入力電圧の変換を行う。入力電圧の変換とは、ここでは昇降圧を行う。スイッチング素子1111には、電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタなどのパワーデバイスが利用される。リアクトル1115は、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。リアクトル1115として、実施形態1から実施形態4のいずれかのリアクトル1を備える。軽量なリアクトル1を備えることで、電力変換装置1100やコンバータ1110を軽量化できる。
車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC-DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC-DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC-DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、実施形態1から実施形態4のいずれかのリアクトル1と同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用できる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、実施形態1から実施形態4のいずれかのリアクトル1などを利用することもできる。
<試験例1>
上述した実施形態1と同様の構成のリアクトルについて、電磁気性能への影響と、磁性コアの重量低減効果を評価した。試験例1に用いるリアクトルの試料は、磁性コア3がE-T型である。第一コア3aの比透磁率μrは20である。第二コア3bの比透磁率μrは150である。
試験例1では、対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsよりも短い試料No.1-1と、先端面3afの幅Wsと対向面3bfの幅Wsとが同じ試料No.10について評価を行った。磁性コア3及び各主要部のサイズを以下に示す。
(磁性コアのサイズ)
・磁性コア3の長さL:70mm
・磁性コア3の幅W=第一エンドコア部31の幅W31:75mm
・磁性コア3の高さH:30mm
・ミドルコア部30の幅=第一ミドルコア部30a及び第二ミドルコア部30bの幅:24mm
・第一エンドコア部31及び第二エンドコア部32の長さ:12.5mm
・第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の幅=先端面3afの幅Ws:12mm
〈試料No.10〉
・対向面3bfの幅Ws:12mm
・第二エンドコア部32の幅W32:75mm
・幅Wsと幅Wsとの差(Ws-Ws):0mm
・幅Wsに対する幅Wsの比率(Ws/Ws):100%
〈試料No.1-1〉
・対向面3bfの幅Ws:10mm
・第二エンドコア部32の幅W32:71mm
・幅Wsと幅Wsとの差(Ws-Ws):2mm
・幅Wsに対する幅Wsの比率(Ws/Ws):83%
試料No.10は、第二エンドコア部32の幅W32が第一エンドコア部31の幅W31と同じ75mmである。試料No.10は比較モデルである。試料No.1-1は、対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsよりも2mm短い。
(電磁気性能の評価)
各試料のリアクトルについて、インダクタンス及び損失をコンピュータをシミュレーションにより解析した。解析には、市販の電磁界解析ソフトウェアである株式会社JSOL製のJMAG-Designer19.0を使用した。インダクタンスの解析は、コイルに直流を流したときのインダクタンスを求めた。電流は0Aから400Aの範囲で変化させた。電流値が0A、100A、200A、及び300Aのときのインダクタンスを表1に示す。表1には、試料No.1-1における各電流値でのインダクタンスを、試料No.10における各電流値でのインダクタンスに対する差の比率として示す。この比率は、試料No.10における各電流値でのインダクタンスを100としたパーセンテージで示される。また、解析により得られたインダクタンスのグラフを図11に示す。図11のグラフにおいて横軸は電流(Amean)を示す。図11のグラフにおいて縦軸はインダクタンス(μH)を示す。図11中、破線のグラフは試料No.10のインダクタンスを示す。図11中、実線のグラフは試料No.1-1のインダクタンスを示す。
損失の解析は、直流電流0A、入力電圧300V、出力電圧600V、周波数20kHzの条件で駆動したときの総損失を求めた。総損失には、磁性コアの鉄損、及びコイルでの損失などが含まれる。その結果を表1に示す。表1には、試料No.1-1の総損失を、試料No.10の総損失に対する差の比率として示す。この比率は、試料No.10の損失を100としたパーセンテージで示される。
(重量低減効果の評価)
試料No.10における第二コアの体積に対する試料No.1-1における第二コアの体積の削減量を計算して求めた。体積削減量は、試料No.10の第二コアの体積から試料No.1-1の第二コアの体積を引いたものである。その結果を表1に示す。また、試料No.10の第二コアに対する試料No.1-1の第二コアの質量比を計算して求めた。質量比は、試料No.10の第二コアの質量に対する試料No.1-1の第二コアの質量を百分率で示したものである。表1には、質量比も併せて示す。
Figure 0007630774000001
表1及び図11に示すように、試料No.1-1のインダクタンス特性は、試料No.10のインダクタンス特性とほぼ同じである。具体的には、表1に示すように、試料No.1-1における0Aから300Aの各電流値でのインダクタンスは、試料No.10における各電流値でのインダクタンスの±2.5%以内、更に±2.0%以内、特に±1.0以内であることから、試料No.1-1は、試料No.10と同等のインダクタンス特性を維持しているといえる。つまり、試料No.1-1は、所定のインダクタンスを十分に保つことができる。よって、試料No.1-1において、対向面の幅を先端面の幅よりも短くしたことによるインダクタンスに与える影響は軽微である。また、表1の結果から、試料No.1-1の損失は、試料No.10の損失とほぼ変わらず、むしろわずかに低下している。
更に、試料No.1-1は、試料No.10に比較して、第二コアの重量を4%削減できる。
<試験例2>
試験例2では、対向面3bfの幅Wsを変えて、先端面3afの幅Wsに対する幅Wsの削減量が電磁気性能に及ぼす影響を調べた。具体的には、対向面3bfの幅Wsを先端面3afの幅Wsよりも1mmから5mmの範囲で短くした試料No.2-1からNo.2-5のリアクトルについて、試験例1と同様の評価を行った。試料No.2-2は、試験例1の試料No.1-1と同じである。試料No.2-1からNo.2-5の相違点は、対向面3bfの幅Wsのみである。各試料における幅Wsと幅Wsとの差(Ws-Ws)、幅Wsに対する幅Wsの比率(Ws/Ws)をそれぞれ表2に示す。
各試料のリアクトルについて、インダクタンス及び総損失を試験例1と同様にして求めた。その結果を表2に示す。表2には、試料No.2-1からNo.2-5における各電流値でのインダクタンスを、試料No.10における各電流値でのインダクタンスに対する差の比率として示す。試料No.2-1からNo.2-5の総損失を、試料No.10の総損失に対する差の比率として示す。更に、試験例1と同様に、試料No.10における第二コアに対する試料No.2-1からNo.2-5における第二コアの体積削減量及び質量比を表2に示す。
Figure 0007630774000002
表2に示すように、対向面の幅Wsが先端面の幅Wsよりも短い、即ち先端面の幅Wsと対向面の幅Wsとの差(Ws-Ws)が大きいほど、第二コアの体積削減量が大きくなる。即ち、重量の低減効果が大きくなる。しかし、対向面の幅Wsがより短くなると、その分インダクタンス特性の悪化が顕著となる。具体的には、試料No.10における0Aから300Aの各電流値でのインダクタンスに対して、ばらつきが大きくなる。つまり、試料No.10と同等のインダクタンス特性を維持することが難しくなる。表2から分かるように、対向面の幅Wsを短くしていくと、第二コアの体積削減量は一定の割合で増加するのに対し、インダクタンスのばらつき範囲は、体積削減量の増加割合よりも大きくなっている。試料No.2-1からNo.2-4は、試料No.10に対して、0Aから300Aの各電流値でのインダクタンスのばらつき範囲が±2.5%以内であることから、所定のインダクタンス特性を概ね保つことができているといえる。特に、試料No.2-1からNo.2-3は、試料No.10に対するインダクタンスのばらつき範囲が±2.0%以内であるので、所定のインダクタンス特性をより良好に保つことができている。このことから、先端面の幅Wsに対する対向面の幅Wsの比率(Ws/Ws)は、60%以上、更に70%以上が好ましいと考えられる。更に、重量の低減効果だけでなく、損失の低減効果を考慮すると、比率(Ws/Ws)は92%以下、更に90%以下が好ましいと考えられる。
<試験例3>
上述した実施形態3と同様の構成のリアクトルについて、電磁気性能への影響と、磁性コアの重量低減効果を評価した。試験例3に用いるリアクトルの試料は、磁性コア3がE-E型である。第一コア3aの比透磁率μrは20である。第二コア3bの比透磁率μrは150である。
試験例3では、対向面3bfの幅Wsが先端面3afの幅Wsよりも短い試料No.3-1からNo3-5と、先端面3afの幅Wsと対向面3bfの幅Wsとが同じ試料No.30について評価を行った。試料No.3-1からNo3-5は、対向面3bfの幅Wsを先端面3afの幅Wsよりも1mmから5mmの範囲で短くした。試料No.3-1からNo.3-5、No.30の相違点は、対向面3bfの幅Wsのみである。磁性コア3及び各主要部のサイズを以下に示す。
(磁性コアのサイズ)
・磁性コア3の長さL:70mm
・磁性コア3の幅W=第一エンドコア部31の幅W31:75mm
・磁性コア3の高さH:30mm
・ミドルコア部30の幅=第一ミドルコア部30a及び第二ミドルコア部30bの幅:24mm
・第一エンドコア部31及び第二エンドコア部32の長さ:12.5mm
・第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の第一部分33a,34aの幅=先端面3afの幅Ws:12mm
〈試料No.30〉
・第一サイドコア部33及び第二サイドコア部34の第二部分33b,34bの幅=対向面3bfの幅Ws:12mm
・第二エンドコア部32の幅W32:75mm
・幅Wsと幅Wsとの差(Ws-Ws):0mm
・幅Wsに対する幅Wsの比率(Ws/Ws):100%
〈試料No.3-1〉
・対向面3bfの幅Ws:11mm
・第二エンドコア部32の幅W32:73mm
・幅Wsと幅Wsとの差(Ws-Ws):1mm
・幅Wsに対する幅Wsの比率(Ws/Ws):92%
〈試料No.3-2〉
・対向面3bfの幅Ws:10mm
・第二エンドコア部32の幅W32:71mm
・幅Wsと幅Wsとの差(Ws-Ws):2mm
・幅Wsに対する幅Wsの比率(Ws/Ws):83%
〈試料No.3-3〉
・対向面3bfの幅Ws:9mm
・第二エンドコア部32の幅W32:69mm
・幅Wsと幅Wsとの差(Ws-Ws):3mm
・幅Wsに対する幅Wsの比率(Ws/Ws):75%
〈試料No.3-4〉
・対向面3bfの幅Ws:8mm
・第二エンドコア部32の幅W32:67mm
・幅Wsと幅Wsとの差(Ws-Ws):4mm
・幅Wsに対する幅Wsの比率(Ws/Ws):75%
〈試料No.3-5〉
・対向面3bfの幅Ws:7mm
・第二エンドコア部32の幅W32:65mm
・幅Wsと幅Wsとの差(Ws-Ws):5mm
・幅Wsに対する幅Wsの比率(Ws/Ws):58%
各試料のリアクトルについて、インダクタンスを試験例1と同様にして求めた。その結果を表3に示す。表3には、試料No.3-1からNo.3-5における各電流値でのインダクタンスを、試料No.30における各電流値でのインダクタンスに対する差の比率として示す。更に、試料No.30における第二コアに対する試料No.3-1からNo.3-5における第二コアの体積削減量及び質量比を表3に示す。
Figure 0007630774000003
表3に示すように、磁性コアがE-E型であっても、上述した試験例2のE-T型の場合と同様に、対向面の幅Wsが先端面の幅Wsよりも短いほど、第二コアの体積削減量が大きくなる。即ち、重量の低減効果が大きくなる。また、E-E型の試料では、対向面の幅Wsがより短くなると、試験例2の表2に示すE-T型の試料よりも体積削減量は大きくなるが、インダクタンス特性の悪化はより顕著なものとなる。具体的には、試料No.30における0Aから300Aの各電流値でのインダクタンスに対するばらつきがより大きくなる。つまり、試料No.30と同等のインダクタンス特性を維持することが難しくなる。試料No.3-1からNo.3-3は、試料No.30に対して、0Aから300Aの各電流値でのインダクタンスのばらつき範囲が±2.5%以内であることから、所定のインダクタンス特性を概ね保つことができているといえる。特に、試料No.3-1からNo.3-2は、試料No.30に対するインダクタンスのばらつき範囲が±2.0%以内であるので、所定のインダクタンス特性をより良好に保つことができている。このことから、E-E型の磁性コアにおいては、先端面の幅Wsに対する対向面の幅Wsの比率(Ws/Ws)は、70%以上、更に80%以上が好ましいと考えられる。更に、重量の低減効果を考慮すると、比率(Ws/Ws)は92%以下、更に90%以下が好ましいと考えられる。
更に、試料No.3-1からNo.3-5のリアクトルについて、総損失を試験例1と同様にして求めたところ、各試料の損失は、試料No.30の損失と同程度であった。
1 リアクトル
2 コイル
2a 第一の端面、2b 第二の端面
21 巻回部、21a,21b 端部
3 磁性コア
3a 第一コア、3b 第二コア
30 ミドルコア部
30a 第一ミドルコア部、30b 第二ミドルコア部
31 第一エンドコア部、32 第二エンドコア部
33 第一サイドコア部、34 第二サイドコア部
33a,34a 第一部分、33b,34b 第二部分
3af 先端面、3bf 対向面
3ao,3bo 外側縁
3ai,3bi 内側縁
W,Ws,Ws,W31,W32
L 長さ
H 高さ
1100 電力変換装置
1110 コンバータ
1111 スイッチング素子
1112 駆動回路
1115 リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ
1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪
1300 エンジン

Claims (11)

  1. コイルと磁性コアとを備えるリアクトルであって、
    前記磁性コアは、X方向に組み合わされることでθ状に構成される第一コアと第二コアとを備え、
    前記第一コアは、第一エンドコア部と、ミドルコア部の少なくとも一部と、第一サイドコア部及び第二サイドコア部を含む両サイドコア部の少なくとも一部とを含み、
    前記第二コアは、第二エンドコア部と、前記ミドルコア部の残部と、前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々の残部とを含み、
    前記第一エンドコア部は、前記コイルの第一の端面に臨み、
    前記第二エンドコア部は、前記コイルの第二の端面に臨み、
    前記ミドルコア部は、前記コイルの内側に配置され、
    前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部は、前記ミドルコア部を挟むように前記コイルの外側に配置され、
    前記第二コアの比透磁率は前記第一コアの比透磁率よりも高く、
    前記第一コアの前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々は、前記第二コアに向く先端面を有し、
    前記第二コアの表面は、前記先端面と向かい合う対向面を有し、
    前記磁性コアをZ方向から見たとき、
    前記対向面の外側縁は前記先端面の外側縁からY方向の内側に位置すると共に、
    前記対向面の内側縁と前記先端面の内側縁とは前記Y方向に実質的に揃っており、
    前記対向面における前記Y方向の幅が、前記先端面における前記Y方向の幅よりも短く、
    前記X方向は、前記ミドルコア部の軸方向に沿った方向であり、
    前記Y方向は、前記ミドルコア部と前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部とが並列される方向であり、
    前記Z方向は、前記X方向と前記Y方向の双方に直交する方向である、
    リアクトル。
  2. 前記対向面における前記Y方向の幅は、前記先端面における前記Y方向の幅の60%以上92%以下である請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記第一コアは、樹脂中に軟磁性粉末が分散した複合材料の成形体であり、
    前記第二コアは、軟磁性粉末を含む原料粉末の圧粉成形体である請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記第一コアの比透磁率は5以上50以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリアクトル。
  5. 前記第二コアの比透磁率は50以上500以下である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリアクトル。
  6. 前記第一コアの比透磁率に対する前記第二コアの比透磁率の比が1.1以上12以下である請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のリアクトル。
  7. {(μr×Ws)/(μr×Ws)}が0.1以上1.6以下を満たし、
    μrは前記第一コアの比透磁率、Wsは前記先端面における前記Y方向の幅、μrは前記第二コアの比透磁率、Wsは前記対向面における前記Y方向の幅である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のリアクトル。
  8. 前記第一コアは、前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々の全部を含み、
    前記対向面は、前記第二コアの前記第二エンドコア部に備わる請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のリアクトル。
  9. 前記第一コアは、前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々の一部を含み、
    前記対向面は、前記第二コアの前記第一サイドコア部及び前記第二サイドコア部の各々の残部に備わる請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のリアクトル。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のリアクトルを備える、
    コンバータ。
  11. 請求項10に記載のコンバータを備える、
    電力変換装置。
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