JP7632092B2 - ドリル - Google Patents

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Description

本発明は、ドリルに関する。
従来のドリルとして、例えば、特許文献1に記載の脆性材料用切削工具が知られている。この脆性材料用切削工具は、工具先端面に切刃が配置されており、この切刃により、例えば、シリコン、各種セラミックス、ガラス、および炭化タングステン(WC)等の超硬合金材を含む高硬度な脆性材料(以下、単に「硬脆材料」と呼ぶ)に穴あけ加工を行う。特許文献1では、切刃のチッピングや欠損を抑制するため、切刃のすくい角が切刃全長にわたってネガティブ角とされている。
特開2002-355710号公報
この種のドリルでは、硬脆材料等からなる被削材に穴あけ加工したときに、加工穴の内周部付近に生じる「コバ欠け」を抑制する点に改善の余地があった。特に、例えばSi系セラミックスなどの硬脆材料の穴あけ加工では、コバ欠けが生じやすい傾向がある。
本発明は、硬脆材料等の高硬度の被削材を穴あけ加工する場合であっても、安定して高精度な穴あけ加工を行うことができるドリルを提供することを目的の一つとする。
本発明のドリルの一つの態様は、中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、前記刃部は、すくい面と、逃げ面と、前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、前記切刃は、前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、前記コーナ刃は、径方向外側へ向かうに従い軸方向の後端側に向けて凸曲線状に延びる
また本発明のドリルの一つの態様は、中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、前記刃部は、すくい面と、逃げ面と、前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、前記切刃は、前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、前記刃部は、前記先端面に開口し、軸方向に延びる切屑排出溝を備え、前記すくい面のうち前記主切刃と前記切屑排出溝との間に位置する部分の幅寸法が、径方向外側へ向かうに従い小さくなる。
また本発明のドリルの一つの態様は、中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、前記刃部は、すくい面と、逃げ面と、前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、前記切刃は、前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、前記主切刃は、第1主切刃と、前記第1主切刃の径方向外側に配置され、両端部が前記第1主切刃と前記コーナ刃とに接続される第2主切刃と、を有し、前記第2主切刃の刃物角が、前記第1主切刃の刃物角以上であり、前記第2主切刃は、径方向外側へ向かうに従い、前記中心軸回りの周方向のうちドリル回転方向に向けて延びる。
また本発明のドリルの一つの態様は、中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、前記刃部は、すくい面と、逃げ面と、前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、前記切刃は、前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、前記主切刃は、第1主切刃と、前記第1主切刃の径方向外側に配置され、両端部が前記第1主切刃と前記コーナ刃とに接続される第2主切刃と、を有し、前記第2主切刃の刃物角が、前記第1主切刃の刃物角以上であり、前記すくい面は、前記第1主切刃に接続する第1すくい面と、前記第2主切刃に接続する第2すくい面と、を有し、前記第1すくい面と前記第2すくい面とが、単一の平面に配置される。
また本発明のドリルの一つの態様は、中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、前記刃部は、すくい面と、逃げ面と、前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、前記切刃は、前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、前記主切刃は、第1主切刃と、前記第1主切刃の径方向外側に配置され、両端部が前記第1主切刃と前記コーナ刃とに接続される第2主切刃と、を有し、前記第2主切刃の刃物角が、前記第1主切刃の刃物角以上であり、前記逃げ面は、前記第1主切刃に接続する第1逃げ面と、前記第2主切刃に接続する第2逃げ面と、を有し、前記第1逃げ面は、平面状であり、前記第2逃げ面は、凸曲面状である。
また本発明のドリルの一つの態様は、中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、前記刃部は、すくい面と、逃げ面と、前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、前記切刃は、前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、前記主切刃は、第1主切刃と、前記第1主切刃の径方向外側に配置され、両端部が前記第1主切刃と前記コーナ刃とに接続される第2主切刃と、を有し、前記第2主切刃の刃物角が、前記第1主切刃の刃物角以上であり、前記主切刃は、径方向外側へ向かうに従い、軸方向の後端側に向けて延び、前記第2主切刃は、前記第1主切刃よりも前記中心軸に対する傾斜角が小さい。
本発明のドリルは、主切刃のすくい角がネガティブ角であるため、主切刃の刃物角を大きく確保できる。主切刃の刃先強度を安定して高めることができ、高硬度の硬脆材料製の被削材を穴あけ加工する場合であっても、主切刃のチッピングや欠損等が抑えられ、効率よく穴あけ加工を行うことができる。例えば、窒化珪素系セラミックスやアルミナ系セラミックスなどの高硬度の硬脆材料からなる被削材を穴あけ加工する場合でも、刃先チッピング等の発生を抑制できる。
またコーナ刃は、被削材の加工穴の内周部を切削する。本発明のドリルによれば、コーナ刃のすくい角がポジティブ角であるため、コーナ刃の切れ味が高められており、加工穴の内周部付近のコバ欠けが抑制される。例えば、Si系セラミックスなどの硬脆材料からなる被削材を穴あけ加工する場合でも、加工穴にコバ欠けが生じることを抑制でき、加工精度の向上を図ることができる。
以上より本発明のドリルによれば、硬脆材料等の高硬度の被削材を穴あけ加工する場合であっても、安定して高精度な穴あけ加工を行うことができる。
上記ドリルにおいて、前記コーナ刃は、径方向外側へ向かうに従い軸方向の後端側に向けて凸曲線状に延びる。
この場合、コーナ刃が凸曲線状であるため、コーナ刃は、軸方向の後端側へ向かうに従い、中心軸に対する傾斜角が小さくなる。これにより、コーナ刃が加工穴を貫通するときに、加工穴の内周部付近に作用するスラスト方向への力が小さく抑えられる。このため、加工穴(特に穿孔出口側)のコバ欠けがより安定して抑制される。
上記ドリルにおいて、前記刃部は、前記先端面に開口し、軸方向に延びる切屑排出溝を備え、前記すくい面のうち前記主切刃と前記切屑排出溝との間に位置する部分の幅寸法が、径方向外側へ向かうに従い小さくなる。
穴あけ加工時には、すくい面のうち径方向外側に位置する部分ほど(周速が速い部分ほど)、切刃からの切屑供給量が多くなる。上記構成では、すくい面の幅寸法が、径方向外側へ向かうに従い小さくなるので、切屑がすくい面上から効率よく切屑排出溝に流入させられて、切屑排出性がよい。
上記ドリルにおいて、前記主切刃は、第1主切刃と、前記第1主切刃の径方向外側に配置され、両端部が前記第1主切刃と前記コーナ刃とに接続される第2主切刃と、を有し、前記第2主切刃の刃物角が、前記第1主切刃の刃物角以上である。
この場合、主切刃のうち、第1主切刃よりも中心軸からの距離が遠く、穴あけ加工時の周速つまり切削速度が速い第2主切刃の刃先強度が高められる。このため、主切刃のチッピングや欠損等がより抑えられ、効率よく安定して穴あけ加工を行うことができる。
上記ドリルにおいて、前記第2主切刃は、径方向外側へ向かうに従い、前記中心軸回りの周方向のうちドリル回転方向に向けて延びる。
この場合、第2主切刃は、径方向外側へ向かうに従い、芯高が芯上がりとなる。このため、仮に、第2主切刃の直角刃物角(切刃が延びる刃長方向と垂直な断面の刃物角)が刃長方向に沿って略一定である場合でも、ドリル回転方向に沿う断面(中心軸を中心とする仮想円筒面)に表れる実質的な刃物角は、第2主切刃のうち径方向外側に位置する部分ほど、大きくなる。
すなわち第2主切刃のうち、中心軸からの距離が遠く、穴あけ加工時の周速つまり切削速度が速くなる部分ほど、実質的な刃物角が大きくなって刃先強度が高められるため、第2主切刃のチッピングや欠損等がより抑えられる。
上記ドリルにおいて、前記すくい面は、前記第1主切刃に接続する第1すくい面と、前記第2主切刃に接続する第2すくい面と、を有し、前記第1すくい面と前記第2すくい面とが、単一の平面に配置される。
この場合、すくい面の構成を簡素化でき、かつ、主切刃の一部に局所的に切削負荷が集中するような不具合が抑えられる。したがって、主切刃の刃先チッピング等がより抑制される。
上記ドリルにおいて、前記逃げ面は、前記第1主切刃に接続する第1逃げ面と、前記第2主切刃に接続する第2逃げ面と、を有し、前記第1逃げ面は、平面状であり、前記第2逃げ面は、凸曲面状である。
この場合、第1逃げ面が平面状であるので、ドリル製造時に第1逃げ面を形成しやすい。また第2逃げ面が凸曲面状であるので、第2主切刃を曲線状に形成することが容易である。これにより、例えば、第2主切刃とコーナ刃とを滑らかに接続しやすい。
上記ドリルにおいて、前記主切刃は、径方向外側へ向かうに従い、軸方向の後端側に向けて延び、前記第2主切刃は、前記第1主切刃よりも前記中心軸に対する傾斜角が小さい。
この場合、第2主切刃とコーナ刃とを滑らかに接続しやすくなり、これらの接続部分におけるチッピングや欠損等が抑制される。
上記ドリルにおいて、前記第2主切刃は、前記切刃が延びる刃長方向と垂直な断面における前記刃物角が、前記第2主切刃の前記刃長方向に沿って前記第1主切刃から前記コーナ刃へ向かうに従い、大きくなることが好ましい。
第2主切刃の中でも径方向外側に位置する部分ほど、つまりコーナ刃に近い部分ほど、穴あけ加工時のドリル回転方向の周速(切削速度)は速くなる。上記構成によれば、第2主切刃の直角刃物角が、刃長方向に沿って第1主切刃からコーナ刃に近づくに従い大きくなるので、第2主切刃のチッピングや欠損等がより安定して抑制される。
上記ドリルにおいて、前記刃部を軸方向から見て、前記第2主切刃と前記コーナ刃との接続部分が、前記中心軸回りの周方向のうちドリル回転方向へ突出することが好ましい。
この場合、第2主切刃とコーナ刃との接続部分がドリル回転方向に突出するため、その分、コーナ刃のねじれ角(軸方向すくい角)を大きく確保することができる。これにより、コーナ刃の切れ味がより高められる。
上記ドリルにおいて、前記第1主切刃の径方向寸法が、前記刃部の半径の40%以上50%以下であることが好ましい。
第1主切刃の径方向寸法が刃部の半径の40%以上であると、第1主切刃の刃長が大きく確保され、穴あけ加工をより効率よく行うことができる。
第1主切刃の径方向寸法が刃部の半径の50%以下であると、切刃のうち第1主切刃以外の第2主切刃およびコーナ刃の各刃長を大きく確保でき、第2主切刃およびコーナ刃による各機能が安定して奏功される。
上記ドリルにおいて、前記主切刃の径方向寸法が、前記刃部の半径の70%以上80%以下であることが好ましい。
主切刃の径方向寸法が刃部の半径の70%以上であると、主切刃の刃長が大きく確保され、穴あけ加工をより効率よく行うことができる。
主切刃の径方向寸法が刃部の半径の80%以下であると、切刃のうち主切刃以外のコーナ刃の刃長を大きく確保でき、コーナ刃による機能が安定して奏功される。
上記ドリルにおいて、前記主切刃は、軸方向から見て、前記中心軸上から径方向外側に延びることが好ましい。
この場合、主切刃が中心軸上を通るため、刃部の先端面の中心軸付近には、チゼルエッジおよびチゼルシンニング等(以下、チゼルエッジ等と省略)が形成されない。このため上記構成によれば、チゼルエッジ等に起因する刃部の欠損等が抑制される。
本発明の一つの態様のドリルによれば、硬脆材料等の高硬度の被削材を穴あけ加工する場合であっても、安定して高精度な穴あけ加工を行うことができる。
図1は、本実施形態のドリルの一部を示す斜視図である。 図2は、ドリルの一部を示す正面図である。 図3は、ドリルの一部を示す側面図である。 図4は、図3のIV-IV断面を示す断面図である。 図5は、図3のV-V断面を示す断面図である。 図6は、図3のVI-VI断面を示す断面図である。 図7は、図3のVII-VII断面を示す断面図である。 図8は、本実施形態のドリル(実施例)により硬脆材料製の被削材に穴あけ加工した加工穴(50穴目)を示す画像である。 図9は、従来のドリル(従来例)により硬脆材料製の被削材に穴あけ加工した加工穴(50穴目)を示す画像である。
本発明の一実施形態のドリル1について、図面を参照して説明する。本実施形態のドリル1は、硬脆材料からなる被削材を穴あけ加工するのに適している。具体的に、硬脆材料とは、例えば、サイアロンなどの窒化珪素系セラミックス、アルミナ系セラミックス、Si系セラミックスおよび単結晶シリコン等の高硬度の脆性材料である。
図1に示すように、ドリル1は、中心軸Cを中心とする柱状または軸状である。ドリル1は、シャンク部2と、刃部3と、を備える。シャンク部2と刃部3とは、中心軸Cが延びる方向において、互いに異なる位置に配置される。
〔方向の定義〕
本実施形態では、ドリル1の中心軸Cが延びる方向を軸方向と呼ぶ。軸方向のうち、シャンク部2から刃部3へ向かう方向を軸方向の先端側または単に先端側と呼び、刃部3からシャンク部2へ向かう方向を軸方向の後端側または単に後端側と呼ぶ。
中心軸Cと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Cに近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸Cから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
中心軸C回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。周方向のうち、穴あけ加工時にドリル1が回転させられる方向をドリル回転方向Tと呼び、ドリル回転方向Tとは反対方向を反ドリル回転方向と呼ぶ。
また本実施形態では、刃部3の後述する切刃7が延びる方向を、刃長方向と呼ぶ。
〔シャンク部〕
シャンク部2は、中心軸Cを中心として軸方向に延びる柱状である。シャンク部2は、例えば、図示しない工作機械の主軸やボール盤のチャック等(以下、主軸等と省略する)に着脱可能に保持される。ドリル1は、主軸等によってシャンク部2がドリル回転方向Tに回転させられつつ、軸方向の先端側に送られることで、刃部3により被削材に切り込んで、穴あけ加工を行う。
〔刃部〕
図1~図3に示すように、刃部3は、中心軸Cを中心として軸方向に延びる略柱状である。刃部3の直径つまり刃径は、シャンク部2の直径よりも小さい。本実施形態では刃部3の直径が、例えば、2mm以下である。すなわち、ドリル1は、いわゆる小径ドリルである。
刃部3のうち、少なくとも軸方向の先端側の端部(先端部)3aは、例えば、ダイヤモンド焼結体(Polycrystalline diamond,PCD)や単結晶ダイヤモンド等により構成される。本実施形態では、刃部3のうち図1および図3に符号Bで示す境界線よりも先端側に位置する部分が、PCDや単結晶ダイヤモンド等により構成される。なお本実施形態の構成に代えて、またはこの構成とともに、刃部3のうち少なくとも先端部3aに、ダイヤモンドコーティング膜が設けられてもよい。
刃部3は、切屑排出溝4と、すくい面5と、逃げ面6と、切刃7と、マージン8と、二番取り面9と、を有する。
切屑排出溝4は、刃部3の外周面から径方向内側に窪み、軸方向に延びる溝状である。切屑排出溝4は、刃部3の軸方向の先端側を向く先端面3bに開口する。具体的に、切屑排出溝4は、先端面3bから軸方向の後端側へ向かうに従い、反ドリル回転方向に向けて螺旋状に延びる。切屑排出溝4は、刃部3に、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では切屑排出溝4が、周方向に等ピッチで2つ設けられる。
切刃7は、すくい面5と逃げ面6との稜線部に配置される。切刃7は、刃部3に、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では切刃7が、周方向に等ピッチで2つ設けられる。すなわち、本実施形態のドリル1は、2枚刃のツイストドリルである。
図2および図3に示すように、切刃7は、主切刃10と、コーナ刃11と、リーディングエッジ(外周刃)12と、を有する。
主切刃10は、刃部3の軸方向の先端側を向く先端面3bに配置される。主切刃10は、先端面3b上を略径方向に延びる。主切刃10は、図2に示すように軸方向から見て、中心軸C上から径方向外側に延びる。つまり主切刃10の径方向内端部は、中心軸C上に位置する。複数の切刃7の各主切刃10は、中心軸C上で互いの径方向内端部同士が接続される。このため本実施形態では、刃部3の先端面3bの中心軸C付近に、チゼルエッジ等が形成されていない。各主切刃10の径方向寸法は、刃部3の半径(つまり刃径の1/2)の70%以上80%以下である。
主切刃10は、その刃長方向の全長にわたって、すくい角がネガティブ角(負角)とされている。主切刃10のすくい角は、例えば、-70°以上-60°以下(つまり負角の60°以上70°以下であり、以下においても表現は同様)であり、より好ましくは、-67°以上-63°以下である。また、図4~図6に示すように、主切刃10の刃長方向と垂直な断面の刃物角(直角刃物角)αは、例えば、110°以上145°以下であり、より好ましくは、120°以上130°以下である。
図3に示すように、主切刃10は、径方向外側へ向かうに従い、軸方向の後端側に向けて延びる。
主切刃10は、第1主切刃10aと、第2主切刃10bと、を有する。
第1主切刃10aは、図2に示すように軸方向から見て、径方向に延びる。第1主切刃10aの径方向寸法は、刃部3の半径の40%以上50%以下である。図3に示すように、第1主切刃10aは、中心軸C上から径方向外側へ向かうに従い、軸方向の後端側に向けて延びる。第1主切刃10aは、直線状である。複数の主切刃10の各第1主切刃10a同士の間の先端角θは、例えば、120°以上150°以下であり、より好ましくは、130°以上140°以下である。
第2主切刃10bは、第1主切刃10aの径方向外側に配置される。第2主切刃10bは、刃長方向の両端部が第1主切刃10aとコーナ刃11とに接続される。図2に示すように、第2主切刃10bは、径方向外側へ向かうに従いドリル回転方向Tに向けて延びる。すなわち、第2主切刃10bは、径方向外側へ向かうに従い、芯高が芯上がりとなる。
また図3に示すように、第2主切刃10bは、径方向外側へ向かうに従い、軸方向の後端側に向けて延びる。
第2主切刃10bは、曲線状であり、湾曲して延びる。具体的に、第2主切刃10bは、図2に示すように軸方向から見て、反ドリル回転方向に窪む凹曲線状である。また、第2主切刃10bは、図3に示すように径方向から見て、軸方向の先端側に膨らむ凸曲線状である。
図4~図6に示すように、第2主切刃10bの刃物角α2は、第1主切刃10aの刃物角α1以上である。また、第2主切刃10bは、刃長方向と垂直な断面における直角刃物角α2が、第2主切刃10bの刃長方向に沿って第1主切刃10aからコーナ刃11へ向かうに従い、大きくなる。具体的に、図6に示す第2主切刃10bの断面は、図5に示す第2主切刃10bの断面よりも径方向外側に位置しており(図3参照)、図6に示す刃物角α2は、図5に示す刃物角α2よりも大きい。
すなわち、本実施形態の主切刃10は、主切刃10の刃長方向に沿ってコーナ刃11に近づくに従い、刃物角αが大きくなる。
図3において、複数の主切刃10の各第2主切刃10b同士の間の先端角は、各第1主切刃10a同士の間の先端角θ以下である。図3に示すように径方向から見て、第2主切刃10bと中心軸Cとの間に形成される鋭角および鈍角のうち、鋭角の角度(傾斜角)は、第1主切刃10aと中心軸Cとの間に形成される鋭角および鈍角のうち、鋭角の角度よりも小さい。すなわち、第2主切刃10bは、第1主切刃10aよりも中心軸Cに対する傾斜角が小さい。
コーナ刃11は、刃部3の径方向外側の端部に配置されて、主切刃10と接続される。コーナ刃11は、径方向外側へ向かうに従い軸方向の後端側に向けて凸曲線状に延びる。図1および図2に示すように、コーナ刃11は、主切刃10との接続部分から軸方向の後端側へ向かうに従い、ねじれ角が大きくなる。
具体的に、コーナ刃11は、第2主切刃10bの径方向外端部と接続される。図2に示すように、刃部3を軸方向から見て、第2主切刃10bとコーナ刃11との接続部分13は、ドリル回転方向Tへ突出する凸状をなす。
コーナ刃11は、その刃長方向の全長にわたって、すくい角がポジティブ角(正角)とされている。コーナ刃11のすくい角は、例えば、5°以上25°以下であり、より好ましくは、10°以上22°以下である。また、図7に示すように、コーナ刃11の刃長方向と垂直な断面の刃物角(直角刃物角)βは、例えば、45°以上65°以下であり、より好ましくは、58°以上62°以下である。
図3に示すように、リーディングエッジ12は、刃部3の外周部に配置されて、コーナ刃11と接続される。具体的に、リーディングエッジ12は、コーナ刃11の径方向外端部かつ軸方向の後端部と接続される。リーディングエッジ12は、軸方向の後端側へ向かうに従い、反ドリル回転方向に向けて螺旋状に延びる。リーディングエッジ12は、その刃長方向の全長にわたって、すくい角がポジティブ角とされている。
なおリーディングエッジ12には、バックテーパが付与されていてもよい。この場合、リーディングエッジ12は、軸方向の後端側へ向かうに従い、わずかに径方向内側に位置する。
図2および図3に示すように、すくい面5は、刃部3に、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態ではすくい面5が、周方向に等ピッチで2つ設けられる。
すくい面5は、主すくい面21と、コーナすくい面22と、外周すくい面23と、を有する。
主すくい面21は、刃部3の先端面3bに配置され、主切刃10に接続する。主すくい面21は、主切刃10のドリル回転方向Tに隣接配置される。主すくい面21は、すくい面5のうち、主切刃10と、主切刃10のドリル回転方向Tに隣り合う切屑排出溝4と、の間に位置する部分である。主すくい面21は、主切刃10に沿って延びる。主すくい面21は、主切刃10から軸方向の後端側へ向かうに従い、ドリル回転方向Tに位置する。すなわち、主すくい面21はすくい角がネガティブ角であり、これにより主切刃10のすくい角もネガとされる。
主すくい面21の幅寸法、すなわち、すくい面5のうち主切刃10と切屑排出溝4との間に位置する部分の幅寸法は、径方向外側へ向かうに従い小さくなる。本実施形態では主すくい面21が、略三角形状の単一の平面により構成される。
主すくい面21は、第1すくい面21aと、第2すくい面21bと、を有する。つまりすくい面5は、第1すくい面21aと、第2すくい面21bと、を有する。
第1すくい面21aは、主すくい面21のうち径方向内側に位置する部分である。第1すくい面21aは、第1主切刃10aに接続する。第2すくい面21bは、主すくい面21のうち径方向外側に位置する部分である。第2すくい面21bは、第2主切刃10bに接続する。第1すくい面21aと第2すくい面21bとは、単一の平面に配置される。つまり第1すくい面21aと第2すくい面21bとは、単一の平面により一体に形成される。
図3に示すように、コーナすくい面22は、刃部3の先端外周部に配置され、コーナ刃11に接続する。コーナすくい面22は、コーナ刃11の径方向内側に隣接配置される。コーナすくい面22は、切屑排出溝4のうちドリル回転方向Tを向く壁部に位置する。コーナすくい面22は、コーナ刃11に沿って延びる。コーナすくい面22は、コーナ刃11から径方向内側へ向かうに従い、反ドリル回転方向に位置する(図7参照)。すなわち、コーナすくい面22はすくい角がポジティブ角であり、これによりコーナ刃11のすくい角もポジとされる。コーナすくい面22は、凹曲面状である。
図3に示すように、外周すくい面23は、刃部3の外周部に配置され、リーディングエッジ12に接続する。外周すくい面23は、リーディングエッジ12の径方向内側に隣接配置される。外周すくい面23は、切屑排出溝4のうちドリル回転方向Tを向く壁部に位置する。外周すくい面23は、リーディングエッジ12に沿って延びる。外周すくい面23は、リーディングエッジ12から径方向内側へ向かうに従い、反ドリル回転方向に位置する。すなわち、外周すくい面23はすくい角がポジティブ角であり、これによりリーディングエッジ12のすくい角もポジとされる。外周すくい面23は、凹曲面状である。
コーナすくい面22と外周すくい面23とは、単一の凹曲面に配置される。つまりコーナすくい面22と外周すくい面23とは、単一の凹曲面により一体に形成される。
図2および図3に示すように、逃げ面6は、刃部3に、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では逃げ面6が、周方向に等ピッチで2つ設けられる。
逃げ面6は、主逃げ面31と、コーナ逃げ面32と、を有する。
主逃げ面31は、刃部3の先端面3bに配置され、主切刃10に接続する。主逃げ面31は、主切刃10の反ドリル回転方向に隣接配置される。主逃げ面31は、主切刃10に沿って延びる。主逃げ面31は、主切刃10から反ドリル回転方向へ向かうに従い、軸方向の後端側に位置する。これにより主逃げ面31には、逃げ角が付与されている。
主逃げ面31は、第1逃げ面31aと、第2逃げ面31bと、を有する。つまり逃げ面6は、第1逃げ面31aと、第2逃げ面31bと、を有する。
第1逃げ面31aは、主逃げ面31のうち径方向内側に位置する部分である。第1逃げ面31aは、第1主切刃10aに接続する。第1逃げ面31aは、平面状である(図4参照)。第2逃げ面31bは、主逃げ面31のうち径方向外側に位置する部分である。第2逃げ面31bは、第2主切刃10bに接続する。第2逃げ面31bは、凸曲面状である(図5および図6参照)。
つまり第1逃げ面31aと第2逃げ面31bとは、互いに異なる面により形成される。第1逃げ面31aと第2逃げ面31bとは、互いに滑らかに接続される。
図2および図3に示すように、コーナ逃げ面32は、刃部3の先端面3bの径方向外端部に配置され、コーナ刃11に接続する。コーナ逃げ面32は、コーナ刃11の反ドリル回転方向に隣接配置される。コーナ逃げ面32は、コーナ刃11に沿って延びる。コーナ逃げ面32は、コーナ刃11から反ドリル回転方向へ向かうに従い、径方向内側に位置する(図7参照)。これによりコーナ逃げ面32には、逃げ角が付与されている。
図1~図3に示すように、マージン8は、刃部3の外周面に配置され、リーディングエッジ12に接続する。マージン8は、リーディングエッジ12の反ドリル回転方向に隣接配置される。マージン8は、リーディングエッジ12に沿って螺旋状に延びる。マージン8の軸方向の先端部は、先端面3bに接続する。マージン8は、リーディングエッジ12を中心軸C回りに回転させて得られる図示しない円筒状の回転軌跡上に位置する。マージン8は、中心軸Cと垂直な断面において、中心軸Cを中心とする円弧状をなす。
二番取り面9は、刃部3の外周面のうち、マージン8と、マージン8の反ドリル回転方向に隣り合う切屑排出溝4と、の間に配置される。二番取り面9は、マージン8よりも径方向内側に位置する。二番取り面9の軸方向の先端部は、先端面3bに接続する。
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態のドリル1は、主切刃10のすくい角がネガティブ角であるため、主切刃10の刃物角αを大きく確保できる。主切刃10の刃先強度を安定して高めることができ、高硬度の硬脆材料製の被削材を穴あけ加工する場合であっても、主切刃10のチッピングや欠損等が抑えられ、効率よく穴あけ加工を行うことができる。例えば、窒化珪素系セラミックスやアルミナ系セラミックスなどの高硬度の硬脆材料からなる被削材を穴あけ加工する場合でも、刃先チッピング等の発生を抑制できる。
またコーナ刃11は、被削材の加工穴の内周部を切削する。本実施形態のドリル1によれば、コーナ刃11のすくい角がポジティブ角であるため、コーナ刃11の切れ味が高められており、加工穴の内周部付近のコバ欠けが抑制される。例えば、Si系セラミックスなどの硬脆材料からなる被削材を穴あけ加工する場合でも、加工穴にコバ欠けが生じることを抑制でき、加工精度の向上を図ることができる。
以上より本実施形態のドリル1によれば、硬脆材料等の高硬度の被削材を穴あけ加工する場合であっても、安定して高精度な穴あけ加工を行うことができる。
また本実施形態では、第2主切刃10bの刃物角α2が、第1主切刃10aの刃物角α1以上である。
この場合、主切刃10のうち、第1主切刃10aよりも中心軸Cからの距離が遠く、穴あけ加工時の周速つまり切削速度が速い第2主切刃10bの刃先強度が高められる。このため、主切刃10のチッピングや欠損等がより抑えられ、効率よく安定して穴あけ加工を行うことができる。
また本実施形態では、第2主切刃10bが、径方向外側へ向かうに従いドリル回転方向Tに向けて延びる。
この場合、第2主切刃10bは、径方向外側へ向かうに従い、芯高が芯上がりとなる。このため、仮に、第2主切刃10bの直角刃物角(切刃7が延びる刃長方向と垂直な断面の刃物角)α2が刃長方向に沿って略一定である場合でも、ドリル回転方向Tに沿う断面(中心軸Cを中心とする仮想円筒面)に表れる実質的な刃物角は、第2主切刃10bのうち径方向外側に位置する部分ほど、大きくなる。
すなわち第2主切刃10bのうち、中心軸Cからの距離が遠く、穴あけ加工時の周速つまり切削速度が速くなる部分ほど、実質的な刃物角が大きくなって刃先強度が高められるため、第2主切刃10bのチッピングや欠損等がより抑えられる。
また本実施形態では、主すくい面21の第1すくい面21aと第2すくい面21bとが、単一の平面に配置される。
この場合、主すくい面21すなわちすくい面5の構成を簡素化でき、かつ、主切刃10の一部に局所的に切削負荷が集中するような不具合が抑えられる。したがって、主切刃10の刃先チッピング等がより抑制される。
また本実施形態では、主逃げ面31のうち、第1逃げ面31aは平面状であり、第2逃げ面31bは凸曲面状である。
この場合、第1逃げ面31aが平面状であるので、ドリル製造時に第1逃げ面31aを形成しやすい。また第2逃げ面31bが凸曲面状であるので、第2主切刃10bを曲線状に形成することが容易である。これにより、図3に示すように、第2主切刃10bとコーナ刃11とを滑らかに接続しやすい。
また本実施形態では、第2主切刃10bの直角刃物角α2が、第2主切刃10bの刃長方向に沿って第1主切刃10aからコーナ刃11へ向かうに従い、大きくなる。
第2主切刃10bの中でも径方向外側に位置する部分ほど、つまりコーナ刃11に近い部分ほど、穴あけ加工時のドリル回転方向Tの周速(切削速度)は速くなる。上記構成によれば、第2主切刃10bの直角刃物角α2が、刃長方向に沿って第1主切刃10aからコーナ刃11に近づくに従い大きくなるので、第2主切刃10bのチッピングや欠損等がより安定して抑制される。
また本実施形態では、主切刃10が、径方向外側へ向かうに従い軸方向の後端側に向けて延び、第2主切刃10bは、第1主切刃10aよりも中心軸Cに対する傾斜角が小さい。
この場合、第2主切刃10bとコーナ刃11とを滑らかに接続しやすくなり、これらの接続部分におけるチッピングや欠損等が抑制される。
また本実施形態では、図2に示すように刃部3を軸方向から見て、第2主切刃10bとコーナ刃11との接続部分13が、ドリル回転方向Tへ突出する。
この場合、第2主切刃10bとコーナ刃11との接続部分13がドリル回転方向Tに突出するため、その分、コーナ刃11のねじれ角(軸方向すくい角)を大きく確保することができる。これにより、コーナ刃11の切れ味がより高められる。
また本実施形態では、第1主切刃10aの径方向寸法が、刃部3の半径の40%以上50%以下である。
第1主切刃10aの径方向寸法が刃部3の半径の40%以上であると、第1主切刃10aの刃長が大きく確保され、穴あけ加工をより効率よく行うことができる。
第1主切刃10aの径方向寸法が刃部3の半径の50%以下であると、切刃7のうち第1主切刃10a以外の第2主切刃10bおよびコーナ刃11の各刃長を大きく確保でき、第2主切刃10bおよびコーナ刃11による各機能が安定して奏功される。
また本実施形態では、主切刃10の径方向寸法が、刃部3の半径の70%以上80%以下である。
主切刃10の径方向寸法が刃部3の半径の70%以上であると、主切刃10の刃長が大きく確保され、穴あけ加工をより効率よく行うことができる。
主切刃10の径方向寸法が刃部3の半径の80%以下であると、切刃7のうち主切刃10以外のコーナ刃11の刃長を大きく確保でき、コーナ刃11による機能が安定して奏功される。
また本実施形態では、主切刃10が、軸方向から見て、中心軸C上から径方向外側に延びる。
この場合、主切刃10が中心軸C上を通るため、刃部3の先端面3bの中心軸C付近には、チゼルエッジ等が形成されない。このため上記構成によれば、チゼルエッジ等に起因する刃部3の欠損等が抑制される。
また本実施形態では、コーナ刃11は、主切刃10との接続部分13から軸方向の後端側へ向かうに従い、ねじれ角が大きくなる。
この場合、コーナ刃11は、軸方向の後端側へ向かうほど切れ味が高められる。コーナ刃11の特に軸方向後端部によって、加工穴の内周部の加工精度が安定して高められ、加工穴のコバ欠けがより抑制される。
また本実施形態では、コーナ刃11は、径方向外側へ向かうに従い軸方向の後端側に向けて凸曲線状に延びる。
この場合、コーナ刃11が凸曲線状であるため、コーナ刃11は、軸方向の後端側へ向かうに従い、中心軸Cに対する傾斜角が小さくなる。これにより、コーナ刃11が加工穴を貫通するときに、加工穴の内周部付近に作用するスラスト方向への力が小さく抑えられる。このため、加工穴(特に穿孔出口側)のコバ欠けがより安定して抑制される。
また本実施形態では、すくい面5のうち主切刃10と切屑排出溝4との間に位置する部分(つまり主すくい面21)の幅寸法が、径方向外側へ向かうに従い小さくなる。
穴あけ加工時には、すくい面5(主すくい面21)のうち径方向外側に位置する部分ほど(周速が速い部分ほど)、切刃7からの切屑供給量が多くなる。上記構成では、すくい面5の幅寸法が、径方向外側へ向かうに従い小さくなるので、切屑がすくい面5上から効率よく切屑排出溝4に流入させられて、切屑排出性がよい。
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
前述の実施形態では、ドリル1として、刃部3の直径(刃径)が2mm以下の小径ドリルを例に挙げて説明したが、これに限らない。ドリル1は、小径ドリルに限らず、刃部3の刃径が2mmを超えてもよい。
前述の実施形態では、ドリル1が、2枚刃のツイストドリルである例を挙げたが、これに限らない。ドリル1は、1枚刃または3枚刃以上であってもよい。
またドリル1は、刃部3とシャンク部2とが互いに別体に設けられ、これらが組み立てられた構成や、ロウ付けにより一体化された構成であってもよい。あるいは、ドリル1は、刃部3とシャンク部2とが単一の部材により一体に形成された構成でもよい。
また、ドリル1は、刃部3がネジ等によってシャンク部2に着脱可能に装着される、刃先交換式ドリルであってもよい。この場合、刃部3は、ドリルヘッド3と言い換えてもよい。
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態および変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されない。
[加工穴のコバ欠け確認試験]
本発明の実施例として、前述の実施形態で説明したドリル1を用いて、硬脆材料(Si材)からなる被削材に穴あけ加工を行った。また、従来例として、工具先端面に配置される切刃のすくい角が、刃長方向の全長にわたってネガティブ角とされたドリルを用いて、硬脆材料(Si材)からなる被削材に穴あけ加工を行った。
実施例および従来例ともに、切削条件は下記の通りとし、被削材に加工穴を50個加工して、加工穴の内周部付近に生じるコバ欠けの程度(状態)を確認した。
<切削条件>
・ドリル:刃径φ1.5mm PCDドリル
・被削材の平面度:80mm×80mmあたり40μm以内
・切削速度:vc=21.7m/min
・送り:fr=0.001mm/rev
・穴あけ長さ:ld=3.5mm(止り)
・ステップ(加工)量:0.3mm
・戻り:平面より0.2mm
・切削油剤:エマルションAP-EX-E1[10%] 外部給油
図8は、実施例のドリル1により穿孔された加工穴(50穴目)を表す画像である。図9は、従来例のドリルにより穿孔された加工穴(50穴目)を表す画像である。
図8および図9に示すように、従来例に比べて実施例のドリル1では、50穴目の加工穴についても、内周部付近のコバ欠けが安定して抑制されることが確認された。
本発明のドリルによれば、硬脆材料等の高硬度の被削材を穴あけ加工する場合であっても、安定して高精度な穴あけ加工を行うことができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
1…ドリル
3…刃部
3b…先端面
4…切屑排出溝
5…すくい面
6…逃げ面
7…切刃
10…主切刃
10a…第1主切刃
10b…第2主切刃
11…コーナ刃
13…接続部分
21a…第1すくい面
21b…第2すくい面
31a…第1逃げ面
31b…第2逃げ面
C…中心軸
T…ドリル回転方向
α…刃物角(直角刃物角)
α1…第1主切刃の刃物角
α2…第2主切刃の刃物角

Claims (11)

  1. 中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、
    前記刃部は、
    すくい面と、
    逃げ面と、
    前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、
    前記切刃は、
    前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、
    前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、
    前記コーナ刃は、径方向外側へ向かうに従い軸方向の後端側に向けて凸曲線状に延びる、
    ドリル。
  2. 中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、
    前記刃部は、
    すくい面と、
    逃げ面と、
    前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、
    前記切刃は、
    前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、
    前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、
    前記刃部は、前記先端面に開口し、軸方向に延びる切屑排出溝を備え、
    前記すくい面のうち前記主切刃と前記切屑排出溝との間に位置する部分の幅寸法が、径方向外側へ向かうに従い小さくなる、
    ドリル。
  3. 中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、
    前記刃部は、
    すくい面と、
    逃げ面と、
    前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、
    前記切刃は、
    前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、
    前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、
    前記主切刃は、
    第1主切刃と、
    前記第1主切刃の径方向外側に配置され、両端部が前記第1主切刃と前記コーナ刃とに接続される第2主切刃と、を有し、
    前記第2主切刃の刃物角が、前記第1主切刃の刃物角以上であり、
    前記第2主切刃は、径方向外側へ向かうに従い、前記中心軸回りの周方向のうちドリル回転方向に向けて延びる、
    ドリル。
  4. 中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、
    前記刃部は、
    すくい面と、
    逃げ面と、
    前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、
    前記切刃は、
    前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、
    前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、
    前記主切刃は、
    第1主切刃と、
    前記第1主切刃の径方向外側に配置され、両端部が前記第1主切刃と前記コーナ刃とに接続される第2主切刃と、を有し、
    前記第2主切刃の刃物角が、前記第1主切刃の刃物角以上であり、
    前記すくい面は、
    前記第1主切刃に接続する第1すくい面と、
    前記第2主切刃に接続する第2すくい面と、を有し、
    前記第1すくい面と前記第2すくい面とが、単一の平面に配置される、
    ドリル。
  5. 中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、
    前記刃部は、
    すくい面と、
    逃げ面と、
    前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、
    前記切刃は、
    前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、
    前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、
    前記主切刃は、
    第1主切刃と、
    前記第1主切刃の径方向外側に配置され、両端部が前記第1主切刃と前記コーナ刃とに接続される第2主切刃と、を有し、
    前記第2主切刃の刃物角が、前記第1主切刃の刃物角以上であり、
    前記逃げ面は、
    前記第1主切刃に接続する第1逃げ面と、
    前記第2主切刃に接続する第2逃げ面と、を有し、
    前記第1逃げ面は、平面状であり、
    前記第2逃げ面は、凸曲面状である、
    ドリル。
  6. 中心軸を中心として軸方向に延びる刃部を備え、
    前記刃部は、
    すくい面と、
    逃げ面と、
    前記すくい面と前記逃げ面との稜線部に配置される切刃と、を備え、
    前記切刃は、
    前記刃部の軸方向の先端側を向く先端面に配置され、すくい角がネガティブ角とされた主切刃と、
    前記刃部の径方向外側の端部に配置されて前記主切刃と接続され、すくい角がポジティブ角とされたコーナ刃と、を有し、
    前記主切刃は、
    第1主切刃と、
    前記第1主切刃の径方向外側に配置され、両端部が前記第1主切刃と前記コーナ刃とに接続される第2主切刃と、を有し、
    前記第2主切刃の刃物角が、前記第1主切刃の刃物角以上であり、
    前記主切刃は、径方向外側へ向かうに従い、軸方向の後端側に向けて延び、
    前記第2主切刃は、前記第1主切刃よりも前記中心軸に対する傾斜角が小さい、
    ドリル。
  7. 前記第2主切刃は、前記切刃が延びる刃長方向と垂直な断面における前記刃物角が、前記第2主切刃の前記刃長方向に沿って前記第1主切刃から前記コーナ刃へ向かうに従い、大きくなる、
    請求項からのいずれか1項に記載のドリル。
  8. 前記刃部を軸方向から見て、前記第2主切刃と前記コーナ刃との接続部分が、前記中心軸回りの周方向のうちドリル回転方向へ突出する、
    請求項から7のいずれか1項に記載のドリル。
  9. 前記第1主切刃の径方向寸法が、前記刃部の半径の40%以上50%以下である、
    請求項から8のいずれか1項に記載のドリル。
  10. 前記主切刃の径方向寸法が、前記刃部の半径の70%以上80%以下である、
    請求項1から9のいずれか1項に記載のドリル。
  11. 前記主切刃は、軸方向から見て、前記中心軸上から径方向外側に延びる、
    請求項1から10のいずれか1項に記載のドリル。
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