JP7632300B2 - 音響再生システム、ディスプレイ装置 - Google Patents

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Description

本技術は、有指向性音を発する発音装置と該発音装置が発した有指向性音を反射する音反射面を有する音反射体とを備えた音響再生システムと、映像を表示する自発光型の表示部を備えたディスプレイ装置と、音響再生システムのキャリブレーション方法とに関する。
例えば下記特許文献1、2に開示されるように、室内の壁面やディスプレイ装置の表示面等の所定の反射面に有指向性音を反射させて対象者に受聴させることで、該有指向性音の反射位置近傍に音像を知覚させる(定位させる)技術が知られている。例えば、ディスプレイ装置の表示面の中央に有指向性音を反射させた場合には、該表示面の中央に音像を定位させることができる。
特許第3826423号公報 特開2005-269402号公報
上記のような音反射面での反射を利用した音像定位技術では、有指向性音の発音方向を変化させるか、或いは反射面の傾斜角度を変化させることで、反射面における有指向性音の反射位置や反射角度を変化させることができ、これにより音像が定位する位置や、音像定位を知覚させることが可能なエリアとしての音像定位サービスエリアの調整を行うことが可能とされる。
この際、例えば上記で例示したディスプレイ装置の表示面や室内の壁面において有指向性音を反射させる場合には、これら表示面や壁面を傾斜させることは困難(例えば、表示面を傾斜させるとコンテンツを見づらくなるなどコンテンツの表示特性悪化に繋がる)であるため、音像定位サービスエリアの調整は、有指向性音の発音方向の調整により行うことが考えられる。
しかしながら、有指向性音の音響再生を行うシステムとしては、有指向性音の発音方向を変化させることのできないシステムも考えられ、その場合には、有指向性音の反射角度を変化させることができず、音像定位サービスエリアを所望の位置に設定することが困難となる。
本発明は上記事情に鑑み為されたもので、有指向性音の発音方向を変化させることができない場合であっても音像定位サービスエリアを任意の位置に設定可能な音響再生システムを提供することを目的とする。
本技術に係る音響再生システムは、有指向性音を発する発音装置と、視聴者と前記視聴者による視聴対象物との間に位置されて前記発音装置が発した前記有指向性音を反射する音反射面を有した音反射体と、を備えるものである。
視聴対象物とは、視聴者が視聴の対象とする物体を意味し、例えば、視聴対象のコンテンツがディスプレイ装置を介して表示される場合には該ディスプレイ装置の表示部が該当する。或いは、視聴対象のコンテンツは演劇等の実演コンテンツである場合も考えられ、その場合における視聴対象物は、例えば演者や舞台上に配置された各種の舞台道具等、実演コンテンツを構成する物体が該当する。このような視聴対象物と視聴者との間に配置した音反射面で有指向性音を反射させることで、音反射面の傾斜角度の設定により、有指向性音の反射角度を任意に定めることが可能となる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記発音装置は平面波による音を発する構成とすることが可能である。
これにより、音反射面から視聴者側に反射される音に関して、減衰の抑制が図られる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記発音装置は、発音部が平面波スピーカで構成されたものとすることが可能である。
平面波スピーカとしては、可動コイルにより平面パネルを振動させるダイナミック型ベースの平面波スピーカや、静電型振動板や圧電型振動板を用いた平面波スピーカを用いることが考えられる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記平面波スピーカは、振動板が底面に対し非平行に配置されている構成とすることが可能である。
振動板が底面に対し非並行に配置された構造とすることで、平面波を斜め方向に発することを前提とした場合において、振動板裏側の容積を稼ぎやすくなる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記発音装置は、発音部として複数のスピーカで成るスピーカアレイを有し、前記スピーカアレイにおける前記スピーカが出力対象とする音声信号に対し所定の音声信号処理を施すことで前記スピーカアレイより前記有指向性音を発する構成とすることが可能である。
これにより、スピーカに対しメカ的な角度調整機構を設けることなく、有指向性音の音反射面への入射角を調整可能となる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記音反射体は光透過性を有する構成とすることが可能である。
これにより、音反射体を設けたことによる視聴対象物の視認性の悪化の抑制が図られる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記音反射面がハーフミラーとされた構成とすることが可能である。
これにより、視聴者から見て視聴対象物の手前に位置する音反射面において、ペッパーズゴーストの原理を用いて映像を浮かび上がらせることが可能となる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記音反射体は前記視聴者側に傾斜され、前記発音装置は、前記有指向性音を床側から前記音反射面に対して発する構成とすることが可能である。
これにより、音反射面からの反射音を水平方向から上側に傾斜させることが可能とされる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記発音装置は、前記音反射面に対し横方向の入射角度を有するように前記有指向性音を発する構成とすることが可能である。
これにより、有指向性音を発する位置に対し横方向位置が異なる視聴者に対して、音源の位置を該有指向性音の反射位置近傍に知覚させることが可能となる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記音反射体は板状に形成された構成とすることが可能である。
これにより、音反射体を膜状とする場合のように音反射体にテンションをかけずとも音反射面を形成することが可能とされる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記音反射体が天井側から吊り下げられた構成とすることが可能である。
天井からの吊り下げ式による支持方式は、大型で重量のあるパネルの支持方式として好適である。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記音反射面として互いに傾斜方向が異なる二つの音反射面を有し、前記発音装置は、一方の前記音反射面には天井側から、他方の前記音反射面には床側からそれぞれ前記有指向性音を発する構成とすることが可能である。
これにより、天井側、床側それぞれから発せられた有指向性音の反射音を視聴者の手前で上下方向に交差させることが可能とされる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記音反射体の傾斜角度を調整する反射体傾斜角調整部を備えた構成とすることが可能である。
これにより、音反射体の傾斜角度を調整することによる有指向性音の入射角度及び反射角度の調整が可能となる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記有指向性音の発音方向を調整する方向調整部を備えた構成とすることが可能である。
これにより、発音方向の調整による有指向性音の音反射面に対する入射角度及び反射角度の調整が可能となる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記発音装置は、発音部が有指向性スピーカで構成され、前記方向調整部は、前記有指向性スピーカの角度調整により前記有指向性音の発音方向を調整する構成とすることが可能である。
これにより、有指向性音の発音方向を調整するにあたり発音方向調整のための音声信号処理を行う必要がなくなる。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記発音装置は、発音部として複数のスピーカで成るスピーカアレイを有し、前記スピーカアレイにおける前記スピーカが出力対象とする音声信号に対し所定の音声信号処理を施すことで前記スピーカアレイより前記有指向性音を発し、前記方向調整部は、前記音声信号処理により前記有指向性音の発音方向を調整する構成とすることが可能である。
これにより、有指向性音の発音方向の調整にあたり機構的な駆動音が生じない。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記視聴対象物が自発光型ディスプレイ装置の表示部とされた構成とすることが可能である。
ディスプレイ装置により視聴対象のコンテンツを表示する場合、スクリーン投影による表示を行う場合のように表示面(スクリーン)の裏側にスピーカを配置することによる音像定位手法を採ることができず、表示面の左右にスピーカを配置することが考えられるが、その場合には、ディスプレイ装置の大型化を招いてしまう。
上記した本技術に係る音響再生システムにおいては、前記発音装置の発音部を構成するスピーカが前記音反射体と前記視聴者との間の床近傍に配置された構成とすることが可能である。
視聴コンテンツを上映する施設としてはシアター施設を挙げることができるが、シアター施設では、視聴対象物が配置される部分と視聴者の座席が配置される座席部分との間に或る程度の空間がとられているのが通常である。
また、本技術に係るディスプレイ装置は、映像を表示する自発光型の表示部と、前記表示部における映像の表示面よりも前側に配置されて音を反射する音反射面を有した音反射体と、を備えるものである。
これにより、視聴者と視聴者の視聴対象物との間に音反射面が位置されることになる。このため、該音反射面に有指向性音を反射させて音像を定位させる音響再生システムにおいては、該音反射面の傾斜角度の設定によって、有指向性音の反射角度を任意に定めることが可能となる。
また、本技術に係るキャリブレーション方法は、有指向性音を発する発音装置と、視聴者と前記視聴者による視聴対象物との間に位置されて前記発音装置が発した前記有指向性音を反射する音反射面を有した音反射体と、前記有指向性音の前記音反射面への入射角度を制御する制御部と、を備えた音響再生システムのキャリブレーション方法であって、前記入射角度の変化に対する、前記音反射面で反射された前記有指向性音の収音信号の変化を学習し、該学習の結果に基づいて前記入射角度の調整を行うキャリブレーション方法である。
これにより、視聴者における受聴音が目標とする音に近づくように有指向性音の入射角度の調整、すなわち音像定位についての調整を行うことが可能となる。
実施形態としての音響再生システムの構成例を示した図である。 平面波スピーカの配置例を説明するための図である。 音反射体における入射角と反射角との関係性を説明するための図である。 角度の設定手法についての説明図である。 音像定位サービスエリアの高さ方向への拡大についての説明図である。 平面波スピーカの変形例についての説明図である。 同じく、平面波スピーカの変形例についての説明図である。 発音方向を機械的に調整可能とした平面波スピーカの構造を例示したである。 スピーカアレイにより平面波を発する例についての説明図である。 音反射体の支持手法の第一例についての説明図である。 同じく、音反射体の支持手法の第一例についての説明図である。 音反射体の支持手法の第二例についての説明図である。 音反射体の支持手法の第三例についての説明図である。 ステレオ再生への対応例として、C(センター)、L(左)、R(右)の各スピーカを配置する例を示した図である。 ステレオ再生への対応例として、複数の平面波スピーカを扇状に配置する例を示した図である。 同じく、ステレオ再生への対応例として、複数の平面波スピーカを扇状に配置する例を示した図である。 天井の近傍に配置した平面波スピーカから平面波を発する例を示した図である。 音反射体を後傾状態で支持するための手法の例を示した図である。 傾斜角度が異なる二つの音反射面の一方に床側から、他方に天井側からそれぞれ平面波を発する手法についての説明図である。 映像表示に係る変形例についての説明図である。 音反射体が表示面の一部のみを覆う例についての説明図である。 音反射体が表示面の一部のみを覆う他の例についての説明図である。 音反射体が表示面の一部のみを覆う別の例についての説明図である。 音反射体が表示面の一部のみを覆うさらに別の例についての説明図である。 画質差を感じさせないための音反射体のサイズ条件についての説明図である。 同じく、画質差を感じさせないための音反射体のサイズ条件についての説明図である。 音反射体の傾斜角度を調整するための構成例について説明するための図である。 音反射体の傾斜角度を調整するための他の構成例について説明するための図である。 オブジェクトオーディオの技術との組み合わせの例を説明するための図である。 同じく、オブジェクトオーディオの技術との組み合わせの例を説明するための図である。 音像定位サービスエリアの調整についての説明図である。 DNNによる学習のための構成の例を示した図である。 学習時の処理手順例を示したフローチャートである。 学習済みのDNNを用いてキャリブレーションを行うための構成を例示した図である。
以下、添付図面を参照し、本技術に係る実施形態を次の順序で説明する。

<1.実施形態としての音響再生システム>
<2.キャリブレーションについて>
<3.変形例>
<4.実施形態のまとめ>
<5.本技術>
<1.実施形態としての音響再生システム>

図1は、本技術に係る実施形態としての音響再生システム1の構成例を示している。
図示のように音響再生システム1は、有指向性音(指向性を有する音)を発する発音装置2と、発音装置2が発した有指向性音を反射する音反射面31を有する音反射体3と、映像を表示する自発光型のディスプレイ装置4とを備えている。
音響再生システム1は、映像と音による視聴コンテンツを視聴者5に視聴させるためのシステムとされ、ディスプレイ装置4は該視聴コンテンツを構成する映像の表示を行い、発音装置2は該視聴コンテンツを構成する音を発する。
本例では、音響再生システム1の適用先としてシアター施設が想定されており、ディスプレイ装置4としては、画面サイズが例えば100インチを超えるような大型のディスプレイ装置が用いられる。シアター施設内には、ディスプレイ装置4の表示面41(映像の表示画面)と対向する位置に座席6が配置され、図示ように視聴者5は座席6に着座した状態でコンテンツを視聴することが想定されている。
ここで、以下では、ディスプレイ装置4における映像の表示面41を基準として前後の方向を定義する。具体的に、ディスプレイ装置4における表示面41とは逆側の面である裏面側から表示面41側にかけての方向(つまり映像の表示出力方向)を前方と定義する。
音反射体3は、板状の透明部材(光透過性を有する部材)で構成されている。音反射体3として用いる透明部材の例としては、例えばガラスや、アクリルやポリカーボネート等の樹脂を挙げることができる。
本例の音響再生システム1において、発音装置2は、有指向性音として平面波による音を発する。このため発音装置2は、平面波による音を発する平面波スピーカ21を備えている。平面波スピーカ21としては、可動コイルにより平面パネルを振動させるダイナミック型ベースの平面波スピーカや、静電型振動板や圧電型振動板を用いた平面波スピーカを用いることができる。
本例の音響再生システム1では、ディスプレイ装置4の前方となる位置に音反射体3を直立状態から前傾させた状態で配置している。その上で、音反射体3の前面に対し、平面波スピーカ21によって平面波を床FL側から発する。この場合、音反射体3における前面が平面波についての音反射面31として機能し、音反射面31で反射された平面波による音は視聴者5に向けて放出される。この際、平面波の高さ方向における反射位置は、表示面41における高さ方向の中心位置と略一致している。
図1では、音反射体3の前傾角度を45度とし、平面波を垂直方向に発するようにした例を示している。この場合、ディスプレイ装置4からの映像は前方にまっすぐ視聴者5に届くので、視聴者5は表示面41の中心位置に平面波スピーカ21からの音を「音源位置」と感じることができる(図中、位置Ptを参照)。これは、例えば映画のセリフ音を受聴させる際に好適な手法となる。セリフ音への適用の場合、映像上でセリフを発している登場人物に視聴者5の注意が引かれるため、該登場人物の位置に音像が定位しているように知覚され易いものとなる。
ここで、平面波を低域まで十分に出力するためには、平面波スピーカ21として相当に大きな平面パネルを駆動することが必要となるが、その場合には平面波スピーカ21の大型化が避けられない。そこで、所定の周波数(例えば、200Hz)以上の中・高域音を平面波スピーカ21より出力し、所定の周波数未満の低域音をサブウーファが担当する構成が考える。
図示のように本例の発音装置2は、平面波スピーカ21と共にサブウーファ22を備え、さらに、音声信号の中・高域の信号成分を抽出するHPF(ハイパスフィルタ)23と、音声信号の低域の信号成分を抽出するLPF(ローパスフィルタ)24と、HPF23で抽出された中・高域の信号成分を増幅して平面波スピーカ21を駆動するアンプ25と、LPF24で抽出された低域の信号成分を遅延させる遅延処理部26と、遅延処理部26を介して入力される低域の信号成分を増幅してサブウーファ22を駆動するアンプ27とを備えている。
ここで、サブウーファ22から低域の信号成分をそのまま出力させたとしても、音の定位に関しては、一般的に高域側に引っ張られることになるため影響は少ないが、本例では、遅延処理部26にて例えば数ms程度の遅延を与えた低域の信号成分をサブウーファ22から出力させるものとしている。これにより、ハース効果によって定位はより平面波スピーカ21からの音波に寄せられるようになる。
図1に示すように本例ではサブウーファ22を床FL上に配置する例を示しているが、サブウーファ22を配置する位置は床FL上に限るものではない。
図2は、平面波スピーカ21の配置例を説明するための図である。なお、図2ではディスプレイ装置4の表示面41に対向する位置からシアター施設を鳥瞰した際のイメージを示している。また、図中では、シアター施設における天井CLを模式的に表している。
図示のように平面波スピーカ21は複数配置することができる。換言すれば、複数の平面波スピーカ21のそれぞれが発する平面波を音反射面31で反射させて視聴者5に受聴させる構成を採ることができる。
平面波スピーカ21を配置する位置については、図示のように視聴者5と音反射体3との間の床FL近傍とすることが考えられる。シアター施設では、視聴対象物(本例ではディスプレイ装置4の表示画面)と視聴者の座席が配置される座席部分との間に或る程度の空間がとられているのが通常である。上記のような平面波スピーカ21の配置は、このように視聴対象物と座席部分との間に空間がとられるシアター施設に好適となる。
また、平面波スピーカ21を床FLの付近に配置する場合には、図中の覆いCvとして示すような、音響透過シートで平面波スピーカ21を覆うことが考えられる。覆いCvとしては、例えば、音響透過性を有する布やファブリック等を用いる。覆いCvにより、平面波スピーカ21の存在が視聴者5によって気付かれ難くすることができる。
また、平面波スピーカ21については、図中に三つ示す平面波スピーカ21のうち左右の両端に配置した平面波スピーカ21のように、横方向に傾けて配置することもできる。すなわち、音反射面31に対し横方向の入射角度を有するように平面波を発しさせるものである。
これにより、平面波を発する位置に対し横方向位置が異なる視聴者5に対して、音源の位置を該平面波の反射位置近傍に知覚させることが可能となる。従って、音像定位を知覚させることが可能なエリア(以下「音像定位サービスエリアAL」と表記)の横方向への拡大を図り易くなる。例えば、図示の例では、各平面波スピーカ21は音反射面31の横方向における中心位置近傍にそれぞれ平面波を反射させているが、この場合、各平面波スピーカ21が発した平面波の反射音を受聴する視聴者5は、それぞれ音反射面31の横方向における中心位置近傍に音源の存在を知覚することになる。仮に、左右の平面波スピーカ21を横方向に傾けない場合には、音像定位サービスエリアALは概ね平面波スピーカ21三台分の幅となるが、左右の平面波スピーカ21を横方向に傾けることで、音像定位サービスエリアALの幅は平面波スピーカ21三台分の幅よりも拡大することができる。
また、上記のように音反射面31に対し横方向の入射角度を有するように平面波を発するものとすれば、音像定位サービスエリアALの横方向への拡大のために用いるべきスピーカ数の削減を図ることができる。
ここで、音響再生システム1では、ディスプレイ装置4の前方に音反射体3を配置することから、視聴者5が画質に関する違和感を抱くことも想定され得る。その場合には、ディスプレイ装置4で表示する映像信号を再生する映像再生システム7において、映像補正処理部7aを設け、該映像補正処理部7aによって画質補正のための映像信号処理を施すことも考えられる。
図3は、音反射体3における入射角と反射角との関係性を説明するための図である。
なお、以降の説明においては、図1で説明したサブウーファ22の図示は省略する。平面波スピーカ21の再生可能帯域が広ければサブウーファ22は不要とすることができる。
また、以降の説明では、発音装置2の構成のうち、音声信号に基づきスピーカを駆動するための構成(図1でのHPF23、LPF24、アンプ25、27、遅延処理部26)についても図示を省略する。
先の図1では、音反射体3の前傾角度を45度とした場合を例示したが、ここでは該前傾角度を45度以外とした場合を考える。
シアター施設としては、座席6が前後左右方向に複数配列され、前後方向に配列される座席6は、図示のように前方から後方にかけて高さが徐々に高くなるようにされていることが多い。このような場合には、音像定位サービスエリアALの拡大を考慮すると、平面波の反射方向を水平方向から傾斜させる(具体的には、上方向に傾斜させる)ことが望ましい。
ここで、図中では、音反射面31に対する平面波の入射角度(図中では「入射角」と表記)と反射角度(図中では「反射角」と表記)を模式的に示しているが、この場合の入射角度、出射角度は、それぞれ音反射面31に対する垂線Vとのなす角度となる。
図4は、角度の設定手法についての説明図である。
図示のように音反射体3の水平方向を基準とした傾斜角度を「傾斜角度A」、平面波スピーカ21が発する平面波の水平方向を基準とした出射角度を「出射角度Q」(ここでは、平面波スピーカ21を傾ける角度と一致)、音反射面31で反射された平面波の進行方向の水平方向に対する傾斜角度を「進行角度P」とする。この場合、各角度の関係は、「Q=2A-P-90」と表すことができる。従って、例えば音反射体3の傾斜角度Aが70度とされる場合において、実現したい進行角度Pが15度である場合には、平面波の出射角度Qは35度とすればよい。
図5は、音像定位サービスエリアALの高さ方向への拡大についての説明図である。
図示のように平面波スピーカ21を複数配置し、各平面波スピーカ21が音反射面31におけるそれぞれ異なる高さ位置に向けて平面波を発するようにする。すなわち、各平面波スピーカ21からの平面波が音反射面31の高さ方向におけるそれぞれ異なる位置で反射されるようにする。図中では、平面波スピーカ21を前後方向に複数配置し、各平面波スピーカ21がそれぞれ同じ出射角度Qで平面波を発することで、各平面波スピーカ21からの平面波が音反射面31の高さ方向におけるそれぞれ異なる位置で反射されるようにしている。
これにより、音像定位サービスエリアALを高さ方向に拡大することができる。
図6及び図7は、変形例としての平面波スピーカ21Aについて説明するための図である。
図7に示すように平面波スピーカ21Aは、平面波を発する振動板21aが底面21bに対し非平行に配置された構造を有する。このような構造とすることで、図6に示すように平面波を斜め方向に発することを前提とした場合において、振動板21a裏側の容積を稼ぎやすくなる。従って、再生可能帯域を低域側に拡大し易くなる。
図8は、発音方向を機械的に調整可能とした平面波スピーカ21Bの構造を例示した図である。
図8では、平面波スピーカ21Bとして、振動板を有するスピーカ本体部を軸部21cを中心とした回動が可能となるように支持する角度調整部21bを備えたものを例示している。このような角度調整部21bにより、スピーカ本体部の傾斜角度(水平方向に対する傾斜角度)を調整することが可能となり、発音方向の調整が可能となる。
これまでの説明では、平面波(有指向性音)を発する発音部として、単体で平面波を出力可能に構成された平面波スピーカ(つまり面音源としてのスピーカ)を用いる場合を例示したが、これに代えて、図9に示す発音装置2Aのように、複数の点音源スピーカ28aを一次元又は二次元に配列したスピーカアレイ28を用いて、平面波を特定方向に向けて発するようにすることもできる。
周知のようにスピーカアレイ28を用いることで、点音源スピーカ28aに再生させる音声信号の遅延処理や、点音源スピーカ28aが発する音波についての波面合成技術を用いることで、音の指向性を制御することができる。すなわち、平面波の出射角度を調整可能となる。
発音装置2Aにおいては、各点音源スピーカ28aを駆動するための複数のアンプ25を備えると共に、点音源スピーカ28aに再生させる音声信号について所定の音声信号処理を施し対応するアンプ25にそれぞれ出力する音声信号処理部29を備えている。音声信号処理部29では、入力される音声信号に対し、上記のような指向性制御を実現するための遅延処理、又は波面合成のための処理を施す。
ここで、スピーカアレイ28を用いて平面波を実現する場合には、点音源スピーカ28aが発した音が音反射面31を介さず視聴者5に漏れ伝わってしまう虞がある。そこで、この場合には、スピーカアレイ28と視聴者5との間に図中に示すような音響遮蔽体8を配置することが望ましい。音響遮蔽体8としては、例えば吸音機能を有する部材を用いることが望ましい。また、音響遮蔽体8としては、図中で例示するように視聴者5側ではなくスピーカアレイ28側に湾曲した形状とするか、或いは、板状の音響遮蔽体8をスピーカアレイ28側に傾けて配置することが視聴者5への音漏れ防止効果を高める上で望ましい。
また、スピーカアレイ28を用いて平面波を実現する場合には、平面波の発音方向を調整するにあたり、スピーカの角度を機械的に調整するための機構を設ける必要がなくなる。この場合、平面波の発音方向の調整は、上述した音声信号処理部29による音声信号処理により実現することができる。
図10及び図11は、音反射体3の支持手法の第一例についての説明図である。
音反射体3については、図示のように天井CLからの吊り下げ方式により支持させることが考えられる。この場合、音反射体3は、縁部に例えば金属製等によるフレーム部3aが形成され、該フレーム部3aの複数カ所において、それぞれ天井CL側から下方に延びる例えば金属製ワイヤ等による支持部材9を介して天井CLから支持される。
本例では、ディスプレイ装置4として大画面のディスプレイ装置を用いることから、音反射体3のサイズも大型となり、また重量に関しても大重量となる。吊り下げ方式は、このように音反射体3が大型・大重量となる場合に好適である。
また、フレーム部3aを設けることで、音反射体3を補強できる。さらに、支持部材9として金属ワイヤのような線材を用いることで、支持部材9を目立ち難くすることができ、視聴コンテンツへの没入感向上を図ることができる。
また、音反射体3については、図12に示す第二例や図13に示す第三例のように、室内の側壁から支持させてもよい。図12の第二例では、フレーム部3aの左右の側部をそれぞれ複数の支持部材9を介して左右の側壁に接続しており、図13の第三例ではフレーム部3aの左右の側部をそれぞれ左右の側壁に直接接続している。
図14から図16は、ステレオ再生への対応例についての説明図である。
これまでの説明では、主にセンタースピーカの代用を想定していたが、L(左)、R(右)のスピーカについても、音反射体3での反射を利用した音像の定位を実現できる。
例えば、図14では、「C」と示すセンター音出力を担当する平面波スピーカ21(以下符号を「21C」とする)を横方向における中央に配置し、その右側(視聴者5から見た右側)にR音出力を担当する平面波スピーカ21(以下符号を「21R」とする)を、左側にL音出力を担当する平面波スピーカ21(以下符号を「21L」とする)をそれぞれ配置している。この場合、図示のように平面波スピーカ21Cについては平面波の出射方向を前後方向に一致する方向とし、平面波スピーカ21Rについては平面波の出射方向を前後方向に対して左側に傾け、また平面波スピーカ21Lについては平面波の出射方向を前後方向に対して右側に傾ける。これにより、横方向の中央付近に位置する視聴者5にとっては、センター音は中央から、またR音は中央より右側、L音は中央より左側からそれぞれ聞こえるようになる。
通常、ステレオ再生を行う場合には、ディスプレイ装置4の左右端部にそれぞれLch(チャンネル)スピーカ、Rchスピーカを配置することになるが、このようなステレオ再生手法を採ることで、本来はこのようにディスプレイ装置4の左右端部に配置すべきスピーカを省略することが可能となり、その分、表示画面の拡大化に充てることができるようになる。従って、スペースの有効活用や、デザイン性の向上に貢献することができる。
図15及び図16では、複数の平面波スピーカ21を扇状に配置する例を示している。
これら図15及び図16の例では、音反射体3と視聴者5との間において、音反射体3よりも後側に中心を持つ円弧上に複数の平面波スピーカ21を配置しており、これにより扇状の配置を実現している。この場合、扇状に配置した平面波スピーカ21のうち中央部に位置する平面波スピーカ21はセンター音出力用の平面波スピーカ21Cとして用い、それよりも右側に配置された平面波スピーカ21はR音出力用の平面波スピーカ21Rとし、左側に配置された平面波スピーカ21はL音出力用の平面波スピーカ21Lとして用いる。具体的に、図中では扇状に9個の平面波スピーカ21を配置しているが、中央の3個の平面波スピーカ21を平面波スピーカ21Cとし、それよりも右側の3個の平面波スピーカ21を平面波スピーカ21R、左側の3個の平面波スピーカ21を平面波スピーカ21Lとする。
これにより、センター音、R音、L音についての横方向における音像定位サービスエリアALを図14の場合よりも拡大することができる。
これまでの説明では、平面波を床FL側から音反射面31に発する例を挙げたが、図17に例示するように、平面波は天井CL側から発するようにすることもできる。
図17では、天井CLの近傍に配置した平面波スピーカ21から平面波を発する例を示している。
平面波を天井CL側から発する場合には、音反射体3を前傾させてしまうと、音反射面31からの反射音を視聴者5の頭部付近に到達させるために音反射面31への平面波の入射角度を浅くする必要があるため、平面波スピーカ21を音反射体3から相当に遠ざけて配置することを要する。平面波スピーカ21を音反射面31から遠ざけて配置した場合には、視聴者5に到達するまでに音圧が大幅に減衰してしまう虞がある。このため、図17に例示するように、この場合における音反射体3は後傾状態で配置(つまりディスプレイ装置4側に傾斜させて配置)することが望ましい。
図18は、音反射体3を後傾状態で支持するための手法の例を示している。
図示のように後傾状態の音反射体3についても、天井CLから複数の支持部材9を介して吊り下げ方式により支持させることが考えられる。なお、図示は省略したが、後傾状態の音反射体3についても、先の図12や図13で例示したような側壁からの支持手法を採ることができる。
ここで、床FL側から平面波を発する手法と、天井CL側から平面波を発する手法とを組み合わせて、図19のような平面波の出力を行うこともできる。
図19に示す音響再生システム1では、音反射体3として、床FL側から発せられる平面波を反射するための前傾配置された音反射体3-1と、天井CL側から発せられる平面波を反射するための後傾配置された音反射体3-2とが設けられる。この場合、音反射体3-1における音反射面31-1と音反射面31-2における音反射面31-2は互いに傾斜方向が異なるものとなる。なお、図中では、音反射面31-1に対する垂線V-1と音反射面31-2に対する垂線V-2とを示している。
図19では、床FL側と天井CL側のそれぞれに平面波スピーカ21を複数設け、床FL側の平面波スピーカ21から音反射面31-1にそれぞれ平面波を発し、天井CL側の平面波スピーカ21から音反射面31-2にそれぞれ平面波を発する例を示しているが、床FL側、天井CL側それぞれに配置する平面波スピーカ21の数は単数であってもよい。
上記のように音反射面31-1、音反射面31-2にそれぞれ床FL側、天井CL側から平面波を発する構成とすることで、図中に示すように、床FL側、天井CL側それぞれから発せられた平面波の反射音を視聴者5の手前で上下方向に交差させることが可能となる。従って、音源からの自然な音の広がりを再現することができる。
また、音反射面31-1、音反射面31-2にそれぞれ床FL側、天井CL側から平面波を発する構成を採ることによっては、例えば座席6として1階席、2階席がある場合において、床FL側、天井CL側それぞれからの発音方向の設定により、音反射面31-1からの反射音を2階席に、音反射面31-2からの反射音を1階席にそれぞれ届けるようにすることもできる。
なお、図19に示した構成において、音反射体3-1と音反射体3-2との境界部分において映像が歪んで見える等の画質悪化が生じる場合には、これを補正するための適切な映像信号処理を施すこともできる。
図20は、映像表示に係る変形例についての説明図である。
この場合の音響再生システム1では、メイン映像を出力するディスプレイ装置4以外に、サブ映像を出力するサブディスプレイ装置45が設けられる。また、音反射体3に代えて音反射体3Aが設けられる。音反射体3Aは、ハーフミラーによる音反射面31Aを有する点が音反射体3と異なる。
図20では、平面波スピーカ21を床FL側に配置することに対応して音反射体3Aを前傾配置するものとしており、この場合には、サブディスプレイ装置45としても床FL側に配置し、平面波と共にサブ映像を音反射面31Aに対して出力する。
このような構成により、視聴者5から見てディスプレイ装置4によるメイン映像の手前側に位置する音反射面31Aにおいて、ペッパーズゴーストの原理を用いてサブ映像を浮かび上がらせることが可能となる。
従って、音反射面31Aにおける特定位置において、音像の定位と立体的に浮遊して見える映像とを視聴者5に知覚させることができる。
なお、上記のように音反射面31Aを用いたペッパーズゴーストの原理により映像を浮かび上がらせる手法は、図17のように天井CL側から平面波を発する場合や図19のように床FL側、天井CL側の双方から平面波を発する場合にも同様に適用可能なものである。
なお、これまでの説明では、音反射体3がディスプレイ装置4の表示面41全体を覆う前提としたが、例えば図21から図24に例示するように、音反射体3としては表示面41の一部のみを覆うようにしてもよい。
図21及び図22は床FL側から平面波を発する場合に対応した構成を示しており、図21は音反射体3が表示面41から前方に離隔されて配置される場合、図22は音反射体3が下端部において表示面41に当接される場合をそれぞれ示している。
図23及び図24は天井CL側から平面波を発する場合に対応した構成を示しており、図23は音反射体3が表示面41から前方に離隔されて配置される場合、図24は音反射体3が上端部において表示面41に当接される場合をそれぞれ示している。
ここで、視聴者5から見て音反射体3が覆われている領域と覆われてない領域とでは画質に差を感じる虞があるが、このような画質差を感じさせないようにするにあたり、音反射体3が表示面41の全体を覆うことは必須ではない。
図25及び図26は、画質差を感じさせないための音反射体3のサイズ条件についての説明図であり、図25は床FL側から平面波を発する場合、図26は天井CL側から平面波を発する場合における音反射体3の配置を例示している。画質差の防止を図る上では、視聴者5の視点位置Peと表示面41の上端位置Puとを結ぶ直線UEと、視点位置Peと表示面41の下端位置Pdとを結ぶ直線DEとをそれぞれ基準として、音反射体3の上端位置が直線UEよりも上に位置し、且つ音反射体3の下端位置が直線DEよりも下に位置するようにすればよい。
ここで、先の図8では、角度調整部21bによって平面波スピーカ21の傾斜角度の調整により平面波の発音方向を調整する点について言及し、さらに、スピーカアレイ28を用いる場合に平面波の発音方向を音声信号処理により調整する点について言及したが、音反射面31における平面波の反射角度の調整は、音反射体3の傾斜角度の調整として行うこともできる。
図27は、音反射体3の傾斜角度を調整するための構成例について説明するための図である。この図27では、平面波スピーカ21により平面波を床FL側から発する場合に対応した構成例として、音反射体3の傾斜角度を調整する角度調整部4bを一体的に備えたディスプレイ装置4Aの構成を例示している。
ディスプレイ装置4Aは、表示面41を有する本体部4aと、本体部4aに一体的に形成された角度調整部4bとを有する。角度調整部4bは、音反射体3の下端部を支持する軸部4cを中心として音反射体3を回動させる。これにより、音反射体3の前傾方向における傾斜角度を調整することができる。また、音反射体3を表示面41に平行な状態(つまり直立状態:傾斜角度=0度の状態)とすることができる。ここで、音反射体3を表示面41に平行な状態とすることは、音反射体3を視聴者5側に迫り出させない、いわば収納状態にすることと捉えることができる。
この場合、音反射体3は、角度調整部4bを介して本体部4aと一体化されており、ディスプレイ装置4Aの一部を構成するものとなる。
図28は、音反射体3の傾斜角度を調整するための他の構成例について説明するための図であり、具体的には、平面波スピーカ21により平面波を天井CL側から発する場合に対応したディスプレイ装置4Bの構成例を示している。
図27に示したディスプレイ装置4Aとの差異点は、軸部4cが音反射体3の上端部を支持している点である。これにより、この場合の角度調整部4bによっては、音反射体3の後傾方向における傾斜角度を調整することができると共に、音反射体3を表示面41に平行な状態(収納状態)とすることができる。
音反射体3の傾斜角度を調整可能とすることで、発音装置2側で有指向性音の発音方向を調整せずとも、音像定位サービスエリアALの調整を行うことができる。また、音反射体3の傾斜角度を調整可能とすることで、例えば音響再生システム1の非使用時には、音反射体3を表示面41に平行な収納状態とすることができる。
なお、上記では角度調整部4bをディスプレイ装置4と一体に形成した場合を例示したが、角度調整部4bはディスプレイ装置4と別体とすることもできる。当然、この場合には音反射体3はディスプレイ装置4と別体になる。
ここで、先の図9で例示したようなスピーカアレイ28を用いた平面波出力を行う場合には、オブジェクトオーディオの技術との組み合わせにより、動きのある音像定位を実現することが可能である。
例えば、図29や図30に例示するように、スピーカアレイ28を構成する複数の点音源スピーカ28aを横方向に配列させる。この場合には、平面波の方向を制御するための前述したディレイ等の音声信号処理を、オブジェクトオーディオの技術に基づいて行うことで、図30に示す音像のイメージのように、横方向における音像の移動を知覚させることができる。なお、点音源スピーカ28aを縦方向に複数配列させた場合には、オブジェクトオーディオの技術との組み合わせにより、縦方向における音像の移動を知覚させることもできる。
<2.キャリブレーションについて>

例えばシアター施設等、比較的多くの座席6が設けられ多人数の視聴者5が視聴対象コンテンツを視聴し得る環境では、例えば視聴者5の入り具合等に応じて音像定位サービスエリアALの位置やサイズを調整することが考えられる。
図31は、このような音像定位サービスエリアALの調整についての説明図であり、図31Aは複数の座席6が配列された座席部の中央部に音像定位サービスエリアALを定めた場合、図31Bは座席部における前側(ここでの前側とは視聴対象物に近い側を意味する)の一部に音像定位サービスエリアALを定めた場合を例示している。
例えば、座席部の中央付近に視聴者5が集中していれば図31Aに示す音像定位サービスエリアALに調整し、座席領域の前側付近に視聴者5が集中していれば図31Bに示す音像定位サービスエリアALに調整することが考えられる。
音像定位サービスエリアALの調整は音反射面31に対する平面波の入射角度を調整することで可能となる。すなわち、音反射体3の傾斜角度の調整か、或いは、音反射体3に対して平面波を発する方向の調整、具体的には平面波スピーカ21Bを用いた場合におけるスピーカ傾斜角度による調整や、スピーカアレイ28を用いた場合の音声信号処理による調整として行うことができる。
音反射面31に対する平面波の入射角度の調整は、実際に視聴者5に視聴コンテンツを視聴させるにあたっての事前調整(キャリブレーション)として行うことができる。
このような平面波の入射角度についてのキャリブレーションとしては、図31で例示したような、音像定位サービスエリアALの位置やサイズの調整のために行うことができる。
また、キャリブレーションとしては、座席部のような予め定められた対象領域においてできるだけ明確な音像の定位が実現されるように行うこともできる。この場合には、キャリブレーションとしての、音反射面31への平面波の入射角度の調整は、該入射角度の変化に対する、音反射面31での反射音の収音信号の変化を学習した結果に基づき行うこともできる。より具体的には、音反射面31への平面波の入射角度の変化を用いて人工知能を訓練し、訓練後に生成された人工知能の学習済みモデルに対して、入射角度に対する音反射面31での反射音の収音信号を入力して推定した結果に基づき行うことが考えられる。
図32から図34は、音響信号や角度情報などのデータを入力して訓練することによりキャリブレーションを行う人工知能モデルを生成する装置及び方法と、生成された学習済み人工知能モデルを用いてキャリブレーションを行う装置及び方法を説明するための図である。より具体的には、人工知能としてDNN(Deep Neural Network)を用い、DNNにデータを入力して訓練することにより学習済みモデルを生成し、生成したモデルを用いてキャリブレーションを行うものである。
なお、人工知能の例としてはDNN以外にも機械学習(Machine Learning)などを用いることができる。DNNを構成するニューラルネットワークは、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)、RNN(回帰的ニューラルネットワーク)、敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network)、変分オートエンコーダ(Variational Auto-encoder)、自己組織化写像(Self-Organizing Feature Map)、スパイキングニューラルネットワーク(Spiking Neural Network:SNN)など、多様なアルゴリズム、形態、構造を持つことができ、これらを任意に組み合わせることで所望の入出力関係を持つ学習済みモデルを生成することができる。
図32は、DNNによる学習のための構成の例を示している。
図中、座席部60は、ディスプレイ装置4が配置された例えばシアター施設等の視聴のための室内(以下、単に「室内」と表記)において、複数の座席6が上方から見て二次元に配列された領域(複数の視聴者5が視聴を行うことが想定される領域)を意味する。なお、シアター施設においては、座席6は、図31に示されるように傾斜して配置されてもよいし、コンサートホールのオーケストラピットやアリーナ席のように同一平面上に配置されてもよい。図示のようにディスプレイ装置4の前側には音反射体3が配置され、音反射体3と座席部60との間にはスピーカ群20が配置されている。スピーカ群20は、本例では複数の平面波スピーカ21B(角度調整部21bを有する)で成る。以下、スピーカ群20における平面波スピーカ21Bの数を「N」と表記する。
この場合の室内には、複数のマイク(マイクロフォン)Mがそれぞれ所定位置に配置されている。具体的に本例において、マイクMは座席部60の周囲に配置されている。以下、マイクMの数をM個と表記する。
また、この場合の室内(又は室外)には、カメラCが配置されている。カメラCは、ディスプレイ装置4側から座席部60の方向を撮像する。
スピーカ角度制御回路51は、スピーカ群20を構成する各平面波スピーカ21Bの傾斜角度を制御する。なお、スピーカ群20としては図9に示したようなスピーカアレイ28を用いて複数の平面波を発するように構成することもでき、その場合には、スピーカ角度制御回路51は、音声信号処理によって平面波の音反射面31への入射角を制御するように構成される。
音響信号処理回路52は、各マイクMによる収音信号を入力し、各収音信号に対し所定の音響処理を施す。例えば、この場合の音響処理とは、音響特性データの生成処理等である。
音響生成回路53は、スピーカ毎に設けられ(つまりN個)、スピーカ群20における各平面波スピーカ21Bに任意の音を再生させる。また、音響生成回路53は、音源についての音響特性データを生成可能とされている。
ここで、学習時において、DNN54の入力は以下となる。
・各マイクMからの入力を音響信号処理回路52で音響処理した結果(音響特性データなど)の集合。
・音響生成回路53が生成する音源の音響特性データ。これは、各座席6で聞こえるべき理想的な音響と換言できる。
・図中、各スピーカの角度情報Iiとして示す、スピーカ群20における各スピーカの角度(初期角度:キャリブレーション前の角度)の集合。
・カメラCからの撮像画像。なお、カメラCからの撮像画像の入力はオプションでもよい。
また、DNN54の出力(学習対象)は、スピーカ群20における各スピーカの角度(調整後角度:キャリブレーション後の角度)の集合である。
損失関数55は、DNN54を学習させるためのバックプロパゲーション(Backpropagation:誤差逆伝播法)を制御するソフトウェア又は回路を含んでもよい。バックプロパゲーション制御ソフトウェア又は回路は、損失関数55と関連して別途装備してもよい。損失関数55の入力は以下となる。
・各マイクMからの入力を音響信号処理回路52で音響処理した結果(音響特性データなど)の集合。
・音響生成回路53が生成する音源の音響特性データ(各座席6で聞こえるべき理想的な音響)。
・スピーカの角度情報Iiとしての、スピーカ群20における各スピーカの角度(初期角度:キャリブレーション前の角度)の集合。
・図中に各スピーカの角度情報Iaとして示す、スピーカ群20における各スピーカの角度(調整後角度:キャリブレーション後の角度)の集合。
なお、学習時においては、固定マイクとしてのマイクMに加えて、各座席6にも測定時にマイクを設定することもできる。
図33は、学習時の処理手順例を示したフローチャートである。
先ず、音響生成回路53により、理想的な音響をスピーカから発生する(ステップS101)。次いで、DNN54に現在の入力を行い、初期角度としての各スピーカの角度を出力として損失関数55に入力する(ステップS102)。
次いで、損失関数55は、各マイクMからの入力と理想的な音響とを比較(ステップS103)した上で、マイクMからの入力と理想的な音響との差分は許容範囲内か否かを判定する(ステップS104)。各マイクMからの入力と理想的な音響との差分が許容範囲内でなければ、スピーカ角度制御回路51が各スピーカの角度を所定の値だけ変化させる(ステップS105)。この処理は、各マイクMからの入力と理想的な音響との差分が全体として許容範囲内となるまで繰り返される。すなわち、損失関数の値がマイク入力に関して最小化されるまで繰り返される。
一方、マイクMからの入力と理想的な音響との差分が許容範囲内であった場合は、損失関数55が、初期角度としてのスピーカの角度の集合と調整後の各スピーカの角度の集合が最小化するように、バックプロパゲーションによりニューラルネットワークの重みを修正することで、訓練する。
学習時においては、この図33に示した処理を必要な学習サンプルに関し繰り返し実行する。
図34は、学習済みのDNN54(すなわち、学習済みの人工知能モデル)を用いてキャリブレーションを行うための構成を例示している。
この図34を参照して分かるように、キャリブレーション時には、学習済みのDNN54に対し学習前と同じ入力を行い、DNN54からの出力に基づいてスピーカ角度制御回路51がスピーカ群20における各スピーカの角度を調整する。
上記のようなDNN54(すなわち、学習済みの人工知能モデル)を用いたキャリブレーション手法を採ることで、想定され得る全てのケース(例えば、スピーカの配置位置や視聴者5の入り具合等)のうちの一部のケースについてのみ学習を行うことで、全てのケースに対応可能なキャリブレーションのためのアルゴリズム(すなわち、学習済みの人工知能モデル)の生成が可能となる。従って、適切なキャリブレーションを実現する上での作業負担の軽減を図ることができる。
<3.変形例>

実施形態としては上記で例示した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例が考えられる。
例えば、上記では、視聴者5による視聴対象コンテンツがディスプレイ装置4を介して表示される例を挙げたが、視聴者5による視聴対象コンテンツは、例えば演劇等の実演コンテンツとすることもできる。この場合、音反射体3としては、例えば演劇が行われる舞台と視聴者5との間に配置する等、実演に係る物体と視聴者5との間に配置すればよい。
また、音反射体3については、音反射面31を光反射防止膜で構成する等、音反射面31に光反射防止加工を施すこともできる。これにより、視聴者5による映像の視認性悪化の抑制を図ることができる。
また、音反射体3については、板状のものを用いることで音反射面31が平面とされる前提としたが、音反射面31は平面以外の面形状が採用されてもよい。例えば、少なくとも一部に曲面を有するものであってもよい。
また、音反射体3については、板状ではなく膜状(シート状)の部材を用いることもできる。膜状の音反射体3にテンションをかけて張りを持たせることで、音反射部材として機能させることができる。
このとき、膜状とされた音反射体3については、巻き取り機構により収納可能としたり、蛇腹状に折り畳んで収納可能とすることが考えられる。
また、音反射体3については、音反射面31の長さを調整可能に構成されてもよい。特に、音反射体3を膜状とする場合には、巻き取り量の調整により音反射体3の長さを調整することができる。
また、音反射体3に埃が付着することを考慮して、除塵機能を与えることも考えられる。具体的には、平面波スピーカ21やスピーカアレイ28から特定の音(低域音であることが望ましい)を出力して音反射体3を振動させることで、除塵を行うことが考えられる。
或いは、音反射面31の裏面に対する埃の侵入防止のために、ディスプレイ装置4と音反射体3との間を例えばシート等の覆い材によって覆う構成とすることも考えられる。
<4.実施形態のまとめ>

上記のように実施形態としての音響再生システム(同1)は、有指向性音を発する発音装置(同2又は2A)と、視聴者と視聴者による視聴対象物との間に位置されて発音装置が発した有指向性音を反射する音反射面(同31又は31A)を有した音反射体(同3又は3A)と、を備えるものである。
視聴対象物とは、視聴者が視聴の対象とする物体を意味し、例えば、視聴対象のコンテンツがディスプレイ装置を介して表示される場合には該ディスプレイ装置の表示部が該当する。或いは、視聴対象のコンテンツは演劇等の実演コンテンツである場合も考えられ、その場合における視聴対象物は、例えば演者や舞台上に配置された各種の舞台道具等、実演コンテンツを構成する物体が該当する。このような視聴対象物と視聴者との間に配置した音反射面で有指向性音を反射させることで、音反射面の傾斜角度の設定により、有指向性音の反射角度を任意に定めることが可能となる。
従って、有指向性音の発音方向を変化させることができない場合であっても音像定位サービスエリアを任意の位置に設定可能な音響再生システムを提供することができる。
また、実施形態としての音響再生システムにおいては、発音装置は平面波による音を発する。
これにより、音反射面から視聴者側に反射される音に関して、減衰の抑制が図られる。
従って、音像の定位感向上を図ることができる。
さらに、実施形態としての音響再生システムにおいては、発音装置は、発音部が平面波スピーカ(同21又は21A又は21B)で構成されている。
平面波スピーカとしては、可動コイルにより平面パネルを振動させるダイナミック型ベースの平面波スピーカや、静電型振動板や圧電型振動板を用いた平面波スピーカを用いることが考えられる。
スピーカアレイを用いて音声信号の遅延処理等により擬似的に平面波を生成する場合のように平面波生成のための音声信号処理を行う必要がなくなり、音響再生にあたっての処理負担の軽減を図ることができる。
さらにまた、実施形態としての音響再生システムにおいては、平面波スピーカ(同21A)は、振動板が底面に対し非平行に配置されている。
振動板が底面に対し非並行に配置された構造とすることで、平面波を斜め方向に発することを前提とした場合において、振動板裏側の容積を稼ぎやすくなる。
従って、再生可能帯域を低域側に拡大し易くなる。
また、実施形態としての音響再生システムにおいては、発音装置(同2A)は、発音部として複数のスピーカで成るスピーカアレイ(同28)を有し、スピーカアレイにおけるスピーカが出力対象とする音声信号に対し所定の音声信号処理を施すことでスピーカアレイより有指向性音を発している。
これにより、スピーカに対しメカ的な角度調整機構を設けることなく、有指向性音の音反射面への入射角を調整可能となる。
スピーカの角度調整機構が不要となることで、メカ的な耐久性やメンテナンスの負担を考慮する必要がなくなり、音響再生システムの維持コスト削減を図ることができる。
さらに、実施形態としての音響再生システムにおいては、音反射体は光透過性を有している。
これにより、音反射体を設けたことによる視聴対象物の視認性の悪化の抑制が図られる。
従って、視聴コンテンツに対する没入感の向上を図ることができる。
さらにまた、実施形態としての音響再生システムにおいては、音反射面がハーフミラーとされている。
これにより、視聴者から見て視聴対象物の手前に位置する音反射面において、ペッパーズゴーストの原理を用いて映像を浮かび上がらせることが可能となる。
従って、音反射面における特定位置において、音像の定位と立体的に浮遊して見える映像とを視聴者に知覚させることができる。
また、実施形態としての音響再生システムにおいては、音反射体は視聴者側に傾斜され、発音装置は、有指向性音を床側から音反射面に対して発している。
これにより、音反射面からの反射音を水平方向から上側に傾斜させることが可能とされる。
従って、視聴者の座席位置が視聴対象物から遠ざかるに従って高くなる座席配列が採られる場合に音像定位サービスエリアの拡大化を図り易くなる。
さらに、実施形態としての音響再生システムにおいては、発音装置は、音反射面に対し横方向の入射角度を有するように有指向性音を発している。
これにより、有指向性音を発する位置に対し横方向位置が異なる視聴者に対して、音源の位置を該有指向性音の反射位置近傍に知覚させることが可能となる。
従って、音像定位サービスエリアの横方向への拡大を図り易くなる。また、音像定位サービスエリアの横方向への拡大のために用いるべきスピーカ数の削減を図ることができる。
さらにまた、実施形態としての音響再生システムにおいては、音反射体は板状に形成されている。
これにより、音反射体を膜状とする場合のように音反射体にテンションをかけずとも音反射面を形成することが可能とされる。
従って、音反射面を容易に形成することができる。
また、実施形態としての音響再生システムにおいては、音反射体が天井側から吊り下げられている。
天井からの吊り下げ式による支持方式は、大型で重量のあるパネルの支持方式として好適である。
従って、大型のディスプレイ装置の前面側を全体的にカバーしたい場合等、音反射体の面積を大きくする場合に好適である。
さらに、実施形態としての音響再生システムにおいては、音反射面として互いに傾斜方向が異なる二つの音反射面(同31-1、31-2)を有し、発音装置は、一方の音反射面には天井側から、他方の音反射面には床側からそれぞれ有指向性音を発している。
これにより、天井側、床側それぞれから発せられた有指向性音の反射音を視聴者の手前で上下方向に交差させることが可能とされる。
従って、音源からの自然な音の広がりを再現することができる。
さらにまた、実施形態としての音響再生システムにおいては、音反射体の傾斜角度を調整する反射体傾斜角調整部(角度調整部4b)を備えている。
これにより、音反射体の傾斜角度を調整することによる有指向性音の入射角度及び反射角度の調整が可能となる。
従って、発音装置側で有指向性音の発音方向を調整せずとも、音像定位サービスエリアの調整を行うことができる。
また、反射体傾斜角調整部を備えることで、音響再生システムの非使用時には、例えば音反射体の傾斜角度を略0度とする等して、視聴者側への迫り出しのない、いわば収納状態を実現することもできる。
また、実施形態としての音響再生システムにおいては、有指向性音の発音方向を調整する方向調整部(角度調整部21b又は音声信号処理部29)を備えている。
これにより、発音方向の調整による有指向性音の音反射面に対する入射角度及び反射角度の調整が可能となる。
従って、音像定位サービスエリアの調整を行うことができる。
さらに、実施形態としての音響再生システムにおいては、発音装置は、発音部が有指向性スピーカで構成され、方向調整部は、有指向性スピーカの角度調整により有指向性音の発音方向を調整している。
これにより、有指向性音の発音方向を調整するにあたり発音方向調整のための音声信号処理を行う必要がなくなる。
従って、音響再生にあたっての処理負担の軽減を図ることができる。
さらにまた、実施形態としての音響再生システムにおいては、発音装置は、発音部として複数のスピーカで成るスピーカアレイを有し、スピーカアレイにおけるスピーカが出力対象とする音声信号に対し所定の音声信号処理を施すことでスピーカアレイより有指向性音を発し、方向調整部は、音声信号処理により有指向性音の発音方向を調整している。
これにより、有指向性音の発音方向の調整にあたり機構的な駆動音が生じない。
従って、音像定位サービスエリアの調整を行う際の静音性を高めることができる。
また、実施形態としての音響再生システムにおいては、視聴対象物が自発光型ディスプレイ装置(同4又は4A又は4B)の表示部とされている。
ディスプレイ装置により視聴対象のコンテンツを表示する場合、スクリーン投影による表示を行う場合のように表示面(スクリーン)の裏側にスピーカを配置することによる音像定位手法を採ることができず、表示面の左右にスピーカを配置することが考えられるが、その場合には、ディスプレイ装置の大型化を招いてしまう。
視聴対象物が自発光型ディスプレイ装置の表示部とされる場合に音反射体に有指向性音を反射させることによる音像定位手法を適用することで、ディスプレイ装置の大型化の防止を図ることができる。また、本来はスピーカが配置されるべきスペースを表示画面の拡大化に充てることができるようになり、スペースの有効活用や、デザイン性の向上に貢献できる。
さらに、実施形態としての音響再生システムにおいては、発音装置の発音部を構成するスピーカが音反射体と視聴者との間の床近傍に配置されている。
視聴コンテンツを上映する施設としてはシアター施設を挙げることができるが、シアター施設では、視聴対象物が配置される部分と視聴者の座席が配置される座席部分との間に或る程度の空間がとられているのが通常である。
上記のようなスピーカ配置は、このように視聴対象物と座席部分との間に空間がとられるシアター施設に好適となる。
また、実施形態としてのディスプレイ装置(同4A又は4B)は、映像を表示する自発光型の表示部(本体部4a)と、表示部における映像の表示面(同41)よりも前側に配置されて音を反射する音反射面(同31又は31A)を有した音反射体(同3又は3A)と、を備えるものである。
これにより、視聴者と視聴者の視聴対象物との間に音反射面が位置されることになる。このため、該音反射面に有指向性音を反射させて音像を定位させる音響再生システムにおいては、該音反射面の傾斜角度の設定によって、有指向性音の反射角度を任意に定めることが可能となる。
従って、有指向性音の発音方向を変化させることができない場合であっても音像定位サービスエリアを任意の位置に設定可能な音響再生システムを提供することができる。
また、実施形態としてのキャリブレーション方法は、有指向性音を発する発音装置と、視聴者と視聴者による視聴対象物との間に位置されて発音装置が発した有指向性音を反射する音反射面を有した音反射体と、有指向性音の音反射面への入射角度を制御する制御部と、を備えた音響再生システムのキャリブレーション方法であって、入射角度の変化に対する、音反射面で反射された有指向性音の収音信号の変化を学習し、該学習の結果に基づいて入射角度の調整を行うキャリブレーション方法である。
これにより、視聴者における受聴音が目標とする音に近づくように有指向性音の入射角度の調整、すなわち音像定位についての調整を行うことが可能となる。
従って、視聴者が知覚する音像の明確性を高めることが可能となり、視聴対象コンテンツに対する没入感向上を図ることができる。
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
<5.本技術>

なお本技術は以下のような構成を採ることもできる。
(1)
有指向性音を発する発音装置と、
視聴者と前記視聴者による視聴対象物との間に位置されて前記発音装置が発した前記有指向性音を反射する音反射面を有した音反射体と、を備える
音響再生システム。
(2)
前記発音装置は平面波による音を発する
前記(1)に記載の音響再生システム。
(3)
前記発音装置は、発音部が平面波スピーカで構成された
前記(2)に記載の音響再生システム。
(4)
前記平面波スピーカは、振動板が底面に対し非平行に配置されている
前記(3)に記載の音響再生システム。
(5)
前記発音装置は、発音部として複数のスピーカで成るスピーカアレイを有し、前記スピーカアレイにおける前記スピーカが出力対象とする音声信号に対し所定の音声信号処理を施すことで前記スピーカアレイより前記有指向性音を発する
前記(1)又は(2)に記載の音響再生システム。
(6)
前記音反射体は光透過性を有する
前記(1)から(5)の何れかに記載の音響再生システム。
(7)
前記音反射面がハーフミラーとされた
前記(6)に記載の音響再生システム。
(8)
前記音反射体は前記視聴者側に傾斜され、
前記発音装置は、前記有指向性音を床側から前記音反射面に対して発する
前記(1)から(7)の何れかに記載の音響再生システム。
(9)
前記発音装置は、前記音反射面に対し横方向の入射角度を有するように前記有指向性音を発する
前記(1)から(8)の何れかに記載の音響再生システム。
(10)
前記音反射体は板状に形成された
前記(1)から(9)の何れかに記載の音響再生システム。
(11)
前記音反射体が天井側から吊り下げられた
前記(10)に記載の音響再生システム。
(12)
前記音反射面として互いに傾斜方向が異なる二つの音反射面を有し、
前記発音装置は、一方の前記音反射面には天井側から、他方の前記音反射面には床側からそれぞれ前記有指向性音を発する
前記(1)から(11)の何れかに記載の音響再生システム。
(13)
前記音反射体の傾斜角度を調整する反射体傾斜角調整部を備えた
前記(1)から(12)の何れかに記載の音響再生システム。
(14)
前記有指向性音の発音方向を調整する方向調整部を備えた
前記(1)から(13)の何れかに記載の音響再生システム。
(15)
前記発音装置は、発音部が有指向性スピーカで構成され、
前記方向調整部は、前記有指向性スピーカの角度調整により前記有指向性音の発音方向を調整する
前記(14)に記載の音響再生システム。
(16)
前記発音装置は、発音部として複数のスピーカで成るスピーカアレイを有し、前記スピーカアレイにおける前記スピーカが出力対象とする音声信号に対し所定の音声信号処理を施すことで前記スピーカアレイより前記有指向性音を発し、
前記方向調整部は、前記音声信号処理により前記有指向性音の発音方向を調整する
前記(14)に記載の音響再生システム。
(17)
前記視聴対象物が自発光型ディスプレイ装置の表示部とされた
前記(1)から(16)の何れかに記載の音響再生システム。
(18)
前記発音装置の発音部を構成するスピーカが前記音反射体と前記視聴者との間の床近傍に配置された
前記(1)から(17)の何れかに記載の音響再生システム。
(19)
映像を表示する自発光型の表示部と、
前記表示部における映像の表示面よりも前側に配置されて音を反射する音反射面を有した音反射体と、を備える
ディスプレイ装置。
(20)
有指向性音を発する発音装置と、視聴者と前記視聴者による視聴対象物との間に位置されて前記発音装置が発した前記有指向性音を反射する音反射面を有した音反射体と、前記有指向性音の前記音反射面への入射角度を制御する制御部と、を備えた音響再生システムのキャリブレーション方法であって、
前記入射角度の変化に対する、前記音反射面で反射された前記有指向性音の収音信号の変化を学習し、該学習の結果に基づいて前記入射角度の調整を行う
キャリブレーション方法。
1 音響再生システム
2,2A 発音装置
21,21A,21B 平面波スピーカ
21a 振動板
21b 角度調整部
21c 軸部
22 サブウーファ
23 HPF(ハイパスフィルタ)
24 LPF(ローパスフィルタ)
28 スピーカアレイ
28a 点音源スピーカ
29 音声信号処理部
3、3A 音反射体
31、31A 音反射面
3a フレーム部
4,4A,4B ディスプレイ装置
41 表示面
4a 本体部
4b 角度調整部
4c 軸部
5 視聴者
6 座席
7 映像再生システム
7a 映像補正処理部
8 音響遮蔽体
9 支持部材
Pt 位置
CL 天井
FL 床
Cv 覆い
AL 音像定位サービスエリア

Claims (18)

  1. 有指向性音を発する発音装置と、
    視聴者と前記視聴者による視聴対象物との間に位置されて前記発音装置が発した前記有指向性音を反射する音反射面を有した音反射体と、を備え、
    前記音反射体は、前記音反射面として互いに傾斜方向が異なる二つの音反射面を有し、
    前記発音装置は、一方の前記音反射面には天井側から、他方の前記音反射面には床側からそれぞれ前記有指向性音を発する
    音響再生システム。
  2. 前記発音装置は平面波による音を発する
    請求項1に記載の音響再生システム。
  3. 前記発音装置は、発音部が平面波スピーカで構成された
    請求項2に記載の音響再生システム。
  4. 前記平面波スピーカは、振動板が底面に対し非平行に配置されている
    請求項3に記載の音響再生システム。
  5. 前記発音装置は、発音部として複数のスピーカで成るスピーカアレイを有し、前記スピーカアレイにおける前記スピーカが出力対象とする音声信号に対し所定の音声信号処理を施すことで前記スピーカアレイより前記有指向性音を発する
    請求項1に記載の音響再生システム。
  6. 前記音反射体は光透過性を有する
    請求項1に記載の音響再生システム。
  7. 前記音反射面がハーフミラーとされた
    請求項6に記載の音響再生システム。
  8. 前記音反射体は、前記音反射面として、前記視聴者側に傾斜された前傾音反射面を有し、
    前記発音装置は、前記有指向性音を床側から前記前傾音反射面に対して発する
    請求項1に記載の音響再生システム。
  9. 前記発音装置は、前記音反射面に対し横方向の入射角度を有するように前記有指向性音を発する
    請求項1に記載の音響再生システム。
  10. 前記音反射体は板状に形成された
    請求項1に記載の音響再生システム。
  11. 前記音反射体が天井側から吊り下げられた
    請求項10に記載の音響再生システム。
  12. 前記音反射体の傾斜角度を調整する反射体傾斜角調整部を備えた
    請求項1に記載の音響再生システム。
  13. 前記有指向性音の発音方向を調整する方向調整部を備えた
    請求項1に記載の音響再生システム。
  14. 前記発音装置は、発音部が有指向性スピーカで構成され、
    前記方向調整部は、前記有指向性スピーカの角度調整により前記有指向性音の発音方向を調整する
    請求項13に記載の音響再生システム。
  15. 前記発音装置は、発音部として複数のスピーカで成るスピーカアレイを有し、前記スピーカアレイにおける前記スピーカが出力対象とする音声信号に対し所定の音声信号処理を施すことで前記スピーカアレイより前記有指向性音を発し、
    前記方向調整部は、前記音声信号処理により前記有指向性音の発音方向を調整する
    請求項13に記載の音響再生システム。
  16. 前記視聴対象物が自発光型ディスプレイ装置の表示部とされた
    請求項1に記載の音響再生システム。
  17. 前記発音装置の発音部を構成するスピーカが前記音反射体と前記視聴者との間の床近傍に配置された
    請求項1に記載の音響再生システム。
  18. 映像を表示する自発光型の表示部と、
    前記表示部における映像の表示面よりも前側に配置されて音を反射する音反射面を有した音反射体と、を備え、
    前記音反射体は、前記音反射面として互いに傾斜方向が異なる二つの音反射面を有する
    ディスプレイ装置。
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