(実施の形態1)
[1.RRT用血液処理回路の全体構成]
本発明は、腎代替療法(RRT)用、単純血漿交換療法(PE)用、あるいは、二重濾過血漿交換療法(DEPP)用等の血液浄化療法用の血液処理回路に用いられる液体バッグセット、ポンプチューブセット、及びチューブホルダに適用できる。以下ではRRT用の血液回路を例示して、本発明の実施の形態を説明する。図1は、RRT用の血液処理回路の全体構成を示す模式図であり、一例として、HDF(血液濾過透析)に用いられる血液処理回路1を例示している。この血液処理回路1は、概ね、図の右側の血液用セット100と左側の処理液用セット200と中央の加温用セット300の3つのセットから成る。
[1-1.血液用セット]
血液用セット100は、主として脱血ライン101、濾過器102、および返血ライン103を備えている。脱血ライン101は可撓性のチューブを有し、患者の血管と濾過器102との間を接続する。脱血ライン101の途中には血液ポンプ110が設けられており、この血液ポンプ110が作動すると、脱血ライン101を通じて患者の血液が濾過器102へ送られる。
脱血ライン101において血液ポンプ110の上流側部分(患者側部分)には、生食ライン111が合流している。生食ライン111には生理食塩水の入ったバッグ112が接続されており、プライミング時に脱血ライン101へ生理食塩水が供給される。脱血ライン101において、血液ポンプ101の上流側部分であって生食ライン111の合流点より下流側部分(濾過機側部分)には、薬剤ライン113が合流している。薬剤ライン113には抗凝固剤等の薬剤が入ったシリンジ114が接続されており、脱血ライン101を通る血液に薬剤ライン113を通じて抗凝固剤等が注入される。
脱血ライン101において血液ポンプ110の下流側部分には、ドリップチャンバから成る動脈圧チャンバ115が介在している。この動脈圧チャンバ115から延びる圧力測定ライン701に疎水性フィルタから成る患者保護フィルタ701Aを介して圧力モニタ(図示せず)を接続することで、脱血ライン101中の血液の圧力を測定することができる。また、動脈圧チャンバ115からは前希釈ライン116が延びており、これに電解質液等の補液の入ったバッグを接続することで、脱血ライン101を通る血液を補液により前希釈できる。
濾過器102は、円筒状のケース120と、このケース120に収容されたフィルタ121とを備えている。フィルタ121は、例えば複数の中空糸が束ねられた構成になっている。ケース120は、一方の端部に設けられた血液入口ポート122と、他方の端部に設けられた血液出口ポート123と、一方の端部近傍の周部に設けられた透析液ポート124と、他方の端部近傍の周部に設けられた排液ポート125とが設けられている。そして、上述した脱血ライン101の下流端は、血液入口ポート122に接続されている。
ケース120の血液出口ポート123には、返血ライン103の上流端が接続されている。返血ライン103は可撓性のチューブを有し、濾過器102と患者の血管との間を接続する。返血ライン103の途中には、混合チャンバ130が介在しており、後述する処理液用セット200から送られてくる補液がこの混合チャンバ130にて返血に供給可能になっている。また、混合チャンバ130からは圧力測定ライン702が延びており、患者保護フィルタ702Aを介して圧力モニタ(図示せず)に接続される。
[1-2.処理液用セット]
処理液用セット200は、主として供給液ライン201、ポンプユニット202、および排液ライン203を備えている。供給液ライン201は、透析液および補液として共通する液体が貯留される貯留バッグ210と、貯留バッグ210に一端が接続された共通ライン211と、共通ライン211の他端に接続され、液体が一時的に貯留される計量用の第1液体バッグ212と、を有している。この第1液体バッグ212は、後に詳述するように、血液処理装置400が備える重量センサにより重さが計量される本発明に係るバッグを成す。
また、供給液ライン201は、更に透析液ライン213および後補液ライン214を有している。すなわち、共通ライン211の途中、2か所に分岐が設けられ、各分岐から透析液ライン213および後補液ライン214が延びている。このうち後補液ライン214の方が透析液ライン213よりも、共通ライン211に沿って第1液体バッグ212に近い位置から分岐している。
排液ライン203は、濾過器102の排液ポート125に一端が接続された回収ライン230と、回収ライン230の他端に接続され、排液が一時的に貯留される計量用の第2液体バッグ231と、を有している。更に排液ライン203は、回収ライン230の途中の分岐から延びる廃棄ライン232と、廃棄ライン232の下流端に配置されたタンク233と、を有している。このうち第2液体バッグ231は、上述した第1液体バッグ212と共に、血液処理装置400が備える重量センサにより重さが計量される本発明に係るバッグを成す。
なお、処理液用セット200が備える各ライン201,203(これらを構成する各ライン211,213,214,230,232を含む)は、いずれも可撓性のチューブから成る。また、回収ライン230の途中からは圧力測定ライン703が延びており、患者保護フィルタ703Aを介して圧力モニタ(図示せず)に接続される。
ポンプユニット202は、例えば3つのフィンガーポンプ221~223を備え、血液処理装置400の側面に、上下に並べて設けられている。上側に位置するフィンガーポンプ221には後補液ライン214の途中部分(被加圧部分601a:図8参照)がセットされ、中央に位置するフィンガーポンプ222には透析液ライン213の途中部分(被加圧部分601a:図8参照)がセットされ、下側のフィンガーポンプ223には回収ライン230の途中部分(被加圧部分601a:図8参照)がセットされる。なお、各ライン213,214,230をポンプユニット202にセットするにあたり、作業の利便性を向上すべく、各ライン213,214,230を一体的に支持するチューブホルダ224が用いられる。チューブホルダ224については後に詳述する。
[1-3.加温用セット]
加温用セット300は、透析液加温ライン301および後補液加温ライン302を備えている。このうち透析液加温ライン301は、その上流端が透析液ライン213の下流端に接続され、その下流端は濾過器102の透析液ポート124に接続されている。また、後補液加温ライン302は、その上流端が後補液ライン214の下流端に接続され、その下流端は混合チャンバ130に接続されている。
また、加温用セット300は、更に透析液ヒータ303および後補液ヒータ304を備えている。これらのヒータ303,304は血液処理装置400に備えられ、供給電力に応じた熱量を発する。従って、透析液ヒータ303は透析液加温ライン301を通流する透析液を加温し、後補液ヒータ304は後補液加温ライン302を通流する補液を加温する。
[1-4.血液処理回路の動作]
このような血液処理回路1は、概ね次のように動作する。すなわち、血液用セット100にて血液ポンプ110が駆動すると、患者からの脱血が脱血ライン101に沿って、補液および抗凝固剤等が注入されつつ濾過器102へ送り込まれる。濾過器102に送られた血液は、フィルタ121により濾過され、生成した排液は、処理液用セット200の排液ライン203によってタンク233に回収される。一方、濾過器102に送られた血液中の一部の成分は、透析液ポート124を通じて処理液用セット200から供給される透析液中に拡散し、これも処理液用セット200の排液ライン203によってタンク233に回収される。そして、濾過器102でのこのような濾過および拡散を経た血液は、途中の混合チャンバ130で補液が供給されつつ、返血ライン103を通じて患者へ戻される。
ところで、この血液処理回路1では、貯留バッグ210内の液体は一旦第1液体バッグ212に貯留された後に、濾過器102または混合チャンバ130へ供給される。そして第1液体バッグ212に貯留された液体は、血液処理装置400が備える重量センサにより計量されることで、供給量が計測される。また、濾過器102から回収された排液も、一旦第2液体バッグ231に貯留された後に、タンク233に廃棄される。そして、第2液体バッグ231に貯留された排液は、血液処理装置400が備える重量センサによって計量されることで、排液量が計測される。
[2.液体バッグセット]
本実施の形態に係る血液処理回路1は、第1液体バッグ212および第2液体バッグ231に貯留された液体の重量を正確に計測するべく、液体バッグセット500を備えている。この液体バッグセット500は、上述したHDF等の腎代替療法(RRT)の血液処理回路1に用いることができ、この血液処理回路1を流れる液体(透析液、後補液、排液など)を貯留すると共に、血液処理回路1による血液処理を制御する血液処理装置400が有する重量センサにより計量される液体バッグセットである。以下、この液体バッグセット500について説明する。
図2は、液体バッグセット500の正面図であり、図3は、液体バッグセット500の斜視図であり、図4は、液体バッグセット500の分解斜視図である。液体バッグセット500は、バッグユニット501とこのバッグユニット501を支持するバッグホルダ502とを有している。このうちバッグユニット501は、第1液体バッグ212および第2液体バッグ231に加え、第1液体バッグ212に接続される共通ライン211の少なくとも一部と、第2液体バッグ231に接続される回収ライン230の少なくとも一部とを備えている。以下、第1液体バッグ212および第2液体バッグ231に共通する事項に言及する場合は、両者のそれぞれを指して液体バッグ240と称することがある。
バッグホルダ502は、各液体バッグ240を含むバッグユニット501を着脱可能に支持する。そして、血液処理装置400に装着されることでバッグユニット501と共に重量が計測される。また、このようなバッグホルダ502を血液処理装置400に装着すべく、血液処理装置400にはホルダハンガー503が備えられている。以下では、これらバッグユニット501、バッグホルダ502、及びホルダハンガー503の各構成についてより詳しく説明する。なお、以下の説明では、液体バッグセット500を血液処理装置400に装着した状態での上下(鉛直方向の上下)、左右、前後の方向を用いる。
[2-1.バッグユニット]
バッグユニット501が有する液体バッグ240は、概ね矩形状を成し可撓性を有する2枚のフィルムの周縁部が互いに溶着されるなどして密封された、内部に液体の貯留室242を有するバッグ本体241を有する。バッグ本体241の上辺241uには縁部が幅広に溶着されて左右へ延びるフランジ243が形成され、フランジ243の左右の各端部近傍に貫通孔244が設けられている。これらの貫通孔244は、その長手方向が左右方向に沿うようなスリット長D1(図4参照)のスリット状を成している。
バッグ本体241において、フランジ243に対向して位置する下辺241dには、バッグ本体241の内外を連通するチューブ接続部245が設けられている。第1液体バッグ212のチューブ接続部245は正面視で左右の中央よりも右側に寄って位置し、第2液体バッグ231のチューブ接続部245は正面視で左右の中央よりも左側に寄って位置している(図2参照)。また、バッグ本体241の下辺241dには、側方端部からチューブ接続部245に近づくに従って下方へ向かうように緩やかな傾斜が設けられており、この傾斜に沿うようにして貯留室242の内底面もチューブ接続部245へ向かって下方へと傾斜している。
第1液体バッグ(下側バッグ)212のチューブ接続部(下側チューブ接続部)245には、共通ライン(下側チューブ)211が接続される。この共通ライン211は、チューブ接続部245に近い方から順に、第1チューブ250、L字継手251、第2チューブ252、L字継手253、および第3チューブ254を有している。
具体的には、チューブ接続部245には、上下方向に延びる短寸の第1チューブ250の上端部が接続され、第1チューブ250の下端部にはL字継手251の上端部が接続されている。L字継手251の左端部には左右方向に延びる第2チューブ252の右端部が接続され、第2チューブ252の左端部には2つ目のL字継手253の左端部が接続されている。更に、L字継手253の下端部には第3チューブ254の上端部が接続されている。このように、第1液体バッグ212においてチューブ接続部245はバッグ本体241に対して右側に偏在し、チューブ接続部245に接続された共通ライン211(特に、第2チューブ252)は反対の左側へ延びている。なお、L字継手251,253はチューブ250,252,254よりも硬質の合成樹脂で構成されている。
第2液体バッグ(上側バッグ)231のチューブ接続部(上側チューブ接続部)245には、回収ライン(上側チューブ)230が接続される。この回収ライン230は、チューブ接続部245に近い方から順に、第1チューブ260、L字継手261、第2チューブ262、L字継手263、および第3チューブ264を有している。
具体的には、チューブ接続部245には、上下方向に延びる短寸の第1チューブ260の上端部が接続され、第1チューブ260の下端部にはL字継手261の上端部が接続されている。L字継手261の右端部には左右方向に延びる第2チューブ262の左端部が接続され、第2チューブ262の右端部には2つ目のL字継手263の右端部が接続されている。更に、L字継手263の下端部には第3チューブ264の上端部が接続されている。このように、第2液体バッグ231においてチューブ接続部245はバッグ本体241に対して左側に偏在し、チューブ接続部245に接続された回収ライン230(特に、第2チューブ262)は反対の右側へ延びている。なお、L字継手261,263はチューブ260,262,264よりも硬質の合成樹脂で構成されている。
上述した説明および図2から分かるように、本実施の形態では、第1液体バッグ212および共通ライン211のうち第1液体バッグ212の近傍部分と、第2液体バッグ231および回収ライン230のうち第2液体バッグ231の近傍部分とは、左右対称の構成となっている。ただし、両者の構成はこれに限られず、互いに左右非対称であってもよい。また、共通ライン211は第1液体バッグ212から左側へ延び、回収ライン230は第2液体バッグ231から右側へ延びているが、これら共通ライン211および回収ライン230を、各液体バッグ212,231から互いに同一方向へ延設した構成としてもよい。
[2-2.バッグホルダ]
次に、図5の正面図および図6の部分側面図も参照しつつ、バッグホルダ502について説明する。バッグバッグホルダ502は、平板状のパネル510と、このパネル510から延設された支持アーム511とを備えている。また、バッグホルダ502は、第1液体バッグ212を支持すべく下側に位置する第1ホルダ部512と、第2液体バッグ231を支持すべく上側に位置する第2ホルダ部513とを有し、かつ、これらが一体化した構成となっている。以下、第1ホルダ部512および第2ホルダ部513に共通する事項に言及する場合は、両者のそれぞれを指してホルダ部520と称することがある。なお、バッグホルダ502を、図示するものとは異なり、上側の第2ホルダ部513にて第1液体バッグ212を支持し、下側の第1ホルダ部512にて第2液体バッグ231を支持する構成としてもよい。
ホルダ部520は、概ね矩形状を成すと共に液体バッグ240のバッグ本体241よりも硬質の合成樹脂製であるパネル部521を有している。バッグ本体241の具体的な材料としては、例えばPVC(ポリ塩化ビニル樹脂)、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)、PE(ポリエチレン樹脂)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、スチレン系エラストマーの中から選択できる。また、バッグ本体241と各ライン211,230を構成するチューブとの接続の相性や価格から、これらの中でもPVCが好ましい。ホルダ部520の具体的な材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)として、A-PET(アモルファスPET)、C-PET(クリスタライズドPET)、G-PET(グリコール・モディファイドPET)、PS(ポリスチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)の中から選択できる。また、ホルダ部520の全体の剛性、支持アーム511を折り曲げる際に割れない弾性、ホルダ部520の透明性、および価格の観点から、これらの中でもA-PETが好ましい。
パネル部521は肉厚部522と肉薄部523とを有し、肉厚部522は肉薄部523の周りを取り囲むようにして位置し、枠状を成している。従って、パネル部521はこの肉厚部522により平板形状を維持可能な剛性が確保されている。一方、パネル部521の上辺の左右の各端部近傍には、液体バッグ240の貫通孔244に挿通される支持アーム511が、上方へ延設されるように突設されている。
支持アーム511は、延設方向(上方)の基端側(下側)に位置する基端部530と、基端部530に対して延設方向の先端側(上側)に位置する先端部531とを有している。基端部530は、角が丸められた矩形状を成しており、その上辺に先端部531が接続されている。より詳しくは、先端部531は基端部530よりも左右方向の幅寸法が小さく、右側の支持アーム511では、基端部530の上辺において左側に寄せて先端部531が接続され、左側の支持アーム511では、基端部530の上辺において右側に寄せて先端部531が接続されている。更に、先端部531の下端部分には幅方向(左右方向)に切込部532が形成されている。この切込部532は、ホルダ部520において左右方向の外側へ向かって開口している。換言すれば、右側の支持アーム511では右側に開口し、左側の支持アーム511では左側に開口している。
また、支持アーム511は、その下端が、パネル部521の上辺の肉厚部522に接続されており、支持アーム511は肉厚部522よりも薄肉に形成されている。そして、支持アーム511はその下端にてパネル部521に対して人の手指の操作で前方へ屈曲可能になっている。従って、支持アーム511を前方へ付勢すると、基端部530および先端部531は一体的に前方へ屈曲する。このように前方へ屈曲した支持アーム511が、液体バッグ240の貫通孔244に挿通されることで、ホルダ部520は液体バッグ240の上部を支持する(図3参照)。
ここで、図5に示すように、支持アーム511の基端部530は幅寸法D2を有する。また、支持アーム511の先端部531は、切込部532のない部分に最大幅寸法D3を有すると共に、切込部532が形成された部分には最小幅寸法D4を有している。これらの寸法D2,D3,D4は、液体バッグ240が有する貫通孔244のスリット長D1との間で、D2>D1=D3>D4の関係を成している。従って、支持アーム511はその先端部531のみを液体バッグ240の貫通孔244に挿通することができ、かつ、切込部532にて貫通孔244と係合させることができる。ただし、各寸法の大小関係はこれに限定されず、例えば先端部531の最大幅寸法D3は貫通孔244のスリット長D1よりも若干小さく設定してもよい。
ホルダ部520が有するパネル部521は、その下端の一部が更に下方へ延びたパネル延設部540を有し、このパネル延設部540の前面に継手ホルダ541が設けられている。継手ホルダ541は、パネル延設部540から前方へ突出する突出部542を有し、この突出部542は正面視では概ね矩形状を成している。また、継手ホルダ541は、突出部542に対して凹部を成すと共に正面視でL字状に延びた嵌合溝543を有している。
下側の第1ホルダ部512の継手ホルダ541が有する嵌合溝543は、矩形状の突出部542の上面の左右中央と左面の上下中央とで開口し、これら2つの開口を結ぶL字状(左右を反転させたL字状)の溝を成している。すなわち、嵌合溝543は、突出部542の上面の左右中央から下方へ延び、突出部542の略中心付近で転向して左へ延びて、左面の上下中央の開口へ至る。なお、第1ホルダ部512が有するパネル延設部540および継手ホルダ541は、パネル部521に対して左右方向の中央よりも右側に寄って設けられている。
このような第1ホルダ部512の継手ホルダ541は、図3に示すように、第1液体バッグ212に第1チューブ250を介して接続されたL字継手251を、嵌合溝543に嵌合させることで支持する。また、上述したように継手ホルダ541はパネル部521に対して右側に偏在しているため、継手ホルダ541の左側にはスペース(切り欠き)540aが形成されている。このスペース540aは、第1液体バッグ212が第1ホルダ部512に支持された状態で、共通ライン211(特に、第2チューブ252)と正面視で重なる(図2,図3参照)。これにより、バッグユニット501とバッグホルダ502とが、共通ライン211において干渉して重量の計測に影響が生じることがないようになっている。
上側の第2ホルダ部513の継手ホルダ541が有する嵌合溝543は、矩形状の突出部542の上面の左右中央と右面の上下中央とで開口し、これらの2つの開口を結ぶL字状の溝を成している。すなわち、嵌合溝543は、突出部542の上面の左右中央から下方へ延び、突出部542の略中心付近で転向して右へ延びて、右面の上下中央の開口へ至る。なお、第2ホルダ部513が有するパネル延設部540および継手ホルダ541は、上記第1ホルダ部512の場合とは逆に、パネル部521に対して左右方向の中央よりも左側に寄って設けられている。
このような第2ホルダ部513の継手ホルダ541は、図3に示すように、第2液体バッグ231に第1チューブ260を介して接続されたL字継手261を、嵌合溝543に嵌合させることで支持する。また、上述したように継手ホルダ541はパネル部521に対して左側に偏在しているため、継手ホルダ541の右側にはスペース(切り欠き)540aが形成されている。このスペース540aは、第2液体バッグ231が第2ホルダ部513に支持された状態で、回収ライン230(特に、第2チューブ262)と正面視で重なる(図2,図3参照)。これにより、バッグユニット501とバッグホルダ502とが、回収ライン230において干渉して重量の計測に影響が生じることがないようになっている。
図6に示すように、嵌合溝543は、内部543aの溝幅寸法D5が溝の奥行方向においてほぼ一定であるが、前側の開口端543bは寸法D5よりも若干幅狭の開口寸法D6を有している。これにより、嵌合溝543にL字継手251,261を嵌合させた後、これらL字継手251,261の脱落を防止できる。なお、このような内部543aに対して開口端543bが幅狭になった構成は、嵌合溝543の溝長方向の全域に設けてもよいし、一部に設けてもよい。一部に設ける場合には、嵌合溝543を正面視したときに、上下方向の延びる部分と左右方向に延びる部分のそれぞれに、部分的に設けるのが好ましい。
下側の第1ホルダ部512と上側の第2ホルダ部513とは、第2ホルダ部513が有するパネル延設部540により連結されて一体化されている。すなわち、上側の第2ホルダ部513においてパネル部521から下方へ延びるパネル延設部540は、その下端が下側の第1ホルダ部512のパネル部521の上端と接続されている。
また、上下のホルダ部520(第1ホルダ部512及び第2ホルダ部513)のパネル部521は、その左右の側端部の上端部から左右の外側へ矩形状に突出した上側被支持部550を有している。この上側被支持部550は、パネル部521の肉厚部522から成り、後述するようにホルダハンガー503により支持される。更に、下側の第1ホルダ部512のパネル部521の下端部のうち、パネル延設部540により分けられた左右の部分は下側被支持部551を成している。この下側被支持部551も、パネル部521の肉厚部522から成り、ホルダハンガー503により支持される。なお、左右の下側被支持部551は、中央へ近づくに従って(換言すれば、パネル延設部540に近づくに従って)下方へ向かうにように、下端の縁が傾斜している。
上述したように液体バッグセット500は、バッグユニット501及びバッグホルダ502により構成される。これらのバッグユニット501とバッグホルダ502とは別体で構成され、かつ、バッグユニット501は相対的に硬質のバッグホルダ502により支持され、互いに分離可能となっている。ただし、バッグユニット501及びバッグホルダ502は分離不可であってもよく、具体的には、それぞれ別体で構成した後に溶着あるいは締結などにより互いに固着して一体化してもよい。
[2-3.ホルダハンガー]
次に、図4に示すようにホルダハンガー503は、硬質の合成樹脂製の板状を成し、その正面視形状は、概ねバッグホルダ502のパネル510(上下のパネル部521および上下のパネル延設部540を含む)と同様の輪郭を有している。このホルダハンガー503は血液処理装置400の例えば側壁部にネジ等の締結手段により固定的に取り付けられており、これに、液体バッグセット500が吊設される。
より具体的には、ホルダハンガー503は、平板状の本体プレート560を有している。この本体プレート560は、下側の第1ホルダ部512に対応する第1プレート561、および、上側の第2ホルダ部513に対応する第2プレート562を有している。更にホルダハンガー503は、この本体プレート560に設けられた下側支持フック563および上側支持フック564を有している。
本体プレート560のうち下側の第1プレート561は、第1ホルダ部512が有するパネル部521に対応する矩形部分561aと、この矩形部分561aから下方へ延びて第1ホルダ部512が有するパネル延設部540に対応する延設部分561bとを有している。延設部分561bは矩形部分561aの下端の中央右寄りの位置に接続されている。矩形部分561aの下端において延設部分561bの左右には下側支持フック563が設けられ、延設部分561bの下端には中央支持フック564が設けられている。
下側支持フック563は、上方に開口した間隙563aを有するフック形状を成している。具体的には、下側支持フック563は、矩形部分561aの下端から延びる横長の板材を前方へ折り更に上方へ折り返したような、側面視でL字状の折り返し部563bを有し、この折り返し部563bにより間隙563aの下方及び前方が囲まれている。第1ホルダ部512は、パネル部521の下端に形成された下側被支持部551が間隙563aに嵌入されることで、下側支持フック563によって下方から支持される。また、左右の下側支持フック563は、中央へ近づくに従って(換言すれば、延設部分561bに近づくに従って)下方へ向かうように傾斜している。従って、下側支持フック563は下側被支持部551の下端縁に対して線接触して第1ホルダ部512を安定的に支持すると共に、折り返し形状により下側被支持部551が下側支持フック563から離脱するのを防止する。
中央支持フック564は、上方に開口した間隙564aを有するフック形状を成している。具体的には、中央支持フック564は、延設部分561bの下端から延びる横長の板材を前方へ折り更に上方へ折り返したような折り返し部564bと、延設部分561bの右端から延びる縦長の板材を前方へ折り更に左方向へ折り返したような折り返し部564cとを有している。これらの折り返し部分564b,564cは互いに接続されて、正面視でL字状(左右逆のL字状)を成し、間隙564aの下方、右側、及び前方を囲んでいる。第1ホルダ部512は、パネル延設部540及継手ホルダ541が間隙564aに嵌入されることで、中央支持フック564によって下方から支持される。
本体プレート560のうち上側の第2プレート562は、第2ホルダ部513が有するパネル部521に対応する矩形部分562aと、この矩形部分562aから下方へ延びて第2ホルダ部513が有するパネル延設部540に対応する延設部分562bとを有している。延設部分562bは矩形部分562aの下端の中央左寄りの位置に接続されており、かつ、その下端は第1プレート561の上端にも接続されている。従って、延設部分562bにより、第1プレート561と第2プレート562とは一体的に接続されている。
第1プレート561の矩形部分561aの左右の側端部の上端部、及び、第2プレート562の矩形部分562aの左右の側端部の上端部には、上側支持フック565が前方へ突設されている。上側支持フック565は、各矩形部分561a,562aの側端部から前方へ延びた後に上方へ延びた折り返し形状を有し、側面視でL字状を成している。このような上側支持フック565は、上下のパネル部521の側端部に突設された各上側被支持部550を下方から支持する。また、左右の上側支持フック565の離隔寸法は、対応するパネル部521の左右方向の寸法と同一から、若干大きくなるように設定されている。
また、図2~図4に示すように、血液処理装置400において、下側の第1プレート561の近傍には2つの継手支持部570,571が設けられている。一方の継手支持部570は、第1プレート561の左下方向近傍位置に設けられ、他方の継手支持部571は、第1プレート561の右上方向近傍位置に設けられている。これらの継手支持部570,571は、ホルダハンガー503と同様に血液処理装置400の側壁部などに設けられ、かつ、血液処理装置400が備える重量センサの計量対象外とされている。
このような継手支持部570,571により、バッグユニット501の2つのL字継手253,263が支持される。つまり、継手支持部570,571は、各液体バッグ240のチューブ接続部245に対して側方にオフセットした位置で、共通ライン211あるいは回収ライン230を支持している。なお、いずれの継手支持部570,571も、L字継手253,263を血液処理装置400に対して固定的に支持できる構成であればよく、L字継手253,263を把持する構成や線材で縛る構成など、その具体的な構成は限定されない。
上記のようなホルダハンガー503は、本体プレート560に形成された複数の貫通孔566に通されたネジ等の締結手段により、血液処理装置400に取り付けられる。そして、血液処理装置400に取り付けられたホルダハンガー503により液体バッグセット500を支持すると、血液処理装置400が備える重量センサによって液体バッグセット500の重量が計測可能となる。
[2-4.液体バッグセットの支持態様]
液体バッグセット500(バッグユニット501およびバッグホルダ502)を、ホルダハンガー503を介して血液処理装置400に支持する態様について説明する。はじめに、バッグホルダ502によりバッグユニット501が支持される。このときバッグユニット501の各液体バッグ240は空の状態である。
具体的には、バッグホルダ502の各支持アーム511が前方へ折り倒され、これらは対応する各貫通孔244へ通される。すなわち、支持アーム511の先端部531が貫通孔244に通され、切込部532により貫通孔244の左右外側部分が挟持される。このとき、支持アーム511の基端部530の幅寸法D2が、貫通孔244のスリット長D1よりも大きいため、支持アーム511のうち先端部531のみを貫通孔244に通すことができる。これにより、液体バッグ240の上端のフランジ部243は、バッグホルダ502に対して所定寸法(基端部530の縦寸法)だけ前方へ離隔した状態で支持される。よって、液体バッグ240は、バッグホルダ502により過剰に圧迫されないため、貯留室242に多くの液体を貯留することができる。
更にバッグユニット501において各液体バッグ240に近い方のL字継手251,261が、バッグホルダ502の各継手ホルダ541に支持される。すなわち、下側のL字継手251は、第1ホルダ部512が有する継手ホルダ541の嵌合溝543に嵌合し、2つの突出部542の間に挟持される。同様に、上側のL字継手261は、第2ホルダ部513が有する継手ホルダ541の嵌合溝543に嵌合し、2つの突出部542の間に挟持される。このとき、既に述べたように各嵌合溝543は内部543aの溝幅寸法D5よりも開口端543bの開口寸法D6の方が小さいため、挟持されたL字継手251,261の脱落が防止される。
このように各液体バッグ240は、上部2か所と下部1か所とでバッグホルダ502に対して3点支持されている。なお、図3および図4から分かるように、例えばバッグホルダ502における下側の支持アーム511と継手ホルダ541との間の上下方向の離隔寸法は、下側の液体バッグ240に関する貫通孔244とL字継手251との間の上下方向の離隔寸法よりも小さい。換言すれば、バッグホルダ502における1つの液体バッグ240に対する上下の支持位置間の離隔寸法は、当該液体バッグ240の上下の被支持位置間の離隔寸法よりも小さい。従って、バッグホルダ502に支持された液体バッグ240は、上下方向に過剰な張力がかからず、一部が前方へ撓んだ状態となっている。これにより、液体バッグ240に作用する応力を低減でき、貯留室242に液体を入れる際の液圧が小さくて済むため、スムーズに液体を貯留することができる。
上記のようにして各液体バッグ240がバッグホルダ502に支持されることで、バッグユニット501およびバッグホルダ502が一体となって液体バッグセット500となる。次に、この液体バッグセット500がホルダハンガー503により支持される。
具体的には、第1ホルダ部512及び第2ホルダ部513が有する計4つの上側被支持部550が、パネルハンガー503の左右の上側支持フック565に懸架される。これと共に、下側の第1ホルダ部512が有する左右の下側被支持部551が、パネルハンガー503の左右の下側支持フック563に懸架され、第1ホルダ部512が有するパネル延設部540及び継手ホルダ541が、パネルハンガー503の中央支持フック564に懸架される。
更に、血液処理装置400が有する継手支持部570により、第1液体バッグ212に接続された共通ライン211の途中のL字継手253が支持され、継手支持部571により、第2液体バッグ230に接続された回収ライン230の途中のL字継手263が支持される。これにより、バッグユニット501は、L字継手253,263を境にして、血液処理装置400の重量センサによって計量される計量部分Aと、計量されない非計量部分Bとに分けられる。計量部分Aは、液体バッグ240、第1チューブ250,260、L字継手251,261、および第2チューブ252,262を含む。非計量部分は、L字継手253,263および第3チューブ254,264を含む。
このように、共通ライン211および回収ライン230の途中を、血液処理装置400において重量センサに計量されない部分に固定的に支持させることで、重量センサによる計量部分Aと非計量部分Bとが明確に区切られるため、各ライン211,230の姿勢が変位するなどしても、液体バッグ240を正確に計量することができる。また、液体バッグ240とバッグホルダ502とを別体にして、それぞれに好適な材料を選択可能としているので、正確な計量と低価格化とを両立し得る液体バッグセット500を実現することができる。
[3.ポンプチューブセット]
図1に示すように、本実施の形態に係る血液処理回路1は、ライン213,214,230をポンプユニット202にセットするにあたり、作業の利便性を向上すべく、各ライン213,214,230を一体的に支持するチューブホルダ224を備えている。このチューブホルダ224と、チューブホルダ224により支持されるライン213,214,230とから成るポンプチューブセット600について、図7~図9も参照して詳述する。なお、以下ではライン213,214,230のうちポンプチューブセット600に含まれる部分を構成する各チューブを、チューブ601と称する。
図7ではチューブホルダ224について3図を示しており、左側にはチューブホルダ224を右側から見た図を、中央にはチューブホルダ224を後方から見た図を、右側にはチューブホルダ224を左側から見た図を、それぞれ示している。この図7に示すように、チューブホルダ224は、上下方向に長寸の板状(あるいは、帯状)を成すホルダ本体602と、ホルダ本体602に突設された板状のリブ603とを有している。ホルダ本体602は、ポンプユニット202の上下方向寸法に対応する長さLを有し、チューブ601の直径よりも大きい幅寸法W1を有している。このホルダ本体602は、主面を左右に向けて配設される。
ホルダ本体602は、上端部および下端部が円弧状の輪郭に形成されており、ライン213,214,230に対応する3つの挿通孔604が形成されている。3つの挿通孔604は、ホルダ本体602の長辺に沿って並べられ、各チューブ601を個別に支持する支持部を成す。すなわち、中央の挿通孔604は透析液ライン213のチューブ601を支持し、上側の挿通孔604は後補液ライン214のチューブ601を支持し、下側の挿通孔604は回収ライン230のチューブ601を支持する。従って、各挿通孔604は、チューブ601の直径と同一又は若干小さい直径W2を有している。
各挿通孔604は、ホルダ本体602の幅方向の一方(図7の後方)に偏在している。すなわち、各挿通孔604の中心は、ホルダ本体602の幅方向の中心よりも、後ろ寄りに位置している。更に、ホルダ本体602の後ろ側の長辺の縁部において、各挿通孔604に対応する箇所には切り欠き605が形成されている。従って、各挿通孔604は切り欠き605により部分的に後方に開放されており、この切り欠き605を通じて可撓性のチューブ601が挿通孔604に嵌め込めるようになっている。
ホルダ本体602において、中央の挿通孔604とホルダ本体602の前側の長辺の縁部との間に、リブ603が設けられている。本実施の形態では、リブ603はホルダ本体602の前側の長辺の縁部と、側面視で面一になるように設けられている。このリブ603は、上下方向の長寸の板状を成しており、その幅方向はホルダ本体602の主面に交差する方向(図7では、直交する方向)と一致している。ホルダ本体602の上下方向の中央部分は、中央の挿通孔604の存在により残余部分の幅寸法が小さくて強度が小さくなりがちであるが、リブ603により当該部分の強度が補われている。
リブ603は、ホルダ本体602の左の主面から左方向へ延びるリブ603aと、ホルダ本体602の右の主面から右方向へ延びるリブ603bとを有し、2つのリブ603a,603bの上下方向の位置は一致している。一方で、リブ603の長手方向の中央位置は、中央の挿通孔604の中心に対して上下方向の位置が一致しておらず、中央の挿通孔604の中心よりも上方に位置している。
左側のリブ603aは、全体において厚み寸法が同一となるように形成されている。一方、右側のリブ603bは、その上部610は左側のリブ603aと同一の厚み寸法を成し、下部611はそれよりも小さい厚みに形成されている。より具体的には、右側のリブ603bにおいて、上部610と下部611の全面は面一であるが、下部611の後面は上部610の後面よりも前方へオフセットしている。また、リブ603bの下部611は、中央の挿通孔604の前方に位置しており、上部610は挿通孔604よりも上方に位置している。このように、リブ603bにおいて挿通孔604に隣接する下部611の後面を前方(挿通孔604から離れる方向)へオフセットすることで、この挿通孔604に挿通されるチューブ601のジョイント620(図8参照)との干渉を回避している。
図8に示すように、ポンプチューブセット600においてチューブホルダ224は、3つのライン213,214,230を成す3つのチューブ601を支持している。このうち透析液ライン213を成すチューブ601の両端にはジョイント620が取り付けられ、このジョイント620を介して透析液ライン213を成す他のチューブに接続されている。後補液ライン214を成すチューブ601の両端にもジョイント620が取り付けられ、このジョイント620を介して後補液ライン214を成す他のチューブに接続されている。回収ライン230を成すチューブ601の両端にもジョイント620が取り付けられ、このジョイント620を介して回収ライン230を成す他のチューブに接続されている。
チューブホルダ224は、各チューブ601のうち右側のジョイント620の近傍左側の位置を支持している。なお、ジョイント620は、チューブホルダ224の貫通孔604の切り欠き605や、貫通孔604の径(W2)よりも小さい径となっている。
各チューブ601の両端に取り付けられた2つのジョイント620には、互いに異なる色が付されている。例えば本実施の形態では、透析液ライン213では、チューブ601の左側(透析液の通流方向上流側)のジョイント620には赤色が付され、右側(同下流側)のジョイント620は透明色となっている。後補液ライン214では、チューブ601の左側(後補液の通流方向上流側)のジョイント620には赤色が付され、右側(同下流側)のジョイント620は透明色となっている。回収ライン230では、チューブ601の左側(排液の通流方向下流側)のジョイント620は透明色で、右側(同上流側)のジョイント620には赤色が付されている。また、各チューブ601において、左側のジョイント620とチューブホルダ224との間の所定部分は、ポンプユニット202により加圧される被加圧部分601aを成している。
図9は、ポンプチューブセット600をポンプユニット202から少し離して配置した状態の斜視図である。この図9に示すように、ポンプユニット202は、上から順に3つのフィンガーポンプ221~223を有し、これらにより各チューブ601の被加圧部分601aが挟持され加圧されることで、チューブ601内の液体が所定方向へ送られる。本実施の形態では、上側のフィンガーポンプ221が駆動すると後補液ライン214のチューブ601内の補液が図の右方向へ送られ、中央のフィンガーポンプ222が駆動すると透析液ライン213のチューブ01内の透析液が図の右方向へ送られ、下側のフィンガーポンプ223が駆動すると回収ライン230のチューブ601内の排液が図の左方向へ送られる。また、ポンプユニット202は、フィンガーポンプ221~223の左側にジョイント装着部630を有し、右側にホルダ装着部640を有している。
左側のジョイント装着部630は、各チューブ601の左側のジョイント620に対応して3つ設けられている。各ジョイント装着部630は、前方へ開口した凹部を成し、正面視で、ジョイント620を前方から見たときの輪郭と整合する形状となっている。右側のホルダ装着部640は、上下方向の長寸を成す凹状の溝641を有し、この溝641は左右の壁部642,643により挟まれている。左側の壁部642は、チューブホルダ224に支持される3つのチューブ601に対応する切り欠き642aを有し、右側の壁部643は、各チューブ601の右端に取り付けられたジョイント620に対応する切り欠き643aを有している。これらの切り欠き642a,643aは、左右方向及び前方へ開口している。
更に、左右の壁部642,643の中央前部には、後方へ窪んだリブ嵌合部642b,643bが形成されている。このリブ嵌合部642b,643bは、上下方向の中央の切り欠き642a,643aの前部から上方へ延びており、チューブホルダ224がホルダ装着部640に正しく装着された場合にリブ603が嵌合する。具体的には、左側のリブ嵌合部642aには左側のリブ603aが前方から嵌合し、右側のリブ嵌合部643aには右側のリブ603bが前方から嵌合する。
右側の壁部643には、バネ等により左方向へ付勢された球体651aを有する可動凸部651が設けられており、球体651aは右側の壁部643の左側面から左方向へ部分的に突出している。このような可動凸部651は、3つの切り欠き643aのうち、中央及び上側の2つの切り欠き643aの間にて上側の切り欠き643aに近い位置、並びに、中央及び下側の2つの切り欠き643aの間にて下側の切り欠き643aに近い位置、の2か所に設けられている。一方、チューブホルダ224には、可動凸部651に対応する凹部652が設けられている。凹部652は、上下に並ぶ3つの挿通孔604のうち、中央及び上側の2つの挿通孔604の間にて上側の挿通孔604に近い位置、並びに、中央及び下側の2つの挿通孔604の間にて下側の挿通孔604に近い位置、の2か所に設けられている。本実施の形態において、各凹部652は、ホルダ本体602を左右方向(厚み方向)に貫通する貫通孔として形成されている。
このような可動凸部651及び凹部652により、節度機構650が構成されている。すなわち、チューブホルダ224をホルダ装着部640に嵌めていくと、はじめに、ホルダ本体602の前部側面によって可動凸部651が右方向へ押圧されて球体651aは退行する。更にチューブホルダ224を奥へ嵌めていき、所定の位置(適切な装着ポジション)に到達すると、ホルダ本体602の凹部652は可動凸部651の側方に正対する。このとき可動凸部651の球体651aがホルダ本体602側へ付勢されて突出し、凹部652に嵌まる。このように、チューブホルダ224がホルダ装着部640に対して正しく装着されると、可動凸部651と凹部652とが係合し、球体651aが突出する際に節度感が生じるようになっている。なお、節度機構650の構成は上記に限られず、チューブホルダ224の装着時に作業者へ節度感を付与できれば、他の構成も採用し得る。
また、チューブホルダ224のリブ603は、チューブホルダ224をホルダ装着部640に装着する際に、作業者の指による圧力を受ける受圧部を成している。すなわち、チューブホルダ224は、リブ603の左右の端部が例えば親指と中指とで把持されつつ、人差し指の指先によりリブ603の前面が後方へ押圧されることで、ホルダ装着部640に装着される。ただし、チューブホルダ224のホルダ装着部640への装着手順は上記に限られず、他の把持態様により装着することとしてもよい。
ところで、上記説明から分かるように、チューブホルダ224は、ホルダ装着部640に対して装着できる姿勢(第1の姿勢)が1つに定まっており、その他の姿勢(第2の姿勢)では装着できない。具体的には、図9に示すように、リブ603が前側(手前側)に位置すると共に、リブ603が上下方向の中央位置より上方に偏在するのが第1の姿勢であり、この姿勢のとき、ホルダ装着部640に適切に装着される。これに対し、第1の姿勢から前後逆向きの姿勢では、リブ603が左右の壁部642,643の前端に当接し、ホルダ本体602が溝641に嵌まらない。また、第1の姿勢から上下逆向きの姿勢では、リブ603がリブ嵌合部642b,643bに嵌まらず、ホルダ本体602も溝641の途中までしか嵌まらないようになっている。従って、チューブホルダ224の向きの誤認を防止することができる。
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2に係る液体バッグセット及びポンプチューブセットを含む血液処理回路の全体構成を示す模式図である。ここでは、実施の形態1と同様に、一例としてRRTのうちHDFに用いられる血液処理回路1Aを例示している。この血液処理回路1Aは、概ね図1の血液処理回路1と同じであるが、一部のラインの接続態様が図1の血液処理回路1とは異なっている。以下、この相違点について具体的に説明する。なお、図10の血液処理回路1Aにおいて図1の血液処理回路1の構成と対応する構成には同一の符号を付している。
図10の血液処理回路1Aでは、ポンプユニット202を通る3本のライン213,214,230のうち、透析液ライン213および回収ライン230と濾過器102との間の接続態様が、図1の血液処理回路1と異なっている。すなわち、透析液ライン213は、ポンプユニット202から下流側(図10の右側)へ向かうと、透析液ヒータ303の上部から延出する透析液加温ライン301に接続される。透析液加温ライン301は、透析液ヒータ303の内部を上部から下部へ向かい、更に透析液ヒータ303の下部から延出し、濾過器102の上部に設けられた透析液ポート124に接続される。一方、回収ライン230は、濾過器102の下部に設けられた排液ポート25に上流端が接続される。
以上のような血液処理回路1Aについても、実施の形態1に係る血液処理回路1と同様の作用効果を奏することができる。
この血液処理回路1Aを使用する場合のプライミングの手順について、図10および図11を参照しつつ概説する。図11は、図10の回路において濾過器の向きを天地(上下)反転させたときの構成を示す模式図である。プライミングでは、血液ポンプ110およびポンプユニット202を駆動して各部に生理食塩水を通すことにより、洗浄および空気抜き等が行われる。
具体的には、血液処理回路1Aのプライミングには次の(1)~(9)の手順が含まれる。なお、以下では主としてポンプ110,202の駆動および生理食塩水の流れに言及し、その他の操作の説明は省略するが、各手順の実行に必要なクランプの開閉操作等は適宜行われる。
(1)図10の状態で、脱血ライン101から分岐する生食ライン111に、生理食塩水の入ったバッグ112を接続する。
(2)血液ポンプ110を駆動する。これにより、生理食塩水を、生食ライン111、脱血ライン101、動脈圧チャンバ115、濾過器102(濾過器102のフィルタ121内)、返血ライン103(途中、混合チャンバ130を通る)の順に通す。
(3)濾過器102の天地を反転させ、図11の状態にする。
(4)再びバッグ112から生理食塩水を回路1Aに通し、血液ポンプ110を駆動すると共に、ポンプユニット202のうち回収ライン230がセットされたフィンガーポンプ222を、治療時の運転と同じ正方向に駆動する。これにより、生理食塩水を、生食ライン111、脱血ライン101、動脈圧チャンバ115、濾過器102、回収ライン230、廃棄ライン232の順に通す。
(5)回収ライン230がセットされたフィンガーポンプ222に替えて、透析液ライン213がセットされたフィンガーポンプ222を、治療時の運転と反対の逆方向に駆動する。これにより、生理食塩水を、生食ライン111、脱血ライン101、動脈圧チャンバ115、濾過器102、透析液加温ライン301、透析液ライン213、第1液体バッグ212の順に通す。
(6)血液ポンプ110を停止し、生理食塩水の入った貯留バッグ210を共通ライン211に接続する。更に、透析液ライン213がセットされたフィンガーポンプ222を、治療時の運転と同じ正方向に駆動すると共に、回収ライン230がセットされたフィンガーポンプ222も、治療時の運転と同じ正方向に駆動する。これにより、生理食塩水を、共通ライン211、透析液ライン213、透析液加温ライン301、濾過器102、回収ライン230、廃棄ライン232の順に通す。
(7)生理食塩水の入ったバッグ112を生食ライン111に接続し、血液ポンプ110を駆動すると共に、透析液ライン213がセットされたフィンガーポンプ222を、治療時の運転と反対の逆方向に駆動する。これにより、生理食塩水を、生食ライン111、脱血ライン101、動脈圧チャンバ115、濾過器102、透析液加温ライン301、透析液ライン213、共通ライン211、貯留バッグ210の順に流す。
(8)ポンプ110,222を停止する。貯留バッグ210内の生理食塩水を、自重により共通ライン211を経て第1液体バッグ212へ流す。
(9)後補液ライン214がセットされたフィンガーポンプ222を、治療時の運転と同じ正方向に駆動する。これにより、第1液体バッグ212内の生理食塩水を、後補液ライン214、後補液加温ライン302、混合チャンバ130、返血ライン103の順に流す。
ところで、この血液処理回路1Aを構成する処理液用セット200は、血液処理装置400や他のラインと接続するときに誤接続が発生するのを防止するため、マーキングが付されている。図12の展開状態の処理液用セット200では、各マーキングを三角形のアイコンで示している(図10および図11も同様)。これに示すように、透析液ライン213における透析液加温ライン301との接続部の近傍に、マーキング710が付されている。このマーキング710は例えばカラーテープから成り、例えば緑色である。そして透析液加温ライン301における透析液ライン213との接続部の近傍にも、同色である緑色のカーキングが付されている(図示せず)。
同様に、後補液ライン214における後補液加温ライン302との接続部の近傍に、青色のカラーテープから成るマーキング711が付されている。そして後補液加温ライン302における後補液ライン214との接続部の近傍にも、同色である青色のマーキングが付されている(図示せず)。また、回収ライン230における排液ポート125との接続部の近傍、および、圧力測定ライン703における血液処理装置400との接続部の近傍に、黄色のカラーテープから成るマーキング712,713が付されている。そして、排液ポート125および血液処理装置400における圧力測定ライン703との接続部にも、同色である黄色のマーキングが付されている。
これにより、処理液用セット200の各ラインを他のライン等と接続する際、接続の組み合わせを容易に把握でき、誤接続の発生を防止することができる。
また、この処理液用セット200は複数のラインを有するため、未使用時にライン同士が絡まったりすると使用する際に取り扱いに手間がかかる場合があるが、未使用時にライン同士を束ねておくことにより、取り扱いを容易にしている。
すなわち、図13に示すように、未使用時の処理液用セット200では、クリップ720~723により、複数のラインが束ねられている。具体的には、廃棄ライン232が円環状に巻回された束が小クリップ720により保持され、共通ライン211が円環状に巻回された束が小クリップ721により保持され、更に、これら廃棄ライン232の束と共通ライン211の束とが大クリップ722により一緒に保持されている。更に、透析液ライン213が円環状に巻回された束と、回収ライン230が円環状に巻回された束とが、大クリップ723により一緒に保持されている。
これにより、未使用の処理液用セット200が保存袋に収容されている間や、治療の準備をするにあたって処理液用セット200を保存袋等から取り出したときに、複数のラインが絡まってしまうのを防止できるため、使用時の手間を削減できる。