以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る印刷装置の一例として、テープ状の被印刷媒体に感熱方式による印刷を行い、かつカッターにより被印刷媒体をカットして装置筐体の外部に排出することが可能な、ラベルプリンタ等と呼ばれる印刷装置を挙げる。また、以下の説明では、例示する印刷装置及び類似する印刷装置における既知の構成、機能、及び動作等に関する詳細な説明は省略する。
図1は、一実施形態に係る印刷装置の外観構成の一例を示す平面図である。図2は、図1の印刷装置における蓋を開いた状態の部分平面図である。
図1及び図2に例示した印刷装置1は、装置筐体2と、装置筐体2に取り付けられた蓋4とを有する。装置筐体2には、テープアダプタ11を装着する凹形状のアダプタ装着部201が設けられている。テープアダプタ11は、テープ状の被印刷媒体13を巻き取ってロールにしたもの(以下「テープロール12」という)を収容し、印刷装置1に被印刷媒体13を供給する容器である。図1及び図2における下線が引かれた「9」という数字は、テープアダプタ11に収容された被印刷媒体13の幅が9mmであることを示す。
装置筐体2のアダプタ装着部201は、装置筐体2の側面に設けられた排出口202と通じており、アダプタ装着部201に装着されたテープアダプタ11から引き出された被印刷媒体13を装置筐体2に設けられた搬送経路に沿って搬送し、排出口202から排出することができる。装置筐体2には、テープアダプタ11から引き出された被印刷媒体13を搬送するプラテンローラ(搬送ローラ)6、被印刷媒体13への印刷を行う印刷ユニット7、及び被印刷媒体13をカットするカットユニット8が配置されている。
蓋4は、装置筐体2におけるアダプタ装着部201を開閉可能(言い換えると、アダプタ装着部201を覆う閉位置とアダプタ装着部201を開放してテープアダプタ11の着脱を可能にする開位置との間で移動可能)なように、装置筐体2に取り付けられている。
図1及び図2に例示した印刷装置1では、装置筐体2における閉位置の蓋4と干渉しない領域にキーボード3が設けられており、蓋4の表面にディスプレイ5が設けられている。キーボード3は、印刷装置1の動作に関する各種情報の入力や選択を行うための複数のキーを有する入力装置である。ディスプレイ5は、キーボード3により入力または選択された各種情報を表示する表示装置である。
図3は、被印刷媒体の搬送経路の一例を説明する図である。図3には、印刷装置1における被印刷媒体13の搬送経路を直線状の経路として模式的に示している。
テープロール12からほどかれて印刷装置1に供給される被印刷媒体13は、プラテンローラ6と印刷ユニット7のサーマルヘッド701との間を通り、装置筐体2の排出口202に通じる搬送経路に沿って搬送される。被印刷媒体13は、例えば、蓋4が閉位置に移動することによりプラテンローラ6の周面とサーマルヘッド701とで挟持され、プラテンローラ6が回転することにより搬送経路に沿って搬送される。本実施形態の印刷装置1におけるプラテンローラ6は、図示しないモータの動力により、被印刷媒体13を排出口202に向けて送り出す第1の回転方向に回転させることと、第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転させることができる。以下の説明では、プラテンローラ6の第1の回転方向の回転を正転といい、プラテンローラ6を正転させたときの被印刷媒体13の搬送方向を順方向という。また、以下の説明では、プラテンローラ6の第2の回転方向の回転を逆転といい、プラテンローラ6を逆転させたときの被印刷媒体13の搬送方向を逆方向という。
印刷装置1は、順方向に搬送される被印刷媒体13に対しサーマルヘッド701から熱を印加することにより被印刷媒体13への印刷を行う。以下の説明では、搬送経路における被印刷媒体13とサーマルヘッド701とが接触する位置を、印刷位置という。
搬送経路に沿って搬送される被印刷媒体13は、印刷位置と排出位置(装置筐体2の排出口202と対応する位置)との間であって、印刷位置から距離L1のフルカット位置(第1のカット位置)で第1のカッター801によりカットすることができる。また、搬送経路に沿って搬送される被印刷媒体13は、フルカット位置と排出位置との間であって、フルカット位置から距離L2のハーフカット位置(第2のカット位置)で第2のカッター802によりカットすることができる。第1のカッター801は、フルカット位置にある被印刷媒体13のカットラインで被印刷媒体13全体をカットし2つに分離するカッターである。第2のカッター802は、ハーフカット位置にある被印刷媒体13のカットラインで被印刷媒体13をカットしたときに、そのカットラインを境とする両側がカットされなかった部分により一体の状態を維持するように被印刷媒体13をカットするカッターである。例えば、第2のカッター802は、粘着テープ層とその粘着テープ層の粘着面を保護する保護層とを含む被印刷媒体13における粘着テープ層のみをカットするカッターである。また、第2のカッター802は、例えば、カットラインにミシン目が入るように被印刷媒体13をカットするカッターであってもよい。
また、印刷装置1には、搬送経路におけるハーフカット位置と排出位置との間で被印刷媒体13を挟持し、被印刷媒体13の順方向の搬送を補助する一対の排出ローラ1501及び1502が設けられている。排出ローラ1501及び1502は、例えば、第1のカッター801で被印刷媒体13をカットしたときに、フルカット位置よりも下流側に位置する被印刷媒体13(以下「ラベル」ともいう)が順方向に搬送されるよう動作する。以下の説明では、搬送経路における排出ローラ1501及び1502により被印刷媒体13を挟持する位置を排出ローラ位置という。排出ローラ位置は、フルカット位置と排出位置との間であって、フルカット位置から距離L3(>L2)の位置である。
更に、以下の説明では、搬送経路上のある位置との搬送方向での相対的な位置関係、及び被印刷媒体13上のある位置との搬送方向での相対的な位置関係を言及する場合に、図3に示したような「上流」及び「下流」という用語を使用する場合がある。ある位置から見て逆方向となる方向又はその方向にある位置を上流といい、ある位置から見て順方向となる方向又はその方向にある位置を下流という。例えば、フルカット位置は、印刷位置の下流にあり、かつ排出ローラ位置の上流にある。
図4は、一実施形態に係る印刷装置のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
図4に例示した印刷装置1は、制御部100、記憶部120、入力部130、表示部140、搬送処理部150、印刷処理部160、カット処理部170、センサ180、及び通信部190を含む。
入力部130は、印刷装置1に各種情報を入力する入力装置であり、例えば、上述したキーボード3を含む。表示部140は、印刷装置1の利用者に対し各種情報を表示する表示装置であり、例えば、上述したディスプレイ5を含む。
搬送処理部150は、制御部100による制御のもと被印刷媒体13の搬送処理(搬送動作)を行う。搬送処理部150は、例えば、プラテンローラ6、プラテンローラ6に連結されたモータ、モータを駆動する駆動回路、及びプラテンローラ6の回転数(回転角)を検出するエンコーダを含む。印刷処理部160は、制御部100による制御のもと被印刷媒体13への印刷処理(印刷動作)を行う。印刷処理部160は、上述した印刷ユニット7と対応し、例えば、サーマルヘッド701、サーマルヘッド701の発熱素子を駆動する駆動回路、及びサーマルヘッド701の温度を検出するサーミスタを含む。カット処理部170は、制御部100による制御のもと被印刷媒体13をカットするカット処理(カット動作)を行う。カット処理部170は、上述したカットユニット8と対応し、例えば、第1のカッター801、第2のカッター802、各カッターに連結されたモータ、モータを駆動する駆動回路、及び一対の排出ローラ1501及び1502を含む。
制御部100は、搬送処理部150、印刷処理部160、及びカット処理部170の各処理部の動作の制御を含む、印刷装置1の各種動作を制御する。本実施形態の印刷装置1における制御部100は、搬送動作調整部101を含む。搬送動作調整部101は、第1のカッター801により被印刷媒体13をカットした後で被印刷媒体13への印刷を行うときの、搬送処理部150による印刷開始前の被印刷媒体13の搬送動作を調整する。具体的には、搬送動作調整部101は、印刷データに基づいて導出される印字長LPと、印刷装置1において第1のカッター801により被印刷媒体13をカットして作成することが可能なラベルの最短長(以下「最短ラベル長」という)LL0と搬送経路における印刷位置から第1のカッター801と対応付けられるフルカット位置までの距離L1とを利用して設定された印字長閾値LTHと、の差分LD=LTH-LPに基づいて、印刷開始前の被印刷媒体13の搬送方向及び搬送量を調整(導出)する。最短ラベル長LL0は、例えば、図3を参照して説明した搬送経路におけるフルカット位置から排出位置までの距離に基づいて設定される。
制御部100による制御は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが記憶部120に記憶させたプログラムを実行することにより行われる。制御部100は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等でもよい。
記憶部120は、制御部100としてのプロセッサが実行する各種プログラム、プログラムを実行する際に利用する各種データ等を記憶する。記憶部120は、RAM(Random Access Memory)121、及びROM(Read Only Memory)122を含む。
センサ180は、例えば、テープアダプタ11が装着されているか否かや、装着されているテープアダプタ11から供給される被印刷媒体13の幅等を検出する。通信部190は、例えば、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等の外部装置との通信を行う通信インタフェースである。通信部190は、既知の近距離無線通信規格に従った無線通信、及びUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等の伝送ケーブルを利用した有線での通信の少なくとも一方を行うことができる。
本実施形態の印刷装置1は、例えば、利用者が入力部130(キーボード3)を操作して印刷レイアウトを作成し、余白、印刷枚数、カット等に関する設定をした後、印刷開始の指示が入力されると、印刷データを作成し、その印刷データに基づいて被印刷媒体13に印刷内容を印刷する処理(動作)等を行いラベルを作成する。
図5は、一実施形態に係る印刷装置が行う処理の一例を説明するフローチャートである。図5には、本実施形態の印刷装置1が行う処理のうち、第1のカッター801で被印刷媒体13をカットした後で、印刷データに基づく被印刷媒体13への印刷内容の印刷及び被印刷媒体13のフルカットをしてラベルを作成するときの処理を例示している。すなわち、図5に例示した処理を印刷装置1が開始するときには、被印刷媒体13の始端(下流端)が搬送経路のフルカット位置にある。なお、第1のカッター801で被印刷媒体13をカットする処理(動作)と図5に例示した処理とは、連続して行われる処理であってもよいし、互いに独立した個別の処理であってもよい。
印刷装置1は、まず、印刷データに基づいて印字長LPを導出する(ステップS1)。ステップS1は、制御部100が行う。制御部100は、印刷データに含まれる印刷レイアウト(印刷する文字や図形の種類、配置、フォントサイズ等)等に基づいて被印刷媒体13に印刷内容を印刷するために必要な被印刷媒体13の搬送方向に沿った長さを印字長LPとして導出する。
次に、印刷装置1は、印刷前に被印刷媒体13をハーフカットするか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の判定は、制御部100が行う。制御部100は、印刷データに含まれるカットに関する設定に基づいて、印刷前にハーフカット(第2のカッター802によるカット)をするか否かを判定する。印刷前にハーフカットをする場合(ステップS2;YES)、印刷装置1は、搬送量L2+LB0だけ被印刷媒体13を順方向に搬送してハーフカットし(ステップS3)、続けて搬送量L1+L2-LB1だけ被印刷媒体を逆方向に搬送する(ステップS4)。ステップS3の搬送量L2+LB0において、L2は搬送経路におけるフルカット位置からハーフカット位置までの距離であり、LB0は被印刷媒体13の始端からハーフカットするラインまでの距離(余白長)LB0である。ステップS4の搬送量L1+L2-LB1におけるLB1は、被印刷媒体13のハーフカットされたラインと印刷領域との間に設ける余白(以下「始端側余白」という)の搬送方向の長さ(余白長)である。
ステップS3及びS4の後、印刷装置1は、被印刷媒体13を順方向に搬送しながら印刷し(ステップS10)、続けて被印刷媒体13を順方向に搬送してフルカットし(ステップS11)、処理を終了する。
一方、印刷前にハーフカットをしない場合(ステップS2;NO)、印刷装置1は、次に、自装置における印字長閾値LTHと導出した印字長LPとの差分LD=LTH-LPを導出し(ステップS5)、差分LDが正の値(LD>0)であるか否かを判定する(ステップS6)。ステップS5及びS6は、制御部100(より具体的には、搬送動作調整部101)が行う。印字長閾値LTHは、最短ラベル長のラベルを作成するときに、被印刷媒体13の始端がフルカット位置にある状態で印刷領域の始端が印刷位置になるように印刷領域を設定することが可能な印字長の最大値である。印字長閾値LTHは、例えば、自装置(印刷装置)における最短ラベル長LL0と、印刷位置からフルカット位置までの距離L1と、被印刷媒体13に印刷を行うときに印刷領域の後端側に設ける余白(以下「後端側余白」という)の搬送方向の長さ(余白長)とに基づいて設定される。印字長閾値LTHについては、図7を参照して後述する。
LD>0の場合(ステップS6;YES)、印刷装置1は、調整搬送量LF=LD(LF=|LD|)だけ被印刷媒体13を順方向に搬送する(ステップS7)。ステップS7は、制御部100(より具体的には搬送動作調整部101)による制御のもと搬送処理部150が行う。ステップS7の後、印刷装置1は、被印刷媒体13への印刷(ステップS10)、及び被印刷媒体13のフルカット(ステップS11)を行い、処理を終了する。
LD>0ではない場合(ステップS6;NO)、印刷装置1は、次に、差分LDが負の値(LD<0)であるか否かを判定する(ステップS8)。LD<0でもない場合(ステップS8;NO)、すなわちLD=0の場合、印刷装置1は、印刷開始前の被印刷媒体13の搬送処理(動作)を行わずに、被印刷媒体13への印刷(ステップS10)、及び被印刷媒体13のフルカット(ステップS11)を行い、処理を終了する。
LD<0の場合(ステップS8;YES)、印刷装置1は、調整搬送量LF=max{LD,LB1-L1}の絶対値分だけ被印刷媒体13を逆方向に搬送する(ステップS9)。制御部100(より具体的には搬送動作調整部101)による制御のもと搬送処理部150が行う。ステップS9における調整搬送量LFは、差分LDと、差分(所定の閾値)LB1-L1のうちの大きいほうの絶対値となる。なお、差分LDは印字長LPが長くなるほど小さい値になり、差分LB1-L1は一定値である。このため、LD>LB1-L1となる印字長LPの場合には調整搬送量LF=|LD|になり、LD≦LB1-L1となる印字長LPの場合には調整搬送量LF=|LB1-L1|になる。ステップS9の後、印刷装置1は、被印刷媒体13への印刷(ステップS10)、及び被印刷媒体13のフルカット(ステップS11)を行い、処理を終了する。このようにすることで、印字長LPが十分に長い場合(例えば、LD>L1になるような場合)にも、印刷領域の始端側に所定の余白長LB1の余白を確保することができる。
図6は、一実施形態に係る印刷装置において印刷データに基づいて被印刷媒体に設定される印刷領域及び余白領域の例を説明する図である。
図6の(a)には、印刷データに基づいて作成されるラベルのラベル長LLと最短ラベル長LL0との大小関係がLL≧LL0になる印刷領域AP及び余白AB1、AB2の例を示している。被印刷媒体13に180度回転して示されている文字列「ABCDE 01」が、印刷データに基づいて被印刷媒体13に印刷される印刷内容である。印刷装置1は、印刷内容である文字列「ABCDE 01」のフォントサイズに基づいて印字長LPを導出する。図6の(a)に示した例では、文字列「ABCDE 01」の右側に二点鎖線で示したライン1305から文字列「ABCDE 01」の左側に二点鎖線で示したライン1307までの長さが印字長LPとなり、ライン1305からライン1307までの区間が印刷領域APとなる。
また、文字列「ABCDE 01」を印刷する場合、印刷装置1は、例えば、作成されたラベルにおける文字列「ABCDE 01」の左右のバランスをとること等を目的として、印刷領域APの左右に余白AB1、AB2を設けることがある。余白AB1、AB2を設けた場合、被印刷媒体13のフルカットライン1310を第1のカッター801でカットした場合に得られる切り出し領域(ラベル領域)ALの長さ(すなわちラベル長)LLは、LL=LP+LB1+LB2となる。
余白AB1の余白長LB1(被印刷媒体13の始端1301から印刷領域APの始端側のライン1305までの距離)、及び余白AB2の余白長LB2(被印刷媒体13の後端(フルカットライン1310)から印刷領域APの後端側のライン1307までの距離)は、例えば、3mmに設定される。この場合のラベル長LL(mm)は、LL=LP+6となる。このため、最短ラベル長LL0が29mmの場合、印字長LPが23mm以上であれば、印刷データに基づいて作成されるラベルのラベル長LLが最短ラベル長LL0以上になる。
なお、本実施形態に係る印刷装置1では、図6の(b)に例示したように、LP+LB1+LB2<LL0になるような印刷データに基づいてラベルを作成することも可能である。このような場合、印刷装置1は、印刷領域APと被印刷媒体13の始端1301との間に、ラベル長LL=LL0になるような余白長LBAの追加の余白ABAを設ける。すなわち、印刷データに基づいて導出される印字長LPが、最短ラベル長LL0及び余白長AB1、AB2により定まる印字長LL0-LB1-LB2よりも短い場合、被印刷媒体13のフルカットライン1310から印刷領域APの後端側のライン1307までの距離は印字長LPの値によらず所定の余白長LB2のままにし、被印刷媒体13の始端1301から印刷領域APの始端側のライン1305までの距離を長くすることにより、ラベル長LLが最短ラベル長LL0以上になるようにする。このため、LP<LL0-LB1-LB2となる条件で作成され、かつ印字長LPが異なる、ラベル長LLが最短ラベル長LL0の複数のラベルは、印刷領域APの後端側の余白AB2の余白長LB2が同一であり、印刷領域APの始端側の余白の余白長LB1+LBAが異なる。
ところが、図6の(b)を参照して説明したような方法で追加の余白ABAを設ける場合、被印刷媒体13の始端1301から印刷領域APの始端側のライン1305までの距離LB1+LBAが、印刷位置からフルカット位置までの距離L1よりも長くなることがある。例えば、余白AB1の余白長LB1(被印刷媒体13の始端1301からライン1303までの距離)、及び余白AB2の余白長LB2が3mmに設定され、最短ラベル長LL0が29mmに設定されており、印字長LPが4mmであるとすると、被印刷媒体13の始端1301から印刷領域APの始端側のライン1305までの距離LB1+LBAが22mmになる。このため、印刷位置からフルカット位置までの距離L1が、例えば19mmである場合、被印刷媒体13の始端1301がフルカット位置にあるときの印刷領域APの始端側のライン1305の搬送経路上での位置は、印刷位置よりも下流側になる。このような場合にも、従来の印刷装置では、印刷開始前に印刷位置とフルカット位置との距離L1に基づいて設定された一定の搬送量で被印刷媒体13を逆方向に搬送した後で、被印刷媒体13への印刷を行うように搬送動作を制御する。このため、従来の印刷装置では、印刷領域APの始端側のライン1305(すなわち、印刷開始ライン)を搬送経路の印刷位置に到達させるために必要のない搬送動作を行うこととなり、ラベルの作成に要する時間を短縮することが難しかった。
これに対し、本実施形態の印刷装置1は、図5を参照して説明したように、印刷データに基づいて導出した印字長LPと印字長閾値LTHとの差分LDに基づいて、印刷を開始する前に行う被印刷媒体13の印刷開始ライン1305を搬送経路の印刷位置に到達させるための搬送動作を調整し、搬送動作の無駄を削減する。
図7は、一実施形態に係る印刷装置において利用する印字長閾値の一例を説明する図である。
図7の(a)には、本実施形態の印刷装置1で利用する印字長閾値LTHの定義の一例を説明する図を示している。被印刷媒体13を用いて最短ラベル長LL0のラベルを作成する場合、被印刷媒体13の始端1301から距離LL=LL0だけ上流側のライン(フルカットライン)1310をフルカットする。印刷領域APの後端側に余白長LB2の余白AB2を設ける場合、印刷領域APの後端側のライン(印刷終了ライン)1307は、フルカットライン1310から距離LB2だけ下流側の位置となる。
ここで、図7の(a)に例示したように、最短ラベル長LL0がLL0>L1+LB2を満たしており、かつ被印刷媒体13の始端1301がフルカット位置にある場合には、被印刷媒体13における印刷位置にあるライン1305が印刷開始ラインになり得る。すなわち、印刷データに基づいて導出される印字長LPが、LP=LL0-L1-LB2を満たす場合、印刷開始前の被印刷媒体13を逆方向に搬送する動作を省略して被印刷媒体13への印刷を開始しても、ライン(印刷開始ライン)1305からライン(印刷終了ライン)1307の部分内に印刷データにより指定される印刷内容の全てを印刷することができる。この点に着目し、本実施形態の印刷装置1では、被印刷媒体13の始端1301がフルカット位置にある状態(ホームポジションの状態)であるときに印刷位置にあるライン1305を印刷開始ラインとした場合に、始端1301を一端とする最短ラベル長LL0の被印刷媒体13において取り得る印字長LPの最大値を、印字長閾値LTHにする。
例えば、図7の(b)に例示したテーブル20のように、印刷位置からフルカット位置までの距離L1が19mm、最短ラベル長LL0が29mm、終端側余白AB2の余白長LB2が3mmであるとすると、印字長閾値LTHは7mmとなる。この場合、印刷データに基づいて導出される印字長LPが7mmであれば、印刷開始前に被印刷媒体13の印刷開始ラインを印刷位置に移動させる搬送動作を省略して被印刷媒体13への印刷を開始しても、印刷開始ライン1305から印刷終了ライン1307までの部分(印刷領域AP)内に印刷データにより指定される印刷内容の全てを印刷することができる。
また、図6の(b)を参照して上述したように被印刷媒体13の始端1301と印刷領域APとの間に追加の余白ABAを付加する印刷装置1では、印刷データに基づいて導出される印字長LPが7mmよりも短い場合、図5に例示した処理の開始時における印刷開始ライン1305は、印刷位置よりも上流側になる。このため、印字長LPが7mmよりも短い場合、被印刷媒体13を順方向に搬送するだけで印刷開始ライン1305を印刷位置に移動させることができる。
一方、印刷データに基づいて導出される印字長LPが7mmよりも長い場合、図5に例示した処理の開始時における印刷開始ライン1305は、印刷位置よりも下流側にある。この場合、印刷位置から印刷開始ライン1305の位置までの距離は、被印刷媒体13の始端1301から距離(余白長)LB1だけ上流側のライン1303がある位置までの距離(すなわち追加の余白ABAの余白長LBA)以下となる。このため、印字長LPが7mmよりも長い場合、差分LD(=LTH-LP<0)と、差分LB1-L1<0のうちの大きいほうを、印刷位置から印刷開始ライン1305の位置までの距離とし、その距離と対応する搬送量だけ被印刷媒体13を逆方向に搬送すれば、印刷開始ライン1305が印刷位置に到達する。
従って、図7を参照して上述した印字長閾値LTHと、印刷データに基づいて導出される印字長LPとを利用して印刷開始前の被印刷媒体13の搬送動作(搬送方向及び搬送量)を調整することにより、必要のない逆方向への搬送や、必要以上の逆方向への搬送を抑制することができる。
なお、印字長閾値LTHと、印刷データに基づいて導出される印字長LPとを利用して印刷開始前の被印刷媒体13の搬送動作(搬送方向及び搬送量)を調整する場合、差分LDを都度算出する代わりに、印字長LPと調整搬送量LFとを関連付けたリストを利用して調整してもよい。
図8は、一実施形態に係る印刷装置における印字長と印刷開始前の搬送量との関係の一例を説明する図である。図8には、最短ラベル長LL0が29mm、印刷位置からフルカット位置までの距離L1が19mm、余白長LB1、LB2が3mmである場合の、印字長LPと調整搬送量LFとを関連付けたリストを説明するテーブル21を例示している。なお、テーブル21には、説明をわかりやすくするために差分LDの値も示しているが、実際に使用するリストでは差分LDの欄は省略される。
この条件下では、上述したように、印刷データに基づいて導出される印字長LPが7mmである場合に差分LDが0(ゼロ)になる。また、印字長LPが7mmよりも短い場合は差分LDが正の値となり、印字長LPが7mmよりも長い場合には差分LDが負の値となる。更に、図5を参照して上述したように、差分LDが負の値になる場合には、差分LDの値と、LB1-L1の値のうちの大きいほうの絶対値を調整搬送量LFに採用する。従って、印字長閾値LTHと、LB1-L1の絶対値とを定めれば、テーブル21のように、印刷データに基づいて導出した印字長LPの値と、印刷開始前に行う被印刷媒体13の搬送動作における調整搬送量LF及び搬送方向とを対応付けることができる。このため、図5に例示した処理を行う際に、印字長LPを導出する毎に差分LDを算出することなく、印刷開始前に行う被印刷媒体13の搬送動作における調整搬送量LF及び搬送方向とを決定することができる。なお、調整搬送量は、図8のリスト21に例示したような搬送方向と搬送量とを指定する情報に限らず、例えば、順方向に搬送するときの搬送量を正の搬送量とし、搬送量の正負により搬送方向を示す情報であってもよい。
以下、図9~図12を参照して、印刷開始前にハーフカットを行わない場合に本実施形態に係る印刷装置1が行う動作の具体例を説明する。
図9は、印刷データに基づいて導出される印字長が印字長閾値よりも長い場合に一実施形態に係る印刷装置が行う動作の一例を説明する図である。図10は、印刷データに基づいて導出される印字長が印字長閾値よりも長い場合に一実施形態に係る印刷装置が行う動作の別の一例を説明する図である。図11は、印刷データに基づいて導出される印字長が印字長閾値よりも短い場合に一実施形態に係る印刷装置が行う動作の一例を説明する図である。
図9には、被印刷媒体13に文字列「ABCDEFG 01」を印刷し、(a6)に例示したようなラベル13Lを作成するときに印刷装置1で行われる動作を段階的に示している。図9の(a1)及び(a2)における点線の袋文字は、まだ被印刷媒体13に印刷されていない文字を示している。
図9の(a1)には、ラベル13Lを作成するために図5に例示した処理を開始するときの、被印刷媒体13の搬送経路上での状態を例示している。(a1)に例示した被印刷媒体13は、始端(下流端)1301がフルカット位置にあるホームポジションの状態である。印刷データに基づいて導出される印字長LPがLP>(LL0-LB1-LB2)を満たす場合には、印刷装置1は、(a1)に例示したように、被印刷媒体13の始端1301からの距離が始端側余白AB1の余白長LB1となる位置を印刷開始ライン1305として印刷を開始するように、印刷開始前の被印刷媒体13の搬送動作を行う。
(a1)に示した例では、差分LD=LTH-LPは、LD<0になり(ステップS8;YES)、かつLD<LB1-L1になる。このため、印刷装置1は、印刷開始前に行う搬送動作における調整搬送量LFはLB1-L1(<0)を採用し、調整搬送量LF=|LB1-L1|(>0)だけ被印刷媒体13を逆方向に搬送する動作を行う(ステップS9)。この搬送動作により、図9の(a2)に例示したように、被印刷媒体13の始端1301からの距離が始端側余白AB1の余白長LB1となる位置(印刷開始ライン1305とする位置)が印刷位置に移動する。
印刷開始ライン1305を印刷位置に移動させた後、印刷装置1は、図9の(a3)に例示したように、被印刷媒体13を順方向に搬送しながら被印刷媒体13への印字内容の印刷を行う(ステップS10)。印刷領域APの後端(印刷終了ライン1307)が印刷位置に到達すると、印刷装置1は、被印刷媒体13への印刷を終了する。その後、印刷装置1は、図9の(a4)及び(a5)に例示したように、被印刷媒体13の順方向への搬送を継続し、カットライン1310が搬送経路のカット位置に到達した時点で被印刷媒体13の搬送(順方向への移動)が停止するように搬送処理部150の動作を制御する。カットライン1310がカット位置に到達すると、印刷装置1は、図示しない第1のカッター801で被印刷媒体13のカットライン1310をカットし、図9の(a6)に例示したように、文字列「ABCDEFG 01」が印刷されたラベル13Lを排出する。作成されたラベル13Lのラベル長LLは最短ラベル長LL0よりも長いので、ラベル13Lは、搬送経路に滞留することなく装置筐体2の排出口202から排出される。
フルカット後にフルカット位置よりも上流側に残る被印刷媒体13の部分は、カットライン1310を新たな始端として、次の印刷(ラベルの作成)に使用される。例えば、文字列「ABCDEFG 01」が印刷されたラベルを続けて作成する場合、(a1)~(a6)を参照して上述した処理が繰り返される。
図10には、被印刷媒体13に文字列「ABC 01」を印刷し、(b6)に例示したようなラベル13Lを作成するときに印刷装置1で行われる動作を段階的に示している。図10の(b1)及び(b2)における点線の袋文字は、まだ被印刷媒体13に印刷されていない文字を示している。
図10の(b1)には、ラベル13Lを作成するために図5に例示した処理を開始するときの、被印刷媒体13の搬送経路上での状態を例示している。(b1)に例示した被印刷媒体13は、始端(下流端)1301がフルカット位置にあるホームポジションの状態である。印刷データに基づいて導出される印字長LPがLP<(LL0-LB1-LB2)を満たす場合には、印刷装置1は、(b1)に例示したように、被印刷媒体13の始端1301からカットライン1310までの距離が最短ラベル長LL0になるように被印刷媒体13の始端1301と印刷領域APとの間に追加の余白ABAを挿入し、被印刷媒体13の始端1301からの距離が始端側余白AB1の余白長LB1と追加の余白ABAの余白長LABとの和になる位置を印刷開始ライン1305として印刷を開始するように、印刷開始前の被印刷媒体13の搬送動作を行う。
(b1)に示した例では、差分LD=LTH-LPは、LD<0になり(ステップS8;YES)、かつLD>LB1-L1になる。このため、印刷装置1は、印刷開始前に行う搬送動作における調整搬送量LFはLD(<0)を採用し、調整搬送量LF=|LD|(>0)だけ被印刷媒体13を逆方向に搬送する動作を行う(ステップS9)。(b1)に示した例では、被印刷媒体13における印刷位置にあるラインから印刷開始ライン1305までの距離が調整搬送量LFになる。この搬送動作により、図10の(b2)に例示したように、被印刷媒体13の始端1301から距離LB1+LBAとなる位置(印刷開始ライン1305とする位置)が印刷位置に移動する。
印刷開始ライン1305を印刷位置に移動させた後、印刷装置1は、図10の(b3)に例示したように、被印刷媒体13を順方向に搬送しながら被印刷媒体13への印刷を行う(ステップS10)。印刷領域APの後端(印刷終了ライン1307)が印刷位置に到達すると、印刷装置1は、被印刷媒体13への印刷を終了する。その後、印刷装置1は、図10の(b4)及び(b5)に例示したように、被印刷媒体13の順方向への搬送を継続し、カットライン1310が搬送経路のカット位置に到達した時点で被印刷媒体13の搬送(順方向への移動)が停止するように搬送処理部150の動作を制御する。カットライン1310がカット位置に到達すると、印刷装置1は、図示しない第1のカッター801で被印刷媒体13のカットライン1310をカットし、図10の(b6)に例示したように、文字列「ABC 01」が印刷されたラベル13Lを排出する。作成されたラベル13Lのラベル長LLは最短ラベル長LL0になっているので、ラベル13Lは、搬送経路に滞留することなく装置筐体2の排出口202から排出される。
フルカット後にフルカット位置よりも上流側に残る被印刷媒体13の部分は、カットライン1310を新たな始端として、次の印刷(ラベルの作成)に使用される。例えば、文字列「ABC 01」が印刷されたラベルを続けて作成する場合、(b1)~(b6)を参照して上述した処理が繰り返される。
図11には、被印刷媒体13に文字列「01」を印刷し、(c6)に例示したようなラベル13Lを作成するときに印刷装置1で行われる動作を段階的に示している。図11の(c1)及び(c2)における点線の袋文字は、まだ被印刷媒体13に印刷されていない文字を示している。
図11の(c1)には、ラベル13Lを作成するために図5に例示した処理を開始するときの、被印刷媒体13の搬送経路上での状態を例示している。(c1)に例示した被印刷媒体13は、始端(下流端)1301がフルカット位置にあるホームポジションの状態である。印刷データに基づいて導出される印字長LPがLP<(LL0-LB1-LB2)を満たす場合には、印刷装置1は、(c1)に例示したように、被印刷媒体13の始端1301からカットライン1310までの距離が最短ラベル長LL0になるように被印刷媒体13の始端1301と印刷領域APとの間に追加の余白ABAを挿入し、被印刷媒体13の始端1301からの距離が始端側余白AB1の余白長LB1と追加の余白ABAの余白長LABとの和になる位置を印刷開始ライン1305として印刷を開始するように、印刷開始前の被印刷媒体13の搬送動作を行う。
(c1)に示した例では、差分LD=LTH-LPは、LD>0になる(ステップS6;YES)。このため、印刷装置1は、印刷開始前に行う搬送動作における調整搬送量LFはLD(>0)を採用、調整搬送量LF=LD(LF=|LD|)だけ被印刷媒体13を順方向に搬送する動作を行う(ステップS7)。(c1)に示した例では、被印刷媒体13における印刷位置にあるライン(図示せず)から印刷開始ライン1305までの距離が調整搬送量LFの絶対値になる。この搬送動作により、図11の(c2)に例示したように、被印刷媒体13の始端1301から距離LB1+LBAとなるライン(印刷開始ライン1305とするライン)が印刷位置に移動する。
印刷開始ライン1305を印刷位置に移動させた後、印刷装置1は、図11の(c3)に例示したように、被印刷媒体13を順方向に搬送しながら被印刷媒体13への印刷を行う(ステップS10)。印刷領域APの後端(印刷終了ライン1307)が印刷位置に到達すると、印刷装置1は、被印刷媒体13への印刷を終了する。その後、印刷装置1は、図11の(c4)及び(c5)に例示したように、被印刷媒体13の順方向への搬送を継続し、カットライン1310が搬送経路のカット位置に到達した時点で被印刷媒体13の搬送(順方向への移動)が停止するように搬送処理部150の動作を制御する。カットライン1310がカット位置に到達すると、印刷装置1は、図示しない第1のカッター801で被印刷媒体13のカットライン1310をカットし、図11の(c6)に例示したように、文字列「01」が印刷されたラベル13Lを排出する。作成されたラベル13Lのラベル長LLは最短ラベル長LL0になっているので、ラベル13Lは、搬送経路に滞留することなく装置筐体2の排出口202から排出される。
フルカット後にフルカット位置よりも上流側に残る被印刷媒体13の部分は、カットライン1310を新たな始端として、次の印刷(ラベルの作成)に使用される。例えば、文字列「01」が印刷されたラベルを続けて作成する場合、(c1)~(c6)を参照して上述した処理が繰り返される。
従来の印刷装置では、例えば、図10の(b1)に例示したホームポジションの状態である被印刷媒体13への印刷を行うときに、始端1301からの距離が始端側余白AB1の余白長LB1になるライン1303が印刷位置に到達するまで逆方向に搬送した後、順方向に搬送する。そして、追加の余白ABAの余白長LBAと対応する搬送量だけ被印刷媒体13が順方向に搬送され、図10の(c2)に例示した印刷開始ライン1305が印刷位置に移動した状態になった後、印刷装置は、順方向に搬送される被印刷媒体13への印刷を行う。すなわち、従来の印刷装置では、印刷開始前に、追加の余白ABAの余白長LBAと対応する搬送量だけ逆方向に余分に搬送した後、同じ搬送量だけ順方向に搬送するという、単に被印刷媒体13を往復させるだけの搬送動作が行われる。このため、従来の印刷装置では、印字長LPが短く被印刷媒体13への印刷に要する時間が短いにもかかわらず、上述した被印刷媒体13を往復させるだけの搬送動作に要する時間が加わり、ラベル13Lの作成に要する時間を短縮することが難しかった。
これに対し、本実施形態の印刷装置1では、図10及び図11を参照して上述したように、印刷データに基づいて導出される印字長LPと印字長閾値LTHとの差分LD=LTH-LPが、印刷時に設定される始端側余白AB1の余白長LB1と印刷位置からフルカット位置までの距離L1との差分LB1-L1よりも大きい場合には、印刷開始前に、差分LDの絶対値と対応する搬送量だけ、被印刷媒体13を順方向又は逆方向に搬送する。差分LDが正の値の場合には順方向に搬送し、差分LDが負の値の場合には逆方向に搬送する。このため、本実施形態の印刷装置1では、従来の印刷装置における、被印刷媒体13を往復させるだけの動作を省略することができる。例えば、図10を参照して上述した例では、追加の余白ABAの余白長LBAと対応する搬送量だけ被印刷媒体13を往復させる動作の全部を省略することができる。また、図11を参照して上述した例では、(c1)のホームポジションの状態からライン1303を印刷位置に移動させる逆方向の搬送動作と、その後の順方向の搬送動作のうちの(c1)のホームポジションの状態に戻るまでの搬送動作とを省略することができる。したがって、本実施形態の印刷装置1は、被印刷媒体13を往復させるだけの省略可能(無駄)な搬送動作を省略することができ、ラベルの作成に要する時間の無駄を抑制することができる。
また、本実施形態の印刷装置1は、被印刷媒体13を往復させるだけの無駄な搬送動作を抑制することができるため、印刷装置1の消費電力量を低減させることができる。特に、図11を参照して上述したような印刷データに基づく印字長LPが印字長閾値LTHよりも短い場合に、消費電力量を低減させる効果が高い。
なお、本実施形態の印刷装置1は、上述したように、被印刷媒体13への印刷を開始する前に、第2のカッター802により被印刷媒体13をカット(ハーフカット)することが可能である。以下、図12を参照して、印刷開始前にハーフカットを行う場合に本実施形態に係る印刷装置1が行う動作の具体例を説明する。
図12は、印刷開始前にハーフカットを行う場合に一実施形態に係る印刷装置が行う動作の一例を説明する図である。図12には、被印刷媒体13に文字列「ABCDEFG 01」を印刷してラベル13Lを作成するときに印刷装置1で行われる動作のうちの印刷開始ライン1305を印刷位置に移動させるまでの動作を段階的に示している。図12の(d1)~(d3)における点線の袋文字は、まだ被印刷媒体13に印刷されていない文字を示している。
図12の(d1)には、ラベル13Lを作成するために図5に例示した処理を開始するときの、被印刷媒体13の搬送経路上での状態を例示している。(d1)に例示した被印刷媒体13は、始端(下流端)1301がフルカット位置にあるホームポジションの状態である。印刷開始前にハーフカットを行う場合には、印刷装置1は、(d1)に例示したように、被印刷媒体13の始端1301からの距離が前余白AB0の余白長LB0(図示せず)となる位置をハーフカットライン1302に設定する。前余白AB0は、例えば、被印刷媒体13が粘着テープ層とその粘着テープの粘着面を保護する保護層とを含むものである場合に、始端側余白AB1、印刷領域AP、及び後端側余白AB2を含むラベル(粘着テープ層)を保護層から剥がしやすくするために設けられる、ラベルとして用いられない余白である。
印刷開始前にハーフカットを行う場合(ステップS2;YES)、印刷装置1は、フルカット位置からハーフカット位置までの距離L2と前余白AB0の余白長LB0との和で表される搬送量だけ被印刷媒体13を順方向に搬送し、図12の(d2)に示すように、第2のカッター802により被印刷媒体13のハーフカットライン1302をハーフカットする(ステップS3)。このとき、被印刷媒体13のハーフカットライン1302は、例えば、粘着テープ層及び保護層のうちの粘着テープ層のみが第2のカッター802によりカットされる。
被印刷媒体13をハーフカットした後、印刷装置1は、印刷位置からハーフカット位置までの距離L1+L2から、ハーフカットライン1302を境として前余白LB0と隣接する始端側余白AB1の余白長LB1を減算した搬送量L1+L2-LB1だけ被印刷媒体13を逆方向に搬送する(ステップS4)。この逆方向の搬送動作により、図12の(d3)に例示したように、被印刷媒体13の印刷開始ライン1305が印刷位置に移動する。図示を省略するが、この後、印刷装置1は、被印刷媒体13を順方向に搬送しながら被印刷媒体13に文字列「ABCDEFG 01」を印刷し(ステップS10)、第1のカッター801により被印刷媒体13のカットライン1310をカットする(ステップS11)。このような動作を行うことにより、例えば、図9の(a6)に例示したようなラベル13Lの始端側に前余白AB0が設けられたラベルを作成することができる。作成されたラベルは、被印刷媒体13のうちの粘着テープ層におけるラベルとして使用される部分と前余白AB0の部分との境界(ハーフカットライン1302)で分離されており、その分離された2つの部分は保護層により一体的に保持されている。
印刷開始前にハーフカットを行う場合、前余白AB0の余白長LB0を、例えば、図10及び図11を参照して説明したような追加の余白ABAの余白長LBAに設定することが可能である。このため、印刷開始前にハーフカットを行う場合には、印刷データに基づいて導出される印字長LPがLP<LL0-LB1-LB2であっても、前余白AB0の余白長LB0を調整することにより、被印刷媒体13の始端1301からフルカットライン1310までの距離を最短ラベル長LL0よりも長くすることができる。従って、印刷開始前にハーフカットを行う場合には、被印刷媒体13を往復させるだけの搬送動作を伴わずに、被印刷媒体13をホームポジションの状態から印刷開始時の状態に搬送することができる。
以上説明したように、本実施形態の印刷装置1は、印刷データに基づいて導出される印字長LPと、予め設定された印字長閾値LTHとの大小関係を利用して、印刷開始前にハーフカットを行わない場合の印刷開始前の被印刷媒体13の搬送動作(搬送方向及び搬送量)を調整する。印字長閾値LTHは、自装置における最短ラベル長LL0と印刷位置からフルカット位置までの距離L1とに基づいて設定される。
印字長閾値LTHと印字長LPとの差分LD=LTH-LPが正の値であれば、ホームポジションの状態である被印刷媒体13における印刷位置にあるラインよりも上流側の部分内に、印刷データにより指定される印刷内容の全てを印刷することができる。このため、本実施形態の印刷装置1は、差分LD=LTH-LPが正の値である場合には、印刷開始前に、差分LDの絶対値を搬送量として被印刷媒体13を順方向に搬送する動作を行う。これにより、印刷開始前に被印刷媒体13を逆方向に搬送することなく、印刷を開始することができる。
また、印字長閾値LTHと印字長LPとの差分LD=LTH-LPが負の値であり、かつ印刷位置からフルカット位置までの距離L1と印刷領域APの始端側に設ける余白AB1の余白長LB1との差分LB1-L1(<0)よりも大きい場合には、ホームポジションの状態である被印刷媒体13における印刷位置にあるラインよりも下流側であって、印刷位置からの距離が差分LDの絶対値になるラインを印刷開始ライン1305にすることで、被印刷媒体13における印刷開始ラインよりも上流側の部分内に、印刷データにより指定される印刷内容の全てを印刷することができる。このため、本実施形態の印刷装置1は、差分LD=LTH-LPが負の値であり、かつ差LB1-L1(<0)よりも大きい場合には、印刷開始前に、差分LDの絶対値を搬送量として被印刷媒体13を逆方向に搬送する動作のみを行う。これにより、印刷開始前に、被印刷媒体13が往復するだけの省略可能(無駄)な搬送動作を省略して、印刷を開始することができる。
従って、本実施形態の印刷装置1は、印刷開始前に被印刷媒体13を往復させるだけの省略可能(無駄)な搬送動作を省略し、ラベルの作成に要する時間の無駄を抑制することができる。また、本実施形態の印刷装置1は、被印刷媒体13を往復させるだけの無駄な搬送動作を抑制することができるため、印刷装置1の消費電力量を低減させることができる。
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。印刷装置、制御方法、及びプログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
例えば、印刷装置1は、上述した構成や機能の一部が省略された装置であってもよいし、例示していない他の構成や機能を含む装置であってもよい。印刷装置1は、キーボード3が省略されており、外部装置で作成された印刷データを受信して被印刷媒体13への印刷等を行う装置であってもよい。印刷装置1は、被印刷媒体13をハーフカットする第2のカッター802が省略された装置であってもよい。
また、印刷装置1は、上述したような感熱方式による印刷を行うものに限らず、熱転写方式、インクジェット方式等による印刷を行うものであってもよい。また、印刷装置1における最短ラベル長LL0は、カット部170によりカットされた場合において装置外部へと排出可能な被印刷媒体13の最短長として印刷装置1に設定された長さであればよく、搬送経路におけるカット位置から排出位置までの距離に基づいて設定された長さに限らず、他の基準(指標)に基づいて設定された長さであってもよい。
また、印刷装置1が行う処理は、図5に例示した処理内容及び処理手順に限らず、適宜変更可能である。例えば、印刷装置1が行う処理は、印刷データに基づいて被印刷媒体13への印刷を複数回行う場合に、被印刷媒体13をフルカットする処理を挟まずに複数回の印刷を連続して行うことが可能であってもよい。複数回の印刷は、例えば、同一の印刷レイアウト(印刷内容)での印刷を複数回繰り返すこと、連番印刷等の印刷レイアウトの一部が互いに異なる複数回の印刷を行うこと、及び複数の印刷レイアウトのそれぞれを1回以上印刷することを含む。また、差分LDの導出方法、差分LDに応じた印刷開始前の搬送動作の搬送量及び搬送方法の導出方法は、上述した方法に限らず、適宜変更可能である。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
被印刷媒体を第1の方向及び前記第1の方向とは反対の第2の方向に搬送可能な搬送部と、
印刷データに基づいて、前記搬送部により第1の方向に搬送される被印刷媒体に印刷内容を印刷する印刷部と、
前記被印刷媒体の搬送経路において前記被印刷媒体への印刷が行われる印刷位置と前記第1の方向に搬送される前記被印刷媒体を装置外部に排出する排出位置との間に設定されるカット位置で、前記被印刷媒体をカットするカット部と、
前記被印刷媒体への印刷を前記印刷部に行わせる前に、前記被印刷媒体の印刷前搬送動作を前記搬送部に行わせる際に、前記カット部によりカットされた場合において前記装置外部へと排出可能な前記被印刷媒体の最短長と前記印刷位置から前記カット位置までの距離とに基づいて設定された印字長閾値と、印刷データに基づいて導出される印字長と、の大小関係を利用して導出された搬送量に基づいて前記被印刷媒体を搬送させるよう制御する制御部と、
を含むことを特徴とする印刷装置。
[付記2]
前記最短長は、前記搬送経路における前記カット位置から前記排出位置までの距離に基づいて設定されることを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
[付記3]
前記印字長閾値は、前記被印刷媒体の始端が前記カット位置にあるときの前記印刷位置にある前記被印刷媒体上のラインを印刷開始ラインとした場合に、前記始端を一端とする前記最短長の前記被印刷媒体において取り得る印字長の最大値である、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の印刷装置。
[付記4]
前記最短長の前記被印刷媒体は、印刷が行われる印刷領域と、前記印刷領域よりも前記被印刷媒体の前記始端側に設けられる余白領域と、前記印刷領域よりも前記被印刷媒体の前記始端とは反対の後端側に設けられる余白領域とを含む、
ことを特徴とする付記3に記載の印刷装置。
[付記5]
前記制御部は、前記始端が前記カット位置にある状態で前記被印刷媒体の搬送を開始するときに、前記印字長閾値と前記印字長とを利用して、前記印刷前搬送動作における前記被印刷媒体の搬送量を導出し、前記搬送量に基づいて前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させるよう制御する
ことを特徴とする付記3又は4に記載の印刷装置。
[付記6]
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて導出される前記印字長が前記印字長閾値よりも小さい場合には、前記印刷前搬送動作における前記被印刷媒体の前記搬送量を前記印字長と前記印字長閾値との差分にし、前記搬送部に前記被印刷媒体を前記第1の方向に前記搬送量だけ搬送させるように制御する、
ことを特徴とする付記1~5のいずれか1つに記載の印刷装置。
[付記7]
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて導出される前記印字長が前記印字長閾値よりも大きく、かつ前記印字長と前記印字長閾値との差分が所定の閾値よりも大きい場合には、前記印刷前搬送動作における前記被印刷媒体の前記搬送量を前記印字長と前記印字長閾値との差分の絶対値にし、前記搬送部に前記被印刷媒体を前記第2の方向に前記搬送量だけ搬送させるように制御し、
前記印刷データに基づいて導出される前記印字長が前記印字長閾値よりも大きく、かつ前記印字長と前記印字長閾値との差分が前記所定の閾値以下である場合には、前記印刷前搬送動作における前記被印刷媒体の前記搬送量を前記所定の閾値の絶対値にし、前記搬送部に前記被印刷媒体を前記第2の方向に前記搬送量だけ搬送させるように制御する、
ことを特徴とする付記1~6のいずれか1つに記載の印刷装置。
[付記8]
前記制御部は、前記印刷データに基づいて導出される前記印字長と前記印字長閾値とが等しい場合は、前記印刷前搬送動作を行わない
ことを特徴とする付記1~7のいずれか1つに記載の印刷装置。
[付記9]
前記カット部は、前記搬送経路における第1のカット位置で前記被印刷媒体をカットする第1のカッターと、前記搬送経路における前記第1のカット位置と前記排出位置との間に設定される第2のカット位置で被印刷媒体をカットする第2のカッターとを含み、
前記印字長閾値は、前記被印刷媒体の前記最短長と、前記印刷経路における前記印刷位置から前記第1のカット位置までの距離とに基づいて設定される、
ことを特徴とする付記1~8のいずれか1つに記載の印刷装置。
[付記10]
前記第2のカッターは、前記第2のカット位置を境として隣り合う前記被印刷媒体の2つの領域が前記被印刷媒体の一部により連続するように前記被印刷媒体をカットするカッターであり、
前記制御部は、
前記印刷データに基づく前記被印刷媒体への印刷を前記印刷部に行わせる前に前記第2のカッターによる前記被印刷媒体のカットを前記カット部に行わせる場合には、前記印字長閾値と前記印字長との大小関係を利用せずに、前記印刷前搬送動作における前記被印刷媒体の搬送量を導出する、
ことを特徴とする付記9に記載の印刷装置。
[付記11]
被印刷媒体を第1の方向及び前記第1の方向とは反対の第2の方向に搬送可能な搬送部と、印刷データに基づいて、前記搬送部により第1の方向に搬送される被印刷媒体に印刷内容を印刷する印刷部と、前記被印刷媒体の搬送経路において前記被印刷媒体への印刷が行われる印刷位置と前記第1の方向に搬送される前記被印刷媒体を装置外部に排出する排出位置との間に設定されるカット位置で、前記被印刷媒体をカットするカット部と、を含む印刷装置が、
前記被印刷媒体への印刷を前記印刷部に行わせる前に、前記被印刷媒体の印刷前搬送動作を前記搬送部に行わせる際に、前記カット部によりカットされた場合において前記装置外部へと搬出可能な前記被印刷媒体の最短長と前記印刷位置から前記カット位置までの距離とに基づいて設定された印字長閾値と、印刷データに基づいて導出される印字長と、の大小関係を利用して導出された搬送量に基づいて前記被印刷媒体を搬送させるよう制御する、
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。
[付記12]
被印刷媒体を第1の方向及び前記第1の方向とは反対の第2の方向に搬送可能な搬送部と、印刷データに基づいて、前記搬送部により第1の方向に搬送される被印刷媒体に印刷内容を印刷する印刷部と、前記被印刷媒体の搬送経路において前記被印刷媒体への印刷が行われる印刷位置と前記第1の方向に搬送される前記被印刷媒体を装置外部に排出する排出位置との間に設定されるカット位置で、前記被印刷媒体をカットするカット部と、を含む印刷装置に、
前記被印刷媒体への印刷を前記印刷部に行わせる前に、前記被印刷媒体の印刷前搬送動作を前記搬送部に行わせる際に、前記カット部によりカットされた場合において前記装置外部へと搬出可能な前記被印刷媒体の最短長と前記印刷位置から前記カット位置までの距離とに基づいて設定された印字長閾値と、印刷データに基づいて導出される印字長と、の大小関係を利用して導出された搬送量に基づいて前記被印刷媒体を搬送させるよう制御する、
処理を実行させることを特徴とするプログラム。